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特開2024-121462二輪車、二輪車本体、フットステップユニット、ドライブユニット
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  • 特開-二輪車、二輪車本体、フットステップユニット、ドライブユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121462
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】二輪車、二輪車本体、フットステップユニット、ドライブユニット
(51)【国際特許分類】
   B62K 13/00 20060101AFI20240830BHJP
   B62H 7/00 20060101ALI20240830BHJP
   B62J 25/04 20200101ALI20240830BHJP
【FI】
B62K13/00
B62H7/00
B62J25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028585
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】512257886
【氏名又は名称】サカイサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127764
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 泰州
(72)【発明者】
【氏名】西川 雅浩
(57)【要約】      (修正有)
【課題】キックバイク型の形態においても自転車型の形態においても十分な剛性を確保できる新規な二輪車、前記二輪車の本体たる二輪車本体、前記二輪車本体に取り付けられるフットステップユニット並びにドライブユニットを提供する。
【解決手段】二輪車本体と、キックバイク型の形態時に前記二輪車本体に取り付けられるフットステップユニットと、自転車型の形態時に前記二輪車本体に取り付けられるドライブユニットと、を具備してなる二輪車において、前記フットステップユニットにつき、前記二輪車本体のダウンチューブ又はシートチューブに設けられた受部から後輪の車軸にわたって取り付けられる第一ステーとし、前記ドライブユニットにつき、前記受部から前記車軸にわたって取り付けられる第二ステーと、前記第二ステーに回転可能に取り付けられたクランクと、前記クランクの回転に応じて回転するチェーンリングと、を具備してなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り手が地面を蹴って走行させるキックバイク型と、乗り手がペダルを漕いで走行させる自転車型と、の二通りの形態に変形可能な二輪車であって、
二輪車本体と、
前記キックバイク型の形態時に前記二輪車本体に取り付けられるフットステップユニットと、
前記自転車型の形態時に前記二輪車本体に取り付けられるドライブユニットと、
を具備してなり、
前記フットステップユニットが、前記二輪車本体のダウンチューブ又はシートチューブに設けられた受部から後輪の車軸にわたって取り付けられる第一ステーからなり、
前記ドライブユニットが、前記二輪車本体のダウンチューブ又はシートチューブに設けられた受部から後輪の車軸にわたって取り付けられる第二ステーと、前記第二ステーに回転可能に取り付けられたクランクと、前記クランクの回転に応じて回転するチェーンリングと、を具備してなることを特徴とする二輪車。
【請求項2】
請求項1に記載の二輪車を構築するための二輪車本体であって、
後輪が一本のシートステーによって支持されてなり、
ダウンチューブ又はシートチューブに前記受部が設けられてなることを特徴とする二輪車本体。
【請求項3】
請求項1に記載の二輪車を構築するためのフットステップユニットであって、
前記第一ステーの前端に前記受部に取り付け可能な前端側取付け部が設けられ、且つ、後端に前記車軸に取り付け可能な後端側取付け部が設けられてなることを特徴とするフットステップユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のフットステップユニットにおいて、
前記第一ステーに足乗せ用の踏台が設けられてなるフットステップユニット。
【請求項5】
請求項1に記載の二輪車を構築するためのドライブユニットであって、
前記第二ステーの前端に前記受部に取り付け可能な前端側取付け部が設けられ、且つ、後端に前記車軸に取り付け可能な後端側取付け部が設けられてなることを特徴とするドライブユニット。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り手が地面を蹴って走行させるキックバイク型と、乗り手がペダルを漕いで走行させる自転車型と、の二通りの形態に変形可能な二輪車、前記二輪車の本体たる二輪車本体、前記二輪車本体に取り付けられるフットステップユニット並びにドライブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に「自転車」と言えば、乗り手によるペダルを漕ぐ力を駆動力とし、ハンドルの操作によって地上を走行する二輪車を意味する。この種の自転車は前輪及び後輪を一直線上に配した構造を有することから自立ができず、発車の際の低速運転時においてふらつきが生じ易い。特に自転車に乗り始めの幼児等の初心者にとっては、発車の際にペダルを踏み込みつつバランスを取ることが難しいとされている。そのため初心者においては、ペダルを漕がずに地面を蹴って自転車を走行させる前段階の訓練を行うことによって、まず自転車に乗る感覚を養うことが好ましいとされている。
【0003】
この点につき、元々ペダル等の駆動装置が設けられていない「キックバイク」と称される幼児用の二輪車が販売されている。この種のキックバイクは乗り手が地面を蹴って走行するため、乗り手においてペダル操作を意識することなく二輪車に乗る感覚が自然に高まる。即ち、キックバイクを幼児に与えれば、自転車に乗るための前段階の訓練を難なく行うことができる。
【0004】
そしてキックバイクの操作に慣れたら次は自転車を購入する運びとなるところ、最近では乗り手が地面を蹴って走行させるキックバイク型から、乗り手がペダルを漕いで走行させる自転車型に変形可能な二輪車が開発されている(例えば、下記特許文献1~3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013‐147199号公報
【特許文献2】特開2018‐62259号公報
【特許文献3】特開2020‐23246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1~3に開示された二輪車は、いずれもキックバイク型の二輪車本体にドライブユニット(チェーンリングに設けられたべダル付きのクランク)を取り付けることによって自転車型の二輪車に変形させる仕組みとなされている。
【0007】
しかしながら、自転車の走行の際にペダルに与えられる負荷は相当大きく、前記特許文献1~3に開示されたドライブユニットの取り付け手段では、必ずしも係る負荷に耐え得るほど十分な剛性が確保できているとは言い難い。
【0008】
本発明は、前記技術的課題に鑑みて完成されたものであり、キックバイク型の形態においても自転車型の形態においても十分な剛性を確保できる新規な二輪車、前記二輪車の本体たる二輪車本体、前記二輪車本体に取り付けられるフットステップユニット並びにドライブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決する本発明の二輪車は、乗り手が地面を蹴って走行させるキックバイク型と、乗り手がペダルを漕いで走行させる自転車型と、の二通りの形態に変形可能な二輪車であって、二輪車本体と、前記キックバイク型の形態時に前記二輪車本体に取り付けられるフットステップユニットと、前記自転車型の形態時に前記二輪車本体に取り付けられるドライブユニットと、を具備してなり、前記フットステップユニットが、前記二輪車本体のダウンチューブ又はシートチューブに設けられた受部から後輪の車軸にわたって取り付けられる第一ステーからなり、前記ドライブユニットが、前記二輪車本体のダウンチューブ又はシートチューブに設けられた受部から後輪の車軸にわたって取り付けられる第二ステーと、前記第二ステーに回転可能に取り付けられたクランクと、前記クランクの回転に応じて回転するチェーンリングと、を具備してなることを特徴とする(以下、「本発明二輪車」と称する。)。
【0010】
前記技術的課題を解決するための本発明の二輪車本体は、前記本発明二輪車を構築するための二輪車本体であって、後輪が一本のシートステーによって支持されてなり、ダウンチューブ又はシートチューブに前記受部が設けられてなることを特徴とする(以下、「本発明二輪車本体」と称する。)。
【0011】
前記技術的課題を解決するための本発明のフットステップユニットは、前記本発明二輪車を構築するためのフットステップユニットであって、前記第一ステーの前端に前記受部に取り付け可能な前端側取付け部が設けられ、且つ、後端に前記車軸に取り付け可能な後端側取付け部が設けられてなることを特徴とする(以下、「本発明第一ユニット」と称する。)。
【0012】
前記本発明第一ユニットにおいては、前記第一ステーに足乗せ用の踏台が設けられてなるものが好ましい態様となる。
【0013】
前記技術的課題を解決するための本発明のドライブユニットは、前記本発明二輪車を構築するためのドライブユニットであって、前記第二ステーの前端に前記受部に取り付け可能な前端側取付け部が設けられ、且つ、後端に前記車軸に取り付け可能な後端側取付け部が設けられてなることを特徴とする(以下、「本発明第二ユニット」と称する。)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、乗り手が地面を蹴って走行させるキックバイク型と、乗り手がペダルを漕いで走行させる自転車型と、の二通りの形態において十分な剛性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、実施形態に係る本発明二輪車のキックバイク型の形態を示す左側面図であり、図1(b)は、前記本発明二輪車の自転車型の形態を示す左側面図である。
図2図2は、実施形態に係る本発明二輪車本体を示す左側面図である。
図3図3は、前記本発明二輪車本体に前記本発明第一ユニットを取り付ける様子を示す左側面図である。
図4図4は、実施形態に係る本発明第一ユニットを示す左側面図(a)と平面図(b)である。
図5図5は、前記本発明二輪車本体に前記本発明第二ユニットを取り付ける様子を示す左側面図である。
図6図6(a)、(b)は、それぞれ実施形態に係る本発明第二ユニットを示す左側面図と右側面図であり、図6(c)は前記本発明第二ユニットにチェーンを装着した状態を示す右側面図である。
図7図6(a)は、他の実施形態に係る本発明二輪車のキックバイク型の形態を示す左側面図であり、図6(b)は、前記本発明二輪車の自転車型の形態を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0017】
[実施形態]
<本発明二輪車(1)>
図1に、本発明二輪車1一実施形態を示す。前記本発明二輪車1は、「本発明二輪車本体2」と、「本発明第一ユニット(3)」と、「本発明第二ユニット(4)」と、を具備する。
【0018】
‐本発明二輪車本体2‐
前記本発明二輪車本体2は前記本発明二輪車1の本体部分であり、図2に示すように、少なくとも前輪(W1)と、後輪(W2)と、フレーム(F)と、ハンドル(H)と、シート(S)と、を具備する。本実施形態において前記本発明二輪車本体2は、後輪(W2)が一本のシートステー21によって支持されており、又、前記本発明第一ユニット3又は前記本発明第二ユニット4を取り付けるための受部22がシートチューブ20の下端に設けられている。更に、本実施形態においては後輪(W2)の車軸23にリアスプロケット24が固定されている。
【0019】
‐本発明第一ユニット3‐
図3に示すように、前記本発明第一ユニット3は、前記本発明二輪車本体2に取り付けられて前記本発明二輪車1のキックバイク型の形態(11)を構築する役割を担う。図4に示すように、前記本発明第一ユニット3は前記本発明二輪車本体2に設けられた受部22から後輪(W2)の車軸23にわたって取り付けられる第一ステー31からなり、前端に前記受部22に取り付け可能な前端側取付け部32が設けられ、且つ、後端に前記車軸23に取り付け可能な後端側取付け部33が設けられている。本実施形態においては前記本発明第一ユニット3を前記本発明二輪車本体2に取り付けるにあたり、前記受部22に前記前端側取付け部32を挿入することによって芯鞘構造を構築したうえでボルト(B)及びナット(N)で固定し、前記後端側取付け部33を後輪(W2)の車軸23にナット(N)及びワッシャ(R)を介して締結する。前記本発明第一ユニット3を前記本発明二輪車本体2に取り付けると、前記第一ステー31がいわゆるチェーンステーとして機能し、前記本発明二輪車1(11)の剛性が向上する。なお、本実施形態においては、前記本発明第一ユニット3の前記第一ステー31に足乗せ用の踏台34が設けられており(図4(b)参照)、乗り手が前記踏台34に片足又は両足を乗せた状態で走行できるようにしている。
【0020】
‐本発明第二ユニット4‐
図5に示すように、前記本発明第二ユニット4は、前記本発明二輪車本体2に取り付けられて前記本発明二輪車1の自転車型の形態(12)を構築する役割を担う。図6に示すように、前記本発明第二ユニット4は、前記本発明二輪車本体2に設けられた受部22から後輪W2の車軸にわたって取り付けられる第二ステー41と、前記第二ステー41に回転可能に取り付けられたクランク42と、前記クランク42の回転に応じて回転するチェーンリング43と、を具備する。又、前記第二ステー41の前端に前記受部22に取り付け可能な前端側取付け部44が設けられ、且つ、後端に前記車軸23に取り付け可能な後端側取付け部45が設けられている。本実施形態においては前記本発明第二ユニット4を前記本発明二輪車本体2に取り付けるにあたり、前記チェーンリング43にチェーン(C)を巻き回して仮固定した後(図5(c)参照)、前記受部22に前記前端側取付け部44を挿入することによって芯鞘構造を構築したうえでボルト(B)及びナット(N)で固定し、前記後端側取付け部45を後輪(W2)の車軸23にナット(N)及びワッシャ(R)を介して締結する。この際、前記チェーン(C)は前記車軸23に固定されているリアスプロケット24にも巻き回される。前記本発明第二ユニット4を前記本発明二輪車本体2に取り付けると、前記第二ステー41がいわゆるチェーンステーとして機能し、前記本発明二輪車1(12)の剛性が向上する。
【0021】
前記構成を有する前記本発明二輪車1は、前記第一ステー31や前記第二ステー41がいわゆるチェーンステーとして機能し、前記シートステー21と協働して後輪(W2)を両軸受するため、キックバイク型の形態(11)、及び、自転車型の形態(12)の二通りの形態において十分な剛性を確保することができる。
【0022】
又、前記本発明二輪車1(12)は、前記本発明第二ユニット4が前記第二ステー41を介して前記受部22と前記車軸23の二点にわたって固定されるため、ペダル(P)を漕ぐ際に生じる負荷に抗し得る剛性も付与される。
【0023】
更に、キックバイク型の形態(11)から自転車型の形態(12)への変形、或いは自転車型の形態(12)からキックバイク型の形態(11)への変形は、前記本発明第一ユニット3と前記本発明第二ユニット4との交換によってなし得るため、変形に要する作業負担も軽いものとなる。
【0024】
ところで、本実施形態においては、前記本発明第一ユニット3又は前記本発明第二ユニット4を取り付けるための受部22につき、前記本発明二輪車本体2のフレーム(F)におけるシートチューブ20の下端に設けているが、本発明においては、図7に示すように前記受部22を前記本発明二輪車本体2のフレーム(F)におけるダウンチューブ25に設けても良い。前記受部22を前記ダウンチューブ25に設けると、前記本発明二輪車1においてシートポスト26を長くする設計やサドル(S)の最低高を低くする設計が可能となり、成長過程の幼児においても長年使用することが可能となる。
【0025】
又、前記受部22を前記ダウンチューブ25に設けると、前記本発明二輪車本体2に対して前記本発明第一ユニット3や前記本発明第二ユニット4を取り付ける際に、前記受部22が前記本発明第一ユニット3の前端側取付け部32や前記本発明第二ユニット4の前端側取付け部44を鉛直方向から受け入れる仕組みとすることができ、変形に要する作業負担がより軽くなる。
【0026】
なお、本実施形態においては、前記受部22や車軸23に対する前記本発明第一ユニット3又は前記本発明第二ユニット4の取り付けにつき、ボルト(B)やナット(N)を用いた締結により行っているが、前記本発明第一ユニット3や前記本発明第二ユニット4の取り付け手段は特に限定されない。
【0027】
又、本実施形態においては、前記本発明二輪車1の自転車型の形態(12)においてチェーン(C)を用いたチェーンドライブを構築しているが、自転車型の形態(12)における駆動力伝達の手段は特に限定されない。例えば、自転車型の形態(12)において歯付ベルトを用いたベルトドライブを構築しても良い。
【0028】
更に、本実施形態においては、前記本発明第二ユニット4につき、第二ステー41と、クランク42と、チェーンリング43と、を具備してなるものとしているが、その他の部材(例えば、チェーンカバー等)を備えたものとしても良い。
【0029】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、キックバイク型の形態や自転車型の形態に変形可能な二輪車において十分な剛性を確保できる手段として好適に利用される。
【符号の説明】
【0031】
1 本発明二輪車(二輪車)
11 本発明二輪車(キックバイク型の形態)
12 本発明二輪車(自転車型の形態)
2 本発明二輪車本体(二輪車本体)
20 シートチューブ
21 シートステー
22 受部
23 車軸
25 ダウンチューブ
3 本発明第一ユニット(フットステップユニット)
31 第一ステー
32 前端側取付け部
33 後端側取付け部
34 踏台
4 本発明第二ユニット(ドライブユニット)
41 第二ステー
42 クランク
43 チェーンリング
44 前端側取付け部
45 後端側取付け部
W2 後輪

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7