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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121489
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ステータ及び回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20240830BHJP
   H02K 1/02 20060101ALI20240830BHJP
   H02K 1/20 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H02K1/18 C
H02K1/02 A
H02K1/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028627
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】石塚 一嘉
(72)【発明者】
【氏名】山本 亮介
(72)【発明者】
【氏名】棗田 充俊
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 俊
(72)【発明者】
【氏名】持田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】天野 寿人
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601AA25
5H601AA30
5H601CC05
5H601CC15
5H601CC20
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601DD47
5H601EE13
5H601EE18
5H601GA02
5H601GA50
5H601GB05
5H601GB12
5H601GC02
5H601GD02
5H601GD08
5H601GD12
5H601GD13
5H601GD22
5H601GE10
5H601HH05
5H601JJ10
(57)【要約】
【課題】ステータが複数の磁性体コアから組み立てられる場合に、ステータの組立精度の低下を抑制し、かつ、発生トルクの低下を抑制する。
【解決手段】ステータは、回転電気機械にステータが組み込まれたときに当該回転電気機械の回転軸を中心とする周方向に配置される複数の磁性体コアと、周方向において、複数の磁性体コアのそれぞれの間に配置される第1磁性部材と、を備えており、複数の磁性体コアのそれぞれは、回転軸を中心とする径方向を向く平面である外主面、外主面よりも径方向の反対方向に位置する第1内主面、並びに、外主面と第1内主面との周方向についての端縁どうしを繋ぐ2つの平面である第1側面及び第2側面を有するコアバック部を含み、第1磁性部材は、複数の磁性体コアのそれぞれの第1側面と、周方向において、当該磁性体コアの隣りに配置される磁性体コアの第2側面との間に、それらの側面のいずれにも接触した状態で設けられる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電気機械に用いられるステータであって、
前記回転電気機械に前記ステータが組み込まれたときに当該回転電気機械の回転軸を中心とする周方向に配置される複数の磁性体コアと、
前記周方向において、前記複数の磁性体コアのそれぞれの間に配置される第1磁性部材と、
を備えており、
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、前記回転軸を中心とする径方向を向く平面である外主面、前記外主面よりも前記径方向の反対方向に位置する第1内主面、並びに、前記外主面と前記第1内主面との前記周方向についての端縁どうしを繋ぐ2つの平面である第1側面及び第2側面を有するコアバック部を含み、
前記第1磁性部材は、前記複数の磁性体コアのそれぞれの前記第1側面と、前記周方向において、当該磁性体コアの隣りに配置される前記磁性体コアの前記第2側面との間に、それらの側面のいずれにも接触した状態で設けられる、
ステータ。
【請求項2】
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、互いに同一形状を有する、
請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記外主面と前記第1側面とがなす角の大きさと、前記外主面と前記第2側面とがなす角の大きさと、は、互いに等しい、
請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項4】
前記複数の磁性体コアのそれぞれの前記第1内主面は、前記周方向において、当該磁性体コアの隣りに配置される前記磁性体コアの前記第1内主面と接触する、
請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項5】
前記複数の磁性体コアのそれぞれの前記コアバック部は、直方体状である、
請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項6】
前記第1磁性部材は、三角柱状である、
請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項7】
前記第1磁性部材の材料は、軟磁性体及びエポキシ樹脂を含む、
請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項8】
前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれは、前記外主面と切欠き面を介して繋がる、
請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項9】
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、前記コアバック部から前記径方向の反対方向に延びたティース本体部と、前記径方向の反対方向についての前記ティース本体部の先端に形成されたティース先端部と、を有するティース部を含み、
前記ティース本体部及び前記ティース先端部のそれぞれは、直方体状である、
請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項10】
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、前記コアバック部から前記径方向の反対方向に延びたティース本体部と、前記径方向の反対方向についての前記ティース本体部の先端に設けられたティース先端部と、を含むティース部を、更に含み、
前記ティース先端部は、前記径方向の反対方向を向く第2内主面、前記第2内主面よりも前記径方向に位置する第2外主面、並びに、前記第2外主面と前記第2内主面との前記周方向についての端縁どうしを繋ぐ2つの平面である第3側面及び第4側面を有し、
前記複数の磁性体コアのそれぞれの前記第3側面は、前記周方向において、隣りに配置される前記磁性体コアの前記第4側面に接触せず、かつ、当該第4側面と平行である、
請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項11】
第2磁性部材を、更に備え、
前記ティース先端部は、前記径方向の反対方向を向く第2内主面を有し、
前記第2磁性部材と、前記磁性体コアと、は、互いに異なる部材であり、
前記第2磁性部材は、前記第2内主面に設けられる、
請求項9に記載のステータ。
【請求項12】
前記第2磁性部材の材料は、軟磁性体及びエポキシ樹脂を含む、
請求項11に記載のステータ。
【請求項13】
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、軟磁性粉から形成された成形体である、
請求項1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項14】
請求項1又は請求項2に記載のステータを備える、
回転電気機械。
【請求項15】
筐体と、
放熱部材と、
を更に備えており、
前記放熱部材は、前記複数の磁性体コア及び前記筐体のそれぞれと接触し、
前記放熱部材の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも高い、
請求項14に記載の回転電気機械。
【請求項16】
前記放熱部材の材料は、窒化アルミニウム及びエポキシ樹脂を含む、
請求項15に記載の回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電気機械に用いられるステータ及びステータを備える回転電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のステータに関する発明としては、例えば、特許文献1に記載のステータが知られている。特許文献1に記載のステータは、複数の磁性体コアを備えている。ステータは、回転電気機械にステータが組み込まれるときに、複数の磁性体コアが回転電気機械の回転軸を中心とする環状に配置されることにより、組み立てられる。複数の磁性体コアのそれぞれは、コアバック部を備えている。特許文献1に開示されているように、コアバック部は、その外周面が円弧状に湾曲した形状を有していることが多い。より詳細には、コアバック部の外周面は、回転電気機械にステータが組み込まれたときに当該回転電気機械の回転軸を中心とする周方向に拡がった円弧状の面となるように形成されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-158176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のステータにおいて、コアバック部の当該径方向の端面の当該周方向の長さの理論値は、r×2×π×(θ(度)/360)である。rは、当該回転電気機械の回転軸とコアバック部の当該径方向の端面との間の距離である。θは、当該回転電気機械の回転軸に沿う方向に視て、当該回転電気機械の回転軸の位置をO、コアバック部の当該径方向の端面の当該周方向の両端辺の位置をA,Bとしたときの∠AOBの大きさである。ここで、πは、無理数である。コアバック部を製作するときには、コアバック部の当該径方向の端面の当該周方向の長さの実寸法として有理数を用いざるを得ないため、無理数であるコアバック部の当該径方向の端面の当該周方向の長さの理論値との間に誤差が発生する。そのため、コアバック部の当該径方向の端面の当該周方向の長さの寸法精度が低下する。これにより、複数の磁性体コアを回転電気機械の回転軸を中心とする環状に配置するときに、ステータの組立精度が低下するおそれがある。
【0005】
一方、回転電気機械にステータが組み込まれたときに、複数の磁性体コアのそれぞれと、当該回転電気機械の回転軸を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コアとの間に隙間が存在する場合、複数の磁性体コアのそれぞれ内を通過する磁束が、当該隙間に漏れる。これにより、回転電気機械において、誘起電圧定数(V(rms)/rad/s)が低下する。従って、回転電気機械において、発生トルクが低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ステータが複数の磁性体コアから組み立てられる場合において、ステータの組立精度が低下することを抑制でき、かつ、回転電気機械において、発生トルクが低下することを抑制できるステータ及び回転電気機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るステータは、
回転電気機械に用いられるステータであって、
前記回転電気機械に前記ステータが組み込まれたときに当該回転電気機械の回転軸を中心とする周方向に配置される複数の磁性体コアと、
前記周方向において、前記複数の磁性体コアのそれぞれの間に配置される第1磁性部材と、
を備えており、
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、前記回転軸を中心とする径方向を向く平面である外主面、前記外主面よりも前記径方向の反対方向に位置する第1内主面、並びに、前記外主面と前記第1内主面との前記周方向についての端縁どうしを繋ぐ2つの平面である第1側面及び第2側面を有するコアバック部を含み、
前記第1磁性部材は、前記複数の磁性体コアのそれぞれの前記第1側面と、前記周方向において、当該磁性体コアの隣りに配置される前記磁性体コアの前記第2側面との間に、それらの側面のいずれにも接触した状態で設けられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ステータが複数の磁性体コアから組み立てられる場合において、ステータの組立精度が低下することを抑制でき、かつ、回転電気機械において、発生トルクが低下することを抑制できるステータ及び回転電気機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁性体コア1の斜視図である。
図2図2は、磁性体コア1を第2方向DIR2に視た平面図である。
図3図3は、ステータ15が用いられるブラシレスモータ100の外観斜視図である。
図4図4は、ステータ15が用いられるブラシレスモータ100の分解斜視概略図である。
図5図5は、ブラシレスモータ100において、第1筐体12aの内面、ステータ15及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。
図6図6は、ブラシレスモータ100aにおいて、第1筐体12aの内面、ステータ15a及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。
図7図7は、磁性体コア1bを第2方向DIR2に視た平面図である。
図8図8は、ブラシレスモータ100bにおいて、第1筐体12aの内面、ステータ15b及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。
図9図9は、磁性体コア1及び第2磁性部材4を第2方向DIR2に視た平面図である。
図10図10は、ブラシレスモータ100cにおいて、第1筐体12aの内面、ステータ15c及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。
図11図11は、磁性体コア1及び放熱部材5を第2方向DIR2に視た平面図である。
図12図12は、ブラシレスモータ100dにおいて、第1筐体12aの内面、ステータ15d及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
(磁性体コア1の構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁性体コア1の斜視図である。図1に示すように、磁性体コア1は、コアバック部2及びティース部3を含んでいる。ティース部3は、コアバック部2から第1方向DIR1に延びる形状を有している。ティース部3は、コアバック部2から第1方向DIR1に延びたティース本体部31と、第1方向DIR1についてのティース本体部31の先端に形成されたティース先端部32と、を有している。ティース本体部31には、コイル13が巻かれる。このような本実施形態の磁性体コア1は、後述のステータ15(図4及び図5参照)に用いられる。また、ステータ15は、後述のブラシレスモータ100(本発明の「回転電気機械」の一例。図3及び図4参照)に用いられる。そして、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときには、第1方向DIR1は、ブラシレスモータ100の回転軸を中心とする径方向の反対方向を向くこととなる。以下、具体的に説明する。
【0011】
図2は、磁性体コア1を第2方向DIR2に視た平面図である。なお、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときには、第2方向DIR2は、ブラシレスモータ100の回転軸に沿う方向となる。
【0012】
磁性体コア1は、軟磁性体である。軟磁性体は、外部から磁界を印加されると、磁化される。その後、磁界の印加を停止すると、軟磁性体は、磁化を失う。このような軟磁性体の材料は、例えば、鉄である。
【0013】
磁性体コア1は、軟磁性粉から形成された成形体である。すなわち、コアバック部2及びティース部3のそれぞれは、軟磁性粉から形成された成形体である。軟磁性粉の材料は、例えば、鉄及び結合材を含む。結合材は、例えば、樹脂である。軟磁性粉は、例えば、鉄粉、及び、結合材の一例であるエポキシ樹脂を混合したものである。このような磁性体コア1は、例えば、プレス成形により作製される。また、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときに別の部材と接触する磁性体コア1の外面には、絶縁処理が施されている。例えば、コイルが巻かれる部分に絶縁処理が施される。
【0014】
コアバック部2は、図1及び図2に示すように、第1外主面OS1、第1内主面IS1、第1側面SS1及び第2側面SS2を有している。第1外主面OS1、第1内主面IS1、第1側面SS1及び第2側面SS2のそれぞれは、平面である。第1内主面IS1は、第1外主面OS1よりも第1方向DIR1に位置している。より詳細には、第1外主面OS1は、第1方向DIR1の反対方向を向く。本実施形態では、第1内主面IS1は、第1方向DIR1を向く。従って、第1内主面IS1は、第1外主面OS1と平行である。なお、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときには、第3方向DIR3は、ブラシレスモータ100の回転軸を中心とする周方向を向くこととなる。
【0015】
第1側面SS1及び第2側面SS2のそれぞれは、図1及び図2に示すように、第1外主面OS1と第1内主面IS1との第3方向DIR3についての端縁どうしを繋ぐ平面である。第2側面SS2は、第1側面SS1よりも第3方向DIR3に位置している。本実施形態では、第2側面SS2は、第1側面SS1と平行である。より詳細には、第1側面SS1は、第3方向DIR3の反対方向を向く。第2側面SS2は、第3方向DIR3を向く。また、本実施形態では、第1外主面OS1と第1側面SS1とがなす角θ1は、第1側面SS1に対して反時計回りに90度の角度を形成している。第1外主面OS1と第2側面SS2とがなす角θ2は、第2側面SS2に対して時計回りに90度の角度を形成している。すなわち、第1外主面OS1と第1側面SS1とがなす角θ1の大きさと、第1外主面OS1と第2側面SS2とがなす角θ2の大きさと、が互いに等しい。また、本実施形態では、コアバック部2は、直方体状である。
【0016】
ティース本体部31は、図1及び図2に示すように、コアバック部2の第1内主面IS1から第1方向DIR1に延びている。本実施形態では、ティース本体部31は、直方体状である。
【0017】
ティース先端部32は、図1及び図2に示すように、第2外主面OS2、第2内主面IS2、第3側面SS3及び第4側面SS4を有している。第2外主面OS2、第2内主面IS2、第3側面SS3及び第4側面SS4のそれぞれは、平面である。第2外主面OS2は、第2内主面IS2よりも第1方向DIR1の反対方向に位置している。より詳細には、第2外主面OS2は、第1方向DIR1の反対方向を向く。本実施形態では、第2内主面IS2は、第1方向DIR1を向く。従って、第2内主面IS2は、第2外主面OS2と平行である。また、第3側面SS3及び第4側面SS4のそれぞれは、第2外主面OS2と第2内主面IS2との第3方向DIR3についての端縁どうしを繋ぐ平面である。第4側面SS4は、第3側面SS3よりも第3方向DIR3に位置している。本実施形態では、第4側面SS4は、第3側面SS3と平行である。より詳細には、第3側面SS3は、第3方向DIR3の反対方向を向く。第4側面SS4は、第3方向DIR3を向く。すなわち、本実施形態では、ティース先端部32は、直方体状である。
【0018】
(ブラシレスモータ100の構成)
以下に、本発明の第1の実施形態に係るブラシレスモータ100の構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、ステータ15が用いられるブラシレスモータ100の外観斜視図である。図4は、ステータ15が用いられるブラシレスモータ100の分解斜視概略図である。図5は、ブラシレスモータ100において、第1筐体12aの内面、ステータ15及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。なお、図4では、複数の磁性体コア1及び複数のコイル13のそれぞれの内の代表的な磁性体コア1及びコイル13のそれぞれにのみ参照符号を付した。
【0019】
ブラシレスモータ100は、図3及び図4に示すように、ロータ20及びステータアッシー10を備える。ステータアッシー10は、図4に示すように、第2方向DIR2に視て、ロータ20の周囲に配置される。すなわち、ブラシレスモータ100は、インナーロータ型である。
【0020】
ロータ20は、図4に示すように、シャフト21及びロータ部材22を備える。シャフト21は、第2方向DIR2に延びる形状を有する。より詳細には、シャフト21は、円柱状である。ロータ部材22は、円筒状である。シャフト21及びロータ部材22のそれぞれの中心軸線は、Z軸である。すなわち、ブラシレスモータ100の回転軸は、Z軸である。従って、第2方向DIR2は、Z軸に沿う方向である。
【0021】
ロータ部材22は、図4に示すように、軟磁性体23及び硬磁性体24を含む。ロータ部材22は、Z軸を中心とする径方向についてのシャフト21の外周面に取り付けられる。より詳細には、軟磁性体23は、Z軸を中心とする径方向についてのシャフト21の外周面に取り付けられる。硬磁性体24は、Z軸を中心とする径方向についての軟磁性体23の外周面に取り付けられる。
【0022】
軟磁性体23は、軟磁性体である。また、硬磁性体24は、硬磁性体である。硬磁性体は、外部から磁界を印加されると、磁化される。その後、磁界の印加を停止しても、硬磁性体は、磁化を失わない。このような硬磁性体の材料は、磁石である。
【0023】
ステータアッシー10は、図4に示すように、軸受11、筐体12、ステータ15を含む。すなわち、ブラシレスモータ100は、ステータ15を備える。ステータ15は、複数の磁性体コア1、複数のコイル13及び複数の第1磁性部材16を有する。本実施形態では、複数の磁性体コア1のそれぞれは、互いに同一形状を有している。また、具体的には、ステータ15は、9つの磁性体コア1及び9つのコイル13を有する。9つの磁性体コア1のそれぞれのティース本体部31には、9つのコイル13のそれぞれが巻かれる。
【0024】
軸受11は、シャフト21がZ軸を中心とする周方向に回転できるように支持する。より詳細には、軸受11は、図4に示すように、第1軸受11a及び第2軸受11bを有する。第1軸受11a及び第2軸受11bのそれぞれは、例えば、玉軸受である。第1軸受11a及び第2軸受11bのそれぞれは、円筒状である。第1軸受11a及び第2軸受11bのそれぞれの中心軸線は、Z軸である。すなわち、第1軸受11a及び第2軸受11bのそれぞれの中心軸線は、シャフト21の中心軸線と一致する。
【0025】
第2軸受11bは、図4に示すように、第1軸受11aよりも第2方向DIR2に位置する。また、第1軸受11aは、ロータ部材22よりも第2方向DIR2の反対方向に位置する。第2軸受11bは、ロータ部材22よりも第2方向DIR2に位置する。第2軸受11bは、シャフト21の第2方向DIR2の端を支持する。
【0026】
筐体12は、図3に示すように、第1筐体12a及び第2筐体12bを有する。第1筐体12aは、図3及び図4に示すように、円筒状である。第1筐体12aの中心軸線は、Z軸である。第1筐体12aは、第2筐体12bよりも第2方向DIR2の反対方向に位置する。また、第1筐体12aは、開口OPを有する。これにより、シャフト21の第2方向DIR2の反対方向の端は、開口OPから第2方向DIR2の反対方向に突出している。すなわち、ブラシレスモータ100は、片軸型である。
【0027】
第1筐体12aは、第1軸受11a、複数の磁性体コア1及び複数のコイル13を支持する。第2筐体12bは、第2軸受11bを支持する。第1筐体12a及び第2筐体12bのそれぞれの材料は、例えば、SUS等の剛性が高い材料である。
【0028】
第1磁性部材16は、軟磁性体を含んでいる。第1磁性部材16の材料は、例えば、軟磁性体及び結合材を含む。軟磁性体は、例えば、鉄である。結合材は、例えば、樹脂である。第1磁性部材16は、例えば、鉄粉、及び、結合材の一例であるエポキシ樹脂を混合したものである。本実施形態では、第1磁性部材16は、三角柱状である。
【0029】
第1磁性部材16と、磁性体コア1と、は、互いに異なる部材である。従って、第1磁性部材16は、磁性体コア1が作製された後に、磁性体コア1に取り付けられる。より詳細には、複数の磁性体コア1は、図5に示すように、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときに、Z軸(ブラシレスモータ100の回転軸)を中心とする周方向に配置される。複数の磁性体コア1のそれぞれは、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときに、Z軸を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1に接触する。複数の第1磁性部材16のそれぞれは、Z軸を中心とする周方向において、複数の磁性体コア1の間に配置される。より詳細には、複数の第1磁性部材16のそれぞれは、複数の磁性体コア1のそれぞれの第1側面SS1と、Z軸を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1の第2側面SS2の間に、それらの側面のいずれにも接触した状態で設けられる。これにより、Z軸を中心とする周方向において、隣り合うコアバック部2どうしが、第1磁性部材16を介して、磁気的に接続される。
【0030】
複数の磁性体コア1のそれぞれの第3側面SS3は、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときに、Z軸(ブラシレスモータ100の回転軸)を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1の第4側面SS4に接触しない。なお、ステータ15とロータ部材22との間には、空隙(エアギャップ)が存在している。複数の磁性体コア1のそれぞれにおいて、コアバック部2、ティース本体部31及びティース先端部32の内、ティース先端部32がロータ部材22に最も近い。
【0031】
複数の磁性体コア1のそれぞれは、硬磁性体24が発生する磁界及び後述するコイル13が発生する磁界のそれぞれにより、磁化される。
【0032】
複数のコイル13のそれぞれには、電源(図示せず)から電流が供給される。ロータ20の回転は、この電流を制御することにより、制御される。
【0033】
[効果]
ステータ15によれば、ステータが複数の磁性体コアから組み立てられる場合において、ステータの組立精度が低下することを抑制することができる。より詳細には、ステータ15は、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときに、ブラシレスモータ100の回転軸を中心とする周方向に配置される複数の磁性体コア1を備える。複数の磁性体コア1のそれぞれは、ブラシレスモータ100の回転軸を中心とする径方向を向く第1外主面OS1を有している。第1外主面OS1は、平面であり、コアバック部2の第1外主面OS1のブラシレスモータ100の回転軸を中心とする周方向の長さの理論値を有理数にすることができる。これにより、コアバック部2の第1外主面OS1のブラシレスモータ100の回転軸を中心とする周方向の長さの理論値と実寸法との間の誤差を抑制することができる。その結果、ステータ15によれば、ステータが複数の磁性体コアから組み立てられる場合において、ステータの組立精度が低下することを抑制することができる。
【0034】
また、ステータ15によれば、回転電気機械において、発生トルクが低下することを抑制することができる。より詳細には、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときに、複数の磁性体コア1のそれぞれと、ブラシレスモータ100の回転軸を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1との間に隙間が存在する場合、複数の磁性体コア1のそれぞれ内を通過する磁束が、当該隙間に漏れる。これにより、ブラシレスモータ100において、誘起電圧定数(V(rms)/rad/s)が低下する。従って、ブラシレスモータ100において、発生トルクが低下する。そこで、ステータ15によれば、軟磁性体を含む第1磁性部材16は、複数の磁性体コア1のそれぞれの第1側面SS1と、ブラシレスモータ100の回転軸を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1の第2側面SS2の間に、それらの側面のいずれにも接触した状態で設けられる。これにより、Z軸を中心とする周方向において、隣り合うコアバック部2どうしが、第1磁性部材16を介して、磁気的に接続される。その結果、ステータ15によれば、回転電気機械において、発生トルクが低下することを抑制することができる。
【0035】
また、ステータ15によれば、複数の磁性体コアのそれぞれをプレス成形により作製する場合に、同一の成形用金型により、複数の磁性体コアのそれぞれを作製することができる。より詳細には、複数の磁性体コア1のそれぞれは、互いに同一形状を有する。その結果、ステータ15によれば、複数の磁性体コアのそれぞれをプレス成形により作製する場合に、同一の成形用金型により、複数の磁性体コアのそれぞれを作製することができる。
【0036】
また、ステータ15によれば、磁性体コア1において、第1外主面OS1と第1側面SS1とがなす角θ1の大きさと、第1外主面OS1と第2側面SS2とがなす角θ2の大きさと、が互いに等しい。従って、磁性体コア1にコイル13を巻くときに、複数の磁性体コア1の第2方向DIR2についての向きを合わせる必要がない。その結果、ステータ15によれば、磁性体コア1にコイル13を巻くときの第2方向DIR2についての向きを合わせる必要がなく、作製工程を簡略化できる。
【0037】
また、ステータ15によれば、第1磁性部材の使用量を減らすことができる。より詳細には、複数の磁性体コア1のそれぞれは、ブラシレスモータ100にステータ15が組み込まれたときに、ブラシレスモータ100の回転軸を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1に接触する。これにより、第1磁性部材16の体積を小さくすることができる。その結果、ステータ15によれば、第1磁性部材の使用量を減らすことができる。
【0038】
また、ステータ15によれば、磁性体コアを容易に作製することができる。より詳細には、コアバック部2は、直方体状である。円弧状に湾曲した形状を有するコアバック部よりも直方体状のコアバック部2の方が作製しやすい。その結果、ステータ15によれば、磁性体コアを容易に作製することができる。
【0039】
また、ステータ15によれば、回転電気機械にステータを組み込むときに、回転電気機械の回転軸を中心とする周方向において、ステータを位置決めしやすくなる。より詳細には、第1磁性部材16は、三角柱状である。従って、第1磁性部材16は、第2方向DIR2に視て、頂点を有する。これにより、ブラシレスモータ100にステータ15を組み込むときに、第1磁性部材16を目印にして、ブラシレスモータ100の回転軸を中心とする周方向において、ステータ15を位置決めすることができる。その結果、ステータ15によれば、回転電気機械にステータを組み込むときに、回転電気機械の回転軸を中心とする周方向において、ステータを位置決めしやすくなる。
【0040】
また、ステータ15によれば、磁性体コアをより容易に作製することができる。より詳細には、ティース本体部31及びティース先端部32のそれぞれは、直方体状である。円弧状に湾曲した形状を有するティース本体部及び円弧状に湾曲した形状を有するティース先端部よりも直方体状のティース本体部31及びティース先端部32のそれぞれの方が作製しやすい。その結果、ステータ15によれば、磁性体コアをより容易に作製することができる。
【0041】
[第1の変形例]
以下に、本発明の第2の変形例に係るステータ15aについて、図を参照しながら説明する。図6は、ブラシレスモータ100aにおいて、第1筐体12aの内面、ステータ15a及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。なお、図6では、複数の磁性体コア1a、複数の第1切欠き面NS1、複数の第2切欠き面NS2及び複数のコイル13のそれぞれの内の代表的な磁性体コア1a、第1切欠き面NS1、第2切欠き面NS2及びコイル13のそれぞれにのみ参照符号を付した。また、第1の変形例に係るステータ15aについては、第1の実施形態に係るステータ15と異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0042】
ステータ15aは、図6に示すように、複数の磁性体コア1aのそれぞれにおいて、第1側面SS1及び第2側面SS2のそれぞれが第1外主面OS1と切欠き面を介して繋がっている点において、ステータ15と異なる。また、ブラシレスモータ100aは、ステータ15の代わりにステータ15aを備えている点において、ブラシレスモータ100と異なる。
【0043】
より詳細には、複数の磁性体コア1aは、図6に示すように、ブラシレスモータ100aにステータ15aが組み込まれたときに、Z軸(ブラシレスモータ100aの回転軸)を中心とする周方向に配置される。本変形例では、複数の磁性体コア1aのそれぞれにおいて、コアバック部2は、第1切欠き面NS1及び第2切欠き面NS2を更に有する。具体的には、第1切欠き面NS1及び第2切欠き面NS2のそれぞれは、第1外主面OS1と第1側面SS1とがなす角θ1及び第1外主面OS1と第2側面SS2とがなす角θ2のそれぞれが切り欠かれた形状を呈している。これにより、第1側面SS1は、第1外主面OS1と第1切欠き面NS1を介して繋がっている。第2側面SS2は、第1外主面OS1と第2切欠き面NS2を介して繋がっている。
【0044】
以上のようなステータ15aにおいても、ステータ15と同じ効果を奏する。また、ステータ15aによれば、回転電気機械の回転軸を中心とする径方向について、回転電気機械の長さを小さくすることができる。より詳細には、第1側面SS1及び第2側面SS2のそれぞれが第1外主面OS1と切欠き面を介して繋がっている。これにより、ブラシレスモータ100aの回転軸とステータ15aとの間のブラシレスモータ100aの回転軸を中心とする径方向の最大長さを小さくすることができる。その結果、ステータ15aによれば、回転電気機械の回転軸を中心とする径方向について、回転電気機械の長さを小さくすることができる。
【0045】
[第2の変形例]
以下に、本発明の第2の変形例に係るステータ15bについて、図を参照しながら説明する。図7は、磁性体コア1bを第2方向DIR2に視た平面図である。図8は、ブラシレスモータ100bにおいて、第1筐体12aの内面、ステータ15b及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。なお、図8では、複数の磁性体コア1b、複数の第3側面SS3、複数の第4側面SS4及び複数のコイル13のそれぞれの内の代表的な磁性体コア1b、第3側面SS3、第4側面SS4及びコイル13のそれぞれにのみ参照符号を付した。また、第2の変形例に係るステータ15bについては、第1の実施形態に係るステータ15と異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0046】
ステータ15bは、図7に示すように、複数の磁性体コア1bのそれぞれにおいて、第4側面SS4が第3側面SS3と平行でない点において、ステータ15と異なる。また、ブラシレスモータ100bは、ステータ15の代わりにステータ15bを備えている点において、ブラシレスモータ100と異なる。
【0047】
より詳細には、複数の磁性体コア1bは、図8に示すように、ブラシレスモータ100bにステータ15bが組み込まれたときに、Z軸(ブラシレスモータ100bの回転軸)を中心とする周方向に配置される。本変形例では、複数の磁性体コア1bのそれぞれの第3側面SS3は、ブラシレスモータ100bにステータ15bが組み込まれたときに、Z軸(ブラシレスモータ100bの回転軸)を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1bの第4側面SS4と平行である。
【0048】
以上のようなステータ15bにおいても、ステータ15と同じ効果を奏する。また、ステータ15bによれば、ティース先端部により、ステータを、回転電気機械の回転軸を中心とする周方向において位置決めすることができる。より詳細には、複数の磁性体コア1bのそれぞれの第3側面SS3は、ブラシレスモータ100bにステータ15bが組み込まれたときに、ブラシレスモータ100bの回転軸を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1bの第4側面SS4に接触せず、かつ、当該第4側面SS4と平行である。従って、予め、第2筐体12bの第2方向DIR2の反対方向の端面であって、複数の磁性体コア1bのそれぞれの第3側面SS3とブラシレスモータ100bの回転軸を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1bの第4側面SS4との間にスペーサを取り付けておくことにより、ステータ15bを、回転電気機械の回転軸を中心とする周方向において位置決めすることができる。その結果、ステータ15bによれば、ティース先端部により、ステータを、回転電気機械の回転軸を中心とする周方向において位置決めすることができる。
【0049】
[第2の実施形態]
以下に、本発明の第2の実施形態に係るステータ15cについて、図を参照しながら説明する。図9は、磁性体コア1及び第2磁性部材4を第2方向DIR2に視た平面図である。図10は、ブラシレスモータ100cにおいて、第1筐体12aの内面、ステータ15c及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。なお、図10では、複数の磁性体コア1、複数の第2磁性部材4及び複数のコイル13のそれぞれの内の代表的な磁性体コア1、第2磁性部材4及びコイル13のそれぞれにのみ参照符号を付した。また、第2の実施形態に係るステータ15cについては、第1の実施形態に係るステータ15と異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0050】
ステータ15cは、複数の第2磁性部材4を更に備えている点において、ステータ15と異なる。また、ブラシレスモータ100cは、ステータ15の代わりにステータ15cを備えている点において、ブラシレスモータ100と異なる。
【0051】
第2磁性部材4は、軟磁性体を含んでいる。第2磁性部材4の材料は、例えば、軟磁性体及び結合材を含む。軟磁性体は、例えば、鉄である。結合材は、例えば、樹脂である。第2磁性部材4は、例えば、軟磁性体の一例である鉄粉、及び、結合材の一例であるエポキシ樹脂を混合したものである。
【0052】
第2磁性部材4と、磁性体コア1と、は、互いに異なる部材である。従って、第2磁性部材4は、磁性体コア1が作製された後に、磁性体コア1に取り付けられる。より詳細には、本実施形態では、2つの第2磁性部材4が、図9に示すように、複数の磁性体コア1のそれぞれの第2内主面IS2に設けられている。
【0053】
複数の磁性体コア1は、図10に示すように、ブラシレスモータ100cにステータ15cが組み込まれたときに、Z軸(ブラシレスモータ100cの回転軸)を中心とする周方向に配置される。このとき、複数の第2磁性部材4は、Z軸(ブラシレスモータ100cの回転軸)を中心とする周方向に配置される。なお、複数の第2磁性部材4のそれぞれは、Z軸を中心とする径方向において、ティース先端部32とロータ部材22との間に配置される。
【0054】
以上のようなステータ15cにおいても、ステータ15と同じ効果を奏する。また、ステータ15cによれば、回転電気機械の特性を向上させることができる。より詳細には、第2磁性部材4は、複数の磁性体コア1のそれぞれの第2内主面IS2に設けられている。これにより、第2磁性部材4は、ブラシレスモータ100cの回転軸を中心とする径方向において、ティース先端部32とロータ部材22との間に配置される。従って、ステータ15とロータ部材22との間のエアギャップの体積を小さくすることができる。これにより、ブラシレスモータ100cにおいて、誘起電圧を大きくさせることができる。従って、ブラシレスモータ100cにおいて、発生トルクが大きくなり、ブラシレスモータ100cの特性を向上させることができる。その結果、ステータ15cによれば、回転電気機械の特性を向上させることができる。
【0055】
[第3の実施形態]
以下に、本発明の第3の実施形態に係るステータ15dについて、図を参照しながら説明する。図11は、磁性体コア1及び放熱部材5を第2方向DIR2に視た平面図である。図12は、ブラシレスモータ100dにおいて、第1筐体12aの内面、ステータ15d及びロータ部材22を第2方向DIR2に視た平面図である。なお、図12では、複数の磁性体コア1、複数の放熱部材5及び複数のコイル13のそれぞれの内の代表的な磁性体コア1、放熱部材5及びコイル13のそれぞれにのみ参照符号を付した。また、第2の実施形態に係るステータ15dについては、第1の実施形態に係るステータ15と異なる部分のみ説明し、後は省略する。
【0056】
ステータ15dは、複数の放熱部材5を更に備えている点において、ステータ15と異なる。また、ブラシレスモータ100dは、ステータ15の代わりにステータ15dを備えている点において、ブラシレスモータ100と異なる。
【0057】
本実施形態では、複数の放熱部材5のそれぞれは、電気絶縁性を有する。複数の放熱部材5のそれぞれは、例えば、窒化アルミニウムフィラーである。複数の放熱部材5のそれぞれの材料は、例えば、窒化アルミニウム及びエポキシ樹脂を含む。窒化アルミニウムの熱伝導率は、鉄の熱伝導率よりも高い。これにより、複数の放熱部材5のそれぞれの熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも高い。
【0058】
放熱部材5と、磁性体コア1と、は、互いに異なる部材である。従って、放熱部材5は、磁性体コア1が作製された後に、磁性体コア1に取り付けられる。より詳細には、放熱部材5は、図11に示すように、複数の磁性体コア1のそれぞれの第1外主面OS1に設けられている。
【0059】
複数の磁性体コア1は、図12に示すように、ブラシレスモータ100dにステータ15dが組み込まれたときに、Z軸(ブラシレスモータ100dの回転軸)を中心とする周方向に配置される。このとき、複数の放熱部材5は、Z軸(ブラシレスモータ100dの回転軸)を中心とする周方向に配置される。なお、複数の放熱部材5のそれぞれは、Z軸を中心とする径方向において、コアバック部2と第1筐体12aとの間に配置される。より詳細には、複数の放熱部材5のそれぞれは、複数の磁性体コア1及び第1筐体12aのそれぞれと接触している。従って、複数の放熱部材5のそれぞれは、複数の磁性体コア1及び筐体12のそれぞれと接触している。
【0060】
以上のようなステータ15dにおいても、ステータ15と同じ効果を奏する。また、ステータ15dによれば、複数の磁性体コアのそれぞれが発生した熱を回転電気機械の筐体外に放出することができる。より詳細には、ステータ15dは、放熱部材5を更に備えている。放熱部材5は、複数の磁性体コア1及び筐体12のそれぞれと接触している。また、放熱部材5の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも高い。従って、複数の磁性体コア1のそれぞれが発生した熱は、放熱部材5を介して、筐体12に伝導しやすい。その結果、ステータ15dによれば、複数の磁性体コアのそれぞれが発生した熱を回転電気機械の筐体外に放出することができる。
【0061】
また、ステータ15dによれば、ステータから筐体への熱伝導性の向上とステータと筐体との間の電気絶縁性の向上を両立することができる。より詳細には、放熱部材5の材料は、窒化アルミニウム及びエポキシ樹脂を含んでいる。これにより、放熱部材5の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも高い。従って、ステータ15dから筐体12への熱伝導性の向上を図ることができる。また、放熱部材5は、電気絶縁性を有する。従って、ステータ15dと筐体12との間の電気絶縁性の向上を図ることができる。その結果、ステータ15dによれば、ステータから筐体への熱伝導性の向上とステータと筐体との間の電気絶縁性の向上を両立することができる。
【0062】
[その他の実施形態]
本発明に係るステータは、ステータ15,15a~15dに限らず、その要旨の範囲において変更可能である。また、ステータ15,15a~15dの構造を任意に組み合わせてもよい。
【0063】
なお、回転電気機械は、電気によりロータが回転する構造、又は、ロータが回転することにより電気が発生する構造を有していればよい。回転電気機械には、ブラシレスモータ、永久磁石同期電動機、永久磁石同期発電機等を含む。この場合、回転電気機械は、ステータ15,15a~15dの少なくともいずれかを備えていればよく、ブラシを備えていてもよい。
【0064】
なお、ティース本体部31は、コアバック部2から第1方向DIR1に延びていなくてもよい。
【0065】
なお、ティース先端部32は、第1方向DIR1についてのティース本体部31の先端に形成されていなくてもよい。
【0066】
なお、磁性体コア1,1a,1bは、電磁鋼板を積層することにより、作製されていてもよい。磁性体コア1,1a,1bは、軟磁性体であればよい。
【0067】
なお、磁性体コア1,1a,1bの外面には、絶縁処理が施されていなくてもよい。
【0068】
なお、第1内主面IS1は、平面でなくてもよい。また、第1内主面IS1は、第1方向DIR1を向いていなくてもよい。また、第1内主面IS1は、第1外主面OS1と平行でなくてもよい。
【0069】
なお、第1外主面OS1と第1側面SS1とがなす角θ1の大きさと、第1外主面OS1と第2側面SS2とがなす角θ2の大きさと、が互いに異なっていてもよい。これにより、磁性体コア1にコイル13を巻くための巻線機に配置するときに、磁性体コア1の第2方向DIR2についての向きを合わせることができる。
【0070】
なお、ティース本体部31は、直方体状でなくてもよい。
【0071】
なお、第2外主面OS2及び第2内主面IS2のそれぞれは、平面でなくてもよい。
【0072】
第2外主面OS2は、第1方向DIR1の反対方向を向いていなくてもよい。また、第2内主面IS2は、第2外主面OS2と平行でなくてもよい。
【0073】
なお、ブラシレスモータ100,100a~100dは、アウターロータ型であってもよい。
【0074】
なお、ブラシレスモータ100,100a~100dは、片軸型に限られない。ブラシレスモータ100,100a~100dは、例えば、両軸型であってもよい。
【0075】
なお、第1軸受11a及び第2軸受11bのそれぞれは、玉軸受に限られない。
【0076】
なお、第1筐体12a及び第2筐体12bのそれぞれの材料は、剛性が高い材料であればよい。
【0077】
なお、ステータ15,15a~15dのそれぞれが有する磁性体コア1a,1bの数及びコイル13の数は、9つに限られない。
【0078】
なお、複数の磁性体コア1,1a,1bのそれぞれは、ブラシレスモータ100,100a~100dにステータ15,15a~15dが組み込まれたときに、Z軸を中心とする周方向において、隣りに配置される磁性体コア1,1a,1bに接触しなくてもよい。
【0079】
複数の磁性体コア1のそれぞれの第2内主面IS2に設けられる第2磁性部材4の数は、2つに限られない。複数の磁性体コア1のそれぞれの第2内主面IS2に設けられる第2磁性部材4の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0080】
なお、複数の放熱部材5のそれぞれは、電気絶縁性を有していなくてもよい。
【0081】
本発明は、以下の構成を有する。
【0082】
(1)
回転電気機械に用いられるステータであって、
前記回転電気機械に前記ステータが組み込まれたときに当該回転電気機械の回転軸を中心とする周方向に配置される複数の磁性体コアと、
前記周方向において、前記複数の磁性体コアのそれぞれの間に配置される第1磁性部材と、
を備えており、
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、前記回転軸を中心とする径方向を向く平面である外主面、前記外主面よりも前記径方向の反対方向に位置する第1内主面、並びに、前記外主面と前記第1内主面との前記周方向についての端縁どうしを繋ぐ2つの平面である第1側面及び第2側面を有するコアバック部を含み、
前記第1磁性部材は、前記複数の磁性体コアのそれぞれの前記第1側面と、前記周方向において、当該磁性体コアの隣りに配置される前記磁性体コアの前記第2側面との間に、それらの側面のいずれにも接触した状態で設けられる、
ステータ。
【0083】
(2)
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、互いに同一形状を有する、
(1)に記載のステータ。
【0084】
(3)
前記外主面と前記第1側面とがなす角の大きさと、前記外主面と前記第2側面とがなす角の大きさと、は、互いに等しい、
(1)又は(2)に記載のステータ。
【0085】
(4)
前記複数の磁性体コアのそれぞれの前記第1内主面は、前記周方向において、当該磁性体コアの隣りに配置される前記磁性体コアの前記第1内主面と接触する、
(1)乃至(3)のいずれかに記載のステータ。
【0086】
(5)
前記複数の磁性体コアのそれぞれの前記コアバック部は、直方体状である、
(1)乃至(4)のいずれかに記載のステータ。
【0087】
(6)
前記第1磁性部材は、三角柱状である、
(1)乃至(5)のいずれかに記載のステータ。
【0088】
(7)
前記第1磁性部材の材料は、軟磁性体及びエポキシ樹脂を含む、
(1)乃至(6)のいずれかに記載のステータ。
【0089】
(8)
前記第1側面及び前記第2側面のそれぞれは、前記外主面と切欠き面を介して繋がる、
(1)乃至(7)のいずれかに記載のステータ。
【0090】
(9)
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、前記コアバック部から前記径方向の反対方向に延びたティース本体部と、前記径方向の反対方向についての前記ティース本体部の先端に形成されたティース先端部と、を有するティース部を含み、
前記ティース本体部及び前記ティース先端部のそれぞれは、直方体状である、
(1)乃至(8)のいずれかに記載のステータ。
【0091】
(10)
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、前記コアバック部から前記径方向の反対方向に延びたティース本体部と、前記径方向の反対方向についての前記ティース本体部の先端に設けられたティース先端部と、を含むティース部を、更に含み、
前記ティース先端部は、前記径方向の反対方向を向く第2内主面、前記第2内主面よりも前記径方向に位置する第2外主面、並びに、前記第2外主面と前記第2内主面との前記周方向についての端縁どうしを繋ぐ2つの平面である第3側面及び第4側面を有し、
前記複数の磁性体コアのそれぞれの前記第3側面は、前記周方向において、隣りに配置される前記磁性体コアの前記第4側面に接触せず、かつ、当該第4側面と平行である、
(1)乃至(9)のいずれかに記載のステータ。
【0092】
(11)
第2磁性部材を、更に備え、
前記ティース先端部は、前記径方向の反対方向を向く第2内主面を有し、
前記第2磁性部材と、前記磁性体コアと、は、互いに異なる部材であり、
前記第2磁性部材は、前記第2内主面に設けられる、
(9)又は(10)に記載のステータ。
【0093】
(12)
前記第2磁性部材の材料は、軟磁性体及びエポキシ樹脂を含む、
(11)に記載のステータ。
【0094】
(13)
前記複数の磁性体コアのそれぞれは、軟磁性粉から形成された成形体である、
(1)乃至(12)のいずれかに記載のステータ。
【0095】
(14)
(1)乃至(13)のいずれかに記載のステータを備える、
回転電気機械。
【0096】
(15)
筐体と、
放熱部材と、
を更に備えており、
前記放熱部材は、前記複数の磁性体コア及び前記筐体のそれぞれと接触し、
前記放熱部材の熱伝導率は、空気の熱伝導率よりも高い、
(14)に記載の回転電気機械。
【0097】
(16)
前記放熱部材の材料は、窒化アルミニウム及びエポキシ樹脂を含む、
(15)に記載の回転電気機械。
【符号の説明】
【0098】
1,1a,1b:磁性体コア
2:コアバック部
3:ティース部
4:第2磁性部材
5:放熱部材
10:ステータアッシー
11:軸受
11a:第1軸受
11b:第2軸受
12:筐体
12a:第1筐体
12b:第2筐体
13:コイル
15,15a,15b,15c,15d:ステータ
16:第1磁性部材
20:ロータ
21:シャフト
22:ロータ部材
23:軟磁性体
24:硬磁性体
31:ティース本体部
32:ティース先端部
100,100a,100b,100c,100d:ブラシレスモータ
DIR1:第1方向
DIR2:第2方向
DIR3:第3方向
IS1:第1内主面
IS2:第2内主面
NS1:第1切欠き面
NS2:第2切欠き面
OP:開口
OS1:第1外主面
OS2:第2外主面
SS1:第1側面
SS2:第2側面
SS3:第3側面
SS4:第4側面
θ1,θ2:角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12