(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121491
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】遮熱シート
(51)【国際特許分類】
E04B 1/80 20060101AFI20240830BHJP
E04D 3/18 20060101ALI20240830BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20240830BHJP
B32B 15/04 20060101ALI20240830BHJP
B32B 15/085 20060101ALI20240830BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20240830BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20240830BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240830BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
E04B1/80 100P
E04D3/18
B32B5/02 B
B32B15/04 B
B32B15/085 Z
B32B15/20
B32B27/12
B32B27/32 Z
B32B7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028630
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】519012448
【氏名又は名称】プロックスマテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】井上 哲一
(72)【発明者】
【氏名】井上 一馬
【テーマコード(参考)】
2E001
2E108
4F100
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA16
2E001GA24
2E001GA42
2E001HA11
2E001HB04
2E001HD11
2E001HF11
2E001JA22
2E001JD02
2E108CC05
2E108CC07
2E108CV01
2E108GG01
4F100AB10C
4F100AB31C
4F100AB33C
4F100AG00A
4F100AK01D
4F100AK01E
4F100AK04B
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100CB00B
4F100CC00D
4F100CC00E
4F100DC12A
4F100DC12C
4F100DC12D
4F100DC12E
4F100DC16A
4F100DG01A
4F100GB07
4F100JJ02
4F100JL11B
4F100YY00A
4F100YY00C
4F100YY00D
4F100YY00E
(57)【要約】
【課題】寒暖差の大きい季節や湿度の高い季節における結露発生を抑制することができる、不燃性も備えた遮熱シートを提供する。
【解決手段】遮熱シート10は、ガラス繊維ネット1と、ガラス繊維ネット1の両外面1a,1aにそれぞれポリエチレン樹脂系接着剤層2,2を介して貼着されたアルミニウム合金箔3,3と、アルミニウム合金箔3の外面3aを覆う合成樹脂系塗料層4と、ガラス繊維ネット1、ポリエチレン樹脂系接着剤層2,2、アルミニウム合金箔3,3及び合成樹脂系塗料層4,4を貫通する複数の通気孔5と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維ネットと、
前記ガラス繊維ネットの両外面にそれぞれポリエチレン樹脂系接着剤層を介して貼着されたアルミニウム合金箔と、
それぞれの前記アルミニウム合金箔の外面を覆う合成樹脂系塗料層と、
前記ガラス繊維ネット、前記ポリエチレン樹脂系接着剤層、前記アルミニウム合金箔及び前記合成樹脂系塗料層を貫通する複数の通気孔(内径0.1mm~0.8mm)と、を備えた遮熱シート。
【請求項2】
隣り合う複数の前記通気孔の配置間隔が2mm~5mmである請求項1記載の遮熱シート。
【請求項3】
厚さが0.200mm~0.232mである請求項1または2記載の遮熱シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折板屋根の建築物やスレート屋根の建築物などにおける屋根部分の遮熱手段として使用される遮熱シートに関する。
【背景技術】
【0002】
折板屋根の建築物やスレート屋根の建築物などの建築物内の空調エネルギーの削減を目的として、建築物を構成する屋根材の下面に遮熱シートを張設することが行われているが、本発明に関連する従来技術として、例えば、特許文献1に記載された「屋根遮熱構造及びその形成方法」がある。
【0003】
特許文献1に記載された屋根遮熱構造は、並設された複数の梁の間に梁配置方向と交差して架け渡され、複数の梁に取り付けられた複数の折板からなる折板屋根の内側の梁上面側に並置された複数の支持部材と、梁と支持部材に周囲を載置した一枚ずつからなり、折板との間に空間を確保した状態でそれぞれが支持部材に固着され、折板から建物内部への輻射熱を遮るシート状遮熱部材と、を有している。
【0004】
特許文献1に記載された屋根遮熱構造は、屋根を形成する折板から建物内部への輻射熱をシート状遮熱部材で遮ることにより、高温になった屋根からの熱が建物内部に伝えられるのを防ぐことができるという効果を発揮し、シート状遮熱部材は、直射日光に直接晒されることがないので、耐候性を考慮する必要が無いという長所も備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された屋根遮熱構造は前述したような優れた効果や長所を有しているが、寒暖差の大きい季節や湿度の高い季節になると、折板屋根の内側(建物の内部)に支持部材(下地材)を介して配置された遮熱シート(シート状遮熱部材)の上面や下面に結露が生じることが多い。
【0007】
遮熱シートの下面側に生じた結露は、遮熱シートが重力の影響で下方に向かって凸曲面をなすように撓んでいる部分の下面に沿って徐々に下方へ移動していき、やがて水滴となって建物内へ落下するので、建物内に収容されている各種物品が、落下した水滴によって濡れたり、浸水したりして、様々な弊害が生じている。
【0008】
また、特許文献1に記載された屋根遮熱構造を構成する遮熱シート(シート状遮熱部材)は不燃性を有していないので、耐火性の点においては劣っている面がある。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、寒暖差の大きい季節や湿度の高い季節における結露発生を抑制することができ、不燃性も備えた遮熱シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る遮熱シートは、
ガラス繊維ネットと、
前記ガラス繊維ネットの両外面にそれぞれポリエチレン樹脂系接着剤層を介して貼着されたアルミニウム合金箔と、
前記アルミニウム合金箔の外面を覆う合成樹脂系塗料層と、
前記ガラス繊維ネット、前記ポリエチレン樹脂系接着剤層、前記アルミニウム合金箔及び前記合成樹脂系塗料層を貫通する複数の通気孔(内径0.1mm~0.8mm)と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記遮熱シートにおいては、隣り合う複数の前記通気孔の配置間隔が2mm~5mmであることが望ましい。
【0012】
前記遮熱シートにおいては、その厚さが0.200mm~0.232mであることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、寒暖差の大きい季節や湿度の高い季節における結露発生を抑制することができ、不燃性も備えた遮熱シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態である遮熱シートを示す一部省略平面図である。
【
図2】
図1中の矢線Aで示す領域の一部省略拡大図である。
【
図3】
図2中のB-B線における一部省略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1~
図3に基づいて、本発明の実施形態である遮熱シート10について説明する。
図3に示すように、本実施形態に係る遮熱シート10は、ガラス繊維ネット1と、ガラス繊維ネット1の両外面1a,1aにそれぞれポリエチレン樹脂系接着剤層2,2を介して貼着されたアルミニウム合金箔3,3と、アルミニウム合金箔3,3のそれぞれの外面3a,3aを覆う合成樹脂系塗料層4,4と、ガラス繊維ネット1、ポリエチレン樹脂系接着剤層2,2、アルミニウム合金箔3,3及び合成樹脂系塗料層4,4を貫通する複数の通気孔5と、を備えている。
【0016】
遮熱シート10の厚さ10tは0.226mmとしているが、これに限定するものではないので、厚さ10tは0.200mm~0.232mの範囲内で適切な値に設定することができる。
【0017】
図1,
図2に示すように、遮熱シート10においては、隣り合う複数の通気孔5,5の最短配置間隔5bを2.4mmとし、最長配置間隔5cを3.5mmとしているが、これらに限定しないので、2~5mmの範囲内で適切な値に設定することができる。なお、通気孔5,5の配置間隔とは通気孔5,5の中心間距離をいう。
【0018】
また、
図2に示すように、通気孔5の内径5aは0.4mmとしているが、これに限定するものではないので、0.1mm~0.8mmの範囲内で適切な内径に設定することができる。
【0019】
図1,
図2に示すように、遮熱シート10は、その全面に亘って複数の通気孔5を有するため、優れた通気性、透湿性を発揮する。従って、寒暖差の大きい季節や湿度の高い季節においても遮熱シート10の結露発生を抑制することができる。
【0020】
図3に示すように、遮熱シート10は、ガラス繊維ネット1の両外面1a,1aにアルミニウム合金箔3,3を貼着した構造であるため、遮熱シート10は両面反射性(輻射熱反射性)を備えており、優れた遮熱性を発揮する。
【0021】
また、遮熱シート10は、その厚さ10t方向の中心部にガラス繊維ネット1が配置されているため、不燃性も備えており、優れた耐火性を発揮する。なお、前記不燃性とは、国土交通省が定める不燃性試験を合格できる程度の不燃性を意味する。
【0022】
また、
図3に示すように、遮熱シート10の断面はガラス繊維ネット1を挟んで対称な構造であるため、遮熱シート10は表裏を区別することなく使用(張設)することが可能であり、施工性にも優れている。
【0023】
さらに、
図3に示すように、遮熱シート10の両外面は合成樹脂系塗料層4,4で被覆されていることにより絶縁性に優れているため、施工後、遮熱シート10が建築物を構成する金属材料に触れることがあっても電蝕し難い。
【0024】
なお、
図1~
図3に基づいて説明した遮熱シート10は本発明に係る遮熱シートの一例を示すものであり、本発明に係る遮熱シートは前述した遮熱シート10に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は建築業や建設業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 ガラス繊維ネット
1a,3a 外面
2 ポリエチレン樹脂系接着剤層
3 アルミニウム合金箔
4 合成樹脂系塗料層
5 通気孔
5a 内径
5b 最短配置間隔
5c 最長配置間隔