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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121492
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/30 20060101AFI20240830BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G03F7/30
G03F7/38 501
G03F7/38 511
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028631
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若杉 幸宏
【テーマコード(参考)】
2H196
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA09
2H196DA01
2H196FA01
2H196GA08
2H196GA60
2H196HA01
(57)【要約】
【課題】本明細書は、幅が狭い開口部を有するレジストパターンを形成する技術を開示すること。
【解決手段】製造方法は、半導体基板(10)の表面にレジスト層(20)を形成する工程と、前記レジスト層の一部に光を照射して露光部(22)を形成する工程と、前記レジスト層に現像液(50)を塗布することによって前記露光部の上部(22a)を除去すると共に前記露光部の下部(22b)を残す工程と、前記露光部の前記上部を除去した後に、前記レジスト層を加熱するベーク処理を行う工程と、前記ベーク処理の後に、前記レジスト層に現像液(50)を塗布することによって前記露光部の前記下部を除去する工程と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置の製造方法であって、
半導体基板(10)の表面にレジスト層(20)を形成する工程と、
前記レジスト層の一部に光を照射して露光部(22)を形成する工程と、
前記レジスト層に現像液(50)を塗布することによって前記露光部の上部(22a)を除去すると共に前記露光部の下部(22b)を残す工程と、
前記露光部の前記上部を除去した後に、前記レジスト層を加熱するベーク処理を行う工程と、
前記ベーク処理の後に、前記レジスト層に現像液(50)を塗布することによって前記露光部の前記下部を除去する工程と、
を備える、製造方法。
【請求項2】
前記露光部を形成する前記工程の前に、前記ベーク処理よりも高い温度で前記レジスト層を加熱するプリベーク処理を行う工程をさらに備える、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体装置の製造に際して、半導体基板の表面にレジストパターンを形成する技術が開示されている。一般的なレジストパターンの形成方法では、半導体基板の表面に形成されたレジスト層に対して、露光処理、ベーク処理、及び現像処理を行う。露光処理では、レジスト層の一部に光を照射する。これによって、光が照射された範囲内のレジスト層(以下、露光部という)に含まれる感光剤を反応させる。ベーク処理では、レジスト層に対して熱を与えることによって、反応済みの感光剤をレジスト層内に拡散させる。現像処理では、反応済みの感光剤を含むレジスト層を現像液によって除去する。これによって、レジスト層に開口部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-208332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
露光処理では、露光部の表面の近傍が光の照射を強く受ける。したがって、露光部の表面の近傍において反応済みの感光剤の濃度が高くなり、露光部の下部(即ち半導体基板の表面の近傍)において反応済みの感光剤の濃度が低くなる。その後、ベーク処理において、レジスト層内で感光剤が拡散し、厚さ方向において感光剤の濃度が均一化される。このため、現像処理では、露光部を厚さ方向全体において除去することができ、レジスト層に好適に開口部を形成できる。ただし、ベーク処理では、横方向にも感光剤が拡散する。このため、幅が狭い開口部を形成することが困難である。
【0005】
本明細書では、幅が狭い開口部を有するレジストパターンを形成する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、半導体装置の製造方法を開示する。製造方法は、半導体基板(10)の表面にレジスト層(20)を形成する工程と、前記レジスト層の一部に光を照射して露光部(22)を形成する工程と、前記レジスト層に現像液(50)を塗布することによって前記露光部の上部(22a)を除去すると共に前記露光部の下部(22b)を残す工程と、前記露光部の前記上部を除去した後に、前記レジスト層を加熱するベーク処理を行う工程と、前記ベーク処理の後に、前記レジスト層に現像液(50)を塗布することによって前記露光部の前記下部を除去する工程と、を備える。
【0007】
上記の構成では、露光部を形成した後であってベーク処理を行う前に、反応済みの感光剤の濃度が高い露光部の上部を除去する。したがって、残存する露光部の下部では、反応済みの感光剤の濃度が比較的低い。その後、ベーク処理を実施し、残存する露光部の下部において反応済みの感光剤を拡散させる。露光部の下部では反応済みの感光剤の濃度が比較的低いので、ベーク処理において感光剤が拡散する距離は短い。露光部の上部の除去によって露光部の厚さが薄くなっているので、拡散距離が短くても露光部の下部内で厚さ方向において感光剤の濃度を十分に均一化できる。また、拡散距離が短いので、反応済みの感光剤の横方向への拡散を抑制できる。したがって、その後に現像液を用いて露光部の下部を除去すると、幅が狭い開口部を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】レジスト膜形成工程を説明するための図である。
図2】プリベーク工程を説明するための図である。
図3】露光工程を説明するための図である。
図4】露光部における反応済みの感光剤の濃度の分布を示す図である。
図5】第1現像工程を説明するための図である。
図6】露光部の下部における反応済みの感光剤の濃度の分布を示す図である。
図7】ベーク工程を説明するための図である。
図8】ベーク工程の後の露光部の下部における反応済みの感光剤の濃度の分布を示す図である。
図9】第2現像工程を説明するための図である。
図10】イオン注入工程を説明するための図である。
図11】実施例の露光量と開口部の幅との関係を示す。
図12】比較例1の露光量と開口部の幅との関係を示す。
図13】比較例2の露光量と開口部の幅との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書が開示する一例の製造方法では、前記露光部を形成する前記工程の前に、前記ベーク処理よりも高い温度で前記レジスト層を加熱するプリベーク処理を行う工程をさらに備えてもよい。
【0010】
この構成によると、プリベーク処理によって、レジスト層が固化し、安定する。この結果、ベーク処理での感光剤の拡散が抑制される。
【0011】
(実施例)
図面を参照して、半導体装置の製造方法を説明する。この製造方法では、レジスト層形成工程、プリベーク工程、露光工程、第1現像工程、ベーク工程、第2現像工程、及びイオン注入工程を順に実施する。
【0012】
レジスト層形成工程では、図1に示されるように、半導体基板10の上にレジスト層20を形成する。半導体基板10は、炭化シリコン(SiC)によって構成されている。変形例では、半導体基板10は、シリコン(Si)、窒化ガリウム(GaN)などで構成されていてもよい。レジスト層20は、感光性樹脂によって構成されている。
【0013】
プリベーク工程では、図2に示されるように、レジスト層20が形成された半導体基板10をホットプレート30上に載置して、レジスト層20を加熱する。プリベーク工程でレジスト層20を加熱することによってレジスト層20を固化し、安定させることができる。特に、プリベーク工程における加熱温度は、後述のベーク工程の加熱温度よりも高い。このために、レジスト層20の安定性が増加する。
【0014】
露光工程では、図3に示されるように、レジスト層20を露光する。具体的には、露光工程では、マスク40を介してレジスト層20の表面に光を照射する。レジスト層20のうちの光に曝された部分(以下、露光部22という)では、内部で化学変化が生じる。具体的には、レジスト内の感光剤が反応して酸が発生する。レジスト層20のうち光に曝されなかった部分(以下、非露光部24)では、内部で化学変化は生じない。
【0015】
露光工程では、レジスト層20の表面の近傍の部分(以下、上部22aという)が光の照射を強く受ける。従って、図4に示されるように、露光部22内では、上部22aにおいて反応済みの感光剤の濃度が高くなり、下部22b(即ち半導体基板10の表面の近傍の部分)において反応済みの感光剤の濃度が低くなる。また、露光部22内では、幅方向の中心において反応済みの感光剤の濃度が高くなり、端に向かうほど反応済みの感光剤の濃度が低くなる。
【0016】
第1現像工程では、図5に示されるように、レジスト層20に現像液50を塗布する。現像液50は、反応済みの感光剤を含むレジスト層20と反応する。したがって、露光部22内のレジスト層20が除去される。ここでは、反応時間を調整することで、図5及び6に示すように露光部22の上部22aを除去し、露光部22の下部22bを残存させる。上記の通り、露光部22の下部22bでは反応済みの感光剤の濃度が比較的低い。
【0017】
ベーク工程では、図7に示されるように、レジスト層20が形成された半導体基板10をホットプレート30上に載置して、レジスト層20を加熱する。ベーク工程でレジスト層20が加熱されると、露光部22の下部22bにおいて、反応済みの感光剤が拡散する。上記の通り、露光部22の下部22bでは、反応済みの感光剤の濃度が比較的低いので、ベーク工程において、反応済みの感光剤が拡散する距離は短い。露光部22の下部22bの厚さは薄い。したがって、反応済みの感光剤が拡散する距離が短くても、図8に示されるように露光部22の下部22b内で厚さ方向において反応済みの感光剤の濃度を十分に拡散させることができる。また、反応済みの感光剤が拡散する距離が短いので、反応済みの感光剤の横方向への拡散を抑制できる。
【0018】
第2現像工程では、図9に示されるように、レジスト層20に現像液50を塗布して、露光部22の下部22bを除去する。これによって、開口部26を形成する。上記の通り、下部22b内の反応済みの感光剤は、厚さ方向において十分に均一化されている。したがって、厚さ方向全体において下部22bと現像液50を反応させることができ、適切に下部22bを除去することができる。また、上記の通り、ベーク工程では、下部22b内において反応済みの感光剤の横方向への拡散が抑制される。このために、下部22bを除去することによって、幅Wが狭い開口部26を形成することができる。また、第1現像工程及び第2現像工程において、非露光部24は残存する。
【0019】
イオン注入工程では、図10に示されるように、半導体基板10にイオンを注入する。半導体基板10の上に残存する非露光部24は、イオンを注入する際のマスクとして使用される。即ち、イオン注入工程によって、半導体基板10の内部であって、開口部26の直下にイオン領域12が形成される。その後、レジスト層20(即ち非露光部24)が除去される。その後、さらに、イオン領域12を利用して素子構造を形成することで、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等の半導体装置を製造することができる。
【0020】
図11図13は、露光量と開口部26の幅Wとの関係を表わす実験データを示す。図11は本実施例の実験データを示す。図12は比較例1の実験データを示す。図13は比較例2の実験データを示す。
【0021】
図11~13における開口部26を形成する条件について説明する。図11(即ち、本実施例)は、プリベーク工程を110℃で300秒、第1現像工程を25秒、ベーク工程を90℃で180秒、第2現像工程を25秒実施した場合の結果である。図12(即ち、比較例1)は、プリベーク工程を90℃で90秒、露光工程の後であって第1現像工程の前にベーク工程を110℃で90秒、第1現像工程を60秒実施し、第2現像工程を実施しない場合の結果である。即ち、図12は、長時間の現像工程1回で開口部26を形成した場合の結果である。図13(即ち、比較例2)は、図9の場合よりも、プリベーク工程の温度を高く、時間を長くし、ベーク工程の温度を低く、時間を長くし、その他の条件は図12と同一とした場合の結果である。
【0022】
図11に示されるように、本実施例の方法によれば、露光量を調整することによって、幅Wが600nm以下の開口部26を形成することができる。図12に示されるように、比較例1の方法では、露光量を最適化しても幅Wが800nm以下の開口部26を形成することができない。図13に示すように、比較例2の方法(すなわち、従来の方法においてプリベーク時間を最適化した場合)でも、幅Wが650nm以下の開口部26を形成することはできない。このように、本実施例の方法によれば、従来よりも幅が狭い開口部26を形成できる。
【0023】
なお、本実施例では、プリベークによりレジスト層20の安定性を増加させているので、幅がより狭い開口部26を形成できる。
【0024】
以上、本明細書が開示する技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独で、あるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0025】
10:半導体基板、12:イオン領域、20:レジスト層、22:露光部、22a:上部、22b:下部、24:非露光部、26:開口部、30:ホットプレート、40:マスク、50:現像液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13