IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープディスプレイテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図1
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図2
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図3
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図4
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図5
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図6
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図7
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図8
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図9
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図10
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図11
  • 特開-タッチ入力装置および表示装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121496
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】タッチ入力装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240830BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G06F3/041 512
G06F3/044 122
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028636
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】長坂 幸二
(57)【要約】
【課題】回路規模を縮小しつつ、検出精度を向上させることが可能なタッチ入力装置を提供する。
【解決手段】信号処理部(1)は、少なくとも1本の第1のドライブラインに第1のドライブ信号を出力すると共に、第1のドライブライン以外の少なくとも2本の第2のドライブラインのそれぞれに第1のドライブ信号とは逆位相の第2のドライブ信号を出力し、受信したセンス信号に基づき静電容量の変化を検出する。信号処理部は、第1のドライブ信号の振幅に第1のドライブラインの本数を乗算した第1の振幅合計と、第2のドライブ信号の振幅に第2のドライブラインの本数を乗算した第2の振幅合計とが略一致するように、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出面に沿って互いに平行に設けられるM本(Mは3以上の整数)のドライブラインと、
前記検出面に沿って互いに平行に設けられると共に、前記M本のドライブラインと交差するN本(Nは2以上の整数)のセンスラインと、
前記M本のドライブラインと前記N本のセンスラインとの間に形成された(M×N)個の静電容量と、
前記M本のドライブラインのうちの少なくとも1本の第1のドライブラインに第1のドライブ信号を出力して、前記N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき前記少なくとも1本の第1のドライブラインと前記N本のセンスラインとの間の複数の静電容量の変化を検出する信号処理部であって、前記第1のドライブラインを順次変更して前記(M×N)個の静電容量の変化を検出する信号処理部と、を備え、
前記信号処理部は、前記少なくとも1本の第1のドライブラインに前記第1のドライブ信号を出力すると共に、前記M本のドライブラインのうちの前記第1のドライブライン以外の少なくとも2本の第2のドライブラインのそれぞれに前記第1のドライブ信号とは逆位相の第2のドライブ信号を出力し、
前記信号処理部は、前記第1のドライブ信号の振幅に前記第1のドライブラインの本数を乗算した第1の振幅合計と、前記第2のドライブ信号の振幅に前記第2のドライブラインの本数を乗算した第2の振幅合計とが略一致するように、前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号を出力する、タッチ入力装置。
【請求項2】
前記少なくとも1本の第1のドライブラインは、1本の第1のドライブラインであり、
前記信号処理部は、前記第1のドライブ信号の振幅が前記第2の振幅合計と略一致するように、前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号を出力する、請求項1に記載のタッチ入力装置。
【請求項3】
前記N本のセンスラインのうちの一のセンスラインと前記M本のドライブラインとの間のM個の静電容量のいずれにも変化がない場合、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号の振幅は、略ゼロである、請求項2に記載のタッチ入力装置。
【請求項4】
前記N本のセンスラインのうちの一のセンスラインと前記M本のドライブラインとの間のM個の静電容量のうちの一の静電容量に変化がある場合、前記M本のドライブラインのうちの前記一の静電容量を形成する一のドライブラインに前記第1のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号は、所定の閾値以上の振幅を有する、請求項2に記載のタッチ入力装置。
【請求項5】
前記一の静電容量に変化がある場合、前記M本のドライブラインのうちの前記一のドライブラインに前記第2のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号は、前記所定の閾値を超えない振幅を有する、請求項4に記載のタッチ入力装置。
【請求項6】
前記一の静電容量に変化がある場合、前記M本のドライブラインのうちの前記一のドライブラインに前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号のいずれも出力されておらず、且つ前記M本のドライブラインのうちのいずれかのドライブラインに前記第1のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号の振幅は、略ゼロである、請求項4に記載のタッチ入力装置。
【請求項7】
前記少なくとも2本の第2のドライブラインは、(M-1)本の第2のドライブラインである、請求項2に記載のタッチ入力装置。
【請求項8】
前記M本のドライブラインは、複数のブロックに分割されており、
前記複数のブロックのそれぞれは、前記M本のドライブラインのうちの3本以上のドライブラインを含んでおり、
前記信号処理部は、前記複数のブロックのうちの一のブロックに含まれる一のドライブラインを前記第1のドライブラインとして前記第1のドライブ信号を出力するとき、前記一のブロックに含まれる前記一のドライブライン以外の少なくとも2本のドライブラインのそれぞれを前記第2のドライブラインとして前記第2のドライブ信号を出力し、前記複数のブロックのうちの前記一のブロック以外の他のブロックに含まれるドライブラインには、前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号のいずれも出力しない、請求項2~7のいずれか1項に記載のタッチ入力装置。
【請求項9】
前記M本のドライブラインは、複数のブロックに分割されており、
前記複数のブロックのそれぞれは、前記M本のドライブラインのうちの3本以上のドライブラインを含んでおり、
前記信号処理部は、前記複数のブロックのうちの一の対象ブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれを前記第1のドライブラインとして前記第1のドライブ信号を出力すると共に、前記複数のブロックのうちの前記対象ブロック以外の少なくとも2つのブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれを前記第2のドライブラインとして前記第2のドライブ信号を出力して、前記N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき前記対象ブロックに関する静電容量の変化を検出する第1の処理を、前記対象ブロックを順次変更して行い、
前記信号処理部は、前記対象ブロックに関する静電容量に変化があることを検出した場合、前記対象ブロックに含まれる一の対象ドライブラインを前記第1のドライブラインとして前記第1のドライブ信号を出力すると共に、前記対象ブロックに含まれる前記対象ドライブライン以外の少なくとも2本のドライブラインのそれぞれを前記第2のドライブラインとして前記第2のドライブ信号を出力して、前記N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき前記対象ドライブラインと前記N本のセンスラインとの間のN個の静電容量の変化を検出する第2の処理を、前記対象ドライブラインを順次変更して行う、請求項1に記載のタッチ入力装置。
【請求項10】
前記信号処理部は、前記対象ブロックに関する静電容量に変化があることを検出した場合において、前記対象ブロックに含まれる複数本のドライブラインがさらに複数のサブブロックに分割されている場合、前記複数のサブブロックを前記複数のブロックとして、前記対象ブロックを順次変更して前記第1の処理を行う、請求項9に記載のタッチ入力装置。
【請求項11】
前記信号処理部は、前記対象ブロックに含まれる複数本のドライブラインと前記N本のセンスラインとの間の複数の静電容量のいずれかに変化がある場合に、前記対象ブロックに関する静電容量に変化があることを検出する、請求項9に記載のタッチ入力装置。
【請求項12】
前記N本のセンスラインのうちの一のセンスラインと前記M本のドライブラインとの間のM個の静電容量のいずれにも変化がない場合、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号の振幅は、略ゼロである、請求項9~11のいずれか1項に記載のタッチ入力装置。
【請求項13】
前記N本のセンスラインのうちの一のセンスラインと前記M本のドライブラインとの間のM個の静電容量のうちの一の静電容量に変化がある場合、前記M本のドライブラインのうちの前記一の静電容量を形成する一のドライブラインを含むブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれに前記第1のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号は、所定の閾値以上の振幅を有する、請求項9~11のいずれか1項に記載のタッチ入力装置。
【請求項14】
前記一の静電容量に変化がある場合、前記一のドライブラインを含むブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれに前記第2のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号は、前記所定の閾値を超えない振幅を有する、請求項13に記載のタッチ入力装置。
【請求項15】
前記一の静電容量に変化がある場合、前記一のドライブラインを含むブロックに含まれる複数本のドライブラインに前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号のいずれも出力されておらず、且つ前記M本のドライブラインのうちのいずれかのドライブラインに前記第1のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号の振幅は、略ゼロである、請求項13に記載のタッチ入力装置。
【請求項16】
請求項1に記載のタッチ入力装置を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチ入力装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量の変化に応じてタッチされた位置を検出する静電容量方式のタッチ入力装置およびこれを内蔵した表示装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、静電容量方式のタッチ入力装置における検出精度を高めるために、入力装置が、選択した駆動電極Xにシールド電極ASの第1駆動電圧と同相の第2駆動電圧(以下単に、同相の第2駆動電圧という)を印加し、残りの駆動電極Xに第1駆動電圧と逆相の第2駆動電圧(以下単に、逆相の第2駆動電圧という)を印加し、検出電極Yとシールド電極ASとの間の電圧が一定となるように電荷積分回路22から検出電極Yへ電荷を供給し(以下この供給した電荷を単に、供給電荷という)、供給電荷の積分値に応じた検出信号Aoutを生成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-121958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の入力装置においては、逆相の第2駆動電圧を残りの駆動電極Xに印加することにより、同相の第2駆動電圧が印加される駆動電極Xと検出電極Yとの間の静電容量(相互容量)が変化する場合と、逆相の第2駆動電圧が印加される駆動電極Xと検出電極Yとの間の静電容量(相互容量)が変化する場合との間で、供給電荷の量を異ならせて、近接位置を的確に識別できるようにしている。後者の場合、第1駆動電圧と第2駆動電圧とが加算された大きな電圧の変化が静電容量(相互容量)に生じて供給電荷の量が増えるため、供給電荷の量は前者の場合と異なることになる。特許文献1においては、電荷積分回路等の構成が必要であるため、回路規模が大きくなるといった問題点がある。
【0006】
本開示の一態様は、回路規模の増大を抑制しつつ、検出精度を向上させることが可能なタッチ入力装置および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るタッチ入力装置は、検出面に沿って互いに平行に設けられるM本(Mは3以上の整数)のドライブラインと、前記検出面に沿って互いに平行に設けられると共に、前記M本のドライブラインと交差するN本(Nは2以上の整数)のセンスラインと、前記M本のドライブラインと前記N本のセンスラインとの間に形成された(M×N)個の静電容量と、前記M本のドライブラインのうちの少なくとも1本の第1のドライブラインに第1のドライブ信号を出力して、前記N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき前記少なくとも1本の第1のドライブラインと前記N本のセンスラインとの間の複数の静電容量の変化を検出する信号処理部であって、前記第1のドライブラインを順次変更して前記(M×N)個の静電容量の変化を検出する信号処理部と、を備え、前記信号処理部は、前記少なくとも1本の第1のドライブラインに前記第1のドライブ信号を出力すると共に、前記M本のドライブラインのうちの前記第1のドライブライン以外の少なくとも2本の第2のドライブラインのそれぞれに前記第1のドライブ信号とは逆位相の第2のドライブ信号を出力し、前記信号処理部は、前記第1のドライブ信号の振幅に前記第1のドライブラインの本数を乗算した第1の振幅合計と、前記第2のドライブ信号の振幅に前記第2のドライブラインの本数を乗算した第2の振幅合計とが略一致するように、前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、回路規模の増大を抑制しつつ、検出精度を向上させることが可能なタッチ入力装置および表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態1に係るタッチ入力装置の概略構成を示す図である。
図2】本開示の実施形態1に係るタッチ入力装置のタッチセンサ部の電極パターンの一例を示す図である。
図3】本開示の実施形態1に係るタッチ入力装置におけるドライブ信号の波形の一例を示す図である。
図4】本開示の実施形態1に係るタッチ入力装置におけるセンス信号の波形の一例を示す図である。
図5】本開示の実施形態2に係るタッチ入力装置のタッチセンサ部の構成例を示す図である。
図6】本開示の実施形態2に係るタッチ入力装置におけるドライブ信号の波形の一例を示す図である。
図7】本開示の実施形態2に係るタッチ入力装置におけるセンス信号の波形の一例を示す図である。
図8】本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置のタッチセンサ部の構成例を示す図である。
図9】本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置における第1の検出段階でのドライブ信号の波形の一例を示す図である。
図10】本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置における第1の検出段階でのセンス信号の波形の一例を示す図である。
図11】本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置における第2の検出段階でのドライブ信号の波形の一例を示す図である。
図12】本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置における第2の検出段階でのセンス信号の波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、同一の部材には同一の符号を付し、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらの詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本開示の実施形態1に係るタッチ入力装置100の構成例を示す図である。図1に示すように、タッチ入力装置100は、信号処理部1と、検出面2を有するタッチセンサ部と、を備えている。また、信号処理部1は、送信部11と、受信部12と、を備えている。なお、図示していないが、タッチ入力装置100は、液晶パネル等の表示装置の表面上に一体に設けられていてもよい。
【0012】
タッチセンサ部は、検出面2と、検出面2に沿って互いに平行に設けられるM本(Mは3以上の整数)のドライブラインTX1~TXMと、検出面2に沿って互いに平行に設けられると共に、M本のドライブラインと交差するN本(Nは2以上の整数)のセンスラインRX1~RXNと、M本のドライブラインとN本のセンスラインとの間に形成された(M×N)個の静電容量Cと、を含んでいる。
【0013】
図2は、タッチセンサ部の電極パターンの一例を示す図である。各ドライブラインTX1~TXMは、複数のドライブ電極パターン21を有し、各センスラインRX1~RXNは、複数のセンス電極パターン22を有する。例えば、ドライブラインTX1は、最も上の横方向のラインに配置された複数のドライブ電極パターン21を有している。また、センスラインRX1は、最も左の縦方向のラインに配置された複数のセンス電極パターン22を有している。図2に示すように、複数のドライブ電極パターン21と、複数のセンス電極パターン22とが、互い違いに(千鳥状に)配置されており、ドライブ電極パターン21とセンス電極パターン22との間に静電容量Cが形成されている。
【0014】
送信部11は、M本のドライブラインTX1~TXMのうちの少なくとも1本の第1のドライブラインに第1のドライブ信号を出力する。受信部12は、N本のセンスラインRX1~RXNのそれぞれからセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信部12が受信したセンス信号に基づき、少なくとも1本(本実施形態では1本)の第1のドライブラインとN本のセンスラインとの間の複数(本実施形態ではN個)の静電容量Cの変化を検出する。そして、送信部11は、第1のドライブラインを順次変更して第1のドライブ信号を出力し、信号処理部1は、受信部12がN本のセンスラインRX1~RXNのそれぞれから受信したセンス信号に基づき、(M×N)個の静電容量Cの変化を検出する。本実施形態において、送信部11は、例えば、第1のドライブラインをドライブラインTX1からドライブラインTXMまで順次変更して第1のドライブ信号を出力する。なお、第1のドライブ信号が出力されるドライブラインTX1~TXMの順序は、任意に設定される。
【0015】
また、送信部11は、少なくとも1本の第1のドライブラインに第1のドライブ信号を出力すると共に、M本のドライブラインTX1~TXMのうちの第1のドライブライン以外の少なくとも2本(本実施形態では、第1のドライブライン以外の全ての(M-1)本)の第2のドライブラインのそれぞれに第1のドライブ信号とは逆位相の第2のドライブ信号を出力する。このとき、送信部11は、第1のドライブ信号の振幅の合計値である第1の振幅合計と、第2のドライブ信号の振幅の合計値である第2の振幅合計とが略一致するように、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号を出力する。送信部11が第1のドライブ信号および第2のドライブ信号を出力する時点において、第1の振幅合計は、第1のドライブ信号の振幅に第1のドライブラインの本数を乗算した値であり、第2の振幅合計は、第2のドライブ信号の振幅に第2のドライブラインの本数を乗算した値である。第2のドライブラインの本数は第1のドライブラインの本数よりも多いため、第2のドライブ信号の振幅は第1のドライブ信号の振幅よりも小さい。
【0016】
図3は、本開示の実施形態1に係るタッチ入力装置100におけるドライブ信号の波形の一例を示す図である。図3および他の信号波形図(図4図6図7図9図12)において、縦軸は信号波形の振幅(電圧)を示しており、横軸は時間を示している。時間期間T1~T8のそれぞれは、例えば100μsである。本実施形態において、第1のドライブラインの本数は1本であり、第2のドライブラインの本数は(M-1)本であるため、送信部11は、各時間期間T1~T8において、第1のドライブ信号の振幅(本実施形態における第1の振幅合計)が第2のドライブ信号の振幅に(M-1)を乗算した値(本実施形態における第2の振幅合計)と略一致するように、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号を出力する。
【0017】
また、図3においては、説明を簡単にするため、ドライブライン数M=8としている。なお、以下の説明においては、第1のドライブ信号を逆位相とし、第2のドライブ信号を正位相として説明するが、第1のドライブ信号を正位相とし、第2のドライブ信号を逆位相と表現することも可能である。
【0018】
送信部11は、時間期間T1において、ドライブラインTX1に逆位相の第1のドライブ信号を出力し、他の7本のドライブラインTX2~TX8のそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。同様に、送信部11は、時間期間T2~T8において、ドライブラインTX2~TX8に順次逆位相の第1のドライブ信号を出力し、第1のドライブ信号を出力したドライブライン(第1のドライブライン)以外の他の7本のドライブライン(第2のドライブライン)のそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。このとき、送信部11は、第1のドライブ信号の振幅(第1の振幅合計)が、第2のドライブ信号の振幅に(M-1)を乗算した値(第2の振幅合計)と略同一となるように、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号を出力する。
【0019】
或る時間期間において第1のドライブ信号が出力されているドライブライン(すなわち第1のドライブライン)が、その時間期間においてタッチ検出の対象となるドライブラインである。N本のセンスラインRX1~RXNのそれぞれから受信したセンス信号に基づき、検出面2上の領域であって第1のドライブラインの配置位置に対応する領域へのタッチの有無が検出される。より詳細には、N本のセンスラインRX1~RXNのうちの一のセンスラインから受信したセンス信号に基づき、検出面2上の領域であって第1のドライブラインと当該一のセンスラインとの交差部(交点およびその近傍を含む)に対応する領域へのタッチの有無が検出される。以下、検出面2上の領域であって或るドライブラインの配置位置に対応する領域を、当該ドライブラインの配置領域という場合がある。同様に、検出面2上の領域であって或るセンスラインの配置位置に対応する領域を、当該センスラインの配置領域という場合がある。また、検出面2上の領域であって或るドライブラインと或るセンスラインとの交差部(交点およびその近傍を含む)に対応する領域を、当該ドライブラインと当該センスラインとの交差領域という場合がある。
【0020】
図4は、本開示の実施形態1に係るタッチ入力装置100におけるセンス信号の波形の一例を示す図である。図4の時間期間T1~T8は、図3の時間期間T1~T8のそれぞれに対応している。図4においては、ドライブラインTX5とセンスラインRX5との交差領域がタッチされてドライブラインTX5とセンスラインRX5との交差部に設けられた静電容量Cに変化が生じている場合を示している。なお、検出面2上の或る領域がタッチされることには、指等が当該領域に接触することだけでなく、指等が当該領域に近接することが含まれてもよい。
【0021】
時間期間T1において、タッチ検出の対象となる第1のドライブラインは、ドライブラインTX1である(図3参照)。時間期間T1において、信号処理部1は、受信部12がセンスラインRX1~RX8のそれぞれから受信したセンス信号に基づき、ドライブラインTX1とセンスラインRX1~RX8のそれぞれとの交差領域がタッチされているか否かを検出する。センスラインRX1については、次の通りである。すなわち、検出面2においてセンスラインRX1の配置領域はタッチされていないため、ドライブラインTX1に出力された逆位相のドライブ信号の波形(第1のドライブ信号の波形)とドライブラインTX2~TX8に出力された正位相のドライブ信号の波形(第2のドライブ信号の波形)とのそれぞれは、同等の減衰率で減衰してセンスラインRX1に伝わる。そのため、センスラインRX1に伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号についても、第1の振幅合計と第2の振幅合計とのバランスが保たれる。したがって、センスラインRX1において、ドライブラインTX1に出力された逆位相のドライブ信号の波形が、ドライブラインTX2~TX8に出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって相殺され、受信部12は、センスラインRX1から略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する(センス信号を受信しないということもできる)。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が略ゼロであり所定の閾値(以下「検出閾値」ともいう)を超えていないことに基づき、ドライブラインTX1とセンスラインRX1との交差領域がタッチされていないことを検出する。なお、本願明細書において、ドライブ信号の波形がセンスラインに伝わるとは、ドライブ信号に基づく電圧が静電容量Cを介してセンスラインに印加されることを意味する。
【0022】
センスラインRX5を除く他のセンスラインRX2~RX4、RX6~RX8のそれぞれ(ここの説明において「対象センスライン」という)についても同様である。すなわち、検出面2において対象センスラインの配置領域はタッチされていないため、ドライブラインTX1に出力された逆位相のドライブ信号の波形とドライブラインTX2~TX8に出力された正位相のドライブ信号の波形とのそれぞれは、同等の減衰率で減衰して対象センスラインに伝わる。そのため、対象センスラインに伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号についても、第1の振幅合計と第2の振幅合計とのバランスが保たれる。したがって、対象センスラインにおいて、ドライブラインTX1に出力された逆位相のドライブ信号の波形が、ドライブラインTX2~TX8に出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって相殺され、受信部12は、対象センスラインから略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が略ゼロであり検出閾値を超えていないことに基づき、ドライブラインTX1と対象センスラインとの交差領域がタッチされていないことを検出する。
【0023】
このように、N本(図3および図4の例では8本)のセンスラインRX1~RXNのうちの一のセンスラインとM本(図3および図4の例では8本)のドライブラインTX1~TXMとの間のM個(図3および図4の例では8個)の静電容量Cのいずれにも変化がない場合、受信部12が上記一のセンスラインから受信するセンス信号の振幅は、略ゼロである。
【0024】
一方、センスラインRX5については、次の通りである。すなわち、検出面2においてドライブラインTX1~TX4、TX6~TX8とセンスラインRX5との交差領域のそれぞれはタッチされていないが、ドライブラインTX5とセンスラインRX5との交差領域はタッチされている。したがって、ドライブラインTX5に出力された正位相のドライブ信号の波形(第2のドライブ信号の波形)は、通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わる。ここで、ドライブラインTX5に出力された正位相のドライブ信号の波形(通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わるドライブ信号の波形)は、ドライブラインTX1に出力された逆位相のドライブ信号の波形に比較して振幅が1/(M-1)と小さい。図3および図4の例ではM=8であるが、実際の表示装置に設けられるタッチ入力装置においては、例えばM=120である。そのため、センスラインRX5に伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号について、第1の振幅合計と第2の振幅合計との間に微小なバランスの不均衡が生じる。その結果、センスラインRX5において、ドライブラインTX1に出力された逆位相のドライブ信号の波形は、ドライブラインTX2~TX8に出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって完全には相殺されないが、その振幅の大部分が打ち消される。したがって、受信部12は、センスラインRX5から微小な振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値を超えていないことに基づき、ドライブラインTX1とセンスラインRX5との交差領域がタッチされていないことを検出する。
【0025】
このように、N本(図3および図4の例では8本)のセンスラインRX1~RXNのうちの一のセンスラインとM本(図3および図4の例では8本)のドライブラインTX1~TXMとの間のM個(図3および図4の例では8個)の静電容量Cのうちの一の静電容量Cに変化がある場合、M本のドライブラインTX1~TXMのうちの上記一の静電容量Cを形成する一のドライブラインに第2のドライブ信号が出力されている間、受信部12が上記一のセンスラインから受信するセンス信号は、検出閾値を超えない振幅を有する。検出閾値は、上記一の静電容量Cに変化がある場合に上記一のドライブラインに第2のドライブ信号が出力されている間に上記一のセンスラインから受信するセンス信号の振幅が、検出閾値よりも小さくなるように予め設定される。
【0026】
時間期間T2~T4、T6~T8において、タッチ検出の対象となる第1のドライブラインは、ドライブラインTX2~TX4、TX6~TX8である(図3参照)。時間期間T2~T4、T6~T8についても、時間期間T1と同様である。すなわち、センスラインRX1~RX4、RX6~RX8のそれぞれにおいては、第1のドライブライン(ドライブラインTX2~TX4、TX6~TX8のいずれか)に出力された逆位相のドライブ信号の波形が、第2のドライブライン(第1のドライブラインを除く7本のドライブライン)に出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって相殺され、受信部12は、略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する。また、センスラインRX5においては、第1のドライブラインに出力された逆位相のドライブ信号の波形は、第2のドライブラインに出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって振幅の大部分が打ち消され、受信部12は、微小な振幅を有するセンス信号を受信する。いずれの場合も、信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値を超えていないことに基づき、第1のドライブラインとセンスラインRX1~RX8それぞれとの交差領域がタッチされていないことを検出する。
【0027】
時間期間T5において、タッチ検出の対象となる第1のドライブラインは、ドライブラインTX5である(図3参照)。時間期間T5において、信号処理部1は、受信部12がセンスラインRX1~RX8のそれぞれから受信したセンス信号に基づき、ドライブラインTX5とセンスラインRX1~RX8それぞれとの交差領域がタッチされているか否かを検出する。センスラインRX1~RX4、RX6~RX8のそれぞれ(ここの説明において「対象センスライン」という)については、次の通りである。すなわち、検出面2において対象センスラインの配置領域はタッチされていないため、ドライブラインTX5に出力された逆位相のドライブ信号の波形(第1のドライブ信号の波形)とドライブラインTX1~TX4、TX6~TX8に出力された正位相のドライブ信号の波形(第2のドライブ信号の波形)とのそれぞれは、同等の減衰率で減衰して対象センスラインに伝わる。そのため、対象センスラインにおいて、ドライブラインTX5に出力された逆位相のドライブ信号の波形が、ドライブラインTX1~TX4、TX6~TX8に出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって相殺され、受信部12は、対象センスラインから略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が略ゼロであり検出閾値を超えていないことに基づき、ドライブラインTX5と対象センスラインとの交差領域がタッチされていないことを検出する。
【0028】
一方、センスラインRX5については、次の通りである。すなわち、検出面2においてドライブラインTX1~TX4、TX6~TX8とセンスラインRX5との交差領域のそれぞれはタッチされていないが、ドライブラインTX5とセンスラインRX5との交差領域はタッチされている。したがって、ドライブラインTX5に出力された逆位相のドライブ信号の波形(第1のドライブ信号の波形)は、通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わる。ここで、ドライブラインTX5に出力された逆位相のドライブ信号の波形(通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わるドライブ信号の波形)は、他のドライブラインTX1~TX4、TX6~TX8に出力された正位相のドライブ信号の波形に比較して振幅が(M-1)倍と大きい。上述したように、図3および図4の例ではM=8であるが、実際の表示装置に設けられるタッチ入力装置においては、例えばM=120である。そのため、センスラインRX5に伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号について、第1の振幅合計と第2の振幅合計との間に大きなバランスの不均衡が生じる。その結果、センスラインRX5において、ドライブラインTX5に出力された逆位相のドライブ信号の波形が打ち消されたうえで、ドライブラインTX1~TX4、TX6~TX8に出力された正位相のドライブ信号の波形の和の一部が残る。したがって、受信部12は、センスラインRX5から検出閾値以上の振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値以上であることに基づき、ドライブラインTX5とセンスラインRX5との交差領域がタッチされていることを検出する。
【0029】
このように、N本(図3および図4の例では8本)のセンスラインRX1~RXNのうちの一のセンスラインとM本(図3および図4の例では8本)のドライブラインTX1~TXMとの間のM個(図3および図4の例では8個)の静電容量Cのうちの一の静電容量Cに変化がある場合、M本のドライブラインTX1~TXMのうちの上記一の静電容量Cを形成する一のドライブラインに第1のドライブ信号が出力されている間、受信部12が上記一のセンスラインから受信するセンス信号は、検出閾値以上の振幅を有する。検出閾値は、上記一の静電容量Cに変化がある場合に上記一のドライブラインに第1のドライブ信号が出力されている間に上記一のセンスラインから受信するセンス信号の振幅が、検出閾値以上となるように予め設定される。ここで、第1のドライブ信号の振幅を振幅aとし、第2のドライブ信号の振幅を振幅bとし、上記一のドライブラインに第1のドライブ信号が出力されている間に上記一のセンスラインから受信するセンス信号の振幅を振幅cとし、上記一のドライブラインに第2のドライブ信号が出力されている間に上記一のセンスラインから受信するセンス信号の振幅を振幅dとすると、(d/c)=(b/a)の関係が成り立つ。検出閾値は、例えば、当該関係と第1のドライブインおよび第2のドライブラインそれぞれの本数とに基づき予め設定される。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係るタッチ入力装置100によれば、信号処理部1の送信部11は、M本のドライブラインTX1~TXMの中の1本のドライブラインに逆位相の第1のドライブ信号を出力し、他の(M-1)本のドライブラインのそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。このとき、送信部11は、第1のドライブ信号の振幅(第1の振幅合計)が、第2のドライブ信号の振幅に(M-1)を乗算した値(第2の振幅合計)と略同一となるように、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号を出力する。
【0031】
上記構成により、本実施形態の信号処理部1は、一のセンスラインによって形成される静電容量Cのいずれにも変化がないときは、上記一のセンスラインから略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信し(センス信号を受信しないということもできる)、上記一のセンスラインによって形成される静電容量Cのいずれかに変化があるときにのみ、上記一のセンスラインから、検出閾値以上の振幅(振幅c)のセンス信号または検出閾値よりも小さい振幅(振幅d)のセンス信号を受信する。ここで、振幅a~dについて(d/c)=(b/a)=1/(M-1)であり、振幅cと振幅dとの差は大きいため、信号処理部1は、振幅cのセンス信号であるか振幅dのセンス信号であるかを確実に判別することができる。したがって、本実施形態によれば、タッチ入力装置における検出精度を向上させることができる。
【0032】
また、信号処理部1は、検出面2上のいずれかの交差領域がタッチされて振幅cまたは振幅dのセンス信号を受信したときにのみ、受信したセンス信号の振幅が検出閾値を超過するか否かを判定すればよい。したがって、信号処理部1における信号処理を簡素化でき、アナログ回路およびロジック回路の規模を縮小することができる。また、1秒間のタッチのセンシング回数であるレポートレートが向上する。さらに、ノイズの影響が少なくなりSNR(Signal to Noise Ratio)が向上し、処理性能の向上やホバータッチなども可能になる。
【0033】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2に係るタッチ入力装置の構成は、図1および図2に示す実施形態1に係るタッチ入力装置100の構成と同様である。実施形態2では、主に実施形態1と異なる部分を説明し、重複する構成および機能の詳細な説明は繰り返さない。
【0034】
本実施形態において、M本のドライブラインTX1~TXMは、複数のブロックに分割されており、複数のブロックのそれぞれは、M本のドライブラインTX1~TXMのうちの3本以上のドライブラインを含んでいる。
【0035】
本実施形態の信号処理部1は、M本のドライブラインTX1~TXMのうちの一のドライブラインを第1のドライブラインとして第1のドライブ信号を出力するとき、第1のドライブラインと同じブロックに含まれる少なくとも2本のドライブラインのそれぞれを第2のドライブラインとして第2のドライブ信号を出力する。このとき、第1のドライブラインと異なるブロックに含まれるドライブラインのそれぞれは、第1のドライブラインおよび第2のドライブラインのいずれにも該当せず、当該ドライブラインにはいずれのドライブ信号も出力されない。
【0036】
換言すると、信号処理部1は、複数のブロックのうちの一のブロックに含まれる一のドライブラインを第1のドライブラインとして第1のドライブ信号を出力するとき、上記一のブロックに含まれる上記一のドライブライン以外の少なくとも2本のドライブラインのそれぞれを第2のドライブラインとして第2のドライブ信号を出力し、複数のブロックのうちの上記一のブロック以外の他のブロックに含まれるドライブラインには、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号のいずれも出力しない。
【0037】
なお、第1のドライブ信号の振幅に第1のドライブラインの本数を乗算した値である第1の振幅合計と、第2のドライブ信号の振幅に第2のドライブラインの本数を乗算した値である第2の振幅合計とが略一致するように、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号が出力される点は、実施形態1と同じである。
【0038】
図5は、本開示の実施形態2に係るタッチ入力装置100のタッチセンサ部の構成例を示す図である。図5においては、ドライブライン数M=8とし、8本のドライブラインを2つのブロックに分けた場合を示しているが、任意の数のブロックに分けることができる。図5に示すように、ブロック1およびブロック2のそれぞれに4本のドライブラインが含まれるように、ブロック分割されている。ブロック1にドライブラインTX1~TX4が含まれ、ブロック2にドライブラインTX5~TX8が含まれている。
【0039】
図6は、本開示の実施形態2に係るタッチ入力装置100におけるドライブ信号の波形の一例を示す図である。時間期間T1において、送信部11は、ブロック1に含まれるドライブラインTX1に逆位相の第1のドライブ信号を出力し、同じブロック1に含まれる他の3本のドライブラインTX2~TX4のそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。また、時間期間T1において、送信部11は、ブロック1とは異なるブロック(図5および図6の例ではブロック2)に含まれるいずれのドライブラインTX5~TX8にもドライブ信号を出力しない。このとき、送信部11は、第1のドライブ信号の振幅(第1の振幅合計)が、第2のドライブ信号の振幅に第2のドライブラインの本数(図5および図6の例では3)を乗算した値(第2の振幅合計)と略同一となるように、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号を出力する。
【0040】
時間期間T2~T4において、同様に、送信部11は、ブロック1に含まれるドライブラインTX2~TX4に順次逆位相の第1のドライブ信号を出力し、同じブロック1に含まれる他の3本のドライブラインのそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。また、時間期間T2~T4においても、送信部11は、ブロック1とは異なるブロック(ブロック2)に含まれるいずれのドライブラインTX5~TX8にもドライブ信号を出力しない。第1の振幅合計と第2の振幅合計とが略一致するように第1のドライブ信号および第2のドライブ信号が出力される点は、時間期間T1と同じである。
【0041】
時間期間T5において、送信部11は、ブロック2に含まれるドライブラインTX5に逆位相の第1のドライブ信号を出力し、同じブロック2に含まれる他の3本のドライブラインTX6~TX8のそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。また、時間期間T5において、送信部11は、ブロック2とは異なるブロック(図5および図6の例ではブロック1)に含まれるいずれのドライブラインTX1~TX4にもドライブ信号を出力しない。第1の振幅合計と第2の振幅合計とが略一致するように第1のドライブ信号および第2のドライブ信号が出力される点は、時間期間T1と同じである。
【0042】
時間期間T6~T8において、同様に、送信部11は、ブロック2に含まれるドライブラインTX6~TX8に順次逆位相の第1のドライブ信号を出力し、同じブロック2に含まれる他の3本のドライブラインのそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。また、時間期間T6~T8においても、送信部11は、ブロック2とは異なるブロック(ブロック1)に含まれるいずれのドライブラインTX1~TX4にもドライブ信号を出力しない。第1の振幅合計と第2の振幅合計とが略一致するように第1のドライブ信号および第2のドライブ信号が出力される点は、時間期間T1と同じである。
【0043】
図7は、本開示の実施形態2に係るタッチ入力装置100におけるセンス信号の波形の一例を示す図である。図7の時間期間T1~T8は、図6の時間期間T1~T8のそれぞれに対応している。図7においては、ドライブラインTX7とセンスラインRX5との交差領域がタッチされてドライブラインTX7とセンスラインRX5との交差部に設けられた静電容量Cに変化が生じている場合を示している。なお、図7においては、センスラインRX1~RX4およびRX6~RX8の波形は省略している。
【0044】
センスラインRX1~RX4、RX6~RX8のそれぞれ(ここの説明において「対象センスライン」という)から受信するセンス信号は、実施形態1と同じである。すなわち、対象センスラインの配置領域はタッチされていないため、時間期間T1~T8のいずれにおいても、対象センスラインに伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号について、第1の振幅合計と第2の振幅合計とのバランスが保たれる。したがって、受信部12は、時間期間T1~T8において、対象センスラインから略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する。以下、センスラインRX5から受信するセンス信号について説明する。
【0045】
時間期間T1~T4において、タッチ検出の対象となる第1のドライブラインは、ドライブラインTX1~TX4である(図6参照)。また、時間期間T1~T4において、第1のドライブラインと同じブロック(ブロック1)に含まれるドライブラインのうち、第1のドライブライン以外のドライブラインが第2のドライブラインとなる(図6参照)。すなわち、時間期間T1~T4において、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号は、ブロック1に含まれるドライブラインTX1~TX4のいずれかに出力される。検出面2において、第1のドライブ信号または第2のドライブ信号が出力されるドライブラインTX1~TX4とセンスラインRX5との交差領域はいずれもタッチされていないため、時間期間T1~T4のいずれにおいても、センスラインRX5に伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号について、第1の振幅合計と第2の振幅合計とのバランスが保たれる。したがって、受信部12は、時間期間T1~T4において、センスラインRX5から略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する。なお、ドライブラインTX5~TX8は、第1のドライブ信号も第2のドライブ信号も出力されていないため、時間期間T1~T4において、受信部12がセンスラインRX5から受信するセンス信号の波形には関与しない。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が略ゼロであり検出閾値を超えていないことに基づき、第1のドライブライン(ドライブラインTX1~TX4のいずれか)とセンスラインRX5との交差領域がタッチされていないことを検出する。
【0046】
このように、N本(図6および図7の例では8本)のセンスラインRX1~RXNのうちの一のセンスラインとM本(図6および図7の例では8本)のドライブラインTX1~TXMとの間のM個(図6および図7の例では8個)の静電容量Cのうちの一の静電容量Cに変化がある場合、M本のドライブラインのうちの上記一の静電容量Cを形成する一のドライブラインに第1のドライブ信号および第2のドライブ信号のいずれも出力されておらず、且つM本のドライブラインのうちのいずれかのドライブラインに第1のドライブ信号が出力されている間、上記一のセンスラインから受信するセンス信号の振幅は、略ゼロである。上述した実施形態1および後述する実施形態3についても、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号のいずれも出力されないドライブラインが存在する場合は、同じことが言える。
【0047】
時間期間T5~T8において、タッチ検出の対象となる第1のドライブラインは、ドライブラインTX5~TX8である(図6参照)。また、時間期間T5~T8において、第1のドライブラインと同じブロック(ブロック2)に含まれるドライブラインのうち、第1のドライブライン以外のドライブラインが第2のドライブラインとなる(図6参照)。すなわち、時間期間T5~T8において、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号は、ブロック2に含まれるドライブラインTX5~TX8のいずれかに出力される。検出面2においてドライブラインTX7とセンスラインRX5との交差領域がタッチされているため、ドライブラインTX7に出力されたドライブ信号の波形は、通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わる。
【0048】
時間期間T5、T6、T8においては、ドライブラインTX7には正位相のドライブ信号が出力されており、その波形(第2のドライブ信号の波形)が通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わる。そのため、センスラインRX5に伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号について、第1の振幅合計と第2の振幅合計との間に微小なバランスの不均衡が生じる。したがって、受信部12は、センスラインRX5から、微小な振幅を有するセンス信号を受信する。なお、ドライブラインTX1~TX4は、第1のドライブ信号も第2のドライブ信号も出力されていないため、時間期間T5、T6、T8(後述する時間期間T7についても同様)において、受信部12がセンスラインRX5から受信するセンス信号の波形には関与しない。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値を超えていないことに基づき、第1のドライブライン(ドライブラインTX5、TX6、TX8のいずれか)とセンスラインRX5との交差領域がタッチされていないことを検出する。
【0049】
また、時間期間T7においては、ドライブラインTX7には逆位相のドライブ信号が出力されており、その波形(第1のドライブ信号の波形)が通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わる。そのため、センスラインRX5に伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号について、第1の振幅合計と第2の振幅合計との間に大きなバランスの不均衡が生じる。したがって、受信部12は、センスラインRX5から検出閾値以上の振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値以上であることに基づき、第1のドライブライン(ドライブラインTX7)とセンスラインRX5との交差領域がタッチされていることを検出する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るタッチ入力装置100によれば、実施形態1と同様の効果が得られることに加えて、第2のドライブラインの本数を少なくすることにより、第1のドライブ信号の振幅を小さくすることができる。これにより、回路規模の縮小に加えて消費電力の削減を図ることができる。
【0051】
本実施形態では、隣り合う複数のドライブラインが同じブロックに含まれるように、また各ブロックに含まれるドライブラインの本数が同数になるように、M本のドライブラインが複数のブロックに分割されたが、これに限られず、M本のドライブラインの分割の仕方は任意である。隣り合わない複数のドライブラインが同じブロックに含まれてもよいし、各ブロックに含まれるドライブラインの本数が異なってもよい。
【0052】
〔実施形態3〕
本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置の構成は、図1に示す実施形態1に係るタッチ入力装置100の構成と同様である。実施形態3では、主に実施形態1と異なる部分を説明し、重複する構成および機能の詳細な説明は繰り返さない。
【0053】
本実施形態において、M本のドライブラインTX1~TXMは、複数のブロックに分割されており、複数のブロックのそれぞれは、M本のドライブラインTX1~TXMのうちの3本以上のドライブラインを含んでいる。
【0054】
本実施形態に係る信号処理部1は、第1の検出段階と第2の検出段階とを含む複数の検出段階を経てタッチされている交差領域を特定する。第1の検出段階は、最初の検出段階であり、第2の検出段階は、最後の検出段階である。第1の検出段階と第2の検出段階との間に他の検出段階があってもよい。第1の検出段階において、信号処理部1は、複数のブロックの中から、タッチされている交差領域に関するドライブラインが含まれるブロック(以下「タッチ関連ブロック」ともいう)を特定する。ここで、タッチされている交差領域に関するドライブラインとは、タッチされている交差領域に対応する交差部を構成するドライブラインのことをいう。タッチ関連ブロックが特定されない場合は、検出面2上のどの交差領域もタッチされていないという検出結果が得られる。
【0055】
各ブロックに含まれるm本(mは3以上の整数)のドライブラインがさらに複数のサブブロックに分割されている場合、第1の検出段階の次の第3の検出段階において、信号処理部1は、第1の検出段階で特定されたタッチ関連ブロックに含まれる複数のサブブロックの中から、タッチされている交差領域に関するドライブラインが含まれるサブブロック(以下「タッチ関連サブブロック」ともいう)を特定する。このとき、タッチ関連ブロックに含まれていないドライブラインには、ドライブ信号は出力されない。
【0056】
第3の検出段階がなく第1の検出段階の後が第2の検出段階である場合、第2の検出段階において、信号処理部1は、第1の検出段階で特定されたタッチ関連ブロックに含まれるm本のドライブラインについて、実施形態1と同様のタッチ検出処理を行ってタッチされている交差領域を特定する。このとき、タッチ関連ブロックに含まれていないドライブラインには、ドライブ信号は出力されない。また、第3の検出段階があり第3の検出段階の後が第2の検出段階である場合、第2の検出段階において、信号処理部1は、第3の検出段階で特定されたタッチ関連サブブロックに含まれるn本(nは3以上の整数)のドライブラインについて、実施形態1と同様のタッチ検出処理を行ってタッチされている交差領域を特定する。このとき、タッチ関連サブブロックに含まれていないドライブラインには、ドライブ信号は出力されない。なお、各サブブロックに含まれるn本のドライブラインがさらに複数のサブブロックに分割されていて、第3の検出段階と第2の検出段階との間に第4の検出段階があってもよい。
【0057】
第1の検出段階では、例えば、或る時間期間において、一の対象ブロックに含まれる全てのドライブラインが、タッチ検出の対象となる第1のドライブラインとなり、対象ブロック以外の少なくとも2つのブロック(図9の例では、対象ブロック以外の全てのブロック)に含まれる全てのドライブラインが、第2のドライブラインとなる。同様に、第3の検出段階では、例えば、或る時間期間において、一の対象サブブロックに含まれる全てのドライブラインが、タッチ検出の対象となる第1のドライブラインとなり、対象ブロックに含まれる複数のサブブロックのうち、対象サブブロック以外の少なくとも2つのサブブロック(例えば、対象サブブロック以外の全てのサブブロック)に含まれる全てのドライブラインが、第2のドライブラインとなる。
【0058】
換言すると、本実施形態の信号処理部1は、複数のブロックのうちの一の対象ブロックに含まれる複数本(m本)のドライブラインのそれぞれを第1のドライブラインとして第1のドライブ信号を出力すると共に、複数のブロックのうちの対象ブロック以外の少なくとも2つのブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれを第2のドライブラインとして第2のドライブ信号を出力する。そして、信号処理部1は、N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき対象ブロックに関する静電容量の変化を検出する第1の処理を、対象ブロックを順次変更して行う。第1の処理において、対象ブロックがタッチ関連ブロックであるか否かが判定される。ここで、対象ブロックに関する静電容量は、対象ブロックに含まれるm本のドライブラインとN本のセンスラインとの間の(m×N)個の静電容量Cを含む。当該(m×N)個の静電容量Cのいずれかに変化がある場合、対象ブロックに関する静電容量に変化があると判定され、対象ブロックはタッチ関連ブロックであると判定される。一方、当該(m×N)個の静電容量Cのいずれにも変化がない場合、対象ブロックに関する静電容量に変化がないと判定され、対象ブロックはタッチ関連ブロックではないと判定される。
【0059】
また、本実施形態の信号処理部1は、対象ブロックに関する静電容量に変化があることを検出した場合、すなわち対象ブロックをタッチ関連ブロックとして特定した場合において、対象ブロックに含まれる複数本(m本)のドライブラインがさらに複数のサブブロックに分割されている場合、上記複数のサブブロックを上記複数のブロックとして、対象ブロックを順次変更して上記第1の処理を行う。換言すると、信号処理部1は、タッチ関連ブロックに含まれる複数のサブブロックのうちの一の対象サブブロックに含まれる複数本(n本)のドライブラインのそれぞれを第1のドライブラインとして第1のドライブ信号を出力する。これと共に、信号処理部1は、タッチ関連ブロックに含まれる複数のサブブロックのうちの対象サブブロック以外の少なくとも2つのサブブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれを第2のドライブラインとして第2のドライブ信号を出力する。そして、信号処理部1は、N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき対象サブブロックに関する静電容量の変化を検出する処理を、対象サブブロックを順次変更して行う。当該処理において、対象サブブロックがタッチ関連サブブロックであるか否かが判定される。対象サブブロックがタッチ関連サブブロックであるか否かの判定方法は、対象ブロックがタッチ関連ブロックであるか否かの判定方法と実質的に同じである。
【0060】
また、第2の検出段階では、或る時間期間において、タッチ関連ブロックに含まれる一のドライブラインが、タッチ検出の対象となる第1のドライブラインとなり、タッチ関連ブロックに含まれるドライブラインであって第1のドライブライン以外の少なくとも2つのドライブライン(図11の例では、第1のドライブライン以外の全てのドライブライン)が、第2のドライブラインとなる。
【0061】
換言すると、本実施形態の信号処理部1は、対象ブロックに関する静電容量に変化があることを検出した場合、すなわち対象ブロックをタッチ関連ブロックとして特定した場合、対象ブロックに含まれる一の対象ドライブラインを第1のドライブラインとして第1のドライブ信号を出力すると共に、対象ブロックに含まれる対象ドライブライン以外の少なくとも2本のドライブラインのそれぞれを第2のドライブラインとして第2のドライブ信号を出力する。そして、信号処理部1は、N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき対象ドライブラインとN本のセンスラインとの間のN個の静電容量Cの変化を検出する第2の処理を、対象ドライブラインを順次変更して行う。第2の処理において、対象ドライブラインがタッチされている交差領域に関するドライブラインであるか否かが判定される。
【0062】
なお、どの検出段階においても、実施形態1と同様に、第1のドライブ信号の振幅に第1のドライブラインの本数を乗算した値である第1の振幅合計と、第2のドライブ信号の振幅に第2のドライブラインの本数を乗算した値である第2の振幅合計とが略一致するように、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号が出力される。
【0063】
図8は、本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置100のタッチセンサ部の構成例を示す図である。図8においては、ドライブライン数M=9とし、9本のドライブラインを3つのブロックに分けた場合を示しているが、任意の数のブロックに分けることができる。図8に示すように、ブロック1~ブロック3のそれぞれに3本のドライブラインが含まれるように、ブロック分割されている。ブロック1にドライブラインTX1~TX3が含まれ、ブロック2にドライブラインTX4~TX6が含まれ、ブロック3にドライブラインTX7~TX9が含まれている。
【0064】
図9は、本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置100における第1の検出段階でのドライブ信号の波形の一例を示す図である。時間期間T1において、送信部11は、対象ブロックとされたブロック1に含まれるドライブラインTX1~TX3のそれぞれに逆位相の第1のドライブ信号を出力し、対象ブロック以外のブロック(図8および図9の例ではブロック2およびブロック3)に含まれるドライブラインTX4~TX9のそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。このとき、送信部11は、第1のドライブ信号の振幅に第1のドライブラインの本数(図8および図9の例では3)を乗算した値(第1の振幅合計)が、第2のドライブ信号の振幅に第2のドライブラインの本数(図8および図9の例では6)を乗算した値(第2の振幅合計)と略同一となるように、第1のドライブ信号および第2のドライブ信号を出力する。
【0065】
時間期間T2において、送信部11は、ブロック1の次に対象ブロックとされたブロック2に含まれるドライブラインTX4~TX6のそれぞれに逆位相の第1のドライブ信号を出力し、対象ブロック以外のブロック(図8および図9の例ではブロック1およびブロック3)に含まれるドライブラインTX1~TX3、TX7~TX9のそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。第1の振幅合計と第2の振幅合計とが略一致するように第1のドライブ信号および第2のドライブ信号が出力される点は、時間期間T1と同じである。
【0066】
時間期間T3において、送信部11は、ブロック2の次に対象ブロックとされたブロック3に含まれるドライブラインTX7~TX9のそれぞれに逆位相の第1のドライブ信号を出力し、対象ブロック以外のブロック(図8および図9の例ではブロック1およびブロック2)に含まれるドライブラインTX1~TX6のそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。第1の振幅合計と第2の振幅合計とが略一致するように第1のドライブ信号および第2のドライブ信号が出力される点は、時間期間T1と同じである。
【0067】
図10は、本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置100における第1の検出段階でのセンス信号の波形の一例を示す図である。図10の時間期間T1~T3は、図9の時間期間T1~T3のそれぞれに対応している。図10においては、ドライブラインTX9とセンスラインRX5との交差領域がタッチされてドライブラインTX9とセンスラインRX5との交差部に設けられた静電容量Cに変化が生じている場合を示している。
【0068】
時間期間T1において、ブロック1に含まれる3本のドライブラインTX1~TX3に第1のドライブ信号が出力されている(図9参照)。したがって、時間期間T1において、3本のドライブラインTX1~TX3の束がタッチ検出の対象となる。時間期間T1において、信号処理部1は、受信部12がセンスラインRX1~RX9のそれぞれから受信したセンス信号に基づき、ドライブラインTX1~TX3の束とセンスラインRX1~RX9のそれぞれとの交差領域がタッチされているか否かを検出する。例えば、ドライブラインTX1~TX3の束とセンスラインRX1との交差領域がタッチされていることが検出された場合、ドライブラインTX1~TX3のいずれかとセンスラインRX1との交差領域がタッチされていることを意味する。
【0069】
センスラインRX5を除くセンスラインRX1~RX4、RX6~RX9のそれぞれ(ここの説明において「対象センスライン」という)については、次の通りである。すなわち、検出面2において対象センスラインの配置領域はタッチされていないため、ドライブラインTX1~TX3に出力された逆位相のドライブ信号の波形(第1のドライブ信号の波形)とドライブラインTX4~TX9に出力された正位相のドライブ信号の波形(第2のドライブ信号の波形)とのそれぞれは、同等の減衰率で減衰して対象センスラインに伝わる。そのため、対象センスラインに伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号についても、第1の振幅合計と第2の振幅合計とのバランスが保たれる。したがって、対象センスラインにおいて、ドライブラインTX1~TX3に出力された逆位相のドライブ信号の波形の和が、ドライブラインTX4~TX9に出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって相殺され、受信部12は、対象センスラインから略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が略ゼロであり検出閾値を超えていないことに基づき、ドライブラインTX1~TX3の束と対象センスラインとの交差領域がタッチされていないこと、すなわちドライブラインTX1~TX3のそれぞれと対象センスラインとの交差領域のいずれもがタッチされていないことを検出する。
【0070】
このように、N本(図9および図10の例では9本)のセンスラインのうちの一のセンスラインとM本(図9および図10の例では9本)のドライブラインとの間のM個(図9および図10の例では9個)の静電容量Cのいずれにも変化がない場合、受信部12が、上記一のセンスラインから受信するセンス信号の振幅は、略ゼロである。
【0071】
一方、センスラインRX5については、次の通りである。すなわち、検出面2においてドライブラインTX1~TX8とセンスラインRX5との交差領域のそれぞれはタッチされていないが、ドライブラインTX9とセンスラインRX5との交差領域はタッチされている。したがって、ドライブラインTX9に出力された正位相のドライブ信号の波形(第2のドライブ信号の波形)は、通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わる。ここで、ドライブラインTX9に出力された正位相のドライブ信号の波形(通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わるドライブ信号の波形)は、ドライブラインTX1~TX3に出力された逆位相のドライブ信号の波形に比較して振幅がm/(M-m)(図9の例では1/2)と小さい。そのため、センスラインRX5に伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号について、第1の振幅合計と第2の振幅合計との間に微小なバランスの不均衡が生じる。その結果、センスラインRX5において、ドライブラインTX1~TX3に出力された逆位相のドライブ信号の波形の和は、ドライブラインTX4~TX9に出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって完全には相殺されないが、その大部分が打ち消される。したがって、受信部12は、センスラインRX5から微小な振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値を超えていないことに基づき、ドライブラインTX1~TX3の束とセンスラインRX5との交差領域がタッチされていないこと、すなわちドライブラインTX1~TX3のそれぞれとセンスラインRX5との交差領域のいずれもがタッチされていないことを検出する。
【0072】
このように、N本(図9および図10の例では9本)のセンスラインのうちの一のセンスラインとM本(図9および図10の例では9本)のドライブラインとの間のM個(図9および図10の例では9個)の静電容量Cのうちの一の静電容量Cに変化がある場合、M本のドライブラインのうちの上記一の静電容量Cを形成する一のドライブラインを含むブロックに含まれる複数本のドライブラインに第2のドライブ信号が出力されている間、受信部12が、上記一のセンスラインから受信するセンス信号は、検出閾値を超えない振幅を有する。
【0073】
時間期間T2において、ブロック2に含まれる3本のドライブラインTX4~TX6に第1のドライブ信号が出力されている(図9参照)。したがって、時間期間T2において、3本のドライブラインTX4~TX6の束がタッチ検出の対象となる。時間期間T2についても、時間期間T1と同様である。すなわち、センスラインRX1~RX4、RX6~RX9のそれぞれにおいては、第1のドライブライン(ドライブラインTX4~TX6)に出力された逆位相のドライブ信号の波形の和が、第2のドライブライン(ドライブラインTX1~TX3、TX7~TX9)に出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって相殺され、受信部12は、略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する。また、センスラインRX5においては、第1のドライブラインに出力された逆位相のドライブ信号の波形の和は、第2のドライブラインに出力された正位相のドライブ信号の波形の和によってその大部分が打ち消され、受信部12は、微小な振幅を有するセンス信号を受信する。いずれの場合も、信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値を超えていないことに基づき、ドライブラインTX4~TX6の束とセンスラインRX1~RX9のそれぞれとの交差領域がタッチされていないこと、すなわちドライブラインTX4~TX6のそれぞれとセンスラインRX1~RX9のそれぞれとの交差領域のいずれもがタッチされていないことを検出する。
【0074】
時間期間T3において、ブロック3に含まれる3本のドライブラインTX7~TX9に第1のドライブ信号が出力されている(図9参照)。したがって、時間期間T3において、3本のドライブラインTX7~TX9の束がタッチ検出の対象となる。時間期間T3において、信号処理部1は、センスラインRX1~RX9のそれぞれから受信したセンス信号に基づき、ドライブラインTX7~TX9の束とセンスラインRX1~RX9のそれぞれとの交差領域がタッチされているか否かを検出する。センスラインRX1~RX4、RX6~RX9のそれぞれ(ここの説明において「対象センスライン」という)については、次の通りである。すなわち、検出面2において対象センスラインの配置領域はタッチされていないため、ドライブラインTX7~TX9に出力された逆位相のドライブ信号の波形(第1のドライブ信号の波形)とドライブラインTX1~TX6に出力された正位相のドライブ信号の波形(第2のドライブ信号の波形)とのそれぞれは、同等の減衰率で減衰して対象センスラインに伝わる。そのため、対象センスラインにおいて、ドライブラインTX7~TX9に出力された逆位相のドライブ信号の波形の和が、ドライブラインTX1~TX6に出力された正位相のドライブ信号の波形の和によって相殺され、受信部12は、対象センスラインから略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が略ゼロであり検出閾値を超えていないことに基づき、ドライブラインTX7~TX9の束と対象センスラインとの交差領域がタッチされていないこと、すなわちドライブラインTX7~TX9のそれぞれと対象センスラインとの交差領域のいずれもがタッチされていないことを検出する。
【0075】
一方、センスラインRX5については、次の通りである。すなわち、検出面2においてドライブラインTX1~TX8とセンスラインRX5との交差領域のそれぞれはタッチされていないが、ドライブラインTX9とセンスラインRX5との交差領域はタッチされている。したがって、ドライブラインTX9に出力された逆位相のドライブ信号の波形(第1のドライブ信号の波形)は、通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わる。ここで、ドライブラインTX9に出力された逆位相のドライブ信号の波形(通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わるドライブ信号の波形)は、他のドライブラインTX1~TX6に出力された正位相のドライブ信号の波形に比較して振幅が(M-m)/m倍(図9の例では2倍)と大きい。そのため、センスラインRX5に伝わった後の第1のドライブ信号および第2のドライブ信号について、第1の振幅合計と第2の振幅合計との間に大きなバランスの不均衡が生じる。その結果、センスラインRX5において、ドライブラインTX7~TX9に出力された逆位相のドライブ信号の波形の和が打ち消されたうえで、ドライブラインTX1~TX6に出力された正位相のドライブ信号の波形の和の一部が残る。したがって、受信部12は、センスラインRX5から検出閾値以上の振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値以上であることに基づき、ドライブラインTX7~TX9の束とセンスラインRX5との交差領域がタッチされていること、すなわちドライブラインTX7~TX9のいずれかとセンスラインRX5との交差領域がタッチされていることを検出する。信号処理部1は、時間期間T3において対象ブロックとされたブロック3をタッチ関連ブロックとして特定する。
【0076】
このように、N本(図9および図10の例では9本)のセンスラインのうちの一のセンスラインとM本(図9および図10の例では9本)のドライブラインとの間のM個(図9および図10の例では9個)の静電容量Cのうちの一の静電容量Cに変化がある場合、M本のドライブラインのうちの上記一の静電容量Cを形成する一のドライブラインを含むブロックに含まれる複数のドライブラインに第1のドライブ信号が出力されている間、受信部12が、上記一のセンスラインから受信するセンス信号は、検出閾値以上の振幅を有する。
【0077】
図11は、本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置100における第2の検出段階でのドライブ信号の波形の一例を示す図である。第2の検出段階において、信号処理部1は、第1の検出段階で特定されたタッチ関連ブロック(この例ではブロック3)に含まれるm本(この例では3本)のドライブライン(この例ではドライブラインTX7~TX9)について、実施形態1と同様のタッチ検出処理を行ってタッチされている交差領域を特定する。このとき、タッチ関連ブロックに含まれていないドライブライン(この例ではドライブラインTX1~TX6)には、ドライブ信号は出力されない。
【0078】
時間期間T4~T6において、送信部11は、タッチ関連ブロックであるブロック3に含まれるドライブラインTX7~TX9に順次逆位相の第1のドライブ信号を出力し、ブロック3に含まれる他のドライブラインのそれぞれに正位相の第2のドライブ信号を出力する。このとき、送信部11は、タッチ関連ブロック以外のブロック1、2に含まれるドライブラインTX1~TX6にはドライブ信号を出力しない。第1の振幅合計と第2の振幅合計とが略一致するように第1のドライブ信号および第2のドライブ信号が出力される点は、実施形態1と同じである。
【0079】
図12は、本開示の実施形態3に係るタッチ入力装置100における第2の検出段階でのセンス信号の波形の一例を示す図である。図12の時間期間T4~T6は、図11の時間期間T4~T6のそれぞれに対応している。図12においては、図10と同様に、ドライブラインTX9とセンスラインRX5との交差領域がタッチされてドライブラインTX9とセンスラインRX5との交差部に設けられた静電容量Cに変化が生じている場合を示している。なお、センスラインRX5以外のセンスラインのセンス信号の波形は省略している。実施形態1と同様に、検出面2においてセンスラインRX5以外のセンスラインの配置領域はタッチされていないため、センスラインRX5以外のセンスラインにおいて、逆位相のドライブ信号の波形が正位相のドライブ信号の波形の和によって相殺され、受信部12は、当該センスラインから略ゼロの振幅を有するセンス信号を受信する。
【0080】
センスラインRX5についても、実施形態1と同様である。すなわち、時間期間T4およびT5において、ドライブラインTX9に出力された正位相のドライブ信号の波形(第2のドライブ信号の波形)が通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わるため、受信部12は、センスラインRX5から微小な振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値を超えていないことに基づき、第1のドライブライン(時間期間T4ではドライブラインTX7、時間期間T5ではドライブラインTX8)とセンスラインRX5との交差領域がタッチされていないことを検出する。また、時間期間T6において、ドライブラインTX9に出力された逆位相のドライブ信号の波形(第1のドライブ信号の波形)が通常よりも大きく減衰してセンスラインRX5に伝わるため、受信部12は、センスラインRX5から検出閾値以上の振幅を有するセンス信号を受信する。信号処理部1は、受信したセンス信号の振幅が検出閾値以上であることに基づき、第1のドライブラインであるドライブラインTX9とセンスラインRX5との交差領域がタッチされていることを検出する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係るタッチ入力装置100によれば、信号処理部1は、第1の検出段階において、一のブロックに含まれるm本のドライブラインの束をタッチ検出の対象としてタッチ検出処理を行い(すなわち、ブロック単位でタッチ検出処理を行い)、タッチ関連ブロックを特定する。そして、信号処理部1は、第2の検出段階において、タッチ関連ブロックに含まれるm本のドライブラインについて実施形態1と同様のタッチ検出処理を行う。これにより、タッチされている交差領域を特定するまでに要する時間期間の数(スキャン回数)を減らすことができ、応答特性を向上させることができる。図8図12の例では、第1の検出段階において3回のスキャンが行われ、第2の検出段階において3回のスキャンが行われることにより、タッチされている交差領域が特定される(総スキャン回数は6回)。9本のドライブライン全てをスキャンした場合と比較して、スキャン回数を2/3に削減することができる。
【0082】
また、ドライブラインの本数が増加するにしたがって、スキャン回数の削減が顕著となる。例えば、ドライブラインの本数が100の場合、ブロック数を10とし、各ブロックに含まれるドライブラインの本数を10とすると、総スキャン回数が20回となり、スキャン回数を1/5に削減することができる。
【0083】
また、第1の検出段階において、逆位相の第1のドライブ信号を複数本のドライブラインに出力するため、第1のドライブ信号の電圧を低く抑えることができる。
【0084】
[まとめ]
本開示の態様1に係るタッチ入力装置は、検出面に沿って互いに平行に設けられるM本(Mは3以上の整数)のドライブラインと、
前記検出面に沿って互いに平行に設けられると共に、前記M本のドライブラインと交差するN本(Nは2以上の整数)のセンスラインと、
前記M本のドライブラインと前記N本のセンスラインとの間に形成された(M×N)個の静電容量と、
前記M本のドライブラインのうちの少なくとも1本の第1のドライブラインに第1のドライブ信号を出力して、前記N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき前記少なくとも1本の第1のドライブラインと前記N本のセンスラインとの間の複数の静電容量の変化を検出する信号処理部であって、前記第1のドライブラインを順次変更して前記(M×N)個の静電容量の変化を検出する信号処理部と、を備え、
前記信号処理部は、前記少なくとも1本の第1のドライブラインに前記第1のドライブ信号を出力すると共に、前記M本のドライブラインのうちの前記第1のドライブライン以外の少なくとも2本の第2のドライブラインのそれぞれに前記第1のドライブ信号とは逆位相の第2のドライブ信号を出力し、
前記信号処理部は、前記第1のドライブ信号の振幅に前記第1のドライブラインの本数を乗算した第1の振幅合計と、前記第2のドライブ信号の振幅に前記第2のドライブラインの本数を乗算した第2の振幅合計とが略一致するように、前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号を出力する。
【0085】
本開示の態様2に係るタッチ入力装置は、上記態様1において、前記少なくとも1本の第1のドライブラインは、1本の第1のドライブラインであり、
前記信号処理部は、前記第1のドライブ信号の振幅が前記第2の振幅合計と略一致するように、前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号を出力する。
【0086】
本開示の態様3に係るタッチ入力装置は、上記態様1または2において、前記N本のセンスラインのうちの一のセンスラインと前記M本のドライブラインとの間のM個の静電容量のいずれにも変化がない場合、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号の振幅は、略ゼロである。
【0087】
本開示の態様4に係るタッチ入力装置は、上記態様1~3のいずれかにおいて、前記N本のセンスラインのうちの一のセンスラインと前記M本のドライブラインとの間のM個の静電容量のうちの一の静電容量に変化がある場合、前記M本のドライブラインのうちの前記一の静電容量を形成する一のドライブラインに前記第1のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号は、所定の閾値以上の振幅を有する。
【0088】
本開示の態様5に係るタッチ入力装置は、上記態様4において、前記一の静電容量に変化がある場合、前記M本のドライブラインのうちの前記一のドライブラインに前記第2のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号は、前記所定の閾値を超えない振幅を有する。
【0089】
本開示の態様6に係るタッチ入力装置は、上記態様4または5において、前記一の静電容量に変化がある場合、前記M本のドライブラインのうちの前記一のドライブラインに前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号のいずれも出力されておらず、且つ前記M本のドライブラインのうちのいずれかのドライブラインに前記第1のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号の振幅は、略ゼロである。
【0090】
本開示の態様7に係るタッチ入力装置は、上記態様2~6のいずれかにおいて、前記少なくとも2本の第2のドライブラインは、(M-1)本の第2のドライブラインである。
【0091】
本開示の態様8に係るタッチ入力装置は、上記態様2~7のいずれかにおいて、前記M本のドライブラインは、複数のブロックに分割されており、
前記複数のブロックのそれぞれは、前記M本のドライブラインのうちの3本以上のドライブラインを含んでおり、
前記信号処理部は、前記複数のブロックのうちの一のブロックに含まれる一のドライブラインを前記第1のドライブラインとして前記第1のドライブ信号を出力するとき、前記一のブロックに含まれる前記一のドライブライン以外の少なくとも2本のドライブラインのそれぞれを前記第2のドライブラインとして前記第2のドライブ信号を出力し、前記複数のブロックのうちの前記一のブロック以外の他のブロックに含まれるドライブラインには、前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号のいずれも出力しない。
【0092】
本開示の態様9に係るタッチ入力装置は、上記態様1において、前記M本のドライブラインは、複数のブロックに分割されており、
前記複数のブロックのそれぞれは、前記M本のドライブラインのうちの3本以上のドライブラインを含んでおり、
前記信号処理部は、前記複数のブロックのうちの一の対象ブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれを前記第1のドライブラインとして前記第1のドライブ信号を出力すると共に、前記複数のブロックのうちの前記対象ブロック以外の少なくとも2つのブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれを前記第2のドライブラインとして前記第2のドライブ信号を出力して、前記N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき前記対象ブロックに関する静電容量の変化を検出する第1の処理を、前記対象ブロックを順次変更して行い、
前記信号処理部は、前記対象ブロックに関する静電容量に変化があることを検出した場合、前記対象ブロックに含まれる一の対象ドライブラインを前記第1のドライブラインとして前記第1のドライブ信号を出力すると共に、前記対象ブロックに含まれる前記対象ドライブライン以外の少なくとも2本のドライブラインのそれぞれを前記第2のドライブラインとして前記第2のドライブ信号を出力して、前記N本のセンスラインのそれぞれから受信したセンス信号に基づき前記対象ドライブラインと前記N本のセンスラインとの間のN個の静電容量の変化を検出する第2の処理を、前記対象ドライブラインを順次変更して行う。
【0093】
本開示の態様10に係るタッチ入力装置は、上記態様9において、前記信号処理部は、前記対象ブロックに関する静電容量に変化があることを検出した場合において、前記対象ブロックに含まれる複数本のドライブラインがさらに複数のサブブロックに分割されている場合、前記複数のサブブロックを前記複数のブロックとして、前記対象ブロックを順次変更して前記第1の処理を行う。
【0094】
本開示の態様11に係るタッチ入力装置は、上記態様9または10において、前記信号処理部は、前記対象ブロックに含まれる複数本のドライブラインと前記N本のセンスラインとの間の複数の静電容量のいずれかに変化がある場合に、前記対象ブロックに関する静電容量に変化があることを検出する。
【0095】
本開示の態様12に係るタッチ入力装置は、上記態様9~11のいずれかにおいて、前記N本のセンスラインのうちの一のセンスラインと前記M本のドライブラインとの間のM個の静電容量のいずれにも変化がない場合、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号の振幅は、略ゼロである。
【0096】
本開示の態様13に係るタッチ入力装置は、上記態様9~12のいずれかにおいて、前記N本のセンスラインのうちの一のセンスラインと前記M本のドライブラインとの間のM個の静電容量のうちの一の静電容量に変化がある場合、前記M本のドライブラインのうちの前記一の静電容量を形成する一のドライブラインを含むブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれに前記第1のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号は、所定の閾値以上の振幅を有する。
【0097】
本開示の態様14に係るタッチ入力装置は、上記態様13において、前記一の静電容量に変化がある場合、前記一のドライブラインを含むブロックに含まれる複数本のドライブラインのそれぞれに前記第2のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号は、前記所定の閾値を超えない振幅を有する。
【0098】
本開示の態様15に係るタッチ入力装置は、上記態様13または14において、前記一の静電容量に変化がある場合、前記一のドライブラインを含むブロックに含まれる複数本のドライブラインに前記第1のドライブ信号および前記第2のドライブ信号のいずれも出力されておらず、且つ前記M本のドライブラインのうちのいずれかのドライブラインに前記第1のドライブ信号が出力されている間、前記一のセンスラインから受信する前記センス信号の振幅は、略ゼロである。
【0099】
本開示の態様16に係る表示装置は、上記態様1~15のいずれかに記載のタッチ入力装置を備える。
【0100】
上述の実施形態および実施例は、例示および説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。これら例示および説明に基づけば、多くの変形形態が可能になることが、当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0101】
1 信号処理部
2 検出面
11 送信部
12 受信部
21 ドライブ電極パターン
22 センス電極パターン
100 タッチ入力装置
TX1~TXM ドライブライン
RX1~RXN センスライン
C 静電容量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12