(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001215
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】デジタル印刷システムのための制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
B41J2/01 101
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176711
(22)【出願日】2023-10-12
(62)【分割の表示】P 2021197745の分割
【原出願日】2013-03-05
(31)【優先権主張番号】61/606,913
(32)【優先日】2012-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/611,547
(32)【優先日】2012-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/624,896
(32)【優先日】2012-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/641,288
(32)【優先日】2012-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/642,445
(32)【優先日】2012-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2012/056100
(32)【優先日】2012-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2013/050245
(32)【優先日】2013-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(71)【出願人】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ランダ,ベンジオン
(72)【発明者】
【氏名】ザーミ,ニール
(72)【発明者】
【氏名】ケレン,アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】シマン-トフ,アロン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】紙などの繊維性基板は特殊コーティングを要求する。しかしながら、特殊コーティングされた基板を使用することは、一定の印刷用途、特に商業用印刷に適していない費用のかかる選択肢である。その上、コーティングされた基板の使用は、例えば積み重ねられるかロールに巻かれる際に、後で汚されないように、追加の費用や時間のかかるステップがインクを乾燥するために必要とされる。その上、基板の過度の湿潤は両面上の印刷を困難にさせる。
【解決手段】本発明の実施形態は、例えば中間転写部材(ITM)を備える、印刷システムのための制御装置および方法に関する。いくつかの実施形態は、ITMの速度および/または張力および/または長さの調整に関する。いくつかの実施形態は、移動するITM上へのインクの堆積の調整に関する。いくつかの実施形態は、ユーザにITMの動作に関連した1つ以上の事象を警告するように構成された装置に関する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク画像が、画像形成ステーションにおける移動する中間転写部材上に形成され、前記中間転写部材から印圧ステーションにおける基板に転写される、印刷システムを動作する方法であって、
(i)前記画像形成ステーションと整列された位置で一定の中間転写部材表面速度を維持するように、および(ii)前記画像形成ステーションから間隔を置かれた位置だけにおける可変速度を、時間の少なくとも一部、得るために、前記画像形成ステーションから間隔を置かれた前記位置における前記中間転写部材の部分だけを局所的に加減速するように、
前記中間転写部材の前記表面速度の時間による変化を制御することを含む、方法。
【請求項2】
i.前記移動する中間転写部材は、前記インク画像を前記中間転写部材から基板に転写するために、周期的に、前記印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、前記印圧シリンダーから係合解除され、
ii.前記加減速は、(i)係合の期間に前記中間転写部材の予め決定された区分が前記印圧シリンダーと整列されることを防ぐように、および/または(ii)前記中間転写部材の予め決定された区分と前記印圧シリンダーの予め決定された位置との間の同期を改善するように、行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間転写部材の前記予め決定された区分は、ブランケットの継ぎ目であり、および/または前記印圧シリンダーの前記予め決定された区分は、基板把持部を受け入れる前記印圧シリンダーにおける間隙である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加減速は、前記インク画像が転写される前記印圧ステーションの上流や下流に配列される上流および下流の動力付きのダンサーによって実行される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記上流のダンサーの下流のおよび前記下流のダンサーの上流の領域における前記中間転写部材の部分だけが、加速されるか減速される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
i.前記移動する中間転写部材は、前記画像形成ステーションの上流や下流に配列された上流および下流ローラの上に取り付けられた可撓性ベルトを備え、前記上流および下流ローラは、前記可撓性ベルトの上部および下部走行部を定義し、
ii.前記可撓性ベルトの前記下部走行部は、1つ以上のゆるみ部分(複数可)を含み、
iii.前記ローラによって前記ベルトに加えられるトルクは、前記下部走行部における機械振動から前記上部走行部を実質的に隔離するように、前記上部走行部をピンと張って維持する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
i.前記移動する中間転写部材は、前記中間転写部材から基板に前記インク画像を転写するために、周期的に、前記印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、前記回転する印圧シリンダーから係合解除され、
ii.前記印圧ステーションにおける前記中間転写部材の前記表面速度は、前記係合の期間に前記回転する印圧シリンダーの線形表面速度に一致し、前記中間転写部材の前記加減速は、係合解除の期間にだけ行われる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
i.前記移動する中間転写部材は、前記中間転写部材から基板に前記インク画像を転写するために、周期的に、前記印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、その回転する印圧シリンダーから係合解除され、
ii.前記方法は、(i)前記移動する中間転写部材に付されたロケータ・ポイントと、(ii)前記回転する印圧シリンダーの位相との間の位相差を監視することを更に含み、
iii.前記中間転写部材の部分だけの局所的な加速は、前記位相差の監視の結果に応答して実行される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ロケータ・ポイントは、前記中間転写部材上のマーカの位置にまたはその側方形成物に対応する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
印刷システムであって、
a.中間転写部材と、
b.画像形成ステーションであって、前記中間転写が移動する際に前記中間転写部材の表面上にインク画像を形成してインク画像がその上で印圧ステーションに移送されるように構成された、画像形成ステーションと、
c.速度コントローラであって、
(i)一定の中間転写部材表面速度を前記画像形成ステーションと整列された位置で維持するように、および
(ii)前記画像形成ステーションから間隔を置かれた位置だけにおける可変速度を、時間の少なくとも一部、得るために、前記画像形成ステーションから間隔を置かれた前記位置における前記中間転写部材の部分だけを局所的に加減速するように、前記中間転写部材の前記表面速度の時間による変化を制御するように構成された、速度コントローラと、を備える、印刷システム。
【請求項11】
i.前記移動する中間転写部材は、前記中間転写部材から基板に前記インク画像を転写するために、周期的に、前記印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、前記回転する印圧シリンダーから係合解除され、
ii.前記速度コントローラは、(i)係合の期間に、前記中間転写部材の予め決定された区分が、前記印圧シリンダーと整列されることを防ぐように、および/または(ii)前記中間転写部材の予め決定された区分と前記印圧シリンダーの予め決定された位置との間の同期を改善するように、前記加減速を行うように構成される、請求項10に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記中間転写部材の前記予め決定された区分はブランケットの継ぎ目であり、および/または前記印圧シリンダーの前記予め決定された区分は、基板把持部を受け入れる前記印圧シリンダーにおける間隙である、請求項11に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記加減速は、前記インク画像が転写される前記印圧ステーションの上流や下流に配列された上流および下流の動力付きのダンサーによって実行される、請求項10~12のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項14】
前記上流のダンサーの下流のおよび前記下流のダンサーの上流の領域における前記中間転写部材の部分だけが、加速されるか減速される、請求項13に記載の印刷システム。
【請求項15】
i.前記移動する中間転写部材は、前記画像形成ステーションの上流や下流に配列された上流および下流ローラの上に取り付けられた可撓性ベルトを備え、前記上流および下流ローラは、前記可撓性ベルトの上部および下部走行部を定義し、
ii.前記可撓性ベルトの前記下部走行部は、1つ以上のゆるみ部分(複数可)を含み、
iii.前記ローラによって前記ベルトに加えられるトルクは、前記下部走行部における機械振動から前記上部走行部を実質的に隔離するように、前記上部走行部をピンと張って維持する、請求項10~14のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項16】
i.前記移動する中間転写部材は、前記中間転写部材から基板に前記インク画像を転写するために、周期的に、前記印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、前記回転する印圧シリンダーから係合解除され、
ii.前記システムおよび/または速度コントローラは、(i)前記移動する中間転写部材に付されたロケータ・ポイントと、(ii)前記回転する印圧シリンダーの位相との間の位相差を監視するように構成された電子回路を更に備え、
iii.前記速度コントローラは、前記位相差の監視の結果に応答して、前記中間転写部材の部分だけの前記局所的な加速を行うように構成される、請求項10~15のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項17】
前記ロケータ・ポイントは、前記中間転写部材上のマーカの位置にまたはその側方形成物に対応する、請求項16に記載の印刷システム。
【請求項18】
印刷システムであって、
a.可撓性ベルトを備える中間転写部材と、
b.前記中間転写が移動する際に前記中間転写部材の表面上にインク画像を形成してインク画像がその上で印圧ステーションに移送されるように構成された画像形成ステーションと、
c.前記画像形成ステーションを通過する上部走行部と前記印圧ステーションを通過する下部走行部とを定義するために前記画像形成ステーションの上流や下流に配列された上流および下流ローラと、
d.前記印圧ステーションにおける印圧シリンダーであって、前記移動する中間転写部材から、前記中間転写部材と前記印圧シリンダーとの間を通過する基板に前記インク画像を転写するために、周期的に、前記中間転写部材に係合され、また、前記中間転写部材から係合解除される、印圧シリンダーと、を備え、前記システムは、
i.前記周期的な係合が、前記ベルトの前記下部走行部におけるゆるみ部分内に機械振動を誘発するように、ならびに
ii.前記上流および下流ローラによって前記ベルトに加えられるトルクが、前記下部走行部における前記機械振動から前記上部走行部を実質的に隔離するよう前記上部走行部をピンと張って維持するように構成される、印刷システム。
【請求項19】
前記下流ローラは、前記上流ローラよりも前記ベルトに対して著しく強いトルクを持続させるように構成される、請求項18に記載の印刷システム。
【請求項20】
係合の期間にインク画像が、移動する中間転写部材の表面から、回転する印圧シリンダーと前記中間転写部材との間に位置する基板に転写されるように、周期的に、前記印圧シリンダーに係合され、また、前記印圧シリンダーから係合解除される前記移動する中間転写部材を有する印刷システムを動作する方法であって、前記方法は、
a.係合の期間に、前記回転する印圧シリンダーと同じ表面速度で前記中間転写部材を移動することと、
b.(i)係合の期間に、前記中間転写部材の予め決定された区分が前記印圧シリンダーと整列されることを防ぐように、および/または(ii)前記中間転写部材の予め決定された区分と前記印圧シリンダーの予め決定された位置との間の同期を改善するように、係合解除の期間に、前記移動する中間転写部材、あるいはその一部の表面速度を増やすことか減らすことと、を含む、方法。
【請求項21】
前記中間転写部材の前記予め決定された区分はブランケットの継ぎ目であり、および/または前記印圧シリンダーの前記予め決定された区分は、基板把持部を受け入れる前記印圧シリンダーにおける間隙である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(i)前記中間転写部材は、複数のローラの上に取り付けられた可撓性ベルトを備え、(ii)前記ローラの少なくとも1つは駆動ローラであり、(iii)前記中間転写部材の前記加速または減速は、前記係合解除の期間に前記駆動ローラの1つ以上の回転スピードを増やすことか減らすことによって行われる、請求項20~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記中間転写部材の一部だけの表面速度が、係合解除の期間に増やされるか減らされる、請求項20~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
i.前記中間転写部材は、可撓性ベルトを備え、
ii.前記印刷システムは、前記ベルトと前記印圧シリンダーとの間のニップの上流や下流に配列された上流および下流の動力付きのダンサーを含み、
iii.前記係合解除の期間に、前記上流および下流のダンサーの動きは、前記上流のダンサーの下流にあり前記下流のダンサーの上流にある前記ニップを含む領域における前記中間転写部材の一部だけを局所的に加速し、その後減速し、それによって、前記中間転写部材の事前に予め決定された区分を加減速する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記中間転写部材の全体の表面速度は、係合解除の期間に増やされるか減らされる、請求項20~22のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
(i)前記移動する中間転写部材に付されたロケータ・ポイントと、(ii)前記回転する印圧シリンダーの位相との間の位相差を監視することを更に含み、係合解除の期間に前記中間転写部材の前記表面速度を前記増やすことまたは減らすことは、前記位相差の監視の結果に応答して実行される、請求項20~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記ロケータ・ポイントは、前記中間転写部材上のマーカの位置にまたはその側方形成物に対応する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(i)前記中間転写部材は、可撓性ベルトを備え、(ii)前記方法は、前記可撓性ベルトの変動する長さを監視することを更に含み、(iii)係合解除の期間に前記中間転写部材の前記速度を前記増やすことまたは減らすことは、前記長さの監視の結果に応答して実行される、請求項20~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
印刷システムであって、
a.中間転写部材と、
b.前記中間転写部材が動いている間に、前記中間転写部材の表面上にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、
c.回転する印圧シリンダーであって、係合の期間に前記インク画像が、前記回転する中間転写部材の前記表面から、前記印圧シリンダーと前記中間転写部材との間に位置する基板に転写されるように、周期的に、前記回転する中間転写部材に係合され、また、前記回転する中間転写部材から係合解除されるように構成された、回転する印圧シリンダーと、
d.コントローラであって、
i.係合の期間に、前記中間転写部材が、前記回転する印圧シリンダーと同じ表面速度で移動するように、ならびに
ii.係合解除の期間に、前記中間転写部材の前記表面速度、またはそれらの一部が、
A.係合の期間に、前記中間転写部材の予め決定された区分が前記印圧シリンダーと整列されることを防ぐように、および/または
B.前記中間転写部材の予め決定された区分と前記印圧シリンダーの予め決定された位置との間の同期を改善するように、増やされるか減らされるように、前記中間転写部材の運動を調整するように構成された、コントローラと、を備える、印刷システム。
【請求項30】
前記中間転写部材の前記予め決定された区分はブランケットの継ぎ目であり、および/または前記印圧シリンダーの前記予め決定された区分は、基板把持部を受け入れる前記印圧シリンダーにおける間隙である、請求項29に記載の印刷システム。
【請求項31】
(i)前記中間転写部材は、複数のローラの上に取り付けられた可撓性ベルトを備え、(ii)前記ローラの少なくとも1つは駆動ローラであり、(iii)前記コントローラは、前記係合解除の期間に前記駆動ローラの1つ以上の回転スピードを増やすことまたは減らすことによって前記中間転写部材を加速するか減速するように構成される、請求項29~30のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項32】
前記コントローラは、係合解除の期間に前記中間転写部材の一部だけの前記表面速度を増やすか減らすように構成される、請求項29~31のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項33】
i.前記中間転写部材は、複数のローラの上に取り付けられた可撓性ベルトを備え、
ii.前記印刷システムは、前記ベルトと前記印圧シリンダーとの間のニップの上流や下流に配列された上流および下流の動力付きのダンサーを更に備え、
iii.前記コントローラは、前記係合解除の期間に、前記上流および下流のダンサーが、事前に前記予め決定された区分を含む前記ベルトの部分を局所的に加速し、その後減速するように移動されるように、前記ダンサーと関連付けられる、請求項32に記載の印刷システム。
【請求項34】
前記コントローラは、係合解除の期間に前記中間転写部材の全体の前記表面速度を増やすか減らすように構成される、請求項29~31のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項35】
(i)前記移動する中間転写部材に付された移動するロケータ・ポイントと、(ii)前記回転する印圧シリンダーの位相との間の位相差を監視するように構成された電子回路を更に備え、前記コントローラは、前記位相差の監視の結果に応答して係合解除の期間に前記中間転写部材の前記表面速度を増やすか減らす、請求項29~34のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項36】
前記ロケータ・ポイントは、前記中間転写部材上のマーカの位置にまたはその側方形成物に対応する、請求項35に記載の印刷システム。
【請求項37】
(i)前記中間転写部材は可撓性ベルトであり、(ii)前記システムは、前記可撓性ベルトの変動する長さを監視するように構成された電子回路を更に備え、(iii)前記コントローラは、前記長さの監視の結果に応答して係合解除の期間に前記中間転写部材のまたはそれの一部の前記表面速度を増やすか減らす、請求項29~36のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項38】
前記回転する印圧シリンダーは、前記移動する中間転写部材とは独立して駆動される、請求項10~19または29~37のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項39】
印刷システムを動作する方法であって、インク画像が、移動する可撓性ブランケットの上へのインクの堆積によって形成され、その後、前記ブランケットから基板に転写され、前記方法は、
a.前記移動するブランケットの不均一な伸張の一時的変動を監視することと、
b.前記監視の結果に応答して、前記移動するブランケット上に形成された前記インク画像の、前記ブランケットの不均一な伸張によって引き起こされた、歪みの重大さを排除するか低減するように、前記ブランケットの上への前記インクの前記堆積を調整することと、を含む、方法。
【請求項40】
前記インクの前記堆積のタイミングは、前記監視の前記結果に応答して調整される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
印刷システムであって、
a.可撓性ブランケットと、
b.前記ブランケットが移動する間に、前記ブランケットの表面の上へのインク液滴の堆積によって、前記ブランケットの前記表面の上にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、
c.前記移動するブランケットの前記表面から基板に前記インク画像を転写するように構成された転写ステーションと、
d.前記移動するブランケット上に形成された前記インク画像の歪みの重大さを排除するか低減するよう、前記ブランケットの不均一な伸張の一時的変動を監視し、前記一時的変動の前記監視の結果に従って、前記ブランケットの上への前記インク液滴の前記堆積を調整するように構成された電子回路と、を備える、印刷システム。
【請求項42】
前記インク液滴の前記堆積のタイミングは、前記監視の前記結果に応答して前記電子回路によって調整される、請求項41に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、以下の特許出願、すなわち、2012年3月5日に出願された米国仮特許出願第61/606,913号、2012年3月15日に出願された米国仮特許出願第US61/611,547号、2012年4月16日に出願された米国仮特許出願61/624,896号、2012年5月1日に出願された米国仮特許出願US61/641,288号、2012年5月3日に出願された米国仮特許出願61/642445号、2012年11月1日に出願された国際出願PCT/IB2012/056100号、および2013年1月10日に出願された国際出願PCT/IB2013/050245号の優先権を主張するものであり、それらの全ては、それらの全体が本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、デジタル印刷システムのための制御装置および方法に関するものである。特に、本発明は、中間転写部材を使用する間接印刷システムに適している。
【背景技術】
【0003】
プリンタが、印刷プレートを準備する必要無く、コンピュータから直接的に命令を受信することを可能にするデジタル印刷技法が開発されている。これらのうちで、電子写真工程を使用するカラーレーザープリンタがある。乾燥トナーを使用するカラーレーザープリンタは、一定用途に適しているが、それらは、雑誌などの出版物に許容可能な写真品質の画像を作り出さない。
【0004】
短期の高品質デジタル印刷により一層適した工程は、HP‐Indigoプリンタにおいて使用されている。この工程では、静電画像が、レーザー光への露出によって帯電した画像受けシリンダー上に作り出される。静電電荷は、画像受けシリンダー上にカラーインク画像を形成するように油性インクを引き寄せる。インク画像は、次いで、ブランケットシリンダーによって紙または任意の他の基板の上に転写される。
【0005】
インクジェットおよびバブルジェット(登録商標)工程は、普通、家庭やオフィスのプリンタにおいて使用される。これらの工程では、インクの液滴が、画像パターンで最終基板の上に吹き付けられる。一般に、そのような工程の解像度は、紙基板の中へのインクの吸い上げに起因して限定される。従って、基板は、一般に、使用されている特定のインクジェット印刷機構の特殊な特性に適するように選択されるか適合される。紙などの繊維性基板は、一般に、制御されたやり方で液体インクを吸収するように、または基板の表面の下へのそれの浸透を防ぐように、設計された特殊コーティングを要求する。しかしながら、特殊コーティングされた基板を使用することは、一定の印刷用途、特に商業用印刷に適していない、費用のかかる選択肢である。その上、コーティングされた基板の使用は、基板の表面が湿潤なままであり、それが、基板が取り扱われる、例えば積み重ねられるかロールに巻かれる際に、後で汚されないように、追加の費用のかかるステップや時間のかかるステップが、インクを乾燥するために必要とされるという点で、それ自体の問題を生み出す。その上、基板の過度の湿潤は、しわを引き起こし、不可能ではない場合、(両面刷りまたはデュープレックス印刷とも呼ばれる)基板の両面上の印刷を困難にさせる。
【0006】
その上、多孔性紙または他の繊維性材料の上への直接的なインクジェット印刷は、プリントヘッドと基板の表面との間の距離の変化が原因で、劣悪な画像品質を結果としてもたらす。
【0007】
間接またはオフセット印刷技法の使用は、基板の上への直接的なインクジェット印刷と関連付けられた多くの問題を克服する。それは、中間画像転写部材の表面とインクジェットプリントヘッドとの間の距離が、一定に維持されることを可能にし、インクが、基板に塗布される前に中間画像部材上で乾燥され得るように、基板の湿潤を減らす。その結果として、基板上の最終的な画像品質は、基板の物理的性質によって受ける影響が少ない。
【0008】
また、間接インクジェット印刷工程を使用する種々の印刷デバイスも以前に提案されており、この工程は、インクジェットプリントヘッドが画像を中間転写部材の表面の上に印刷するために使用される工程であり、その中間転写部材は、次いで、画像を基板の上に転写するために使用される。中間転写部材は、本明細書においてブランケットとも呼ばれる、剛性ドラムまたは(例えば、ローラの上に誘導されたか、剛性ドラムの上に取り付けられた)可撓性ベルトであり得る。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、デジタル印刷システム、例えば、移動する中間転写部材(ITM)、例えば、複数のローラ(例えば、ベルト)の上に取り付けられた可撓性ITM(例えば、ブランケット)あるいは剛性ドラムの上に取り付けられた可撓性ITM(例えば、ドラムに取り付けられたブランケット)を有するデジタル印刷システムのための制御方法および装置に関するものである。
【0010】
インク画像は、(例えば、画像形成ステーションでの液滴堆積によって)移動するITMの表面上に形成され、その後、基板に転写される。インク画像を基板に転写するために、基板は、少なくとも1つの印圧(impression)シリンダーと、インク画像が位置する移動するITMの領域との間で押し付けられ、その時点で、(印圧ステーションとも呼ばれる)転写ステーションが係合されると言われる。
【0011】
複数のローラの上に取り付けられた可撓性ITMの場合、印圧ステーションは、典型的には、印圧シリンダーに加えて、圧力シリンダーまたはローラを備え、それの外部表面は、任意選択的に圧縮可能であり得る。可撓性ブランケットまたはベルトは、選択的に係合され得るか係合解除され得るそのような2つのシリンダー間において、典型的には、その2つの間の距離が減らされるか増やされるときに、通過する。2つのシリンダーの1つは、空間に固定された位置にある可能性があり、もう一方は、それの方へまたはそれから離れて移動する(例えば、圧力シリンダーが移動可能であるか、または印圧シリンダーが移動可能である)か、あるいは、2つのシリンダーは、他方の方へまたは他方から離れてそれぞれ移動し得る。剛性ITMの場合、ドラム(そのドラム上に、ブランケットが任意選択的に取り付けられ得る)は、印圧シリンダーに係合するか印圧シリンダーから係合解除する第2のシリンダーを構成する。
【0012】
可撓性ITMの場合、ITMの運動は、ローラの中間の区分において線形であり得るか、そのようなローラの上を通過するときに回転し得る。ドラム形状または支持体を有する剛性ITMの場合、ITMの運動は回転である。いずれの場合も、画像形成ステーションから印圧ステーションへのインク画像の動きが、印刷方向を定義する。文脈が別段明確に示さない限り、下記に使用され得るような上流や下流という用語は、印刷方向に対する位置に関する。
【0013】
いくつかの実施形態は、(i)画像形成ステーションと整列された位置で中間転写部材の一定の表面速度を維持するように、および(ii)画像形成ステーションから間隔を置かれた位置だけにおける可変速度を、時間の少なくとも一部、得るために画像形成ステーションから間隔を置かれた位置における中間転写部材の部分だけを局所的に加減速するように、ITMの表面速度の時間による変化を制御する方法に関する。
【0014】
一例では、ITMおよび印圧シリンダーのそれぞれは、それぞれの円周の不連続性を含み、例えば、(i)ITMは、平坦で可撓性の細長いブランケット片の両端が無端ベルトを形成するように互いに固定される継ぎ目位置を含み得、(ii)印圧シリンダーは、印圧シリンダーの円周を遮る(例えば、把持部を受け入れるための)シリンダー間隙を含み得る。いくつかの実施形態では、(i)ITMの継ぎ目位置が印圧シリンダーと整列されるとき、および/または(ii)印圧シリンダーにおける間隙がITMと整列されるとき、ITMが印圧シリンダーに係合される状況を避けることが望ましい。代わりに、(i)ITMの継ぎ目位置が印圧シリンダー間隙と整列されるように、および/または(ii)印圧シリンダーにおける間隙が係合解除の期間にITMと整列されるように、動作することが好適である。
【0015】
一般的に言うと、システムが、(i)ITMの円周および(ii)印圧シリンダーの円周が、固定され、正の整数に等しいように構成される場合、この結果を実現することが可能である。印圧シリンダーが基板のn個のシートを受け入れることができる印刷システムでは、ITMの円周は、印圧シリンダーの円周の1/nの正の整数に設定され得る。
【0016】
とは言え、一定の状況では、ITMの円周または「長さ」は、例えば、温度変化にまたは材料疲労に起因してあるいは任意の他の理由のために、時間変動し得る。
【0017】
上記のように、いくつかの実施形態では、画像形成ステーションから間隔を置かれた位置だけにおける可変速度を、時間の少なくとも一部、得るために画像形成ステーションから間隔を置かれた位置における中間転写部材の部分だけを局所的に加減速することが可能である。それ故、ITMの部分の表面速度を一時的に局所的に修正するための局所的な加減速は、(i)(例えば、ITMの円周の正の整数倍に等しい)所望の値または設定点値からのITMの円周/長さの偏りについて正すように、ならびに/あるいは(ii)係合の期間に、ITMと印圧シリンダーとの間のニップとのITMの継ぎ目または印圧シリンダーの間隙の整列を避けるように、実行され得る。
【0018】
ITMの部分の表面速度のそのような一時的および局所的な修正は、典型的には、ITMが印圧シリンダーと係合されないときに行われる。ITMが印圧シリンダーに一旦再び係合すると、ITMの表面速度が回転する印圧シリンダーの表面速度に、もう一度、一致するように、動作を再開することが可能であり、その時点で、それらは、「タンデム式に」移動すると言われ得る。
【0019】
ITMが、複数のローラの上に取り付けられた可撓性ベルトを含む場合には、ITMが印圧シリンダーから係合解除されるときにローラ(複数可)の1つ以上の回転スピードを一時的に増やすか減らすことは、ITMを加速(例えば、局所的に加速)し得るか減速し得る。
【0020】
あるいはまたは加えて、いくつかの実施形態では、動力付きの張力ローラまたはダンサーは、ITMと印圧シリンダーとの間のニップの両側上に配置される。ローラの一時的加速または減速が、ゆるみをニップの一方側上に蓄積させる場合には、張力はニップの他側上に蓄積する。反対方向にダンサーを移動させることによって、そのゆるみを補償することが可能である。
【0021】
上記のように、いくつかの実施形態では、ITMと印圧シリンダーとの間の係合解除の期間に継ぎ目がITMと印圧シリンダーとの間のニップを通過する際に、継ぎ目が印圧シリンダーのシリンダー間隙と整列されるように、ITMの円周が、印圧シリンダーの円周の整数倍であることが望ましい。ITMの円周が増えるか減る場合、ITM全体またはそれらの一部(例えば、継ぎ目を含む部分)を加速するか減速することによって、ITMの継ぎ目とシリンダー間隙との間の位相同期を維持することが可能である。
【0022】
あるいはまたは加えて、例えば、上にITMが、互いに対して取り付けられる1つ以上のローラを移動させることによって、(例えば、可撓性ベルトを含む)ITMを伸張させるか、ベルトを収縮させることが可能であり得る。それ故、本発明のいくつかの実施形態は、制御方法および装置に関するものであり、それによって、(i)ITMの円周の長さは、固定されておらず、時間変動し、(ii)この円周の長さは、印圧シリンダーの円周の整数倍に等しい設定点の長さに調整される。ITMの円周の長さの調整は、上にITMが取り付けられる任意の組のローラ間の距離を増やすことまたは減らすことによって行われ得る。
【0023】
上記のように、いくつかの実施形態は、ITMが可撓性ベルトを備えるデジタル印刷システムに関する。いくつかの実施形態では、可撓性ベルトの長さまたはその一部の長さは、時間変動し得、ここで、変動の大きさは、可撓性ベルトの物理的構造に依存し得る。いくつかの実施形態では、ベルトの伸張および収縮は、不均一であり得る。
【0024】
インク画像が、可撓性ベルトを備えるITMの上へのインク液滴の堆積によって、ITM上に形成されるシステムにおいて、(i)可撓性ベルトを備えるITMの不均一な伸張の一時的変動を監視し、(ii)監視された一時的変動に従って、インク液滴の堆積のタイミングを調整することは有利であることがここで開示される。
【0025】
ITMの不均一な伸張は、そのITM上に形成されるインク画像を歪め得ることが、ここで開示される。この現象を測定し補償することによって、この画像歪みを低減するか排除することが可能である。
【0026】
印刷システムを動作する方法であって、インク画像が、画像形成ステーションで移動する中間転写部材上に形成され、印圧ステーションで中間転写部材から基板に転写され、当該方法は、(i)画像形成ステーションと整列された位置で一定の中間転写部材の表面速度を維持するように、また、(ii)画像形成ステーションから間隔を置かれた位置だけにおける可変速度を、時間の少なくとも一部、得るために、画像形成ステーションから間隔を置かれた位置における中間転写部材の部分だけを局所的に加減速するように、中間転写部材の表面速度の時間による変化を制御することを含む、方法が、ここで開示される。
【0027】
いくつかの実施形態では、i.移動する中間転写部材は、インク画像を中間転写部材から基板に転写するために、周期的に、印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、その印圧シリンダーから係合解除され、ii.加速や減速は、(i)係合の期間に中間転写部材の予め決定された区分が印圧シリンダーと整列されることを防ぐように、および/または(ii)中間転写部材の予め決定された区分と印圧シリンダーの予め決定された位置との間の同期を改善するように、行われる。
【0028】
いくつかの実施形態では、中間転写部材の予め決定された区分はブランケットの継ぎ目であり、および/または印圧シリンダーの予め決定された区分は、基板把持部を受け入れる印圧シリンダー内の間隙である。
【0029】
いくつかの実施形態では、加速や減速は、インク画像が転写される印圧ステーションの上流や下流に配列された上流および下流の動力付きのダンサーによって実行される。
【0030】
いくつかの実施形態では、上流のダンサーの下流にあるおよび下流のダンサーの上流にある領域内の中間転写部材の部分だけが、加速されるか減速される。
【0031】
いくつかの実施形態では、i.移動する中間転写部材は、画像形成ステーションの上流や下流に配列された上流および下流ローラの上に取り付けられた(例えば、強固に取り付けられた)可撓性ベルトを備え、上流および下流ローラは、可撓性ベルトの上部および下部走行部を定義し、ii.可撓性ベルトの下部走行部は、1つ以上のゆるみ部分(複数可)を含み、iii.ローラによってベルトに加えられるトルクは、上部走行部を下部走行部における機械振動から実質的に隔離するように、上部走行部をピンと張って維持する。
【0032】
いくつかの実施形態では、i.移動する中間転写部材は、インク画像を中間転写部材から基板に転写するために、周期的に、印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、その印圧シリンダーから係合解除され、ii.印圧ステーションにおける中間転写部材の表面速度は、係合の期間に回転する印圧シリンダーの線形表面速度に一致し、中間転写部材の加減速は、係合解除の期間にだけ行われる。
【0033】
いくつかの実施形態では、i.移動する中間転写部材は、インク画像を中間転写部材から基板に転写するために、周期的に、印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、その印圧シリンダーから係合解除され、ii.方法は、(i)移動する中間転写部材に付されたロケータ・ポイントと、(ii)回転する印圧シリンダーの位相との間の位相差を監視することを更に含み、iii.中間転写部材の部分だけの局所加速が、位相差の監視の結果に応答して実行される。
【0034】
いくつかの実施形態では、ロケータ・ポイントは、中間転写部材上のマーカの位置にまたはその側方形成物に対応する。
【0035】
印刷システムであって、a.中間転写部材と、b.中間転写が移動する際に、中間転写部材の表面上にインク画像を形成してインク画像がその上で印圧ステーションに移送されるように構成された画像形成ステーションと、c.(i)画像形成ステーションと整列された位置で中間転写部材の一定の表面速度を維持するように、また、(ii)画像形成ステーションから間隔を置かれた位置だけにおける可変速度を、時間の少なくとも一部、得るために、画像形成ステーションから間隔を置かれた位置における中間転写部材の部分だけ局所的に加減速するように、中間転写部材の表面速度の時間による変化を制御するように構成された速度コントローラと、を備える、印刷システムが、ここで開示される。
【0036】
いくつかの実施形態では、i.移動する中間転写部材は、インク画像を中間転写部材から基板に転写するために、周期的に、印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、その印圧シリンダーから係合解除され、ii.速度コントローラは、(i)係合の期間に、中間転写部材の予め決定された区分が印圧シリンダーと整列されることを防ぐように、および/または(ii)中間転写部材の予め決定された区分と印圧シリンダーの予め決定された位置との間の同期を改善するように、加減速を行うように構成される。
【0037】
いくつかの実施形態では、中間転写部材の予め決定された区分はブランケットの継ぎ目であり、および/または印圧シリンダーの予め決定された区分は、基板把持部を受け入れる印圧シリンダー内の間隙である。
【0038】
いくつかの実施形態では、加減速は、インク画像が転写される印圧ステーションの上流や下流に配列された上流および下流の動力付きのダンサーによって実行される。
【0039】
いくつかの実施形態では、上流のダンサーの下流のおよび下流のダンサーの上流の領域内の中間転写部材の部分だけが、加速されるか減速される。
【0040】
いくつかの実施形態では、i.移動する中間転写部材は、画像形成ステーションの上流や下流に配列された上流および下流ローラの上に取り付けられた(例えば、強固に取り付けられた)可撓性ベルトを備え、上流や下流ローラは、可撓性ベルトの上部および下部走行部を定義し、ii.可撓性ベルトの下部走行部は、1つ以上のゆるみ部分(複数可)を含み、iii.ローラによってベルトに加えられるトルクは、上部走行部を下部走行部における機械振動から実質的に隔離するように、上部走行部をピンと張って維持する。
【0041】
いくつかの実施形態では、i.移動する中間転写部材は、インク画像を中間転写部材から基板に転写するために、周期的に、印圧ステーションにおける回転する印圧シリンダーに係合され、また、その印圧シリンダーから係合解除され、ii.システムおよび/または速度コントローラは、(i)移動する中間転写部材に付されたロケータ・ポイントと、(ii)回転する印圧シリンダーの位相との間の位相差を監視するように構成された電子回路を更に備え、iii.速度コントローラは、位相差の監視の結果に応答して中間転写部材の部分だけの局所加速を行うように構成される。いくつかの実施形態では、ロケータ・ポイントは、中間転写部材上のマーカの位置にまたはその側方形成物に対応する。
【0042】
印刷システムであって、a.可撓性ベルト(例えば、無端ベルト)を備える中間転写部材と、b.中間転写が移動する際、中間転写部材の表面上にインク画像を形成してインク画像がその上で印圧ステーションに移送されるように構成された画像形成ステーションと、c.画像形成ステーションを通過する上部走行部と印圧ステーションを通過する下部走行部とを定義するために画像形成ステーションの上流や下流に配列された上流および下流ローラと、d.移動する中間転写部材から、中間転写部材と印圧シリンダーとの間を通過する基板にインク画像を転写するために、周期的に、中間転写部材に係合され、また、中間転写部材から係合解除される印圧ステーションにおける印圧シリンダーと、を備え、当該システムは、i.周期的な係合が、ベルトの下部走行部におけるゆるみ部分内に機械振動を誘発するように、また、ii.上流および下流ローラによってベルトに加えられるトルクが、上部走行部を下部走行部における機械振動から実質的に隔離するよう上部走行部をピンと張って維持するように、構成される、印刷システムが、ここで開示される。
【0043】
いくつかの実施形態では、下流ローラは、上流ローラよりも著しく強い、ベルトに対するトルクを持続させるように構成される。
【0044】
係合の期間に、インク画像が、移動する中間転写部材の表面から、印圧シリンダーと中間転写部材との間に位置する基板に転写されるように、周期的に、回転する印圧シリンダーに係合され、また、回転する印圧シリンダーから係合解除される、移動する中間転写部材を有する印刷システムを動作する方法であって、(i)係合の期間に、中間転写部材の予め決定された区分が印圧シリンダーと整列されることを防ぐように、および/または(ii)中間転写部材の予め決定された区分と印圧シリンダーの予め決定された位置との間の同期を改善するように、a.係合の期間に、回転する印圧シリンダーと同じ表面速度で中間転写部材を移動することと、b.係合解除の期間に、移動する中間転写部材の、もしくはその一部の表面速度を増やすか減らすことと、を含む、方法が、ここで開示される。
【0045】
いくつかの実施形態では、中間転写部材の予め決定された区分は、ブランケットの継ぎ目であり、および/または印圧シリンダーの予め決定された区分は、基板把持部を受け入れる印圧シリンダー内の間隙である。
【0046】
いくつかの実施形態では、(i)中間転写部材は、複数のローラの上に取り付けられた可撓性ベルトを備え、(ii)複数のローラの少なくとも1つは駆動ローラであり、(iii)中間転写部材の加速または減速は、係合解除の期間に駆動ローラの1つ以上の回転スピードを増やすか減らすことによって行われる。
【0047】
いくつかの実施形態では、中間転写部材の一部だけの表面速度が、係合解除の期間に増やされるか減らされる。
【0048】
いくつかの実施形態では、i.中間転写部材は、可撓性ベルトを備え、ii.印刷システムは、ベルトと印圧シリンダーとの間のニップの上流や下流に配列された上流および下流の動力付きのダンサーを含み、iii.係合解除の期間に、上流および下流のダンサーの動きは、上流のダンサーの下流にあり、下流のダンサーの上流にあるニップを含む領域内の中間転写部材の一部だけを局所的に加速し、その後、減速し、それによって、中間転写部材の事前に予め決定された区分を加減速する。
【0049】
いくつかの実施形態では、中間転写部材の全体の表面速度は、係合解除の期間に増やされるか減らされる。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法は、(i)移動する中間転写部材に付されたロケータ・ポイントと、(ii)回転する印圧シリンダーの位相との間の位相差を監視することを更に含み、係合解除の期間に中間転写部材の表面速度を増やすか減らすことは、位相差の監視の結果に応答して実行される。
【0051】
いくつかの実施形態では、ロケータ・ポイントは、中間転写部材上のマーカの位置にまたはその側方形成物に対応する。
【0052】
いくつかの実施形態では、(i)中間転写部材は可撓性ベルトを備え、(ii)方法は、可撓性ベルトの変動する長さを監視することを更に含み、(iii)係合解除の期間に中間転写部材の速度を増やすか減らすことは、長さの監視の結果に応答して実行される。
【0053】
印刷システムであって、a.中間転写部材と、b.中間転写部材が動いている間に、中間転写部材の表面上にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、c.係合の期間にインク画像が、回転する中間転写部材の表面から、印圧シリンダーと中間転写部材との間に位置する基板に転写されるように、周期的に、回転する中間転写部材に係合され、また、回転する中間転写部材から係合解除されるように構成された回転する印圧シリンダーと、d.コントローラであって、A.係合の期間に中間転写部材の予め決定された区分が印圧シリンダーと整列されることを防ぐように、および/またはB.中間転写部材の予め決定された区分と印圧シリンダーの予め決定された位置と間の同期を改善するように、i.係合の期間に、中間転写部材が回転する印圧シリンダーと同じ表面速度で動くように、ならびにii.係合解除の期間に、中間転写部材の表面速度、またはその一部が、増やされるか減らされるように、中間転写部材の運動を調整するように構成されたコントローラと、を備える、印刷システムが、ここで開示される。いくつかの実施形態では、中間転写部材の予め決定された区分は、ブランケットの継ぎ目であり、および/または印圧シリンダーの予め決定された区分は、基板把持部を受け入れる印圧シリンダー内の間隙である。
【0054】
いくつかの実施形態では、(i)中間転写部材は、複数のローラの上に取り付けられた可撓性ベルトを備え、(ii)ローラの少なくとも1つは駆動ローラであり、(iii)コントローラは、係合解除の期間に駆動ローラの1つ以上の回転スピードを増やすか減らすことによって、中間転写部材を加速するか減速するように構成される。
【0055】
いくつかの実施形態では、コントローラは、係合解除の期間に中間転写部材の一部だけの表面速度を増やすか減らすように構成される。
【0056】
いくつかの実施形態では、i.中間転写部材は、複数のローラの上に取り付けられた可撓性ベルトを備え、ii.印刷システムは、ベルトと印圧シリンダーとの間のニップの上流や下流に配列された上流および下流の動力付きのダンサーを更に備え、iii.コントローラは、係合解除の期間に、上流および下流のダンサーが、事前に予め決定された区分を含むベルトの一部を局所的に加速し、その後、減速するように移動されるように、ダンサーと関連付けられる。
【0057】
いくつかの実施形態では、コントローラは、係合解除の期間に中間転写部材全体の表面速度を増やすか減らすように構成される。
【0058】
いくつかの実施形態では、システムは、(i)移動する中間転写部材に付された移動するロケータ・ポイントと、(ii)回転する印圧シリンダーの位相との間の位相差を監視するように構成された電子回路を更に備え、コントローラは、位相差の監視の結果に応答して係合解除の期間に中間転写部材の表面速度を増やすか減らす。
【0059】
いくつかの実施形態では、ロケータ・ポイントは、中間転写部材上のマーカの位置にまたはその側方形成物に対応する。
【0060】
いくつかの実施形態では、(i)中間転写部材は可撓性ベルトであり、(ii)システムは、可撓性ベルトの変動する長さを監視するように構成された電子回路を更に備え、(iii)コントローラが、長さの監視の結果に応答して、係合解除の期間に中間転写部材のまたはその一部の表面速度を増やすか減らす。
【0061】
いくつかの実施形態では、回転する印圧シリンダーは、移動する中間転写部材とは独立して駆動される。
【0062】
いくつかの実施形態では、インク画像が、移動する可撓性ブランケットの上へのインク(例えば、インク液滴)の堆積によって形成され、その後、ブランケットから基板に転写され、方法は、a.移動するブランケットの不均一な伸張の一時的変動を監視することと、b.監視の結果に応答して、移動するブランケット上に形成されたインク画像の、ブランケットの不均一な伸張によって引き起こされた、歪みの重大さを排除するか低減するように、ブランケットの上へのインク(例えば、インク液滴)の堆積を調整することと、を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、インク(例えば、インク液滴)の堆積のタイミングが、監視の結果に応答して調整される。
【0064】
いくつかの実施形態では、可撓性ブランケットは、複数のローラの上に取り付けられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、方法は、c.一時的変動の監視によって取得された過去の伸張データから将来の不均一なブランケットの伸張を予測することを更に含み、インク堆積(例えば、液滴堆積)の調整は、予測の結果に応答して行われる。
【0066】
いくつかの実施形態では、A.印刷システムの動作は、以下の動作サイクル、すなわち、(i)ブランケット回転サイクル、(ii)印圧シリンダー回転サイクル、および(iii)ブランケットと印圧シリンダーの係合サイクルの少なくとも1つを定義し、B.不均一なブランケットの伸張は、動作サイクルの1つに従って定義されたサイクルに対応する過去の時間でのブランケットの伸張を記載する過去のデータに高い重みを割り当てる数学的モデルに従って予測される。
【0067】
印刷システムであって、a.可撓性ブランケットと、b.ブランケットが移動する間に、ブランケット表面の上へのインク液滴の堆積によって、ブランケットの表面の上にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、c.インク画像を移動するブランケットの表面から基板に転写するように構成された転写ステーションと、d.移動するブランケット上に形成されたインク画像の歪みの重大さを排除するか低減するように、一時的変動の監視の結果に従って、ブランケットの不均一な伸張の一時的変動を監視するように、また、ブランケットの上へのインク液滴の堆積を調整するように、構成された電子回路と、を備える、印刷システムが、ここで開示される。
【0068】
いくつかの実施形態では、インク(例えば、インク液滴)の堆積のタイミングは、監視の結果に応答して電子回路によって調整される。
【0069】
いくつかの実施形態では、可撓性ブランケットは、複数のローラの上に取り付けられる。
【0070】
いくつかの実施形態では、電子回路は、一時的変動の監視によって取得された過去の伸張データから将来の不均一なブランケットの伸張を予測するように動作可能であり、電子回路は、予測の結果に応答してインク液滴堆積の調整を行う。
【0071】
いくつかの実施形態では、A.印刷システムの動作は、以下の動作サイクル、すなわち、(i)ブランケット回転サイクル、(ii)印圧シリンダー回転サイクル、および(iii)ブランケットと印圧シリンダーの係合サイクルの少なくとも1つを定義し、B.電子回路は、動作サイクルの1つに従って定義されたサイクルに対応する過去の時間でのブランケットの伸張を記載する過去のデータに高い重みを割り当てる数学的モデルを使用する数学的モデルに従って不均一なブランケットの伸張を予測するように構成される。
【0072】
いくつかの実施形態では、ブランケットの不均一な伸張の一時的変動を監視することは、その中に、その上に、またはそれに取り付けられたマーカ検出器によって、ブランケット上に付けられたかプリントバーを過ぎてその上に側方に形成された1つ以上のマーカの通路を検出することを含む。印刷システムであって、a.中間転写部材上の異なるそれぞれの位置にマーカの1つ以上を有する、中間転写部材と、b.中間転写部材が回転する間に、各プリントバーが中間転写部材上にインクを堆積するように構成された1つ以上のプリントバーを含む画像形成ステーションと、c.回転する中間転写部材上でマーカの通路を検出するように位置付けられた1つ以上のマーカ検出器と、を備え、各プリントバーは、プリントバーに対して固定された位置に配されたおよびマーカ(複数可)の動きを検出するように構成されたそれぞれのマーカ検出器と関連付けられる、印刷システムが、ここで開示される。
【0073】
いくつかの実施形態では、マーカ(複数可)の1つ以上は、ブランケット上に付けられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、マーカ(複数可)の1つ以上は、ブランケット上に側方に形成される。
【0075】
いくつかの実施形態では、(i)画像形成ステーションは、中間転写部材の運動の方向に互いから間隔を置かれた複数のプリントバーを備え、(ii)1つ以上のマーカ検出器は、複数のプリントバーの各プリントバーが、プリントバーに対して固定された位置に配されるそれぞれのマーカ検出器と関連付けられるように、複数のマーカ検出器を備える。
【0076】
いくつかの実施形態では、マーカ検出器は、(i)関連付けられたそれぞれのプリントバーに隣接して配され、ならびに/あるいは(ii)関連付けられたそれぞれのプリントバーの下に配され、ならびに/あるいは(iii)関連付けられたそれぞれのプリントバーの筺体内におよび/またはその筺体上に取り付けられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、マーカ検出器は、(i)光検出器、(ii)磁気検出器、(iii)静電容量センサ、および(iv)機械的検出器の少なくとも1つを含む。
【0078】
非一定の長さの移動する中間転写部材を有する印刷システムを動作する方法であって、それにおいて、移動する中間転写部材の長さが設定点の長さに調整される、方法が、ここで開示される。
【0079】
いくつかの実施形態では、(i)画像は、中間転写部材と回転する印圧シリンダーとの間の係合によって印圧ステーションで基板に転写され、(ii)設定点の長さは、印圧シリンダーの円周の整数倍に等しい。
【0080】
いくつかの実施形態では、中間転写部材の設定点の長さと印圧シリンダーの円周との比率は、少なくとも2か少なくとも3か少なくとも5か少なくとも7および/または5と10の間である。
【0081】
いくつかの実施形態では、中間転写部材の長さの調整は、移動する中間転写部材の長さを増やすか減らすためのリニアアクチュエータの動作を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、(i)中間転写部材は、複数のローラの上で誘導され、(ii)中間転写部材の長さの調整は、1つ以上の組のローラについて、移動する中間転写部材を伸張するか収縮するように、ローラ間の距離を修正することを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、1つ以上の中間転写部材に付けられたマーカの動きまたは中間転写部材からの1つ以上の形成物の動きは、1つ以上の検出器によって追跡され、中間転写部材の長さは、追跡の結果に従って調整される。
【0084】
印刷システムであって、a.非一定の長さの中間転写部材と、b.中間転写部材の表面上にインク画像を形成するように、中間転写部材が移動する間に、中間転写部材の表面上にインクを堆積するように構成された画像形成ステーションと、c.係合の期間に、移動する中間転写部材の表面から、転写部材と印圧シリンダーとの間に通過する基板にインク画像を転写するように構成された転写ステーションと、d.中間転写部材の長さを設定点の長さに調整するように構成された電子回路と、を備える、印刷システムが、ここで開示される。
【0085】
いくつかの実施形態では、設定点の長さは、印圧シリンダーの円周の整数倍に等しい。
【0086】
いくつかの実施形態では、中間転写部材の設定点の長さと印圧シリンダーの円周との比率は、少なくとも2か少なくとも3か少なくとも5か少なくとも7および/または5と10の間である。
【0087】
いくつかの実施形態では、中間転写部材の長さの調整は、移動する中間転写部材の長さを増やすか減らすためのリニアアクチュエータの動作を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、(i)中間転写部材は、複数のローラの上で誘導され、(ii)中間転写部材の長さの調整は、移動する中間転写部材を伸張するか収縮するように、1つ以上の組のローラについて、ローラ間の距離を修正することを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、1つ以上の中間転写部材に付けられたマーカの動きまたは中間転写部材からの1つ以上の形成物の動きは、1つ以上の検出器によって追跡され、中間転写部材の長さは、追跡の結果に従って調整される。
【0090】
インク画像が、移動する可変の長さの中間転写部材上にインクの堆積によって形成され、その後、移動する中間転写部材から基板に転写される、印刷システムの性能を監視する方法であって、a.移動する可変の長さの中間転写部材の長さの指示を監視することと、b.許容閾値を超えるだけ設定点から外れた中間転写部材の長さ次第で、警報または警告信号を発生させることと、を含む、方法が、ここで開示される。
【0091】
いくつかの実施形態では、許容閾値は、0.1%と1%との間にある。
【0092】
インク画像が、1つ以上のローラの上に取り付けられた移動するブランケット上へのインクの堆積によって形成される、印刷システムの性能を監視する方法であって、a.誘導ローラの1つ以上の上のブランケットスリップの指示を測定することと、b.ブランケットスリップ測定に応答して、(i)閾値を超えるブランケットスリップの大きさ次第で、警報もしくは警告信号を発生させることと、および/または(ii)表示デバイス上にブランケットスリップの大きさの指示を表示することと、を含む、方法が、ここで開示される。
【0093】
いくつかの実施形態では、ブランケットスリップの指示は、上でブランケットが誘導される誘導ローラの2つの回転速度間の回転速度差である。
【0094】
インク画像が、継ぎ目を有する移動する中間転写部材上へのインクの堆積によって形成され、その後、中間転写部材と印圧シリンダーとの間で繰り返される係合によって、移動する中間転写部材から基板に転写される、印刷システムの性能を監視する方法であって、i.中間転写部材の継ぎ目が、印圧シリンダーと整列される時に、中間転写部材と印圧シリンダーとの間の継ぎ目の整列される係合の可能性の指示を予測する、およびii.予測の結果に従って、予測が、中間転写部材と印圧シリンダーとの間の継ぎ目の整列される係合の高い可能性を指示する場合、警告もしくは警報信号を発生させる、方法が、ここで開示される。
【0095】
インク画像が、移動する可変の長さの中間転写部材上へのインクの堆積によって形成され、その後、移動する中間転写部材から基板に転写される、印刷システムの性能を監視する方法であって、a.中間転写部材の長さの指示を監視することと、b.予め決定された中間転写部材の長さからの中間転写部材の長さの偏りに従って、中間転写部材の予測された残りの寿命を指示することと、を含む、方法が、ここで開示される。
【0096】
いくつかの実施形態では、警告もしくは警報信号は、以下の、i.電子メールメッセージを送信することと、ii.音声信号を発生させることと、iii.表示画面上に視覚信号を発生させることと、iv.SMSメッセージを電話に送信することと、の少なくとも1つによって提供される。
【0097】
いくつかの実施形態では、警報もしくは警告信号は、直ちに提供される。
【0098】
いくつかの実施形態では、警報もしくは警告信号は、時間遅延後に提供される。
【0099】
印刷システムであって、a.非一定の長さの中間転写部材と、b.インク画像を中間転写部材の表面上に形成するように、中間転写部材が移動する間に、中間転写部材の表面上にインクを堆積するように構成された画像形成ステーションと、c.インク画像を移動する中間転写部材の表面から基板に転写するように構成された転写ステーションと、d.(i)回転する可変の長さの中間転写部材の長さの指示を監視するように、および(ii)許容閾値を超えるだけ設定点値から外れた中間転写部材の長さ次第で、警報もしくは警告信号を発生させるように、構成された電子回路と、を備える、印刷システムが、ここで開示される。
【0100】
いくつかの実施形態では、許容閾値は、0.1%と1%との間にある。
【0101】
印刷システムであって、a.1つ以上の誘導ローラ(複数可)の上に取り付けられたブランケットと、b.ブランケットの表面上にインク画像を形成するように、ブランケットが移動する間に、ブランケットの表面上にインクを堆積するように構成された画像形成ステーションと、c.インク画像を移動するブランケットの表面から基板に転写するように構成された転写ステーションと、d.(i)誘導ローラの1つ以上の上のブランケットスリップの指示を測定するように、また、(ii)ブランケットスリップ測定に応答して、(A)閾値を超えるブランケットスリップの大きさ次第で、警報もしくは警告信号を発生させること、および/または(B)表示デバイス上にブランケットスリップの大きさの指示を表示することの少なくとも1つを行うように、構成された電子回路と、を備える、印刷システムが、ここで開示される。
【0102】
いくつかの実施形態では、ブランケットスリップの指示は、誘導ローラの2つの回転速度間の回転速度差である。
【0103】
印刷システムであって、a.継ぎ目を含むブランケットと、b.インク画像をブランケットの表面上に形成するように、ブランケットが移動する間に、ブランケットの表面上にインクを堆積するように構成された画像形成ステーションと、c.係合の期間に、インク画像を移動するブランケットの表面から、ブランケットと印圧シリンダーとの間を通過する基板に転写するように構成された転写ステーションと、d.(i)ブランケットの継ぎ目が印圧シリンダーと整列される時に、ブランケットと印圧シリンダーとの間の継ぎ目の整列される係合の可能性の指示を予測するように、および(ii)予測の結果に従って、予測が、ブランケットと印圧シリンダーとの間の継ぎ目の整列される係合の高い可能性を指示する場合、警告もしくは警報信号を発生させるように、構成された電子回路と、を備える、印刷システムが、ここで開示される。
【0104】
印刷システムであって、a.非一定の長さのブランケットと、b.インク画像をブランケットの表面上に形成するように、ブランケットが移動する間に、インクをブランケットの表面上に堆積するように構成された画像形成ステーションと、c.インク画像を移動するブランケットの表面から基板に転写するように構成された転写ステーションと、d.(i)ブランケットの長さの指示であって、(ii)予め決定されたブランケットの長さからのブランケットの長さの偏りに従って、ブランケットの予測された残りの寿命を指示する、指示を監視するように構成された電子回路と、を備える、印刷システムが、ここで開示される。
【0105】
いくつかの実施形態では、警告もしくは警報信号は、以下の、i.電子メールメッセージを送信することと、ii.音声信号を発生させることと、iii.表示画面上に視覚信号を発生させることと、iv.SMSメッセージを電話に送信することと、の少なくとも1つによって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
ここで、発明は、例として、添付の図面を参照にして、更に記載されることになり、その図面において、図面に示される構成要素および特徴の寸法は、説明の便宜や明瞭さのために選択されたものであり、必ずしも一定の縮尺ではない。
【
図1A】可撓性ブランケットを含むデジタルプリンタの概略斜視図である。
【
図1B】可撓性ブランケットを含むデジタルプリンタの縦断面図である。
【
図2A】発明の実施形態に係る、ブランケット支持システムの斜視図であり、内部構成要素を例示するために、ブランケットが取り外され、片側が取り外されている。
【
図2B】発明の実施形態に係る、ブランケット支持システムの斜視図であり、内部構成要素を例示するために、ブランケットが取り外され、片側が取り外されている。
【
図3】基板がウェブである、デジタル印刷システムの概略図である。
【
図4A】実質的に拡張不能なベルトと、印圧シリンダーに対してベルトを推進させるための圧縮可能なブランケットを持つブランケットシリンダーと、を含むデジタル印刷システムの概略図である。
【
図4B】ブランケットの端部間の不連続部内にローラを有する
図4Aの実施形態において使用されるようなブランケットシリンダーの斜視図である。
【
図4C】細長片の平面図であり、その細長片からベルトが形成され、細長片は、ベルトを誘導するのを助けるために、その縁に沿う側方形成物を有する。
【
図4D】誘導チャネルを通る断面であり、その誘導チャネル内に、
図4Cに示されたベルトに取り付けられた側方形成物が受け入れられ得る。
【
図5】複数のマーカを含む中間転写部材(ITM)を例示する。
【
図6A】誘導ローラの上に取り付けられたITMであって、マーカ(複数可)が、1つ以上のマーカ検出器(複数可)またはセンサ(複数可)によって検出される、ITMを例示する。
【
図6B】誘導ローラの上に取り付けられたITMであって、マーカ(複数可)が、1つ以上のマーカ検出器(複数可)またはセンサ(複数可)によって検出される、ITMを例示する。
【
図7】誘導ローラの上に取り付けられたITMであって、マーカ(複数可)が、1つ以上のマーカ検出器(複数可)またはセンサ(複数可)によって検出される、ITMを例示する。
【
図8A】プリントバー上に取り付けられたマーカ検出器を例示する。
【
図8B】マーカの性質を検出するためのピーク間時間を例示する。
【
図9A】スリップ速度およびブランケット長を測定するための手順のフローチャートである。
【
図9B】スリップ速度およびブランケット長を測定するための手順のフローチャートである。
【
図12A】ITMの継ぎ目が圧力シリンダーと整列されるときの、印圧シリンダーに対するITMの係合解除を例示する。
【
図12B】ITMの継ぎ目が圧力シリンダーと整列されるときの、印圧シリンダーに対するITMの係合解除を例示する。
【
図13】誘導ローラ間の可変距離を有する誘導ローラの上に取り付けられたブランケットを例示する。
【
図14】ITM長を修正するための手順のフローチャートである。
【
図15A】ITMの継ぎ目と同相である、予め決定された位置(例えば、シリンダー間隙)を有する印圧シリンダーを例示する。
【
図15B】ITMの継ぎ目と位相がずれている、予め決定された位置(例えば、シリンダー間隙)を有する印圧シリンダーを例示する。
【
図15C】印圧シリンダーの予め決定された位置(例えば、シリンダー間隙)を例示する。
【
図15D】印圧シリンダーの予め決定された位置(例えば、シリンダー間隙)を例示する。
【
図16A】ITM表面速度を修正するための手順のフローチャートである。
【
図16B】ITM表面速度を修正するための手順のフローチャートである。
【
図18A】ITM長または表面速度を変えるかどうかを決定するための手順のフローチャートである。
【
図18B】ITM長または表面速度を変えるかどうかを決定するための手順のフローチャートである。
【
図19】ITM長または表面速度を変えるかどうかを決定するための手順のフローチャートである。
【
図20A】ローラの上に取り付けられたブランケットであって、それの上部走行部における張力が、下部走行部における張力を超える、ブランケットを例示する。
【
図20B】ローラの上に取り付けられたブランケットであって、それの上部走行部における張力が、下部走行部における張力を超える、ブランケットを例示する。
【
図21】印刷システムにおいて間隔の固定された位置を例示する。
【
図22A】不均一なブランケットの伸張を例示する。
【
図22B】不均一なブランケットの伸張を例示する。
【
図23A】不均一なブランケットの伸張を例示する。
【
図23B】不均一なブランケットの伸張を例示する。
【
図24A】不均一なブランケットの伸張を例示する。
【
図24B】不均一なブランケットの伸張を例示する。
【
図25】誘導ローラの上に取り付けられたITMであって、マーカ(複数可)が、1つ以上のマーカ検出器(複数可)によって検出される、ITMを例示する。
【
図26A】ITM上へのインク堆積を調整するための手順のフローチャートである。
【
図26B】ITM上へのインク堆積を調整するための手順のフローチャートである。
【
図27】ITM上へのインク堆積を調整するための手順のフローチャートである。
【
図28】ITM上へのインク堆積を調整するための手順のフローチャートである。
【
図29】数学的モデルのための入力の図表現である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
便宜上、本明細書における記載との関連で、種々の用語がここに提示される。定義が、明示的もしくは暗示的に、ここにまたはこの出願におけるどこかに提供される範囲で、そのような定義は、当業者(複数可)によって定義された用語の使用と矛盾が無いものと理解される。その上、そのような定義は、そのような使用と矛盾のない最も広い可能な意味で解釈されることになる。本開示の場合、「電子回路」は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの任意の組み合わせを記載することが広く意図される。
【0108】
電子回路は、任意の実行可能なコードモジュール(すなわち、コンピュータで読み取り可能な媒体上に記憶されたもの)、ならびに/あるいは、限定されるものではないが、フィールドプログラマブル論理アレイ(FPLA)素子(複数可)、配線による論理素子(複数可)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)の素子(複数可)、また、特殊用途集積回路(ASIC)の素子(複数可)を含む、ファームウェアおよび/またはハードウェアの素子(複数可)を含み得る。任意の命令セットアーキテクチャが使用され得、限定されるものではないが、縮小命令セットコンピュータ(RISC)アーキテクチャおよび/または複合命令セットコンピュータ(CISC)アーキテクチャを含む。電子回路は、単一の位置に位置し得るか、種々の回路素子が互いと有線または無線電子通信をし得る複数の位置に分配され得る。
【0109】
種々の実施形態では、インク画像は、中間転写部材(ITM)の表面上にまず堆積され、中間転写部材の表面から基板(すなわち、シート基板またはウェブ基板)に転写される。本開示の場合、用語「中間転写部材」、「画像転写部材」および「ITM」は同義であり、交換可能に使用され得る。インクがITM上に堆積される位置は、「画像形成ステーション」と呼ばれる。
【0110】
本開示の場合、用語「基板移送システム」および「基板取り扱いシステム」は、同義的であり、入力スタックもしくはロールから出力スタックもしくはロールに、基板を移動するための機械的システムのことを言う。
【0111】
「間接」印刷システムまたは間接プリンタは、中間転写部材を含む。間接プリンタの一例は、デジタルプレス(digital press)である。別の例はオフセットプリンタである。
【0112】
インク画像が基板に転写される位置は、「画像転写位置」または「画像転写ステーション」として定義され、用語はまた、「印圧ステーション」または「転写ステーション」と呼ばれる。いくつかの印刷システムについて、複数の「画像転写位置」があり得ることが認識される。発明のいくつかの実施形態では、画像転写部材は、解放層でコーティングされた補強または支持層を備えるベルトを備える。補強層は、実質的に長手方向に拡張不能であるように、繊維で補強された織物からなり得る。「実質的に拡張不能である」ことにより、ベルトの任意のサイクルの間、ベルト上の任意の2つの固定された点間の距離が、画像品質に影響を与えることになるという程度まで変動しないことを意味する。しかしながら、ベルトの長さは、温度とともに、または、長期間にわたって、老朽化または疲労を伴って、変動し得る。それの横方向において、ベルトは、それが画像形成ステーションを通って引っ張られる際に、それを平らにピンと張ったままにするのを助けるために少しの程度の弾性を有し得る。適切な織物は、例えば、ガラス繊維をそれの長手方向に、綿繊維で織られ、縫われ、または他の方法で保持されたものを垂直方向に有し得る。
【0113】
「同期を改善すること」は、位相差を減少させること、および/またはそれの増加を軽減することとして定義される。
【0114】
無端中間転写部材の場合、ITM/ブランケット/ベルトの「長さ」は、ITM/ブランケット/ベルトの円周として定義される。
【0115】
「ブランケットマーカ」または「ITMマーカ」あるいは「マーカ」は、ITMまたはブランケットの長手方向位置を示す当該ITMまたはブランケットの検出可能な特徴である。典型的には、マーカの長手方向の厚さもしくは長さは、ブランケットまたはITMの円周よりもずっと少ない(例えば、その円周の、多くても数パーセントまたは多くても1%または多くても0.5%である)。マーカは、ブランケットまたはITMに付けられ(例えば、それの外部表面に付けられ)得、あるいは、ブランケットまたはITMの側方形成物であり得る。「マーカ検出器」は、マーカが、特定の間隔の固定された位置のそばを通る際に、「マーカ」の不在の存在を検出することができる。
【0116】
間隔を置かれ固定された位置は、ITMまたはブランケットの移動する基準フレームではなくて慣性基準フレームにおける位置である。
【0117】
本開示の場合、「印圧ステーション」および「転写ステーション」は、同義である。
【0118】
いくつかの実施形態では、ITMまたはベルトまたはブランケットは、印圧シリンダーを断続的にもしくは繰り返し「係合する」。(i)ITMまたはベルトまたはブランケットおよび(ii)印圧シリンダーが「係合される」とき、それらの間のニップは、ITMまたはベルトまたはブランケットと印圧シリンダーとの間の押し付けを受ける。例えば、基板がニップに存在する場合に、ITMまたはベルトまたはブランケットが印圧シリンダーに「係合される」とき、基板は、少なくとも1つの印圧シリンダーと回転するITMの領域との間で押し付けられる。「係合」は、ITMまたはベルトまたはブランケットと印圧シリンダーとの間の係合をもたらすことである。「係合解除」は、ITMまたはベルトまたはブランケットと印圧シリンダーとの間の係合を終えることである。
【0119】
どのように「係合」が実行されるかについての限定はない。一例では、ITMまたはベルトまたはブランケットの領域は、(例えば、圧力シリンダーによって)印圧シリンダーの方へ移動され得る。これらの実施形態では、ITMまたはベルトまたはブランケットの全体が印圧シリンダーの方へ移動されるという要求はなく、あるいは、全体の一部が、印圧シリンダーの方へ移動され得る。あるいはまたは加えて、印圧シリンダーは、ITMまたはベルトまたはブランケットの領域の方へ移動され得、それに対してニップは、印圧シリンダーとITMまたはベルトまたはブランケットとの間で押し付けられる。
【0120】
一般概要
図1Aおよび
図1Bに示されるプリンタは、本質的に、3つの別個の、相互に作用するシステム、すなわち、ブランケットシステム100、ブランケットシステム100の上方の画像形成システム300、およびブランケットシステム100の下方の基板移送システム500を備える。
【0121】
ブランケットシステム100は、ITMとして働き、また、2つのローラ104、106の上に誘導される無端ベルトまたはブランケット102を備える。インクのドットから構成された画像は、画像形成ステーションとして本明細書において呼ばれる位置でブランケット102の上部走行部に画像形成システム300によって塗布される。下部走行部は、係合の期間の間、ブランケット102とそれぞれの圧力ローラ140、142との間で圧縮された基板の上に画像を刷るように、2つの印圧または画像転写ステーションで基板移送システム500の2つの印圧シリンダー502および504と選択的に相互作用する。以下に説明されることになるように、2つの印圧シリンダー502、504がある目的は、デュープレックス印刷を可能にするためである。シンプレックスプリンタの場合では、ただ1つの画像転写ステーションが必要とされることになる。
図1Aおよび
図1Bに示されるプリンタは、両面プリントを印刷するスピードの2倍で片面プリントを印刷することができる。加えて、片面と両面の混合された沢山のプリントもまた、印刷され得る。
【0122】
動作中、インク画像であって、それらのそれぞれが、最終基板上に押し付けられることになる画像の鏡像である、インク画像は、ブランケット102の上部走行部の上に画像形成システム300によって印刷される。これに関連して、用語「走行部」は、任意の2つの所与のローラであって、その上にブランケットが誘導されるローラ間のブランケットの長さまたは区分を意味するために使用される。ブランケット102によって移送される間、インクは、液体担体の、全部ではないが、ほとんどの蒸発によってそれを乾燥するために加熱される。インク画像は、液体担体の蒸発後に残っているインク固体のフィルムを粘着性にするために更に加熱され、このフィルムは、各インク液滴の平坦化によって形成される液体フィルムと区別するために、残留フィルムと呼ばれる。印圧シリンダー502、504で、画像は、基板の個々のシート501の上に押し付けられ、その基板は、基板移送システム500によって印圧シリンダー502、504経由で入力スタック506から出力スタック508に運搬される。
【0123】
図面には示されないが、ブランケットシステムは、印刷ジョブの間または合間にブランケットを周期的に「リフレッシュする」ために使用され得るクリーニングステーションを更に備え得る。いくつかの実施形態では、発明に係る制御システムおよび装置は、ITMのクリーニングを印刷システムの動作に含まれる任意の所望のステップと更に同期させる。
【0124】
画像形成システム
図3に最もよく示されるように、画像形成システム300は、ブランケット102の表面の上方に固定された高さに位置付けられたフレーム304上にそれぞれスライド可能に取り付けられたプリントバー302を備える。各プリントバー302は、ブランケット102上の印刷領域の幅と同じくらいのプリントヘッド片を備え得、個別に制御可能なプリントノズルを備え得る。画像形成システムは、任意の数のバー302を有することができ、それらのぞれぞれは、異なる色のインクを含有し得る。
【0125】
いくつかのプリントバーは、特定の印刷ジョブの間に要求され得ないので、ヘッドは、動作可能な位置と動作不可能な位置との間で移動され得、その動作可能な位置では、それらはブランケット102の上に重なる。機構は、それらの動作可能な位置と動作不可能な位置との間でプリントバー302を移動するために提供されるが、その機構は、印刷工程に関連しないものとして、本明細書において例示されておらず、また、記載される必要はない。バーは、印刷の間に静止したままであることが留意されるべきである。
【0126】
それらの動作不可能な位置に移動されるとき、プリントバーは、保護のために覆われ、プリントバーのノズルが乾燥するか目詰まりすることを防ぐためのものである。発明のある実施形態では、プリントバーは、このタスクを助ける液体槽(図示しない)の上方に止められる。別の実施形態では、プリントヘッドは、例えば、ノズル縁を取り囲んで形成し得る残余インク堆積を除去することによって、きれいにされる。プリントヘッドのそのような保守は、ノズルプレートの接触ワイピングから、ノズルの方へのクリーニング溶液の遠隔式噴霧までの任意の適切な方法と、正または負の空気圧によって洗浄されるインク堆積の排除とによって実現され得る。動作不可能な位置にあるプリントバーは、印刷ジョブが他のプリントバーを使用して進行中である間でさえも、保守のために容易に変更されアクセスされ得る。いくつかの実施形態では、発明に係る制御システムおよび装置は、画像形成ステーションのプリントヘッドのクリーニングを印刷システムの動作に含まれる任意の所望のステップと更に同期させる。
【0127】
各プリントバー内で、インクは、絶えず、再循環され、フィルターをかけられ、ガス抜きされ、所望の温度および圧力に維持され得る。プリントバーの設計は、従来型のものであり得るか、他のインクジェット印刷用途に使用されるプリントバーに少なくとも類似し得るので、それらの構造や動作は、より詳細な記載の必要性無しに、当業者に明らかであろう。
【0128】
異なるプリントバー302は、ブランケットの長さに沿って互いから間隔を置かれるので、勿論、それらの動作が、ブランケット102の動きと正確に同期されることが不可欠である。
【0129】
図4に例示されるように、ITMの上に、高温ガス、好適には、空気の遅い流れを吹き付け、プリントバー302によって堆積されたインク液滴の乾燥を開始するように、各プリントバー302の後にブロワーを提供することが可能である。これは、各プリントバー302によって堆積された液滴を固着するのを助け、すなわち、それらの収縮に抵抗し、ITM上のそれらの動きを防ぎ、また、それらが、他のプリントバー302によってその後堆積される液滴に溶け込むことを防ぐ。
【0130】
ブランケットおよびブランケット支持システム
ブランケット102は、発明の一実施形態では、継ぎ目がある。特に、ブランケットは、最初は平坦な細長片であって、その端部が、連続的なループを形成するために、解放可能なようにまたは永続的に、互いに締結される、当該細長片から形成される。解放可能な締結は、ローラ104および106の軸に実質的に平行状態にあるジッパーまたはフックおよびループファスナーであり得、そのローラの上でブランケットが誘導される。永続的な締結は、接着剤またはテープの使用によって実現され得る。
【0131】
継ぎ目がこれらのローラの上を通過する際のブランケットの張力における突然の変化を避けるために、ブランケットの残りと同じ厚さの、できるだけ近くで、継ぎ目を作ることが望ましい。また、継ぎ目をローラの軸に対して傾けることも可能であるが、これは、印刷不可能な画像領域の拡大という犠牲のもとであろう。
【0132】
ブランケットの主要な目的は、画像形成システムからインク画像を受け取り、乾燥されるものの、乱されていないその画像を印圧ステーションに転写するためである。各印圧ステーションでインク画像の簡単な転写を可能にするために、ブランケットは、疎水性である薄い上部解放層を有する。転写部材の外部表面であって、その上にインクが塗布され得る外部表面は、シリコン材料を備え得る。適切な条件下で、シラノール、シリルもしくはシランで修飾されたか終端されたポリジアルキルシロキサン材料およびアミノシリコンが、うまく機能することが発見されている。適切には、解放層を形成する材料は、それを吸収性ではないものにすることができる。
【0133】
ブランケットの強度は、支持または補強層に由来し得る。一実施形態では、補強層は、織物から形成される。織物が織られる場合、織物の縦糸および横糸は、ブランケットが、以下に記述されることになる理由のために、それの長さ方向よりも(ローラ104および106の軸に平行に)それの横方向に大きな弾性を有するべきであるように、異なる組成または物理的構造を有し得る。
【0134】
ブランケットは、例えば、基板の表面に解放層の順応性や圧縮性を提供するために、補強層と解放層との間に追加層を備え得る。ブランケット上に設けられた他の層は、熱貯蔵器もしくは熱的に部分的なバリアとして働き得、および/または静電電荷が解放層に加えられることを可能にするように働き得る。内部層は、ブランケットがその支持構造の上で回転される際にブランケット上の摩擦による引きずりを制御するように更に設けられ得る。他の層は、上記の層の1つをもう1つと接着するか接続するために、またはそれらの間の分子の移動を防ぐために、含まれ得る。
【0135】
図1Aの実施形態におけるブランケットを支持する構造は、
図2Aおよび
図2Bに示される。2つの細長い張り出し材120は、水平のはしご形フレームであって、その上に残りの構成要素が取り付けられるフレームを形成するために、複数の横ばり122によって相互に接続される。
【0136】
ローラ106は、張り出し材120上に直接的に取り付けられる軸受けに軸支されている。しかしながら、反対端では、ローラ104は、張り出し材120に対してスライドする動きのために誘導される支え台124に軸支される。モータ126、例えばステップモータであり得る電気モータは、ローラ104および106の軸間の距離を変える一方、それらを互いに平行に維持するように、支え台124を移動させるために適切な変速機を通して動く。
【0137】
熱伝導性支持プレート130は、支持フレームの頂部側と底部側上の両方で連続的な平坦支持表面を形成するために横ばり122上に取り付けられる。個々の支持プレート130間の接合部は、ブランケット102の長さに平行に走る線の生成を避けるために、互いから意図的にずらされる(例えば、ジグザグにされる)。電気加熱素子132は、プレート130内の横断穴に挿入され、プレート130におよびプレート130を通してブランケット102の上部走行部に熱を加える。上部走行部を加熱するための他の手段は、当業者が気が付くであろうし、ブランケット自体の下方からの、ブランケット自体の上方からの、またはブランケット自体内の加熱を含み得る。加熱プレートはまた、少なくとも転写が行われるまで、ブランケットの下部走行部を加熱するように働き得る。
【0138】
また、ブランケット支持フレーム上に取り付けられるものは、2つの圧力またはニップローラ140、142である。圧力ローラは、フレームの下面を覆う支持プレート130間の間隙における支持フレームの下面上に位置する。圧力ローラ140、142は、
図1Bおよび
図3に最も明確に示されるように、それぞれ、基板移送システムの印圧シリンダー502、504と整列される。各印圧シリンダーおよび対応する圧力ローラは、以下に記載されるように係合されるときに、画像転写ステーションを形成する。
【0139】
圧力ローラ140、142のそれぞれは、好適には、それがブランケットの下部走行部から高くされたり低くされたりし得るように、取り付けられる。一実施形態では、各圧力ローラは、それぞれのアクチュエータ150、152によって回転可能である偏心器上に取り付けられる。それがそれのアクチュエータによって支持フレーム内の上部位置まで高くされるとき、各圧力ローラは、対向する印圧シリンダーから間隔を置かれ、ブランケットが、印圧シリンダーのそばを通過することを可能にする一方、印圧シリンダー自体とも印圧シリンダーによって運ばれる基板とも接触しない。その一方で、そのアクチュエータによって下向きに移動されるとき、各圧力ローラ140、142は、隣接の支持プレート130の平面を越えて下向きに突出し、ブランケット102の一部を曲げ、それを対向する印圧シリンダー502、504に対して押し付ける。この下部位置において、それは、印圧シリンダー(または、
図3の実施形態では基板のウェブ)上に運ばれている最終基板に対してブランケットの下部走行部を押し付ける。
【0140】
ローラ104および106は、それぞれの電気モータ160、162に接続される。モータ160は更に強力であり、
図2Aおよび
図2Bに見られるようにブランケットを時計周りに駆動するように働く。モータ162は、トルク反作用をもたらし、ブランケットの上部走行部における張力を調整するために使用され得る。モータは、ある実施形態において同じスピードで動作し得、その実施形態において同じ張力がブランケットの上部および下部走行部に維持される。
【0141】
発明の代替の実施形態では、モータ160や162は、インク画像が形成されるブランケットの上部走行部においてより高い張力、およびブランケットの下部走行部においてより低い張力を維持するような方式で動作される。下部走行部におけるより低い張力は、印圧シリンダー502および504とのブランケット102の急な係合や係合解除によって引き起こされる突然の乱れを吸収することを助け得る。更なる詳細は、
図20A~
図20Bを参照にして以下に提供される。
【0142】
発明のある実施形態では、圧力ローラ140および142は、ローラの両方、いずれか、またはただ1つが、そのそれぞれの印圧シリンダーおよびそれらの間を通過するブランケットと係合する下部位置にあるように、独立して低くされたり高くされたりし得ることが理解されるべきである。
【0143】
発明のある実施形態では、送風機または空気ブロワー(図示しない)は、ブランケットおよびそれの支持フレームによって囲まれたかたまり(volume)166に準大気圧力を維持するためにフレーム上に取り付けられる。負圧は、良好な熱接触を実現するために、フレームの上部と下部側の両方上に支持プレート130に対してブランケットを平坦に維持するように働く。ブランケットの下部走行部が比較的ゆるく固定される場合、負圧はまた、圧力ローラ140、142が作動されないときに、印圧シリンダーとの接触が無いようにブランケットを維持することを助けることになる。
【0144】
発明のある実施形態では、張り出し材120のそれぞれはまた、ブランケットの側縁上の形成物を係合する連続的なトラック(track)180を支持し、ブランケットをその幅方向にピンと張って維持する。形成物は、間隔を置かれた突出部、例えば、ブランケットの側縁に縫われたか、他の方法で取り付けられるジッパーの半分の歯状部などであり得る。あるいは、形成物は、ブランケットよりも大きな厚さの連続的な可撓性ビードであり得る。側方トラック誘導チャネルは、ブランケットの側方形成物を受け入れて保持し、それをピンと張って維持するのに適した任意の断面を有し得る。摩擦を低減するために、誘導チャネルは、チャネル内に突出部またはビードを保持するための回転軸受け素子を有し得る。
【0145】
発明の一実施形態に従って、ブランケットをそれの支持フレーム上に取り付けるために、入口点が、トラック180に沿って設けられている。ブランケットの一端は、側方に伸張され、それの縁上の形成物は、入口点を通ってトラック180に挿入される。ブランケットの縁上の形成物を係合する適切な器具を使用すると、ブランケットは、それが支持フレームを取り囲むまで、トラック180に沿って前進させられる。次いで、ブランケットの両端が、互いに締結され、無端ループまたはベルトを形成する。次いで、ローラ104および106は、ブランケットに張力をかけるように、また、それを所望の長さまで伸張するように、離れて移動され得る。トラック180の区分は、ローラ104とローラ106との間の距離が変動されるにつれ、トラックの長さが変動することを可能にするように入れ子式に折り畳める。
【0146】
一実施形態では、細長いブランケット片の端部は、導入の間に側方トラックまたはチャネルを通してブランケットの誘導を容易にするように、有利に形作られる。適所へのブランケットの最初の誘導は、例えば、まず側方チャネル180の中間に導入されたブランケット片の前縁を、ベルトを導入するために手動でまたは自動的に移動され得るケーブルに固定することによって、行われ得る。例えば、ブランケットの前縁の片方のまたは両方の側方端部は、各チャネル内にあるケーブルに解放可能なように取り付けられ得る。ケーブル(複数可)を前進させることは、チャネル経路に沿ってブランケットを前進させる。あるいはまたは加えて、両方の縁が一方からもう一方に固定されるときに継ぎ目を最終的に形成する領域におけるベルトの縁は、継ぎ目以外の領域におけるものより低い柔軟性を有する可能性がある。この局所的な「剛性」は、それらのそれぞれのチャネルへのブランケットの側方突出部の挿入を容易にし得る。
【0147】
導入の後で、ブランケット片は、半田付け、糊付け、テーピング(例えば、片の両方の縁に一部重なる接続片を用いる、Kapton(登録商標)テープ、RTV液体接着剤またはPTFE熱可塑性接着剤を使用すること)、あるいは一般に知られている任意の他の方法によって、連続的なベルトループを形成するように、縁から縁に接着され得る。ベルトの端部を接合する任意の方法は、本明細書において継ぎ目と呼ばれる不連続部をもたらし得、厚さの増加、あるいは、継ぎ目におけるベルトの化学的および/または機械的性質の不連続性を避けることが望ましい。
【0148】
本教示に従って制御を実施するように働き得る、例示的なブランケットの形成とそれの誘導についての更なる詳細は、同時係属中のPCT出願第PCT/IB2013/051719号(代理人の参照番号LIP7/005PCT)に開示される。
【0149】
画像が適正にブランケット上に形成され、最終基板に転写されるために、また、デュープレックス印刷における正面画像と裏面画像の整列が実現されるために、システムの多くの異なる構成要素は、適正に同期されなければならない。画像をブランケット上に適正に位置付けるために、ブランケットの位置やスピードは、共に既知であり、制御されなければならない。発明のある実施形態では、ブランケットは、ブランケットの運動の方向に間隔を置かれた1つ以上のマーキングでそれの縁にまたはそれの縁の近くにマーク付けられる。1つ以上のセンサ107は、これらのマーキングのタイミングを、それらがセンサを通過する際に、検知する。ブランケットのスピードおよび印圧ローラの表面のスピードは、転写ブランケットから基板への画像の適正な転写のために、同じであるべきである。センサ(複数可)107からの信号は、コントローラ109に送信され、そのコントローラはまた、例えば印圧ローラ(図示しない)の一方または両方の軸上のエンコーダから、印圧ローラの回転のスピードおよび角度位置の指示を受信する。センサ107、または別のセンサ(図示しない)はまた、ブランケットの継ぎ目がセンサを通過する時間を決定する。ブランケットの使用できる長さの最大効用のために、ブランケット上の画像は、できるだけ継ぎ目の近くで始まることが望ましい。
【0150】
コントローラは、ブランケットの線形スピードが、印圧ローラの表面のスピードと同じであることを確実にするために、電気モータ160および162を制御する。
【0151】
ブランケットは、継ぎ目から結果として生じる使用できない領域を含有するので、この領域は、ブランケットの連続したサイクルにおいて印刷された画像に対して同じ位置に常にあり続けることを確実にすることが重要である。また、継ぎ目が、印圧シリンダーを通過する時はいつでも、それは、(以下に記載されることになる基板把持部を受け入れる)印圧シリンダーの表面における不連続部がブランケットに向く時と同時であるべきであることを確実にするのが好ましい。
【0152】
好適には、ブランケットの長さは、印圧シリンダー502、504の円周の整数倍に設定される。ブランケット102の長さは時間変化し得るので、印圧ローラに対する継ぎ目の位置は、ブランケットのスピードを瞬間的に変えることによって、好適に変えられる。同期が再び実現されるとき、ブランケットのスピードは、それが印圧シリンダー502、504と係合されないときに、印圧ローラのスピードと一致するように再び調節される。ブランケットの長さは、ブランケットの1つの検知された一回転の間に、ローラ104、106の一方の回転を測定するシャフトエンコーダから決定され得る。
【0153】
コントローラはまた、プリントバーへのデータのフローのタイミングを制御する。
【0154】
スピード、位置およびデータフローのこの制御は、画像形成システム300、基板移送システム500およびブランケットシステム100間の同期を確実にし、画像が、最終基板上への適正な位置付けのためにブランケット上の正確な位置に形成されることを確実にする。ブランケットの位置は、ブランケットの長さに沿って異なる位置に取り付けられた多数のセンサ107によって検出されるブランケットの表面上のマーキングによって監視される。これらのセンサの出力信号は、プリントバーに画像転写表面の位置を示すために使用される。センサ107の出力信号の分析は、印圧シリンダー502、504のスピードに一致させるようにモータ160や162のスピードを制御するために更に使用される。
【0155】
それの長さは同期の要因であるので、いくつかの実施形態では、ブランケットは、実質的な伸長やクリープに抵抗するように構成され得る。その一方で、横断方向において、支持プレート130との摩擦に起因する過度の引きずりをもたらすこと無く、ブランケットを平坦にピンと張って維持することだけが要求される。発明のある実施形態では、ブランケットの伸張性が意図的に異方性にされるのは、この理由のためである。
【0156】
ブランケットの事前処理
図1Aは、発明のある実施形態に従って、ローラ106の直前にブランケットの外部に位置付けられたローラ190を概略的に示す。そのようなローラ190は、化学剤を含有する事前処理溶液、例えば、荷電ポリマーの希釈溶液の薄膜をブランケットの表面に塗布するために、任意選択的に使用され得る。図面には示されないが、一連のローラが、この目的のために使用され得、1つは、例えば、そのようなコンディショニング溶液の第1の層を受け取り、それを1つ以上の後続のローラに転写し、最後の1つは、必要に応じて、係合位置においてITMに接触する。フィルムは、好適には、インク液滴が、それらがブランケットの表面に当たった後に、それらのフィルムのような形状を保持するのを助けるブランケットの表面上に非常に薄い層を後に残すために、そのフィルムが画像形成システムのプリントバーに到達する時までに完全に乾燥される。
【0157】
1つ以上のローラが、平らなフィルムを塗布するために使用され得るのに対して、代替の実施形態では、事前処理またはコンディショニング材料が、ブランケットの表面の上に噴霧され、または他の方法で塗布されてより平らに広げられ、例えば、エアナイフからのジェット、散布からの細い液滴、または圧力もしくは振動で動作される噴出源を通した溶液との断続的な接触を生成する起伏の塗布による。任意選択的なコンディショニング溶液を塗布するために使用される方法から独立して、必要に応じて、そのような事前印刷処理が行われ得る位置は、本明細書においてコンディショニングステーションとして呼ばれ得、説明されるようにそれは、係合され得るか係合解除され得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、塗布された化学剤は、ブランケットの疎水性解放層との接触後、水性インクの表面張力の効果を打ち消す。一実施形態では、コンディショニング剤は、比較的高い電荷密度および(例えば、10,000を上回る)MWを有するアミン窒素原子(例えば、第一級、第二級、第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩)を含有するポリマーである。
【0159】
いくつかの実施形態では、発明に係る制御システムおよび装置は、印刷システムの動作に含まれる任意の所望のステップとITMのコンディショニングを更に同期させる。一実施形態では、コンディショニング溶液の塗布は、画像転写ステーションでのインク画像の転写に続いて、および/またはITMの任意選択的な冷却前に/後にならびに/あるいは画像形成ステーションでのITM上へのインク画像の堆積の前に、生じるように設定される。
【0160】
インク画像の加熱
支持プレート130に挿入された132は、インク担体の急速蒸発に適した温度であって、ブランケットの組成に適合した温度までブランケットを加熱するために使用される。種々の例では、ブランケットは、必要に応じてインクのおよび/またはブランケットのならびに/あるいはコンディショニング溶液の組成などの種々の要因に依存して、70℃から250℃までの範囲内で加熱され得る。
【0161】
アミノシリコンを含むブランケットは、一般に、70℃と130℃との間の温度まで加熱され得る。前に例示された転写部材の下方加熱を使用するとき、ブランケット102の本体の温度が、それが任意選択的な事前処理またはコンディショニングステーション、画像形成ステーションおよび画像転写ステーション(複数可)間を移動する際に、著しく変化しないように、ブランケットが比較的高い熱容量および低い熱伝導性を有することが望ましい。転写表面によって運ばれるインク画像に異なる速度で熱を加えるために、外部加熱器またはエネルギー源(図示しない)が、例えば、残留インクを粘着性にさせるために印圧ステーションに到達する前に、必要に応じてコンディショニング剤を乾燥するために画像形成ステーションの前に、および、インク液滴がブランケットの表面に当たった後できるだけ早くそれらのインク液滴から担体の蒸発を始めるために画像形成ステーションで、追加的なエネルギーを局所的に加えるために使用され得る。
【0162】
外部加熱器は、例えば、(
図1Aにおいて概略的に表されるような)高温ガスまたは空気ブロワー306、あるいは、例えば、ブランケットの表面の上に赤外線放射を集束させる輻射加熱器であり得、それは、175℃、190℃、200℃、210℃を超えるか、220℃さえも超える温度に達し得る。
【0163】
インクが、紫外線に敏感な構成要素を含有する場合には、紫外線源は、それがブランケットによって移送される際に、インクを硬化させるのに役立つように使用され得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、発明に係る制御システムおよび装置は、更に、印刷システムの種々のステーションにおけるITMの加熱を監視し制御し、監視した温度に応答して矯正ステップ(例えば、加えられた温度を減少させるか増加させること)を取ることができる。
【0165】
基板移送システム
基板移送は、基板の個々のシートを印圧ステーションに移送するために、
図1A~
図1Bの実施形態の場合におけるように、または、基板の連続的なウェブを移送するために、
図3に示されるように、設計され得る。
【0166】
図1A~
図1Bの場合において、例えば、入力スタック506の頂部から、シートを第1の印圧シリンダー502に供給する第1の移送ローラ520に、アームを往復運動させることによって、個々のシートが前進させられる。
【0167】
図面中には示されないが、それ自体は既知である、種々の移送ローラおよび印圧シリンダーは、基板の各シートの前縁を留めるように、それらの回転と同期して適切な時間に開閉するようカム操作される把持部を組み込み得る。発明のある実施形態では、少なくとも印圧シリンダー502および504の把持部の先端は、ブランケット102の損傷を避けるためにシリンダーの外部表面を越えて突出しないように設計される。いくつかの実施形態では、発明に係る制御システムおよび装置は、基板の把持を更に同期させる。
【0168】
画像が、印圧シリンダー502と圧力ローラ140によってその上に付けられるブランケット102との間を通過中に、基板シートの片側の上に押し付けられた後、そのシートは、印圧シリンダー502、504の2倍の大きさの円周を有する両面刷りシリンダー524に移送ローラ522によって供給される。シートの前縁は、移送ローラ526を過ぎて両面刷りシリンダーによって移送され、その移送ローラの把持部は、両面刷りシリンダーによって運ばれたシートの後縁を捕え、第2の画像がそれの反対側の上に押し付けられるようにシートを第2の印圧シリンダー504に供給するよう時間を定められる。シートであって、ここでそれの両側の上に画像が印刷されたシートは、ベルトコンベア530によって第2の印圧シリンダー504から出力スタック508に前進させられ得る。
【0169】
図面に例示されていない更なる実施形態では、印刷されたシートは、出力スタックに送り届けられる前(インラインの最終仕上げ)またはそのように出力へ送り届けた後(オフラインの最終仕上げ)あるいは2つ以上の最終仕上げステップが行われる組み合わせで、1つ以上の最終仕上げステップにさらされる。そのような最終仕上げステップは、限定されるものではないが、印刷されたシートを貼り合わせること、糊付けすること、シート化すること、折り畳むこと、輝かせること、金属はくを付けること、保護用や装飾用にコーティングすること、切断すること、トリミングすること、穴を開けること、エンボス加工すること、凹型押しすること、穿孔すること、折り目をつけること、縫うこと、および縛ることを含み、2つ以上が組み合わされ得る。最終仕上げステップは、適切な従来の機器、あるいは少なくとも類似の原理を使用して行われ得るので、工程におけるおよび発明のシステムにおけるそれぞれの最終仕上げステーションのそれらの一体化は、より詳細な説明を必要とせずに、当業者に明らかになるであろう。いくつかの実施形態では、発明に係る制御システムおよび装置は、典型的には、基板への画像の転写の後に続く、印刷システムの動作に含まれる任意の所望のステップと最終仕上げステップを更に同期させる。
【0170】
ブランケット上に印刷された画像は、常に、印圧シリンダーの円周に対応する距離だけ互いから間隔を置かれるので、2つの印圧シリンダー502と504との間の距離はまた、印圧シリンダー502、504の円周またはこの距離の倍数に等しいべきである。ブランケット上の個々の画像の長さは、勿論、印圧シリンダーのサイズにではなくて、基板のサイズに依存する。
【0171】
図3に示される実施形態では、基板のウェブ560は、供給ロール(図示しない)から引き出され、固定された軸を有する多くの誘導ローラ550と、単一の印圧シリンダー502を過ぎてウェブを誘導する静止したシリンダー551との上を通過する。
【0172】
ローラのうちのいくつかであって、その上をウェブ560が通過するものは、固定された軸を有さない。特に、ウェブ560の送り込み側上に、垂直に移動することができるローラ552が設けられている。それの重みだけのおかげで、または所望される場合にはそれの軸に作用するばねの助けで、ローラ552は、ウェブ560において一定の張力を維持するように働く。何らかの理由で、供給ローラが一時的に抵抗をもたらす場合、ローラ552は上昇することになり、逆に、ローラ552は、供給ロールから引き出されたウェブにおけるゆるみを巻き取るために自動的に下に移動することになる。いくつかの実施形態では、発明に係る制御システムおよび装置は、更に、ウェブ基板の張力を監視し制御する。
【0173】
印圧シリンダーで、ウェブ560は、ブランケットの表面と同じスピードで移動することが要求される。全てのシートが、それが印圧ローラに到達するときに印刷されることを保証する、基板シートの位置が印圧ローラによって固定される、上記した実施形態とは異なり、ウェブ560が印圧シリンダー502でブランケット102と永続的に係合されるのならば、印刷された画像間にある基板の多くは、廃棄される必要があるであろう。
【0174】
この問題を軽減するために、印圧シリンダー502にまたがる、電動式の2つの動力付きのダンサー554および556であって、例えば互いと同期して、異なる方向に移動され得るダンサーが設けられる。画像がウェブ上に押し付けられた後、圧力ローラ140は、ウェブ560およびブランケットが互いに対して移動することができるように、係合解除される。係合解除の直後に、ダンサー554は、ダンサー556が上に移動されるのと同時に下向きに移動される。ウェブの残りは、それの標準的なスピードで前方に移動し続けるが、ダンサー554および556の動きは、ウェブ560の短い長さを印圧シリンダー502とブランケット102との間の間隙を通して後方に移動させる効果があり、それからそれは係合解除される。これは、印圧シリンダー502の後のウェブの走行部からゆるみを巻き取ることと、それを印圧シリンダーに先立つ走行部に転写することと、によって行われる。ダンサーの運動は、次いで、印圧シリンダーにおけるウェブの区分がブランケットのスピードまで再び加速されるように、それらをそれらの例示された位置に戻すよう逆にされる。次に、圧力ローラ140は、次の画像をウェブ上に刷るために再び係合され得るが、ウェブ上に印刷される画像間に大きな空白領域を残さない。いくつかの実施形態では、制御システムおよび装置は、更に、印刷された画像間の空白領域を減らすために、ウェブ基板のゆるみを取ることを監視し制御する。
【0175】
図3は、ウェブの片側上だけへの印刷のために、単一の印圧ローラだけを有するプリンタを示す。両側上に印刷するために、タンデム式のシステムが2つの印圧ローラと共に提供され得、ウェブインバータ機構が、両側印刷のためにウェブの裏返しを可能にするように印圧ローラ間に提供され得る。あるいは、ブランケットの幅がウェブの幅の2倍を超える場合、ウェブの異なる区分の両側上に同時に印刷するように、同じブランケットと印圧シリンダーの2つの半部分を使用することが可能である。
【0176】
印刷システムの代替の実施形態
図1Aと同じ原理上で動作するものではあるが、代替アーキテクチャを採用する印刷システムが、
図4Aに示される。
図4Aの印刷システムは、画像形成ステーション212、乾燥ステーション214、および転写ステーション216を通して循環する無端ベルト210を備える。
図4Aの画像形成ステーション212は、例えば
図1Aに例示された、前に記載した画像形成システム300に類似する。
【0177】
画像形成ステーション212では、例えばインクジェット技術を使用する1つ以上のプリントヘッドを組み込んでいる4つの別個のプリントバー222が、ベルト210の表面の上に異なる色の水性インク液滴を堆積する。例示された実施形態は、典型的な4つの異なる色(すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K))の1つをそれぞれ堆積することが可能な4つのプリントバーを有するが、画像形成ステーションが、異なる数のプリントバーを有することと、プリントバーが、同じ色の異なる色合い(例えば、ブラックを含む灰色の種々の色合い)を堆積することと、2つ以上のプリントバーが同じ色(例えば、ブラック)を堆積することとが可能である。更なる実施形態では、プリントバーは、顔料の無い液体(例えば、装飾的なもしくは保護的なワニス)のためにおよび/または(例えば、金属性の、キラキラ輝く、光るようなまたはきらめく外観などの、視覚効果、あるいは香りのする効果さえも実現する)特殊な色のために使用され得る。いくつかの実施形態は、ITMの上へのそのようなインクおよび他の印刷液体の堆積の制御に関する。画像形成ステーションにおける各プリントバー222に次いで、中間乾燥システム224が、インク液滴を部分的に乾燥するためにベルト210の表面の上に高温ガス(普通は、空気)を吹き付けるために提供される。この高温ガス流は、インクジェットノズルの閉塞を防ぐことを助け、また、ベルト210上の異なる色のインクの液滴が互いに溶け込むことを防ぐ。乾燥ステーション214では、ベルト210上のインク液滴は、より徹底的にインクを乾燥するために、放射線および/または高温ガスに曝露され、液体担体の、全部ではないが、ほとんどを追い払い、粘着性にさせられる程度まで加熱される樹脂や着色剤の層だけ後に残す。
【0178】
転写ステーション216では、ベルト210は、印圧シリンダー220と、圧縮可能なブランケット219を持つブランケットシリンダー218との間を通過する。ブランケットの長さは、上で印刷が行われる基板のシート226の最大長に等しいか、それよりも大きい。印圧シリンダー220は、ブランケットシリンダー218の2倍の直径を有し、基板の2つのシート226を同時に支持することができる。基板のシート226は、供給スタック228から適切な移送機構(
図4Aには示されない)によって運ばれ、印圧シリンダー220とブランケットシリンダー218との間のニップを通過される。ニップ内で、粘着性インク画像を運ぶベルト220の表面は、インク画像が基板の上に押し付けられ、ベルトの表面からきちんと分離されるように、ブランケットシリンダー218上のブランケットによって基板に対して堅固に押し付けられる。基板は、次いで、出力スタック230に移送される。いくつかの実施形態では、加熱器231が、基板への転写を容易にするように、インクフィルムを粘着性にさせるのを助けるために、画像転写ステーションの2つのシリンダー218と220との間のニップのすぐ前に提供され得る。
【0179】
図4Aの例では、ベルト210は、時計周り方向に移動する。ベルトの動きの方向は、上流および下流方向を定義する。ローラ242、240は、画像形成ステーション212の上流や下流にそれぞれ位置付けられ、それ故、ローラ242は、「上流ローラ」と呼ばれ得る一方、ローラ240は、「下流ローラ」と呼ばれ得る。
図1Bの例では、ローラ106および104は、画像形成ステーション300に対して上流や下流にそれぞれ配される。
【0180】
図4Aをもう一度参照すると、ベルト210の時計周りの動きの方向に起因して、ダンサー250および252は、転写ステーション216の上流や下流にそれぞれ位置付けられることに留意し、それ故、ダンサー250は、「上流のダンサー」と呼ばれ得る一方、ダンサー252は、「下流のダンサー」と呼ばれ得る。
【0181】
図4Aの実施形態の上記は、本発明の理解を可能にする目的のためだけに簡易化され提供される。種々の実施形態では、インクの物理的および化学的性質、ベルト210の解放表面の化学組成や可能な処理、ならびに印刷システムの種々のステーションは、それぞれ、重要な役割を果たし得る。
【0182】
インクが、ベルト210の表面からきちんと分離されるために、後ろの面は、疎水性解放層を含み得る。
図1Aの実施形態では、この疎水性解放層は、転写ステーションで解放層と基板との間の適正な接触を確実にするのに必要な圧縮可能な順応性層も含む厚いブランケットの一部として形成される。結果として生じるブランケットは、それが果たす多くの機能のいずれかの障害の場合には取り替えられる必要がある、非常に重く費用のかかるものである。
【0183】
図4Aの実施形態では、解放層は、それを基板シート226に対して押し付けるのに必要とされる厚いブランケット219とは別個の要素の部分を形成する。
図4Aでは、解放層は、それの長手方向の次元における張力強度の増強のために、好適には繊維補強された可撓性の薄い拡張不能なベルト210上に形成される。
【0184】
図4C~
図4Dに概略的に示されるように、ベルト210の側方縁は、間隔を置かれた側方形成物または突出部270を伴って、発明のいくつかの実施形態において提供され、各側上のそれらの側方形成物または突出部は、ベルトをそれの横方向の次元にピンと張って維持するために、それぞれの(
図4Dにおける断面に、また、
図2A~
図2Bにおいてトラック180として示される)誘導チャネル280内に受け入れられる。突出部270は、ベルトの側方縁に縫われたか、他の方法で固定されたジッパーの半分の歯状部であり得る。間隔を置かれた突出部の代替として、ベルト210よりも大きな厚さの連続的な可撓性ビードが、それぞれの側に沿って設けられ得る。突出部は、ベルトの両側上で同じである必要はない。摩擦を減らすために、誘導チャネル280は、
図4Dに示されるように、チャネル280内で突出部270またはビードを保持するために回転軸受け素子282を有し得る。
【0185】
突出部は、ベルトの高速運動を含む印刷システムの動作条件に耐えることができる任意の材料で作られ得る。適切な材料は、約50℃から250℃までの範囲の高温度に耐えることができる。有利には、そのような材料はまた、摩擦に耐えるものであり、それの動作可能な寿命の間にベルトの動きに悪影響を与えることになるサイズおよび/または量の破片をもたらさない。例えば、側方突出部は、二硫化モリブデンで補強されたポリアミドで作られ得る。
【0186】
画像形成ステーション内の誘導チャネルは、ベルト210上へのインク液滴の精密な配置を確実にする。乾燥ステーション214や転写ステーション216内などの、他の領域では、側方誘導チャネルは、望ましいが、重要ではない。ベルト210がゆるみを有する領域では、誘導チャネルは存在しない。
【0187】
ベルト210を誘導するために取られるステップの全ては、誘導チャネル280がまたトラック180として呼ばれた
図1~
図3の実施形態におけるブランケット102の誘導に等しく適用可能である。
【0188】
いくつかの実施形態では、任意のためらいまたは振動が、異なる色のインク液滴の見当合わせに影響を及ぼすことになるので、ベルト210は、一定のスピードで画像形成ステーション212を通って移動することが重要であり得る。ベルトの滑らかな誘導を助けるために、摩擦は、静止した誘導プレートの上にベルトをスライドさせる代わりに、各プリントバー222に隣接するローラ232の上にベルトを通過させることによって減らされる。ローラ232は、それらのそれぞれのプリントバーと的確に整列される必要はない。それらは、プリントヘッドジェット位置のわずかに(例えば、数ミリメートル)下流に位置し得る。摩擦力は、ベルトをピンと張って、プリントバーに実質的に平行に維持する。従って、ベルトの下面は、それが、全ての表面であって、その表面上でそのベルトが誘導される当該表面と回転接触しかしないため、高い摩擦性質を有し得る。誘導チャネルによって加えられる側方張力は、ベルト210を平坦に維持し、それがプリントバー222の下方を通過する際にローラ232と接触していさえすれば十分である。拡張不能な補強/支持層、疎水性解放表面層および高摩擦下面とは別に、ベルト210は、任意の他の機能を果たすことを要求されない。従って、それは、それがすり減ってくる場合には、取り去り、取り替えることが簡単である、薄くて軽く費用のかからないベルトであり得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、発明に係る制御システムおよび装置は、更に、誘導チャネルによって加えられる側方張力を監視し制御する。
【0190】
解放層と基板との間の密な接触を実現するために、ベルト210は、印圧シリンダー220およびブランケットシリンダー218を備える転写ステーション216を通過する。ブランケットシリンダー218の外部表面の上に解放可能なように留められた取り替え可能なブランケット219は、ベルト210の解放層が基板シート226と接触するのを推進させることを要求された順応性をもたらす。転写ステーションのそれぞれの側上のローラ253は、ベルトが、それが、転写ステーション216のシリンダー218と220との間のニップを通過する際に、所望の方位に維持されることを確実にする。
【0191】
上記で説明したように、高品質の印刷された画像が実現される場合、温度制御は、印刷システムに最も重要なものである。これは、ベルトの熱容量が、
図1~
図3の実施形態におけるブランケット102のものよりも低いか、かなり低い可能性があるという点で、
図4Aの実施形態ではかなり簡易化される。
【0192】
また、それは、ブランケットが下方から加熱されることを考慮して、ブランケットの熱容量に影響を及ぼす追加層を含むように、厚いブランケット102を使用する実施形態に関連して上記に提案されている。
図4Aの実施形態におけるブランケット219からのベルト210の分離は、乾燥され樹脂の軟化温度まで加熱されるインク液滴の温度が、乾燥区分214においてかなり低いエネルギーを使用することを可能にする。その上、ベルトは、画像形成ステーションに戻る前に冷却し得、これは、インクジェットノズルの非常に近くを走る熱い表面上にインク液滴を吹き付ける試みによって引き起こされる問題を減らすか避ける。あるいは、加えて、冷却ステーションが、ベルトが画像形成ステーションに入る前にベルトの温度を所望の値まで減らすために、印刷システムに追加され得る。冷却は、ベルト210をローラの上に通過させることによってもたらされ得、そのローラの下半分は、ベルト210を冷却剤源の上に通過させることによって、冷却剤をベルトの上に吹き付けることによって、冷却剤に浸され、その冷却剤は、水またはクリーニング/処理溶液であり得る。いくつかの実施形態では、発明に係る制御システムおよび装置は、更に、ITMの冷却を監視し制御する。
【0193】
発明のいくつかの実施形態では、ベルト210の解放層は、粘着性のインク残留画像を転写ステーションにおいてそれからきれいに剥がすことを確実にするために、疎水性の性質を有する。本明細書における教示に係る制御装置や方法は、解放層および/または適合したインクの種類に関係なく、任意の種類のITMに適用することができる。加えて、それらは、移動する部材とそのようなシステムの任意の他の部分との間の類似の整列、またはそれの欠如を要求するシステムの任意の移動する部材に適用することができる。
【0194】
ベルト210に継ぎ目を無くすことが可能であり、換言すると、それの長さに沿ってどこにも不連続部が無い。そのようなベルトは、それが、画像転写ステーションの2つのシリンダー218および220の円周の速度と同じ表面速度で走るよう常に動作され得るため、印刷システムの制御をかなり簡易化することになる。老朽化を伴うベルトの任意の伸張は、印刷システムの性能に影響を与えず、以下に詳細に説明される、ローラ250および252に張力をかけることによって、更なるゆるみの巻き取りを単に要求することになる。
【0195】
しかしながら、最初に平坦な細長片としてベルトを形成することは、費用がかからず、その細長片の両端は、例えば、ジッパーによって、または場合により、フックやループテープの細長片によって、または場合により、縁を共に半田付けることによって、または場合により、テープ(例えば、細長片の両縁に一部重なる接続片を用いる、Kapton(登録商標)テープ、RTV液体接着剤またはPTFE熱可塑性接着剤)を使用することによって、互いに固定される。ベルトのそのような構造において、印刷が、継ぎ目上でもそれのすぐ隣の周囲の領域(「非印刷領域」)においても行われないことと、継ぎ目が、転写ステーション216において基板226に対して平坦化されないことと、を確実にするのは有利であり得る。
【0196】
転写ステーション216の印圧シリンダー218およびブランケットシリンダー220は、従来のオフセット平版印刷機(litho press)のブランケットシリンダーや印圧シリンダーと同じ手法で構成され得る。そのようなシリンダーにおいて、ブランケット219の2つの端部が留められる領域におけるブランケットシリンダー218の表面における円周の不連続部がある。また、基板シートを把持するように働きそれらをニップを通して移送するのに役立つ把持部を受け入れる印圧シリンダーの表面における不連続部(すなわち、「シリンダー間隙」)がある。発明の例示された実施形態では、不連続部が、印圧シリンダーについての1サイクル毎に2回整列するように、印圧シリンダーの円周は、ブランケットシリンダーの円周の2倍であり、印圧シリンダーは、二組の把持部を有する。
【0197】
ベルト210が継ぎ目を有する場合には、それは、継ぎ目が、常に、転写ステーション216のシリンダー間の間隙と同時であることを確実にするために有用であり得る。この理由のために、ベルト210の長さが、ブランケットシリンダー218の円周の整数倍に等しいことが望ましい。
【0198】
しかしながら、ベルトが新しいときにそのような長さを有する場合でさえも、それの長さは、例えば疲労または温度とともに、使用の間に変化し得、この変化が起こった場合には、ニップを通る継ぎ目の通過の間のその位相がサイクル毎に変化するであろう。
【0199】
ベルト210の長さにおけるそのような変更を補償するために、それは、転写ステーション216のシリンダーとはわずかに異なるスピードで駆動され得る。ベルト210は、2つの別個の動力付きのローラ240および242によって駆動される。ベルトを駆動するローラ240および242を通して異なるトルクを加えることによって、画像形成ステーションを通過するベルトの走行部は、制御された張力下に維持される。2つのローラ240および242のスピードは、転写ステーション216のシリンダー218および220の表面速度とは異なるように設定され得る。
【0200】
2つの動力付きの張力ローラ、またはダンサー250および252は、一方が転写ステーションのシリンダー間のニップのそれぞれの側上に提供される。これらの2つのダンサー250、252は、ニップの前や後で、ベルト210におけるゆるみの長さを制御するために使用され、それらの動きが、それぞれのダンサーに隣接する両側矢印によって概略的に表現される。いくつかの実施形態では、制御装置は、ダンサーの動きを監視し制御する。
【0201】
ベルト210が、ブランケットシリンダーの円周の整数倍よりもわずかに長い場合に、1つのサイクルにおいて継ぎ目が、転写ステーションのシリンダー218と220との間の増大された間隙と整列する場合には、次のサイクルにおいて継ぎ目が、
図4Aに見られるように右に移動させられることになる。これを補償するために、ゆるみがニップの右に蓄積するように、また、張力がニップの左に蓄積するように、ベルトがローラ240および242によって高速に駆動される。正確な張力でベルト210を維持するために、上流250および下流252の動力付きのダンサーは、異なる(例えば、反対)方向に同時に移動され得る。転写ステーションのシリンダーの不連続部が互いに向き合い、間隙が、それらの間に生成されると、ダンサー252は下に移動され、ダンサー250は、ニップを通過するベルトの走行部を加速し、間隙に継ぎ目をもたらすように移動される。
【0202】
画像形成ステーションから離れた位置におけるITMおよび/またはベルトおよび/またはブランケットの速度は、変動し得る(例えば、それ故、継ぎ目は、ITMが印圧シリンダー220から係合解除される時間の間に間隙を通過する)けれども、画像形成ステーション212と整列された位置(
図20Bの398を参照)でのITM速度における速度が、一時的または空間的な変動無しで、実質的に一定に維持されるように、システムを動作することが可能である。整列された位置398におけるこの一定速度は、これらの位置で速度変動によって引き起こされる画像歪みを避けるために重要であり得る。
【0203】
それ故、いくつかの実施形態は、インク画像が、画像形成ステーションで移動する中間転写部材上に形成され、印圧ステーションで中間転写部材から基板に転写される、印刷システムを動作する方法に関する。方法は、(i)画像形成ステーションと整列された位置で一定の中間転写部材の表面速度を維持するように、および(ii)画像形成ステーションから間隔を置かれた位置だけにおける可変速度を、時間の少なくとも一部、得るために、画像形成ステーションから間隔を置かれた位置における中間転写部材の部分だけを局所的に加減速するように、中間転写部材の表面速度の時間による変化を制御することを含む。
【0204】
ベルト210上の引きずりを、それがニップを通して加速される際に減らすために、ブランケットシリンダー218は、
図3に示されるように、ブランケットの端部間の不連続領域内にローラ290が備えられ得る。
【0205】
このようにしてベルトの位相を正す必要性は、ベルト210の長さを測定することによって、または転写ステーションのシリンダーの位相に対してベルト上の1つ以上のマーカの位相を監視することによって、検知され得る。マーカ(複数可)は、例えば、適切な検出器によって磁気的または光学的に検知され得るベルトの表面に付けられ得る。あるいは、マーカは、ベルトに張力をかけるためにおよびそれを張力下で維持するために使用される側方突出部における不規則さの形態、例えば欠けた歯状のものを取り得、それ故、機械的位置インジケータとして働く。
【0206】
マーカ検出器
本開示の場合、用語「マーカ」および「マーキング」は、交換可能であり、同じ意味を有する。
【0207】
図5に例示されるように、いくつかの実施形態では、ITM102(例えば、ブランケットまたはベルト)は、その上に、例えば、ITM運動によって定義された方向1110に)1つ以上のマーキング(複数可)1004を含み得る。以下に記述されることになるように、異なる位置にそれぞれ位置付けられる多数のマーキングは、不均一なブランケットの伸張に起因する画像歪みを減らすか排除することが望まれるときに有用であり得る。
【0208】
マーキングの性質は、典型的には、隣接のマーク付けされない位置の性質とは異なる。例えば、マーキングの色(複数可)は、隣接の位置の色とは異なり得る。マーキングの他の光学性質は、非可視範囲にあり得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、マーキングは、少なくとも50、または少なくとも100、または少なくとも250、または少なくとも500の別個のマーキングがITM上にあるように、多数Nであり、マーカが「ITM上に密集」しているとも言われる状況でもある。1つの非限定例では、マーキング間の平均分離距離が、少なくとも1メートルまたは少なくとも2メートルまたは少なくとも3メートルの円周の長さを有するITMについて、多くても5cmまたは多くても3cmまたは多くても2cmまたは多くても1cmであるように、5メートルと10メートルとの間の長さを有するITM上に約500個の均等に間隔を置かれたマーキングがある。
【0210】
比較的高い「マーカ密度」を有するITMは、多くの目的のために、例えば、ITM上の種々の位置での局所的なITM速度または局所的なITM伸張を追跡するために、有用であり得る。
【0211】
図6A~
図6Bおよび
図7の例では、マーカの存在を検出するように構成された複数の光学センサ990は、回転するITMの運動の方向に沿って互いから間隔を置かれる。これらの光学センサは、それ故、「マーカ検出器」の一例である。光学センサのそれぞれは、ITMの表面の上にねらいを定められ、それらが通過する際にその上のITMマーキング1004を読み取るように構成される。
【0212】
N個の異なるマーカは、多くても1cmまたは多くても5mm、ならびに/あるいは、ITM102の長さの多くても5%または多くても2.5%または多くても1%または多くても0.5%または多くても0.1%である運動の方向1100に沿う幅を有し得る。
【0213】
無端ITMの場合、ITMの「長さ」は、ITMの円周として定義される。
【0214】
いくつかの実施形態では、多数のマーカは、ITM長の10%を超えてまたはITM長の5%を超えてまたはITM長の2.5%を超えてまたはITM長の1%を超えてまたはITM長の0.5%を超えてN個の異なるITMマーカの1つから、回転運動の方向1100に沿って、ITM102の表面の、実質的に大部分内(すなわち、その表面の領域の少なくとも75%)あるいはその表面のかなり全て(すなわち、その表面の領域の少なくとも90%)の位置が変位させられないように、ITM全体にわたって分散される。いくつかの実施形態では、マーキングは、プリントバーの長さおよびITMの長さによって規定されたような印刷領域に著しく影響を与えない位置で、継ぎ目のあるベルトについては継ぎ目領域の外側で、ITMの1つまたは2つの側方縁上に位置する。マーキングは、ブランケットの両縁上で同じである必要はない。
【0215】
図5の例では、マーカは、裸眼で見ることができる。これは限定ではない。いくつかの実施形態では、マーカは、限定されるものではないが、可視スペクトルまたは他の波長または光学放射または任意の他の種の電磁放射を含む任意の光学性質に基づいて、ブランケットの残りと区別され得る。加えておよびあるいは、ベルトの側方突出部は、機械的マーキングとして働き得る形で不均等に間隔を置かれ得る。いくつかの実施形態では、ITMは、別個の種類の信号を有するマーキングを備え得る。例えば、異なる適切な検出器は、光信号、機械的信号および磁気的信号の組み合わせを監視するために使用され得る。
【0216】
図6A~
図6Bは、複数のローラ104、106の上に誘導された中間転写部材102を例示する。複数の光学センサ990は、ITMにねらいを定められる。1つの非限定例では、光学センサは、回転するITM上のマーカ1004を検出するために使用される。例えば、光学センサ990は、光学センサ990と整列された位置でマーカ1004の存在または不在を検出することができ得る。
図8Aの例では、センサ990A~990Jは、下向きに方位付けられ、それ故、光学センサ990と「整列された」間隔の固定された位置は、センサの直下にある。しかしながら、光学センサは、異なる方位にねらいを定められ得、光学センサ990「と整列された」位置は、センサ990の直下であることを要求されない。
【0217】
本開示の場合、用語「センサ」および「検出器」は、交換可能に使用される。光学、磁気的もしくは機械的マーカ、または任意の他の適切な種類の信号を検出することができるセンサは、既知であり、それらの記載は詳細にされる必要はない。
【0218】
本開示の場合、「間隔の固定された」位置は、間隙を介して固定された位置である。これは、ITMに付された位置であって、そのITMと共に回転する「中間転写部材の固定された」または「ブランケットの固定された」位置に収縮している。
【0219】
上記のように、中間転写部材102上のマーキングは、裸眼で見ることができることまたは光学的にも検出可能であることが要求されない。そのように、光学センサ990は、任意の波長の光信号を検出するように動作可能であり得る。あるいは、マーカ検出器990は、光学センサであることを要求されず、ITMマーカの存在または不在を検出するように動作可能な任意の「マーカ検出器」が、利用され得る。「マーカ検出器」990の例は、限定されるものではないが、磁気検出器、光学検出器および容量センサを含む。
【0220】
図6A~
図6Bの非限定例では、990Aから990Jとして個別に例示された、いくつかの「ローラにねらいを定められた」マーカの検出器990は、それぞれ、ローラ104、106の上に取り付けられる際、ブランケットの上部走行部の上で間隔の固定された位置にねらいを定められる。
図10を参照にして以下に記述されることになるように、ローラにねらいを定められたマーカの検出器990は、ITM102とローラ104、106のいずれかとの間のスリップの存在または不在を検出するために使用され得るか、「スリップ速度」を測定するために使用され得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、光センサまたは他のマーカ検出器990は、マーカ検出器990がねらいを定めている間隔の固定された位置でITM102の局所的な速度を測定するために使用され得る。
図6A~
図6Bの例では、多数のマーカ検出器990B~990Iが、ITMの上部走行部の表面速度の方向1100に沿って互いから間隔を置かれており、上部走行部は、ローラ104、106間の画像形成ステーションの直下に位置するITMの区分として定義される。図面の非限定例では、それ故、合計8つのマーカ検出器が配置されるが、これは限定ではなく、任意の数のマーカ検出器が使用され得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、局所的なITM速度は、ITM上の(すなわち、ブランケットと共に回転するブランケット基準フレームにおける)位置および/または「慣性基準フレーム」もしくは「間隔の固定された基準フレーム」、「間隔の固定された基準フレーム」における位置に応じて変動し得る。例えば、ローラ104、106に近いITM速度は、ローラ(複数可)の上のITMの「スリップの無い」条件に起因して駆動ローラ(複数可)の速度に等しいものに非常に近くなり得る。しかしながら、ローラ104、106から更に離されたITM速度は、位置に応じて(例えば、駆動ローラの1つから離れた距離に応じて)ローラの速度から外れ得る。以下に記述されることになるように、ITMマーカ1004およびマーカ検出器990は、中間転写部材のマーカが通過するであろう間隔の固定された位置でITMの局所的な速度を検出するために使用され得る。
【0223】
それ故、一例では、検出器990Bにねらいを定められた位置での局所的なITM速度は、検出器990C~990Iのいずれかにねらいを定められた位置などでの局所的なITM速度とは異なり得る。いくつかの実施形態では、多数のマーカ検出器の間隔を空けることは、1つが、各マーカで具体的な局所的なITM速度を監視することによって、多数の間隔の固定された位置についての局所的なITM速度を「プロファイル」することを可能にし得る。
【0224】
また、
図6A~
図6Bに例示されるものは、ローラ104、106または印圧シリンダー502のいずれかの角変位を測定する複数のロータリーエンコーダ88A~88Cである。ロータリーエンコーダの存在は必須ではない。いくつかの実施形態は、そのようなエンコーダを欠いていてもよい。
【0225】
あるいはまたは加えて、
図6Bに例示されるように、1つ以上のタンデム式のローラ982または984は、ローラ104、106と同じ表面速度で回転し得、ローラ104または106の回転を測定するためにロータリーエンコーダを装備し得る。
【0226】
ロータリーエンコーダは、回転変位(複数可)または任意のローラ(複数可)の回転速度(複数可)を測定するために使用され得る。
【0227】
図7および
図8は、複数のプリントバー302(例えば、2つ以上の「近隣の」プリントバー、もしくは3つ以上のプリントバー、もしくは3つ以上の「近隣のプリントバー」)の1つ以上の各プリントバー302について、異なるそれぞれのマーカ検出器990が、(i)プリントバー筺体上もしくはその筺体内におよび/または各プリントバー302の筺体上もしくはその筺体内に、ならびに/あるいは(ii)プリントバー302がトラック上で(例えば、ブランケット102の局所表面に平行であるが、表面速度方向1100に垂直な方向にスライドし得る、当該トラック上に、ならびに/あるいは(iii)プリントバー302とブランケット102との中間に、ならびに/あるいは(iv)プリントバー302に隣接して(すなわち、任意の近隣のプリントバーよりも所与のプリントバー302の近くに、それ故、マーカ検出器990Cは、プリントバー320Bに隣接しており、それ故、近隣のプリントバー320A、320Cのいずれかよりもそれに近くに)、配列される、実施形態に関する。
【0228】
図7の例では、プリントバー320Bの「近隣」は、320Aおよび320Cであり、プリントバー320Cの「近隣」は、320Bおよび320Dなどである。
【0229】
インク画像の見当合わせに関連する1つの非限定例では(例えば、ブランケット102のインク画像をその上にインクの液滴を堆積することによって「印刷する」とき)、マーカ検出器990は、「間隔の固定された基準フレーム」においてマーカ検出器990の下方の具体的な位置で局所的な速度を(すなわち、それと共に回転するブランケット基準フレームとは対照的に)検出するために使用される。
【0230】
いくつかの実施形態では、インク液滴がプリントバー302によってITM102の上に堆積される割合(例えば、時間変動する可変割合)は、所与のプリントバー302の下方の所望の局所的な速度からの偏りに従って液滴の堆積割合を決定することによって、引き起こされる画像歪みを最小限にするおよび/または排除するために、プリントバー302の下方のITMの「局所的な中間転写部材速度」に従って決定され得る。マーカ検出器は、局所的な速度を測定するために使用され得るので、例えば、所与のプリントバーの間隔の固定された位置で局所的なITM速度を精密に測定するために、マーカ検出器を、(i)プリントバー筺体上にもしくはプリントバー筺体内におよび/または各プリントバー302のプリントバー筺体上にもしくはプリントバー筺体内に、ならびに/あるいは(ii)プリントバー302がトラック上に(例えば、ITM102の局所表面に平行ではあるが、表面速度方向1100に垂直な方向に)スライドし得る、当該トラック上に、ならびに/あるいは(iii)プリントバー302とITM102との中間に、ならびに/あるいは(iv)プリントバー302に隣接して(すなわち、任意の近隣のプリントバーよりも所与のプリントバー302の近くに、それ故、マーカ検出器990Cは、プリントバー320Bに隣接して、それ故、近隣のプリントバー320A、320Cのいずれかよりもそれの近くに)配列することは有用であり得る。上記のようにおよび以下により詳細に記述されるように、局所的なITM速度は、異なる間隔の固定された位置で異なり得、液滴が回転するITM102上に堆積される位置(例えば、プリントバー位置)のできるだけ近くで局所的なITM速度を測定することが望ましいであろう。
【0231】
中間転写部材の局所的な速度の測定
いくつかの実施形態では、局所的なITM速度を測定するために、ITMマーカ1004に要求される時間を測定することが可能であり、マーカは、回転運動1100の方向に垂直である「垂直面」(図示しない)に交差する運動の面における既知の幅のものである。例えば、マーカ検出器990は、「垂直面」内のITM102にねらいを定める。
【0232】
この場合において、局所的な速度は、マーカが「垂直面」に交差するのに要求された時間に逆比例し得、マーカ幅に正比例し得る。
【0233】
別の例では、近隣のITMマーカ、MARKER
FIRSTおよびMARKER
SECONDについて、(i)MARKER
FIRSTの前縁が「垂直面」に交差するときの第1の時間TIME
FIRSTと、(ii)MARKER
SECONDの前縁が「垂直面」に交差するときの第2の時間TIME
SECONDとの時間差TIME_DIFF(FIRST,SECOND)であり、ここで、「前縁」はITM回転の方向に従って定義される、当該時間差を測定することによって局所的なITM速度を測定することが可能である。暗いITM上の光マーカ(複数可)の非限定例の場合、この時間差TIME_DIFF(FIRST,SECOND)は、
図8Bに例示されるような「ピーク間」時間delta_tであり得る。
【0234】
スリップ速度の測定
上記のように、いくつかの実施形態では、ロータリーエンコーダは、ローラ(複数可)のいずれかの角変位を測定し得る。例えば、任意のローラ104、106(あるいは、それに対してタンデム式に回転するシリンダー982、984)内の比較的多くの数(例えば、少なくとも500または少なくとも1,000または少なくとも5,000または少なくとも10,000または少なくとも50,000または少なくとも100,000)のマーキングが、比較的小さな角変位および/または任意の角変位を比較的高い精密さで測定するために存在し得る。1つの非限定例では、また、例えば、ローラが予め決定された角度で回転するために要求された時間を測定することによって、ロータリーエンコーダを使用して、ローラ104、106の角速度を測定することも可能である。
【0235】
上記のように、いくつかの実施形態では、ローラ(104または106)の位置でのITM速度は、ローラ周りのITMの「スリップの無い」条件に起因するローラの速度によって決定され得る。
【0236】
とは言え、「スリップの無い」条件に反したいくつかの状況、例えば、ITMが最初の長さを越えて「伸張された」場合であって、ローラ(複数可)によって定義された走行部としては「長すぎる」場合があり得る。この場合において、ローラ104、106の周りに誘導されるITMは、1つ以上のローラ(複数可)における、ある種の「スリップ速度」を呈し得る。
【0237】
ITMスリップ速度を測定するための手順は、
図9Aに記載され、すなわち、(i)誘導または駆動ローラでの局所的なITM速度と、(ii)そのローラのローラ速度との間の速度差が次に記載される。手順は、3つの連続するステップ、すなわち、ステップS811、S815、およびS819を含み、それぞれ、S811は第1のステップであり、S815は第2のステップであり、S819は第3のステップである。
【0238】
ステップS811では、ITM速度が、ITM102がローラに接触する接触位置で検出される。例えば、局所的なITM速度は、
図7に例示されるように、任意のマーカ検出器990、例えば、ローラ106のためのマーカ検出器990Aまたはローラ104のためのマーカ検出器990Jを使用して検出され得る。
【0239】
ステップS815では、ローラ回転速度が検出され、ステップS819では、(i)ローラ回転速度をITM局所的な速度と比較すること、および/または(ii)スリップ速度を計算するためにそれらの間の差を計算することが可能である。
【0240】
中間転写部材の長さの測定と指示
上記のように、無端ITMの場合、ITMの「長さ」はITMの円周として定義される。
【0241】
いくつかの実施形態(例えば、連続的なループベルト)では、無端ITMの長さは、ITM102が回転する際、印刷システムの動作の間に時間変動し得る。
【0242】
図9Bは、ITMが回転する間に中間転写部材102の長さを測定するための手順のフローチャートである。手順は、3つの連続ステップ、すなわち、ステップS831、S835、およびS839を含み、それぞれ、S831は第1のステップであり、S835は第2のステップであり、S839は第3のステップである。
【0243】
ステップS831では、ローラ(104または106)の円周ROLLER_CIRCが決定される。これは、予め決定された値であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、熱膨張の結果として生じるものなどのそれの温度依存に起因して、ローラの円周における小さな変動を組み込むことが可能である。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルが提供され得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、ITMは、その上にN個のITMマーカ{MARKER1、MARKER2、・・・MARKERN}を含み、ここで、Nは正の整数(例えば、少なくとも10または最低50もしくは少なくとも100)である。
【0245】
ステップS835では、ITMマーカMARKERI(ここで、Iは、多くてもNの値を有する正の整数である)の所与の1つについて、所与のマーカMARKERIが一回転を開始し完了するときを(例えば、マーカ検出器のいずれか1つを使用することによって)決定することが可能である。この「マーカ回転測定」は、間隔の固定された位置(すなわち、マーカ検出器990の1つにねらいを定められた位置)に対して実行され得る。ITMの速度は、ITM上の位置に応じて(例えば、それが回転する際にITMの伸張や収縮に起因して)わずかに時間変動し得、変動し得るので、「マーカ回転測定」は、複数のITMマーカについて(すなわち、単一のMARKERIについてだけではなく)および/または複数の「測定位置」で繰り返され得る(すなわち、第1の測定は、センサ990Aにねらいを定められた位置について実行され得、第2の測定は、センサ990Bにねらいを定められた位置について実行され得るなど)。
【0246】
各マーカについて、一回転の「開始」および「完了」は、時間間隔を定義する。この時間間隔についてローラ(すなわち、円周ROLLER_CIRCを有する)の回転変位を(例えば、ラジアンもしくは角度で、または任意の角度単位で)測定することが可能であり、これは、どのくらいのローラが時間間隔の間に回転するかを説明する。
【0247】
ステップS831では、(i)ITMマーカの一回転の間のローラ104(または106)の回転変位と、(ii)ローラの円周に基づいて、ITMの長さまたは円周を決定することが可能である。例えば、ITMマーカMARKERIが、一回転を完了することを要求された時間の間、ROLLER_CIRCを有するローラが900度だけ回転する場合には、ITMの長さは、ROLLER_CIRCの2.5倍と見積もられ得る。
【0248】
この測定は、多数のITMマーカについて繰り返され得、平均され得る。
【0249】
継ぎ目のある中間転写部材に関連するいくつかの特徴
要求ではないが、いくつかの実施形態では、無端ITM102は、継ぎ目のあるITMであり得ることを上記した。例えば、ITM102は、ジッパーまたはフックおよびループファスナーであり得る解放可能な締結、あるいはブランケット端部の接着性によって実現され得る永続的な締結を含み得、そのような継ぎ目は、ローラ104および106の軸に実質的に平行に横たわり、そのローラの上でITMが誘導される。
【0250】
以下の記載は、1つの継ぎ目を参照にするが、ここに開示された教示は、複数の継ぎ目を有するITMに適用してもよい。
【0251】
いくつかの実施形態では、ITMの回転の間に、継ぎ目1130の位置を直接的または間接的に追跡することが望ましいであろう。
図10は、時計周りのITMの回転の非限定例のために、継ぎ目1130の回転運動の4つのフレーム(すなわち、時間t
1、t
2、t
3、およびt
4におけるもの)を例示する。
【0252】
いくつかの実施形態では、継ぎ目1130と、回転する印圧シリンダー502の予め決定された位置1134との間の相対的な位相差(またはそれの欠如)を追跡することは有用である。
【0253】
図13の非限定例(すなわち、シート基板の特殊な場合に関連するもの)では、ITM102上に整数のインク画像がある(すなわち、それらのそれぞれは、「ページ画像」1302として定義される)。インク画像は、継ぎ目1130上に存在しない。この例では、インク画像は、継ぎ目1130の位置上への液滴の堆積によって形成されない。
【0254】
いくつかの実施形態では、ITMは、シリンダー502の方へのITM102の少なくとも一部の運動(例えば、下向き運動)によって、および/またはITM102の少なくとも一部の方へのシリンダー502の運動(例えば、上向き運動)によって、あるいは任意の他の手法によって、繰り返し、印圧シリンダー502に係合し得、また、印圧シリンダー502から係合解除し得る。
【0255】
図12A~
図12Bに例示されるように、いくつかの実施形態では、
図12Aに例示されるように継ぎ目1130が印圧シリンダー502と整列される時に(例えば、圧力ローラ140によってまたは任意の他の手法で)ITM102を印圧シリンダー502に係合することを避けるように、印刷システムを動作することが望ましいであろう。代わりに、
図12Bに例示されるように、継ぎ目1130が、ITMと印圧シリンダーの係合サイクルの「係合解除部分」の間に、印圧ローラ502のそばを通過することができるのが望ましいであろう。
【0256】
いくつかの実施形態では、これは、(i)ITMの長さを適切な設定点の長さに調整することによって、および/または(ii)ITMの少なくとも一部(例えば、継ぎ目が位置するところ)の速度を一時的に修正することによって、達成され得る。
【0257】
いくつかの実施形態では、印圧シリンダー502の円周の整数倍である長さを有する無端ITMを利用することが有用であり得る。
図13の例の場合、8つのページの印刷領域があり、それらのそれぞれは、(i)ページ画像が基板シートに転写される、当該基板シートの高さに一致する高さ、および/または(ii)印圧シリンダー502のシリンダーの円周に等しい高さを有する異なるそれぞれのページ画像と関連付けられる。
【0258】
図11の非限定例では、ITM102の長さは、印圧シリンダー502の円周の8倍に等しい。
【0259】
ITM長が一定ではない印刷システムを動作するための第1の手順
いくつかの実施形態では、ITM102の長さは、時間変動または「わずかに(例えば、多くても2%または多くても1%または多くても0.5%だけ)変動」し得る。
【0260】
図13~
図14は、時間変動する非一定の長さを有するITMを有する印刷システムを動作するための装置および方法に関する。1つの非限定例では、ITM102は、回転する印圧シリンダー502に対して繰り返される係合によって引き起こされる機械的雑音にさらされ得る。更に別の例では、ITMの寿命にわたって、ITMは、使用によって「伸ばされる」ことになり得る。更に別の例では、温度の変動あるいは任意の他の動作上または環境上のパラメータが、ITMを伸張させ得るか収縮させ得る。
【0261】
いくつかの実施形態では(ステップS101を参照)、長さの変動を検出するために、例えば、ITM長を実際に測定することによって、またはITM長を実際に測定すること無くITM長を指示するパラメータを監視することによって、ITM102の長さインジケータを監視することは、有用であり得る。ITM長を指示するパラメータの一例は、一回転を完了するために、ITMマーカの1つについて要求された期間の間の「回転変位」である。
【0262】
監視された長さが「対象」または「設定点」の長さよりも小さい(例えば、対象が印圧シリンダー502の円周の整数倍に等しい)場合には、これは、継ぎ目1130を印圧シリンダーに押し付けるリスクを増やし得、あるいは任意の他の組の悪影響(複数可)と関連付けられ得る。この場合において、(i)ITM102を伸張すること(例えば、
図13の装置または
図14の手順を参照)、および/または(ii)(例えば、ITM102が印圧シリンダー502から係合解除されるときに)ITM102を減速することは有利であり得る。いくつかの状況において、係合解除の時間の間、ITM102の表面速度は、印圧シリンダー502の表面速度とは異なる。
【0263】
ITM102の全体を加速するか減速することは要求されない。例えば(
図4Aを参照)、動力付きのダンサーにより上流250および下流252に及ぶITM102の一部を局所的に加速するか減速することが可能である。
【0264】
参照は、
図13および
図14になされる。
図14では、固定されているローラ104、106間の長さの代わりに、それらの間の長さは、可変であり制御可能である。例えば、モータ(図示しない)および/または任意のリニアアクチュエータは、ローラ104、106間の距離を増加させ得るか減少させ得る。いくつかの実施形態では、誘導ローラ間の距離を修正するためのモータは、ITM102の回転を引き起こすために利用されるモータとは異なる。種々の手順は、
図14に例示される。
【0265】
参照は、
図14になされる。この図面は、長さまたは速度などのITM特性を監視し調節する一例を提供する。ITMの長さの常時の監視がある(S101)。一例では、ITMの長さは、最大限の許容可能な設定点の長さと比較される(S109)。設定点の長さの一例は、印圧シリンダーの円周の整数倍であり得るか、あるいは、(2
*n-1)に圧力シリンダーの円周を乗じたものであり得、ここで、nは整数である。設定点の長さは、上部および下部許容レベルを有し得る。ITMの長さが設定点の長さを超える場合には、ITMを収縮させることが可能であり得る(S111)。一例では、ITM長を収縮するために、ローラ104と106との間の距離を減らすことが可能であり得る。ITMの長さが設定点の長さを超えない場合には、長さは、最小限の設定点の長さと比較され得る(S115)。監視された長さが、比較される値より小さい場合、ITMの長さは増加され得る(S119)。1つの非限定例では、長さは、ローラ104と106を離すことによって増加され得る。ステップS111およびS119は、任意の他の手法で実行され得る。
【0266】
中間転写部材の長さが非一定であるプリンタを動作するための第2の手順
前の節において、ITM長を修正することによって、ITM長の偏りに応答する手順が記載された。
【0267】
あるいはまたは加えて、上記のように、ITM102の少なくとも一部を、それがITMと印圧シリンダーの係合サイクルの「係合解除部分」の間に移動する際に、加速するか減速することによって、応答することが可能であり得る。
図16A~
図16Bを参照。
【0268】
いくつかの実施形態では、ITMの一回転を(すなわち、印圧シリンダー502と整列された位置で)完了するために、(i)ITMと印圧シリンダーの係合サイクル、および(ii)ITM回転サイクルまたは予め決定された位置(例えば、継ぎ目1130)について要求された時間のタイミングパラメータ(例えば、周期)間の固定された関係があり得る。この場合において、ITM回転サイクルは、ITMと印圧シリンダーの係合サイクルに「同期される」と言われ得る。
【0269】
2つのサイクルが同期されると、継ぎ目1130(またはITM102上の任意の他の予め決定された位置)が、ITMと印圧シリンダーの係合サイクルのそれぞれのサイクル内で同時に印圧シリンダーのそばを通過するように、印刷システムを動作することが可能である。それ故、継ぎ目1130は、ITMと印圧シリンダーの係合サイクルの「係合解除」部分の間に、印圧シリンダー502のそばを常に通過することが、手配され得る。
【0270】
印圧シリンダー502が、ITMと印圧シリンダーの係合サイクルの周期の整数倍である周期で回転する場合には、これは、継ぎ目1130(またはITM102上の任意の他の予め決定された位置)が印圧シリンダー502のそばを通過するたびに、継ぎ目1130が回転する印圧シリンダーの予め決定された位置1134(例えば、印圧シリンダー間隙1138の位置、
図15C~
図15Dを参照)と整列されることを意味する。
図12を参照のこと。ここで、継ぎ目1130は、回転する印圧シリンダー502の位置1134(すなわち、円周の不連続部)が、ITM102の方に直接的に向く時に、回転する印圧シリンダーのそばを常に通過する。
【0271】
しかしながら、ITMの回転速度の増加または減少の場合には、あるいは、固定された回転速度についてITM102上の位置(例えば、継ぎ目1130)の線形速度を修正することになるITM長の増加または減少の場合には、これは、ITMと印圧シリンダーの係合サイクルに対して「位相をずらした」手法で、ITMを回転させ得る。例えば、継ぎ目1130がITMと印圧シリンダーの係合サイクルのそれぞれのサイクル内に同時に印圧シリンダーのそばを通過する前の段落の状況とは異なり、これは、ITMと印圧シリンダーの係合サイクルの異なる部分で継ぎ目1130を印圧シリンダー502のそばを通過させ得る。継ぎ目1130が、「最初の通過」の間のサイクルの「係合解除部分」の間に、印圧シリンダー502のそばを通過する場合でさえも、印圧シリンダー502のそばを後で通過する間に、印圧サイクルの「係合部分」の間に印圧シリンダー502のそばを通過しやすい。
【0272】
(i)印圧シリンダー502の回転サイクルがITMと印圧シリンダーの係合サイクルに同期される場合、および(ii)ITM102の回転サイクルがそれに同期されない場合(例えば、ITM102の長さが、設定点の長さから外れているので)、これは、
図15Dの状況を作り出し得る。継ぎ目1130が、回転する印圧シリンダー502の位置1134がITM102の方に直接的に向く時に、回転する印圧シリンダーのそばを常に通過する
図15Cとは対照的に、
図15Dでは、継ぎ目が、位置1134と整列されているのに対して「ドリフト」し得る。このドリフトは、ITMと印圧シリンダーの係合サイクルと「同期しないで」回転するITM、および/または継ぎ目1130がそれらの間で整列される時に、シリンダー502へ係合するITM102の高いリスクがある状況を示し得る。
【0273】
ここで、参照は
図16Aになされる。この図面において、長さの偏り(S103)またはITM102上の予め決定された位置(例えば、継ぎ目位置1130)での印刷のリスク(S121)、ならびに/あるいは、ITM回転サイクルと、(i)ITMと印圧シリンダーの係合サイクルおよび/または(ii)印圧シリンダー回転サイクルと、の間の望ましくない位相差(S123)を検出することが可能である。
【0274】
ITM回転サイクルを(i)ITMと印圧シリンダーの係合サイクルおよび/または(ii)印圧シリンダー回転サイクルとの位相に戻すことをもたらすために、ITMが印圧シリンダー502から係合解除される時にITM102(すなわち、中間転写の全体またはそれの一部)を加速するか減速することが可能である(S129)。
【0275】
いくつかの実施形態では、
図16A~
図16Bのアプローチは、有用であり得るが、他の問題を生じ得、例えば、それは、インク画像の1つ以上を歪め得る。そのように、ITM長を修正することと、ITM長を修正する理にかなった選択肢が使い尽された後だけに、ITM102の回転速度を加速するか減速することに頼ることと、が好ましいであろう。
【0276】
図17に例示されるように、対象の長さからの「小さな正の長さの偏り」の場合には、ITMの収縮または伸張アプローチ(
図16を参照)が好適であり得る。例えば、ITM102が一定の長さを越えて伸張される場合、これは、ローラ(複数可)104および/または106)の上での「中間転写部材のスリップ」のリスクを引き起こし得るか増加させ得る。
【0277】
それ故、いくつかの実施形態では、ITMの加速または減速は、一定閾値を越える対象の長さから外れるITMの長さ次第であり得、その時にだけ、このアプローチに頼ることになる。あるいはまたは加えて、ITMの加速または減速は、ITM102とローラ(複数可)104および/または106との間の検出されたか予測されたスリップ次第であり得る。
【0278】
【0279】
参照は
図18Aになされる。ステップS101では、ITMの長さが監視される。ステップS109では、長さが設定点の長さを超えるかどうかが決定される。そうである場合には、ステップS151では、偏り長さがUp_tolerance
Iを超えるかどうかが決定される。それが超える場合、ITMは、ステップS111において収縮させられ、そうではない場合、ITMは、ステップS131において加速される。
【0280】
参照は、
図18Bになされる。ステップS101では、ITMの長さが監視される。ステップS109では、長さが設定点の長さを超えるかどうかが決定される。そうである場合には、ステップS151では、ローラ(複数可)上のITMのスリップの高いリスクがあるかが決定される。それが超える場合、ITMはステップS111において収縮させられ、そうではない場合、ITMはステップS131において加速される。
【0281】
参照は、
図19になされる。ステップS101では、ITMの長さが監視される。ステップS115では、長さが設定点の長さより少ないかどうかが決定される。そうである場合には、ステップS151では、偏りの長さがDown_tolerance
Iを超えるかどうかが決定される。それが超える場合、ITMはステップS119で伸張され、そうではない場合、ITMはステップS135で減速される。
【0282】
画像歪みを低減するか排除するための第1の技法
図20A~
図20Bは、上流および下流ローラの上に取り付けられたITMまたはブランケットを例示し、ここで、それの上部走行部910における張力は、下部走行部912における張力を超える。
【0283】
図20Aのシステムは、
図4Aのシステムと同じであり、ここで、上部910および下部912走行部が、例示され、上流242および下流240ローラによって定義される。
図20Bは、いくらかより概略的であり、
図4Aのシステムに、
図1Aのシステムまたは任意の他のシステムに適用することができ、
図20Bにおいて、
図1Aの名称が採用され、上流および下流ローラは、それぞれ、106および104と呼ばれる。
【0284】
図20Bに例示されるように、下流ローラ106によって加えられるトルクは、上流ローラ104のトルクを著しく超える。下流ローラ104によって受けられるトルクが、上流ローラ106によって加えられるトルクを超えるとき、これは、下部走行部912の張力よりも高い張力で、ベルト102の上部走行部910を維持することができる。
図20A~
図20Bの例では、下流ローラ104のトルクは、ベルト102の上部走行部912上に上流ローラ106によって加えられた水平力F
1を超える水平力F
2をベルト102の上部走行部912上に加える。そのように、ローラ104、106は、上部走行部をピンと張って維持するために上部走行部912を伸張させると言われ得る。
【0285】
異なる実施形態では、上流ローラによって加えられるトルクに対する下流ローラによって加えられるトルクの比率、および/または下流ローラ106によって加えられる水平力の大きさと上流ローラ104によって加えられる水平力の大きさの比率は、少なくとも1.1または少なくとも1.2または少なくとも1.3または少なくとも1.5または少なくとも2または少なくとも2.5または少なくとも3である。
【0286】
上記のように、いくつかの実施形態では、印圧ステーション216における印圧シリンダー210は、移動する中間転写部材から、中間転写部材と印圧シリンダーとの間を通過する基板226にインク画像を転写するために、周期的に、中間転写部材210に係合され、また、中間転写部材210から係合解除される。この繰り返されるまたは断続的係合は、ベルトの下部走行部912におけるゆるみ部分内に機械振動を誘発し得る。
【0287】
上部走行部910をピンと張って維持することによって、下部走行部912における機械振動から上部走行部912を実質的に隔離することが可能である。1つの非限定例では、上部走行部910は、上記したようにピンと張って維持されるが、これは、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0288】
画像歪みを低減し排除するための第2の技法
前の節において、歪みを低減する技法が記載され、それによって、上部走行部910は、ピンと張って維持され、下部走行部912の機械振動から実質的に隔離された。これらの機械振動はベルト102を不均一に伸張させ得る。これらの機械振動が、画像形成ステーション300と整列されたベルト102の部分398(
図20Bを参照)に伝搬することが許される場合、機械振動やそれらの結果として生じるベルト102の不均一な伸張が、画像形成ステーション300でベルト102の外部表面上に形成されたインク画像の画像歪みを引き起こし得る。
【0289】
従って、画像形成ステーション300と整列されたベルト102の部分398(
図20Bを参照)における不均一な伸張を防ぐ(またはその大きさを低減する)策を取る代わりに、あるいはそれに加えて、(i)不均一な伸張の大きさを測定することによって、また、(ii)測定された不均一なブランケットの伸張および/またはブランケットの形状変動に従って、回転するブランケット上のインク滴堆積のタイミングを調整することによって、画像歪みを打ち消すか排除することが可能である。
【0290】
回転するブランケットの不均一な伸張に関連する概念をより詳細に説明するために、「間隔の固定された」および「ブランケットの固定された」位置の概念を説明することが有用である。
【0291】
図21の例では、多数の「間隔の固定された」位置(すなわち、例えば、ITMと回転するITM固定位置とは対照的に、静止したまたは回転しない基準フレームにおける位置)SL
1~SL
8が例示される。それらは、均等に間隔を置かれていない。
【0292】
図22~
図24の例では、間隔の固定された位置SL
1~SL
8に加えて、ブランケットまたはITMと共に回転する多数のブランケットの固定された位置BLANKET_LOCATION
1~BLANKET_LOCATION
4(不均等に間隔を置かれている)が例示される。
図22~
図24では、ブランケットの固定された位置BLANKET_LOCATION
i(iは1と4の間の正の整数である)は、時間t1における間隔の固定された位置SL
iおよび後の時間t2における間隔の固定された位置SL
i+4に位置しており、例えば、ITMは時計周り方向に回転する。
【0293】
いくつかの実施形態では、各ブランケット位置BLANKET_LOCATION
iは、ITMマーカ1004(
図8Aを参照)のi番目のブランケットマーカに対応する。
【0294】
いくつかの実施形態では、ITM102は、少なくとも長手方向に伸張可能である。本発明のいくつかの実施形態は、ブランケットの固定された位置間の距離における一時的変動に関する。ITM表面上の2つの位置間の「距離」は、ITMの表面速度の方向に沿ったITM表面に沿う間の距離のことを言う。
【0295】
ITMが完全に剛性である状況では、ITM固定位置「間の距離」は、固定されたままである。しかしながら、可撓性および/または伸張可能なブランケットの場合、位置間の距離は変動(例えば、わずかに変動)し得る。これは、
図22~
図24に例示され、ここで、例えば間隔の固定された位置に応じて、隣接のブランケット位置間の距離が時間変動する。それ故、BLANKET_LOCATION
1が、SL
1(
図23Aを参照)に位置しているとき、BLANKET_LOCATION
1とBLANKET_LOCATION
2との間の距離は、第1の値(
図23Aを参照)DIST(BL
1、BL
2、SL
1)である。BLANKET_LOCATION
1が、SL
5(
図23Bを参照)に位置しているとき、BLANKET_LOCATION
1とBLANKET_LOCATION
2との間の距離は、
図23Bでは
図23AのDIST(BL
1、BL
2、SL
1)よりも大きい第2の値(
図23Bを参照)DIST(BL
1、BL
2、SL
5)である。
【0296】
BLANKET_LOCATION
2が、SL
2(
図23Aを参照)に位置しているとき、BLANKET_LOCATION
2とBLANKET_LOCATION
3との間の距離は、第1の値(
図23Aを参照)DIST(BL
2、BL
3、SL
2)である。BLANKET_LOCATION
2が、SL
6(
図23Bを参照)に位置しているとき、BLANKET_LOCATION
2とBLANKET_LOCATION
3との間の距離は、
図23Bでは
図23AのDIST(BL
2、BL
3、SL
2)よりも小さい第2の値(
図23Bを参照)DIST(BL
2、BL
3、SL
6)である。
【0297】
いくつかの実施形態では、ブランケット102は、ローラ104、106または回転するドラム(図示しない)の上で伸張される。ブランケットが回転する際、その上の伸張力は、例えば、(例えば、圧力ローラとITMとの間で繰り返される係合および係合解除からの)機械的雑音の存在に起因して、不均一であり得る。そのように、ブランケットは、不均一に伸張し得、ここで、ブランケットの不均一な伸張は、時間でおよび/またはブランケット位置でおよび/または間隔の固定された位置で、変動するならびに/あるいは変動する。後者の場合に関連する一例では、ブランケット上の伸張力は、例えばブランケット102の上部走行部における、位置とともに変動し得、ローラ104、106に近いブランケット102ではローラから更に離れた中心部分よりも更なる張力があり得る。
【0298】
前の段落では、不均一な伸張力が、ブランケット102の不均一な伸張と、間隔の固定された位置間の距離における変化を引き起こし得ることに言及した。
【0299】
あるいはまたは加えて、いくつかの実施形態では、(例えば、材料弾性に関連した)材料性質および/またはブランケット102に加えられる機械的伸張力(または任意の他のITM性質)は、ITM上の位置に応じて変動し得る。例えば、ブランケット102は継ぎ目のあるブランケットであり得るので、弾性もしくは剛性または厚さあるいは任意の他の物理的または化学的性質は、継ぎ目1130にほぼ同じではないか、それから離れたものである可能性がある。
【0300】
近隣のITM固定位置間の分離距離が、時間および/または間隔の固定された位置(
図23A~
図23Bを参照)に応じて変動する場合、ITM固定位置の局所的な表面速度もまた変動し得ることに留意する。例えば、t1とt2との間の期間に、BLANKET_LOCATION
2でのブランケットの平均速度は、BLANKET_LOCATION
3の平均速度を超え、それらの間の距離を(
図23Aを
図23Bと比較して)減少させる。
【0301】
明らかに、
図22~
図24に証明されるように、(例えば、可撓性および/または長手方向に拡張可能な)ITMが回転するにつれ、それは変形し得る。
【0302】
それ故、いくつかの実施形態では、異なる位置でのITMの速度は、ITMが変形するので平均速度とは異なる。
【0303】
図24A~
図24Bでは、局所的な速度が例示され、速度DIST(BL
iSL
j)は、それがj番目の間隔の固定された位置に配されるときのi番目のブランケットの固定された位置の位置である。
【0304】
図25の考察
いくつかの実施形態では、インク液滴が、プリントバー302の下の位置でITM102上に堆積され、ならびに/あるいはプリントバー302とおよび/またはプリントバー302の最も近くに整列される。インク液滴がITM102上に堆積される割合は、「堆積位置」(すなわち、インク液滴が堆積される場所)におけるITM102の局所的な速度に依存し得るので、また、ブランケットの固定された位置の速度でさえも、ITM102が回転する際に変動し得るので、「堆積位置」で局所的なITM速度を精密に測定するために、プリントバー302毎にそれぞれの(例えば、光検出器を含む)マーカ検出器を配置することは、有用であり得る。
【0305】
それ故、各プリントバーの下で、局所的な速度を測定することが可能である。
【0306】
上記のように、いくつかの実施形態では、ITM102上に所与の画像を形成するために、液滴が堆積される必要がある割合は、速度ならびに回転するITM上に作り出されることになる画像の所望のドットパターンに応じる。速度が一定である場合において、速度変動を考慮する必要はない。
【0307】
しかしながら、いくつかの実施形態では、所与のブランケットの固定された位置BLまたは(例えば、
図25のSL
AもしくはSL
Iにおけるようなローラの1つより下の位置または
図25のSL
B~SL
Hにおけるようなプリントバーの別の位置に対応する)所与の間隔の固定された位置SLでの局所的な速度は、(i)間隔の不均一さまたは時間伸張もしくは変形の非一定さに起因するITMの形状変動、(ii)位置(例えば、数cmより少ない分だけ分離された近隣の位置)間の距離の一時的な増加または減少、ならびに/あるいは(iii)例えば、ITMと印圧シリンダーの印圧サイクルに起因する、機械的雑音、ならびに/あるいは(iv)時間もしくは間隔で変動し得るITM102上の不均一な張力に起因するものの少なくとも1つに従って、変動し得る。
【0308】
図26A~
図26Bは、回転するブランケット102上にインク液滴を堆積するための方法を例示する。
図26Aを参照にすると、ステップS201では、局所的な速度に関連した(またはその速度を指示する)性質、例えば、不均一な伸張の一時的変動および/またはブランケット102の形状における一時的変動に関連した性質、例えば、それから速度変動を指示する性質が、監視されることに留意する。ステップS205では、インク液滴は、速度変動を指示する監視されたパラメータに従って、回転するブランケット上に堆積される。
【0309】
参照は、
図26Bになされる。ステップS221は、中間転写部材(例えば、ブランケット)の表面について個々に固定された局所的な速度が、ゼロではない局所的な偏り速度だけそれの平均的または代表的な速度から外れるように、不均一なブランケット速度の詳細を監視することおよび/または予測することを含む。インク画像は、監視されたもの、例えば、それ故、決定されたものに従って、決定される手法で、回転するブランケット102上にステップS225でその上にインク液滴を堆積することによって形成される。
【0310】
ステップS225を実施するいくつかの例が、
図27に例示される。ステップS205、S209およびS213を参照のこと。特に、ステップS225を実施するいくつかの例は、(i)インク堆積の割合あるいはそのタイミングまたは頻度を調整することと、(ii)ITMに導かれた多数のプリントバーによって、色の見当合わせをもたらすことと、(iii)ITMに導かれた多数のプリントバーによって、画像重ね合わせをもたらすことと、である。
【0311】
図28を参照にすると、非ITM伸張を予測するために使用されるおよび/または回転するITM上へのインクの堆積を調整するために使用される数学的モデルは、繰り返し更新される「プログラム可能な」数学的モデルであり得ることに留意する。ステップS301、S305、S309、S313、S317、S321、S325およびS329を参照のこと。
【0312】
図29に例示されるように、数学的モデルは、例えば、それ以外に割り当てられることになるものよりも大きな重みをサイクルに対応する早期の過去のデータに割り当てることによって、印刷システムの動作サイクルについてのデータを組み込み得る。
【0313】
本発明の実施形態は、ITM上の位置(複数可)での局所的な速度における監視された変動に従って、および/またはITM形状における監視された変動に従って、および/または監視された不均一なITM伸張に従って、インク液滴が回転するITM上に堆積される割合かタイミングか頻度を調整するための技法に関する。ITMの性質(複数可)における変動について監視し補償することによって、それから結果として生じるインク画像における歪みを軽減するか排除することが可能である。
【0314】
ITMの一例は、例えば丸い形状の、回転可能ドラムである。ITMの別の例は、例えばドラムに取り付けられたか複数の誘導ローラの上に誘導された、可撓性ブランケットまたはベルトである。例えば、ブランケットまたはベルトは、支持フレーム上に取り付けられた駆動および誘導ローラによって定義された経路に従い得、ニップローラは、印圧シリンダーの反対側の支持フレーム上に配列され得、ニップローラは、ブランケットまたはベルトと印圧シリンダーとの間で基板を圧縮するように、支持フレームに対して選択的に移動可能である。
【0315】
変動する回転速度に関連した1つの非限定例では、(例えば、以下に記述される「ITMと印圧シリンダーのサイクル」に起因してまたは任意の他の原因(複数可)に起因して)機械的雑音のn個の外部源がITMの表面速度に影響を及ぼす。さもなければ均一な、一定の表面速度に重畳されるとき、機械的雑音は、機械的雑音の仮説的な不在において観測されることになる「滑らかな運動」ではなくて、回転するITMの「がたがた動く表面運動」を引き起こし得る。ITMの形状変動に関連した1つの非限定例では、ITMは、それが進む際に、局所的に交互に伸張したり収縮したりし得、例えば、それ故、ITM上の2つの近隣点間の距離が交互に(例えば、わずかにおよび/または高速に)増減する。ITMの局所的な形状は、ITM上の異なる位置で異なるように変動し得る。例えば、第1のITMの場所における近隣のブランケットの固定された点AとBとの間の距離は、第2のITMの場所における近隣のブランケットの固定された点CとDとの間の距離とは異なるように変動し得る。
【0316】
本発明の実施形態は、上述のITMの速度変動(すなわち、一時的および/または位置に依存する速度変動)ならびに/あるいはITMの形状変動が、監視されおよび/または定量化され、ならびに/あるいは数学的にモデル化される、装置および方法に関する。
【0317】
ITMは、(i)転写表面上に形成されることになる画像の内容と、(ii)ITMの速度とに従って、決定され得る。
【0318】
均一に間隔を置かれたドットだけから成るITM上に、液滴堆積によって、形成されることになる「特徴の無い」画像を考える。従来システムでは、ITM上に「特徴の無い画像」を液滴堆積によって形成するために、インク液滴は、回転するITM上に一定割合で堆積され得る。この一定のインク液滴堆積の割合は、回転するITMの一定の表面速度とドット間の所望の均一な距離とだけに応じ得る。
【0319】
「特徴の無い画像」とは対照的に、ITM上に、液滴堆積によって、不均一である(すなわち、ITMの回転の方向に沿って不均一である)特徴やドットパターンを有する画像を形成するために従来システムを利用するとき、液滴堆積の割合は、印刷されることになる画像の特徴に従って、変動し得る。
【0320】
もう一度、上述の「特徴の無い」画像を考える。従来システムとは対照的に、ITM上に液滴堆積によって特徴の無い画像を形成するために、液滴が回転するITM上に画像をその上に印刷するために堆積されることになる割合(例えば、それ自体が、例えば高速に、変動する割合)を決定するときに、ITMの表面速度における変動(例えば、比較的高速なおよび/またはわずかな変動)を考えることは有用であり得る。本発明のいくつかの実施形態に従って、均一に間隔を置かれたドットだけから成る上述の特徴の無い画像を印刷するとき、インク液滴が回転するITM上に堆積される割合は、一定ではなく、ITMの表面速度の変動に従って、変動する。
【0321】
また、いくつかの実施形態に従って、ITMの局所的な表面速度における変動を補償するおよび/または組み込む必要性は、均一に間隔を置かれたドットから成る画像の特殊な場合に限定されないことも開示される。それ故、インク液滴が、ITMの上にその上にインク画像を形成するために堆積される割合は、(i)画像特徴と(ii)ITMの局所的な速度における変動の両方に従って、変動し得る。
【0322】
いくつかの実施形態では、「高速な」形状または速度の変動は、多くても数秒または多くても1秒または多くても0.5秒または多くても10分の数秒ならびに/あるいは多くてもITMが単一の一回転を完了するために要求された時間または多くても一回転の50%を完了するために要求された時間または多くても一回転の25%を完了するために要求された時間または多くても一回転の10%を完了するために要求された時間である、時間尺度にわたって生じる。本開示の場合、速度変動が「わずか」であるとき、局所的な速度は、多くても5%または多くても数パーセントまたは多くても1%または多くても0.5%または多くても10分の数%だけITMの代表的あるいは平均的な速度から外れる。ITMが、「わずかな」形状変動を受けると、ITM上の予め決定されたブランケットの固定された位置間の距離は、多くても5%または多くても数パーセントまたは多くても0.5%または多くても10分の数%だけ変動し得る。
【0323】
いくつかの実施形態では、印刷システムは、ITMの表面速度の方向に沿って互いから分離された多数のプリントバーを有する。インク画像は、以下のように、回転するITM上に形成され得る。すなわち、(i)まず、比較的「低い」解像度のインク画像(またはその部分)は、インク液滴がITM上に画像の「ドット」をその上に形成するために堆積されるときに、第1のプリントの下方の回転するITM上に形成され、(ii)その後、回転するITM上の低い解像度のインク画像の解像度は、ITM上の低い解像度のインク画像に追加的な画像ドットを重ね合わせることによって、上がり得る。追加的な画像ドットは、ITM回転の方向に沿って第1のプリントバーから「下流にある」位置における第2のプリントバーの下方のインク液滴堆積によって、回転するITM上のインク画像に追加される。この場合において、液滴は、監視および/または定量化および/またはモデル化の結果に従って決定される手法で、第2のプリントバーの下方のインクITM上に(すなわち、回転するITM上のインク画像の画像解像度を上げるために)堆積され得る。
【0324】
例えば、(i)インク画像内の所与の位置における画像ドットが、第1のプリントバーによる液滴堆積によって形成される時間と、(ii)インク画像内の実質的に同じ所与の位置における画像ドットが、画像解像度を上げるために第2のプリントバーによる液滴堆積によって形成される時間との間の時間遅延は、監視および/または定量化および/またはモデル化の結果に従って、調整され得る。
【0325】
いくつかの実施形態では、第1の色のインク液滴は、第1のプリントバーで堆積され、第2の色のインク液滴は、「色の見当合わせ」動作をもたらすために、第2のプリントバーで堆積される。いくつかの実施形態では、色の見当合わせ動作は、監視および/または定量化および/またはモデル化の結果に従って、実行され得る。例えば、(i)インク画像内の所与の位置における画像ドットが、第1のプリントバーによる液滴堆積によって形成される時間と、(ii)インク画像内の実質的に同じ所与の位置における画像ドットが、色の見当合わせをもたらすために、第2のプリントバーによる液滴堆積によって形成される時間との間の時間遅延は、監視および/または定量化および/またはモデル化の結果に従って、調整され得る。
【0326】
上記のように、本発明の実施形態は、ITM速度および/または形状が時間変動するITMの画像転写表面に関する。そのように、ITM上の異なる位置における局所的な速度は、平均的または代表的なITM速度から外れ得る。インク液滴は、局所的な速度と平均的な速度との間の速度の偏りの大きさに従って堆積され得る。非限定例では、ITMの速度および/または形状の変動は、多数の原因のうちの1つ以上(すなわち、それらの任意の組み合わせ)と関連付けられ得る。一例では、ITMは、繰り返し、印圧シリンダーに係合し得、また、印圧シリンダーから係合解除し得、その印圧シリンダーでインク画像は基板に転写され、「ITMと印圧シリンダーの係合サイクル」を定義する。この「ブランケットと印圧シリンダーの係合サイクル」は、係合シリンダーから離れてITM上の異なる位置に伝達される機械的雑音を生じ得る。この機械的雑音は、ある種の「がたがた動く」運動をITMに受けさせるために、概ね均一なおよび一定の速度に重畳され得る。ブランケットが可撓性および/または伸張可能である場合、この機械的雑音は、異なるITM位置の局所的な形状に異なるように影響を及ぼし得る。
【0327】
あるいはまたは加えて、別の非限定例では、ブランケットの機械的または材料性質は、ITM上の異なる位置で変動し得る。例えば、無端ブランケットが、いわゆる継ぎ目のあるブランケットであり、ここで、2つの端部が、無端ベルトを形成するために継ぎ目で(例えば、ジッパーによって)共に接合される場合、ITMは、継ぎ目に近い位置よりも継ぎ目から離れた位置でより弾性であり得る。あるいはまたは加えて、ITMの局所的な機械的性質は、(例えば、ブランケットと共に回転するように取られる「ブランケットの固定された」回転する基準フレームとは対照的に)例えば、「間隔の固定された」基準フレームにおいて固定された位置を有する、ITMの外側の装置によって影響を及ぼされ得る。例えば、ベルトは、適切なローラに沿って誘導され得、または駆動され得る。駆動ローラに近い位置で、局所的なITM速度は、ローラとのITMの境界面における「スリップの無い」条件によって強く影響を及ぼされ得、すなわち、ITMが、駆動ローラの局所的な速度と同じ局所的な速度を有することを要求する。駆動ローラから更に離れて、このスリップの無い条件は、ITMの局所的な速度にあまり影響を及ぼし得ず、その局所的な速度は、ローラによって規定されていることになる速度からのより大きな偏りを呈し得る。更に別の例では、(例えば、印圧シリンダーとの係合サイクルからの)機械的雑音は、更に離れた位置より印圧シリンダーにより近い位置での局所的なITM速度により大きな影響を及ぼし得る。
【0328】
電子回路、例えば、「チップ・アンド・ピン」クレジットカードにおいて見付けられるものに類似するマイクロチップをベルトに組み込むことが更に可能であり、その中にデータが記憶され得る。マイクロチップは、読み取り専用メモリだけを備え得、その場合において、それは、ベルトが製造された場所や時およびベルトの物理的または化学的性質の詳細などのデータを記録するために製造業者によって使用され得る。データは、カタログ番号、バッチ番号、ならびに、ベルトの使用におよび/またはそれのユーザに関連する情報を提供することを可能にする任意の他の識別子に関連し得る。このデータは、導入の間または動作の間、印刷システムのコントローラによって読み取られ得、例えば較正パラメータを決定するために、使用され得る。あるいは、または加えて、チップは、データがマイクロチップ上に印刷システムのコントローラによって記憶されることを可能にするために、ランダムアクセスメモリを含み得る。この場合において、データは、新たな印刷実行を始めるときに印刷システムを再較正するのを助けるために、ベルトまたは前に測定されたベルト長などのベルトパラメータを使用して印刷されたページ数あるいはウェブの長さなどの情報を含み得る。マイクロチップ上の読み取りや書き込みは、マイクロチップの端子と直接的な電気接触を取ることによって実現され得、その場合において、接触導体が、ベルトの表面上に提供され得る。あるいは、データは、無線信号を使用してマイクロチップから読み取られ得、その場合において、マイクロチップは、ベルトの表面上に印刷された誘導ループによって動力が付けられ得る。
【0329】
本発明やそれの実施形態は、とりわけ、出願人番号国際出願PCT/IB2013/051716号(代理人の参照番号LIP5/001PCT)、国際出願PCT/IB2013/051717号(代理人の参照番号LIP5/003PCT)および国際出願PCT/IB2013/051718号(代理人の参照番号LIP5/006PCT)の同時係属中のPCT出願に記載された印刷システムに関して使用され得、それらは、本明細書に十分に規定されるように、参照によって含まれる。
【0330】
本発明は、例として提供されたそれの実施形態の詳細な記載を使用して記載されており、発明の範囲を限定することが意図されない。上記実施形態は、異なる特徴を備え、それらの全てが発明の全ての実施形態において要求されるわけではない。本発明のいくつかの実施形態は、特徴のいくつかだけまたは特徴の可能な組み合わせを利用する。記載された本発明の実施形態の変形と、上記実施形態において言及した特徴の異なる組み合わせを備える本発明の実施形態とは、発明に関係する当業者が気が付くであろう。
【0331】
本開示の記載や特許請求の範囲では、動詞「備える」、「含む」および「有する」のそれぞれ、ならびにそれの同根語は、対象または動詞の対象が、対象または動詞の対象の部材、構成要素、素子もしくは部分の必ずしも完全な一覧ではないことを示すために使用される。本明細書において使用される際、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別段明確に規定しない限り、複数の意味を含む。例えば、用語「マーキング」または「少なくとも1つのマーキング」は、複数のマーキングを含み得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
a.複数の磁気的マーカを含む中間転写部材(ITM)であって、それぞれのマーカが前記ITMのそれぞれ異なる長手方向の位置に配置される、中間転写部材(ITM)と、
b.プリントバーを含む画像形成ステーションであって、前記プリントバーが、前記ITM上に配置され、前記ITMが前記プリントバーを通って循環する間、前記ITMの表面上にインクの液滴を堆積することによりインク画像を形成するよう構成された、画像形成ステーションと、
c.前記プリントバーに関連付けられ、前記磁気的マーカの動きを磁気的に検出するよう構成された、1または複数の磁気的マーカ検出器とを含み、ここで、
(i)前記画像形成ステーションは、前記ITMの移動方向に互いに間隔をあけている複数のプリントバーを含み、
(ii)前記1または複数の磁気的マーカ検出器は、前記複数のプリントバーのそれぞれのプリントバーが、前記プリントバーに対して固定された位置に配置されるそれぞれの磁気的マーカ検出器と関連付けられているような複数の磁気的マーカ検出器を含む、
印刷システム。