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特開2024-121504情報処理装置、センサシステム、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121504
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、センサシステム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/03 20060101AFI20240830BHJP
   G01G 19/02 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G01G19/03
G01G19/02 D
G01G19/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028645
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 真澄
(72)【発明者】
【氏名】大川 浩
(72)【発明者】
【氏名】小杉 明史
(57)【要約】
【課題】過重量車両が通過したか否かを効率の良く判定して警告情報を出力する。
【解決手段】情報処理装置は、変位データメモリと、車両が通過する構造物に設けられたセンサ装置により予め定められたサンプリング間隔で検出される時系列に連続した複数の変位データを、収集間隔毎にセンサ装置から収集して変位データメモリに書き込む収集部と、収集間隔毎に、変位データメモリから複数の変位データを読み出して、所定重量以上である過重量車両が通過したか否かを示す判定結果を生成する判定部と、判定結果を取得し、判定結果に基づき、構造物を通過する車両に対して情報を提示する警告出力装置に、過重量車両であることを示す警告情報を出力させる警告制御部と、を備え、複数の変位データのそれぞれは、構造物におけるセンサ装置が設けられた位置における車両の走行方向における構造物の変位量を表す。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位データメモリと、
車両が通過する構造物に設けられたセンサ装置により予め定められたサンプリング間隔で検出される時系列に連続した複数の変位データを、収集間隔毎に前記センサ装置から収集して前記変位データメモリに書き込む収集部と、
前記収集間隔毎に、前記変位データメモリから前記複数の変位データを読み出して、所定重量以上である過重量車両が通過したか否かを示す判定結果を生成する判定部と、
前記判定結果を取得し、前記判定結果に基づき、前記構造物を通過する前記車両に対して情報を提示する警告出力装置に、前記過重量車両であることを示す警告情報を出力させる警告制御部と、
を備え、
前記複数の変位データのそれぞれは、前記構造物における前記センサ装置が設けられた位置における前記車両の走行方向における前記構造物の変位量を表す
情報処理装置。
【請求項2】
前記収集部は、
前記収集間隔毎に、前記センサ装置から前記複数の変位データを収集するとともに、前記警告制御部に対してタイマ開始通知を発行し、
前記変位データメモリへの前記複数の変位データの書き込みが完了した後、前記判定部に判定開始通知を発行し、
前記判定部は、前記判定開始通知が発行された後に、前記変位データメモリから前記複数の変位データを読み出して、前記過重量車両が通過したか否かを判定し、
前記警告制御部は、前記タイマ開始通知が発行されてから予め定められた第1遅延時間を経過した後、前記判定結果を取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記判定結果を判定結果メモリに書き込み、
前記警告制御部は、前記判定結果メモリから前記判定結果を読み出す
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1遅延時間は、前記センサ装置から前記複数の変位データの収集を開始してから、前記判定結果が得られるまでに費やされる時間より長く、前記収集間隔よりも短い
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記収集部は、前記収集間隔毎に、前記複数の変位データとして、N個の変位データ(Nは2以上の予め定められた整数)を収集し、
前記収集間隔毎に、前記判定部は、
前記変位データメモリから前記N個の変位データを読み出し、
前記N個の変位データに基づき、時系列に連続したM個の中間データ(Mは、Nより小さい2以上の予め定められた整数)を算出し、
算出した前記M個の中間データのそれぞれについて、対象の中間データ以前の時系列に連続したL個の中間データ(Lは、Mより大きい整数)を平均した移動平均データを算出し、
算出した前記M個の中間データのそれぞれについて、前記対象の中間データと、対応する前記移動平均データとの差分値を算出し、
前記差分値が予め設定された第1閾値より大きい場合、前記過重量車両が通過したことを示す前記判定結果を生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記N個の変位データを、時系列に連続するP個の変位データ毎(Pは、2以上の整数であり、N=P×Mである)に平均化することにより、前記M個の中間データを生成する
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定部は、
前記差分値が予め設定された第2閾値以下である場合、前記過重量車両が通過していないことを示す前記判定結果を生成し、
前記差分値が前記第2閾値より大きく前記第1閾値以下である場合、直前と同一の前記判定結果を生成し、
前記第2閾値は、前記第1閾値より小さい
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記構造物は、橋梁である
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記センサ装置と、
請求項1から8の何れか1項に記載の情報処理装置と、
前記警告出力装置と、
サーバ装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記変位データメモリに記憶された前記複数の変位データを前記サーバ装置に送信する送信部をさらに備える
センサシステム。
【請求項10】
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、変位データメモリを備え、
前記情報処理装置が、車両が通過する構造物に設けられたセンサ装置により予め定められたサンプリング間隔で検出される時系列に連続した複数の変位データを、収集間隔毎に前記センサ装置から収集して前記変位データメモリに書き込み、
前記情報処理装置が、前記収集間隔毎に、前記変位データメモリから前記複数の変位データを読み出して、所定重量以上である過重量車両が通過したか否かを示す判定結果を生成し、
前記情報処理装置が、前記判定結果を取得し、前記判定結果に基づき、前記構造物を通過する前記車両に対して情報を提示する警告出力装置に、前記過重量車両であることを示す警告情報を出力させ、
前記複数の変位データのそれぞれは、前記構造物における前記センサ装置が設けられた位置における前記車両の走行方向における前記構造物の変位量を表す
情報処理方法。
【請求項11】
情報処理装置に情報処理を実行させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置は、変位データメモリを備え、
前記情報処理装置を、
車両が通過する構造物に設けられたセンサ装置により予め定められたサンプリング間隔で検出される時系列に連続した複数の変位データを、収集間隔毎に前記センサ装置から収集して前記変位データメモリに書き込む収集部と、
前記収集間隔毎に、前記変位データメモリから前記複数の変位データを読み出して、所定重量以上である過重量車両が通過したか否かを示す判定結果を生成する判定部と、
前記判定結果を取得し、前記判定結果に基づき、前記構造物を通過する前記車両に対して情報を提示する警告出力装置に、前記過重量車両であることを示す警告情報を出力させる警告制御部と、
して機能させ、
前記複数の変位データのそれぞれは、前記構造物における前記センサ装置が設けられた位置における前記車両の走行方向における前記構造物の変位量を表す
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、センサシステム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁等の構造物にセンサ装置を設け、構造物を通過する車両の台数または車両の重量等をサーバ装置において解析するシステムが知られている。このようなシステムでは、センサ装置が中断無く高速にセンシングをし、エッジデバイスがセンサ装置から大量のセンサデータを収集し、エッジデバイスが収集した大量のセンサデータをインターネット等のネットワークを介してサーバ装置へと送信する。そして、サーバ装置は、蓄積された大量のセンサデータを解析することにより、構造物を通過する車両の台数または車両の重量等を算出する。例えば、特許文献1には、このようなセンサシステムにより、特殊車両等が過積載をしているか否かを判定する技術が開示されている。
【0003】
ところで、橋梁等の構造物を通過する特殊車両が過積載をしているか否かの判定をエッジデバイスにおいてリアルタイムで実行することにより、過積載をしている特殊車両に対して警告等をリアルタイムで提示することが要求されている。このような警告をすることにより、過積載をしている特殊車両の橋梁等の通過を抑止し、橋梁等の劣化を防止することが可能となる。
【0004】
しかし、エッジデバイスは、サーバ装置と比較して処理能力が低い。このため、エッジデバイスは、大量のセンサデータの収集および送信をし続けながら、特殊車両が過積載をしているか否かを判定するためには、効率の良い処理を実行しなければならない。
【0005】
また、特許文献2には、構造物の特性変化を測定し、測定結果に基づき車両の車軸数および重量を検出するシステムが開示されている。特許文献2に記載されたシステムは、構造物にセンサを取り付け、高速な通信網である光ファイバー網を介して、遠隔地にセンシングしたデータを送り、遠隔地において解析を行う。
【0006】
しかし、特許文献2に記載されたシステムは、光ファイバー網を用いるため、遅延等が発生した場合、監視が中断してしまう。また、特許文献2に記載されたシステムを利用して特殊車両が過積載をしているか否かを判定するためには、常時センシングを実行し、大量のセンサデータを遠隔地に送信しなければならない。このため、特許文献2に記載されたシステムを利用して特殊車両が過積載をしているか否かを判定する場合、データ欠損および処理遅延等が発生してしまうことがある。このため、特許文献2に記載されたシステムにより特殊車両が過積載をしているか否かを判定する場合であっても、効率の良い処理を実行する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-162363号公報
【特許文献2】特開2006-084404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、過重量車両が通過したか否かを効率の良く判定して警告情報を出力する情報処理装置、センサシステム、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、変位データメモリと、車両が通過する構造物に設けられたセンサ装置により予め定められたサンプリング間隔で検出される時系列に連続した複数の変位データを、収集間隔毎に前記センサ装置から収集して前記変位データメモリに書き込む収集部と、前記収集間隔毎に、前記変位データメモリから前記複数の変位データを読み出して、所定重量以上である過重量車両が通過したか否かを示す判定結果を生成する判定部と、前記判定結果を取得し、前記判定結果に基づき、前記構造物を通過する前記車両に対して情報を提示する警告出力装置に、前記過重量車両であることを示す警告情報を出力させる警告制御部と、を備え、前記複数の変位データのそれぞれは、前記構造物における前記センサ装置が設けられた位置における車両の走行方向における前記構造物の変位量を表す。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、過重量車両が通過したか否かを効率の良く判定して警告情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、センサシステムの構成を示す図である。
図2図2は、橋梁を横から見たときのセンサ装置の配置を示す図である。
図3図3は、センサシステムのデータ転送の流れを示すシーケンス図である。
図4図4は、エッジデバイスの機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、エッジデバイスの処理の流れを示すシーケンス図である。
図6図6は、判定部の機能構成を示すブロック図である。
図7図7は、過重量判定部の処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、変位データの時系列波形を示す図である。
図9図9は、変位データメモリに記憶された変位データを示す図である。
図10図10は、変位データおよび中間データを示す図である。
図11図11は、変位データおよび移動平均値を示す図である。
図12図12は、警告制御部により警告表示制御の流れを示す図である。
図13図13は、情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係るセンサシステム10の構成を示す図である。センサシステム10は、センサ装置20と、エッジデバイス22と、警告出力装置24と、サーバ装置26とを備える。
【0014】
センサ装置20は、予め定められたサンプリング間隔で周囲の情報を連続して検出して、時系列の変位データを生成する。センサ装置20は、車両が通過する構造物に設けられる。本実施形態において、構造物は、橋梁である。構造物は、橋梁に限らず、車両が通過することにより伸縮または変位をすれば、例えば、道路上に設けられた板状の物体等であってもよい。
【0015】
そして、センサ装置20は、橋梁におけるセンサ装置20が設けられた位置における車両の走行方向の変位量を表す変位データを検出する。センサ装置20は、予め定められたサンプリング間隔で変位データを検出する。センサ装置20は、予め定められたサンプリング間隔で検出される時系列に連続した複数の変位データをエッジデバイス22へと送信する。なお、センサシステム10は、複数個のセンサ装置20を備えてもよい。この場合、複数個のセンサ装置20のそれぞれは、互いに独立して時系列の変位データを検出し、時系列の変位データをエッジデバイス22へと送信する。
【0016】
エッジデバイス22は、センサ装置20と接続される情報処理装置である。例えば、エッジデバイス22は、LAN(Local Area Network)を介して有線でセンサ装置20と接続される。
【0017】
エッジデバイス22は、センサ装置20により検出された、予め定められたサンプリング間隔で検出される時系列に連続した複数の変位データを収集する。エッジデバイス22は、サンプリング間隔よりも長い転送間隔毎に、その転送間隔中に収集した複数の変位データをまとめたブロックを生成する。そして、エッジデバイス22は、転送間隔毎に、生成したブロックをサーバ装置26にネットワークを介して送信する。
【0018】
ネットワークは、有線であっても、無線であっても、有線と無線とが混在していてもよい。ネットワークは、例えば、LAN、PAN(Personal Area Network)またはWAN(Wide Area Network)、もしくは、PAN、LANおよびWANの混在ネットワークである。また、ネットワークは、LTE(Long Term Evolution)等のセルラ通信回線等を含んでいてもよい。
【0019】
また、エッジデバイス22は、収集した複数の変位データを解析して、所定重量以上である過重量車両が、構造物である橋梁を通過したか否かを判定する。過重量車両は、例えば、橋梁を通過可能と定められた車両の重量を超過するような車両である。過重量車両は、例えば、車両に積載可能重量よりも重い物を積載した過積載の特殊車両等である。そして、エッジデバイス22は、過重量車両が通過したか否かの判定結果に基づき、警告出力装置24を制御する。
【0020】
警告出力装置24は、エッジデバイス22による制御に応じて、センサ装置20が設けられた橋梁を通過した車両に対して、情報を提供する装置である。警告出力装置24は、例えば、センサ装置20が設けられた橋梁を通過した車両に乗車している運転者に対して、情報を表示する表示装置である。警告出力装置24は、例えば、警告出力装置24は、運転者に対して、音声を出力する音声出力装置であってもよい。また、警告出力装置24は、車両内の情報処理装置に対して、無線通信により情報を送信する通信装置であってもよい。また、警告出力装置24は、車両の走行を停止させたり、車両を所定の車線に誘導したりする車両規制装置であってもよい。
【0021】
警告出力装置24は、過重量車両が通過したことを示す判定結果が得られた場合、橋梁を通過した車両に対して、過重量車両であることを示す警告情報を出力する。本実施形態において、警告出力装置24は、車両の走行方向における橋梁より先に設けられる表示装置であり、橋梁を通過した車両に乗車する運転者に対して警告情報を表示する。
【0022】
サーバ装置26は、情報処理装置である。サーバ装置26は、1台のコンピュータであってもよいし、クラウドシステムのように複数台のコンピュータにより構成されていてもよい。
【0023】
サーバ装置26は、エッジデバイス22とネットワークを介して接続される。サーバ装置26は、エッジデバイス22から、それぞれが複数の変位データを含む複数のブロックを受信する。サーバ装置26は、受信した複数のブロックを記憶する。サーバ装置26は、受信した複数のブロックに含まれる複数の変位データを解析する。本実施形態においては、サーバ装置26は、例えば、複数のブロックに含まれる複数の変位データを解析することにより、橋梁に車両が通過したか否かおよび通過した車両の重量等を算出する。
【0024】
図2は、橋梁を横から見たときのセンサ装置20の配置を示す図である。
【0025】
本実施形態において、センサ装置20は、例えば、橋梁における走行方向の中心よりも端部側に設けられる。さらに、本実施形態において、センサ装置20は、橋梁の幅員方向における車線の略中心に設けられる。また、本実施形態において、センサ装置20は、例えば、橋梁における下側の面であって、橋台の近傍に設けられる。なお、センサ装置20は、橋梁における他の部分に設けられてもよい。例えば、センサ装置20は、橋梁の主桁に設けられてもよいし、床版における走行方向の略中心に設けられてもよい。
【0026】
センサ装置20は、橋梁におけるセンサ装置20が設けられた対象部分における走行方向の変位量を表す変位データを検出する。例えば、センサ装置20は、光学スケールを用いて、対象部分における走行方向の伸縮量を、変位データとして検出する。伸縮量は、例えば、コンクリート橋梁において普通乗用車が走行した場合、数10センチメートル程度の距離の2点間における、数ナノメートルから数100ナノメートル程度の距離の変化である。
【0027】
センサ装置20は、橋梁における走行方向の伸縮量でなく、橋梁における他の物理量を検出してもよい。例えば、センサ装置20は、橋梁の対象部分におけるひずみや加速度を検出してもよい。
【0028】
本実施形態において、センサシステム10は、橋梁をモニタリングするシステムに適用される。しかし、センサシステム10は、橋梁をモニタリングするシステム以外に適用されてもよい。例えば、センサ装置20は、橋梁以外の他の構造物等の変位量を検出してもよい。
【0029】
図3は、センサシステム10のデータ転送の流れを示すシーケンス図である。
【0030】
本実施形態において、センサ装置20は、5m秒のサンプリング間隔で、橋梁の伸縮量を検出し、検出した伸縮量を表す変位データを生成する。また、本実施形態において、センサ装置20は、検出した複数の変位データを、1秒の収集間隔毎に、エッジデバイス22に送信する。本実施形態において、センサ装置20は、1回の送信処理で、200個の変位データをエッジデバイス22に送信する。センサ装置20は、変位データの生成および送信を、中断期間無く連続的に実行する。
【0031】
エッジデバイス22は、センサ装置20から送信された変位データを受信して、一時的に記憶する。エッジデバイス22は、例えば1分の転送間隔毎に、その転送間隔においてサンプリングされた複数の変位データを含むブロックを生成する。本実施形態において、エッジデバイス22は、1つの転送間隔について、12000個の変位データを含むブロックを生成する。
【0032】
エッジデバイス22は、生成された各ブロックをネットワークを介してサーバ装置26へと送信する。サーバ装置26は、ブロックをネットワークを介してエッジデバイス22から受信して記憶する。
【0033】
図4は、エッジデバイス22の機能構成を示すブロック図である。
【0034】
エッジデバイス22は、変位データメモリ32と、収集部34と、送信部36と、判定部40と、判定結果メモリ42と、警告制御部44とを有する。
【0035】
変位データメモリ32は、センサ装置20から収集した複数の変位データを一時的に記憶する。
【0036】
収集部34は、センサ装置20により予め定められたサンプリング間隔で検出される時系列に連続した複数の変位データを、収集間隔毎に、センサ装置20から収集する。そして、収集部34は、収集した複数の変位データを、変位データメモリ32に書き込む。
【0037】
さらに、収集部34は、収集間隔毎に、センサ装置20から複数の変位データを収集するとともに、警告制御部44に対してタイマ開始通知を発行する。さらに、収集部34は、収集間隔毎に、変位データメモリ32への複数の変位データの書き込みが完了した後、判定部40に判定開始通知を発行する。
【0038】
送信部36は、予め定められた転送間隔毎に、その転送間隔においてサンプリングされた複数の変位データを含むブロックを生成する。そして、送信部36は、生成したブロックを転送間隔毎にネットワークを介してサーバ装置26へと送信する。
【0039】
判定部40は、収集間隔毎に、判定開始通知が発行された後に、変位データメモリ32から複数の変位データを読み出す。判定部40は、収集間隔毎に、読み出した複数の変位データに基づき、判定処理を実行して、所定重量以上である過重量車両が通過したか否かを示す判定結果を生成する。そして、判定部40は、収集間隔毎に、生成した判定結果を判定結果メモリ42に書き込む。
【0040】
判定結果メモリ42は、判定部40により生成された過重量車両が通過したか否かを示す判定結果を記憶する。例えば、判定結果メモリ42は、ONまたはOFFを記憶するレジスタであり、過重量車両が通過したことを示す場合にはON、過重量車両が通過していないことを示す場合にはOFFを記憶する。
【0041】
警告制御部44は、収集間隔毎に、収集部34からタイマ開始指示を受け取る。警告制御部44は、タイマ開始指示を受け取ってから第1遅延時間を経過する時間までを計時する。第1遅延時間は、収集部34がセンサ装置20から複数の変位データの収集を開始してから、判定部40による判定結果が得られるまでに費やされる時間より長く、収集間隔よりも短い。本実施形態において、第1遅延時間は、0.5秒程度である。
【0042】
警告制御部44は、タイマ開始通知が発行されてから予め定められた第1遅延時間を経過した後、判定結果を取得する。より具体的には、警告制御部44は、タイマ開始通知が発行されてから第1遅延時間を経過した後、判定結果メモリ42から判定結果を読み出す。
【0043】
警告制御部44は、取得した判定結果に基づき、警告出力装置24に、過重量車両であることを示す警告情報を出力させる。より具体的には、警告制御部44は、取得した判定結果が過重量車両であることを示す場合に、警告出力装置24に警告情報を出力させる。
【0044】
図5は、エッジデバイス22の処理の流れを示すシーケンス図である。エッジデバイス22は、図5に示す流れで処理を実行する。
【0045】
まず、S11において、収集部34は、収集間隔毎に、センサ装置20にデータ要求を送信する。S12において、収集部34は、データ要求をセンサ装置20に送信するとともに、タイマ開始通知を警告制御部44に送信する。
【0046】
S13において、センサ装置20は、収集部34からデータ要求を受信したことに応じて、時系列に連続したN個の変位データを収集部34に送信する。Nは、2以上の予め定められた整数である。本実施形態において、収集間隔は、1秒であり、Nは、200である。
【0047】
続いて、S14において、収集部34は、センサ装置20からN個の変位データを受信して、変位データメモリ32に書き込む。
【0048】
続いて、S15において、収集部34は、変位データメモリ32へのN個の変位データの書き込みが完了した後、判定部40に判定開始通知を発行する。この場合において、収集部34は、変位データメモリ32におけるN個の変位データの書き込み位置を示すポインタを判定部40に与える。
【0049】
続いて、S16およびS17において、判定部40は、収集部34から受け取ったポインタを参照して、収集部34により書き込まれたN個の変位データを、変位データメモリ32から読み出す。
【0050】
続いて、S18において、判定部40は、読み出したN個の変位データに基づき、判定処理を実行して、所定重量以上である過重量車両が通過したか否かを示す判定結果を生成する。
【0051】
続いて、S19において、判定部40は、生成した判定結果を判定結果メモリ42に書き込む。例えば、判定部40は、レジスタである判定結果メモリ42に、過重量車両が通過したと判定した場合にはON、過重量車両が通過していないと判定した場合にはOFFを書き込む。
【0052】
一方、S20において、警告制御部44は、収集部34からタイマ開始指示を受け取ったことに応じて、タイマを起動し、タイマ開始指示を受け取ってから第1遅延時間を経過する時間までを計時する。
【0053】
S21およびS22において、警告制御部44は、タイマ開始通知が発行されてから第1遅延時間を経過した後、判定結果メモリ42から判定結果を取得する。なお、第1遅延時間は、収集部34がS11でN個の変位データの収集を開始してから、判定部40がS19で判定結果メモリ42に判定結果を書き込むまでの期間より長く、収集間隔よりも短い。このため、警告制御部44は、タイマに基づき取得動作を開始しても、収集部34がS11で収集したN個の変位データに基づく判定結果を、確実に取得することができる。
【0054】
続いて、S23において、警告制御部44は、取得した判定結果に基づき、取得した判定結果が過重量車両であることを示す場合に、橋梁を通過する車両に対して情報を提示する警告出力装置24に、過重量車両であることを示す警告情報を出力させる。
【0055】
エッジデバイス22は、このようなS11からS23までの処理を、収集間隔毎に実行する。これにより、エッジデバイス22は、過重量車両が通過したか否かの判断処理および警告情報の出力処理を収集間隔毎に実行することができる。
【0056】
図6は、判定部40の機能構成を示すブロック図である。判定部40は、通知取得部52と、読出部54と、ノイズ除去部56と、中間データバッファ58と、移動平均部60と、差分算出部62と、過重量判定部64とを有する。
【0057】
通知取得部52は、収集間隔毎に、収集部34から判定開始通知を受け取る。通知取得部52は、判定開始指示を受け取った場合、読出部54に読出指示を与える。
【0058】
読出部54は、通知取得部52から読出指示が与えられたことに応じて、変位データメモリ32における、判定開始通知に示されたポインタの位置からN個の変位データを読み出す。すなわち、読出部54は、収集間隔毎に、変位データメモリ32からN個の変位データを読み出す。
【0059】
ノイズ除去部56は、読出部54が読み出したN個の変位データに基づき、時系列に連続したM個の中間データを算出する。Mは、Nより小さい2以上の予め定められた整数である。
【0060】
例えば、ノイズ除去部56は、読出部54が読み出した時系列に連続したN個の変位データに対して、ノイズを除去した時系列に連続したM個の中間データを算出する。例えば、ノイズ除去部56は、N個の変位データを、時系列に連続するP個の変位データ毎に平均化することにより、M個の中間データを生成する。Pは、2以上の整数である。例えば、Nは、P×Mである。本実施形態においては、Nは200、Mは20、Pは10である。すなわち、本実施形態において、ノイズ除去部56は、200個の変位データを、時系列に連続する10個の変位データ毎に平均化することにより、20個の中間データを生成する。なお、ノイズ除去部56は、時系列に連続するN個の変位データに含まれるノイズを除去することができれば、平均化に限らず、他の処理を実行してもよい。
【0061】
このように、ノイズ除去部56は、収集間隔毎に、M個の中間データを算出する。ノイズ除去部56は、収集間隔毎に、算出したM個の中間データを移動平均部60および差分算出部62に与える。これとともに、ノイズ除去部56は、算出したM個の中間データを中間データバッファ58に書き込む。
【0062】
中間データバッファ58は、ノイズ除去部56により算出されたM個の中間データを、所定期間分記憶する。例えば、中間データバッファ58は、ノイズ除去部56により算出された直近のL個の中間データを記憶する。Lは、Mより大きい整数である。例えば、Lは、Mの所定数倍である。すなわち、中間データバッファ58は、所定数の収集間隔において算出されたL個の中間データを記憶する。本実施形態においては、Lは、60である。従って、本実施形態において、中間データバッファ58は、ノイズ除去部56により算出された直近の60個の中間データを記憶する。
【0063】
移動平均部60は、収集間隔毎に、ノイズ除去部56が算出したM個の中間データのそれぞれについて、対象の中間データ以前の時系列に連続したL個の中間データを平均した移動平均データを算出する。移動平均部60は、対象の中間データ以前の時系列に連続したL個の中間データを中間データバッファ58から取得する。移動平均部60は、M個の中間データのそれぞれについて移動平均データを算出することにより、収集間隔毎に、M個の移動平均データを算出することができる。移動平均部60は、収集間隔毎に、算出したM個の移動平均データを差分算出部62に与える。
【0064】
差分算出部62は、収集間隔毎に、ノイズ除去部56が算出したM個の中間データのそれぞれについて、対象の中間データと、移動平均部60が算出したM個の移動平均データのうちの対応する移動平均データとの差分値を算出する。差分算出部62は、M個の中間データのそれぞれについて差分値を算出することにより、収集間隔毎に、M個の差分値を算出することができる。差分算出部62は、収集間隔毎に、算出したM個の差分値を過重量判定部64に与える。
【0065】
過重量判定部64は、収集間隔毎に、差分算出部62が算出したM個の差分値に基づき、対応する収集間隔において過重量車両が通過したか否かを判定する。過重量判定部64は、例えば、時系列に連続したM個の差分値のそれぞれを、時間順に、予め設定された第1閾値および第2閾値と比較する。第1閾値は、第2閾値より大きい。過重量判定部64は、時系列に連続したM個の差分値のそれぞれについて、差分値が第2閾値以下である場合、過重量車両が通過していないことを示す判定結果を生成する。過重量判定部64は、時系列に連続したM個の差分値のそれぞれについて、差分値が第1閾値より大きい場合、過重量車両が通過したことを示す判定結果を生成する。過重量判定部64は、時系列に連続したM個の差分値のそれぞれについて、差分値が第2閾値より大きく、第1閾値以下である場合、直前と同一の判定結果を生成する。そして、過重量判定部64は、収集間隔毎に、M個の差分値のそれぞれについて時間順に判定結果を生成し、最終的に得られた判定結果を判定結果メモリ42に書き込む。
【0066】
図7は、過重量判定部64の処理の流れを示すフローチャートである。過重量判定部64は、差分算出部62からM個の差分値を算出する毎に、図7に示す流れで処理を実行する。
【0067】
まず、S51において、過重量判定部64は、時系列に連続したM個の差分値のうちの最初の差分値を選択する。
【0068】
続いて、S52において、過重量判定部64は、選択した差分値が予め設定された第2閾値以下であるか否かを判断する。選択した差分値が第2閾値以下である場合(S52のYes)、過重量判定部64は、処理をS53に進める。S53において、過重量判定部64は、判定結果を、過重量車両が通過していないことを示すOFFとし、処理をS57に進める。
【0069】
選択した差分値が第2閾値以下ではない場合(S52のNo)、過重量判定部64は、処理をS54に進める。S54において、過重量判定部64は、選択した差分値が予め設定された第1閾値より大きいか否かを判断する。
【0070】
選択した差分値が第1閾値より大きい場合(S54のYes)、過重量判定部64は、処理をS55に進める。S55において、過重量判定部64は、判定結果を、過重量車両が通過したことを示すONとし、処理をS57に進める。
【0071】
選択した差分値が第1閾値より大きくない場合(S54のNo)、過重量判定部64は、処理をS56に進める。S56において、過重量判定部64は、判定結果を、直前の判定結果と同一とし、処理をS57に進める。なお、最初の差分値に対する処理を実行する場合、過重量判定部64は、判定結果を、直前の収集間隔における最後の差分値に対して判断された判定結果と同一とする。
【0072】
S57において、過重量判定部64は、M個の差分値の全てを選択したか否かを判断する。まだM個の差分値の全てについて選択していない場合(S57のNo)、過重量判定部64は、処理をS58に進める。S58において、過重量判定部64は、時系列に連続したM個の差分値のうちの次の差分値を選択し、処理をS52に戻して、選択した次の差分値についてS52から処理を繰り返す。
【0073】
M個の差分値の全てを選択した場合(S57のYes)、過重量判定部64は、処理をS59に進める。S59において、過重量判定部64は、最終的な判定結果を判定結果メモリ42に書き込む。
【0074】
このような処理を実行することにより、過重量判定部64は、収集間隔毎に、判定結果を生成し、判定結果メモリ42に書き込むことができる。これにより、過重量判定部64は、リアルタイムで、過重量車両が通過したか否かを判定することができる。
【0075】
図8は、車両が橋梁を通過した場合における時系列の変位データの波形の一例を示す図である。
【0076】
時系列の変位データの波形は、車両が橋梁におけるセンサ装置20が設けられた位置を通過したタイミングにおいてピークとなる。時系列の変位データの波形は、車両の重量が重い程、振幅が大きくなる。エッジデバイス22は、第1閾値と変位データの所定個の平均値とを比較して、変位データの所定個の平均値が予め設定された第1閾値を超えた場合に、過重量車両が通過したと判定する。このように、エッジデバイス22は、値の比較処理を用いるので、複雑な解析をすることなく、非常に簡易な処理で、過重量車両が通過したか否かを判定することができる。
【0077】
また、時系列の変位データの波形は、例えば高周波成分のノイズが含まれる可能性もある。エッジデバイス22は、時系列の変位データを所定個単位で平均化した時系列の中間データを生成して、時系列の中間データに基づき、過重量車両が通過したか否かを判定する。これにより、エッジデバイス22は、センサ装置20から出力された時系列の変位データから高周波成分のノイズを除去して、精度良く過重量車両が通過したか否かを判定することができる。
【0078】
また、橋梁は、例えば温度および湿度の環境の影響により、変位量にオフセットが生じる。エッジデバイス22は、時系列の中間データを移動平均した時系列の移動平均データを生成し、移動平均データと中間データとの差分値に基づき、過重量車両が通過したか否かを判定する。これにより、エッジデバイス22は、変位量に含まれるオフセット成分を除去して、精度良く過重量車両が通過したか否かを判定することができる。
【0079】
図9は、変位データメモリ32に記憶された変位データを示す図である。変位データメモリ32は、収集間隔毎にインデックスを付け、1個の収集間隔内において収取されたN個の変位データをサンプリング時刻順に記憶する。なお、センサシステム10が複数のセンサ装置20を備える場合には、変位データメモリ32は、センサ装置20を識別する識別情報をさらに付加してN個の変位データを記憶する。
【0080】
また、エッジデバイス22は、転送間隔(例えば1分)毎に、サーバ装置26に対して収集した複数の変位データを送信する。従って、変位データメモリ32は、少なくとも、転送間隔において収集される複数の変位データの全てを記憶する。本実施形態においては、変位データメモリ32は、60個のインデックスの変位データ、すなわち、1分間において収集された120000個の変位データを記憶する。このように、変位データメモリ32は、サーバ装置26に送信される前に、一時的に複数の変位データを記憶する。
【0081】
判定部40は、インデックスの先頭位置を示すポインタを参照して、このような変位データメモリ32から、収集間隔(例えば1秒)毎にN個の変位データを読み出す。すなわち、判定部40は、サーバ装置26に対して送信するために複数の変位データを記憶している変位データメモリ32を直接参照して、過重量車両が通過したか否かの判定処理を実行する。
【0082】
従って、判定部40は、過重量車両が通過したか否かの判定処理を実行するために、変位データを他のメモリへとコピーしたり、他のメモリに記憶された変位データを削除したりしなくてよい。これにより、判定部40は、メモリアクセスの効率良くすることができ、少ない処理量で、過重量車両が通過したか否かの判定処理を実行することができる。また、判定部40は、収集部34から受け取ったポインタを参照することにより変位データメモリ32からN個の変位データを読み出すので、収集部34から受け取る情報量を非常に少なくして、データ転送のオーバーヘッドを小さすることができる。
【0083】
図10は、変位データおよび中間データを示す図である。ノイズ除去部56は、収集間隔(例えば1秒)毎に、N個の変位データからM個の中間データを算出する。本実施形態においては、ノイズ除去部56は、1秒間において収集された時系列の200個の変位データを、10個ずつ平均化して、時系列の20個の中間データを算出する。
【0084】
このようなノイズ除去部56は、N個の変位データに含まれる高周波ノイズを除去することができる。これとともに、ノイズ除去部56は、データ総数を少なくして以降の処理量を少なくすることができるとともに、中間データを記憶する中間データバッファ58の容量を削減することができる。
【0085】
図11は、変位データおよび移動平均値を示す図である。移動平均部60は、ノイズ除去部56により算出された中間データのそれぞれについて、移動平均値を算出する。移動平均値は、対象の中間データ以前のL個の中間データの平均値である。例えば、Lが60である場合、移動平均値は、対象の中間データ以前の60個の中間データの平均値である。
【0086】
中間データバッファ58は、このような対象の中間データ以前のL個の中間データを記憶する。例えば、ノイズ除去部56が1回の収集間隔においてM個の中間データを算出し、LがMのX倍である場合、中間データバッファ58は、過去のX回の収集間隔分の中間データを記憶する。
【0087】
そして、このように算出された移動平均値は、対象の中間データから減算されて、過重量車両が通過したか否かの判定処理に用いられる。これにより、エッジデバイス22は、例えば温度および湿度の環境の影響により生じる変位量のオフセットを除去して、過重量車両が通過したか否かを精度良く判定することができる。
【0088】
図12は、警告制御部44により警告表示制御の流れを示す図である。
【0089】
例えば、警告制御部44は、判定結果メモリ42に記憶された判定結果がOFFである場合、警告出力装置24を、例えば何ら情報を表示させていない状態または所定の情報を表示させるアイドル状態とさせる。警告制御部44は、判定結果メモリ42に記憶された判定結果がOFFからONに変化した場合、警告出力装置24に、過重量車両であることを示す警告情報を表示させる。そして、警告制御部44は、判定結果メモリ42に記憶された判定結果がONからOFFに戻った場合、警告出力装置24をアイドル状態とさせる。
【0090】
このような警告制御部44は、収集部34からタイマ開始指示を受け取ったタイミングから第1遅延時間を経過した後に、判定結果メモリ42から判定結果を取得する。そして、警告制御部44は、取得した判定結果に応じて警告出力装置24に警告情報を出力させる。これにより、警告制御部44は、収集部34によるN個の変位データの収集処理に同期して、警告出力装置24の表示制御をすることができる。従って、警告制御部44は、警告表示によって生じる、収集部34による収集処理に対する影響を排除し、収集部34の負担を軽減することができる。さらに、警告制御部44は、収集部34がN個の変位データを収集してから非常に短時間で警告表示をすることができるので、センサ装置20が設けられた橋梁を通過した車両に対して、警告情報をリアルタイムで通知することができる。
【0091】
以上のように本実施形態に係るセンサシステム10によれば、過重量車両が通過したか否かを効率の良く判定して警告情報を出力することができる。
【0092】
例えば、センサシステム10は、過重量車両が通過したか否かの判定処理を実行するために、収集間隔毎に、複数の変位データを他のメモリへとコピーしたり、他のメモリに記憶された複数の変位データを削除したりしなくてよい。これにより、センサシステム10は、メモリアクセスの効率良くすることができ、少ない処理量で、過重量車両が通過したか否かの判定処理を実行することができる。
【0093】
また、例えば、センサシステム10は、収集部34から判定部40へと、変位データメモリ32における書き込み位置を示すポインタを送信するので、複数の変位データを転送等する必要がない。これにより、センサシステム10は、過重量車両が通過したか否かの判定処理を実行するために必要となるデータ転送量を非常に少なくして、データ転送のオーバーヘッドを小さくすることができる。
【0094】
また、例えば、センサシステム10は、収集部34から警告制御部44へとタイマ開始通知を送信することにより、警告制御部44による警告表示を収集部34による変位データの収集処理に同期させている。これにより、センサシステム10は、警告表示によって生じる、データ収集処理に対する影響を排除し、データ収集処理における負担を軽減することができる。また、センサシステム10は、センサ装置20から複数の変位データを取得してから非常に短時間で警告表示をすることができるので、センサ装置20が設けられた橋梁を通過した車両に対して、警告情報をリアルタイムで出力することができる。
【0095】
このように、センサシステム10は、エッジデバイス22において、過重量車両が通過したか否かの判定処理を効率良く実行することができる。これにより、センサシステム10によれば、エッジデバイス22からサーバ装置26へのリアルタイムでの大量のデータ転送と並行して、エッジデバイス22においてリアルタイムで過重量車両が通過したか否かを判定し、過重量車両にリアルタイムで警告情報を出力することができる。
【0096】
図13は、情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。エッジデバイス22は、一例として、図13に示されるような一般の情報処理装置と同様のハードウェア構成の装置により実現される。情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)301と、操作装置302と、表示装置303と、主記憶装置305と、補助記憶装置306と、通信装置307と、バス309とを備える。各部は、バス309により接続される。
【0097】
CPU301は、主記憶装置305の所定領域を作業領域として補助記憶装置306等に予め記憶された各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、サーバ装置26を構成する各部の動作を統括的に制御する。また、CPU301は、プログラムとの協働により、操作装置302、表示装置303および通信装置307等を動作させる。
【0098】
操作装置302は、タッチパネル、マウスやキーボード等の入力デバイスであって、ユーザから操作入力された情報を指示信号として受け付け、その指示信号をCPU301に出力する。表示装置303は、CPU301からの表示信号に基づいて、各種情報を表示する。
【0099】
主記憶装置305は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体である。主記憶装置305は、CPU301の作業領域として機能する。
【0100】
補助記憶装置306は、フラッシュメモリ等の半導体による記憶媒体、磁気的または光学的に記録可能な記憶媒体等の書き換え可能な記録装置である。補助記憶装置306は、制御に用いられるプログラムを記憶する。通信装置307は、他の装置とデータの送受信をする。
【0101】
エッジデバイス22で実行されるプログラムは、例えば、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供される。また、エッジデバイス22で実行されるプログラムは、持ち運び可能な記憶媒体等に予め組み込んで提供されてもよい。
【0102】
エッジデバイス22で実行されるプログラムは、収集モジュールと、送信モジュールと、判定モジュールと、警告制御モジュールとを含むモジュール構成となっている。CPU301は、記憶媒体等からこのようなプログラムを読み出して、上記各モジュールを主記憶装置305にロードする。そして、CPU301は、このようなプログラムを実行することにより、収集部34、送信部36、判定部40および警告制御部44として機能する。また、CPU301は、このようなプログラムを実行することにより、主記憶装置305または補助記憶装置306を、変位データメモリ32および判定結果メモリ42として機能させる。なお、収集部34、送信部36、判定部40および警告制御部44の一部または全部がハードウェアにより構成されていてもよい。
【0103】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、種々の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0104】
10 センサシステム、20 センサ装置、22 エッジデバイス、24 警告出力装置、26 サーバ装置、32 変位データメモリ、34 収集部、36 送信部、40 判定部、42 判定結果メモリ、44 警告制御部、52 通知取得部、54 読出部、56 ノイズ除去部、58 中間データバッファ、60 移動平均部、62 差分算出部、64 過重量判定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13