(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121506
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッドおよび液体噴射ヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/16 20060101AFI20240830BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B41J2/16 501
B41J2/14 611
B41J2/16 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028649
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽樹
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF62
2C057AF93
2C057AG29
2C057AG68
2C057AG77
2C057AG84
2C057AG92
2C057AG93
2C057AK07
2C057AN05
2C057AP24
2C057AP90
2C057AQ01
2C057AQ02
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】ヘッドチップや中継基板などの部品を再利用して再生することができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】液体を噴射する第1ヘッドチップと、前記第1ヘッドチップとの電気的接続端子である端子群α及び端子群βを有する中継基板と、を備える第1液体噴射ヘッドを再生することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、前記第1ヘッドチップを前記第1ヘッドチップと互換性が有る第2ヘッドチップに交換する交換工程を有し、前記交換工程は、前記端子群αと前記第1ヘッドチップ2Aとを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群αと互換性が有る前記端子群βと前記第2ヘッドチップとを電気的に接続する第2工程と、を有する。
【選択図】
図42
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する第1ヘッドチップと、前記第1ヘッドチップとの電気的接続端子である端子群α及び端子群βを有する中継基板と、を備える第1液体噴射ヘッドを再生することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、
前記第1ヘッドチップを前記第1ヘッドチップと互換性が有る第2ヘッドチップに交換する交換工程を有し、
前記交換工程は、前記端子群αと前記第1ヘッドチップとを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群αと互換性が有る前記端子群βと前記第2ヘッドチップとを電気的に接続する第2工程と、を有する、
ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記第1ヘッドチップは、前記端子群αに接着又は接合された可撓性の配線部材を有し、
前記第1工程は、前記配線部材のうち前記端子群αとの接着部分又は接合部分以外を破壊する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記配線部材は、前記端子群αに接着又は接合された一端と、前記一端とは反対側の他端とを有し、
前記第1工程は、前記他端よりも前記一端に近い位置で前記配線部材を破壊する、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項4】
前記配線部材は、本体部と、前記一端である端子群Aを含むとともに分岐位置で前記本体部から分岐する第1端部と、前記端子群Aと互換性の有る端子群Bを含むとともに前記分岐位置で前記本体部から分岐する第2端部と、を含み、
前記第1工程は、前記端子群Aと前記分岐位置との間で前記第1端部を破壊する、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項5】
前記第1工程は、前記分岐位置よりも前記端子群Aの近くで前記第1端部を破壊する、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項6】
前記中継基板は、前記端子群α及び前記端子群βを含む可撓性の配線部材を含み、
前記配線部材は、本体部と、前記端子群αを含むとともに分岐位置で前記本体部から分岐する第1端部と、前記端子群βを含むとともに前記分岐位置で前記本体部から分岐する第2端部と、を含み、
前記第1工程は、前記端子群αと前記分岐位置との間で前記第1端部を破壊する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項7】
前記第1ヘッドチップは、前記端子群αに接着又は接合された端子群Aを有する可撓性の配線部材を有し、
前記第1工程は、前記端子群αと前記端子群Aとの接着部分又は接合部分を破壊する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項8】
前記第1ヘッドチップは、前記端子群αと電気的に接続された端子群Aを有し、
前記中継基板は、前記端子群α及び前記端子群βを含む可撓性の配線部材を含み、
前記第1工程は、前記端子群αと前記端子群Aとの接着部分又は接合部分を破壊する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項9】
第1中継基板と、前記第1中継基板との電気的接続端子である端子群A及び端子群Bを有するとともに液体を噴射するヘッドチップと、を備える第1液体噴射ヘッドの一部を再使用することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、
前記第1液体噴射ヘッドの前記ヘッドチップを前記第2液体噴射ヘッドに再使用する工程を有し、
前記工程は、前記端子群Aと前記第1中継基板とを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群Aと互換性が有る前記端子群Bと、前記第1中継基板と互換性が有る第2中継基板とを電気的に接続する第2工程と、を有する、
ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項10】
第1中継基板と、前記第1中継基板との電気的接続端子である端子群A及び端子群Bを有するとともに液体を噴射するヘッドチップと、を備える第1液体噴射ヘッドを再生することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、
前記第1中継基板を前記第1中継基板と互換性が有る第2中継基板に交換する交換工程を有し、
前記交換工程は、前記端子群Aと前記第1中継基板とを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群Aと互換性が有る前記端子群Bと前記第2中継基板とを電気的に接続する第2工程と、を有する、
ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項11】
液体を噴射する第1ヘッドチップと、前記第1ヘッドチップとの電気的接続端子である端子群α及び端子群βを有する中継基板と、を備える第1液体噴射ヘッドの一部を再使用することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、
前記第1液体噴射ヘッドの前記中継基板を前記第2液体噴射ヘッドに再使用する工程を有し、
前記工程は、前記端子群αと前記第1ヘッドチップとを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群αと互換性が有る前記端子群βと、前記第1ヘッドチップと互換性が有る第2ヘッドチップとを電気的に接続する第2工程と、を有する、
ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項12】
液体を噴射するヘッドチップと、
中継基板と、
を備え、
前記ヘッドチップ又は前記中継基板は、前記ヘッドチップと前記中継基板とを電気的に接続する第1配線群と、分岐位置で前記第1配線群から分岐して配線されるが前記第1配線群と電気的に接続されない第2配線群と、前記第2配線群の前記分岐位置とは反対側の端部に設けられた破損部と、を有する可撓性の配線部材を有する、
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項13】
前記破損部は、前記配線部材を前記配線部材の厚さ方向に切断した切断面であって前記第2配線群を構成する複数の配線が露出されている切断面である、
ことを特徴とする請求項12に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項14】
前記破損部は、前記第2配線群に付着したはんだ又は導電性接着剤を含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項15】
前記破損部は、前記はんだ又は前記導電性接着剤に付着した銅箔を含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項16】
基板を有し、液体を噴射するヘッドチップと、
前記ヘッドチップと電気的に接続された中継基板と、
を備え、
前記基板は、前記中継基板と電気的に接続される第1端子群と、前記第1端子群に電気的に接続されることで前記中継基板と電気的に接続された第1配線群と、を有し、
前記ヘッドチップは、分岐位置で前記第1配線群から分岐して配線されるが前記中継基板と電気的に接続されていない第2配線群と、前記第2配線群の前記分岐位置とは反対側の端部に設けられた破損部と、を有する、
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項17】
前記基板は、前記第2配線群の途中に配置された第2端子群を有し、
前記ヘッドチップは、前記第2端子群に接着又は接合されるとともに前記第2配線群の一部を有する可撓性の配線部材を有し、
前記破損部は、前記配線部材を前記配線部材の厚さ方向に切断した切断面であって前記第2配線群が露出されている切断面である、
ことを特徴とする請求項16に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項18】
前記破損部は、前記基板の前記第1端子群が形成された面、又は、前記基板の前記第1端子群が形成された前記面とは反対側の面から露出する前記第2配線群である、
ことを特徴とする請求項16に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項19】
前記破損部は、前記基板に形成された前記第2配線群の端部に付着する導電性接着剤を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項20】
液体を噴射するヘッドチップと、
前記ヘッドチップと電気的に接続される第1端子群と、前記第1端子群に電気的に接続されることで前記ヘッドチップと電気的に接続された第1配線群を有する中継基板と、
前記中継基板に配置された分岐位置で前記第1配線群から分岐して配線されるが前記ヘッドチップと電気的に接続されていない第2配線群と、
前記第2配線群の前記分岐位置とは反対側の端部に設けられた破損部と、
を備える、
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項21】
前記中継基板は、前記第2配線群の途中に配置された第2端子群を有し、
前記第2配線群の一部を有し、前記第2端子群に接着又は接合された可撓性の配線部材を備え、
前記破損部は、前記配線部材を前記配線部材の厚さ方向に切断した切断面であって前記第2配線群が露出されている切断面である、
ことを特徴とする請求項20に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項22】
前記破損部は、前記中継基板の前記第1端子群が形成された面、又は、前記中継基板の前記第1端子群が形成された前記面とは反対側の面の何れかから露出されている前記第2配線群である、
ことを特徴とする請求項20に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項23】
前記破損部は、前記中継基板に形成された前記第2配線群の端部に付着する導電性接着剤を含む、
ことを特徴とする請求項20に記載の液体噴射ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射するヘッドチップを有する液体噴射ヘッドおよびその製造方法に関し、特に液体としてインクを噴射するインクジェット式記録ヘッドおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を噴射する複数のヘッドチップと、複数のヘッドチップのそれぞれに接合された配線部材と、複数の配線部材の端部が接合された中継基板と、を備える液体噴射ヘッドが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、中継基板と配線部材とが接合しているため、中継基板と配線部材との電気的な接続部分を小さくすることができる。しかしながら、中継基板と配線部材とが接合されているため、ヘッドチップと中継基板との電気的な接続の解除を行うことが容易ではない。そのため、例えば、液体噴射ヘッドが備える複数のヘッドチップのうち少なくとも1つが故障した場合、液体噴射ヘッドそのものを交換する必要があり、故障していないヘッドチップや中継基板などが無駄になってしまう。また、例えば、中継基板が故障した場合には、故障していない複数のヘッドチップが廃棄されてしまうことになる。仮に中継基板の端子と配線部材の端子との接合を無理やり解除することも考えられるが、中継基板の端子と配線部材の端子とが破損してしまい、ヘッドチップも中継基板も再利用することができない。なお、このような問題は、1つの液体噴射ヘッドが複数のヘッドチップを有する構成に限定されず、1つの液体噴射ヘッドが1つのヘッドチップを有する構成であっても同様に存在する。また、このような問題は、中継基板と配線部材とが導電性接着剤によって接着されている構成であっても、同様に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射する第1ヘッドチップと、前記第1ヘッドチップとの電気的接続端子である端子群α及び端子群βを有する中継基板と、を備える第1液体噴射ヘッドを再生することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、前記第1ヘッドチップを前記第1ヘッドチップと互換性が有る第2ヘッドチップに交換する交換工程を有し、前記交換工程は、前記端子群αと前記第1ヘッドチップとを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群αと互換性が有る前記端子群βと前記第2ヘッドチップとを電気的に接続する第2工程と、を有する、ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0006】
また、本発明の他の態様は、第1中継基板と、前記第1中継基板との電気的接続端子である端子群A及び端子群Bを有するとともに液体を噴射するヘッドチップと、を備える第1液体噴射ヘッドの一部を再使用することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、前記第1液体噴射ヘッドの前記ヘッドチップを前記第2液体噴射ヘッドに再使用する工程を有し、前記工程は、前記端子群Aと前記第1中継基板とを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群Aと互換性が有る前記端子群Bと、前記第1中継基板と互換性が有る第2中継基板とを電気的に接続する第2工程と、を有する、ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0007】
また、本発明の他の態様は、第1中継基板と、前記第1中継基板との電気的接続端子である端子群A及び端子群Bを有するとともに液体を噴射するヘッドチップと、を備える第1液体噴射ヘッドを再生することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、前記第1中継基板を前記第1中継基板と互換性が有る第2中継基板に交換する交換工程を有し、前記交換工程は、前記端子群Aと前記第1中継基板とを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群Aと互換性が有る前記端子群Bと前記第2中継基板とを電気的に接続する第2工程と、を有する、ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0008】
また、本発明の他の態様は、液体を噴射する第1ヘッドチップと、前記第1ヘッドチップとの電気的接続端子である端子群α及び端子群βを有する中継基板と、を備える第1液体噴射ヘッドの一部を再使用することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、前記第1液体噴射ヘッドの前記中継基板を前記第2液体噴射ヘッドに再使用する工程を有し、前記工程は、前記端子群αと前記第1ヘッドチップとを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群αと互換性が有る前記端子群βと、前記第1ヘッドチップと互換性が有る第2ヘッドチップとを電気的に接続する第2工程と、を有する、ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
【0009】
また、本発明の他の態様は、液体を噴射するヘッドチップと、中継基板と、を備え、前記ヘッドチップ又は前記中継基板は、前記ヘッドチップと前記中継基板とを電気的に接続する第1配線群と、分岐位置で前記第1配線群から分岐して配線されるが前記第1配線群と電気的に接続されない第2配線群と、前記第2配線群の前記分岐位置とは反対側の端部に設けられた破損部と、を有する可撓性の配線部材を有する、ことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0010】
また、本発明の他の態様は、基板を有し、液体を噴射するヘッドチップと、前記ヘッドチップと電気的に接続された中継基板と、を備え、前記基板は、前記中継基板と電気的に接続される第1端子群と、前記第1端子群に電気的に接続されることで前記中継基板と電気的に接続された第1配線群と、を有し、前記ヘッドチップは、分岐位置で前記第1配線群から分岐して配線されるが前記中継基板と電気的に接続されていない第2配線群と、前記第2配線群の前記分岐位置とは反対側の端部に設けられた破損部と、を有する、ことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0011】
また、本発明の他の態様は、液体を噴射するヘッドチップと、前記ヘッドチップと電気的に接続される第1端子群と、前記第1端子群に電気的に接続されることで前記ヘッドチップと電気的に接続された第1配線群を有する中継基板と、前記中継基板に配置された分岐位置で前記第1配線群から分岐して配線されるが前記ヘッドチップと電気的に接続されていない第2配線群と、前記第2配線群の前記分岐位置とは反対側の端部に設けられた破損部と、を備える、ことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1に係る液体噴射ヘッドの分解斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る液体噴射ヘッドの断面図である。
【
図3】実施形態1に係る液体噴射ヘッドの要部を拡大した断面図である。
【
図4】実施形態1に係るヘッドチップの分解斜視図である。
【
図5】実施形態1に係るヘッドチップの流路形成基板の平面図である。
【
図6】実施形態1に係るヘッドチップの断面図である。
【
図8】実施形態1に係る第1可撓部の平面図である。
【
図9】実施形態1に係る第2可撓部の平面図である。
【
図10】実施形態1に係る第3可撓部の平面図である。
【
図11】実施形態1に係る第1可撓部の断面図である。
【
図12】実施形態1に係る中継基板の平面図である。
【
図13】実施形態1に係る中継基板の断面図である。
【
図14】ヘッドチップと中継基板との切り離し方法を説明する図である。
【
図15】ヘッドチップと中継基板との切り離し方法を説明する図である。
【
図16】ヘッドチップと中継基板との切り離し方法を説明する図である。
【
図17】ヘッドチップと中継基板との切り離し方法を説明する図である。
【
図18】ヘッドチップと中継基板との切り離し方法を説明する図である。
【
図19】ヘッドチップと中継基板との切り離し方法を説明する図である。
【
図20】実施形態1の変形例1の配線部材及び中継基板の模式図である。
【
図21】実施形態1の変形例2の配線部材及び中継基板の模式図である。
【
図22】実施形態1の変形例3の配線部材及び中継基板の模式図である。
【
図23】実施形態1の変形例4の配線部材の平面図である。
【
図24】実施形態1の変形例4の配線部材の断面図である。
【
図25】実施形態1の変形例4の変形例を示す配線部材の平面図である。
【
図26】実施形態2に係る中継基板の平面図である。
【
図27】実施形態2に係る中継基板及びヘッドチップの模式図である。
【
図28】実施形態3に係る中継基板の平面図である。
【
図29】実施形態3に係る配線部材の平面図である。
【
図30】実施形態3の変形例1の中継基板の平面図である。
【
図31】実施形態3の変形例1の中継基板及びヘッドチップの断面図である。
【
図32】実施形態3の変形例2の中継基板の平面図である。
【
図33】実施形態3の変形例2の中継基板及びヘッドチップの断面図である。
【
図34】実施形態4に係るヘッドチップの分解斜視図である。
【
図35】実施形態4に係る保護基板と配線部材との平面図である。
【
図36】実施形態4に係る中継基板及びヘッドチップの模式図である。
【
図37】実施形態4に係る中継基板及びヘッドチップの要部拡大図である。
【
図38】実施形態4に係る中継基板及びヘッドチップの要部拡大図である。
【
図39】実施形態4の変形例1の中継基板及びヘッドチップの模式図である。
【
図40】実施形態5に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図41】実施形態5に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図42】実施形態5に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図43】実施形態5の変形例1の製造方法を説明する模式図である。
【
図44】実施形態5の変形例1の製造方法を説明する模式図である。
【
図45】実施形態5の変形例1の製造方法を説明する模式図である。
【
図46】実施形態5に係る液体噴射ヘッドの要部を拡大した図である。
【
図47】実施形態6に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図48】実施形態6に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図49】実施形態6に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図50】実施形態7に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図51】実施形態7に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図52】実施形態7に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図53】実施形態7の変形例1の製造方法を説明する模式図である。
【
図54】実施形態7の変形例1の製造方法を説明する模式図である。
【
図55】実施形態7の変形例1の製造方法を説明する模式図である。
【
図56】実施形態8に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図57】実施形態8に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図58】実施形態8に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図59】実施形態9に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図60】実施形態9に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図61】実施形態9に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図62】実施形態10の製造方法の変形例を説明する模式図である。
【
図63】実施形態10の製造方法の変形例を説明する模式図である。
【
図64】実施形態10の製造方法の変形例を説明する模式図である。
【
図65】実施形態11に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図66】実施形態11に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図67】実施形態11に係る液体噴射ヘッドの製造方法を説明する模式図である。
【
図68】一実施形態に係る液体噴射装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、正方向及び負方向を限定しない3つの空間軸の方向については、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する。
【0014】
また、本発明において「A地点とB地点とが配線されている」とは、A地点とB地点との間で、つまり、A地点からB地点へ、または、B地点からA地点へ電気が流れ得る状態であるか否かに関わらず、A地点とB地点とが直接的に、または、A地点とB地点とが20℃の電気伝導率が106S/m以上である電気伝導体で構成された電線(配線とも言う)を介して間接的につながっていることを言う。ここで、「電気が流れ得る状態」とは、液体噴射ヘッドのコネクターに電力を供給すると、液体噴射ヘッド内のA地点とB地点との間で電気が流れること、すなわち通電することを言う。
【0015】
また、本発明において「A地点とB地点とが電気的に接続している」とは、A地点とB地点とが直接的に、または、A地点とB地点とが配線を介して接続されており、且つ、A地点とB地点との間で電気が流れ得る状態を指す。換言すれば、A地点とB地点とが導通していることを言う。
【0016】
また、本発明において「A地点とB地点とが電気的に接続されていない」とは、液体噴射ヘッドのコネクターに電力を供給してもA地点とB地点との間で電気が流れない状態を指す。つまり、A地点を含む電線路とB地点を含む電線路とが絶縁状態である場合だけでなく、A地点とB地点とが配線されているがA地点とB地点との間で電気が流れない状態である場合も含む。後者の場合は、例えば、A地点またはB地点の少なくとも一方を含む電線路の一端が、開放端となっている、換言すれば如何なる電気伝導体にも直接的に接続されていない状態となっていることで、A地点とB地点との間で電気が流れない状態を指す。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッド1の分解斜視図である。
図2は、液体噴射ヘッド1の要部断面図である。
図3は、液体噴射ヘッド1の要部を拡大した断面図である。
【0018】
図示するように、液体噴射ヘッド1は、ヘッドチップ2と、流路400を有する流路部材200と、中継基板210と、カバーヘッド220と、を具備する。
【0019】
流路部材200は、第1流路401が設けられた第1流路部材201と、第2流路402が設けられた第2流路部材202と、第1流路401と第2流路402とを液密な状態で接続するシール部材203と、を具備する。第1流路部材201と、シール部材203と、第2流路部材202とは、この順に+Z方向に積層されている。
【0020】
第1流路部材201は、本実施形態では、3つの部材がZ軸方向に積層されて構成されている。第1流路部材201は、液体であるインクが貯留された液体貯留部に接続される接続部204を有する。本実施形態では、接続部204として、第1流路部材201の-Z方向の面に、-Z方向に筒状に突出したものとした。この接続部204には、液体貯留部が直接、接続されるものでもよく、チューブ等の供給管などを介して接続されてもよい。このような接続部204の内部には、液体貯留部からのインクが供給される第1流路401が設けられている。第1流路401は、Z軸方向に延びる流路や、積層された部材の積層界面に沿って延びる流路等で構成されている。また、第1流路401の途中には、他の領域よりも内径が広く拡幅された液体溜まり部401aが設けられており、液体溜まり部401a内には、インクに含まれるゴミや気泡などの異物を捕捉するフィルター401bが設けられている。また、本実施形態では、1つの第1流路部材201は、4個の接続部204と、4個の独立した第1流路401と、を具備する。各第1流路401は、液体溜まり部401aの下流側で2つに分岐されている。
【0021】
第2流路部材202は、第1流路401のそれぞれに連通する第2流路402を有する。第1流路401と第2流路402とは、シール部材203を介して液密に接続されている。シール部材203は、液体噴射ヘッド1に用いられるインク等の液体に対して耐液体性を有し、且つ弾性変形可能な材料、例えば、ゴムやエラストマー等を用いることができる。このようなシール部材203には、Z軸方向に貫通する接続流路403が設けられており、第1流路401と第2流路402とは、接続流路403を介して連通する。つまり、流路部材200の流路400は、第1流路401と第2流路402と接続流路403とを具備する。
【0022】
また、第2流路部材202の+Z方向を向く面に、ヘッドチップ2が保持されている。本実施形態の液体噴射ヘッド1には、複数、本実施形態では、一例として4個のヘッドチップ2が保持されている。もちろん、液体噴射ヘッド1が保持するヘッドチップ2の数は、特にこれに限定されず、1個であってもよく、2個以上の複数であってもよい。また、本実施形態では、4個のヘッドチップ2は、X軸方向に関して同じ位置となるように、Y軸方向に並設されている。もちろん、複数のヘッドチップ2の配置は、特にこれに限定されない。
【0023】
このようなヘッドチップ2の各導入口44に第2流路402が連通する。なお、本実施形態では、4個のヘッドチップ2のうち、少なくとも1つをヘッドチップ2Aと称し、ヘッドチップ2A以外の少なくとも1つをヘッドチップ2Bと称する。本実施形態では、+Y方向の端に位置するヘッドチップ2をヘッドチップ2Aと称し、ヘッドチップ2Aに対して-Y方向に位置し、且つ、ヘッドチップ2Aの隣に位置するヘッドチップ2をヘッドチップ2Bと称する。以降、ヘッドチップ2Aとヘッドチップ2Bとを区別しない場合には、ヘッドチップ2と称する。
【0024】
また、第2流路部材202には、各ヘッドチップ2の配線部材110を挿通するための配線挿通孔205が設けられている。本実施形態では、各ヘッドチップ2に対して1個の配線挿通孔205が設けられている。つまり、本実施形態では、4個のヘッドチップ2に対して合計4個の配線挿通孔205が設けられている。ヘッドチップ2の配線部材110は、配線挿通孔205を介して第2流路部材202の-Z方向を向く面側に導出される。
【0025】
また、Z軸方向において、第2流路部材202とシール部材203との間には、複数のヘッドチップ2の配線部材110が共通して接続される中継基板210が設けられている。中継基板210は、柔軟性のない硬質のリジット基板からなり、不図示の配線や電子部品等が実装されたものである。本実施形態では、電子部品として、液体噴射ヘッド1の外部に設けられる不図示の外部配線が接続されるコネクター211を図示している。そして、ヘッドチップ2を制御するための印刷信号等は、外部配線からコネクター211を介して中継基板210に入力され、中継基板210から各ヘッドチップ2に供給される。なお、流路部材200のコネクター211に対向する側壁には、コネクター211に接続される外部配線を挿通するための外部配線用開口部206が設けられている。外部配線は、外部配線用開口部206を介して流路部材200の内部に設けられた中継基板210のコネクター211に接続される。
【0026】
中継基板210には、ヘッドチップ2の配線部材110を-Z方向を向く面側に導出するための配線挿通孔212が設けられている。配線挿通孔212は、各ヘッドチップ2に対して1個、合計4個設けられている。
【0027】
また、中継基板210には、Z軸方向に貫通して設けられた突起部挿通孔213が設けられている。第2流路部材202の-Z方向を向く面には、内部に第2流路402が設けられた突起部207が-Z方向に向かって突出して設けられており、突起部207は、突起部挿通孔213を介して中継基板210の-Z方向側に挿通されて、接続流路403と接続される。
【0028】
また、流路部材200の+Z方向を向く面には、カバーヘッド220が固定されている。カバーヘッド220は、本実施形態では、4個のヘッドチップ2を覆う大きさを有する。カバーヘッド220には、ヘッドチップ2のノズル21を+Z方向に向かって露出する露出開口部221がヘッドチップ2毎に独立して設けられている。露出開口部221から露出されたノズル21からインクが+Z方向に向かって噴射される。
【0029】
ここで、本実施形態のヘッドチップ2について、
図4~
図6を参照して説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るヘッドチップ2の分解斜視図である。
図5は、流路形成基板10の平面図である。
図6は、
図5のA-A′線に準じたヘッドチップ2の断面図である。なお、ヘッドチップ2の各方向について、液体噴射ヘッド1に搭載された際の方向、すなわち、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に基づいて説明する。ただし、
図4及び
図6では、
図2及び
図3とは異なり、配線部材110の第1可撓部110aが折り曲げられる前の状態、即ち第1可撓部110aと中継基板210とが接続される前の状態を図示している。
【0030】
図示するように、本実施形態のヘッドチップ2は、複数のノズル21が形成された1つのノズルプレート20と、流路形成基板10と、連通板15と、保護基板30と、ケース部材40と、圧電アクチュエーター300と、配線部材110と、を具備する。
【0031】
流路形成基板10は、例えば、シリコン基板、ガラス基板、SOI基板、各種セラミック基板からなる。流路形成基板10には、複数の圧力室12がX軸方向に沿って並んで配置されている。複数の圧力室12は、Y軸方向に関して同じ位置となるように、X軸方向に沿った直線上に配置されている。X軸方向で互いに隣り合う2つの圧力室12は、不図示の隔壁によって区画されている。また、本実施形態では、圧力室12がX軸方向に沿って並設された圧力室列が、Y軸方向に2列設けられている。もちろん、圧力室12の配置は特にこれに限定されず、例えば、複数の圧力室12は、X軸方向に沿って千鳥状に配置されていてもよい。
【0032】
流路形成基板10の+Z方向を向く面には、連通板15とノズルプレート20とが順次積層されている。流路形成基板10の-Z方向を向く面には、振動板50と圧電アクチュエーター300とが順次積層されている。
【0033】
連通板15は、流路形成基板10の+Z方向を向く面に接合された板状部材からなる。連通板15には、圧力室12とノズル21とを連通するノズル連通路16が設けられている。また、連通板15には、複数の圧力室12が共通して連通する共通液室となるマニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と第2マニホールド部18とが設けられている。第1マニホールド部17は、連通板15をZ軸方向に貫通して設けられている。また、第2マニホールド部18は、連通板15をZ軸方向に貫通することなく、+Z方向を向く面に開口して設けられている。さらに、連通板15には、圧力室12のY軸方向の一端部に連通する供給連通路19が圧力室12の各々に独立して設けられている。供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力室12とを連通して、マニホールド100内のインクを圧力室12に供給する。このような連通板15としては、シリコン基板、ガラス基板、SOI基板、各種セラミック基板、ステンレス基板等の金属基板などを用いることができる。
【0034】
ノズルプレート20は、連通板15の流路形成基板10とは反対側、すなわち、+Z方向を向く面に接合されている。ノズルプレート20には、各圧力室12にノズル連通路16を介して連通するノズル21が複数形成されている。本実施形態では、複数のノズル21は、X軸方向に沿って一列となるように並んで配置されている。また、本実施形態では、ノズル21がX軸方向に沿って並設されたノズル列が、Y軸方向に離れて2列設けられている。Y軸方向に並設された2列のノズル列は、各列を構成するノズル21同士が互いにX軸方向に半ピッチずれた状態で配置されていてもよい。このようなノズルプレート20としては、シリコン基板、ガラス基板、SOI基板、各種セラミック基板、ステンレス基板等の金属基板、ポリイミド樹脂のような有機物などを用いることができる。
【0035】
振動板50は、本実施形態では、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51の-Z方向を向く面上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を有する。なお、振動板50は、弾性膜51のみで構成されていてもよく、絶縁体膜52のみで構成されていてもよく、弾性膜51と絶縁体膜52とに加えて他の膜を有する構成であってもよい。
【0036】
圧電アクチュエーター300は、振動板50上に-Z方向に向かって順次積層された第1電極60と圧電体層70と第2電極80とを具備する。このような圧電アクチュエーター300は、圧電素子とも言い、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とを含む部分を言う。また、第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加した際に、圧電体層70に圧電歪みが生じる部分を活性部310と称する。これに対して、圧電体層70に圧電歪みが生じない部分を非活性部と称する。すなわち、活性部310は、圧電体層70が第1電極60と第2電極80とで挟まれた部分を言う。本実施形態では、圧力室12毎に活性部310が形成されている。つまり、圧電アクチュエーター300には複数の活性部310が形成されていることになる。この複数の活性部310が、圧力室12内のインクに圧力変化を生じさせる「駆動素子」となっている。そして、一般的には、活性部310の何れか一方の電極を活性部310毎に独立する個別電極とし、他方の電極を複数の活性部310に共通する共通電極として構成する。本実施形態では、第1電極60が個別電極を構成し、第2電極80が共通電極を構成している。もちろん、第1電極60が共通電極を構成し、第2電極80が個別電極を構成してもよい。
【0037】
ここで第1電極60は、
図5及び
図6に示すように、圧力室12毎に切り分けられて活性部310毎に独立する個別電極を構成する。圧電体層70は、
図5及び
図6に示すように、Y軸方向の幅が所定の幅で、X軸方向に亘って連続して設けられている。また、圧電体層70には、
図5に示すように、第1電極60と重ならない位置に複数の凹部71が形成されているが、凹部71を設けなくてもよい。このような圧電体層70は、例えば、一般式ABO
3で示されるペロブスカイト構造の複合酸化物からなる圧電材料を用いて構成されている。第2電極80は、
図5及び
図6に示すように、圧電体層70の第1電極60とは反対側である-Z方向側に連続して設けられており、複数の活性部310に共通する共通電極を構成する。第2電極80は、Y軸方向が所定の幅となるように、X軸方向に亘って連続して設けられている。
【0038】
また、第1電極60からは、引き出し配線である個別リード電極91が引き出されている。第2電極80からは引き出し配線である共通リード電極92が引き出されている。これら個別リード電極91及び共通リード電極92の圧電アクチュエーター300に接続された端部とは反対側の端部には、上述のように可撓性を有するフレキシブル基板からなる配線部材110が接続されている。配線部材110は、活性部310の夫々を駆動させるための駆動信号を各活性部310に供給するか否かを選択する複数のスイッチング素子を有する駆動信号選択回路111が実装されている。つまり、本実施形態における配線部材110は、COF(Chip On Film)である。なお、配線部材110には、駆動信号選択回路111を設けなくてもよい。つまり、配線部材110は、FFC(Flexible Flat Cable)、FPC(Flexible Printed Circuits)等であってもよい。また、ヘッドチップ2Aに設けられた配線部材110を配線部材110Aと称し、ヘッドチップ2Bに設けられた配線部材110を配線部材110Bと称する。以降、配線部材110Aと配線部材110Bとを区別しない場合には、配線部材110と称する。
【0039】
流路形成基板10の-Z方向を向く面には、
図4及び
図6に示すように、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター300を保護する空間である収容部31を有する。収容部31は、X軸方向に並んで配置される圧電アクチュエーター300の列毎に独立して設けられたものであり、Y軸方向に2つ並んで形成されている。また、保護基板30には、Y軸方向に並んで配置される2つの収容部31の間にZ軸方向に貫通する貫通孔32が設けられている。圧電アクチュエーター300の電極から引き出された個別リード電極91及び共通リード電極92の端部は、この貫通孔32内に露出するように延在し、個別リード電極91及び共通リード電極92と配線部材110とは、貫通孔32内で電気的に接続されている。このような保護基板30としては、例えば、流路形成基板10と同様にシリコン基板、ガラス基板、SOI基板、各種セラミック基板からなる。
【0040】
また、
図6に示すように、保護基板30上には、複数の圧力室12に連通するマニホールド100を流路形成基板10と共に画定するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。このようなケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。また、ケース部材40には、連通板15の第1マニホールド部17に連通する第3マニホールド部42が設けられている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40に設けられた第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。マニホールド100は、圧力室12の列毎に、つまり、合計2個設けられている。各マニホールド100は、圧力室12が並んで配置されるX軸方向に亘って連続して設けられており、各圧力室12とマニホールド100とを連通する供給連通路19は、X軸方向に並んで配置されている。また、ケース部材40には、マニホールド100に連通して各マニホールド100にインクを供給するための導入口44が設けられている。また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線部材110が挿通される接続口43が設けられており、配線部材110は、接続口43を介して液体噴射ヘッド1の-Z方向を向く面側に導出される。ケース部材40としては、金属材料、樹脂材料などを用いることができる。
【0041】
また、連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する+Z方向側の面には、コンプライアンス基板45が設けられている。このコンプライアンス基板45が、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の+Z方向側の開口を封止している。このようなコンプライアンス基板45は、本実施形態では、可撓性を有する薄膜からなる封止膜46と、金属等の硬質の材料からなる固定基板47と、を具備する。固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。固定基板47の+Z方向を向く面がカバーヘッド220の-Z方向を向く面に固定されることで、ヘッドチップ2は、カバーヘッド220に固定されている。
【0042】
このようなヘッドチップ2に設けられる配線部材110について、さらに
図7~
図11を参照して説明する。なお、
図7は、配線部材110の断面図である。
図8は、第1可撓部110aの平面図である。
図9は、第2可撓部110bの平面図である。
図10は、第3可撓部110cの平面図である。
図11は、
図8のB-B′線断面図である。なお、
図7から
図11においても、ヘッドチップ2が液体噴射ヘッド1に搭載される前の状態、即ち
図4に示される配線部材110に基づいてX、Y、Zの空間軸を図示している。
【0043】
配線部材110の基本的な構成は、
図7及び
図11に示すように、例えば、ポリイミド等の樹脂材料などの可撓性及び絶縁性を有する材料で形成されたベース112と、ベース112の一方面に銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、錫(Sn)等の金属箔によって所定形状に形成された複数の配線113と、駆動信号選択回路111や他の配線などの電子部品が接続される端子以外の配線を覆う絶縁性を有するカバー114と、を具備する。本実施形態の複数の配線113は、銅箔によって形成されている。これらベース112、配線113及びカバー114の積層方向が、「配線部材110の厚さ方向」に相当する。配線113の端子には、錫(Sn)や金(Au)等がめっきによって形成された導電層115が設けられている。つまり、配線113の導電層115が設けられた部分が端子となっており、この端子の集合体が端子群となる。なお、カバー114は絶縁性を有するフィルム状の部材であり、ベース112に接着剤116によって接着されている。このため、ベース112とカバー114との間において、配線113の間には接着剤116が充填されている。接着剤116は、絶縁性を有する接着剤である。ちなみに、配線113とカバー114との間には接着剤116が介在していてもよい。また、カバー114は、フィルム状の部材に限定されず、ソルダーレジスト等を用いてもよい。
【0044】
詳しくは後述するが、配線部材110は、端子群140Aと、端子群140Bと、端子群140Cと、端子群140Aに配線された個別配線群125Aと、端子群140Bに配線された個別配線群125Bと、端子群140Cに配線された個別配線群125Cと、を有する。個別配線群125A~125Cを区別しない場合、個別配線群125と称する。配線部材110は、複数の個別配線群125A~125Cに共通して配線された共通配線群126を更に有する。換言すれば、個別配線群125A~125Cの夫々は、共通配線群126から分岐した個別配線群125である。
【0045】
本実施形態の配線部材110は、
図6~
図11に示すように、第1可撓部110aと第2可撓部110bと第3可撓部110cとを具備する。これら第1可撓部110a、第2可撓部110b及び第3可撓部110cは、この順に+Y方向に向かって配置されている。
【0046】
第1可撓部110aは、一方面の一端に個別リード電極91及び共通リード電極92に接続される駆動側接続端子群142を有する。駆動側接続端子群142は、X軸方向に並設された複数の端子143_1~143_nを有する。複数の端子143_1~143_nを区別しない場合には、端子143と称する。
【0047】
第1可撓部110aは、一方面の他端に端子群140Aを有する。端子群140Aは、X軸方向に並設された複数の端子141A1~141Anを有する。端子141A1~141Anを区別しない場合には、端子141Aと称する。nは、2以上の整数である。つまり、端子群140Aは、n個の端子を有する。
【0048】
第1可撓部110aの一方面の配線113には、駆動信号選択回路111が実装されている。
図7及び
図8に示すように、共通配線群126の一部は、駆動信号選択回路111と端子群140A及び端子群140Bとの間に位置し、共通配線群126の残部は、駆動信号選択回路111と駆動側接続端子群142との間に位置している。これによれば、各個別配線群125の途中に駆動信号選択回路111を配置する場合に比べて、配線部材110の製造コストの低下、及び、サイズの小型化が図れる。なお、本実施形態では、共通配線群126を構成する複数の配線113の全てが駆動信号選択回路111に接続されているが、一部の配線113が駆動信号選択回路111に接続されていなくてもよい。
【0049】
また、第1可撓部110aの他方面には、駆動信号選択回路111と端子群140Aとの間の各配線113に、ベース112を貫通するスルーホール117を介して配線された第1分岐端子群118が設けられている。第1分岐端子群118は、X軸方向に並設された複数の第1分岐端子を有する。なお、スルーホール117の内部には、接続配線117aが設けられており、接続配線117aの一端が第1可撓部110aの配線113に配線され、接続配線117aの他端が第1分岐端子群118に配線されることで、端子群140Aと第1分岐端子群118とが配線される。
【0050】
本実施形態では、第1分岐端子群118から端子群140Aまでの複数の配線113が、個別配線群125Aに相当する。また、駆動側接続端子群142から第1分岐端子群118までの複数の配線113が、共通配線群126に相当する。ここで、配線部材110のうち共通配線群126を有する部分、即ち第1可撓部110aの駆動側接続端子群142から第1分岐端子群118までの部分を、配線部材110の本体部144とする。本体部144は、駆動側接続端子群142を含む部分である。また、配線部材110の個別配線群125Aを有する部分、即ち第1可撓部110aの個別配線群125Aを有する部分を、配線部材110の端部145Aとする。端部145Aは、端子群140Aを含む部分であり、分岐位置Pbで本体部144から分岐している。
【0051】
つまり、第1可撓部110aは、本体部144と端部145Aとを具備し、第1可撓部110aの共通配線群126と第1分岐端子群118と端子群140Aとは、個別配線群125Aによって配線されている。なお、本実施形態では、第1可撓部110aは、本体部144と端部145Aとが一体的に設けられた構成、すなわち、共通配線群126を構成する配線113と個別配線群125Aを構成する配線113とが同一層で連続して設けられた構成を例示したが、特にこれに限定されない。例えば、第1可撓部110aは、本体部144と端部145Aとを別体として、共通配線群126と個別配線群125Aとを導電性接着剤、はんだ付け、ろう付け等のろう接による溶接などによって配線してもよい。なお、はんだは、例えば、錫を主成分とした合金であり、フレキシブル基板やリジッド基板に形成される配線や端子とは異なる材料である。また、鉛フリーはんだであれば、SnAg系、SnAgCu系、SnBi系、SnZnBi系、SnCu系などが挙げられる。また、導電性接着剤は、エポキシ系、フェノール系、アクリル系、ウレタン系等の接着剤に、金、銀、銅、ニッケル、カーボン等の導電粒子(別称、フィラー)が含有されていることで、導電性を有する接着剤のことである。
【0052】
第2可撓部110bは、ベース112の第1可撓部110aと対向する一方面に配線113が設けられている。また、第2可撓部110bの配線113の一端には、第1接続端子群120が設けられている。第1接続端子群120は、X軸方向に並設された複数の第1接続端子を有する。この第1接続端子群120は、第1可撓部110aの第1分岐端子群118と配線されている。本実施形態では、第1接続端子群120は第1分岐端子群118とはんだ151を介して配線されている。第1接続端子群120と第1分岐端子群118とは、はんだ付けに限らず、導電性接着剤、ろう付け等のろう接による溶接などによって配線されてもよい。
【0053】
また、第2可撓部110bの配線113の他端には、端子群140Bが設けられている。端子群140Bは、X軸方向に並設された複数の端子141B1~141Bnを有する。端子141B1~141Bnを区別しない場合には、端子141Bと称する。つまり、第1可撓部110aの配線113は、第1分岐端子群118及び第1接続端子群120及び第2可撓部110bの配線113を介して端子群140Bと配線される。言い換えると、第1可撓部110aの本体部144は、端子群140A及び端子群140Bに共通して配線された共通配線群126を有する。つまり、端子群140Aと端子群140Bとは、共通配線群126を構成する配線113を介して間接的に繋がれている。
【0054】
また、第2可撓部110bの他方面には、第2可撓部110bの配線113にスルーホール121を介して配線された第2分岐端子群122が設けられている。第2分岐端子群122は、X軸方向に並設された複数の第2分岐端子を有する。なお、スルーホール121の内部には接続配線121aが設けられ、接続配線121aの一端が第2可撓部110bの配線113に配線され、接続配線121aの他端が第2分岐端子群122に配線されることで、端子群140Bと第2分岐端子群122とが配線される。なお、第2分岐端子群122は、第1接続端子群120と厚さ方向であるY軸方向で重なる位置に配置されている。
【0055】
本実施形態では、第1接続端子群120から端子群140Bまでの複数の配線113が、個別配線群125Bに相当する。ここで、配線部材110のうち個別配線群125Bを有する部分、即ち第2可撓部110bを、配線部材110の端部145Bとする。端部145Bは、端子群140Bを含む部分であり、分岐位置Pbで本体部144から分岐している。第2可撓部110bは、第1接続端子群120と第2分岐端子群122と端子群140Bとを有し、これらは個別配線群125Bによって配線される。
【0056】
第3可撓部110cは、ベース112の第2可撓部110bと対向する一方面に配線113が設けられている。また、第3可撓部110cの配線113の一端には、第2接続端子群124が設けられている。第2接続端子群124は、X軸方向に並設された複数の第2接続端子を有する。この第2接続端子群124は、第2可撓部110bの第2分岐端子群122と配線されている。本実施形態では、第2接続端子群124は第2分岐端子群122とはんだ152を介して配線されている。第2接続端子群124と第2分岐端子群122とは、はんだ付けに限らず、導電性接着剤、ろう付け等のろう接による溶接などによって配線されてもよい。
【0057】
また、第3可撓部110cの配線113の他端には、端子群140Cが設けられている。端子群140Cは、X軸方向に並設された複数の端子141C1~141Cnを有する。端子141C1~141Cnを区別しない場合には、端子141Cと称する。また、端子141A~141Cを区別しない場合には、端子141と称する。上述の通り、端子群140A、端子群140B及び端子群140Cのそれぞれは、n個の端子141を有する。したがって、共通配線群126の複数の配線113の夫々を介して、端子140A1~140Anの夫々と、端子140B1~140Bnの夫々と、端子140C1~140Cnの夫々とが、互いに配線されている。また、駆動側接続端子群142の端子143_1~143nの夫々は、端子140A1~140Anの夫々と配線され、且つ、端子140B1~140Bnの夫々と配線され、且つ、端子140C1~140Cnの夫々と配線されている。
【0058】
つまり、第1可撓部110aの配線113は、第1分岐端子群118及び第1接続端子群120及び第2可撓部110bの配線113と、第2分岐端子群122、第2接続端子群124及び第3可撓部110cの配線113を介して端子群140A及び端子群140Bと配線される。言い換えると、第1可撓部110aの本体部144は、端子群140A、端子群140B及び端子群140Cに共通して配線された共通配線群126を有する。つまり、端子群140Aと端子群140Bと端子群140Cとは、共通配線群126を介して間接的に繋がれている。
【0059】
本実施形態では、第2接続端子群124から端子群140Cまでの配線113が、個別配線群125Cに相当する。個別配線群125A~125Cを区別しない場合、個別配線群125と称する。ここで、配線部材110のうち個別配線群125Cを有する部分、即ち第3可撓部110cを、配線部材110の端部145Cとする。端部145A~145Cを区別しない場合、端部145と称する。端部145Cは、端子群140Cを含む部分であり、分岐位置Pbで本体部144から分岐している。第3可撓部110cは、第2接続端子群124と端子群140Cとを有し、これらは個別配線群125Cによって配線される。
【0060】
以上の通り、第1可撓部110aの本体部144の複数の配線113は、端子群140A、端子群140B、端子群140Cに共通して配線された共通配線群126に相当する。なお、共通して配線されているとは、共通配線群126が、端子群140Aに配線された個別配線群125Aと端子群140Bに配線された個別配線群125Bと端子群140Cに配線された個別配線群125Cに直接的にまたは間接的につながって配線されていることを言う。
【0061】
そして、本実施形態では、端子群140Aは、中継基板210の端子群222αに接着または接合される。また、端子群140B及び端子群140Cは、中継基板210に接着または接合されていない。そして、端子群140A、端子群140B及び端子群140Cは、それぞれ互換性を有する。つまり、本実施形態のヘッドチップ2は、複数のノズル21を有するノズルプレート20と、共通配線群126と、共通配線群126に共通して配線されるとともに互いに互換性を有する複数の端子群140A~140Cと、を備える。
【0062】
ここで、「互換性を有する」とは、端子群140Aの代わりに端子群140Bを中継基板210に接続しても、同じ動作や処理を行える、つまり、同じ信号を送受信したときに同じ結果を生じることをいう。例えば、端子群140Aと端子群140Bとが互換性を有するとは、端子群140Aの端子141A1~141Anの数と端子群140Bの端子141B1~141Bnの数とが同じであることを含む。また、端子群149Aと端子群140Bとが互換性を有するとは、端子群140Aの端子141A1~141Anの並設方向の長さと、端子群140Bの端子141B1~141Bnの並設方向の長さと、が同じであることを含む。また、端子群140Aと端子群140Bとが互換性を有するとは、端子群140Aの各端子141A1~141Anの表面の面積と、端子群140Bの各端子141B1~141Bnの表面の面積が同じことを含む。また、端子群140Aと端子群140Bとが互換性を有するとは、端子群140Aの端子141A1~141Anと、端子群140Bの端子141B1~141Bnと、が同じ順番で配置されていることを含む。また、端子群140Aと端子群140Bとが互換性を有するとは、端子群140Aと端子群140Bとが、同じ共通配線群126に接続されていることを含む。なお、端子群140Aと端子群140Bとの互換性について上述したが、端子群140Aと端子群140Cとの互換性についても同様であり、また、端子群140Bと端子群140Cとの互換性についても同様である。本明細書における「互換性を有する」の規定は、以降においても同様である。
【0063】
このようなヘッドチップ2の配線部材110が接続される中継基板210の詳細について、さらに
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は、中継基板210を+Z方向に見た平面図である。
図13は、
図12のC-C′線断面図である。
【0064】
図示するように、中継基板210は、本実施形態では、柔軟性のない硬質のリジット基板からなる。中継基板210は、例えば、硬質の基材214と、基材214の表面に設けられた銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、錫(Sn)等の金属箔によって所定形状に形成された複数の配線215と、配線部材110等の他の配線や電子部品などが接続される端子以外の配線215を覆う保護材216と、を具備する。本実施形態の複数の配線113は、銅箔によって形成されている。硬質の基材214は、例えば、エポキシ樹脂を含侵させたガラス繊維やフェノール樹脂又はエポキシ樹脂を含侵させた紙などである。また、配線215の端子には、錫(Sn)や金(Au)等がめっきによって形成された導電層217が設けられている。配線215の導電層217が設けられた部分が端子となっており、端子の集合体が端子群となる。なお、保護材216は、絶縁性を有するフィルム状のものであり、基材214に図示しない接着剤等によって接着されている。なお、保護材216は、フィルム状のものに限定されず、ソルダーレジスト等を用いてもよい。
【0065】
中継基板210は、-Z方向を向く第1面210aと、+Z方向を向く第2面210bと、を有する。また、中継基板210は、第1面210aにヘッドチップ2との電気的接続端子である端子群222αと端子群222βと端子群222γとを有する。なお、電気的接続端子とは、ヘッドチップ2に対して電気的に接続することが可能な端子群222のことであり、実際に接続しているものも、実際に接続していないものも含む。
【0066】
端子群222αは、X軸方向に並設された複数の端子223α1~223αnを有する。また、端子群222βは、X軸方向に並設された複数の端子223β1~223βnを有する。また、端子群222γは、X軸方向に並設された複数の端子223γ1~223γnを有する。端子223α1~223αnを区別しない場合、端子223αと称する。端子223β1~223βnを区別しない場合、端子223βと称する。端子223γ1~223γnを区別しない場合、端子223γと称する。端子223α~223γを区別しない場合、端子223と称する。
【0067】
そして、端子群222α、端子群222β、端子群222γは、配線挿通孔212のY軸方向の一方側に配置され、Y軸方向に沿って並設されている。また、端子群222α~222γの夫々は、端子群140と同様、n個の端子223を有する。ただし、端子群222が有する端子223の数と、端子群140が有する端子141の数と、は異なっていてもよい。例えば、端子群222αの端子223α1が、端子群140Aの端子141A1及び端子141A2に共通して接続される端子である場合には、端子群222αが有する端子223αの数は、端子群140Aが有する端子141Aの数よりも少なくなる場合がある。
【0068】
端子群222αを構成する各端子223α1~223αn、端子群222βを構成する各端子223β1~223βn、端子群222γを構成する各端子223γ1~223γnは、配線されている。すなわち、端子群222αと端子群222βと端子群222γとは、互換性を有する。
【0069】
そして、
図13に示すように、配線部材110の端子群140Aと中継基板210の端子群222αとが接着または接合されている。ここで、端子群140Aと端子群222αとが接着または接合されているとは、端子群140Aの端子141A1~141Anと、端子群222αの端子223α1~223αnとのそれぞれが、電気的に接続されていることをいう。また、端子群140と端子群222αとが接着されて電気的に接続されているとは、端子群140Aと端子群222αとが導電性粒子を含む導電性接着剤によって接着されていること、及び、端子群140Aと端子群222αとがはんだ付けやろう付けなどのろう接による溶接によって接合されていることを含む。本実施形態では、端子群140Aと端子群222αとは、はんだ150によって接合されている。
【0070】
また、本実施形態では、配線部材110を中継基板210の配線挿通孔212に挿通し、配線部材110を湾曲させて、配線部材110の端子群140Aと中継基板210の端子群222αとを接着または接合する。つまり、本実施形態では、中継基板210の-Z方向を向く第1面210aで、配線部材110と中継基板210とを接着または接合する。もちろん、配線部材110と中継基板210とは、中継基板210の第2面210bで接着または接合してもよい。ただし、配線部材110と中継基板210とを中継基板210の第1面210aで接着または接合することで、流路部材200が接着または接合時に邪魔になり難く、接着または接合を容易に行うことができる。
【0071】
また、配線部材110の端子群140B及び端子群140Cは、中継基板210に接着または接合されていない。端子群140B及び端子群140Cが中継基板210に接着または接合されていないとは、端子群140B及び端子群140Cが、中継基板210の電気的な接続部分と電気的に接続されておらず、いかなる電子部品とも電気的に接続されていないことを指す。本実施形態では、端部145B及び端部145Cは、中継基板210の配線挿通孔212に挿通された状態、つまり、端部145B及び端部145Cは、中継基板210の第1面210aよりも-Z方向に導出された状態で配置されている。もちろん、端部145B及び端部145Cは、配線挿通孔212を挿通することなく、端子群140B及び端子群140Cが第2面210bよりも+Z方向に配置されていてもよい。
【0072】
また、中継基板210に接着または接合されていない端子群140B、140Cは、例えば、絶縁性を有し且つ着脱可能な保護テープ等で覆うことが好ましい。このように端子群140B、140Cを保護テープ等で覆うことで、端子群140B、140Cが、他の配線や電気的な接続部分等に接触して短絡することや、予期せぬ信号が入力されるのを抑制することができる。
【0073】
また、中継基板210は、互換性を有する複数の端子群222α~222γの組である端子群組を、液体噴射ヘッド1が備えるヘッドチップ2の数に対応して複数有する。つまり、ヘッドチップ2Aに電気的に接続される端子群組である端子群222α~222γは、互いに互換性を有し、ヘッドチップ2Bに電気的に接続される端子群組である端子群222α~222γは、互いに互換性を有する。また、各ヘッドチップ2の端子群140同士は、互いに互換性を有する。具体的に例えると、ヘッドチップ2Aの複数の端子群140A~140C及びヘッドチップ2Bの複数の端子群140A~140Cは、互いに互換性を有する。したがって、ヘッドチップ2は、複数の端子群組のうち何れの端子群組と電気的に接続が可能であり、更に、端子群組の何れの端子群222と電気的に接続可能である。つまり、本実施形態では端子群140Aと端子群222αとを電気的に接続していたが、端子群140B又は端子群140Cを、中継基板210の端子群222α~222γの何れかと電気的に接続することも可能である。また、ヘッドチップ2Bの端子群140A~140Cを、ヘッドチップ2Aと電気的に接続される端子群組の端子群222と電気的に接続することも可能である。
【0074】
このように接続された配線部材110の端子群140Aと中継基板210の端子群222αとが電気的に接続された液体噴射ヘッド1では、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すことで、ヘッドチップ2や液体噴射ヘッド1のヘッドチップ2以外の部品を再利用することができる。詳しくは後述するが、ヘッドチップ2や液体噴射ヘッド1のヘッドチップ2以外の部品を再利用するために、中継基板210に対する第1可撓部110aの接着部分または接合部分を破壊する、または、当該接着部分または接合部分以外の部分、例えば、端部145Aを破壊する。このとき、ヘッドチップ2の端子群140Aが再利用できない状態となっても、ヘッドチップ2には、端子群140B及び端子群140Cが存在するため、ヘッドチップ2を、端子群140Aと端子群222αとが電気的に接続されていた液体噴射ヘッド1とは異なる他の液体噴射ヘッド1に再利用することができる。同様に、中継基板210の端子群222αが再利用できない状態となっても、中継基板210には、端子群222β及び端子群222γが存在するため、中継基板210に、当該電気的に切り離したヘッドチップ2とは異なる他のヘッドチップ2を接続することができる。したがって、液体噴射ヘッド1から取り外したヘッドチップ2や中継基板210等を再利用することができる。また、中継基板210やヘッドチップ2の一部に故障が生じても、故障した部品のみを交換して、液体噴射ヘッド1を再生する、所謂、リファービッシュ作業を容易に行うことができる。したがって、一部の部品が故障した液体噴射ヘッド1を廃棄する必要がない。特に、液体噴射ヘッド1が複数のヘッドチップ2を有する場合、1つのヘッドチップ2が故障しても液体噴射ヘッド1を廃棄することなく、故障したヘッドチップ2のみを容易に交換して、液体噴射ヘッド1を再生することができる。なお、電気的に切り離すとは、電気的に接続している状態から電気的に接続していない状態にすることを言う。また、電気的に接続するとは、電気的に接続していない状態から電気的に接続している状態にすることを言う。
【0075】
ここで、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離す方法について説明する。
図14~
図19は、ヘッドチップ2と中継基板210との電気的な切り離し方法を説明する模式図である。
【0076】
ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すには、端子群140Aと端子群222αとの接着部分または接合部分以外を破壊することで行う。
【0077】
具体的には、
図14に示すように、個別配線群125Aを切断することでヘッドチップ2と中継基板210とが電気的に切り離される。このとき配線部材110は、端子群222αに接着または接合された一端、つまり、端子群140Aと、一端とは反対側の他端、すなわち、個別リード電極91及び共通リード電極92に接続された駆動側接続端子群142と、を有し、他端よりも一端に近い位置で配線部材110を破壊するのが好ましい。つまり、
図7に示すように、配線113の延在方向において、配線部材110の中心Mよりも一端側の領域P2と、他端側の領域P1とのうち、領域P2で配線部材110を破壊するのが好ましい。このように一端側の領域P2で配線部材110を破壊することで、中継基板210に残留する配線部材110を減少させることができる。なお、ここで言う他端とは、本実施形態では、駆動側接続端子群142が設けられた端部であり、一端から入力または出力された信号が、出力または入力される端部のことである。このように配線部材110の端部145Aを切断することで、中継基板210に残留する方の配線部材110の切断面及び中継基板210に残留しない方の配線部材110の切断面は、
図14に示すようになる。また、配線113の延在方向に垂直な方向に見た切断面は、
図11に示すようになる。つまり、切断面には、配線113が露出される。また、個別配線群125Aを構成する少なくとも1つの配線113が、切断面以外から露出されていない。本実施形態では、個別配線群125Aを構成する全ての配線113が、切断面以外から露出されていない。つまり、切断面に露出される配線113は、端子群140とは異なるものである。すなわち、切断面で露出される配線113には導電層115が設けられていない。さらに、切断面では、
図11のように、配線部材110の厚さ方向及び配線113の延在方向の双方に直交する方向であるX軸方向に関して、配線113の両側が接着剤116で覆われている。また、切断面では、配線部材110の厚さ方向においても配線113の両側が絶縁体で覆われており、具体的には、ベース112とカバー114で覆われている。なお、
図14では、端子群140Aと端子群222αとをはんだ150で接合するようにしたが、特にこれに限定されず、はんだ150の代わりに導電性接着剤で両者を接着した場合も同様である。
【0078】
また、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すには、端子群140Aと端子群222αとの接着部分または接合部分を破壊することで行うようにしてもよい。
【0079】
接着部分または接合部分の破壊は、
図15に示すように、端子群140Aと端子群222αとがはんだ150によって接合されている場合、はんだ150が破壊されることを含む。なお、
図15では、はんだ150は、端子群140A及び端子群222αの両方に残留する場合、所謂はんだ破壊を例示している。なお、
図15では、端子群140Aと端子群222αとをはんだ150で接合するようにしたが、特にこれに限定されず、はんだ150の代わりに導電性接着剤で両者を接着した場合も同様である。その場合、接着部分の破壊は、導電性接着剤が破壊されること、所謂凝集破壊を含む。
【0080】
また、接着部分または接合部分の破壊は、
図16に示すように、配線部材110の端子群140Aの配線113と導電層115とが剥離することを含む。配線部材110から剥離した導電層115は中継基板210に残留する。なお、はんだ150の代わりに導電性接着剤で端子群140Aと端子群222αを接着した場合も同様であり、接着部分の破壊は、配線部材110の端子群140Aの配線113と導電層115とが剥離すること、所謂基材破壊を含む。
【0081】
また、接着部分または接合部分の破壊は、
図17に示すように、配線部材110の端子群140Aのベース112と配線113とが剥離すること、所謂銅箔剥離を含む。配線部材110から剥離した配線113及び導電層115は、中継基板210に残留する。なお、はんだ150の代わりに導電性接着剤で端子群140Aと端子群222αを接着した場合も同様であり、接着部分の破壊は、配線部材110の端子群140Aのベース112と配線113とが剥離すること、所謂基材破壊を含む。
【0082】
また、接着部分または接合部分の破壊は、
図18に示すように、中継基板210の端子群222αの配線215と導電層217とが剥離することを含む。中継基板210から剥離した導電層217は配線部材110に残留する。なお、はんだ150の代わりに導電性接着剤で端子群140Aと端子群222αを接着した場合も同様であり、接着部分の破壊は、中継基板210の端子群222αの配線215と導電層217とが剥離すること、所謂基材破壊を含む。
【0083】
また、接着部分または接合部分の破壊は、
図19に示すように、中継基板210の端子群222αの基材214と配線215とが剥離すること、所謂銅箔剥離を含む。中継基板210から剥離した配線215及び導電層217は配線部材110に残留する。なお、はんだ150の代わりに導電性接着剤で端子群140Aと端子群222αを接着した場合も同様であり、接着部分の破壊は、中継基板210の端子群222αの基材214と配線215とが剥離すること、所謂基材破壊を含む。
【0084】
この
図15から
図19に示すように、端子群140Aと端子群222αとの接着または接合部分を破壊して、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離す場合には、ヘッドチップ2と中継基板210との接着または接合部分が、ヘッドチップ2の配線部材110とこれに接着または接合された他の部材との接着または接合部分よりも接着強度または接合強度が小さいことが好ましい。つまり、端子群140Aと端子群222αとの接着または接合部分の強度が、駆動側接続端子群142と個別リード電極91及び共通リード電極92との接着または接合強度よりも小さいことが好ましい。これにより、配線部材110を中継基板210から引きはがす際に、配線部材110と個別リード電極91及び共通リード電極92との接着または接合部分が破壊されるのを抑制することができ、配線部材110と中継基板210とを容易に切り離すことができる。
【0085】
上記の何れかによって、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すことで、液体噴射ヘッド1の故障していない部品の再利用や、液体噴射ヘッド1の再生を行うことができる。
【0086】
なお、上述した
図14~
図19では、端子群140Aと端子群222αとの接着部分または接合部分について説明したが、端子群140Aとは別の端子群140と端子群222との接着部分または接合部分や端子群222αとは別の端子群222と端子群140との接着部分または接合部分、例えば、端子群140Bと端子群222βとの接着部分または接合部分や、端子群140Cと端子群222γとの接着部分または接合部分についても同様である。
【0087】
そして、端子群140Aと端子群222αとが接着または接合されたヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離した後で、中継基板210を再利用する場合には、他のヘッドチップ2の端子群140A、端子群140B、端子群140Cの何れかを、中継基板210の端子群222β、端子群222γの何れかに接着または接合すればよい。他のヘッドチップ2とは、例えば、新品のヘッドチップ2や、他の液体噴射ヘッド1から取り外した故障していないヘッドチップ2が挙げられる。
【0088】
また、端子群140Aと端子群222αとが接続されたヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離した後で、切り離したヘッドチップ2を再利用する場合には、切り離したヘッドチップ2の端子群140Bまたは端子群140Cを、他の中継基板210の端子群222α、端子群222β、端子群222γの何れかに接着または接合すればよい。他の中継基板210とは、例えば、新品の中継基板210や、他の液体噴射ヘッド1から取り外した故障していない中継基板210、故障したヘッドチップ2が取り外された他の液体噴射ヘッド1が備える故障していない中継基板210等が挙げられる。
【0089】
以上説明したように、ヘッドチップ2に複数の端子群140を設けることで、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離してヘッドチップ2を再利用することができる。
【0090】
また、中継基板210に複数の端子群222を設けることで、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離して中継基板210を再利用することができる。また、中継基板210やヘッドチップ2の一部に故障が生じても、故障した部品のみを交換して、液体噴射ヘッド1を再生する、所謂、リファービッシュ作業を容易に行うことができる。つまり、ヘッドチップ2A及び2Bは、互換性があるため、端子群140A及び端子群140Bの何れか一方が使用済みで破損しているヘッドチップ2であっても、他方の残っている未使用の端子群140を有するヘッドチップ2をヘッドチップ2A又はヘッドチップ2Bとして再利用することができる。また、本実施形態のヘッドチップ2A及びヘッドチップ2Bは、互換性があるため、ヘッドチップ2Aとヘッドチップ2Bとを個別に製造及び在庫管理する必要がなく、製造及び在庫管理にかかるコストを低減することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、配線部材110は、3つの端子群140を有するものとしたが、端子群140の数は特にこれに限定されない。例えば、配線部材110は、1個の端子群140を有するものであってもよく、2個以上の端子群140を有するものであってもよい。ヘッドチップ2が1個の端子群140のみを有する場合、中継基板210が2個以上の端子群222を有するものであれば、ヘッドチップ2が故障しても、中継基板210を再利用して他のヘッドチップ2を接続することができる。なお、配線部材110の端子群140の数が3つ以上である場合、ヘッドチップ2を2回以上、再利用することができる。同様に、中継基板210は、3個の端子群222を有するものとしたが、端子群222の数は特にこれに限定されない。例えば、中継基板210は、1個の端子群222のみを有するものであってもよく、2個以上の端子群222を有するものであってもよい。中継基板210が1個の端子群222のみを有する場合、ヘッドチップ2が2個以上の端子群140を有するものであれば、中継基板210が故障しても、ヘッドチップ2を中継基板210から取り外して再利用することができる。なお、中継基板210の端子群222の数が3つ以上である場合、中継基板210を2回以上、再利用することができる。また、配線部材110に設けられた端子群140の数と、中継基板210に設けられた端子群222の数とは、一致していてもよく、一致していなくてもよい。
【0092】
(変形例1)
図20は、実施形態1の変形例1を示す配線部材110及び中継基板210を模式的に示す図である。本変形例は、配線部材110の本体部144から端子群140Aまでの長さL11(換言すれば端部145Aの長さL11)、本体部144から端子群140Bまでの長さL12(換言すれば端部145Bの長さL12)及び本体部144から端子群140Cまでの長さL13(換言すれば端部145Cの長さL13)が、互いに異なっている点で、実施形態1と相違する。
【0093】
本変形例では、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に接続する際において、端子群140Aを使用する場合には、端子群140Aと端子群222αとを電気的に接続し、端子群140Bを使用する場合には、端子群140Bと端子群222βとを電気的に接続し、端子群140Cを使用する場合には、端子群140Cと端子群222γとを電気的に接続する。また、本変形例では、実施形態1と同様に、各端子群222は、複数の端子223がX軸方向に並ぶことで構成されている。
【0094】
図20に示すように、端子群222α、222β、222γのうち配線部材110の本体部144に最も近い端子群222αと端部145Aとの距離L1、端子群222αと端部145Bとの距離L2、及び、端子群222αと端部145Cとの距離L3は、この順に短いため、配線部材110の端部145Aの長さL11、端部145Bの長さL12及び端部145Cの長さL13を、この順に短くすることが好ましい。このように、端部145A~145Cの夫々から配線部材110の本体部144に最も近い端子群222αまでの各距離L1、L2、L3に応じて、端部145A、端部145B、端部145Cの長さL11、L12、L13を調整することで、配線部材110の端子群140A、140B、140Cの夫々と、中継基板210の端子群222α、222β、222γの夫々とを接続する際に、配線部材110を過度に折り曲げるのを抑制することができる。このため、折り曲げた配線部材110の余分な部分が他の部材と緩衝することや、折り曲げた応力によって、配線部材110の端子群140A、140B、140Cの夫々と中継基板210の端子群222α、222β、222γの夫々との位置決め精度が低下し、接続不良が生じるのを抑制することができる。例えば、距離L11が距離L13と同じ長さである場合、端部145Aは、端子群140Aと端子群222αとを接続するのに必要な長さよりも余分に長くなるため、配線部材110を過度に折り曲げることになってしまう。
【0095】
(変形例2)
図21は、実施形態1の変形例2を説明する配線部材110及び中継基板210を模式的に示す図である。本変形例は、配線部材110が、分岐位置Pbとは異なる位置に副分岐位置Pbsを有する点で実施形態1と相違する。
【0096】
本変形例では、端部145Aは、第1可撓部110aのうち、第1可撓部110aと第2可撓部110bとの接続位置である分岐位置Pbから端子群140Aまでの部分である。また、端部145Bは、第2可撓部110bのうち、第2可撓部110bと第3可撓部110cとの接続位置である分岐位置Pbから端子群140Bまでの部分である。更に、端部145Cは、第3可撓部110cのうち、副分岐位置Pbsから端子群140Cまでの部分である。つまり、
図21に示すように、端部145Bと端部145Cとは、Z軸方向で分岐位置Pbとは異なる位置である副分岐位置Pbsで分岐している。
【0097】
また、本体部144は、第1可撓部110aのうち、分岐位置Pbから不図示の駆動側接続端子群142までの部分である。つまり、端部145B及び端部145Cの夫々は、分岐位置Pbで、第2可撓部110bのうち分岐位置Pbと副分岐位置Pbsと間の部分を介して、本体部144から分岐している。
【0098】
このような構成の配線部材110では、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すために端部145Aを切断する場合には、端子群140Aと分岐位置Pbとの間の切断位置Pc1で切断する。また、端部145Bを含む第2可撓部110bを切断する場合には、分岐位置Pbと副分岐位置Pbsとの間の切断位置Pc2で切断する。また、端部145Cである第3可撓部110cを切断する場合には、副分岐位置Pbsと端子群140Cとの間の切断位置Pc3で切断する。そして、中継基板210との電気的な接続を行うために端子群140C、端子群140B及び端子群140Aをこの順番に使用する場合、端子群140Cを使用し且つ第3可撓部110cを切断位置Pc3で切り離した後で、端子群140Bと中継基板210との電気的な接続を切り離すために第2可撓部110bを切断位置Pc2で切り離す。すると、当該切断後において、配線部材110に第3可撓部110cの残留部分が存在しないことになる。よって、端子群140Aと中継基板210とを電気的に接続する際において、第3可撓部110cの残留部分が邪魔になるのを抑制できる。
【0099】
なお、切断位置Pc1は、端子群140Aよりも分岐位置Pbに近い位置とするのが好ましい。これにより切断位置Pc1で第1可撓部110aを切断した際に、残留する配線部分をさらに短くすることができる。同様に、切断位置Pc2は、副分岐位置Pbsよりも分岐位置Pbに近い位置とするのが好ましく、切断位置Pc3は、端子群140Cよりも副分岐位置Pbsに近い位置とするのが好ましい。
【0100】
(変形例3)
また、
図22は、実施形態1の変形例3を示す配線部材110及び中継基板210を模式的に示す図である。
【0101】
本変形例は、
図22に示すように、第1可撓部110a、第2可撓部110b及び第3可撓部110cが、端子群222から見て奥から手前に向かってこの順で並んで配置されている点で、実施形態1の変形例2と相違する。本変形例において、配線部材110の端部145A~145C、配線部材110の本体部144、分岐位置Pb、副分岐位置Pbs、及び、切断位置Pc1~Pc3の各定義は、実施形態1の変形例2と同様である。本変形例においても、切断位置Pc2を分岐位置Pbと副分岐位置Pbsとの間に配置することで、実施形態1の変形例2と同様の効果を得られる。
【0102】
(変形例4)
図23は、実施形態1の変形例4を示す配線部材110の平面図である。
図24は、
図23のD-D′線断面図である。
【0103】
図示するように、配線部材110の端部145A、つまり、第1分岐端子群118と端子群140Aとの間には、脆弱部130が設けられている。脆弱部130は、他の領域に比べて脆弱な部分であって、端子群140Aと本体部144との間で配線部材110を切り離し易くして、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離しやすくするためのものである。
【0104】
このような脆弱部130は、本変形例では、複数の溝が、端子群140Aを構成する端子141A1~141Anの並び方向である+X方向に沿って、所定の間隔で直線上に配置された、所謂、ミシン目131と、ミシン目131の+X方向の側面及び-X方向の側面の両方に設けられた切れ込み132と、を有する。もちろん、脆弱部130は、ミシン目131と切れ込み132との何れか一方のみを設けるようにしてもよい。また、切れ込み132は、配線部材110の+X方向の側面及び-X方向の側面の何れか一方のみに設けられていてもよい。
【0105】
なお、ミシン目131を構成する各溝は、本変形例では、カバー114に設けられてベース112とは反対側の表面に開口する第1溝131aと、ベース112に設けられてカバー114とは反対側の表面に開口する第2溝131bとを有する。第1溝131aは、カバー114を厚さ方向に貫通することなく設けられ、第2溝131bは、ベース112を厚さ方向に貫通することなく設けられている。これにより、第1溝131a及び第2溝131bが配線113を外部に露出するのを抑制して、配線113の切断や配線113同士の短絡等を抑制することができる。もちろん、第1溝131a及び第2溝131bの何れか一方または両方は、それぞれカバー114及びベース112を厚さ方向に貫通して設けられていてもよい。また、第1溝131a及び第2溝131bは、配線部材110の厚さ方向において配線113に重ならない位置に設けることで、第1溝131a及び第2溝131bが連通するように、つまり、第1溝131a及び第2溝131bで構成される溝が配線部材110を厚さ方向に貫通するように設けてもよい。また、ミシン目131を構成する溝として、第1溝131a及び第2溝131bの何れか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0106】
切れ込み132は、配線113が設けられていない領域に、配線部材110を厚さ方向に貫通して設けられている。
【0107】
このような脆弱部130を設けることで、端子群140Aと中継基板210の端子群222αとを接続した状態で、配線部材110を容易に切断して、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すことができる。また、脆弱部130を設けることで、配線部材110の切断位置がずれるのを低減し、配線部材110が予期せぬ位置で切断されることを抑制することができる。
【0108】
なお、脆弱部130は、
図23に示すように、端部145Aにおいて、本体部144よりも端子群140Aに近い位置に設けることで、端部145Aを脆弱部130で切断した後、中継基板210に残る端部145Aを短くすることができる。したがって、中継基板210を再利用する際に、端子群222β又は端子群222γを使用して中継基板210を他のヘッドチップ2と接続する際に、中継基板210に残留する配線部材110が邪魔になるのを抑制することができる。ここで、脆弱部130が本体部144よりも端子群140Aに近いとは、配線113の延在方向において、脆弱部130と端子群140Aとの距離L20が、脆弱部130と本体部144との距離、つまり、脆弱部130と第1分岐端子群118との距離L21よりも短いことを言う。
【0109】
また、
図25に示すように、脆弱部130は、端部145Aにおいて、端子群140Aよりも本体部144に近い位置に設けるようにしてもよい。つまり、距離L20が、距離L21よりも長くてもよい。この場合、端部145Aを脆弱部130で切断した後、配線部材110に残る不要な端部145Aを短くすることができるため、ヘッドチップ2を再利用する際に、使用しない端部145Aの残留部分が邪魔になるのを抑制することができる。
【0110】
ちなみに、
図25に示すように、脆弱部130を、端部145Aにおいて、端子群140Aよりも本体部144に近い位置に設けた場合には、本体部144と端子群140Aとの間、つまり、第1分岐端子群118と端子群140Aとの間に脆弱部133をさらに設けるようにしてもよい。
【0111】
図25に示すように、配線部材110は、端部145Aに脆弱部130と脆弱部133とを有する。つまり、脆弱部130と脆弱部133とは、第1分岐端子群118と端子群140Aとの間に設けられている。
【0112】
脆弱部133は、脆弱部130と同じミシン目134と切れ込み135とを有し、端子群140Aに近い位置、つまりは第1分岐端子群118よりも端子群140Aに近い位置に配置されている。すなわち、配線113の延在方向において、脆弱部133と端子群140Aとの距離L30は、脆弱部133と第1分岐端子群118との距離L31よりも短い。
【0113】
このように端部145Aが脆弱部130と脆弱部133とを有することで、端部145Aを脆弱部130と脆弱部133との2箇所で容易に切断することができる。したがって、脆弱部130で切断することで本体部144に残る端部145Aを短くすることができると共に、脆弱部133で切断することで中継基板210に残る端部145Aを短くすることができる。
【0114】
ちなみに、
図25において、脆弱部133を設けずに、脆弱部130のみを設けてもよい。
【0115】
なお、本変形例では、脆弱部130及び脆弱部133として、ミシン目131、134よび切れ込み132、135を設けるようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、脆弱部130及び脆弱部133として、配線部材110の厚さを部分的に薄くしてもよい。つまり、ベース112及びカバー114の何れか一方及び両方にX軸方向に亘って連続する溝を設けることで、厚さを薄くしてもよい。
【0116】
また、上述した脆弱部130は、端部145Bや端部145Cにも設けられていることが好ましく、脆弱部130に加えて脆弱部133が、端部145Bや端部145Cにも設けられていることが更に好ましい。
【0117】
(変形例5)
実施形態1の変形例5では、液体噴射ヘッド1の中継基板210は、リジッド基板ではなく、可撓性を有するFFC、FPC等のフレキシブル基板で構成されていてもよい。このような中継基板210は、コネクター211を有する本体部と、本体部から分岐する部分であって端子群222αを有する端部と、本体部から分岐する部分であって端子群222βを有する端部と、本体部から分岐する部分であって端子群222γを有する端部とが設けられている。
【0118】
配線部材110だけではなく、中継基板210が可撓性を有することで、端子群140と端子群222との電気的な接続を切り離す際に、配線部材110の端部145を切断するだけではなく、中継基板210の本体部から分岐するとともに端子群222を有する端部を切断することもできる。
【0119】
(実施形態2)
図26は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッド1の中継基板210を+Z方向に見た平面図である。
図27は、
図26のE-E′線に準じた中継基板210と配線部材110との断面図である。
【0120】
図示するように、中継基板210は、-Z方向を向く第1面210aに設けられた端子群222αと、+Z方向を向く第2面210bに設けられた端子群222βと、を有する。また、基材214の-Z方向を向く面には、不図示のコネクター211に直接配線されることで電気的に接続される配線215aが設けられ、基材214の+Z方向を向く面には、配線215bが設けられている。
【0121】
端子群222αは、複数の端子223αが+X方向に並んで構成されている。また、端子群222βは、複数の端子223βが+X方向に並んで構成されている。端子群222αと端子群222βとは、互換性を有する。
【0122】
これら端子群222α及び端子群222βは、中継基板210の厚さ方向であるZ軸方向に見て互いに重なる位置に配置されている。ここで、端子群222αと端子群222βとがZ軸方向に見て重なる位置に配置されているとは、端子群222αが形成された領域と端子群222βが形成された領域の少なくとも一部がZ軸方向に見て重なる位置に配置されていることを含む。なお、端子群222αが形成された領域と、端子群222βが形成された領域とは、Z軸方向に見て全てが重なる位置に配置されていることが好ましい。これにより、中継基板210に端子群222αと端子群222βとを設けるスペースを減少させて、中継基板210の小型化を図ることができる。また、端子群222αを構成する端子223αと、端子群222βを構成する端子223βとの各端子223同士が、Z軸方向に見て重なっていることが好ましい。これにより、端子群222αの端子223α1~223αnの夫々と、端子群222βの端子223β1~223βnの夫々とを、基材214をZ軸方向に貫通する複数のスルーホール219の夫々を介して容易に配線することができる。つまり本実施形態では、端子群222αの端子223αと、端子群222βの端子223βとは、スルーホール219を介して配線されている。スルーホール219内には配線215aと配線215bとを接続する接続配線219aが設けられており、接続配線219aの一端が端子223αに配線され、接続配線219aの他端が端子223βに配線される。これにより、端子223αと、端子223βとは、スルーホール219内の接続配線219aを介して配線される。また、配線215bは、配線215a及び接続配線219aを介してコネクター211と電気的に接続される。つまり、配線215bは、コネクター211に直接配線される必要がないので、配線215aよりも短くて済み、配線が容易になる。
【0123】
なお、
図27では、端子群222αの各端子223αと、端子群222βの各端子223βと、各スルーホール219とは、Z軸方向に見て、重なるように配置されているが、これには限られない。即ち、各スルーホール219は、端子群222α及び端子群222βを構成する各端子223と重ならないように配置されていてもよい。中継基板210を再利用するために、例えば、端子群140Aと端子群222αとの接着部分又は接合部分を破壊することで端子群140Aと端子群222αとの電気的に接続を切り離す際において、実施形態1の
図19に示したように中継基板210の配線215aの一部が基材214から剥離する場合がある。この場合において、端子群222α及び端子群222βを構成する各端子223と各スルーホール219とがZ軸方向に見て重なっていると、配線215aの接続配線219aとの接続部分が剥離することで配線215aと接続配線219aと断線してしまう虞がある。一方、各スルーホール219を端子群222α及び端子群222βを構成する各端子223と重ならないように配置することにより、配線215aのうち接続配線219aに接続される部分及び配線215bのうち接続配線219aに接続される部分が保護材216に挟まれて覆われるため、配線215aと接続配線219aとが断線してしまうのを抑制することができる。なお、各スルーホール219を端子群222α及び端子群222βを構成する各端子223と重ならない場合であっても、基材214に設ける配線215bを短くするために、接続配線219aは、端子群222βの近くに設けられていることが好ましい。
【0124】
配線部材110は、互換性を有する端子群140Aと端子群140Bとを有する。本実施形態では、配線部材110は、第1可撓部110aと第2可撓部110bとを有する。第1可撓部110aは、一方面に端子群140Aと、第1分岐端子群118と、を有する。また、第2可撓部110bは、第1可撓部110aに対向する面に、端子群140Bと第1接続端子群120とを有する。第1分岐端子群118と第1接続端子群120とが配線されている。本実施形態では、第1分岐端子群118と第1接続端子群120とは、はんだ151を介して接合されている。なお、特に図示していないが、第1可撓部110aの一端部には、駆動側接続端子群142が設けられており、第1分岐端子群218と駆動側接続端子群142との間の配線113には、駆動信号選択回路111が実装されている。
【0125】
また、本実施形態の配線部材110では、第1可撓部110aの不図示の駆動側接続端子群142と第1分岐端子群118との間が本体部144に相当し、本体部144の駆動側接続端子群142から第1分岐端子群118までの配線113が共通配線群126に相当する。また、第1可撓部110aの第1分岐端子群118から端子群140Aまでが端部145Aに相当し、第1分岐端子群118から端子群140Aまでの複数の配線113が個別配線群125Aに相当する。
【0126】
また、第2可撓部110bが端部145Bに相当し、第2可撓部110bの配線113が個別配線群125Bに相当する。
【0127】
端部145Aの端子群140Aが設けられている方の端部は、配線挿通孔212を介して中継基板210の第1面210aよりも-Z方向に引き出され、第1面210aにおいて、端子群140Aと端子群222αとが接着または接合される。
【0128】
なお、端子群140Aと端子群222αとを接着または接合しない場合には、第2面210bにおいて端子群140Bと端子群222βとが接着または接合される。
【0129】
また、
図27に示すように、本体部144から端子群140Aまでの長さと、本体部144から端子群140Bまでの長さとは、異なる。換言すれば、端部145Aの長さと端部145Bの長さとが、異なる。端子群222βは、分岐位置Pbから見て、端子群222αよりも近くに配置されている。したがって、端部145Bの長さを端部145Aの長さよりも短くすることで、端部145Bを無駄に長くしなくて済む。
【0130】
このように端子群222αを第1面210aに設け、端子群222βを第2面210bに設けることで、中継基板210から見て同じ位置に配置されるヘッドチップ2に対応する端子群222αと端子群222βとが離れて配置されているため、端子群222αと端子群140Aとを電気的に接続又は切り離す作業、及び、端子群222βと端子群140Bとを電気的に接続又は切り離す作業を容易に行うことができる。
【0131】
また、Z軸方向に見て、端子群222αと端子群222βとを重なる位置に配置することで、中継基板210に端子群222α及び端子群222βを設けるスペースを減少させて、中継基板210の小型化を図ることができる。
【0132】
さらに、端子群222αと端子群222βとは、スルーホール219を介して配線することで、端子群222αと端子群222βとを接続するための接続配線219aの取り回しを容易に行うことができる。したがって、接続配線219aを第1面210a及び第2面210bで取り回すスペースを減少させて、中継基板210のさらなる小型化を図ることができる。
【0133】
なお、本実施形態では、配線215bが接続配線219a及び配線215aを介してコネクター211と配線されていたが、例えばコネクター211が第2面210bに配置される場合には、配線215aが接続配線219a及び配線215bを介してコネクター211と配線されるようにしても構わない。
【0134】
(実施形態3)
図28は、本発明の実施形態3に係る液体噴射ヘッド1の中継基板210の平面図である。
図29は、配線部材110の平面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0135】
図28に示すように、中継基板210には、配線挿通孔212のY軸方向の一方側に端子群222αと、端子群222βとが、X軸方向に並んで配置されている。端子群222αと端子群222βとは、互換性を有する。
【0136】
端子群222αは、複数の端子223αがX軸方向に並んで配置されている。また、端子群222αのX軸方向の両側のそれぞれには、端子群222αに対して配線部材110の端子群140Aを位置決めするための第1マーク230が設けられている。配線部材110には、
図29に示すように、第1マーク230に対応する第2マーク136が設けられており、中継基板210の第1マーク230に対して配線部材110を第2マーク136が重なり合うように位置決めすることで、端子群140Aと端子群222αとが位置決めされる。
【0137】
端子群222βは、複数の端子223βがX軸方向に並んで配置されている。また、端子群222βのX軸方向の両側のそれぞれには、端子群222βに対して配線部材110の端子群140Bを位置決めするための第3マーク231が設けられている。配線部材110には、
図29に示すように、第3マーク231に対応する第4マーク137が設けられており、中継基板210の第3マーク231に対して配線部材110を第4マーク137が重なり合うように位置決めすることで、端子群140Bと端子群222βとが位置決めされる。
【0138】
配線部材110は、
図29に示すように、複数の端子141がX軸方向に並んで夫々が構成された端子群140Aと端子群140Bとを有する。端子群140Aと端子群140Bとは、X軸方向に並んで配置される。端子群140Aと端子群140Bとは、互換性を有する。本実施形態では、配線部材110は、第1可撓部110aと第2可撓部110bとを有し、第1可撓部110aの第1分岐端子群118と、第2可撓部110bの第1接続端子群120とが配線される。
図29に示すように、第2可撓部110bは、第1可撓部110aの-Z方向の面に配置されている。
【0139】
また、本実施形態の配線部材110では、第1可撓部110aの駆動側接続端子群142と第1分岐端子群118との間が本体部144に相当し、本体部144の駆動側接続端子群142から第1分岐端子群118までの配線113が共通配線群126に相当する。また、第1可撓部110aの第1分岐端子群118から端子群140Aまでが端部145Aに相当し、第1分岐端子群118から端子群140Aまでの複数の配線113が個別配線群125Aに相当する。また、第2可撓部110bが端部145Bに相当し、第2可撓部110bの配線113が個別配線群125Bに相当する。
【0140】
このような構成であっても、上述した実施形態1と同様に、ヘッドチップ2に複数の端子群140を設けることで、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離してヘッドチップ2を再利用することができる。
【0141】
また、中継基板210に複数の端子群222を設けることで、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離して中継基板210を再利用することができる。また、中継基板210やヘッドチップ2の一部に故障が生じても、故障した部品のみを交換して、液体噴射ヘッド1を再生する、所謂、リファービッシュ作業を容易に行うことができる。
【0142】
また、端子群222αと端子群222βとが、中継基板210の同じ第1面210a上にX軸方向に並んで配置されることで、中継基板210から見て同じ位置に配置されるヘッドチップ2に対応する端子群222αと端子群222βとが離れて配置されているため、端子群222αと端子群140Aとを電気的に接続又は切り離す作業、及び、端子群222βと端子群140Bとを電気的に接続又は切り離す作業を容易に行うことができる。
【0143】
(変形例1)
図30は、実施形態3の液体噴射ヘッド1の変形例1を示す中継基板210の平面図である。
図31は、
図30のF-F′線に準じた中継基板210及びヘッドチップ2の要部断面図である。
【0144】
図示するように、中継基板210の配線挿通孔212の-Y方向には、複数の端子223αがX軸方向に並設された端子群222αが設けられ、配線挿通孔212の+Y方向には、複数の端子223βがX軸方向に並設された端子群222βが設けられている。つまり、端子群222αと端子群222βとは、Y軸方向に関して配線挿通孔212を挟むようにして、中継基板の第1面210a上に配置される。このような配置により、中継基板210から見て同じ位置に配置されるヘッドチップ2に対応する端子群222αと端子群222βとが離れて配置されているため、端子群222αと端子群140A又は端子群140Bとを電気的に接続又は切り離す作業、及び、端子群222βと端子群140A又は端子群140Bとを電気的に接続又は切り離す作業を容易に行うことができる。
【0145】
図31の+Y方向の端に配置されているヘッドチップ2において、端子141A1、141A2、…、141Anは、この順で-X方向に並び、端子141B1、141B2、…、141Bnは、この順で+X方向に並ぶ。一方、
図31の+Y方向の端から2番目に配置されているヘッドチップ2において、端子141A1、141A2、…、141Anは、この順で+X方向に並び、端子141B1、141B2、…、141Bnは、この順で-X方向に並ぶ。つまり、+Y方向の端に配置されているヘッドチップ2と、+Y方向の端から2番目に配置されているヘッドチップ2とは、Z軸方向に見て、180度反転して配置されている。なお、+Y方向の端から2番目に配置されているヘッドチップ2は、端子群140Aと中継基板210の端子群222βとが配線される。
【0146】
端子群140Aに含まれるn個の端子141Aを区別するため、端子141A1を1番目としたときにm番目に並ぶ端子141Aを、端子141Amと記載する場合がある。変数mは、1以上n以下を満たす整数である。なお、端子141Bm、端子223αm、端子223βmについても、端子141Amと同様の定義とする。そして、端子141Amと端子141Bmとは、共通配線群126のうち同じ配線113に配線される。また、端子223αmと端子223βmとは、中継基板210が備える複数の配線215のうち同じ配線215に配線される。そのため、端子群140Aと端子群222α又は端子群222βとを電気的に接続する場合には、端子141Amを端子223αm又は端子223βmと電気的に接続し、端子群140Bと端子群222α又は端子群222βとを電気的に接続する場合には、端子141Bmを端子223αm又は端子223βmと電気的に接続する。
【0147】
そして、端子群222αと端子群222βとは、中継基板210の配線挿通孔212を挟んで略点対称となるように配置されている。なお、端子群222αと端子群222βとが略点対称となるように配置されているとは、端子群222αを構成する端子223α1~223αnと、端子群222βを構成する端子223β1~223βnとの並びが、点対称となるように配置されていることを言う。本実施形態では、端子群222αの端子223α1~223αnは-X方向に並んで配置され、端子群222βの端子223β1~223βnは+X方向に並んで配置される。このように端子群222αと端子群222βとを点対称となるように配置させることで、ヘッドチップ2をX軸とY軸とで規定されるXY平面に沿って180度回転させたとしても、端子141Amを端子223αm又は端子223βmに電気的に接続でき、端子141Bmを端子223αm又は端子223βmに電気的に接続できる。よって、配線部材110の端子群140A、140Bを中継基板210の端子群222α、222βに接続することができる。
【0148】
また、端子群222αと端子群222βとは、中継基板210の配線挿通孔212を挟んで略点対称となるように配置されていなくてもよく、端子群222αの端子223α1~223αnが並ぶ方向と、端子群222βの端子223β1~223βnの並ぶ方向とが同じであってもよい。端子群140Aを構成する端子141Aの並ぶ方向と端子群140Bを構成する端子141Bの並ぶ方向についても同様である。
【0149】
実施形態3の変形例1では、端子群222αと端子群222βとは、複数の端子141が並ぶX軸方向に直交するY軸方向に関して、配線挿通孔212を挟むようにして中継基板210の同じ面上に配置されていたが、これに限られない。例えば、端子群222αと端子群222βとは、複数の端子141が並ぶX軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向に関して、配線挿通孔212を挟むようにして中継基板210の同じ面上に配置されていてもよい。また、端子群222α及び端子群222βは、中継基板210の第1面210a上に配置されていたが、第2面210b上に配置されていてもよい。
【0150】
(変形例2)
図32は、実施形態3の液体噴射ヘッド1の変形例2を示す中継基板210の平面図である。
図33は、
図32のG-G′線に準じた中継基板210とヘッドチップ2との要部断面図である。
【0151】
配線部材110は、互いに対向する面に互換性を有する端子群140A及び端子群140Bが配置されている。つまり、配線部材110は、端部145Aと端部145Bとを有し、端部145Aの端部145Bを向く面に端子群140Aが設けられ、端部145Bの端部145Aを向く面に端子群140Bが設けられる。
【0152】
図示するように、中継基板210の第1面210a上には、互換性を有する端子群222αと端子群222βとがY軸方向に並設されている。端子群222αの複数の端子223αはX軸方向に並んで配置される。また、端子群222βの複数の端子β223はX軸方向に並んで配置される。また、中継基板210には、端子群222αと端子群222βとをY軸方向で挟む位置に、2つの配線挿通孔212が設けられている。この配線挿通孔212は、中継基板210を第1面210aから第2面210bに貫通して設けられている。言い換えると、中継基板210から見て同じ位置に配置されるヘッドチップ2に対して電気的に接続可能な端子群222αと端子群222βとは、Y軸方向に関して2つの配線挿通孔212の間に配置される。そして、端部145Aが、端子群222α、222βに対して-Y方向に位置する配線挿通孔212に挿通され、端子群140Aと端子群222αとが接着または接合される。また、端部145Bが、端子群222α、222βに対して+Y方向に位置する配線挿通孔212に挿通され、端子群140Bと端子群222βとが接着または接合される。このような配置により、端部145Aを挿通させる配線挿通孔212と、端部145Bを挿通させる配線挿通孔212とを別々にすることができる。そのため、端子群222αと端子群140Aとを電気的に接続又は切り離す作業、及び、端子群222βと端子群140Bとを電気的に接続又は切り離す作業を容易に行うことができる。
【0153】
なお、複数の配線挿通孔212のうち+Y方向の端に配置された配線挿通孔212は、Z軸方向に見て+Y方向が開口する切り欠きであってもよい。同様に、複数の配線挿通孔212のうち-Y方向の端に配置された配線挿通孔212は、Z軸方向に見て-Y方向が開口する切り欠きであってもよい。
【0154】
実施形態3の変形例2では、端子群222αと端子群222βとは、複数の端子141が並ぶX軸方向に直交するY軸方向に関して、2つの配線挿通孔212の間に並んで中継基板210の同じ面上に配置されていたが、これに限られない。例えば、端子群222αと端子群222βとは、複数の端子141が並ぶX軸方向及びY軸方向の双方に交差する方向に関して、2つの配線挿通孔212の間に並んで中継基板210の同じ面上に配置されていてもよい。また、端子群222α及び端子群222βは、中継基板210の第1面210a上に配置されていたが、第2面210b上に配置されていてもよい。
【0155】
(実施形態4)
図34は、本発明の実施形態4に係る液体噴射ヘッド1のヘッドチップ2の分解斜視図である。
図35は、保護基板30と第2基板270との平面図である。
図36は、中継基板210とヘッドチップ2とを模式的に示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0156】
図示するように、液体噴射ヘッド1のヘッドチップ2は、保護基板30の-Z方向を向く面に駆動信号選択回路111が実装されている。なお、駆動信号選択回路111は、後述する第2基板270に設けられていてもよい。本実施形態の保護基板30は、配線等の電気的な要素を含む基板である点で実施形態1と相違する。駆動信号選択回路111と圧電アクチュエーター300とは、特に図示していないが、ワイヤーボンディングや保護基板30の表面に設けられた配線等によって配線されている。
【0157】
保護基板30は、「基板」の一例である。
このような保護基板30の-Z方向を向く面には、複数の配線35と、配線35によって配線された端子群38A及び端子群38Bと、が設けられている。端子群38Aは、Y軸方向に並設された複数の端子39A1~39Anを有する。端子群38Bは、Y軸方向に並設された複数の端子39B1~39Bnを有する。端子群38A、端子群38Bは、この順に-X方向に並んで配置されている。また、端子群38A及び端子群38Bは互換性を有する。端子群38A、38Bを区別しない場合、端子群38と称する。複数の配線35は、端子群38A及び端子群38Bに共通して配線される共通配線群37と、分岐位置Pbで共通配線群37から分岐することで端子群38Aまで配線される個別配線群36と、を含む。共通配線群37は、図示しない圧電アクチュエーター300と接続される部分から端子群38Bまでの部分である。個別配線群36は、端子群38Bから端子群38Aまでの部分である。
【0158】
また、ヘッドチップ2の側面には、端子群38に接着または接合される中継基板210が挿通される中継基板挿通孔3が設けられている。
【0159】
また、
図36に示すように、中継基板210は、第1基板260と第2基板270とを具備する。第1基板260は、硬質のリジット基板からなる。第2基板270は、可撓性を有するFFC、FPC等のフレキシブル基板からなる。第2基板270は、一端が第1基板260の中継端子群261に配線されている。また、第2基板270は、端子群275α、端子群275βを有する。端子群275α、275βを区別しない場合、端子群275と称する。第2基板270は、実施形態1の配線部材110と同様に、第1可撓部270a、第2可撓部270bを有する。
【0160】
第1可撓部270aには、不図示の複数の配線で構成された配線群が設けられ、配線群の一端の端子群が、第1基板260の中継端子群261に配線される第3接続端子群271となっている。また、第1可撓部270aの配線群の第3接続端子群271とは反対側の他端が、端子群275αとなっている。第2可撓部270bは、不図示の複数の配線で構成された配線群が設けられ、配線群の一端が第1可撓部270aの配線群と配線される。第2可撓部270bの配線群の他端が端子群275βとなっている。第2可撓部170bは、分岐位置Pb2で第1可撓部270aから分岐している。これら端子群275α、端子群275βは互換性を有する。
【0161】
ヘッドチップ2の端子群38Aは、中継基板210の端子群275αと接着または接合されている。また、ヘッドチップ2の端子群38Bは、中継基板210と接着または接合されていない。
【0162】
このような液体噴射ヘッド1では、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すには、上述した実施形態1の
図15~
図19と同様に、端子群38Aと端子群275αとの接着部分または接合部分を破壊することで行う。この破壊された接着部分または接合部分が「破損部」に相当する。そして、このヘッドチップ2の端子群38Bと別の中継基板210の端子群275βとを電気的に接続することで、このヘッドチップ2を再利用して新たに製造された液体噴射ヘッド1の中継基板210とヘッドチップ2とを
図37に模式的に示す。なお、
図37に示す別の中継基板210は、別の液体噴射ヘッド1で使用されており、別の液体噴射ヘッド1のヘッドチップ2との電気的な接続を切り離すために、端子群275αのヘッドチップ2との接着部分又は接合部分が破壊されているものとする。なお、別の中継基板210は、新品でも構わない。
【0163】
図37に示すように、保護基板30は、中継基板210と電気的に接続される端子群38Bと、端子群38Bに電気的に接続されることで中継基板210と電気的に接続された共通配線群37と、を有する。つまり、ヘッドチップ2は、分岐位置Pbで共通配線群37から分岐して配線されるが中継基板210と電気的に接続されていない個別配線群36と、個別配線群36の分岐位置Pbとは反対側の端部に設けられた「破損部」と、を有する。
【0164】
端子群38Aと端子群275αとの接着部分及び接合部分を
図18又は
図19と同様に破壊する場合、「破損部」は、
図18又は
図19と同様に、保護基板30の-Z方向を向く面から露出された個別配線群36の配線35である。なお、本実施形態では、保護基板30の一方面に共通配線群37及び個別配線群36を設けたが、特にこれに限定されず、共通配線群37及び端子群38Bと、個別配線群36及び端子群38Aとを異なる面に設けてもよい。つまり、保護基板30の-Z方向を向く面に共通配線群37及び端子群38Bを設け、保護基板30の反対側、つまり+Z方向を向く面に個別配線群36及び端子群38Aを設けるようにしてもよい。この場合、「破損部」は、保護基板30の-Z方向を向く面とは反対側の面から露出された個別配線群36となる。
【0165】
また、図示はしないが、端子群38Aと端子群275αとの接着部分及び接合部分を
図15と同様に破壊する場合、「破損部」は、
図15と同様に、保護基板30に設けられた個別配線群36の端部である端子群38Aに付着したはんだまたは導電性接着剤を含む。
また、図示はしないが、端子群38Aと端子群275αとの接着部分及び接合部分を
図16と同様に破壊する場合、「破損部」は、
図16と同様に、保護基板30に設けられた個別配線群36の端部である端子群38Aに付着したはんだまたは導電性接着剤、及び、中継基板210から分離された端子群275αを含む。なお、端子群38Aと端子群275αとの接着部分及び接合部分を
図17と同様に破壊する場合には、「破損部」は、さらに、端子群275αに接続された第2基板270の配線の一部、即ち金属箔を含む。
【0166】
以上の通り、端子群38Aと端子群275αとの接着部分または接合部分を破壊する場合には、端子群38Bは、「基板が有する第1端子群」の一例であり、共通配線群37は、「基板が有する第1配線群」の一例であり、個別配線群36は、「第2配線群」の一例である。
【0167】
また、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すには、端子群38Aと端子群275αとの接着部分または接合部分以外を破壊、つまり、実施形態1の
図14と同様に、第2基板270を切断位置P20(
図35参照)で切断することで行うようにしてもよい。そして、このヘッドチップ2の端子群38Bと別の中継基板210の端子群275βとを電気的に接続することで、このヘッドチップ2を再利用して新たに製造された液体噴射ヘッド1の中継基板210とヘッドチップ2とを
図38に模式的に示す。なお、
図38に示す別の中継基板210は、別の液体噴射ヘッド1で使用されており、別の液体噴射ヘッド1のヘッドチップ2との電気的な接続を切り離すために、端子群275αのヘッドチップ2との接着部分又は接合部分以外が破壊されているものとする。なお、別の中継基板210は、新品でも構わない。
【0168】
例えば、第2基板270を切断位置P20で切断した場合、切断位置P20で切り離された第2基板270が保護基板30に接着または接合された状態となる。切断位置P20で切り離された第2基板270を、第2基板270Xと称する。
図38に示すように、保護基板30は、中継基板210と電気的に接続される端子群38Bと、端子群38Bに電気的に接続されることで中継基板210と電気的に接続された共通配線群37と、分岐位置Pbで共通配線群37から分岐して配線されるが中継基板210と電気的に接続されていない個別配線群36と、個別配線群36の分岐位置Pbとは反対側の端部に設けられた端子群38Aと、を有する。また、ヘッドチップ2は、端子群38Aに接着又は接合された第2基板270Xを有する。第2基板270Xは、端子群38Aに接着又は接合された端子群275αとは反対側の端部に「破損部」を有する。
【0169】
この「破損部」は、第2基板270Xを、第2基板270Xの厚さ方向に切断した切断面であって、第2基板270Xに設けられた不図示の配線群が露出される切断面である。つまり、ヘッドチップ2は、分岐位置Pbで共通配線群37から分岐して配線されるが中継基板210と電気的に接続されていない、個別配線群36及び個別配線群36に配線された第2基板270Xの配線群を有する。
【0170】
以上の通り、端子群38Aと端子群275αとの接着部分または接合部分を破壊以外する場合には、端子群38Bは、「基板が有する第1端子群」の一例であり、共通配線群37は、「基板が有する第1配線群」の一例であり、個別配線群36及び第2基板270Xの個別配線群36と配線される配線群は、「第2配線群」の一例であり、端子群38Aは、「第2配線群の途中に配置された第2端子群」の一例であり、第2基板270Xは、「第2端子群に接着又は接合されるとともに第2配線群の一部を有する可撓性の配線部材」の一例である。
【0171】
また、
図37及び
図38に示すように、中継基板210は、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に接続する可撓性の配線部材である第2基板270を有する。第2基板270は、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に接続する不図示の配線群(以降、接続配線群と称する。)として、第3接続端子群271から分岐位置Pb2までの第1可撓部270aの配線群と、第2可撓部270bの不図示の配線群と、を有する。また、第2基板270は、接続配線群から分岐して配線されるがヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に接続する接続配線群と電気的に接続されない配線群(以降、非接続配線群と称する。)を有する。この非接続配線群は、第1可撓部270aの分岐位置Pb2から分岐位置Pb2とは反対側の端部に設けられた「破損部」までの配線群である。
【0172】
図37に示すように、別のヘッドチップ2の端子群38Aと別の中継基板210の端子群275αとの接着部分及び接合部分を
図15と同様に破壊する場合、「破損部」は、
図15と同様に、非接続配線群に付着したはんだ150又は導電性接着剤を含む。
【0173】
また、図示はしないが、端子群38Aと端子群275αとの接着部分及び接合部分を
図19と同様に破壊する場合、「破損部」は、
図19と同様に、はんだ150又は導電性接着剤に付着した金属箔をさらに含む。なお、端子群38Aと端子群275αとの接着部分及び接合部分は、
図16~
図18と同様に破壊してもよい。
【0174】
また、
図38に示すように、別のヘッドチップ2の端子群38Aと別の中継基板210の端子群275αとの接着部分及び接合部分以外を
図14と同様に破壊する場合、例えば、第2基板270を切断位置P20で切断した場合、「破損部」は、
図14と同様に、第2基板270を第2基板270の厚さ方向に切断した切断面であって非接続配線群を構成する複数の配線が露出されている切断面である。
【0175】
以上の通り、第2基板270は、「配線部材」の一例であり、上述した接続配線群は、「第1配線群」の一例であり、上述した非接続配線群は、「第2配線群」の一例である。
【0176】
このような構成であっても、上述した実施形態と同様に、ヘッドチップ2に複数の端子群38を設けることで、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離してヘッドチップ2を再利用することができる。
【0177】
また、中継基板210に複数の端子群275を設けることで、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離して中継基板210を再利用することができる。また、中継基板210やヘッドチップ2の一部に故障が生じても、故障した部品のみを交換して、液体噴射ヘッド1を再生する、所謂、リファービッシュ作業を容易に行うことができる。
【0178】
なお、本実施形態では、ヘッドチップ2の保護基板30に複数の端子群38を設ける構成を例示したが、特にこれに限定されず、実施形態1と同様にヘッドチップ2が可撓性を有する配線部材110を有する構成であってもよい。つまり、ヘッドチップ2の配線部材110の端子群140と、可撓性を有する第2基板270の端子群275とが接着または接合されていてもよい。
【0179】
なお、本実施形態において、互いに互換性を有する端子群38の数は、2つであったが、3つ以上でもよい。同様に、本実施形態において、互いに互換性を有する端子群275の数は、2つであったが、3つ以上でもよい。
【0180】
なお、本実施形態において、端子群38Aと電気的に接続された個別配線群36を1つのみ有する構成であったが、ヘッドチップ2が端子群38毎に個別配線群36を備える構成であってもよい。つまり、ヘッドチップ2は、端子群38A及び端子群38Bに共通して配線された共通配線群37と、共通配線群37の一端に配置された分岐位置Pbから分岐し、端子群38Aと電気的に接続された個別配線群36と、分岐位置Pbから分岐し、端子群38Bと電気的に接続された個別配線群36と、を備えていてもよい。
【0181】
(変形例1)
図39は、実施形態4に係る液体噴射ヘッド1の変形例1を示す中継基板210とヘッドチップ2とを模式的に示す図である。
【0182】
図示するように、中継基板210は、第2面210bに上述した実施形態1と同様の端子群222α、222β、222γを有する。端子群222α、222β、222γは、互換性を有する。また、ヘッドチップ2は、上述した実施形態4と同様に端子群38A、38B、38Cを有する。端子群38A、38B、38Cは、互換性を有する。そして、端子群38Aと端子群222αとは、配線部材280によって電気的に接続される。また、端子群38B及び端子群38Cは、中継基板210と接着または接続されていない。
【0183】
配線部材280は、可撓性を有するFPC、FFC、COF等のフレキシブル基板からなる。
【0184】
このような液体噴射ヘッド1において、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すには、上述した実施形態1の
図15~
図19と同様に、端子群38Aと配線部材280との接着部分または接合部分を破壊することで行うか、端子群222αと配線部材280との接着部分または接合部分を破壊することで行う。
【0185】
また、ヘッドチップ2と中継基板210とを電気的に切り離すには、配線部材280を切断することで行うようにしてもよい。このときの配線部材280の切断位置は、配線部材280の延在方向の中心よりも端子群222αに近い位置と、配線部材280の延在方向の中心よりも端子群38Aに近い位置との2箇所とすることで、中継基板210及びヘッドチップ2のそれぞれに残留する配線部材280を減少せることができる。
【0186】
また、端子群38Bと端子群222βとを電気的に接続するには、他の配線部材280を用いる。同様に、端子群38Cと端子群222γとを電気的に接続するには、他の配線部材280を用いる。つまり、可撓性の配線部材280は端子群38毎に存在する。
このような構成であっても、上述した実施形態4と同様の効果を奏する。
【0187】
(実施形態5)
図40~
図42は、実施形態5の液体噴射ヘッド1Cの製造方法を模式的に示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、中継基板210の第2面210bに端子群222α、端子群222βが設けられた構成を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0188】
本実施形態では、ヘッドチップ2と、ヘッドチップ2との電気的接続端子である端子群222α及び端子群222βを有する中継基板210とを備える液体噴射ヘッド1を再生する。本実施形態では、再生前の、換言すれば故障した液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Bと称し、再生後の液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Cと称する。また、本実施形態では、液体噴射ヘッド1Bが備える故障したヘッドチップ2をヘッドチップ2Xと称し、ヘッドチップ2Xと互換性を有するヘッドチップ2をヘッドチップ2Nと称する。
【0189】
図40に示すように、ヘッドチップ2Xは、端子群222αに接着又は接合された可撓性の配線部材110を有する。配線部材110は、本体部144と、端子群140Aを含むとともに分岐位置Pbで本体部144から分岐する端部145Aと、端子群140Aと互換性の有る端子群140Bを含むとともに分岐位置Pbで本体部144から分岐する端部145Bと、を含む。
【0190】
図40に示すように、液体噴射ヘッド1Bのヘッドチップ2Xに故障が発生した場合、ヘッドチップ2Xをヘッドチップ2Xと互換性を有するヘッドチップ2Nに交換する交換工程を行う。
【0191】
交換工程では、端子群222αとヘッドチップ2Xとを電気的に切り離す第1工程と、端子群222βとヘッドチップ2Nとを電気的に接続する第2工程と、を行う。
【0192】
第1工程は、
図41に示すようにヘッドチップ2Xの配線部材110を切断することで行う。すなわち、配線部材110のうち、端子群222αとの接着部分または接合部分以外を破壊することで、端子群222αとヘッドチップ2Xとを電気的に切り離す。
【0193】
なお、配線部材110の切断は、上述した実施形態1と同様に、配線部材110が、端子群140Aが設けられた端部145Aと、端子群140Bが設けられた端部145Bと、を有する場合には、端部145Aを切断することで行う。即ち、端子群140Aと分岐位置Pbとの間で端部145Aを破壊する。また、配線部材110は、端子群222αに接着された一端と、この一端とは反対側の他端とを有し、配線部材110の切断は、他端よりも一端に近い位置、すなわち、
図7に示す領域P2で行うのが好ましい。なお、当該一端は、端子群140Aに相当し、当該他端は、
図40及び
図41には図示されない駆動側接続端子群142に相当する。これにより、切断後に中継基板210に残留する端部145Aを短くすることができる。さらに、配線部材110の切断は、端子群140Aの近くで行うことが好ましい。即ち、分岐位置Pbよりも端子群140Aの近くで端部145Aを破壊する。これにより、中継基板210に残る配線部材110をより短くすることができ、第2工程を行う際に、中継基板210に残留したヘッドチップ2Xの配線部材110が邪魔になるのを抑制することができる。
【0194】
もちろん、第1工程は、配線部材110の切断に限定されず、上述した実施形態1の
図15~
図19に示すように端子群140Aと端子群222αとの接着部分または接合部分を破壊することで行ってもよい。このように端子群222αとの接着部分及び接合部分以外を破壊することで、中継基板210に配線部材110の残留物を減少させて、第2工程においてヘッドチップ2Nを中継基板210に接続するのを容易に行うことができる。
【0195】
第2工程は、
図42に示すように、故障していない未使用の、つまり新品のヘッドチップ2Nの端子群140Bを、中継基板210の端子群222βに接着または接合することで行う。ちなみに、ヘッドチップ2Nは新品であるため、ヘッドチップ2Nは未使用の端子群140Aを有する。そのため、第2工程は、ヘッドチップ2Nの端子群140Aを、中継基板210の端子群222βに接着または接合することで行うようにしてもよい。
【0196】
このように第1工程及び第2工程を有する交換工程を行うことで、故障した液体噴射ヘッド1Bを再生して、液体噴射ヘッド1Cを製造することができる。
【0197】
本実施形態において、ヘッドチップ2Xは「第1ヘッドチップ」の一例であり、ヘッドチップ2Nは「第2ヘッドチップ」の一例であり、端子群222αは「端子群α」の一例であり、端子群222βは「端子群β」の一例であり、液体噴射ヘッド1Bは「第1液体噴射ヘッド」の一例であり、液体噴射ヘッド1Cは「第2液体噴射ヘッド」の一例である。
【0198】
なお、上述した実施形態1に準じた液体噴射ヘッド1の製造方法を説明したが、その他の実施形態にも本実施形態の製造方法を適用することができる。
【0199】
(変形例1)
図43~
図45は、実施形態5の液体噴射ヘッド1Cの製造方法の変形例1を模式的に示す図である。実施形態5の製造方法は、第2工程で新品のヘッドチップ2Nを使用したが、本変形例の製造方法は、第2工程で中古のヘッドチップ2Yを使用する点で実施形態5と相違し、第1工程は実施形態5と同じである。したがって、
図45において中古のヘッドチップ2Yが電気的に接続される前の液体噴射ヘッド1Cが、
図41においてヘッドチップ2Xが電気的に切り離された後の液体噴射ヘッド1Bであるものとして、本変形例の説明をする。
【0200】
他の液体噴射ヘッド1において、ヘッドチップ2の端子群140Aと中継基板210の端子群222αとが電気的に接続されている。
図43に示すように、他の液体噴射ヘッド1において、中継基板210と一部のヘッドチップ2が故障している場合、
図44に示すように、他の液体噴射ヘッド1の故障していないヘッドチップ2Yと中継基板210とを電気的に切り離す。ヘッドチップ2Yと中継基板210とは、配線部材110の端部145Aを切断することで行う。このように切り離されたヘッドチップ2Yは、端子群140Bを有するため、他の中継基板210に接着または接合することができる。
【0201】
つまり、
図45に示すように、他の液体噴射ヘッド1から切り離した故障していないヘッドチップ2Yを中継基板210に接着または接合することで液体噴射ヘッド1Cを製造する。つまり、上述した実施形態5のように新品のヘッドチップ2Nを用いて液体噴射ヘッド1Bを再生することで液体噴射ヘッド1Cを製造してもよく、本変形例のように中古のヘッドチップ2Yを用いて液体噴射ヘッド1Bを再生することで液体噴射ヘッド1Cを製造してもよい。
【0202】
本変形例において、新品ではなく中古のヘッドチップ2Yが「第2ヘッドチップ」の一例である。
【0203】
このように再生した
図45に示す液体噴射ヘッド1Cは、可撓性の配線部材110を有するヘッドチップ2Yと、中継基板210とを具備する。配線部材110は、ヘッドチップ2Yと中継基板210とを電気的に接続する共通配線群126及び個別配線群125Bと、分岐位置Pbで共通配線群126及び個別配線群125Bから分岐して配線されるが、共通配線群126及び個別配線群125Bと電気的に接続されない個別配線群125Aとを具備する。つまり、個別配線群125Aは、共通配線群126及び個別配線群125Bに配線されたものを言う。
【0204】
また、個別配線群125Aの分岐位置Pbとは反対側の端部には、「破損部」が設けられている。「破損部」は、
図14に示すように、配線部材110を厚さ方向に切断した切断面であって、個別配線群125Aの複数の配線113が露出された切断面である。この切断面は、例えば、
図11に示すものと同様である。なお、「破損部」が切断面の場合、少なくとも1つの配線113が、切断面以外から露出されていない。つまり、切断面に露出される配線113は、端子群140とは異なるものである。つまり、上述した実施形態1の配線部材110の場合、切断面で露出される配線113には導電層115が設けられていない。また、「破損部」は、中継基板210の端子群222に届かない配線部材110の端部である。さらに、切断面では、
図11に示すように、配線113の厚さ方向の両側が接着剤116で覆われている。
【0205】
なお、
図44において、他の液体噴射ヘッド1の故障していないヘッドチップ2Yと中継基板210とを電気的に切り離す際に、ヘッドチップ2Yと中継基板210とは、配線部材110の端子群222αとの接着部分又は接合部分を破壊することで行うようにしてもよい。この場合、「破損部」は、
図15、
図18、
図19に示すように、はんだ150を含むものであってもよい。なお、「破損部」は、はんだ150に代わって導電性接着剤を含むものであってもよい。更に、「破損部」は、
図19に示すように、はんだ150または導電性接着剤に付着した金属箔を含むものであってもよい。つまり、「破損部」は、はんだ150または導電性接着剤に付着した配線113を形成する金属箔、例えば、銅箔、金箔、銀箔、錫箔等を含むものであってもよい。なお、「破損部」に付着した金属が、金属箔である配線113かめっきされた導電層115が付着しているかの判定は、例えば、一般的にめっきの方が金属箔よりも薄いため、厚さから「破損部」に金属箔である配線113が付着しているか、めっきで形成された導電層115が付着しているかを判定することができる。また、配線部材110の単位面積当たりの銅の割合が金の割合よりも大きければ、銅が金属箔で金がめっきであることが判定できる。
【0206】
本変形例の液体噴射ヘッド1Cにおいて、ヘッドチップ2Yの共通配線群126及び個別配線群125Bは、「可撓性の配線部材が有する第1配線群」の一例であり、ヘッドチップ2Yの個別配線群125Aは、「可撓性の配線部材が有する第2配線群」の一例である。
【0207】
また、このように再生した
図45に示す液体噴射ヘッド1Cは、
図46に示すように、ヘッドチップ2Yと、ヘッドチップ2Yに電気的に接続されるである端子群222βと、端子群222βに電気的に接続されることでヘッドチップ2Yと電気的に接続された接続配線群である配線215を有する中継基板210と、を備える。なお、
図46は、
図45のヘッドチップ2Yと中継基板210との接続部分近傍の拡大図である。
図46に示すように、中継基板210は、中継基板210に配置された分岐位置Pb2で、接続配線群から分岐して配線されるがヘッドチップ2Yと電気的に接続されていない非接続配線群である配線215を有する。なお、非接続配線群は、
図46に示す配線215の端子群222βと端子群222αとの間の部分である。また、接続配線群は、
図46に示す配線215の端子群222βから図示しないコネクター211までの部分である。分岐位置Pb2は、配線215のうち端子群140Bと配線される位置である。このような構成において、
図15~
図19に示すように、端子群140Aと端子群222αとの接着または接合位置が破壊、又は、配線部材110のうち端子群140Aと端子群222αとの接着または接合位置以外が破壊されることで、非接続配線群の分岐位置Pb2とは反対側の端部に「破損部」が設けられる。
【0208】
配線部材110を切断することでヘッドチップ2Yと中継基板210とを電気的に切り離す場合、
図46に示すように、再生された液体噴射ヘッド1Cの中継基板210には、切断した配線部材110が接着または接合された状態となる。以降、中継基板210に残留する配線部材110を、配線部材110Xと称する。このため、非接続配線群は、中継基板210の配線215と中継基板210に残留した配線部材110Xの配線113とを含み、非接続配線群の途中には端子群222αが設けられる。そして、液体噴射ヘッド1Cは、端子群222αに接着または接合されると共に、個別配線群125Aを有する可撓性の配線部材110Xを有する。「破損部」は、配線部材110Xを厚さ方向に切断する切断面であって、個別配線群125Aが露出される切断面である。
【0209】
なお、
図18~
図19に示すように、端子群140Aと端子群222αとの接着部分又は接合部分を破壊する場合には、「破損部」は、
図18~
図19と同様に、中継基板210の一方面(
図18、
図19では、-Z方向を向く面であるが、本実施形態では、+Z方向を向く面)から露出された非接続配線群である配線215である。なお、本実施形態では、中継基板210の一方面に接続配線群及び非接続配線群を設けたが、特にこれに限定されず、実施形態2に示すように、端子群222αと端子群222βとを中継基板210の異なる面に設けてもよい。つまり、中継基板210の-Z方向を向く面に端子群222α及び非接続配線群を設け、中継基板210の+Z方向を向く面に端子群222β及び接続配線群を設けるようにしてもよい。この場合、「破損部」は、中継基板210の端子群222βが設けられた面とは反対側の面から露出された非接続配線群である配線215となる。
【0210】
また、
図15~
図17に示すように、端子群140Aと端子群222αとの接着部分又は接合部分を破壊する場合には、「破損部」は、
図15~
図17と同様に、非接続配線群である配線215に付着したはんだ150または導電性接着剤を含んでもよい。
【0211】
本変形例の液体噴射ヘッド1Cにおいて、端子群222βは、「第1端子群」の一例であり、上述した接続配線群は、「中継基板が有する第1配線群」の一例であり、上述した非接続配線群は、「中継基板が有する第2配線群」の一例である。
【0212】
また、本変形例の液体噴射ヘッド1Cにおいて、端子群222αは、「第2端子群」の一例であり、配線部材110Xは、「可撓性の配線部材」の一例であり、配線部材110Xの個別配線群125Aは、「第2配線群の一部」の一例である。
【0213】
なお、上述した実施形態1に準じた液体噴射ヘッド1の製造方法を説明したが、その他の実施形態にも本変形例の製造方法を適用することができる。
【0214】
(変形例2)
実施形態5の変形例2では、実施形態5の変形例1の製造方法を実施形態4の液体噴射ヘッド1に適用してもよい。つまり、本変形例では、変形例1の液体噴射ヘッド1Bが
図36の液体噴射ヘッド1に対応し、変形例1の液体噴射ヘッド1Cが
図37又は
図38の液体噴射ヘッド1に対応し、変形例1の中古のヘッドチップ2Yが
図37又は
図38のヘッドチップ2に対応し、変形例1の故障したヘッドチップ2Xが
図36のヘッドチップ2に対応する。
【0215】
本変形例では、互いに互換性を有する端子群38Aと端子群38Bとを有するヘッドチップ2と、ヘッドチップ2との電気的接続端子である端子群275α及び端子群275βを有する中継基板210とを備える
図36の液体噴射ヘッド1を再生することで、
図37又は
図38の液体噴射ヘッド1を製造する製造方法である。本変形例の製造方法は、
図36のヘッドチップ2を、
図36のヘッドチップ2と互換性が有る
図37又は
図38のヘッドチップ2に交換する交換工程を有する。即ち、
図36のヘッドチップ2は、故障したヘッドチップ2であり、
図37又は
図38のヘッドチップ2は、他の液体噴射ヘッド1で使用されていた故障していない中古のヘッドチップ2であり、
図36の中継基板210と
図37又は
図38の中継基板210とは同じ中継基板210である。
図36では、ヘッドチップ2の端子群38Aと中継基板210の端子群275αとが電気的に接続されている。そのため、交換工程は、
図36の液体噴射ヘッド1において端子群275αと故障したヘッドチップ2の端子群38Aとを電気的に切り離す第1工程と、
図37又は
図38の端子群275αと互換性が有る端子群275βと中古のヘッドチップ2とを電気的に接続する第2工程と、を有する。これにより、変形例1と同様の効果が得られる。
【0216】
本変形例の中継基板210は、端子群275α及び端子群275βを含む可撓性の第2基板270を含む。
【0217】
図37の液体噴射ヘッド1を製造するための第1工程は、変形例1と同様に、端子群275αと端子群38Aとの接着部分又は接合部分を破壊する。
【0218】
一方、
図38の液体噴射ヘッド1を製造するための第1工程は、変形例1と同様に、端子群275αと端子群38Aとの接着部分又は接合部分以外を破壊する。具体的には、第2基板270は、第1可撓部270aの第3接続端子群271から分岐位置Pb2までの部分である本体部と、端子群275αを含むとともに分岐位置Pb2で当該本体部から分岐する第1端部と、端子群275αと互換性の有る端子群275βを含むとともに分岐位置Pb2で当該本体部から分岐する第2端部と、を含み、第1工程は、端子群275αと分岐位置Pb2との間で当該第1端部を破壊、即ち切断する。なお、第1端部は、第1可撓部270aの分岐位置Pb2から端子群275αまでの部分であり、第2可撓部270bの分岐位置Pb2から端子群275βまでの部分である。
【0219】
本変形例において、
図36のヘッドチップ2は「第1ヘッドチップ」の一例であり、
図37又は
図38のヘッドチップ2は「第2ヘッドチップ」の一例であり、端子群275αは「端子群α」の一例であり、端子群275βは「端子群β」の一例であり、
図36の液体噴射ヘッド1は「第1液体噴射ヘッド」の一例であり、
図37又は
図38の液体噴射ヘッド1は「第2液体噴射ヘッド」の一例であり、第2基板270は「可撓性の配線部材」の一例であり、
図36の液体噴射ヘッド1の端子群38Aは、「端子群A」の一例である。
【0220】
(実施形態6)
図47~
図49は、本発明の実施形態6に係る液体噴射ヘッド1Cの製造方法を模式的に示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、中継基板210の第2面210bに端子群222α、端子群222βが設けられた構成を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0221】
本実施形態では、再使用する部品を含む故障した液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Bと称し、液体噴射ヘッド1Bの一部を再使用することで製造された液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Cと称する。また、本実施形態では、中継基板210について、故障した中継基板210を中継基板210Xと称し、中継基板210Xと互換性を有する新品の中継基板210を中継基板210Nと称する。さらに、本実施形態では、液体噴射ヘッド1Bが備える故障したヘッドチップ2をヘッドチップ2Xと称し、液体噴射ヘッド1Bが備える故障していないヘッドチップ2をヘッドチップ2Yと称する。
【0222】
図47~
図49に示すように、本実施形態では、中継基板210Xと、中継基板210Xとの電気的接続端子である端子群140A及び端子群140Bを有するヘッドチップ2と、を具備する液体噴射ヘッド1Bの一部を再使用することで液体噴射ヘッド1Cを製造する。
【0223】
液体噴射ヘッド1Bの故障していないヘッドチップ2Yを液体噴射ヘッド1Cに再使用する工程を行う。
【0224】
この工程は、故障したヘッドチップ2Xと故障した中継基板210Xとを有する液体噴射ヘッド1Bにおいて、中継基板210Xと故障していないヘッドチップ2Yとを電気的に切り離す第1工程と、第1工程で切り離した故障していないヘッドチップ2Yを液体噴射ヘッド1Cの中継基板210Nと電気的に接続する第2工程と、を有する。
【0225】
図47に示すようにヘッドチップ2Yの端子群140Aは、中継基板210Xの端子群222αと電気的に接続されている。そのため、第1工程は、
図48に示すように、液体噴射ヘッド1Bの中継基板210Xと故障していないヘッドチップ2Yとを電気的に切り離す。この第1工程は、上述した実施形態5と同様に、ヘッドチップ2Yの端子群140Aと中継基板210Xの端子群222αとの接着部分または接合部分を破壊することで行ってもよく、ヘッドチップ2Yの端子群140Aと中継基板210Xの端子群222αとの接着部分または接合部分以外を破壊、つまり、配線部材110を切断することで行っても良い。本実施形態では、配線部材110を切断することで、ヘッドチップ2Yと中継基板210Xとを電気的に切り離した。
【0226】
第2工程は、
図49に示すように、液体噴射ヘッド1Bから切り離したヘッドチップ2Yを中継基板210Nに接着または接合して、液体噴射ヘッド1Cを製造する。第2工程では、ヘッドチップ2Yの端子群140Bを、中継基板210Nの端子群222βに接着または接合する。なお、中継基板210Nは新品であるため、第2工程では、ヘッドチップ2Yの端子群140Bを、中継基板210Nの未使用の端子群222αに接着または接合してもよい。また、中継基板210Nは、液体噴射ヘッド1Bから取り外したヘッドチップ2Y以外のヘッドチップ2として新品のヘッドチップ2が電気的に接続されていてもよい。
【0227】
このように第1工程及び第2工程を有する工程を行うことで、故障した液体噴射ヘッド1Bのヘッドチップ2Yを再利用して、液体噴射ヘッド1Cを製造することができる。
【0228】
なお、本実施形態において、
図49に示す液体噴射ヘッド1Cは、上述した実施形態5の変形例1で説明した「破損部」を有する液体噴射ヘッド1とも言える。
【0229】
本実施形態において、中継基板210Xは「第1中継基板」の一例であり、中継基板210Nは「第2中継基板」の一例であり、端子群140Aは「端子群A」の一例であり、端子群140Bは「端子群B」の一例であり、液体噴射ヘッド1Bは「第1液体噴射ヘッド」の一例であり、液体噴射ヘッド1Cは「第2液体噴射ヘッド」の一例であり、ヘッドチップ2Yは「第1液体噴射ヘッドの一部」の一例である。
【0230】
なお、上述した実施形態1に準じた液体噴射ヘッド1の製造方法を説明したが、その他の実施形態にも本実施形態の製造方法を適用することができる。
【0231】
(実施形態7)
図50~
図52は、本発明の実施形態7に係る液体噴射ヘッド1Cの製造方法を模式的に示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、中継基板210の第2面210bに端子群222α、端子群222βが設けられた構成を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0232】
本実施形態では、中継基板210と、中継基板210との電気的接続端子である端子群140A及び端子群140Bを有するヘッドチップ2とを備える液体噴射ヘッド1を再生する。本実施形態では、再生前の、換言すれば故障した液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Bと称し、再生後の液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Cと称する。また、本実施形態では、液体噴射ヘッド1Bが備える故障した中継基板210を中継基板210Xと称し、中継基板210Xと互換性を有する中継基板210を中継基板210Nと称する。また、本実施形態において、液体噴射ヘッド1Bの壊れていないヘッドチップ2を、ヘッドチップ2Yと称する。
【0233】
図50~
図52に示すように、本実施形態では、中継基板210Xと、中継基板210Xとの電気的接続端子である端子群140A及び端子群140Bを有するヘッドチップ2Yと、を具備する液体噴射ヘッド1Bを再生することで液体噴射ヘッド1Cを製造する。
【0234】
図50に示すように、ヘッドチップ2Yは、端子群222αに接着又は接合された可撓性の配線部材110を有する。配線部材110は、本体部144と、端子群140Aを含むとともに分岐位置Pbで本体部144から分岐する端部145Aと、端子群140Aと互換性の有る端子群140Bを含むとともに分岐位置Pbで本体部144から分岐する端部145Bと、を含む。
【0235】
図50に示すように、液体噴射ヘッド1Bの中継基板210Xに故障が発生した場合、中継基板210Xを中継基板210Xと互換性の有る中継基板210Nに交換する交換工程を行う。
【0236】
この交換工程は、故障した中継基板210Xを有する液体噴射ヘッド1Bにおいて、故障していないヘッドチップ2Yの端子群140Aと中継基板210Xとを電気的に切り離す第1工程と、第1工程で切り離したヘッドチップ2Yの端子群140Bを中継基板210Nと接続または接合する第2工程と、を有する。
【0237】
第1工程では、
図51に示すように、液体噴射ヘッド1Bの故障した中継基板210Xと故障していないヘッドチップ2Yとを電気的に切り離す。この第1工程は、上述した実施形態5と同様に、中継基板210Xと端子群140Aとの接着部分または接合部分を破壊することで行ってもよく、中継基板210Xと端子群140Aとの接着部分または接合部分以外を破壊、つまり、配線部材110を切断することで行っても良い。本実施形態では、配線部材110を切断することで、ヘッドチップ2Yと中継基板210Xとを電気的に切り離した。
【0238】
第2工程では、
図52に示すように、液体噴射ヘッド1Bから切り離したヘッドチップ2Yを新品の中継基板210Nに接着または接合して、液体噴射ヘッド1Cを製造する。第2工程では、ヘッドチップ2Yの端子群140Bを、中継基板210Nの端子群222βに接着または接合する。なお、中継基板210Nは新品であるため、中継基板210Nの未使用の端子群222αとヘッドチップ2Yの端子群140Bとを接着または接合してもよい。
【0239】
このように第1工程及び第2工程を有する交換工程を行うことで、故障した液体噴射ヘッド1Bを再生して、液体噴射ヘッド1Cを製造することができる。
【0240】
なお、本実施形態において、
図52に示す液体噴射ヘッド1Cは、上述した実施形態5の変形例1で説明した「破損部」を有する液体噴射ヘッド1とも言える。
【0241】
本実施形態において、中継基板210Xは「第1中継基板」の一例であり、中継基板210Nは「第2中継基板」の一例であり、端子群140Aは「端子群A」の一例であり、端子群140Bは「端子群B」の一例であり、液体噴射ヘッド1Bは「第1液体噴射ヘッド」の一例であり、液体噴射ヘッド1Cは「第2液体噴射ヘッド」の一例である。
【0242】
なお、上述した実施形態1に準じた液体噴射ヘッド1の製造方法を説明したが、その他の実施形態にも本実施形態の製造方法を適用することができる。
【0243】
(変形例1)
図53~
図55は、実施形態7の液体噴射ヘッド1の製造方法の変形例1を模式的に示す図である。実施形態7の製造方法は、第2工程で新品の中継基板210Nを使用したが、本変形例の製造方法は、第2工程で中古の中継基板210Yを使用する点で実施形態7と相違し、第1工程は実施形態7と同じである。したがって、
図55において中古の中継基板210Yが電気的に接続される前の液体噴射ヘッド1Cが、
図51において中継基板210Xが電気的に切り離された後の液体噴射ヘッド1Bであるものとして、本変形例の説明をする。
【0244】
他の液体噴射ヘッド1において、ヘッドチップ2の端子群140Aと中継基板210Yの端子群222αとが電気的に接続されている。
図53に示すように、他の液体噴射ヘッド1において、一部のヘッドチップ2が故障している場合、
図54に示すように、他の液体噴射ヘッド1の故障していない中継基板210Yとヘッドチップ2とを電気的に切り離す。中継基板210Yとヘッドチップ2との電気的な接続の切り離しは、配線部材110の端部145Aを切断することで行う。このように切り離された中継基板210Yは、端子群222βを有するため、故障していないヘッドチップ2Yを接着または接合することができる。なお、中継基板210Yとヘッドチップ2との電気的な接続の切り離しは、端子群140Aと端子群222αとの接着部分又は接合部分を破壊するようして行ってもよい。
【0245】
図55に示すように、他の液体噴射ヘッド1から切り離した故障していない中継基板210Yと、上述した実施形態7で液体噴射ヘッド1Bから切り離した故障していないヘッドチップ2Yとを接着または接合することで液体噴射ヘッド1Cを製造する。つまり、上述した実施形態7のように新品の中継基板210Nを用いて液体噴射ヘッド1Bを再生することで液体噴射ヘッド1Cを製造してもよく、変形例1のように中古の中継基板210Yを用いて液体噴射ヘッド1Bを再生することで液体噴射ヘッド1Cを製造してもよい。
【0246】
なお、変形例1において、
図55に示す液体噴射ヘッド1Cは、上述した実施形態5の変形例1で説明した「破損部」を有する液体噴射ヘッド1とも言える。
【0247】
本変形例において、新品ではなく中古の中継基板210Yは「第2中継基板」の一例である。
【0248】
なお、上述した実施形態1に準じた液体噴射ヘッド1の製造方法を説明したが、その他の実施形態にも本実施形態の製造方法を適用することができる。
【0249】
(実施形態8)
図56~
図58は、本発明の実施形態8に係る液体噴射ヘッド1Cの製造方法を模式的に示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、中継基板210の第2面210bに端子群222α、端子群222βが設けられた構成を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0250】
本実施形態では、再使用する部品を含む故障した液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Bと称し、液体噴射ヘッド1Bの一部を再使用することで製造された液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Cと称する。また、本実施形態では、液体噴射ヘッド1Bの中継基板210を中継基板210Yと称する。さらに、本実施形態では、液体噴射ヘッド1Bが備える故障したヘッドチップ2をヘッドチップ2Xと称し、液体噴射ヘッド1Bが備えるヘッドチップ2をヘッドチップ2Yと称し、ヘッドチップ2X、2Yと互換性を有する新品のヘッドチップ2をヘッドチップ2Nと称する。
【0251】
図56~
図58に示すように、本実施形態では、ヘッドチップ2X、2Yと、ヘッドチップ2Xとの電気的接続端子である端子群222α及び端子群222β及びヘッドチップ2Yとの電気的接続端子である端子群222α及び端子群222βとを有する中継基板210Yとを具備する液体噴射ヘッド1Bの一部を再使用することで液体噴射ヘッド1Cを製造する。
【0252】
具体的には、液体噴射ヘッド1Bの中継基板210Yを、液体噴射ヘッド1Cに再使用する工程を行う。
【0253】
この工程は、故障したヘッドチップ2X及び故障していないヘッドチップ2Yと、故障していない中継基板210Yとを有する液体噴射ヘッド1Bにおいて、故障していない中継基板210Yとヘッドチップ2X,2Yとを電気的に切り離す第1工程と、第1工程で切り離した中継基板210と新品のヘッドチップ2Nとを接着または接合して液体噴射ヘッド1Cを製造する第2工程と、を有する。
【0254】
第1工程は、
図57に示すように、液体噴射ヘッド1Bの故障したヘッドチップ2X及び故障していないヘッドチップ2Yと、故障していない中継基板210Yとを電気的に切り離す。この第1工程は、上述した実施形態5と同様に、ヘッドチップ2X,2Yと端子群222αとの接着部分または接合部分を破壊することで行ってもよく、ヘッドチップ2X,2Yと端子群222αとの接着部分または接合部分以外を破壊、つまり、配線部材110を切断することで行っても良い。
【0255】
第2工程は、
図58に示すように、液体噴射ヘッド1Bから切り離した中継基板210Yをヘッドチップ2Nと接着または接合して、液体噴射ヘッド1Cを製造する。第2工程では、ヘッドチップ2Nの端子群140Bを、中継基板210Yの端子群222βに接着または接合する。なお、ヘッドチップ2Nは新品であるため、第2工程では、ヘッドチップ2Nの未使用の端子群140Aを、中継基板210Yの端子群222βに接着または接合してもよい。
【0256】
このように第1工程及び第2工程を有する工程を行うことで、故障したヘッドチップ2を有する液体噴射ヘッド1Bの中継基板210Yを再利用して、液体噴射ヘッド1Cを製造することができる。
【0257】
本実施形態において、ヘッドチップ2X、2Yは「第1ヘッドチップ」の一例であり、ヘッドチップ2Nは「第2ヘッドチップ」の一例であり、端子群222αは「端子群α」の一例であり、端子群222βは「端子群β」の一例であり、液体噴射ヘッド1Bは「第1液体噴射ヘッド」の一例であり、液体噴射ヘッド1Cは「第2液体噴射ヘッド」の一例であり、「中継基板210Y」は「第1液体噴射ヘッドの一部」の一例である。
【0258】
なお、液体噴射ヘッド1Bは、全てのヘッドチップ2が故障していてもよく、換言すれば液体噴射ヘッド1Bがヘッドチップ2Xのみを備えている構成でもよい。
【0259】
なお、上述した実施形態1に準じた液体噴射ヘッド1の製造方法を説明したが、その他の実施形態にも本実施形態の製造方法を適用することができる。
【0260】
(実施形態9)
図59~
図61は、本発明の実施形態9に係る液体噴射ヘッド1Cの製造方法を模式的に示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、中継基板210の第2面210bに端子群222αが設けられた構成を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0261】
本実施形態では、中継基板210と、中継基板210との電気的接続端子である端子群140A及び端子群140Bを有するヘッドチップ2とを備える液体噴射ヘッド1を再生する。本実施形態では、再生前の、換言すれば故障した液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Bと称し、再生後の液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Cと称する。また、本実施形態では、液体噴射ヘッド1Bが備える故障した中継基板210を中継基板210Xと称し、中継基板210Xと互換性を有する中継基板210を中継基板210Nと称する。また、本実施形態において、液体噴射ヘッド1Bの壊れていないヘッドチップ2を、ヘッドチップ2Yと称する。
【0262】
図59に示すように、液体噴射ヘッド1Bは、中継基板210Xと、ヘッドチップ2Yと、を具備する。中継基板210Xは、1つのヘッドチップ2Yに対して1つの端子群222を有する点でのみ、実施形態7と相違する。つまり、本実施形態の中継基板210Xには、1つのヘッドチップ2Yに対応する端子群222が複数設けられていない。また、ヘッドチップ2Yは、中継基板210Xとの電気的接続端子である端子群140A及び端子群140Bを有し、端子群140Aと中継基板210Xの端子群222αとが電気的に接続されている。
【0263】
このような液体噴射ヘッド1Bの中継基板210Xが故障した際には、中継基板210Xを中継基板210Yに交換する交換工程を行う。
【0264】
交換工程は、中継基板210Xとヘッドチップ2Yとを電気的に切り離す第1工程と、中継基板210Xから切り離したヘッドチップ2Yと新品の中継基板210Nとを電気的に接続する第2工程と、を行う。
【0265】
第1工程は、
図60に示すように、故障した中継基板210Xとヘッドチップ2Yとを電気的に切り離す。この第1工程は、上述した実施形態5と同様に、ヘッドチップ2Yの端子群140Aと端子群222との接着部分または接合部分を破壊することで行ってもよく、ヘッドチップ2Yの端子群140Aと端子群222との接着部分または接合部分以外を破壊、つまり、配線部材110を切断することで行っても良い。本実施形態では、配線部材110を切断することで、ヘッドチップ2Yと中継基板210Xとを電気的に切り離した。
【0266】
第2工程は、
図61に示すように、第1工程で切り離したヘッドチップ2Yの端子群140Bと、中継基板210Xと互換性を有する新たな中継基板210である中継基板210Nの端子群222と、を電気的に接続する。中継基板210Nには、端子群222が1つしか形成されていなくても、ヘッドチップ2Yには端子群140Bが設けられているため、中継基板210Nとヘッドチップ2Yとを接着または接合することができる。
【0267】
このように第1工程及び第2工程を有する交換工程を行うことで、故障した液体噴射ヘッド1Bを再生して、液体噴射ヘッド1Cを製造できる。
【0268】
本実施形態において、中継基板210Xは「第1中継基板」の一例であり、中継基板210Nは「第2中継基板」の一例であり、端子群140Aは「端子群A」の一例であり、端子群140Bは「端子群B」の一例であり、液体噴射ヘッド1Bは「第1液体噴射ヘッド」の一例であり、液体噴射ヘッド1Cは「第2液体噴射ヘッド」の一例である。
【0269】
なお、本実施形態において、
図61に示す液体噴射ヘッド1Cは、上述した実施形態5の変形例1で説明した「破損部」を有する液体噴射ヘッド1とも言える。
【0270】
なお、その他の実施形態にも本実施形態の製造方法を適用することができる。
【0271】
(実施形態10)
図62~
図64は、本発明の実施形態10に係る液体噴射ヘッド1Cの製造方法を模式的に示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、中継基板210の第2面210bに端子群222が設けられた構成を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0272】
本実施形態では、再使用する部品を含む故障した液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Bと称し、液体噴射ヘッド1Bの一部を再使用することで製造された液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Cと称する。また、本実施形態では、中継基板210について、故障した中継基板210を中継基板210Xと称し、中継基板210Xと互換性を有する新品の中継基板210を中継基板210Nと称する。さらに、本実施形態では、液体噴射ヘッド1Bが備える故障したヘッドチップ2をヘッドチップ2Xと称し、液体噴射ヘッド1Bが備える故障していないヘッドチップ2をヘッドチップ2Yと称する。
【0273】
図62に示すように、液体噴射ヘッド1Bは、中継基板210Xと、ヘッドチップ2X及びヘッドチップ2Yと、を具備する。中継基板210Xは、1つのヘッドチップ2Xに対して1つの端子群222を有し、1つのヘッドチップ2Yに対して1つの端子群222を有する点でのみ、実施形態6と相違する。つまり、本実施形態の中継基板210Xには、1つのヘッドチップ2Xに対応する端子群222が複数設けられておらず、且つ、1つのヘッドチップ2Yに対応する端子群222が複数設けられていない。また、ヘッドチップ2Y及びヘッドチップ2Xの夫々は、中継基板210Xとの電気的接続端子である端子群140A及び端子群140Bを有し、ヘッドチップ2Y及びヘッドチップ2Xの夫々の端子群140Aと中継基板210Xの端子群222とが電気的に接続されている。
【0274】
図62~
図64に示すように、本実施形態では、中継基板210Xと、中継基板210Xとの電気的接続端子である端子群140A及び端子群140Bを有するヘッドチップ2と、を具備する液体噴射ヘッド1Bの一部を再使用することで液体噴射ヘッド1Cを製造する。
【0275】
本実施形態の製造方法では、液体噴射ヘッド1Bの故障していないヘッドチップ2Yを液体噴射ヘッド1Cに再使用する工程を行う。
【0276】
この工程は、液体噴射ヘッド1Bにおいて、中継基板210Xと、故障していないヘッドチップ2Yとを電気的に切り離す第1工程と、第1工程で切り離した故障していないヘッドチップ2Yを液体噴射ヘッド1Cの中継基板210Nと電気的に接続する第2工程と、を有する。
【0277】
図62に示すようにヘッドチップ2Yの端子群140Aは、中継基板210Xの端子群222と電気的に接続されている。そのため、第1工程は、
図63に示すように、液体噴射ヘッド1Bの中継基板210Xと故障していないヘッドチップ2Yとを電気的に切り離す。この第1工程は、上述した実施形態6と同様に、ヘッドチップ2Yの端子群140Aと中継基板210Xの端子群222との接着部分または接合部分を破壊することで行ってもよく、ヘッドチップ2Yの端子群140Aと中継基板210Xの端子群222との接着部分または接合部分以外を破壊、つまり、配線部材110を切断することで行っても良い。本実施形態では、配線部材110を切断することで、ヘッドチップ2Yと中継基板210Xとを電気的に切り離した。
【0278】
図63及び
図64に示すように、第2工程では、液体噴射ヘッド1Bから切り離したヘッドチップ2Yの端子群140Bを中継基板210Nの端子群222に接着または接合して、液体噴射ヘッド1Cを製造する。また、第2工程では、新品または他の液体噴射ヘッド1から切り離した中古のヘッドチップ2の端子群140A又は端子群150Bを中継基板210Nに接着または接合する。
【0279】
このように第1工程及び第2工程を有する工程を行うことで、故障した液体噴射ヘッド1Bのヘッドチップ2Yを再利用して、液体噴射ヘッド1Cを製造することができる。
【0280】
本実施形態において、中継基板210Xは「第1中継基板」の一例であり、中継基板210Nは「第2中継基板」の一例であり、端子群140Aは「端子群A」の一例であり、端子群140Bは「端子群B」の一例であり、液体噴射ヘッド1Bは「第1液体噴射ヘッド」の一例であり、液体噴射ヘッド1Cは「第2液体噴射ヘッド」の一例であり、ヘッドチップ2Yは「第1液体噴射ヘッドの一部」の一例である。
【0281】
なお、本実施形態において、
図64に示す液体噴射ヘッド1Cは、上述した実施形態6の変形例1で説明した破損部を有する液体噴射ヘッド1とも言える。
【0282】
なお、その他の実施形態にも本実施形態の製造方法を適用することができる。
【0283】
(実施形態11)
図65~
図67は、本発明の実施形態11に係る液体噴射ヘッド1Cの製造方法を模式的に示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。また、本実施形態では、中継基板210の第2面210bに端子群222α、端子群222βが設けられた構成を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
【0284】
本実施形態では、ヘッドチップ2と、ヘッドチップ2との電気的接続端子である端子群222α及び端子群222βを有する中継基板210とを備える液体噴射ヘッド1を再生する。本実施形態では、再生前の、換言すれば故障した液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Bと称し、再生後の液体噴射ヘッド1を液体噴射ヘッド1Cと称する。また、本実施形態では、液体噴射ヘッド1Bが備える故障したヘッドチップ2をヘッドチップ2Xと称し、ヘッドチップ2Xと互換性を有する新品のヘッドチップ2をヘッドチップ2Nと称する。
【0285】
図65に示すように、液体噴射ヘッド1Bは、中継基板210と、ヘッドチップ2と、を具備する。中継基板210は、ヘッドチップ2との電気的接続端子である端子群222α及び端子群222βを有する。また、本実施形態は、1つのヘッドチップ2が、中継基板210との電気的接続端子である端子群140を1つのみ有する点でのみ、実施形態5と相違する。液体噴射ヘッド1Bにおいて、ヘッドチップ2の端子群140と中継基板210の端子群222αとが電気的に接続されている。つまり、本実施形態のヘッドチップ2には、1つのヘッドチップ2に対応する複数の端子群222が設けられていない。
【0286】
このような液体噴射ヘッド1Bの複数のヘッドチップ2のうちの故障したヘッドチップ2Xを、ヘッドチップ2Xと互換性を有するヘッドチップ2Nに交換する交換工程を行う。
【0287】
交換工程は、中継基板210とヘッドチップ2Xとを電気的に切り離す第1工程と、中継基板210とヘッドチップ2Nとを電気的に接続する第2工程と、を行う。
【0288】
第1工程は、
図66に示すように、液体噴射ヘッド1Bの中継基板210と故障したヘッドチップ2Xとを電気的に切り離す。この第1工程は、上述した実施形態5と同様に、ヘッドチップ2Xの端子群140と中継基板210の端子群222αとの接着部分または接合部分を破壊することで行ってもよく、ヘッドチップ2Xの端子群140と中継基板210の端子群222αとの接着部分または接合部分以外を破壊、つまり、配線部材110を切断することで行ってもよい。本実施形態では、配線部材110を切断することで、ヘッドチップ2Xと中継基板210とを電気的に切り離した。
【0289】
第2工程は、中継基板210の端子群222βと、ヘッドチップ2Xと互換性を有するヘッドチップ2Nの端子群140とを電気的に接続する。
【0290】
このように第1工程及び第2工程を有する交換工程を行うことで、液体噴射ヘッド1Bを再生して、液体噴射ヘッド1Cを製造できる。
【0291】
本実施形態において、ヘッドチップ2Xは「第1ヘッドチップ」の一例であり、ヘッドチップ2Nは「第2ヘッドチップ」の一例であり、端子群222αは「端子群α」の一例であり、端子群222βは「端子群β」の一例であり、液体噴射ヘッド1Bは「第1液体噴射ヘッド」の一例であり、液体噴射ヘッド1Cは「第2液体噴射ヘッド」の一例である。
【0292】
なお、本実施形態において、
図67に示す液体噴射ヘッド1Cは、上述した実施形態5で説明した「破損部」を有する液体噴射ヘッド1とも言える。
【0293】
なお、その他の実施形態にも本実施形態の製造方法を適用することができる。
【0294】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態及び変形例について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0295】
例えば、上述した各実施形態及び変形例では、1つの液体噴射ヘッド1に4個のヘッドチップ2が設けられた構成を例示したが、特にこれに限定されず、1つの液体噴射ヘッド1に設けられるヘッドチップ2の数は、1個であってもよく、4個以外の2個以上の複数であってもよい。
【0296】
例えば、上述した各実施形態及び変形例の交換工程では、故障したヘッドチップ2や故障した中継基板210を交換対象にしていたが、使用履歴や印字検査などから、故障はしていないが寿命が短いヘッドチップ2や中継基板210を交換対象としてもよい。
【0297】
また、上述した各実施形態及び変形例では、圧力室12に圧力変化を生じさせる「駆動素子」として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されない。「駆動素子」は、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターを使用することができる。また、「駆動素子」は、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターを使用することができる。また、「駆動素子」は、圧力室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
【0298】
また、各実施形態及び変形例の液体噴射ヘッド1は、液体噴射装置Iに搭載される。なお、
図68は、他の実施形態に係る液体噴射装置Iの概略構成を示す図である。
【0299】
図68に示すように、液体噴射装置Iは、液体の一種であるインクを印刷用の媒体Sに噴射・着弾させて、当該媒体Sに形成されるドットの配列により画像等の印刷を行うインクジェット式記録装置である。なお、媒体Sとしては、記録用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質を用いることができる。
【0300】
液体噴射装置Iは、液体噴射ヘッド1と、液体貯留部9と、制御部である制御ユニット4と、媒体Sを送り出す搬送機構5と、移動機構6と、を具備する。
【0301】
液体噴射ヘッド1は、インクを貯留する液体貯留部9から供給されるインクをインク滴として+Z方向に噴射する。
【0302】
液体貯留部9は、液体噴射ヘッド1から噴射される複数種類、例えば、複数色のインクを個別に貯留する。液体貯留部9としては、例えば、液体噴射装置Iに着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクを補充可能なインクタンクなどが挙げられる。なお、液体貯留部9には、例えば、色や成分等が異なる複数種類のインクが貯留されている。また、液体貯留部9は、メインタンクとサブタンクとで分かれていてもよい。サブタンクが液体噴射ヘッド1に接続され、液体噴射ヘッド1からインク滴を噴射することで消費したインクをメインタンクからサブタンクに補充する構成であってもよい。
【0303】
制御ユニット4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の制御装置と、半導体メモリー等の記憶装置と、を備えている。また、制御ユニット4は、商用電源などの外部電源から供給される電力を液体噴射装置Iの各要素に供給する電源装置も備える。制御ユニット4は、中継基板210のコネクター211に電気的に接続される不図示の外部配線を介して、中継基板210と電気的に接続される。制御ユニット4は、記憶装置に記憶されたプログラムを制御装置が実行することで液体噴射装置Iの各要素、すなわち、液体噴射ヘッド1、搬送機構5、移動機構6等を統括的に制御する。
【0304】
搬送機構5は、媒体SをX軸方向に搬送するものであり、搬送ローラー5aを有する。すなわち搬送機構5は、搬送ローラー5aが回転することで媒体SをX軸方向に搬送する。搬送ローラー5aは、図示しない搬送モーターの駆動により回転する。制御ユニット4は、媒体搬送モーターの駆動を制御することで、媒体Sの搬送を制御する。なお、媒体Sを搬送する搬送機構5は、搬送ローラー5aを備えるものに限られず、例えば、ベルトやドラムによって媒体Sを搬送するものであってもよい。
【0305】
移動機構6は、液体噴射ヘッド1をY軸方向に往復させるための機構であり、支持部材7と搬送ベルト8とを具備する。支持部材7は、液体噴射ヘッド1を支持する所謂、キャリッジであり、搬送ベルト8に固定される。搬送ベルト8は、Y軸方向に沿って架設された無端ベルトである。搬送ベルト8は、図示しない搬送モーターの駆動によって回転する。制御ユニット4は、搬送モーターの駆動を制御することで搬送ベルト8を回転させて、液体噴射ヘッド1を支持部材7と共にY軸方向で往復移動させる。なお、支持部材7は、液体噴射ヘッド1と共に液体貯留部9を搭載する構成であってもよい。
【0306】
液体噴射ヘッド1は、制御ユニット4による制御のもとで、液体貯留部9から供給されたインクを複数のノズル21のそれぞれからインク滴として+Z方向に噴射する噴射動作を実行する。この液体噴射ヘッド1による噴射動作が、搬送機構5による媒体Sの搬送や移動機構6による液体噴射ヘッド1の往復移動と並行して行われることにより、媒体Sの表面にインクによる画像が形成される、いわゆる印刷が行われる。
【0307】
なお、上述した液体噴射装置Iでは、液体噴射ヘッド1が支持部材7に搭載されて主走査方向であるY軸方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、液体噴射ヘッド1が筐体に固定されて、媒体Sを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
【0308】
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドは、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッドが挙げられる。また、液体噴射ヘッドは、例えば、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、これらの液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用することができる。
【0309】
また、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、上述した他の液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置にも用いることが可能である。
【0310】
(付記)
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0311】
好適な態様である態様1に係る液体噴射ヘッド1は、液体を噴射する第1ヘッドチップと、前記第1ヘッドチップとの電気的接続端子である端子群α及び端子群βを有する中継基板と、を備える第1液体噴射ヘッドを再生することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、前記第1ヘッドチップを前記第1ヘッドチップと互換性が有る第2ヘッドチップに交換する交換工程を有し、前記交換工程は、前記端子群αと前記第1ヘッドチップとを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群αと互換性が有る前記端子群βと前記第2ヘッドチップとを電気的に接続する第2工程と、を有する。
【0312】
態様1の具体例である態様2において、前記第1ヘッドチップは、前記第1端子群αに接着又は接合された可撓性の配線部材を有し、前記第1工程は、前記配線部材のうち前記第1端子群αとの接着部分又は接合部分以外を破壊する。
【0313】
態様2の具体例である態様3において、前記配線部材は、前記端子群αに接着又は接合された一端と、前記一端とは反対側の他端とを有し、前記第1工程は、前記他端よりも前記一端に近い位置で前記配線部材を破壊する。
【0314】
態様3の具体例である態様4において、前記配線部材は、本体部と、前記一端である端子群Aを含むとともに分岐位置で前記本体部から分岐する第1端部と、前記端子群Aと互換性の有る端子群Bを含むとともに前記分岐位置で前記本体部から分岐する第2端部と、を含み、前記第1工程は、前記端子群Aと前記分岐位置との間で前記第1端部を破壊する。
【0315】
態様4の具体例である態様5において、前記第1工程は、前記分岐位置よりも前記端子群Aの近くで前記第1端部を破壊する。
【0316】
態様1の具体例である態様6において、前記中継基板は、前記端子群α及び前記端子群βを含む可撓性の配線部材を含み、前記配線部材は、本体部と、前記端子群αを含むとともに分岐位置で前記本体部から分岐する第1端部と、前記端子群βを含むとともに前記分岐位置で前記本体部から分岐する第2端部と、を含み、前記第1工程は、前記端子群αと前記分岐位置との間で前記第1端部を破壊する。
【0317】
態様1の具体例である態様7において、前記第1ヘッドチップは、前記端子群αに接着又は接合された端子群Aを有する可撓性の配線部材を有し、前記第1工程は、前記端子群αと前記端子群Aとの接着部分又は接合部分を破壊する。
【0318】
態様1の具体例である態様8において、前記第1ヘッドチップは、前記端子群αと電気的に接続された端子群Aを有し、前記中継基板は、前記端子群α及び前記端子群βを含む可撓性の配線部材を含み、前記第1工程は、前記端子群αと前記端子群Aとの接着部分又は接合部分を破壊する。
【0319】
好適な態様である態様9の液体噴射ヘッドの製造方法は、第1中継基板と、前記第1中継基板との電気的接続端子である端子群A及び端子群Bを有するとともに液体を噴射するヘッドチップと、を備える第1液体噴射ヘッドの一部を再使用することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、前記第1液体噴射ヘッドの前記ヘッドチップを前記第2液体噴射ヘッドに再使用する工程を有し、前記工程は、前記端子群Aと前記第1中継基板とを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群Aと互換性が有る前記端子群Bと、前記第1中継基板と互換性が有る第2中継基板とを電気的に接続する第2工程と、を有する。
【0320】
好適な態様である態様10の液体噴射ヘッドの製造方法は、第1中継基板と、前記第1中継基板との電気的接続端子である端子群A及び端子群Bを有するとともに液体を噴射するヘッドチップと、を備える第1液体噴射ヘッドを再生することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、前記第1中継基板を前記第1中継基板と互換性が有る第2中継基板に交換する交換工程を有し、前記交換工程は、前記端子群Aと前記第1中継基板とを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群Aと互換性が有る前記端子群Bと前記第2中継基板とを電気的に接続する第2工程と、を有する。
【0321】
好適な態様である態様11の液体噴射ヘッドの製造方法は、液体を噴射する第1ヘッドチップと、前記第1ヘッドチップとの電気的接続端子である端子群α及び端子群βを有する中継基板と、を備える第1液体噴射ヘッドの一部を再使用することで第2液体噴射ヘッドを製造する製造方法であって、前記第1液体噴射ヘッドの前記中継基板を前記第2液体噴射ヘッドに再使用する工程を有し、前記工程は、前記端子群αと前記第1ヘッドチップとを電気的に切り離す第1工程と、前記端子群αと互換性が有る前記端子群βと、前記第1ヘッドチップと互換性が有る第2ヘッドチップとを電気的に接続する第2工程と、を有する。
【0322】
好適な態様である態様12の液体噴射ヘッドは、液体を噴射するヘッドチップと、中継基板と、を備え、前記ヘッドチップ又は前記中継基板は、前記ヘッドチップと前記中継基板とを電気的に接続する第1配線群と、分岐位置で前記第1配線群から分岐して配線されるが前記第1配線群と電気的に接続されない第2配線群と、前記第2配線群の前記分岐位置とは反対側の端部に設けられた破損部と、を有する可撓性の配線部材を有する。
【0323】
態様12の具体例である態様13において、前記破損部は、前記配線部材を前記配線部材の厚さ方向に切断した切断面であって前記第2配線群を構成する複数の配線が露出されている切断面である。
【0324】
態様12の具体例である態様14において、前記破損部は、前記第2配線群に付着したはんだ又は導電性接着剤を含む。
【0325】
態様14の具体例である態様15において、前記破損部は、前記はんだ又は前記導電性接着剤に付着した銅箔を含む。
【0326】
好適な態様である態様16の液体噴射ヘッドは、基板を有し、液体を噴射するヘッドチップと、前記ヘッドチップと電気的に接続された中継基板と、を備え、前記基板は、前記中継基板と電気的に接続される第1端子群と、前記第1端子群に電気的に接続されることで前記中継基板と電気的に接続された第1配線群と、を有し、前記ヘッドチップは、分岐位置で前記第1配線群から分岐して配線されるが前記中継基板と電気的に接続されていない第2配線群と、前記第2配線群の前記分岐位置とは反対側の端部に設けられた破損部と、を有する。
【0327】
態様16の具体例である態様17において、前記基板は、前記第2配線群の途中に配置された第2端子群を有し、前記ヘッドチップは、前記第2端子群に接着又は接合されるとともに前記第2配線群の一部を有する可撓性の配線部材を有し、前記破損部は、前記配線部材を前記配線部材の厚さ方向に切断した切断面であって前記第2配線群が露出されている切断面である。
【0328】
態様16の具体例である態様18において、前記破損部は、前記基板の前記第1端子群が形成された面、又は、前記基板の前記第1端子群が形成された前記面とは反対側の面から露出する前記第2配線群である。
【0329】
態様16の具体例である態様19において、前記破損部は、前記基板に形成された前記第2配線群の端部に付着する導電性接着剤を含む。
【0330】
好適な態様である態様20の液体噴射ヘッドは、液体を噴射するヘッドチップと、前記ヘッドチップと電気的に接続される第1端子群と、前記第1端子群に電気的に接続されることで前記ヘッドチップと電気的に接続された第1配線群を有する中継基板と、前記中継基板に配置された分岐位置で前記第1配線群から分岐して配線されるが前記ヘッドチップと電気的に接続されていない第2配線群と、前記第2配線群の前記分岐位置とは反対側の端部に設けられた破損部と、を備える。
【0331】
態様20の具体例である態様21において、前記中継基板は、前記第2配線群の途中に配置された第2端子群を有し、前記第2配線群の一部を有し、前記第2端子群に接着又は接合された可撓性の配線部材を備え、前記破損部は、前記配線部材を前記配線部材の厚さ方向に切断した切断面であって前記第2配線群が露出されている切断面である。
【0332】
態様20の具体例である態様22において、前記破損部は、前記中継基板の前記第1端子群が形成された面、又は、前記中継基板の前記第1端子群が形成された前記面とは反対側の面の何れかから露出されている前記第2配線群である。
【0333】
態様20の具体例である態様23において、前記破損部は、前記中継基板に形成された前記第2配線群の端部に付着する導電性接着剤を含む。
【符号の説明】
【0334】
I…液体噴射装置、1、1B、1C…液体噴射ヘッド、2…ヘッドチップ、2A、2B、2N、2X、2Y…ヘッドチップ、10…流路形成基板、20…ノズルプレート、21…ノズル、30…保護基板、35…配線、36…個別配線群、37…共通配線群、38…端子群、39…端子、110、110A、110B…配線部材、110a…第1可撓部、110b…第2可撓部、110c…第3可撓部、111…駆動信号選択回路、112…ベース、113…配線、114…カバー、115…導電層、116…接着剤、117…スルーホール、117a…接続配線、118…第1分岐端子群、120…第1接続端子群、121…スルーホール、121a…接続配線、122…第2分岐端子群、124…第2接続端子群、125、125A~125C…個別配線群、126…共通配線群、130、133…脆弱部、131、134…ミシン目、132、135…切れ込み、131a…第1溝、131b…第2溝、140、140A~140C…端子群、141、141A、141A1~141An、141B、141B1~141Bn、141C、141C1~141Cn…端子、142…駆動側接続端子群、143…端子、143_1~143_n…端子、144…本体部、145、145A~145C…端部、210、210N、210X、210Y…中継基板、210a…第1面、210b…第2面、211…コネクター、212…配線挿通孔、214…基材、215…配線、216…保護材、217…導電層、218…第1分岐端子群、219…スルーホール、219a…接続配線、222…端子群、222α~222γ…端子群、223…端子、223α~222γ…端子、223α1~223αn…端子、223β1~223βn…端子、223γ1~223γn…端子、260…第1基板、261…中継端子群、270…第2基板、270a…第1可撓部、270b…第2可撓部、271…第3接続端子群、280…配線部材、300…圧電アクチュエーター。