(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012151
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】熱交換器、冷媒サイクル装置、給湯器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/00 20060101AFI20240118BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20240118BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240118BHJP
F25B 7/00 20060101ALI20240118BHJP
F25B 30/02 20060101ALI20240118BHJP
F25B 39/00 20060101ALI20240118BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20240118BHJP
【FI】
F28F3/00 301Z
F28D9/02
F25B1/00 399Y
F25B7/00 D
F25B30/02 F
F25B39/00 G
F24H9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114213
(22)【出願日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2022112679
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】江村 知恵
(72)【発明者】
【氏名】廣川 智己
(72)【発明者】
【氏名】寺井 航
(72)【発明者】
【氏名】馬場 大介
【テーマコード(参考)】
3L036
3L103
【Fターム(参考)】
3L036AA05
3L103AA18
3L103AA37
3L103BB42
3L103CC02
3L103CC17
3L103CC18
3L103DD15
3L103DD57
(57)【要約】
【課題】2つの流体の流入時のおける圧力に差がある場合でも、熱交換性能を確保できる熱交換器、並びにこれを用いた冷媒サイクル装置及び給湯器を提供する。
【解決手段】第1熱交換器100は、第1伝熱プレート110と、第2伝熱プレート120とを備える。第2伝熱プレートは、第2流通口121a、121bと、第2貫通孔122a、122bと、第2伝熱領域123と、第2接続部125a、125bとを有する。第2流通口は、第1流体よりも低沸点である第2流体を導入・導出する。第2貫通孔は、第1流体が厚み方向に通過する。第2伝熱領域では、第2流体が通過しながら第1流体と熱交換をする。第2接続部は、一端が第2流通口に、他端が第2伝熱領域に接続される。第2流通口は、第2貫通孔を挟んで第2伝熱領域と反対の位置に形成される。第2接続部は、第2貫通孔の外方を回り込むように形成され、第2突起部127a、127bが設けられる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層された、第1伝熱プレート(110)及び第2伝熱プレート(120)を備え、
前記第1伝熱プレートは、
第1流体を導入又は導出する2つの第1流通口(111a、111b)と、
前記第1流体よりも低沸点である第2流体が厚み方向(DT)に通過する2つの第1貫通孔(112a、112b)と、
前記第1流通口から流入した前記第1流体が通過しながら前記第2流体と熱交換をする第1伝熱領域(113)と、
一端が前記第1流通口に接続され、他端が前記第1伝熱領域に接続された第1接続部(115a、115b)とを有し、
前記第2伝熱プレート(120)は、
前記第1貫通孔と連通し、前記第2流体を導入又は導出する第2流通口(121a、121b)と、
前記第1流体が厚み方向に通過する2つの第2貫通孔(122a、122b)と、
前記第2流通口から流入した前記第2流体が通過しながら前記第1流体と熱交換をする第2伝熱領域(123)と、
一端が前記第2流通口に接続され、他端が前記第2伝熱領域に接続された第2接続部(125a、125b)とを有し、
前記第2流通口は、
前記第2貫通孔を挟んで前記第2伝熱領域と反対の位置に形成され、
前記第2接続部は、
前記第2貫通孔の外方を回り込むように形成され、
第2突起部(127a、127b、128a、128b)が設けられている、熱交換器。
【請求項2】
前記第2突起部は、
平面視において線状である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第2接続部は、
平面視において線状である、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第2突起部は、
平面視において円形状(128b)である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第2突起部は、
平面視において三角形状である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第2突起部は、
平面視において四角形状である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第2突起部は、
平面視において涙滴形状である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1接続部は、
前記第1流通口から前記第1伝熱領域に向かって、
流路断面積が拡がるように形成されている、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1接続部は、
第1突起部(117a、117b)が設けられており、
前記第1突起部は、
平面視において線状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記第1接続部は、
第1突起部が設けられており、
前記第1突起部は、
平面視において円形状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記第1接続部は、
第1突起部が設けられており、
前記第1突起部は、
平面視において三角形状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第1接続部は、
第1突起部が設けられており、
前記第1突起部は、
平面視において四角形状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記第1接続部は、
第1突起部が設けられており、
前記第1突起部は、
平面視において涙滴形状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記第1伝熱プレートと前記第2伝熱プレートとの間に積層された板状部材である隔壁(130)を備え、
前記第1接続部は、
前記第1流体の流れ方向に直交する断面において、
隣り合う前記第1接続部どうしを分ける第1分離部(116a、116b)と前記隔壁とが接触する長さをLa1、
隣り合う前記第1分離部の間隔をP1
とすると、
0.005<La1/P1<0.15
の関係を満たすように形成されている、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記第1接続部は、
0.005<La1/P1<0.05
の関係を満たすように形成されている、
請求項14に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記第1伝熱プレートと前記第2伝熱プレートとの間に積層された板状部材である隔壁を備え、
前記第2接続部は、
前記第2流体の流れ方向に直交する断面において、
隣り合う前記第2接続部どうしを分ける第2分離部(126a、126b)又は前記第2突起部と、前記隔壁とが接触する長さをLa2、
隣り合う前記第2分離部又は前記第2突起部の間隔をP2
とすると、
0.005<L2/P2<0.15
の関係を満たすように形成されている、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項17】
複数の前記第2接続部は、
0.02<L2/P2<0.15
の関係を満たすように形成されている、
請求項16に記載の熱交換器。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の熱交換器と、
前記第1流体が循環する第1流体回路(10)と、
前記第2流体が循環する第2流体回路(20)と
を備える、
冷媒サイクル装置。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1項に記載の熱交換器と、
前記第1流体が循環する第1流体回路(50)と、
前記第2流体が循環する第2流体回路(60)と
を備える、
給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱交換器、冷媒サイクル装置、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の伝熱プレートを所定の間隔で積層して第1流体が流れる流路と第2流体が流れる流路とを積層方向に交互に形成し、2つの流体の間での熱交換を行わせるプレート式熱交換器が知られている。
【0003】
特許文献1(特表2012-512382号公報)は、主に、一方の流体を流入又は流出させる2つの流通ポートと、流入した流体を熱交換させる複数の溝が形成された熱伝達領域と、流通ポートと熱伝達領域とをつなぐ溝の形成された接続部(分配領域)と、他方の流体を通過させる一対の貫通孔とを有する伝熱プレート(熱交換プレート)及びこれを用いた熱交換器を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の熱交換器では、第1流体が流れる流路の長さと第2流体が流れる流路の長さとが同じである。このため、2つの流体には、熱交換器の内部において同程度の圧力損失が生じる。このようにして生じる圧力損失に起因する圧力の減少割合を比較した場合、2つの流体の内、流入時の圧力が低い流体ほど相対的に大きな割合で圧力が減少する。この結果、熱交換器が熱交換性能を十分に発揮できないという課題がある。
【0005】
本開示は、2つの流体の流入時のおける圧力に差がある場合でも、熱交換性能を確保できる熱交換器、並びにこれを用いた冷媒サイクル装置及び給湯器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の熱交換器は、互いに積層された、第1伝熱プレート及び第2伝熱プレートを備える。
【0007】
第1伝熱プレートは、第1流通口、と、第1貫通孔と、第1伝熱領域と、第1接続部とを有する。
【0008】
第1流通口は、第1流体を導入又は導出する。第1貫通孔は、第1流体よりも低沸点である第2流体が厚み方向に通過する。第1伝熱領域は、第1流通口から流入した第1流体が通過しながら第2流体と熱交換をする領域である。第1接続部は、一端が第1流通口に接続され、他端が第1伝熱領域に接続される。
【0009】
第2伝熱プレートは、第2流通口と、第2貫通孔と、第2伝熱領域と、第2接続部とを有する。
【0010】
第2流通口は、第1貫通孔と連通し、第2流体を導入又は導出する。第2貫通孔は、第1流体が厚み方向に通過する。第2伝熱領域は、第2流通口から流入した第2流体が通過しながら第1流体と熱交換をする領域である。第2接続部は、一端が第2流通口に接続され、他端が第2伝熱領域に接続される。
【0011】
第2流通口は、第2貫通孔を挟んで第2伝熱領域と反対の位置に形成される。第2接続部は、第2貫通孔の外方を回り込むように形成され、第2突起部が設けられている。
【0012】
本熱交換器では、第2接続部が、第2貫通孔の外方を回り込むように形成されている。言い換えると、第1流体が通過する第1接続部の流路の長さが、第1流体よりも低沸点の第2流体が通過する第2接続部の流路長さよりも短く形成される。したがって、第1接続部を通過する際に第1流体に生じる圧力損失を、第2接続部を通過する際に第2流体に生じる圧力損失よりも少なくできる。これにより、第1流体の圧力が大きな割合で減少することが抑制される。したがって、本熱交換器によれば、2つの流体の流入時のおける圧力に差がある場合でも、熱交換性能を確保できる。
【0013】
第2観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第2突起部が、平面視において線状である。
【0014】
第3観点の熱交換器は、第1観点又は第2観点の熱交換器であって、第2接続部が、平面視において線状である。
【0015】
第4観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第2突起部が、平面視において円形状である。
【0016】
第5観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第2突起部が、平面視において三角形状である。
【0017】
第6観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第2突起部が、平面視において四角形状である。
【0018】
第7観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第2突起部が、平面視において涙滴形状である。
【0019】
第8観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第1接続部が、第1流通口から第1伝熱領域に向かって、流路断面積が拡がるように形成されている。
【0020】
本熱交換器によれば、第1接続部を通過する第1流体に生じる圧力損失がさらに低減するため、第1流体の圧力が大きな割合で減少することがさらに抑制され、より効果的に熱交換性能を確保できる。
【0021】
第9観点の熱交換器は、第8観点の熱交換器であって、第1接続部は、第1突起部が設けられており、第1突起部は、平面視において線状である。
【0022】
第10観点の熱交換器は、第8観点の熱交換器であって、第1接続部は、第1突起部が設けられており、第1突起部は、平面視において円形状である。
【0023】
第11観点の熱交換器は、第8観点の熱交換器であって、第1接続部は、第1突起部が設けられており、第1突起部は、平面視において三角形状である。
【0024】
第12観点の熱交換器は、第8観点の熱交換器であって、第1接続部は、第1突起部が設けられており、第1突起部は、平面視において四角形状である。
【0025】
第13観点の熱交換器は、第8観点の熱交換器であって、第1接続部は、第1突起部が設けられており、第1突起部は、平面視において涙滴形状である。
【0026】
第14観点の熱交換器は、第1観点から第13観点のいずれかの熱交換器であって、隔壁を備える。隔壁は、第1伝熱プレートと第2伝熱プレートとの間に積層された板状部材である。第1接続部は、第1流体の流れ方向に直交する断面において、隣り合う第1接続部どうしを分ける第1分離部と、隔壁とが接触する長さをLa1、隣り合う第1分離部の間隔をP1とすると、
0.005<La1/P1<0.15
の関係を満たすように形成されている。
【0027】
第1接続部が上記の関係を満たすように形成されることで、隔壁が第1接続部を通過する第1流体から受ける力が耐圧強度を超えることが抑制される。
【0028】
第15観点の熱交換器は、第14観点の熱交換器であって、第1接続部が、
0.005<La1/P1<0.05
の関係を満たすように形成されている。
【0029】
本熱交換器によれば、第1接続部が上記の関係を満たすように形成されることで、隔壁が第1接続部を通過する第1流体から受ける力が耐圧強度を超えることがより効果的に抑制される。
【0030】
第16観点の熱交換器は、第1観点から第15観点のいずれかの熱交換器であって、隔壁を備える。第2接続部は、第2流体の流れ方向に直交する断面において、隣り合う第2接続部どうしを分ける第2分離部、又は突起部と、隔壁とが接触する長さをLa2、隣り合う第2分離部又は第2突起部の間隔をP2とすると、
0.005<L2/P2<0.15
の関係を満たすように形成されている。
【0031】
本熱交換器によれば、第2接続部が上記の関係を満たすように形成されることで、隔壁が第2接続部を通過する第2流体から受ける力が耐圧強度を超えることが抑制される。
【0032】
第17観点の熱交換器は、第16観点の熱交換器であって、第2接続部が、
0.02<L2/P2<0.15
の関係を満たすように形成されている。
【0033】
本熱交換器によれば、第2接続部が上記の関係を満たすように形成されることで、隔壁が第2接続部を通過する第2流体から受ける力が耐圧強度を超えることがより効果的に抑制される。
【0034】
第18観点の冷媒サイクル装置は、第1観点から第17観点の熱交換器のいずれかと、第1流体が循環する第1流体回路と、第2流体が循環する第2流体回路とを備える。
【0035】
第19観点の給湯器は、第1観点から第17観点の熱交換器のいずれかと、第1流体が循環する第1流体回路と、第2流体が循環する第2流体回路とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】第1熱交換器100を備える冷媒サイクル装置1を示す概略構成図である。
【
図4】第1伝熱プレート110の上側端部周辺の拡大図である。
【
図5】
図4におけるA-A’線で切断した箇所の断面図である。
【
図7】第2伝熱プレート120の上側端部周辺の拡大図である。
【
図8】
図7におけるB-B’線で切断した箇所の断面図である。
【
図9】変形例Aに係る第1熱交換器100の第2伝熱プレート120の上側端部周辺の拡大図である。
【
図10】変形例Aの他の例に係る第1熱交換器100の第2伝熱プレート120の上側端部周辺の拡大図である。
【
図11】変形例Aの他の例に係る第1熱交換器100の第2伝熱プレート120の上側端部周辺の拡大図である。
【
図12】変形例Aの他の例に係る第1熱交換器100の第2伝熱プレート120の上側端部周辺の拡大図である。
【
図13】変形例Bに係る第1熱交換器100の第1伝熱プレート110の上側端部周辺の拡大図である。
【
図14】変形例Fに係る第1熱交換器100の第1伝熱プレート110の上側端部周辺の拡大図である。
【
図15】変形例Gに係る第1熱交換器100の第1伝熱プレート110の上側端部周辺の拡大図である。
【
図16】変形例Gの他の例に係る第1熱交換器100の第1伝熱プレート110の上側端部周辺の拡大図である。
【
図17】第1熱交換器100を備える給湯器2を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
<第1実施形態>
(1)冷媒サイクル装置1
はじめに、本開示の第1実施形態に係る第1熱交換器100を備える冷媒サイクル装置1について説明する。冷媒サイクル装置1は、蒸気圧縮式のサイクルを実行することで、建物の室内等の空調対象空間(図示省略)の冷暖房運転を行う二元冷媒サイクル装置である。
【0038】
冷媒サイクル装置1は、水を加熱又は冷却し、この水を用いて対象空間(図示省略)の暖房運転及び冷房運転を行う。冷媒サイクル装置1は、第1熱交換器100と、第2熱交換器300と、第1流体回路10と、第2流体回路20と、水回路30と、制御部40とを有する。詳細は後述するが、第1流体回路10では第1流体が循環し、第2流体回路20では第1流体よりも低沸点の第2流体が循環し、水回路30では水が循環する。限定するものではないが、本実施形態では、水回路30は屋内に設置され、第2流体回路20は屋外に設置される。第1流体回路10は、屋内・屋外のどちらへ設置されてもよく、一部が屋内・屋外のいずれかに設置されてもよい。
【0039】
(1-1)第1熱交換器100
第1熱交換器100は、第1流体回路10を循環する第1流体と第2流体回路20を循環する第2流体との間で熱交換をさせる。第1熱交換器100は、第1流通管141a、141bと、第2流通管142a、142bと、第1流路220と、第2流路230とを有する。
【0040】
第1流路220は、第1流体が流れる流路である。第1流路220は、第1流通管1410aと第1流通管141bとの間に設けられている。第2流路230は、第2流体が流れる流路である。第2流路230は、第2流通管142aと第2流通管142bとの間に形成される。第1流路220を流れる第1流体は、第2流路230を通る第2流体との間で熱交換をする。第1熱交換器100の詳細な構造については、後述する。
【0041】
(1-2)第2熱交換器300
第2熱交換器300は、第1流体回路10を循環する第1流体と水回路30を循環する水との間で熱交換をさせる。第2熱交換器300は、第1流通管341a、341bと、第2流通管342a、342bと、第1流路420と、第2流路430とを有する。
【0042】
第1流路420は、第1流体が流れる流路である。第1流路420は、第1流通管341aと第1流通管341bとの間に設けられている。第2流路430は、水が流れる流路である。第2流路430は、第2流通管342aと第2流通管342bとの間に形成される。第1流路420を流れる第1流体は、第2流路430を通る水との間で熱交換をする。
【0043】
(1-3)第1流体回路10
第1流体回路10では、第1流体が加熱又は冷却される。第1流体回路10は、圧縮機11と、四路切換弁12と、膨張弁13と、第1熱交換器100の第1流路220と、第2熱交換器300の第1流路420とにより構成される。圧縮機11、四路切換弁12、膨張弁13、第1熱交換器100の第1流路220、及び第2熱交換器300の第1流路420は、配管で接続され、内部を第1流体が循環する。本実施形態では、第1流体は、R1234zeである。
【0044】
圧縮機11は、第1流体回路10における低圧の第1流体を吸入部11aから吸入し、それを圧縮して、高圧の第1流体として吐出部11bから吐出する。
【0045】
四路切換弁12は、第1ポート12aと、第2ポート12bと、第3ポート12cと、第4ポート12dとを有する。四路切換弁12は、制御部40の指示に基づいて、第1ポート12a、第2ポート12b、第3ポート12c、第4ポート12dの連通状態が異なる第1状態と第2状態との間で切り換わる。第1状態では、第1ポート12aと第2ポート12bとが連通し、第3ポート12cと第4ポート12dとが連通する。第2状態では、第1ポート12aと第4ポート12dとが連通し、第2ポート12bと第3ポート12cとが連通する。
【0046】
第1ポート12aは、圧縮機11の吐出部11bに接続されている。第2ポート12bは、第2熱交換器300の第1流通管341bに接続されている。第3ポート12cは、圧縮機11の吸入部11aに接続されている。第4ポート12dは、第1熱交換器100の第1流通管141aに接続されている。
【0047】
膨張弁13は、第1流体回路10を循環する第1流体の流量を調節し、第1流体を減圧させる減圧装置として機能する。
【0048】
膨張弁13の一端は、第1熱交換器100の第1流通管141bに接続されている。膨張弁13の他端は、第2熱交換器300の第1流通管341aに接続されている。
【0049】
(1-4)第2流体回路20
第2流体回路20では、第2流体が加熱又は冷却される。第2流体回路20は、圧縮機21と、四路切換弁22と、膨張弁23と、熱源熱交換器24と、第1熱交換器100の第2流路230とにより構成される。圧縮機21、四路切換弁22、膨張弁23、熱源熱交換器24、及び第1熱交換器100の第2流路230は、配管で接続され、内部を第2流体が循環する。本実施形態では、第2流体は、二酸化炭素である。
【0050】
圧縮機21は、第2流体回路20における低圧の第2流体を吸入部21aから吸入し、それを圧縮して、高圧の第2流体として吐出部21bから吐出する。
【0051】
四路切換弁22は、第1ポート22aと、第2ポート22bと、第3ポート22cと、第4ポート22dとを有する。四路切換弁22は、制御部40の指示に基づいて、第1ポート22a、第2ポート22b、第3ポート22c、第4ポート22dの連通状態が異なる第1状態と第2状態との間で切り換わる。第1状態では、第1ポート22aと第2ポート22bとが連通し、第3ポート22cと第4ポート22dとが連通する。第2状態では、第1ポート22aと第4ポート22dとが連通し、第2ポート22bと第3ポート22cとが連通する。
【0052】
第1ポート22aは、圧縮機21の吐出部21bに接続されている。第2ポート22bは、第1熱交換器100の第2流通管142bに接続されている。第3ポート22cは、圧縮機21の吸入部21aに接続されている。第4ポート22dは、熱源熱交換器24の一端に接続されている。
【0053】
膨張弁23は、第2流体回路20を循環する第2流体の流量を調節し、第2流体を減圧させる減圧装置として機能する。
【0054】
膨張弁23の一端は、第1熱交換器100の第2流通管142aに接続されている。膨張弁23の他端は、熱源熱交換器24の他端に接続されている。
【0055】
熱源熱交換器24は、第2流体回路20を循環する第2流体と熱源(例えば、屋外の空気)との間で熱交換をさせる。
【0056】
(1-5)水回路30
水回路30では、第1流体との間で熱交換した水が循環する。水回路30は、水循環ポンプ31と、貯水タンク32と、第2熱交換器300の第2流路430とにより構成される。水循環ポンプ31、貯水タンク32、及び第2熱交換器300の第2流路430は、配管で接続され、内部を水が循環する。
【0057】
水循環ポンプ31は、水回路30の内部において水を循環させる。水循環ポンプ31は、水回路30の内部の水を吸入部31aから吸入し、吐出部31bから吐出する。
【0058】
吸入部31aは、第2熱交換器300の第2流通管342bに接続されている。
【0059】
貯水タンク32は、第2熱交換器300で加熱又は冷却された水を貯留することで、屋内の空気の加熱又は冷却(言い換えると、暖房又は冷房)を行う。貯水タンク32は、水回路30を循環する水を取り入れる取水部32aと、貯留された水を排出する排水部32bとを有する。
【0060】
取水部32aは、水循環ポンプ31の吐出部31bに接続されている。排水部32bは、第2熱交換器300の第2流通管342bに接続されている。
【0061】
(1-6)制御部40
制御部40は、圧縮機11、21、四路切換弁12、22、膨張弁13、23、及び水循環ポンプ31を制御する。図示は省略するが、制御部40は、圧縮機11、21、四路切換弁12、22、膨張弁13、23、及び水循環ポンプ31に制御信号を送受信可能なように電気的に接続されている。
【0062】
(1-7)冷媒サイクル装置1の動作
冷媒サイクル装置1は、暖房運転及び冷房運転を行う。
【0063】
(1-7-1)暖房運転
暖房運転は、冷媒サイクル装置1が、水回路30の水を加熱する運転である。暖房運転では、制御部40は、四路切換弁12、22を第1状態とし、圧縮機11、21、及び水循環ポンプ31を駆動し、膨張弁13、23の開度を制御する。
【0064】
(1-7-1-1)第2流体回路20
圧縮機21は、第2流体回路20における低圧気相の第2流体を吸入部21aから吸入し、高圧気相の第2流体として吐出部21bから吐出する。高圧気相である第2流体は、四路切換弁22を第1ポート22a、第2ポート22bの順に通って第1熱交換器100の第2流通管142aから第2流路230へ到達する。第1熱交換器100の第2流路230で、高圧気相の第2流体は凝縮して高圧液相の第2流体となる。このとき、第2流体は、第1流路220を通る第1流体へ熱を放出する。高圧液相の第2流体は、膨張弁23へ到達する。適切な開度に設定された膨張弁23は、高圧液相の第2流体を減圧し低圧気液二相の第2流体とする。低圧気液二相の第2流体は、熱源熱交換器24で蒸発して低圧気相の第2流体となる。このとき、第2流体は、熱源から熱を吸収する。低圧気相の第2流体は、四路切換弁22を第4ポート22d、第3ポート22cの順に通った後、吸入部21aから圧縮機21に吸入される。
【0065】
(1-7-1-2)第1流体回路10
圧縮機11は、第1流体回路10における低圧気相の第1流体を吸入部11aから吸入し、高圧気相の第1流体として吐出部11bから吐出する。高圧気相である第1流体は、四路切換弁12を第1ポート12a、第2ポート12bの順に通って第2熱交換器300の第1流通管341aから第1流路420へ到達する。第2熱交換器300の第1流路420で、高圧気相の第1流体は凝縮して高圧液相の第1流体となる。このとき、第1流体は、第2流路430を通る水へ熱を放出する。高圧液相の第1流体は、膨張弁13へ到達する。適切な開度に設定された膨張弁13は、高圧液相の第1流体を減圧し低圧気液二相の第1流体とする。低圧気液二相の第1流体は、第1熱交換器100の第1流通管141aを通った後、第1流路220で蒸発して低圧気相の第1流体となる。このとき、第1流体は、第2流路230を通る第2流体から熱を吸収する。低圧気相の第1流体は、四路切換弁12を第4ポート12d、第3ポート12cの順に通った後、吸入部11aから圧縮機11に吸入される。
【0066】
(1-7-1-3)水回路30
水循環ポンプ31は、水回路30を循環する水を吸入部31aから吸入し吐出部31bから吐出する。吐出された水は、取水部32aを通って貯水タンク32へ貯留される。貯水タンク32に貯留された水は、屋内の空気へ熱を放出する。言い換えると、貯水タンク32に貯留された水は、屋内の空気を加熱する。貯水タンク32に貯留された水は、排水部32bを通った後、第2熱交換器300の第2流通管342aを通って第2流路430へ到達する。第2熱交換器300の第2流路430へ到達した水は、第1流路420を通る第1流体から熱を吸収する。熱を吸収した水は、吸入部31aから水循環ポンプ31に吸入される。
【0067】
(1-7-2)冷房運転
冷房運転は、冷媒サイクル装置1が、水回路30の水を冷却する運転である。冷房運転では、制御部40は、四路切換弁12、22を第2状態とし、圧縮機11、21、及び水循環ポンプ31を駆動し、膨張弁13、23の開度を制御する。
【0068】
(1-7-2-1)第2流体回路20
圧縮機21は、第2流体回路20における低圧気相の第2流体を吸入部21aから吸入し、高圧気相の第2流体として吐出部21bから吐出する。高圧気相である第2流体は、四路切換弁22を第1ポート22a、第4ポート22dの順に通って熱源熱交換器24へ到達する。熱源熱交換器24で、高圧気相の第2流体は凝縮して高圧液相の第2流体となる。このとき、第2流体は、熱源へ熱を放出する。高圧液相の第2流体は、膨張弁23へ到達する。適切な開度を設定された膨張弁23は、高圧液相の第2流体を減圧し低圧気液二相の第2流体とする。低圧気液二相の第2流体は、第1熱交換器100の第2流通管142bを通った後、第2流路230で蒸発して低圧気相の第2流体となる。このとき、第2流体は、第2流路230を通る第1流体から熱を吸収する。低圧気相の第2流体は、四路切換弁22を第2ポート22b、第3ポート22cの順に通った後、吸入部21aから圧縮機21に吸入される。
【0069】
(1-7-2-2)第1流体回路10
圧縮機11は、第1流体回路10における低圧気相の第1流体を吸入部11aから吸入し、高圧気相の第1流体として吐出部11bから吐出する。高圧気相である第1流体は、四路切換弁12を第1ポート12a、第4ポート12dの順に通って第1熱交換器100の第1流通管141bから第1流路220へ到達する。第1熱交換器100の第1流路220で、高圧気相の第1流体は凝縮して高圧液相の第1流体となる。このとき、第1流体は、第2流路230を通る第2流体へ熱を放出する。高圧液相の第1流体は、膨張弁13へ到達する。適切な開度を設定された膨張弁13は、高圧液相の第1流体を減圧し低圧気液二相の第1流体とする。低圧気液二相の第1流体は、第2熱交換器300の第1流通管341bを通った後、第1流路420で蒸発して低圧気相の第1流体となる。このとき、第1流体は、第2流路430を通る第2流体から熱を吸収する。低圧気相の第1流体は、四路切換弁12を第2ポート12b、第3ポート12cの順に通った後、吸入部11aから圧縮機11に吸入される。
【0070】
(1-7-2-3)水回路30
水循環ポンプ31は、水回路30を循環する水を吸入部31aから吸入し吐出部31bから吐出する。吐出された水は、取水部32aを通って貯水タンク32へ貯留される。貯水タンク32に貯留された水は、屋内の空気から熱を吸収する。言い換えると、貯水タンク32に貯留された水は、屋内の空気を冷却する。貯水タンク32に貯留された水は、排水部32bを通った後、第2熱交換器300の第2流通管342aを通って第2流路430へ到達する。第2熱交換器300の第2流路430へ到達した水は、第1流路420を通る第1流体に熱を放出する。熱を放出した水は、吸入部31aから水循環ポンプ31に吸入される。
【0071】
(2)熱交換器
(2-1)全体構成
第1熱交換器100は、複数の第1伝熱プレート110と、複数の第2伝熱プレート120と、複数の隔壁130と、第1フレーム140と、第2フレーム150とを備えるプレート式の熱交換器である。第1熱交換器100は、内部に、第1流路220と、第2流路230が設けられている。
【0072】
第1伝熱プレート110、第2伝熱プレート120、及び隔壁130は、外形が同じ矩形状に形成された金属製の板状部材である。本実施形態では、
図2に示されるように、第1伝熱プレート110、第2伝熱プレート120、隔壁130、第1フレーム140、及び第2フレーム150の外形は、第1方向に長い帯状に形成されている。
【0073】
複数の第1伝熱プレート110と複数の第2伝熱プレート120とは、第1フレーム140と第2フレーム150との間において、隔壁130を挟んで交互に積層される。複数の第1伝熱プレート110及び複数の第2伝熱プレート120のそれぞれの枚数は、特に限定されず、要求される性能に応じて適宜設定される。第1フレーム140、第1伝熱プレート110、隔壁130、第2伝熱プレート120、及び第2フレーム150は、限定するものではないが、例えば、ろう付けにより、一体的に接合されている。
【0074】
以下の説明では、便宜上、第1方向を長手方向DLと呼ぶことがある。また、第1伝熱プレート110、隔壁130、及び第2伝熱プレート120の幅方向を幅方向DWと呼ぶことがある。さらに、第1伝熱プレート110、隔壁130、及び第2伝熱プレート120の厚み方向(言い換えると、積層方向)を厚み方向DTと呼ぶことがある(いずれも、一部の図に示された矢印参照)。また、以下の説明で言及する上下の各方向は、一部の図に示される「上」、「下」に対応する。
【0075】
(2-2)詳細構成
(2-2-1)第1伝熱プレート110
第1伝熱プレート110は、隣接して積層される隔壁130とともに第1流路220を形成する。第1伝熱プレート110は、第1流通口111a、111bと、第1貫通孔112a、112bと、第1伝熱領域113と、複数の第1接続部115a、115bとを有する。
【0076】
第1流通口111a、111bは、第1流路220に第1流体を導入又は導出する孔である。第1流通口111a、111bは、第1伝熱プレート110を厚み方向DTに沿って貫通するように形成されている。本実施形態では、第1流通口111a、111bは、第1伝熱プレート110の平面視において円形に形成されている。第1流通口111a、111bは、第1伝熱領域113の長手方向DLにおける両端から長手方向DLに沿って所定距離離れた位置に、中心が幅方向DWにおける中央に位置するように形成される。第1流通口111aは第1伝熱領域113の上方に形成され、第1流通口111bは第1伝熱領域113の下方に形成される。
【0077】
第1貫通孔112a、112bは、厚み方向DTに沿って第2流体が通過する孔である。第1貫通孔112a、112bは、第1伝熱プレート110を厚み方向DTに沿って貫通するように形成されている。本実施形態では、第1貫通孔112a、112bは、第1伝熱プレート110の平面視において円形に形成されている。第1貫通孔112a、112bは、第1流通口111a、111bから第1伝熱プレート110の長手方向DLの端部に向かって長手方向DLに沿って所定距離離れた位置に、中心が幅方向DWにおける中央に位置するように形成される。言い換えると、第1貫通孔112a、112bは、長手方向DLにおいて、第1流通口111a、111bを挟んで第1伝熱領域113と反対の位置に形成されている。第1貫通孔112aは第1流通口111aの上方に形成され、第1貫通孔112bは第1流通口111bの下方に形成される。
【0078】
第1伝熱領域113は、第1流通口111a、111bから流入した第1流体が通過しながら第2流体と熱交換をする領域である。第1伝熱領域113は、第1伝熱プレート110と略同じ幅の矩形の領域である。第1伝熱領域113は、第1伝熱プレート110の長手方向DLにおける中央から両端に向かって、第1接続部115a、115bの第1伝熱領域113側の端部まで形成されている。
【0079】
第1伝熱領域113は、第1流通口111a、111bから流入した第1流体が通過する溝状の流路である第1伝熱流路114が複数形成されている。第1伝熱流路114は、長手方向DLに沿って形成された溝である。複数の第1伝熱流路114は、第1伝熱プレート110の幅方向DWに沿って所定の間隔で形成されている。
【0080】
第1接続部115aは、一端が第1流通口111aに接続され、他端が第1伝熱領域113の長手方向DLにおける上方の端部に接続された溝状の流路である。第1接続部115bは、一端が第1流通口111bに接続され、他端が第1伝熱領域113の長手方向DLにおける下方の端部に接続された溝状の流路である。隣り合う第1接続部115aどうしは、第1分離部116aに分けられている。隣り合う第1接続部115bどうしは、第1分離部116bにより分けられている。
【0081】
第1流路220は、第1伝熱領域113(第1伝熱流路114)と、第1伝熱領域113の両端に接続された第1接続部115a、115bとにより構成される。したがって、第1熱交換器100は、第1伝熱プレート110の数と同じ数の第1流路220を有する。
【0082】
本実施形態では、第1接続部115a、115bは、
図4に示されるように、直線状に形成されている。第1接続部115a、115bは、第1流通口111a、111bから第1伝熱領域113に向かって、流路断面積が拡がるように形成されている。限定するものではないが、本実施形態では、1つの第1流通口111a、111bに対して18本の第1接続部115a、115bが接続されている。
【0083】
第1接続部115a、115bは、第1流体の流れ方向に直交する断面において、隣り合う第1接続部115a、115bどうしを分ける第1分離部116a、116bが次の(式1)、好ましくは(式2)の関係を満たすように形成されてもよい。
0.005<La1/P1<0.15 ・・・(式1)
0.005<La1/P1<0.05 ・・・(式2)
【0084】
図5に示されるように、La1は、第1分離部116a、116bと、隔壁130とが接触する長さである。P1は、隣り合う第1分離部116a、116bの間隔である。P1は、隔壁130と第1接続部115a、115bとが接触する長さであるLb1にLa1を加える(P1=Lb1+La1)ことにより求められる。
【0085】
第1伝熱領域113(第1伝熱流路114)と、第1接続部115a、115bとは、第1伝熱プレート110の一方の面に形成される。第1流通口111a、111bと、第1貫通孔112a、112bと、第1伝熱領域113と、第1接続部115a、115bとは、限定するものではないが、例えば、プレス加工により形成される。
【0086】
(2-2-2)第2伝熱プレート120
第2伝熱プレート120は、隣接して積層される隔壁130とともに第2流路230を形成する。第2伝熱プレート120は、第2流通口121a、121bと、第2貫通孔122a、122bと、第2伝熱領域123と、複数の第2接続部125a、125bと、第2突起部127a、127bとを有する。
【0087】
第2流通口121a、121bは、第2流路111に第2流体を導入又は導出する孔である。第2流通口121a、121bは、第2伝熱プレート120を厚み方向DTに沿って貫通するように形成されている。本実施形態では、第2流通口121a、121bは、第2伝熱プレート120の平面視において円形に形成されている。第2流通口121a、121bは、第2貫通孔122a、122bから第2伝熱プレート120の長手方向DLの端部に向かって長手方向DLに沿って所定距離離れた位置に、中心が幅方向DWにおける中央に位置するように形成される。言い換えると、第2流通口121a、121bは、第2貫通孔122a、122bを挟んで第2伝熱領域123と反対の位置に形成されている。第2流通口121aは第2伝熱領域123の下方に形成され、第2流通口121bは第2伝熱領域123の上方に形成される。
【0088】
第2流通口121aと第1貫通孔112aとは、同じ形状であって、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。第2流通口121bと第1貫通孔112bとは、同じ形状であって、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。
【0089】
第2貫通孔122a、122bは、厚み方向に沿って第2流体が通過する孔である。第2貫通孔122a、122bは、第2伝熱プレート120を厚み方向に沿って貫通するように形成されている。本実施形態では、第2貫通孔122a、122bは、第2伝熱プレート120の平面視において円形に形成されている。第2貫通孔122a、122bは、第2伝熱領域123の長手方向DLにおける両端から長手方向DLに沿って所定距離離れた位置に、中心が幅方向DWにおける中央に位置するように形成される。第2貫通孔122aは第2流通口121aの下方に形成され、第2貫通孔122bは第2流通口121bの上方に形成される。
【0090】
第2貫通孔122aと第1流通口111aとは、同じ形状であって、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。第2貫通孔122bと第1流通口111bとは、同じ形状であって、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。
【0091】
第2伝熱領域123は、第2流通口121a、121bから流入した第2流体が通過しながら第1流体と熱交換をする領域である。第2伝熱領域123は、第2伝熱プレート120と略同じ幅の矩形の領域である。第2伝熱領域123は、第2伝熱プレート120の長手方向DLにおける中央から両端に向かって、第2接続部125a、125bの第2伝熱領域123側の端部まで形成されている。
【0092】
第2伝熱領域123は、第2流通口121a、121bから流入した第2流体が通過する溝状の流路である第2伝熱流路124が複数形成されている。第2伝熱流路124は、長手方向DLに沿って形成された溝である。複数の第2伝熱流路124は、第2伝熱プレート120の幅方向DWに沿って所定の間隔で形成されている。
【0093】
第2伝熱領域123と第1伝熱領域113とは、同じ形状であって、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。複数の第2伝熱流路124と複数の第1伝熱流路114とは、同じ形状であって、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。
【0094】
第2接続部125aは、一端が第2流通口121aに接続され、他端が第2伝熱領域123の長手方向DLにおける下方の端部に接続された溝状の流路である。第2接続部125bは、一端が第2流通口121bに接続され、他端が第2伝熱領域123の長手方向DLにおける上方の端部に接続された溝状の流路である。第2接続部125a、125bのは、第2流通口121a、121bから第2伝熱領域123に向かって、第2貫通孔122a、122bの外方を回り込むように形成されている。隣り合う第2接続部125aどうしは、第2分離部126aにより分けられている。隣り合う第2接続部125bどうしは、第2分離部126bにより分けられている。
【0095】
第2流路230は、第2伝熱領域123(第2伝熱流路124)と、第2伝熱領域123の両端に接続された第2接続部125a、125bとにより構成される。したがって、第1熱交換器100は、第2伝熱プレート120の数と同じ数の第2流路230を有する。
【0096】
本実施形態では、第2接続部125a、125bは、
図7に示されるように、曲線状に形成されている。第2接続部125a、125bは、第2流通口121a、121bから第2伝熱領域123に向かって、流路断面積が拡がるように形成されている。限定するものではないが、本実施形態では、1つの第1流通口111a、111bに対して12本の第2接続部125a、125bが接続されている。より詳細には、
図6、
図7に示されるように、1つの第1流通口111a、111bに接続された第2接続部125a、125bは、6本ずつ幅方向DWにおいて二手に分かれて第2貫通孔122a、122bの外方を回り込むように形成されている。
【0097】
第2突起部127a、127bは、第2接続部125a、125bに設けられる。第2突起部127a、127bは、第2接続部125a、125bを区画して、隔壁130が第2流体から受ける力(圧力)を制限する。第2突起部127aは、平面視において第2伝熱領域123から第2接続部125aに向かって所定の長さにわたり突出する線状に形成されている。第2突起部127bは、平面視において第2伝熱領域123から第2接続部125bに向かって所定の長さにわたり突出する線状に形成されている。本実施形態では、限定するものではないが第2突起部127a、127bは、二手に分かれた6本の第2接続部125a、125bの内、内側に位置する4つに形成されている。
【0098】
複数の第2接続部125a、125bは、第2流体の流れ方向に直交する断面において、隣り合う第2接続部125a、125bどうしを分ける第2分離部126a、126b又は第2突起部127a、127bが次の(式3)好ましくは(式4)の関係を満たすように形成されてもよい。
0.005<La2/P2<0.15 ・・・(式3)
0.02<La2/P2<0.05 ・・・(式4)
【0099】
図8に示されるように、La2は、第2分離部126a、126b又は第2突起部127a、127bと、隔壁130とが接合する長さである。P2は、隣り合う第2分離部126a、126b又は第2突起部127a、127bの間隔である。P2は、隔壁130と第1接続部115a、115bとが接触する長さであるLb2にLa2を加える(P2=Lb1+Lb2)ことにより求められる。
【0100】
第2伝熱領域123(第2伝熱流路124)と、第2接続部125a、125bとは、第2伝熱プレート120の一方の面に形成される。第2流通口121a、121bと、第2貫通孔122a、122bと、第2伝熱領域123と、第2接続部125a、125bと、第2突起部127a、127bとは、限定するものではないが、例えば、プレス加工により形成される。
【0101】
(2-2-3)隔壁130
隔壁130は、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120とを厚み方向DTにおいて隔てる平板である。隔壁130は、2つの第1流通孔131a、131bと、2つの第2流通孔132a、132bとを有する。
【0102】
第1流通孔131a、131bは、厚み方向DTに沿って第1流体が通過する孔である。第1流通孔131a、131bは、隔壁130を厚み方向DTに沿って貫通するように形成されている。本実施形態では、第1流通孔131a、131bは、隔壁130の平面視において円形に形成されている。
【0103】
第1流通孔131aと第1流通口111a及び第2貫通孔122bとは、同じ形状であって、隔壁130と第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。第1流通孔131bと第1流通口111b及び第2貫通孔122aとは、同じ形状であって、隔壁130と第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。
【0104】
第2流通孔132a、132bは、厚み方向に沿って第2流体が通過する孔である。第2流通孔132a、132bは、隔壁130を厚み方向に沿って貫通するように形成されている。本実施形態では、第2流通孔132a、132bは、隔壁130の平面視において円形に形成されている。
【0105】
第2流通孔132aと第2流通口121b及び第1貫通孔112aとは、同じ形状であって、隔壁130と第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。第2流通孔132bと第2流通口121a及び第1貫通孔112bとは、同じ形状であって、隔壁130と第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120とを積層した場合に、平面視において重なり合う位置に形成されている。
【0106】
(2-2-4)第1連通路211a、211b及び第2連通路212a、212b
複数の第1伝熱プレート110、複数の第2伝熱プレート120、及び複数の隔壁130が積層されることで、第1流通孔131aと、第1流通口111aと、第2貫通孔122bとは、互いに連通する。互いに連通した第1流通孔131aと、第1流通口111aと、第2貫通孔122bとは、厚み方向DTに沿って延びる第1連通路211aを構成する。第1連通路211aは、第1流通口111aを介して第1流路220と連通する。
【0107】
複数の第1伝熱プレート110、複数の第2伝熱プレート120、及び複数の隔壁130が積層されることで、第1流通孔131bと、第1流通口111bと、第2貫通孔122aとは、互いに連通する。互いに連通した第1流通孔131bと、第1流通口111bと、第2貫通孔122aとは、厚み方向DTに沿って延びる第1連通路211bを構成する。第1連通路211bは、第1流通口111bを介して第1流路220と連通する。
【0108】
複数の第1伝熱プレート110、複数の第2伝熱プレート120、及び複数の隔壁130が積層されることで、第2流通孔132bと、第2流通口121aと、第1貫通孔112bとは、互いに連通する。互いに連通した第2流通孔132bと、第2流通口121aと、第1貫通孔112bとは、厚み方向DTに沿って延びる第2連通路212aを構成する。第2連通路212aは、第2流通口121aを介して第2流路230と連通する。
【0109】
複数の第1伝熱プレート110、複数の第2伝熱プレート120、及び複数の隔壁130が積層されることで、第2流通孔132aと、第2流通口121bと、第1貫通孔112aとは、互いに連通しする。互いに連通した第2流通孔132aと、第2流通口121bと、第1貫通孔112aとは、厚み方向DTに沿って延びる第2連通路212bを構成する。第2連通路212bは、第2流通口121bを介して第2流路230と連通する。
【0110】
(2-2-5)第1フレーム140及び第2フレーム150
第1フレーム140と第2フレーム150とは、隔壁130を挟んで交互に積層された複数の第1伝熱プレート110及び複数の第2伝熱プレート120を、厚み方向DTにおける両端で挟む金属製の板状部材である。
【0111】
第1フレーム140は、第1流通管141aと、第1流通管141bと、第2流通管142aと、第2流通管142bとを有する。
【0112】
第1流通管141aは、第1フレーム140を貫通し、第1連通路211aに連通している。
【0113】
第1流通管141bは、第1フレーム140を貫通し、第1連通路211bに連通している。
【0114】
第2流通管142aは、第1フレーム140を貫通し、第2連通路212aに連通している。
【0115】
第2流通管142bは、第1フレーム140を貫通し、第2連通路212bに連通している。
【0116】
(2-3)第1流体及び第2流体の流れ
(2-3-1)暖房運転
第1熱交換器100の第1流通管141aから導入された低圧気液二相の第1流体は、第1連通路211aを通過し、第1流通口111aから第1流路220に流入する。第1流路220に流入した気液二相の第1流体は、第1接続部115a、第1伝熱領域113(第1伝熱流路114)、第1接続部115bをこの順で通過する。第1伝熱領域113を流れる第1流体は、隔壁130を介して隣り合う第2流路230の第2流体と熱交換を行って蒸発し、第2流体から熱を吸収する。言い換えると、第1熱交換器100は第1流体の蒸発器として機能する。蒸発した第1流体は、低圧気相の第1流体となり、第1流通口111b及び第1連通路211bを通過して第1流通管141bから導出される。
【0117】
一方、第1熱交換器100の第2流通管142aから導入された高圧気相の第2流体は、第2連通路212aを通過し、第2流通口121aから第2流路230に流入する。第2流路230に流入した高圧気相の第2流体は、第2接続部125a、第2伝熱領域123(第2伝熱流路124)、第2接続部125bをこの順で通過する。第2伝熱領域123を流れる第2流体は、隔壁130を介して隣り合う第1流路220の第1流体と熱交換を行って凝縮し、放熱する。言い換えると、第1熱交換器100は第2流体の凝縮器として機能する。凝縮した第2流体は、高圧液相の第2流体となり、第2流通口121b及び第2連通路212bを通過して第2流通管142bから導出される。
【0118】
(2-3-2)冷房運転
第1熱交換器100の第1流通管141bから導入された高圧気相の第1流体は、第1連通路211bを通過し、第1流通口111bから第1流路220に流入する。第1流路220に流入した高圧気相の第1流体は、第1接続部115b、第1伝熱領域113(第1伝熱流路114)、第1接続部115aをこの順で通過する。第1伝熱領域113を流れる第1流体は、隔壁130を介して隣り合う第2流路230の第2流体と熱交換を行って凝縮し、第2流体に放熱する。言い換えると、第1熱交換器100は第1流体の放熱器として機能する。凝縮した第1流体は、高圧液相の第1流体となり、第1流通口111a及び第1連通路211aを通過して第1流通管141aから導出される。
【0119】
一方、第1熱交換器100の第2流通管142bから導入された低圧気液二相の第2流体は、第2連通路212bを通過し、第2流通口121bから第2流路230に流入する。第2流路230に流入した低圧気液二相の第2流体は、第2接続部125b、第2伝熱領域123(第2伝熱流路124)、第2接続部125aをこの順で通過する。第2伝熱領域123を流れる第2流体は、隔壁130を介して隣り合う第1流路220の第1流体と熱交換を行って蒸発し、第1流体から熱を吸収する。言い換えると、第1熱交換器100は第2流体の蒸発器として機能する。蒸発した第2流体は、低圧気相の第2流体となり、第2流通口121a及び第2連通路212aを通過して第2流通管142aから導出される。
【0120】
(3)特徴
(3-1)
第1熱交換器100は、互いに積層された、第1伝熱プレート110及び第2伝熱プレート120を備える。
【0121】
第1伝熱プレート110は、第1流通口111a、111bと、第1貫通孔112a、112bと、第1伝熱領域113と、第1接続部115a、115bとを有する。
【0122】
第1流通口111a、111bは、第1流体を導入又は導出する。第1貫通孔112a、112bは、第1流体よりも低沸点である第2流体が厚み方向に通過する。第1伝熱領域113は、第1流通口111a、111bから流入した第1流体が通過しながら第2流体と熱交換をする領域である。第1接続部115a、115bは、一端が第1流通口111a、111bに接続され、他端が第1伝熱領域113に接続される。
【0123】
第2伝熱プレート120は、第2流通口121a、121bと、第2貫通孔122a、122bと、第2伝熱領域123と、第2接続部125a、125bとを有する。
【0124】
第2流通口121a、121bは、第1貫通孔112a、112bと連通し、第2流体を導入又は導出する。第2貫通孔122a、122bは、第1流体が厚み方向に通過する。第2伝熱領域123は、第2流通口121a、121bから流入した第2流体が通過しながら第1流体と熱交換をする領域である。第2接続部125a、125bは、一端が第2流通口121a、121bに接続され、他端が第2伝熱領域123に接続される。
【0125】
第2流通口121a、121bは、第2貫通孔122a、122bを挟んで第2伝熱領域123と反対の位置に形成される。第2接続部125a、125bは、第2貫通孔122a、122bの外方を回り込むように形成され、第2突起部127a、127bが設けられている。
【0126】
2つの伝熱プレートを備える熱交換器において、第1流体が流れる流路の長さと第2流体が流れる流路の長さとが同じに形成されると、2つの流体には、同程度の圧力損失が生じる。このようにして生じる圧力損失に起因する圧力の減少割合を比較した場合、2つの流体の内、流入時の圧力が低い流体ほど大きな割合で圧力が減少する。この結果、熱交換器が、熱交換性能を十分に発揮できないという課題がある。
【0127】
第1熱交換器100では、第2接続部125a、125bが、第2貫通孔122a、122bの外方を回り込むように形成されている。言い換えると、第1流体が通過する第1接続部115a、115bの流路の長さが、第1流体よりも低沸点の第2流体が通過する第2接続部125a、125bの流路長さよりも短く形成される。したがって、第1接続部115a、115bを通過する際に第1流体に生じる圧力損失を、第2接続部125a、125bを通過する際に第2流体に生じる圧力損失よりも少なくできる。これにより、第1流体の圧力が大きな割合で減少することが抑制される。したがって、第1熱交換器100によれば、2つの流体の流入時のおける圧力に差がある場合でも、熱交換性能を確保できる。
【0128】
(3-2)
第2突起部127a、127bは、平面視において線状である。
【0129】
(3-3)
第2接続部125a、125bは、平面視において線状である。
【0130】
(3-4)
第1接続部115a、115bは、第1流通口111a、111bから第1伝熱領域113に向かって、流路断面積が拡がるように形成されている。
【0131】
これにより、第1接続部115a、115bを通過する第1流体に生じる圧力損失がさらに低減するため、第1流体の圧力が大きな割合で減少することがさらに抑制される。このため、第1熱交換器100により、より効果的に熱交換性能を確保できる。
【0132】
(3-5)
第1熱交換器100は、隔壁130を備える。隔壁130は、第1伝熱プレート110と第2伝熱プレート120との間に積層された板状部材である。第1接続部115a、115bは、第1流体の流れ方向に直交する断面において、隣り合う第1接続部115a、115bどうしを分ける第1分離部116a、116bと、隔壁130とが接触する長さをLa1、隣り合う第1分離部の間隔をP1とすると、
0.005<La1/P1<0.15
の関係を満たすように形成される。
【0133】
第1接続部115a、115bが上記の関係を満たすように形成されることで、隔壁130が第1接続部115a、115bを通過する第1流体から受ける力(圧力)が制限され、耐圧強度を超えることが抑制される。
【0134】
(3-6)
さらに、第1接続部115a、115bは、
0.005<La1/P1<0.05
の関係を満たすように形成される。
【0135】
第1接続部115a、115bが上記の関係を満たすように形成されることで、隔壁130が第1接続部115a、115bを通過する第1流体から受ける力(圧力)が制限され、耐圧強度を超えることが抑制される。
【0136】
(3-7)
第2接続部125a、125bは、第2流体の流れ方向に直交する断面において、隣り合う第2接続部125a、125bどうしを分ける第2分離部126a、126b又は第2突起部127a、127bと、隔壁130とが接触する長さをLa2、隣り合う第2分離部126a、126b又は第2突起部127a、127bの間隔をP2とすると、
0.005<L2/P2<0.15
の関係を満たすように形成される。
【0137】
第2接続部125a、125bが上記の関係を満たすように形成されることで、隔壁130が第2接続部125a、125bを通過する第2流体から受ける力(圧力)が制限され、耐圧強度を超えることが抑制される。
【0138】
(3-8)
さらに、第2接続部125a、125bは、
0.02<L2/P2<0.15
の関係を満たすように形成される。
【0139】
第2接続部125a、125bが上記の関係を満たすように形成されることで、隔壁130が第2接続部125a、125bを通過する第2流体から受ける力(圧力)が制限され、耐圧強度を超えることが抑制される。
【0140】
(4)変形例
(4-1)変形例A
第2接続部125a、125bは、第2貫通孔122a、122bの外方を回り込むように形成され、突起部により区画されていれば、上記の態様に限定されない。
【0141】
変形例Aに係る第1熱交換器100の第2接続部125bは、
図9に示されるように、第2貫通孔122bの外方に設けられた面状の領域(
図9のハッチングを付した領域)であり、平面視において円形状に形成された複数の第2突起部128bが設けられている。第2突起部128bは、例えば、平面視における半径が1mm、厚み方向DTにおける高さが0.5mmに形成され、1mmの間隔を空けて長手方向DL及び幅方向DWに並べて配置される。第2突起部128bは、限定するものではないが、例えば、プレス加工又はエッチングにより形成される。図示は省略するが、第2伝熱プレート120の下方に設けられた第2接続部125aも同様の形状に形成され、複数の第2突起部128aが設けられる。
【0142】
第2突起部128a、128bの形状は、円形状に限定されない。第2突起部128a、128bの形状は、平面視において、三角形状(
図10参照)、四角形状(
図11参照)、涙滴形状(
図12参照)のいずれかであってもよい。また、第2接続部125bの複数の第2突起部128a、128bは、互いに形状が異なっていてもよい。
【0143】
(4-2)変形例B
第1接続部115a、115bは、曲線状に形成されてもよい。
【0144】
変形例Bに係る第1熱交換器100が有する第1接続部115aは、
図13に示されるように、曲線状に形成される。図示は省略するが、第1伝熱プレート110の下方に設けられた第1接続部115bも同様の形状に形成される。
【0145】
(4-3)変形例C
上記実施形態では、第1流体としてR1234zeが例示され、第2流体として二酸化炭素が例示されたが、これに限定されない。第1流体としては、例えば、R32、HFO系冷媒、R32とHFO系第1流体の混合冷媒、二酸化炭素、アンモニア、プロパン等を用いることができる。第2流体としては、第1流体よりも低沸点の流体であればよく、例えば、R-32、HFO系冷媒、HFC-32とHFO系冷媒の混合冷媒、二酸化炭素、アンモニア、プロパン等の冷媒、水、不凍液等を用いることができる。
【0146】
(4-4)変形例D
上記実施形態では、第1流路220を流れる第1流体と第2流路230を流れる第2流体とが対向流となるように第1熱交換器100が形成されているが、第1熱交換器100は、第1流路220を流れる第1流体と第2流路230を流れる第2流体とが並行流となるように形成されてもよい。
【0147】
(4-5)変形例E
上記実施形態では、第1流通管141a、第1流通管141b、第2流通管142a、及び第2流通管142bの全てが第1フレーム140に形成されているが、第1流通管141a、第1流通管141b、第2流通管142a、及び第2流通管142bの少なくとも一部は、第2フレーム150に形成されてもよい。
【0148】
(4-6)変形例F
第1接続部115a、115bは、一端が第1流通口111aに接続され、他端が第1伝熱領域113に接続されていれば、上記の態様に限定されない。第1接続部115a、は、第1突起部117aがさらに設けられてもよい。また、第1接続部115bは、第1突起部117bがさらに設けられてもよい。
【0149】
図14に示されるように、第1突起部117aは、第1接続部115aを区画して、隔壁130が第1流体から受ける力(圧力)を制限する。第1突起部117aは、平面視において第1伝熱領域113から第1接続部115aに向かって所定の長さにわたり突出する線状に形成されている。図示は省略するが、第1伝熱プレート110の下方に設けられた第1接続部115bも同様の形状に形成され、複数の第1突起部117bが設けられる。
【0150】
(4-7)変形例G
変形例Gに係る第1熱交換器100の第1接続部115aは、
図15に示されるように、第1流通口111aの外方に設けられた面状の領域であり、平面視において円形状に形成された複数の第1突起部117aが設けられている。
【0151】
変形例Gに係る第1熱交換器100では、第1伝熱プレート110は、平面視において、上側端部と第1接続部115aとの間に、所定幅にわたって第1接続部115aが設けられていない帯状領域である隙間119aを有する。隙間119aを有することにより、第1流体が通過する第1接続部115aは、第2流体が通過する第2接続部125aよりも流路長さが長くなることが抑制される。
【0152】
第1突起部117aは、例えば、平面視における半径が1mm、厚み方向DTにおける高さが0.5mmに形成され、1mmの間隔を空けて長手方向DL及び幅方向DWに並べて配置される。第1突起部117aは、限定するものではないが、例えば、プレス加工又はエッチングにより形成される。図示は省略するが、第1伝熱プレート110の下方に設けられた第1接続部115bも同様の形状に形成され、複数の第1突起部117bが設けられる。
【0153】
第1突起部117a、117bの形状は、円形状に限定されない。第1突起部117a、117bの形状は、平面視において、
図10から
図13において第2突起部128bの例として示した、三角形状、四角形状、涙滴形状のいずれかであってもよい。また、第1接続部115a、115bの複数の第1突起部117a、117bは、互いに形状が異なっていてもよい。
【0154】
面状の第1接続部115aの形状は、
図16に示されるように、第1流通口111aから第1伝熱領域113に向かって、幅が拡がる台形状であってもよい。図示は省略するが、第1伝熱プレート110の下方に設けられた第1接続部115bも同様に形成される。
【0155】
<第2実施形態>
(1)給湯器2
本開示の第2実施形態に係る第1熱交換器100を備える給湯器2について、
図12を参照して説明する。給湯器2は、外部から供給された水を加熱する。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様又は対応する特徴については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0156】
給湯器2は、第1熱交換器100と、水回路50と、熱源側回路60と、給湯タンク70とを有する。水回路50は、水を循環させる回路である。熱源側回路60は、水よりも低沸点の流体である二酸化炭素を循環させる回路である。水と二酸化炭素との間での熱交換は、第1熱交換器100において行われる。本実施形態では、水回路50は、屋内に設置され、熱源側回路60は、屋外に設置される。
【0157】
水は、第1流体の一例である。二酸化炭素は、第2流体の一例である。水回路50は、第1流体回路の一例である。熱源側回路60は、第2流体回路の一例である。
【0158】
(1-1)水回路50
水回路50は、水循環ポンプ51と、利用側熱交換器52と、及び第1熱交換器100の第1流路220とにより構成される。
【0159】
水循環ポンプ51は、水回路50の内部において水を循環させる。水循環ポンプ51は、水回路50の内部の水を吸入部51aから吸入し、吐出部51bから吐出する。
【0160】
吸入部51aは、第1熱交換器100の第1流通管141bに接続されている。
【0161】
利用側熱交換器52は、水回路50を循環する水と給湯タンク70の内部に貯留された水との間で熱交換をさせる。利用側熱交換器52は、内部を通る水が給湯タンク70に貯留された水と熱交換できるように、給湯タンク70の内部に配置される。
【0162】
利用側熱交換器52の一端は、水循環ポンプ51の吐出部51bに接続されている。利用側熱交換器52の他端は、第1熱交換器100の第1流通管141aに接続されている。
【0163】
(1-2)熱源側回路60
熱源側回路60は、熱源側圧縮機61と、熱源側膨張弁62と、熱源側熱交換器63と、第1熱交換器100の第2流路230とにより構成される。
【0164】
熱源側圧縮機61は、熱源側回路60における低圧気相の二酸化炭素を吸入部61aから吸入し、それを圧縮して、高圧気相の二酸化炭素として吐出部61bから吐出する。
【0165】
吐出部61bは、第1熱交換器100の第2流通管142aに接続される。
【0166】
熱源側膨張弁62は、熱源側回路60を循環する二酸化炭素の流量を調節し、二酸化炭素を減圧させる減圧装置として機能する。
【0167】
熱源側膨張弁62の一端は、第1熱交換器100の第2流通管142bに接続される。熱源側膨張弁62の他端は、熱源側熱交換器63の一端に接続される。
【0168】
熱源側熱交換器63は、蒸発機として機能し、二酸化炭素と熱源(例えば、外気)との間で熱交換を行わせる。
【0169】
熱源側熱交換器63の他端は、熱源側圧縮機61の吸入部61aに接続される。
【0170】
(1-3)給湯タンク70
給湯タンク70は、外部から供給される水を貯留する。貯留された水は、利用側熱交換器42を通る水との間で熱交換をする。給湯タンク70は、外部から供給される水を入水部70bから取り入れ貯留する。貯留された水は、出水部70aから排出される。
【0171】
(1-4)動作
給湯器2の運転中における、各部の動作を説明する。給湯器2が運転を開始すると、図示しない制御部が、水循環ポンプ51及び熱源側圧縮機61を駆動し、熱源側膨張弁62の開度を給湯タンク70から排出される水の目標温度に応じた適切な開度に設定する。
【0172】
(1-4-1)水回路30の動作
水循環ポンプ51が駆動すると、吸入部51aから吸入された水は、吐出部51bから吐出される。吐出された水は、利用側熱交換器52で給湯タンク70に貯留された水と熱交換をする。熱交換をした水回路30を循環する水は、第1熱交換器100の第1流通管141aを通過して第1流路220へ入る。第1流路220を通過する水は、第2流路230を通る二酸化炭素から熱を吸収する(言い換えると、二酸化炭素により加熱される)。熱を吸収した水回路30を循環する水は、第1流通管141bを通過して第1流路220を出る。水循環ポンプ51は、第1流路220を出た水を吸入部51aから吸入し、吐出部51bから吐出する。
【0173】
(1-4-2)熱源側回路60の動作
熱源側圧縮機61は、熱源側回路60における低圧気相の二酸化炭素を吸入部61aから吸入し、高圧気相の二酸化炭素として吐出部61bから吐出する。高圧気相の二酸化炭素は、第1熱交換器100の第2流通管142aを通過して第2流路230へ入る。第1熱交換器100は、高圧気相の二酸化炭素を放熱させることにより凝縮させ高圧液相の二酸化炭素とする。このとき、二酸化炭素は、第1熱交換器100の第1流路220を通る水へ熱を放出する(言い換えると、水を加熱する)。高圧液相の二酸化炭素は、第2流通管142bを通過して第2流路230を出て、熱源側膨張弁62へ到達する。適切な開度を設定された熱源側膨張弁62は、高圧液相の二酸化炭素を減圧し低圧気液二相の二酸化炭素とする。低圧気液二相の二酸化炭素は、熱源側熱交換器63へ到達する。熱源側熱交換器63は、低圧気液二相の二酸化炭素を蒸発させ低圧気相の二酸化炭素とする。このとき、二酸化炭素は、熱源(外気)から熱を吸収する。低圧気相の二酸化炭素は、熱源側熱交換器63を出て、吸入部61aから熱源側圧縮機61に吸入される。
【0174】
(2)特徴
給湯器2においても、第1熱交換器100は、冷媒サイクル装置1に用いられた場合と同様の効果を奏する。具体的には、第1接続部115a、115bを通過する際に水に生じる圧力損失を、第2接続部125a、125bを通過する際に二酸化炭素に生じる圧力損失よりも少なくできる。これにより、水の圧力が大きな割合で減少することが抑制される。したがって、第1熱交換器100によれば、2つの流体の流入時のおける圧力に差がある場合でも、熱交換性能を確保できる。
【0175】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0176】
1 冷媒サイクル装置
2 給湯器
10 第1流体回路
20 第2流体回路
30 水回路(冷媒サイクル装置)
40 制御部
50 水回路(給湯器)
60 熱源側回路
100 第1熱交換器
110 第1伝熱プレート
111a、111b 第1流通口
112a、112b 第1貫通孔
113 第1伝熱領域
115a、115b 第1接続部
116a、116b 第1分離部
117a、117b 第1突起部
120 第2伝熱プレート
121a、121b 第2流通口
122a、122b 第2貫通孔
123 第2伝熱領域
125a、125b 第2接続部
126a、126b 第2分離部
127a、127b 第2突起部
128b 第2突起部(円形状)
130 隔壁
DL 長手方向
DT 厚み方向
DW 幅方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0177】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層された、第1伝熱プレート(110)及び第2伝熱プレート(120)と、
前記第1伝熱プレートと前記第2伝熱プレートとの間に積層された板状部材である隔壁(130)と
を備え、
前記第1伝熱プレートは、
第1流体を導入又は導出する2つの第1流通口(111a、111b)と、
前記第1流体よりも低沸点である第2流体が厚み方向(DT)に通過する2つの第1貫通孔(112a、112b)と、
前記第1流通口から流入した前記第1流体が通過しながら前記第2流体と熱交換をする第1伝熱領域(113)と、
一端が前記第1流通口に接続され、他端が前記第1伝熱領域に接続された第1接続部(115a、115b)とを有し、
前記第2伝熱プレート(120)は、
前記第1貫通孔と連通し、前記第2流体を導入又は導出する第2流通口(121a、121b)と、
前記第1流体が厚み方向に通過する2つの第2貫通孔(122a、122b)と、
前記第2流通口から流入した前記第2流体が通過しながら前記第1流体と熱交換をする第2伝熱領域(123)と、
一端が前記第2流通口に接続され、他端が前記第2伝熱領域に接続された第2接続部(125a、125b)とを有し、
前記第2流通口は、
前記第2貫通孔を挟んで前記第2伝熱領域と反対の位置に形成され、
前記第2接続部は、
前記第2貫通孔の外方を回り込むように形成され、
第2突起部(127a、127b、128a、128b)が設けられている、熱交換器。
【請求項2】
前記第2突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において線状である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第2接続部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において線状である、
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第2突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において円形状(128b)である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第2突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において三角形状である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第2突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において四角形状である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第2突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において涙滴形状である、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1接続部は、
前記第1流通口から前記第1伝熱領域に向かって、
流路断面積が拡がるように形成されている、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1接続部は、
第1突起部(117a、117b)が設けられており、
前記第1突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において線状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記第1接続部は、
第1突起部が設けられており、
前記第1突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において円形状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記第1接続部は、
第1突起部が設けられており、
前記第1突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において三角形状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記第1接続部は、
第1突起部が設けられており、
前記第1突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において四角形状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記第1接続部は、
第1突起部が設けられており、
前記第1突起部は、
前記第1伝熱プレート及び前記第2伝熱プレートの積層方向から見た平面視において涙滴形状である、
請求項8に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記第1伝熱プレートと前記第2伝熱プレートとの間に積層された板状部材である隔壁(130)を備え、
前記第1接続部は、
前記第1流体の流れ方向に直交する断面において、
隣り合う前記第1接続部どうしを分ける第1分離部(116a、116b)と前記隔壁とが接触する長さをLa1、
隣り合う前記第1分離部の間隔をP1
とすると、
0.005<La1/P1<0.15
の関係を満たすように形成されている、
請求項9に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記第1接続部は、
0.005<La1/P1<0.05
の関係を満たすように形成されている、
請求項14に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記第2接続部は、
前記第2流体の流れ方向に直交する断面において、
隣り合う前記第2接続部どうしを分ける第2分離部(126a、126b)又は前記第2突起部と、前記隔壁とが接触する長さをLa2、
隣り合う前記第2分離部又は前記第2突起部の間隔をP2
とすると、
0.005<La2/P2<0.15
の関係を満たすように形成されている、
請求項3に記載の熱交換器。
【請求項17】
複数の前記第2接続部は、
0.02<La2/P2<0.15
の関係を満たすように形成されている、
請求項16に記載の熱交換器。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の熱交換器と、
前記第1流体が循環する第1流体回路(10)と、
前記第2流体が循環する第2流体回路(20)と
を備える、
冷媒サイクル装置。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1項に記載の熱交換器と、
前記第1流体が循環する第1流体回路(50)と、
前記第2流体が循環する第2流体回路(60)と
を備える、
給湯器。