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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121513
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】懸吊装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/02 20060101AFI20240830BHJP
   B66F 7/04 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B66F7/02 E
B66F7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028658
(22)【出願日】2023-02-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)公開日:令和4年2月28日、公開した者:フクテツ工業株式会社、公開した場所:株式会社エコー滋賀工場(住所:滋賀県蒲生郡日野町大谷480-3) (2)公開日:令和4年6月14日、公開した者:フクテツ工業株式会社、公開した場所:株式会社エコー滋賀工場(住所:滋賀県蒲生郡日野町大谷480-3) (3)公開日:令和5年2月9日、公開した者:フクテツ工業株式会社、公開した場所:近泉化学工業株式会社(住所:滋賀県湖南市吉永355番地1)
(71)【出願人】
【識別番号】523070274
【氏名又は名称】嶋岡 広一
(74)【代理人】
【識別番号】100145953
【弁理士】
【氏名又は名称】真柴 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】嶋岡 広一
(57)【要約】
【課題】作業者にかかる負担を軽減できる容器の懸吊装置を得る事。
【解決手段】 上下方向に長さを有している支持部材2と、
前記支持部材2により回転可能に支持された保持部材3と、
前記保持部材3に保持された接続部41、前記接続部から下方向に伸びた本体部42及び前記本体部42から接続部軸方向に対して略垂直方向に伸びた吊下部43を含んだ、上下動可能である吊下部材4と、
を含む懸吊装置1。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に長さを有している支持部材と、
前記支持部材により回転可能に支持された保持部材と、並びに
前記保持部材に保持された接続部、前記接続部から下方向に伸びた本体部及び前記本体部から接続部軸方向に対して略垂直方向に伸びた吊下部を含んだ、上下動可能である吊下部材と、
を含む懸吊装置。
【請求項2】
前記保持部材と前記支持部材との間にベアリングが備えられている、請求項1に記載の懸吊装置。
【請求項3】
前記保持部材が、前記支持部材により回転可能に支持された支持部及び前記支持部からその軸方向に対して角度を有する保持部を含む、請求項1に記載の懸吊装置。
【請求項4】
前記接続部が前記保持部に固定されており、前記支持部材が伸縮することにより前記吊下部材の上下動の制御がされる、請求項3に記載の懸吊装置。
【請求項5】
さらに、シリンダーチューブ、前記シリンダチューブ内に収容されたピストン及び前記ピストンに接続されたシリンダーロッド又は前記ピストンの動きに連動するスライダを含んだ、支持部材又は支持部に固定されたシリンダーと、
前記支持部材又は保持部材において、前記シリンダーロッドが伸びきった点又は前記スライダが移動する終点から見てシリンダーチューブ側に設けられた線状部材固定部と、並びに
前記線状部材固定部にその一端が固定され、前記シリンダーのシリンダーロッド又はスライダの先端及び前記保持部の先端を介して吊下部材の接続部に接続された線状部材と、
を含み、前記シリンダーロッドの伸縮又はスライダの移動に応じて前記吊下部材が上下動する、請求項3に記載の懸吊装置。
【請求項6】
さらに、シリンダーチューブ、前記シリンダチューブ内に収容されたピストン及び前記ピストンに接続されたシリンダーロッド又はスライダを含んだ、支持部に固定されたシリンダーと、
前記シリンダーロッド又はスライダにその一端が固定され、前記保持部の先端を介して吊下部材の接続部に接続された線状部材と、
を含み、前記シリンダーロッドの伸縮又はスライダの移動に応じて前記吊下部材が上下動する、請求項3に記載の懸吊装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸吊装置の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
容器、例えば袋体に収容された粉状又は粒子状の原料を搬送するための機構が存在する。例えば、樹脂を射出成形する際には、ペレット状のプラスチック粒子を溶融させて型に射出してプラスチック成形品を製造するが、一般的にこのような溶融されるプラスチック粒子はフレキシブルコンテナバッグに代表される容器に収容されており、前記容器から搬送手段を用いて射出成形する機器に向けて搬送される。
【0003】
特許文献1は、前記のような容器から粉粒状の原料を搬送するための機構を開示している。特許文献1は、粉粒体が入った容器を吊下げるための吊下部材と、前記容器内に差し込まれる吸引パイプと、前記吸引パイプを上下方向に立たされた姿勢に維持するための姿勢維持機構と、を有する粉粒体の吸引搬送装置を開示している。具体的には、特許文献1に開示される吸引搬送装置における前記姿勢維持機構は、複数のフレームにより組まれた立体的構造物により前記吊下部材を支持している。前記吊下部材には袋体の持ち手を吊り下げるための吊下帯が2つ設けられている。前記2つの吊下帯に、袋体の左右の持ち手が吊り下げられる。袋体中の原料が吸い出されてその量が少なくなると吊下部材が上昇し、袋体を上に持ち上げて吸引パイプの吸引口が袋体の底に近づき、残り少なくなった原料を吸い出しやすくするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-86905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に前記のような原料を収容する袋体は大きい上に、収容されている原料の質量も相まって全体としてかなり重い質量を有している。一方で、特許文献1に記載する技術では、前記の通り左右の吊下帯に袋体の持ち手を吊り下げなければならないところ、非常に重い袋体の持ち手と吊下帯の位置を合わる必要があり、作業者にかかる負担がかなり大きいものになっている。また、原料を搬送する際には、その底側に開閉可能な排出口を有する袋体、例えばフレキシブルコンテナバッグの前記排出口を開放して下側から搬出機構に原料を供給する場合もある。しかしながら、前記特許文献1の技術では、前記のような複雑な立体的構造からなるフレームにより支えられているため、袋体の下側から外部装置である搬出機構に原料を供給することが困難であった。したがって、容器を吊り下げる際に作業者にかかる負担をより減らし、搬出方法に制約の少ない技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者が鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する懸吊装置により前記課題が解決できることを見いだし、本発明に至った。
すなわち本発明は、
[1]上下方向に長さを有している支持部材と、
前記支持部材により回転可能に支持された保持部材と、並びに
前記保持部材に保持された接続部、前記接続部から下方向に伸びた本体部及び前記本体部から接続部軸方向に対して略垂直方向に伸びた吊下部を含んだ、上下動可能である吊下部材と、
を含む懸吊装置、
[2]前記保持部材と前記支持部材との間にベアリングが備えられている、[1]に記載の懸吊装置、
[3]前記保持部材が、前記支持部材により回転可能に支持された支持部及び前記支持部からその軸方向に対して角度を有する保持部を含む、[1]に記載の懸吊装置、
[4]前記接続部が前記保持部に固定されており、前記支持部材が伸縮することにより前記吊下部材の上下動の制御がされる、[3]に記載の懸吊装置、
[5]さらに、シリンダーチューブ、前記シリンダチューブ内に収容されたピストン及び前記ピストンに接続されたシリンダーロッド又は前記ピストンの動きに連動するスライダを含んだ、支持部材又は支持部に固定されたシリンダーと、
前記支持部材又は保持部材において、前記シリンダーロッドが伸びきった点又は前記スライダが移動する終点から見てシリンダーチューブ側に設けられた線状部材固定部と、並びに
前記線状部材固定部にその一端が固定され、前記シリンダーのシリンダーロッド又はスライダの先端及び前記保持部の先端を介して吊下部材の接続部に接続された線状部材と、
を含み、前記シリンダーロッドの伸縮又はスライダの移動に応じて前記吊下部材が上下動する、[3]に記載の懸吊装置、並びに
[6]さらに、シリンダーチューブ、前記シリンダチューブ内に収容されたピストン及び前記ピストンに接続されたシリンダーロッド又はスライダを含んだ、支持部に固定されたシリンダーと、
前記シリンダーロッド又はスライダにその一端が固定され、前記保持部の先端を介して吊下部材の接続部に接続された線状部材と、
を含み、前記シリンダーロッドの伸縮又はスライダの移動に応じて前記吊下部材が上下動する、[3]に記載の懸吊装置、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の懸吊装置により、作業者が原料を収容した容器、例えば袋体を吊り下げる際に袋体の位置決めをする労力を最小限とし、作業者の負担を極力少なくできる。また、本発明の懸吊装置は、容器の口に吸引パイプを挿入して吸引パイプにより容器内の原料を吸引する方法だけで無く、袋体の下側から外部装置である搬出機構に原料を供給する方法に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の懸吊装置の一形態の正面図である。
図2】(A)支持部材の正面図、(B)(A)の支持部材の平面図、(C)シリンダーを備えた支持部材の正面図、(D)(C)の支持部材のシリンダーロッドを伸ばした状態の正面図、(E)別の形態の支持部材の正面図、(F)(E)の支持部材の平面図、(G)さらに別の形態の支持部材の正面図及び(H)(G)の支持部材の平面図である。
図3】(A)保持部材の正面図、(B)(A)の保持部材の平面図、(C)(A)の保持部材の左側面図、(D)別の形態の保持部材の正面図及び(E)(D)の保持部材の平面図、(F)支持部材による保持部材の支持の一形態を表す正面図及び(G)(F)の平面図である。
図4】(A)吊下部材の正面図、(B)(A)の吊下部材の平面図、(C)別の形態の吊下部材の正面図、(D)さらに別の形態の吊下部材の正面図及び(E)さらに別の形態の吊下部材の正面図である。
図5】(A)ロッド有りシリンダーの正面図、(B)(A)のシリンダーの底面図、(C)滑車を備えたロッド有りシリンダーの正面図、(D)(C)のシリンダーの底面図、(E)ロッドレスシリンダーの一形態を示す正面図及び(F)ロッドレスシリンダーのスライダに滑車を備えた一形態を示す正面図である。
図6】(A)本発明の懸吊装置の一形態の正面図及び(B)(A)の支持部材を伸長させた状態を示す正面図である。
図7】(A)図6の懸吊装置に容器の取っ手を引っかけた状態を説明する正面図、(B)(A)の平面図、(C)(A)の支持部材を伸張させた状態を説明する正面図及び(D)(C)の平面図である。
図8】さらに別形態の懸吊装置の一形態の正面図である。
図9】さらに別形態の懸吊装置の一形態の正面図である。
図10図9の懸吊装置の側面図である。
図11】さらに別形態の懸吊装置の一形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態及び態様に限定されず、本発明の技術的範囲内で種々の変更が可能であることは言うまでもない。また、文中における「上下」、「前後」及び「左右」は、各図面に記載の方向を意味する。
【0010】
本発明の懸吊装置の具体的な例が図1に示されている。本発明の懸吊装置1は、上下方向に長さを有している支持部材2と、前記支持部材2により回転可能に支持された保持部材3並びに前記保持部材3に保持された接続部41、前記接続部から下方向に伸びた本体部42及び前記本体部42から接続部41の軸方向に対して略垂直方向に伸びた吊下部43を含んだ、上下動可能である吊下部材4と、を含んでいる。以下に、構成毎に詳細に説明する。
【0011】
1.支持部材2
支持部材2は、前記の通り上下方向に長さを有している部材である。支持部材2の形状は、上下方向に長さを有しており、後述するように吊下部材により容器を吊り下げた際にその質量に耐えることができる事を条件として、特に制限はされない。支持部材2を平面方向から見た際の形状については、例えば、楕円を含む円形、三角形、四角形及び六角形等の多角形の形状であっても良い(図1において支持部材2の平面形状は円形である(図2(B)参照))。上下方向の長さについては、吊下部材4により吊り下げられる対象となる容器の大きさ、容器に収容される原料等の種類、懸吊装置を設置するスペース等に基づいて適宜調整可能である。支持部材2の素材は、後述するように吊下部材4により容器を吊り下げた際にその質量に耐えることができる事を条件として、特に制限はされない。このような素材の例として、例えば、鉄、鉄鋼、ステンレス及びアルミニウム等の金属素材や、アクリル等の樹脂素材等が挙げられる。なお、支持部材2の太さについては、吊下部材4により吊り下げられる対象となる容器の大きさ、容器に収容される原料等の種類、懸吊装置を設置するスペース等に基づいて適宜調整可能である。また、後述するように支持部材2の上側を保持部材3の支持部31に開けられた挿入孔311に挿入する場合には、支持部材2が回転可能に支持されるように、少なくとも支持部材2上側の平面方向形状を円形にして、その直径を前記挿入孔311の直径よりも小さくすることが望ましい。
【0012】
前記支持部材2の下端には、支持部材2を設置する際に支持部材2と接地面とが直接接触することを防止し、かつ支持部材2のぐらつきを抑えるための脚部21を含んでも良い。また、支持部材2は、図1(A)に示すような継ぎ目のない一本の棒状の部材であっても良いが、後述するように吊下部材4を上下動させるための機構を含んでも良い。例えば、図2(C)には、支持部材2の中間部分がシリンダー22を含む形態の一例を示している。前記シリンダー22は、シリンダーチューブ221、前記シリンダーチューブ221内に収容されたピストン222及び前記ピストン222に接続されたシリンダーロッド223を含んでいる。前記シリンダーチューブ221及びシリンダーロッド223は、それぞれ支持部材2の上側及び下側と接続されている。シリンダーロッド223がシリンダーチューブ221内のピストン222の動きに連動して伸縮する。前記シリンダーロッド223の伸縮によって、支持部材2全体が伸縮する(図2(C)及び(D)参照)。前記シリンダー22として、油圧シリンダー又はエアシリンダー等が挙げられる。上記シリンダーはいずれも、シリンダーロッド223が、シリンダーロッド223側に押し出される推力を有するシリンダーを使用することが好ましい。シリンダー22の推力は、後述のように吊り下げられる容器の大きさ、質量等に応じて適宜調整可能である。
【0013】
また、後述するように、懸吊装置1が線状部材8を含む場合には、図2(E)に示すように支持部材2に段差を設けて、当該段差を上下方向に貫通する貫通孔23を空けて(図2(E)及び(F)参照)、線状部材8の通り道を設けても良い。また、図2(G)及び(H)に示すように、支持部材2を、貫通孔23を有するパイプ状の部材とし、平面から見た形状がコの字型になっている土台部24のコの字の内側に支持部材2を接着又は溶接しても良い。また、後述するように、支持部材2の上部を保持部材3の挿入孔311に挿入する場合には、後述する保持部材3に設けられた駐止部36と掛かり合って保持部材3を回転可能に支持するための駐止部25を支持部材2の上部外周に設けても良い(図2(G)及び(H)参照)。
【0014】
2.保持部材3
保持部材3は、前記支持部材2により回転可能に支持される部材である。保持部材3は、前記のように支持部材2により回転可能に支持され、吊下部材4を保持できる事を条件として、特に形状に制限を受けることは無い。図3に保持部材3の具体的な形態例が示されている。図3の保持部材3は、上下方向に長さを有する支持部31及び前記支持部31からその軸方向に対して角度を有する保持部32を含む。支持部31は、支持部材2により回転可能に保持され、保持部32を支持することができる部材であれば、特に形状や大きさ等に制限はない。例えば、図3(A)に示すように、四角形の棒状であっても良い。支持部31の平面形状は、前記のように四角形を始めとした多角形でも良いし、楕円を含む円形でも良い。
【0015】
なお、後述するように支持部材2を支持部31に挿入して支持する場合には、支持部31内に支持部材2を挿入できる挿入孔311を設けても良い。挿入孔311は、図3(A)に示すように上下方向に貫通している孔でもよいし、上下方向に貫通しない穴であってもよい。また、前記のように支持部材2に駐止部25を設ける場合には、支持部31の下部外周に駐止部36を設けても良い(図3(D)及び(E)参照)。
【0016】
前記保持部32は、前記支持部31からその上下の軸方向に対して角度を有する部分である。「軸方向に対して角度を有する」とは、保持部32の先端が支持部31の軸方向から見て突き出た状態になるような角度を意味する。例えば、図3(A)に示すように保持部32の支持部31の上下軸方向に対する角度を略垂直にしても良いし、垂直以外の角度(鋭角又は広角)にしても良い。保持部32は、支持部31により支持され、後述する吊下部材4により容器等を吊り下げた際にその質量に耐えることができる事を条件として、特に形状や大きさ等に制限は無い。例えば、図3(C)に示すように、四角形の棒状であっても良い。保持部32の側面からみた形状(断面形状)は、前記のような四角形を始めとした多角形でも良いし、楕円を含む円形でも良い。保持部材3は、必要に応じて、支持部31と保持部32を補強するための補強部33を有しても良い。
【0017】
前記支持部31、保持部32及び必要に応じて設けられる補強部33の素材は、後述するように吊下部材4により容器を吊り下げた際にその質量に耐えることができる事を条件として、特に制限はされない。このような素材の例として、例えば、鉄、鉄鋼、ステンレス及びアルミニウム等の金属素材や、アクリル等の樹脂素材等が挙げられる。
【0018】
後述するように、懸吊装置1が線状部材8を含む場合には、支持部31を上下に貫通する貫通孔34を空けて線状部材8の通り道を確保した上で、保持部材3の任意の箇所に円周方向に溝を有し、かつ回転可能な滑車35を設けても良い。例えば、図3(D)及び(E)に示すように、支持部31を上下に貫通する貫通孔34を空け、前記貫通孔34の近傍及び保持部32の左方向先端に滑車35、35を設けても良い。また、前記挿入孔311が上下に貫通している場合には、挿入孔311が前記貫通孔34の役割を果たしても良い。
【0019】
前記の通り、保持部材3の支持部31は、支持部材2に対して回転可能に支持される。支持部31を回転可能に支持する方法は、支持部31を支持部材2に対して回転させることができ、かつ、後述するように吊下部材4により容器等を吊り下げた際にその質量に耐えることができる事を条件として従来から存在する回転手段を特に制限無く使用できる。このような回転手段として、例えば、ベアリングを用いた回転手段、支持部31又は支持部材2のいずれか1方を軸として他方を軸受とする機構等が挙げられる。図3(F)及び(G)には、支持部31の下端に断面形状が円形である軸部37及び支持部材2の上端に空けられた断面形状が円形の穴である軸受部26が設けられた形態が示されている。なお、軸部37の回転を補助するために、軸受部26に、ピボット玉軸受等のベアリングを備えても良い。
【0020】
また例えば、図1に示すように、支持部材2の上部を支持部31に開けられた挿入孔311に挿入し、支持部材2と支持部31が接する箇所(具体的には、例えば駐止部25と駐止部36の間)にベアリング5を設けても良い。前記ベアリング5は、後述するように吊下部材4により容器等を吊り下げた際にその質量に耐えることができる事を条件として、従来から存在するベアリングを特に制限無く使用できる。このようなベアリングの具体例として、例えば、スラスト玉軸受、ピボット玉軸受及びスラスト円筒ころ軸受等が挙げられる。
【0021】
3.吊下部材4
本発明の吊下部材4は、図4(A)及び(B)にその一形態例が示されているように、接続部41、前記接続部から下方向に伸びた本体部42及び前記本体部42から接続部41の軸方向(図4における点線αの方向)に対して略垂直方向に伸びた吊下部43を含む部材である。図5(A)及び(B)において、吊下部材4はフックの形状として示されている。個別の部材としての接続部41、本体部42及び吊下部43とが組み合わされて吊下部材4を構成しても良いし、図4(A)に示すように、接続部41、本体部42及び吊下部43とがつなぎ目無しに一体の部材として構成されても良い。より高い物理的強度が得られるため、図4(A)に示すように接続部41、本体部42及び吊下部43がつなぎ目無しに一体の部材として構成されることがより好ましい。
【0022】
前記接続部41及び本体部42は、図4(A)に示すように外観上区別できる部分であっても良いし、図4(C)~(E)に示すように本体部42の上端の一部が接続部41として機能しても良い。前記の通り、吊下部43は、前記本体部42から接続部41の軸方向に対して略垂直方向に伸びた部分である。吊下部43の数は、吊下部材4により容器等を吊り下られることを条件として特に制限されない。例えば、図4(A)及び(C)に示すように吊下部が1本だけ設けられても良いし、図4(D)及び(E)に示すように2本以上設けられても良い。ここで、「接続部41の軸方向に対して略垂直方向」とは、接続部41の軸方向に対して垂直方向が含まれることは勿論のこと、吊下部43により容器等を吊下ることができる直角以外の角度が含まれる事を意味する。例えば、図4(E)に示すように、接続部41の軸方向に対して吊下部43の角度が直角から下を向いた角度であってもよいし、無論上を向いた角度であってもよい。また、図4(C)に示すように、吊下部43が返しを有していても良い。吊下部材4の大きさ及び材質は、吊り下げられる容器の大きさ及び質量等に基づいて適宜調整可能である。また、吊下部材4の材質として、例えば、鉄、鉄鋼、ステンレス及びアルミニウム等の金属素材や、アクリル等の樹脂素材等が挙げられる。
【0023】
4.シリンダー6
本発明の懸吊装置1は、シリンダー6を含む場合がある。前記シリンダー6として、油圧シリンダー又はエアシリンダー等が挙げられる。また、前記シリンダー6は、ロッドを有するシリンダーであっても良いし、ロッドレスのシリンダーを使用しても良い。図5(A)及び(B)には、ロッドを有するシリンダーの一形態が示されている。図5のシリンダー6は、シリンダーチューブ61、前記シリンダチューブ内に収容されたピストン62及び前記ピストン62に接続されたシリンダーロッド63を含んでいる。上記シリンダーは、ロッド63をロッド側に押し出す推進力を有するシリンダーであっても良いし、ロッド63をシリンダーチューブ61側に引き込む推進力を有するシリンダーであっても良い。シリンダー6の推力は、後述のように吊り下げられる容器の大きさ、質量等に応じて適宜調整可能である。後述するように、線状部材8を使用する際には、シリンダーロッド63の先端に線状部材を通すための溝や孔(図示せず)を備えても良い。また、前記溝や孔の代わりに、シリンダーロッド63の先端に円周方向に溝を有する滑車64を回転可能な状態で備えても良い(図5(C)及び(D)参照)。また、シリンダーロッド63の先端に、後述する線状部材8を直接接続しても良い。
【0024】
図5(E)にはシリンダー6として使用できるロッドレスシリンダーの一形態が示されている。図5(E)のロッドレスシリンダーは、シリンダーチューブ61、シリンダーチューブ61内に収容されたピストン62及びシリンダーチューブ61の外周においてその軸方向に移動可能に保持されたスライダ66を含んでいる。前記ピストン62とスライダ66は、それぞれマグネット65を含んでいる。シリンダーチューブ61内のピストン62が、油圧又はエア圧で移動すると、ピストン62に含まれたマグネット65の磁力により、その動きに追随してスライダ66が移動する。図5(F)に示すように、スライダ66に円周方向に溝を有する滑車64を回転可能に備えても良い。ロッドレスシリンダーは、前記ロッド有りのシリンダーの場合と同様に、押し側又は引き側のどちらも使用できる。また、その推力についても、ロッド有りのシリンダーの場合と同様に調整可能である。
【0025】
5.線状部材8
本発明の懸吊装置1は、線状部材8を含む場合がある。線状部材8は、後述するように懸吊装置1により容器等を吊り下げる際に、その質量に耐えられる事を条件として、従来から使用されているいかなる線状部材も選択可能である。線状部材8の具体例として、例えば、ロープ、ピアノ線及び金属製、例えば鉄鋼製のワイヤー等が挙げられる。
【0026】
6.懸吊装置1の具体的形態例1
図6に懸吊装置1の具体的な形態例が示されている。図6の懸吊装置1において、シリンダー22が支持部材2の途中に備えられている。また、吊下部材4の接続部41は、保持部材3の保持部32の先端付近(図6(A)における保持部32の左端)において下向きに固定されている。図6の懸吊装置1において、支持部材2の上部が保持部材3の挿入孔311に挿入され、駐止部25と駐止部36との間にベアリング5(具体的には、スラスト玉軸受け)が備えられており、保持部材3が支持部材2に対して回転可能に支持されている。シリンダー22にはエアラインに接続されたエアチューブ67が接続されており、エアチューブ67にはシリンダー22を開放するための弁68及びエア圧力を調整するためのエア調整ダイヤル69が備えられている。弁68を開放することでシリンダーロッド223がシリンダーチューブ221側に移動して支持部材2の全体の長さが短くなる(図6(A)の状態)。一方で、弁68を閉じてエアを供給することによりシリンダーロッド223がシリンダーロッド223側に押し出され、支持部材2全体の長さが長くなる(図6(A)→(B)への動き)。
【0027】
懸吊装置1を使用する際には、まず弁68を開放してシリンダー22のシリンダーロッド223をシリンダーチューブ221内に押し込み(図6(A)の状態)吊下部材4を下降させる。下降した吊下部材4に容器を吊り下げたあと、弁68を閉じて、エア調整ダイヤル69によりエア圧を調整してシリンダー22の押し側推力を所定の値に調整する。シリンダー22の押し側推力は、容器に原料等が最大限詰め込まれた状態において、吊下部材4に対して下向きに作用する荷重よりも小さくなるように設定されるとともに、原料等が搬出され荷重が小さくなるにしたがって、徐々に吊下部材4を上方に移動させるように空の容器の合計質量よりも大きくなるように設定される。
【0028】
図6の吊下部材を用いて袋等の容器を吊り下げた場合の一態様が、図7に示されている。図7(A)及び(B)は、本発明の懸吊装置1の吊下部材4により、台Rに置かれた容器Bの左右の取っ手B1が引っかけられた状態を示している。本発明の懸吊装置1は、前記のようにベアリング5が備えられており保持部材3が回転可能に支持されている。したがって、本発明の懸吊装置1に容器Bの取っ手B1を引っかける際に、容器Bの取っ手B1の位置が吊下部材4の真下に来ていない場合であっても、シリンダー22のシリンダーロッド223をシリンダーチューブ221に押し込んで且つ保持部材3を回転させることで容易に取っ手B1を吊下部材4に引っかけることが可能である。
【0029】
また、容器Bに収容された原料が搬出されるにしたがって、容器B全体の質量が減少する。容器Bの質量が減少することにより、シリンダー22の押し側推進力が容器Bの質量に勝ることで、シリンダー22のシリンダーロッド223が伸長する。シリンダーロッド223が伸長することにより、容器Bが徐々に持ち上がると同時に保持部材3が回転して吊下部材4が容器Bの真上に来るように自動的に回転する(図7(C)及び(D)参照)。本発明の懸吊装置1は、前記のように保持部材3が支持部材2に対して回転可能に支持されていることにより、前記のように懸吊装置1により容器を吊り下げる際の位置調整を厳密に行う必要がなくなるため、作業者にかかる負担を大幅に削減できる。また、容器Bを吊り下げた後であっても、容器Bを押し引きする事で保持部材3が容易に回転し、吊り下げた後の容器の位置調整もより容易に行える。容器が吊り下げられることにより、搬送手段がパイプである場合には、容器の底がパイプの先端に近づき、パイプによる原料の搬出がよりスムーズになる。また、複雑な立体構造を有していないため、底部に搬出口を有する容器、例えばフレキシブルコンテナバッグを使用して底部から原料を搬出する場合においても、容器が吊り下げられることにより原料が容器底部に流れ込み、底部からの原料の搬出がよりスムーズになる。
【0030】
7.懸吊装置1の具体的形態例2
図8に、懸吊装置1の別の具体的な形態例が示されている。図8の形態例において、同一の番号が振られており特に説明が無い場合、図6の形態の場合と同様である。図8の懸吊装置1において、滑車を備えたロッド有りのシリンダー6が支持部材2の途中に備えられている。図8においてシリンダー6の取り付け方向は、シリンダーロッド63が下向きに伸長する方向に取り付けられている。なお、前記ロッド有りシリンダーの代わりに、図5(F)に示すような滑車64を備えたロッドレスシリンダーを使用しても良い。
【0031】
さらに支持部材2には、シリンダーロッド63が伸びきった点から見てシリンダーチューブ61側(図8においてはシリンダーチューブ61の上下方向略中央)に、支持部材2の軸方向に対して垂直方向に突き出した線状部材固定部7が備えられている。なお、ロッドレスシリンダーを使用する場合には、ロッドレスシリンダーに圧力を供給した際にスライダ66が移動しきった点(終点)から見て少なくともシリンダーチューブ側に線状部材固定部7が備えられる。線状部材固定部7には、線状部材8の一端が固定されている。前記線状部材固定部7に固定された線状部材8のもう一方の端は、シリンダーロッド63の先端に備えられた滑車64の溝を介して支持部材2の貫通孔23を通り、保持部材3の貫通孔34及び滑車35、35を介して吊下部材4の接続部41に固定されている。
【0032】
懸吊装置1を使用する際には、まず弁68を開放してシリンダー6のシリンダーロッド63をシリンダーチューブ61内に押し込み(図8(B)の状態)吊下部材4を下降させる。本形態の懸吊装置1は、線状部材8を使用しているため吊下部材4の自由度が高く、容器を吊り下げる際の位置の自由度がより高くなる。下降した吊下部材4に容器を吊り下げたあと、弁68を閉じて、エア調整ダイヤル69によりエア圧を調整してシリンダー6の押し側推力を所定の値に調整する。推力の調整は、図6の場合と同様に行う。
【0033】
容器の質量がシリンダーロッド63の押し側推力に抗する場合には、シリンダーロッド63がシリンダーチューブ61内に押し込まれた状態が維持される。容器に収容された原料等が搬出されるに従って容器全体の質量が減少する。容器の質量が減少することにより、シリンダー6の押し側推進力が容器の質量に勝ることで、シリンダー6のシリンダーロッド63が伸長する。シリンダーロッド63が伸長することにより、伸長したシリンダーロッド63の長さの2倍の長さ分、吊下部材4が上昇する。本形態の懸吊装置1は、図7の場合と同じように、容器Bが徐々に持ち上がると同時に保持部材3が回転して吊下部材4が容器Bの真上に来るように自動的に回転するだけでなく、線状部材8を使用しているため吊下部材4のフレキシビリティが高く、作業者の負担をより軽減できる。また、本形態の吊下部材1は、支持部材2自体の長さが変化することは無いため、設置する場所の自由度がさらに高くなる。また、前記のように懸吊装置1により容器がつり上げられることにより、容器中に収容された原料の搬出をよりスムーズに行う事ができる。
【0034】
8.懸吊装置1の具体的形態例3
図9及び10に本発明の懸吊装置1のさらなる形態例が示されている。図9の形態例において、同一の番号が振られており特に説明が無い場合、図6又は8の形態の場合と同様である。図9の形態例においては、図8の形態におけるシリンダー6の代わりに、昇降機構9を使用した形態を示している。昇降機構9は、モーター91、モーター91のシャフトに接続された歯車92、前記歯車92の軸に接続されたスクリュー軸93、スライドガイド94、スライドガイド94により補助されスクリュー軸93の回転にしたがって上下動するスライドブロック95及びスライドブロック95に接続された滑車96を含む。図9の形態は、シリンダー6の代わりに機械的な制御を行う昇降機構9を用いて吊下部材4の昇降を制御する以外は、図8の場合と同様である。
【0035】
9.懸吊装置の具体的形態例4
図11にさらに別の具体的な形態例が示されている。図11の形態例において、同一の番号が振られており特に説明が無い場合、図6又は8の形態の場合と同様である。図11の形態例においては、シリンダー6としてロッド63をシリンダーチューブ61側に引き込む推進力を有するシリンダーを使用している。シリンダー6は、シリンダーロッド63が上側を向くように備えられており、線状部材8がロッド63に直接接続されている。使用に際しては、弁68を開放することでシリンダーロッド63が伸長し吊下部材4が下降する(図11(A))。下に下ろされた吊下部材4に容器を吊り下げたあと、弁68を閉じて、エア調整ダイヤル69によりエア圧を調整してシリンダー6の引き側推力を所定の値に調整する。容器の質量がシリンダーロッド63の引き側推力に抗する場合には、シリンダーロッド63がシリンダーチューブ61から飛び出した状態が維持される。容器に収容された原料等が搬出されるに従って容器全体の質量が減少する。容器の質量が減少することにより、シリンダー6の引き側推進力が容器の質量に勝ることで、シリンダー6のシリンダーロッド63がシリンダーチューブ61内に引き込まれる。シリンダーロッド63が引き込まれることにより、引き込まれたシリンダーロッド63の長さ分、吊下部材4が上昇する(図11(B))。
【0036】
11.懸吊装置1による吊り下げ対象
本発明の懸吊装置1を用いる場合には、容器等に含まれる原料を搬出する方法に特に制限は無い。容器の口からパイプ等の搬出手段を挿入して吸い出して搬出することもできれば、下部に搬出口を設けたフレキシブルコンテナバッグを用いて、フレキシブルコンテナバッグの下から原料を搬出することもできる。また、吊り下げる対象となる容器についても特に制限は無く、網目を有する容器(例えば、フレキシブルコンテナバッグ)であっても良いし、網目を有しないプラスチック製のバッグであっても良い。容器に収容される原料についても特に制限は無く、粉体、粒体、液体等いずれの形態のものであっても良い。また、本発明の懸吊装置1は複雑な立体的構造を有していないため、既存の搬出装置の筐体等に容易に固定して使用することができる。本発明の懸吊装置により吊り下げることができる容器の質量は、例えば、300~500kg程度の質量が想定される。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の懸吊装置は、原料を収容した容器を吊り下げる際に作業者にかかる負担を大幅に軽減することができる。したがって、これら作業場の環境を向上させ、生産効率を大きく向上できる。
【符号の説明】
【0038】
1:懸吊装置
2:支持部材 、21:脚部 、22:シリンダー、221:シリンダーチューブ、222:ピストン、223:シリンダーロッド、23:貫通孔、24:土台部、25:駐止部、26:軸受部
3:保持部材、31:支持部、311:挿入孔、32:保持部、33:補強部、34:貫通孔、35:滑車、36:駐止部、37:軸部
4:吊下部材、41:接続部、42:本体部、43:吊下部
5:ベアリング
6:シリンダー 、61:シリンダーチューブ 、62:ピストン、63:シリンダーロッド、64:滑車、65:マグネット、66:スライダ、67:エアチューブ、68:弁、69:エア調整ダイヤル
7:線状部材固定部
8:線状部材
9:昇降機構、91:モーター、92:歯車、93:スクリュー軸、94:スライドガイド、95:スライドブロック、96:滑車

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11