(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121522
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、及び、医用情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240830BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028668
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】オン グアン イ
(72)【発明者】
【氏名】永見 哲也
(72)【発明者】
【氏名】兵 昂
(72)【発明者】
【氏名】中野 史樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 優斗
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】疾病に対する患者の意思決定を容易にする医用情報処理装置及び医用情報処理システムを提供する。
【解決手段】医用情報処理装置と、患者端末と、ウェアラブル端末とが、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている医用情報処理システムにおいて、医用情報処理装置は、患者に関する患者情報と、患者が目標とするイベントに関するイベント情報と、前記イベントにおいて患者が必要とする日常生活動作に関する問診情報と、を取得する取得部と、前記問診情報に基づいて、前記患者のQuality Of Life(QOL)を求める算出部と、前記患者情報と、前記算出部により求められたQOLとに基づく前記患者の時系列的なQOLの変化を表す第1シミュレーションデータと、前記イベント情報における前記患者のイベントとを同時に表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する患者情報と、患者が目標とするイベントに関するイベント情報と、前記イベントにおいて患者が必要とする日常生活動作に関する問診情報と、を取得する取得部と、
前記問診情報に基づいて、前記患者のQOLを求める算出部と、
前記患者情報と、前記算出部により求められた前記QOLとに基づく前記患者の時系列的な前記QOLの変化を表す第1シミュレーションデータと、前記イベント情報における前記患者のイベントとを同時に表示部に表示させる表示制御部と、
を備える、医用情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記患者の疾病を治療した場合の前記第1シミュレーションデータと、前記患者の疾病を治療しない場合の前記第1シミュレーションデータを表示部に表示させる、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記患者の努力状況に関する努力情報を取得し、
前記算出部は、前記努力情報に応じて、前記QOLを再度求める、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記患者情報と、前記算出部により再度求められた前記QOLとに基づく前記患者の時系列的な前記QOLを表す第2シミュレーションデータを表示させる、請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、所定の期間毎に、前記QOLを再度求める、請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記努力情報は、前記患者の運動に関する運動情報、前記患者の食事制限に関する食事制限情報、前記患者のリハビリ状況に関するリハビリ情報及び前記患者の服薬に関する服薬情報の少なくともいずれか1つの情報を含む、請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記問診情報は、患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報を含み、
前記表示制御部は、前記患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報に基づいて、前記QOLの閾値を表す閾値データを前記表示部に表示させる、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記問診情報は、前記患者が必要な複数の日常生活動作に関する情報を含み、
前記算出部は、前記複数の日常生活動作毎に前記QOLを求め、
前記表示制御部は、前記複数の日常生活動作毎に、前記第1シミュレーションデータと、前記患者のイベントとを同時に表示部に表示させる、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記問診情報は、前記患者が必要な複数の日常生活動作に関する情報を含み、
前記表示制御部は、前記複数の日常生活動作のうち、前記表示部に表示させる前記日常生活動作の項目の第1シミュレーションデータを選択する入力操作を受け付けて、受け付けた前記日常生活動作の項目の第1シミュレーションデータを前記表示部に表示させる、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記イベント情報は、複数のイベントを含み、
前記表示制御部は、前記複数のイベントのうち、前記表示部に表示させるイベントを選択する入力操作を受け付けて、受け付けたイベントに基づいて、前記第1シミュレーションデータの表示態様を制御する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記患者の疾病の複数の治療内容に関する情報を少なくとも含む患者情報を取得し、
前記表示制御部は、前記複数の治療内容のうち、前記表示部に表示させる治療内容を選択する入力操作を受け付けて、受け付けた前記治療内容により前記患者の疾病を治療した場合の前記第1シミュレーションデータを表示部に表示させる、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、患者の時系列的なコストの変化を表すコストデータを表示部に表示するための入力操作を受け付けて、前記コストデータを前記表示部に表示させる、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項13】
患者が使用する患者端末又は医師が使用する医師端末の要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記患者端末または前記医師端末の要求に応じて、患者に関する患者情報と、患者が目標とするイベントに関するイベント情報と、前記イベントにおいて患者が必要とする日常生活動作に関する問診情報と、を取得する取得部と、
前記問診情報に基づいて、前記患者のQOLを求める算出部と、
前記算出部により算出された前記QOLに基づく前記患者の時系列的な前記QOLの変化を表す第1シミュレーションデータと、前記イベント情報における前記患者のイベントとを前記患者端末又は前記医師端末の表示部に同時に表示させる、送信部と
を備える、医用情報処理装置。
【請求項14】
患者が目標とするイベントに関するイベント情報と、前記イベントにおいて患者が必要な日常生活動作に関する問診情報と、を受け付ける患者端末と、
前記患者端末から、前記イベント情報及び前記問診情報を取得する取得部と、
前記問診情報に基づいて、前記患者のQOLを求める算出部と、
前記算出部により求められた前記QOLに基づく前記患者の時系列的な前記QOLの変化を表す第1シミュレーションデータと、前記イベント情報における前記患者のイベントとを同時に表示部に表示させる表示制御部とを、備える医用情報処理装置と、
を備える、医用情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、及び、医用情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、患者が疾病に罹患した場合、罹患した疾病に応じて、患者は治療するか否かを選択することになる。また、患者は、治療することを選択した場合、治療法を選択することになる。このように、患者は、疾病に罹患した場合、様々な選択肢の中から、自らにとって最適な選択を模索することになるが、この選択によって自らの生活にどのような影響が発生するかが想像し難い。つまり、患者は、この選択によって生活上のコストやQOL(Quality Of Life)がどのように変化していくかを想像できず、疾病に対する患者の意思決定が困難となっている。
【0003】
近年、このような患者の選択を補助するために、治療等の選択に応じた総コストを算出して、算出した総コストを患者に提示する技術が知られている。このような技術を用いることにより、患者は、総コストに基づいて、治療等の選択を行うことができる。しかしながら、生活上のコストやQOLの変化は提示されていないため、疾病に対する患者の意思決定の困難さは解消されない。
【0004】
また、患者は、将来的なイベントを考慮して、生活上のコストやQOLをどの程度維持するかを決定し、罹患した疾病に対する治療の選択を行うこともある。そのため、患者の将来的なイベントと、生活上のコストやQOLの変化とを提示し、疾病に対する選択を行えるようにすることが求められつつ、疾病に対する患者の意思決定を容易にすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2013-543622号公報
【特許文献2】特開平11-282933号公報
【特許文献3】特開2021-060769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、疾病に対する患者の意思決定を容易にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る医用情報処理装置は、患者に関する患者情報と、患者が目標とするイベントに関するイベント情報と、前記イベントにおいて患者が必要とする日常生活動作に関する問診情報と、を取得する取得部と、前記問診情報に基づいて、前記患者のQOLを求める算出部と、前記患者情報と、前記算出部により求められた前記QOLとに基づく前記患者の時系列的な前記QOLの変化を表す第1シミュレーションデータと、前記イベント情報における前記患者のイベントとを同時に表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る医用情報処理システムの構成例を示すブロック図。
【
図2】患者に対して行われるアンケートの一例を示す図。
【
図3】第1実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示すブロック図。
【
図4】第1実施形態に係る医用情報処理装置で実行される第1シミュレーションデータ生成処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図5】第1実施形態に係る医用情報処理装置が提示する選択肢の一例を示す図。
【
図6】問診情報における日常生活動作を比較した結果を示す図。
【
図7】
図6に示す比較結果を一対比較表にまとめた図。
【
図8】第1実施形態に係る医用情報処理装置のディスプレイに表示される第1シミュレーションデータ及びイベント情報の一例を示す図。
【
図9】第1実施形態に係る医用情報処理装置に表示される目標情報の一例を示す図。
【
図10】第1実施形態に係る医用情報処理装置に表示される目標情報の別の例を示す図。
【
図11】第1実施形態に係る医用情報処理装置で実行される第2シミュレーションデータ生成処理を説明する図。
【
図12】第1実施形態に係る医用情報処理装置のディスプレイに表示された第2シミュレーションデータの一例を示す図。
【
図13】第1実施形態に係る医用情報処理装置のディスプレイに表示された第2シミュレーションデータの別の例を示す図。
【
図14】第2実施形態に係る医用情報処理システムの構成例を示すブロック図。
【
図15】第2実施形態に係る医用情報処理装置の構成例を示すブロック図。
【
図16】第2実施形態に係る医用情報処理装置で実行される第1シミュレーションデータ生成処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図17】第2実施形態に係る医用情報処理装置において実行される第2シミュレーションデータ生成処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図18】変形例1に係る医用情報処理装置が生成するコストデータの表示の一例を示す図。
【
図19】変形例1に係る医用情報処理装置が生成するコストデータの表示の別の例を示す図。
【
図20】変形例2に係る日常生活動作レベルに関する情報における移動に関する選択肢を比較した結果を示す図。
【
図21】変形例2に係る日常生活動作レベルに関する情報における社会的認知に関する選択肢を比較した結果を示す図。
【
図22】変形例3に係る医用情報処理装置におけるディスプレイに表示される複数の日常生活動作それぞれの第1シミュレーションデータと目標情報との一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置、及び、医用情報処理システムの実施形態について説明する。なお、以下の説明において実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る医用情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る医用情報処理システム1は、医用情報処理装置10と、患者端末30と、ウェアラブル端末50とを備えて構成されている。
図1に示すように、医用情報処理装置10と、患者端末30と、ウェアラブル端末50とは、ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0011】
医用情報処理装置10は、患者のQOLを求め、時系列的なQOLの変化と、患者のイベントに関するイベント情報を表示する装置である。具体的には、医用情報処理装置10は、患者情報と、問診情報と、イベント情報とを取得し、取得した問診情報に基づいて、患者のQOLを求め、患者情報と、求められた患者のQOLとに基づく患者の時系列的なQOLの変化を表す第1シミュレーションデータと、イベント情報とを同時に表示する。この医用情報処理装置10は、例えば、電子カルテ装置や医師端末などである。
【0012】
ここで、イベント情報とは、患者のイベントに関する情報である。患者のイベントとは、例えば、患者自身の誕生日や結婚記念日、患者のパートナーの誕生日、患者の子供の誕生日や結婚式、患者の孫の誕生日や結婚式、ペットの誕生日などのライフイベントや、患者の趣味に関連するイベント、所定の期間経過後に発生するタイムカプセル型のイベント、季節や旬に関連するイベント、服用する薬の数を減らすなどの患者の目標に関連するイベントなどである。このイベント情報には、イベントに関する情報と、そのイベントの日付に関する情報が含まれる。これらのイベントは、患者により設定されるが、例えば、この患者の趣味に関連するイベントは、患者のSNS(Social Networking Service)等の「いいね」の数や、サイト及び投稿の転送数、閲覧数及びアクセス履歴、買い物履歴、ハッシュタグに関連するサイト等に基づいて推奨されたイベントを設定するようにしてもよい。また、患者のイベントには、患者自身の最期予測などが含まれてもよい。
【0013】
また、患者情報は、医療行為の対象の患者に関する情報であり、例えば、患者の属性情報、電子カルテ、看護記録、検査結果、医用画像、DNA(Deoxyribonucleic Acid)情報、またはPHR(Personal Health Record)等を含む。電子カルテ情報とは、患者の疾病に関する情報や、患者の疾病に関する情報、疾病に対する治療に関する情報等である。また、患者情報は、患者情報に含まれる患者の移動、食事、更衣などのADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)についての患者に対してアンケートを行った結果を含む。以下、必要に応じて、ADLを日常生活動作とも呼ぶ。
【0014】
図2は、患者に対して行われるアンケートの一例を示す図である。
図2に示すように、アンケートには、運動項目や認知項目と、それらの各評価項目の点数に関する項目とが含まれる。運動項目にはセルフケアや移動に関する項目が含まれ、認知項目には社会的認知に関する項目が含まれる。そして、セルフケアには、評価項目として、食事や、整容、清拭、更衣・上半身、更衣・下半身、トイレ動作に関する項目が含まれ、移動には、評価項目として、歩行や、車イス、階段に関する項目が含まれ、社会的認知には、評価項目として、社会的交流や問題解決、記憶に関する評価項目が含まれる。患者は、
図2に示すアンケートから自身の各評価項目に対する点数を記入していく。なお、アンケートの運動項目や認知項目は、排泄コントロールや移乗、コミュニケーションなどの他の項目を含んでもよく、セルフケアや移動、社会的認知は、
図2に示す評価項目以外の評価項目を含むようにしてもよい。さらに、このアンケートには、例えば、ADLの評価指標であるバーセルインデックス(Barthel Index)やFIM(Functional Independence Measure)、IADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活活動)の評価指標である手段的日常生活活動尺度や老研式活動能力指標などが用いられてもよく、要介護度に関するアンケートやQALY(Quality-Adjusted Life Years:質調整生存年)に関するアンケートが用いられてもよい。
【0015】
この
図2に示すアンケートは、医用情報処理装置10を介して回答するようにしてもよく、患者端末30を介して回答するようにしてもよく、患者が紙媒体にてアンケートを回答するようにしてもよい。紙媒体にて回答されたアンケート結果は、スキャンデータなどにより文字情報として記録されてもよい。
【0016】
また、問診情報とは、イベントにおいて患者が必要とする日常生活動作に関する情報である。例えば、問診情報は、患者情報に含まれる患者の移動、食事、更衣などのADLについてのアンケートを行った結果から、イベントにおいて患者が必要とするADLの選択結果に関する情報を含んでいる。また、問診情報は、患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報を含んでいる。この患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報とは、選択された日常生活動作において、自立や要介護、通院、入院などの患者の希望するレベルに関する情報である。また、問診情報は、選択結果として、複数のADLを選択していた場合、その複数の日常生活動作におけるそれぞれの優先度に関する情報を含むようにしてもよい。また、問診情報は、複数の日常生活動作レベルにおけるそれぞれの優先度に関する情報を含むようにしてもよい。さらに、問診情報は、患者が掛けられるコストに関する情報や、ADLについてサポートできる人や人数、時間帯に関する情報を含んでもよい。なお、問診情報には、患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報を含んでいなくてもよい。
【0017】
患者端末30は、患者などによって使用される端末装置である。例えば、患者端末30は、患者が所持するスマートフォンやタブレットPC等の携帯端末や、パーソナルコンピュータなどである。この患者端末30は、ネットワークを介して、努力情報を医用情報処理装置10に送信する。
【0018】
努力情報とは、患者の努力状況に関する情報である。この努力情報は、例えば、患者の運動に関する情報や、患者の食事制限に関する情報、患者のリハビリに関する情報、患者の服薬に関する情報、患者の心拍数や脈拍などの生体に関する情報である生体情報、患者から採取された血液や尿などの成分分析の結果に関する情報である生化学情報、患者から採取された臓器や組織に関する情報である病理情報などの少なくともいずれか1つを含んでいる。なお、努力情報は、患者の運動に関する情報や、患者の食事制限に関する情報、患者のリハビリに関する情報、患者の服薬に関する情報、患者の心拍数や脈拍などの生体に関するデータである生体データ、患者から採取された血液や尿などの成分分析の結果に関する生化学データ、患者から採取された臓器や組織に関するデータである病理データの以外の情報やデータを含んでいてもよい。
【0019】
なお、本実施形態における
図1の例では、1台の患者端末30が、ネットワークを介して、医用情報処理装置10及びウェアラブル端末50に接続されているが、医用情報処理装置10及びウェアラブル端末50に接続される患者端末30の数は1台に限られない。例えば、複数台の患者端末30が、ネットワークを介して、医用情報処理装置10及びウェアラブル端末50に接続されてもよい。
【0020】
ウェアラブル端末50は、患者が装着可能な端末である。ウェアラブル端末50は、患者が装着している限り、努力情報を取得することができる。このウェアラブル端末50が取得する努力情報は、例えば、患者の生体データである。本実施形態において、ウェアラブル端末50が取得した努力情報は、ネットワークを介して、医用情報処理装置10に送信される。
【0021】
なお、本実施形態における
図1の例では、1台のウェアラブル端末50が、ネットワークを介して、医用情報処理装置10及び患者端末30に接続されているが、医用情報処理装置10及び患者端末30に接続されるウェアラブル端末50の数は1台に限られない。例えば、複数台のウェアラブル端末50が、ネットワークを介して、医用情報処理装置10及び患者端末30に接続されてもよい。
【0022】
これらの患者端末30やウェアラブル端末50が取得した努力情報が医用情報処理装置10に送信されるタイミングは、1時間毎であってもよく、1日毎であってもよい。すなわち、これらの患者端末30やウェアラブル端末50が取得した努力情報が医用情報処理装置10に送信されるタイミングは任意である。
【0023】
なお、努力情報は、患者端末30やウェアラブル端末50が取得することとしたが、努力情報を取得するのは、患者端末30やウェアラブル端末50に限られない。すなわち、努力情報を取得する装置は任意であり、IPカメラなどのIoT(Internet of Things)デバイスが努力情報を取得するようにしてもよく、病理検査装置が努力情報の1つである病理情報を取得するようにしてもよく、生化学検査装置が努力情報の1つである生化学情報を取得するようにしてもよい。
【0024】
図3は、本実施形態に係る医用情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。この
図3に示すように、本実施形態に係る医用情報処理装置10は、記憶回路11と、ディスプレイ12と、入力インターフェース13と、通信インターフェース14と、処理回路15とを備えて構成されている。
【0025】
記憶回路11は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。本実施形態において、例えば、記憶回路11は、医用情報処理装置10に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。また、本実施形態において、記憶回路11は、QOLデータベース11aを備えて構成されている。なお、記憶回路11は、医用情報処理装置10とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により、実現されることとしてもよい。
【0026】
QOLデータベース11aは、QOLに関する各種情報を記憶するデータベースである。このQOLデータベース11aには、治療法及びその治療における各ADLそれぞれのQOLの変化や、努力情報とその努力情報に対する各ADLそれぞれのQOLの変化などが関連付けて記憶されている。また、このQOLデータベース11aは、治療をしない場合のQOLの変化や、努力をしない場合のQOLの変化についても関連付けて記憶されている。例えば、QOLデータベース11aには、治療法及びその治療における各ADLそれぞれのQOLの変化として、がん治療において手術及び化学療法を行った場合、移動のQOLが一定の割合低下する等の情報が記憶されている。また、このQOLデータベース11aには、日常生活動作毎の日常生活動作レベルとQOLとが関連付けて記憶されている。例えば、QOLデータベース11aには、日常生活動作が移動の場合であって、日常生活動作レベルとして要介護を希望する場合のQOLの所定の値が記憶されている。このQOLデータベース11aは、通信インターフェース14を介して、論文等の文献情報を収集することにより更新することができる。なお、QOLデータベース11aに記憶されている情報は、年齢などの情報を関連付けて記憶するようにしてもよい。
【0027】
ディスプレイ12は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ12は、患者や医師などのユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、患者のQOLに基づく患者の時系列的なQOLの変化を表す第1シミュレーションデータやイベント情報等を表示する。本実施形態においては、ディスプレイ12は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等によって構成される。ディスプレイ12は本実施形態における表示部に相当している。
【0028】
入力インターフェース13は、例えば、患者や医師などのユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路15に出力する。この入力インターフェース13は、例えば、マウスやキーボード、トラックボール、手動スイッチ、フットスイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
【0029】
通信インターフェース14は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。通信インターフェース14は、この各種プロトコルに従って、ネットワークを介して、他の装置との通信を実現する。本実施形態においては、医用情報処理装置10は、通信インターフェース14を介して、ネットワークに接続されて、患者端末30やウェアラブル端末50との通信が実現される。
【0030】
処理回路15は、医用情報処理装置10の全体的な制御を行う制御回路である。また、処理回路15は、各種の演算を行う演算回路であり、CPUやGPU等のプロセッサにより構成される。例えば、本実施形態に係る処理回路15は、患者情報やイベント情報、問診情報を取得したり、問診情報に基づいて、患者のQOLを算出したり、第1シミュレーションデータやイベント情報をディスプレイ12に表示させたりする。
【0031】
本実施形態に係る処理回路15は、取得機能15aと、算出機能15bと、表示制御機能15cとを有する。取得機能15aは本実施形態における取得部に相当しており、算出機能15bは本実施形態における算出部に相当しており、表示制御機能15cは本実施形態における表示制御部に相当している。
【0032】
図3に示す実施形態では、取得機能15aと、算出機能15bと、表示制御機能15cとにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路11に格納されている。処理回路15はプログラムを記憶回路11から読み出し、実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路15は、
図3の処理回路15内に示された各機能を有することとなる。なお、
図3においては単一の処理回路15にて、取得機能15aと、算出機能15bと、表示制御機能15cとが実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路15を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものとしても構わない。
【0033】
図4は、本実施形態に係る医用情報処理装置10で実行される第1シミュレーションデータ生成処理の内容を説明するフローチャート図である。この第1シミュレーションデータ生成処理では、患者情報を取得し、問診情報に基づいて、患者のQOLを求め、患者情報と、求められた患者のQOLとに基づく第1シミュレーションデータと、イベント情報とを表示する。例えば、第1シミュレーションデータ生成処理は、治療前に患者が治療法を選択する場合に実行される処理である。
【0034】
図4に示すように、まず、医用情報処理装置10は、患者情報を取得する(ステップS11)。この患者情報を取得する処理は、処理回路15における取得機能15aにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、記憶回路11から、患者情報として、患者のアンケート結果を取得する。なお、医用情報処理装置10は、患者端末30を介してアンケートを回答させ、その回答結果を患者情報として取得するようにしてもよい。
【0035】
次に、
図4に示すように、医用情報処理装置10は、イベント情報を取得する(ステップS13)。このイベント情報を取得する処理は、処理回路15における取得機能15aにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、通信インターフェース14を介して、患者端末30から、イベント情報を取得する。本実施形態において、医用情報処理装置10は、通信インターフェース14を介して、患者端末30から、イベント情報として「孫の結婚式」等の複数のイベントを取得する。なお、医用情報処理装置10は、通信インターフェース14を介して、患者端末30からイベント情報を取得することとしたが、医用情報処理装置10は、入力インターフェース13を介して、イベント情報を取得するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施形態において、医用情報処理装置10は、イベント情報として、複数のイベントを取得したが、医用情報処理装置10がイベント情報として取得するイベントは、複数の場合に限られない。すなわち、イベント情報として、取得するイベントの数は任意であり、1つのイベントをイベント情報として取得するようにしてもよい。
【0037】
次に、
図4に示すように、医用情報処理装置10は、選択肢を提示する(ステップS15)。この選択肢を提示する処理は、処理回路15における算出機能15bにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、通信インターフェース14を介して、患者端末30に、イベントにおいて患者が必要とする日常生活動作に関する選択肢を提示する。より具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS13において取得した患者情報に含まれるアンケート結果に基づいて、日常生活動作に関する選択肢を生成し、通信インターフェース14を介して、患者端末30に提示する。患者は、患者端末30において、提示された選択肢からイベントにおいて必要とする日常生活動作を選択する。
【0038】
図5は、本実施形態に係る医用情報処理装置10が提示する選択肢の一例を示す図である。
図5に示すように、医用情報処理装置10は、日常生活動作に関するアンケートに基づく選択肢として、
図2に示すアンケートに選択の項目を付加した選択肢を提示する。
図5に示す例において、患者は、患者端末30の入力インターフェースを介して、イベントにおいて必要とする日常生活動作として、食事、移動、及び社会的認知を選択している。
【0039】
また、ステップS15において、医用情報処理装置10は、日常生活動作の選択肢を提示しつつ、日常生活動作の優先度を患者に入力させるようにしてもよい。具体的には、医用情報処理装置10は、患者端末30を介して、イベントにおいて必要とする日常生活動作の優先度を患者に入力させることにより、日常生活動作の優先度に関する情報を生成する。この患者による日常生活動作の優先度の決定には、例えば、AHP(Analytic Hierarchy Process:階層的意思決定法)が用いられる。
【0040】
このAHPを用いた日常生活動作の優先度の決定について、
図6及び
図7を用いて説明する。
図6は、問診情報における日常生活動作を比較した結果を示す図である。
図7は、
図6に示す比較結果を一対比較表にまとめた図である。この
図6に示す例において、患者が、イベントにおいて患者が必要とする日常生活動作に関する選択肢として、移動、社会的認知及び食事を選択している場合、移動と社会的認知、移動と食事、及び、社会的認知と食事のそれぞれについて、重要度が比較される。そして、日常生活動作毎の重要度に応じて、スコアが割り振られる。例えば、
図6に示す例においては、重要度の評価指標である、左右が同じくらい、やや重要、重要、かなり重要、絶対的に重要の順に、1点、3点、5点、7点、9点が割り振られる。なお、
図6に示すスコアの値は任意であり、例えば、左右が同じくらい、やや重要、重要、かなり重要、絶対的に重要の順に、1点、2点、3点、4点、5点が割り振られるようにしてもよい。また、左右の日常生活動作の比較対象のいずれかにスコアが割り振られた場合、もう一方の比較対象には割り振られたスコアの逆数のスコアが割り振られることとなる。
図6に示す例において、患者は、移動が社会的認知よりも重要であり、移動が食事よりもかなり重要であり、社会的認知が食事よりも重要であると選択している。つまり、社会的認知に対する移動のスコアは5点であり、食事に対する移動のスコアは、7点であり、食事に対する社会的認知のスコアは5点である。また、移動に対する社会的認知のスコアは1/5点であり、移動に対する食事のスコアは1/7点であり、社会的認知に対する食事のスコアは1/5点である。
【0041】
そして、
図6に示す比較結果をまとめた一対比較表を
図7に示す。
図7に示すように、移動、社会的認知、及び、食事のそれぞれに対する移動、社会的認知、及び、食事のそれぞれのスコアがまとめられている。なお、移動と移動のように同じ日常生活動作を比較したスコアは1点としている。そして、医用情報処理装置10は、移動、社会的認知、及び食事について幾何平均を算出する。具体的には、
図7に示すように、移動は1点、5点、7点であるため、移動の幾何平均は、3.271066点となり、社会的認知は、1/5点、1点、5点であるため、社会的認知の幾何平均は、1点となり、食事は、1/7点、1/5点、1点であるため、食事の幾何平均は、0.305711点となる。したがって、この
図6及び
図7に示す例において、患者にとって移動、社会的認知、食事の順に優先度が高いことが決定される。このため、本実施形態において、医用情報処理装置10は、問診情報における日常生活動作の優先度に関する情報として、移動、社会的認知、食事の順に優先度が高いことを示す情報を生成する。
【0042】
なお、
図7に示す例において、医用情報処理装置10は、AHPを用いて、移動、社会的認知、食事のそれぞれの幾何平均を算出することにより、日常生活動作の優先度に関する情報を生成したが、AHPを用いて、日常生活動作の優先度に関する情報を生成する方法はこれに限られない。すなわち、移動、社会的認知、食事のそれぞれのスコアを算出する方法は、任意である。例えば、医用情報処理装置10は、移動、社会的認知、食事のそれぞれのスコアの調和平均や算術平均、和、積等を求めるようにしてもよい。
【0043】
また、医用情報処理装置10は、AHPを用いて、日常生活動作の優先度に関する情報を生成することとしたが、日常生活動作の優先度に関する情報を生成する方法は、これに限られない。すなわち、日常生活動作の優先度に関する情報を生成する方法は任意であり、患者が、日常生活動作に関する選択肢に対して、Fibonacci数を付けるなどの日常生活動作の優先度に応じた重み付けを行うことにより、医用情報処理装置10は、日常生活動作の優先度に関する情報を生成するようにしてもよい。
【0044】
また、このステップS15において、医用情報処理装置10は、日常生活動作の選択肢を提示しつつ、この選択肢に対する患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報について、患者に入力させるようにしてもよい。具体的には、医用情報処理装置10は、日常生活動作レベルとして、自力での生活、車いす又は要介護に関する情報や、コストに関する情報、サポートできる人、人数又は時間帯に関する情報、通院、入院又は在宅医療に関する情報を患者に入力させるようにしてもよい。本実施形態においては、患者は、患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報として、要介護及び通院を入力している。
【0045】
次に、
図4に示すように、医用情報処理装置10は、問診情報を取得する(ステップS17)。この問診情報を取得する処理は、処理回路15における取得機能15aにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS15において提示された選択肢に基づいて問診情報を取得する。本実施形態において、医用情報処理装置10は、問診情報として、日常生活動作の選択結果に関する情報、患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報、及び、日常生活動作の優先度に関する情報を取得する。より具体的には、本実施形態に係る医用情報処理装置10は、
図5に示す例において、食事、移動及び社会的認知が選択されているため、医用情報処理装置10は、日常生活動作の選択結果に関する情報として、食事、移動及び社会的認知の日常生活動作の点数を取得する。
図5に示す例において、この食事、移動及び社会的認知の日常生活動作のそれぞれの点数は、3点、5点、4点である。
【0046】
また、本実施形態に係る医用情報処理装置10は、患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報として、要介護及び通院を取得する。さらに、本実施形態においては、医用情報処理装置10は、日常生活動作の優先度に関する情報として、移動、社会的認知、食事の順に優先度が高いことを示す情報を取得する。
【0047】
なお、ステップS15において、医用情報処理装置10は、問診情報として、日常生活動作の優先度に関する情報を取得することとしたが、日常生活動作の優先度に関する情報は取得しなくてもよい。
【0048】
また、本実施形態において、医用情報処理装置10は、ステップS17において、複数のイベントに対して1つの問診情報を取得することとしたが、医用情報処理装置10は、ステップS15において複数のイベント毎に日常生活動作に関する選択肢を提示して、ステップS17において複数のイベント毎に問診情報を取得するようにしてもよい。すなわち、イベントに応じて患者が必要とする日常生活動作は異なっていてもよい。
【0049】
次に、
図4に示すように、医用情報処理装置10は、QOLを求める(ステップS19)。このQOLを求める処理は、処理回路15における算出機能15bにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS17において取得した問診情報に基づいて、QOLを算出して、患者のQOLを求める。より具体的には、本実施形態において、医用情報処理装置10は、ステップS17において取得した問診情報における、食事、移動及び社会的交流の日常生活動作の選択結果に関する情報に基づいて、食事、移動及び社会的交流のそれぞれの患者のQOLを求める。医用情報処理装置10は、例えば、日常生活動作の選択結果に関する情報である食事、移動及び社会的交流の日常生活動作の点数を患者のQOLに変換する所定の変換式を用いることにより、患者のQOLを算出する。
【0050】
次に、
図4に示すように、医用情報処理装置10は、第1シミュレーションデータを生成する(ステップS21)。この第1シミュレーションデータを生成する処理は、処理回路15における算出機能15bにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS11で取得した患者情報と、ステップS19で求められたQOLとに基づいて、患者の時系列的なQOLの変化を表す第1シミュレーションデータを生成する。より具体的には、患者情報と、ステップS19で求められたQOLとに基づいて、記憶回路11に記憶されたQOLデータベース11aの情報と比較することにより、患者の疾病を治療した場合の第1シミュレーションデータと、患者の疾病を治療しない場合の第1シミュレーションデータとを生成する。
【0051】
このステップS21における第1シミュレーションデータの生成の一例について、以下において、より詳細に説明する。本実施形態において、医用情報処理装置10は、問診情報として、移動、社会的認知、及び、食事が選択されているため、患者情報と、ステップS19で求められたQOLとに基づいて、移動に関する治療の有無のそれぞれの第1シミュレーションデータ、社会的認知に関する治療の有無のそれぞれの第1シミュレーションデータ、及び食事に関する治療の有無のそれぞれの第1シミュレーションデータを生成する。例えば、患者の疾病が「がん」である場合であって、「がん」を治療しない場合、ステップS19において移動のQOLが求められているため、医用情報処理装置10は、この移動のQOLに対して、QOLデータベース11aの情報と比較して、「がん」を治療しない場合の移動のQOLの時系列的な変化を求めることにより、「がん」を治療しない場合の第1シミュレーションデータを生成する。また、患者の疾病が「がん」である場合であって、「手術及び化学療法」に関する治療する場合、医用情報処理装置10は、この移動のQOLに対して、QOLデータベース11aの情報と比較して、「がん」を治療する場合の移動のQOLの時系列的な変化を求め、「がん」を「手術及び化学療法」で治療する場合の第1シミュレーションデータを生成する。上述した例では、「手術及び化学療法」により治療する場合を示したが、他に治療法がある場合には、その治療法における移動のQOLの時系列的な変化も求め、第1シミュレーションデータを生成する。
【0052】
同様に、医用情報処理装置10は、社会的認知に関する治療の有無のそれぞれの第1シミュレーションデータ、食事に関する治療の有無のそれぞれの第1シミュレーションデータを生成する。なお、治療法が1つしかない場合、又は、治療法が1つに決定されている場合には、その1つの治療法で治療する場合のQOLの時系列的な変化を求め、第1シミュレーションデータを生成するようにしてもよい。
【0053】
次に、
図4に示すように、医用情報処理装置10は、第1シミュレーションデータ及びイベント情報を表示する(ステップS23)。この第1シミュレーションデータ及びイベント情報を表示する処理は、処理回路15における表示制御機能15cにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS21で生成した第1シミュレーションデータ及びステップS13で取得したイベント情報をディスプレイ12に同時に表示する。より具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS15において、問診情報における日常生活動作の優先度に関する情報として、移動、社会的認知、食事の順に優先度が高いことを示す情報を取得しているため、優先度が高い移動に関する治療の有無それぞれの第1シミュレーションデータ及びステップS13で取得したイベント情報をディスプレイ12に同時に表示する。
【0054】
図8は、本実施形態に係る医用情報処理装置10のディスプレイ12に表示される第1シミュレーションデータ及びイベント情報の一例を示す図である。
図8に示すように、医用情報処理装置10は、縦軸をQOL、横軸を時間とし、治療なしの移動に関する第1シミュレーションデータを一点鎖線、手術及び化学療法を行う場合の移動に関する第1シミュレーションデータを実線で表示している。また、医用情報処理装置10は、イベント情報として孫の結婚式を表示している。この
図8に示す例においては、治療なしの場合、孫の結婚式までにQOLが0となるため、孫の結婚式において移動が困難であることを示している。一方、手術及び化学療法による治療ありの場合、一時的に治療なしの場合よりもQOLが低下するものの、孫の結婚式において移動を行えることを示している。
【0055】
また、本実施形態において、医用情報処理装置10は、ステップS13において、複数のイベントを含むイベント情報を取得しているため、医用情報処理装置10は、複数のイベントのうち、ディスプレイ12に表示させるイベントを選択する入力操作を受け付けるようにしてもよい。具体的には、医用情報処理装置10の表示制御機能15cは、
図8に示すように、複数のイベントのうち、1のイベントを選択するためのドロップダウンDD1を、現在選択されているイベントとともに、ディスプレイ12に表示して、患者や医師などのユーザの入力操作を受け付ける。ユーザは、入力インターフェース13を介して、ディスプレイ12に表示されたイベントのドロップダウンDD1をクリックすることによって、複数のイベントを表示させたドロップダウンリストを表示させる。本実施形態において、このドロップダウンリストには、孫の結婚式等の複数のイベントが表示される。そして、ユーザは、入力インターフェース13を介して、このドロップダウンリストからディスプレイ12に表示するイベントを選択することにより、ディスプレイ12に表示するイベントを切り替える。そして、表示制御機能15cは、受け付けたイベントに基づいて、第1シミュレーションデータの表示態様を制御する。具体的には、表示制御機能15cは、受け付けたイベントに基づいて、第1シミュレーションデータの表示する尺度を変更する。なお、ステップS17において、イベント情報として、1つのイベントを取得した場合は、このドロップダウンDD1を表示しなくてもよい。
【0056】
また、本実施形態において、医用情報処理装置10は、ステップS17において、移動、社会的認知及び食事などの複数の日常生活動作に関する情報を取得しているため、医用情報処理装置10は、複数の日常生活動作のうち、ディスプレイ12に表示させる日常生活動作の項目の第1シミュレーションデータを選択する入力操作を受け付けて、受け付けた日常生活動作の項目の第1シミュレーションデータをディスプレイに表示するようにしてもよい。具体的には、医用情報処理装置10の表示制御機能15cは、
図8に示すように、複数の日常生活動作のうち、1の日常生活動作を選択するためのドロップダウンDD2を、現在選択されている日常生活動作の項目とともに、ディスプレイ12に表示して、患者や医師などのユーザの入力操作を受け付ける。ユーザは、入力インターフェース13を介して、ディスプレイ12に表示された日常生活動作の項目のドロップダウンDD2をクリックすることによって、複数の日常生活動作の項目を表示させたドロップダウンリストを表示させる。本実施形態において、このドロップダウンリストには、複数の日常生活動作の項目である、移動、社会的認知及び食事が表示される。そして、ユーザは、入力インターフェース13を介して、このドロップダウンリストからディスプレイ12に表示する日常生活動作の項目を選択することにより、治療の有無それぞれについての移動、社会的認知及び食事のそれぞれのQOLの時系列的な変化を表す第1シミュレーションデータに切り替えることができる。なお、ステップS17において、問診情報として、1つの日常生活動作の項目を取得した場合は、このドロップダウンDD2を表示しなくてもよい。
【0057】
さらに、本実施形態において、医用情報処理装置10は、ステップS21において、複数の治療内容のそれぞれについて、第1シミュレーションデータが生成されている場合、医用情報処理装置10は、複数の治療内容のうち、ディスプレイ12に表示させる治療内容を選択する入力操作を受け付けるようにしてもよい。具体的には、医用情報処理装置10の表示制御機能15cは、
図8に示すように、複数の治療内容のうち、1の治療内容を選択するためのドロップダウンDD3を、現在選択されている治療内容とともに、ディスプレイ12に表示して、患者や医師などのユーザの入力操作を受け付ける。ユーザは、入力インターフェース13を介して、ディスプレイ12に表示された治療内容のドロップダウンDD3をクリックすることによって、複数の治療内容を表示させたドロップダウンリストを表示させる。本実施形態において、このドロップダウンリストには、「手術+化学療法」等の複数の治療内容が表示される。そして、ユーザは、入力インターフェース13を介して、このドロップダウンリストからディスプレイ12に表示する治療内容を選択することにより、ディスプレイ12に表示する治療内容を切り替える。そして、表示制御機能15cは、受け付けた治療内容により患者の疾病を治療した場合の第1シミュレーションデータをディスプレイ12に表示させる。なお、ステップS21において、治療内容として、1つの治療内容についての第1シミュレーションデータのみを生成した場合は、この治療内容のドロップダウンDD3を表示しなくてもよい。
【0058】
次に、
図4に示すように、医用情報処理装置10は、目標情報を生成する(ステップS25)。この目標情報を生成する処理は、処理回路15における算出機能15bにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、問診情報に基づいて、目標情報を生成する。より具体的には、医用情報処理装置10は、問診情報に含まれる患者の希望する日常生活動作レベルに関する情報に基づいて、目標情報として、患者の希望する日常生活動作レベルのQOLの閾値を表す閾値データを生成する。本実施形態において、医用情報処理装置10は、ステップS17において、患者の希望する日常生活動作レベルに関する情報として要介護及び通院を取得しているため、QOLデータベース11aを参照して、要介護及び通院の場合に必要なQOLの閾値を表す閾値データを生成する。
【0059】
なお、ステップS25において、医用情報処理装置10は、QOLデータベース11aを参照して、目標情報として、患者の希望する日常生活動作レベルのQOLの閾値を表す閾値データを生成することとしたが、閾値データを生成する方法は、これに限られない。例えば、患者の希望する日常生活動作レベルにおいて、患者に求められる能力の高さに基づいて、患者の希望する日常生活動作レベル毎に所定の値が設定されており、医用情報処理装置10は、取得した問診情報に含まれる患者の希望する日常生活動作レベルのそれぞれの所定の値をQOLに変換する所定の変換式を用いて、目標情報として、患者の希望する日常生活動作レベルのQOLの閾値を表す閾値データを生成するようにしてもよい。具体的には、移動に関する選択肢である歩行、階段、車いす、及び、補助付き車いすの場合、階段、歩行、車いす、及び、補助付き車いすの順に、所定の値として、5点、3点、2点、1点が設定されており、医用情報処理装置10は、ステップS17において問診情報として、患者の希望する日常生活動作レベルに関する情報として、階段、歩行、車いす、及び、補助付き車いすの情報を取得するとともに、患者の希望する日常生活動作レベル毎に設定されたこの階段、歩行、車いす、及び、補助付き車いすの所定の値である5点、3点、2点、1点を取得し、所定の値をQOLに変換する所定の変換式を用いて、取得した所定の値をQOLに変換することにより、目標情報として、歩行、階段、車いす、及び、補助付き車いすのQOLの閾値を表す閾値データを生成するようにしてもよい。閾値データに変換される所定の値は、例えば、Fibonacci数を用いて設定されてもよく、ユーザにより任意に設定されてもよい。
【0060】
次に、
図4に示すように、医用情報処理装置10は、目標情報を表示する(ステップS27)。この目標情報を表示する処理は、処理回路15における表示制御機能15cにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS25で生成された目標情報を表示する。
【0061】
図9は、本実施形態に係る医用情報処理装置10に表示される目標情報の一例を示す図である。
図9に示すように、医用情報処理装置10は、目標情報として、二点鎖線で示す通院の場合に必要なQOLの閾値データと、要介護の場合に必要なQOLの閾値データとを表示している。この
図9に示す例においては、孫の結婚式のイベント時において、要介護の場合に必要なQOLよりも治療ありのQOLが上回っているため、移動に関して、孫の結婚式においては、患者が希望する日常生活動作レベルである要介護の状態で参加できることを示している。
【0062】
一方、
図10は、本実施形態に係る医用情報処理装置10に表示される目標情報の別の例を示す図である。
図10に示すように、医用情報処理装置10は、目標情報として、二点鎖線で示す、通院の場合に必要なQOLの閾値データと、要介護の場合に必要なQOLの閾値データとを表示している。この
図10に示す例においては、移動に関して、患者が希望する日常生活動作レベルである要介護の閾値データを下回り、患者は通院していることを示している。そのため、孫の結婚式に出席する場合、患者は、リハビリなどによりQOLを向上させるか、他の治療方法に変更することにより要介護の閾値データを上回る必要がある。
【0063】
そして、ステップS27において、目標情報を表示することにより、本実施形態に係る第1シミュレーションデータ生成処理を終了する。
【0064】
次に、第2シミュレーションデータ生成処理について説明する。
図11は、本実施形態に係る医用情報処理装置10で実行される第2シミュレーションデータ生成処理を説明する図である。この第2シミュレーションデータ生成処理では、努力情報を取得し、取得した努力情報に基づいてQOLを再度求め、患者情報と、再度求められた患者のQOLとに基づく第2シミュレーションデータを表示する。例えば、第2シミュレーションデータ生成処理は、治療中又は治療後にリハビリを開始した場合に実行される処理である。
【0065】
図11に示すように、まず、医用情報処理装置10は、努力情報を取得する(ステップS31)。この努力情報を取得する処理は、処理回路15における取得機能15aにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、通信インターフェース14を介して、患者端末30又はウェアラブル端末50から努力情報を取得する。例えば、医用情報処理装置10は、1日や1週間などの所定の期間の経過毎に、この努力情報を取得する。
【0066】
次に、
図11に示すように、医用情報処理装置10は、QOLを再度求める(ステップS33)。このQOLを再度求める処理は、処理回路15における算出機能15bにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS31で取得した努力情報に基づいて、患者のQOLを再度求める。より具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS31で取得した努力情報を、QOLデータベース11aの情報と比較することにより、患者のQOLを再度求める。
【0067】
次に、
図11に示すように、医用情報処理装置10は、第2シミュレーションデータを生成または更新する(ステップS35)。この第2シミュレーションデータを生成または更新する処理は、処理回路15における算出機能15bにより実現される.具体的には、医用情報処理装置10は、患者情報と、ステップS33で再度求められたQOLとに基づいて、第2シミュレーションデータを生成する。また、すでに第2シミュレーションデータが生成されている場合にあっては生成されている第2シミュレーションデータを更新する。
【0068】
次に、
図11に示すように、医用情報処理装置10は、第2シミュレーションデータを表示する(ステップS37)。この第2シミュレーションデータを表示する処理は、処理回路15における表示制御機能15cにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10は、ステップS35で生成した第2シミュレーションデータをディスプレイ12に表示する。
【0069】
図12は、本実施形態に係る医用情報処理装置10のディスプレイ12に表示された第2シミュレーションデータの一例を示す図である。この
図12に示すように、第2シミュレーションデータは点線で表示され、移動に関する第1シミュレーションデータに重畳して表示される。
図12に示す例においては、手術及び化学療法で治療した場合において、手術及び化学療法の治療を行ってから一定期間経過後に、リハビリ等の日常の努力を開始し、継続して日常の努力が行われているため、移動に関するQOLが向上していることを示している。
【0070】
一方、
図13は、本実施形態に係る医用情報処理装置10のディスプレイ12に表示された第2シミュレーションデータの別の例を示す図である。
図13においても、第2シミュレーションは点線で表示され、移動に関する第1シミュレーションデータに重畳して表示されている。この
図13に示す例においては、手術及び化学療法の治療を行ってから一定期間経過後にリハビリ等の日常の努力を行っていないため、移動に関するQOLが降下していることを示している。
【0071】
医用情報処理装置10は、第2シミュレーションデータをディスプレイ12に表示後、上述したステップS31に戻り、努力情報を取得する。
【0072】
この
図11に示す本実施形態に係る第2シミュレーションデータ生成処理は、第2シミュレーションデータの生成を実行している間、繰り返し実行され、第2シミュレーションデータの生成が終了したとき、終了する。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る医用情報処理システム1によれば、医用情報処理装置10は、患者に関する患者情報と、患者が目標とするイベントに関するイベント情報と、イベントにおいて、患者が必要な日常生活動作に関する問診情報と、を取得し、取得した問診情報に基づいて、患者のQOLを求め、患者情報と、求めたQOLとに基づく患者の時系列的なQOLの変化を表す第1シミュレーションデータと、イベント情報における患者のイベントとを同時に表示することとしたので、患者の将来的なイベントとQOLの変化を患者に提示することができ、疾病に対する患者の意思決定を容易にすることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る医用情報処理装置10は、努力情報を取得し、努力情報に基づいて再度QOLを算出し、算出したQOLに基づく第2シミュレーションデータを表示することとしたので、患者の日常の努力に基づくQOLの変化を可視化することができ、治療中又は治療後における患者のモチベーションを維持することができる。
【0075】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態においては、医用情報処理装置10は電子カルテ装置などの医師端末として構成されていたが、これに限られない。第2実施形態においては、医用情報処理装置10は、複数のサーバ群(クラウド)からなるように構成されてもよい。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0076】
図14は、第2実施形態に係る医用情報処理システム1の構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態における
図1に対応する図である。この
図14に示すように、本実施形態に係る医用情報処理システム1は、上述した第1実施形態に係る医用情報処理システム1に対して、医用情報処理装置10が複数のサーバ群からなるように、及び、医用情報処理装置10が生成した第1シミュレーションデータ又は第2シミュレーションデータを表示する医師側の端末である医師端末70を追加するように構成されている。また、医用情報処理装置の構成が第1実施形態と異なるため、本実施形態においては、医用情報処理装置10aと表記する。また医用情報処理装置10aと、医師端末70以外の構成は、上述した第1実施形態における
図1と同様であるので説明を省略する。
【0077】
図15は、本実施形態に係る医用情報処理装置10aの構成例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態に係る
図3に対応する図である。この
図15に示すように、本実施形態に係る医用情報処理装置10aは、上述した第1実施形態に係る医用情報処理装置10に対して、ディスプレイ12と、入力インターフェース13と、を備えておらず、処理回路15には、受付機能15dと、表示制御機能15cの代わりの送信機能15eとを備えて構成されている。記憶回路11の構成は、上述した第1実施形態における
図3と同様であるので、説明を省略する。
【0078】
通信インターフェース14は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。通信インターフェース14は、この各種プロトコルに従って、ネットワークを介して、他の装置との通信を実現する。本実施形態においては、医用情報処理装置10aは、通信インターフェース14を介して、ネットワークに接続されて、患者端末30やウェアラブル端末50、医師端末70との通信が実現される。
【0079】
処理回路15は、医用情報処理装置10aの全体的な制御を行う制御回路である。また、処理回路15は、各種の演算を行う演算回路であり、CPUやGPU等のプロセッサにより構成される。例えば、本実施形態に係る処理回路15は、患者端末や医師端末からの要求を受け付けたり、患者情報やイベント情報、問診情報を取得したり、問診情報に基づいて、患者のQOLを算出したり、患者のQOLに基づく第1シミュレーションデータやイベント情報を患者端末30や医師端末70に送信したりする。
【0080】
このため、本実施形態に係る処理回路15は、取得機能15aと、算出機能15bと、受付機能15dと、送信機能15eとを有する。取得機能15aは本実施形態における取得部に相当しており、算出機能15bは本実施形態における算出部に相当しており、受付機能15dは本実施形態における受付部に相当しており、送信機能15eは本実施形態における送信部に相当している。
【0081】
図16は、本実施形態に係る医用情報処理装置10aで実行される第1シミュレーションデータ生成処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態に係る
図4に対応する図である。本実施形態に係る第1シミュレーションデータ生成処理では、患者端末30または医師端末70から第1シミュレーションデータを生成する要求を受け付け、患者情報と、イベント情報と、問診情報を取得し、問診情報に基づいて、患者のQOLを求め、患者情報と、求められた患者のQOLとに基づく第1シミュレーションデータと、イベント情報とを患者端末30または医師端末70に送信する。例えば、第1シミュレーションデータ生成処理は、治療前に患者が治療法を選択する場合に実行される処理である。
【0082】
図16に示すように、まず、医用情報処理装置10aは、要求を受け付ける(ステップS41)。この要求を受け付ける処理は、処理回路15における受付機能15dにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10aは、患者端末30又は医師端末70から第1シミュレーションデータを生成する要求を受け付ける。なお、このステップS41の後のステップS11からステップS21までの処理は、上述した第1実施形態における第1シミュレーションデータ生成処理の内容と同様であるため説明を省略する。
【0083】
ステップS21の後、
図16に示すように、医用情報処理装置10aは、第1シミュレーションデータ及びイベント情報を送信する(ステップS43)。この第1シミュレーションデータ及びイベント情報を送信する処理は、処理回路15における送信機能15eにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10aは、第1シミュレーションデータ及びイベント情報を患者端末30又は医師端末70に送信して、患者端末30又は医師端末70のディスプレイに同時に表示させる。なお、このステップS43の後のステップS25の処理は、上述した第1実施形態における第1シミュレーションデータ生成処理の内容と同様であるため説明を省略する。
【0084】
ステップS25の後、
図16に示すように、医用情報処理装置10aは、目標情報を送信する(ステップS45)。この目標情報を送信する処理は、処理回路15における送信機能15eにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10aは、ステップS25において生成された目標情報を患者端末30又は医師端末70に送信して、目標情報を患者端末30又は医師端末70のディスプレイに表示させる。
【0085】
このステップS45を実行することにより、本実施形態に係る第1シミュレーションデータ生成処理は終了する。
【0086】
次に、本実施形態に係る第2シミュレーションデータ生成処理の内容を説明する。
図17は、本実施形態に係る医用情報処理装置10aにおいて実行される第2シミュレーションデータ生成処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態に係る
図11に対応する図である。本実施形態に係る第2シミュレーションデータ処理では、医用情報処理装置10aは、第2シミュレーションデータを生成する要求を受け付け、努力情報を取得し、取得した努力情報に基づいてQOLを再度求め、患者情報と、再度求められた患者のQOLとに基づく第2シミュレーションデータを患者端末30又は医師端末70に送信する。例えば、第2シミュレーションデータ生成処理は、治療中又は治療後にリハビリを開始した場合に実行される処理である。
【0087】
図17に示すように、まず、医用情報処理装置10aは、要求を受け付ける(ステップS51)。この要求を受け付ける処理は、処理回路15における受付機能15dにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10aは、患者端末30又は医師端末70から第2シミュレーションデータを生成する要求を受け付ける。なお、このステップS51の後のステップS31からステップSステップS35までの処理は、上述した第1実施形態における第2シミュレーションデータ生成処理の内容と同様であるため説明を省略する。
【0088】
ステップS35の後、
図17に示すように、医用情報処理装置10aは、第2シミュレーションデータを送信する(ステップS53)。この第2シミュレーションデータを生成する処理は、処理回路15における送信機能15eにより実現される。具体的には、医用情報処理装置10aは、ステップS35において生成された第2シミュレーションデータを患者端末30又は医師端末70に送信して、患者端末30又は医師端末70のディスプレイに表示させる。
【0089】
医用情報処理装置10aは、第2シミュレーションデータを患者端末30又は医師端末70に送信後、上述したステップS31に戻り、努力情報を取得する。
【0090】
この
図17に示す本実施形態に係る第2シミュレーションデータ生成処理は、第2シミュレーションデータの生成を実行している間、繰り返し実行され、第2シミュレーションデータの生成が終了したとき、終了する。
【0091】
以上のように、本実施形態に係る医用情報処理システム1においても、医用情報処理装置10aは、患者が使用する患者端末30又は医師が使用する医師端末70の要求を受け付けて、受け付けた患者端末30又は医師端末70の要求に応じて、患者に関する患者情報と、患者が目標とするイベントに関するイベント情報と、イベントにおいて患者が必要とする日常生活動作に関する問診情報とを取得し、問診情報に基づいて、患者のQOLを算出し、算出されたQOLに基づく患者の時系列的なQOLの変化を表す第1シミュレーションデータと、イベント情報における前記患者のイベントとを患者端末30又は医師端末70に送信して、患者端末30又は医師端末70のディスプレイに同時に表示させることとしたので、患者の将来的なイベントとQOLの変化を患者に提示することができ、疾病に対する患者の意思決定を容易にすることができる。
【0092】
また、本実施形態に係る医用情報処理装置10aは、第2シミュレーションデータを生成する要求を受け付け、努力情報を取得し、努力情報に基づいて再度QOLを算出し、算出したQOLに基づく第2シミュレーションデータを患者端末30又は医師端末70に送信することとしたので、患者の日常の努力に基づくQOLの変化を可視化することができ、治療中又は治療後における患者のモチベーションを維持することができる。
【0093】
[第1及び第2実施形態の変形例1]
上述した第1及び第2実施形態においては、患者の時系列的なコストの変化を表すコストデータを生成して、生成したコストデータを提示するように変形することも可能である。以下、この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例1として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0094】
このコストデータを生成するための各種情報は、例えば、記憶回路11に備えられたコストデータベースに記憶されている。このコストデータベースには、治療しない場合のコストの時系列的な変化が記憶されていたり、治療法とその治療法におけるコストの時系列的な変化とが関連付けて記憶されていたりする。例えば、コストデータベースには、手術及び化学療法を行う場合に必要なコストなどの情報が記憶されている。
【0095】
図18は、変形例1に係る医用情報処理装置10が生成するコストデータの表示の一例を示す図である。医用情報処理装置10は、患者情報に基づいて、患者の資産に関する情報を、コストデータベースの情報と比較することにより、治療しない場合のコストデータと治療する場合の変化を表すコストデータとを生成する。
図18に示す例においては、医用情報処理装置10は、治療しない場合の患者の資産の変化を表すコストデータと、治療する場合の患者の資産の変化を表すコストデータとを生成し、ディスプレイ12に表示する。このコストデータは、第1シミュレーションデータと同時にディスプレイ12表示させるようにしてもよい。また、医用情報処理装置10は、コストデータをディスプレイ12に表示するための入力操作を受け付けて、コストデータをディスプレイ12に表示させるようにしてもよい。具体的には、医用情報処理装置10は、入力インターフェース13を介して、患者や医師などのユーザから第1シミュレーションデータとコストデータの表示を切り替える入力操作を受け付けて、第1シミュレーションデータの表示と切り替えて表示させるようにしてもよい。
【0096】
また、コストデータは、第1シミュレーションデータと同時に又は切り替えて表示させることとしたが、医用情報処理装置10は、入力インターフェース13を介して、コストデータをディスプレイ12に表示するための入力操作として、第1シミュレーションデータ上にカーソルを移動させたり、第1シミュレーションデータ上をクリックしたりすることにより、ディスプレイ12に表示された第1シミュレーションデータに対する入力操作を受け付けて、入力操作を受け付けた第1シミュレーションデータに対応するコストデータを表示するようにしてもよい。
図19は、変形例1に係る医用情報処理装置10が生成するコストデータの表示の別の例を示す図である。具体的には、
図19に示すように、医用情報処理装置10は、入力インターフェース13を介して、移動に関する第1シミュレーションデータに対する入力操作を受け付けた場合、その時間軸に対応するコストデータを、「残りの資産○○万円」というように表示するようにしてもよい。
【0097】
また、医用情報処理装置10が生成するコストデータは、患者の残りの資産に限られず、任意である。例えば、医用情報処理装置10が生成するコストデータは、その時間軸に対応する総コストに関する情報でもよく、患者情報に患者が加入している保険に関する情報を含んでいる場合には、その時間軸に対応する保険で賄われた金額を表示するようにしてもよい。
【0098】
以上のように、変形例1に係る医用情報処理装置10においては、第1シミュレーションデータに加えて、コストデータを提示することとしたので、疾病に対する患者の意思決定をより容易にすることができる。
【0099】
なお、上述した変形例1においては、コストデータは、コストデータベースの情報と比較することにより、生成されることとしたが、患者情報や問診情報の入力を受けてコストデータを出力するように機械学習された学習済みモデルを用いて、コストデータを生成することも可能である。また、本変形例は、上述した第1実施形態の変形例として説明したが、第2実施形態にも応用可能である。
【0100】
[第1及び第2実施形態の変形例2]
上述した第1及び第2実施形態においては、医用情報処理装置10、10aは、問診情報における患者の希望する日常生活動作レベルに関する情報を複数含む場合、目標情報として、患者の希望する日常生活動作レベルに関する情報のそれぞれについて必要なQOLの閾値を表す閾値データを生成して、複数の閾値データを提示することとしたが、医用情報処理装置10は、問診情報として、患者の希望する日常生活動作レベルの優先度に関する情報を取得して、取得された患者の希望する日常生活動作レベルの優先度に関する情報に基づいて、優先度の高い閾値データを提示するようにしてもよい。この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例2として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0101】
本変形例に係る医用情報処理装置10が取得する問診情報は、日常生活動作の選択結果に関する情報、患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報、及び、日常生活動作の優先度に関する情報に加えて、日常生活動作レベルの優先度に関する情報を含む。本変形例に係る日常生活動作の点数に関する情報は、食事、移動及び社会的認知の日常生活動作の点数であり、本変形例に係る日常生活動作の優先度に関する情報は、移動、社会的認知、食事の順に優先度が高いことを示す情報であり、本変形例に係る患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報は、移動に関する選択肢である歩行、階段、及び、車いすと、社会的認知に関する選択肢である社会的交流、記憶及び問題解決とであり、本変形例に係る日常生活動作レベルの優先度に関する情報は、歩行、車いす、階段の順に移動の選択肢の優先度が高いことを示す情報と、問題解決、記憶、社会的交流の順に優先度が高いことを示す情報とである。この日常生活動作レベルの優先度の決定には、例えば、日常生活動作レベルの優先度と同様に、AHPが用いられる。
【0102】
図20は、本変形例に係る日常生活動作レベルに関する情報における移動に関する選択肢を比較した結果を示す図である。この
図20に示す例において、患者は、イベントにおいて患者が必要とする移動の日常生活動作レベルに関する選択肢として、歩行、階段、及び、車いすを選択している場合、歩行と車いす、歩行と階段、及び、車いすと階段のそれぞれについて、重要度を比較する。
図20に示す例においては、患者は、歩行が車いすよりも重要であり、歩行が階段よりもかなり重要であり、車いすが階段よりも重要であると選択している。すなわち、
図20に示す例において、医用情報処理装置10は、問診情報における日常生活動作レベルの優先度に関する情報として、歩行、車いす、階段の順に優先度が高いことを示す情報を生成する。
【0103】
図21は、本変形例に係る日常生活動作レベルに関する情報における社会的認知に関する選択肢を比較した結果を示す図である。この
図21に示す例において、患者は、イベントにおいて患者が必要とする社会的認知の日常生活動作レベルに関する選択肢として、社会的交流、記憶、及び、問題解決を選択している場合、社会的交流と記憶、社会的交流と問題解決、及び、記憶と問題解決のそれぞれについて、重要度を比較する。
図21に示す例においては、患者は、記憶が社会的交流よりもやや重要であり、問題解決が社会的交流よりもかなり重要であり、問題解決が記憶よりも重要であると選択している。すなわち、
図21に示す例において、医用情報処理装置10は、問診情報における日常生活動作レベルの優先度に関する情報として、問題解決、記憶、社会的交流の順に優先度が高いことを示す情報を生成する。
【0104】
図20及び
図21に示す例において、
図6と同様に、日常生活動作毎の重要度に応じて、スコアが割り振られることにより、歩行、階段、及び、車いす及び、問題解決、記憶、社会的交流の幾何平均を算出して、問診情報における日常生活動作レベルの優先度を取得するようにしてもよい。また、本変形例に係る医用情報処理装置10は、AHPを用いて、日常生活動作レベルの優先度に関する情報を生成したが、日常生活動作レベルに関する選択肢に対して、Fibonacci数を付けるなどの日常生活動作レベルに関する選択肢の優先度に応じた重み付けに基づいて、医用情報処理装置10は、日常生活動作レベルの優先度に関する情報を生成するようにしてもよい。
【0105】
このように日常生活動作レベルの優先度に関する情報を取得した場合、上述した第1シミュレーションデータ生成処理において、処理回路15における表示制御機能15cは、目標情報を表示する際に、優先度の高い日常生活動作レベルの閾値データをディスプレイ12に表示することとなる。具体的には、移動に関する第1シミュレーションデータがディスプレイ12に表示されている場合、処理回路15における表示制御機能15cは、目標情報として、移動の選択肢において優先度の高い歩行の閾値データを表示する。また、社会的認知に関する第1シミュレーションデータがディスプレイ12に表示されている場合、処理回路15における表示制御機能15cは、目標情報として、社会的認知の選択肢において優先度の高い問題解決の閾値データを表示する。
【0106】
以上のように、変形例2に係る医用情報処理装置10おいては、第1シミュレーションデータとともに、日常生活動作レベルにおける優先度の高い選択肢のみの閾値データを表示することとしたので、ユーザに対して冗長な情報を提示することなく、疾病に対する患者の意思決定をより容易にすることができる。
【0107】
なお、上述した変形例2において、患者が希望する日常生活動作レベルに関する情報は、食事の日常生活動作レベルの選択肢として、食事に関する患者への介護の程度を表す情報である自立、部分介助及び全介助を含むようにしてもよい。食事に関する患者への介護の程度を表す情報を含む場合、食事の日常生活動作レベルの優先度に関する情報として、自立、部分介助、全介助の優先度に関する情報を取得するようにしてもよい。また、上述した変形例2は、上述した第1実施形態の変形例として説明したが、第2実施形態及び変形例1にも応用可能である。
【0108】
[第1及び第2実施形態の変形例3]
なお、上述した第1及び第2実施形態においては、医用情報処理装置10は、問診情報にとして、複数の日常生活動作に関する情報を含む場合、複数の日常生活動作それぞれの第1シミュレーションデータを同時にディスプレイ12に表示するようにしてもよい。この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例3として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0109】
図22は、変形例3に係る医用情報処理装置10におけるディスプレイ12に表示される複数の日常生活動作それぞれの第1シミュレーションデータと目標情報との一例を示す図である。
図22に示すように、医用情報処理装置10は、移動に関する治療の有無のそれぞれの第1シミュレーションデータ、社会的認知に関する治療の有無のそれぞれの第1シミュレーションデータ、及び食事に関する治療の有無のそれぞれの第1シミュレーションデータと、目標情報として、移動に関する選択肢である歩行、階段、及び、車いすのそれぞれの必要なQOLの閾値データと、社会的認知に関する選択肢の1つである社会的交流に必要なQOLの閾値データと、食事に関する選択肢である自立、及び部分介助に必要なQOLの閾値データを同時にディスプレイ12に表示している。例えば、医用情報処理装置10は、問診情報に患者の希望する日常生活動作の優先度に関する情報が含まれていない場合、この複数の日常生活動作それぞれの第1シミュレーションデータを同時にディスプレイ12に表示するようにしてもよく、日常生活動作の項目のドロップダウンDD2におけるドロップダウンリストに複数の日常生活動作それぞれを表示する項目を表示させ、ユーザがドロップダウンリストから複数の日常生活動作それぞれを表示する項目を選択することにより、ディスプレイ12に表示するようにしてもよい。
【0110】
以上のように、変形例3に係る医用情報処理装置10においては、複数の日常生活動作それぞれの第1シミュレーションデータを同時にディスプレイ12に表示することにより、ユーザは、複数の日常生活動作毎に表示を切り替えることなく、複数の日常生活動作それぞれの第1シミュレーションデータを1度に確認することができる。
【0111】
[第1及び第2実施形態のその他の変形例]
上述した第1及び第2実施形態において、医用情報処理装置10、10aは、QOLデータベース11aの情報と比較することにより、QOLの時系列的な変化を表す第1シミュレーションデータを生成することとしたが、医用情報処理装置10、10aは、問診情報及び求められたQOLなどの入力を受けて、第1シミュレーションデータを出力するように機械学習された学習済みモデルを用いて、第1シミュレーションデータを生成することも可能である。
【0112】
また、上述した第1および第2実施形態において、医用情報処理装置10、10aは、生成された第1シミュレーションデータ及び第2シミュレーションデータを調整する入力操作を受け付けるようにしてもよい。すなわち、医師は、入力インターフェース13や患者端末30又は医師端末70の入力インターフェースを介して、医師の知見や経験に基づいて、生成された第1シミュレーションデータ及び第2シミュレーションデータを調整できるようにしてもよい。
【0113】
また、第2シミュレーションデータ生成処理において、医用情報処理装置10、10aは、第1シミュレーションデータ生成処理において生成された目標情報を表示するようにしてもよい。第2シミュレーションデータ生成処理において、目標情報を表示することにより、医用情報処理装置10、10aは、患者に対して日常の努力に対する目標を提示することができ、日常の努力に対する患者のモチベーションを維持することができる。
【0114】
また、上述した第1及び第2実施形態において、医用情報処理装置10、10aは、入力インターフェース13を介して、第1シミュレーションデータに対する入力操作を受け付けた場合、入力操作を受け付けた第1シミュレーションデータの時間軸に対応する有害事象に関する情報を表示するようにしてもよい。例えば、医用情報処理装置10、10aは、医用情報処理装置10の入力インターフェース13や患者端末30又は医師端末70の入力インターフェースを介して、第1シミュレーションデータに対する入力操作を受け付けた場合、その時間軸に対応する有害事象に関する情報として、骨髄抑制や腎機能障害、消化器不全などの情報を表示するようにしてもよい。
【0115】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路11に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、記憶回路11にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図3における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0116】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0117】
1…医用情報処理システム、10、10a…医用情報処理装置、11…記憶回路、11a…QOLデータベース、12…ディスプレイ、13…入力インターフェース、14…通信インターフェース、15…処理回路、15a…取得機能、15b…算出機能、15c…表示制御機能、15d…受付機能、15e…送信機能、30…患者端末、50…ウェアラブル端末、70…医師端末