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  • 特開-液位測定装置および液位測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121532
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】液位測定装置および液位測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/296 20220101AFI20240830BHJP
【FI】
G01F23/296
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028682
(22)【出願日】2023-02-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)日本原子力学会 関東・甲越支部 第15回 学生研究発表会-原子力・放射線分野-,Zoomによるオンライン口頭発表,令和4年3月1日 (2)日本原子力学会 関東・甲越支部 第15回 学生研究発表会-原子力・放射線分野-,予稿集,令和4年3月1日 (3)International Symposium on Zero-Carbon Energy Systems,Organizing Committee of IZES,オンライン予稿集,ウェブサイト掲載, 令和5年1月6日 https://www.izes1.org/abstracts/index.html (4)International Symposium on Zero-Carbon Energy Systems,Organizing Committee of IZES,東京工業大学,令和5年1月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 武志
(72)【発明者】
【氏名】大森 修一
(72)【発明者】
【氏名】木倉 宏成
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀治
(72)【発明者】
【氏名】荘司 成熙
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 晟豪
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB01
2F014AC05
2F014FB10
2F014GA01
(57)【要約】
【課題】産業用機器において容器に収容された液体の液位を容易に測定することができる液位測定装置及び液位測定方法を提供する。
【解決手段】液位測定装置1は、産業用機器において容器100に収容された液体Lの液位Hを測定する液位測定装置であって、容器100の外側から内側に向かって、水平方向(X方向)に対して傾斜した方向D1に超音波を送信する送信部2と、容器100の外側且つ送信部2の上方又は下方に配置されて超音波を受信する受信部3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用機器において容器に収容された液体の液位を測定する液位測定装置であって、
前記容器の外側から内側に向かって、水平方向に対して傾斜した方向に超音波を送信する送信部と、
前記容器の外側且つ前記送信部の上方又は下方に配置されて超音波を受信する受信部と、を備えることを特徴とする液位測定装置。
【請求項2】
前記容器と前記送信部との間、及び、前記容器と前記受信部との間に配置され、前記超音波の進行方向に沿って延びる棒状のガイド部を備えることを特徴とする請求項1に記載の液位測定装置。
【請求項3】
前記送信部は、横波の超音波を送信することを特徴とする請求項2に記載の液位測定装置。
【請求項4】
産業用機器において容器に収容された液体の液位を測定する液位測定方法であって、
前記容器の外側から内側に向かって、水平方向に対して傾斜した方向に超音波を送信する送信工程と、
前記容器の外側且つ超音波の送信位置の上方又は下方において超音波を受信する受信工程と、を含むことを特徴とする液位測定方法。
【請求項5】
前記受信工程において受信した超音波の強度と、超音波の強度と液位との関係を示す強度液位情報と、に基づいて液位を算出する算出工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の液位測定方法。
【請求項6】
前記受信工程において受信した超音波の強度を、所定の液位に対応した超音波の強度である強度閾値と比較する比較工程を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の液位測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液位測定装置および液位測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子力プラントの原子炉の水位を測定するために、差圧式水位計を用いることが知られている。このような差圧式水位計では、差圧計を用いて測定対象の水位と基準面器内の水位との差が測定され、水位差と基準面器内の水位とに基づいて測定対象の水位が算出される。しかしながら、何らかの原因によって基準面器内の水位が低下すると、測定対象の正確な水位が得られなくなってしまうという不都合があった。
【0003】
そこで、基準面器の水位を検出する基準面水位検出装置と、基準面器に水を供給する水張りタンクと、を備えた差圧式水位計が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された差圧式水位計では、基準面水位検出装置がバッテリーに接続されており、バッテリーを用いて基準面器に水を供給可能となっており、常用電源喪失時にも基準面器に水を供給できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-217784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたように基準面器に水を供給する差圧式水位計では、基準面器の水位の変動に対応することはできるものの、追加的に設けなければならない構成が多く、構造が複雑化しやすい。構造が複雑化すると、各部において不具合が生じる可能性があり、正確な測定が困難になってしまう可能性がある。このように、より簡便な方法で水位(液位)を測定することが望まれていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、産業用機器において容器に収容された液体の液位を容易に測定することができる液位測定装置及び液位測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る液位測定装置は、産業用機器において容器に収容された液体の液位を測定する液位測定装置であって、前記容器の外側から内側に向かって、水平方向に対して傾斜した方向に超音波を送信する送信部と、前記容器の外側且つ前記送信部の上方又は下方に配置されて超音波を受信する受信部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る液位測定装置において、前記容器と前記送信部との間、及び、前記容器と前記受信部との間に配置され、前記超音波の進行方向に沿って延びる棒状のガイド部を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る液位測定装置において、前記送信部は、横波の超音波を送信する。
【0010】
一方、本発明に係る液位測定方法は、産業用機器において容器に収容された液体の液位を測定する液位測定方法であって、前記容器の外側から内側に向かって、水平方向に対して傾斜した方向に超音波を送信する送信工程と、前記容器の外側且つ超音波の送信位置の上方又は下方において超音波を受信する受信工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る液位測定方法において、前記受信工程において受信した超音波の強度と、超音波の強度と液位との関係を示す強度液位情報と、に基づいて液位を算出する算出工程を含む。
【0012】
本発明の一態様に係る液位測定方法において、前記受信工程において受信した超音波の強度を、所定の液位に対応した超音波の強度である強度閾値と比較する比較工程を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液位測定装置及び液位測定方法によれば、産業用機器において容器に収容された液体の液位を容易に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る液位測定装置を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る液位測定装置によって液位を測定する様子を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る液位測定装置によって液位を測定する様子を示す断面図である。
図4】本発明の変形例の液位測定装置を模式的に示す断面図である。
図5】本発明の実施例の液位測定装置におけるシミュレーション結果を示すグラフである。
図6】本発明の実施例の液位測定装置における実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る液位測定装置1を模式的に示す断面図であり、図2は、液位測定装置1によって液位H1を測定する様子を示す断面図であり、図3は、液位測定装置1によって液位H2を測定する様子を示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る液位測定装置1は、産業用機器において容器100に収容された液体Lの液位Hを測定する液位測定装置であって、容器100の外側から内側に向かって、水平方向(X方向)に対して傾斜した方向D1に超音波を送信する送信部2と、容器100の外側且つ送信部2の上方又は下方に配置されて超音波を受信する受信部3と、を備える。
【0017】
容器100は、産業用機器としての原子力プラントにおいて原子炉を構成するタンクであり、液体Lとして水が収容されている。容器100に収容される液体Lは、水に限定されず、例えば何らかの添加物が添加されていてもよい。また、容器100内には、液体L以外にも気体Gが存在しており、気体Gは例えば空気である。容器100は炭素鋼等の金属によって構成されている。
【0018】
液位測定装置1は、送信部2と、受信部3と、不図示の制御部と、を備える。
【0019】
送信部2は、所定の方向を送信方向として超音波を送信する超音波発生装置を含んで構成されている。本実施形態では、送信部2は縦波の超音波を送信するものとする。送信部2は、取付部4Aを用いて容器100の周壁101に取り付けられる。取付部4Aは、送信部2の超音波の送信方向D1が水平方向に対して上側に傾斜するように、傾斜面を有して(例えば断面三角形状に)形成されている。取付部4Aは、例えば液体Hと同程度の屈折率を有し、超音波が通過するものとする。以下では、水平方向をX方向とし、X方向に対する送信方向D1の傾斜角度を送信角度θ1とする。
【0020】
受信部3は、超音波を受信する超音受信装置を含んで構成されている。受信部3は、送信部2と同様に、取付部4Bを用いて容器100の周壁101に取り付けられる。取付部4Bは、受信部3の超音波の受信方向D2が水平方向に対して下側に傾斜するように、傾斜面を有して(例えば断面三角形状に)形成されている。取付部4Bは、例えば液体Hと同程度の屈折率を有し、超音波が通過するものとする。X方向に対する受信方向D2の傾斜の角度を受信角度θ2とする。受信部3は、送信部2に対して鉛直方向(以下、Z方向とする)において所定距離だけ離れて上方に配置されている。尚、受信部3は、超音波を受信可能な所定の角度範囲を有していてもよく、この場合、この角度範囲における中心方向を受信方向D2とすればよい。
【0021】
制御部は、例えばCPU(中央演算処理装置)を含むマイクロコンピュータにより構成される。制御部は、受信部3から信号を受信し、受信した信号を処理することにより、液位Hを算出する算出手段として機能する。
【0022】
ここで、送信部2から送信されて受信部3によって受信される超音波の経路について説明する。送信部2から送信された超音波は、周壁101の外周面とその外部の取付部4Aとの界面S1において屈折して周壁101の内部に進入する。「周壁101の内部」とは、容器100の内側空間ではなく、周壁101自体の内部を意味する。超音波が周壁101の内部において進行する方向を内部進行方向D3とし、X方向に対する内部進行方向D3の傾斜角度を進行角度θ3とする。
【0023】
進行角度θ3は、送信角度θ1と、周壁101の屈折率と、取付部4Aの屈折率と、によって決まる。容器100がアルミニウムにより構成される場合、進行角度θ3は、40~50°であることが好ましく、42~48°であることがより好ましく、45°前後であることがより一層好ましい。この進行角度は、周壁101の材質並びに液体L及び気体Gの種類によって適宜に設定されればよい。例えば、アルミニウムと水との境界面に縦波が入射した場合における、反射係数および透過係数の入射角度依存性を示すグラフが公知となっている。このような公知のグラフに基づいて、反射係数及び透過係数の両方を確保できるような入射角度を進行角度とすればよい。また、容器100が炭素鋼により構成される場合には、進行角度θ3は、25~35°であることが好ましく、28~32°であることがより好ましく、30°前後であることがより一層好ましい。
【0024】
反射係数を確保すれば、反射による強度減衰を抑制することができ、受信部によって受信される超音波の強度(以下、単に「受信強度」と呼ぶことがある)を確保しやすい。透過係数を確保すれば、後述するような反射部における水の有無によって反射後の超音波の強度の差を大きくすることができる。進行角度θ3がこのような角度を有するように、周壁101の屈折率および取付部4Aの屈折率に基づいて、送信角度θ1が設定される。
【0025】
超音波は、周壁101内を外側から内側に向かって進行し、周壁101の内周面と容器100内部との界面S2に到達する。超音波は、この界面S2において少なくとも一部が反射され、再び外側に向かって進行する。その後、超音波は、界面S1に到達し、同様に反射されて再び内側に向かって進行し、このような反射を所定回数繰り返す。反射の前後において進行角度θ3は不変である。周壁101の厚さをTとすると、超音波が界面S1から界面S2に到達するまで(又はその逆)にZ方向に進行する距離は、Ttanθ3となる。
【0026】
所定回数の反射を繰り返した超音波は、受信部3によって受信され、その強度が検出される。即ち、受信部3の近傍において界面S1に到達した超音波は、その一部が周壁101の外側に脱出し、この脱出した超音波が受信部3によって受信される。超音波が周壁101の外側に脱出する際、周壁101の屈折率と、取付部4Bの屈折率と、に応じて屈折する。この屈折後の進行方向に応じて、受信方向D2が設定される。受信部3は、Ttanθ3と、後述する反射部S21~S24の数の2倍と、の積に相当する長さだけ、送信部2に対して上方に配置されている。
【0027】
上記のように超音波が所定回数反射することから、界面S2には、複数(本実施形態では4箇所)の反射部S21~S24が形成される。液位Hによって、各々の反射部S21~S24が周壁101と液体Lとの界面となるか、又は、周壁101と気体Gとの界面となるかが決まる。図2には、液位Hが比較的高く(H=H1)、最も上側の反射部S24のみが周壁101と気体Gとの界面となり、その他が周壁101と液体Lとの界面となる様子を示している。一方、図3には、液位Hが比較的低く(H=H2)、上側の2つの反射部S23,S24が周壁101と気体Gとの界面となり、下側の2つの反射部S21,S22が周壁101と液体Lとの界面となる様子を示している。
【0028】
反射部S21~S24が周壁101と液体Lとの界面となる場合、超音波は、上記のように界面S2において反射されるだけでなく、界面S2を透過して液体Lにも伝達される。即ち、界面S2における反射の前後において、強度が比較的低下しやすい。
【0029】
これに対し、反射部S21~S24が周壁101と気体Gとの界面となる場合、超音波は、気体Gには伝達されにくい。従って、反射部S21~S24が周壁101と気体Gとの界面となる場合には、界面S2における反射の前後において、強度が比較的低下しにくい。
【0030】
図2に示す例においては、図3に示す例と比較して、周壁101と液体Lとの界面における反射回数が多いことから、受信部3によって受信される超音波の強度が低くなる。即ち、液位Hが高いほど、受信強度が低くなる。
【0031】
液位Hと受信強度との関係(強度液位情報)は、実験又はシミュレーションによって予め求められ、液位測定装置1に含まれる記憶部又は外部の記憶装置に記憶される。制御部は、記憶部又は記憶装置から強度液位情報を取得するとともに、受信部3から超音波の受信強度の情報を取得し、これらを比較することにより、液位Hを算出する。制御部は、算出した液位Hについての情報を外部に出力し、例えば液位Hを表示部に表示させてもよい。また、算出した液位Hが所定の液位閾値以下となった場合に、制御部が警告信号を外部に出力してもよい。
【0032】
また、制御部は、液位Hを算出せず、超音波の受信強度を強度閾値と比較し、受信強度が強度閾値以下となった場合に警告信号を外部に出力してもよい。強度閾値とは、所定の液位に対応した超音波の受信強度である。
【0033】
次に、液位測定装置1を用いた液位測定方法の一例について説明する。まず、制御部が、送信部2に対し、超音波を送信させるための送信信号を送信することにより、送信部2に超音波を送信させる(送信工程)。次いで、制御部は、受信部3からの信号を受信する待機状態となる。送信部2から超音波が送信されることにより、受信部3はこの超音波を受信する(受信工程)。受信部3から制御部に対して受信強度の情報を含む信号が送信され、制御部がこの信号を受信する。
【0034】
制御部は、受信部から信号を受信したら、記憶部又は記憶装置から強度液位情報を取得し、受信した信号に含まれる受信強度と、強度液位情報と、に基づいて液位Hを算出する(算出工程)。次に、制御部は、液位閾値の情報を取得し、算出した液位Hと液位閾値とを比較し(液位比較工程)、液位Hが液位閾値以下となる場合に、警告信号を外部に出力する(警告工程)。制御部は、上記のような処理を例えば所定時間間隔で繰り返し実行する。
【0035】
尚、制御部は、上記の算出工程から警告工程に代えて、超音波の受信強度を強度閾値と比較する比較工程を実施し、受信強度が強度閾値以上となる場合に、警告信号を外部に出力してもよい。
【0036】
このように、本発明の実施形態に係る液位測定装置1によれば、送信部2が水平方向に対して傾斜した送信方向D1に超音波を送信し、受信部3が送信部2の上方において超音波を受信することで、容器100の周壁101の内周面とその内部との界面S2において所定回数だけ反射した超音波が受信される。反射部S21~S24において周壁101の内部が液体Lであるか又は気体Gであるかによって超音波の強度低下の程度が異なることから、液位Hによって超音波の受信強度が変化する。このような受信強度に基づいて、原子力プラントにおいて容器100に収容された液体Lの液位Hを容易に測定することができる。
【0037】
また、液位Hを算出して液位閾値と比較することにより、例えば液位Hが低下して所望の冷却性能が得られなくなった場合に、警告を出力することができる。
【0038】
また、液位Hを算出しない場合であっても、超音波の受信強度を強度閾値と比較することにより、上記同様に警告を出力することができる。
【0039】
尚、本発明は上記の実施形態の形態に限定されず、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、上記の本発明の実施形態では、送信部2及び受信部3が取付部4A,4Bによって周壁101に取り付けられるものとしたが、図4に示す変形例のように、容器100と送信部2との間、及び、容器100と受信部3との間に、棒状のガイド部5を配置してもよい。
【0040】
この変形例では、ガイド部5は、超音波の進行方向(送信部2においては送信方向D1であり、受信部3においては受信方向D2)に沿って延びる。また、ガイド部5は、容器100の周壁101と共通の材質により構成されている。これにより、ガイド部5と周壁101との間で超音波の屈折が生じず、送信角度θ1と、受信角度θ2と、進行角度θ3と、が略一致する。従って、ガイド部5は、水平方向に対し、40~50°、好ましくは42~48°、より好ましくは45°前後傾斜して延びており、送信部2及び受信部3は角度θ1,θ2が同様の傾斜を有するように設けられる。また、ガイド部5は、容器100の温度(例えば200℃)に耐えられるような耐熱性部材により構成されている。
【0041】
このような変形例によれば、耐熱性のガイド部5が設けられていることで、容器100の温度による影響を抑制することができる。また、ガイド部5によって送信部2及び受信部3を容器100から適宜に離隔させて配置することができる。また、ガイド部5が超音波の進行方向に沿って延びていることで、送信部2及び受信部3を容器100から離隔させても、超音波を効率よく伝達することができ、受信強度を確保しやすい。
【0042】
また、このようなガイド部5が設けられる場合には、送信部2は、縦波の超音波を送信してもよいし、横波の超音波を送信してもよい。縦波を用いる場合には特に界面S2での反射時に横波の反射波が生じるのに対し、横波の超音波を用いれば、界面S1,S2のいずれにおいても縦波の反射波が生じないことから、エネルギーロスを抑制し、測定精度を確保しやすい。例えば、水とアルミニウムとの界面に対して入射角45°で横波の超音波を入射させた場合の反射率が0.58となるのに対し、縦波の超音波を入射させた場合の反射率は0.24となる。即ち、送信する超音波の強度を同等とすると、横波を送信した場合の方が受信強度は高くなる。これにより、例えば送信部2と受信部3とをより離して配置したり、反射部の数を増やしたりすることができる。
【0043】
また、上記の実施形態では、送信部2が水平方向に対して上側に傾斜した送信方向D1に超音波を送信するとともに受信部3が送信部2の上方に配置されるものとしたが、送信部が水平方向に対して下側に傾斜した方向に超音波を送信するとともに受信部が送信部の下方に配置される構成としてもよい。
【0044】
また、上記の実施形態では、液位測定装置1が産業用機器としての原子力プラントに用いられるものとしたが、他の方式の発電プラントにおいて、液体が収容される容器が設けられる場合には、この液体の液位を測定するために液位測定装置を設けてもよい。また、発電プラント以外の産業用機器に液位測定装置が用いられてもよく、例えば燃料を収容する容器を有する産業用機器において、油面計として液位測定装置が用いられてもよい。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に係る液位測定装置及び液位測定方法に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【0046】
[実施例]
上記の実施形態に係る液位測定装置1における液位と超音波の受信強度との関係をシミュレーション及び実験により確認した。シミュレーション及び実験の両方において、周壁101の材質をアルミニウムとし、厚さTを10mmとし、送信角度θ1を20°とし、受信角度θ2を18°とした。このとき、送信する超音波は、基本周波数を4MHzとし、パルスサイクル数を2とした。また、水温は15℃前後とした。周壁101内部での音速は、縦波が6420m/sであり、横波が3040m/sであり、水中での音速は1440m/sであった。
【0047】
上記の条件下において、液位(水位)Hを変化させ、液位Hにおける超音波の受信強度を評価した。シミュレーション結果を図5に示し、実験結果を図6に示す。いずれにおいても、横軸である液位Hの値が大きくなるほど、縦軸である超音波の受信強度の値が小さくなる結果が得られた。
【符号の説明】
【0048】
1…液位測定装置、2…送信部、3…受信部、5…ガイド部、100…容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6