特開 2024-121547 錠剤印刷装置及び錠剤印刷方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024121547

(43)【公開日】2024-09-06

(54)【発明の名称】錠剤印刷装置及び錠剤印刷方法

(51)【国際特許分類】

   A61J 3/06 20060101AFI20240830BHJP

【ＦＩ】

A61J3/06 Q

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023028699

(22)【出願日】2023-02-27

(71)【出願人】

【識別番号】000002428

【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002147

【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】平野 梓

(72)【発明者】

【氏名】山崎 貴弘

(72)【発明者】

【氏名】生田 亮

(72)【発明者】

【氏名】岡部 由孝

【テーマコード（参考）】

4C047

【Ｆターム（参考）】

4C047JJ01

4C047JJ12

4C047JJ25

4C047JJ26

4C047JJ27

4C047JJ32

4C047JJ40

4C047KK03

4C047KK12

4C047KK13

4C047KK25

4C047KK28

4C047KK30

4C047KK40

(57)【要約】

【課題】効率よく錠剤に印刷を行うことを可能にする。
【解決手段】実施形態に係る錠剤印刷装置１は、搬送ベルト２１により搬送される錠剤Ｔを検出する検出部と、検出部により検出された錠剤Ｔに印刷を行うインクジェットヘッド５１と、検出部を覆い、搬送ベルト２１側の面の少なくとも一部に透光部材７１、７２を有するカバー部７０と、検出部により取得した検出結果に基づいて、錠剤Ｔの検査を行うとともに、カバー部７０透光部材７１、７２に付着した異物の有無を判断する制御部と、を備え、制御部は、透光部材７１、７２に付着した異物が有ると判断した場合、カバー部７０の搬送ベルト２１側の面に対して平面視で錠剤Ｔの搬送方向Ｈ１と交差する方向に気体を吹き付けるブロー部８１に気体の吹き付けを実行させる第１の処理と、異物の位置を特定して異物を検査の対象から除外する第２の処理との一方又は両方を行う。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

搬送ベルトにより搬送される錠剤を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記錠剤に印刷を行うインクジェットヘッドと、
前記検出部を覆い、前記搬送ベルト側の面の少なくとも一部に透光部材を有するカバー部と、
前記検出部により取得した検出結果に基づいて、前記錠剤の検査を行うとともに、前記カバー部の前記透光部材に付着した異物の有無を判断する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記透光部材に付着した前記異物が有ると判断した場合、前記カバー部の前記搬送ベルト側の面に対して平面視で前記錠剤の搬送方向と交差する方向に気体を吹き付けるブロー部に前記気体の吹き付けを実行させる第１の処理と、前記異物の位置を特定して前記異物を前記検査の対象から除外する第２の処理との一方又は両方を行う、
錠剤印刷装置。

【請求項2】

前記制御部は、前記検出部が前記錠剤の画像を取得する撮像装置である場合、前記第２の処理を行う、
請求項１に記載の錠剤印刷装置。

【請求項3】

前記制御部は、前記検査の対象から除外する前記異物が所定のサイズを超える場合、前記第２の処理にかえて前記第１の処理を行う、
請求項２に記載の錠剤印刷装置。

【請求項4】

前記検出部は、前記錠剤の画像を取得する撮像装置であり、
前記制御部は、前記画像内における前記検査の対象領域に前記異物があると判断した場合、前記第２の処理を行う、
請求項１に記載の錠剤印刷装置。

【請求項5】

前記検出部は、
前記搬送ベルトにより搬送される錠剤を検出する第１の検出部と、
前記第１の検出部よりも、前記錠剤の搬送方向における下流側に位置し、前記錠剤を検出する第２の検出部と、
を有し、
前記制御部は、前記第１の検出部及び前記第２の検出部により取得した検出結果に基づいて前記錠剤の検査を行うとともに、前記第１の検出部による検出結果と、前記第２の検出部による検出結果とが一致しない場合、前記透光部材に付着した前記異物が有ると判断する、
請求項１に記載の錠剤印刷装置。

【請求項6】

検出部が、搬送ベルトにより搬送される錠剤を検出することと、
インクジェットヘッドが、前記検出部により検出された前記錠剤に印刷を行うことと、
制御部が、前記検出部により取得した検出結果に基づいて、前記錠剤の検査を行うとともに、前記検出部を覆い前記搬送ベルト側の面の少なくとも一部に透光部材を有するカバー部の前記透光部材に付着した異物の有無を判断することと、
を含み、
前記制御部は、前記透光部材に付着した前記異物が有ると判断した場合、前記カバー部の前記搬送ベルト側の面に対して平面視で前記錠剤の搬送方向と交差する方向に気体を吹き付けるブロー部に前記気体の吹き付けを実行させる第１の処理と、前記異物の位置を特定して前記異物を前記検査の対象から除外する第２の処理との一方又は両方を行う、
錠剤印刷方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明の実施形態は、錠剤印刷装置及び錠剤印刷方法に関する。

【背景技術】

【0002】

現在、識別情報などの各種情報を錠剤に印刷するため、インクジェットヘッドを用いて印刷を行う錠剤印刷装置が開発されている。この錠剤印刷装置では、印刷対象の錠剤を検出するため、センサやカメラなどの検出部が用いられている。この検出部のカバーに錠剤の粉やゴミなどの異物が付着することがあり、この異物の付着によって検出部が錠剤を誤検知することがあり、効率よく錠剤に印刷を行うことができない。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１９－５８２２０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明が解決しようとする課題は、効率よく錠剤に印刷を行うことができる錠剤印刷装置及び錠剤印刷方法を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0005】

本発明の実施形態に係る錠剤印刷装置は、搬送ベルトにより搬送される錠剤を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記錠剤に印刷を行うインクジェットヘッドと、前記検出部を覆い、前記搬送ベルト側の面の少なくとも一部に透光部材を有するカバー部と、前記検出部により取得した検出結果に基づいて、前記錠剤の検査を行うとともに、前記カバー部の前記透光部材に付着した異物の有無を判断する制御部と、を備え、前記制御部は、前記透光部材に付着した前記異物が有ると判断した場合、前記カバー部の前記搬送ベルト側の面に対して平面視で前記錠剤の搬送方向と交差する方向に気体を吹き付けるブロー部に前記気体の吹き付けを実行させる第１の処理と、前記異物の位置を特定して前記異物を前記検査の対象から除外する第２の処理との一方又は両方を行う。

【0006】

本発明の実施形態に係る錠剤印刷方法は、検出部が、搬送ベルトにより搬送される錠剤を検出することと、インクジェットヘッドが、前記検出部により検出された前記錠剤に印刷を行うことと、制御部が、前記検出部により取得した検出結果に基づいて、前記錠剤の検査を行うとともに、前記検出部を覆い前記搬送ベルト側の面の少なくとも一部に透光部材を有するカバー部の前記透光部材に付着した異物の有無を判断することと、を含み、前記制御部は、前記透光部材に付着した前記異物が有ると判断した場合、前記カバー部の前記搬送ベルト側の面に対して平面視で前記錠剤の搬送方向と交差する方向に気体を吹き付けるブロー部に前記気体の吹き付けを実行させる第１の処理と、前記異物の位置を特定して前記異物を前記検査の対象から除外する第２の処理との一方又は両方を行う。

【発明の効果】

【0007】

本発明の実施形態によれば、効率よく錠剤に印刷を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】第１の実施形態に係る錠剤印刷装置の概略構成の一例を示す第１の図である。

【図2】第１の実施形態に係る錠剤印刷装置の概略構成の一例を示す第２の図である。

【図3】第１の実施形態に係るカバー部及びブロー装置の概略構成の一例を示す第１の図である。

【図4】第１の実施形態に係るカバー部及びブロー装置の概略構成の一例を示す第２の図である。

【図5】第１の実施形態に係る制御装置の概略構成の一例を示す図である。

【図6】第１の実施形態に係る処理例１の流れを示すフローチャートである。

【図7】第１の実施形態に係る第１の異物除外処理を説明するための図である。

【図8】第１の実施形態に係る処理例２の流れを示すフローチャートである。

【図9】第１の実施形態に係る第２の異物除外処理を説明するための図である。

【図10】第１の実施形態に係る処理例３の流れを示すフローチャートである。

【図11】第１の実施形態に係る処理例４の流れを示すフローチャートである。

【図12】第１の実施形態に係る処理例５の流れを示すフローチャートである。

【図13】第２の実施形態に係るブロー装置の概略構成の一例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

＜第１の実施形態＞
第１の実施形態について図１から図１４を参照して説明する。

【0010】

（錠剤印刷装置の構成例）
第１の実施形態に係る錠剤印刷装置１の構成例について図１から図４を参照して説明する。

【0011】

図１及び図２に示すように、第１の実施形態に係る錠剤印刷装置１は、供給部１０と、搬送部２０と、センサ３０と、第１の撮像部４０と、印刷部５０と、第２の撮像部６０と、カバー部７０と、ブロー装置８０と、回収部９０と、制御装置１００とを備える。センサ３０、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０は、それぞれ錠剤Ｔを検出する検出部として機能する。

【0012】

供給部１０は、ホッパ１１及びシュータ１２を有している。この供給部１０は、搬送部２０の一端側に位置付けられ、印刷対象物である錠剤Ｔを搬送部２０に供給することが可能に構成されている。ホッパ１１は、多数の錠剤Ｔを収容し、収容した錠剤Ｔをシュータ１２に順次供給する。シュータ１２は、ホッパ１１から供給された錠剤Ｔを一列に整列させて搬送部２０に供給する。供給部１０は制御装置１００に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１００により制御される。

【0013】

搬送部２０は、搬送ベルト２１、駆動プーリ２２、複数の従動プーリ２３、モータ２４、位置検出器２５及び吸引チャンバ２６を有する。搬送ベルト２１は、無端状のベルトであり、駆動プーリ２２及び各従動プーリ２３に架け渡されている。駆動プーリ２２及び各従動プーリ２３は装置本体（図示せず）に回転可能に設けられており、駆動プーリ２２はモータ２４に連結されている。モータ２４は制御装置１００に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１００により制御される。位置検出器２５は、エンコーダなどの機器であり、モータ２４に取り付けられている。この位置検出器２５は電気的に制御装置１００に接続されており、検出信号を制御装置１００に送信する。搬送部２０は、モータ２４による駆動プーリ２２の回転によって各従動プーリ２３と共に搬送ベルト２１を回転させ、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔを図１中の矢印Ｈ１の回転方向、すなわち搬送方向Ｈ１に搬送する。

【0014】

搬送ベルト２１には、円形状の吸引孔２１ａ（図２参照）が複数形成されている。これらの吸引孔２１ａは、それぞれ錠剤Ｔを吸着する貫通孔であり、一本の搬送路を形成するように搬送方向Ｈ１に沿って一列に並べられている。各吸引孔２１ａは、吸引チャンバ２６（図１参照）に形成された吸引路（図示せず）を介して吸引チャンバ２６内に接続されており、吸引チャンバ２６により吸引力を得ることが可能になっている。吸引チャンバ２６には、ポンプが吸引管（いずれも図示せず）を介して接続されており、ポンプの作動により吸引チャンバ２６内が減圧される。吸引管は、吸引チャンバ２６の側面（搬送方向Ｈ１と平行な面）の略中央に接続されている。また、ポンプは制御装置１００に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１００により制御される。吸引チャンバ２６内が減圧されると、搬送ベルト２１の各吸引孔２１ａ上に置かれた錠剤Ｔは吸引孔２１ａにより吸引され、搬送ベルト２１上に保持される。

【0015】

センサ３０は、供給部１０が設けられた位置よりも搬送方向Ｈ１の下流側に位置付けられ、搬送ベルト２１の上方に設けられている。このセンサ３０は、レーザ光の投受光によってセンサ３０の直下の検出位置に到達した錠剤Ｔ（錠剤Ｔの到来）、すなわち搬送ベルト２１上の錠剤ＴのＸ方向（図２参照）の位置を検出する。センサ３０としては、例えば、変位センサや近接センサなどが用いられる。また、変位センサとしては、例えば、反射型レーザセンサなどの各種のレーザセンサが用いられる。センサ３０は制御装置１００に電気的に接続されており、制御装置１００に検出信号を送信する。

【0016】

第１の撮像部４０は、センサ３０が設けられた位置よりも搬送方向Ｈ１の下流側に位置付けられ、搬送ベルト２１の上方に設けられている。この第１の撮像部４０は、センサ３０により検出された錠剤ＴのＸ方向の位置情報に基づき、錠剤Ｔが第１の撮像部４０の直下の撮像位置に到達した第１の撮像タイミングで撮像を行い、錠剤Ｔの上面を含む第１の画像を取得し、取得した第１の画像を制御装置１００に送信する。第１の画像は、錠剤ＴのＸ方向、Ｙ方向及びθ方向（図２参照）の位置を検出するため、また、錠剤Ｔの割れや欠け、汚れ（例えば異物の付着）の有無を検出するために用いられる。第１の撮像部４０としては、ＣＣＤ（電荷結合素子）やＣＭＯＳ（相補型金属酸化膜半導体）などの撮像素子を有する各種のカメラが用いられる。第１の撮像部４０は制御装置１００に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１００により制御される。なお、必要に応じて撮像用の照明も設けられる。

【0017】

ここで、錠剤ＴのＸ方向及びＹ方向の位置は、例えば、第１の撮像部４０の撮像領域の中心（基準位置）に対するＸＹ座標系の位置である。また、θ方向の位置は、例えば、第１の撮像部４０の撮像領域のＹ方向の中心線に対する錠剤Ｔの回転度合いを示す位置である。このθ方向の位置は、錠剤Ｔに割線が設けられている場合や錠剤Ｔが楕円形や長円形、四角形などに成型されている場合など、錠剤Ｔが方向性を有する形体である場合に検出される。

【0018】

印刷部５０は、インクジェットヘッド５１を有する。インクジェットヘッド５１は、第１の撮像部４０が設けられた位置よりも搬送方向Ｈ１の下流側に位置付けられ、搬送ベルト２１の上方に設けられている。インクジェットヘッド５１は、複数（例えば数百個から数千個）のノズル５１ａ（図２参照）を有し、ノズル５１ａが一列に並ぶ方向（ノズル列）が水平面内で搬送方向Ｈ１と直交（交差の一例）するように設けられている。インクジェットヘッド５１は、ノズル５１ａごとの駆動素子の動作によって各ノズル５１ａから個別にインクを吐出する。このインクジェットヘッド５１としては、圧電素子、発熱素子又は磁歪素子などの駆動素子を有する各種のインクジェット方式の印刷ヘッドが用いられる。インクジェットヘッド５１は制御装置１００に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１００により制御される。

【0019】

第２の撮像部６０は、印刷部５０が設けられた位置よりも搬送方向Ｈ１の下流側に位置付けられ、搬送ベルト２１の上方に設けられている。この第２の撮像部６０は、センサ３０により検出された錠剤ＴのＸ方向の位置情報に基づき、錠剤Ｔが第２の撮像部６０の直下の撮像位置に到達した第２の撮像タイミングで撮像を行い、錠剤Ｔの上面を含む第２の画像を取得し、取得した第２の画像を制御装置１００に送信する。第２の画像は、錠剤Ｔに印刷された印刷パターンを検査するために用いられる。第２の撮像部６０としては、前述の第１の撮像部４０と同様、例えば、ＣＣＤやＣＭＯＳなどの撮像素子を有する各種のカメラが用いられる。第２の撮像部６０は制御装置１００に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１００により制御される。必要に応じて撮像用の照明も設けられる。

【0020】

ここで、センサ３０が第１の検出部として機能し、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方が第２の検出部として機能することがある。また、第１の撮像部４０が第１の検出部として機能し、第２の撮像部６０が第２の検出部として機能することがある。このようにセンサ３０、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０のいずれかを第１の検出部又は第２の検出部として用いることが可能である。

【0021】

カバー部７０は、図１から図３に示すように、センサ３０、第１の撮像部４０、印刷部５０のインクジェットヘッド５１及び第２の撮像部６０を収容する筐体である。このカバー部７０は、その下面が搬送ベルト２１により搬送される錠剤Ｔに当接しないよう、錠剤Ｔの厚さ（例えば、２～８ｍｍ）に合わせて、搬送ベルト２１の上面から所定距離（例えば、５～１２ｍｍ）だけ離されて搬送ベルト２１の上面の上方に設けられている。なお、例えば、撮像用の照明（例えば、ライン照明やリング照明）が設けられる場合、その照明もカバー部７０内に設けられる。

【0022】

図３に示すように、カバー部７０の下面には、四つの貫通孔７０ａ、７０ｂ、７０ｃ、７０ｄが搬送方向Ｈ１に沿って形成されている。カバー部７０内のセンサ３０は、貫通孔７０ａに対向する位置に設けられ、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔを検出することが可能になっている。また、カバー部７０内の第１の撮像部４０は、貫通孔７０ｂに対向する位置に設けられ、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔを撮像することが可能になっている。カバー部７０内のインクジェットヘッド５１は、貫通孔７０ｃに挿入されて設けられ、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔに印刷を行うことが可能になっている。カバー部７０内の第２の撮像部６０は、貫通孔７０ｄに対向する位置に設けられ、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔを撮像することが可能になっている。

【0023】

各貫通孔７０ａ、７０ｂ、７０ｄは、透明のガラスなどの透光部材７１、７２によって塞がれている。各透光部材７１は、例えば、カバー部７０の内部の底面にそれぞれ設けられている。また、貫通孔７０ｃは、シリコンなどの密閉部材７３を介して貫通孔７０ｃにインクジェットヘッド５１が挿入されることで塞がれている。このようにカバー部７０は密閉状態に形成されており、そのカバー部７０の内部は、例えば、陽圧（正圧）に維持されている。なお、各透光部材７１、７２は、各貫通孔７０ａ、７０ｂ、７０ｄを塞ぐことが可能であれば、例えば、各貫通孔７０ａ、７０ｂ、７０ｄに嵌められて設けられてもよく、また、カバー部７０の外面に設けられてもよい。

【0024】

ブロー装置８０は、図１から図３に示すように、複数のブロー部８１を有する。これらのブロー部８１は、それぞれ各貫通孔７０ａ、７０ｂ、７０ｄ、すなわちセンサ３０、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０に対応させてカバー部７０の下面に設けられている。各ブロー部８１は、それぞれ平面視で搬送方向Ｈ１に対して直交する方向（Ｙ方向：図２参照）に斜め上に向かって気体を吹き出し、カバー部７０の下面（カバー部７０の搬送ベルト２１側の面）、すなわち各貫通孔７０ａ、７０ｂ、７０ｄを塞ぐ透光部材７１、７２の下面に気体を吹き付ける。気体としては、例えば、空気や窒素などが用いられる。各ブロー部８１は制御装置１００に電気的に接続されており、それぞれの駆動が個別に制御装置１００により制御される。なお、各ブロー部８１は、斜め上に向かってではなく、例えば、水平に気体を吹き出してもよい。

【0025】

図４に示すように、ブロー部８１は、例えば、貫通孔７０ａを塞ぐ透光部材７１の下面に向けて気体を吹き出し、透光部材７１の下面に気体を吹き付けるが、これに限定されるものではない。例えば、ブロー部８１が気体を吹き出す方向（気体の吹き出し方向）は、透光部材７１の下面、すなわちカバー部７０の下面に向かう方向であっても、カバー部７０の下面の付近又は周囲に向かう方向であってもよい。つまり、気体の吹き出し方向は、ブロー部８１から吹き出された気体がカバー部７０の下面に到達すれば、特に限定されるものではない。

【0026】

図１及び図２に戻り、回収部９０は、第２の撮像部６０が設けられた位置よりも搬送方向Ｈ１の下流側に位置付けられ、搬送部２０における搬送方向Ｈ１の下流側の端部に設けられている。搬送部２０は、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔが所定の位置、例えば、搬送部２０における搬送方向Ｈ１の下流側の端部に到達した場合に錠剤Ｔの保持を解除する。回収部９０は、搬送部２０による保持が解除されて落下する錠剤Ｔを不良品と良品とに分けて回収するように構成されている。例えば、落下途中の錠剤Ｔに気体を吹き付け、錠剤Ｔの落下方向を不良品と良品で変えることで、あるいは、板等の部材により落下経路を変えることで、落下する錠剤Ｔを不良品と良品とに分けて回収することが可能である。例えば、不良品は非印刷錠や印刷不合格錠などであり、良品は印刷合格錠である。なお、非印刷錠としては、異物付着の非印刷錠（異物が付着している非印刷錠）や異物未付着の非印刷錠（異物が付着していない非印刷錠）があり、それらの非印刷錠を区別して回収することも可能である。回収部９０は制御装置１００に電気的に接続されており、その駆動が制御装置１００により制御される。

【0027】

制御装置１００は、各種情報及び各種プログラムに基づいて錠剤印刷装置１の各部、例えば、供給部１０や搬送部２０、センサ３０、第１の撮像部４０、印刷部５０、第２の撮像部６０、ブロー装置８０、回収部９０などを制御する。また、制御装置１００は、位置検出器２５やセンサ３０から送信される検出情報（例えば検出信号）などを受信し、また、第１の撮像部４０や第２の撮像部６０から送信される画像情報などを受信する。制御装置１００は、例えば、集積回路などの電子回路又はコンピュータなどにより実現される。

【0028】

（制御装置の構成例）
次に、制御装置１００の構成例について図５を参照して説明する。

【0029】

図５に示すように、制御装置１００は、画像処理部１０１と、記憶部１０２と、制御部１０３とを有する。この制御装置１００には、入力装置１００ａや出力装置１００ｂが接続されている。入力装置１００ａは、例えば、スイッチやタッチパネル、キーボード、マウスなどにより実現される。また、出力装置１００ｂは、例えば、ディスプレイやランプ、メータなどにより実現される。

【0030】

画像処理部１０１は、第１の撮像部４０により撮像された第１の画像及び第２の撮像部６０によって撮像された第２の画像を取り込み、公知の画像処理技術を用いて画像を処理する。例えば、画像処理部１０１は、第１の撮像部４０から得られた第１の画像を処理し、錠剤Ｔの割れや欠け、汚れの有無を取得し、さらに、錠剤ＴのＸ方向、Ｙ方向及びθ方向の位置を取得する。また、画像処理部１０１は、第２の撮像部６０から得られた第２の画像を処理し、錠剤Ｔに印刷された印刷パターン（例えば、文字やマーク）の印刷位置や形状、サイズを取得する。画像処理部１０１は、取得した錠剤Ｔの割れや欠け、汚れの有無情報、取得した各錠剤ＴのＸ方向、Ｙ方向及びθ方向の位置情報、さらに、各錠剤Ｔ上の印刷パターンの印刷位置情報、形状情報及びサイズ情報を制御部１０３に送信する。

【0031】

記憶部１０２は、処理情報や各種プログラムなどを記憶する。例えば、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ)、フラッシュメモリ（Ｆｌａｓｈ Ｍｅｍｏｒｙ）等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部１０２には、印刷に関する印刷データ、搬送ベルト２１の移動速度データなどが記憶される。印刷データは、文字やマークなどの印刷パターンの情報を含む。

【0032】

制御部１０３は、例えば、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）やＭＰＵ（Ｍｉｃｒｏ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）等のコンピュータであり、各部を制御する。例えば、制御部１０３は、記憶部１０２に記憶された各種情報や各種プログラムに基づいて、供給部１０や搬送部２０、センサ３０、第１の撮像部４０、印刷部５０、第２の撮像部６０、回収部９０、画像処理部１０１、記憶部１０２などを制御する。また、制御部１０３は、センサ３０や位置検出器２５から送信される検出信号などを受信する。なお、制御部１０３は、例えば、ハードウェア及びソフトウェアの一方又は両方により実現される。

【0033】

例えば、制御部１０３は、ブロー装置８０の各ブロー部８１を常に駆動させる。詳しくは、制御部１０３は、各ブロー部８１が常時気体を吹き出すように各ブロー部８１を制御する。これに応じて、各ブロー部８１はそれぞれ常に気体を吹き出し、カバー部７０の下面に吹き付ける。各ブロー部８１のそれぞれから吹き出された気体は、カバー部７０の各透光部材７１、７２の下面に吹き付けられ、各透光部材７１、７２の下面に付着している異物（例えば、粉やゴミ）が取り除かれる。なお、制御装置１００は、各ブロー部８１にそれぞれ接続された配管（図示せず）に設けられた調整弁（図示せず）を制御し、各ブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流速や流量を個別に調整することが可能である。通常、各ブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流速や流量は、予め設定されており、例えば、記憶部１０２に記憶されている。ただし、各ブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流速や流量は、所定条件に応じて変更されてもよく、あるいは、入力装置１００ａに対するユーザの入力操作に応じて変更されてもよい。なお、各ブロー部８１からの気体の流速や流量は、錠剤Ｔの径や形状、錠剤Ｔの搬送スピードによって予め実験により最適なものを求め、設定することができる。

【0034】

また、制御部１０３は、センサ３０から送信された検出情報、すなわち搬送ベルト２１上の錠剤Ｔが検出されたタイミングに基づき、搬送ベルト２１において錠剤ＴのＸ方向の位置を取得し、この錠剤ＴのＸ方向の位置を示す位置情報に基づき、第１の撮像部４０の第１の撮像タイミング、印刷部５０のインクジェットヘッド５１の印刷開始タイミング、第２の撮像部６０の第２の撮像タイミングを設定し、それらのタイミングを示すタイミング情報を生成して記憶部１０２に保存する。印刷開始タイミングとは、インクジェットヘッド５１の直下の印刷位置に到達した錠剤Ｔに対して印刷を開始するタイミングである。なお、制御部１０３は、位置検出器２５から送信された検出情報に基づき、搬送ベルト２１の移動量（回転量）や速度などの情報を取得することが可能である。

【0035】

また、制御部１０３は、画像処理部１０１から送信された錠剤Ｔの割れや欠け、汚れの有無情報に基づいて、その有無情報が得られた錠剤Ｔに対する印刷可否を設定する。そして、制御部１０３は、印刷可に設定された錠剤Ｔに対して印刷条件を設定する。このとき、制御部１０３は、画像処理部１０１から送信された錠剤ＴのＸ方向、Ｙ方向及びθ方向の位置情報に基づいて、その位置情報が得られた錠剤Ｔに対して印刷条件を設定する。例えば、制御部１０３は、錠剤ＴのＹ方向の位置情報や印刷データに基づいて、インクジェットヘッド５１において対象の錠剤Ｔの印刷に使用するノズル５１ａの範囲、すなわち使用ノズル範囲を決定し、その使用ノズル範囲や印刷開始タイミングなどを含む印刷条件を設定する。なお、錠剤Ｔが方向性を有する形状である場合、制御部１０３は、錠剤Ｔのθ方向の位置情報に基づいて、錠剤Ｔのθ方向の位置に対応させて印刷条件を設定する。一例として、制御部１０３は、印刷パターンの向きを０度から１７９度の範囲で１度ずつ回転させた１８０通りの印刷パターンを記憶部１０２に登録しておき、それらの印刷パターンの中から、錠剤Ｔのθ方向の位置に適合する角度の印刷パターンを選択して印刷条件を設定する。

【0036】

また、制御部１０３は、画像処理部１０１から送信された、錠剤Ｔに印刷された印刷パターンの印刷位置情報、形状情報及びサイズ情報に基づいて、印刷パターンが所定形状及び所定サイズで錠剤Ｔの所定位置に印刷されたか否か、すなわち印刷パターンが錠剤Ｔに正常に印刷されたか否かを判断する（印刷状態検査）。例えば、制御部１０３は、印刷パターンの形状及びサイズ判断において、検査用の印刷パターンを記憶部１０２に登録しておき、その検査用の印刷パターンと実際の印刷後の錠剤Ｔ上の印刷パターン（錠剤Ｔに印刷された印刷パターン）とを比較する。

【0037】

なお、制御部１０３は、適宜各種情報（例えば、錠剤Ｔの割れや欠け、汚れの有無情報や位置情報、タイミング情報、印刷条件、印刷良否情報など）を記憶部１０２に保存するが、対象の錠剤Ｔが回収部９０により回収されると、例えば、搬送部２０における搬送方向Ｈ１の下流側の端部から落下して所定時間（例えば数秒）が経過した時点で、記憶部１０２から各種情報を削除する。ただし、それらの情報が後工程などで必要となる場合には、錠剤Ｔごとの各種情報を消去せずに残しておいたり、装置外の保存用メディアに保存しておいたりすることも可能である。錠剤Ｔごとの各種情報を保存しておく場合には、この情報と製造日時やロット番号などと紐づけて保存しておき、印刷後の錠剤Ｔについて出荷後に不良品が発生した場合などに遡って原因追及ができるようにしてもよい。

【0038】

（印刷工程）
次に、前述の錠剤印刷装置１が行う印刷工程について図１及び図２を参照して説明する。この印刷工程は、検査工程も含む。なお、印刷に要するデータや気体の吹き出しに要するデータなどの各種情報は、記憶部１０２に予め記憶されている。

【0039】

錠剤印刷装置１が印刷処理を開始すると、モータ２４は駆動し、搬送ベルト２１はモータ２４による駆動プーリ２２及び従動プーリ２３の回転に伴って搬送方向Ｈ１に回転する。搬送ベルト２１が搬送方向Ｈ１に回転している状態で、錠剤Ｔがホッパ１１からシュータ１２に順次供給され、シュータ１２により一列に並べられて搬送ベルト２１上に一定間隔ではなくランダムに供給される。搬送ベルト２１上に供給された錠剤Ｔは、搬送ベルト２１上で一列に並んで所定の移動速度で搬送されていく。

【0040】

搬送ベルト２１上の錠剤Ｔは、センサ３０によって検出される。詳しくは、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔが、センサ３０の直下の検出位置（例えばレーザ光の照射位置）に到達するタイミングでセンサ３０により検出され、その錠剤Ｔが検出されたタイミングに基づき、搬送ベルト２１において錠剤ＴのＸ方向の位置が制御部１０３によって認識される。そして、その錠剤ＴのＸ方向の位置を示す位置情報が制御部１０３により生成され、記憶部１０２に保存される。

【0041】

次に、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔが第１の撮像部４０によって撮像される。詳しくは、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔが、第１の撮像部４０の直下の撮像位置に到達した第１の撮像タイミングで第１の撮像部４０によって撮像され、その第１の撮像部４０による撮像により得られた第１の画像が制御装置１００に送信される。この第１の画像に基づいて、錠剤Ｔの割れや欠け、汚れの有無情報、また、錠剤ＴのＸ方向、Ｙ方向及びθ方向の位置情報が画像処理部１０１により生成され、記憶部１０２に保存される。錠剤Ｔの割れや欠け、汚れの有無情報に基づき、対象の錠剤Ｔへの印刷可否が設定され、また、錠剤ＴのＸ方向、Ｙ方向及びθ方向の位置情報や印刷パターンなどの情報に基づき、印刷可に設定された錠剤Ｔ（印刷可の錠剤Ｔ）に対する使用ノズル範囲や印刷開始タイミングなどを含む印刷条件が記憶部１０２に設定される。なお、前述の印刷開始タイミング（錠剤Ｔに対して印刷を開始するタイミング）に基づいて、錠剤Ｔに対する吐出タイミング（錠剤Ｔに対してインクを吐出するタイミング）が決定される。

【0042】

この印刷条件に基づいて印刷が印刷部５０により実行される。つまり、印刷部５０のインクジェットヘッド５１が、搬送ベルト２１上の印刷可の錠剤Ｔに所定の印刷パターンを印刷するように制御部１０３により制御される。詳しくは、第１の撮像部４０の下方を通過した搬送ベルト２１上の印刷可の錠剤Ｔは、インクジェットヘッド５１の直下の印刷位置に到達した印刷開始タイミングで、前述の印刷条件に基づいてインクジェットヘッド５１によって印刷される。インクジェットヘッド５１では、各ノズル５１ａからインクが適宜吐出され、錠剤Ｔの上面である被印刷面に印刷パターン（例えば、番号、アルファベット、片仮名、記号、図形）が印刷される。この錠剤Ｔに塗布されたインクは搬送中に乾燥する。なお、気体あるいは熱による乾燥を行う乾燥部（図示せず）を設け、その乾燥部によりインクを乾燥させるようにしても良い。

【0043】

その後、搬送ベルト２１上の印刷済の錠剤Ｔが第２の撮像部６０によって撮像される。詳しくは、搬送ベルト２１上の印刷済の錠剤Ｔは、第２の撮像部６０の直下の撮像位置に到達した第２の撮像タイミングで第２の撮像部６０によって撮像され、その第２の撮像部６０による撮像により得られた第２の画像が制御装置１００に送信される。

【0044】

この第２の画像は、制御装置１００の画像処理部１０１によって解析される。詳しくは、錠剤Ｔに印刷された印刷済の印刷パターンに関する情報、すなわち印刷済の印刷パターンの印刷位置や形状、サイズが画像処理部１０１により取得される。第２の撮像部６０から送信された第２の画像が画像処理部１０１により解析され、錠剤Ｔにおいて印刷済の印刷パターンの印刷位置や形状、サイズを示す検査情報が生成され、記憶部１０２に保存される。

【0045】

この検査情報に基づいて印刷状態検査が制御部１０３により実行される。詳しくは、記憶部１０２に保存された前述の印刷位置や形状、サイズに係る検査情報に基づき、印刷パターンが錠剤Ｔに正常に印刷されたか否かが制御部１０３により判断され、錠剤Ｔの印刷良否を示す印刷良否情報が生成されて記憶部１０２に保存される。例えば、印刷状態検査では、印刷に使用した印刷パターンが検査用の印刷パターンとして記憶部１０２に保存され、検査用の印刷パターンの所定の印刷位置や形状、サイズに関する良品情報と、記憶部１０２に保存された実際の印刷済の印刷パターンの印刷位置や形状、サイズに関する検査情報とが比較され、印刷パターンが錠剤Ｔに正常に印刷されたか否か（合格又は不合格）が判断される。

【0046】

最後、搬送ベルト２１上の錠剤Ｔが回収部９０により回収される。詳しくは、検査後の錠剤Ｔが搬送ベルト２１の移動に伴って搬送ベルト２１の下流側の端部に位置すると、搬送ベルト２１に保持された状態から解放され、搬送ベルト２１から落下して回収部９０により回収される。このとき、合格錠剤の錠剤Ｔは、そのまま落下して回収部９０により良品として回収されるが、不合格錠剤や非印刷錠の錠剤Ｔは、搬送ベルト２１から落下する途中でエアの吹き付けにより良品と分けて回収部９０により不良品として回収される。

【0047】

このような印刷工程において、全てのブロー部８１のそれぞれから気体が常に吹き出されている。この全てのブロー部８１のそれぞれから吹き出された気体は、カバー部７０の下面、すなわちカバー部７０内のセンサ３０、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０に対向する各透光部材７１、７２の下面に、それぞれに対応して設けられるブロー部８１から吹き付けられる。これにより、各透光部材７１、７２の下面、詳しくは図３に示す各貫通孔７０ａ、７０ｂ、７０ｄから露出する各透光部材７１、７２の下面に付着している異物（例えば粉やゴミ）が取り除かれるので、センサ３０が透光部材７１の下面に付着した異物を錠剤Ｔとして誤検知すること、また、第１の撮像部４０や第２の撮像部６０などの撮像部が各透光部材７１、７２の下面に付着した異物を撮像してこれを錠剤Ｔとして誤検知することを抑えることができる。また、全てのブロー部８１から気体がそれぞれ常に吹き出されているので、各貫通孔７０ａ、７０ｂ、７０ｄから露出する各透光部材７１、７２の下面に異物が付着することを抑えることもできる。このようにして、異物の付着による誤検知を抑制することが可能になるので、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことができる。

【0048】

ここで、例えば、センサ３０が透光部材７１の下面に付着した異物を検出すると、錠剤Ｔがセンサ３０の直下に到来していないにもかかわらず錠剤Ｔが到来したと検知するという誤検知が発生する。つまり、センサ３０による錠剤Ｔの到来検出状態が、錠剤Ｔ１錠分を超えて継続することになる。また、第１の撮像部４０や第２の撮像部６０などの撮像部が透光部材７１、７２の下面に付着した異物を撮像して検出すると、錠剤Ｔに異物が付着しているという誤検知が発生する。この誤検知の錠剤Ｔは不良品として排出されてしまう。第１の撮像部４０による撮像画像によって異物が付着していると検知された場合には、その錠剤Ｔには印刷が行われることなく非印刷錠剤として取り扱われ、不良品として排出される。第２の撮像部６０による撮像画像によって異物が付着していると検知された場合には、実際には異物が付着しておらず、異常なく印刷がなされた良品であったとしても不良品として排出されてしまうことになる。このように各透光部材７１、７２の下面、すなわちカバー部７０の下面に異物が付着していると、効率よく錠剤Ｔに印刷することはできないが、前述のように各ブロー部８１によりカバー部７０の下面から異物を取り除くことで、異物の付着による誤検知を抑え、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことが可能になる。

【0049】

また、ブロー部８１による気体の吹き出し方向は、平面視で搬送方向Ｈ１と直交する方向である。これにより、少なくともブロー部８１の下方通過時にしか錠剤Ｔが気流にさらされないので、ブロー部８１から吹き出された気体が錠剤Ｔの姿勢に影響を与えることを抑えることができる。例えば、ブロー部８１による気体の吹出方向が搬送方向Ｈ１と平行であった場合、搬送方向Ｈ１に並ぶ複数の錠剤Ｔに対して長時間気流があたることになってしまい、複数の錠剤Ｔの姿勢が変更されてしまうことが考えられる。錠剤Ｔの姿勢が変更されると、センサ３０で検出した錠剤Ｔの位置と第１の撮像部４０で撮像する錠剤Ｔの位置や姿勢が変化してしまうことになる。つまり、その後の撮像や印刷がうまくいかなくなり、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことが難しくなる。また、ブロー部８１から吹き出された気体がインクジェットヘッド５１の印刷に影響を与えることを抑えることができる。例えば、インクジェットヘッド５１から吐出されたインクの進行方向が気流により曲げられると、印刷不良が生じ、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことが難しくなる。したがって、気体の吹き出し方向は、平面視で搬送方向Ｈ１と交差する方向の中であって、インクジェットヘッド５１の直下を避ける方向（例えば、搬送方向Ｈ１の下流側に向かう方向でない方向）であることが望ましく、平面視で搬送方向Ｈ１に直交する方向が最も望ましい。

【0050】

なお、錠剤Ｔの種類や環境などを要因として、場合によっては、各透光部材７１、７２から異物を十分に取り除くことが難しいことがある。この場合には、ブロー部８１から吹き出された気体の流れの強さを調整してもよい。これにより、各透光部材７１、７２の下面に付着している異物を取り除き、異物の付着による誤検知を抑制することが可能になるので、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことができる。また、第１の撮像部４０や第２の撮像部６０などの撮像部により得られた検査対象となる撮像画像から異物を除外し、その異物を除外した撮像画像に基づいて検査を行ってもよい。これにより、異物の付着による誤検査の発生を抑制することが可能になるので、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことができる。ここで、検査とは、第１の撮像部４０により得られる第１の画像に基づく検査（例えば、錠剤Ｔの割れや欠け、汚れの有無の検査）、又は、第２の撮像部６０により得られる第２の画像に基づく検査（例えば、錠剤Ｔ上の印刷済の印刷パターンの印刷位置や形状、サイズの検査）に相当する。

【0051】

例えば、印刷対象の錠剤Ｔが、素錠やＯＤ錠（口腔内崩壊錠）のような、粉を固めて成形した錠剤である場合には、錠剤Ｔの粉が搬送ベルト２１に溜まったり、その粉が浮遊したりするため、カバー部７０の下面に粉が付着しやすい。このため、錠剤Ｔの種類に応じて、各ブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流れの強さを変えるようにしてもよい。例えば、錠剤Ｔの種類が素錠やＯＤ錠である場合、気体の流れを強くし、錠剤Ｔの種類が異物（例えば粉）を出しにくい錠剤である場合、気体の流れを弱くしてもよく、また、予め定めた３段階以上の複数のモードから印刷対象の錠剤Ｔの種類に応じてモードを選択し、適宜気体の流れの強さを切り替えるようにしてもよい。

【0052】

（気体吹き出し強さ調整及び検査継続の処理例）
次に、気体吹き出し強さ調整及び検査継続（先に述べた誤検知による異物を除外して検査を続行すること）の処理例１から処理例５について図６から図１２を参照して説明する。これらの処理例１から処理例５の各処理は、単独で用いられてもよく、また、並列的に又は直列的に適宜組み合わされて用いられてもよい。

【0053】

（処理例１）
図６に示すように、処理例１では、ステップＳ１１において、制御部１０３は、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像に異物が所定枚数（所定の撮像画像枚数）以上認められるか否かを判断する。

【0054】

つまり、制御部１０３は、第１の撮像部４０において、異なる時間に撮像した二枚以上の画像における同じ位置に異物が存在するか否かを判断する。あるいは、制御部１０３は、第２の撮像部６０において異なる時間に撮像した二枚以上の画像における同じ位置に異物が存在するか否かを判断する。制御部１０３は、第１の撮像部４０および第２の撮像部６０の両方において、前述の判断を行ってもよい。

【0055】

ステップＳ１１において、制御部１０３は、撮像画像に異物が所定枚数以上認められると判断すると（ステップＳ１１のＹｅｓ）、ステップＳ１２において、カバー部７０（各透光部材７１、７２）に付着した異物の位置を特定し、特定箇所の画素を省いて検査を続行する。

【0056】

一方、ステップＳ１１において、制御部１０３は、撮像画像に異物が所定枚数以上認められないと判断すると（ステップＳ１１のＮｏ）、処理をステップＳ１３に進める。

【0057】

ステップＳ１３において、制御部１０３は、印刷処理が完了したか否かを判断する。制御部１０３は、印刷処理が完了したと判断すると（ステップＳ１３のＹｅｓ）、処理を終え、印刷処理が完了していないと判断すると（ステップＳ１３のＮｏ）、処理をステップＳ１１に戻す。

【0058】

ここで、所定枚数とは、同一の撮像部で異なる錠剤Ｔを撮像して得られる複数の撮像画像の枚数として設定される。例えば、搬送される複数の錠剤Ｔを、第１の撮像部４０により順次撮像した５つの撮像画像において同一位置（同一範囲内）に異物が認められた場合には、撮像画像に存在する異物は錠剤Ｔに付着しているものではなく、カバー部７０の下面に付着している異物であると判断する。第１の撮像部４０と第２の撮像部６０で同一錠剤を撮像し、これら２つの撮像画像の同一位置に異物が認められた場合には、異物は錠剤Ｔに付着したものである可能性が高い。一方、異なる錠剤Ｔを撮像した撮像画像において、所定枚数以上異物が認められることで、カバー部７０に異物が付着していることを推測することができる。

【0059】

また、所定枚数とは、同一の撮像部で、当該撮像部の視野内で位置が変わる同一の錠剤Ｔを位置ごとに撮像して得られる複数の撮像画像の枚数として設定されてもよい（同一の錠剤Ｔの連続撮像）。なお、撮像画像に含まれる錠剤Ｔの個数は一つであることが望ましいが、画角が大きい場合など複数であってもよい。複数の錠剤Ｔが撮像画像に含まれる場合でも、各錠剤Ｔを画像処理により区別して扱うことは可能である。

【0060】

前述のステップＳ１２では、制御部１０３は、図７に示すように、検査対象となる複数（例えば撮像部４０、６０において異なる時間に撮像した二枚以上）の撮像画像において、その全領域Ｒ１内における異物Ａ１の有無を判断し、全領域Ｒ１内に異物Ａ１が有る場合、全領域Ｒ１内の異物Ａ１の位置を特定する。異物Ａ１は全領域Ｒ１内に存在しないこともあり、また、一つ以上存在することもある。図７の例では、四つの異物Ａ１が全領域Ｒ１内に存在している。このため、制御部１０３は、四つの異物Ａ１のそれぞれの位置を特定する。異物Ａ１の有無の判断や位置の特定などは、例えば、二値化処理、ブロブ解析、エッジ検出処理などの画像処理によって実現される。全領域Ｒ１は例えば第１の撮像部４０、第２の撮像部６０の視野領域と一致する領域である。なお、撮像画像の全領域Ｒ１を処理対象の領域としているが、例えば、撮像画像の全領域Ｒ１の中から、予め設定された特定領域を切り出した領域を処理対象の領域としてもよい。

【0061】

制御部１０３は、各異物Ａ１の位置を特定し、それらの特定位置の各異物Ａ１のうち、複数の画像に共通して存在する異物Ａ１を撮像画像の全領域Ｒ１から除外する。つまり、複数の、異なる時間に撮像された画像における同じ位置に異物が存在する場合には、この異物Ａ１は錠剤Ｔに付着したものではなく、カバー部７０に付着したものであると判断し、錠剤に付着した異物の検査の対象外とする。例えば、制御部１０３は、各異物Ａ１にそれぞれ対応する特定位置の各画素、すなわち特定箇所の各画素を全領域Ｒ１から省く。図７の例では、×印で省くことが示されており、すなわち、４つともが複数の画像に共通して存在している場合が表されている。制御部１０３は、例えば、異物Ａ１が一画素分のサイズであれば、その異物Ａ１に対応する一画素（一画素分の領域）を全領域Ｒ１から省き、異物Ａ１が数画素分のサイズであれば、その異物Ａ１に対応する数画素（数画素分の領域）を全領域Ｒ１から省く。

【0062】

異物Ａ１を除外する方法としては、特定箇所の画素を省くだけではなく、例えば、特定箇所の画素を塗り潰すことも可能である。一例として、特定箇所の画素が黒であり、背景が白である場合には、黒の画素を白で塗り潰してもよい。このような異物Ａ１の除外は、例えば、通常の画像処理によって実現される。

【0063】

このような処理例１によれば、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像に異物が所定枚数以上認められた場合、第１の撮像部４０に対応する透光部材７１及び第２の撮像部６０に対応する透光部材７２の一方又は両方の下面に異物が付着していると判断され、その異物の位置が特定され、その特定位置の異物（例えば、特定箇所の画素）が検査対象となる撮像画像から除外される。これにより、異物が検査に悪影響を与えることを抑えることが可能になるので、異物の付着による誤検査の発生を抑えることができる。

【0064】

なお、撮像画像に異物が所定枚数以上認められるか否かが判断されるが、所定枚数にかえて、所定枚数の撮像画像を得るための時間である所定時間が用いられてもよい。例えば、搬送ベルト２１上において一列に並ぶ錠剤Ｔの間隔が一定でなく不規則である場合には、所定枚数が用いられることが望ましい。一方、搬送ベルト２１上において一列に並ぶ錠剤Ｔの間隔が一定である場合には、所定枚数又は所定時間が用いられる。

【0065】

（処理例２）
図８に示すように、処理例２では、ステップＳ２１において、制御部１０３は、各ブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流れを第１の強さにするように各ブロー部８１を制御する。

【0066】

ステップＳ２２において、制御部１０３は、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像において、検査の対象領域Ｒ１ａ及び非対象領域Ｒ１ｂの一方又は両方に異物が所定枚数（所定の撮像画像枚数）以上認められるか否かを判断する。なお、検査の対象領域Ｒ１ａ及び非対象領域Ｒ１ｂについて詳しくは後述する。

【0067】

ステップＳ２２において、制御部１０３は、検査の対象領域Ｒ１ａ及び非対象領域Ｒ１ｂの一方又は両方に異物が所定枚数以上認められると判断すると（ステップＳ２２のＹｅｓ）、ステップＳ２３において、異物認識結果に応じて、異物が所定枚数以上認められた撮像画像を取得した撮像部（第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方）に対応するブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さにしたり、カバー部７０（各透光部材７１、７２）に付着した異物の位置を特定し、特定箇所の画素を省いて検査を続行したりする。

【0068】

一方、ステップＳ２２において、制御部１０３は、検査の対象領域Ｒ１ａ及び非対象領域Ｒ１ｂに異物が所定枚数以上認められないと判断すると（ステップＳ２２のＮｏ）、ステップＳ２４において、各ブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流れを第１の強さに維持するように各ブロー部８１を制御し、又は、異物が所定枚数以上認められた撮像画像を取得した撮像部に対応するブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さから第１の強さに戻すように該当のブロー部８１を制御する。

【0069】

ステップＳ２５において、制御部１０３は、印刷処理が完了したか否かを判断する。制御部１０３は、印刷処理が完了したと判断すると（ステップＳ２５のＹｅｓ）、処理を終え、印刷処理が完了していないと判断すると（ステップＳ２５のＮｏ）、処理をステップＳ２２に戻す。

【0070】

ここで、制御部１０３による各ブロー部８１から吹き出される気体の流れの強さの制御について説明する。処理例２では、制御部１０３は、各ブロー部８１からの気体の流れを第１の強さ、第２の強さの２段階において切り替えるよう制御することできる。第２の強さは、第１の強さよりも強い（第２の強さ＞第１の強さ）。

【0071】

第１の強さや第２の強さは所定値である。気体の流れの強さとは、気体の流速や流量などが変更されて変化するものである。例えば、気体の流速が上げられたり、気体の流量が上げられたりすることで、気体の流れが強くされ、逆に、気体の流速が下げられたり、気体の流量が下げられたりすることで、気体の流れが弱くされる。上記の所定時間は、例えば、通常時（異常時以外の時）のセンサ３０が錠剤Ｔを検出している状態を維持している時間よりも長く設定されている。第１の強さや第２の強さ、所定時間などの情報は予め記憶部１０２に設定されているが、入力装置１００ａに対するユーザの入力操作に応じて変更されてもよい。

【0072】

異物認識結果は、検査の対象領域Ｒ１ａ及び非対象領域Ｒ１ｂの一方又は両方に異物が有ることを示す結果である。制御部１０３は、例えば、非対象領域Ｒ１ｂだけに異物が有る場合、対象のブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さにするように該当のブロー部８１を制御し、対象領域Ｒ１ａだけに異物が有る場合、カバー部７０に付着した異物の位置を特定し、特定箇所の画素を省いて検査を続行する。また、制御部１０３は、例えば、非対象領域Ｒ１ｂ及び対象領域Ｒ１ａの両方に異物が有る場合、対象のブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さにするように該当のブロー部８１を制御し、さらに、カバー部７０に付着した異物の位置を特定し、特定箇所の画素を省いて検査を続行する。つまり、制御部１０３は、異物の位置（対象領域Ｒ１ａか非対象領域Ｒ１ｂか）に応じ、対応するブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さにするよう制御する処理と、特定箇所の画素を省く処理のうち、一方または両方を実行するように制御する。

【0073】

ここで、図９を用いて対象領域Ｒ１ａ、非対象領域Ｒ１ｂについて説明する。前述のステップＳ２２では、制御部１０３は、図９に示すように、検査対象となる撮像画像の全領域Ｒ１内における異物Ａ１の有無を判断し、全領域Ｒ１に含まれる非対象領域Ｒ１ｂ内に異物Ａ１が有る場合、対象のブロー部８１から吹き出される気体の流れを強くし、全領域Ｒ１に含まれる対象領域Ｒ１ａ内に異物Ａ１が有る場合、対象領域Ｒ１ａ内の異物Ａ１の位置を特定する。異物Ａ１は全領域Ｒ１内に存在しないこともあり、また、一つ以上存在することもある。図９の例では、六つの異物Ａ１が全領域Ｒ１内に存在しており、二つの異物Ａ１が対象領域Ｒ１ａ内に存在しており、四つの異物Ａ１が非対象領域Ｒ１ｂ内に存在している。このため、制御部１０３は、対象領域Ｒ１ａ内の二つの異物Ａ１のそれぞれの位置を特定する。異物Ａ１の有無の判断や位置の特定などは、例えば、二値化処理、ブロブ解析、エッジ検出処理などの画像処理によって実行される。

【0074】

対象領域Ｒ１ａは、錠剤ＴのＹ方向における位置が錠剤Ｔによって異なることを考慮したとしても、全領域Ｒ内で錠剤Ｔが撮像されて存在する可能性のある領域であり、例えば、正方形の領域である。非対象領域Ｒ１ｂは、錠剤Ｔが撮像されても存在する可能性が著しく低い領域であり、例えば、正方形の環状の領域である。対象領域Ｒ１ａは、例えば、全領域Ｒ１の８０～９０％程度である。一例として、対象領域Ｒ１ａは、搬送ベルト２１により搬送される全ての錠剤Ｔを錠剤Ｔごとに撮像することが可能な範囲に設定されている。各錠剤ＴはＹ方向（図２参照）にそれぞれずれて搬送ベルト２１上に位置することがあるため、それらの錠剤ＴのＹ方向のずれ範囲（例えば、１～４ｍｍ）が予め実験等で求められ、そのずれ範囲内で各錠剤Ｔをそれぞれ撮像することが可能に対象領域Ｒ１ａは設定されている。

【0075】

制御部１０３は、対象領域Ｒ１ａ内の各異物Ａ１の位置を特定すると、それらの特定位置の各異物Ａ１を撮像画像の対象領域Ｒ１ａから除外する。例えば、制御部１０３は、各異物Ａ１にそれぞれ対応する特定位置の各画像、すなわち特定箇所の各画素を対象領域Ｒ１ａから省く。図９の例では、×印で省くことが示されている。制御部１０３は、例えば、異物Ａ１が一画素分のサイズであれば、その異物Ａ１に対応する一画素（一画素分の領域）を対象領域Ｒ１ａから省き、異物Ａ１が数画素分のサイズであれば、その異物Ａ１に対応する数画素（数画素分の領域）を対象領域Ｒ１ａから省く。

【0076】

このような処理例２によれば、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像において、検査の非対象領域Ｒ１ｂ内に異物が認められた場合、第１の撮像部４０に対応する透光部材７１及び第２の撮像部６０に対応する透光部材７２の一方又は両方の下面に異物が付着していると判断され、その異物が所定枚数以上認められた撮像画像を取得した撮像部（第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方）に対応するブロー部８１から吹き出される気体の流れが強くされる。つまり、撮像画像の中で検査の非対象領域Ｒ１ｂ内に異物付着が所定枚数以上認められると、その異物はカバー部７０に付着した粉又はゴミであると判断されるとともに、第１の強さでのブローでは異物が除去不可能であると判断され、該当のブロー部８１から吹き出される気体の流れが強くされる。これにより、第１の撮像部４０に対する透光部材７１や第２の撮像部６０に対する透光部材７２の下面に付着している異物が取り除かれるので、第１の撮像部４０や第２の撮像部６０などの撮像部が透光部材７１、７２の下面に付着した異物を撮像して錠剤Ｔを誤検知することを抑えることができる。

【0077】

また、処理例２によれば、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像において、検査の対象領域Ｒ１ａ内に異物が認められた場合、第１の撮像部４０に対応する透光部材７１及び第２の撮像部６０に対応する透光部材７２の一方又は両方の下面に異物が付着していると判断され、その異物の位置が特定され、その特定位置の異物（例えば、特定箇所の画素）が検査対象となる撮像画像から除外される。これにより、異物が検査に悪影響を与えることを抑えることが可能になるので、異物の付着による誤検査の発生を抑えることができる。

【0078】

なお、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０において撮像した画像による検査は、当該画像から錠剤Ｔの領域（錠剤部分）のみを切り出して行うことも可能である。また、撮像画像において、錠剤Ｔが存在しない領域内に異物Ａ１が存在する場合にブローを行い、錠剤Ｔが存在する領域内に異物Ａ１が存在する場合に検査対象から省くという処理を行ってもよい。つまり、異物Ａ１が非対象領域Ｒ１ｂに存在する場合には、その異物Ａ１をブローで吹き飛ばし、異物Ａ１が対象領域Ｒ１ａに存在する場合には、その異物Ａ１を検査対象から省いてもよい。異物Ａ１が非対象領域Ｒ１ｂに存在する場合には、その異物Ａ１をブローで吹き飛ばさずに放置してもよい。

【0079】

このように、異物Ａ１の位置が対象領域Ｒ１ａであるか、非対象領域Ｒ１ｂであるかによって、ブロー部８１からの気体の流れを第２の強さにするよう制御する処理と、特定箇所の画素を省く処理とを使い分けることにより、異物Ａ１を確実に除去することが望ましい対象領域Ｒ１ｂについては画素を省く処理を行うことができる。一方、錠剤Ｔに付着している異物ではないことが把握できる、非対象領域Ｒ１ｂに位置する異物Ａ１については、ブロー部８１の気体の流れの制御による排除を行うことができる。つまり、異物Ａ１の位置に応じて、より効果的な処理を行うことができる。

【0080】

また、異物Ａ１の大きさによっては、検査対象から異物Ａ１を省くと、不具合が生じる可能性もある。そこで、例えば、異物Ａ１の領域が錠剤Ｔの平面面積の所定値（例えば、平面面積の１％～５％）を超える場合、すなわち所定のサイズを超える場合には、異物Ａ１を検査対象から省かずにブローを行ってもよく、あるいは、処理を一時停止してメンテナンスを行ってもよい。

【0081】

（処理例３）
図１０に示すように、処理例３では、ステップＳ３１において、制御部１０３は、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０により得られた撮像画像の両方（二つの撮像画像）における、錠剤Ｔ上の領域において、異物の有無又は異物の位置が一致しないか否かを判断する。

【0082】

ステップＳ３１において、制御部１０３は、二つの撮像画像における錠剤Ｔ上の領域における、異物の有無又は異物の位置が一致しないと判断すると（ステップＳ３１のＹｅｓ）、ステップＳ３２において、カバー部７０（各透光部材７１、７２）に付着した異物の位置を特定し、特定箇所の画素を省いて検査を続行する。

【0083】

一方、ステップＳ３１において、制御部１０３は、二つの撮像画像における錠剤Ｔ上の領域における、異物の有無又は異物の位置が一致すると判断すると（ステップＳ３１のＮｏ）、処理をステップＳ３３に進める。

【0084】

ステップＳ３３において、制御部１０３は、印刷処理が完了したか否かを判断する。制御部１０３は、印刷処理が完了したと判断すると（ステップＳ３３のＹｅｓ）、処理を終え、印刷処理が完了していないと判断すると（ステップＳ３３のＮｏ）、処理をステップＳ３１に戻す。

【0085】

このような処理例３によれば、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０によりそれぞれ得られた二つの撮像画像の両方における、錠剤Ｔ上の領域において、異物の有無又は異物の位置が一致しない場合、第１の撮像部４０に対応する透光部材７１及び第２の撮像部６０に対応する透光部材７２の一方又は両方の下面に異物が付着していると判断され、その異物の位置が特定され、その特定位置の異物（例えば、特定箇所の画素）が検査対象となる撮像画像から除外される。つまり、同一の錠剤Ｔについて第１の撮像部４０で撮像した画像と第２の撮像部６０で撮像した画像において、異物の有無や位置が一致しない場合には、その異物は錠剤Ｔに付着した粉又はゴミではなく、カバー部７０に付着した粉又はゴミであると判断され、該当の異物の位置が特定され、その特定位置の異物が検査対象となる撮像画像から除外される。これにより、異物が検査に悪影響を与えることを抑えることが可能になるので、異物の付着による誤検査の発生を抑えることができる。

【0086】

（処理例４）
図１１に示すように、処理例４では、ステップＳ４１において、制御部１０３は、錠剤印刷装置１がインクジェットヘッド５１のメンテナンス中であるか否かを判断する。

【0087】

ステップＳ４１において、制御部１０３は、錠剤印刷装置１がインクジェットヘッド５１のメンテナンス中であると判断すると（ステップＳ４１のＹｅｓ）、ステップＳ４２において、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方で撮像を行い、ステップＳ４３において、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像に異物が認められるか否かを判断する。

【0088】

ステップＳ４３において、制御部１０３は、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像に異物が認められると判断すると（ステップＳ４３のＹｅｓ）、ステップＳ４４において、メンテナンス後、カバー部７０（各透光部材７１、７２）に付着した異物の有無及び位置を特定し、特定箇所の画素を省いて検査を行うように設定を行う。

【0089】

インクジェットヘッド５１のメンテナンス中には、搬送ベルト２１上に錠剤Ｔが存在しないため、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０により得られた撮像画像中に存在する異物は錠剤Ｔに付着した異物である可能性はなく、カバー部７０に付着した異物であると判断できることから、この異物の箇所を特定し、特定箇所の画素を省いて検査を行うことができる。

【0090】

一方、ステップＳ４１において、制御部１０３は、錠剤印刷装置１がインクジェットヘッド５１のメンテナンス中でないと判断すると（ステップＳ４１のＮｏ）、あるいは、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像に異物が認められないと判断すると（ステップＳ４３のＮｏ）、処理をステップＳ４５に進める。

【0091】

ステップＳ４５において、制御部１０３は、印刷処理が完了したか否かを判断する。制御部１０３は、印刷処理が完了したと判断すると（ステップＳ４５のＹｅｓ）、処理を終え、印刷処理が完了していないと判断すると（ステップＳ４５のＮｏ）、処理をステップＳ４１に戻す。

【0092】

このような処理例４によれば、錠剤印刷装置１がインクジェットヘッド５１のメンテナンス中であり、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像に異物が認められた場合、第１の撮像部４０に対応する透光部材７１及び第２の撮像部６０に対応する透光部材７２の一方又は両方の下面に異物が付着していると判断され、錠剤印刷実行時などの装置動作は、メンテナンス後、カバー部７０（各透光部材７１、７２）に付着した異物の有無及び位置を特定し、特定箇所の画素を省いて検査を行うように設定される。これにより、錠剤印刷実行時などの装置動作中、第１の撮像部４０に対応する透光部材７１及び第２の撮像部６０に対応する透光部材７２の一方又は両方の下面に異物が付着している場合には、その異物の位置が特定され、特定位置の異物（例えば、特定位置の画素）が検査対象となる撮像画像から除外される。これにより、異物が検査に悪影響を与えることを抑えることが可能になるので、異物の付着による誤検査の発生を抑えることができる。

【0093】

なお、搬送ベルト２１に錠剤Ｔの粉などの異物が付着している場合も考えられるが、メンテナンス時に、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方で撮像を行う場合に、搬送ベルト２１上に無地のシートなどを置き、搬送ベルト２１の汚れを検出せずにカバー部７０（例えば、透光部材７１、７２）の汚れのみを検出できるようにしてもよい。これにより、カバー部７０に付着している異物を精度よく検出することができる。

【0094】

また、インクジェットヘッド５１のメンテナンス中であるか否かは、例えば、センサ３０、第１の撮像部４０、第２の撮像部６０による錠剤Ｔの検出が所定時間以上なされなかったときに制御部１０３によってメンテナンス中と判断することができる。あるいは、制御装置１００が、作業者によって「メンテナンスモード」が選択されたことを検知し、メンテナンス中であると判断してもよい。

【0095】

また、制御部１０３は、装置がインクジェットヘッド５１のメンテナンス中であると判断した場合、ステップＳ５３に加えて、全てのブロー部８１から吹き出される気体の流れを第１の強さから第２の強さ、また、第２の強さより強い第３の強さにするよう、全ての各ブロー部８１を制御してもよい。これにより、全てのブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流れが強くされるので、場合によっては、センサ３０、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０に対する各透光部材７１、７２の下面に付着している異物を取り除くことができる。

【0096】

通常、メンテナンス時には搬送ベルト２１上に錠剤Ｔが存在しておらず、各ブロー部８１から吹き出された気体の流れにより錠剤Ｔの姿勢が変化することもないため、強い気流が生じてもよい。また、インクジェットヘッド５１のメンテナンス時には、メンテナンス部に設けられる吸引部により液滴の吸引を行うことがあり、これによって空気の流れが起き、インクジェットヘッド５１に付着した粉やゴミなどが舞い上がり、カバー部７０に付着することもあるが、各ブロー部８１から吹き出された気体の流れを強くすることで、舞い上がった粉やゴミなどがカバー部７０の下面に付着することを抑えることができる。また、舞い上がった粉やゴミなどがカバー部７０の下面に付着しても、その粉やゴミなどを取り除くことも可能である。

【0097】

（処理例５）
図１２に示すように、処理例５では、ステップＳ５１において、制御部１０３は、各ブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流れを第１の強さにするように各ブロー部８１を制御する。

【0098】

ステップＳ５２において、制御部１０３は、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像に異物が所定枚数（所定の撮像画像枚数）以上認められるか否かを判断する。

【0099】

ステップＳ５２において、制御部１０３は、撮像画像に異物が所定枚数以上認められると判断すると（ステップＳ５２のＹｅｓ）、ステップＳ５３において、異物が所定枚数以上認められた撮像画像を取得した撮像部（第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方）に対応するブロー部８１から吹き出される気体の流れを第１の強さから第２の強さにするよう、該当のブロー部８１を制御する。

【0100】

ステップＳ５４において、制御部１０３は、対象のブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さにしてから所定時間が経過したか否かを判断する。制御部１０３は、対象のブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さにしてから所定時間が経過したと判断すると（ステップＳ５４のＹｅｓ）、ステップＳ５５において、カバー部７０（各透光部材７１、７２）に付着した異物の位置を特定し、特定箇所の画素を省いて検査を続行する。

【0101】

一方、ステップＳ５２において、制御部１０３は、撮像画像に異物が所定枚数以上認められないと判断すると（ステップＳ５２のＮｏ）、ステップＳ５６において、各ブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流れが第２の強さであるかを判断する。制御部１０３は、気体の流れが第２の強さであると判断すると（ステップＳ５６のＹｅｓ）、ステップＳ５７において、各ブロー部８１のそれぞれから吹き出される気体の流れを第１の強さに維持するように各ブロー部８１を制御し、又は、異物が所定枚数以上認められた撮像画像を取得した撮像部に対応するブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さから第１の強さに戻すように該当のブロー部８１を制御する。

【0102】

また、ステップＳ５４において、制御部１０３は、対象のブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さにしてから所定時間が経過していないと判断すると（ステップＳ５４のＮｏ）、処理をステップＳ５２に戻す。

【0103】

ステップＳ５８において、制御部１０３は、印刷処理が完了したか否かを判断する。制御部１０３は、印刷処理が完了したと判断すると（ステップＳ５８のＹｅｓ）、処理を終え、印刷処理が完了していないと判断すると（ステップＳ５８のＮｏ）、処理をステップＳ５２に戻す。

【0104】

このような処理例５によれば、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０の一方又は両方により得られた撮像画像に異物が所定枚数以上認められた場合、異物が所定枚数以上認められた撮像画像を取得した撮像部に対応するブロー部８１から吹き出される気体の流れが強くされる。つまり、撮像画像の中で同一位置に異物付着が所定枚数以上認められると、その異物は錠剤Ｔに付着したゴミではなく、カバー部７０に付着したゴミであると判断され、該当のブロー部８１から吹き出される気体の流れが強くされる。これにより、第１の撮像部４０に対する透光部材７１や第２の撮像部６０に対する透光部材７２の下面に付着している異物が取り除かれるので、第１の撮像部４０や第２の撮像部６０などの撮像部が透光部材７１、７２の下面に付着した異物を撮像して錠剤Ｔを誤検知することを抑えることができる。

【0105】

また、処理例５によれば、対象のブロー部８１から吹き出される気体の流れを第２の強さにしてから所定時間が経過した場合、第１の撮像部４０に対応する透光部材７１及び第２の撮像部６０に対応する透光部材７２の一方又は両方の下面に付着している異物が取り除かれていないと判断され、その異物の位置が特定され、特定位置の異物（例えば、特定箇所の画素）が検査対象となる撮像画像から除外される。これにより、異物が検査に悪影響を与えることを抑えることが可能になるので、異物の付着による誤検査の発生を抑えることができる。

【0106】

前述のように、ひとまずブローを行い、所定回数ブローを行ったにもかかわらずカバー部７０に異物が付着していると再度判断された場合には、上述のように、異物の位置を特定して当該特定箇所の画素を省いて検査を続行するようにしてもよい。なお、ひとまずブローを実施する例としては、第１の強さでのブローから第２の強さでのブローにするものに限らず、ブローをオフ状態からオン状態としてもよい。ブローをオフ状態からオン状態にすることは、第１の強さがゼロである場合に相当する。なお、所定回数ブローを行ったにもかかわらずカバー部７０に異物が付着していると再度判断された場合には、処理を中断し、メンテナンス処理を行ってもよい。

【0107】

以上説明したように、第１の実施形態によれば、錠剤印刷装置１は、搬送ベルト２１により搬送される錠剤Ｔを検出する検出部（例えば、センサ３０、第１の撮像部４０又は第２の撮像部６０）と、検出部により検出された錠剤Ｔに印刷を行うインクジェットヘッド５１と、検出部を覆い、搬送ベルト２１側の面の少なくとも一部に透光部材７１、７２を有するカバー部７０と、検出部により取得した検出結果に基づいて、錠剤Ｔの検査を行うとともに、カバー部７０の透光部材７１、７２に付着した異物の有無を判断する制御部１０３と、を備える。制御部１０３は、カバー部７０の透光部材７１、７２に付着した異物が有ると判断した場合、カバー部７０の搬送ベルト２１側の面に対して平面視で錠剤Ｔの搬送方向Ｈ１と交差する方向に気体を吹き付けるブロー部８１に気体の吹き付けを実行させる第１の処理と、異物の位置を特定して異物を検査の対象から除外する第２の処理との一方又は両方を行う。

【0108】

これにより、カバー部７０の透光部材７１、７２に異物が付着した場合、ブロー部８１により気体がカバー部７０の下面に吹き付けられ、カバー部７０の下面に付着している異物（例えば粉やゴミ）が取り除かれるので、異物の付着による誤検知を抑制し、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことができる。また、カバー部７０の透光部材７１、７２に異物が付着した場合、その異物Ａ１の位置が特定され、その特定位置の異物Ａ１が検査の対象から除外されるので、異物の付着による誤検査を抑制し、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことができる。

【0109】

また、各ブロー部８１の、気体の流れの強さが、第１の強さや第２の強さであること、また、強くなっていることや弱くなっていることを、例えば、ディスプレイやランプ、メータなどの出力装置１００ｂによりユーザに報知するようにしてもよい。これにより、ユーザは気体の流れの強さがどの程度の強さであるのかを把握することができる。

【0110】

また、制御部１０３は、各撮像画像の一方又は両方に異物が所定枚数以上認められるか否かを判断しているが、これに限るものではなく、例えば、各撮像画像の一方又は両方に異物が所定錠剤数以上又は所定時間以上認められるか否かを判断してもよい。

【0111】

＜第２の実施形態＞
第２の実施形態について図１３を参照して説明する。

【0112】

第２の実施形態では、図１３に示すように、錠剤Ｔが二列で搬送されている。この場合、供給部１０は搬送ベルト２１に対して錠剤Ｔを二列にするように供給する。図１３の例では、錠剤Ｔは、二列で搬送されているが、これに限定されるものではない。錠剤Ｔが二列で搬送される場合には、センサ３０、第１の撮像部４０及び第２の撮像部６０は列ごとに設けられている。なお、インクジェットヘッド５１は、各列に共通するように設けられているが、これに限定されるものではなく、列ごとに設けられてもよい。

【0113】

ブロー部８１は、複数のセンサ３０、複数の第１の撮像部４０及び複数の第２の撮像部６０のそれぞれに対して設けられている。図１３の例では、ブロー部８１は六個設けられており、搬送方向Ｈ１に二列に並べられている。列ごとのブロー部８１は、各列の内側を避けて外側に向かって気体を吹き出す。詳しくは、各ブロー部８１は、平面視で複数の吸引孔２１ａが二列に並ぶ列間に位置するようにカバー部７０の下面に設けられている。これらのブロー部８１は、それぞれカバー部７０の下面に沿ってカバー部７０と搬送ベルト２１との間の空間の外側に向かって互いに逆方向に気体を吹き出す。

【0114】

なお、三列以上の複数列で搬送する場合には、各ブロー部８１はそれぞれ外側に向かって気体を吹き出すようにする。このとき、内側に位置する搬送列に対応するブロー部８１は外側に位置する搬送列の錠剤Ｔに向かって気体を吹き出すことになるが、外側（つまり隣接する搬送列が少ない方向）に向かって気体を吹き出すようにすることでブロー部８１から吹き出された気体が錠剤Ｔの姿勢に影響を与えるリスクを最小にすることができる。

【0115】

このような構成によれば、気体の吹き出し方向は、平面視で搬送方向Ｈ１と交差する方向であり、隣り合う搬送列に向かない方向、すなわち隣り合う搬送列の外側に向く方向である。これにより、少なくともブロー部８１の下通過時にしか錠剤Ｔが気流にさらされないため、気体の吹き出しによる気流が錠剤Ｔの姿勢に影響を与えることを抑えられるので、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことができる。また、ブロー部８１から吹き出された気体がインクジェットヘッド５１の印刷に影響を与えることを抑えられるので、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことができる。

【0116】

なお、搬送方向Ｈ１に並ぶ各ブロー部８１の個々の気体の吹き出し方向は同じになっているが、これに限定されるものではなく、異なっていてもよい。また、各ブロー部８１の個々の気体の吹き出し方向は、平面視で搬送方向Ｈ１と交差する方向であるため、平面視で搬送方向Ｈ１の上流側に傾斜する方向であっても、平面視で搬送方向Ｈ１の下流側に傾斜する方向であってもよいが、インクジェットヘッド５１側への気体の吹き付けを抑えるため、インクジェットヘッド５１側と反対側に傾斜する方向であることが好ましい。例えば、センサ３０及び第１の撮像部４０に対応する各ブロー部８１の個々の気体の吹き出し方向は、平面視で搬送方向Ｈ１の上流側に傾斜する方向であり、第２の撮像部６０に対応するブロー部８１の気体の吹き出し方向は、平面視で搬送方向Ｈ１の下流側に傾斜する方向であることが望ましい。

【0117】

以上説明したように、第２の実施形態によれば、第１の実施形態と同じ効果を得ることができる。また、錠剤Ｔを複数列で搬送する場合でも、気体の吹き出しによる気流が錠剤Ｔの姿勢やインクジェットヘッド５１の印刷に影響を与えることが抑えられるので、効率よく錠剤Ｔに印刷を行うことができる。

【0118】

＜他の実施形態＞
前述の説明においては、実施の一形態に係る錠剤印刷装置１（錠剤印刷方法）を用いて錠剤Ｔに印刷を行うが、これは、実施の一形態に係る錠剤印刷装置１（錠剤印刷方法）を用いて錠剤Ｔに印刷を行い、印刷済の錠剤Ｔを製造すると言い換えることも可能である。すなわち、錠剤印刷装置１を錠剤製造装置に、錠剤印刷方法を錠剤製造方法に言い換えることができる。

【0119】

また、前述の説明においては、錠剤Ｔを一列又は二列で搬送することを例示したが、これに限るものではなく、その列数は三列又は五列以上であってもよく、特に限定されるものではなく、搬送ベルト２１の本数も二本以上であってもよく、特に限定されるものではない。また、インクジェットヘッド５１の個数も二個以上であってもよく、特に限定されるものではない。

【0120】

また、前述の説明においては、インクジェットヘッド５１として、ノズル５１ａが一列に並ぶ印刷ヘッドを例示したが、これに限るものではなく、例えば、ノズル５１ａが複数列に並ぶ印刷ヘッドを用いるようにしてもよい。また、水平面内において搬送方向Ｈ１と直交する方向にインクジェットヘッド５１を複数並べて用いるようにしてもよい。

【0121】

また、前述の説明においては、インクジェットヘッド５１をノズル５１ａが並ぶ方向が水平面内において搬送方向Ｈ１と直交する方向になるように設けることを例示したが、これに限るものではなく、例えば、ノズル５１ａが並ぶ方向が水平面内において搬送方向Ｈ１と交差する方向になるように設けるようにしてもよい。

【0122】

また、前述の説明においては、錠剤Ｔの片面を印刷することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、搬送部２０、センサ３０、第１の撮像部４０、印刷部５０及び第２の撮像部６０を一つのユニットし、そのユニットを上下に重ねて配置して、上側の搬送部２０で印刷した錠剤Ｔを反転して下側の搬送部２０に受け渡し、錠剤Ｔの両面を印刷するようにしてもよい。

【0123】

また、前述の説明においては、錠剤Ｔが搬送ベルト２１上に一定間隔ではなくランダムに供給されるとしたが、これに限るものではなく、一定間隔で供給されてもよい。また、前述の説明においては、搬送ベルト２１上に形成された吸引孔２１ａによって錠剤Ｔが吸引保持されるとしたが、これに限るものではなく、ポケットなどに収容保持され搬送されるようにしてもよく、あるいは、搬送ベルト２１上に自重により保持され搬送されるようにしてもよい。

【0124】

ここで、前述の錠剤Ｔとしては、医薬用、飲食用、洗浄用、工業用あるいは芳香用として使用される錠剤を含めることができる。また、錠剤Ｔとしては、裸錠（素錠）や糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶錠、ゼラチン被包錠、多層錠、有核錠などがあり、硬カプセルや軟カプセルなど各種のカプセル錠も錠剤Ｔに含めることができる。さらに、錠剤Ｔの形状としては、円盤形やレンズ形、三角形、楕円形など各種の形状がある。また、印刷対象の錠剤Ｔが医薬用や飲食用である場合には、使用するインクとして可食性インクが好適である。この可食性インクとしては、合成色素インク、天然色素インク、染料インク、顔料インクのいずれを使用しても良い。

【0125】

以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

【符号の説明】

【0126】

１ 錠剤印刷装置
１０ 供給部
１１ ホッパ
１２ シュータ
２０ 搬送部
２１ 搬送ベルト
２１ａ 吸引孔
２２ 駆動プーリ
２３ 従動プーリ
２４ モータ
２５ 位置検出器
２６ 吸引チャンバ
３０ センサ
４０ 第１の撮像部
５０ 印刷部
５１ インクジェットヘッド
５１ａ ノズル
６０ 第２の撮像部
７０ カバー部
７０ａ 貫通孔
７０ｂ 貫通孔
７０ｃ 貫通孔
７０ｄ 貫通孔
７１ 透光部材
７２ 透光部材
７３ 密閉部材
８０ ブロー装置
８１ ブロー部
９０ 回収部
１００ 制御装置
１００ａ 入力装置
１００ｂ 出力装置
１０１ 画像処理部
１０２ 記憶部
１０３ 制御部
Ａ１ 異物
Ｈ１ 搬送方向
Ｒ１ 全領域
Ｒ１ａ 対象領域
Ｒ１ｂ 非対象領域
Ｔ 錠剤

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】