(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121557
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】交通情報システムおよび交通情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240830BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028715
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 康史
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181CC14
5H181DD04
5H181DD07
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL06
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】従来よりも安全性を向上させた交通情報システムおよび交通情報提供方法を提供すること。
【解決手段】交通情報システムは、第一方向に延びる道路と第一方向に対して交差する第二方向に延びる道路とが交差する交差点へ進入する車両に搭載された車載無線装置が発する電波を検知する無線基地局と、無線基地局が電波を検知したら、第一方向に走行しており、無線基地局が検知した電波を発している車載無線装置を搭載した車両に関する車両情報を取得する第一レーダー基地局と、を備え、無線基地局は、第一レーダー基地局が、車両情報に基づいて、交差点で停止している第一車両を検出したら、警告のレベルをあらかじめ設定された通常レベルとして、第一車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に延びる道路と前記第一方向に対して交差する第二方向に延びる道路とが交差する交差点へ進入する車両に搭載された車載無線装置が発する電波を検知する無線基地局と、
前記無線基地局が電波を検知したら、前記第一方向に走行しており、前記無線基地局が検知した電波を発している前記車載無線装置を搭載した車両に関する車両情報を取得する第一レーダー基地局と、を備え、
前記無線基地局は、
前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、交差点で停止している第一車両を検出したら、警告のレベルをあらかじめ設定された通常レベルとして、前記第一車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の警告を行う
交通情報システム。
【請求項2】
前記無線基地局は、
前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、前記第一車両の後ろで停止している第二車両を検出したら、警告のレベルを前記通常レベルとして、前記第二車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の警告を行う
請求項1に記載の交通情報システム。
【請求項3】
前記無線基地局は、
前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、前記第一車両の後ろで停止している前記第二車両が動き出したことを検出したら、警告のレベルを前記通常レベルから一段階上げたレベルとして、前記第二車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の警告を行う
請求項2に記載の交通情報システム。
【請求項4】
前記無線基地局は、
前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、前記第二車両が前記第一車両の横に並んだことを検出したら、警告のレベルを前記通常レベルから二段階上げたレベルとして、前記第二車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の非常に強い警告を行う
請求項3に記載の交通情報システム。
【請求項5】
前記無線基地局は、
前記第一レーダー基地局が、前記車載無線装置が発する電波に含まれる車両種別に関する情報を前記無線基地局から受信し、前記車両種別に関する情報から前記第二車両が二輪車であることを判定したら、前記第二車両に対する警告のレベルをさらに一段階上げたレベルとする
請求項2~4のいずれか一項に記載の交通情報システム。
【請求項6】
前記無線基地局が電波を検知したら、前記第二方向に走行しており、前記無線基地局が検知した電波を発している前記車載無線装置を搭載した車両に関する車両情報を取得する第二レーダー基地局を備え、
前記無線基地局、交差点に進入する第三車両を検出したら、前記第一車両および前記第二車両に対する警告のレベルをさらに一段上げたレベルとする
請求項2~4のいずれか一項に記載の交通情報システム。
【請求項7】
前記無線基地局は、DSRC基地局である
請求項1~4のいずれか一項に記載の交通情報システム。
【請求項8】
無線基地局で、第一方向に延びる道路と前記第一方向に対して交差する第二方向に延びる道路とが交差する交差点へ進入する車両に搭載された車載無線装置が発する電波を検知するステップと、
第一レーダー基地局で、
前記無線基地局が電波を検知したら、前記第一方向に走行しており、前記無線基地局が検知した電波を発している前記車載無線装置を搭載した車両に関する車両情報を取得するステップと、
前記無線基地局で、前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、交差点で停止している第一車両を検出したら、警告のレベルをあらかじめ設定された通常レベルとして、前記第一車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うステップと、を備えた
交通情報提供方法。
【請求項9】
前記無線基地局で、前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、前記第一車両の後ろで停止している第二車両を検出したら、警告のレベルを前記通常レベルとして、前記第二車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うステップを備えた
請求項8に記載の交通情報提供方法。
【請求項10】
前記無線基地局で、前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、前記第一車両の後ろで停止している前記第二車両が動き出したことを検出したら、警告のレベルを前記通常レベルから一段階上げたレベルとして、前記第二車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うステップを備えた
請求項9に記載の交通情報提供方法。
【請求項11】
前記無線基地局で、前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、前記第二車両が前記第一車両の横に並んだことを検出したら、警告のレベルを前記通常レベルから二段階上げたレベルとして、前記第二車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の非常に強い警告を行うステップを備えた
請求項10に記載の交通情報提供方法。
【請求項12】
前記無線基地局で、前記第一レーダー基地局が、前記車載無線装置が発する電波に含まれる車両種別に関する情報を前記無線基地局から受信し、前記車両種別に関する情報から前記第二車両が二輪車であることを判定したら、前記第二車両に対する警告のレベルをさらに一段階上げたレベルとするステップを備えた
請求項9~11のいずれか一項に記載の交通情報提供方法。
【請求項13】
第二レーダー基地局で、前記無線基地局が電波を検知したら、前記第二方向に走行しており、前記無線基地局が検知した電波を発している前記車載無線装置を搭載した車両に関する車両情報を取得するステップと、
前記無線基地局で、前記第二レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、前記第二方向に走行しており、交差点に進入する第三車両を検出したら、前記第一車両および前記第二車両に対する警告のレベルをさらに一段上げたレベルとするステップと、を備えた
請求項9~11のいずれか一項に記載の交通情報提供方法。
【請求項14】
前記無線基地局は、DSRC基地局である
請求項8~11のいずれか一項に記載の交通情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交通情報システムおよび交通情報提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通事故を防ぐための所望の動作を各車両にさせるように、交通情報を各車両に提供する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、右直干渉判断手段が、自車両が交差点を右折する際に、対向車線の直進車両と干渉する可能性を判断し、注意喚起手段が、自車両が対向車線の直進車両と干渉する可能性に基づいて運転者に注意喚起を行う。その際、対向右折車両情報取得手段が、対向車線の右折車両の有無を路車間通信によって取得し、注意喚起手段が、運転者に注意喚起を行うタイミングまたは注意喚起の度合を、対向車線の右折車両の有無に基づいて設定する。つまり、特許文献1では、右折レーンにいる車両つまり交差点での右折待ち停止車両に対して、対向車線の直進車両が存在すれば注意喚起を行うが、対向車線の直進車両が存在しなければ注意喚起を行わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように交差点での右折待ち停止車両に対して対向車線の直進車両が存在しなければ注意喚起を行わないとすると、交差点の左右方向からの直進車両があっても注意喚起が行われず、交差点での右折待ち停止車両が交差点の左右方向からの直進車両と衝突してしまう恐れがあるという課題があった。
【0006】
本開示は、以上のような課題を解決するためになされたもので、従来よりも安全性を向上させた交通情報システムおよび交通情報提供方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る交通情報システムは、第一方向に延びる道路と前記第一方向に対して交差する第二方向に延びる道路とが交差する交差点へ進入する車両に搭載された車載無線装置が発する電波を検知する無線基地局と、前記無線基地局が電波を検知したら、前記第一方向に走行しており、前記無線基地局が検知した電波を発している前記車載無線装置を搭載した車両に関する車両情報を取得する第一レーダー基地局と、を備え、前記無線基地局は、前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、交差点で停止している第一車両を検出したら、警告のレベルをあらかじめ設定された通常レベルとして、前記第一車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うものである。
【0008】
本開示に係る交通情報提供方法は、無線基地局で、第一方向に延びる道路と前記第一方向に対して交差する第二方向に延びる道路とが交差する交差点へ進入する車両に搭載された車載無線装置が発する電波を検知するステップと、第一レーダー基地局で、前記無線基地局が電波を検知したら、前記第一方向に走行しており、前記無線基地局が検知した電波を発している前記車載無線装置を搭載した車両に関する車両情報を取得するステップと、前記無線基地局で、前記第一レーダー基地局が、前記車両情報に基づいて、交差点で停止している第一車両を検出したら、警告のレベルをあらかじめ設定された通常レベルとして、前記第一車両に対して前記第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うステップと、を備えた方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る交通情報システムおよび交通情報提供方法によれば、無線基地局は、第一レーダー基地局が、車両情報に基づいて、右折待ちのため交差点で停止している第一車両を検出したら、警告のレベルをあらかじめ設定された通常レベルとして、第一車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行う。つまり、右折待ちのため交差点で停止している第一車両に対して第二方向(交差点の左右方向)からの車両に注意する旨の警告が行われるため、従来よりも安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る交通情報システムの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る交通情報システムの各基地局の設置例を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る交通情報システムの各基地局が設置された片側1車線の道路で車両A、車両B、および車両Cが走行している様子を示す第一図である。
【
図4】実施の形態に係る交通情報システムの各基地局が設置された片側1車線の道路で車両A、車両B、および車両Cが走行している様子を示す第二図である。
【
図5】実施の形態に係る交通情報システムの各基地局が設置された片側1車線の道路で車両A、車両B、および車両Cが走行している様子を示す第三図である。
【
図6】実施の形態に係る交通情報システムの制御フローの前段を示す図である。
【
図7】実施の形態に係る交通情報システムの制御フローの後段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
実施の形態.
図1は、実施の形態に係る交通情報システム100の構成を示す図である。実施の形態に係る交通情報システム100は、交差点における危険情報、信号機の灯色情報、信号無視した車両の情報、および、従道路から接近する車両の情報などを車両に提供することで、交差点、T字路などの車両、および、歩行者の安全を高めることを目的としたシステムである。車両へは、DSRC(Dedicated Short Range Communication)で交通情報が提供されることで、その車両を運転するドライバへ各種警告が行われる。なお、DSRCは、車両通信に特化した短距離無線通信技術であり、通信距離は数10mにとどまるものの、他の短距離無線と比較して速いのが特徴である。また、交通情報システム100では、レーダーで車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。なお、レーダーは、天候および昼夜など外部環境による性能の劣化がなく、また、特に24GHz帯ミリ波レーダーは、近~中距離の障害物検知に適しているのが特徴である。
【0013】
実施の形態に係る交通情報システム100は、
図1に示すように、DSRC基地局10と、第一レーダー基地局20と、第二レーダー基地局30とを備えている。また、DSRC基地局10と、第一レーダー基地局20と、第二レーダー基地局30とは、互いにネットワークNを介して通信可能に接続されている。また、各車両には、DSRC車載装置40が搭載されている。
【0014】
DSRC基地局10は、道路上のガントリーまたは道路の路側に設置される無線基地局であり、無線部11と、制御部12とを備えている。無線部11は、電波を搬送波として各車両に搭載されたDSRC車載装置40と通信を行うものである。制御部12は、無線部11を制御するものである。制御部12は、例えば、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成されている。
【0015】
第一レーダー基地局20は、道路上のガントリーまたは道路の路側に設置されるものであり、無線部21と、ログ収集部22と、評価処理部23と、制御部24とを備えている。無線部21は、レーダー波を送受信するものである。ログ収集部22は、レーダー波の受信結果から走行ログデータを収集するものである。ここで、走行ログデータとは、車両の位置および速度に基づく車両の走行情報を示すデータである。評価処理部23は、走行ログデータを処理するものである。具体的には、評価処理部23は、ログ収集部22が収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価して、交通情報を更新する。ここで、交通情報とは、渋滞情報、工事情報、事故情報、交差点における危険情報、信号機の灯色情報、信号無視した車両の情報、および、従道路から接近する車両の情報などである。制御部24は、無線部21、ログ収集部22、および、評価処理部23を制御するものである。制御部24は、例えば、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成されている。
【0016】
第二レーダー基地局30は、第一レーダー基地局20と同様に、道路上のガントリーまたは道路の路側に設置されるものであり、無線部31と、ログ収集部32と、評価処理部33と、制御部34とを備えている。無線部31は、レーダー波を送受信するものである。ログ収集部32は、レーダー波の受信結果から走行ログデータを収集するものである。ここで、走行ログデータとは、車両の位置および速度に基づく車両の走行情報を示すデータである。評価処理部33は、走行ログデータを処理するものである。具体的には、評価処理部33は、ログ収集部32が収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価して、交通情報を更新する。ここで、交通情報とは、渋滞情報、工事情報、事故情報、交差点における危険情報、信号機の灯色情報、信号無視した車両の情報、および、従道路から接近する車両の情報などである。制御部34は、無線部31、ログ収集部32、および、評価処理部33を制御するものである。制御部34は、例えば、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成されている。
【0017】
DSRC車載装置40は、車両に搭載される車載無線装置であり、無線部41と、制御部42とを備えている。無線部41は、電波を搬送波としてDSRC基地局10と通信を行うものである。制御部42は、無線部41を制御するものである。制御部42は、例えば、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、プロセッサともいう)で構成されている。
【0018】
図2は、実施の形態に係る交通情報システム100の各基地局の設置例を示す図である。なお、
図2のR1はDSRC基地局10の電波の送受信領域(以下、領域R1と称する)を示しており、
図2のR2が第一レーダー基地局20のレーダー波の送受信領域(以下、領域R2と称する)を示しており、
図2のR3が第二レーダー基地局30のレーダー波の送受信領域(以下、領域R3と称する)を示している。
【0019】
図2に示すように、DSRC基地局10、第一レーダー基地局20、および第二レーダー基地局30は、交差点付近の道路の路側に設置されている。具体的には、DSRC基地局10は、第一方向D1に延びる道路かつD11側の交差点手前の道路の路側に設置されている。第一レーダー基地局20は、第一方向D1に延びる道路かつD12側の交差点手前の道路の路側に設置されている。第二レーダー基地局30は、第一方向D1と交差する第二方向D2に延びる道路かつD22側の交差点手前の道路の路側に設置されている。そして、第一レーダー基地局20は、第二方向D2において交差点よりもD21側に配置されており、第一レーダー基地局20と第二レーダー基地局30とは、第一方向D1に延びる道路を挟んで設けられている。なお、DSRC基地局10は、交差点付近であればどこに設置されていてもよい。また、第一レーダー基地局20は、第一方向D1に延びる道路かつD11側の交差点手前の道路の路側に設置されていてもよいし、第二レーダー基地局30は、第一方向D1と交差する第二方向D2に延びる道路かつD21側の交差点手前の道路の路側に設置されていてもよい。
【0020】
第一レーダー基地局20は、領域R2に車両があるか否かを常時検知している。そして、第一レーダー基地局20が、領域R2に車両があることを検知したら、車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価して、交通情報を更新する。そして、第一レーダー基地局20は、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。同様に、第二レーダー基地局30は、領域R3に車両があるか否かを常時検知している。そして、第二レーダー基地局30が、領域R3に車両があることを検知したら、車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。第二レーダー基地局30は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価して、交通情報を更新する。そして、第二レーダー基地局30は、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。DSRC基地局10は、交通情報を受信したら、領域R1にある車両へ交通情報を送信し、提供する。
【0021】
図3は、実施の形態に係る交通情報システム100の各基地局が設置された片側1車線の道路で車両A、車両B、および車両Cが走行している様子を示す第一図である。
図4は、実施の形態に係る交通情報システム100の各基地局が設置された片側1車線の道路で車両A、車両B、および車両Cが走行している様子を示す第二図である。
図5は、実施の形態に係る交通情報システム100の各基地局が設置された片側1車線の道路で車両A、車両B、および車両Cが走行している様子を示す第三図である。
【0022】
図3~
図5に示す例では、片側1車線の道路が交差する信号無しの交差点付近を示しており、車両A、車両B、および車両Cが交差点に向かって走行しており、車両Aおよび車両Bは第一方向D1に延びる道路上を走行しており、車両Cは第二方向D2に延びる道路上を走行している。さらに、車両Bは車両Aの後方を走行している。このときの交通情報システム100の各構成要素の動作について以下で説明する。
【0023】
図3では、第一レーダー基地局20および第二レーダー基地局30が、それぞれ領域R2、R3に車両があるか否かを検知する。
図3では、車両Aおよび車両Bが領域R2内であるため、第一レーダー基地局20が車両Aおよび車両Bを検知する。そして、第一レーダー基地局20が、領域R2に車両Aおよび車両Bがあることを検知したら、車両Aおよび車両Bの位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。
【0024】
第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両Aおよび車両Bの走行情報を評価し、それによって、車両Aは、D22側へ右折するため交差点で停止しており、車両Bは、車両Aの後方で停止していることが分かる。その後、第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両Aおよび車両Bの走行情報を評価したら、交通情報に含まれる情報のうち、車両AのDSRC車載装置40へ提供される第一の交通情報および車両BのDSRC車載装置40へ提供される第二の交通情報を更新する。そして、第一レーダー基地局20は、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。
【0025】
DSRC基地局10は、交通情報を受信したら、検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両Aおよび車両Bへ交通情報を送信し、提供する。このとき、第一の交通情報および第二の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第一の交通情報および第二の交通情報には、警告をあらかじめ設定された通常レベル(レベル1)で行う旨の情報が含まれている。
【0026】
つまり、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Aおよび車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の通常の警告(レベル1)を行う。なお、車両(を運転するドライバ)に対する警告の手段としては、車両に搭載されたスピーカーなどの音声手段、あるいはモニターなどの表示手段である。ここで、車両(を運転するドライバ)に対する警告にはレベルがあり、警告のレベルが上がるに応じて、音量を上げる、文字の点滅回数を増やす、文字の点滅速度を上げる、あるいは警告時間を長くするなど、警告のレベルが上がるほどドライバがより注意喚起されるようにする。
【0027】
図4では、第一レーダー基地局20および第二レーダー基地局30が、それぞれ領域R2、R3に車両があるか否かを検知する。
図4では、車両Aおよび車両Bが領域R2内であるため、第一レーダー基地局20が車両Aおよび車両Bを検知し、車両Cが領域R3内であるため、第二レーダー基地局30が車両Cを検知する。そして、第一レーダー基地局20が、領域R2に車両Aおよび車両Bがあることを検知したら、車両Aおよび車両Bの位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。また、第二レーダー基地局30が、領域R3に車両Cがあることを検知したら、車両Cの位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。
【0028】
第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両Aおよび車両Bの走行情報を評価し、それによって、車両Aは、D22側へ右折するため交差点で停止しており、車両Bは、車両Aの後方で動き出していることが分かる。また、第二レーダー基地局30は、収集した走行ログデータが示す車両Cの走行情報を評価し、それによって、車両Cは、D22側から交差点に向かって直進していることが分かる。
【0029】
その後、第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両Aおよび車両Bの走行情報を評価したら、交通情報に含まれる情報のうち、第一の交通情報および第二の交通情報を更新する。そして、第一レーダー基地局20は、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。また、第二レーダー基地局30は、収集した走行ログデータが示す車両Cの走行情報を評価したら、交通情報に含まれる情報のうち、車両CのDSRC車載装置40へ提供される第三の交通情報を更新する。そして、第二レーダー基地局30は、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。
【0030】
DSRC基地局10は、交通情報を受信したら、検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両A、車両B、および車両Cへ交通情報を送信し、提供する。このとき、第一の交通情報~第三の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第一の交通情報および第三の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)で行う旨の情報が含まれており、第二の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)から一段階上げたレベルで行う旨、つまり警告をレベル2で行う旨の情報が含まれている。
【0031】
つまり、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20および第二レーダー基地局30から受信した交通情報に基づいて、車両Aおよび車両Cに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の通常の警告(レベル1)を行い、車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の強い警告(レベル2)を行う。
【0032】
図5では、第一レーダー基地局20および第二レーダー基地局30が、それぞれ領域R2、R3に車両があるか否かを検知する。
図5では、車両Aおよび車両Bが領域R2内であるため、第一レーダー基地局20が車両Aおよび車両Bを検知し、車両Cが領域R3内であるため、第二レーダー基地局30が車両Cを検知する。そして、第一レーダー基地局20が、領域R2に車両Aおよび車両Bがあることを検知したら、車両Aおよび車両Bの位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。また、第二レーダー基地局30が、領域R3に車両Cがあることを検知したら、車両Cの位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。
【0033】
第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両Aおよび車両Bの走行情報を評価し、それによって、車両Aは、D22側へ右折するため交差点で停止しており、車両Bは、車両Aの後方から動いて車両Aの横に並んでいることが分かる。また、第二レーダー基地局30は、収集した走行ログデータが示す車両Cの走行情報を評価し、それによって、車両Cは、D22側から交差点に向かって直進していることが分かる。
【0034】
その後、第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両Aおよび車両Bの走行情報を評価したら、交通情報に含まれる情報のうち、第一の交通情報および第二の交通情報を更新する。そして、第一レーダー基地局20は、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。また、第二レーダー基地局30は、収集した走行ログデータが示す車両Cの走行情報を評価したら、交通情報に含まれる情報のうち、第三の交通情報を更新する。そして、第二レーダー基地局30は、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。
【0035】
DSRC基地局10は、交通情報を受信したら、検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両A、車両B、および車両Cへ交通情報を送信し、提供する。このとき、第一の交通情報~第三の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第一の交通情報および第三の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)で行う旨の情報が含まれており、第二の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)から二段階上げたレベルで行う旨、つまり警告をレベル3で行う旨の情報が含まれている。
【0036】
つまり、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20および第二レーダー基地局30から受信した交通情報に基づいて、車両Aおよび車両Cに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の通常の警告(レベル1)を行い、車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の非常に強い警告(レベル3)を行う。
【0037】
図6は、実施の形態に係る交通情報システム100の制御フローの前段を示す図である。
図7は、実施の形態に係る交通情報システム100の制御フローの後段を示す図である。以下、実施の形態に係る交通情報システム100の制御フローについて、
図6および
図7を用いて説明する。
【0038】
(ステップS1)
第一レーダー基地局20は、領域R2に車両があるか否かを判定する。第一レーダー基地局20が領域R2に車両があると判定した場合(YES)、処理はステップS2に進む。一方、第一レーダー基地局20が領域R2に車両がないと判定した場合(NO)、処理はステップS1に戻り、第一レーダー基地局20が領域R2に車両があると判定するまでステップS1を繰り返す。
【0039】
(ステップS2)
第一レーダー基地局20は、領域R2の車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。その後、処理はステップS3に進む。
【0040】
(ステップS3)
第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価し、D22側へ右折するため交差点で停止している車両、つまり右折待ち停止車両(以下、車両Aとも称する)があるか否かを判定する。第一レーダー基地局20が右折待ち停止車両があると判定した場合(YES)、処理はステップS4に進む。一方、第一レーダー基地局20が右折待ち停止車両がないと判定した場合(NO)、処理はステップS1に戻る。
【0041】
(ステップS4)
第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価し、右折待ち停止車両の後ろに後続車両(以下、車両Bとも称する)があるか否かを判定する。第一レーダー基地局20が後続車両があると判定した場合(YES)、処理はステップS5に進む。一方、第一レーダー基地局20が後続車両がないと判定した場合(NO)、処理はステップS6に進む。
【0042】
(ステップS5)
第一レーダー基地局20は、第二レーダー基地局30が更新した交通情報に基づいて、左右から来る車両(以下、車両Cとも称する)があるか否かを判定する。ここで、第二レーダー基地局30は、領域R3に車両があるか否かを判定している。そして、第二レーダー基地局30は、領域R3に車両があると判定した場合、領域R3の車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。そして、第二レーダー基地局30は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価し、交通情報を更新する。第一レーダー基地局20が、第二レーダー基地局30が更新した交通情報に基づいて、左右から来る車両があると判定した場合(YES)、処理はステップS7に進む。一方、第一レーダー基地局20が、第二レーダー基地局30が更新した交通情報に基づいて、左右から来る車両がないと判定した場合(NO)、処理はステップS8に進む。
【0043】
(ステップS6)
第一レーダー基地局20は、第二レーダー基地局30が更新した交通情報に基づいて、領域R3に車両があるか否かを判定する。ここで、第二レーダー基地局30は、領域R3に車両があるか否かを判定している。そして、第二レーダー基地局30は、領域R3に車両があると判定した場合、領域R3の車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。そして、第二レーダー基地局30は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価し、交通情報を更新する。第一レーダー基地局20が、第二レーダー基地局30が更新した交通情報に基づいて、左右から来る車両があると判定した場合(YES)、処理はステップS9に進む。一方、第一レーダー基地局20が、第二レーダー基地局30が更新した交通情報に基づいて、左右から来る車両がないと判定した場合(NO)、処理はステップS10に進む。
【0044】
(ステップS7)
第一レーダー基地局20は、交通情報に含まれる情報のうち、第一の交通情報および第二の交通情報を更新し、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。このとき、第一の交通情報および第二の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第一の交通情報および第二の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)から一段階上げたレベルで行う旨、つまり警告をレベル2で行う旨の情報が含まれている。そして、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Aおよび車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の強い警告(レベル2)を行う。その後、処理はステップS11に進む。
【0045】
(ステップS8)
第一レーダー基地局20は、交通情報に含まれる情報のうち、第一の交通情報および第二の交通情報を更新し、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。このとき、第一の交通情報および第二の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第一の交通情報および第二の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)で行う旨の情報が含まれている。そして、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Aおよび車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の通常の警告(レベル1)を行う。その後、処理はステップS11に進む。
【0046】
(ステップS9)
第一レーダー基地局20は、交通情報に含まれる情報のうち、第一の交通情報を更新し、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。このとき、第一の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第一の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)から一段階上げたレベルで行う旨、つまり警告をレベル2で行う旨の情報が含まれている。そして、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Aに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の強い警告(レベル2)を行う。その後、処理はステップS1に戻る。
【0047】
(ステップS10)
第一レーダー基地局20は、交通情報に含まれる情報のうち、第一の交通情報を更新し、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。このとき、第一の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第一の交通情報および第二の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)で行う旨の情報が含まれている。そして、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Aに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の通常の警告(レベル1)を行う。その後、処理はステップS1に戻る。
【0048】
(ステップS11)
第一レーダー基地局20は、領域R2の車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。その後、処理はステップS12に進む。
【0049】
(ステップS12)
第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価し、後続車両が動き出したか否かを判定する。第一レーダー基地局20が後続車両が動き出したと判定した場合(YES)、処理はステップS13に進む。一方、第一レーダー基地局20が後続車両が動き出していないと判定した場合(NO)、処理はステップS11に戻る。
【0050】
(ステップS13)
第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価し、後続車両の前に右折待ち停止車両があるか否かを判定する。第一レーダー基地局20が後続車両の前に右折待ち停止車両があると判定した場合(YES)、処理はステップS14に進む。一方、第一レーダー基地局20が後続車両の前に右折待ち停止車両がないと判定した場合(NO)、処理はステップS15に進む。
【0051】
(ステップS14)
第一レーダー基地局20は、交通情報に含まれる情報のうち、第二の交通情報を更新し、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。このとき、第二の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第二の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)から一段階上げたレベルで行う旨、つまり警告をレベル2で行う旨の情報が含まれている。そして、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の強い警告(レベル2)を行う。その後、処理はステップS16に進む。
【0052】
(ステップS15)
第一レーダー基地局20は、交通情報に含まれる情報のうち、第二の交通情報を更新し、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。このとき、第二の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第二の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)で行う旨の情報が含まれている。そして、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の通常の警告(レベル1)を行う。その後、処理はステップS16に進む。
【0053】
(ステップS16)
第一レーダー基地局20は、領域R2の車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。その後、処理はステップS17に進む。
【0054】
(ステップS17)
第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価し、後続車両が停止したか否かを判定する。第一レーダー基地局20が後続車両が停止したと判定した場合(YES)、処理はステップS11に戻る。一方、第一レーダー基地局20が後続車両が停止していないと判定した場合(NO)、処理はステップS18に進む。
【0055】
(ステップS18)
第一レーダー基地局20は、収集した走行ログデータが示す車両の走行情報を評価し、後続車両が右折待ち停止車両の横に並んでいるか否かを判定する。第一レーダー基地局20が後続車両が右折待ち停止車両の横に並んでいると判定した場合(YES)、処理はステップS19に進む。一方、第一レーダー基地局20が後続車両が右折待ち停止車両の横に並んでいないと判定した場合(NO)、処理はステップS16に戻る。
【0056】
(ステップS19)
第一レーダー基地局20は、交通情報に含まれる情報のうち、第二の交通情報を更新し、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。このとき、第二の交通情報には、「左右方向からの車両に注意する」旨の警告情報が含まれている。さらに、第二の交通情報には、警告を通常レベル(レベル1)から二段階上げたレベルで行う旨、つまり警告をレベル3で行う旨の情報が含まれている。そして、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の非常に強い警告(レベル3)を行う。その後、処理はステップS20に進む。
【0057】
(ステップS20)
第一レーダー基地局20は、領域R2の車両の位置および速度を測定し、走行ログデータを収集する。その後、処理はステップS21に進む。
【0058】
(ステップS21)
第一レーダー基地局20は、領域R2に後続車両があるか否かを判定する。第一レーダー基地局20が領域R2に後続車両があると判定した場合(NO)、処理はステップS20に戻る。一方、第一レーダー基地局20が領域R2に後続車両がないと判定した場合(YES)、処理は終了する。
【0059】
なお、ステップS7、S8、S14、S15、S19において、車両種別に基づく判定処理を追加してもよい。具体的には、DSRC車載装置40が発する電波には車両種別に関する情報が含まれており、DSRC基地局10は、検知した電波を発しているDSRC車載装置40から車両種別に関する情報を受信し、第一レーダー基地局20は、その車両種別に関する情報を、DSRC基地局10から受信する。そして、第一レーダー基地局20は、車両種別に関する情報から車両Bが二輪車であることを判定した場合、交通情報に含まれる情報のうち、第二の交通情報を更新し、第二の交通情報に、警告のレベルをさらに一段階上げる旨(つまり、例えば警告のレベルがレベル2であればレベル3にする)の情報を含める。そして、第一レーダー基地局20は、更新した交通情報を、DSRC基地局10に送信する。そして、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の警告を、さらに一段階上げたレベルで行う。例えば、ステップS14であれば、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の警告をレベル3で行う。また、例えば、ステップS15であれば、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20から受信した交通情報に基づいて、車両Bに対して、DSRC車載装置40を介して「左右方向からの車両に注意する」旨の警告をレベル2で行う。
【0060】
また、ステップS7、S8、S14、S15、S19において、車両に対する警告を停止させるタイミングとしては、車両に送信する交通情報に、警告を開始した後あらかじめ設定された時間が経過したら警告を停止させる旨の情報を含めてもよいし、特定のタイミングでDSRC基地局10から車両に対して警告の停止指示を送信してもよい。
【0061】
また、上記の実施の形態では、片側1車線の道路が交差する信号無しの交差点付近を車両A、車両B、および車両Cが交差点に向かって走行する例について説明したが、他の例(例えば、道路は片側2車線の道路が交差する信号有りの交差点付近を複数の車両が交差点に向かって走行する例)にも、本開示に係る交通情報システム100および交通情報提供方法を適用可能である。また、上記の実施の形態では、それぞれのレーダー基地局が道路上のガントリーまたは道路の路側に設置される形態を説明したが、上記に限らず、それぞれのレーダー基地局は、信号機に付随する形、中央分離帯に設置される形、道路標識に付随する形、または、路上に設置されるボラードあるいはラバーポールに付随する形で設置されてもよい。
【0062】
また、実施の形態に係る交通情報システム100では、一つのDSRC基地局と二つのレーダー基地局とを備えた構成であるが、それに限定されず、DSRC基地局の数を二つ以上備えてもよいし、レーダー基地局を三つ以上備えてもよい。
【0063】
以上、実施の形態に係る交通情報システム100は、第一方向に延びる道路と第一方向に対して交差する第二方向に延びる道路とが交差する交差点へ進入する車両に搭載されたDSRC車載装置40が発する電波を検知するDSRC基地局10と、DSRC基地局10が電波を検知したら、第一方向に走行しており、DSRC基地局10が検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両に関する車両情報を取得する第一レーダー基地局20と、を備え、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、交差点で停止している第一車両を検出したら、警告のレベルをあらかじめ設定された通常レベルとして、第一車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うものである。
【0064】
また、実施の形態に係る交通情報提供方法は、DSRC基地局10で、第一方向に延びる道路と第一方向に対して交差する第二方向に延びる道路とが交差する交差点へ進入する車両に搭載されたDSRC車載装置40が発する電波を検知するステップと、第一レーダー基地局20で、DSRC基地局10が電波を検知したら、第一方向に走行しており、DSRC基地局10が検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両に関する車両情報を取得するステップと、DSRC基地局10で、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、交差点で停止している第一車両を検出したら、警告のレベルをあらかじめ設定された通常レベルとして、第一車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うステップと、を備えた方法である。
【0065】
実施の形態に係る交通情報システム100および交通情報提供方法によれば、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、右折待ちのため交差点で停止している第一車両を検出したら、警告のレベルをあらかじめ設定された通常レベルとして、第一車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行う。つまり、右折待ちのため交差点で停止している第一車両に対して第二方向(交差点の左右方向)からの車両に注意する旨の警告が行われるため、従来よりも安全性を向上させることができる。
【0066】
また、実施の形態に係る交通情報システム100において、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、第一車両の後ろで停止している第二車両を検出したら、警告のレベルを通常レベルとして、第二車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うものである。
【0067】
また、実施の形態に係る交通情報提供方法は、DSRC基地局10で、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、第一車両の後ろで停止している第二車両を検出したら、警告のレベルを通常レベルとして、第二車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うステップを備えた方法である。
【0068】
実施の形態に係る交通情報システム100および交通情報提供方法によれば、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、第一車両の後ろで停止している第二車両を検出したら、警告のレベルを通常レベルとして、第二車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行う。つまり、第一車両の後ろで停止している第二車両に対して第二方向(交差点の左右方向)からの車両に注意する旨の警告が行われるため、従来よりも安全性を向上させることができる。
【0069】
また、実施の形態に係る交通情報システム100において、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、第一車両の後ろで停止している第二車両が動き出したことを検出したら、警告のレベルを通常レベルから一段階上げたレベルとして、第二車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うものである。
【0070】
また、実施の形態に係る交通情報提供方法は、DSRC基地局10で、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、第一車両の後ろで停止している第二車両が動き出したことを検出したら、警告のレベルを通常レベルから一段階上げたレベルとして、第二車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行うステップを備えた方法である。
【0071】
実施の形態に係る交通情報システム100および交通情報提供方法によれば、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、第一車両の後ろで停止している第二車両が動き出したことを検出したら、警告のレベルを通常レベルから一段階上げたレベルとして、第二車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の警告を行う。つまり、第一車両の後ろで動き出した第二車両に対して第二方向(交差点の左右方向)からの車両に注意する旨の強い警告が行われるため、従来よりも安全性を向上させることができる。
【0072】
また、実施の形態に係る交通情報システム100において、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、第二車両が第一車両の横に並んだことを検出したら、警告のレベルを通常レベルから二段階上げたレベルとして、第二車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の非常に強い警告を行うものである。
【0073】
また、実施の形態に係る交通情報提供方法は、DSRC基地局10で、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、第二車両が第一車両の横に並んだことを検出したら、警告のレベルを通常レベルから二段階上げたレベルとして、第二車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の非常に強い警告を行うステップを備えた方法である。
【0074】
実施の形態に係る交通情報システム100および交通情報提供方法によれば、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、車両情報に基づいて、第二車両が第一車両の横に並んだことを検出したら、警告のレベルを通常レベルから二段階上げたレベルとして、第二車両に対して第二方向からの車両に注意する旨の非常に強い警告を行う。つまり、第一車両の後ろで動き出した後、第一車両の横に並んだ第二車両に対して第二方向(交差点の左右方向)からの車両に注意する旨の非常に強い警告が行われるため、従来よりも安全性を向上させることができる。
【0075】
また、実施の形態に係る交通情報システム100において、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、DSRC車載装置40が発する電波に含まれる車両種別に関する情報をDSRC基地局10から受信し、車両種別に関する情報から第二車両が二輪車であることを判定したら、第二車両に対する警告のレベルをさらに一段階上げたレベルとするものである。
【0076】
また、実施の形態に係る交通情報提供方法は、DSRC基地局10で、第一レーダー基地局20が、DSRC車載装置40が発する電波に含まれる車両種別に関する情報をDSRC基地局10から受信し、車両種別に関する情報から第二車両が二輪車であることを判定したら、第二車両に対する警告のレベルをさらに一段階上げたレベルとするステップを備えた方法である。
【0077】
実施の形態に係る交通情報システム100および交通情報提供方法によれば、DSRC基地局10は、第一レーダー基地局20が、DSRC車載装置40が発する電波に含まれる車両種別に関する情報をDSRC基地局10から受信し、車両種別に関する情報から第二車両が二輪車であることを判定したら、第二車両に対する警告のレベルをさらに一段階上げたレベルとする。つまり、第二車両が二輪車である場合、第二車両に対して、第二車両が二輪車ではない場合と比べてより強い警告が行われるため、従来よりも安全性を向上させることができる。
【0078】
また、実施の形態に係る交通情報システム100において、DSRC基地局10が電波を検知したら、第二方向に走行しており、DSRC基地局10が検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両に関する車両情報を取得する第二レーダー基地局30を備え、DSRC基地局10は、第二レーダー基地局30が、車両情報に基づいて、第二方向に走行しており、交差点に進入する第三車両を検出したら、第一車両および第二車両に対する警告のレベルをさらに一段上げたレベルとするものである。
【0079】
また、実施の形態に係る交通情報提供方法は、第二レーダー基地局30で、DSRC基地局10が電波を検知したら、第二方向に走行しており、DSRC基地局10が検知した電波を発しているDSRC車載装置40を搭載した車両に関する車両情報を取得するステップと、DSRC基地局10で、第二レーダー基地局30が、車両情報に基づいて、第二方向に走行しており、交差点に進入する第三車両を検出したら、第一車両および第二車両に対する警告のレベルをさらに一段上げたレベルとするステップと、を備えた方法である。
【0080】
実施の形態に係る交通情報システム100および交通情報提供方法によれば、DSRC基地局10は、第二レーダー基地局30が、車両情報に基づいて、第二方向に走行しており、交差点に進入する第三車両を検出したら、第一車両および第二車両に対する警告のレベルをさらに一段上げたレベルとする。つまり、第二方向(交差点の左右方向)からの車両がある場合、第一車両および第二車両に対して、第二方向(交差点の左右方向)からの車両がない場合と比べてより強い警告が行われるため、従来よりも安全性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0081】
10 DSRC基地局、11 無線部、12 制御部、20 第一レーダー基地局、21 無線部、22 ログ収集部、23 評価処理部、24 制御部、30 第二レーダー基地局、31 無線部、32 ログ収集部、33 評価処理部、34 制御部、40 DSRC車載装置、41 無線部、42 制御部、100 交通情報システム。