(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012156
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】決められた時間の検体を用いた自動薬剤注入監視装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/142 20060101AFI20240118BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20240118BHJP
A61B 5/153 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
A61M5/142
A61M25/14 512
A61B5/153 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023114314
(22)【出願日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】63/389,159
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523265788
【氏名又は名称】フレボティックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Phlebotics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】キャンディス ビー キッシンジャー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター キッシンジャー
【テーマコード(参考)】
4C038
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C038TA04
4C038UG10
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066FF04
4C066QQ84
4C267AA02
4C267BB09
4C267CC08
(57)【要約】
【課題】注入療法および治療における人為的ミスを削減する。
【解決手段】自動流体採取注入システム100は、流体採取注入装置102と連通する採取ポンプと、注入を行うように構成された注入ポンプと、制御部106とを含む。制御部106は、注入ポンプを制御して、注入イベント中に患者に注入を行い、採取ポンプを制御して、注入イベントの後の検体収集イベント中に、血液を患者から流体採取注入装置102へ引き出し、注入イベントおよび検体収集イベントのタイムスタンプ付きデータを、メモリ部に自動で記憶するように構成される。多数の注入イベントおよび検体収集イベントがありうる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動採血注入システムにおいて、
血液検体収集装置と連通した採取ポンプと、
注入を行うように構成された注入ポンプと、
制御部と
を含み、
前記制御部は、
前記注入ポンプを制御して、注入イベント中に患者に注入を行い、
前記採取ポンプを制御して、前記注入イベントの後の検体収集イベント中に、血液を前記患者から前記血液検体収集装置へ引き出し、
前記注入イベントおよび前記検体収集イベントのタイムスタンプ付きデータを、メモリ部に自動で記憶するように構成されたものであるシステム。
【請求項2】
前記タイムスタンプ付きデータは、(a)前記検体収集イベントまたは前記注入イベントの開始時間と、(b)該検体収集イベントまたは該注入イベントの終了時間とを含むものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検体収集イベントおよび前記注入イベントについての情報を入力するためのユーザインターフェースを、
更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記血液検体収集装置は、前記検体収集イベント中に前記患者から引き出された前記血液の1つの検体を受け付けるように各々構成された複数の検体容器を含み、該複数の検体容器は、各々、該検体収集イベントに付与されたタイムスタンプ付きデータにリンクされたものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記検体のために引き出された血液の量は、0.01cc(0.01cm3)から10cc(10cm3)の範囲である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記検体のために引き出すべき血液の量の入力を容易にするためのユーザインターフェースを、
更に含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部と有線または無線ネットワーク接続部を介して動作自在に連結された少なくとも1つの追加の電子装置を、
更に含み、
前記少なくとも1つの追加の電子装置は、前記検体収集イベントおよび前記注入イベントについての情報を提供し、前記制御部によって促進された該検体収集イベントおよび該注入イベント毎の前記タイムスタンプ付きデータを受信するように構成されたものである、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも第1の内腔および第2の内腔を含むマルチルーメンのカテーテルを、
更に含み、
前記第1の内腔は、注入溶液保存部と流体連通し、前記第2の内腔は、検体収集保存部と流体連通するものである、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記メモリ部は、前記検体収集イベント、および、前記注入イベント中に投与されうる各複数の薬剤と関連付けられた該注入イベントについての命令を含む薬剤ライブラリを記憶するものである、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記採取ポンプを制御して、複数のタイムスタンプ付きデータと関連付けられた複数の検体収集イベントを行うように構成されたものであり、
前記血液検体収集装置は、取外し自在に設置されて複数の検体容器を含むカセットを含み、各該検体容器は、前記検体収集イベントの1つの間に前記患者から引き出された前記血液の1つの検体を含むものである、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記血液検体収集装置は、前記検体収集イベント中に、前記検体容器を冷却するように動作可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記検体のために引き出された血液の量は、0.01cc(0.01cm3)から10cc(10cm3)の範囲である、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記検体のために引き出すべき血液の量、および、前記検体収集イベント間の時間間隔の入力を容易にするためのユーザインターフェースを
更に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
自動流体採取注入方法において、
注入ポンプを、制御部によって制御し、注入イベント中に患者に注入を行う工程と、
採取ポンプを、前記制御部によって制御し、前記注入イベントの後の検体収集イベント中に、血液を前記患者から血液検体収集装置へ引き出す工程と、
前記注入イベントおよび前記検体収集イベントのタイムスタンプ付きデータを、制御部によって、メモリ部に自動で記憶する工程と
を含む方法。
【請求項15】
前記タイムスタンプ付きデータは、(a)前記検体収集イベントまたは前記注入イベントの開始時間と、(b)該検体収集イベントまたは該注入イベントの終了時間とを含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検体収集イベントおよび前記注入イベントについての情報を、前記制御部によって、ユーザインターフェースを介して受信する工程を
更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記血液検体収集装置は、複数の検体容器を含むものであり、
前記制御部によって、各前記複数の検体容器が、前記検体収集イベント中に前記患者から引き出された前記血液の1つの検体を受け付けるように構成する工程と、
前記制御部によって、各前記複数の検体容器を、前記検体収集イベントに付与された前記タイムスタンプ付きデータとリンクさせる工程と
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記制御部によって、前記検体収集イベントおよび前記注入イベントについての情報を、該制御部と有線または無線ネットワーク接続部を介して動作自在に連結された少なくとも1つの追加の電子装置から受信する工程と、
前記制御部によって、該制御部によって促進された前記検体収集イベントおよび前記注入イベント毎の前記タイムスタンプ付きデータを、前記少なくとも1つの追加の電子装置に送信する工程と
を更に含む、請求項14から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
自動採血注入システムにおいて、
複数の検体収集イベントの1つの間に患者から引き出された血液の1つの検体を収容するように各々構成された複数の検体容器を含む血液検体収集装置と連通した採取ポンプと、
複数の注入イベント中に注入を行うように構成された注入ポンプと、
各前記検体のために引き出すべき血液の量、および、前記検体収集イベント間の時間間隔の入力を容易にするように構成されたユーザインターフェースと、
制御部と
を含み、
前記制御部は、
前記注入ポンプを制御して、前記注入イベントの1つの間に前記患者に注入を行い、
前記採取ポンプを制御して、前記注入イベントの後の前記検体収集イベントの1つの間に、前記入力された引き出すべき血液の量および時間間隔に基づいて、血液を前記患者から前記血液検体収集装置へ引き出し、
前記注入イベントおよび前記検体収集イベントのタイムスタンプ付きデータを、メモリ部に自動で記憶するように構成されたものであるシステム。
【請求項20】
前記検体のために引き出された血液の量は、0.01cc(0.01cm3)から10cc(10cm3)の範囲である、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2022年7月14日出願の米国仮特許出願第63/389,159号の優先権の利益を主張し、それは、全ての目的で、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、患者の治療および生物医学的研究で用いる方法、特に、診断または研究のために、患者から血液検体または他の流体を採取する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
注入療法は、治療方法の一種であり、注入ポンプに取り付けられた窓付きカテーテルを介して静脈または皮下注射を行う流体または(例えば、溶液中の)薬剤の注入を含む。いくつかの態様において、患者を注入療法で治療している医師または看護師は、所定の時間間隔で、例えば、毎朝など、患者から採血して、患者の状態を監視し、注入療法が適切に働いているか、および、治療に対する重大な生理学的反応(例えば、副作用)がないかを観察する必要もある。注入療法は、鎮痛、麻酔、術後鎮痛疼痛管理、化学療法、および、感染症治療など、広範囲に医療利用され、精密な薬物投与による効能は、非部位特定的な投与方法と比べた利点の1つである。
【0004】
患者が注入療法を受ける場合、医師または看護師は、記録のために、流体または薬剤が注入された間、および、採血された間の時刻を記入する。しかしながら、様々な理由から、人為的ミスを生じうる。例えば、医師または看護師は、行った検体収集または注入について、誤った時間を記入したり、治療すべき多数の患者がいる場合に、違う患者の記録に、時間を記入したり、時間の記入をすっかり忘れたり、時間記録処理を速く済ませるために、15分または30分単位で「切り上げた」または「切り捨てた」時間を記録したり、更に、「早朝」または「午後中頃」などの曖昧な用語を記入して、実際の時間を特定するのを不可能にしたりしうる。いくつかの状況において、医師または看護師は、検体収集を行ったり、注入を行ったりするのを、すっかり忘れうる。いずれの場合も、そのような人為的ミスは、故意かどうかに関わらず、注入療法の分析、または、患者の健康状態の監視を困難か不可能かにしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、そのような注入療法および治療における人為的ミスを削減する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、決められた時間に採取した検体を用いた自動薬剤注入監視装置のための装置および方法を提供する。自動採血注入システムは、血液検体収集装置と連通した採取ポンプと、注入を行うように構成された注入ポンプと、制御部とを含み、制御部は、注入ポンプを制御して、注入イベント中に患者に注入を行い、採取ポンプを制御して、注入イベントの後の検体収集イベント中に、血液を患者から血液検体収集装置へ引き出し、注入イベントおよび検体収集イベントのタイムスタンプ付きデータを、メモリ部に自動で記憶するように構成されたものである。多数の注入イベントおよび検体収取イベントがありうる。
【0007】
いくつかの例において、タイムスタンプ付きデータは、(a)検体収集イベントまたは注入イベントの開始時間と、(b)検体収集イベントまたは注入イベントの終了時間とを含むものである。いくつかの例において、タイムスタンプ付きデータは、更に、検体収集イベント中に採取した血液の量、または、注入イベント中に放出した流体溶液の量を含む。注入イベントは、放出する流体溶液の種類および量を含む。
【0008】
いくつかの例において、自動採血注入システムは、検体収集イベントおよび注入イベントについての情報を入力するユーザインターフェースを含む。いくつかの例において、血液検体収集装置は、複数の検体容器を含む。各検体容器は、1つの検体収集イベント中に患者から引き出された血液の1つの検体を受け付け、検体容器は、その検体収集イベントに付与されたタイムスタンプ付きデータにリンクされたものである。いくつかの例において、検体のために引き出された血液の量は、0.01cc(0.01cm3)から10cc(10cm3)の範囲である。いくつかの例において、ユーザインターフェースは、検体のために引き出すべき血液の量の入力を容易にする。
【0009】
いくつかの例において、自動採血注入システムは、制御部と有線または無線ネットワーク接続部を介して動作自在に連結された少なくとも1つの追加の電子装置を含み、少なくとも1つの追加の電子装置は、検体収集イベントおよび注入イベントについての情報を提供し、制御部によって促進された検体収集イベントおよび注入イベント毎のタイムスタンプ付きデータを受信する。
【0010】
いくつかの例において、自動採血注入システムは、少なくとも第1の内腔および第2の内腔を含むマルチルーメンのカテーテルを含み、第1の内腔は、注入溶液保存部と流体連通し、第2の内腔は、検体収集保存部と流体連通するものである。
【0011】
いくつかの例において、メモリ部は、検体収集イベント、および、注入イベント中に投与される各複数の薬剤(流体溶液)と関連付けられた注入イベントについての命令を含む薬剤ライブラリを記憶するものである。
【0012】
いくつかの例において、制御部は、採取ポンプを制御して、複数のタイムスタンプ付きデータと関連付けられた複数の検体収集イベントを行うように構成されたものである。いくつかの例において、血液検体収集装置は、取外し自在に設置されて複数の検体容器を含むカセットを含み、各検体容器は、検体収集イベントの1つの間に患者から引き出された血液の1つの検体を含むものである。
【0013】
いくつかの例において、血液検体収集装置は、検体収集イベント中に、検体容器を冷却するように動作可能である。いくつかの例において、検体のために引き出された血液の量は、0.01cc(0.01cm3)から10cc(10cm3)の範囲である。いくつかの例において、ユーザインターフェースは、検体のために引き出すべき血液の量、および、検体収集イベント間の時間間隔の入力を容易にする。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、自動採血注入システムは、複数の検体収集イベントの1つの間に患者から引き出された血液の1つの検体を収容するように各々構成された複数の検体容器を含む血液検体収集装置と連通した採取ポンプと、複数の注入イベント中に注入を行うように構成された注入ポンプと、各検体のために引き出すべき血液の量、および、検体収集イベント間の時間間隔の入力を容易にするように構成されたユーザインターフェースと、制御部とを含む。制御部は、注入ポンプを制御して、注入イベントの1つの間に患者に注入を行い、採取ポンプを制御して、注入イベントの後の検体収集イベントの1つの間に、入力された引き出すべき血液の量および時間間隔に基づいて、血液を患者から血液検体収集装置へ引き出し、注入イベントおよび検体収集イベントのタイムスタンプ付きデータを、メモリ部に自動で記憶するように構成されたものでありうる。いくつかの例において、検体のために引き出された血液の量は、0.01cc(0.01cm3)から10cc(10cm3)の範囲である。
【0015】
本明細書に、自動血液採取注入方法も開示する。いくつかの例において、方法は、注入ポンプを、制御部によって制御し、注入イベント中に患者に注入を行う工程と、採取ポンプを、制御部によって制御し、注入イベントの後の検体収集イベント中に、血液を患者から血液検体収集装置へ引き出す工程と、注入イベントおよび検体収集イベントのタイムスタンプ付きデータを、制御部によって、メモリ部に自動で記憶する工程とを含む。
【0016】
いくつかの例において、方法は、更に、患者の状態を、少なくとも1つのセンサから受信した患者の状態の測定値に基づいて、制御部によって決定する工程を含む。
【0017】
いくつかの例において、タイムスタンプ付きデータは、(a)検体収集イベントまたは注入イベントの開始時間と、(b)検体収集イベントまたは注入イベントの終了時間とを含むものである。いくつかの例において、タイムスタンプ付きデータは、更に、検体収集イベント中に採取した血液の量、および、注入イベント中に放出した流体溶液の量を含む。注入イベントは、放出する流体溶液の種類および量を含む。
【0018】
いくつかの例において、方法は、検体収集イベントおよび注入イベントについての情報を、制御部によって、ユーザインターフェースを介して受信する工程を更に含む。いくつかの例において、血液検体収集装置は、複数の検体容器を含むものであり、方法は、更に、制御部によって、各検体容器が、検体収集イベント中に患者から引き出された流体の1つの検体を受け付けるように構成する工程と、制御部によって、検体容器を、検体収集イベントに付与されたタイムスタンプ付きデータとリンクさせる工程とを含む。いくつかの例において、方法は、各血液検体(または、検体容器/バイアル)を冷却する(または、最適温度に維持する)工程を含み、採取した検体を改良するか、安定性を確実にする。
【0019】
いくつかの例において、方法は、更に、制御部によって、検体収集イベントおよび注入イベントについての情報を、制御部と有線または無線ネットワーク接続部を介して動作自在に連結された少なくとも1つの追加の電子装置から受信する工程と、制御部によって、制御部によって促進にされた検体収集イベントおよび注入イベント毎のタイムスタンプ付きデータを、少なくとも1つの追加の電子装置に送信する工程とを含む。
【0020】
本発明の上記特徴および他の特徴、並びに、実施方法は、次の本発明の実施形態の記載を添付の図面と共に読むことで、より明らかになり、発明自体の理解も高まるだろう。
【0021】
次に、図面を参照して、本発明を非常に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態による流体採取注入システムを示す概略図である。
【
図2】実施形態による制御部、および、
図1のネットワーク接続部を介して接続された追加の装置を示す概略図である。
【
図3】実施形態による
図1の流体採取注入装置を示す概略図である。
【
図4】実施形態による
図1の制御部によって行われる処理のフローチャートである。
【
図5】実施形態による
図1の制御部によって行われる処理のフローチャートである。
【
図6】実施形態による自動採血注入システムの斜視図である。
【
図7】実施形態による自動採血注入システムの斜視図である。
【
図8A】実施形態による自動採血手順の異なる段階中の自動採血注入システムの部分図である。
【
図8B】実施形態による自動採血手順の異なる段階中の自動採血注入システムの部分図である。
【
図8C】実施形態による自動採血手順の異なる段階中の自動採血注入システムの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に開示する実施形態は、本発明を網羅することも、次の詳細な記載に開示した精密な形態に限定することも意図するものではない。そうではなく、実施形態は、当業者が教示を利用しうるように選択し、記載したものである。本開示は、主に、集中ケア医学、薬物動態学、および、生理学研究のための検体収集または試験装置を対象とするが、本明細書に開示の特徴は、他の種類の検体収集にも利用しうると理解すべきである。
【0024】
図1を参照すると、いくつかの実施形態による自動流体採取注入システム100を示している。システム100は、流体採取注入装置102を含む。本明細書に記載の患者から採取する流体は血液だが、いくつかの場合において、例えば、尿または髄液など、他の種類の体液も採取しうる。装置102は、単一の装置、または、多数の装置であり、多数の装置の各装置は、他の装置とは異なる特定の機能を有して、採血または注入を行うために(例えば、統合して)共に動作しうる。装置102は、1つ以上のカテーテルなど、患者から採血したり、患者の体内に注入する薬剤/流体溶液(治療溶液など)を提供したりする導管104に接続される。多数の導管を備えて、各々、採血、または、治療のための注入などの独自の機能を有しうる。装置102を封止して、内側の(採取した検体、または、注入に用いる溶液のいずれの)流体が外因から汚染されるのを防ぐようにしうる。
【0025】
いくつかの実施形態において、注入と採血の両方のために単一の血管にアクセスしうる。そのような場合、導管104は、シングルルーメン、または、マルチルーメンのカテーテルでありうる。従来の方法は、本来は注入用だったカテーテルを、採取用にも利用することを含み、その場合、内側カテーテルまたは内側の流管を、患者の皮膚を通って留置された末梢静脈(PIV)ラインを通って手動で前進させて、内側カテーテルをPIVラインの先端を越えて血管の中まで前進させて採血する。採血後に、内側カテーテルを、手動で引っ込めて、PIVラインから取り除いて廃棄しうる。そのような方法の例は、Becton、Dickinson and Companyの一部門であるVelano Vascularから入手可能な1つ以上のPIVO(商標)装置を用いうる。これらの手動によるアプローチは、非常に労働集約的で、カテーテルが雰囲気に開放されて、院内感染の潜在的なリスクがありうる。これと比べて、(少なくとも2つの内腔を有して、一方の内腔を治療流体の導入に用い、他方の内腔を患者からの採血に用いるカテーテルと定義される)マルチルーメンのカテーテルは、例えば、医師または医者による手動の人間による相互作用を必要とせずに、自動で注入および採血を行うのを助ける。マルチルーメンのカテーテルは、血流に開放された2つのポートを有し、遠位の(または、下流側の)ポートは、注入物を送出し、近位の(上流側の)ポートは、自動採血部によってアクセス可能である。そのような例において、血管へのアクセスは、このように構成されて、薬剤が循環路を通り抜ける前に、不正確な薬剤濃度の検体が提供されうる注入箇所のすぐ下流側で採血しないように構成されうる。いくつかの実施形態において、例えば、血管外の接続部を色分けするか、および/または、薬剤注入と採血に異なる機械的接続形式を用いるかによって、混同しないようにしうる。したがって、いくつかの例において、導管104は、少なくとも第1の内腔および第2の内腔を有するマルチルーメンのカテーテルであり、第1の内腔は、注入溶液保存部と流体連通し、第2の内腔は、検体収集保存部と流体連通しうる。
【0026】
システム100は、本明細書に更に記載するように、採取注入装置102、または、その部分構成要素と動作自在に連結された制御部106を含む。制御部106は、装置102の動作を、ユーザ入力、または、予め決められた設定に基づいて制御する。本明細書に更に記載するように、制御部106は、採血または注入のタイミング、または、注入のために提供される流体の種類、量、および/若しくは、濃度について、ユーザ入力とは独立に、自ら決定することも可能でありうる。いくつかの例において、ネットワーク接続部108を制御部106に提供して、制御部106が、コンピュータネットワークまたはデジタル通信ネットワークなどの既知のネットワークと動作自在に接続されるようにしうる。
【0027】
図2は、いくつかの利用例における制御部106の例を示している。制御部106は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、または、採血注入装置102をプログラムされたように制御可能な任意の他の適切な装置などの計算装置でありうる。制御部106は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連した1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロ制御部、特定用途向け集計回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、任意の他の種類の集積回路(IC)、ステートマシンなどのプロセッサでありうる処理部200を含む。処理部200は、信号符号化、データ処理、パワー制御、入力/出力処理、および/または、装置102をユーザの意図するように動作可能にする任意の他の機能を行いうる。制御部106は、装置102に有線または無線で連結されうる。
【0028】
更に、制御部106は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスク、または、任意の他の種類のメモリ記憶装置などの取外し不可メモリなど、任意の適切なメモリでありうるメモリ部202を含む。更に、または、その代わりに、適切なメモリは、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカードなどの取外し可能メモリでありうる。更に、または、その代わりに、処理部200は、物理的に装置102の近くではなく、サーバ上、または、別に位置するコンピュータ上など、ネットワーク接続部108を介して動作自在に連結された遠隔のメモリからの情報にアクセスし、そこにデータを記憶しうる。メモリ部202は、任意の適切な有形または非一時的なコンピュータ読取可能媒体であり、そこに、例えば、本明細書に更に開示するような方法または手順を処理部200に行わせる命令を1つ以上のコンピュータプログラムまたはアルゴリズムとして記憶可能である。
【0029】
更に、制御部106は、インタラクティブな入力/出力装置などの入力/出力インターフェース204を含み、限定するものではないが、例を挙げれば、タッチスクリーンディスプレイ、インタラクティブな物理的または仮想ボタン、および/または、マイク/スピーカーの組合せを含む。インターフェース204は、ユーザから情報を受信し、ユーザが見るための情報を表示するように構成される。採血を、「検体収集イベント」と称し、患者の体内への注入促進を、「注入イベント」と称する。検体収集イベント、および、注入イベントは、各々、例えば、ユーザ入力、または、システム100の所定の設定によって決定されうる。インターフェース204は、例えば、モニター、ディスプレイ、または、タッチスクリーン装置に表示されたグラフィカルユーザインターフェース(GUI)でありうる。
【0030】
システム100は、制御部106とネットワーク接続部108を介して接続された1つ以上の更なる装置206を含み、クラウドネットワーク、インターネット、または、任意の他の適切な形態のデジタルデータ通信を介して、データを制御部106に送信、および/または、データを制御部106から受信しうる。
【0031】
図3は、いくつかの利用例による採血注入装置102の構成要素を示している。装置102は、ポンプ300を含み、それは、流入の際には、患者から検体収集するために流体(例えば、血液)を収集可能で、流出の際には、注入のための流体(例えば、薬剤溶液)を提供可能である。ポンプの1つ以上は、流入および/または流出用に設計されうる。1つのポンプは、特に注入用(注入ポンプ)、他のポンプは、特に検体収集用(収集ポンプまたは採取ポンプ)というように、各ポンプには、特定の役割が与えられうる。例えば、注入ポンプは、一方向で、採取ポンプは、双方向でありうる。注入ポンプは、より長い時間(例えば、一度に少なくとも1時間、または、それ以上の2時間以上などで)動作し、採取ポンプは、より短い時間(例えば、各収集イベントは、典型的には、約1~5分間続くサイクルで)動作しうる。
【0032】
いくつかの例において、装置102は、患者、および/または、患者から採取した血液検体の状態を検出可能な1つ以上のセンサ302も含む。例えば、圧力センサを用いて、患者の血圧を測定し、体温計を用いて、患者の体温を測定し、更に、任意の他の適切な既知のセンサを用いうる。センサ302は、患者から採取した血液検体の分析も可能でありうる。例えば、採血した後に、センサ302は、検体を自動で測定分析して、全血球算定(CBC)試験を提供し、正常値を外れた任意の数値(例えば、赤血球数、白血球数、血小板数の減少など)には、装置102、または、装置102に連結された制御部106によって、適切にフラッグを付けるようにしうる。いくつかの例において、制御部106が検体分析結果を用いて、次の、または、後の注入イベントにおける注入流体の投与量を推奨する。
【0033】
装置102は、検体収集保存部304および注入溶液保存部306を含む。検体収集保存部304は、複数の容器(バイアル、再封止可能なバッグなど)を含み、各容器(例えば、バイアル)は、検体収集イベント中に患者から採取した流体の1つの検体を受け付けうる。容器は、適切な検体を受け付けた後に封止されて、検体の汚染を防ぐようにしうる。注入溶液保存部306は、薬剤溶液または食塩水など、注入に用いるために放出される1つ以上の種類の流体を含み、例えば、各種類の流体は、別々の容器に入れられて分離されて、流体の混合または汚染を防ぐようにしうる。いくつかの例において、収集した検体の安定性を改良するか、または、確実にするために、血液検体を収集した後に、(例えば、任意の適切なエアコンディショニング部または温度制御装置を用いて)検体収集保存部304、または、その中に収容された容器を冷却するか、最適温度で維持しうる。他の環境パラメータ、例えば、圧力、および/または、湿度を適切に制御して、検体の安定性を最適化しうる。
【0034】
いくつかの例において、検体収集イベント中に保存部304に保存された異なる検体、並びに、注入イベント中に保存部306から放出された流体の量および種類に、制御部106の処理部200によって、装置102の動作とリアルタイムでタイムスタンプを自動付加し、制御部106のメモリ部202に記録または記憶する。いくつかの例において、制御部106を、装置102の一部として、または、装置102から切り離されうる別のモジュール装置として用いうる。いくつかの例において、装置102は、制御部106とは別に、自分の処理部、および/または、メモリ部を含み、装置102の処理部が、検体データにタイムスタンプを付加して、自分のメモリ部に記憶しうる。いくつかの例において、データを、クラウドネットワーク、または、モノのインターネット(IoT)インフラストラクチャを介して装置102に接続された遠隔のデータベースに記憶しうる。
【0035】
いくつかの例において、装置102は、制御部106のインターフェース204と同様か、異なりうるユーザ入力インターフェース308を含む。例えば、ユーザ入力インターフェース308は、ユーザが押圧して、制御部106に依存せずに検体収集イベントまたは注入イベントを開始しうる1つ以上のボタンでありうる。いくつかの例において、ユーザ入力インターフェース308は、タッチスクリーンパネルなど、インタラクティブなディスプレイである。いくつかの例において、ユーザ入力インターフェース308は、制御部106のインターフェース204より限定された、および/または、簡単な機能を有し、ユーザが誤って異なる設定を入力したり、誤ったイベントを開始させたりするのを防ぎ、それにより、ユーザが、(限定するものではないが、非常に若い患者か、新生児/生まれたばかりの患者、小柄な体格の患者、または、貧血傾向がある患者を含む)患者に過剰投与したり、患者に誤った溶液を注入したり、不必要か、患者に有害でさえありうる多数の血液検体を患者から採取したりしないように安全機構を提供しうる。
【0036】
いくつかの例において、装置102は、ある条件の検出に応じて感覚的または聴覚の警告または通知を提供する1つ以上の警告部310を含む。例えば、条件は、血液検体における異常な測定、導管104で閉塞または空気の検出、または、装置102が意図するように動作しないことなどを含みうる。後者の場合、条件は、1つ、または、複数の導管104が患者から外れたり、装置102の任意の構成要素(ポンプ300、センサ302、保存部304、306、または、インターフェース308など)が誤作動したり、物理的または電気的に外れることを含みうる。いくつかの例において、警告部310は、装置102の低バッテリ状態、または、装置102が電源から外れたことを示しうる。警告部310は、聴覚によるもの(例えば、状態を説明する音声、または、ユーザに警告するビープ音)、および/または、視覚によるもの(例えば、ある条件を検出した時に、カラーの警告サイン、そうではなく、低リスク条件を検出した時には、緑または黄色)でありうる。
【0037】
図4は、いくつかの実施形態において、制御部106が用いうる処理400を示している。処理400は、制御部106の処理部200によって、処理部200がメモリ部202に、より具体的には、非一時的なコンピュータ読取り可能媒体に記憶されたコンピュータプログラムコードまたは命令を実行させる時に促進されうる。工程402において、処理部200は、検体を患者から採取するか、患者に注入を行うコマンドを受信または検出する。
【0038】
工程404において、処理部は、関連した採取注入装置のポンプを動作させて、採取または注入を開始し、装置は、適切に(検体収集イベントにおいて)患者から採血、および/または、(注入イベントにおいて)患者に注入する流体溶液を放出する。各イベントの正確な時間を自動で記録し(つまり、タイムスタンプを付加し)、検体収集イベント中に採取した検体を、記録した特定のタイムスタンプと関連付ける。同様に、注入時間も自動で記録し、タイムスタンプを付加した各注入イベントを、装置から放出した流体の特定の値(例えば、流体の種類、流体の量または体積、流体の濃度など)と関連付ける。
【0039】
工程406において、処理部200は、ポンプの動作を中断または停止することによって、適切に採取または注入を終了し、ポンプを中断または停止させた時間(または、採取または注入終了時間)も自動で記録するか、検体収集イベント、または、注入イベントの終了として、タイムスタンプを適切に付加する。次に、工程408で、タイムスタンプデータをメモリに記憶して、タイムスタンプデータに関連付けられた採取または注入イベントもメモリ内のタイムスタンプとリンクさせる。
【0040】
したがって、タイムスタンプは、自動付加されて、第1のタイムスタンプは、イベントの開始時間を示し、第2のタイムスタンプは、イベントの終了時間を示す。いくつかの例において、タイムスタンプは、一瞬の時を印す代わりに、期間を有する時間で、タイムスタンプの始めは、イベントの開始時間を示し、タイムスタンプの終わりは、イベントの終了時間を示しうる。
【0041】
図5は、いくつかの実施形態において、制御部106が用いうる他の処理500を示す。工程502において、制御部の処理部は、適切に患者から採血し、患者に注入を行うコマンドを受信または検出する。工程504において、注入イベントにおいて注入を行い、注入イベントの正確な時間を、第1のタイムスタンプとして記録する。工程506において、第1のタイムスタンプをメモリに記憶し、第1のタイムスタンプを注入イベントとリンクさせる。
【0042】
図6は、いくつかの実施形態による自動流体採取注入システム100で用いられる装置600を示している。装置600を、自動流体採取注入装置と称しうるもので、そこに取外し自在に取り付けるか、その中に設置しうる異なる装置要素を有する。例えば、無菌食塩水パケット602は、2つの異なる採取イベントの間に、無菌食塩水を提供して、メインテナンスのために、
図7に示すカテーテル/チューブ702など、流体採取に用いた任意のカテーテルまたはチューブを洗い流しうる。無菌食塩水パケット602は、装置600の一方の側に取り付けるか、設置し、一方、患者から採取した余分な血液、および/または、装置を洗い流した後の食塩水を受け付ける廃棄食塩水パケット604を他方の側に取り付けるか設置しうる。装置600は、(血液検体収集装置とも称しうる)バイアルカセット606も受け付けうるもので、それは、装置600に取外し自在に設置されて、患者の体液(例えば、血液)を採取するための多数のバイアル608または検体容器を、収容、保持するか、または、収めるようにしうる。食塩水は、パケット602から、患者の体内へなど、装置600の中に流れて、カテーテルまたはチューブを、周期的に洗い流して、装置の中に残る流体または粒子を廃棄食塩水パケット604の中に運んで、後で容易に処分するようにしうる。この洗い流し処理を繰り返して、検体間の汚染リスクを軽減するか、および/または、採取イベント間にカテーテルまたはチューブの詰まりを防ぐようにしうる。カセット606の各スロットが特定の時に採取された特定の検体を表すようにバイアル608を配列しうるので、カセット606は、バイアル608の順番を誤って並び替えるリスクがなく、多数のバイアル608を同時に設置および取り外すのを容易に行えるようにする。装置600は、処理部200およびメモリ部202を収容すると共に、
図2に示すようにI/Oインターフェース204を提供する。装置600を、
図1に示すような採取/注入装置102とも称しうるので、いくつかの例によれば、
図3に示すような任意の1つ以上の構成要素を収容しうる。更に、装置600は、検体(例えば、検体を収容したバイアル608を保持するカセット606)を装置600の中に保存した時に閉じうる筐体610を備えることによって、検体を冷却状態で維持しうる。いくつかの例において、カセット606は、冷却を促進するか、または、検体を冷却状態で保持しうる。上記のような検体収集イベントに追加で注入イベントを促進するために、
図6には示していないが、装置600は、それと統合したか、それに組み込まれた注入装置または要素も有するか、注入装置または要素は、全体システム100に統合されて、装置600と共に動作自在な別の装置である。
【0043】
図7は、いくつかの実施形態による自動流体採取注入システム100で用いる他の装置700を示している。パケット602、604は、装置700の中の適切な構成要素と、例えば、カテーテルまたはチューブ702を通して流体連通されながら、装置700の側面に取り付けられるか、引っ掛けられる。上記のように、各検体収集イベントの後に、パケット602からの食塩水を用いて、カテーテルまたはチューブ702の内管または内腔を洗浄しうる。装置700は、カテーテルまたはチューブ702の完全性を自動で維持するように設計される。カテーテルまたはチューブ702は、例えば、互いに独立して動作する多数のカテーテルまたはチューブであるか、独立に動作自在の多数の内腔またはチャネルを有する単一のカテーテルまたはチューブでありうる。装置700は、採血するのに用いるバイアル608のためのスロットまたはホルダー704も含む。装置600、700は、所定の、または、プログラムされた時間間隔またはスケジュールで、および、各検体について所定の、または、プログラムされた体積で順次採血を行うようにプログラム可能に設計される。上記のように、採血量、および/または、時間間隔を、インターフェース204または308などのユーザインターフェースを介して入力しうる。装置600、700は、バッテリで動作され、移動自在でありうる(ローラを有するスタンドに取り付けられて、病院または他の場所の中で、異なる位置への適切な移動を容易にするなど)。装置600、700は、自動でメインテナンスされて(つまり、自動でメインテナンスされて、ユーザによるメインテナンスを必要最低限にし)、既知の全ての適切な診断機器と適合しうる。
【0044】
いくつかの例において、装置600、700は、介護者または(例えば、薬剤の治験における)研究技術者によって手動で始動されうる。装置600の場合など、いくつかの例において、電力による冷却システムまたは装置などを備えて、採取した検体を冷却するようにし、それは、バッテリ、または、装置に関連した任意の他の適切な種類のエネルギー供給で電力を供給されうる。装置700の場合など、いくつかの例において、収集バイアルを手動で挿入するか、および/または、取り外しうる。装置の製造コストを削減するか、装置の全質量または寸法を削減するか、および/または、装置のエネルギー効率(バッテリ寿命および消費量)を高めるために、上記装置を適切に変更して、例えば、任意の1つ以上の上記構成要素または機能性を追加するか、または、取り除くようにしうる。
【0045】
検体の冷却は、採取した検体における化学反応を遅くするのを助ける。化学反応のいくつかは、限定するものではないが、酵素反応、ある薬剤の分解、溶解した酸素による酸化などを含む。更に、検体の冷却は、段階的凝固(または、収集した検体が徐々に凝固)を遅くするのを助け、常時冷却された検体は、採取チューブ(例えば、
図1の導管104、
図7のカテーテルまたはチューブ702など)の内面を被膜するのに用いうる抗凝固剤と混合するのに、より長い時間を要す。したがって、混合を完了する前に検体を室温に保持すると、凝固工程が始まりうる。典型的な手動採取処理において、特に、より大きいチューブを用いる場合、溶解する抗凝固剤と新たに採取した血液検体の間の拡散距離が長くなるので、看護師または瀉血士は、抗凝固剤を確実に十分に混合するために、検体収集後にチューブを前後に約8~10回そっと傾けて混合しうる。(例えば、介護師、看護師、または、瀉血士が、多忙な病院環境で気を散らした場合に)チューブを傾ける処理を怠ると、上記のような凝固を生じて、分析のために収集した検体を用いる診断機器に不具合を生じうる。例えば、そのような凝固の形成は、特に血液学的機器において、測定結果を歪めうる。不正確な結果は、そのようなミスが比較的低い頻度で生じても、患者の安全に潜在的脅威となりうる。上記手動の「傾けて混合する」追加の工程は、一連の検体を、数時間に亘って、所定のスケジュールに基づいて収集しなければならない場合には、合理的に実現不可能でありうる。更に、(例えば、チューブに負荷が掛かるように手動で引っ張って)採取チューブを乱暴に扱うと、検体に溶血を生じて、検体分析の完全性を維持するために、再採血する必要があり、更に、患者についての重要なデータの提供を遅らせうる。したがって、検体を収集後に、常時冷却することは利点を有する。
【0046】
図8A~8Cは、装置700が行う流体採取処理の異なる工程を示している。
図8Aにおいて、ホルダー704が外部に位置する間に、空のバイアル608を、(例えば、矢印が示すように、下方に向かって)ホルダー704に配置する。
図8Bにおいて、流体検体(または、任意の他の適切な種類の体液)を収集する場合、空のバイアル608を保持するホルダー704を、内側を指す矢印が示すように、装置700に挿入する。
図8Cにおいて、ホルダー704は、
図8Aの開始状態に戻るが、バイアル608は、ここでは、所定の、または、プログラムされた量の血液検体で充填されており、ホルダー704から(例えば、矢印が示すように、上方に向かって)回収されて、新しい空のバイアル608と置き換えられ、多数の検体を収集する処理を繰り返す。バイアル608は、任意の適切なサイズおよび形状であり、いくつかの場合において、多数のバイアル形式を用いて、異なる種類の検体を区別しうる。各バイアル608は、単一の検体収集イベントの間に取得した単一の検体のみを保持しうる。いくつかの例において、検体収集は、自動で行われ、ホルダー704の装置700への挿入が、検体収集を始動させるに十分でありうる。いくつかの例において、検体収集は、ボタンの押圧などによって、手動で行われ、所定の、または、プログラムされた量の検体を収集する。
【0047】
有利なことに、システム100は、自動採血を容易にして、必要な採血回数をプログラムし、採取する血液量を少なくし、0.1cc(0.1cm3)未満、0.05cc(0.05cm3)未満、0.04cc(0.04cm3)未満、0.03cc(0.03cm3)未満、0.02cc(0.02cm3)未満、または、それらの間の任意の他の適切な範囲、若しくは、値などにしうる。いくつかの例において、各検体の量は、一滴未満、例えば、0.025cc(0.025cm3)未満、更に、僅か0.01cc(0.01cm3)(または、10μL)まで少なくてもよい。その代わりに、量は、ユーザがプログラムした数ccまでの範囲、例えば、1cc(1cm3)まで、5cc(5cm3)まで、10cc(10cm3)まで、または、それらの間の任意の他の適切な範囲、若しくは、値でありうる。全ての値がプログラムされるので、システム100は、採取量および採取間隔の精密な制御などによって、各採取の体積およびタイミングについて非常に精密である。
【0048】
いくつかの場合において、精密な時間で、更に、採取する検体の体積を小さくしうることは、採取のために血液などの体液を大量に提供することが身体的に不可能でありうる患者にとって重要でありうる。例えば、子供から安全に採取しうる血液量は、新生児かなど、子供の体格および年齢に応じて異なりうるので、小児の静脈穿刺における体積は、常に討議される課題である。いくつかの例において、CLSI GP41-Ed7に示されたガイドラインは、子供の血液体積が75~80mL/kg(または、新生児において、それ以上)だと仮定すると、子供から採血は、24時間で、合計血液体積の1~5%に限定し、8週間でも、合計血液体積の10%に限定すべきであると示している。更に、欧州委員会のガイドラインは、子供の血液体積が80~90mL/kgだと仮定すると、推奨される子供からの採血体積は、24時間で、合計血液体積の1%に限定され、4週間でも、合計血液体積の3%に限定されるべきであり、但し、これらの推奨値は、エビデンスに基づくものではないと示している。他の組織は、そこで用いるガイドラインの一部として、異なる値を有しうるものであり、子供から安全に採取しうる血液の上側閾値レベルを特定するのは困難である。更に、小さい子供からの採血には一般的に抵抗があり、検体を手動で採取すると、そのような検体は、1日に1回、1週間に1回など低い頻度で採取されて、それにより、適切な分析を行うには不十分な数の検体を取得する結果となりうる。したがって、特に新生児、および、体格が小さいか、貧血を起こし易い他の患者から採血するには、検体収集が必要な頻度および間隔は維持しながら、できるだけ少ない量で採血するのが好ましい。したがって、システム100は、検体体積を最小にし、所定の、または、プログラムされた採取頻度を維持することによって、自動採血の恩恵を受け、医師および医者が、収集した血液検体のパターンまたはトレンドを判断して、診断を行うか、予後を監視するのを容易にする。
【0049】
いくつかの例において、医師または看護師は、患者の健康状態を、収集した検体データ、および/または、以前の周期からか、若しくは、処理部と動作自在に連結された追加の/外部の装置からのセンサ測定値に基づいて判断しうる。例えば、医師または看護師は、適切なセンサ測定値を用いて、患者が何らかの医療状態で苦しんでおり、すぐに医療的に注意を払うか、注入投与量を変化させる必要があるかを分析しうる。特定した状態に基づいて、医師または看護師は、注入工程504で用いる注入投与量(例えば、注入する薬剤の種類、量/体積、および/または、濃度)を決定しうる。いくつかの例において、処理部は、次の、または、後の注入イベントにおける注入流体の投与量を、CBC試験など、収集した検体のセンサによる分析結果に基づいて推薦し、それは、医師または看護師によって承諾または拒絶されうる。工程504において、注入は、処理部がポンプを制御して、注入投与量を医師または看護婦が決定した投与量に制限することで、容易に行われる。注入の正確な時間(例えば、注入イベントの開始時間、および、終了時間)は、自動で記録され、第1のタイムスタンプとしてタイムスタンプを付加され、このイベントの間に与えられた投与量に関する情報も同様である。
【0050】
決定投与量は、注入に用いる溶液の特定の量または体積、並びに、用いる溶液の濃度を含みうる。いくつかの例において、ポンプは、少なくとも1つのポンプが注入装置の注入溶液保存部に接続され、更に、少なくとも1つのポンプが、注入溶液保存部が提供した注入溶液を希釈するのに用いる溶液を保存する異なる保存部に接続されるように動作しうる。つまり、注入流体の濃度を低下すべき場合、希釈溶液に接続されたポンプを適切に動作させて、希釈溶液を注入流体と混合することによって、注入流体を希釈しうる。
【0051】
工程508において、処理部は、ポンプ(例えば、採取ポンプ)を動作させて採取を行い、所定の量または体積の患者の血液を所定の時間に検体として採取し、次に、保存しうる。採取イベントの時間を自動で記録する(タイムスタンプを付加する)。工程510において、採取イベントについての第2のタイムスタンプを、採取した検体に関連付けられたデータとリンクさせ、メモリ部に保存する。次の検体収集イベントおよび注入イベントのための他のコマンドを検出した時に、処理500を再び開始しうる。
【0052】
いくつかの例において、タイムスタンプ付きデータを、ユーザがデータにアクセスして検討する時に視認性のある表(例えば、ピボットテーブル、または、ルックアップテーブル)、または、図解チャートに構成して、医師または看護師がより良い判断を行うのを容易にしうる。いくつかの例において、コマンドを、時間を決められた命令の組として(例えば、各検体収集イベントおよび注入イベントは、それを行わなくてはならない特定の時間または許容時間を有する)、または、ボタンを押圧または作動させる場合のように、手動のユーザ入力として提供しうる。
【0053】
いくつかの例において、検体収集注入装置は、スマートフォンまたはコンピュータなどの他の装置、および、IoT環境などでの他の同様の適切な装置と通信可能なスマート装置である。そのような場合において、スマート装置は、自分のプロセッサまたはメモリを含み、投与ミスを防ぐためにスマート装置のプロセッサが参考に用いる薬剤リストである薬剤ライブラリを、自分のメモリ(例えば、メモリ部202)に記憶しうる。いくつかの実施形態において、薬剤ライブラリは、一般的に注入される薬剤について、画定された(例えば、秒または分で表された)時間に投与すべき薬剤の(例えば、mgで表させた)質量を反映した流量および合計体積を画定するプロトコールまたは命令を含みうる。個々の薬剤は、循環から、大きく異なる平均速度で浄化されて、これらの浄化速度は、患者毎に有意に異なりうる。患者の薬剤への曝露は、薬剤濃度と時間の関係を示すグラフの曲線下面積(AUC)として定義されることが多い。入手可能な濃度データを用いて、次の注入工程における薬剤への曝露を調節しうる。いくつかの例において、抗生物質の投与が結果的に低すぎる濃度になる、つまり、侵入する微生物に対する最小阻止濃度(MIC)より低くなると、効能は不十分となりうる。一方、濃度が高すぎると、患者は、腎臓、肝臓、心臓など特定の臓器が毒性に曝されうる。浄化値(したがって、濃度およびAUC)は、患者の体格、年齢、性別、同時投与する薬剤の種類、(限定するものではないが、例えば、腎臓および肝臓機能を含む)臓器の機能性能に応じて異なりうる。
【0054】
治験から、母集団および部分母集団の平均が分かると、そのようなデータを用いて、製薬会社によって提供され、米国食品医薬品局(FDA)によって許可された処方情報における投与推薦値を決定しうる。薬物動態学の数学モデルも、浄化値およびAUCについて予想を提供しうる。その代わりに、または、追加で、平均的患者についての動態は、特定の投与後採血プロトコールシーケンスを示唆しうる。いくつかの実施形態において、数か所(例えば、3から5か所)で、特定の時間に採血を行うことで、個々の患者について、十分に投与調節を行いうる。そのようなスケジュールは、薬剤毎に異なり、制御部106にプログラムして、自動採血および注入を容易にし、より具体的には、制御部106が用いる薬剤ライブラリにプログラムしうる。したがって、いくつかの例において、薬剤ライブラリは、検体収集イベント、および、注入イベントの間に投与される各複数の薬剤に関連付けられた注入イベントについてのプロトコールまたは命令を含みうる。その代わりに、そのようなプロトコールを、追加の装置206を用いて、ネットワーク接続部108を介してなど、ネットワークへの外部ポートを介して柔軟にプログラムしうる。
【0055】
例えば、各薬剤は、濃度、注入速度、および、投与量閾値(最大および最小)など、1つ以上のパラメータを設定し、医師または看護師は、正しい薬剤および投与量であることを確認して、(多数の患者がいる場合には)各患者について、上記ユーザインターフェースを介して手動で行う必要がありうる。いくつかの例において、異なるレベルの投与量閾値がある。例えば、第1のレベルは、ある状況では、医師または看護師が超えうる好ましい投与量または投与範囲である。第2のレベルは、絶対的投与限度で、超えた場合には、薬剤により患者が合併症を発症するリスクが高まるので、いかなる状況でも超えてはならない。いくつかの例において、異なるレベルの投与量閾値を、送出すべき薬剤の組合せを考慮して決定しうる。いくつかの例において、異なるレベルの投与量閾値を、患者の年齢、体重、性別などの身体的データを用いて決定しうる。いくつかの例において、異なるレベルの投与量閾値を、患者の病歴などの過去または履歴データを用いて、スマート装置によっても決定しうる。いくつかの例において、スマート装置は、そのようなデータを、外部のデータベースからネットワーク接続部を介して検索しうる。
【0056】
上記のように実行することによって、スマート装置は、正しくない投与速度、投与量、および/または、ポンプ設定などのミスを防ぎうる。他の利点は、薬剤副作用イベント(例えば、過剰投与または過少投与)の可能性を削減、医師および看護師による診療の改良、および、システムの費用効果を高めることを含む。
【0057】
いくつかの例において、スマート装置は、治験または臨床利用/治療中のセンサ測定値に基づいて、投与速度、投与量、および/または、ポンプ設定などの投薬量を概算して、次に調節することが可能でありうる。例えば、最初の(特定の薬剤について、投与速度、投与量、および/または、ポンプ設定の任意の1つ以上を含むものとして画定されうる)投薬パラメータを、患者の体格(身長、および/または、体重)、年齢、性別、ボディマス指数(BMI)、および、医療記録に示されたものなど、任意の利用可能な既存の条件に基づいて確立しうる。投薬パラメータは、第1の概数として決定されて、例えば、装置のメモリ部に記憶される。治験または利用の間に、患者の体内の薬剤濃度は、時の経過と共に変化する。別の患者では、血液体積が異なり、血液循環からの薬剤の浄化速度も異なるので、いくつかの例において、スマート装置は、血液体積または(そのような目的に適切な任意のセンサを用いて)浄化速度を、1つ以上の検体で測定し、次の投薬パラメータを、そのような測定値に基づいて計算する。例えば、そのような測定値を取得した後に、装置は、次の投与パラメータを、その前に記憶した投与パラメータを測定値に基づいて調節することによって計算しうる。つまり、最初の(第1の組の)投与パラメータを調節することによって、第2の組の投与パラメータを決定し、第2の組の投与パラメータを調節することによって、第3の組の投与パラメータを決定しうる。各調節サイクルを用いて、投与パラメータの概数は、その前より精密になり、それにより、例えば、(代謝、トランスポーター、および、時間の経過と共に統合される臓器機能に関係する)薬剤吸収および排出の違い、および/または、薬剤対象(受容体)発現における質的および量的違いなどの異なる要因を考慮して、患者に適するか、患者専用の最高の投与パラメータを計算する処理を提供する。いくつかの例において、過剰投与を防ぐために、最初の投与パラメータを低い閾値で設定し、最高の投与パラメータに近付くように、徐々にパラメータ値が増加するように調節しうる。調節は、例えば、薬剤濃度測定値の(所定の、または、従来から知られたように、数十、数百または数千のデータポイントを用いた機械学習を介して学習しうる)閾値濃度値との比較に基づくか、または、メモリ部に記憶された特定の種類またはクラスの投与される薬剤に関するルックアップテーブルを用いて行いうる。
【0058】
システムにおいて、薬剤を、どの「種類」に関連するかに基づいて、グループ分けするか、分類しうる。この目的で用いうる薬剤の種類のいくつかは、限定するものではないが、免疫抑制剤、抗生物質、血液凝固阻止剤、インシュリン、化学療法剤などを含みうる。各種類は、その有効閾値または領域、更に、その安全閾値または領域を有する。例えば、免疫抑制剤は、投与が少なすぎると、臓器拒絶反応を生じるが、投与が多すぎると、毒性または感染の問題を生じうる。抗生物質は、投与が少なすぎると、細菌の成長を抑制不可能であるが、投与が多すぎると、有毒になりうる。インシュリンは、投与が少なすぎると、高血糖を生じるが、投与が多すぎると、低血糖を生じうる。化学療法剤は、投与が少なすぎると、体内から癌細胞を取り除くことができなくなるが、投与が多すぎると、他の健康な細胞も破壊しうる。したがって、これらの種類の薬剤の「ゴルディロックスゾーン」を探すことは、医師および患者にとって継続中の戦いであり、いくつかの場合において、(限定するものではないが、例えば、投与パラメータの誤り、および、採取期間を抜かすこと、1つの検体値を異なる採取時間の他の検体値として誤入力など採取時の誤りを含む)人為的ミス、または、投与データ紛失(つまり、データファイルが壊れるか、メモリ装置を誤って配置するなどの理由によりデータ紛失)を削減すれば、過剰投与および過少投与を容易に防ぎうる。
【0059】
有利なことに、本明細書に開示の自動採血注入システムは、(例えば、注入ポンプを制御するスマート装置を用いた)投与と、(例示したように、注入後6時間以内に、精密に測定した時間間隔で僅か3つの検体、または、12もの検体、または、それらの間の任意の数の検体の)採血との両方について、自動の正確な時間管理を提供し、更に、小さい体積の血液を採取して、その中の薬剤濃度を測定した結果に基づく自動の正確な投与管理を提供することによって、そのようなリスクを容易に軽減する。小さい体積の検体(例えば、0.1mLと0.5mLの間、0.5mLと1.5mLの間、1.5mLと2.5mLの間、または、それらの間の任意の他の適切な値、若しくは、範囲)は、より頻繁に薬剤濃度測定を行うのを容易にし、更に、採取のために大量の血液を採取される患者の負担を軽減する。既に記載したように、スマート装置が、(例えば、メモリ部に記憶されて、プロセッサが実行するコンピュータプログラムなどのアルゴリズムによって実行しうる)処理を用いて、投与パラメータを調節し、治験を超えて現場経験から「学習」しうる。正確さ、および、精密さを改良することで、(ここでは、より良いデータポイントを有して、診断または予後について、より多くの情報に基づく判断をすると共に、より速い判断を可能にして、応答の遅れによる合併症を防ぐ)医師、および、(人為的ミスによる急性および慢性の意図しない結果を防ぎうる)患者だけではなく、(安全性を改良し、患者の退院率を上げて、より速く病床を空けうる)病院管理者、(リスクを軽減し、有効性を改良すると共に、患者の薬剤副作用を防ぎうる)医療保険提供者、(簡略化され、高品質で時間を追った採取により、再採血および再採取回数を削減しうる)看護師、(薬剤およびバイオマーカー濃度を用いた処理の所要時間を削減しうる)臨床検査技師、(臨床研究のために、正確性の高い結果を用いうる)臨床薬理学者、(変動の大きい薬物動態学または薬効学の薬剤の成功への影響を潜在的に削減するために、治験原理を実際のケアに広げうる)製薬会社、(より豊富な薬物動態学および薬効学データが早く提供されて、より良いモデリングを行うと共に、労力を削減して、検体データ品質を高めうる)開発業務受託機関、および、(臨床前および臨床研究からの、より豊富なデータを用いて、薬剤承認について、より良い判断を行うと共に、投与を適切に調節しうる場合には、長い曝露期間に亘る慢性の臓器毒性の影響を防ぎうる)FDAにとっても、利点につながりうる。
【0060】
いくつかの例において、センサは、血液温度、血圧、脈拍(心拍数)、または、呼吸数(呼吸回数)の少なくとも1つを感知または測定することが可能である。いくつかの例において、センサは、患者の血液中のガス量またはレベルを測定しうる。これらの測定値を、時間軸に沿って、正確にプロットしうる。他の測定値は、(採取、および/または、注入について)流体の流速、(採取、および/または、注入について)導管を介して運ばれる流体の体積、(主に注入について)流体濃度などを含む。
【0061】
各検体収集イベントおよび注入イベントの時間を精密に記録することによって、多数の利点がある。いくつかの例において、イベントの正確なリアルタイムの記録を保持することで、不注意、過失、または、過誤により人為的ミスを生じる尤度を削減する。例えば、過剰投与、過少投与、または、薬剤注入の副作用により、患者の健康状態が変化した時に、正確な記録は、医師および看護師が、可能性のある理由を特定するのも可能にする。例えば、異なる時間に注入される多数の薬剤がある時に、各薬剤を投入した特定の時間は、どの薬剤が患者の健康状態をそのように変化させる引き金となったかを特定するのに重要である。更に、注入を採血と統合することで、流体の量および種類を確認することにより、安全性を改良しうる。
【0062】
システムが自動で採血および注入可能にすることで、(例えば、誤った時間間隔で採取した血液は、有用性が低く、検体を再採取、または、再収集する必要ありうる場合)採取した血液を無駄にすることも防ぎ、手動で過剰採血することで生じる貧血を防ぎ、カテーテルを手動で乱暴に引っ張りすぎて生じる溶血を防ぎ、検体収集前にカテーテルからロック溶液を不適切に除去することで生じる血液検体の希釈を防ぎ、および/または、従来の手動の採血手順で生じうる(例えば、血液が運ぶ病原菌による)感染リスクを削減しうる。いくつかの例において、カテーテルの開通性を自動化して、いずれのカテーテルの閉塞も回避するか、センサで検出しうる。そうでない場合には、医師および看護師が行わなくてはならない、これらの処理を自動化することで、特に、治療する多数の患者がいて、各患者に、医師および看護師が追跡記憶するのが困難でありうる独自の治療が必要な場合に、または、病院または医院が人員不足で、医師および看護師が、検体収集および注入を行う時に気を散らして、ミスのリスクが高まる場合に、医師および看護師の労働負荷を低減する。
【0063】
ここまでの記載、請求項、および、図面に開示した特徴は、個々に、および、任意の組合せで、様々な実施形態における本開示を実施するために重要でありうる。
【符号の説明】
【0064】
100 自動流体採取注入システム
102 流体採取注入装置
106 制御部
108 ネットワーク接続部
200 処理部
202 メモリ部
204 I/Oインターフェース
【外国語明細書】