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特開2024-121564オープンカーのスピーカ配設構造およびオープンカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121564
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】オープンカーのスピーカ配設構造およびオープンカー
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20240830BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240830BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H04R1/02 102B
H04R1/00 311
B60R11/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028722
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】東 親靖
(72)【発明者】
【氏名】菊池 宏直
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大治
(72)【発明者】
【氏名】西 康一
(72)【発明者】
【氏名】中島 正典
(72)【発明者】
【氏名】坂 裕文
【テーマコード(参考)】
3D020
5D017
【Fターム(参考)】
3D020BA02
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC01
3D020BD05
5D017AB07
(57)【要約】
【課題】オープンカーに配設されるスピーカが被水することによる音響特性の悪影響を抑制することが可能なスピーカの配設構造を提供する。
【解決手段】バックトリム4の上面部4aには、スピーカ5の音声を車室2へ発するための開口4dが形成されている。スピーカ5は、開口4dの下方の位置に配置されている。スピーカ5は、開口4dから下方に離間して配置され、開口4dに向いて開いた円錐形状のコーン部18と、コーン部18の周縁に周方向に連続して連結されるとともに開口4dとコーン部18との間でコーン部18の軸線方向に延びる筒状の縦壁部20とを有する。縦壁部20におけるコーン部18の周方向において最も下方の位置を含む部分には、縦壁部20の内側に浸入した水を外部に流出させる水抜き開口21が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンカーの車室に配設されるスピーカの配設構造であって、
前記車室の内面を構成し、上面視において前記車室に露出する場所に、前記スピーカの音声を前記車室へ発するための開口が形成されたトリム部材を備え、
前記スピーカは、前記開口の下方の位置に配置され、
前記スピーカは、前記開口に向いて開いた円錐形状のコーン部と、前記コーン部の周縁から前記開口に向かって前記コーン部の軸線方向に延びるように前記コーン部の周縁に周方向に連続して連結される筒状の縦壁部とを有し、
前記縦壁部における前記コーン部の周方向において最も下方の位置を含む部分には、前記縦壁部の内側に浸入した水を外部に流出させる水抜き開口が形成されている、
ことを特徴とする、オープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項2】
前記トリム部材は、シートの後方に配置されたバックトリムであり、
前記バックトリムは、上面視において露出する上面部を有し、
前記開口は、前記上面部に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項3】
前記スピーカは、前記バックトリムの車幅方向において前記シートの配設位置と重ならない位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項4】
前記スピーカは、前記シートよりも前記車室の車幅方向中央に近い側に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項5】
前記スピーカは、前記コーン部の軸線方向が鉛直方向から傾斜するように配置されている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項6】
前記スピーカは、前記コーン部の軸線方向が鉛直方向から車両前方に傾斜するように配置されている、
請求項2に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項7】
前記水抜き開口は、当該水抜き開口の下端が前記コーン部の前端部の高さ以下になる位置に形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項8】
前記バックトリムは、車両前方ほど下方に傾斜する下方傾斜部分を有し、
前記開口は、前記下方傾斜部分に形成され、
前記車両前後方向において、前記開口の縁部前端は、前記縦壁部の前端より後方に位置している、
ことを特徴とする請求項6に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項9】
前記スピーカは、前記コーン部の車両前後方向の縦断面視では前記コーン部における当該コーン部の軸線よりも前方の部分が車両前方ほど下方に傾斜するように配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項10】
前記水抜き開口は、当該水抜き開口の下端が前記コーン部の前端部よりも下方になる位置に形成されている、
ことを特徴とする請求項9に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項11】
前記スピーカは、前記開口と前記縦壁部との間において前記スピーカの音声の通過を許容しながら当該スピーカへの水の浸入を抑制する抑制部材をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のオープンカーのスピーカ配設構造。
【請求項12】
請求項1に記載のスピーカ配設構造を備えたオープンカーであって、
車外の緊急通報先と通信する機能を有する緊急通報装置を備え、
前記緊急通報装置と前記スピーカとが電気的に接続されている、
ことを特徴とするオープンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンカーのスピーカ配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の事故が発生した場合に、車両の現在位置や事故の種類等の事故に関する情報をサービスセンターへ無線送信し、サービスセンターによって返信された当該事故に対する対処方法を音声等で乗員に案内する緊急通報用のスピーカが通常のスピーカとは別に車両に配設されることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車室前側の天井中央部のオーバーヘッドコンソールに緊急通報装置のスピーカが配置された構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-14588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、ルーフの開閉が可能なオープンカーのユーザが増えており、オープンカーへの緊急通報用スピーカの要求が高まっている。しかし、オープンカーは、ルーフ自体が折り畳み自在の構造であるため、上記のように天井中央部に緊急通報用スピーカを配設することが構造上困難であり、仮にルーフに配設したとしてもルーフ開状態では緊急通報用スピーカを使用できない。
【0006】
一方、オープンカーの車室の側面を構成するサイドドアやピラーには、通常使用される音楽用などのスピーカが取り付けられているため、緊急通報用スピーカを設置するスペースを確保することが難しい。
【0007】
そこで、緊急通報用のスピーカを車室の後面(バックトリムなど)や床面(コンソールトリムなど)などに配設することが考えられる。例えば、緊急通報用のスピーカをシート後方のバックトリムなどのトリム部材(内装部材)に配設することを考えた場合、バックトリムの前面部にはバックトリム後方側の小物入れスペースへのアクセスのためのコンソールリッドが設けられているため、バックトリムの上面部に開口を設け、当該開口の下方に緊急通報用スピーカを配設する必要がある。
【0008】
したがって、緊急通報用のスピーカを車室のバックトリムの上面部や床面のコンソールトリムなどに配設した場合には、開口を通してスピーカが上方に露出しているので、ルーフ開状態での走行中に雨が降った場合などは開口から浸入した雨水等によりスピーカが被水するおそれがある。スピーカの被水状態が継続すると、スピーカの音響特性へ悪影響を及ぼすおそれがある。
【0009】
本発明は、このような問題の発生を防止するために、オープンカーに配設されるスピーカが被水することによる音響特性の悪影響を抑制することが可能なスピーカの配設構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明のオープンカーのスピーカ配設構造は、オープンカーの車室に配設されるスピーカの配設構造であって、前記車室の内面を構成し、上面視において前記車室に露出する場所に、前記スピーカの音声を前記車室へ発するための開口が形成されたトリム部材を備え、前記スピーカは、前記開口の下方の位置に配置され、前記スピーカは、前記開口に向いて開いた円錐形状のコーン部と、前記コーン部の周縁から前記開口に向かって前記コーン部の軸線方向に延びるように前記コーン部の周縁に周方向に連続して連結される筒状の縦壁部とを有し、前記縦壁部における前記コーン部の周方向において最も下方の位置を含む部分には、前記縦壁部の内側に浸入した水を外部に流出させる水抜き開口が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明者はオープンカーのルーフ開状態におけるスピーカの被水による音響特性の悪影響を抑制する構成を鋭意検討した結果、スピーカのコーン部とトリム部材の開口との間に延びる筒状の縦壁部に水抜き開口を形成し、当該水抜き開口から排水するという方策を見出し、上記の発明を創作するに至った。
【0012】
上記の構成では、トリム部材の上面視で見える場所に開口が形成されたトリム部材を備え、開口の下方にスピーカが配置され、スピーカのコーン部が開口に向いて開くとともに筒状の縦壁部がコーン部の周縁に周方向に連続して連結されていることにより、スピーカから車室内の乗員へ効率良く音を伝達することが可能である。さらにルーフ開状態でトリム部材の開口から水が浸入した場合、開口の下方に位置するスピーカのコーン部に水が到達しても、この水は筒状の縦壁部の最下方位置に設けられた水抜き開口から縦壁部の外部に排出される。したがって、コーン部内に水が溜まることが抑制ないし防止され、水分による音響特性への影響を最小限に留めることが可能である。
【0013】
上記のスピーカ配設構造において、前記トリム部材は、シートの後方に配置されたバックトリムであり、前記バックトリムは、上面視において露出する上面部を有し、前記開口は、前記上面部に形成されているのが好ましい。
【0014】
かかる構成では、上記の開口がバックトリムの上面部に形成されていることにより、スピーカをシート後方に配置することができるため、シートに着座する乗員にスピーカの音をさらに効率良く伝達することが可能である。
【0015】
上記のスピーカ配設構造において、前記スピーカは、前記バックトリムの車幅方向において前記シートの配設位置と重ならない位置に配置されているのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、スピーカがシートと車幅方向において重ならないため、スピーカをより前方に配置してシートに座る乗員に近づけることができ、スピーカの音を乗員により一層効率良く伝達することが可能である。
【0017】
上記のスピーカ配設構造において、前記スピーカは、前記シートよりも前記車室の車幅方向中央に近い側に配置されているのが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、スピーカがシートよりも車室の車幅方向中央に近い側に配置されているので、車両衝突時、とくに側突時においてもスピーカが損傷しにくいという利点を有する。そのため、車両衝突後もスピーカを緊急通報用のスピーカとして安定して使用することが可能である。
【0019】
上記のスピーカ配設構造において、前記スピーカは、前記コーン部の軸線方向が鉛直方向から傾斜するように配置されているのが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、スピーカに滴下された水をコーン部の傾斜によりスピーカの下方に導き、縦壁部の最下方位置にある水抜き開口から排出することで、スピーカ中央部に水が溜まることを確実に抑制することが可能である。そのため、音響特性への影響をさらに小さくすることが可能である。
【0021】
上記のスピーカ配設構造において、前記スピーカは、前記コーン部の軸線方向が鉛直方向から車両前方に傾斜するように配置されているのが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、スピーカの音をバックトリムから前方に向けて伝達することが可能になり、バックトリムよりも前方に位置するシートに着座する乗員にスピーカの音をさらに効率良く伝達することが可能である。
【0023】
上記のスピーカ配設構造において、前記水抜き開口は、当該水抜き開口の下端が前記コーン部の前端部の高さ以下になる位置に形成されているのが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、水抜き開口の下端が前記コーン部の前端部の高さ以下にあるので、コーン部の前端部よりも上に水が溜まることがなく、音響特性への影響をさらに小さくすることが可能である。
【0025】
上記のスピーカ配設構造において、前記バックトリムは、車両前方ほど下方に傾斜する下方傾斜部分を有し、前記開口は、前記下方傾斜部分に形成され、前記車両前後方向において、前記開口の縁部前端は、前記縦壁部の前端より後方に位置しているのが好ましい。
【0026】
かかる構成によれば、ルーフ開状態で車両走行中にスピーカが被水してコーン部および縦壁部に水が溜まった状態で減速して水が慣性により前方に押された場合でも、水を縦壁部の前端部とバックトリムの開口の前端部の下面との間でせき止めることが可能である。これにより、バックトリムの開口から水が車室内へあふれ出すことなく、シート周辺の汚損を抑制することが可能である。
【0027】
上記のスピーカ配設構造において、前記スピーカは、前記コーン部の車両前後方向の縦断面視では前記コーン部における当該コーン部の軸線よりも前方の部分が車両前方ほど下方に傾斜するように配置されているのが好ましい。
【0028】
かかる構成では、コーン部における当該コーン部の軸線よりも前方の部分が車両前方ほど下方に傾斜するので、バックトリムであるトリム部材の開口からスピーカに滴下した水をコーン部の傾斜に沿って車両前方へ円滑に導き、水抜き開口から排出することができるため、排水性がさらに向上する。
【0029】
上記のスピーカ配設構造において、前記水抜き開口は、当該水抜き開口の下端が前記コーン部の前端部よりも下方になる位置に形成されているのが好ましい。
【0030】
かかる構成では、コーン部におけるコーン部の軸線よりも前方の部分が車両前方ほど下方に傾斜する構成において、水抜き開口の下端が前記コーン部の前端部よりも下方にあるので、水抜き開口での排水性がより一層向上する。
【0031】
上記のスピーカ配設構造において、前記スピーカは、前記開口と前記縦壁部との間において前記スピーカの音声の通過を許容しながら当該スピーカへの水の浸入を抑制する抑制部材をさらに備えるのが好ましい。
【0032】
かかる構成によれば、トリム部材の開口とスピーカの縦壁部との間において、抑制部材によってスピーカへの水の浸入を抑制するので、コーン部の被水量を抑制することが可能であり、音響特性への影響をさらに小さくすることが可能である。
【0033】
本発明のオープンカーは、上記のスピーカ配設構造を備えたオープンカーであって、車外の緊急通報先と通信する機能を有する緊急通報装置を備え、前記緊急通報装置と前記スピーカとが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0034】
上記のスピーカ配設構造および緊急通報装置を備えたオープンカーでは、緊急通報の必要が発生した場合にも、被水による音響性能の影響を最小限にしたスピーカにより緊急通報先との通信を確実に行うことが可能である。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明のオープンカーのスピーカ配設構造によれば、オープンカーに配設されるスピーカが被水することによる音響特性の悪影響を抑制することができる。
【0036】
また、本発明のオープンカーでは、緊急通報の必要が発生した場合にも、被水による音響性能の影響を最小限にしたスピーカにより緊急通報先との通信を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明のスピーカ配設構造が適用されたオープンカーの車体の斜視図である。
図2図1のシートを取り外した状態で車両前方からスピーカの配設場所の周辺を見た図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4図3のスピーカの拡大断面図である。
図5図2のバックトリムを取り外した状態のスピーカおよびその周辺を示す図である。
図6図5におけるスピーカ周辺拡大図である。
図7図4のスピーカにおけるコーン部およびコーン部前方の縦壁部に形成された水抜き開口をコーン部前方から見た図である。
図8図3のスピーカの排水経路を示す断面説明図である。
図9図8のスピーカおよびクロスメンバ周辺を示す切欠斜視図である。
図10図1のオープンカーに備わったスピーカおよび緊急通報装置を含む車内外の一連の緊急通報システム全体を示すブロック図である。
図11】本発明の変形例として、コーン部の軸線前方部分が前方へ向かうにつれて傾斜しているスピーカの配設構造を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態に係るオープンカーのスピーカ配設構造およびオープンカーについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
図1に示される本実施形態のスピーカ5が配設されたオープンカーの車体1は、車室2内に一対のシート3(運転席3A、助手席3B)が配置された2人乗り用の車体であり、開閉自在のルーフ(図示せず)が車室2の上側を覆う構造を有する。この車体1では、一対のシート3の後方には、車室2の後面を構成するトリム部材(内装部材)であるバックトリム4、および当該バックトリム4を支持するクロスメンバ8が配置されている。これらのバックトリム4およびクロスメンバ8は、それぞれ車幅方向Yに延びている。
【0040】
バックトリム4は、図1~3に示されるように、上面視において露出する上面部4aと、車両前方X1を向く前面中央部4bおよびその両側にある一対の前面両側部4cとを有する。上面部4aの車幅方向Yの中央付近には、複数のスリットで構成された開口4dと、矩形の開口4eとを有する。開口4dの下方Z2には緊急通報用のスピーカとして使用される本実施形態のスピーカ5が配設されている。開口4dは、バックトリム4の上面部4aにおける車両前方X1ほど下方Z2に傾斜する下方傾斜部分に形成されている。すなわち、開口4dは、上方Z1かつ車両前方X1(斜め前上方)を向いている。つまり、スピーカ5はシート3(とくに運転席3A)に座る乗員の頭部を指向し、かつ、シート3とスピーカ5とが近接することで、スピーカ5と乗員の頭部とも近接するため、これにより、スピーカ5からの音は乗員に聞きやすい。
【0041】
本実施形態の開口4dは、図3に示されるように複数の仕切り4gで仕切られることにより複数のスリットで構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの円形または矩形の開口でもよい。その場合でも後述の不織布シート22がスピーカ5のコーン部18の上方を覆っているのでコーン部18へ異物が到達するおそれがなく、美観性も維持される。
【0042】
バックトリム4の開口4eの内部には、ルーフロック解除レバー6が配置されている。なお、ルーフロック解除レバー6は、一対のシート3の後方のパネル14上に折り畳まれたルーフ(図示せず)のロックを解除するための手動レバーである。
【0043】
バックトリム4の上面部4a下方の前面中央部4bには、上記の開口4d、4eより大きい矩形の開口4fが形成されている。開口4fは、前面中央部4bの車両後方X2側に形成された収容スペース13(図8参照)に連通している。収容スペース13の上側は、上記開口4fの上側および両側を取り囲むフレーム12(図3図5~6、図8~9)および平板状のパネル14(図1図8~9)によって閉じられている。開口4fには、開閉自在のコンソールリッド7が取り付けられている。
【0044】
バックトリム4の一対の前面両側部4cのそれぞれの前方X1には、上記の一対のシート3が配置されている。なお、前面両側部4cにも後方の収容スペースへアクセスするための開口を形成してもよい。
【0045】
上記の実施形態では、図1~2に示されるように、スピーカ5は、バックトリム4の上面部4aの車幅方向Yの中央付近に形成された開口4dの下方に配置されている。すなわち、スピーカ5は、バックトリム4の車幅方向Yにおいてシート3の配設位置(すなわち、図2の前面両側部4cの位置)と重ならない位置に配置されている。また、さらに詳しく言えば、スピーカ5は、シート3よりも車室2の車幅方向Y中央に近い側に配置されている。スピーカ5は、図6の電気ケーブル24を介して車内に設置された後述の緊急通報装置31(具体的には緊急通報装置31の音処理部34)(図10参照)に電気的に接続されている。
【0046】
上記のバックトリム4は、車幅方向Yに延びるクロスメンバ8に固定されている。クロスメンバ8の上面における一対のシート3のそれぞれの後方の位置には、ほぼ上方Z1に延びる逆U字状のシート後部バー9が固定されている。
【0047】
また、一対のシート3の間には、車室2の床面を構成するトリム部材であるコンソールトリム10が配置されている。また、一対のシート3の前方X1には、速度その他の各種の情報を表示するコンソールパネル11が配置されている。
【0048】
(スピーカ5の詳細説明)
以下、本実施形態のスピーカ5についてさらに詳細に説明する。
【0049】
上記の車体1では、車室2の内面を構成するバックトリム4における上面視において露出する場所である上面部4aには、スピーカ5の音声を車室2へ発するための開口4dが形成されている。
【0050】
図2~9に示されるように、スピーカ5は、上記の開口4dの下方Z2の位置に配置され、バックトリム4の上面部4aを含む部分にねじ止めなどによって固定されている。したがって、スピーカ5は、クロスメンバ8およびフレーム12から上方に離間した位置に配置されている。
【0051】
本実施形態のスピーカ5は、図3~4、図8~9に示されるように、後述のコーン部18の軸線方向C(ここでは、軸線Cが延びる方向を軸線方向Cと呼ぶ)が鉛直方向Zから傾斜するように配置されている。
【0052】
さらに詳しく言えば、スピーカ5は、コーン部18の軸線方向Cが鉛直方向Zから車両前方X1に傾斜するように配置されている。
【0053】
スピーカ5は、具体的な構成として、図3~4および図6~7に示されるように、スピーカ本体16と、当該スピーカ本体16の軸線方向Cにおいて前側を覆うカバー17と、リング状のパッキン23と、不織布シート22とを備える。
【0054】
スピーカ本体16は、円錐形状のコーン部18と、当該コーン部18を振動させる振動源としてのマグネット27およびコイル28とをする。コーン部18は、薄い紙などからなる振動板であり、マグネット27およびコイル28の駆動力によって振動することにより音を発生させる。円錐形状のコーン部18は、上記のバックトリム4の開口4dから下方Z2に離間して配置され、開口4dに向いて開いている。なお、ここでいう開口4dの下方Z2とは、バックトリム4の開口している部分の真下およびその近傍の位置である。
【0055】
本実施形態のスピーカ本体16は、コーン部18の周縁を同心状に囲むリング状の溝部25および突出部26を有する。溝部25は、コーン部18の前端部18aに対してコーン部の軸線方向Cにおいて後方側(開口4dから遠い側)に凹んでいる。突出部26は、溝部25の外周側から軸線方向Cにおいて前方側(開口4dに近い側)に突出している。
【0056】
カバー17は、上記のコーン部18の上方で開口する開口19aを有するカバー本体19と、カバー本体19の下面からコーン部18へ向かって延びる筒状の縦壁部20とを有する。カバー本体19は、スピーカ本体16とねじ止めなどによって連結されている。
【0057】
筒状の縦壁部20は、スピーカ本体16で発生する音の周波数の乱れを防ぎ、バックトリム4の開口4dに向けて音を伝達することにより、スピーカ本体16の性能を安定させる筒状体である。筒状の縦壁部20は、コーン部18の周縁に周方向に連続して連結される。具体的には、上記のカバー本体19とスピーカ本体16との連結により、縦壁部20の下端は、コーン部18の周縁を取り囲むリング状の突出部26との間でリング状のパッキン(シール部材)23を挟んだ状態でコーン部18に連結される。これにより、筒状の縦壁部20とリング状の突出部26との隙間からの水漏れを防止している。上記のように配置された筒状の縦壁部20は、バックトリム4の開口4dとコーン部18との間でコーン部18の軸線方向C(すなわち、本実施形態では鉛直方向Zから車両前方X1に傾斜する方向)に延びる。
【0058】
図3~4、図7~9に示されるように、縦壁部20におけるコーン部18の周方向において最も下方Z2の位置を含む部分には、縦壁部20の内側に浸入した水を外部に流出させる水抜き開口21が形成されている。本実施形態の水抜き開口21は、縦壁部20の軸方向よりも周方向に長い略矩形形状を有する。
【0059】
本実施形態では、水抜き開口21は、図4および図7に示されるように、排水性の向上のために、当該水抜き開口21の下端21aがコーン部18の前端部18aの高さ以下になる位置に形成されているのが好ましい。
【0060】
また、車両前後方向Xにおいて、バックトリム4の開口4dの縁部前端4d1は、図3に示されるように、縦壁部20の前端20aより後方に位置しているのが好ましい。これにより、車両走行時に縦壁部20内部に溜まった水が揺れても開口4dから車室2内へあふれ出しにくくなる。
【0061】
不織布シート22は、図3~4に示されるように、バックトリム4の開口4dと縦壁部20との間においてスピーカ5の音声の通過を許容しながら当該スピーカ5への水の浸入を抑制する抑制部材である。不織布シート22は、コーン部18の前方のカバー本体19の開口19aを前方側から閉じ、かつ、カバー本体19とバックトリム4の上面部4aとの間に挟まれている。
【0062】
上記実施形態のオープンカーは、図10に示されるように、車内において、緊急通報用スピーカとしての上記のスピーカ5が配設されたスピーカ配設構造を備えるとともに、当該スピーカ5と電気的に接続された緊急通報装置31を備えているので、車外の緊急通報センター32と通信することが可能である。緊急通報装置31は、緊急通報先としての緊急通報センター32と通信する機能を有しており、具体的には、スピーカ5およびマイク41に接続された音処理部34と、エアバッグECU42および手動通報スイッチ43との間で信号を入出力するI/O部(入出力部)35と、車外の緊急通報センター32と無線通信をする無線通信部38と、音処理部34、I/O部(入出力部)35、および無線通信部38を制御する制御部36と、制御部36で生成されたデータとともに予め作成された緊急通報情報などを記憶する記憶部37とを備える。また、車外の緊急通報センター32は、緊急車両33と無線接続されている。マイク41は、車室2(図1参照)の前側に位置するコンソールパネル11のメータフード内に搭載されている。緊急通報装置31の少なくとも音処理部34は、マイク41内にある。したがって、スピーカ5は、マイク41との接続を介してマイク41内の音処理部34に接続されている。
【0063】
上記の図10に示される緊急通報システムでは、上記実施形態のオープンカーの緊急時には、車外の緊急通報センター32およびそれを経由した緊急車両33へ速やかに緊急通報を送ることが可能である。例えば、乗員が通話可能な状態であれば、スピーカ5およびマイク41を用いて、緊急通報装置31を経由して緊急通報センター32または緊急車両33と音声通話が可能である。また、通話できない状態であれば、手動通報スイッチ43を手動操作すれば、緊急通報装置31の記憶部37にあらかじめ記憶された緊急通報に関する情報を緊急通報センター32および緊急車両33へ送信することが可能である。さらに、衝突事故によりエアバッグECU42が作動した場合にも、エアバッグ作動に関連する情報を緊急通報センター32および緊急車両33へ送信することが可能である。上記の図10に示される緊急通報システムを用いれば、衝突時や車内の手動通報スイッチを操作した際に車外の緊急オペレータと連携して衝突事故などのトラブルに速やかに対処することが可能である。
【0064】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態のオープンカーのスピーカ配設構造は、トリム部材としてバックトリム4おと、スピーカ5とを備える。図2~9に示されるように、車室2の内面を構成するバックトリム4における上面視において露出する場所である上面部4aには、スピーカ5の音声を車室2へ発するための開口4dが形成されている。スピーカ5は、開口4dの下方Z2の位置に配置されている。スピーカ5は、開口4dから下方Z2に離間して配置され、開口4dに向いて開いた円錐形状のコーン部18と、コーン部18の周縁から開口4dに向かってコーン部18の軸線方向Cに延びるようにコーン部18の周方向に連続して連結される筒状の縦壁部20とを有する。縦壁部20におけるコーン部18の周方向において最も下方Z2の位置を含む部分には、縦壁部20の内側に浸入した水を外部に流出させる水抜き開口21が形成されている。
【0065】
かかる構成では、バックトリム4の上面視で見える上面部4aの開口4dが形成されたバックトリム4を備え、開口4dの下方Z2にスピーカ5が配置され、スピーカ5のコーン部18が開口4dに向いて開くとともに筒状の縦壁部20がコーン部18の周縁に周方向に連続して連結されていることにより、スピーカから車室2内の乗員へ効率良く音を伝達することが可能である。さらにルーフ開状態でバックトリム4の開口4dから水が浸入した場合、この水は開口4dの下方Z2に位置するスピーカ5のコーン部18に水が到達しても、筒状の縦壁部20の最下方位置に設けられた水抜き開口21から縦壁部20の外部に排出されやすくなる。
【0066】
具体的には、バックトリム4の開口4dから雨水Rが浸入した場合、図4および図8に示されるように、雨水Rがスピーカ5のコーン部18に到達しても、筒状の縦壁部20の最下方位置に設けられた水抜き開口21から縦壁部20の外部に排出される。縦壁部20の外部に排出された雨水Rは、スピーカ5の下方のフレーム12の上面に沿って車両後方X2へ流れ、フレーム12とクロスメンバ8との間を落下し、クロスメンバ8の後方へパネル14に沿って車両後方X2へ流れる。
【0067】
以上のように、本実施形態のスピーカ5の配設構造では、バックトリム4の開口4dからスピーカ5のコーン部18に雨水Rなどが浸入してもスピーカ5の外部へ速やかに排出することができるので、コーン部18内に水が溜まることが抑制ないし防止される。その結果、水分による音響特性への影響を最小限に留めることが可能である。
【0068】
上記のスピーカ5のコーン部18に雨水Rなどが浸入する場合は、衝突事故などのトラブルによりルーフが展開できなくなった状態で雨が降ってきた場合などの非日常的な場合が想定される。そのような場合でも、スピーカ5のコーン部18に到達した雨水などを縦壁部20の水抜き開口21から排出してコーン部18が完全に水没することを避けることにより、コーン部18の音響機能、すなわち緊急通報用のスピーカ5としての機能を維持することが可能である。
【0069】
(2)
本実施形態のオープンカーのスピーカ配設構造では、トリム部材は、シート3の後方に配置されたバックトリム4である。バックトリム4は、上面視において露出する上面部4aを有する。開口4dは、上面部4aに形成されている。
【0070】
この構成では、上記の開口4dがバックトリム4の上面部4aに形成されていることにより、スピーカ5をシート3後方に配置することができるため、シート3に着座する乗員にスピーカ5の音をさらに効率良く伝達することが可能である。
【0071】
本実施形態のスピーカ5は、トリム部材であればどこでも取付け可能であるが、シート3の近くに設置した方が乗員はスピーカ5の音が聞きやすい点で好ましい。スピーカ5は、隣接する2つのシート3の間の床面に配置されたコンソールトリム10に設置してもよい。なお、スピーカ5は、車室2側面を構成するサイドドアやピラーのそれぞれの内側のトリム部材に設置することが可能であるが、車両側突時の衝撃を受けやすいので、なるべく、シート3よりも車室2中央に近い側のバックトリム4やコンソールトリム10に設置するのが好ましい。すなわち、本発明の上面視で露出する場所を有する「トリム部材」は、バックトリム4だけでなく床面に配置されたコンソールトリム10も含まれる。スピーカ5を床面に配置されたコンソールトリム10に取り付ける場合、コンソールトリム10に上方Z1に開口する開口を形成し、開口の下方にスピーカ5を取り付ければよい。この構成では、スピーカ5は、コーン部18は上方Z1を向くとともに縦壁部20が上方Z1に延びる。そのため、縦壁部20におけるコーン部18の周方向において最も下方Z2の位置を含む部分は、縦壁部20の下端のすべての位置が該当する。したがって、水抜き開口21は、縦壁部20の下端の任意の位置に形成すればよい。
【0072】
(3)
本実施形態のオープンカーのスピーカ配設構造では、スピーカ5は、バックトリム4の車幅方向Yにおいてシート3の配設位置と重ならない位置に配置されている。この構成では、スピーカ5がシート3と車幅方向Yにおいて重ならないため、スピーカをより前方に配置してシート3に座る乗員に近づけることができ、スピーカ5の音を乗員により一層効率良く伝達することが可能である。
【0073】
(4)
本実施形態のオープンカーのスピーカ配設構造では、スピーカ5は、シート3よりも車室2の車幅方向Y中央に近い側に配置されている。この構成では、スピーカ5がシート3よりも車室2の車幅方向Y中央に近い側に配置されているので、車両衝突時、とくに側突時においてもスピーカ5が損傷しにくいという利点を有する。そのため、車両衝突後もスピーカを緊急通報用のスピーカ5として安定して使用することが可能である。
【0074】
(5)
本実施形態のオープンカーのスピーカ配設構造では、スピーカ5は、コーン部18の軸線方向Cが鉛直方向Zから傾斜するように配置されている。この構成では、スピーカに滴下された水をコーン部18の傾斜によりスピーカ5の下方Z2に導き、縦壁部20の最下方Z2位置にある水抜き開口21から排出することで、スピーカ中央部に水が溜まることを確実に抑制することが可能である。そのため、音響特性への影響をさらに小さくすることが可能である。
【0075】
(6)
本実施形態のオープンカーのスピーカ配設構造では、スピーカ5は、コーン部18の軸線方向Cが鉛直方向Zから車両前方X1に傾斜するように配置されている。この構成では、スピーカ5の音をバックトリム4から前方に向けて伝達することが可能になり、バックトリム4よりも前方に位置するシート3に着座する乗員にスピーカ5の音をさらに効率良く伝達することが可能である。
【0076】
(7)
本実施形態のオープンカーのスピーカ配設構造では、水抜き開口21は、当該水抜き開口21の下端21aがコーン部18の前端部18aの高さ以下になる位置に形成されている。この構成では、水抜き開口21の下端21aがコーン部18の前端部18aの高さ以下にあるので、コーン部18の前端部18aよりも上に水が溜まることがなく、音響特性への影響をさらに小さくすることが可能である。
【0077】
(8)
本実施形態のオープンカーのスピーカ配設構造では、バックトリム4の開口4dは、バックトリム4の上面部4aにおける車両前方X1ほど下方Z2に傾斜する下方傾斜部分に形成されている。車両前後方向Xにおいて、開口4dの縁部前端4d1は、縦壁部20の前端20aより後方に位置している。
【0078】
この構成では、ルーフ開状態で車両走行中にスピーカ5が被水してコーン部18および縦壁部20に水が溜まった状態で減速して水が慣性により前方に押された場合でも、水を縦壁部20の前端部(前端20aを含む部分)とバックトリム4の開口4dの前端部(縁部前端4d1を含む部分)の下面との間でせき止めることが可能である。これにより、バックトリム4の開口4dから水が車室2内にあふれ出すことなく、シート3周辺の汚損を抑制することが可能である。
【0079】
(9)
本実施形態のオープンカーのスピーカ配設構造では、スピーカ5は、開口4dと縦壁部20との間においてスピーカ5の音声の通過を許容しながら当該スピーカ5への水の浸入を抑制する抑制部材としての不織布シート22を備える。
【0080】
この構成では、バックトリム4の開口4dとスピーカ5の縦壁部20との間において、抑制部材としての不織布シート22によってスピーカ5への水の浸入を抑制するので、コーン部18の被水量を抑制することが可能であり、音響特性への影響をさらに小さくすることが可能である。
【0081】
なお、本実施形態では、抑制部材の一例として不織布シート22を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、スピーカ5の音声の通過を許容しながら当該スピーカ5への水の浸入を抑制する抑制部材として機能する物(例えば、細かい網目状のネットなど)であれば抑制部材として採用することが可能である。
【0082】
(10)
本実施形態のオープンカーは、上記のスピーカ5が配設されたスピーカ配設構造を備え、車外の緊急通報先としての緊急通報センター32と通信する機能を有する緊急通報装置31を備える。緊急通報装置31(具体的には緊急通報装置31の音処理部34)とスピーカ5とは電気的に接続されている。
【0083】
上記のスピーカ配設構造および緊急通報装置31を備えたオープンカーでは、緊急通報の必要が発生した場合にも、被水による音響性能の影響を最小限にしたスピーカにより緊急通報先としての緊急通報センター32との通信を確実に行うことが可能である。
【0084】
(変形例)
(A)
上記実施形態のスピーカ配設構造では、図3~4に示されるように、コーン部18の軸線Cよりも前方の部分は上向きである(車両前方X1ほど上方Z1に傾斜する)が、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の変形例として、図11に示されるように、スピーカ5は、コーン部18の車両前後方向Xの縦断面視ではコーン部18における当該コーン部18の軸線Cよりも前方の部分が車両前方X1ほど下方Z2に傾斜するように配置されていてもよい。
【0085】
この図11に示される変形例では、コーン部18における当該コーン部18の軸線よりも前方の部分が車両前方X1ほど下方Z2に傾斜するので、バックトリム4であるバックトリム4の開口4dからスピーカに滴下した水をコーン部18の傾斜に沿って車両前方X1へ円滑に導き、水抜き開口21から排出することができるため、排水性がさらに向上する。
【0086】
(B)
しかも、上記の図11に示されている変形例では、水抜き開口21は、当該水抜き開口21の下端21aがコーン部18の前端部18aよりも下方Z2になる位置に形成されている。すなわち、この構成では、コーン部18におけるコーン部18の軸線よりも前方の部分が車両前方X1ほど下方Z2に傾斜する構成において、水抜き開口21の下端21aがコーン部18の前端部18aよりも下方Z2にあるので、水抜き開口21での排水性がより一層向上する。
【符号の説明】
【0087】
1 車体
2 車室
3 シート
4 バックトリム(トリム部材)
4a 上面部
4d 開口
5 スピーカ
10 コンソールトリム(トリム部材)
16 スピーカ本体
17 カバー
18 コーン部
19 カバー本体
20 縦壁部
21 水抜き開口
22 不織布シート(抑制部材)
31 緊急通報装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11