(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121567
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20240830BHJP
B60C 15/00 20060101ALI20240830BHJP
B60C 3/04 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B60C13/00 D
B60C15/00 L
B60C3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028727
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】北原 遼太郎
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB02
3D131BB03
3D131BC31
3D131BC39
3D131BC40
3D131CA03
3D131GA03
3D131HA01
3D131HA33
(57)【要約】
【課題】 サイド部の耐久性能を向上する。
【解決手段】 リム径RDが12~17インチのリムRに装着される空気入りタイヤ1である。タイヤ断面高さSHとタイヤ断面幅SWとの比(SH/SW)が、0.30~0.45である。リムRのリム幅RWとタイヤ断面幅SWとの比(RW/SW)が0.78~0.99である。サイド部3の表面3sには、少なくとも1つの凹凸部10が形成されている。凹凸部10は、タイヤ周方向に配された複数の凹部11及び/又は複数の凸部12を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム径が12~17インチのリムに装着される空気入りタイヤであって、
タイヤ断面高さSHとタイヤ断面幅SWとの比(SH/SW)が、0.30~0.45であり、
前記リムのリム幅RWと前記タイヤ断面幅SWとの比(RW/SW)が0.78~0.99であり、
トレッド部と、前記トレッド部からタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイド部とを含み、
前記一対のサイド部の少なくとも一方の表面には、少なくとも1つの凹凸部が形成されており、
前記少なくとも一つの凹凸部は、タイヤ周方向に配された複数の凹部及び/又は複数の凸部を含む、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの凹凸部は、前記複数の凹部及び前記複数の凸部を含む、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの凹凸部は、基準面をさらに含み、
前記複数の凹部は、前記基準面から凹んでおり、
前記複数の凸部は、前記基準面から突出しており、
前記基準面は、タイヤ周方向で隣接する前記凹部と前記凸部との間に配置されている、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの凹凸部は、前記凹部及び前記凸部がタイヤ周方向に交互に並べられている、請求項2又は3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの凹凸部は、複数の凹凸部を含み、
前記複数の凹凸部は、第1凹凸部と、前記第1凹凸部よりもタイヤ半径方向の外側に配された第2凹凸部とを含む、請求項2又は3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記複数の凹部は、第1凹凸部に配された複数の第1凹部と、前記第2凹凸部に配された複数の第2凹部とを含み、
前記複数の凸部は、第1凹凸部に配された複数の第1凸部と、前記第2凹凸部に配された複数の第2凸部とを含み、
前記複数の第1凸部は、前記複数の第2凸部と、タイヤ周方向で重複しないように配置されている、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記複数の第1凹部は、前記複数の第2凹部と、タイヤ周方向で重複しないように配置されている、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記複数の第1凹部のそれぞれの開口面積は、前記第2凹部のそれぞれの開口面積の0.85~1.15倍である、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記複数の第1凸部及び前記複数の第2凸部のそれぞれは、タイヤ軸方向の外側を向く外向き面を含み、
前記複数の第1凸部のそれぞれの前記外向き面の表面積は、前記複数の第2凸部のそれぞれの前記外向き面の表面積の0.85~1.15倍である、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記複数の第1凹部のそれぞれの深さは、前記第2凹部のそれぞれの深さの0.7~1.3倍である、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記複数の第1凸部のそれぞれの隆起高さは、前記複数の第2凸部のそれぞれの隆起高さの0.7~1.3倍である、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【請求項12】
前記凹凸部は、タイヤ最大幅位置よりもタイヤ半径方向の内側に位置する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項13】
前記サイド部の正面視において、前記複数の凹部のそれぞれ、及び、前記複数の凸部のそれぞれは、実質的に矩形状である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両総重量が3tを超えるような小型シャトルバス用の空気入りタイヤが記載されている。この種の空気入りタイヤは、広い乗車スペースを確保するために小径化されている。また、特許文献1の空気入りタイヤは、カーカスのカーカスコードにスチールを採用する等をして、耐荷重能力を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の空気入りタイヤは、小径化されることでタイヤ回転数が大きくなり、また、積載量が大きい。このため、上述の空気入りタイヤは、サイド部に生じる繰り返し歪が大きく、その回数も大きくなる。したがって、この空気入りタイヤは、サイド部の耐久性能を向上することが望まれている。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、リム径が12~17インチのリムに装着される空気入りタイヤにおいて、サイド部の耐久性能を向上させることを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、リム径が12~17インチのリムに装着される空気入りタイヤであって、タイヤ断面高さSHとタイヤ断面幅SWとの比(SH/SW)が、0.30~0.45であり、前記リムのリム幅RWと前記タイヤ断面幅SWとの比(RW/SW)が0.78~0.99であり、トレッド部と、前記トレッド部からタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイド部とを含み、前記一対のサイド部の少なくとも一方の表面には、少なくとも1つの凹凸部が形成されており、前記少なくとも一つの凹凸部は、タイヤ周方向に配された複数の凹部及び/又は複数の凸部を含む、空気入りタイヤである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の空気入りタイヤは、上記の構成を採用することで、サイド部の耐久性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の空気入りタイヤのタイヤ子午線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。図面は、本発明の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれている。また、複数の実施形態がある場合、明細書を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。
【0010】
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」という場合がある。)1のタイヤ回転軸(図示省略)を含むタイヤ子午線断面図である。本発明のタイヤ1は、例えば、都市内での人や物などの輸送に主眼を置いた新たな小型シャトルバスに用いられる。この種のバスは、広い乗車スペースが求められており、車両総重量が3tを超えるものがある。また、前記バスは、インホイールモータ(図示省略)を有する自動運転機能を備えた電気自動車であってもよい。なお、本発明のタイヤ1は、乗用車用や重荷重用のタイヤ1に用いられてもよい。
【0011】
図1には、リムRに装着されて規定の内圧が充填されたときのタイヤ1が示されている。前記「規定の内圧」とは、このタイヤ1が最も性能を発揮するときの内圧をいい、例えば、400~1100kPa、もしくは500~900kPaである。なお、タイヤ1が乗用車用や重荷重用の場合には、前記「規定の内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば"INFLATION PRESSURE"が用いられる。以下、特に言及しない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、この規定の内圧が充填されて無負荷の状態で測定した値である。
【0012】
前記「リムR」とは、そのタイヤ1に適合するものが採用される。なお、タイヤ1が乗用車用や重荷重用の場合には、前記「リムR」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば"Design Rim"、ETRTOであれば"Measuring Rim"である。
【0013】
タイヤ1は、リム径RDが12~17インチのリムRに装着される。このように、本発明のタイヤ1は、小径化されたものが採用される。
【0014】
タイヤ1は、タイヤ断面高さSHとタイヤ断面幅SWとの比(SH/SW)が、0.30~0.45である。また、タイヤ1は、リムRのリム幅RWとタイヤ断面幅SWとの比(RW/SW)が0.78~0.99である。このように本発明のタイヤ1は、低偏平かつ車両重量を支持するためのエアボリュームが確保される。このようなタイヤ1としては、例えば、205/40R15や215/45R12のサイズのものが好適である。また、これらサイズのタイヤ1に適合するリムRのリム幅は、7.0Jや7.5Jである。なお、本発明のタイヤ1は、リムR内に前記インホイールモータが収容されるような大きな収容スペースを有しているものが望ましい。
【0015】
リム径RDは、リムRのリム本体部Rhの外径であり、リムフランジRfは含まない。タイヤ断面幅SWは、リムガード(図示省略)を除くタイヤ1のタイヤ軸方向の最大幅である。タイヤ断面高さSHは、リム径RDを定めるリム径位置(図示省略)とタイヤ1のタイヤ半径方向の最外端(タイヤ赤道に溝が設けられる場合は、前記溝を埋めて得られる)との間のタイヤ半径方向の離隔距離である。また、タイヤ1が乗用車用や重荷重用の場合には、前記リム径位置を通るタイヤ軸方向線が、ビードベースラインと称される。リム幅RWは、両側のリムフランジRfのタイヤ軸方向の内端間のタイヤ軸方向の距離である。タイヤ1が乗用車用や重荷重用の場合には、リム径RD及びリム幅RWは、リムRが依拠するJATMA規格が採用される。
【0016】
タイヤ1は、トレッド部2と、トレッド部2からタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイド部3とを含んでいる。一対のサイド部3の少なくとも一方の表面3sには、少なくとも1つの凹凸部10が形成されている。凹凸部10は、本実施形態では、一対のサイド部3の両方に形成されている。
【0017】
図2は、サイド部3の正面図である。
図3は、
図2のA-A線断面図である。
図4は、サイド部3の斜視断面図である。
図2ないし
図4に示されるように、少なくとも1つの凹凸部10は、タイヤ周方向に配された複数の凹部11及び/又は複数の凸部12を含んでいる。複数の凹部11及び/又は複数の凸部12は、サイド部3の表面3sに乱流を発生させるとともにその表面積を大きくして放熱性を高めるので、ゴムの熱破壊を抑えて耐久性能を向上する。また、複数の凹部11は、サイド部3のゴム量を小さくして発熱を抑える。さらに複数の凸部12は、サイド部3の剛性を高めてサイド部3の歪を低減して発熱を抑える。このため、本発明では、例えば、小型シャトルバス用に好適な空気入りタイヤ1のサイド部3の耐久性能を向上することができる。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、一対のビードコア5間をトロイド状に延びるカーカス6を含んでいる。カーカス6は、一対のビードコア5間を延びる本体部6aと、本体部6aに繋がって、ビードコア5のタイヤ軸方向の内側から外側に折り返される折返し部6bとを含んでいる。また、タイヤ1は、各ビードコア5からタイヤ半径方向の外側に延びるビードエーペックスゴム8と、ビードエーペックスゴム8のタイヤ軸方向の外側に配されるクリンチゴム9とを含んでいる。ビードエーペックスゴム8は、本体部6aと折返し部6bとに挟まれている。クリンチゴム9は、折返し部6bのタイヤ軸方向の外側に配置している。ビードコア5、カーカス6、ビードエーペックスゴム8及びクリンチゴム9は、周知の材料で形成される。なお、タイヤ1の構成部材は、このような態様に限定されるものではない。
【0019】
サイド部3の表面3sは、本実施形態では、タイヤ軸方向の外側を向く滑らかな面で形成される。なお、サイド部3の表面3sは、複数の条溝、及び、隣接する前記条溝間に配されたリッジからなる周知のセレーション模様(図示省略)が形成された態様でも構わない。
【0020】
図2ないし
図4に示されるように、少なくとも1つの凹凸部10は、本実施形態では、複数の凹部11及び複数の凸部12を含んでいる。これにより、タイヤ1の質量の過度の増加や、タイヤ1の剛性の過度の低下が抑えられる。凹凸部10は、本実施形態では、複数の凹部11及び複数の凸部12がタイヤ周方向に連続して並ぶように形成されている。なお、凹凸部10は、タイヤ周方向で途切れていてもよい。
【0021】
1つの凹凸部10は、複数の凹部11及び複数の凸部12がタイヤ半径方向に同じ位置に配されるように形成される。前記「同じ位置に配される」とは、各凹部11の図心14d、及び、各凸部12の図心17dにおいて、タイヤ半径方向の最も外側に位置する図心と、タイヤ半径方向の最も内側に位置する図心とのタイヤ半径方向の離隔距離L1が5mm以下のものを含む。本実施形態では、離隔距離L1が0mmとされる。各凹部11の図心14dは、後述する開口縁14の図心である。各凸部12の図心17dは、後述する外向き面17の図心である。
【0022】
少なくとも1つの凹凸部10は、例えば、基準面13をさらに含んでいる。複数の凹部11は、基準面13から凹んでいる。複数の凸部12は、基準面13から突出している。このような基準面13を有する凹凸部10は、乱流が基準面13と接触しやすく、高い放熱効果を有すると推察される。基準面13は、本実施形態では、タイヤ周方向に隣接する凹部11と凸部12との間に配される。なお、基準面13は、例えば、タイヤ周方向に隣接する凹部11同士の間に配されてもよい(図示省略)。また、基準面13は、例えば、凸部12同士の間に配されてもよい(図示省略)。
【0023】
基準面13は、本実施形態では、サイド部3の表面3sで形成されている。なお、基準面13は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、表面3sよりもタイヤ軸方向の外側又は内側に位置する態様でも構わない(図示省略)。
【0024】
少なくとも1つの凹凸部10は、例えば、凹部11及び凸部12がタイヤ周方向に交互に並べられている。このような態様は、タイヤ周方向に亘って、タイヤ1の剛性のバランスを高めるので、凹凸部10による放熱性を維持しつつ、サイド部3の耐久性能を高める。放熱効果を高める観点においては、少なくとも1つの凹凸部10は、例えば、凹部11同士がタイヤ周方向に並べられてもよいし、凸部12同士がタイヤ周方向に並べられてもよい(図示省略)。
【0025】
少なくとも1つの凹凸部10は、本実施形態では、複数の凹凸部10を含んでいる。複数の凹凸部10は、例えば、第1凹凸部10Aと、第1凹凸部10Aよりもタイヤ半径方向の外側に配された第2凹凸部10Bとを含んでいる。これにより、サイド部3の表面3sにおいて、さらに乱流を発生させることができるので、サイド部3の耐久性能を向上することができる。複数の凹凸部10は、例えば、第2凹凸部10Bのタイヤ半径方向の外側に配された第3凹凸部を含んでもよい(図示省略)。
【0026】
複数の凹部11は、例えば、第1凹凸部10Aに配された複数の第1凹部11Aと、第2凹凸部10Bに配された複数の第2凹部11Bとを含んでいる。複数の凸部12は、例えば、第1凹凸部10Aに配された複数の第1凸部12Aと、第2凹凸部10Bに配された複数の第2凸部12Bとを含んでいる。第1凹部11Aと第1凸部12Aとは、本実施形態では、タイヤ周方向に交互に並べられている。第2凹部11Bと第2凸部12Bとは、本実施形態では、タイヤ周方向に交互に並べられている。
【0027】
複数の第1凸部12Aは、例えば、複数の第2凸部12Bと、タイヤ周方向で重複しないように配置されている。これにより、タイヤ周方向における質量の偏りが抑制されるので、歪の集中が抑えられる。このような観点より、本実施形態では、複数の第1凹部11Aは、複数の第2凹部11Bと、タイヤ周方向で重複しないように配置されている。
【0028】
換言すると、本実施形態では、複数の第1凹部11Aは、複数の第2凸部12Bとタイヤ周方向で重複するように配置されている。また、本実施形態の複数の第1凸部12Aは、複数の第2凹部11Bとタイヤ周方向で重複するように配置されている。前記「重複するように配置」とは、第1凹部11Aの図心14dと、この第1凹部11Aとタイヤ半径方向に隣接する第2凸部12Bの図心17dとの間のタイヤ回転軸(図示省略)を中心とする角度αが0度なのはもちろん、10度以下の態様を含むものとする。同様に、第1凸部12Aの図心17dと、この第1凸部12Aとタイヤ半径方向に隣接する第2凹部11Bの図心14dとの間のタイヤ回転軸(図示省略)を中心とする角度αが0度なのはもちろん、10度以下の態様を含むものとする。
【0029】
凹部11は、本実施形態では、基準面13に形成される開口縁14と、基準面13よりもタイヤ軸方向の内側に位置する底面15と、開口縁14と底面15とを繋ぐ内壁面16とを含んでいる。凸部12は、例えば、タイヤ軸方向の外側を向く外向き面17と、外向き面17と基準面13とを繋ぐ外壁面18とを含んでいる。
【0030】
図4に示されるように、開口縁14は、例えば、第1外縁14aと、第1内縁14bと、一対の第1側縁14cとを含んでいる。第1外縁14aは、タイヤ半径方向の外側をタイヤ周方向に延びている。第1内縁14bは、第1外縁14aよりもタイヤ半径方向の内側に配されてタイヤ周方向に延びている。一対の第1側縁14cは、第1外縁14aの両端と第1内縁14bの両端とを繋いでいる。開口縁14は、第1外縁14aと第1側縁14cとを繋ぐ、及び、第1内縁14bと第1側縁14cとを繋ぐ4つの第1コーナ部s1をさらに含んでいる。
【0031】
図2に示されるように、外向き面17は、本実施形態では、第2外縁17aと、第2内縁17bと、一対の第2側縁17cとを含んでいる。第2外縁17aは、タイヤ半径方向の外側をタイヤ周方向に延びている。第2内縁17bは、第2外縁17aよりもタイヤ半径方向の内側に配されてタイヤ周方向に延びている。第2側縁17cは、第2外縁17aの両端と第2内縁17bの両端とを繋いでいる。外向き面17は、第2外縁17aと第2側縁17cとを繋ぐ、及び、第2内縁17bと第2側縁17cとを繋ぐ4つの第2コーナ部s2をさらに含んでいる。
【0032】
サイド部3の正面視において、複数の凹部11のそれぞれ、及び、複数の凸部12のそれぞれは、実質的に矩形状である。このような凹部11及び凸部12は、サイド部3の剛性の大きな低下を抑制しつつ、底面15及び外向き面17に乱流を効果的に接触させて放熱効果を高める。本実施形態では、凹部11の開口縁14の形状が実質的に矩形状である。また、凸部12の外向き面17の形状が実質的に矩形状である。前記「実質的に」とは、タイヤ製造上の精度誤差により、各第1コーナ部s1又は各第2コーナ部s2が円弧状で形成されている態様を含む。また、前記「実質的に」とは、各第1外縁14a、各第1内縁14b、各第2外縁17a及び各第2内縁17bがタイヤ周方向線fに沿って延びていてもよい。さらに、前記「実質的に」とは、各第1側縁14c及び第2側縁17cがタイヤ半径方向線gに沿って延びていてもよい。
【0033】
複数の第1凹部11Aのそれぞれの開口面積A1は、第2凹部11Bのそれぞれの開口面積A2の0.85倍以上が望ましく、0.90倍以上がさらに望ましく、1.15倍以下が望ましく、1.10倍以下がさらに望ましい。開口面積A1が開口面積A2の0.85倍以上、1.15倍以下であるので、第1凹部11Aによる歪と第2凹部11Bによる歪との差を小さくすることができるので、耐久性能の低下を抑えることができる。開口面積A1及び開口面積A2は、凹部11の開口縁14での面積である。
【0034】
複数の第1凸部12Aのそれぞれの外向き面17Aの表面積A3は、複数の第2凸部12Bのそれぞれの外向き面17Bの表面積A4の0.85倍以上が望ましく、0.90倍以上がさらに望ましく、1.15倍以下が望ましく、1.10倍以下がさらに望ましい。表面積A3が表面積A4の0.85倍以上、1.15倍以下であるので、第1凸部12Aによる質量の増加と第2凸部12Bによる質量の増加との差が小さくなり、タイヤ半径方向の質量のバランスが保たれて荷重の集中が抑えられる。これにより、サイド部3の耐久性能を高めることができる。
【0035】
図5は、サイド部3の斜視断面図である。
図5に示されるように、複数の第1凹部11Aのそれぞれの深さD1は、第2凹部11Bのそれぞれの深さD2の0.7倍以上が望ましく、0.8倍以上がさらに望ましく、1.3倍以下が望ましく、1.2倍以下がさらに望ましい。深さD1が深さD2の0.7倍以上、1.3倍以下であるので、第1凹部11Aによる質量の低下と第2凹部11Bによる質量の低下との差が小さくなり、サイド部3に生じる歪が均等化されるため、サイド部3の耐久性能が維持される。深さD1及び深さD2は、1.5mm以上が望ましく、2.5mm以上がさらに望ましく、5.0mm以下が望ましく、4.0mm以下がさらに望ましい。
【0036】
複数の第1凸部12Aのそれぞれの隆起高さH1は、第2凸部12Bのそれぞれの隆起高さH2の0.7倍以上が望ましく、0.8倍以上がさらに望ましく、1.3倍以下が望ましく、1.2倍以下がさらに望ましい。隆起高さH1が隆起高さH2の0.7倍以上、1.3倍以下であるので、第1凸部12Aによる剛性の増加と第2凸部12Bによる剛性の増加との差が小さく、サイド部3に生じる歪が均等化される。隆起高さH1及び隆起高さH2は、1.5mm以上が望ましく、2.5mm以上がさらに望ましく、5.0mm以下が望ましく、4.0mm以下がさらに望ましい。
【0037】
特に限定されるものではないが、複数の凹部11のそれぞれ、及び、複数の凸部12のそれぞれのタイヤ周方向の長さLaは、30mm以上が望ましく、40mm以上がさらに望ましく、60mm以下が望ましく、50mm以下がさらに望ましい。また、複数の凹部11のそれぞれ、及び、複数の凸部12のそれぞれのタイヤ半径方向の長さHaは、5mm以上が望ましく、10mm以上がさらに望ましく、30mm以下が望ましく、20mm以下がさらに望ましい。タイヤ周方向の長さLaは、各図心14d、17dを通るタイヤ周方向線上での長さである。本実施形態では、凹部11の長さLaと凸部12の長さLaとが同じとされている。また、本実施形態では、凹部11の長さHaと凸部12の長さHaとが同じとされている。
【0038】
特に限定されるものではないが、タイヤ周方向に隣接する凹部11と凸部12との間のタイヤ周方向の長さ(基準面13の長さ)Lbは、2.0mm以上が望ましく、4.0mm以上がさらに望ましく、10.0mm以下が望ましく、8.0mm以下がさらに望ましい。長さLbは、凹部11の図心14dを通るタイヤ周方向線上の長さである。さらに、タイヤ半径方向に隣接する凹部11と凸部12との間のタイヤ半径方向の長さ(基準面13の長さ)Lcは、2.0mm以上が望ましく、4.0mm以上がさらに望ましく、8.0mm以下が望ましく、6.0mm以下がさらに望ましい(
図3に示す)。
【0039】
図1に示されるように、凹凸部10は、本実施形態では、タイヤ最大幅位置Mよりもタイヤ半径方向の内側に位置している。これにより、凹凸部10は、タイヤ最大幅位置Mよりもタイヤ半径方向の内側に配されるビードエーペックスゴム8、カーカス6及びクリンチゴム9の折れや皺等による剥がれを抑えることができる。このため、より一層、サイド部3の耐久性能が向上する。タイヤ最大幅位置Mは、タイヤ断面幅SWとなるタイヤ半径方向の位置である。本実施形態では、第2凹部11Bの第1外縁14a及び第2凸部12Bの第2外縁17aがクリンチゴム9のタイヤ半径方向の外端9eよりもタイヤ半径方向の内側に位置している。なお、凹凸部10は、タイヤ最大幅位置Mよりもタイヤ半径方向の外側に位置していてもよい。
【0040】
以上、本発明の一実施形態が詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
【実施例0041】
図1の基本構造を有する空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。そして、各テストタイヤのサイド部の耐久性能についてテストがされた。各テストタイヤの共通仕様、及び、テスト方法は、以下の通りである。
【0042】
<耐久性能>
各テストタイヤを下記の条件にて走行させ、サイド部のビードエーペックス、カーカス、クリンチゴムに損傷が発生するまでの走行距離が測定された。テスト結果は、実施例1の結果を100とする指数で示された。95以上が合格である。
タイヤサイズ:205/40R15
リム:7.0J
内圧:520kPa
比(SH/SW):0.4
比(RW/SW):0.85
La:4.5mm
Lb:6.0mm
Lc:5.0mm
Ha:1.5mm
車両:トヨタ自動車株式会社製のE-Pallet
テストの結果が表1に示される。
【0043】
【0044】
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比して、サイド部の耐久性能が向上していることが理解される。
【0045】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0046】
[本発明1]
リム径が12~17インチのリムに装着される空気入りタイヤであって、
タイヤ断面高さSHとタイヤ断面幅SWとの比(SH/SW)が、0.30~0.45であり、
前記リムのリム幅RWと前記タイヤ断面幅SWとの比(RW/SW)が0.78~0.99であり、
トレッド部と、前記トレッド部からタイヤ半径方向内側に延びる一対のサイド部とを含み、
前記一対のサイド部の少なくとも一方の表面には、少なくとも1つの凹凸部が形成されており、
前記少なくとも一つの凹凸部は、タイヤ周方向に配された複数の凹部及び/又は複数の凸部を含む、
空気入りタイヤ。
[本発明2]
前記少なくとも1つの凹凸部は、前記複数の凹部及び前記複数の凸部を含む、本発明1に記載の空気入りタイヤ。
[本発明3]
前記少なくとも1つの凹凸部は、基準面をさらに含み、
前記複数の凹部は、前記基準面から凹んでおり、
前記複数の凸部は、前記基準面から突出しており、
前記基準面は、タイヤ周方向で隣接する前記凹部と前記凸部との間に配置されている、本発明2に記載の空気入りタイヤ。
[本発明4]
前記少なくとも1つの凹凸部は、前記凹部及び前記凸部がタイヤ周方向に交互に並べられている、本発明2又は3に記載の空気入りタイヤ。
[本発明5]
前記少なくとも1つの凹凸部は、複数の凹凸部を含み、
前記複数の凹凸部は、第1凹凸部と、前記第1凹凸部よりもタイヤ半径方向の外側に配された第2凹凸部とを含む、本発明1ないし4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
[本発明6]
前記複数の凹部は、第1凹凸部に配された複数の第1凹部と、前記第2凹凸部に配された複数の第2凹部とを含み、
前記複数の凸部は、第1凹凸部に配された複数の第1凸部と、前記第2凹凸部に配された複数の第2凸部とを含み、
前記複数の第1凸部は、前記複数の第2凸部と、タイヤ周方向で重複しないように配置されている、本発明5に記載の空気入りタイヤ。
[本発明7]
前記複数の第1凹部は、前記複数の第2凹部と、タイヤ周方向で重複しないように配置されている、本発明6に記載の空気入りタイヤ。
[本発明8]
前記複数の第1凹部のそれぞれの開口面積は、前記第2凹部のそれぞれの開口面積の0.85~1.15倍である、本発明6又は7に記載の空気入りタイヤ。
[本発明9]
前記複数の第1凸部及び前記複数の第2凸部のそれぞれは、タイヤ軸方向の外側を向く外向き面を含み、
前記複数の第1凸部のそれぞれの前記外向き面の表面積は、前記複数の第2凸部のそれぞれの前記外向き面の表面積の0.85~1.15倍である、本発明6ないし8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
[本発明10]
前記複数の第1凹部のそれぞれの深さは、前記第2凹部のそれぞれの深さの0.7~1.3倍である、本発明6ないし9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
[本発明11]
前記複数の第1凸部のそれぞれの隆起高さは、前記複数の第2凸部のそれぞれの隆起高さの0.7~1.3倍である、本発明6ないし10のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
[本発明12]
前記凹凸部は、タイヤ最大幅位置よりもタイヤ半径方向の内側に位置する、本発明1ないし11のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
[本発明13]
前記サイド部の正面視において、前記複数の凹部のそれぞれ、及び、前記複数の凸部のそれぞれは、実質的に矩形状である、本発明1ないし12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【0047】
1 空気入りタイヤ
3 サイド部
3s 表面
10 凹凸部
11 凹部
12 凸部
R リム
RD リム径
RW リム幅
SH タイヤ断面高さ
SW タイヤ断面幅