IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドーエイ外装有限会社の特許一覧

<>
  • 特開-床用目地装置 図1
  • 特開-床用目地装置 図2
  • 特開-床用目地装置 図3
  • 特開-床用目地装置 図4
  • 特開-床用目地装置 図5
  • 特開-床用目地装置 図6
  • 特開-床用目地装置 図7
  • 特開-床用目地装置 図8
  • 特開-床用目地装置 図9
  • 特開-床用目地装置 図10
  • 特開-床用目地装置 図11
  • 特開-床用目地装置 図12
  • 特開-床用目地装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121572
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】床用目地装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028736
(22)【出願日】2023-02-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DG00
2E001FA71
2E001PA03
2E001PA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】目地部が開口せず地震による揺れ動きを吸収することができる床用目地装置を提供する。
【解決手段】第1の目地プレート支持部5と、第2の目地プレート支持部6と、目地プレート支持機構7と、目地プレート8と、カバー部材10とで構成され、目地プレート支持機構は、他方の躯体4に固定的に設けられた複数個の筒部材12と、筒部材にそれぞれ出没自在に設けられた可動の支持筒13と、支持筒を突出する方向に付勢する付勢具14と、支持筒が筒部材から脱落することを防止するストッパーとで構成され、カバー部材支持手段は、支持筒に設けられ、カバー部材の一端部側を支持するバー部材23と、他方の躯体に取り付けられ、バー部材を支持するブラケット25とで構成され、カバー部材は、その一端部がバー部材に支持され、他端部が第2の目地プレート支持部に支持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体と他方の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部と対向する部位の前記他方の躯体の一部に形成された第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部と対向する部位の一部で、かつ、前記第2の目地プレート支持部が形成されていない部位に設けられた目地プレート支持機構と、前記第1の目地プレート支持部に一端部側が支持された状態で取り付けられ、前記第2の目地プレート支持部又は前記目地プレート支持機構のいずれかに他端部側が支持された目地プレートと、一端部がカバー部材支持手段によって支持されるとともに、他端部が前記第2の目地プレート支持部に支持され、かつ、地震時に前記目地プレートと前記他方の躯体の間に前記目地部が開口しないように該目地部を塞ぐことができるカバー部材とで構成され、
前記目地プレート支持機構は、前記他方の躯体に固定的に設けられた複数個の筒部材と、前記筒部材にそれぞれ出没自在に設けられた可動の支持筒と、前記支持筒を突出する方向に付勢する付勢具と、前記支持筒が前記筒部材から脱落することを防止するストッパーとで構成され、
前記カバー部材支持手段は、前記支持筒に設けられ、前記カバー部材の一端部側を支持するバー部材と、前記他方の躯体に取り付けられ、前記バー部材を支持するブラケットとで構成され、前記カバー部材は、その一端部が前記バー部材に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に支持される床用目地装置。
【請求項2】
前記ブラケットは、溝状のガイド部を有し、前記バー部材の突出端部側の底部にピンが設けられ、前記ピンが前記ガイド部に挿入されることを特徴とする請求項1記載の床用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた躯体の間の目地部を塞ぐ床用目地装置及び目地プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、境界線等が目地部付近に存在し、地震時に目地プレートが左右方向に摺動するために十分なスペースを得られない部位に設けられる床用目地装置としては「目地部を介して設けられた左右の床躯体の目地部の幅寸法とほぼ同じ幅寸法が境界線までにあるように形成された一方の床躯体と、この一方の床躯体の上面に所定間隔で固定され、複数個の支持筒より前記目地部へ、該目地部の幅寸法分だけ常時突出するように取付けられた作動杆を有する目地プレート支持機構と、この目地プレート支持機構の支持筒の上面に位置するように、該支持筒あるいは前記一方の床躯体に固定された、前記目地部側の下端部が目地部方向に突出する傾斜面に形成された固定目地プレートと、前記一方の床躯体と前記目地部を介して位置する突出部を有し、かつ前記固定目地プレートの上面位置とほぼ同じ上面位置となる他方の床躯体と、この他方の床躯体の目地部側の突出部に後端部が上方への移動が可能に取付けられ、先端部が前記目地プレート支持機構に支持されて前記目地部を覆う目地プレートと、前記目地プレート支持機構の作動杆の突出位置を規制するストッパーと、前記目地プレート支持機構の作動杆の先端部に下方へ突出する支持杆をスライド移動可能に支持する、前記他方の床躯体の突出部の下部に入り込む前記一方の床躯体の目地部側に固定された支持体とからなることを特徴とする床用目地装置」が知られている(特許文献1)。
【0003】
このような床用目地装置であれば目地プレートが摺動するスペースを十分に確保できなくても地震による揺れ動きを吸収することができ、問題なく目地部を塞ぐことができた。
【0004】
このような床用目地装置では、目地プレート支持機構を設置する必要があり、他方の躯体の床面に単に目地プレート支持部を形成するよりもコストが増大するものであった。そのため、目地プレートが左右方向に摺動するために十分なスペースを得られる部分については、目地プレート支持部を躯体に形成して目地プレートを設置するとともに、目地プレートが摺動するスペースを十分に確保できない部分については、特許文献1のような目地プレート支持機構を用いて目地プレートを支持することでコストを抑えて目地部を塞ぐことができた。
【0005】
しかし、単にこれらの床用目地装置をそれぞれ設置しただけでは、通常時においては問題なく目地部を塞ぐことができるものの、地震時に目地部が開口してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4499033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地部が開口せず地震による揺れ動きを吸収することができる床用目地装置を提供することを目的としている。
【0008】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0009】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の床用目地装置は、一方の躯体と他方の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部と対向する部位の前記他方の躯体の一部に形成された第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部と対向する部位の一部で、かつ、前記第2の目地プレート支持部が形成されていない部位に設けられた目地プレート支持機構と、前記第1の目地プレート支持部に一端部側が支持された状態で取り付けられ、前記第2の目地プレート支持部又は前記目地プレート支持機構のいずれかに他端部側が支持された目地プレートと、一端部がカバー部材支持手段によって支持されるとともに、他端部が前記第2の目地プレート支持部に支持され、かつ、地震時に前記目地プレートと前記他方の躯体の間に前記目地部が開口しないように該目地部を塞ぐことができるカバー部材とで構成され、前記目地プレート支持機構は、前記他方の躯体に固定的に設けられた複数個の筒部材と、前記筒部材にそれぞれ出没自在に設けられた可動の支持筒と、前記支持筒を突出する方向に付勢する付勢具と、前記支持筒が前記筒部材から脱落することを防止するストッパーとで構成され、前記カバー部材支持手段は、前記支持筒に設けられ、前記カバー部材の一端部側を支持するバー部材と、前記他方の躯体に取り付けられ、前記バー部材を支持するブラケットとで構成され、前記カバー部材は、その一端部が前記バー部材に支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部に支持されることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載された床用目地装置の前記ブラケットは、溝状のガイド部を有し、前記バー部材の突出端部側の底部にピンが設けられ、前記ピンが前記ガイド部に挿入される。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、カバー部材を設けることにより地震時に目地部が開口することを確実に防止することができる。
(2)請求項2に記載の発明においても、前記(1)と同様な効果が得られるとともに、よりスムーズに地震による揺れ動きに追従することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1乃至図13は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態を示す床用目地装置の平面図(通常時)。
図2図1の2-2線に沿う断面図。
図3図1の3-3線に沿う断面図。
図4図1の4-4線に沿う断面図。
図5】一方の躯体、他方の躯体及び目地プレート支持装置の説明図。
図6】カバー部材及びカバー部材支持手段の説明図。
図7】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図(1)。
図8】地震で目地部が狭くなった状態の動作説明図(2)。
図9】地震で目地部が狭くなった状態のカバー部材及びカバー部材支持手段の動作説明図。
図10】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図(1)。
図11】地震で目地部が広くなった状態の動作説明図(2)。
図12】地震で目地部が広くなった状態のカバー部材及びカバー部材支持手段の動作説明図。
図13】地震で目地部が広くなるとともに、左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1乃至図13に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた一方の躯体3及び他方の躯体4間に設置された床用目地装置である。
【0016】
なお、左右方向とは図1(平面視)における左右方向(であり、前後方向とは図1における上下方向、上下方向とは図2における上下方向をいう。
【0017】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0018】
本実施形態の床用目地装置1は、図1乃至図4に示すように、前記一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部5と、前記第1の目地プレート支持部5と目地部2を介して対向する部位の前記他方の躯体4の一部に形成された第2の目地プレート支持部6と、前記第1の目地プレート支持部5と目地部2を介して対向する部位で、かつ、前記第2の目地プレート支持部6が形成されていない部位に設けられた目地プレート支持機構7と、前記第1の目地プレート支持部5に一端部側が支持された状態で取り付けられ、前記第2の目地プレート支持部6又は前記目地プレート支持機構7に他端部側が支持された目地プレート8と、一端部がカバー部材支持手段9によって支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部6に支持され、地震時に前記目地部2が開口しないよう前記目地部を塞ぐことができる板状のカバー部材10とで構成されている。
【0019】
一方の躯体3には第1の目地プレート支持部5が形成されており、この第1の目地プレート支持部5は、例えば図2に示すように、本実施形態では一方の躯体3の目地部2側の床面に前後方向に延在するように形成された凹所状の部位で、目地プレート8の一端部側の底部を支持する。なお、一方の躯体3の目地部2側の壁面に前後方向に延在する略アングル状又は略クランク状等の金属製の部材を固定し、第1の目地プレート支持部5としてもよいし、躯体3の床面に凹所状に形成した第1の目地プレート支持部と前後方向に延在する略アングル状又は略クランク状等の金属製の部材を固定した第1の目地プレート支持部を併用してもよい。
【0020】
他方の躯体4の前記一方の躯体3と目地部2を介して対向する部位の一部には、凹所状の第2の目地プレート支持部6が形成されている。具体的には境界線等が存在せず、目地プレート8が左右方向に十分摺動できる部位には第2の目地プレート支持部6が形成されており、この第2の目地プレート支持部6は地震時に目地プレート8が左右方向に摺動できる程度の長さに形成されている。
【0021】
一方、他方の躯体4の前記一方の躯体3と目地部2を介して対向する部位であって、第2の目地プレート支持部6が形成されていない部位には、目地プレート支持機構7が設けられている。目地プレート8は他端部が第2の目地プレート支持部6又は目地プレート支持機構7に支持される。この目地プレート支持機構7の上部(目地プレート8を支持する部位)は、第2の目地プレート支持部6の上面と略面一となることが望ましい。
【0022】
ところで、第2の目地プレート支持部6の目地部2と反対側の端部や目地プレート支持機構7と他方の躯体4の床面の間には、地震によって目地部2が狭くなった場合に、目地プレート8が乗り上げる乗り上げ傾斜面11が形成されている。
【0023】
目地プレート支持機構7は、他方の躯体4に固定された角パイプ状の筒部材12と、前記筒部材12にそれぞれ出没自在に設けられ、その上面で目地プレート8の底面を支持可能な支持筒13と、前記支持筒13を常時一方の躯体側へ突出するように付勢する付勢具14と、支持筒13が所定の部位よりも一方の躯体側へ変位(突出)して筒部材12から脱落しないように、支持筒13の突出長さを制限するストッパー15とで構成されている。ストッパー15は、本実施形態においては、一端部が支持筒13に固定され、他端部が他方の躯体4に固定されたワイヤーを用いているが、例えば、筒部材12と支持筒13にそれぞれ係合片等を設け、所定の長さまで支持筒13が突出した場合には、係合片が当接し、それ以上支持筒13が突出しないように制御するストッパー15としてもよい。
【0024】
この目地プレート支持機構7は、本実施形態においては、前後方向に略隙間なく設けられており、地震によって目地部2が広くなるように左右の躯体3、4が揺れ動いた場合であっても、目地部2を略隙間なく塞ぐことができる。
【0025】
目地プレート8は通常時、地震時のいずれも支持筒13によって支持されていてもよいし、通常時には筒部材12によって支持され、地震によって目地部2が広くなるように揺れ動いた場合に支持筒13に支持されるものであってもよい。本実施形態においては、通常時は筒部材12に支持され、地震によって目地部2が広くなるように揺れ動いた場合に支持筒13に支持される形態を採用している。このように構成することにより、他方の躯体4に底面が支持されている筒部材12によって目地プレート8を支持することができるため、目地プレート8等からかかる荷重を他方の躯体4で効率よく受けることができる。
【0026】
なお、支持筒13の上面と乗り上げ傾斜面11の間に段差が生じる場合には、段差を解消する傾斜面等を目地プレート支持機構7又は目地プレート8に設けることが望ましい。また、各支持筒13の突出端部を連結するバー状部材を設けることが望ましく、通常時においては筒部材12が目地プレート8の底面を支持し、地震時には支持筒13が目地プレート8の底面を支持する場合には、このバー条部材の上面を筒部材12の上面と略水平となるように形成し、この上面で目地プレート8の底面を支持できるようにすることで、目地部が狭くなった場合であっても目地プレート8を略水平に維持することができる。
【0027】
本発明の目地プレート8は、通常時において、例えば図2図3で示すように、一端部に形成された杭ケース16に第1の目地プレート支持部5に設けられた係止杭17が挿入され、取付状態で一端部が支持され、他端部が第2の目地プレート支持部6又は目地プレート支持機構7に支持された状態で目地部2の前後方向に複数個、望ましくは略隙間なく設けられている。なお、本実施形態では、約2mm程度の間隙を有して配置されており、略隙間なくとは、隣り合う目地プレート8が当接状態で配置されている状態だけでなく、若干、数ミリ程度の間隙を有して配置される場合も含まれるものである。
【0028】
この目地プレート8は、平面視略長方形状の金属製の目地プレート本体18と、この目地プレート本体18の長手方向の一端部の両側部に設けられた前記杭ケース16と、前記目地プレート本体18の内部に充填されたモルタルやコンクリート等の充填部材19と、この充填部材19の上面に貼り付けられた大理石等のタイルやレンガ等の化粧板20と、目地プレート本体18の他端部側にヒンジ部材21を介して取り付けられたカバープレート22とで構成されている。このカバープレート22は乗り上げ傾斜面11の部位を平坦に塞ぐことができるように設けられており、第2の目地プレート支持部6と目地プレート支持機構7が設置されている部位の上部の他方の躯体4の床面との間に設けられた左右方向に延在する乗り上げ傾斜面11の上部も塞げるように設けることが望ましい。
【0029】
なお、本実施形態においては、他端部側が第2の目地プレート支持部6に支持されるものと目地プレート支持機構7に支持されるもので長手方向の寸法が異なり、他端部側が第2の目地プレート支持部6に支持されるものを長尺目地プレート8a、他端部側が目地プレート支持機構7に支持されるものを短尺目地プレート8bとして説明する。長尺目地プレート8aは、その全長(左右方向の長さ)が地震による揺れ動き幅の約2倍以上に形成されており、短尺目地プレート8bはその全長が地震による揺れ動き幅を超え、目地部2が最も広がった場合であっても目地プレート支持機構7から脱落せず、目地部が最も狭くなった場合でも境界線や他の構造物に衝突しない程度の長さに形成されている。
【0030】
本実施形態においては、この長尺目地プレート8aは第1の目地プレート支持部5に固定された一般的な係止杭17aを用いて係止されており、短尺目地プレート8bは、第1の目地プレート支持部5に上下方向に摺動可能に挿入され、杭ケース16に係合し、短尺目地プレート8bとともに上下方向に変位可能な係止杭17bを用いて係止されている。なお、長尺目地プレート8aについても短尺目地プレート8bと同様の係止杭17bを用いて係止してもよいし、係止杭17が杭ケース16から脱落せずに地震による揺れ動きを吸収できる場合には、短尺目地プレート8bを通常の係止杭17aで係止してもよい。
【0031】
ところで、本実施形態においては、上面が平坦な目地プレート本体18を用いているが、左右方向(長手方向)に傾斜がある目地プレート本体18や、前後方向(長手方向と直交する方向)に傾斜がある目地プレート本体18を用いてもよいし、浅皿状の目地プレート本体18内部に目地プレート本体18の長手方向に延在する複数のリブや格子状のリブ等の補強材(図示せず)を固定的に設けてもよい。また、例えば板状(中実)の目地プレート本体18を用いた目地プレート8としてもよいし、化粧板20やカバープレート22等を備えない目地プレート8としてもよい。
【0032】
カバー部材10は、一端部側がカバー部材支持手段9によって支持され、他端部が前記第2の目地プレート支持部6に支持され、地震時に前記目地部が開口しないよう前記目地部を塞ぐことができる平板状の部材で、本実施形態においては、目地プレート支持機構7に他端部が支持される目地プレート8(短尺目地プレート8b)と隣り合い、第2の目地プレート支持部6に他端部が支持される目地プレート8(長尺目地プレート8a)の下方の目地部2を塞ぐように設けられている。すなわち、目地プレート支持機構7と第2の目地プレート支持部6の境目付近から第2の目地プレート支持部6側の目地部2を塞ぐように設けられている。カバー部材10の前後方向の寸法としては、地震による前後方向の揺れ動き幅を超える程度の寸法(地震時に目地部2が開口しない寸法)とすればよい。
【0033】
このようにカバー部材10を設けることにより、地震によって目地部2が広くなるとともに、一方の躯体が前方(図1における下方向)へ、他方の躯体が後方(図1における下方向)へ揺れ動いた際にも、目地部2が開口することなく揺れ動きを吸収することができる。
【0034】
このカバー部材10は、その一端部側が支持筒13の突出端部側(一方の躯体側の端部)と略面一となるように形成されており、他端部側が第2の目地プレート支持部6の目地部2側の端部付近に支持される。なお、第2の目地プレート支持部6のカバー部材10を支持する部位には、カバー部材10の上面が第2の目地プレート支持部6の上面と略面一となるような凹所6aを形成することが望ましく、この凹所6aは地震時にカバー部材10が左右方向に摺動できる程度の長さに形成することが望ましい。
【0035】
カバー部材支持手段9は、前記多数の支持筒13を連結するように設けられ、カバー部材10の一端部側の底部を支持するバー部材23と、前記他方の躯体4の壁面に固定部25aに設けられた回動軸24を介して位置変位(回動)可能な可動部25bを有し、前記バー部材23を支持するブラケット25とで構成されており、前記カバー部材10は、その一端部側の底部が前記バー部材23に支持されるとともに、このバー部材23の底部がブラケット25によって支持され、更に他端部が前記第2の目地プレート支持部6に支持されている。
【0036】
バー部材23は、本実施形態においては、支持筒13の先端部に設けられたバー部材23で、このバー部材23は本実施形態においては、角パイプ状に形成されている。このバー部材23の上面にカバー部材10の一端部側の底面が固定されている。
【0037】
ブラケット25は、前記他方の躯体4の壁面に固定された固定部25aを有し、この固定部25aと回動軸24を介して接続された可動部25bを有する部材で、可動部25bの上部にはバー部材23の突出端部側の底部に設けられたピン26が挿入される所定長の溝状のガイド部27が形成されている。
【0038】
このブラケット25は目地部2が狭くなった場合には、回動軸24を支点に回動する。溝状のガイド部27は、この時もピン26が係合状態を維持できる形状に形成されている。これにより常時ピン26とガイド部27が係合状態となり、ブラケット25の上面でバー部材23の底面を支持することができる。
【0039】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、長尺目地プレート8aは、図7に示すように、乗り上げ傾斜面11を乗り上げ、傾斜状態となって地震による揺れ動きを吸収するとともに、短尺目地プレート8bは、図8に示すように、乗り上げ傾斜面11を乗り上げて他方の躯体4の床面上を左右方向に摺動し、地震による揺れ動きを吸収する。このような動きができるように、本実施形態においては目地プレート8は第1の目地プレート支持部5に上下方向に摺動可能に挿入され、杭ケース16に係合し、目地プレート8とともに上下方向に変位可能な係止杭17を用いて係止されている。なお、地震の規模が小さい場合や想定される最大規模の地震であっても目地プレート8が傾斜状態となって地震による揺れ動きを吸収することができる場合には、第1の目地プレート支持部5に固定的に設けられた係止杭17を用いて係止してもよい。
【0040】
ところで、地震によって目地部2が狭くなった時、支持筒13、カバー部材10及びカバー部材支持手段9は、図9に示すように、一方の躯体3の壁面により押圧されることにより、支持筒13は筒部材12の内部に入り込むように摺動するとともに、この筒部材12に一端部が取り付けられているカバー部材10も凹所6a上を左右方向に摺動する。また、カバー部材支持手段9のブラケット25は、ガイド部27に係合するピン26により押圧されて回動軸24を支点に回動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0041】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、図10に示すように、長尺目地プレート8aは第2の目地プレート支持部6の上面を摺動し、短尺目地プレート8bは、図11に示すように、目地プレート支持機構7の支持筒13の上面を左右方向に摺動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0042】
この時カバー部材10及びカバー部材支持手段9は、図12に示すように、ストッパー15によって支持筒13の突出量が通常時と同様であり、この支持筒13の一端部側にカバー部材10が取り付けられているため、図10に示すように、カバー部材10及びカバー部材支持手段9は他方の躯体4と同調して揺れ動き、地震による揺れ動きを吸収する。
【0043】
地震で左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動くとともに目地部2が広がるように揺れ動いた場合には、図13に示すように、長尺目地プレート8aは第2の目地プレート支持部6の上面を、短尺目地プレート8bは目地プレート支持機構7の支持筒13の上面を左右方向及び前後方向に摺動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0044】
この時、カバー部材10は、短尺目地プレート8bと第2の目地プレート支持部6との間の目地部2aの上部に位置し、この部位の目地部2aが開口しないように目地部2aを塞ぐことができる。ここで、「目地部2が開口する」とは、人が落下するような隙間が生じることをいい、例えばグレーチング蓋程度の隙間や、人が落下しない程度の隙間が開口するものであっても、「目地部2が開口しないように塞ぐ」という状態に含まれるものである。
【0045】
なお、本発明の実施形態では、化粧板やカバープレートを備える目地プレートについて説明したが、これらは必ずしも設ける必要はない。
【0046】
また、ブラケットは板状のものについて説明したが、目地プレート支持機構(筒部材、支持筒及び付勢具)と同様の構成の機構を単独でカバー部材の前方側の端部付近に設け、これをブラケットとしてもよい。この場合、筒部材が固定部、支持筒が可動部となる。
【0047】
さらに、ガイド溝を有さないブラケットとし、ブラケットの回動軸を付勢するとともに、ブラケットの回動を一定の角度以上に回動しないように制限するワイヤー等の制限手段を接続し、ブラケットの上面で常時バー部材を支持するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は床用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0049】
1:床用目地装置、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:第1の目地プレート支持部、 6:第2の目地プレート支持部、
7:目地プレート支持機構、 8:目地プレート、
9:カバー部材支持手段、 10:カバー部材、
11:乗り上げ傾斜面、 12:筒部材、
13:支持筒、 14:付勢具、
15:ストッパー、 16:杭ケース、
17:係止杭、 18:目地プレート本体、
19:充填部材、 20:化粧板、
21:ヒンジ部材、 22:カバープレート、
23:バー部材、 24:回動軸、
25:ブラケット、 26:ピン、
27:ガイド部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13