(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121573
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】メモリデバイス
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240830BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028737
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄吾
(72)【発明者】
【氏名】浦谷 昭太
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083JA02
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA56
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR21
5F101BA46
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】メモリデバイスの歩留まりを向上させ且つ動作特性を改善させる。
【解決手段】実施形態のメモリデバイスは、第1及び第2板状部材SLTと複数の柱状部材と複数のワード線とを含む。複数の柱状部材は、第1及び第2板状部材間で第2方向に並んだK行(Kは4以上の整数)の格子状に配置され、1行目及びK行目間の複数行に配置された複数のメモリピラーMPと、1行目とK行目とのそれぞれに配置された複数のダミーピラーDPとを含む。各ダミーピラーDPは、複数のワード線の少なくとも一つと第2方向に対向して設けられた部分を有し、且つ第1及び第2板状部材のいずれかと接して設けられた第1絶縁体層を含む。複数のワード線のうち複数のメモリピラーMPと複数のダミーピラーDPとの両方と第2方向に対向するワード線が含まれる位置で、ダミーピラーDPの径は、メモリピラーMPの径よりも小さい。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が第1方向に延伸して設けられた部分を有し、前記第1方向と交差する第2方向に並んだ第1板状部材及び第2板状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間で前記第2方向に並んだK行(Kは4以上の整数)の格子状に配置され、前記K行のうち1行目とK行目との間の複数行に配置された複数のメモリピラーと前記K行のうち1行目とK行目とに配置された複数のダミーピラーとを含んで、それぞれが前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延伸する複数の柱状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間で、前記第3方向に互いに離れて設けられた複数のワード線と、を備え、
前記複数のメモリピラーの各々は、前記複数のワード線のそれぞれと前記第2方向に対向して設けられた部分を有する半導体層を含み、
前記複数のダミーピラーの各々は、前記複数のワード線の少なくとも一つと前記第2方向に対向して設けられた部分を有し、且つ前記第1板状部材及び前記第2板状部材のいずれかと接して設けられた第1絶縁体層を含み、
前記複数のワード線のうち前記複数のメモリピラーと前記複数のダミーピラーとの両方と前記第2方向に対向するワード線が含まれる前記第3方向の位置で、前記複数のダミーピラーのそれぞれの径は、前記複数のメモリピラーのそれぞれの径よりも小さい、
メモリデバイス。
【請求項2】
前記複数のダミーピラーの各々は、前記第3方向の前記位置で、前記第1板状部材及び前記第2板状部材のいずれかによって一部が欠けた略円形状の断面を有する、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
前記K行のうち1行目に配置されたダミーピラーの中心部分と前記K行のうち2行目に配置されたメモリピラーの中心部分との前記第2方向の間隔と、前記K行のうち1行目とK行目との間で隣り合う2つの行に配置された2つのメモリピラーのそれぞれの中心部分の前記第2方向の間隔と、前記K行のうちK行目に配置されたダミーピラーの中心部分と前記K行のうち(K-1)行目に配置されたメモリピラーの中心部分との前記第2方向の間隔とは、略等しい、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項4】
前記複数のワード線から前記第3方向に離れて設けられたソース線をさらに備え、
前記ソース線は、前記複数のメモリピラーのそれぞれの前記半導体層に接続され、前記複数のダミーピラーのそれぞれに対して前記第3方向に離れている、
請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項5】
各々が第1方向に延伸して設けられた部分を有し、前記第1方向と交差する第2方向に並んだ第1板状部材及び第2板状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間で前記第2方向に並んだK行(Kは4以上の整数)の格子状に配置され、前記K行のうち1行目とK行目との間の複数行に配置された複数のメモリピラーと、前記K行のうち1行目とK行目に配置された複数のダミーピラーとを含んで、それぞれが前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延伸する複数の柱状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間で、前記第3方向に互いに離れて設けられた複数のワード線と、
前記複数のワード線から前記第3方向に離れて設けられた導電体層とを備え、
前記複数のメモリピラーの各々は、前記複数のワード線のそれぞれと前記第2方向に対向して設けられた部分と、前記導電体層に接続された部分とを有する半導体層を含み、
前記複数のダミーピラーの各々は、前記複数のワード線の少なくとも一つと前記第2方向に対向して設けられた部分を有し、前記第1板状部材及び前記第2板状部材のいずれかと接し、且つ前記導電体層から前記第3方向に離れて設けられた第1絶縁体層を含む、
メモリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、メモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0194435号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メモリデバイスの歩留まりを向上させ且つ動作特性を改善させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のメモリデバイスは、第1板状部材及び第2板状部材と、複数の柱状部材と、複数のワード線とを含む。第1板状部材及び第2板状部材の各々は、第1方向に延伸して設けられた部分を有する。第1板状部材及び第2板状部材は、第1方向と交差する第2方向に並んでいる。複数の柱状部材は、第1板状部材と第2板状部材との間で第2方向に並んだK行(Kは4以上の整数)の格子状に配置され、K行のうち1行目とK行目との間の複数行に配置された複数のメモリピラーと、K行のうち1行目とK行目とに配置された複数のダミーピラーとを含んで、それぞれが第1方向及び第2方向と交差する第3方向に延伸する。複数のワード線は、第1板状部材と第2板状部材との間で、第3方向に互いに離れて設けられる。複数のメモリピラーの各々は、複数のワード線のそれぞれと第2方向に対向して設けられた部分を有する半導体層を含む。複数のダミーピラーの各々は、複数のワード線の少なくとも一つと第2方向に対向して設けられた部分を有し、且つ第1板状部材及び第2板状部材のいずれかと接して設けられた第1絶縁体層を含む。複数のワード線のうち複数のメモリピラーと複数のダミーピラーとの両方と第2方向に対向するワード線が含まれる第3方向の位置で、複数のダミーピラーのそれぞれの径は、複数のメモリピラーのそれぞれの径よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係るメモリデバイスを備えるメモリシステムの全体構成の一例を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの回路構成の一例を示す回路図。
【
図3】第1実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図4】第1実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイのメモリ領域の詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図5】第1実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの断面構造の一例を示す、
図4のV-V線に沿った断面図。
【
図6】第1実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリピラーの断面構造の一例を示す、
図5のVI-VI線に沿った断面図。
【
図7】第1実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイに設けられたスリットの近傍の詳細なレイアウトの一例を示す平面図。
【
図8】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造方法の一例を示すフローチャート。
【
図9】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図10】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図11】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図12】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図13】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図14】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図15】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図16】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図17】第1実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図18】比較例のメモリホールMHを形成するエッチング処理におけるマスクの形状の変化の一例を示す模式図。
【
図19】第1実施形態のメモリホールMHを形成するエッチング処理におけるマスクの形状の変化の一例を示す模式図。
【
図20】第2実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイのメモリ領域の平面レイアウトの一例を示す平面図。
【
図21】第3実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの断面構造の一例を示す断面図。
【
図22】第3実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリピラーが有する第1階層及び第2階層の境界部分の詳細な断面構造の一例を示す断面図。
【
図23】第3実施形態に係るメモリデバイスが備えるメモリセルアレイの製造方法の一例を示すフローチャート。
【
図24】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図25】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図26】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図27】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図28】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図29】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図30】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図31】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図32】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図33】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図34】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図35】第3実施形態に係るメモリデバイスの製造途中の断面構造の一例を示す断面図。
【
図36】第1変形例に係るメモリセルアレイの断面構造の一例を示す断面図。
【
図37】第2変形例に係るメモリセルアレイの断面構造の一例を示す断面図。
【
図38】第3変形例に係るメモリセルアレイの断面構造の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施形態について図面を参照して説明する。各実施形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示している。図面は、模式的又は概念的なものである。各図面の寸法や比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。構成の図示は、適宜省略されている。平面図に付加されたハッチングは、構成要素の素材や特性とは必ずしも関連していない。本明細書において、略同一の機能及び構成を有する構成要素には、同一の符号が付加されている。参照符号に付加された数字や文字などは、同じ参照符号により参照され、且つ類似した要素同士を区別するために使用される。
【0008】
<1>第1実施形態
第1実施形態に係るメモリデバイス1は、メモリセルが3次元に積層された構造を有する。そして、第1実施形態に係るメモリデバイス1では、メモリセルに対応するパターンを形成する処理において、端部のパターンの未開口を抑制するためのダミーパターンが形成される。以下に、第1実施形態に係るメモリデバイス1の詳細について説明する。
【0009】
<1-1>構成
まず、第1実施形態に係るメモリデバイス1の構成について説明する。
【0010】
<1-1-1>メモリデバイスの全体構成
図1は、第1実施形態に係るメモリデバイス1を備えるメモリシステムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、メモリデバイス1は、外部のメモリコントローラ2によって制御される。メモリデバイス1は、例えば、データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリである。メモリデバイス1は、例えば、メモリセルアレイ10、入出力回路11、ロジックコントローラ12、レジスタ回路13、シーケンサ14、ドライバ回路15、ロウデコーダモジュール16、及びセンスアンプモジュール17を備える。
【0011】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK0~BLKn(“n”は、1以上の整数)を含む。ブロックBLKは、複数のメモリセルの集合である。ブロックBLKは、例えば、データの消去の単位に対応する。ブロックBLKは、複数のページを含む。ページは、データの読み出し及び書き込みが実行される単位に対応する。図示が省略されているが、メモリセルアレイ10には、複数のビット線BL0~BLm(“m”は1以上の整数)と、複数のワード線WLとが設けられる。各メモリセルは、例えば、1つのビット線BLと1つのワード線WLとに関連付けられる。
【0012】
入出力回路11は、メモリコントローラ2との間の入出力信号の送受信を司るインターフェース回路である。入出力信号は、例えば、データDAT、ステータス情報、アドレス情報、コマンドなどを含む。入出力回路11は、データDATを、センスアンプモジュール17とメモリコントローラ2とのそれぞれとの間で入出力し得る。入出力回路11は、レジスタ回路13から転送されたステータス情報を、メモリコントローラ2に出力し得る。入出力回路11は、メモリコントローラ2から転送されたアドレス情報及びコマンドのそれぞれを、レジスタ回路13に出力し得る。
【0013】
ロジックコントローラ12は、メモリコントローラ2から入力された制御信号に基づいて、入出力回路11及びシーケンサ14のそれぞれを制御する。例えば、ロジックコントローラ12は、シーケンサ14を制御し、メモリデバイス1をイネーブルにする。ロジックコントローラ12は、入出力回路11が受信した入出力信号がコマンドやアドレス情報などであることを入出力回路11に通知する。ロジックコントローラ12は、入出力信号の入力又は出力を入出力回路11に命令する。
【0014】
レジスタ回路13は、ステータス情報、アドレス情報、及びコマンドを一時的に記憶する。ステータス情報は、シーケンサ14の制御に基づいて更新され、入出力回路11に転送される。アドレス情報は、ブロックアドレス、ページアドレス、カラムアドレスなどを含む。コマンドは、メモリデバイス1の様々な動作に関する命令を含む。
【0015】
シーケンサ14は、メモリデバイス1の全体の動作を制御する。シーケンサ14は、レジスタ回路13に記憶されたコマンド及びアドレス情報に基づいて、読み出し動作、書き込み動作、消去動作などを実行する。
【0016】
ドライバ回路15は、読み出し動作、書き込み動作、消去動作などで使用される電圧を生成する。そして、ドライバ回路15は、生成した電圧を、ロウデコーダモジュール16やセンスアンプモジュール17などに供給する。
【0017】
ロウデコーダモジュール16は、動作対象のブロックBLKの選択や、ワード線WLなどの配線への電圧の転送に使用される回路である。ロウデコーダモジュール16は、複数のロウデコーダRD0~RDnを含む。ロウデコーダRD0~RDnは、それぞれブロックBLK0~BLKnに関連付けられている。各ロウデコーダRDは、ブロックBLKの選択に使用される。
【0018】
センスアンプモジュール17は、各ビット線BLへの電圧の転送や、データの読み出しに使用される回路である。センスアンプモジュール17は、複数のセンスアンプユニットSAU0~SAUmを含む。センスアンプユニットSAU0~SAUmは、それぞれ複数のビット線BL0~BLmに関連付けられている。各センスアンプユニットSAUは、データを判定するためのセンスアンプや、データを一時的に保持するラッチ回路を含む。
【0019】
なお、メモリデバイス1及びメモリコントローラ2の組み合わせが、1つの半導体装置を構成してもよい。このような半導体装置としては、例えば、SDTMカードのようなメモリカードや、SSD(solid state drive)などが挙げられる。
【0020】
<1-1-2>メモリセルアレイ10の回路構成
図2は、第1実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10の回路構成の一例を示すブロック図である。
図2は、メモリセルアレイ10に含まれた複数のブロックBLKのうち1つのブロックBLKを示している。
図2に示すように、ブロックBLKは、例えば、5つのストリングユニットSU0~SU4を含む。選択ゲート線SGD0~SGD4及びSGSとワード線WL0~WL(N-1)(Nは2以上の整数)とが、ブロックBLK毎に設けられる。ビット線BL0~BLmとソース線SLとは、複数のブロックBLKで共有される。
【0021】
各ストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。複数のNANDストリングNSは、それぞれビット線BL0~BLmに関連付けられる。すなわち、各ビット線BLは、複数のブロックBLK間で同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSにより共有される。各NANDストリングNSは、関連付けられたビット線BLとソース線SLとの間に接続される。各NANDストリングNSは、例えば、N個のメモリセルトランジスタMT0~MT(N-1)並びに選択トランジスタST1及びST2を含む。各メモリセルトランジスタMTは、制御ゲート及び電荷蓄積層を有するメモリセルであり、データを不揮発に保持(記憶)する。選択トランジスタST1及びST2のそれぞれは、ストリングユニットSUの選択に使用される。
【0022】
各NANDストリングNSでは、選択トランジスタST1、メモリセルトランジスタMT(N-1)~MT0、及び選択トランジスタST2が、この順番に、直列に接続される。具体的には、選択トランジスタST1のドレイン端及びソース端は、関連付けられたビット線BLと、メモリセルトランジスタMT(N-1)のドレイン端とにそれぞれ接続される。選択トランジスタST2のドレイン端及びソース端は、メモリセルトランジスタMT0のソース端と、ソース線SLとにそれぞれ接続される。メモリセルトランジスタMT0~MT(N-1)は、選択トランジスタST1及びST2の間で直列に接続される。
【0023】
選択ゲート線SGD0~SGD4は、それぞれストリングユニットSU0~SU4に関連付けられる。各選択ゲート線SGDは、関連付けられたストリングユニットSUに含まれた複数の選択トランジスタST1のそれぞれのゲート端に接続される。選択ゲート線SGSは、関連付けられたブロックBLKに含まれた複数の選択トランジスタST2のそれぞれのゲート端に接続される。ワード線WL0~WL(N-1)は、関連付けられたブロックBLKに含まれた複数のメモリセルトランジスタMT0~MT(N-1)のそれぞれの制御ゲート端にそれぞれ接続される。
【0024】
同一のストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、例えば、“セルユニットCU”と呼ばれる。例えば、各メモリセルトランジスタMTが1ビットデータを記憶する場合のセルユニットCUの記憶容量が、“1ページデータ”として定義される。セルユニットCUは、各メモリセルトランジスタMTが記憶するデータのビット数に応じて2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0025】
なお、第1実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10の回路構成は、その他の構成であってもよい。例えば、各ブロックBLKが含むストリングユニットSUの数や、各NANDストリングNSが含むメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2のそれぞれの数は、任意の数に設計され得る。第1実施形態では、各NANDストリングNSが、ワード線WL0~WL7にそれぞれ接続された8個のメモリセルトランジスタMT0~MT7を備える場合を例に説明する。
【0026】
<1-1-3>メモリセルアレイの構造
以下に、第1実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10の構造について説明する。以下で参照される図面では、3次元の直交座標系が使用される。X方向は、ワード線WLの延伸方向に対応する。Y方向は、ビット線BLの延伸方向に対応する。Z方向は、メモリデバイス1の形成に使用される基板の表面に対する鉛直方向に対応する。XY平面(断面)は、X方向とY方向とにより形成される平面(断面)に対応する。XZ平面(断面)は、X方向とY方向とにより形成される平面(断面)に対応する。本明細書における“上下”は、Z方向に沿った方向に基づいて定義され、基準とされる部材の表(おもて)面側から離れる方向を正方向(上方)とする。基準とされる部材としては、例えば、メモリセルアレイ10のソース線SLとなる導電体層が使用される。
【0027】
(1:メモリセルアレイの平面レイアウト)
図3は、第1実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10の平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図3に示すように、メモリセルアレイ10は、例えば、メモリ領域MRと、引出領域HR1及びHR2とを有する。メモリ領域MRは、複数のNANDストリングNSを含む。メモリ領域MRは、引出領域HR1及びHR2によって、X方向に挟まれている。引出領域HR1及びHR2のそれぞれは、積層配線(例えば、ワード線WL並びに選択ゲート線SGD及びSGS)と、ロウデコーダモジュール16との間の接続に使用される領域である。また、メモリセルアレイ10は、複数のスリットSLTと、複数のスリットSHEと、複数のコンタクトCCとを含む。
【0028】
各スリットSLTは、X方向に沿って延伸して設けられた部分を有し、X方向に沿って引出領域HR1、メモリ領域MR、及び引出領域HR2を横切っている。複数のスリットSLTは、Y方向に並んでいる。各スリットSLTは、当該スリットSLTを介して隣り合う配線(例えば、ワード線WL0~WL7、並びに選択ゲート線SGD及びSGS)を分断している。各スリットSLTのX方向に沿って延伸して設けられた部分は、“板状部材”と呼ばれてもよい。各スリットSLTには、側壁に絶縁体のスペーサが設けられた導電体が、これらの配線とは絶縁されて配置されていてもよいし、絶縁体が埋め込まれていてもよい。メモリセルアレイ10では、スリットSLTによってY方向に沿って区切られた領域のそれぞれが、1つのブロックBLKに対応している。
【0029】
各スリットSHEは、X方向に沿って延伸して設けられた部分を有し、X方向に沿ってメモリ領域MRを横切っている。複数のスリットSHEは、Y方向に並んでいる。本例では、Y方向に隣り合う2つのスリットSLTの間のそれぞれに、4つのスリットSHEが配置されている。各スリットSHEは、例えば、絶縁体が埋め込まれた構造を有する。各スリットSHEは、当該スリットSHEを介して隣り合う配線を分断している。スリットSHEは、少なくとも選択ゲート線SGDを分断していればよい。メモリセルアレイ10では、スリットSLT及びSHEによってY方向に沿って区切られた領域のそれぞれが、1つのストリングユニットSUに対応している。
【0030】
メモリセルアレイ10が備える積層配線(例えば、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGD)のそれぞれの端部は、引出領域HR1及びHR2のそれぞれにおいて、テラス部分を有する。テラス部分は、上面視において上層の配線(導電体層)と重ならない部分に対応する。複数のテラス部分により形成される構造は、階段(step)、段丘(terrace)、畦石(rimstone)などと類似している。本例では、X方向に段差を有する階段構造が、選択ゲート線SGSの端部と、ワード線WL0~WL7のそれぞれの端部と、選択ゲート線SGDの端部とによって形成される。
【0031】
積層配線に接続されるコンタクトCCは、引出領域HR1及びHR2の少なくとも一方のテラス部分に接続される。例えば、偶数番のブロックBLK(BLK0、BLK2、…)の積層配線は、引出領域HR1に設けられたコンタクトCCに接続される。奇数番のブロックBLK(BLK1、BLK3、…)の積層配線は、引出領域HR2に設けられたコンタクトCCに接続される。なお、メモリデバイス1は、各引出領域HRのテラス部分が省略された構造を有していてもよい。この場合、積層配線のある導電体層に接続されるコンタクトCCは、上層の導電体層を貫通し且つ離れて(絶縁されて)設けられる。引出領域HRは、メモリ領域MRをX方向に分割するように配置されてもよい。
【0032】
なお、第1実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10の平面レイアウトは、その他のレイアウトであってもよい。例えば、隣り合う2つのスリットSLTの間に配置されるスリットSHEの数は、任意の数に設計され得る。各ブロックBLKが備えるストリングユニットSUの個数は、隣り合う2つのスリットSLTの間に配置されたスリットSHEの数に基づいて変更され得る。積層配線に接続されるコンタクトCCの配置は、適宜変更され得る。
【0033】
(2:メモリ領域MRの平面レイアウト)
図4は、第1実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10のメモリ領域MRの詳細な平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図4は、1つのブロックBLK(すなわち、ストリングユニットSU0~SU4)を含む領域を示している。
図4に示すように、メモリ領域MRにおいて、メモリセルアレイ10は、例えば、複数のメモリピラーMPと、複数のダミーピラーDPと、複数のコンタクトCVと、複数のビット線BLとを含む。各スリットSLTは、コンタクトLI及びスペーサSPを含む。
【0034】
メモリピラーMPの各々は、例えば、1つのNANDストリングNSとして機能するピラー状の部材である。ダミーピラーDPの各々は、絶縁体で構成されたピラー状の部材である。メモリピラーMPとダミーピラーDPとのそれぞれは、“柱状部材”と呼ばれてもよい。複数のメモリピラーMPと複数のダミーピラーDPとの組は、ブロックBLK毎に、格子状に配置される。具体的には、複数のメモリピラーMPと複数のダミーピラーDPの組は、隣り合う2つのスリットSLTの間の領域において、例えば、26行の千鳥状に配置される。本例では、X方向にピラーが並んだ部分を“行”とみなして説明する。以下では、ブロックBLK内でピラーが配置される26行のことを、それぞれ“R1”~“R26”とも呼ぶ。また、参照符号の末尾に(R1)~(R26)のいずれかが付加された場合、その参照符号に対応付けられた構成は、その行に配置されていることを示す。
【0035】
千鳥状に配置された複数のメモリピラーMPと複数のダミーピラーDPとの組のうち、紙面の上側から数えて1行目R1には、複数のダミーピラーDPが配置される。複数のダミーピラーDP(R1)のそれぞれは、紙面の上側に配置されたスリットSLTに接し、平面視において半円形状を有する。紙面の上側から数えて2行目R2~25行目R25のそれぞれには、複数のメモリピラーMPが配置される。例えば、メモリピラーMP(R6)と、メモリピラーMP(R11)と、メモリピラーMP(R16)と、メモリピラーMP(R21)とのそれぞれには、1つのスリットSHEが重なっている。紙面の上側から数えて26行目R26には、複数のダミーピラーDPが配置される。複数のダミーピラーDP(R26)のそれぞれは、紙面の下側に配置されたスリットSLTに接し、例えば、平面視において半円形状を有する。言い換えると、各ダミーピラーDPは、XY断面において、複数のスリットSLTのいずれかによって一部が欠けた略円形状を有する。なお、本明細書において、“半円形状”は、円形状を2等分した形状でなくてもよい。本明細書における“半円形状”は、仮想円を定義した場合に、仮想円の中心を含んでいてもよいし、仮想円の中心を含んでいなくてもよい。
【0036】
複数のビット線BLは、それぞれがY方向に延伸して設けられた部分を有し、X方向に並んでいる。各ビット線BLは、ストリングユニットSU毎に、少なくとも1つのメモリピラーMPと重なるように配置されている。本例では、2つのビット線BLが、1つのメモリピラーMPと重なるように配置されている。メモリピラーMPと重なっている複数のビット線BLのうち1つのビット線BLと、当該メモリピラーMPとの間は、コンタクトCVを介して電気的に接続される。
【0037】
例えば、スリットSHEと接触しているメモリピラーMPと、ビット線BLとの間のコンタクトCVは、省略される。言い換えると、異なる2つの選択ゲート線SGDに接したメモリピラーMPとビット線BLとの間のコンタクトCVは、省略される。このようなメモリピラーMPは、データを記憶するメモリセルを含むNANDストリングNSとしては機能しない。隣り合うスリットSLT間におけるメモリピラーMPやスリットSHE等の個数及び配置は、
図4を用いて説明された構成に限定されず、適宜変更され得る。各メモリピラーMPと重なるビット線BLの数は、任意の数に設計され得る。
【0038】
コンタクトLIは、X方向に延伸して設けられた部分を有する導電体である。スペーサSPは、コンタクトLIの側面に設けられた絶縁体である。コンタクトLIは、スペーサSPによって挟まれている。コンタクトLIと、当該コンタクトLIとY方向に隣り合う導電体層(例えば、ワード線WL0~WL7並びに選択ゲート線SGD及びSGS)との間は、スペーサSPによって離隔及び絶縁される。スペーサSPは、例えば酸化膜である。
【0039】
(3:メモリセルアレイ10の断面構造)
図5は、第1実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10の断面構造の一例を示す、
図4のV-V線に沿った断面図である。
図5に示すように、第1実施形態に係るメモリデバイス1は、メモリ領域MRにおいて、例えば、半導体基板20、導電体層21~24、絶縁体層30~34を含む。
【0040】
半導体基板20は、例えば、P型のシリコン基板である。半導体基板20は、例えば、ソース線SLの一部として使用される。半導体基板20は、“導電体層”と呼ばれてもよい。半導体基板20上に、絶縁体層30が設けられる。絶縁体層30上に、導電体層21が設けられる。導電体層21上に、絶縁体層31及び導電体層22が交互に積層される。最上層の導電体層22上に、絶縁体層32が設けられる。絶縁体層32上に、導電体層23が設けられる。導電体層23上に、絶縁体層33が設けられる。絶縁体層33上に、導電体層24が設けられる。導電体層24上に、絶縁体層34が設けられる。
【0041】
導電体層21~23のそれぞれは、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成される。導電体層24は、例えば、Y方向に沿って延伸したライン状に形成される。絶縁体層34は、メモリセルアレイ10とロウデコーダモジュール16とを接続するための配線などを含む。導電体層21は、選択ゲート線SGSとして使用される。積層された8層の導電体層22は、導電体層21側から順に、それぞれワード線WL0~WL7として使用される。導電体層23は、選択ゲート線SGDとして使用される。導電体層24は、ビット線BLとして使用される。導電体層21~23のそれぞれは、例えば、タングステンを含む。導電体層24は、例えば、銅を含む。
【0042】
各メモリピラーMPは、Z方向に沿って延伸して設けられる。各メモリピラーMPは、絶縁体層30~32及び導電体層21~23を貫通している。すなわち、各メモリピラーMPは、導電体層21~23のそれぞれと交差している。言い換えると、各メモリピラーMPは、絶縁体層30~32、選択ゲート線SGS、ワード線WL0~WL7、及び選択ゲート線SGDのそれぞれとY方向に対向する部分を有する。メモリピラーMPの底部は、半導体基板20に達している。メモリピラーMPと導電体層21とが交差した部分は、選択トランジスタST2として機能する。メモリピラーMPと1つの導電体層22とが交差した部分は、メモリセルトランジスタMTとして機能する。メモリピラーMPと導電体層23とが交差した部分は、選択トランジスタST1として機能する。
【0043】
また、各メモリピラーMPは、例えば、コア部材40、半導体層41、積層膜42を含む。コア部材40は、Z方向に沿って延伸して設けられる。半導体層41は、コア部材40の周囲を覆っている。半導体層41の底部は、半導体基板20と接している。積層膜42は、半導体層41と半導体基板20とが接触した部分を除いて、半導体層41の側面及び底面を覆っている。コア部材40は、酸化シリコンなどの絶縁体を含む。半導体層41は、例えば、シリコンを含む。
【0044】
コンタクトCVは、Z方向に沿って延伸した柱状に設けられる。各コンタクトCVは、メモリピラーMPの半導体層41上に設けられる。図示された領域は、5つのメモリピラーMPのうち、2つのメモリピラーMPにそれぞれ対応する2つのコンタクトCVを含んでいる。各コンタクトCVの上には、1つの導電体層24が接触している。各導電体層24には、隣り合うスリットSLT及びSHEの間に設けられたメモリピラーMPと、隣り合う2つのスリットSHEの間に設けられたメモリピラーMPとが電気的に接続される。
【0045】
スリットSLTは、例えば、XZ平面に沿って設けられた部分を有し、導電体層21~23及び絶縁体層30~32を分断している。スリットSLT内のコンタクトLIは、スリットSLTに沿って設けられる。コンタクトLIの上端は、メモリピラーMPの上端と導電体層24との間の高さに設けられる。コンタクトLIの下端は、半導体基板20と接している。半導体基板20は、コンタクトLIと接した部分において、不純物の拡散領域を有し得る。コンタクトLIは、例えば、ソース線SLの他の一部として使用される。スペーサSPは、コンタクトLIと、導電体層21~23との間を離隔及び絶縁している。
【0046】
スリットSHEは、例えば、XZ平面に沿って設けられた部分を有し、少なくとも導電体層23を分断している。スリットSHEの上端は、メモリピラーMPの上端と導電体層24との間の高さに設けられる。スリットSHEの下端は、絶縁体層32の高さに設けられる。スリットSHEは、酸化シリコンなどの絶縁体を含む。
【0047】
ダミーピラーDPは、Z方向に沿って延伸して設けられる。ダミーピラーDPは、例えば、導電体層23と、複数の導電体層22に含まれた少なくとも一つの導電体層22と、スリットSLTとのそれぞれとY方向に対向した部分を有する。本例では、ダミーピラーDPは、選択ゲート線SGDとワード線WL2~WL7とY方向に対向した部分を有する。ダミーピラーDPの底部は、ワード線WL1及びWL2間の絶縁体層31に接している。ダミーピラーDPの底部は、少なくとも半導体基板20に達していなければよい。ダミーピラーDPは、例えば、絶縁体層50を含む。絶縁体層50は、Z方向に延伸して設けられ、貫通している導電体層22及び23と、スリットSLTの側面とのそれぞれと接している。
【0048】
(4:メモリピラーMPの断面構造)
図6は、第1実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリピラーMPの断面構造の一例を示す、
図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図6は、半導体基板20の表面に平行且つ導電体層22を含む層におけるメモリピラーMPの断面構造を示している。
図6に示すように、積層膜42は、例えば、トンネル絶縁膜43、絶縁膜44、及びブロック絶縁膜45を含む。
【0049】
導電体層22を含む断面において、コア部材40は、メモリピラーMPの中央部分に設けられる。半導体層41は、コア部材40の側面を囲っている。トンネル絶縁膜43は、半導体層41の側面を囲っている。絶縁膜44は、トンネル絶縁膜43の側面を囲っている。ブロック絶縁膜45は、絶縁膜44の側面を囲っている。導電体層22は、ブロック絶縁膜45の側面を囲っている。トンネル絶縁膜43及びブロック絶縁膜45の各々は、例えば酸化シリコンを含んでいる。絶縁膜44は、例えば窒化シリコンを含んでいる。
【0050】
以上で説明された各メモリピラーMPにおいて、半導体層41が、メモリセルトランジスタMT0~MT7並びに選択トランジスタST1及びST2のチャネル(電流経路)として使用される。絶縁膜44が、メモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層として使用される。メモリデバイス1は、メモリセルトランジスタMT0~MT7並びに選択トランジスタST1及びST2をオンさせることによって、ビット線BLとコンタクトLI(ソース線SL)との間でメモリピラーMPを介した電流を流すことが出来る。
【0051】
(5:スリットSLTの近傍の詳細なレイアウト)
図7は、第1実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10に設けられたスリットSLTの近傍の詳細なレイアウトの一例を示す平面図である。
図7は、複数のブロックBLK0~BLKnのうち隣り合うブロックBLKo及びBLKeのそれぞれの一部を抽出して示している。また、
図7は、XY断面において、半円形状を有するダミーピラーDPが真円形状であった場合の仮想円を破線で示している。ダミーピラーDPの仮想円は、スリットSLTと重なっている。なお、本明細書において、“ダミーピラーDPの径”は、ダミーピラーDPの仮想円の径のことを示している。“ダミーピラーDPの中心部分”は、ダミーピラーDPの仮想円の中心部分のことを示している。
【0052】
図7に示すように、メモリピラーMPの径は、D1である。ダミーピラーDPの径は、D1よりも小さいD2である。千鳥状に配置された複数のメモリピラーMPと複数のダミーピラーDPの組において、Y方向に並んだ行のピッチは、P1である。本明細書において、隣り合う2つのスリットSLT間に設けられた複数行のピッチは、その行に設けられたメモリピラーMPの中心又はダミーピラーDPの中心を基準としたY方向の間隔に対応する。すなわち、それぞれに複数のメモリピラーMPが配置され且つ隣り合う行のY方向における間隔と、複数のダミーピラーDPが配置された行と隣の複数のメモリピラーMPが配置された行とのY方向における間隔とが略等しい。
【0053】
言い換えると、スリットSLTと接しているダミーピラーDPの中心部分と、スリットSLTと接しているダミーピラーDPと隣り合う行に配置されたメモリピラーMPの中心部分とのY方向の間隔は、ブロックBLK内のその他のメモリピラーMPのY方向のピッチと略同じである。具体的には、平面視において、ダミーピラーDP(R1)及びメモリピラーMP(R2)のそれぞれの中心部分のY方向における間隔と、メモリピラーMP(i)及び(i+1)(iは、2以上24以下の整数)のそれぞれの中心部分のY方向における間隔と、メモリピラーMP(R25)及びダミーピラーDP(R26)のそれぞれの中心部分のY方向における間隔とが、略等しい。
【0054】
なお、
図7では、ブロックBLKoの複数のダミーピラーDP(R26)とブロックBLKeの複数のダミーピラーDP(R1)とがそれぞれY方向に隣り合うように配置されている。これに限定されず、ブロックBLKoのダミーピラーDP(R26)とブロックBLKeのダミーピラーDP(R1)とは、X方向にずれて配置されてもよい。
【0055】
以上で説明されたように、第1実施形態に係るメモリデバイス1は、それぞれZ方向に延伸し、Y方向に隣り合うスリットSLTの間でY方向に並んだK行(Kは4以上の整数)の格子状に配置された複数の柱状部材を含む。複数の柱状部材は、K行のうち1行目とK行目との間の複数行に配置された複数のメモリピラーMPと、K行のうち1行目とK行目とに配置された複数のダミーピラーDPとを含む。複数のワード線WLは、Z方向に互いに離れて設けられる。各メモリピラーMPは、複数のワード線WLのそれぞれとY方向に対向して設けられた部分を有する半導体層41を含む。各ダミーピラーDPは、複数のワード線WLの少なくとも一つとY方向に対向して設けられた部分を有し、Y方向に隣り合うスリットSLTのいずれかと接し、且つ導電体層(半導体基板20又はソース線SL)からZ方向に離れて設けられた絶縁体層50を含む。複数のワード線のうち複数のメモリピラーMPと複数のダミーピラーDPとの両方とY方向に対向するワード線WLが含まれるZ方向の位置で、複数のダミーピラーDPのそれぞれの径は、複数のメモリピラーMPのそれぞれの径よりも小さい。
【0056】
<1-2>製造方法
次に、第1実施形態に係るメモリデバイス1の製造方法について、
図8を適宜参照して説明する。
図8は、第1実施形態に係るメモリデバイス1の製造方法の一例を示すフローチャートであり、積層配線を形成する製造工程の一部を示している。本項目で参照される
図9~
図17のそれぞれは、第1実施形態に係るメモリデバイス1の製造途中の平面レイアウト又は断面構造の一例を示している。本項目で参照される平面レイアウトは、
図7に示されたスリットSLTの近傍の領域に対応する。本項目で参照される断面構造は、1つのスリットSLTをY方向に挟んで、1対のメモリピラーMPと、1対のダミーピラーDPとが形成される領域を模式的に示している。また、本明細書において、“積層配線部”は、Z方向に並んだ複数のワード線WLを含む積層配線の形成に使用される構造体のことを示している。
【0057】
まず、
図9に示すように、積層配線部の犠牲部材60が形成される(ステップS10)。具体的には、まず、絶縁体層30上に、犠牲部材60と絶縁体層31とが交互に積層される。次に、最上層の犠牲部材60の上に、絶縁体層32と犠牲部材60とがこの順番に積層される。次に、例えば、スリミング処理やエッチング処理によって、図示が省略された引出領域HR1及びHR2のそれぞれに犠牲部材60の階段構造が形成される。そして、犠牲部材60の階段構造の形成等によって形成された段差が、絶縁体層33aによって埋め込まれる。それから、絶縁体層33aの上面が平坦化される。犠牲部材60は、例えば、窒化シリコン(SiN)である。なお、メモリセルアレイ10の設計に依っては、犠牲部材60の階段構造の形成が省略されてもよい。
【0058】
次に、マスクMK1が形成される(ステップS11)。具体的には、まず、絶縁体層33a上に、深穴のエッチング処理のマスクとして使用されるマスク部材(例えば、カーボン)が形成される。そして、レジスト材料REG1が、マスク部材上に塗布される。それから、レジスト材料REG1が、フォトリソグラフィ処理によって、
図10に示すように、複数のホールH1と複数のホールH2とを有する形状に加工される。複数のホールH1は、複数のダミーピラーDPが形成される位置にそれぞれ対応して設けられる。複数のホールH2は、複数のメモリピラーMPが形成される位置にそれぞれ対応して設けられる。その後、レジスト材料REG1をマスクとして利用した異方性のエッチング処理によって、マスク部材が加工される。その結果、
図11に示すように、レジスト材料REG1の形状がマスク部材に転写されて、複数のホールH1及びH2を有するマスクMK1が形成される。
【0059】
次に、
図12に示すように、メモリホールMH及びダミーホールDHが形成される(ステップS12)。具体的には、マスクMK1をマスクとして利用した異方性のエッチング処理が実行される。ステップS12で利用される異方性のエッチング処理は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)である。RIEでは、マスクMK1上で同じピッチでホールH1及びH2が形成されている場合、ホールH1及びH2の径が小さいほど、高さ方向(Z方向)のエッチングの進行が抑制され得る。このため、ステップS12の処理では、ホールH1及びH2のそれぞれの径の違いに基づいて、異方性のエッチング処理で形成される底部の位置(高さ)の違いが生じ得る。
【0060】
具体的には、マスクMK1の複数のホールH2を介して絶縁体層30~32及び33aと複数の犠牲部材60とが加工されることによって、複数のメモリホールMHが形成される。本処理によって、各メモリホールMHの底部では、半導体基板20の表面が露出する。また、マスクMK1の複数のホールH1を介して絶縁体層31、32及び33aと複数の犠牲部材60のうち複数層が加工されることによって、複数のダミーホールDHが形成される。本処理によって、各ダミーホールDHの底部は、例えば、複数のワード線WLが積層される予定の高さの途中まで達している。なお、第1実施形態において、各ダミーホールDHの底部は、半導体基板20に達していなければよい。その後、マスクMK1は除去される。
【0061】
次に、
図13に示すように、ダミーホールDH内に絶縁体層50が形成される(ステップS13)。具体的には、CVD(Chemical Vapor Deposition)などによって、絶縁体層50が、ダミーホールDH及びメモリホールMHのそれぞれに形成される。その結果、ダミーホールDH内に、ダミーピラーDPに対応する構造が形成される。その後、例えば、リソグラフィ処理及びエッチング処理の組み合わせによって、メモリホールMH内の絶縁体層50が選択的に除去される。
【0062】
次に、
図14に示すように、メモリホールMH内に積層膜42、半導体層41、及びコア部材40が形成される(ステップS14)。具体的には、メモリホールMHの側面及び底面に、積層膜42(すなわち、ブロック絶縁膜45、絶縁膜44、及びトンネル絶縁膜43)、半導体層41、及びコア部材40が、この順番に形成される。そして、メモリホールMHの上部に設けられたコア部材40の一部が除去され、コア部材40が除去された部分に半導体層41が形成される。その結果、メモリホールMH内に、メモリピラーMPに対応する構造が形成される。その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などによって、絶縁体層33aの上方の積層膜42、半導体層41及びコア部材40が除去される。
【0063】
次に、各犠牲部材60をブロックBLK毎に分断し、且つダミーピラーDPの一部を除去するスリットSLTが形成される(ステップS15)。具体的には、まず、メモリピラーMPを保護するように、絶縁体層33a上に絶縁体層33bが形成される。その後、フォトリソグラフィ処理及び異方性のエッチング処理の組み合わせによって、スリットSLTが、
図15に示すように、平面視において複数のダミーピラーDPのそれぞれの一部を除去するように形成される。また、スリットSLTは、
図16に示すように、絶縁体層30~32、33a及び33bと複数の犠牲部材60とを分断する。本処理によって、スリットSLTの底部では、半導体基板20の表面が露出する。
【0064】
次に、リプレース処理が実行される(ステップS16)。具体的には、熱リン酸などによるウェットエッチング処理によって、複数の犠牲部材60が、スリットSLTを介して選択的に除去される。それから、導電体が、スリットSLTを介して、複数の犠牲部材が除去された空間に埋め込まれる。本工程における導電体の形成には、例えば、CVDが使用される。その後、スリットSLT内に形成された導電体が、エッチバック処理などによって除去され、隣り合う空間内に形成された導電体が複数層に分離される。これにより、選択ゲート線SGSとして機能する導電体層21と、それぞれがワード線WLとして機能する複数の導電体層22と、選択ゲート線SGDとして機能する導電体層23とが形成される。
【0065】
次に、
図17に示すように、スリットSLT内にスペーサSP及びコンタクトLIが形成される(ステップS17)。具体的には、まず、スペーサSPとして使用される絶縁膜が形成される。それから、エッチバック処理によって、スリットSLTの底部に形成された絶縁膜が除去される。その後、スリットSLT内が埋まるように導電体が形成され、スリットSLT外の導電体が除去される。これにより、スリットSLT内にスペーサSP及びコンタクトLIが残った構造が形成される。ステップS17の処理が完了すると、
図8の一連の処理が終了する(終了)。
【0066】
<1-3>第1実施形態の効果
以上で説明された第1実施形態に係るメモリデバイス1に依れば、メモリデバイス1の歩留まりを向上させ且つ動作特性を改善させることができる。以下に、第1実施形態の効果の詳細について、比較例を用いて説明する。なお、以下では、スリットSLT及びダミーピラーDPが形成される領域のことを、スリット領域SLTAと呼ぶ。
【0067】
メモリセルが三次元に積層されたメモリデバイスは、ワード線WLの積層数を増やすことによって、記憶容量を増やすことができる。また、記憶容量を増やすためには、積層されたワード線WLを貫通して設けられたメモリピラーMPが密に配置されることが好ましい。メモリピラーMPを形成するためのメモリホールMHの加工には、深穴のエッチング処理が利用される。しかしながら、深穴のエッチング処理では、千鳥状に密に配置されたメモリホールMHのうち端の行に配置されたメモリホールMHの加工難易度が高く、端の行に配置されたメモリホールMHが未開口となるおそれがある。
【0068】
図18は、比較例のメモリホールMHを形成するエッチング処理におけるマスクMKzの形状の変化の一例を示す模式図である。図示された“O”及び“N”は、絶縁体層及び犠牲部材にそれぞれ対応している。
図18の(A)に示すように、比較例では、ステップS11の処理において、スリット領域SLTA内のホールH1が省略されたレジスト材料REGzが形成される。そして、
図18の(B)に示すように、マスクMKzがレジスト材料REGzの形状に基づいて加工され、複数のホールH2に基づいた開口部がマスクMKzに形成される。それから、マスクMKzを利用した深穴のエッチング処理が進行すると、
図18の(C)に示すように、スリット領域SLTAのマスクMKzの側部に加工に伴う副産物が堆積し得る。
【0069】
このように、比較例では、スリット領域SLTAにおけるマスクMKzが、端の行に配置されたメモリホールMHの部分に突き出すおそれがある。マスクMKzの突き出しは、端の行に配置されたメモリホールMHの加工を阻害し、端の行に配置されたメモリホールMHの未開口の要因となる、若しくはメモリホールMHの底部が所望の高さまで達しない要因となり得る。端の行に配置されたメモリホールMHの未開口を回避するためには、マスクの設計で端の行に配置されたメモリホールMHのY方向の寸法を拡大することが考えられる。しかしながら、マスクの設計によるメモリホールMHの寸法のXY差の変更は、メモリピラーMPのトップ部分とボトム部分との形状差(トップ/ボトム差)や、端の行に配置されたメモリピラーMPと中間行に配置されたメモリピラーMPとの寸法差(インナー/アウター差)などの要因となり得る。さらに、メモリピラーMPで楕円成分が残存することは、プログラムスピードを低下させる要因となり得る。
【0070】
そこで、第1実施形態に係るメモリデバイス1では、スリット領域SLTAに、絶縁体で構成されたダミーパターン(ダミーピラーDP)が配置される。
図19は、第1実施形態のメモリホールMHを形成するエッチング処理におけるマスクMKの形状の変化の一例を示す模式図であり、
図18と同様の領域及び過程を示している。
図19の(A)に示すように、第1実施形態では、ステップS11の処理において、スリット領域SLTA内のホールH1を含むレジスト材料REG1が形成される。そして、
図19の(B)に示すように、マスクMK1がレジスト材料REG1の形状に基づいて加工され、複数のホールH1及びH2に基づいた開口部がマスクMK1に形成される。それから、マスクMK1を利用した深穴のエッチング処理が進行すると、
図19の(C)に示すように、複数のホールH1が形成されていることによって、スリット領域SLTAのマスクMK1の側部に加工に伴う副産物が堆積することが抑制される。
【0071】
以上のように、第1実施形態に係るメモリデバイス1では、スリット領域SLTAにおけるマスクMK1が、端の行に配置されたメモリホールMHの部分に突き出すことが抑制される。その結果、第1実施形態に係るメモリデバイス1は、端の行に配置されたメモリホールMHのY方向の寸法を拡大することなく、メモリホールMHの未開口を抑制できる。また、メモリピラーMPのトップ/ボトム差及びインナー/アウター差が抑制され、プログラムスピードの低下が抑制され得る。従って、第1実施形態に係るメモリデバイス1は、メモリデバイス1の歩留まりを向上させ且つ動作特性を改善させることができる。
【0072】
なお、第1実施形態に係るメモリデバイス1では、ダミーピラーDPが絶縁体層50(例えば、シリコン酸化膜)により埋め込まれた構造を有する。この場合、スリットSLTの加工時に、ダミーピラーDPが形成された部分において、エッチングの進行が早くなり得る。そして、例えば、ダミーピラーDPの底部がメモリピラーMPと同様に半導体基板20まで達している場合に、ダミーピラーDPと重なった部分と、ダミーピラーDPと重なっていない部分とで、スリットSLTの底部の加工状態のばらつきが生じ得る。
【0073】
そこで、第1実施形態に係るメモリデバイス1は、ダミーピラーDPの底部が、積層配線の途中で止められている構造を有している。これにより、ダミーピラーDPと重なった部分と、ダミーピラーDPと重なっていない部分との間のスリットSLTの底部の加工ばらつきが抑制され得る。その結果、第1実施形態に係るメモリデバイス1では、半導体基板20内の不純物拡散領域とコンタクトLIとの接続が改善され得る。また、ダミーピラーDPが貫通していない配線において、配線抵抗が低減され得る。従って、第1実施形態に係るメモリデバイス1は、動作特性を改善させることができる。
【0074】
<2>第2実施形態
第2実施形態に係るメモリデバイス1は、第1実施形態と異なるダミーピラーDPの構造及び配置により、第1実施形態と同様の効果を実現する。以下に、第2実施形態に係るメモリデバイス1の詳細について、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0075】
<2-1>構成
まず、第2実施形態に係るメモリデバイス1の構成について説明する。第2実施形態に係るメモリデバイス1の構成は、ダミーピラーDPの構造及び配置が異なる点を除いて、第1実施形態に係るメモリデバイス1と同様である。以下では、第2実施形態に係るメモリデバイス1のダミーピラーDPのことを、“ダミーピラーDPa”と呼ぶ。
【0076】
図20は、第2実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10のメモリ領域MRの平面レイアウトの一例を示す平面図である。
図20は、隣り合うブロックBLKo及びBLKeのそれぞれの一部を抽出して示している。また、
図20は、XY断面において、半円形状を有するダミーピラーDPaが真円形状であった場合の仮想円を破線で示している。ダミーピラーDPaの仮想円は、スリットSLTと重なっている。
【0077】
図20に示すように、ダミーピラーDPa及びメモリピラーMPのそれぞれの径は、D1である。すなわち、第2実施形態において、ダミーピラーDPaの径は、メモリピラーMPの径と略同じである。千鳥状に配置された複数のメモリピラーMPと複数のダミーピラーDPaの組において、複数のメモリピラーMPを含み且つY方向に並んだ行のピッチは、P1である。一方で、複数のダミーピラーDPaを含む行と、当該複数のダミーピラーDPaを含む行と隣り合い且つ複数のメモリピラーMPを含む行とのピッチは、P1よりも広いP2である。具体的には、平面視において、ダミーピラーDPa(R1)及びメモリピラーMP(R2)のそれぞれの中心部分のY方向における間隔と、メモリピラーMP(R25)及びダミーピラーDPa(R26)のそれぞれの中心部分のY方向における間隔とのそれぞれは、メモリピラーMP(i)及び(i+1)(iは、2以上24以下の整数)のそれぞれの中心のY方向における間隔よりも広い。
【0078】
なお、
図20では、ブロックBLKoの複数のダミーピラーDP(R26)とブロックBLKeの複数のダミーピラーDPa(R1)とがそれぞれY方向に隣り合うように配置されている。これに限定されず、ブロックBLKoのダミーピラーDP(R26)とブロックBLKeのダミーピラーDPa(R1)とは、X方向にずれて配置されてもよい。第2実施形態に係るメモリデバイス1のその他の構成は、第1実施形態と同様である。以上の説明で使用された“i”は、隣り合う2つのスリットSLT間に配置されるメモリピラーMP及びダミーピラーDPの行数に応じて適宜変更され得る。
【0079】
<2-2>製造方法
第2実施形態に係るメモリデバイス1の製造方法としては、一部のパターンの配置が異なることを除いて、
図8に示された第1実施形態に係るメモリデバイス1の製造方法と同様のフローによって製造され得る。例えば、第2実施形態に係るメモリデバイス1では、ステップS12の処理において、ダミーホールDHの配置及び設計が、
図20に示されたダミーピラーDPaのレイアウトに基づいた配置及び設計に変更される。すなわち、第2実施形態では、ダミーピラーDPaに対応付けられたホールH1の径が、メモリホールMHと同様の径に設計される。そして、ダミーピラーDPaに対応付けられたホールH1が、千鳥状に配置されている複数のメモリホールMHに対して、複数のメモリホールMHを含む行がY方向に配置されるピッチよりも離れて配置される。
【0080】
例えば、RIEでは、マスク上で同じ径で周期的にホールが形成されている場合、広いピッチで配置された部分において、高さ方向(Z方向)のエッチングの進行が抑制される。このため、第2実施形態では、ステップS12の処理において、ホールH1及びH2のそれぞれのピッチの違いに基づいて、異方性のエッチング処理で形成される底部の位置(高さ)の違いが生じ得る。具体的には、ステップS12の処理によって、メモリホールMHの底部が半導体基板20に接触し、且つ、ダミーホールDHの底部が積層配線部の途中で止まった構造が形成される。その後、ステップS15の処理において、スリットSLTが、ダミーピラーDPaの一部を除去するように形成される。第2実施形態に係るメモリデバイス1のその他の製造方法は、第1実施形態と同様である。
【0081】
<2-3>第2実施形態の効果
第2実施形態に係るメモリデバイス1では、ダミーピラーDPaが形成されることによって、第1実施形態と同様に、スリット領域SLTAにおけるマスクMK1が、端の行に配置されたメモリホールMHの部分に突き出すことが抑制される。また、ダミーピラーDPaの底部が、第1実施形態のダミーピラーDPと同様に積層配線の途中で止められている構造を有することによって、スリットSLTの底部の加工ばらつきが抑制され得る。従って、第2実施形態に係るメモリデバイス1は、第1実施形態と同様に、メモリデバイス1の歩留まりを向上させ且つ動作特性を改善させることができる。
【0082】
<3>第3実施形態
第3実施形態に係るメモリデバイス1は、複数の階層に分割された構造のメモリピラーMPを有するメモリセルアレイ10に、第1実施形態のダミーピラーDPが組み合わされた構成を有する。以下に、第3実施形態に係るメモリデバイス1の詳細について、第1及び第2実施形態と異なる点を主に説明する。
【0083】
<3-1>構成
まず、第3実施形態に係るメモリデバイス1の構成について説明する。第3実施形態に係るメモリデバイス1の構成は、メモリセルアレイ10の構造が異なる点を除いて、第1実施形態に係るメモリデバイス1と同様である。第3実施形態では、各NANDストリングNSが、ワード線WL0~WL23にそれぞれ接続された24個のメモリセルトランジスタMT0~MT23を備える場合を例に説明する。以下では、第3実施形態に係るメモリデバイス1のメモリピラーMPのことを、“メモリピラーMPa”と呼ぶ。
【0084】
図21は、第3実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10の断面構造の一例を示す断面図である。
図21に示すように、第3実施形態に係るメモリデバイス1は、メモリ領域MRにおいて、例えば、半導体基板20と、導電体層21、22a、22b、22c、23及び24と、絶縁体層30、31a、31b、31c、32~34、70a及び70bと、メモリピラーMPaと、スリットSLT及びSHEと、ダミーピラーDP1~DP3とを含む。
【0085】
第3実施形態におけるメモリセルアレイ10は、第1実施形態に対して、導電体層21と絶縁体層32との間の構造が異なっている。具体的には、導電体層21上に、絶縁体層31a及び導電体層22aが交互に積層される。最上層の導電体層22a上に、絶縁体層70aが設けられる。絶縁体層70a上に、導電体層22b及び絶縁体層31bが交互に積層される。最上層の導電体層22b上に、絶縁体層70bが設けられる。絶縁体層70b上に、導電体層22c及び絶縁体層31cが交互に積層される。最上層の導電体層22c上に、絶縁体層32が設けられる。
【0086】
導電体層22a、22b及び22cのそれぞれは、例えば、XY平面に沿って広がった板状に形成される。積層された8層の導電体層22aは、導電体層21側から順に、それぞれワード線WL0~WL7として使用される。積層された8層の導電体層22bは、導電体層21側から順に、それぞれワード線WL8~WL15として使用される。積層された8層の導電体層22cは、導電体層21側から順に、それぞれワード線WL16~WL23として使用される。導電体層22a、22b及び22cのそれぞれは、例えば、タングステンを含む。
【0087】
メモリピラーMPaは、各々がZ方向に沿って延伸して設けられた複数のピラーが連結された構造を有する。本例において、メモリピラーMPaは、3つのサブメモリピラーSMP1~SMP3がZ方向に連結された構造を有する。サブメモリピラーSMP1~SMP3は、それぞれ階層(Tier)TI1~TI3に対応付けられている。第1階層TI1、第2階層TI2、及び第3階層TI3のそれぞれは、サブメモリピラーSMPを形成するためのホールを形成する工程の分割単位に対応する。以下では、サブメモリピラーSMP1~SMP3を形成するためのホールのことを、それぞれメモリホールMH1~MH3と呼ぶ。本例において、第1階層TI1は、8層の導電体層22aを含む。第2階層TI2は、8層の導電体層22bを含む。第3階層TI3は、8層の導電体層22cを含む。
【0088】
サブメモリピラーSMP1は、絶縁体層30及び31aと導電体層21及び22aとのそれぞれを貫通して設けられる。すなわち、サブメモリピラーSMP1は、選択ゲート線SGS及びワード線WL0~WL7のそれぞれとY方向に対向して設けられた部分を有する。サブメモリピラーSMP1上に、サブメモリピラーSMP2が設けられる。サブメモリピラーSMP1及びSMP2の連結部分は、絶縁体層70aが設けられた高さの層に含まれる。サブメモリピラーSMP2は、絶縁体層31bと導電体層22bとのそれぞれを貫通して設けられる。すなわち、サブメモリピラーSMP2は、ワード線WL8~WL15のそれぞれとY方向に対向して設けられた部分を有する。サブメモリピラーSMP2上に、サブメモリピラーSMP3が設けられる。サブメモリピラーSMP2及びSMP3の連結部分は、絶縁体層70bが設けられた高さの層に含まれる。サブメモリピラーSMP3は、絶縁体層31c及び32と導電体層22c及び23とのそれぞれを貫通して設けられる。すなわち、サブメモリピラーSMP3は、ワード線WL16~WL23及び選択ゲート線SGDのそれぞれとY方向に対向して設けられた部分を有する。
【0089】
サブメモリピラーSMP1~SMP3は、コア部材40、半導体層41、及び積層膜42を共有する。言い換えると、メモリピラーMPaが含むコア部材40、半導体層41、及び積層膜42のそれぞれは、サブメモリピラーSMP1~SMP3の間で連続的に設けられている。本例において、サブメモリピラーSMP1~SMP3のそれぞれは、逆テーパー形状を有している。つまり、サブメモリピラーSMP1の上端のXY断面積は、サブメモリピラーSMP2の下端のXY断面積よりも大きい。サブメモリピラーSMP2の上端のXY断面積は、サブメモリピラーSMP3の下端のXY断面積よりも大きい。本明細書において、“XY断面積”は、半導体基板20と平行な断面における断面積に対応する。
【0090】
サブメモリピラーSMP1と導電体層21との交差部分は、選択トランジスタST2として機能する。サブメモリピラーSMP1と8層の導電体層22aのそれぞれとの交差部分は、下層から順に、メモリセルトランジスタMT0~MT7として機能する。サブメモリピラーSMP2と8層の導電体層22bのそれぞれとの交差部分は、下層から順に、メモリセルトランジスタMT8~MT15として機能する。サブメモリピラーSMP3と8層の導電体層22cのそれぞれとの交差部分は、下層から順に、メモリセルトランジスタMT16~MT23として機能する。サブメモリピラーSMP3と導電体層23との交差部分は、選択トランジスタST1として機能する。
【0091】
第3実施形態のスリットSLTは、導電体層21、22a、22b、22c及び23と、絶縁体層30、31a、70a、31b、70b、31c及び32とを分断している。すなわち、スリットSLTは、第1階層TI1、第2階層TI2及び第3階層TI3に設けられた各配線を分断している。スリットSLT内のコンタクトLIは、スリットSLTに沿って設けられる。コンタクトLIの上端は、メモリピラーMPの上端と導電体層24との間の高さに設けられる。コンタクトLIの下端は、半導体基板20と接している。スペーサSPは、コンタクトLIと、導電体層21、22a、22b、22c及び23との間を離隔及び絶縁している。
【0092】
ダミーピラーDP1~DP3のそれぞれは、Z方向に沿って延伸して設けられる。また、ダミーピラーDP1~DP3は、それぞれ第1階層TI1、第2階層TI2、及び第3階層TI3に対応付けられている。具体的には、ダミーピラーDP1は、例えば、複数の導電体層22aのうち一部の導電体層22aと、スリットSLTとのそれぞれと接している。ダミーピラーDP2は、例えば、複数の導電体層22bのうち一部の導電体層22bと、スリットSLTとのそれぞれと接している。ダミーピラーDP3は、例えば、導電体層23と、複数の導電体層22cのうち一部の導電体層22cと、スリットSLTとのそれぞれと接している。各ダミーピラーDPは、各ダミーピラーDPが属する階層TIと隣り合う階層TIに達していないことが好ましい。ダミーピラーDP1~DP3のそれぞれは、例えば、絶縁体層50を含む。各絶縁体層50は、Z方向に延伸して設けられ、貫通している導電体層22及び23と、スリットSLTの側面とのそれぞれと接している。
【0093】
具体的には、本例において、ダミーピラーDP1の上端部は、絶縁体層70aに接している。ダミーピラーDP1の側部は、ワード線WL2~WL7のそれぞれとY方向に対向する部分を有する。ダミーピラーDP1の底部は、ワード線WL1及びWL2の間の絶縁体層31aに接している。ダミーピラーDP2の上端部は、絶縁体層70bに接している。ダミーピラーDP2の側部は、ワード線WL11~WL15のそれぞれとY方向に対向する部分を有する。ダミーピラーDP2の底部は、ワード線WL10に接している。ダミーピラーDP3の上端部は、絶縁体層33に接している。ダミーピラーDP3の側部は、選択ゲート線SGDとワード線WL18~WL23とのそれぞれとY方向に対向する部分を有する。ダミーピラーDP3の底部は、ワード線WL17に接している。なお、第3実施形態に係るメモリデバイス1において、ダミーピラーDP1の底部は、半導体基板20に達していなければよい。
【0094】
また、第3実施形態に係るメモリデバイス1では、スリットSLTと、スリットSLTと隣接するメモリピラーMPとの間の領域において、ダミーピラーDPを含む階層TIの上方で隣り合う階層TIの少なくとも1つの導電体層22が、テーパー部分TPを有している。導電体層22のテーパー部分TPは、スリットSLTに近づくほど、半導体基板20とのZ方向の距離が近くなるような形状に設けられる。本例では、第2階層TI2の各導電体層22bと、第3階層TI3の各導電体層22cとが、スリットSLTと、スリットSLTと隣接するメモリピラーMPとの間の領域において、テーパー部分TPを有している。
【0095】
言い換えると、絶縁体層70a及び70bは、複数のメモリピラーMPのそれぞれと交差した第3部分と、ダミーピラーDPと交差した第4部分と、第3部分と第4部分との間のテーパー部分TPとを有する。絶縁体層70aの第4部分の厚さは、絶縁体層70aの第3部分よりも薄く、複数のワード線WL8~WL15は、絶縁体層70aのテーパー部分TPに沿って設けられた部分を有する。同様に、絶縁体層70bの第4部分の厚さは、絶縁体層70bの第3部分よりも薄く、複数のワード線WL16~WL23は、絶縁体層70bのテーパー部分TPに沿って設けられた部分を有する。
【0096】
なお、
図21では、サブメモリピラーSMP1の上端のXY断面積がサブメモリピラーSMP2の下端のXY断面積よりも大きく、且つサブメモリピラーSMP2の上端のXY断面積がサブメモリピラーSMP3の下端のXY断面積よりも大きい場合について例示したが、メモリピラーMPaの形状は、これに限定されない。すなわち、隣り合う2つのサブメモリピラーSMPのうち、下側のサブメモリピラーSMPの上端のXY断面積は、上側のサブメモリピラーSMPの下端のXY断面積よりも大きくなくてもよい。
【0097】
図22は、第3実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリピラーMPaが有する第1階層TI1及び第2階層TI2の境界部分の詳細な断面構造の一例を示す断面図である。
図22に示すように、サブメモリピラーSMP1の上端は、角張った形状でなく、丸みを帯びた形状を有していてもよい。この場合、サブメモリピラーSMP1の上端のXY断面積は、サブメモリピラーSMP2の下端のXY断面積よりも明確に大きいとは言えない。しかしながら、メモリピラーMPaの側面の形状は、サブメモリピラーSMP1及びSMP2の境界部分において不連続となる。
【0098】
具体的には、YZ断面において、サブメモリピラーSMP1の側面LSMP1は、
図22において一点鎖線で示されたサブメモリピラーSMP2の側面LSMP2の延長線からずれている。2つの側面LSMP1及びLSMP2のずれは、XZ断面などのZ方向を含む任意の断面について生じ得る。
図22に示された構造は、サブメモリピラーSMP2及びSMP3の境界部分にも適用され得る。すなわち、
図22に示された構造は、2つ以上のサブメモリピラーSMPが連結されたメモリピラーMPにおいて、隣り合う2つのサブメモリピラーSMPの境界部分において形成され得る。本明細書において、Z方向に隣り合う2つのサブメモリピラーSMPの境界部分は、メモリピラーMPの側面の形状で不連続である部分に基づいて特定され得る。
【0099】
第3実施形態に係るメモリデバイス1のその他の構成は、第1実施形態と同様である。なお、第3実施形態に係るメモリデバイス1におけるダミーピラーDPは、第2実施形態のダミーピラーDPaに置き換えられてもよい。
【0100】
以上で説明された第3実施形態に係るメモリデバイス1において、メモリピラーMPは、第1部分(サブメモリピラーSMP1)と、第1部分上の第2部分(サブメモリピラーSMP2)とを含む。複数のメモリピラーMPの各々において、第1部分の側面と第2部分の側面とは、第1部分と第2部分との境界部分において不連続である。複数のワード線WLは、メモリピラーMPの第1部分と交差する複数の第1ワード線と、メモリピラーMPの第2部分と交差する複数の第2ワード線とを含む。第3実施形態において、メモリセルアレイ10は、Z方向に離れたダミーピラーDP1とダミーピラーDP2とを含む。ダミーピラーDP1は、複数の第1ワード線に含まれた少なくとも一つの第1ワード線と対向している。ダミーピラーDP2は、複数の第2ワード線に含まれた少なくとも一つの第2ワード線と対向している。ダミーピラーDP1の上端の高さは、メモリピラーMPの第1部分の上端の高さよりも低い。絶縁体層70aは、複数の第1ワード線と複数の第2ワード線との間に設けられ、複数のメモリピラーMPのそれぞれと交差した第3部分と、スリットSLTに接した第4部分とを有する。絶縁体層70aの第4部分の上面の高さは、絶縁体層70aの第3部分の上面の高さよりも低い。複数の第2ワード線は、絶縁体層70aの第3部分と第4部分との間のテーパー部分TPに沿って設けられた部分を有する。
【0101】
<3-2>製造方法
次に、第3実施形態に係るメモリデバイス1の製造方法について、
図23を適宜参照して説明する。
図23は、第3実施形態に係るメモリデバイス1が備えるメモリセルアレイ10の製造方法の一例を示すフローチャートであり、積層配線を形成する製造工程の一部を示している。本項目で参照される
図24~
図35のそれぞれは、第3実施形態に係るメモリデバイス1の製造途中の断面構造の一例を示している。本項目で参照される断面構造は、1つのスリットSLTをY方向に挟んで、1対のメモリピラーMPと、1対のダミーピラーDPとが形成される領域を模式的に示している。なお、
図23の説明では、変数“k”が使用される。“k”は、着手している製造工程に対応付けられた階層(Tier)を示す数値である。
図23に示された処理の開始時においては、k=1である。
【0102】
まず、積層配線部の第k階層の犠牲部材60が形成される(ステップS20)。すなわち、初回のステップS20の処理では、第1階層TI1の犠牲部材60が形成される。具体的には、絶縁体層30上に、犠牲部材60と絶縁体層31aとが交互に積層される。そして、最上層の犠牲部材60の上に、絶縁体層70aが形成される。
【0103】
次に、メモリホールMHk及びダミーホールDHkが形成される(ステップS21)。すなわち、初回のステップS21の処理では、
図24に示すように、第1階層TI1のメモリホールMH1及びダミーホールDH1が形成される。メモリホールMHk及びダミーホールDHkの形成方法は、第1実施形態におけるステップS12の処理と同様である。
【0104】
次に、メモリホールMHk及びダミーホールDHk内に犠牲部材71が形成される(ステップS22)。すなわち、初回のステップS22の処理では、第1階層TI1のメモリホールMH1及びダミーホールDH1内に犠牲部材71が形成される。
【0105】
次に、マスクMK2が形成される(ステップS23)。具体的には、初回のステップS23の処理では、まず絶縁体層70a上に、深穴のエッチング処理のマスクとして使用されるマスク部材(例えば、カーボン)が形成される。そして、レジスト材料REG2が、マスク部材上に塗布される。それから、レジスト材料REG2が、フォトリソグラフィ処理によって、
図25に示すように、複数のメモリホールMH1の上方を覆い、且つ複数のダミーホールDH1の上方に開口部を有する形状に加工される。レジスト材料REG2の開口部分は、例えば、スリット領域SLTAに沿って延伸して設けられた部分を有する。その後、レジスト材料REG2をマスクとして利用した異方性のエッチング処理によって、マスク部材が加工される。その結果、
図26に示すように、レジスト材料REG2の開口部分の形状に基づいて加工され、複数のダミーホールDH1の上部が露出するようなマスクMK2が形成される。このとき、マスクMK2の開口部分で露出した絶縁体層70aの一部が、最上層の犠牲部材60の上面が露出しない程度に除去され得る。また、絶縁体層70aは、一部が除去された部分において、テーパー形状となり得る。
【0106】
次に、ダミーホールDHk内の犠牲部材71が除去される(ステップS24)。初回のステップS24の処理では、ダミーホールDH1内の犠牲部材71が除去される。ステップS24の処理では、例えば、ウェットエッチング処理が実行され、マスクMK2の開口部分を介して、ダミーホールDHk内の犠牲部材71が選択的に除去される。
【0107】
次に、絶縁体層50aが形成される(ステップS25)。初回のステップS25の処理では、
図27に示すように、ダミーホールDH1に沿って絶縁体層50aが形成され、ダミーホールDH1の上部が絶縁体層50aにより閉塞する。すなわち、本処理によって、ダミーホールDH1内に空隙が形成され得る。
【0108】
次に、絶縁体層50aのエッチバック処理が実行される(ステップS26)。初回のステップS26の処理では、ダミーホールDH1の上部の絶縁体層50aが除去され、
図28に示すように、ダミーホールDH1に形成された空隙の部分が開放される。
【0109】
次に、絶縁体層50bが形成される(ステップS27)。初回のステップS27の処理では、ダミーホールDH1内に絶縁体層50bが形成され、
図29に示すように、ダミーホールDH1内が絶縁体層50a及び50bにより満たされる。
【0110】
次に、ダミーホールDHk外の絶縁体層50a及び50bが除去される(ステップS28)。初回のステップS28の処理では、ダミーホールDH1外の絶縁体層50a及び50bが除去され、
図30に示すように、ダミーホールDH1内に絶縁体層50a及び50bが残った構造が形成される。すなわち、初回のステップS28の処理によって、ダミーピラーDP1に対応する構造が形成される。その後、
図31に示すように、マスクMK2が除去される。
【0111】
ステップS28の後に、ステップS29の処理が実行される。ステップS29の処理では、全ての階層TIにおいてステップS20~S28の処理が実行されたか否かに応じて、次の処理が決定される。本例では、ステップS29の処理において、k=3であるか否かが判定される(ステップS29)。この“3”は、本例におけるメモリピラーMPaの階層の数に対応する。ステップS29の処理において判定に使用される数値“3”は、メモリピラーMPaの階層の数に応じて変更されてもよい。
【0112】
ステップS29の処理において、k=3でない場合(ステップS29:NO)、kがインクリメントされる(ステップS30)。そして、ステップS30の処理の後に、ステップS20~S28のそれぞれの処理が実行される。すなわち、ステップS29の処理の時点でk=3でない場合、次の階層を対象としたステップS20~S28の処理が実行される。例えば、2回目のステップS20の処理では、
図32に示すように、犠牲部材60と絶縁体層31bとが交互に積層される。このとき、積層された犠牲部材60及び絶縁体層31bには、絶縁体層70aの形状に沿ってテーパー部分TPが形成される。そして、S20~S28の処理の繰り返しによって、メモリホールMH1~MH3がZ方向に連結された構造と、ダミーピラーDP1~DP3とが形成される。
【0113】
ステップS29の処理において、k=3である場合(ステップS29:YES)、メモリピラーMPが形成される(ステップS30)。具体的には、まず、メモリホールMH1~MH3内に形成された犠牲部材71が除去され、メモリホールMH1~MH3が繋がった空間が形成される。それから、メモリホールMH1~MH3の組の側面及び底面に、積層膜42(すなわち、ブロック絶縁膜45、絶縁膜44、及びトンネル絶縁膜43)、半導体層41、及びコア部材40が、この順番に形成される。そして、メモリホールMH1~MH3の組の上部に設けられたコア部材40の一部が除去され、コア部材40が除去された部分に半導体層41が形成される。その結果、
図33に示すように、メモリホールMH1~MH3の組の内に、メモリピラーMPaに対応する構造が形成される。
【0114】
次に、各犠牲部材60をブロックBLK毎に分断し、且つ各ダミーピラーDPの一部を除去するスリットSLTが形成される(ステップS32)。具体的には、フォトリソグラフィ処理及び異方性のエッチング処理の組み合わせによって、スリットSLTが、平面視において複数のダミーピラーDPaのそれぞれの一部を除去するように形成される。また、スリットSLTは、
図34に示すように、絶縁体層30~32、70a及び70bと複数の犠牲部材60とを分断する。本処理によって、スリットSLTの底部では、半導体基板20の表面が露出する。
【0115】
次に、リプレース処理が実行される(ステップS33)。具体的には、熱リン酸などによるウェットエッチング処理によって、複数の犠牲部材60が、スリットSLTを介して選択的に除去される。それから、導電体が、スリットSLTを介して、複数の犠牲部材が除去された空間に埋め込まれる。本工程における導電体の形成には、例えば、CVDが使用される。その後、スリットSLT内に形成された導電体が、エッチバック処理などによって除去され、隣り合う空間内に形成された導電体が複数層に分離される。これにより、選択ゲート線SGSとして機能する導電体層21と、それぞれがワード線WLとして機能する複数の導電体層22a、22b及び22cと、選択ゲート線SGDとして機能する導電体層23とが形成される。
【0116】
次に、スリットSLT内にスペーサSP及びコンタクトLIが形成される(ステップS34)。具体的には、まず、スペーサSPとして使用される絶縁膜が形成される。それから、エッチバック処理によって、スリットSLTの底部に形成された絶縁膜が除去される。その後、スリットSLT内が埋まるように導電体が形成され、スリットSLT外の導電体が除去される。これにより、スリットSLT内にスペーサSP及びコンタクトLIが残った構造が形成される。ステップS34の処理が完了すると、
図23の一連の処理が終了する(終了)。
【0117】
<3-3>第3実施形態の効果
第3実施形態に係るメモリデバイス1では、各階層TIにダミーピラーDPが設けられることによって、各階層TIに対するメモリホールMHの加工時に、第1階層TI1、第2階層TI2及び第3階層TI3のそれぞれでスリット領域SLTAに設けられるマスク部材が、端の行に配置されたメモリホールMH1~MH3の部分にそれぞれ突き出すことが抑制される。さらに、第3実施形態では、スリットSLTと端の行に配置されたメモリホールMHとの間に、テーパー部分TPを有する積層配線部が形成される。積層配線部がテーパー部分TPを有する階層TIでは、メモリホールMHの加工時におけるマスク部材の突き出しがさらに抑制され得る。その結果、第3実施形態に係るメモリデバイス1は、メモリデバイス1の歩留まりを向上させ且つ動作特性を改善させることができる。
【0118】
<4>変形例など
以上で説明されたメモリデバイス1は、様々な変形が可能である。
【0119】
第3実施形態に係るメモリデバイス1におけるダミーピラーDPの構成の変形例について、第1変形例として説明する。
図36は、第1変形例に係るメモリセルアレイ10の断面構造の一例を示す断面図である。
図36は、第3実施形態で
図21を用いて説明されたメモリセルアレイ10と同様の領域を示している。
図36に示すように、第1変形例に係るメモリセルアレイ10は、第3実施形態のメモリセルアレイ10に対して、ダミーピラーDP1及びDP3が省略された構成を有している。このように、メモリセルアレイ10は、複数の階層TIを有する場合に、ダミーピラーDPが配置されない階層TIを有していてもよい。ダミーピラーDPが配置されない階層TIは、第1階層TI1及び第3階層TI3に限定されず、第1階層TI1、第2階層、及び第3階層TI3のいずれであってもよい。第3実施形態に係るメモリデバイス1は、少なくとも1つの階層TIに、同じ階層TIに設けられたサブメモリピラーSMPに対して底部の高さが異なるダミーピラーDPを有していればよい。このような場合においても、第3実施形態と同様の効果が実現され得る。例えば、第1変形例では、複数の第1ワード線が第1階層TI1に含まれ、複数の第2ワード線が第2階層TI2に含まれる。そして、複数のダミーピラーDPが、例えば、第1階層TI1及び第2階層TI2の一方に含まれる。
【0120】
第3実施形態に係るメモリデバイス1におけるダミーピラーDPの構成のその他の変形例について、第2変形例として説明する。
図37は、第2変形例に係るメモリセルアレイ10の断面構造の一例を示す断面図である。
図37は、第3実施形態で
図21を用いて説明されたメモリセルアレイ10と同様の領域を示している。
図37に示すように、第2変形例に係るメモリセルアレイ10は、第3実施形態のメモリセルアレイ10に対して、ダミーピラーDP1及びDP3が省略された構成を有している。さらに、第2変形例に係るメモリセルアレイ10は、第2階層TI2に対応付けられ、底部が第1階層TI1まで達しているダミーピラーDP2aを備える構造を有している。このように、一部の階層TIのダミーピラーDPが省略されている場合に、ダミーピラーDPが省略された階層TI(例えば、第1階層TI1)上の階層TI(例えば、第2階層TI2)に対応付けられたダミーピラーDPの底部が、ダミーピラーDPが省略された階層TIまで達していてもよい。このような場合においても、第3実施形態と同様の効果が実現され得る。
【0121】
第1実施形態に係るメモリデバイス1におけるメモリセルアレイ10の構成の変形例について、第3変形例として説明する。
図38は、第3変形例に係るメモリセルアレイ10の断面構造の一例を示す断面図である。
図38は、第1実施形態で
図5を用いて説明されたメモリセルアレイ10と同様の領域を示している。
図38に示すように、第3変形例に係るメモリセルアレイ10は、第1実施形態のメモリセルアレイ10に対して、導電体層25及び絶縁体層35が追加された構成を有している。絶縁体層35は、半導体基板20上に設けられる。導電体層25は、絶縁体層35及び30間に設けられる。第3変形例における半導体基板20では、積層配線とZ方向に重なる部分に、CMOS回路が配置される。このようなCMOS回路は、例えば、センスアンプモジュール17などを含む。絶縁体層35には、CMOS回路の接続に使用される配線が配置される。また、導電体層25は、メモリピラーMPの側面を介して半導体層41と接続され、スリットSLT内のコンタクトLIと接続される。これにより、導電体層25は、ソース線SLの一部として使用される。このように、メモリデバイス1は、ソース線SLとメモリピラーMP内の半導体層41とがメモリピラーMPの側面を介して電気的に接続された構造を有していてもよい。第3変形例に係るメモリデバイス1では、複数のメモリピラーMPの各々は、ソース線SLと接続された半導体層41を含み、複数のダミーピラーDPの各々の底部は、ソース線SLから離れている。
【0122】
なお、上記実施形態において、メモリデバイス1の回路構成、平面レイアウト、及び断面構造のそれぞれは、適宜変更され得る。例えば、引出領域HRは、少なくとも1つ設けられていればよい。メモリピラーMPは、選択ゲート線SGDに対応するピラーと、ワード線WLに対応するピラーとが連結された構造を有していてもよい。この場合、第1実施形態のダミーピラーDPは、導電体層23と交差せずに、少なくとも1つの導電体層22と交差して設けられる。メモリピラーMP及びビット線BLの間は、Z方向に連結された複数のコンタクトによって接続されてもよい。複数のコンタクトの連結部分には、導電体層が挿入されてもよい。メモリデバイス1が備える配線層やコンタクトの数は、メモリデバイス1の回路設計に応じて適宜変更され得る。上記実施形態で説明に使用された図面では、メモリピラーMPがZ方向において同一径を有している場合を例示したが、これに限定されない。メモリピラーMPは、テーパー形状、逆テーパー形状、又はボーイング形状を有していてもよい。同様に、サブメモリピラーSMPが、テーパー形状、逆テーパー形状、又はボーイング形状を有していてもよい。スリットSLT及びSHEのそれぞれがテーパー形状、逆テーパー形状、又はボーイング形状を有していてもよい。メモリピラーMPのXY断面構造と、ダミーピラーDPの仮想円のXY断面構造とのそれぞれは、円形であってもよいし、楕円形であってもよい。第3実施形態において、2つのサブメモリピラーSMPの境界部分の近傍に設けられたメモリセルトランジスタMTは、データの記憶に使用されず、ダミートランジスタとして使用されてもよい。
【0123】
上記実施形態で説明された製造工程は、あくまで一例である。例えば、各製造工程の間に、その他の処理が挿入されても良いし、製造工程の順番が問題の生じない範囲で入れ替えられても良い。本明細書において、スリットSLT及びSHEのそれぞれは、“絶縁部材”と呼ばれてもよい。“接続”は、電気的に接続されていることを示し、例えば、間に別の素子を介することを除外しない。“電気的に接続される”は、電気的に接続されたものと同様に動作することが可能であれば、絶縁体を介していてもよい。“テーパー形状”は、基準とされる部材から離れるにつれて細くなる形状のことを示している。“逆テーパー形状”は、基準とされる部材から離れるにつれて太くなる形状のことを示している。“柱状”は、メモリデバイス1の製造工程において形成されたホール内に設けられた構造体であることを示している。“径”は、基板の表面と平行な断面(XY断面)における、ホールの内径、若しくはピラーの外径のことを示している。“半導体基板”は、単に“基板”と呼ばれてもよい。“半導体層”は、“導電体層”と呼ばれてもよい。“領域”は、基板によって含まれる構成とみなされてもよい。例えば、半導体基板20がメモリ領域MRと引出領域HRとを含むと規定された場合、メモリ領域MRと引出領域HRとは、半導体基板20の上方の異なる領域にそれぞれ関連付けられる。“高さ”は、例えば計測対象の構成と半導体基板20とのZ方向の間隔に対応している。“高さ”の基準としては、半導体基板20以外の構成が使用されてもよい。“平面位置”は、平面レイアウトにおける構成要素の位置を示している。“上面(平面)視”は、例えば、半導体基板20のおもて面を、半導体基板20の鉛直方向から見ることに対応する。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1…メモリデバイス、2…メモリコントローラ、10…メモリセルアレイ、11…入出力回路、12…ロジックコントローラ、13…レジスタ回路、14…シーケンサ、15…ドライバ回路、16…ロウデコーダモジュール、17…センスアンプモジュール、20…半導体基板、21,22,22a,22b,22c,23,24,25…導電体層、30,31,31a,31b,31c,32,33,33a,33b,34,35…絶縁体層、40…コア部材、41…半導体層、42…積層膜、43…トンネル絶縁膜、44…絶縁膜、45…ブロック絶縁膜、50、50a,50b…絶縁体層、60…犠牲部材、70a,70b…絶縁体層、71…犠牲部材、BL…ビット線、WL…ワード線、SGD,SGS…選択ゲート線、BLK…ブロック、SU…ストリングユニット、MT…メモリセルトランジスタ、ST1,ST2…選択トランジスタ、MH1~MH3…メモリホール、MP,MPa…メモリピラー、SMP…サブメモリピラー、DH1…ダミーホール、DP,DPa,DP1,DP2,DP2a、DP3…ダミーピラー、H1,H2…ホール、HR1,HR2…引出領域、MR…メモリ領域、LSMP1,LSMP2…側面、MK1,MK2…マスク、RD…ロウデコーダ、SAU…センスアンプユニット、REG1,REG2…レジスト材料