(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121576
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ガラスブロックおよびガラスブロックの製造方法。
(51)【国際特許分類】
E04C 1/42 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
E04C1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028741
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 暁仁
(57)【要約】
【課題】ガラスブロック内の空気が加熱によって急激に膨張した場合、膨張空気によって、ガラスブロックの透光面が内部から押し割られる前に、直ちにガラスブロックの側面を破損させることができるガラスブロックを提供する。
【解決手段】有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体12・12が、互いの開放端縁12cで溶着一体化されてなり、透光面11a及び側面部12bを備えたガラスブロック11の側面部11bに貫通孔13cを備え、貫通孔13cは、周縁に欠損部13eを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で溶着一体化されてなり、透光面及び側面部を備えたガラスブロックにおいて、
前記側面部に貫通孔を備え、
前記貫通孔は、周縁に欠損部を有する、
ことを特徴とするガラスブロック。
【請求項2】
前記貫通孔は、内周面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.5μm以上4.0μm以下である、
ことを特徴とする、請求項1に記載のガラスブロック。
【請求項3】
前記側面部は、前記一対のガラス成形体の開放端縁が溶着した溶着部を備え、
前記貫通孔は、前記溶着部に備えられている
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガラスブロック。
【請求項4】
前記貫通孔は、
前記側面部の角部に設けられる、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のガラスブロック。
【請求項5】
前記貫通孔は、内径が、5mm以上20mm以下である、
ことを特徴とする、請求項4に記載のガラスブロック。
【請求項6】
前記貫通孔は、封止部材によって封止されている、
ことを特徴とする、請求項4に記載のガラスブロック。
【請求項7】
前記ガラスブロックの透光面及び/または側面部が着色されてなる、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のガラスブロック。
【請求項8】
有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体を準備する工程と、
前記ガラス成形体の互いの開放端縁で溶着一体化し、透光面と側面部を備えたガラス中空体を得る工程と、
前記ガラス中空体の側面に貫通孔を形成し、当該貫通孔の周縁に欠損部を形成する工程と、を備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のガラスブロックの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラスブロックおよびガラスブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、採光の態様やデザイン面で有利な効果を発揮するガラスブロック壁が公知となっている。ガラスブロック壁は、建築物の外壁や内壁あるいは、ベランダの壁部等に広く使用され、ガラスブロックを用いて構築される。ガラスブロックは、底面が透光面である有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で溶着一体化されてなることが公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラスブロックは、使用される位置によっては、防火性能を要求される。しかしながら、上記のように、内部が密封されているガラスブロックは、火災等の発生時に過剰に加熱された場合、内部の空気が急激に膨張する。ガラスは特に気密性の高い材料であるため、内圧が過剰に高まりやすく、高い内圧により高い応力が印加された透光面は内部から押し割られるように、爆発的に破損する虞がある。例えば、火災時、ガラスブロックによって非加熱側と加熱側が仕切られている場合、上記のように爆発的な破損が発生すると、加熱側と非加熱側を繋ぐ孔が生じ、火災の延焼に繋がる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明はかかる課題に鑑み、ガラスブロック内の空気が加熱によって急激に膨張した場合、膨張空気によって、ガラスブロックの透光面が内部から押し割られる前に、直ちにガラスブロックの側面を破損させることができるガラスブロックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
本発明に係るガラスブロックは、有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体が、互いの開放端縁で溶着一体化されてなり、透光面及び側面部を備えたガラスブロックにおいて、前記側面部に貫通孔を備え、前記貫通孔は、周縁に欠損部を有することを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、例えば火災等の発生時において、ガラスブロック内の空気が加熱によって急激に膨張し、内圧が過剰に高まった場合、貫通孔の欠損部に過大な応力集中が発生して亀裂が生じ、当該空気によって、ガラスブロックの平面(透光面)が内部から押し割られる前に、直ちにガラスブロックの側面部を破損させることができる。
従って、ガラスブロックの平面(透光面)の形態が保持された状態で、当該ガラスブロックが破損する可能性が高まり、ガラスブロックの防火性能を向上させることができる。
【0009】
また、本発明に係るガラスブロックにおいては、前記貫通孔は内周面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.5μm以上4.0μm以下であることを特徴とする。
【0010】
このような構成を有することにより、例えば、封止部材によって貫通孔を封止する場合、当該貫通孔の内周面における、表面粗さの微小な凹凸を介して、貫通孔と封止部材との密着性を高めることができ、ガラスブロックの内部に湿気が流入して結露が発生するのを、抑制することができる。これにより、ガラスブロックの美観が内部の結露によって損なわれにくくなる。
【0011】
また、本発明に係るガラスブロックにおいては、前記側面部は、前記一対のガラス成形体の開放端縁が溶着した溶着部を備え、前記貫通孔は、前記溶着部に設けられていることが好ましい。
【0012】
このような構成を有することにより、ガラスブロックにおける比較的剛性の高い箇所において、安定して貫通孔を形成することができ、ガラスブロック全体の剛性を損なうことなく、防火性能を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係るガラスブロックにおいては、前記貫通孔は、側面部の角部に設けられることが好ましい。
【0014】
このような構成を有することにより、ガラスブロックにおける、より剛性の高い箇所において、安定して貫通孔を形成することができる、ガラスブロック全体の剛性を損なうことなく、防火性能を向上させることができる。
また、例えば、貫通孔を介してガラスブロックの内部に塗料を注入し、当該ガラスブロックの平面(透光面)を着色する場合においては、ガラスブロックの角部に貫通孔が設けられているため、当該貫通孔を介して、着色後の余剰の塗料をガラスブロックの外部に、容易に排出することができる。
【0015】
また、本発明に係るガラスブロックにおいては、前記貫通孔は、内径が、5mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0016】
このような構成を有することにより、ガラスブロック全体の剛性を大きく損なうことなく、貫通孔を設けることができる。
また、例えば、貫通孔を介してガラスブロックの内部に塗料を注入し、当該ガラスブロックの平面(透光面)を着色する場合においては、適度なサイズからなる貫通孔を介して、着色後の余剰の塗料をガラスブロックの外部に、容易に排出することができる。
【0017】
また、本発明に係るガラスブロックにおいては、前記貫通孔は、封止部材によって封止されていることが好ましい。
【0018】
このような構成を有することにより、内部に乾燥空気を注入し、貫通孔を封止することで、ガラスブロックの内面に結露が生じるのを防止することができる。
【0019】
また、本発明に係るガラスブロックにおいては、前記透光面及び/または側面部が着色されてなることが好ましい。
【0020】
このような構成にすることにより、ガラスブロックの意匠性の高めることができる。
【0021】
また、本発明に係るガラスブロックの製造方法は、蓋部が有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体を準備する工程と、前記ガラス成形体の互いの開放端縁で溶着一体化し、透光面と側面部を備えたガラス中空体を得る工程と、前記ガラス中空体の側面部に貫通孔を形成し、当該貫通孔の周縁に欠損部を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0022】
このような構成を有することにより、例えば火災等の発生時において、ガラスブロック内の空気が加熱によって急激に膨張し、内圧が過剰に高まった場合、貫通孔の欠損部に過大な応力集中が発生して亀裂が生じ、当該空気によって、ガラスブロックの平面(透光面)が内部から押し割られる前に、直ちにガラスブロックの側面部を破損させることができるガラスブロックを得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0024】
本発明に係るガラスブロックによれば、ガラスブロック内の空気が加熱によって急激に膨張し、内圧が過剰に高まった場合、膨張空気によって、ガラスブロックの透光面が内部から押し割られる前に、直ちにガラスブロックの側面部を破損させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係るガラスブロックを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るガラスブロックを示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るガラス成形体を示す正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るガラス成形体の平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る貫通孔付近を示す拡大図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る欠損部付近を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態に係るガラスブロック図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に示すように、本発明のガラスブロック11は、底面が透光面11aである有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体12から構成される。
図2および
図3に示すように、ガラス成形体12は、底面に設けられた透光面11aを構成する蓋部12aと、蓋部12aから立設する平面視四角形状の側板部12bとを備える。側板部12bの端縁は、開放端縁12cとして構成される。側板部12bは、ガラスブロック11の側面部11bを構成する。
【0028】
ガラスブロック11の透光面11aは、表面に凹凸を有することが好ましい。このように構成することにより、採光された光が散乱しやすくなり、透過性を意図的に低下させることができる。例えば、ガラスブロック11を建物の壁面に用いる場合に、外界から内部を視認し難くすることができる。
【0029】
図1および2に示すように、ガラスブロック11は、開放端縁12c同士を合わせるように二つのガラス成形体12を配置し、開放端縁12cを溶着した溶着部12dを備え、この一体化したガラス中空体13に、後述する貫通孔13cを設けることにより得られる。
【0030】
ガラス中空体13は、ガラスブロック11の透光面11aを構成する底板13a・13aと、底板13aと直交する側板13bとを備える。側板13bはガラスブロック11の側面部11bを構成する。ガラス中空体13は、底板13a・13aおよび側板13bによって囲まれた内部に空間Sを有しており、当該空間Sに乾燥空気を注入することで、ガラスブロック11の内面に結露が生じるのを防止することができる。
【0031】
また、空間Sの壁面、すなわち、ガラスブロック11の透光面11a及び/または側面部11b、が着色されてなることが好ましい。このような構成を有することで、ガラスブロック11の意匠性を向上させることができる。
【0032】
本実施形態におけるガラス中空体13は直方体状に形成しているが、これに限定するものではなく、例えば中空の多角形柱状に形成することも可能である。ガラス中空体13を六角形柱状に形成した場合には、ガラスブロック11をハニカム形状に配置することができる。
【0033】
また、ガラス中空体13の底板13aと直交する側板13bには、貫通孔13cが配置されている。貫通孔13cは、ガラス中空体13の内部の空間Sと連通する孔であり、例えば、貫通孔13cから塗料等の装飾材を入れて内部の空間Sの内壁面に固着させることで装飾することが可能となる。貫通孔13cは、二つのガラス成形体12を溶着して一体化したあとにガラス中空体13の側面の一部である角部13dに設けられる。角部13dは、側板13bの側端が連結される部分であり、アール加工が施された剛性の高い部分である。
【0034】
また、貫通孔13cは、開放端縁12cを互いに突き合わせて溶着された突き合わせ箇所と重なる位置に設けられる。突き合わせ箇所において溶着された開放端縁12cの厚みは厚くなっており角部13dの中でも特に剛性が高い部分となっている。
【0035】
ガラスブロック11において貫通孔13cは、断面視円形状に構成されている。
図5に示すように、貫通孔13cは、その周縁部に欠損部13eを有している。このような構成を有することにより、火災等の際に、非加熱側と加熱側とを繋ぐ孔が生じることなく、延焼を防止できる。貫通孔13cは、例えば、ドリル等の錐状工具によって穿孔されることにより形成されるが、通常の穿孔であれば、爆縮する前の側面部12bの破損につながるような欠損部13eは形成されない。
【0036】
本発明では、
図6に示すように、爆縮する前の側面部11bの破損に繋がるような欠損部13eとするために、貫通孔13cの周縁部から、欠損部13eにおける当該周縁部側とは反対側の端部までの距離hが0.1mm~5mmとなるように穿孔している。距離hが5mmよりも大きい場合、ガラスブロック11の意匠性が低下しやすくなるため好ましくない。一方、距離hが0.1mmよりも小さい場合、爆縮する前の側面部11bの破損に繋がるような欠損部13eとすることができないため好ましくない。なお、欠損部13eの存在による、ガラスブロック11の封止性能の低下は発生しない。
【0037】
貫通孔13cの内周面の表面粗さは、算術平均粗さRaで0.5μm以上4.0μm以下であり、好ましくは、0.5μm以上2.0μm以下である。算術平均粗さRaは、x位置での高さをZ(x)としたときの、基準長さにおけるZ(x)絶対値の平均を表したものである。
【0038】
また、貫通孔13cの内径は、5mm以上20mm以下である。より好ましくは、5mm以上10mm以下である。この範囲で貫通孔13cを形成することにより、ガラスブロック11全体の剛性を大きく損なうことなく、貫通孔13cを設けることができる。また、例えば、貫通孔13cを介してガラスブロック11の内部に塗料を注入し、当該ガラスブロック11の平面(透光面)を着色する場合においては、適度なサイズからなる貫通孔13cを介して、着色後の余剰の塗料をガラスブロック11の外部に、容易に排出することができる。
【0039】
貫通孔13cは、封止部材21によって封止されている。貫通孔13cを設けることにより、ガラスブロック11の内部の空間に水分を含む空気が流入し、内面に結露が生じる場合があった。そこで、乾燥空気を空間Sに注入して、封止部材21で封止することにより結露の発生を抑制することができる。封止部材21は、樹脂によって形成されており、ガラスブロック11の内部の空間Sを封止する。これにより、ガラスブロック11の内部に乾燥空気を封入することができる。
【0040】
封着部材21に用いられる樹脂としては、シリコーンゴム、スチレンゴム、ブチルゴムであることが好ましく、ブチルゴムであることがより好ましい。これにより、ガラスブロック11の内部に、水分を含む空気が流入して結露が生じることを、効果的に防ぐことができる。
【0041】
次に、ガラスブロック11の製造方法について
図2および
図3を用いて説明する。
ガラスブロック11の製造方法は、有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体12・12を準備する第一の工程S01と、ガラス成形体12・12の互いの開放端縁12cで溶着一体化し、透光面11aと側面部11bを備えたガラス中空体13を得る第二の工程S02と、ガラス中空体13の側面に貫通孔13cを形成し、貫通孔13cの周縁に欠損部13eを形成する第三の工程と、を備える。
【0042】
第一の工程S01においては、ガラス成形体12を形成可能な金型を準備して、プレス成型機に装着して、金型内に所用体積のガラスを供給する。次に、プランジャによってガラスを押圧し、金型との隙間内で圧延して、有底無蓋の箱型形状のガラス成形体12を得る。
【0043】
第二の工程S02においては、一対のガラス成形体12・12を互いの開放端縁12c・12cで突き合わせ、その突き合わせ部をバーナー炎で溶着一体化させた後、除歪することにより、ガラス中空体13を得る。突き合わせ部をバーナー炎で溶着一体化させる際には、突き合わせ部に近い位置に対してバーナー炎でファイヤーポリッシュ加工が施される。これにより、ガラス中空体13においては、貫通孔13cを形成する部位の表面が火造り面となる。
【0044】
そして、第三の工程S03においては、第二の工程で得られたガラス中空体13の側面の一部である角部13dに貫通孔13cを形成する。貫通孔13cは、ドリル等の錐状工具により、貫通孔13cの周縁部から、欠損部13eにおける当該周縁部側とは反対側の端部までの距離hが0.1mm~5mmとなるように穿孔されることで形成される。貫通孔13cの内表面は、特別な研磨加工を施さず、表面粗さを算術平均粗さRaで0.5μm以上4.0μm以下とする。あるいは、穿孔後に研磨加工を施すことにより、表面平均粗さRaを所定範囲となるよう調整してもよい。これにより、貫通孔13cの周縁に爆縮する前の側面部11bの破損につながるような欠損部13eを形成しつつ、貫通孔13cを形成することができ、本発明に係るガラスブロック11を得ることができる。
【0045】
以上のように、本発明におけるガラスブロック11は、有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体12・12が、互いの開放端縁12cで溶着一体化されてなり、透光面11a及び側面部12bを備えたガラスブロック11の側面部11bに貫通孔13cを備え、貫通孔13cは、周縁に欠損部13eを有するものである。
このように構成することにより、例えば火災等の発生時において、ガラスブロック11内の空気が加熱によって急激に膨張し、内圧が過剰に高まった場合、貫通孔13cの欠損部13eに過大な応力集中が発生して亀裂が生じ、当該空気によって、ガラスブロック11の透光面11aが内部から押し割られる前に、直ちにガラスブロック11の側面部11bを破損させることができる。
従って、ガラスブロック11の透光面11aの形態が保持された状態で、ガラスブロック11が破損する可能性が高まり、ガラスブロック11の防火性能を向上させることができる。
【0046】
また、ガラスブロック11においては、貫通孔13cは、内周面の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.5μm以上4.0μm以下である。
このように構成することにより、例えば、封止部材21によって貫通孔13cを封止する場合、貫通孔13cの内周面における、表面粗さの微小な凹凸を介して、貫通孔13cと封止部材21との密着性を高めることができ、ガラスブロック11の内部に湿気が流入して結露が発生するのを、抑制することができる。これにより、ガラスブロック11の美観が内部の結露によって損なわれにくくなる。
【0047】
また、ガラスブロック11においては、側面部11bは、一対のガラス成形体12の開放端縁12cが溶着した溶着部12dを備え、貫通孔13cは、溶着部12dに設けられるものである。
このように構成することにより、ガラスブロック11における比較的剛性の高い箇所において、安定して貫通孔13cを形成することができ、ガラスブロック11全体の剛性を損なうことなく、防火性能を向上させることができる。
【0048】
また、ガラスブロック11においては、貫通孔13cは、側面部12bの角部13dに設けられる。
このように構成することにより、ガラスブロック11における、より剛性の高い箇所において、安定して貫通孔を形成することができる。
また、例えば、貫通孔13cを介してガラスブロック11の内部に塗料を注入し、ガラスブロック11の透光面11aを着色する場合においては、ガラスブロック11(ガラス中空体13)の角部13dに貫通孔13cが設けられているため、貫通孔13cを介して、着色後の余剰の塗料をガラスブロック11の外部に、容易に排出することができる。
【0049】
また、ガラスブロック11においては、貫通孔13cは、内径が、5mm以上20mm以下である。
このように構成することにより、ガラスブロック11全体の剛性を大きく損なうことなく、貫通孔13cを設けることができる。
また、適度な量の封止部材21によって、貫通孔13cを容易に封止することができる。
さらに、例えば、貫通孔13cを介してガラスブロック11の内部に塗料を注入し、当該ガラスブロック11の透光面11aを着色する場合においては、適度なサイズからなる貫通孔13cを介して、着色後の余剰の塗料をガラスブロック11の外部に、容易に排出することができる。
【0050】
また、ガラスブロック11においては、貫通孔13cは、封止部材21によって封止されている。
このように構成することにより、貫通孔13cが、封止部材21によって封止されることにより、ガラスブロック11の内部に湿気が流入して湿気が発生するのを、抑制することができる。
【0051】
また、ガラスブロック11においては、透光面11a及び/または側面部11bが着色されてなる。
このように構成することにより、ガラスブロック11の意匠性を向上させることができる。
【0052】
また、ガラスブロック11の製造方法において、有底無蓋の箱型形状を有する一対のガラス成形体12・12を準備する工程S01と、ガラス成形体12・12の互いの開放端縁で溶着一体化し、透光面12aと側面部12bを備えたガラス中空体13を得る工程S02と、ガラス中空体13の側板bに貫通孔13cを形成し、貫通孔13cの周縁に欠損部13eを形成する工程と、を備える。
このように構成することにより、例えば火災等の発生時において、ガラスブロック11内の空気が加熱によって急激に膨張し、内圧が過剰に高まった場合、貫通孔13cの欠損部13eに過大な応力集中が発生して亀裂が生じ、当該空気によって、ガラスブロック11の底面11aが内部から押し割られる前に、直ちにガラスブロック11の側面部11bを破損させることができるガラスブロック11を得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
11 ガラスブロック
11a 透光面
11b 側面部
12 ガラス成形体
12a 蓋部
12b 側板部
12c 開放端縁
12d 溶着部
13 ガラス中空体
13a 底板
13b 側板
13c 貫通孔
13d 角部
13e 欠損部
21 封止部材