(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121588
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/10 20220101AFI20240830BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240830BHJP
H05B 47/11 20200101ALI20240830BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20240830BHJP
H05B 47/25 20200101ALI20240830BHJP
H05B 47/195 20200101ALI20240830BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240830BHJP
H04L 41/0853 20220101ALI20240830BHJP
【FI】
H04L43/10
H05B47/16
H05B47/11
H05B47/125
H05B47/25
H05B47/195
H04Q9/00 311K
H04L41/0853
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028765
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 幸喜
【テーマコード(参考)】
3K273
5K048
【Fターム(参考)】
3K273PA10
3K273QA36
3K273QA38
3K273RA13
3K273SA02
3K273SA04
3K273SA17
3K273SA21
3K273SA34
3K273SA36
3K273SA37
3K273SA50
3K273SA52
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA29
3K273TA30
3K273TA51
3K273TA55
3K273TA62
3K273TA66
3K273UA16
3K273UA17
3K273UA19
3K273UA27
5K048AA06
5K048BA07
5K048BA34
5K048EB08
5K048EB12
5K048EB13
5K048GB03
(57)【要約】
【課題】本開示はシステム機器のコントローラへの配線状態を診断する技術に関し、増幅器が直列、並列どちらで接続されているかに関わらず、システム機器のコントローラへの配線状態を診断できる制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の制御システムは、システム機器と、中継増幅器と、コントローラとを備える。コントローラは、システム機器の通信用アドレスに宛てた下りヘルスチェックコマンドを送信する。システム機器は、下りヘルスチェックコマンドを上りヘルスチェックコマンドとし、上りヘルスチェックコマンドをコントローラに返送する。中継増幅器は、下りヘルスチェックコマンドまたは上りヘルスチェックコマンドに自己を特定するための増幅器情報を付加したうえで中継する。増幅器情報は、中継増幅器がコントローラに直列に接続される場合と並列に接続される場合とで、値が異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム機器と、
複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のうちコントローラから前記システム機器までを中継する中継増幅器を介し、前記システム機器に対して下りヘルスチェックコマンドを送信する前記コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記システム機器の通信用アドレスに宛てた前記下りヘルスチェックコマンドを送信するコマンド送信処理を実行するように構成され、
前記下りヘルスチェックコマンドを受け付けた前記システム機器は、
前記下りヘルスチェックコマンドを上りヘルスチェックコマンドとする処理と、
前記上りヘルスチェックコマンドを前記コントローラに返送する返送処理と、
を実行するように構成され、
前記中継増幅器は、
前記下りヘルスチェックコマンドまたは前記上りヘルスチェックコマンドに自己を特定するための増幅器情報を付加する付加処理と、
前記付加処理が施された前記下りヘルスチェックコマンドまたは前記上りヘルスチェックコマンドを中継する中継処理と、
を実行するように構成され、
前記増幅器情報は、前記中継増幅器が前記コントローラに直列に接続される場合と並列に接続される場合とで、値が異なる、制御システム。
【請求項2】
前記通信用アドレスを前記コントローラに通知する設定器をさらに備える、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記設定器は、前記システム機器の前記コントローラへの配線状態を示す配線情報をさらに備え、
前記コントローラは、
前記付加処理が施された前記下りヘルスチェックコマンドを受け付ける処理と、
前記増幅器情報から、前記配線情報を診断する処理と、
前記診断の結果に基づき、前記配線情報を更新する更新処理と、
をさらに実行するように構成される、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記下りヘルスチェックコマンドは、前記システム機器に発生した異常情報を要求するコマンドをさらに含み、
前記システム機器は、
前記返送処理においては、前記上りヘルスチェックコマンドに自身の異常情報を付加して返送する処理を更に含み、
前記コマンド送信処理は一定の間隔で実行され、
前記返送処理は前記コマンド送信処理に応じて一定の間隔で実行され、
前記コントローラは、前記異常情報を監視する処理を更に実行する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記システム機器は前記増幅器であり、
前記返送処理においては、
前記上りヘルスチェックコマンドに自身の前記増幅器情報を付加して返送する処理を更に実行する、請求項1または4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記増幅器および前記コントローラは、
下り信号期間の電流波形を定常時消費電流として測定する短絡漏電検知回路をさらに備え、
測定値が基準値を超えた場合に、短絡異常と判断する処理を更に実行するように構成され、
前記システム機器は前記増幅器であり、
前記異常情報は、前記短絡異常の情報である、請求項4に記載の制御システム。
【請求項7】
前記増幅器および前記コントローラは、
通信線を介して、他の増幅器、または前記システム機器に送信する信号の電流と、該信号に対して返送される信号の電流の電流差を測定する短絡漏電検知回路をさらに備え、
測定値が基準値を超えた場合に、漏電異常と判断する処理を更に実行するように構成され、
前記異常情報は、前記漏電異常の情報である、請求項4に記載の制御システム。
【請求項8】
前記システム機器を複数備え、
監視部をさらに備え、
前記監視部は、
前記定常時消費電流の測定結果に基づき、前記増幅器に接続可能なシステム機器の最大接続数を計算する処理と、
前記最大接続数に基づき、前記増幅器への前記システム機器の接続数を監視する処理と、
を実行するように構成される、請求項6に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム機器のコントローラへの配線状態を診断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コントローラに直接、または増幅器を介して間接的に接続される複数のシステム機器に対して、アドレス情報とコントローラへの配線情報を設定器により手動で設定する技術が知られる(たとえば、特許文献1参照)。そこでは、設定ミスにより、コントローラへの配線情報が実態と一致しないことが問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システム機器の配線状態を診断する技術は従来においても存在したが、増幅器がコントローラに対して並列に接続されている場合しか診断できず、直列接続には対応できなかった。
【0005】
本開示は上述の問題を解決するため、増幅器が直列、並列どちらで接続されているかに関わらず、システム機器のコントローラへの配線状態を診断できる制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様は、
システム機器と、
複数の増幅器と、
前記複数の増幅器のうちコントローラから前記システム機器までを中継する中継増幅器を介し、前記システム機器に対して下りヘルスチェックコマンドを送信する前記コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記システム機器の通信用アドレスに宛てた前記下りヘルスチェックコマンドを送信するコマンド送信処理を実行するように構成され、
前記下りヘルスチェックコマンドを受け付けた前記システム機器は、
前記下りヘルスチェックコマンドを上りヘルスチェックコマンドとする処理と、
前記上りヘルスチェックコマンドを前記コントローラに返送する返送処理と、
を実行するように構成され、
前記中継増幅器は、
前記下りヘルスチェックコマンドまたは前記上りヘルスチェックコマンドに自己を特定するための増幅器情報を付加する付加処理と、
前記付加処理が施された前記下りヘルスチェックコマンドまたは前記上りヘルスチェックコマンドを中継する中継処理と、
を実行するように構成され、
前記増幅器情報は、前記中継増幅器が前記コントローラに直列に接続される場合と並列に接続される場合とで、値が異なる、制御システム。
であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の態様によれば、増幅器が直列、並列どちらで接続されているかに関わらず、システム機器のコントローラへの配線状態を診断できる制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態1に係る、制御システムの構成例を示す図である。
【
図2】本開示の実施の形態1に係る、コントローラの詳細な構成例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施の形態1に係る、増幅器の詳細な構成例を示すブロック図である。
【
図4】本開示の実施の形態1に係る、コントローラが送信する通信フレーム、およびシステム機器が送信する応答データのフレーム構成を表す図である。
【
図5】本開示の実施の形態1に係る、通信フレームに含まれるコマンド識別子、コマンドのコード、およびコマンドデータの詳細な仕様である。
【
図6】本開示の実施の形態1に係る(a)下り方向の信号の信号波形90と(b)上り方向の信号の信号波形を示す図である。
【
図7】本開示の実施の形態1に係る、信号波形の詳細を示す図である。
【
図8】本開示の実施の形態1に係る、コントローラで検知される信号の電流波形を説明する図である。
【
図9】本開示の実施の形態1に係る、制御システムにおけるヘルスチェックのフローチャートである。
【
図10】本開示の実施の形態1に係る、制御システムにおける短絡、漏電異常検知のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1
図1は、本開示の実施の形態1に係る、制御システム100の構成例を示す図である。制御システム100は、コントローラ110を備える。コントローラ110は、システム機器17に対して、通信線16を介して給電および制御を行う。コントローラ110による給電電圧は例えば24V、電流容量は500mAである。また、通信線16の配線長は例えば500mである。
【0010】
コントローラ110は、各システム機器17に対して後述するヘルスチェックコマンドを送信し、各システム機器17の配線状態および異常を診断する。さらに、コントローラ110は、診断結果を照明監視装置15に通知する。
【0011】
増幅器120は、システム機器17の接続台数が多い場合など、コントローラ110からの給電電流が不足する場合に、給電容量を追加する。追加できる給電容量は、例えば500mAである。また、システム機器17の設置場所がコントローラ110から遠い場合にも、増幅器120を追加することで、配線を500m延ばすことができる。増幅器120は直列に5台まで接続可能であるが、台数はこれに限定しない。
【0012】
コントローラ110には、複数の増幅器120を介して、複数のセンサ機器、および出力機器が接続される。なお、本開示ではセンサ機器と出力機器、および増幅器120を総称してシステム機器17と呼ぶことにする。
【0013】
センサ機器は、画像センサ3、照度センサ4、人感センサ5などである。これら複数のセンサ機器からの情報は、通信線16を介してコントローラ110に出力される。
【0014】
出力機器は、調光コントローラ6、制御端末器8、照明器具9、リレー端末器10、壁スイッチ12を含む。調光コントローラ6(1)は、調光信号線7を介して照明器具9(1)から照明器具9(3)の調光制御を行う。調光コントローラ6は、照明器具9を最大72台接続可能であるが、その分多くの電力を消費するため、商用電源から電源供給される。
【0015】
調光コントローラ6は、照度センサ4または画像センサ3にて測定された照度値が、予め設定された照度値になる様に照明器具9を調光制御する。同様に、人感センサ5、または画像センサ3にて検知された人の検知情報に基づいて、予め設定された調光率になる様に照明器具9を調光制御する。
【0016】
制御端末器8は、照明器具9に内蔵され、当該照明器具9を制御する。制御端末器8は、コントローラ110からの照明制御に基づき照明器具9の光源状態を変更する。制御端末器8は、コントローラ110から電源供給されているため、照明器具9への商用電源の供給がOFFになっても動作可能である。さらに、制御端末器8は、照明器具9へ接続された商用電源のOFF/ONを検出することも可能である。
【0017】
リレー端末器10はリモコンリレー11を介して照明器具9(6)、照明器具9(7)を一括制御する。リレー端末器10の出力は、1回路出力用と4回路出力用の2タイプが知られるが、本開示においてはどちらを用いても良い。リレー端末器10は消費電力の小さい60msのパルス信号によりリモコンリレー11を制御する。
【0018】
壁スイッチ12は照明器具9の光源状態を釦操作する。壁スイッチ12は、各照明器具9のアドレス情報および運用情報を、各釦に紐づけて記憶している。ただし、アドレス情報および運用情報は、後述する赤外線設定器13が各照明器具9に対して設定したものである。
【0019】
照明器具9の運用情報とは、例えば、照明器具9を個別に操作するための情報である。または、複数の照明器具9をグループ単位で一括操作するためのグループ情報、もしくは、同一範囲に存在する複数の照明器具9を一括操作するためのゾーン情報、もしくは、利用者がよく利用する照明制御のパターン情報などである。なお、壁スイッチ12には、1つ釦タイプ、2つ釦タイプ、3つ釦タイプ、4つ釦タイプ、8つ釦タイプなどの種類が知られる。
【0020】
赤外線設定器13は、例えばリモコンである。赤外線設定器13は各システム機器17に対して、アドレス情報および運用情報を設定する。アドレス情報とは、各システム機器17のIPアドレスおよび通信先アドレスの情報である。さらに、赤外線設定器13は、これらの情報をコントローラ110に通知する。また、赤外線設定器13は、コントローラ110に対してもアドレス情報を設定できる。
【0021】
各々のシステム機器17は、コントローラ110からヘルスチェックコマンドを受信すると、これに応答し、自身の配線状態および自身に発生した異常の情報を返送する。なお、システム機器17に発生する異常とは、他のシステム機器17とのアドレス重複、インタフェース異常、メモリ異常、入力回路異常、短絡異常、波形遅延、波形ひずみなどである。
【0022】
照明監視装置15は、コントローラ110からLAN14を介して入力されたシステム機器17のアドレス情報、コントローラ110への配線情報、および運用情報を集中管理する。照明監視装置15は、監視画面上に各々のシステム機器17を示すアイコンを表示することができる。なお、アイコンは、各々のシステム機器17が配置された部屋のレイアウト図上に配置することも可能である。また、照明監視装置15には、予め設定された時刻に自動でシステム機器17を操作するスケジュール機能などが搭載されている。
【0023】
〈変形例〉
なお、
図1のシステム機器17の種類と台数は一例であって、制御システム100が配備される環境に応じて好適になるように決めればよい。
【0024】
なお、照明監視装置15の機能はクラウドサーバに構築してもよい。その場合も上述と同様の効果を得ることができる。また、クラウドのデータベースを使用する事で、制御システム100が配備された建物を含む複数の建物に対する群管理が可能となる。また、クラウドサーバ内の機械学習部と連携させることで、制御システム100における異常状態の詳細な解析が可能となる。
【0025】
図2は、本開示の実施の形態1に係る、コントローラ110の詳細な構成例を示すブロック図である。コントローラ110のマイクロコンピュータ34は、メイン処理部35を備える。メイン処理部35は、システム機器17に対して上述のヘルスチェックコマンドを含むデータ(以下、ヘルスチェックデータと称する)または増幅器120に中継させる中継データを作成し、フィールドバス通信処理部36に通知する。フィールドバス通信処理部36は、受け付けたデータをフィールドバス送受信バッファ44に一時的に格納したうえで1ビット毎にフィールドバス通信回路32に出力する。さらに、フィールドバス通信回路32が、データを変調変換し、後述する通信フレーム70の信号形式に変換する。通信フレーム70の信号は、通信線16を介して対象のシステム機器17に出力される。
【0026】
一方、後述する応答データ71を含む信号がシステム機器17から送信された場合は、フィールドバス通信回路32が当該信号をマイクロコンピュータ34で処理可能な5Vの信号に変換する。さらにフィールドバス通信処理部36がデータ構造を変換する。さらに、メイン処理部35が、構造変換されたデータから、信号の送信元であるシステム機器17を特定し、データの内容を解析する。
【0027】
例えば、当該データの送信元が人感センサ5であり、データの内容が、人の在/不在の状態に変化があったことを示すものである場合、メイン処理部35は、設備LAN通信処理部37に当該データを通知する。設備LAN通信処理部37は、受け付けたデータをLAN送受信バッファ45に一時的に格納したうえで、PHY回路33に出力する。PHY回路33は受け付けたデータをUDP/IPのプロトコルに変換し、照明監視装置15に通知する。これにより、人感センサ5が検出した人の在/不在の情報を照明監視装置15に通知することができる。
【0028】
一方、照明監視装置15からシステム機器17に対する制御指令信号が入力された場合は、PHY回路33がUDP/IPのプロトコルを解析する。さらに、設備LAN通信処理部37にてデータ構造が変換され、メイン処理部35で処理される。
【0029】
さらに、メイン処理部35は、不揮発メモリ42にアドレス情報、グループ情報、パターン情報、ゾーン情報、スケジュール情報などを保存する。一方、バックアップ電源によるデータの保持が可能なRAM43にはシステム機器17の運転状態を保存する。
【0030】
また、メイン処理部35は、コントローラ110の動作状態、LAN14の配線状態、通信線16の異常などをLED表示部46に点灯または点滅表示する。コントローラ110の動作状態とは、停止、起動、正常、メモリ異常などの状態である。また、LAN14の配線状態とは、LINK、ACT、トラフィック異常などの状態である。通信線16の異常とは、電流オーバー、短絡異常、通信エラー等の状態である。
【0031】
スケジュール管理部40は、不揮発メモリ42に設定されたスケジュール情報を読み出し、実行すべきスケジュールの時間をRTC41に設定する。RTC41は設定された時間になると、スケジュール管理部40にアラームを通知する。アラーム時間になるとスケジュール管理部40が所定のスケジュールを実行する。
【0032】
発光/受光素子39は、赤外線設定器13から赤外線信号を受信する。赤外線信号には、各システム機器17のアドレス情報および運用情報が含まれる。発光/受光素子39は、受信した赤外線信号を5Vの電気信号に変換し、赤外線通信部38へと伝送する。赤外線通信部38は、マイクロコンピュータ34で解析できる形式にデータ構造を変換する。メイン処理部35は当該データを解析し、各システム機器17のアドレス情報および運用情報を不揮発メモリ42に保存する。
【0033】
一方、赤外線設定器13からの赤外線信号に、アドレス情報を要求する信号が含まれていた場合、メイン処理部35は、不揮発メモリ42に保存されているアドレス情報を読込んで、赤外線通信部38に通知する。赤外線通信部38は、アドレス情報を5Vの電気信号として発光/受光素子39に出力する。発光/受光素子39は、当該電気信号を赤外線信号に変換し、赤外線設定器13に送信する。
【0034】
電源回路31は、電源線30にて商用電源29に接続され、マイクロコンピュータ34、および周辺回路に対して、5VおよびDC24VのDC電源を給電する。
【0035】
短絡漏電検知回路47はフィールドバス通信回路32の信号波形を監視する。波形に異常がある場合、短絡漏電検知回路47は異常内容をメイン処理部35に通知する。メイン処理部35は異常情報と発生時刻を不揮発メモリ42に保存する。
【0036】
〈変形例〉
なお、
図2では、CPUとメモリを備え、メモリにプログラムを記憶したマイクロコンピュータ34を用いて、コントローラ110が処理を実行する場合を説明した。しかしながら、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を用いて、プログラムで実行するようにしてもよい。なお、プログラムは、記憶媒体に記録して提供されてもよいし、ネットワークを通して提供されてもよい。なお、この点は増幅器120についても同様である。
【0037】
図3は、本開示の実施の形態1に係る、増幅器120の詳細な構成例を示すブロック図である。コントローラ110から通信フレーム70の信号が送信された場合は、第一フィールドバス通信回路52が当該信号をマイクロコンピュータ54で処理可能な信号に変換する。さらにフィールドバス通信処理部56がデータを解析する。メイン処理部55は、データの解析結果に基づき、受信データが、中継データか、ヘルスチェックデータかを判断する。
【0038】
受信データが中継データの場合、メイン処理部55は、受信データが中継データであることを示した上で当該中継データをフィールドバス通信処理部56に通知する。フィールドバス通信処理部56は、通知されたデータを第二フィールドバス通信回路57に出力する。第二フィールドバス通信回路57は、出力されたデータを再度通信フレーム70の信号形式になるように変調変換する。変換された信号は、通信線16を介して中継相手のシステム機器17に出力される。これにより、コントローラ110から通信フレーム70の信号をシステム機器17に中継することができる。
【0039】
一方、受信データがヘルスチェックデータの場合、メイン処理部55は、受信データがヘルスチェックデータであることを示した上で当該ヘルスチェックデータをフィールドバス通信処理部56に通知する。フィールドバス通信処理部56は、増幅器120を示す情報をヘルスチェックコマンドに付加する処理(以下、付加処理と称する)を実行する。付加処理においては、フィールドバス通信処理部56は増幅器120に割り当てられた番号の情報(以下、増幅器情報とする)を付加する。たとえば増幅器120(1)の増幅器情報は16進数表記で0x01となる。増幅器120(2)の増幅器情報は0x32となる。増幅器120(3)の増幅器情報は0x33となる。このように16進数で表示することで、増幅器120を15台まで区別して表示することが可能である。なお、初期値0x00は増幅器が接続されていないことを示す。なお、増幅器情報は増幅器120に割り当てられた番号に限定せずともよく、各々の増幅器120を区別できる値であればよい。
【0040】
さらにフィールドバス通信処理部56は、付加処理を施したヘルスチェックデータを第二フィールドバス通信回路57に出力する。第二フィールドバス通信回路57は、中継データの場合と同様に、受け付けたヘルスチェックデータをシステム機器17に出力する。これにより、ヘルスチェックデータをシステム機器17に中継することができる。
【0041】
なお、第一フィールドバス通信回路52の信号波形は波形検知回路53により監視されている。後述する波形ひずみ101など、波形に異常がある場合、波形検知回路53は異常内容をメイン処理部55に通知する。メイン処理部55は異常情報と発生時刻を不揮発メモリ59に保存する。同様に、第二フィールドバス通信回路57の信号波形についても、短絡漏電検知回路58により監視されている。短絡漏電検知回路58の機能については
図2と同様であるため説明は省略する。
【0042】
なお、増幅器120の通信線16の入力と出力、および電源回路51は、第一フィールドバス通信回路52のフォトカプラにより互いに絶縁され、入力側の通信線16のノイズが出力側の通信線16に影響を与えない回路構成が望ましい。
【0043】
また、メイン処理部55は、増幅器120の動作状態、または通信線16の異常をLED表示部62に点灯または点滅表示させる。なお、増幅器120の動作状態とは、停止、起動、正常、メモリ異常などの状態である。また通信線16の異常とは、電流オーバー、短絡、通信エラーなどである。
【0044】
発光/受光素子61は、赤外線設定器13から赤外線信号を受信する。赤外線信号には、増幅器120のアドレス情報が含まれる。発光/受光素子61は、受信した赤外線信号を5Vの電気信号に変換し、赤外線通信部60へと伝送する。赤外線通信部60は、マイクロコンピュータ54で解析できる形式にデータ構造を変換する。メイン処理部55は当該データを解析し、各システム機器17に対するIPアドレスおよび通信先アドレスを不揮発メモリ59に保存する。
【0045】
一方、赤外線設定器13からの赤外線信号に、システム機器17の故障情報を要求する信号が含まれていた場合、メイン処理部55は、不揮発メモリ59に保存されている故障情報を読込んで、赤外線通信部に通知する。赤外線通信部60は、故障情報を5Vの電気信号として発光/受光素子61に出力する。発光/受光素子61は、当該電気信号を赤外線信号に変換し、赤外線設定器13に送信する。
【0046】
電源回路51は、電源線50にて商用電源29に接続され、マイクロコンピュータ54、および周辺回路に対して、5VおよびDC24VのDC電源を給電する。
【0047】
〈変形例〉
なお、上記の説明では増幅器120がコントローラ110からの信号を処理する場合を主に説明した。しかしながら、他の増幅器120からの信号であってもよい。さらに、増幅器120は、下り方向の信号にかぎらず、上り方向の信号を処理することも可能である。なお、下り方向とは、コントローラ110を起点とし、増幅器120を介して各システム機器17に向かう方向であり、上り方向はその逆である。
【0048】
図4は、本開示の実施の形態1に係る、コントローラ110が送信する通信フレーム70、およびシステム機器17が送信する応答データ71のフレーム構成を表す図である。通信フレーム70は、データの開始位置を示すスタートビット72、信号が衝突した際の優先順位を示す優先度73、システム機器17に応答を要求しヘルスチェックコマンドであることを表す応答判別74、送信先の機種を示すアドレス種別75、送信先のアドレスを表すアドレス76、データ部77、およびSUM81を含む。
【0049】
アドレス種別75は、画像センサ3、人感センサ5、照度センサ4、調光コントローラ6、制御端末器8、リレー端末器10、および壁スイッチ12の7機種に分類される。アドレス76は、各システム機器17に対して割り当てられる。
【0050】
データ部77は、データ部77の長さを表すデータ長78、コマンドの種類を表すコマンド識別子79、およびコマンドの値を表すコマンドデータ80から構成される。
【0051】
SUM81は、優先度73からコマンドデータ80までのデータ列の和であり、通信フレーム70の誤りをチェックし、補修するために用いられる。
【0052】
コントローラ110から通信フレーム70が送信されると、ウエイト時間82の後、システム機器17から応答データ71が格納され、コントローラ110に返送される。
【0053】
図5は、本開示の実施の形態1に係る、通信フレーム70に含まれるコマンド識別子79、コマンドのコード83、およびコマンドデータ80の詳細な仕様である。ここでは主にヘルスチェックコマンドについて説明する。
【0054】
ヘルスチェックコマンドのコマンドデータ80は、増幅器情報D1を含む。応答データ81は、増幅器情報D1、状態情報D2、異常コードD3、を含む。状態情報D2は、各システム機器17の状態を示す。例えば、増幅器120に対するヘルスチェックコマンドの場合、状態情報D2には、操作コマンドが送受信されない通常運転時におけるの消費電流の値が格納される。異常コードD3には、システム機器17が検知した上述のアドレス重複、インタフェース異常、メモリ異常、入力回路異常、短絡異常、波形遅延、波形ひずみなどを示すコードが格納される。増幅器情報D1、状態情報D2、異常コードD3の値は、ヘルスチェックコマンドを受け付けたシステム機器17において、コマンドデータ80の増幅器情報D1を応答データ81の増幅器情報D1に上書きし、状態情報D2、異常コードD3の値はシステム機器17が検知した状態を格納し、コントローラ110に返送される。
【0055】
一方、コマンドデータ80の増幅器情報D1は、各々のシステム機器17への増幅器120の配線状態を示す。増幅器情報D1は、通信フレーム70の送信先であるシステム機器17までを中継する増幅器120が実行する上述の付加処理により値が格納される。
【0056】
各システム機器17に対して接続された増幅器120を階層構造として格納できる構造になっている。例えば、
図1の増幅器120(3)に接続されている制御端末器8(3)が通信フレーム70を受信した時のコマンドデータ80の増幅器情報D1は、0x32、0x33、0x00となる。はじめの0x32は、コントローラ110に増幅器120(2)が接続されていることを示す。次の0x33は、増幅器120(2)の下流に増幅器120(3)が直列接続さていることを示す。最後の0x00は、増幅器120が無い事を表し、制御端末器8(3)が増幅器120(3)に接続されることを示す。つまり、通信フレーム70のコマンドデータ80の増幅器情報D1は、コントローラが送信した際は、0x00、0x00、0x00となり、増幅器120(2)が中継した際は、0x32、0x00、0x00となり、増幅器120(3)が中継した際は、0x32、0x33、0x00となる。
【0057】
一方、ヘルスチェックコマンド以外のコマンド識別子79におけるコマンドデータ80は、増幅器120の増幅器情報D1を含まないシンプルなデータ構造であり、通信トラフィックに負荷をかけない仕様になっている。
【0058】
このように、本開示の制御システム100においては、コントローラ110が各システム機器17に対して送信したヘルスチェックコマンドに対して、当該ヘルスチェックコマンドを中継する増幅器120が増幅器情報D1を返送する。これにより、コントローラ110は、各システム機器17への増幅器120の配線状態を把握することができる。
【0059】
ここで、従来技術においては、増幅器120の配線状態は、増幅器120がコントローラ110に対して並列に接続されている場合しか表現できず、直列接続には対応できなかった。一方、本開示においては、増幅器がコントローラ110に直列に接続される場合と並列に接続される場合とで、増幅器情報には異なる値が格納される。これにより、直列接続であるか並列接続であるかを識別することができる。本開示では、直列接続の場合にも対応している点で、あらゆる接続様態に対応でき、従来技術に比べて優れた効果を発揮する。
【0060】
図6は、本開示の実施の形態1に係る(a)下り方向の信号の信号波形90と(b)上り方向の信号の信号波形91を示す図である。まず、
図6(a)は、一時的な大きな電流変化が無い、下り方向の信号の信号波形90である。当該信号は、ダミー信号93および通信フレーム70を含む信号であり、ウエイト時間82は含めない。当該信号は、例えばコントローラ110のフィールドバス通信回路32および増幅器120の第一フィールドバス通信回路52から出力される。以降では、下り方向の信号を下り信号と称する。
【0061】
図6(a)に示すように、下り信号の信号波形90は、±24Vの電圧で変化する。電圧が+24Vで、パルス幅が100μSの場合に、論理レベル0と定義され、電圧が-24Vで、パルス幅が300μSの場合に、論理レベル1と定義される。
【0062】
一方、
図6(b)は、上り方向の信号の信号波形91である。当該信号は、応答データ71を含み、下り信号に応答したシステム機器17により送信される。以降では、上り方向の信号を上り信号と称する。上り信号の信号波形91は、下り信号と同様に、±24Vの電圧で変化する。しかしながら、応答データ71の区間においては、パルス幅400μSのうち前半200μSの期間に50μSのパルス信号が重畳された場合に、論理レベル0と判定され、後半200μSの期間に50μSのパルス信号が重畳された場合に、論理レベル1と判定される。これにより、上り方向の信号を受け付けたコントローラ110において、応答の有無を判別することができる。具体的には、システム機器17から返送された通信フレーム70の応答判別74が論理レベル1の場合は、応答有りとなり、1msのウエイト時間82の時間後に応答データ71のタイミングとなる。
【0063】
また、コントローラ110からの通信フレーム70が無い状態でシステム機器17が上り信号を送信する場合は、±24Vの電圧でパルス幅が900μSのダミー信号93が送信される。
【0064】
図7は、本開示の実施の形態1に係る、信号波形の詳細を示す図である。なお、ここでの信号は、上述の下り信号もしくは上り信号のことである。
図7(a)は、波形ひずみ101を説明する図である。通信線16の長さ、分岐数、システム機器17の接続により、信号の立上りと立下り時に波形ひずみ101が発生する。波形ひずみ101が大きい場合は、受信時に通信エラーが発生する。波形ひずみ101の電圧値RVと幅Wはシステム機器17の波形検知回路により検知され、基準値以上であれば波形異常として発生時間と累積頻度とともに不揮発メモリに記録される。
【0065】
図7(b)は、波形遅延102を説明する図である。増幅器120の通信線16の入力と出力がフォトカプラで絶縁されていることにより、増幅器120を直列接続した場合に、5から10μSの波形遅延102が発生する。例えば、増幅器120を5段接続した場合は
図7(b)のようにW=50μSの波形遅延102となる。また、通信線16の端子接続にゆるみがあると接触抵抗が大きくなり、通信線の静電容量に影響を与えることから、信号の立上りに波形遅延102が発生する。このような波形遅延102を含む信号についても、波形ひずみ101の場合と同様に、それを受け付けたシステム機器17の波形検知回路において検知され、記録される。なお、波形遅延102を異常と判断する基準値は、例えば100μSである。
【0066】
図8は、本開示の実施の形態1に係る、コントローラ110で検知される信号の電流波形を説明する図である。なお、ここでの信号は、上述の上り信号を指す。定常時消費電流BIは、上り信号を受け付けたコントローラ110の短絡漏電検知回路47において検知される。これにより、上り信号を送信したシステム機器17が消費する定常時消費電流BIを測定することができ、コントローラ110と当該システム機器17における通信状態の異常を検知することができる。
図8(a)のように定常時消費電流BIが基準値500mA以下の場合、コントローラ110は、正常の通信状態であると判断する。
【0067】
一方、定常時消費電流BIが500mAをオーバーした場合、コントローラ110は、当該電流値が800mAを超えるか否かをさらに判定する。定常時消費電流BIが800mAを超えない場合、コントローラ110は、自身が備えるフィールドバス通信回路32の部品温度に異常があると判断する。一方、
図8(b)のように定常時消費電流BIが800mAを超える場合、コントローラ110は、短絡異常と判断する。短絡異常を検知した場合、コントローラ110は、他のシステム機器17への出力を停止し、短絡異常の発生時間と累積頻度を不揮発メモリ42に記録する。なお、ここで説明した定常時消費電流BIの値、および異常を判断するための基準値は一例である。
【0068】
さらに、
図8(c)のように定常時消費電流BIのバランス異常がみられることもあり得る。バランス異常が発生した場合、コントローラ110は短絡異常と同様に処理する。
【0069】
以上説明したように、本開示においては、上り信号の電流波形から定常時消費電流と瞬時の消費電流を計測・診断することができ、短絡異常を検知することができる。この定常時消費電流の測定機能を利用することで、システム機器17の最大接続数を把握することができる。例えば、増幅器120の定常時消費電流が350mAで定格電流が500mAの場合、当該増幅器120に増設できる壁スイッチ12の台数は、壁スイッチ1台当たりの消費電流を8mAとすると、最大18台までと計算できる。
【0070】
この計算は、コントローラ110または照明監視装置15において行うようにすればよい。そこでは、増幅器120へのシステム機器17の接続数を監視し、最大接続数以上の台数のシステム機器が追加された場合に、アラームを表示するようにしてもよい。
【0071】
〈変形例〉
なお、コントローラ110の短絡漏電検知回路47においては、通信線16の出力電流と戻りの電流の電流差を監視することで、通信線16の漏電異常を検知することも可能である。漏電異常と判断するための電流差の基準値は、例えば200mAである。このような漏電異常についても、短絡異常の場合と同様に、不揮発メモリ42に記録される。
【0072】
なお、増幅器120も短絡漏電検知回路58を備えることから、短絡・漏洩異常の検知は、コントローラ110だけでなく増幅器120においても行うことができる。この場合は、上り信号だけでなく、下り信号についても短絡・漏洩異常を検知することができる。
【0073】
図9は、本開示の実施の形態1に係る、制御システム100におけるヘルスチェックのフローチャートである。まず、コントローラ110およびシステム機器17に電源が投入される(ステップS01)。次に、コントローラ110および増幅器120が短絡、漏電異常の有無を診断する(ステップS02)。診断期間は例えば3秒間である。
【0074】
次に、コントローラ110が、当該アドレス宛にヘルスチェックコマンドを送信する(ステップS03-1)。増幅器120(1)は、ヘルスチェックコマンドを受信すると、コマンドデータ80に状態情報D2、異常コードD3および増幅器情報D1を格納したうえでコントローラ110に返送する(ステップS03-2)。ここで、増幅器120(1)は、コントローラ110に直結されていることから、増幅器情報D1は00H、00H、00Hとなることに留意されたい。
【0075】
同様に、コントローラ110は、赤外線設定器13により通知されたアドレス情報に基づき、増幅器120(2)のアドレスに宛てたヘルスチェックコマンドを送信する(ステップS04)。さらに、増幅器120(3)のアドレスに宛てたヘルスチェックコマンドを送信する(ステップS05)。ここで、増幅器120(3)は、増幅器120(2)に直列接続されていることから、増幅器情報D1は32H、00H、00Hとなる。
【0076】
コントローラ110は、増幅器120のそれぞれから返信された増幅器情報D1に基づき、増幅器120のコントローラ110への配線状態が、赤外線設定器13が保有する配線情報と一致しているかを診断する処理(以下、設定情報確認処理と称する)を実行する(ステップS06-1)。設定情報確認処理の結果に応じ、赤外線設定器13が保有する配線情報の修正が必要な場合は修正し、更新する。また、ヘルスチェックにより得られた配線情報、状態情報D2、異常コードD3、および増幅器情報D1を不揮発メモリ42に保存する処理(以下、結果記憶処理と称する)を実行する(ステップS06-2)。
【0077】
つぎに、コントローラ110は、赤外線設定器13により通知されたアドレス情報に基づき、調光コントローラ6のアドレスに宛てたヘルスチェックコマンドを送信する(ステップS07)。そこでは、調光コントローラ6までを中継する増幅器120により付加処理が実行され、増幅器情報D1が格納されることに留意されたい。
【0078】
同様に、コントローラ110は、赤外線設定器13により通知されたアドレス情報に基づき、制御端末器8のアドレスに宛てたヘルスチェックコマンドを送信する(ステップS08)。例えば、制御端末器8(1)の増幅器情報D1は0x01、0x00、0x00となる。最初の0x01が増幅器120(1)を示している。
【0079】
次に、増幅器120の場合と同様に、コントローラ110が、調光コントローラ6および制御端末器8に対する設定情報確認処理を実行する(ステップS09-1)。さらに、コントローラ110が、結果記憶処理を実行する(ステップS09-2)。なお、説明は省略するが、その他のシステム機器17についても同様である。
【0080】
全てのシステム機器17のヘルスチェックが終了すると、コントローラ110は、照明監視装置15に接続機器通知を送信する(ステップS10)。なお、接続機器通知は、設定情報確認処理により確認されたシステム機器17の実際の配線状態の情報を含む。さらに、照明監視装置15は、受け付けた接続機器通知に基づきシステム構成情報を作成し、当該情報の監視画面への表示と不揮発メモリへの保存を行う(ステップS11)。なお、システム構成情報は、CSV形式でファイル出力可能であることが望ましい。
【0081】
次にコントローラ110は、対象のシステム機器17に同報通信で時刻同期を送信する(ステップS12)。時刻同期送信後は、対象のシステム機器17に対して一定の間隔でヘルスチェックを実施する(ステップS13、ステップS14)。一定の間隔とはたとえば1秒である。
【0082】
図10は、本開示の実施の形態1に係る、制御システム100における短絡、漏電異常検知のシーケンス図である。以下では、増幅器120とコントローラ110に短絡が発生した場合を例に説明する。まず、増幅器120(3)の短絡漏電検知回路58において800mA以上の定常時消費電流BIが検知され、短絡異常が発生する(ステップS20)。次に、増幅器120(3)が出力を停止する(ステップS20-1)。次に増幅器120(3)は、コントローラ110に短絡発生の通知を行う(ステップS21)。なお、短絡の発生の通知は、ヘルスチェックコマンドに返送することで通知してもよく、そのほかの方法でもよい。
【0083】
次にコントローラ110が、増幅器120(3)における短絡発生と発生時刻の情報を照明監視装置15に通知する(ステップS22)。照明監視装置15は、増幅器120(3)における短絡発生の情報を監視画面に表示し、発生時刻情報と合わせて不揮発メモリに保存する(ステップS23)。一方増幅器120(3)は、定期的に点検用の電圧を出力し、短絡が復旧されたか否かを確認する(ステップS24からステップS25)。
【0084】
その後、増幅器120(3)が短絡の復旧を検出する(ステップS26)。増幅器120(3)は、コントローラ110に短絡が復旧したことを通知する(ステップS27)。コントローラ110は、照明監視装置15に増幅器120(3)における短絡復旧の通知を行う(ステップS28)。照明監視装置15は、増幅器120(3)における短絡復旧の情報を監視画面に表示し、当該情報を復旧時刻情報と合わせて不揮発メモリに保存する(ステップS29)。
【0085】
つぎに、コントローラ110は、ヘルスチェックにより得たシステム機器17の実際の配線状態に従い、制御端末器8(3)に対して状態モニタのコマンドを送信する(ステップS30)。これに伴い、制御端末器8(3)が、コントローラ110に自身の状態を通知する(ステップS31)。コントローラ110は、制御端末器8(3)から受け付けた状態の情報を照明監視装置15に通知する(ステップS32)。照明監視装置15は、受け付けた情報に基づき、監視画面に制御端末器8(3)の最新状態を表示する(ステップS33)。これにより、短絡が発生した増幅器120(3)に接続される制御端末器8(3)に対しても異常の有無を確認することができる。
【0086】
続いて、コントローラ110に短絡異常が発生する(ステップS34-1)。次に、コントローラ110が出力を停止する(ステップS34-2)。次にコントローラ110は、照明監視装置15に短絡発生の通知を行う(ステップS35)。照明監視装置15は、コントローラ110における短絡発生の情報を監視画面に表示し、発生時刻情報と合わせて不揮発メモリに保存する(ステップS36)。一方コントローラ110は、定期的に点検用の電圧を出力し、短絡が復旧されたか否かを確認する(ステップS37)。
【0087】
その後、コントローラ110が短絡の復旧を検出する(ステップS38)。これに伴い、コントローラ110は、照明監視装置15に短絡復旧の通知を行う(ステップS39)。照明監視装置15は、コントローラ110における短絡復旧の情報を監視画面に表示し、当該情報を復旧時刻情報と合わせて不揮発メモリに保存する(ステップS40)。
【0088】
さらに、コントローラ110は、自身に接続される調光コントローラ6に対して異常の有無を確認する。ステップS41以降はステップS30からステップS33までと同様であるので説明は省略する。
【0089】
以上説明したように、本開示によれば、増幅器120が直列、並列どちらで接続されているかに関わらず、システム機器17のコントローラ110への配線状態を診断できる制御システム100を提供することができる。
【0090】
〈変形例〉
システム機器17およびコントローラ110へのアドレス情報の設定においては、必ずしも赤外線設定器13を用いなくともよい。たとえば携帯端末機のアプリから設定、操作することで同じ効果が得られる。
【0091】
なお、増幅器120が行う付加処理は、必ずしもコントローラ110から送信されるヘルスチェックコマンドの下り信号に対して行う必要はなく、当該ヘルスチェックコマンドに対してシステム機器17から返送される上り信号に対して行ってもよい。
【符号の説明】
【0092】
3 画像センサ、4 照度センサ、5 人感センサ、6 調光コントローラ、7 調光信号線、8 制御端末器、9 照明器具、10 リレー端末器、11 リモコンリレー、12 壁スイッチ、13 赤外線設定器、14 LAN、15 照明監視装置、16 通信線、17 システム機器、29 商用電源、30 電源線、31 電源回路、32 フィールドバス通信回路、33 PHY回路、34 マイクロコンピュータ、35 メイン処理部、36 フィールドバス通信処理部、37 設備LAN通信処理部、38 赤外線通信部、39 発光/受光素子、40 スケジュール管理部、41 RTC、42 不揮発メモリ、43 RAM、44 フィールドバス送受信バッファ、45 LAN送受信バッファ、46 LED表示部、47 短絡漏電検知回路、50 電源線、51 電源回路、52 第一フィールドバス通信回路、53 波形検知回路、54 マイクロコンピュータ、55 メイン処理部、56 フィールドバス通信処理部、57 第二フィールドバス通信回路、58 短絡漏電検知回路、59 不揮発メモリ、60 赤外線通信部、61 発光/受光素子、62 LED表示部、70 通信フレーム、71 応答データ、72 スタートビット、73 優先度、74 応答判別、75 アドレス種別、76 アドレス、77 データ部、78 データ長、79 コマンド識別子、80 コマンドデータ、81 SUM、82 ウエイト時間、83 コマンドのコード、90 下り信号の信号波形、91 上り信号の信号波形、93 ダミー信号、100 制御システム、101 波形ひずみ、102 波形遅延、110 コントローラ、120 増幅器