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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121595
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】レース地及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04B 21/12 20060101AFI20240830BHJP
   D02G 3/04 20060101ALI20240830BHJP
   D02J 1/00 20060101ALI20240830BHJP
   D06C 7/00 20060101ALI20240830BHJP
   D06C 7/02 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
D04B21/12
D02G3/04
D02J1/00 K
D06C7/00 Z
D06C7/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028777
(22)【出願日】2023-02-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000133054
【氏名又は名称】株式会社タケダレース
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 幹夫
【テーマコード(参考)】
3B154
4L002
4L036
【Fターム(参考)】
3B154AA07
3B154AA08
3B154AB21
3B154BA32
3B154BB12
3B154BB62
3B154DA24
4L002AA05
4L002AA06
4L002AB02
4L002AB04
4L002AC01
4L002AC05
4L002AC07
4L002CA00
4L002CA03
4L002CA04
4L002CB02
4L002DA01
4L002EA00
4L002EA06
4L002FA01
4L002FA03
4L036MA04
4L036MA05
4L036MA06
4L036MA33
4L036MA39
4L036PA33
4L036PA41
4L036RA25
4L036UA25
(57)【要約】
【課題】熱融着糸を使用しているにもかかわらず触感がソフトなレース地を提供する。
【解決手段】編目を形成する地編糸10として、芯糸11と複数の被覆糸12とを有する混繊糸が使用され、芯糸11は被覆糸12よりも融点が低い熱融着糸であり、複数の被覆糸12は、芯糸11の延長方向と同方向に延長されるとともに、芯糸11の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部13において芯糸11に絡み付き、芯糸11の一部が複数の被覆糸12の間から露出して他の糸に接着され、仕上打込が25コース/cm以上35コース/cm以下である、レース地。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
編目を形成する地編糸として、芯糸と複数の被覆糸とを有する混繊糸が使用され、
前記芯糸は前記被覆糸よりも融点が低い熱融着糸であり、
複数の前記被覆糸は、前記芯糸の延長方向と同方向に延長されるとともに、前記芯糸の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部において前記芯糸に絡み付き、
前記芯糸の一部が複数の前記被覆糸の間から露出して他の糸に接着され、
仕上打込が25コース/cm以上35コース/cm以下である、
レース地。
【請求項2】
仕上打込をX、伸度をEとしたときに
【数1】
により求まる推定機上打込Yが10コース/cm以上16コース/cm以下である、請求項1に記載のレース地。
【請求項3】
前記地編糸のランナー長が131cm以上153cm以下である、請求項1又は2に記載のレース地。
【請求項4】
複数の被覆糸と、前記被覆糸よりも融点が低い熱融着糸である芯糸とを有する混繊糸であって、複数の前記被覆糸が、前記芯糸の延長方向と同方向に延長されるとともに、前記芯糸の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部において前記芯糸に絡み付いた混繊糸を、編目を形成する地編糸として使用し、機上打込が10コース/cm以上16コース/cm以下の経編地の編成を行うステップと、
前記経編地に対して加熱処理を行うことにより、複数の前記被覆糸の間から露出した前記芯糸の一部を溶融させて他の糸に接着させるステップと、を含み、
前記加熱処理後の仕上打込を25コース/cm以上35コース/cm以下とする、
レース地の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレース地及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
裁断端からのほつれを防ぐため、熱融着糸を使用してレース地を製造することが知られている。通常、レース地は編成された後に加熱処理されるが、加熱処理により熱融着糸の一部が溶融して他の糸と接着されるため、ほつれが生じにくくなる。
【0003】
熱融着糸を使用したレース地として、特許文献1に記載のレース地が知られている。このレース地においては、鎖編糸として、熱融着糸である芯糸と、芯糸より融点が高い被覆糸とからなる複合糸が使用されている。この複合糸において、被覆糸は芯糸に螺旋状に隙間なく巻き付いている。レース地の編成の際に、この複合糸が伸びて被覆糸の隙間から芯糸が露出して他の糸と接触する。その後の加熱処理により、芯糸と他の糸とが接触箇所において接着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6488300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、熱融着糸を使用したレース地には、構成する糸同士が溶融物で接着されているために、触感にソフトさが足りないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、熱融着糸を使用しているにもかかわらず触感がソフトなレース地を提供するとともに、そのようなレース地の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下に示される実施形態を含む。
【0008】
[1]編目を形成する地編糸として、芯糸と複数の被覆糸とを有する混繊糸が使用され、前記芯糸は前記被覆糸よりも融点が低い熱融着糸であり、複数の前記被覆糸は、前記芯糸の延長方向と同方向に延長されるとともに、前記芯糸の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部において前記芯糸に絡み付き、前記芯糸の一部が複数の前記被覆糸の間から露出して他の糸に接着され、仕上打込が25コース/cm以上35コース/cm以下である、レース地。
【0009】
[2]仕上打込をX、伸度をEとしたときに
【0010】
【数1】
【0011】
により求まる推定機上打込Yが10コース/cm以上16コース/cm以下である、[1]に記載のレース地。
【0012】
[3]前記地編糸のランナー長が131cm以上153cm以下である、[1]又は[2]に記載のレース地。
【0013】
[4]複数の被覆糸と、前記被覆糸よりも融点が低い熱融着糸である芯糸とを有する混繊糸であって、複数の前記被覆糸が、前記芯糸の延長方向と同方向に延長されるとともに、前記芯糸の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部において前記芯糸に絡み付いた混繊糸を、編目を形成する地編糸として使用し、機上打込が10コース/cm以上16コース/cm以下の経編地の編成を行うステップと、前記経編地に対して加熱処理を行うことにより、複数の前記被覆糸の間から露出した前記芯糸の一部を溶融させて他の糸に接着させるステップと、を含み、前記加熱処理後の仕上打込を25コース/cm以上35コース/cm以下とする、レース地の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
実施形態のレース地は、熱融着糸を使用しているにもかかわらず触感がソフトである。また、実施形態のレース地の製造方法によれば、熱融着糸を使用しているにもかかわらず触感がソフトなレース地を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態のレース地の編組織図。
図2】リラックス状態での混繊糸を示す図。
図3】伸長状態での混繊糸を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.レース地の構成
本実施形態のレース地は経編によって編成されたレース地である。図1に示すように、レース地は、編目を形成する地編糸10と、地編組織に編み込まれた伸縮糸20と、伸縮糸20とは別の態様で地編組織に編み込まれた挿入糸30とにより形成されている。本実施形態において、地編糸10は鎖編組織を形成している。
【0017】
伸縮糸20は鎖編組織の全てのウエールに挿入されて編み込まれており、それによりレース地の全体にウエール方向(すなわち、タテ方向、編み立て方向、図1の上下方向)の伸縮性が付与されている。それぞれの伸縮糸20は1つのウエールに挿入されている。
【0018】
また、挿入糸30は地編組織の2ウエール以上に渡り編み込まれた部分を有している。より具体的な例としては、図1に示すように、挿入糸30が、1ウエールのみに挿入されているコース、2ウエールに渡り挿入されているコース、及び3ウエールに渡り挿入されているコースを有している。なお図1では、編組織を見やすくするために挿入糸30が1本しか描かれていないが、実際のレース地では全てのウエールに挿入糸30が挿入されている。
【0019】
挿入糸30が2ウエール以上に渡り挿入されているコースでは、隣接するウエール同士が連結されている。一方、挿入糸30が1ウエールのみに挿入されているコースでは、隣接するウエール同士が連結されていない。隣接するウエール同士が連結されていない部分は、レース地の厚み方向に貫通する透孔となっている。
【0020】
このような透孔の配置や、場所による糸の疎密により、レース地に柄が形成されている。透孔の形状、大きさ及び配置により、レース地に様々な模様が形成される。言い換えれば、挿入糸30の挿入方法により、レース地に様々な模様が形成される。従って、挿入糸30の挿入方法は図1のものに限定されない。
【0021】
図1の編組織をチェーン番号で表すと次のようになる。
地編糸10(筬L1):20/02/
挿入糸30(筬L2):22/66/44/66/00/66/22/66/
伸縮糸20(筬L3):00/22/
図1及びチェーン番号からわかるように、この編組織では、挿入されている挿入糸30及び伸縮糸20のそれぞれが、地編糸10に対して正掛けとなっている。正掛けとは、挿入されている糸(挿入糸30及び伸縮糸20)の挿入方向(アンダーラップ方向)が、地編組織を形成する糸(地編糸10)のオーバーラップ方向と同じであることである。
【0022】
なお、図1では各糸が模式的に描かれている。実際のレース地においては、各糸に張力が働いているため、地編糸10の編目は図1に示す編目より小さくなっており、編目位置等において糸が密になり糸同士が接触している。
【0023】
このようなレース地において、同じ地編糸10同士の接触部の少なくとも一部において地編糸10同士が接着され、地編糸10と伸縮糸20との接触部の少なくとも一部において地編糸10と伸縮糸20とが接着され、地編糸10と挿入糸30との接触部の少なくとも一部において地編糸10と挿入糸30とが接着されている。
【0024】
さらに本実施形態では、挿入糸30と他の挿入糸30との接触部の少なくとも一部においてもそれらの挿入糸30同士が接着され、挿入糸30と伸縮糸20との接触部の少なくとも一部においても挿入糸30と伸縮糸20とが接着されている。
【0025】
また、本実施形態のレース地は、従来のものと比べて編目が粗い。具体的には、本実施形態のレース地において、仕上打込が25コース/cm以上35コース/cm以下である。ここで、仕上打込とは、編成及び熱セットが完了した後のレース地における、ウエール方向の編目の密度のことである。1つの編目が1コースとなる。
【0026】
また、本実施形態のレース地は、推定される機上打込が、例えば10コース/cm以上16コース/cm以下である。機上打込は製造途中での数値であるが、加熱処理等を経て完成したレース地の仕上打込と伸度から概算して推定することができる。具体的には、機上打込Yは、次の式を使用した概算により推定することができる。
【0027】
【数1】
【0028】
ここで、Xは仕上打込、EはJIS L-1096の伸長率A法(定速伸長法)に準拠して測定される伸度である。例えば、完成したレース地において仕上打込が30コース/cmで伸度が100%(つまり2倍の長さに伸びる)の場合、機上打込は15コース/cmと推定される。この式で推定される機上打込Yのことを推定機上打込とする。
【0029】
また、本実施形態のレース地では、編目が粗い割に地編糸10のランナー長が短い。具体的には、本実施形態のレース地において、地編糸10のランナー長が131cm以上153cm以下である。ここで、ランナー長とは、1ラック(480コース)のレース地を編むために使用される糸の長さのことである。
【0030】
2.糸の構成
本実施形態のレース地において、地編糸10として混繊糸が使用されている。図2及び図3に示すように、地編糸10に使用される混繊糸は、1本の芯糸11と、その芯糸11の周囲に配置された複数本の被覆糸12とから形成されている。なお図2及び図3において、便宜上、芯糸11はハッチング付きの太い糸として描かれ、被覆糸12はそれぞれ1本線で描かれている。
【0031】
本実施形態において芯糸11は熱融着性弾性糸である。芯糸11が弾性を有することにより、混繊糸に伸縮性が生じ、レース地に伸縮性が生じている。
【0032】
複数本の被覆糸12は、広域的に見て、芯糸11の延長方向と同方向に延長されている。混繊糸がリラックス状態のとき(すなわち混繊糸を伸長させる張力が働いていないとき)は、被覆糸12は図2に示すように大きくうねっている。しかし、混繊糸が伸長状態のとき(すなわち混繊糸を伸長させる張力が働いているとき)は、被覆糸12は図3に示すようにリラックス状態のときよりもうねりが解消されている。
【0033】
ここで、芯糸11の延長方向とは、芯糸11が直線状に延長されているときはその延長方向のことであるが、地編糸10が編目を形成し芯糸11が曲線状になっているときはその曲線に沿った方向のことである。
【0034】
図2及び図3に示すように、複数本の被覆糸12は、芯糸11の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部13において、芯糸11に絡み付いている。このように被覆糸12が芯糸11に絡み付くことによって、被覆糸12と芯糸11とが一体化されて1本の混繊糸となっている。交絡部13においては、例えば、被覆糸12が芯糸11に半周~1周程度絡み付いたり、被覆糸12同士が絡み付いたりしている。
【0035】
交絡部13と交絡部13との間の部分は、被覆糸12が芯糸11に絡み付いていない非交絡部となっている。このような非交絡部では、リラックス状態のときでも芯糸11の一部が被覆糸12の間から露出している。またこのような混繊糸では、伸長状態のときは、芯糸11の露出面積がさらに大きくなる。また、非交絡部では、被覆糸12が芯糸11の延長方向と同方向に延長されている。
【0036】
上記のように、交絡部13は、芯糸11の延長方向にある程度の間隔を空けながら所々に存在している。交絡部13の間隔Lは、混繊糸がリラックス状態のとき(ただし、混繊糸の長さが伸長しない範囲で、芯糸11が直線状になるように引っ張られた状態のとき)で、例えば1.5mm以上3.0mm以下である。レース地においては混繊糸に張力が働き混繊糸が伸長しているが、そのときの交絡部13の間隔Lは例えば2.0mm以上5.0mm以下である。
【0037】
なお、図2及び図3に示すように、交絡部13は芯糸11の延長方向にある程度の長さを有している。そのため、交絡部13の間隔Lとは、厳密には、交絡部13の長さ方向の中心位置同士の間隔のことである。
【0038】
また、図2及び図3では、交絡部13が非交絡部より短い場合について描かれている。しかし、交絡部13が非交絡部より長い場合もあり得る。
【0039】
混繊糸における芯糸11は、被覆糸12や伸縮糸20よりも低融点の、熱融着性弾性糸である。そのような芯糸11として好ましいのは低融点ポリウレタン弾性糸である。低融点ポリウレタン弾性糸の融点は例えば135℃以上165℃以下である。芯糸11は例えば18dtex以上22dtex以下である。
【0040】
また、被覆糸12は芯糸11と熱融着されにくい糸であることが好ましい。被覆糸12の種類は限定されないが、例えば非弾性糸であり、さらに具体例を挙げればナイロン糸又はポリエステル糸である。被覆糸12がナイロン糸の場合、その融点は例えば210℃以上220℃以下である。また、被覆糸12がポリエステル糸の場合、その融点は例えば250℃以上260℃以下である。
【0041】
1本の混繊糸における被覆糸12の本数は、例えば5本以上24本以下である。また、1本の芯糸11に対して使用される複数の被覆糸12を合計して、例えば30dtex以上55dtex以下となっている。
【0042】
また、伸縮糸20は、上記の芯糸11よりも高融点の弾性糸である。より詳細な例としては、伸縮糸20は、ポリウレタン弾性糸で、非被覆糸である。伸縮糸20の融点は例えば200℃以上230℃以下である。伸縮糸20は例えば44dtex以上400dtex以下である。
【0043】
また、挿入糸30として、上記の地編糸10と同様の混繊糸が使用されている。すなわち、挿入糸30は、低融点の熱融着性弾性糸である芯糸11と、芯糸11の延長方向に間隔を空けながら存在する交絡部13において芯糸11に絡み付いた複数の被覆糸12とからなる混繊糸である。2ウエール以上に渡り挿入されている挿入糸30の芯糸11が弾性糸であることにより、レース地にコース方向(すなわち、ヨコ方向、図1の左右方向)の伸縮性が生じている。
【0044】
ここで、挿入糸30と地編糸10とは完全に同一の混繊糸であっても良い。また、挿入糸30と地編糸10とは完全に同一の混繊糸でなくても良く、例えば、芯糸11又は被覆糸12の材質、芯糸11又は被覆糸12の太さ、被覆糸12の本数等のいずれか1つ以上が異なっても良い。
【0045】
3.レース地の製造方法
レース地の製造時には、まずレース地の材料となる糸が準備される。地編糸10及び挿入糸30として使用される混繊糸の製造方法は限定されないが、一例としては流体交絡法が採用される。流体交絡法では、芯糸11と被覆糸12とが流体の作用により交絡される。流体交絡法の代表例としてインターレース法及びタスラン法が知られている。
【0046】
インターレース法では、既知のインターレースノズルに芯糸11と被覆糸12とが送られ、インターレースノズル内でこれらの糸の進行方向に対して直交する方向からエアーが送られ、芯糸11と被覆糸12とが交絡される。また、タスラン法では、既知のタスランノズルに芯糸11と被覆糸12とが送られ、タスランノズル内でこれらの糸の進行方向とほぼ同方向からエアーが送られ、芯糸11と被覆糸12とが交絡される。いずれの方法による場合も、混繊糸に撚りがかからずに芯糸11と被覆糸12とが交絡される。
【0047】
このようにして製造された地編糸10及び挿入糸30、さらに伸縮糸20が使用されて、本実施形態のレース地のもととなる経編地が編成される。経編地の編成にはラッセル機等の既知の経編機が使用される。地編糸10及び伸縮糸20は経編機の地筬からフルセットで供給される。また、挿入糸30は、経編機のジャカード筬又は地筬からフルセットで供給される。
【0048】
編成の際、地編糸10のランナー長が131cm以上153cm以下に調整される。ランナー長の調整は、ビームからの糸の送り出し量を調整することにより行われる。
【0049】
また、編成の際、機上打込が10コース/cm以上16コース/cm以下とされる。機上打込は、編成された直後の経編地における、ウエール方向の編目の密度である。詳細には、機上打込は、編針で編成を行う編成位置から、巻き取りローラ(編成位置よりも経編地の流れの下流側に配置され、編針で編成された直後の経編地が最初に経由するローラ)までの間での打込数値である。1つの編目が1コースとなる。機上打込は、巻き取りローラの回転量を調整することにより、制御することができる。ここで、回転量とは、経編機が1コースを編成する間に回転する量のことである。巻き取りローラの回転量が少ないほど、機上打込が大きくなる。
【0050】
巻き取りローラを経由した経編地は、経編地の流れのさらに下流側に配置されている生地巻揚げシャフトに巻かれる。経編地が生地巻揚げシャフトに巻かれるタイミングでは、ウエール方向の編目の密度を示す打込数値は、上記の機上打込よりも大きくなる。
【0051】
編成された経編地は、染色され、その後熱セット(加熱処理)される。熱セットは、地編糸10及び挿入糸30の芯糸11の融点以上かつその他の糸(すなわち、地編糸10の被覆糸12、挿入糸30の被覆糸12及び伸縮糸20)の融点よりも低い温度で行われる。上記のように、芯糸11の融点が135℃以上165℃以下で、伸縮糸20の融点が200℃以上230℃以下で、被覆糸12の融点が210℃以上の場合は、例えば175℃以上185℃以下の温度で熱セットされる。なお、芯糸11が完全に溶融してしまうような熱セットではなく、芯糸11が糸としての形状を残したまま表面が溶融して融着する程度の熱セットが好ましい。
【0052】
熱セットの間、経編地には張力がかけられている。その張力により、経編地は伸長されており、経編地を構成する地編糸10も伸長されている。そのため、熱セット中の地編糸10の芯糸11は、リラックス状態のときよりも多く露出している。
【0053】
このような熱セットによって地編糸10の芯糸11が溶融し、被覆糸12の間から露出している芯糸11が他の糸と融着される。その結果、上記のように、同じ地編糸10同士の接触部の少なくとも一部において地編糸10同士が接着され、地編糸10と伸縮糸20との接触部の少なくとも一部において地編糸10と伸縮糸20とが接着され、地編糸10と挿入糸30との接触部の少なくとも一部において地編糸10と挿入糸30とが接着される。
【0054】
さらに、熱セットによって挿入糸30の芯糸11も溶融し、被覆糸12の間から露出している芯糸11が他の糸と融着される。その結果、上記のように、挿入糸30と他の挿入糸30との接触部の少なくとも一部においてもそれらの挿入糸30同士が接着され、挿入糸30と伸縮糸20との接触部の少なくとも一部においても挿入糸30と伸縮糸20とが接着される。
【0055】
熱セット後の経編地の仕上打込は、25コース/cm以上35コース/cm以下となる。ここで、仕上打込が機上打込より大きく、熱セット後の経編地が編成直後の経編地より縮んでいることがわかる。これは、編目を形成する地編糸10が伸縮性を有することや、それぞれ伸縮性のある伸縮糸20及び挿入糸30が挿入されていること等が影響している。
【0056】
最後に、熱セット後の経編地が裁断されて、製品としてのレース地となる。ここで、芯糸11の熱融着性により上記のように糸同士が接着されているため、裁断後のレース地の端部にはほつれが生じにくい。そのため、レース地の裁断箇所に別生地をあてがうという処置が必要ない。裁断後のレース地は、ショーツの後身等の、適度な伸度と良好な着用感の求められる衣類に使用される。
【0057】
4.効果
上記のように、本実施形態のレース地では、地編糸10として芯糸11と被覆糸12とを有する混繊糸が使用され、地編糸10の芯糸11が他の糸、例えば別の地編糸10の芯糸11や伸縮糸20に接着されている。そのためレース地が裁断箇所からほつれにくくなっている。
【0058】
ここで、芯糸11が被覆糸12及び伸縮糸20よりも融点が低い熱融着糸であるため、芯糸11の融点以上かつ被覆糸12及び伸縮糸20の融点よりも低い温度で熱セットを行うことにより、被覆糸12及び伸縮糸20を損傷することなく地編糸10の芯糸11を同じ地編糸10の芯糸11や伸縮糸20に接着することができる。
【0059】
また、地編糸10として使用される混繊糸は、複数本の被覆糸12が芯糸11の周りで芯糸11の延長方向と同方向に延びており、所々に存在する交絡部13で芯糸11に絡み付いたものである。上記のように、このような混繊糸ではリラックス状態のときでも芯糸11の一部が露出しており、伸長状態のときは芯糸11の露出面積がさらに大きくなる。そのため、混繊糸の芯糸11同士及び芯糸11と伸縮糸20との接着場所の数が多く、各接着場所における接着面積も大きい。
【0060】
そのため、このような混繊糸が地編糸10として使用された本実施形態のレース地では、背景技術に記載のような複合糸(被覆糸が芯糸に螺旋状に隙間なく巻き付いた複合糸)が地編糸として使用された場合よりも、ほつれにくくなっている。
【0061】
また、本実施形態で使用される地編糸10は、芯糸11が被覆糸12で被覆されているため、他の糸との過剰な接着が生じにくい。そのため、レース地の触感がソフトなものとなる。
【0062】
また、地編糸10として使用される混繊糸では、交絡部13においてのみ被覆糸12が芯糸11に絡み付き、非交絡部では被覆糸12が芯糸11に絡み付いていない。そのため、非交絡部において、被覆糸12と芯糸11との間に若干の隙間があり、また被覆糸12同士の間にも若干の隙間がある。このように隙間があるため、混繊糸の風合いが良く、その混繊糸が地編糸10として使用されたレース地の触感がソフトなものとなる。
【0063】
また、本実施形態のレース地では、仕上打込が25コース/cm以上35コース/cm以下である。従来、熱融着糸を使用したレース地の仕上打込は45コース/cm程度であったため、本実施形態のレース地は従来のものと比べて編目が非常に粗いことがわかる。このように編目が粗いことにより、レース地の触感が非常にソフトなものとなる。ただし、仕上打込が25コース/cm以上であることにより、レース地の厚みが十分に確保されている。
【0064】
以上のように、特殊な混繊糸が地編糸10として使用され、かつ仕上打込が25コース/cm以上35コース/cm以下であることにより、本実施形態のレース地は、熱融着糸が使用されているにもかかわらず触感がソフトである。
【0065】
また、本実施形態のレース地では、地編糸10のランナー長が131cm以上153cm以下である。ランナー長が131cm以上であることにより、レース地の触感がよりソフトになる。また、ランナー長が153cm以下であることにより、レース地の柄がより鮮明になる。
【0066】
さらに本実施形態のレース地では、挿入糸30として、上記の地編糸10と同様の混繊糸、すなわち、低融点の熱融着性弾性糸である芯糸11と、芯糸11の延長方向に延びるとともに交絡部13において芯糸11に絡み付いた複数本の被覆糸12とからなる混繊糸が使用されている。そのため、地編糸10の芯糸11だけでなく挿入糸30の芯糸11も周囲の糸と融着されている。その結果レース地のほつれ防止効果がさらに高くなっている。
【0067】
ここで、挿入糸30として地編糸10と完全に同一の混繊糸が使用される場合、レース地の製造のために準備すべき糸の種類が少なくて済む。また、挿入糸30として地編糸10よりも太い混繊糸が使用される場合、レース地の破裂強度が向上する。
【0068】
また、地編糸10や挿入糸30として使用される混繊糸において、芯糸11の太さが18dtex以上22dtex以下の場合に、その芯糸11の周りの複数本の被覆糸12の太さが合計で30dtex以上55dtex以下であれば、芯糸11が適度に露出できるように被覆糸12が芯糸11を被覆できる。また、芯糸11及び被覆糸12の太さがこの範囲内であれば、混繊糸が適度な太さとなり、レース地が高強度かつ触感のソフトなものとなる。
【0069】
また、芯糸11を覆う被覆糸12が5本以上24本以下であれば、被覆糸12が芯糸11を適度に被覆できる。
【0070】
また、芯糸11が低融点ポリウレタン弾性糸で、伸縮糸20がポリウレタン弾性糸であれば、芯糸11と伸縮糸20とが熱融着されやすい。
【0071】
また、一般に、伸縮性のある挿入糸が地編糸に対して正掛けになっている場合は、洗濯が繰り返されたとき等にレース地の裁断端から糸が飛び出して目立つ等の不具合が生じやすい。正掛けの場合は逆掛けの場合よりも地編糸の編目の変形が小さく、挿入糸が地編糸の編目から抜けやすいためである。しかし、本実施形態のレース地では挿入糸30及び伸縮糸20が地編糸10に対して正掛けとなっているものの、地編糸10の芯糸11が伸縮糸20及び挿入糸30に接着されているため、そのような不具合が生じにくい。
【0072】
また、本実施形態におけるレース地の製造方法においては、熱融着糸である芯糸11と複数の被覆糸12とを有する上記の地編糸10を使用して経編地の編成を行うステップの後に、経編地に対して加熱処理を行うことにより複数の被覆糸12の間から露出した芯糸11の一部を溶融させて他の糸に接着させるステップが行われる。これらのステップを含む製造方法により、熱融着糸を使用しているにもかかわらず触感がソフトなレース地を製造することができる。
【0073】
また、経編地の編成を行うステップにおいて、経編地の機上打込が10コース/cm以上16コース/cm以下とされる。従来、熱融着糸を使用したレース地の製造方法において、機上打込は22コース/cm程度であったため、本実施形態では従来よりも機上打込が小さく編成直後の編目が粗いことがわかる。このように、編成直後の編目が粗いことにより、加熱処理後のレース地の触感が非常にソフトなものとなり、伸度も大きくなる。ただし、機上打込が10コース/cm以上であることにより、経編地が編成しにくくなることを防ぐことができる。
【0074】
なお、完成したレース地が引っ張られると、編成直後の編目が粗かったときの状態(すなわち機上打込の数値が小さかったときの状態)にまで編目が大きく伸びる。そのため、機上打込が10コース/cm以上16コース/cm以下と小さかった場合は、完成したレース地が衣類の一部となりその衣類の着用や洗濯が繰り返されることにより、レース地の編目が何度も大きく伸びることになる。一般には、そのように編目が何度も大きく伸びることにより、伸縮性の挿入糸が地編糸の編目から抜けやすくなり、レース地の裁断端において、地編糸の編目から抜けた伸縮性の挿入糸が大きく飛び出しやすい。しかし、本実施形態のレース地では、地編糸10の芯糸11が伸縮糸20及び挿入糸30に接着されているため、そのような飛び出しが生じにくい。
【0075】
また、加熱処理後の仕上打込を25コース/cm以上35コース/cm以下とするため、完成するレース地の触感がソフトになる。また、経編地の編成を行うステップにおいて、地編糸10のランナー長を131cm以上153cm以下とすることにより、完成するレース地の触感がソフトになりやすい。
【0076】
5.変更例
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲は以上の実施形態に限定されない。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な変更を行うことができる。
【0077】
以下では複数の変更例について説明するが、上記実施形態に対して、複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、複数の変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。組み合わせは、技術的に可能な限り、自在に行うことができる。
【0078】
(1)変更例1
図1では1本の地編糸10が同一ウエールでのみ編目を形成して鎖編組織を形成しているが、地編糸10が適宜横振りしても良い。すなわち、1本の地編糸10が、数コースに渡って同一ウエールで編目を形成した後、隣のウエールに移動して、そのウエールで再び数コースに渡って編目を形成し、その繰り返しで鎖編組織を形成しても良い。地編糸10が数コースおきに横振りすることにより、隣接するウエール同士が地編糸10により連結され、ほつれ防止効果が高まる。
【0079】
ただし、本変更例の場合、地編糸10の隣のウエールに移動している部分がレース地の透孔の中に現れてしまい、レース地の見栄えに影響する。そのような見栄えへの影響を無くすためには、図1に示すように1本の地編糸10が同一ウエールでのみ編目を形成している方が良い。
【0080】
(2)変更例2
上記実施形態では地編糸10が鎖編組織を形成しているが、地編組織はこれに限定されない。例えば、地編組織がチュール組織やパワーネット組織であっても良い。地編組織が鎖編組織以外の場合も、地編糸として上記のような混繊糸が使用される。また、地編組織が鎖編組織以外の場合も、上記の伸縮糸20と同様の弾性糸が挿入されるとともに、上記の挿入糸30と同様の挿入糸が2ウエール以上に渡り挿入されていることが好ましい。
【0081】
(3)変更例3
地編糸10や挿入糸30に使用される混繊糸の芯糸11は、同じ混繊糸の被覆糸12やレース地に編み込まれる伸縮糸20よりも低融点で、熱融着性のある糸であれば良く、上記実施形態のような低融点ポリウレタン弾性糸に限定されない。例えば、混繊糸の芯糸11は熱融着性のある低融点のナイロン糸でも良い。
【0082】
(4)変更例4
2ウエール以上に渡り挿入される挿入糸30は、芯糸と被覆糸とからなる混繊糸でなくても良く、例えば被覆糸で被覆されていない低融点ポリウレタン弾性糸であっても良い。また、挿入糸30は熱融着性が無くても良く、例えば熱融着性の無い芯糸(例えば高融点ポリウレタン弾性糸)と被覆糸とからなる混繊糸や、被覆糸で被覆されていない高融点ポリウレタン弾性糸等であっても良い。また、挿入糸30はナイロン糸等の非弾性糸であっても良い。
【0083】
(5)変更例5
図2及び図3に示されている混繊糸は、本発明に使用可能な混繊糸の一例に過ぎない。被覆糸12のうねり具合や緩み方は、図2及び図3に示されている態様に限定されない。
【0084】
芯糸11と被覆糸12との間及び被覆糸12同士の間に隙間があることが好ましいが、それらの隙間の大きさは、図2及び図3に示されている隙間よりも大きくても良いし小さくても良い。
【符号の説明】
【0085】
10…地編糸、11…芯糸、12…被覆糸、13…交絡部、20…伸縮糸、30…挿入糸

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
編目を形成する地編糸として、芯糸と複数の被覆糸とを有する混繊糸が使用され、
前記芯糸は前記被覆糸よりも融点が低い熱融着糸であり、
複数の前記被覆糸は、前記芯糸の延長方向と同方向に延長されるとともに、前記芯糸の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部において前記芯糸に絡み付き、
前記芯糸の一部が複数の前記被覆糸の間から露出して他の糸に接着され、
仕上打込が25コース/cm以上35コース/cm以下であり、
仕上打込をX、伸度をEとしたときに
【数1】
により求まる推定機上打込Yが10コース/cm以上16コース/cm以下である、レース地。
【請求項2】
前記地編糸のランナー長が131cm以上153cm以下である、請求項に記載のレース地。
【請求項3】
複数の被覆糸と、前記被覆糸よりも融点が低い熱融着糸である芯糸とを有する混繊糸であって、複数の前記被覆糸が、前記芯糸の延長方向と同方向に延長されるとともに、前記芯糸の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部において前記芯糸に絡み付いた混繊糸を、編目を形成する地編糸として使用し、機上打込が10コース/cm以上16コース/cm以下の経編地の編成を行うステップと、
前記経編地に対して加熱処理を行うことにより、複数の前記被覆糸の間から露出した前記芯糸の一部を溶融させて他の糸に接着させるステップと、を含み、
前記加熱処理後の仕上打込を25コース/cm以上35コース/cm以下とする、
レース地の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
[1]編目を形成する地編糸として、芯糸と複数の被覆糸とを有する混繊糸が使用され、前記芯糸は前記被覆糸よりも融点が低い熱融着糸であり、複数の前記被覆糸は、前記芯糸の延長方向と同方向に延長されるとともに、前記芯糸の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部において前記芯糸に絡み付き、前記芯糸の一部が複数の前記被覆糸の間から露出して他の糸に接着され、仕上打込が25コース/cm以上35コース/cm以下であり、仕上打込をX、伸度をEとしたときに
【数1】
により求まる推定機上打込Yが10コース/cm以上16コース/cm以下である、レース地。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
[2]前記地編糸のランナー長が131cm以上153cm以下である、[1]に記載のレース地。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
[3]複数の被覆糸と、前記被覆糸よりも融点が低い熱融着糸である芯糸とを有する混繊糸であって、複数の前記被覆糸が、前記芯糸の延長方向と同方向に延長されるとともに、前記芯糸の延長方向に間隔を空けながら存在する複数の交絡部において前記芯糸に絡み付いた混繊糸を、編目を形成する地編糸として使用し、機上打込が10コース/cm以上16コース/cm以下の経編地の編成を行うステップと、前記経編地に対して加熱処理を行うことにより、複数の前記被覆糸の間から露出した前記芯糸の一部を溶融させて他の糸に接着させるステップと、を含み、前記加熱処理後の仕上打込を25コース/cm以上35コース/cm以下とする、レース地の製造方法。