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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121606
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20240830BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240830BHJP
【FI】
G06Q40/04
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028796
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】三浦 丈苗
【テーマコード(参考)】
5L040
5L049
5L050
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB53
5L049CC11
5L050CC11
5L055BB53
(57)【要約】
【課題】発掘現場において、発掘が充分に行われていない段階であっても、出土品に対応するNFTコンテンツに関する取引によって対価を得ることができる技術を提供する。
【解決手段】管理装置は、発掘現場について、仮想的に区切ることによって得られる複数の区分ごとに、将来的に発掘される出土品に対応するコンテンツデータを取得するコンテンツ取得権を設定する権利設定部154と、コンテンツ取得権の設定要求を受け付ける、設定要求受付部153と、区分において実際に発掘された出土品に対応するコンテンツデータについて、権利設定部154によって設定された取得権者が所有者であることを示す非代替性トークン(NTF)を紐付けるNFT化部156と、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置であって、
発掘現場について、仮想的に区切ることによって得られる複数の区分ごとに、将来的に発掘される出土品に対応するコンテンツデータを取得するコンテンツ取得権を設定する権利設定部と、
前記コンテンツ取得権の設定要求を受け付ける、設定要求受付部と、
各前記区分において実際に発掘された出土品に対応する前記コンテンツデータについて、前記権利設定部によって設定された取得権者が所有者であることを示す非代替性トークン(NTF)を紐付けるNFT化部と、
を備える、管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記複数の区分は、前記発掘現場を空間的に複数の領域に分割することによって規定される、管理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の管理装置であって、
前記複数の区分は、前記発掘現場において発掘が行われる発掘期間を時間的に複数の期間に区切ることによって規定される、管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の管理装置であって、
前記複数の区分は、複数の発掘者がそれぞれ発掘する領域に基づいて規定される、管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の管理装置であって、
前記複数の区分は、発掘者が発掘する期間に基づいて規定される、管理装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の管理装置であって、
前記発掘現場に対応した仮想空間を表す仮想空間データを記憶する記憶部と、
前記仮想空間データが表す前記仮想空間をディスプレイに表示させるための表示用データを端末に送信する第1送信部と、
を備える、管理装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の管理装置であって、
前記コンテンツデータを取得するコンテンツデータ取得部と、
前記コンテンツデータ取得部によって取得された前記コンテンツデータであって、前記NFT化部によって前記NFTが紐付けられたコンテンツデータ、または、そのコンテンツデータの保存場所を示すアドレスを、前記コンテンツ取得権を有するユーザの端末に送信する、第2送信部と、
をさらに備える、管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土地開発やインフラ整備等で工事を行う際、遺跡等を発掘することがある。遺跡が存在していると考えられている箇所は日本各地に点在しているが、例えば京都や奈良など一千年以上前から都市があった地域近郊では遺跡が発掘される例が多々ある。このような遺跡が発見された場合、建設業者等は、遺跡の発掘にかかる費用人足を負担する場合があり、さらには、遺跡の発掘が完了するまで目的の工事を中断しなければならない場合があった。
【0003】
ところで、近年、非代替性トークン(NFT:non-fungible token)と関連付けられたコンテンツであるNFTコンテンツを、インターネット上で取引する取引サービスが提供されている。NFTは、ブロックチェーン上で発行されるトークンであって、代替性が無い。NFTの所有者及び所有履歴は、ブロックチェーンと呼ばれる分散型のデジタル台帳上において記録される。NFTと関連付けられたNFTコンテンツは、代替不能な資産価値を有する。このため、NFTコンテンツは、取引サービス上で売買などの取引をすることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/080537号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、工事の際に遺跡が発見された場合、遺跡の発掘にかかる費用人足の負担や工事の中断が建設業者等に負担となるおそれがある。そのような負担を軽減するために、遺跡から発掘された出土品に対応するデジタルデータをNFTコンテンツとする取引サービスを提供することによって、発掘にかかる費用等を調達することが考えられる。
【0006】
しかしながら、発掘が充分に行われていない段階では、出土品がほとんど無いため、充分な数のNFTコンテンツを確保することが困難である。このため、NFTコンテンツに関する取引サービスを開始または促進することは一般的に困難であった。
【0007】
本発明の目的は、発掘現場において、発掘が充分に行われていない段階であっても、出土品に対応するNFTコンテンツに関する取引によって対価を得ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1態様は、管理装置であって、発掘現場について、仮想的に区切ることによって得られる複数の区分 ごとに、将来的に発掘される出土品に対応するコンテンツデータを取得するコンテンツ取得権を設定する権利設定部と、前記コンテンツ取得権の設定要求を受け付ける、設定要求受付部と、各前記区分において実際に発掘された出土品に対応する前記コンテンツデータについて、前記権利設定部によって設定された取得権者が所有者であることを示す非代替性トークン(NTF)を紐付けるNFT化部とを備える。
【0009】
第2態様は、第1態様の管理装置であって、前記複数の区分は、前記発掘現場を空間的に複数の領域に分割することによって規定される。
【0010】
第3態様は、第1態様または第2態様の管理装置であって、前記複数の区分は、前記発掘現場において発掘が行われる発掘期間を時間的に複数の期間に区切ることによって規定される。
【0011】
第4態様は、第3態様の管理装置であって、前記複数の区分は、複数の発掘者がそれぞれ発掘する領域に基づいて規定される。
【0012】
第5態様は、第4態様の管理装置であって、前記複数の区分は、発掘者が発掘する期間に基づいて規定される。
【0013】
第6態様は、第1態様または第2態様の管理装置であって、前記発掘現場に対応した仮想空間を表す仮想空間データを記憶する記憶部と、前記仮想空間データが表す前記仮想空間をディスプレイに表示させるための表示用データを端末に送信する第1送信部とを備える。
【0014】
第7態様は、第1態様または第2態様の管理装置であって、前記コンテンツデータを取得するコンテンツデータ取得部と、前記コンテンツデータ取得部によって取得された前記コンテンツデータであって、前記NFT化部によって前記NFTが紐付けられたコンテンツデータ、または、そのコンテンツデータの保存場所を示すアドレスを、前記コンテンツ取得権を有するユーザの端末に送信する、第2送信部とをさらに備える。
【発明の効果】
【0015】
第1態様から第7態様の管理装置によれば、発掘が充分に進んでいない場合であっても、コンテンツ取得権の設定要求を受け付けることによって、コンテンツ取得権を設定する権利を取引の対象とすることができる。これにより、対価を得ることができるため、発掘現場を発掘する建設業者等の負担を軽減できる。
【0016】
第2態様の管理装置によれば、発掘現場を空間的に区切って得られる区分ごとに、コンテンツ取得権を設定できる。
【0017】
第3態様の管理装置によれば、発掘期間を時間的に区切って得られる区分ごとに、コンテンツ取得権を設定できる。
【0018】
第4態様の管理装置によれば、発掘者に対応する区分ごとに、コンテンツ取得権を設定できる。
【0019】
第5態様の管理装置によれば、発掘者が発掘する期間に基づいて複数の区分を規定できる。このため、同じ発掘者について、2以上の区分を規定することができる。
【0020】
第6態様の管理装置によれば、端末のディスプレイに仮想空間の表示させることができるため、端末のユーザが、視覚的に発掘現場を把握できる。これにより、ユーザがコンテンツ取得権を設定する区分を選択しやすくなるため、取引を促進できる。
【0021】
第7態様の管理装置によれば、NFTが紐付けられたコンテンツデータを、所有権を有するユーザに送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る管理サーバを含む取引システムの構成を概念的に示す図である。
図2】管理サーバの構成例を示す図である。
図3】複数の区分の一例を模式的に示す図である。
図4】区分データベースの構成例を示す図である。
図5】コンテンツデータベースの構成例を示す図である。
図6】取引システムにおける一連の流れを示すフローチャートである。
図7】変形例に係る区分データベースの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
<1. 実施形態>
【0025】
図1は、実施形態に係る管理サーバ1を含む取引システム100の構成を概念的に示す図である。取引システム100は、管理サーバ1(管理装置)と、少なくとも1つの端末3とを有する。取引システム100は、発掘現場から発掘される出土品に対応するコンテンツデータをNFTコンテンツとしてユーザに提供するサービスを実現するためのシステムである。
【0026】
管理サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM、RAMおよび補助記憶装置などを含むメモリを備えたコンピュータによって構成されている。補助記憶装置には、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等が用いられる。管理サーバ1は、1台のコンピュータによって構成されていてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数台のコンピュータによって構成されていてもよい。管理サーバ1は、取引システム100を運営する運営者によって管理される。
【0027】
端末3は、CPUなどのプロセッサ、ROM、RAMおよび補助記憶装置などを含むメモリを備えたコンピュータによって構成されている。端末3は、各種情報を表示するディスプレイを備えている。端末3は、具体的には、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末またはウエアブル端末である。端末3は、ユーザによって操作される。
【0028】
管理サーバ1および端末3は、ネットワーク5に接続されている。管理サーバ1および端末3は、ネットワーク5を介して相互に通信可能である。ネットワーク5は、例えばインターネットを含む。なお、ネットワーク5は、ローカルネットワークを含んでいてもよい。
【0029】
管理サーバ1は、ネットワーク5を介して、ブロックチェーンネットワーク7と通信可能に接続されている。ブロックチェーンネットワーク7は、分散型台帳を複数のノード(コンピュータ)で共有するネットワークである。ブロックチェーンネットワーク7によって管理される分散型台帳は、中央管理者が存在しないため、改ざんが困難である。
【0030】
管理サーバ1は、例えば、コンテンツ取得権を管理する。コンテンツ取得権は、発掘現場から将来的に発掘されると見込まれる出土品に対応するコンテンツデータを取得する権利である。後述するように、管理サーバ1は、コンテンツ取得権を、発掘現場を仮想的に区切ることによって得られる複数の区分ごとに管理する。
【0031】
また、管理サーバ1は、各区分において実際に発掘された出土品に対応するコンテンツデータについて、NFT化を行う。NFT化とは、出土品に対応するコンテンツデータに、所有者を示す非代替性トークン(NFT)を紐付けることをいう。NFTは、他のNFTとの区別を可能にするための固有の識別子(NFTID)と、コンテンツデータを特定する情報と、当該コンテンツデータの所有者を示す情報とを有する。NFTは、ブロックチェーンネットワーク7を通じて取引可能である。NFTの取引履歴は、ブロックチェーンネットワーク7において記録される。ブロックチェーンネットワーク7の分散型台帳には、NFTの所有者及び所有履歴が記録される。
【0032】
図2は、管理サーバ1の構成例を示す図である。管理サーバ1は、通信部11と、記憶部13と、データ処理部15と、を有する。データ処理部15は、通信部11および記憶部13と、バス配線を介してデータ通信可能に接続されている。
【0033】
通信部11は、ネットワーク5を介して、端末3との通信を行う。記憶部13は、ROM、RAMまたは補助記憶装置などのメモリにより構成される。記憶部13は、管理プログラムP、区分データベース131およびコンテンツデータベース133を記憶している。データ処理部15は、CPUなどのプロセッサにより構成される。データ処理部15は、記憶部13に記憶されている管理プログラムPを実行することによって、仮想空間作成部151、区分規定部152、設定要求受付部153、権利設定部154、コンテンツデータ取得部155,NFT化部156、NFTコンテンツ管理部157および送信処理部158として機能する。
【0034】
仮想空間作成部151は、発掘現場に対応した仮想空間を表す仮想空間データVS1を作成する。仮想空間作成部151によって作成された仮想空間データVS1は、記憶部13に保存される。仮想空間データVS1が表す仮想空間は、好ましくは、メタバースと呼ばれる、三次元グラフィックスの仮想空間である。メタバースにおいては、ユーザが自身の分身であるアバター(分身)を操作して移動したり、あるいは、ユーザが他のユーザと交流したりすることが可能である。
【0035】
区分規定部152は、発掘現場を仮想的に区切ることによって、複数の区分を規定する。図3は、複数の区分の一例を模式的に示す図である。例えば、図3に示されるように、区分規定部152は、発掘現場に対応する仮想空間を、空間的に複数(例えば、数十~数百)に格子状に分割して得られる複数の領域A01,A02,・・・のそれぞれを、1つの区分に規定する。この場合、空間的に互いに重複しない複数の区分が規定される。区分規定部152によって規定された複数の区分は、それぞれ区分データベース131に登録される。
【0036】
設定要求受付部153は、区分規定部152によって規定された複数の区分ごとに、コンテンツ取得権の設定要求を受け付ける。設定要求は、ユーザが操作する端末3から管理サーバ1に送信される情報である。設定要求は、例えば、ユーザを特定するための情報(氏名および連絡先など)と、そのユーザがコンテンツ取得権の設定を希望する特定の区分を示す情報とを含む。
【0037】
コンテンツ取得権を設定する権利は、実質的には、仮想的な区分を所有する権利と等価である。このため、コンテンツ取得権を設定する権利を、「区分所有権」とも称する。区分所有権は、例えば、ネットワーク5上のオンラインで取引される。管理サーバ1は、区分所有権の販売を行うWebサイトを提供してもよい。当該Webサイトには、発掘現場の情報や、各区分に関する情報(発掘現場における位置を示す情報等)、および、販売価格等が掲載される。販売価格は、全区分について同じであってもよいし、区分ごとに異なっていてもよい。
【0038】
ネットワーク5のユーザは、端末3を介して販売サイトにアクセスし、特定の区分を選択するとともに、代金を支払うことを条件として、コンテンツ取得権を設定する権利を得る。なお、区分所有権の販売は、実店舗などオフラインで行われてもよい。
【0039】
権利設定部154は、設定要求受付部153によって受け付けられた設定要求に基づいて、区分ごとにコンテンツ取得権の設定を行う。具体的には、権利設定部154は、設定要求が示すユーザが、コンテンツ取得権を設定する権利を有するか否かを判定する。権利設定部154は、例えば、設定要求に基づいて、ユーザがコンテンツ取得権を設定する権利の正当な購入者であるか否か、および、代金の支払いが完了しているか否か等を判定する。コンテンツ取得権を設定する権利(区分所有権)を有すると判定された場合、権利設定部154は、目的の区分についてコンテンツ取得権を設定する。具体的には、権利設定部154は、区分データベース131に、コンテンツ取得権の設定の目的である区分を、ユーザと関連付けて登録する。
【0040】
図4は、区分データベース131の構成例を示す図である。図4に示されるように、区分データベース131は、区分ごとに、区分IDと、区分位置情報と、ユーザIDとを含む。区分IDは、区分を一意に識別する識別情報であって、例えばシリアル番号である。区分位置情報は、発掘現場における区分の位置を特定するための情報(例えば、座標)である。ユーザIDは、ユーザを一意に識別する識別情報であって、例えばシリアル番号である。区分データベース131には、区分IDとユーザIDとが相互に関連付けられた状態で登録されている。権利設定部154は、区分データベース131を管理することによって、複数の区分をユーザ(区分購入者)と関連付けて管理する。以下の説明では、区分データベース131に登録されているユーザを、コンテンツデータの取得権を有する「取得権者」とも称する。
【0041】
なお、ユーザは、区分所有権を、別のユーザに転売できるようにしてもよい。この場合、設定要求受付部153は、転売先の新たなユーザからの設定要求を受け付ける。そして、権利設定部154は、区分データベース131に登録されている元のユーザを、新たなユーザに更新する。これにより、区分データベース131上において、新たなユーザが、取得権者として特定の区分に関連付けられて管理される。
【0042】
コンテンツデータ取得部155は、発掘現場において実際に発掘された有体物である出土品(リアルコンテンツ)に対応したコンテンツデータを取得する。コンテンツデータは、好ましくは、出土品を3Dで表現した3Dデータ、または、出土品を2Dで表現した2Dデータ(例えば、写真などの画像データ)である。このような3Dデータまたは2Dデータである場合、ユーザがコンピュータを用いて出土品を鑑賞することが可能となる。コンテンツデータは、管理サーバ1によって作成されてもよいし、管理サーバ1とは別のコンピュータなどを用いて作成されてもよい。
【0043】
NFT化部156は、コンテンツデータをNFT化する。すなわち、NFT化部156は、コンテンツデータ取得部155によって取得されたコンテンツデータに、所有者を示すNFTを紐付ける。NFT化部156によって紐付けられるNFTには、コンテンツデータを特定する情報と、当該コンテンツデータの所有者を示す情報とが設定される。コンテンツデータの所有者は、具体的には、コンテンツデータに対応する出土品が発掘された区分に対して、コンテンツ取得権が設定されているユーザ(取得権者)である。コンテンツ取得権を有するユーザは、区分データベース131に基づいて特定される。NFT化部156は、NFTと紐付けられたコンテンツデータであるNFTコンテンツを、コンテンツデータベース133に追加する。
【0044】
NFTコンテンツ管理部157は、コンテンツデータベース133を管理する。NFTコンテンツ管理部157は、コンテンツデータベース133上において、NFT化部156によってNFT化されたNFTコンテンツを、その所有者と関連付けて管理する。
【0045】
図5は、コンテンツデータベース133の構成例を示す図である。図5に示されるように、コンテンツデータベース133は、NFTコンテンツごとに、NFTコンテンツIDと、リアルコンテンツIDと、区分IDと、ユーザIDとを含む。NFTコンテンツIDは、NFTコンテンツを一意に識別する識別情報であって、例えばシリアル番号である。リアルコンテンツIDは、出土品を一意に識別する識別情報であって、例えばシリアル番号である。コンテンツデータベース133には、リアルコンテンツIDと、NFTコンテンツIDと、区分IDと、ユーザIDとが、相互に関連付けられた状態で登録されている。
【0046】
コンテンツデータベース133に登録されている区分IDは、リアルコンテンツIDによって示される出土品が発掘された区分を示している。コンテンツデータベース133に登録されているユーザIDは、区分IDによって示される区分に関連付けられたユーザ(区分データベース131に登録されている取得権者)を示している。NFTコンテンツ管理部157は、コンテンツデータベース133を管理することによって、NFTコンテンツを、出土品(リアルコンテンツ)、区分およびユーザ(所有者)を関連付けて管理する。
【0047】
送信処理部158は、各種データを、必要に応じて、通信部11を介して外部に送信する。例えば、送信処理部158は、NFT化部156によって発行されたNFTと、当該NFTに紐付けられたコンテンツデータ(NFTコンテンツ)とを、所有権を有するユーザの端末3に送信する。なお、送信処理部158は、コンテンツデータそのものの代わりに、コンテンツデータの保存場所を示すダウンロードアドレスを、端末3に送信してもよい。
【0048】
また、送信処理部158は、記憶部13に保存された仮想空間データVS1が表す仮想空間を、端末3のディスプレイに表示させるための表示用データを端末3に送信する。例えば、送信処理部158は、コンテンツ取得権の設定を希望するユーザの端末3に、仮想空間データVS1に基づく表示用データを送信する。送信処理部158は、仮想空間データ送信部として機能する。
【0049】
端末3は、送信処理部158によって送信された表示用データに基づいて、仮想空間をディスプレイに表示させる。これにより、端末3のユーザは、仮想空間上で、発掘現場を、視覚を通じて確認しつつ、コンテンツ取得権を設定する区分を選択できる。これにより、ユーザに臨場感を持たせることができるため、区分の取引(詳細には、コンテンツ取得権を設定する権利の取引)を促進できる。
【0050】
図6は、取引システム100における一連の流れを示すフローチャートである。図6に示されるように、建設業者等は、遺跡を開発する場合、あるいは、工事発掘現場において特定の埋蔵品が発掘された場合、行政機関に所定事項を記入した申請書を提出する(申請ステップS11)。遺跡は、例えば、文化財保護法93条に規定される「周知の埋蔵文化財包蔵地」を含む。行政機関は、文化庁、自治体または市町村を含む。
【0051】
行政機関は、建設業者等によって提出された申請書を受理し(受理ステップS21)、本格発掘調査が必要かを判断するための試掘を行う(試掘ステップS22)。そして、行政機関は、試掘の結果に基づいて、本格発掘が必要か判断する(判断ステップS23)。判断ステップS23により、本格発掘が不要と判断された場合(判断ステップS23においてNo)、行政機関は、その旨を建設業者等に通達し、建設業者等は、その通達をもって工事を再開する(工事再開ステップS12)。
【0052】
判断ステップS23により、本格発掘が必要と判断された場合(判断ステップS23においてYes)、行政機関は、委託先である運営者に、本格発掘が必要となった発掘現場について連絡する。連絡を受けた運営者は、発掘現場の三次元情報を取得する。発掘現場の三次元情報の計測は、運営者が行ってもよいし、その他の者が行ってもよい。管理サーバ1の仮想空間作成部151は、計測によって得られた発掘現場の三次元情報に基づいて、発掘現場に対応する仮想空間を作成する(仮想空間作成ステップS31)。また、管理サーバ1の区分規定部152は、発掘現場に対応づけられた複数の区分を規定する(区分規定ステップS32)。
【0053】
運営者は、区分規定ステップS32によって得られた複数の区分について、コンテンツ取得権を設定する権利(区分所有権)の販売を開始する(区分販売開始ステップS33)。区分販売開始ステップS33において、管理サーバ1の設定要求受付部153は、ユーザからのコンテンツ取得権の設定要求の受付けを開始する。ユーザは、端末3を介して、特定の区分についてコンテンツ取得権の設定要求を管理サーバ1に送信する。そして、設定要求受付部153によって設定要求が受け付けられると、権利設定部154は、当該設定要求に基づいて、区分ごとにコンテンツ取得権を設定する(権利設定ステップS34)。
【0054】
また、区分規定ステップS32によって区分が規定された後、建設事業者等は、対象の発掘現場について、本格発掘を開始する(発掘開始ステップS13)。出土品が発掘された場合(発掘ステップS14)、建設業者等は、発掘された出土品を行政機関に渡す。そして、行政機関は、発掘された出土品を管理する(現品管理ステップS24)。また、行政機関は、運営者に対して、発掘された出土品に関する出土品情報を提供する。出土品情報は、例えば、出土品の発掘された場所、および、出土品に対応するコンテンツデータを含む。なお、コンテンツデータは、管理サーバ1が作成するようにしてもよい。
【0055】
管理サーバ1のNFT化部156は、出土品に対応するコンテンツデータのNFT化を行う(NFT化ステップS35)。そして、管理サーバ1の送信処理部158は、NFTコンテンツを、所有権者であるユーザに送信する(送信ステップS36)。
【0056】
以上のように、管理サーバ1は、権利設定部154と、設定要求受付部153と、NFT化部156とを有する。権利設定部154は、発掘現場を仮想的に区切ることによって得られる複数の区分ごとに、コンテンツ取得権を設定する。コンテンツ取得権は、将来的に発掘される出土品に対応するコンテンツデータを取得する権利である。設定要求受付部153は、コンテンツ取得権の設定要求を受け付ける。NFT化部156は、各区分において実際に発掘された出土品に対応するコンテンツデータについて、権利設定部154によって設定されたコンテンツ取得権を有する者を所有者とする非代替性トークン(NTF)を紐付ける。このような構成によれば、発掘が充分に進んでいない場合であっても、コンテンツ取得権の設定要求を受け付けることによって、コンテンツ取得権を設定する権利を取引の対象とすることができる。これにより、対価を得ることができるため、発掘現場を発掘する建設業者等の負担を軽減できる。
【0057】
また、将来的に区分から発掘される出土品のNFTコンテンツで利益を得られるかもしれないという期待感をユーザに持たせることができる。このため、コンテンツ取得権を設定する権利の取引を促進できる。
【0058】
また、複数の区分は、発掘現場を空間的に複数の領域に分割することによって規定される。このような構成によれば、発掘現場を空間的に区切って得られる区分ごとに、コンテンツ取得権を設定できる。
【0059】
また、管理サーバ1は、記憶部13と、送信処理部158とを有する。記憶部13は、発掘現場に対応した仮想空間を表す仮想空間データVS1を記憶する。送信処理部158は、仮想空間データVS1が表す仮想空間を端末3のディスプレイに表示させるための表示用データを端末3に送信する。このような構成によれば、端末3のディスプレイに仮想空間を表示させることができるため、端末3のユーザが、視覚的に発掘現場を把握できる。これにより、ユーザがコンテンツ取得権の設定を希望する区分を選択しやすくなるため、取引を促進できる。
【0060】
管理サーバ1は、コンテンツデータ取得部155と、送信処理部158とを有する。コンテンツデータ取得部155は、実際に発掘された出土品に対応するコンテンツデータを取得する。送信処理部158は、コンテンツデータ取得部155によって取得されたコンテンツデータであって、NFT化部156によってNFTが紐付けられたコンテンツデータ、または、そのコンテンツデータの保存場所を示すアドレスを、コンテンツ取得権を有するユーザの端末3に送信する。このような構成によれば、NFTが紐付けられたコンテンツデータを、所有権を有するユーザに送信できる。
【0061】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、複数の区分を、発掘現場を、空間的に複数の領域に区切ることによって規定されている。しかしながら、複数の区分の規定方法は、このようなものに限定されない。
【0063】
例えば、区分規定部152は、発掘現場を、予め登録されている複数の発掘者がそれぞれ発掘する領域(以下、「発掘領域」)を、区分として規定してもよい。この場合、一人の発掘者の発掘領域が、1区分として規定される。各発掘者の発掘領域は、実際に発掘が行われる前に予定された領域であってもよいし、あるいは、実際に各発掘者が発掘作業を行った領域であってもよい。後者の場合、例えば、各発掘者に取り付けられたGPS発信器に基づいて特定される位置情報に基づいて、各発掘者の発掘領域が決定されてもよい。
【0064】
このような構成によれば、各発掘者の発掘領域ごとに、複数の区分が規定されるため、発掘者に対応する区分ごとにコンテンツ取得権を設定できるようになる。
【0065】
また、区分規定部152は、発掘現場において発掘が行われる発掘期間を、時間的に区切ることによって得られる複数の期間を、区分として規定してもよい。この場合、発掘期間を時間的に区切って得られる区分ごとに、コンテンツ取得権を設定できる。また、発掘現場における1つの場所について、期間が異なる2つ以上の区域を規定することが可能である。
【0066】
図7は、変形例に係る区分データベース131aの構成例を示す図である。区分データベース131aでは、複数の区分ごとに、区分IDと、区分情報と、ユーザIDとを含む。区分IDは、区分情報とユーザIDとが関連付けされている。区分情報は、発掘員IDと期間情報とを含む。発掘員IDは、発掘員を一意に識別する識別情報であって、例えばシリアル番号である。期間情報は、発掘員が発掘する期間を示している。このように、図7に示される例では、各区分は、各発掘員の発掘領域および発掘期間に基づいて規定される。
【0067】
このような構成によれば、同じ発掘者であっても、発掘期間が異なる2以上の区分を規定することができる。
【0068】
運営者は、区域所有権の販売をするに当たって、例えば販売サイトに各発掘員の発掘実績を掲載してもよい。発掘実績は、例えば、発掘経験年数や、発掘員がこれまでに参加した発掘現場、これまでに発掘した出土品の種類および数などを含む。発掘実績をユーザに提示することによって、ユーザは、発掘員の発掘実績を指標として、コンテンツ取得権を設定する区域を適切に選択できる。
【0069】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 管理サーバ
3 端末
5 ネットワーク
7 ブロックチェーンネットワーク
11 通信部
13 記憶部
15 データ処理部
133 コンテンツデータベース
151 仮想空間作成部
152 区分規定部
153 設定要求受付部
154 権利設定部
155 コンテンツデータ取得部
156 NFT化部
157 NFTコンテンツ管理部
158 送信処理部
VS1 仮想空間データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7