IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-梱包箱 図1
  • 特開-梱包箱 図2
  • 特開-梱包箱 図3
  • 特開-梱包箱 図4
  • 特開-梱包箱 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121607
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】梱包箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/44 20060101AFI20240830BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B65D5/44 H
B65D5/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028800
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伏見 羽置
(72)【発明者】
【氏名】竹下 三四郎
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB04
3E060BA03
3E060BC02
3E060CD03
3E060CD13
3E060DA11
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】稜線潰れに対する強度を向上させた梱包箱を提供する。
【解決手段】第1側壁部7と、第2側壁部9と、を有し、箱状に組み立てられたときに、第1側壁部7と第2側壁部9との相互間に縦稜線が形成される段ボール箱3と、坪量が110g/m以上の紙製であり、段ボール箱3が箱状に組み立てられたときに縦稜線となる稜線部29に沿って貼付された補強部材5と、を備えた。補強部材の坪量は、270g/m以上であることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側壁部と、第2側壁部と、を有し、箱状に組み立てられたときに、前記第1側壁部と前記第2側壁部との相互間に縦稜線が形成される段ボール箱と、
坪量が110g/m以上の紙製であり、前記段ボール箱が箱状に組み立てられたときに前記縦稜線となる稜線部に沿って貼付された補強部材と、
を備えたことを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記補強部材の坪量は、270g/m以上であることを特徴とする請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
前記段ボール箱は、前記第1側壁部に対して縦方向に連なる第1フラップと、前記第2側壁部に対して縦方向に連なる第2フラップと、を有し、
前記補強部材は、前記稜線部に対して縦方向の一方に位置する前記第1フラップおよび前記第2フラップから、前記稜線部を経て、前記稜線部に対して縦方向の他方に位置する前記第1フラップおよび前記第2フラップまで貼付されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包箱。
【請求項4】
前記補強部材の材質は、コート紙であることを特徴とする請求項1に記載の梱包箱。
【請求項5】
前記第1側壁部は、複数の波が形成された第1中芯を有し、
前記第2側壁部は、複数の波が形成された第2中芯を有し、
前記段ボール箱に前記補強部材が貼付されていない状態で、前記縦稜線に対して側方から荷重が掛けられたときに、前記第1側壁部において潰れた箇所のうち、前記稜線部から最も離れた箇所は、前記第1中芯に形成された複数の波のうち前記稜線部から数えてm番目の波の位置であり、
前記段ボール箱に前記補強部材が貼付されていない状態で、前記縦稜線に対して側方から荷重が掛けられたときに、前記第2側壁部において潰れた箇所のうち、前記稜線部から最も離れた箇所は、前記第2中芯に形成された複数の波のうち前記稜線部から数えてn番目の波の位置であり、
前記補強部材は、前記第1中芯に形成された複数の波のうち前記稜線部から数えて(m+1)番目の波から、前記第2中芯に形成された複数の波のうち前記稜線部から数えて(n+1)番目の波までの寸法に相当する幅を有することを特徴とする請求項1に記載の梱包箱。
【請求項6】
前記段ボール箱は、Cフルートの段ボールで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の梱包箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1が開示するように、箱状に組み立てられたときに罫線部コーナーとなる箇所に、紙力強化剤が塗工された段ボール箱が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-161659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、箱状に組み立てられたときに罫線部コーナーとなる箇所に紙力強化剤が塗工された段ボール箱では、十分な強度を得ることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の梱包箱は、第1側壁部と、第2側壁部と、を有し、箱状に組み立てられたときに、第1側壁部と第2側壁部との相互間に縦稜線が形成される段ボール箱と、坪量が110g/m以上の紙製であり、段ボール箱が箱状に組み立てられたときに縦稜線となる稜線部に沿って貼付された補強部材と、を備えた。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】補強部材が貼付された段ボール箱の展開図である。
図2】補強部材が貼付された段ボール箱が箱状に組み立てられた状態を示す斜視図である。
図3】段ボール箱を構成する段ボールを示す図である。
図4】補強部材が貼付された段ボール箱の変形例を示す展開図である。
図5】梱包箱の実施例および比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を参照して、梱包箱の一実施形態である梱包箱1について説明する。以下の説明において、「縦」とは、梱包箱1が略直方体の箱状に組み立てられ、通常の姿勢で設置されたときに、鉛直方向となる方向を意味する。「横」とは、梱包箱1が箱状に組み立てられ、通常の姿勢で設置されたときに、水平方向となる方向を意味する。なお、各部の個数や寸法などを示す数値は、特に言及しない限り、いずれも例示にすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではない。
【0008】
図1および図2に示すように、梱包箱1は、段ボール箱3と、補強部材5とを備えている。
【0009】
段ボール箱3は、A式段ボール箱であり、単一の段ボールで構成されている。段ボール箱3を構成する段ボールの種類は、特に限定されないが、本実施形態ではCフルートである。
【0010】
段ボール箱3は、2つの第1側壁部7と、2つの第2側壁部9と、4つの第1フラップ11と、4つの第2フラップ13と、糊代15とを備えている。
【0011】
第1側壁部7および第2側壁部9は、段ボール箱3が箱状に組み立てられた状態で、段ボール箱3の側壁を構成する。第1側壁部7と第2側壁部9とは、横方向に交互に連なっている。
【0012】
第1フラップ11および第2フラップ13は、段ボール箱3が箱状に組み立てられた状態で、段ボール箱3の天壁および底壁を構成する。第1フラップ11は、第1側壁部7に対して縦方向に連なっている。第1フラップ11のうち、第1側壁部7とは反対側の端部を、第1フラップ端部17という。第2フラップ13は、第2側壁部9に対して縦方向に連なっている。第2フラップ13のうち、第2側壁部9とは反対側の端部を、第2フラップ端部19という。
【0013】
糊代15は、第1側壁部7に対して横方向に連なっており、接着剤を介して第2側壁部9の内面に接着される。なお、図1および図4では、糊代15に貼付された第2側壁部9を、二点鎖線で示す。
【0014】
第1側壁部7と第2側壁部9との間、および第1側壁部7と糊代15との間には、縦罫線21が形成されている。また、第1側壁部7と第1フラップ11との間、および第2側壁部9と第2フラップ13との間には、横罫線23が形成されている。
【0015】
段ボール箱3は、縦罫線21および横罫線23に沿って折り曲げられることで、箱状に組み立てられる(図2参照)。段ボール箱3が箱状に組み立てられたときに、第1側壁部7と第2側壁部9との相互間に、縦稜線25が形成され、第1側壁部7と第1フラップ11との相互間、および第2側壁部9と第2フラップ13との相互間に、横稜線27が形成される。
【0016】
段ボール箱3が箱状に組み立てられたときに縦稜線25となる箇所を、稜線部29という。段ボール箱3は、4つの稜線部29を備えている。4つの稜線部29のうち、3つの稜線部29は、縦罫線21を介して横方向に連なる第1側壁部7と第2側壁部9との境界部に相当し、1つの稜線部29は、糊代15を介して横方向に連なる第1側壁部7と第2側壁部9との境界部に相当する。
【0017】
図3に示すように、第1側壁部7は、第1外ライナー31と、第1内ライナー33と、第1中芯35とを備えている。第1中芯35は、波形状に形成されており、第1外ライナー31と第1内ライナー33との間に設けられている。同様に、第2側壁部9は、第2外ライナー37と、第2内ライナー39と、第2中芯41とを備えている。第2中芯41は、波形状に形成されており、第2外ライナー37と第2内ライナー39との間に設けられている。
【0018】
なお、第1中芯35に形成された複数の波のうち、稜線部29から数えて何番目の波であるかに応じて、第1中芯第1波Pなどという。例えば、第1中芯第3波Pとは、第1中芯35に形成された複数の波のうち、稜線部29から数えて3番目の波を意味する。同様に、第2中芯41に形成された複数の波のうち、稜線部29から数えて何番目の波であるかに応じて、第2中芯第1波Qなどという。例えば、第2中芯第4波Qとは、第2中芯41に形成された複数の波のうち、稜線部29から数えて4番目の波を意味する。なお、図3では中芯の波の頂点が稜線部29と一致しているが、例えば稜線部29が波の頂点から外れた場合、すなわち次の波の頂点までの間の所定の位置が稜線部29となった場合であっても、同じように波の数を数えてよい。
【0019】
ここで、本実施形態とは異なり、梱包箱1が段ボール箱3のみから成る構成、すなわち段ボール箱3に補強部材5が貼付されていない構成では、例えば複数個の梱包箱1がパレットに積み付けられた場合に、積み付けられた複数個の梱包箱1の周囲に巻かれたストレッチフィルムにより縦稜線25に対して側方から荷重が掛かることで、縦稜線25が潰れる現象、すなわち稜線潰れが生じるおそれがある。また、下の方に積まれた梱包箱1に対しては、上方から荷重が掛かることで、梱包箱1全体が上下方向に潰れる現象、すなわち積圧潰れが生じるおそれがある。
【0020】
稜線潰れは、より具体的には、第1側壁部7および第2側壁部9において、縦稜線25に近い箇所が潰れる現象である。第1側壁部7および第2側壁部9は、第1中芯35および第2中芯41に形成された複数の波のうち稜線部29から数えて特定の波の位置で潰れやすい。第1側壁部7および第2側壁部9がどの波の位置で潰れやすいかは、段ボール箱3を構成する段ボールの種類によって異なり、予め実験により求めることができる。段ボール箱3を構成する段ボールの種類がCフルートである場合、潰れやすい箇所は、例えば、第1側壁部7においては、第1中芯第3波Pおよび第1中芯第8波Pであり、第2側壁部9においては、第2中芯第3波Qおよび第2中芯第8波Qであるとする。
【0021】
このような稜線潰れや積圧潰れが生じることを抑制するために、本実施形態の梱包箱1では、梱包箱1に補強部材5が貼付されている。補強部材5は、紙製であり、本実施形態では帯状すなわち長方形に形成されているが、補強部材5の形状は特に限定されず、例えば、角丸長方形、楕円形などでもよい。
【0022】
補強部材5は、稜線部29に沿って段ボール箱3に貼付されている。すなわち、補強部材5は、稜線部29を覆うように段ボール箱3に貼付されている。なお、補強部材5を段ボール箱3に貼付するための接着剤としては、例えば木工用接着剤を用いることができる。
【0023】
補強部材5の坪量は、110g/m以上であり、好ましくは、270g/m以上である。補強部材5の坪量が110g/m以上であることで、梱包箱1の稜線潰れに対する強度を向上させることができる。補強部材5の坪量が270g/m以上であることで、梱包箱1の稜線潰れに対する強度を更に向上させることができると共に、梱包箱1の積圧潰れに対する強度を向上させることができる。一方、補強部材5の坪量は、好ましくは、400g/m以下である。補強部材5の坪量が400g/m以下であることで、補強部材5が貼付された稜線部29における第1側壁部7と第2側壁部9との折曲げ性が損なわれることを抑制することができる。
【0024】
補強部材5の材質は、紙であれば特に限定されず、一例としてコート紙やボール紙であるが、好ましくは、コート紙である。補強部材5の材質がコート紙であることで、梱包箱1の稜線潰れに対する強度および積圧潰れに対する強度を更に向上させることができる。補強部材5の材質は、コート紙のなかでも、マット系に比べ光沢系のほうがより好ましく、梱包箱1の稜線潰れに対する強度を更に向上させることができる。
【0025】
補強部材5の幅、すなわち横方向における補強部材5の寸法は、特に限定されないが、第1幅W(図3参照)であることが好ましい。ここで、第1幅Wとは、段ボール箱3に補強部材5が貼付されていない状態で縦稜線25に対して側方から荷重が掛けられたときに、第1側壁部7および第2側壁部9において潰れた箇所のうち、稜線部29から最も離れた箇所が、第1中芯第m波Pおよび第2中芯第n波Qである場合に、第1中芯第(m+1)波Pm+1から第2中芯第(n+1)波Qn+1までの寸法に相当する。なお、m、nは、それぞれ1以上の整数である。本実施形態では、段ボール箱3に補強部材5が貼付されていない状態で縦稜線25に対して側方から荷重が掛けられたときに、第1側壁部7および第2側壁部9において潰れた箇所のうち、稜線部29から最も離れた箇所が、第1中芯第8波Pおよび第2中芯第8波Qであるため、第1幅Wは、第1中芯第9波Pから第2中芯第9波Qまでの寸法に相当する。この第1幅Wは、例えば80mmである。
【0026】
補強部材5の幅が第1幅W以上であれば、第1側壁部7および第2側壁部9において潰れやすい箇所を、補強部材5で覆って補強することができる。一方、第1幅Wの補強部材5と、第1幅Wよりも幅の広い補強部材5との間で、梱包箱1の稜線潰れに対する強度に大きな差はなく、梱包箱1の積圧潰れに対する強度にも大きな差はない。そのため、第1幅Wは、補強部材5が第1側壁部7および第2側壁部9において潰れやすい箇所を覆うのに十分な幅である。ただし、補強部材5を段ボール箱3の内面に貼付した場合には、補強部材5の幅が大きいほど、梱包箱1の積圧潰れに対する強度を更に向上させることができる。
【0027】
補強部材5は、図4に示したように、稜線部29に対して縦方向の一方に位置する第1フラップ11および第2フラップ13から、稜線部29を経て、稜線部29に対して縦方向の他方に位置する第1フラップ11および第2フラップ13まで貼付された構成でもよい。補強部材5のうち、第1フラップ11および第2フラップ13に貼付された部分には、第1フラップ11および第2フラップ13が個々に可動なように、縦方向の切れ目43が形成されている。なお、以下では、図4に示したように、補強部材5が稜線部29から第1フラップ11および第2フラップ13まで貼付された構成を、フラップ貼り「有り」とも称し、図1に示したように、補強部材5が稜線部29のみに貼付され第1フラップ11および第2フラップ13には貼付されていない構成を、フラップ貼り「無し」とも称する。
【0028】
フラップ貼り「有り」の構成では、フラップ貼り「無し」の構成に比べ、梱包箱1の稜線潰れに対する強度および積圧潰れに対する強度を更に向上させることができる。これは、補強部材5が稜線部29に加えて第1フラップ11および第2フラップ13にも貼付されることで、梱包箱1の縦稜線25に加えて角部45(図2参照)も補強され、縦稜線25の強度向上に寄与するためであると考えられる。
【0029】
なお、補強部材5は、稜線部29に対して縦方向の一方に位置する第1フラップ端部17および第2フラップ端部19から、稜線部29に対して縦方向の他方に位置する第1フラップ端部17および第2フラップ端部19まで貼付されている必要はない。すなわち、補強部材5は、稜線部29に対して縦方向の一方に位置する第1フラップ端部17および第2フラップ端部19と稜線部29との間の位置から、稜線部29に対して縦方向の他方に位置する第1フラップ端部17および第2フラップ端部19と稜線部29との間の位置まで貼付されていればよい。
【0030】
補強部材5は、段ボール箱3の外面、すなわち第1外ライナー31および第2外ライナー37に貼付された構成でもよく、段ボール箱3の内面、すなわち第1内ライナー33および第2内ライナー39に貼付された構成でもよい。梱包箱1の稜線潰れに対する強度に関しては、補強部材5が段ボール箱3の外面に貼付された構成と内面に貼付された構成とで、それほど変わらないが、梱包箱1の積圧潰れに対する強度に関しては、補強部材5が段ボール箱3の外面に貼付された構成の方が、内面に貼付された構成に比べ、強度が更に向上する。一方、外観を考慮すると、補強部材5は、段ボール箱3の内面に貼付された構成の方が、補強部材5が目立たず、好ましい。
【0031】
補強部材5は、4つの稜線部29のうち、1つの稜線部29に対して貼付された構成でもよく、2つ以上の稜線部29に対して貼付された構成でもよい。稜線潰れ対策としては、4つの稜線部29のうち、ストレッチフィルムによる側方からの荷重が掛かる縦稜線25となる稜線部29のみに対して、補強部材5を貼付すればよい。また、補強部材5は、各稜線部29の全体、すなわち各稜線部29の端から端までを覆った構成に限定されず、各稜線部29の一部、例えば各稜線部29の全長に対して4分の3以上を覆った構成でもよい。また、補強部材5は、段ボール箱3が箱状に組み立てられる前に、段ボール箱3に貼付されてもよく、段ボール箱3が箱状に組み立てられた後、段ボール箱3に貼付されてもよい。
【0032】
以上のように、本実施形態の梱包箱1は、段ボール箱3と、段ボール箱3の稜線部29に沿って貼付された補強部材5とを備えている。補強部材5は、坪量が110g/m以上の紙製である。この構成によれば、梱包箱1に稜線潰れが生じることを抑制することができる。
【0033】
なお、段ボール箱3を構成する段ボールの種類が、Cフルートである場合、段ボール箱3の稜線部29に沿って補強部材5を貼付することで、稜線潰れに対して、CBフルートの段ボールから成る段ボール箱と同等の強度を得ることができる。したがって、CBフルートの段ボールから成る段ボール箱を、Cフルートの段ボールから成る段ボール箱3に補強部材5が貼付された梱包箱1に変更することが可能となる。その結果、段ボール箱3のコストを削減することができる。また、段ボール箱3を構成する段ボールの重量が減少するため、環境負荷を低減することができる。
【実施例0034】
まず、以下の仕様の段ボール箱に対して、木工用接着剤を用いて、図5に示した仕様の補強部材を貼付した。補強部材は、4つの稜線部のうち、糊代を介して横方向に連なる第1側壁部と第2側壁部との境界部に相当する稜線部およびその対角に位置する稜線部を除いた、2つの稜線部に沿って貼付された。木工用接着剤が十分に乾いた後、梱包箱を箱状に組み立てた。
<段ボール箱の仕様>
形式:A式(0201式)
サイズ:幅200×長さ200×高さ100mm
段ボール:Cフルート
【0035】
梱包箱を組み立てた後、圧縮試験機を用いて、補強部材が貼付された縦稜線に対して側方から荷重を掛け、稜線潰れが生じる荷重を測定した。また、圧縮試験機を用いて、梱包箱に対して上下方向の荷重を掛け、積圧潰れが生じる荷重を測定した。
【0036】
なお、梱包箱の稜線潰れに対する強度については、稜線潰れが生じる荷重が、比較例1すなわち補強部材が貼付されていない梱包箱と比べて何%であるかにより、以下の5段階で評価した。
A:300%以上
B:220%以上300%未満
C:170%以上220%未満
D:150%以上170%未満
E:150%未満
なお、梱包箱の稜線潰れに対する強度がA~Dであれば、すなわち、稜線潰れが生じる荷重が、補強部材が貼付されていない梱包箱と比べて150%以上であれば、通常のパレット積みにおいて、ストレッチフィルムからの荷重に対して稜線潰れが生じることを抑制することができる。
【0037】
また、梱包箱の積圧潰れに対する強度については、積圧潰れが生じる荷重が、比較例1すなわち補強部材が貼付されていない梱包箱と比べて何%であるかにより、以下の3段階で評価した。
A:130%以上
B:110%以上130%未満
C:110%未満
【0038】
図5に示したように、坪量110g/m以上の補強部材が貼付された実施例1~11と、補強部材が貼付されていない比較例1や坪量31g/mの補強部材が貼付された比較例2とを比較すると、実施例1~11では、梱包箱の稜線潰れに対する強度の向上が認められた。
【0039】
坪量270g/m以上の補強部材が貼付された実施例2~5と、坪量110g/mの補強部材が貼付された実施例1とを比較すると、実施例2~5では、梱包箱の稜線潰れに対する強度が更に向上する傾向が認められると共に、梱包箱の積圧潰れに対する強度の向上が認められた。
【0040】
補強部材が段ボール箱の外面に貼付された実施例2と、補強部材が段ボール箱の内面に貼付された実施例6とを比較すると、実施例2では、梱包箱の積圧潰れに対する強度が更に向上した。実施例4と実施例7とを比較しても、同様の傾向が認められた。
【0041】
光沢系コート紙製の補強部材が貼付された実施例4と、ボール紙製の補強部材が貼付された実施例5とを比較すると、実施例4では、坪量が実施例5よりも低いにも拘らず、梱包箱の稜線潰れに対する強度が更に向上した。
【0042】
フラップ貼り「有り」の実施例2と、フラップ貼り「無し」の実施例8とを比較すると、実施例2では、梱包箱の稜線潰れに対する強度および積圧潰れに対する強度が更に向上した。
【0043】
補強部材が段ボール箱の外面に貼付された実施例のうち、80mm幅の補強部材、すなわち第1幅を有する補強部材が貼付された実施例8と、160mm幅の補強部材が貼付された実施例9とを比較すると、梱包箱の稜線潰れに対する強度および積圧潰れに対する強度のいずれについても、同等であった。一方、補強部材が段ボール箱の内面に貼付された実施例のうち、80mm幅の補強部材、すなわち第1幅を有する補強部材が貼付された実施例10と、160mm幅の補強部材が貼付された実施例11とを比較すると、梱包箱の稜線潰れに対する強度については、同等であったが、積圧潰れに対する強度については、実施例11の方が更に向上した。
【0044】
[その他の変形例]
上記の実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態は、上述したほか、以下のような形態に変更することができる。また、実施形態や変形例を、それぞれ組み合わせた構成でもよい。
【0045】
段ボール箱3の形式は、A式に限定されるものではなく、B式、C式、N式など、他の形式でもよい。段ボール箱3を構成する段ボールのフルートは、Cフルートに限定されるものではなく、Aフルート、Bフルート、Wフルートなど、他のフルートでもよい。
【0046】
[付記]
以下、梱包箱について付記する。
梱包箱は、第1側壁部と、第2側壁部と、を有し、箱状に組み立てられたときに、第1側壁部と第2側壁部との相互間に縦稜線が形成される段ボール箱と、坪量が110g/m以上の紙製であり、段ボール箱が箱状に組み立てられたときに縦稜線となる稜線部に沿って貼付された補強部材と、を備えた。
【0047】
この構成によれば、梱包箱の稜線潰れに対する強度を向上させることができる。
【0048】
この場合、補強部材の坪量は、270g/m以上であることが好ましい。
【0049】
この構成によれば、梱包箱の稜線潰れに対する強度を更に向上させることができると共に、積圧潰れに対する強度を向上させることができる。
【0050】
この場合、段ボール箱は、第1側壁部に対して縦方向に連なる第1フラップと、第2側壁部に対して縦方向に連なる第2フラップと、を有し、補強部材は、稜線部に対して縦方向の一方に位置する第1フラップおよび第2フラップから、稜線部を経て、稜線部に対して縦方向の他方に位置する第1フラップおよび第2フラップまで貼付されていることが好ましい。
【0051】
この構成によれば、梱包箱の稜線潰れに対する強度および積圧潰れに対する強度を更に向上させることができる。
【0052】
この場合、補強部材の材質は、コート紙であることが好ましい。
【0053】
この構成によれば、梱包箱の稜線潰れに対する強度を更に向上させることができる。
【0054】
この場合、第1側壁部は、複数の波が形成された第1中芯を有し、第2側壁部は、複数の波が形成された第2中芯を有し、段ボール箱に補強部材が貼付されていない状態で、縦稜線に対して側方から荷重が掛けられたときに、第1側壁部において潰れた箇所のうち、稜線部から最も離れた箇所は、第1中芯に形成された複数の波のうち稜線部から数えてm番目の波の位置であり、段ボール箱に補強部材が貼付されていない状態で、縦稜線に対して側方から荷重が掛けられたときに、第2側壁部において潰れた箇所のうち、稜線部から最も離れた箇所は、第2中芯に形成された複数の波のうち稜線部から数えてn番目の波の位置であり、補強部材は、第1中芯に形成された複数の波のうち稜線部から数えて(m+1)番目の波から、第2中芯に形成された複数の波のうち稜線部から数えて(n+1)番目の波までの寸法に相当する幅を有することが好ましい。
【0055】
この構成によれば、なるべく幅の狭い補強部材を用いて、稜線潰れが生じやすい箇所を補強することができる。
【0056】
この場合、段ボール箱は、Cフルートの段ボールで構成されていることが好ましい。
【0057】
この構成によれば、稜線潰れに対して、CBフルートの段ボールから成る段ボール箱と同等の強度を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1:梱包箱、3:段ボール箱、5:補強部材、7:第1側壁部、9:第2側壁部、11:第1フラップ、13:第2フラップ、25:縦稜線、29:稜線部、35:第1中芯、41:第2中芯。
図1
図2
図3
図4
図5