(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121609
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】紙製容器、蓋材付き紙製容器及びブランク材
(51)【国際特許分類】
B65D 5/56 20060101AFI20240830BHJP
B65D 5/20 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B65D5/56 A
B65D5/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028803
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】武士田 満
(72)【発明者】
【氏名】前田 世蓮
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 亮介
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB16
3E060BC04
3E060DA18
(57)【要約】
【課題】ピンホールの発生を抑制することが可能な、紙製容器、蓋材付き紙製容器及びブランク材を提供する。
【解決手段】紙製容器10は、紙容器20と、紙容器20の表面に積層された成形フィルム40とを備えている。紙容器20は、底部21と、底部21に第1折れ線22を介して連結された複数の側部23と、各々の側部23にそれぞれ第2折れ線24を介して連結された複数のフランジ片25とを有している。側部23同士は、互いに連続することなく隣り合っている。第2折れ線24は、紙容器20を貫通する複数の第1切り込み部24aを含んでいる。各々の第1切り込み部24aの長さL2は、30mm以下である。
【選択図】
図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙容器と、
前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備え、
前記紙容器は、
底部と、
前記底部に第1折れ線を介して連結された複数の側部と、
各々の側部にそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片とを有し、
前記側部同士は、互いに連続することなく隣り合っており、
前記第2折れ線は、前記紙容器を貫通する複数の第1切り込み部を含み、
各々の前記第1切り込み部の長さは、30mm以下である、紙製容器。
【請求項2】
前記第1折れ線は、前記紙容器を貫通する複数の第2切り込み部を含み、各々の前記第2切り込み部の長さは、30mm以下である、請求項1に記載の紙製容器。
【請求項3】
紙容器と、
前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備え、
前記紙容器は、
底部と、
前記底部に第1折れ線を介して連結された複数の側部と、
各々の側部にそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片とを有し、
前記側部同士は、互いに連続することなく隣り合っており、
前記第2折れ線は、前記紙容器を貫通する複数の第1切り込み部を含み、
各々の前記第1切り込み部の長さは、35mm以下であり、
前記紙容器を構成する紙の坪量は、350g/m2以上である、紙製容器。
【請求項4】
前記第1折れ線は、前記紙容器を貫通する複数の第2切り込み部を含み、各々の前記第2切り込み部の長さは、35mm以下である、請求項3に記載の紙製容器。
【請求項5】
紙容器と、
前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備え、
前記紙容器は、
底部と、
前記底部に第1折れ線を介して連結された複数の側部と、
各々の側部にそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片とを有し、
前記側部同士は、互いに連続することなく隣り合っており、
前記第2折れ線は、
両端部に形成された第1薄肉部と、
前記第1薄肉部同士の間に形成され、前記紙容器を貫通する複数の第1切り込み部とを含み、
前記第1薄肉部の長さは、10mm以上である、紙製容器。
【請求項6】
前記第1折れ線は、両端部に形成された第2薄肉部と、前記第2薄肉部同士の間に形成され、前記紙容器を貫通する複数の第2切り込み部とを含み、前記第2薄肉部の長さは、10mm以上である、請求項5に記載の紙製容器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の前記紙製容器と、
前記紙製容器を密封する蓋材とを備える、蓋材付き紙製容器。
【請求項8】
ブランク材であって、
底部パネルと、
前記底部パネルに第1折れ線を介して連結された複数の側部パネルと、
各々の側部パネルにそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片パネルとを備え、
前記側部パネル同士の間に隙間が形成されており、
前記第2折れ線は、前記ブランク材を貫通する複数の第1切り込み部を含み、
各々の前記第1切り込み部の長さは、30mm以下である、ブランク材。
【請求項9】
前記第1折れ線は、前記ブランク材を貫通する複数の第2切り込み部を含み、各々の前記第2切り込み部の長さは、30mm以下である、請求項8に記載のブランク材。
【請求項10】
ブランク材であって、
底部パネルと、
前記底部パネルに第1折れ線を介して連結された複数の側部パネルと、
各々の側部パネルにそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片パネルとを備え、
前記側部パネル同士の間に隙間が形成されており、
前記第2折れ線は、前記ブランク材を貫通する複数の第1切り込み部を含み、
各々の前記第1切り込み部の長さは、35mm以下であり、
前記ブランク材を構成する紙の坪量は、350g/m2以上である、ブランク材。
【請求項11】
前記第1折れ線は、前記ブランク材を貫通する複数の第2切り込み部を含み、各々の前記第2切り込み部の長さは、35mm以下である、請求項10に記載のブランク材。
【請求項12】
ブランク材であって、
底部パネルと、
前記底部パネルに第1折れ線を介して連結された複数の側部パネルと、
各々の側部パネルにそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片パネルとを備え、
前記側部パネル同士の間に隙間が形成されており、
前記第2折れ線は、
両端部に形成された第1薄肉部と、
前記第1薄肉部同士の間に形成され、前記ブランク材を貫通する複数の第1切り込み部とを含み、
前記第1薄肉部の長さは、10mm以上である、ブランク材。
【請求項13】
前記第1折れ線は、両端部に形成された第2薄肉部と、前記第2薄肉部同士の間に形成され、前記ブランク材を貫通する複数の第2切り込み部とを含み、前記第2薄肉部の長さは、10mm以上である、請求項12に記載のブランク材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙製容器、蓋材付き紙製容器及びブランク材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、持ち帰り用の飲食物(いわゆる、テイクアウト商品)や、宅配される飲食物を収容する容器が知られている。
【0003】
近年、海洋汚染の問題や環境負荷の低減を目的として、このような容器に使用する樹脂量の低減が求められており、樹脂量を削減したり、容器に使用する材質を変更したりすることが進められている。このような容器としては、フランジ片を有する紙容器と、上記紙容器の内壁に積層された成形フィルムとを備える紙製容器が知られている(例えば、特許文献1)。このような紙製容器では、食品が充填された後、蓋材によって、紙製容器が覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような紙製容器を作製する場合、紙容器に成形フィルムを接着する際に、成形フィルムにピンホールが生じてしまう可能性がある。
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、ピンホールの発生を抑制することが可能な、紙製容器、ブランク材及び蓋材付き紙製容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、紙容器と、前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備え、前記紙容器は、底部と、前記底部に第1折れ線を介して連結された複数の側部と、各々の側部にそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片とを有し、前記側部同士は、互いに連続することなく隣り合っており、前記第2折れ線は、前記紙容器を貫通する複数の第1切り込み部を含み、各々の前記第1切り込み部の長さは、30mm以下である、紙製容器である。
【0008】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による紙製容器において、前記第1折れ線は、前記紙容器を貫通する複数の第2切り込み部を含んでいても良く、各々の前記第2切り込み部の長さは、30mm以下であっても良い。
【0009】
本開示の第3の態様は、紙容器と、前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備え、前記紙容器は、底部と、前記底部に第1折れ線を介して連結された複数の側部と、各々の側部にそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片とを有し、前記側部同士は、互いに連続することなく隣り合っており、前記第2折れ線は、前記紙容器を貫通する複数の第1切り込み部を含み、各々の前記第1切り込み部の長さは、35mm以下であり、前記紙容器を構成する紙の坪量は、350g/m2以上である、紙製容器である。
【0010】
本開示の第4の態様は、上述した第3の態様による紙製容器において、前記第1折れ線は、前記紙容器を貫通する複数の第2切り込み部を含んでいても良く、各々の前記第2切り込み部の長さは、35mm以下であっても良い。
【0011】
本開示の第5の態様は、紙容器と、前記紙容器の表面に積層された成形フィルムとを備え、前記紙容器は、底部と、前記底部に第1折れ線を介して連結された複数の側部と、各々の側部にそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片とを有し、前記側部同士は、互いに連続することなく隣り合っており、前記第2折れ線は、両端部に形成された第1薄肉部と、前記第1薄肉部同士の間に形成され、前記紙容器を貫通する複数の第1切り込み部とを含み、前記第1薄肉部の長さは、10mm以上である、紙製容器である。
【0012】
本開示の第6の態様は、上述した第5の態様による紙製容器において、前記第1折れ線は、両端部に形成された第2薄肉部と、前記第2薄肉部同士の間に形成され、前記紙容器を貫通する複数の第2切り込み部とを含んでいても良く、前記第2薄肉部の長さは、10mm以上であっても良い。
【0013】
本開示の第7の態様は、上述した第1の態様から上述した第6の態様のいずれかによる前記紙製容器と、前記紙製容器を密封する蓋材とを備える、蓋材付き紙製容器である。
【0014】
本開示の第8の態様は、ブランク材であって、底部パネルと、前記底部パネルに第1折れ線を介して連結された複数の側部パネルと、各々の側部パネルにそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片パネルとを備え、前記側部パネル同士の間に隙間が形成されており、前記第2折れ線は、前記ブランク材を貫通する複数の第1切り込み部を含み、各々の前記第1切り込み部の長さは、30mm以下である、ブランク材である。
【0015】
本開示の第9の態様は、上述した第8の態様によるブランク材において、前記第1折れ線は、前記ブランク材を貫通する複数の第2切り込み部を含んでいても良く、各々の前記第2切り込み部の長さは、30mm以下であっても良い。
【0016】
本開示の第10の態様は、ブランク材であって、底部パネルと、前記底部パネルに第1折れ線を介して連結された複数の側部パネルと、各々の側部パネルにそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片パネルとを備え、前記側部パネル同士の間に隙間が形成されており、前記第2折れ線は、前記ブランク材を貫通する複数の第1切り込み部を含み、各々の前記第1切り込み部の長さは、35mm以下であり、前記ブランク材を構成する紙の坪量は、350g/m2以上である、ブランク材である。
【0017】
本開示の第11の態様は、上述した第10の態様によるブランク材において、前記第1折れ線は、前記ブランク材を貫通する複数の第2切り込み部を含んでいても良く、各々の前記第2切り込み部の長さは、35mm以下であっても良い。
【0018】
本開示の第12の態様は、ブランク材であって、底部パネルと、前記底部パネルに第1折れ線を介して連結された複数の側部パネルと、各々の側部パネルにそれぞれ第2折れ線を介して連結された複数のフランジ片パネルとを備え、前記側部パネル同士の間に隙間が形成されており、前記第2折れ線は、両端部に形成された第1薄肉部と、前記第1薄肉部同士の間に形成され、前記ブランク材を貫通する複数の第1切り込み部とを含み、前記第1薄肉部の長さは、10mm以上である、ブランク材である。
【0019】
本開示の第13の態様は、上述した第12の態様によるブランク材において、前記第1折れ線は、両端部に形成された第2薄肉部と、前記第2薄肉部同士の間に形成され、前記ブランク材を貫通する複数の第2切り込み部とを含んでいても良く、前記第2薄肉部の長さは、10mm以上であっても良い。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、成形フィルムにピンホールが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施の形態による蓋材付き紙製容器を示す垂直断面図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態による蓋材付き紙製容器を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態による蓋材付き紙製容器を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態による紙容器を示す斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、本実施の形態による紙容器を示す平面図である。
【
図5B】
図5Bは、本実施の形態による紙容器を示す拡大平面図(
図5AのVB部に対応する拡大平面図)である。
【
図6A】
図6Aは、本実施の形態によるブランク材を示す平面図である。
【
図6B】
図6Bは、本実施の形態によるブランク材を示す拡大平面図(
図6AのVIB部に対応する拡大平面図)である。
【
図7】
図7は、本実施の形態による紙製容器の製造方法を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態による紙製容器の製造方法を示す断面図である。
【
図9】
図9は、本実施の形態による紙製容器の製造方法を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本実施の形態による紙製容器の変形例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、本実施の形態によるブランク材の変形例を示す平面図である。
【
図12】
図12は、本実施の形態による紙製容器の他の変形例を示す拡大平面図(
図10の部分拡大図に対応する図)である。
【
図13】
図13は、本実施の形態によるブランク材の他の変形例を示す拡大平面図(
図11の部分拡大図に対応する図)である。
【
図14】
図14は、本実施の形態による紙製容器の他の変形例を示す拡大平面図(
図10の部分拡大図に対応する図)である。
【
図15】
図15は、本実施の形態によるブランク材の他の変形例を示す拡大平面図(
図11の部分拡大図に対応する図)である。
【
図16】
図16は、参考例1の蓋材付き紙製容器を作製するためのブランク材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。
図1乃至
図9は本実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
【0023】
以下の実施の形態において、「X方向」とは、蓋材付き紙製容器の長手方向に対して平行な方向である。「Y方向」とは、X方向に垂直な方向であり、蓋材付き紙製容器の幅方向に対して平行な方向である。「Z方向」とは、X方向及びY方向の両方に垂直な方向であり、蓋材付き紙製容器の高さ方向に対して平行な方向である。なお、本明細書中、「上」及び「下」とは、それぞれ紙製容器を正立させた状態(
図1)における上方(Z方向プラス側)及び下方(Z方向プラス側)のことをいう。また、本明細書中、「外側」とは、平面視において底部の中心又は底部パネルの中心から離れる側をいう。また、本明細書中、「表面」とは、内容物と向かい合う側の面、又は紙製容器を正立させた際に上方を向く面(Z方向プラス側の面)のことをいう。さらに、本明細書中、「裏面」とは、表面の反対側の面のことをいう。
【0024】
蓋材付き紙製容器
図1乃至
図3に示すように、本実施の形態による蓋材付き紙製容器1は、紙製容器10と、紙製容器10を密封する蓋材50とを備えている。ここでは、まず、紙製容器10について説明する。
【0025】
紙製容器
図1乃至
図3に示すように、紙製容器10は、紙容器20と、紙容器20の表面に積層された成形フィルム40とを備えている。このうち紙容器20は、後述するブランク材30を組み立てることにより作製される容器である。
【0026】
(紙容器)
図4及び
図5Aに示すように、紙容器20は、底部21と、底部21に第1折れ線22を介して連結された複数の側部23と、各々の側部23にそれぞれ第2折れ線24を介して連結された複数のフランジ片25とを有している。
【0027】
このうち底部21は、平面視略五角形状をもっている。なお、底部21が、平面視において八角形状等の多角形状をもっていても良い。
【0028】
底部21と側部23とを連結する第1折れ線22は、ミシン目状に形成されていても良く、ハーフカット線であっても良い。これにより、側部23を底部21に対して折り曲げやすくできる。なお、第1折れ線22がミシン目状に形成されている場合、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引することにより、第1折れ線22近傍において、成形フィルム40が紙容器20に押しつけられる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性を向上できる。
【0029】
図5Bに示すように、本実施の形態では、第1折れ線22は、ミシン目状に形成されている。この場合、第1折れ線22は、紙容器20を貫通する複数の切り込み部(第2切り込み部)22aを含んでいる。また、第1折れ線22は、互いに隣り合う切り込み部22a同士の間に設けられたつなぎ部(第2つなぎ部)22bを更に有している。つなぎ部22bは、紙容器20を貫通しない部分である。
【0030】
各々の切り込み部22aの長さL1は、30mm以下であっても良い。これにより、成形フィルム40を紙容器20に接着する際に、成形フィルム40の一部が、切り込み部22a内に入り込んでしまうことを抑制できる。また、長さL1が30mm以下であることにより、成形フィルム40を紙容器20に接着する際に、成形フィルム40が切り込み部22aに引っ掛かってしまうことを抑制できる。このため、成形フィルム40にピンホールが発生することを抑制できる。なお、各々の切り込み部22aの長さL1の下限は、特に限定されないが、10mm以上であっても良い。これにより、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引した場合に、第1折れ線22近傍において、成形フィルム40を紙容器20に押しつけやすくなる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性をより向上できる。
【0031】
再度
図4及び
図5Aを参照すると、各々の側部23は、それぞれ底部21から上方に延びている。本実施の形態では、複数の側部23は、互いに隣接する第1側部23a乃至第5側部23eを含んでおり、側部23は、全体として逆五角錐台形状に形成されている。しかしながら、これに限られるものではなく、側部23が、全体として逆八角錐台形状等の多角錐台形状に形成されていても良い。
【0032】
複数の側部23同士は、互いに連続することなく隣り合っている。すなわち、各側部23同士が重なり合うことなく、互いに隣り合っている。なお、各側部23間には、空気が通過するための微少な隙間が形成されており、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引することにより、成形フィルム40が紙容器20に押しつけられるように構成されている。
【0033】
側部23とフランジ片25とを連結する第2折れ線24は、第1折れ線22と同様に、ミシン目状に形成されていても良く、ハーフカット線であっても良い。これにより、フランジ片25を側部23に対して折り曲げやすくできる。なお、第2折れ線24がミシン目状に形成されている場合、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引することにより、第2折れ線24近傍において、成形フィルム40が紙容器20に押しつけられる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性を向上できる。
【0034】
図5Bに示すように、本実施の形態では、第2折れ線24は、ミシン目状に形成されている。この場合、第2折れ線24は、紙容器20を貫通する複数の切り込み部(第1切り込み部)24aを含んでいる。また、第2折れ線24は、互いに隣り合う切り込み部24a同士の間に設けられたつなぎ部(第1つなぎ部)24bを更に有している。つなぎ部24bは、紙容器20を貫通しない部分である。
【0035】
各々の切り込み部24aの長さL2は、30mm以下であっても良い。これにより、後述するように、成形フィルム40を紙容器20に接着する際に、成形フィルム40の一部が、第2折れ線24の切り込み部24a内に入り込んでしまうことを抑制できる。また、長さL2が30mm以下であることにより、後述するように、成形フィルム40を構成するフィルム40aが延伸する際に、フィルム40aの一部が切り込み部24aに引っ掛かってしまうことを抑制できる。このため、成形フィルム40にピンホールが発生することを抑制できる。なお、各々の切り込み部24aの長さL2の下限は、特に限定されないが、5mm以上であっても良い。これにより、後述するキャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引した場合に、第2折れ線24近傍において、成形フィルム40を紙容器20に押しつけやすくなる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性をより向上できる。
【0036】
再度
図4及び
図5Aを参照すると、各々のフランジ片25は、それぞれ側部23の上端から側方に向けて水平に突出している。フランジ片25は、全体として環状に形成されている。また、フランジ片25同士が互いに隣接することにより、フランジ片25同士によって角部Cが形成されている。図示された例においては、フランジ片25同士によって5つの角部Cが形成されている。
【0037】
本実施の形態では、複数のフランジ片25は、互いに隣接する第1フランジ片25a乃至第5フランジ片25eを含んでいる。このうち、第2フランジ片25bの外縁の少なくとも一部は、外側に向かって凸となっており、第2フランジ片25bの外縁の形状は、他のフランジ片25同士によって形成される角部Cの外縁の形状とは異なっている。本実施の形態では、第2フランジ片25bの外縁は、紙容器20の長手方向及び幅方向(Y方向)の両方向に傾斜する方向に沿って延びており、第2フランジ片25bの外縁は、全体としてV字状に形成されている。一方、第1フランジ片25aの外縁及び第4フランジ片25dの外縁は、それぞれ、紙容器20の長手方向(X方向)に沿って延びている。また、第3フランジ片25cの外縁及び第5フランジ片25eの外縁は、それぞれ、紙容器20の幅方向(Y方向)に沿って延びている。
【0038】
第2フランジ片25bに隣接する第2折れ線24は、第1フランジ片25aに隣接する第2折れ線24及び第3フランジ片25cに隣接する第2折れ線24よりも短くなっている。この場合、第1フランジ片25aに隣接する第2折れ線24は、第4フランジ片25dに隣接する第2折れ線24よりも短くても良く、第3フランジ片25cに隣接する第2折れ線及び第5フランジ片25eに隣接する第2折れ線24よりも長くても良い。また、第3フランジ片25cに隣接する第2折れ線24は、第4フランジ片25dに隣接する第2折れ線24及び第5フランジ片25eに隣接する第2折れ線24よりも短くても良い。さらに、第4フランジ片25dに隣接する第2折れ線24は、第5フランジ片25eに隣接する第2折れ線24よりも長くても良い。すなわち、第2折れ線24の長さは、第4フランジ片25dに隣接する第2折れ線24、第1フランジ片25aに隣接する第2折れ線24、第5フランジ片25eに隣接する第2折れ線24、第3フランジ片25cに隣接する第2折れ線24、第2フランジ片25bに隣接する第2折れ線24、の順に短くなっていても良い。
【0039】
また、
図5Aに示すように、第2フランジ片25bの幅W2は、第1フランジ片25aの幅W1及び第3フランジ片25cの幅W3よりも広くても良い。この場合、第1フランジ片25aの幅W1及び第3フランジ片25cの幅W3は、互いに等しくなっていても良い。また、第4フランジ片25dの幅及び第5フランジ片25eの幅は、それぞれ、第1フランジ片25aの幅W1及び第3フランジ片25cの幅W3に等しくなっていても良い。なお、フランジ片の幅とは、対象のフランジ片に隣接する第2折れ線24に直交する方向に沿った、対象のフランジ片の長さをいう。例えば、第1フランジ片25aの幅W1は、第1フランジ片25aに隣接する第2折れ線24に直交する方向(Y方向)に沿った、第1フランジ片25aの長さをいう。
【0040】
複数のフランジ片25同士は、互いに連続することなく隣接している。すなわち、各フランジ片25同士が重なり合うことなく、互いに隣接している。これにより、紙容器20の全周にわたって、フランジ片25と成形フィルム40との密着性を向上できる。また、各フランジ片25同士が重なり合うことなく、互いに隣接していることにより、紙容器20に成形フィルム40を接着する際に、成形フィルム40にピンホール等が生じることを抑制できる。さらに、各フランジ片25同士が重なり合うことなく、互いに隣接していることにより、紙製容器10の成形フィルム40のうち、フランジ片25に対応する領域に蓋材50をシールする際に、成形フィルム40と蓋材50との密着性を向上できる。これにより、蓋材50のシール不良が発生することを抑制できる。
【0041】
(ブランク材)
次に、紙容器20を作製するためのブランク材30について説明する。
図6Aに示すように、ブランク材30は、底部パネル31と、底部パネル31に第1折れ線32を介して連結された複数の側部パネル33と、各々の側部パネル33にそれぞれ第2折れ線34を介して連結された複数のフランジ片パネル35とを備えている。このうち、側部パネル33同士の間に隙間36が形成されている。
【0042】
ブランク材30の底部パネル31、第1折れ線32、側部パネル33、第2折れ線34及びフランジ片パネル35は、それぞれ紙容器20の底部21、第1折れ線22、側部23、第2折れ線24及びフランジ片25に対応する部分である。このため、第1折れ線32は、ミシン目状に形成されている。この場合、
図6Bに示すように、第1折れ線32は、ブランク材30を貫通する複数の切り込み部(第2切り込み部)32aを含んでいる。また、第1折れ線32は、互いに隣り合う切り込み部32a同士の間に設けられたつなぎ部(第2つなぎ部)32bを更に有している。つなぎ部32bは、ブランク材30を貫通しない部分である。
【0043】
ブランク材30の第1折れ線32の切り込み部32a及びつなぎ部32bは、それぞれ、紙容器20の第1折れ線22の切り込み部22a及びつなぎ部22bに対応する部分である。このため、各々の切り込み部32aの長さL3は、30mm以下であっても良く、10mm以上であっても良い。
【0044】
また、上述したように、ブランク材30の側部パネル33は、紙容器20の側部23に対応している。このため、
図6Aに示すように、複数の側部パネル33は、互いに隣接する第1側部パネル33a乃至第5側部パネル33eを含んでいる。この第1側部パネル33a乃至第5側部パネル33eは、それぞれ、紙容器20の第1側部23a乃至第5側部23eに対応するパネルである。
【0045】
第1側部パネル33a乃至第5側部パネル33eは、それぞれ台形状に形成されている。具体的には、各々の側部パネル33は、それぞれ底部パネル31から延びる一対の側縁33fを有している。そして、第1側部パネル33aにおいては、第2側部パネル33b側の側縁33fは、Y方向に沿って延びている。また、第1側部パネル33aにおいては、第2側部パネル33bとは反対側の側縁33fは、第1折れ線32側から第2折れ線34側に向かうにつれて、第2側部パネル33b側の側縁33fから離間する方向に延びている。第3側部パネル33cにおいては、第2側部パネル33b側の側縁33fは、X方向に沿って延びている。また、第3側部パネル33cにおいては、第2側部パネル33bとは反対側の側縁33fは、第1折れ線32側から第2折れ線34側に向かうにつれて、第2側部パネル33b側の側縁33fから離間する方向に延びている。一方、第2側部パネル33b、第4側部パネル33d及び第5側部パネル33eにおいては、一対の側縁33fは、第1折れ線32側から第2折れ線34側に向かうにつれて、互いに離間する方向に延びている。このような構成により、上述した紙製容器10において、各側部23同士が重なり合うことはなく、互いに隣り合うようになる(
図2乃至
図4参照)。
【0046】
また、上述したように、ブランク材30の第2折れ線34は、紙容器20の第2折れ線24に対応している。第2折れ線34は、ミシン目状に形成されている。この場合、
図6Bに示すように、第2折れ線34は、ブランク材30を貫通する複数の切り込み部(第1切り込み部)34aを含んでいる。また、第2折れ線34は、互いに隣り合う切り込み部34a同士の間に設けられたつなぎ部(第1つなぎ部)34bを更に有している。つなぎ部34bは、ブランク材30を貫通しない部分である。
【0047】
ブランク材30の第2折れ線34の切り込み部34a及びつなぎ部34bは、それぞれ、紙容器20の第2折れ線24の切り込み部24a及びつなぎ部24bに対応する部分である。このため、各々の切り込み部34aの長さL4は、30mm以下であっても良く、5mm以上であっても良い。
【0048】
さらに、上述したように、ブランク材30のフランジ片パネル35は、紙容器20のフランジ片25に対応している。このため、
図6Aに示すように、複数のフランジ片パネル35は、隙間36を介して、互いに対向する第1フランジ片パネル35a乃至第5フランジ片パネル35eを含んでいる。この第1フランジ片パネル35a乃至第5フランジ片パネル35eは、それぞれ、紙容器20の第1フランジ片25a乃至第5フランジ片25eに対応するパネルである。このため、第2フランジ片パネル35bの外縁の少なくとも一部は、外側に向かって凸となっており、第2フランジ片パネル35bの外縁の形状は、ブランク材30を組み立てたときに、他のフランジ片パネル35同士によって形成される角部(角部C(
図4及び
図5A参照))の外縁の形状とは異なっている。また、第2フランジ片パネル35bに隣接する第2折れ線34は、第1フランジ片パネル35aに隣接する第2折れ線34及び第3フランジ片パネル35cに隣接する第2折れ線34よりも短くなっている。また、
図6Aに示すように、第2フランジ片パネル35bの幅W5は、第1フランジ片パネル35aの幅W4及び第3フランジ片パネル35cの幅W6よりも広くても良い。なお、フランジ片パネルの幅とは、対象のフランジ片パネルに隣接する第2折れ線34に直交する方向に沿った、対象のフランジ片パネルの長さをいう。例えば、第1フランジ片パネル35aの幅W4は、第1フランジ片パネル35aに隣接する第2折れ線34に直交する方向(Y方向)に沿った、第1フランジ片パネル35aの長さをいう。
【0049】
このようなブランク材30の底部パネル31、側部パネル33及びフランジ片パネル35は、一体に形成されている。ブランク材30は、ブランク材30を構成する紙材料に対して打ち抜き加工等を施すことによって作製できる。
【0050】
ブランク材30を構成する紙材料としては、例えば、坪量150g/m2以上800g/m2以下程度の各種の板紙、コート紙、カード紙、アイボリー紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、コートボール等の加工紙等を使用できる。
【0051】
(成形フィルム)
次に、
図1乃至
図3により、成形フィルム40について説明する。この成形フィルム40は、紙容器20を保護する役割を果たす。また、成形フィルム40は、容器形状をもっており、紙容器20の表面の全面を覆っている。これにより、紙製容器10に充填された内容物が、紙製容器10から漏れ出すことを抑制している。成形フィルム40は、例えばヒートシール(熱溶着)により、紙容器20に接着されている。本実施の形態では、成形フィルム40の平面形状は、紙容器20の平面形状よりも大きい。このため、成形フィルム40は、平面視おいて、紙容器20のフランジ片25の周囲に広がっている。
【0052】
成形フィルム40の厚みは、例えば、100μm以上130μm以下であっても良い。成形フィルム40の厚みが100μm以上であることにより、成形フィルム40にピンホールが発生することを効果的に抑制できる。また、成形フィルム40の厚みが130μm以下であることにより、紙製容器10の成形性を向上できる。すなわち、後述するように、成形フィルム40を紙容器20に接着する際、成形フィルム40の成形性(延伸性)を向上させるために、成形フィルム40(後述するフィルム40a)を熱板62(
図8参照)によって加熱する。ここで、成形フィルム40の厚みを厚くした場合、成形フィルム40を熱板62によって加熱する加熱温度が高くなり得る。これに対して、成形フィルム40の厚みが130μm以下であることにより、成形フィルム40(フィルム40a)を加熱する加熱温度が高くなりすぎることを抑制できる。この結果、紙製容器10の成形性を向上できる。
【0053】
このような成形フィルム40としては、耐水性、密封性、そして熱融着性を有する熱可塑性樹脂からなるフィルムであれば良い。成形フィルム40としては、例えば、各種のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレ-ト(PET)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン-アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリカーボネート、ポリブテン、ポリビニルアルコ-ル、その他の各種の熱可塑性樹脂のフィルムを単独ないしラミネートして使用できる。特に、紙製容器10に対してガスバリア性を付与したい場合には、例えば、中間層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのガスバリア性材料を積層した積層体、具体的には、PE/EVOH/PE、PP/EVOH/PE、A(アモルファス)・PET/EVOH/PEなどの層構成の積層体を用いることができる。なお、「/」は、互いに隣接する層同士の境界を意味する。
【0054】
成形フィルム40は、例えば以下の層構成の積層体から作製されても良い。
(裏面側)ポリエチレン(40μm)/アイオノマー(40μm)/ポリエチレン(40μm)(表面側)
(裏面側)ポリプロピレン(30μm)/接着層(10μm)/アイオノマー(40μm)/接着層(10μm)/ポリプロピレン(30μm)(表面側)
(裏面側)ポリエチレン(20μm)/アイオノマー(30μm)/接着層(10μm)/エチレン-ビニルアルコール共重合体(10μm)/接着層(10μm)/アイオノマー(15μm)/エチレン・酢酸ビニル共重合体(20μm)(表面側)
【0055】
なお、上記各層は常法に従い、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、押出コーティング法その他のコーティング法によって形成される。
【0056】
蓋材
次に、
図3により、蓋材50について説明する。蓋材50は、全周にわたって形成された内シール部H1と、内シール部H1を取り囲む外シール部H2とによって、成形フィルム40にシールされている。このうち、内シール部H1は、フランジ片25上に形成されている。一方、外シール部H2は、平面視において、フランジ片25に重ならない位置に形成されている。言い換えれば、外シール部H2は、フランジ片25の周囲に形成されている。そして、内シール部H1と外シール部H2との間に、第1未シール部(未シール部)NH1が形成されており、外シール部H2の周囲には、第2未シール部NH2が形成されている。ここで、第1未シール部NH1及び第2未シール部NH2は、それぞれ、蓋材50が成形フィルム40にシールされていない部分である。なお、以下の説明において、蓋材50が成形フィルム40にシールされていない部分を単に「NH」とも記す。
【0057】
上述した内シール部H1は、フランジ片25の全領域に形成されていても良く、フランジ片25の幅方向において、一部の領域のみに形成されていても良い。例えば、フランジ片25の外縁近傍において、フランジ片25上に内シール部H1が形成されていなくても良い。言い換えれば、平面視において、第1未シール部NH1が、フランジ片25の外縁を跨ぐように形成されていても良い。
【0058】
ここで、少なくとも1つのフランジ片25上において、内シール部H1の外縁の少なくとも一部は、外側に向かって凸となっている。本実施の形態では、第2フランジ片25b上において、内シール部H1の外縁の全体が、外側に向かって凸となっている。なお、図示はしないが、第2フランジ片25b以外のフランジ片25上において、内シール部H1の外縁の少なくとも一部が、外側に向かって凸となっていても良い。すなわち、第1フランジ片25a、第3フランジ片25c、第4フランジ片25d及び第5フランジ片25eのうちの少なくとも1つのフランジ片25上において、内シール部H1の外縁の少なくとも一部が、外側に向かって凸となっていても良い。
【0059】
本実施の形態では、第2フランジ片25b上において、内シール部H1の外縁は、第2フランジ片25bの外縁に沿って延びている。このため、第2フランジ片25b上において、内シール部H1の外縁は、紙容器20の長手方向(X方向)及び幅方向(Y方向)の両方向に傾斜する方向に沿って延びている。この場合、内シール部H1の外縁は、第2フランジ片25b上において、第2フランジ片25bが隣接する第2折れ線24に傾斜する方向に沿って延びている。そして、内シール部H1の外縁は、全体としてV字状に形成されている。
【0060】
一方、第1フランジ片25a上、第3フランジ片25c上、第4フランジ片25d上及び第5フランジ片25e上において、内シール部H1の外縁は、それぞれ、第1フランジ片25a、第3フランジ片25c、第4フランジ片25d又は第5フランジ片25eの長手方向に沿って延びている。例えば、第1フランジ片25a上及び第4フランジ片25d上において、内シール部H1の外縁は、それぞれ、第1フランジ片25a及び第4フランジ片25dの長手方向(X方向)に沿って延びている。また、第3フランジ片25c上及び第5フランジ片25e上において、内シール部H1の外縁は、それぞれ、第3フランジ片25c及び第5フランジ片25eの長手方向(Y方向)に沿って延びている。
【0061】
次に、外シール部H2について説明する。上述したように、外シール部H2は、平面視において、フランジ片25に重ならない位置に形成されている。このため、外シール部H2は、全周にわたって、フランジ片25を取り囲んでいる。
【0062】
ここで、外シール部H2のうち、少なくとも1つのフランジ片25を取り囲む部分の外縁の少なくとも一部は、外側に向かって凸となっている。本実施の形態では、外シール部H2のうち、第2フランジ片25bを取り囲む部分の外縁の全体が、外側に向かって凸となっている。なお、図示はしないが、外シール部H2のうち、第2フランジ片25b以外のフランジ片25を取り囲む部分の外縁の少なくとも一部が、外側に向かって凸となっていても良い。すなわち、外シール部H2のうち、第1フランジ片25a、第3フランジ片25c、第4フランジ片25d及び第5フランジ片25eのうちの少なくとも1つのフランジ片25を取り囲む部分の外縁の少なくとも一部が、外側に向かって凸となっていても良い。
【0063】
本実施の形態では、外シール部H2のうち、第2フランジ片25bを取り囲む部分の外縁は、紙容器20の長手方向(X方向)及び幅方向(Y方向)の両方向に傾斜する方向に沿って延びている。この場合、外シール部H2のうち、第2フランジ片25bを取り囲む部分の外縁は、第2フランジ片25bが隣接する第2折れ線24に傾斜する方向に沿って延びている。そして、外シール部H2の当該部分の外縁は、V字状に形成された部分を含んでいる。
【0064】
一方、外シール部H2のうち、第1フランジ片25a、第3フランジ片25c、第4フランジ片25d及び第5フランジ片25eを取り囲む部分の外縁は、それぞれ、第1フランジ片25a、第3フランジ片25c、第4フランジ片25d又は第5フランジ片25eの長手方向に沿って延びている。例えば、外シール部H2のうち、第1フランジ片25a又は第4フランジ片25dを取り囲む部分の外縁は、それぞれ、第1フランジ片25a及び第4フランジ片25dの長手方向(X方向)に沿って延びている。また、外シール部H2のうち、第3フランジ片25c又は第5フランジ片25eを取り囲む部分の外縁は、それぞれ、第3フランジ片25c及び第5フランジ片25eの長手方向(Y方向)に沿って延びている。
【0065】
このような蓋材50は、例えば、PET/シーラント層、PP/シーラント層、PET/PP/シーラント層、PET/PE/シーラント層、Kコート延伸ナイロン(KON)/PE/シーラント層、などの層構成の積層体を用いることができる。また、蓋材50を構成する積層体は、例えば、中間層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などのガスバリア性材料を積層した積層体であっても良い。蓋材50は、例えば、PET/PE/エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)/PE/シーラント層、などの層構成の積層体を用いることができる。また、バリア層として、アルミ箔や蒸着フィルム(アルミ蒸着や透明蒸着)を用いても良い。さらに、シーラントには、いわゆるイージーピール性を発現させることができる樹脂材料を用いても良い。
【0066】
蓋材50は、例えば以下の層構成の積層体から作製されても良い。
(内容物とは反対側)透明蒸着層付きポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/ナイロンフィルム(15μm)/ポリエチレンフィルム(40μm)(内容物側)
【0067】
なお、上記各層は常法に従い、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、押出コーティング法その他のコーティング法によって形成される。
【0068】
このような構成からなる蓋材付き紙製容器1では、まず、紙製容器10内に内容物が充填される。次に、紙製容器10の成形フィルム40に、内シール部H1と外シール部H2とによって、蓋材50がシールされる。これにより、内容物が充填された蓋材付き紙製容器1が得られる。なお、蓋材付き紙製容器1は、チルド食品用や冷凍食品用の容器であっても良く、あるいは、テイクアウト用の容器として使用できる。また、内容物としては、惣菜、精肉、乳製品等の食品であっても良い。
【0069】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、紙製容器10の製造方法及び蓋材付き紙製容器1の製造方法について、
図7乃至
図9を用いて説明する。
【0070】
紙容器の製造方法
まず、ブランク材30を準備する。この際、紙材料を準備し、この紙材料を型抜き機等により打ち抜くことによって、ブランク材30が得られる。
【0071】
次に、
図7に示すように、ブランク材30を、キャビティ側型60に装着する。このキャビティ側型60には、吸引孔61が形成されており、吸引孔61から空気を吸引することによって、ブランク材30がキャビティ側型60に装着される。この際、ブランク材30の側部パネル33が、第1折れ線32に沿って底部パネル31に対して折り曲がる。同様に、ブランク材30のフランジ片パネル35が、第2折れ線34に沿って側部パネル33に対して折り曲がる。これにより、キャビティ側型60に装着された紙容器20が得られる。
【0072】
次いで、紙容器20及び成形フィルム40に対して真空成形を施すことにより、紙容器20の表面に成形フィルム40を積層する。この際、まず、
図8に示すように、成形フィルム40を構成するフィルム40aが、紙容器20の上方に配置される。次に、フィルム40aが、熱板62によって加熱される。そして、フィルム40aが熱板62によって十分に加熱された後、吸引孔61から空気が吸引される。これにより、
図9に示すように、フィルム40aが、紙容器20に吸い付けられる。これにより、フィルム40aが、紙容器20に密着し、
図9に示すように、紙容器20に積層された成形フィルム40が得られる。このようにして、紙製容器10が得られる。
【0073】
ここで、フィルム40aが紙容器20に吸い付けられる際、フィルム40aは、延伸されながら、紙容器20に吸い付けられる。この場合、フランジ片25と側部23との間(すなわち、第2折れ線24)において、フィルム40aの延伸量が多くなる。このため、フランジ片25と側部23との間(すなわち、第2折れ線24)において、フィルム40aから構成される成形フィルム40の厚みが、成形フィルム40の他の部分と比較して薄くなる可能性がある。また、成形フィルム40の厚みが薄くなることにより、成形フィルム40の一部が、第2折れ線24の切り込み部24a内に入り込んでしまう可能性である。
【0074】
これに対して本実施の形態では、各々の切り込み部24aの長さL2が、30mm以下である。これにより、成形フィルム40の一部が、第2折れ線24の切り込み部24a内に入り込んでしまうことを抑制できる。また、長さL2が30mm以下であることにより、成形フィルム40を構成するフィルム40aが延伸する際に、フィルム40aの一部が切り込み部24aに引っ掛かってしまうことを抑制できる。このため、成形フィルム40にピンホールが発生することを抑制できる。なお、吸引孔61から空気を吸引する場合、キャビティ側型60と成形フィルム40のとの間の真空度が、例えば、50Pa以上2000Pa以下、好ましくは100Pa以上1000Pa以下となるように、吸引孔61から空気を吸引しても良い。
【0075】
次に、蓋材付き紙製容器1の製造方法について説明する。
【0076】
まず、紙製容器10を作製することと並行して、蓋材50としての積層体を準備する。この際、所定の積層体をドライラミネート法等によって作製する。
【0077】
次に、紙製容器10に内容物を充填し、積層体によって紙製容器10を密閉する。この際、まず、紙製容器10に内容物(図示せず)を充填する。次に、成形フィルム40のうちフランジ片25に対応する位置に、積層体を載置する。
【0078】
次いで、図示しないシール熱板等によって、積層体を成形フィルム40にシールする。積層体は、全周にわたって形成される内シール部H1と外シール部H2とによって、成形フィルム40にシールされる。この際、例えば窒素ガス等により、紙製容器10内の空気を置換しても良い。ここで、内シール部H1を形成する場合、図示しないシール熱板によって、フランジ片25と共に、成形フィルム40及び積層体を挟み込む。これにより、フランジ片25上に内シール部H1が形成される。一方、外シール部H2を形成する場合、フランジ片25の周囲において、図示しないシール熱板によって、成形フィルム40及び積層体のみを挟み込む。これにより、積層体が、全周にわたって確実に成形フィルム40にシールされる。その後、成形フィルム40及び積層体を刃物等により所定の形状に切断する。
【0079】
このようにして、紙製容器10と、紙製容器10を密閉する蓋材50とを備える、蓋材付き紙製容器1が得られる。
【0080】
以上のように本実施の形態によれば、紙容器20の第2折れ線24が、紙容器20を貫通する複数の切り込み部24aを含んでいる。そして、各々の切り込み部24aの長さL2が、30mm以下である。これにより、成形フィルム40の一部が、第2折れ線24の切り込み部24aに入り込んでしまうことを抑制できる。また、長さL2が30mm以下であることにより、成形フィルム40を構成するフィルム40aが延伸する際に、フィルム40aの一部が切り込み部24aに引っ掛かってしまうことを抑制できる。このため、成形フィルム40にピンホールが発生することを抑制できる。
【0081】
なお、上述した実施の形態においては、各々の切り込み部24a(切り込み部34a)の長さL2(L4)が30mm以下である例について説明した。しかしながら、これに限られず、例えば、各々の切り込み部24a(切り込み部34a)の長さL2(L4)が、35mm以下であっても良い。この場合、紙容器20(ブランク材30)を構成する紙の坪量は、350g/m2以上としても良い。また、各々の切り込み部22a(切り込み部32a)の長さL1(L3)が、35mm以下であっても良い。
【0082】
ここで、上述したように、フィルム40aが紙容器20に吸い付けられる際、フィルム40aは、延伸されながら、紙容器20に吸い付けられる。この場合、側部23同士の間において、フィルム40aは、Z方向のみならず、X方向及びY方向に沿って延伸し得る。このため、側部23同士の間においても、フィルム40aから構成される成形フィルム40の厚みが、成形フィルム40の他の部分と比較して薄くなり得る。また、成形フィルム40の厚みが薄くなることにより、成形フィルム40の一部が、側部23同士の間に入り込んでしまう可能性である。
【0083】
これに対して本変形例では、紙容器20(ブランク材30)を構成する紙の坪量が、350g/m2以上である。これにより、紙容器20(ブランク材30)の剛性を高くできる。このため、フィルム40aを紙容器20に吸い付けた際に、紙容器20が変形してしまうことを抑制できる。この結果、側部23同士の間に、隙間が形成されることを抑制できる。このため、成形フィルム40の一部が、側部23同士の間に入り込んでしまうことを抑制できる。この結果、成形フィルム40にピンホールが発生することを抑制できる。
【0084】
また、上述したように、紙容器20(ブランク材30)を構成する紙の坪量が、350g/m2以上であることにより、紙容器20(ブランク材30)の剛性を高くできるため、フィルム40aを紙容器20に吸い付けた際に、紙容器20が変形してしまうことを抑制できる。このため、各々の切り込み部24a(切り込み部34a)の長さL2(L4)が、30mmよりも長い場合(35mm以下である場合)であっても、成形フィルム40を構成するフィルム40aが延伸する際に、フィルム40aの一部が切り込み部24aに引っ掛かってしまうことを抑制できる。このため、成形フィルム40にピンホールが発生することを抑制できる。
【0085】
また、上述した実施の形態においては、第2折れ線24が、紙容器20を貫通する複数の切り込み部(第1切り込み部)24aを含んでいる例について説明した。この場合、
図10に示すように、紙容器20の第2折れ線24が、両端部に形成された薄肉部(第1薄肉部)24cと、薄肉部24c同士の間に形成され、紙容器20を貫通する複数の切り込み部(第1切り込み部)24aとを含んでいても良い。また、第2折れ線24は、互いに隣り合う切り込み部24a同士の間に設けられたつなぎ部(第1つなぎ部)24bを更に有していても良い。なお、
図10においては、第2折れ線24の両端部に形成された薄肉部24cのうち、一方の端部に形成された薄肉部24cのみを図示している。
【0086】
薄肉部24cは、ハーフカット線であっても良く、押罫線であっても良い。各々の薄肉部24cの長さL5は、10mm以上であっても良い。これにより、成形フィルム40にピンホールが発生することをより効果的に抑制できる。なお、各々の薄肉部24cの長さL5の上限は、特に限定されないが、各第2折れ線24の長さの50%以下の長さであっても良い。これにより、切り込み部24aの長さが短くなりすぎることを抑制できる。このため、キャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引した場合に、第2折れ線24近傍において、成形フィルム40を紙容器20に押しつけやすくなる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性をより向上できる。
【0087】
また、薄肉部24cの厚みは、つなぎ部24bの厚みの30%以上70%以下であっても良い。
【0088】
また、本変形例では、
図11に示すように、ブランク材30の第2折れ線34が、両端部に形成された薄肉部(第1薄肉部)34cと、薄肉部34c同士の間に形成され、ブランク材30を貫通する複数の切り込み部(第1切り込み部)34aとを含んでいても良い。この場合、ブランク材30の第2折れ線34は、互いに隣り合う切り込み部34a同士の間に設けられたつなぎ部(第1つなぎ部)34bを更に有していても良い。なお、
図11においては、第2折れ線34の両端部に形成された薄肉部34cのうち、一方の端部に形成された薄肉部34cのみを図示している。
【0089】
ブランク材30の薄肉部34cは、紙容器20の薄肉部24cに対応する部分である。このため、薄肉部34cの長さL7は、10mm以上であっても良い。また、薄肉部34cの長さL7は、各第2折れ線34の長さの50%以下の長さであっても良い。さらに、薄肉部34cの厚みは、つなぎ部34bの厚みの30%以上70%以下であっても良い。
【0090】
本変形例では、紙容器20の第2折れ線24が、両端部に形成された薄肉部(第1薄肉部)24cと、薄肉部24c同士の間に形成され、紙容器20を貫通する複数の切り込み部(第1切り込み部)24aとを含んでいる。また、各々の薄肉部24cの長さL5が、10mm以上である。これにより、成形フィルム40にピンホールが発生することをより効果的に抑制できる。すなわち、上述したように、フィルム40aが紙容器20に吸い付けられる際、フランジ片25と側部23との間(すなわち、第2折れ線24)において、フィルム40aの延伸量が多くなる。このため、フランジ片25と側部23との間(すなわち、第2折れ線24)において、フィルム40aから構成される成形フィルム40の厚みが、成形フィルム40の他の部分と比較して薄くなる可能性がある。また、上述したように、側部23同士の間においても、フィルム40aから構成される成形フィルム40の厚みが、成形フィルム40の他の部分と比較して薄くなり得る。このため、フランジ片25と側部23との間(すなわち、第2折れ線24)のうち、側部23同士の間近傍において、フィルム40aから構成される成形フィルム40の厚みが非常に薄くなり得る。ここで、本変形例では、第2折れ線24の両端部に薄肉部24cが形成され、当該薄肉部24cの長さL5が10mm以上である。これにより、成形フィルム40のうち、厚みが非常に薄くなり得る部分が、切り込み部24a内に入り込んでしまうことを抑制できる。また、第2折れ線24の両端部に薄肉部24cが形成され、当該薄肉部24cの長さL5が10mm以上であることにより、成形フィルム40のうち、厚みが非常に薄くなり得る部分が、切り込み部24aに引っ掛かってしまうことを抑制できる。このため、成形フィルム40にピンホールが発生することをより効果的に抑制できる。
【0091】
なお、
図12に示すように、紙容器20の第1折れ線22が、両端部に形成された薄肉部(第2薄肉部)22cと、薄肉部22c同士の間に形成され、紙容器20を貫通する複数の切り込み部(第2切り込み部)22aとを含んでいても良い。また、第1折れ線22は、互いに隣り合う切り込み部22a同士の間に設けられたつなぎ部(第2つなぎ部)22bを更に有していても良い。
【0092】
薄肉部22cは、ハーフカット線であっても良く、押罫線であっても良い。各々の薄肉部22cの長さL6は、10mm以上であっても良い。これにより、成形フィルム40にピンホールが発生することをより効果的に抑制できる。なお、各々の薄肉部22cの長さL6の上限は、特に限定されないが、各第1折れ線22の長さの50%以下の長さであっても良い。これにより、切り込み部22aの長さが短くなりすぎることを抑制できる。このため、キャビティ側型60の吸引孔61から空気を吸引した場合に、第1折れ線22近傍において、成形フィルム40を紙容器20に押しつけやすくなる。これにより、成形フィルム40と紙容器20との密着性をより向上できる。
【0093】
また、薄肉部22cの厚みは、つなぎ部22bの厚みの30%以上70%以下であっても良い。
【0094】
この場合、
図13に示すように、ブランク材30の第1折れ線32は、両端部に形成された薄肉部(第2薄肉部)32cと、薄肉部32c同士の間に形成され、ブランク材30を貫通する複数の切り込み部(第2切り込み部)32aとを含んでいても良い。また、第1折れ線32は、互いに隣り合う切り込み部32a同士の間に設けられたつなぎ部(第2つなぎ部)32bを更に有していても良い。
【0095】
ブランク材30の薄肉部32cは、紙容器20の薄肉部22cに対応する部分である。このため、薄肉部32cの長さL8は、10mm以上であっても良い。また、薄肉部32cの長さL8は、各第1折れ線32の長さの50%以下の長さであっても良い。さらに、薄肉部32cの厚みは、つなぎ部32bの厚みの30%以上70%以下であっても良い。
【0096】
なお、
図14に示すように、紙容器20の第1折れ線22のみが、薄肉部22cを含み、第2折れ線24が、薄肉部24cを含んでいなくても良い。この場合、第2折れ線24の切り込み部24aの長さL2は、30mm以下であっても良い。又は、紙容器20を構成する紙の坪量が、350g/m
2以上であっても良い。
【0097】
また、この場合、
図15に示すように、ブランク材30の第1折れ線32のみが、薄肉部32cを含み、第2折れ線34が、薄肉部34cを含んでいなくても良い。この場合、第2折れ線34の切り込み部34aの長さL4は、30mm以下であっても良い。又は、紙容器20を構成する紙の坪量が、350g/m
2以上であっても良い。
【実施例0098】
次に、上記実施の形態における具体的実施例について述べる。
【0099】
(実施例A1)
まず、
図6Aに示すブランク材30を作製した。この場合、ブランク材30の材料として、坪量が260g/m
2である板紙(三菱製紙社製、Nパールカード(製品名))を準備した。そして、コート紙を所定の形状に打ち抜き、ブランク材30を作製した。このとき、第1折れ線32の切り込み部32aの長さL1は、30mmとし、第2折れ線34の切り込み部34aの長さL2は、30mmとした。
【0100】
また、成形フィルム40として、以下の層構成を有するフィルム(厚み120μm)を準備した。
PE(40μm)/アイオノマー(40μm)/PE(40μm)
【0101】
次に、得られたブランク材30をキャビティ側型60に装着して組み立てることにより、紙容器20を作製した。そして、紙容器20の表面に成形フィルム40を積層することにより、紙製容器10を作製した。このとき、成形フィルム40の加熱温度加熱時間は、170℃とし、成形フィルム40の加熱時間は、3秒とした。また、吸引孔61から空気を吸引する際、キャビティ側型60と成形フィルム40のとの間の真空度が、1000Paとなるように、吸引孔61から空気を吸引した。
【0102】
次に、密封性評価試験を行った。この際、まず、成形フィルム40の表面に対して、試験液(三菱ガス化学製、エージレスシールチェック(製品名))を塗布した。このとき、塗布量が5mL以上10mL以下となるように、成形フィルム40の表面に対して試験液を塗布した。
【0103】
次いで、蓋材50として、以下の層構成を有するフィルムを準備し、当該フィルムにより、紙製容器10を密封した。
PET(12μm)/PE(50μm)
このとき、図示しないシール熱板等によって、蓋材50を構成するフィルムを成形フィルム40にシールする際のシール温度は、140℃とし、当該フィルムを成形フィルム40にシールする際のシール時間は、3秒とした。このようにして、
図1に示す蓋材付き紙製容器1を作製した。
【0104】
その後、得られた蓋材付き紙製容器1を1日保存した後に、蓋材付き紙製容器1に試験液の液漏れが生じているか否かについて確認した。
【0105】
(実施例A2)
長さL1及びL2が、それぞれ20mmであったこと、以外は実施例A1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0106】
(実施例A3)
長さL1及びL2が、それぞれ10mmであったこと、以外は実施例A1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0107】
(実施例A4)
長さL1及びL2が、それぞれ5mmであったこと、以外は実施例A1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0108】
(実施例A5)
長さL1及びL2が、それぞれ35mmであったこと、ブランク材30を構成する紙の坪量が、350g/m2であったこと、以外は実施例A1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0109】
(実施例B1)
図11に示すブランク材30を作製したこと、薄肉部34cの長さL7(薄肉部24cの長さL5)が10mmであったこと、長さL1及びL2が、それぞれ35mmであったこと、以外は実施例A1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0110】
(実施例B2)
薄肉部34cの長さL7(薄肉部24cの長さL5)が20mmであったこと、以外は実施例B1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0111】
(実施例B3)
薄肉部34cの長さL7(薄肉部24cの長さL5)が30mmであったこと、以外は実施例B1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0112】
(実施例B4)
薄肉部34cの長さL7(薄肉部24cの長さL5)が5mmであったこと、ブランク材30を構成する紙の坪量が、350g/m2であったこと、以外は実施例B1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0113】
(実施例C1)
図13に示すブランク材30を作製したこと、薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が10mmであったこと、以外は実施例B1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0114】
(実施例C2)
薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が20mmであったこと、薄肉部34cの長さL7(薄肉部24cの長さL5)が20mmであったこと、以外は実施例C1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0115】
(実施例C3)
薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が30mmであったこと、薄肉部34cの長さL7(薄肉部24cの長さL5)が30mmであったこと、以外は実施例C1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0116】
(実施例C4)
薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が5mmであったこと、薄肉部34cの長さL7(薄肉部24cの長さL5)が5mmであったこと、ブランク材30を構成する紙の坪量が、350g/m2であったこと、以外は実施例C1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0117】
(実施例D)
図15に示すブランク材30を作製したこと、薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が5mmであったこと、ブランク材30を構成する紙の坪量が、350g/m
2であったこと、以外は実施例A1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0118】
(比較例A)
長さL1及びL2が、それぞれ35mmであったこと、以外は実施例A1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0119】
(比較例B)
薄肉部34cの長さL7(薄肉部24cの長さL5)が5mmであったこと、以外は実施例B1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0120】
(比較例C)
薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が5mmであったこと、薄肉部34cの長さL7(薄肉部24cの長さL5)が5mmであったこと、以外は実施例C1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0121】
(比較例D1)
薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が5mmであったこと、ブランク材30を構成する紙の坪量が、260g/m2であったこと、以外は実施例Dと同様にして、密封性評価試験を行った。
【0122】
(比較例D2)
薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が10mmであったこと、ブランク材30を構成する紙の坪量が、260g/m2であったこと、以外は実施例Dと同様にして、密封性評価試験を行った。
【0123】
(比較例D3)
薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が20mmであったこと、ブランク材30を構成する紙の坪量が、260g/m2であったこと、以外は実施例Dと同様にして、密封性評価試験を行った。
【0124】
(比較例D4)
薄肉部32cの長さL8(薄肉部22cの長さL6)が30mmであったこと、ブランク材30を構成する紙の坪量が、260g/m2であったこと、以外は実施例Dと同様にして、密封性評価試験を行った。
【0125】
(参考例1)
図16に示すように、第2折れ線34が、薄肉部34cのみを含んでいるブランク材30Aを作製したこと、長さL1が、35mmであったこと、以外は実施例A1と同様にして、密封性評価試験を行った。このとき、薄肉部34cは、ハーフカット線であった。
【0126】
(参考例2)
薄肉部34cが押罫線であったこと、以外は参考例1と同様にして、密封性評価試験を行った。
【0127】
以上の結果を表1及び表2に示す。
【0128】
【0129】
上記表1において、「○」は、蓋材付き紙製容器1に試験液の液漏れが生じていなかったことを意味する。また、「×」は、蓋材付き紙製容器に試験液の液漏れが生じていたことを意味する。
【0130】
この結果、表1に示すように、比較例A乃至比較例D4による蓋材付き紙製容器では、蓋材付き紙製容器に液漏れが生じていた。
【0131】
これに対して、実施例A1乃至実施例Dによる蓋材付き紙製容器1では、蓋材付き紙製容器1に液漏れが生じていなかった。このため、本実施の形態による蓋材付き紙製容器1では、密封性を向上できることがわかった。
【0132】
本開示は上記実施の形態及び各変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。