(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121616
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/105 20200101AFI20240830BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240830BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20240830BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240830BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240830BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240830BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B47/16
F21S9/02 213
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028815
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 克利
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】八木 智史
(72)【発明者】
【氏名】朝井 笙太
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA08
3K273QA37
3K273QA38
3K273RA12
3K273SA08
3K273SA22
3K273SA32
3K273SA37
3K273SA50
3K273TA15
3K273TA17
3K273TA28
3K273TA32
3K273TA49
3K273TA55
3K273TA62
3K273TA69
3K273TA72
3K273UA17
3K273UA21
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA27
3K273UA29
(57)【要約】
【課題】蓄電池の点検に要する時間を短縮する。
【解決手段】照明装置100は、光源11と、充電回路4と、点灯回路7と、点検部81と、を備える。充電回路4は、常用電源13から供給される電力によって蓄電池2を充電する。点灯回路7は、常用電源13が停電した場合に蓄電池2から供給される電力によって光源11を点灯させる。点検部81は、蓄電池2から供給される電力によって光源11を点灯させることで蓄電池2の点検処理を行う。蓄電池2は、リチウムイオン電池である。点検部81は、点検処理において、蓄電池2の放電時における電圧特性に基づいて蓄電池2が劣化しているか否かを判定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
常用電源から供給される電力によって蓄電池を充電する充電回路と、
前記常用電源が停電した場合に前記蓄電池から供給される電力によって前記光源を点灯させる点灯回路と、
前記蓄電池から供給される前記電力によって前記光源を点灯させることで前記蓄電池の点検処理を行う点検部と、を備え、
前記蓄電池は、リチウムイオン電池であり、
前記点検部は、前記点検処理において、前記蓄電池の放電時における電圧特性に基づいて前記蓄電池が劣化しているか否かを判定する、
照明装置。
【請求項2】
前記電圧特性は、前記蓄電池の両端電圧が時間の経過に伴って直線的に低下する特性である、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記点検部は、前記蓄電池の放電を開始してから一定時間が経過した後に前記点検処理を開始する、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記点検部は、前記点検処理において、第1時間が経過したときの前記両端電圧である第1電圧、及び前記第1時間よりも長い第2時間が経過したときの前記両端電圧である第2電圧に基づいて、前記第2時間よりも長い第3時間が経過したときの前記両端電圧である第3電圧を推定し、前記第3電圧が閾値電圧未満である場合に前記蓄電池が劣化していると判定する、
請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記点検部の点検結果を提示する提示部を更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記照明装置の周囲温度を測定する温度測定部を更に備え、
前記点検部は、前記温度測定部により測定された前記周囲温度が所定範囲に収まっている場合に、前記点検処理を行う、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記蓄電池を更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に照明装置に関し、より詳細には、非常時に光源を点灯させる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電池と、電池を充電する充電回路と、電池の電力で光源を点灯させる点灯回路と、を備える照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のような照明装置では、電池(蓄電池)の点検に要する時間を短縮することが望まれている。
【0005】
本開示の目的は、蓄電池の点検に要する時間を短縮することが可能な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る照明装置は、光源と、充電回路と、点灯回路と、点検部と、を備える。前記充電回路は、常用電源から供給される電力によって蓄電池を充電する。前記点灯回路は、前記常用電源が停電した場合に前記蓄電池から供給される電力によって前記光源を点灯させる。前記点検部は、前記蓄電池から供給される前記電力によって前記光源を点灯させることで前記蓄電池の点検処理を行う。前記蓄電池は、リチウムイオン電池である。前記点検部は、前記点検処理において、前記蓄電池の放電時における電圧特性に基づいて前記蓄電池が劣化しているか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る照明装置によれば、蓄電池の点検に要する時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る照明装置の外観図である。
【
図2】
図2は、同上の照明装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の照明装置に関し、蓄電池の電圧特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る照明装置について、図面を参照して説明する。下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(実施形態)
(1)概要
まず、実施形態に係る照明装置100の概要について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0011】
実施形態に係る照明装置100は、例えば、
図1に示すように、建物の屋内の天井12に設けられた埋込孔に埋め込まれる埋込型の非常灯である。ただし、照明装置100は、埋込型の非常灯に限らず、例えば、天井12に直付けされる露出型の非常灯であってもよいし、建物の避難口又は避難口への通路に設置される誘導灯であってもよい。
【0012】
実施形態に係る照明装置100は、光源11と、充電回路4と、点灯回路7と、点検部81と、を備える。充電回路4は、常用電源13から供給される電力によって蓄電池2を充電する。点灯回路7は、常用電源13が停電した場合に蓄電池2から供給される電力によって光源11を点灯させる。点検部81は、蓄電池2から供給される電力によって光源11を点灯させることで蓄電池2の点検処理を行う。蓄電池2は、リチウムイオン電池である。点検部81は、点検処理において、蓄電池2の放電時における電圧特性に基づいて蓄電池2が劣化しているか否かを判定する。本開示において、「蓄電池が劣化している」とは、例えば、蓄電池に充電可能な電池容量が初期の70%~80%以下に減少した状態をいう。
【0013】
実施形態に係る照明装置100では、点検部81は、蓄電池2の放電時における電圧特性に基づいて蓄電池2が劣化しているか否かを判定する。これにより、光源11を規定時間(法定の点検時間)以上点灯させて蓄電池2が劣化しているか否かを判定する場合に比べて、光源11の点灯時間を短縮することが可能となる。すなわち、実施形態に係る照明装置100によれば、蓄電池2の点検に要する時間を短縮することが可能となる。
【0014】
(2)詳細
次に、実施形態に係る照明装置100の各構成要素について、
図2を参照して説明する。
【0015】
実施形態に係る照明装置100は、
図2に示すように、点灯装置1と、蓄電池2と、光源11と、を備える。
【0016】
(2.1)光源
光源11は、例えば、1つの固体発光素子を有する。固体発光素子は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。なお、固体発光素子は、LEDに限らず、例えば、OEL(Organic Electro-Luminescence)、又はLD(Laser Diode)であってもよい。また、光源11は、複数の固体発光素子を有していてもよい。
【0017】
(2.2)蓄電池
蓄電池2は、常用電源13の停電時において光源11に電力を供給する。本実施形態では、蓄電池2は、リチウムイオン電池である。リチウムイオン電池からなる蓄電池2は、放電時において、蓄電池2の両端電圧V1が時間の経過に伴って直線的に低下する電圧特性を有する(
図3参照)。つまり、蓄電池2の放電時における電圧特性は、線形性を有する。
【0018】
(2.3)点灯装置
点灯装置1は、
図2に示すように、直流電源回路3と、充電回路4と、停電検出回路5と、受信部6と、点灯回路7と、制御部8と、提示部9と、温度測定部10と、複数(図示例では2つ)の押釦スイッチSW1、SW2と、を備える。
【0019】
直流電源回路3は、例えば、リンギングチョークコンバータ等の自励型のスイッチング電源回路で構成され、外部電源(例えば、商用の常用電源13)から供給される交流電圧を、当該交流電圧の実効値よりも低い直流電圧に変換することが好ましい。なお、直流電源回路3は、力率改善回路(昇圧チョッパ回路)とバックコンバータ(降圧チョッパ回路)で構成されてもよい。
【0020】
充電回路4は、常用電源13から供給される電力によって蓄電池2を充電する。充電回路4は、常用電源13から給電されているときに動作し、直流電源回路3から蓄電池2へ充電電流を流すように構成されることが好ましい。具体的には、充電回路4は、定電流回路等を含み、直流電源回路3から供給される直流電流を、所定の電流値の充電電流に変換する。
【0021】
停電検出回路5は、直流電源回路3の出力電圧から常用電源13の停電を検出して制御部8に通知するように構成されている。
【0022】
受信部6は、赤外線を通信媒体とする無線信号を受信し、受信した無線信号から送信フレームを復調して制御部8に渡すように構成されている。送信フレームには、点検を実施する旨の指示が含まれている。無線信号は、点検を行う点検者等によって操作されるワイヤレス送信器から送信される。
【0023】
点検は、法令で定められた期間ごとに実施され、蓄電池2を規定時間以上放電させて、蓄電池2の劣化の程度を確認することを目的とする。さらに、点検は、後述の点灯回路7を強制的に動作させて、光源11が規定時間以上、点灯状態を維持することを確認することを更なる目的とすることが好ましい。規定時間は、例えば、30分又は60分である。本実施形態では、規定時間が60分であるとして説明する。
【0024】
点灯回路7は、常用電源13が停電した場合に、蓄電池2から供給される電力によって光源11を点灯させる。より詳細には、点灯回路7は、蓄電池2から供給される直流電流を定電流化して光源11に供給するように構成されている。
【0025】
制御部8は、常用電源13又は蓄電池2から電力を供給されることで動作する。制御部8は、コンピュータシステムで構成されることが好ましい。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部8としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む一ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0026】
制御部8は、
図2に示すように、点検部81と、充電制御部82と、点灯制御部83と、を有する。なお、点検部81、充電制御部82及び点灯制御部83は、制御部8によって実現される機能を示しているに過ぎず、必ずしも実体のある構成を示しているわけではない。
【0027】
点検部81は、蓄電池2から供給される電力によって光源11を点灯させることで蓄電池2の点検処理を行う。より詳細には、点検部81は、点検処理において、蓄電池2の放電時における電圧特性に基づいて蓄電池2が劣化しているか否かを判定する。蓄電池2は、上述したように、リチウムイオン電池である。したがって、蓄電池2の電圧特性は、上述したように、蓄電池2の両端電圧V1(
図3参照)が時間の経過に伴って直線的に低下する特性である。
【0028】
点検部81は、蓄電池2の放電を開始してから一定時間が経過した後に点検処理を開始する。一定時間は、後述の第1時間T1(
図3参照)よりも短い時間であり、例えば、10分である。点検部81は、点検処理において、第1時間T1が経過したときの第1電圧V11(
図3参照)、及び第2時間T2(
図3参照)が経過したときの第2電圧V12(
図3参照)に基づいて、第3時間T3(
図3参照)が経過したときの第3電圧V13(
図3参照)を推定する。そして、点検部81は、第3電圧V13が閾値電圧Vth(
図3参照)以上である場合に、蓄電池2が正常である(劣化していない)と判定する。また、点検部81は、第3電圧V13が閾値電圧Vth未満である場合に、蓄電池2が異常である(劣化している)と判定する。
【0029】
第1電圧V11は、第1時間T1が経過したときの蓄電池2の両端電圧V1である。第2電圧V12は、第2時間T2が経過したときの蓄電池2の両端電圧V1である。第3電圧V13は、第3時間T3が経過したときの蓄電池2の両端電圧V1である。第1時間T1は、上述の規定時間よりも短く、例えば、20分である。第2時間T2は、第1時間T1よりも長く、かつ上述の規定時間よりも短く、例えば、50分である。第3時間T3は、上述の規定時間であり、例えば、60分である。
【0030】
また、点検部81は、後述の温度測定部10により測定された照明装置100の周囲温度が所定範囲に収まっている場合に、上記点検処理を行う。所定範囲は、例えば、常温で規定される範囲であり、具体的には、5℃以上、かつ35℃以下の範囲である。ここで、照明装置100の周囲温度が常温でない場合、蓄電池2の電圧特性が周囲温度に応じて変化する可能性がある。このため、照明装置100の周囲温度が常温でない場合には、上記点検処理を行わないで、光源11を上述の規定時間以上点灯させることで蓄電池2の点検を行うことが好ましい。ただし、温度変化に応じて蓄電池2の電圧特性を補正できる場合には、蓄電池2の電圧特性を補正し、補正後の蓄電池2の電圧特性に基づいて上記点検処理を行ってもよい。
【0031】
充電制御部82は、充電回路4を制御して蓄電池2を充電させる。
【0032】
点灯制御部83は、停電検出回路5が常用電源13の停電を検出した場合に、点灯回路7を制御して光源11を点灯させる。また、点灯制御部83は、押釦スイッチSW1が押操作された場合、又は受信部6から送信フレームを受け取った場合に、充電回路4を停止させ、かつ点灯回路7を動作させて点検動作を行うように構成されている。ただし、点灯制御部83は、押釦スイッチSW2が押操作された場合には、点灯回路7を数秒間動作させた後に点灯回路7を停止させ、充電制御部82が充電回路4を動作させるように構成されている。
【0033】
提示部9は、点検部81の点検結果を提示する。提示部9は、例えば、モニタランプである。モニタランプは、例えば、緑色光を放射する発光ダイオードで構成されている。モニタランプは、制御部8からの制御信号により点灯、点滅又は消灯することで、点検部81の点検結果をユーザ(点検者等)に提示(通知)する。また、提示部9は、モニタランプを点灯又は点滅させることで、蓄電池2が充電中であることをユーザに提示(通知)してもよい。
【0034】
温度測定部10は、照明装置100の周囲温度を測定する。温度測定部10は、例えば、温度センサを含む。温度測定部10は、照明装置100の周囲温度を測定できるように、少なくとも温度センサのセンシング部分が照明装置100の筐体から露出していることが好ましい。
【0035】
(3)点検部の動作
次に、点検部81による蓄電池2の点検処理について、
図3を参照して説明する。
【0036】
点灯制御部83は、押釦スイッチSW1が押操作された場合、又は受信部6が送信フレームを受け取った場合に、充電回路4を停止させ、かつ点灯回路7を動作させて点検動作を行う。このとき、光源11は、蓄電池2から供給される電力によって点灯し、蓄電池2の放電が開始される。
【0037】
点検部81は、蓄電池2の放電が開始されてから一定時間が経過した後に、蓄電池2の点検処理を開始する。点検部81は、点検処理において、第1時間T1が経過したときの蓄電池2の両端電圧V1である第1電圧V11、及び第2時間T2が経過したときの蓄電池2の両端電圧V1である第2電圧V12を検出する。その後、点検部81は、第1電圧V11及び第2電圧V12に基づいて、第3時間T3が経過したときの蓄電池2の両端電圧V1である第3電圧V13を推定(算出)する。最後に、点検部81は、推定した第3電圧V13と閾値電圧Vthとを比較する。点検部81は、第3電圧V13が閾値電圧Vth以上である場合に蓄電池2が正常である(劣化していない)と判定し、第3電圧V13が閾値電圧Vth未満である場合に蓄電池2が異常である(劣化している)と判定する。
図3の例では、第3電圧V13が閾値電圧Vthよりも大きいため、点検部81は、蓄電池2が正常である(劣化していない)と判定する。
【0038】
ここで、蓄電池2の放電時における電圧特性は、上述したように、線形性を有している。このため、2つの時点における電圧(第1電圧V11、第2電圧V12)を求めることによって、3つ目の時点における電圧(第3電圧V13)を推定することが可能となる。
【0039】
制御部8は、例えば、蓄電池2が正常である場合にはモニタランプ(提示部9)を点灯させ、蓄電池2が異常である場合にはモニタランプを点滅させる。なお、制御部8は、蓄電池2が正常である場合にモニタランプを点滅させ、蓄電池2が異常である場合にモニタランプを点灯させてもよい。さらに、蓄電池2が正常である場合、又は蓄電池2が異常である場合にモニタランプを消灯させてもよい。要するに、蓄電池2が正常である場合と蓄電池2が異常である場合とを、モニタランプの状態で識別できるようになっていればよい。
【0040】
(4)効果
上述の実施形態では、点検部81は、蓄電池2の放電時における電圧特性に基づいて蓄電池2が劣化しているか否かを判定している。これにより、光源11を上述の規定時間以上点灯させて蓄電池2が劣化しているか否かを判定する場合に比べて、光源11の点灯時間を短縮することが可能となる。すなわち、上述の実施形態によれば、蓄電池2の点検に要する時間を短縮することが可能となる。
【0041】
また、上述の実施形態では、電圧特性は、蓄電池2の両端電圧V1が時間の経過に伴って直線的に低下する特性である。これにより、第3時間T3が経過したときの蓄電池2の両端電圧V1(第3電圧V13)を推定しやすいという利点がある。
【0042】
また、上述の実施形態では、点検部81は、蓄電池2の放電を開始してから一定時間が経過した後に点検処理を開始している。これにより、蓄電池2の放電直後に点検処理を開始する場合に比べて、蓄電池2が劣化しているか否かの判定精度を向上させることが可能となる。
【0043】
また、上述の実施形態では、点検部81は、点検処理において、第1電圧V11及び第2電圧V12に基づいて第3電圧V13を推定し、第3電圧V13が閾値電圧Vth未満である場合に蓄電池2が劣化していると判定している。これにより、光源11を上述の規定時間以上点灯させて蓄電池2が劣化しているか否かを判定する場合に比べて、光源11の点灯時間を短縮することが可能となる。すなわち、上述の実施形態によれば、蓄電池2の点検に要する時間を短縮することが可能となる。
【0044】
また、上述の実施形態では、照明装置100は、点検部81の点検結果を提示する提示部9を更に備えている。これにより、点検部81の点検結果をユーザ(点検者等)に提示することが可能となる。
【0045】
また、上述の実施形態では、点検部81は、温度測定部10により測定された周囲温度が所定範囲に収まっている場合に、点検処理を行っている。これにより、照明装置100の周囲温度に応じて点検処理を行うことが可能となる。
【0046】
また、上述の実施形態では、照明装置100は、蓄電池2を更に備えている。これにより、蓄電池2を含めた照明装置100を提供することが可能となる。
【0047】
(5)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0048】
上述の実施形態では、提示部9がモニタランプであるが、提示部9は、モニタランプに限らず、光源11が兼用されてもよい。すなわち、提示部9は、点検部81の点検結果に応じて、光源11を点灯、点滅又は消灯させてもよい。さらに、提示部9は、例えば、点検部81の点検結果を含む通信信号を、管理会社、防災センター等の施設のサーバに送信する通信部であってもよい。また、通信部の送信先は、施設のサーバに限らず、例えば、ユーザ(点検者等)のスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータであってもよい。さらに、提示部9は、上述のモニタランプ及び光源11以外の専用のランプ(光源)であってもよい。
【0049】
上述の実施形態では、第1時間T1が20分、第2時間T2が50分、第3時間T3が60分であるが、第1時間T1は、20分に限らず、上述の規定時間よりも短ければよい。また、第2時間T2は、50分に限らず、第1時間T1よりも長く、かつ上述の規定時間よりも短ければよい。また、第3時間T3は、60分に限らず、上述の規定時間であればよい。
【0050】
上述の実施形態では、蓄電池2は、照明装置100の構成要素に含まれているが、照明装置100の構成要素に含まれていなくてもよい。すなわち、照明装置100は、光源11、充電回路4、点灯回路7及び点検部81を含んでいればよい。
【0051】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0052】
第1の態様に係る照明装置(100)は、光源(11)と、充電回路(4)と、点灯回路(7)と、点検部(81)と、を備える。充電回路(4)は、常用電源(13)から供給される電力によって蓄電池(2)を充電する。点灯回路(7)は、常用電源(13)が停電した場合に蓄電池(2)から供給される電力によって光源(11)を点灯させる。点検部(81)は、蓄電池(2)から供給される電力によって光源(11)を点灯させることで蓄電池(2)の点検処理を行う。蓄電池(2)は、リチウムイオン電池である。点検部(81)は、点検処理において、蓄電池(2)の放電時における電圧特性に基づいて蓄電池(2)が劣化しているか否かを判定する。
【0053】
この態様では、点検部(81)は、蓄電池(2)の放電時における電圧特性に基づいて蓄電池(2)が劣化しているか否かを判定する。これにより、光源(11)を規定時間(法定の点検時間)以上点灯させて蓄電池(2)が劣化しているか否かを判定する場合に比べて、光源(11)の点灯時間を短縮することが可能となる。すなわち、この態様によれば、蓄電池(2)の点検に要する時間を短縮することが可能となる。
【0054】
第2の態様に係る照明装置(100)では、第1の態様において、電圧特性は、蓄電池(2)の両端電圧(V1)が時間の経過に伴って直線的に低下する特性である。
【0055】
この態様によれば、蓄電池(2)の電圧特性が線形性を有しているので、所定時間(例えば、第3時間T3)が経過したときの蓄電池(2)の両端電圧(V1)を推定しやすいという利点がある。
【0056】
第3の態様に係る照明装置(100)では、第2の態様において、点検部(81)は、蓄電池(2)の放電を開始してから一定時間が経過した後に点検処理を開始する。
【0057】
この態様によれば、蓄電池(2)の放電直後に点検処理を開始する場合に比べて、判定精度を向上させることが可能となる。
【0058】
第4の態様に係る照明装置(100)では、第3の態様において、点検部(81)は、点検処理において、第1電圧(V11)及び第2電圧(V12)に基づいて第3電圧(V13)を推定し、第3電圧(V13)が閾値電圧(Vth)未満である場合に蓄電池(2)が劣化していると判定する。第1電圧(V11)は、第1時間(T1)が経過したときの両端電圧(V1)である。第2電圧(V12)は、第1時間(T1)よりも長い第2時間(T2)が経過したときの両端電圧(V1)である。第3電圧(V13)は、第2時間(T2)よりも長い第3時間(T3)が経過したときの両端電圧(V1)である。
【0059】
この態様では、点検部(81)は、第1電圧(V11)及び第2電圧(V12)に基づいて第3電圧(V13)を推定し、第3電圧(V13)が閾値電圧(Vth)未満である場合に蓄電池(2)が劣化していると判定する。これにより、光源(11)を規定時間(法定の点検時間)以上点灯させて蓄電池(2)が劣化しているか否かを判定する場合に比べて、光源(11)の点灯時間を短縮することが可能となる。すなわち、この態様によれば、蓄電池(2)の点検に要する時間を短縮することが可能となる。
【0060】
第5の態様に係る照明装置(100)は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、提示部(9)を更に備える。提示部(9)は、点検部(81)の点検結果を提示する。
【0061】
この態様によれば、点検部(81)の点検結果を提示することが可能となる。
【0062】
第6の態様に係る照明装置(100)は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、温度測定部(10)を更に備える。温度測定部(10)は、照明装置(100)の周囲温度を測定する。点検部(81)は、温度測定部(10)により測定された周囲温度が所定範囲に収まっている場合に、点検処理を行う。
【0063】
この態様によれば、照明装置(100)の周囲温度に応じて点検処理を行うことが可能となる。
【0064】
第7の態様に係る照明装置(100)は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、蓄電池(2)を更に備える。
【0065】
この態様によれば、蓄電池(2)を含めた照明装置(100)を提供することが可能となる。
【0066】
第2~第7の態様に係る構成については、照明装置(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0067】
2 蓄電池
4 充電回路
7 点灯回路
9 提示部
10 温度測定部
11 光源
13 常用電源
81 点検部
100 照明装置
T1 第1時間
T2 第2時間
T3 第3時間
V1 両端電圧
V11 第1電圧
V12 第2電圧
V13 第3電圧
Vth 閾値電圧