(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012164
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】インビトロ診断システムにおける制御ループベースの値調整
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023114841
(22)【出願日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】22184856.7
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】510259921
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】マイク・ボルンマン
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・シュレーダー
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA05
2G058GD01
2G058GD05
2G058GD06
2G058GE05
2G058GE06
2G058GE08
2G058GE09
2G058HA04
(57)【要約】
【課題】インビトロ診断デバイスによって一貫した結果値を供給することを可能にすること。
【解決手段】本発明は、システムであって、インビトロ診断デバイスと、インビトロ診断デバイスに双方向に接続されており、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスの規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を評価するように構成された、少なくとも1つの制御ユニットとを含み、制御ユニットは、偏差している内部較正/対照測定パラメータがそれに対して検出された基準値を修正し、その修正された基準値をインビトロ診断デバイスに送信するように構成されている、システム;および対応する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって:
診断アッセイを実行するように構成された少なくとも1つのインビトロ診断デバイスであって、規定された基準値または較正曲線からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を検出し、それを制御ユニットに送るように構成された、インビトロ診断デバイスと;
少なくとも1つの該インビトロ診断デバイスに双方向に接続されており、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスの規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を評価するように構成された、少なくとも1つの制御ユニットであって、評価のためにデータベースからのデータにさらにアクセスする、制御ユニットと;
を含み、
インビトロ診断デバイスによって一貫した結果値を供給することを可能にするために、制御ユニットは、偏差している内部較正/対照測定パラメータがそれに対して検出された基準値を修正し、その修正された基準値を、偏差を検出したインビトロ診断デバイスに送信するように構成されている、前記システム。
【請求項2】
内部較正/対照測定パラメータは、インビトロ診断を実行するために使用されるアッセイ試薬と関連するパラメータである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
内部較正/対照測定パラメータは、デバイスシステム構成要素パラメータである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
制御ユニットは、使用されるアッセイ試薬バッチ、デバイスシステム構成要素、またはデバイスタイプに応じて、規定された基準値からの偏差を評価するように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つのインビトロ診断デバイスはさらに、アッセイ(患者アッセイ)で測定された患者試料の測定データを制御ユニットに送るように構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
制御ユニットはさらに、患者アッセイの先行測定データ、対照、および/または較正を用いて患者アッセイの測定データを評価するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
評価は、内部較正/対照測定パラメータの偏差の比較、および場合により多数のインビトロ診断デバイスの患者アッセイの測定データの比較を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
制御ユニットは、アッセイ試薬と関連する測定もしくは較正/対照測定パラメータに関するデータを含み、かつ/またはデバイスシステム構成要素パラメータに関するデータを含み、かつ/または患者アッセイに関するデータを含む、データベースにアクセスするように構成されている、請求項1から7に記載のシステム。
【請求項9】
基準値は、(i)基準値からのインビトロ診断デバイスの個々の偏差、(ii)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのアッセイ試薬バッチ依存の偏差、(iii)患者アッセイの先行測定データからの患者アッセイの測定データの偏差、(iv)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスタイプ依存の偏差、(v)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスシステム構成要素依存の偏差、(vi)多数のインビトロ診断デバイスにおける測定もしくは較正/対照測定パラメータからの、測定もしくは較正/対照測定パラメータの偏差、ならびに/または(vii)デバイスシステム構成要素依存の偏差、アッセイ試薬バッチ依存の偏差、および/もしくは患者アッセイの測定データからの偏差の組合せ、に基づいて決定される補正係数によって修正される、請求項4から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1つのインビトロ診断デバイスは、1、12時間、1、2、3、4、5、6日、1、2、3週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11か月、1年に1回、またはインビトロ診断デバイス、アッセイ試薬、もしくはシステム構成要素の耐用期間、もしくは耐用期間の一部に1回、規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を検出し、それを制御ユニットに送るように構成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1つのインビトロ診断デバイスの内部較正/対照測定パラメータの規定された基準値を修正する方法であって、インビトロ診断デバイスにおいて測定された内部較正/対照測定パラメータが基準値からの偏差を有し、該方法は、
少なくとも1つの制御ユニットに偏差を送ることと、
制御ユニットにおいてその偏差を評価することと、
その偏差に基づいて修正された基準値を、偏差を検出したインビトロ診断デバイスに送信することとを含み、
場合により、患者アッセイの測定データは、制御ユニットにさらに送られ、好ましくは内部較正/対照測定パラメータの初期測定からの偏差は、より好ましくは規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差は、1、12時間、1、2、3、4、5、6日、1、2、3週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11か月、1年に1回、またはインビトロ診断デバイス、アッセイ試薬、もしくはシステム構成要素の耐用期間、もしくは耐用期間の一部に1回、検出され、送られる、前記方法。
【請求項12】
内部較正/対照測定パラメータは、インビトロ診断を実行するために使用されるアッセイ試薬と関連するパラメータであるか、またはデバイスシステム構成要素パラメータである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
規定された基準値からの偏差の評価は、使用されるアッセイ試薬バッチ、デバイスシステム構成要素、および/またはデバイスタイプに応じて実行される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
評価は、多数のインビトロ診断デバイスの内部較正/対照測定パラメータの偏差の比較を含む、請求項11から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
基準値は、(i)基準値からのインビトロ診断デバイスの個々の偏差、(ii)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのアッセイ試薬バッチ依存の偏差、(iii)患者アッセイの先行測定データからの患者アッセイの測定データの偏差、(iv)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスタイプ依存の偏差、(v)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスシステム構成要素依存の偏差、(vi)多数のインビトロ診断デバイスにおける測定もしくは較正/対照測定パラメータからの、測定もしくは較正/対照測定パラメータの偏差、ならびに/または(vii)デバイスシステム構成要素依存の偏差、アッセイ試薬バッチ依存の偏差、および/もしくは患者アッセイの測定データからの偏差の組合せ、に基づいて決定される補正係数によって修正される、請求項11から14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インビトロ診断デバイスによって一貫した結果値を供給することを可能にするシステムであって、インビトロ診断デバイスと、インビトロ診断デバイスに双方向に接続されており、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスの規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を評価するように構成された、少なくとも1つの制御ユニットとを含み、制御ユニットは、偏差している内部較正/対照測定パラメータがそれに対して検出された基準値を修正し、その修正された基準値をインビトロ診断デバイスに送信するように構成されている、システム;および対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インビトロ診断(IVD:in-vitro diagnosis)システムは、患者試料を用いて、健康状態の複数のパラメータの定性的および定量的な結果を測定する。患者試料は、通常、血液、血清、血漿、または尿などの流体である。各パラメータは、概して、患者試料と反応できる特定の生化学的試験に基づいており、そのため、結果はIVD分析デバイスによって測定することができる。このように高度に自動化された分析デバイスは、患者結果を得るために、患者試料を処理し、それらの試薬成分による特定のアッセイをパラメータ化することができる。次いで、患者結果は、典型的には、医療サービス従事者に伝達され、患者の健康状態が正常かまたは異常かを示すことができる。定量的な試験の場合は、目標値の範囲内または範囲外に状態を分類するための範囲が一般的に確立されている。したがって、インビトロ診断システムが変動の低い状態で結果を再現できることが非常に重要である。結果の広がりが大きくなり過ぎると、診断が複雑化され、時間に応じた互いに対する測定結果の対応付けが難しくなるかまたは妨げられる。
【0003】
対象のパラメータに対して忠実かつ正確に患者の状態を反映するためには、測定結果の変動を低減し、測定結果の精度および確度を保証するために、試薬バッチは、典型的には、バッチに特異的に割り当てられた目標値を備えており、その値は試験を実行するときに考慮に入れられ、バッチを変更した後に修正される。しかし、目標値が変動することは、診断に関係する状態を説明するための確立された医学的決定点の概念と対立する。
【0004】
さらに、各アッセイは、典型的には、制御システムを有し、すなわち、基準化された対照物質が、実際の患者試料を試験できるようになる前に毎日または毎週試験される。対照物質には値が割り当てられており、その値は、インビトロ診断システムの機能的な能力を確認するために特定の範囲内になければならない。それらの範囲の変動は最大20%の場合があり、そのため、結果の変動が非常に大きくなる。個々のシステムの対照物質の値が前述の範囲外にある場合は、個々のシステム特性を規定可能にするシステム特有の値が必要になる可能性がある。
【0005】
測定結果の変動を低減するための前述の手段は、前の処置が患者試料の測定の不正確さおよび診断の遅れにつながる恐れがあることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、インビトロ診断方法をより正確に実行しかつ一貫した結果値の供給を保証する方法および手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その目的は独立請求項の主題によって達成される。従属請求項は、本発明のさらなる有利な態様を反映する。
【0008】
本発明は、まず、システムであって:
- 診断アッセイを実行するように構成された少なくとも1つのインビトロ診断デバイスであって、規定された基準値または較正曲線からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を検出し、それを制御ユニットに送るように構成された、インビトロ診断デバイスと;
- 少なくとも1つのインビトロ診断デバイスに双方向に接続されており、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスの規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を評価するように構成された、少なくとも1つの制御ユニットであって、評価のためにデータベースからのデータにさらにアクセスする、制御ユニットと;
を含み、
インビトロ診断デバイスによって一貫した結果値を供給することを可能にするために、制御ユニットは、偏差している内部較正/対照測定パラメータがそれに対して検出された基準値を修正し、その修正された基準値を、偏差を検出したインビトロ診断デバイスに送信するように構成されている、システムに関する。
【0009】
本システムは、有利には、調節ベースの値調整を実行し、そうすることで、測定結果の精度を向上させ、長期にわたってバッチおよび影響とは無関係に一貫した結果値を供給することを可能にする。
【0010】
好ましい一実施形態において、内部較正/対照測定パラメータは、インビトロ診断を実行するために使用されるアッセイ試薬と関連するパラメータである。
【0011】
別の好ましい実施形態において、内部較正/対照測定パラメータは、デバイスシステム構成要素パラメータである。
【0012】
本発明によるシステムの別の好ましい実施形態において、制御ユニットは、使用されるアッセイ試薬バッチ、デバイスシステム構成要素、またはデバイスタイプに応じて、規定された基準値からの偏差を評価するように構成されている。
【0013】
本発明によるシステムの別の好ましい実施形態において、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスはさらに、アッセイ(患者アッセイ)で測定された患者試料の測定データを制御ユニットに送るように構成されている。
【0014】
制御ユニットはさらに、患者アッセイの先行測定データ、対照、および/または較正を用いて患者アッセイの測定データを評価するように構成されていることがさらに好ましい。
【0015】
本システムの別の好ましい実施形態において、評価は、内部較正/対照測定パラメータの偏差の比較、および場合により多数のインビトロ診断デバイスの患者アッセイの測定データの比較を含む。
【0016】
本発明によるシステムの別の好ましい実施形態において、制御ユニットは、アッセイ試薬と関連する測定もしくは較正/対照測定パラメータに関するデータを含み、かつ/またはデバイスシステム構成要素パラメータに関するデータを含み、かつ/または患者アッセイに関するデータを含む、データベースにアクセスするように構成されている。
【0017】
基準値は、(i)基準値からのインビトロ診断デバイスの個々の偏差、(ii)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのアッセイ試薬バッチ依存の偏差、(iii)患者アッセイの先行測定データからの患者アッセイの測定データの偏差、(iv)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスタイプ依存の偏差、(v)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスシステム構成要素依存の偏差、(vi)多数のインビトロ診断デバイスにおける測定もしくは較正/対照測定パラメータからの、測定もしくは較正/対照測定パラメータの偏差、ならびに/または(vii)デバイスシステム構成要素依存の偏差、アッセイ試薬バッチ依存の偏差、および/もしくは患者アッセイの測定データからの偏差の組合せ、に基づいて決定される補正係数によって修正されることがさらに好ましい。
【0018】
追加的な好ましい実施形態において、本願は、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスが、1、12時間、1、2、3、4、5、6日、1、2、3週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11か月、1年に1回、またはインビトロ診断デバイス、アッセイ試薬、もしくはシステム構成要素の耐用期間、もしくは耐用期間の一部に1回、規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を検出し、それを制御ユニットに送るように構成されている、上記で説明したようなシステムに関する。
【0019】
別の態様において、本願は、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスの内部較正/対照測定パラメータの規定された基準値を修正する方法であって、インビトロ診断デバイスにおいて測定された内部較正/対照測定パラメータが基準値からの偏差を有し、この方法は、少なくとも1つの制御ユニットに偏差を送ることと、制御ユニットにおいてその偏差を評価することと、その偏差に基づいて修正された基準値を、偏差を検出したインビトロ診断デバイスに送信することとを含み、場合により、患者アッセイの測定データは、制御ユニットにさらに送られ、好ましくは内部較正/対照測定パラメータの初期測定からの偏差は、より好ましくは規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差は、1、12時間、1、2、3、4、5、6日、1、2、3週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11か月、1年に1回、またはインビトロ診断デバイス、アッセイ試薬、もしくはシステム構成要素の耐用期間、もしくは耐用期間の一部に1回、検出され、送られる、方法に関する。
【0020】
本発明による方法の別の好ましい実施形態において、内部較正/対照測定パラメータは、インビトロ診断を実行するために使用されるアッセイ試薬と関連するパラメータであるか、またはデバイスシステム構成要素パラメータである。
【0021】
追加的な好ましい実施形態において、規定された基準値からの偏差の評価は、使用されるアッセイ試薬バッチ、デバイスシステム構成要素、および/またはデバイスタイプに応じて実行される。
【0022】
本発明による方法の別の好ましい実施形態において、評価は、多数のインビトロ診断デバイスの内部較正/対照測定パラメータの偏差の比較を含む。
【0023】
本発明による方法の追加的な好ましい実施形態において、基準値は、(i)基準値からのインビトロ診断デバイスの個々の偏差、(ii)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのアッセイ試薬バッチ依存の偏差、(iii)患者アッセイの先行測定データからの患者アッセイの測定データの偏差、(iv)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスタイプ依存の偏差、(v)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスシステム構成要素依存の偏差、(vi)多数のインビトロ診断デバイスにおける測定もしくは較正/対照測定パラメータからの、測定もしくは較正/対照測定パラメータの偏差、ならびに/または(vii)デバイスシステム構成要素依存の偏差、アッセイ試薬バッチ依存の偏差、および/もしくは患者アッセイの測定データからの偏差の組合せ、に基づいて決定される補正係数によって修正される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明によるシステムの一実装形態を示し、そのシステムでは、アッセイ(2)の測定結果が、まず、インビトロ診断デバイス(1)において得られ(6)、規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差がチェックされる。対応する値が制御ユニット(3)に送られる(7)。制御ユニットは、この場合は補正要素(4)に接続されており、補正要素(4)は、制御ユニットによって修正された基準値を受信し(8)、その後、その基準値をインビトロ診断デバイス(1)に送信する(10)。同時に、修正された基準値は、たとえば病院または他の場所にある、追加的なインビトロ診断デバイス(5)に送られる。そうすることで追加的なインビトロ診断デバイス(5)によって生成された比較値は制御ユニット(3)に戻されて、双方向のデータ交換(9、10)がセットアップされる。
【
図2】本発明による方法の別の実施形態を示し、本方法は基本的には
図1に示されているシステムに対応し、異なる点は、制御ユニットがアプリケーション(20)と対話し(8)、アプリケーション(20)は、アプリケーションの補正またはパラメータ設定の調整のために、制御ユニットによって修正された基準値を、ネットワーク(22)を介してさらなるデバイス(21)に送信し、そのさらなるデバイスは、インビトロ診断デバイスに接続されており、したがって、双方向の対話を可能にすることである。
【
図3】調整のない場合(上側の曲線)および本発明による調整のある場合(下側の途切れた曲線)の、アッセイの概略的な測定曲線を示す。横座標(30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42)には測定時刻が入れられている。縦座標にはそれぞれ測定された値(50)がプロットされている。図を見ると分かるように、インビトロ診断デバイスによる一貫した結果値を可能にするためには、特定の測定時刻(32、35、38、41)の後にパラメータ値の調整が必要である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は特定の実施形態に関して説明されているが、その説明は限定的な意味に解釈するべきではない。
【0026】
本発明の例示的な実施形態を詳細に説明する前に、本発明を理解するために重要な定義を与える。
【0027】
文脈による別段の明示がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられるとき、単数形の「a」および「an」は、それぞれの複数形も含む。
【0028】
本発明に関しては、「約(approximately)」および「約(about)」という用語は、当業者が対象の構成の技術的効果をやはり確保すると理解している精度の区間を表す。その用語は、典型的には、示されている数値から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、さらにより好ましくは±5%の偏差を示す。
【0029】
「含む(comprising)」という用語は限定的ではないことを理解されたい。本発明では、「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(essentially consisting of)」という用語は、「を含む(comprising of)」という用語の好ましい具体的表現であると見なされる。
【0030】
本明細書で以下に、少なくとも一定数の実施形態を含むようにグループが定義されている場合は、これは、好ましくはそれらの実施形態だけからなるグループも含むことを意味する。
【0031】
さらに、明細書または特許請求の範囲における、「(i)」、「(ii)」、「(iii)」、または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、または「第1」、「第2」、「第3」などおよび同様の語は、類似の要素を区別するために用いられており、必ずしも連続した順序または時系列の順序を説明するものではない。
【0032】
そのように使用される用語が、適切な状況下で相互交換可能であることと、本明細書に記載されている本発明の実施形態が、本明細書に記載されている順序とは異なる順序で使用可能であることとを理解されたい。それらの用語が技術、方法、または使用の工程に関する場合は、工程間に時間コヒーレンスまたは時間間隔コヒーレンスが存在せず、すなわち、別段の指定がない限り、工程を同時に実行できるかまたはそれらの工程の間に秒、分、時間、日、週などの時間間隔が存在できる。
【0033】
本発明は、本明細書に記載されている特定の方法、プロトコルなどが変動し得るため、それらに限定されないことを理解されたい。本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を単に説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことも理解されたい。
【0034】
図面は、概略的な表現であるとして解釈されるべきであり、図面に示されている要素は必ずしも縮尺通りに示されているとは限らない。むしろ、様々な要素が、それらの機能および一般的な目的が当業者に明らかになるように表されている。別段の定義がない限り、本明細書で用いられている技術的用語および科学的用語はいずれも、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0035】
先に言及したように、本発明は、システムであって:診断アッセイを実行するように構成された少なくとも1つのインビトロ診断デバイスであって、規定された基準値または較正曲線からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を検出し、それを制御ユニットに送るように構成された、インビトロ診断デバイスと;少なくとも1つのインビトロ診断デバイスに双方向に接続されており、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスの規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を評価するように構成された、少なくとも1つの制御ユニットであって、評価のためにデータベースからのデータにさらにアクセスする、制御ユニットと;を含み、インビトロ診断デバイスによって一貫した結果値を供給することを可能にするために、制御ユニットは、偏差している内部較正/対照測定パラメータがそれに対して検出された基準値を修正し、その修正された基準値を、偏差を検出したインビトロ診断デバイスに送信するように構成されている、システムに関する。
【0036】
「較正/対照測定パラメータ」という用語は、本事例において、較正および/または対照測定パラメータに関して用いられている。
【0037】
「インビトロ診断デバイス」という用語は、本明細書で用いられるとき、好ましくは完全に自動的にまたは半自動的に、試料に、好ましくは生体試料に実行される、診断アッセイを実行できるかまたは診断アッセイの結果を判定できるように構成されたデバイスを指す。インビトロ診断デバイスは、様々な形態および機能を有することができ、たとえば、スタンドアローンのデバイスとして構成されているか、または一体型のインビトロ診断大規模デバイスの形態でもしくはさらなるデバイスと連携して動作する。インビトロ診断デバイスは、典型的には、様々な診断試験またはアッセイを実行するように構成されている。異なる試験を実行するためには、対応する試薬、対照、基準、および試験プロトコルが採用され、それらは、アッセイの形態、アッセイの範囲、およびアッセイの目的に応じて異なる場合がある。
【0038】
本発明の文脈における「試料」とは、検出予定の物質を含むと考えられる材料(検体)意味することが意図されている。「試料」という用語は、具体的には、ヒトまたは動物の生物学的流体、たとえば、血液、血漿、血清、痰、滲出液、気管支肺胞液、リンパ、滑液、精液、膣粘液、便、尿、体液、または、代替的に、たとえば、光学分析判定、好ましくは比濁分析判定のために、たとえば均質化もしくは細胞溶解によってそれに対応して用意される組織試料もしくは細胞培養試料を含む。さらに、たとえば、場合により判定前に対応する試料の用意を受ける予定の、植物性の流体または組織、法医学的試料、水試料、および廃水試料、食品材料、医薬品を試料として使用することもできる。
【0039】
診断アッセイを実行することは、好ましくは、定量的検出および/または定性的検出によって試料中の1つまたはそれ以上の検体の濃度および/または活性を測定することを含む。「定量的検出」という用語は半定量的な方法も含み、その半定量的な方法は、試料中の検体のおおよその量、濃度、もしくは活性を記録するだけであるか、または相対的な量、濃度、もしくは活性の仕様値に関してだけ使用できる。定性的検出は、試料中に検体が実際に存在することを検出すること、または試料中の検体の量、濃度、もしくは活性が特定の1つの閾値もしくは特定の複数の閾値を下回るかもしくは上回るという仕様値を意味することが意図されている。
【0040】
各アッセイは、この場合、典型的には、実際の患者試料を検討できるようになる前に、規則的な時間間隔で、たとえば毎日または毎週検査される、それ自体の制御システム、すなわち基準化された対照物質/較正物質を有する。
【0041】
インビトロアッセイに使用される試薬は、通常、バッチ生産され、濃度、活性などの所定の設定値を満たさなければならない。さらに、特異的に決定され、バッチに特異的に割り当てられた値は、試薬に割り当てることが可能であり、それらの値は、バッチによって異なることがあり、アッセイを実行するときに考慮に入れなければならない。このようなバッチ特有の値は、典型的には、製品包装と共に添付の製品マニュアルに示されており、アッセイを実行する際に読むことができるかまたは実行するために使用することができる。インビトロ診断デバイスに入力された後に、それらの値は、アッセイを実行するときにそのデバイスによって考慮に入れられる。試薬は、通常、特定の期間にわたってその特性が変化し、すなわち、試薬もしくはバッチの収納期間または他の因子に応じて、反応性の上昇もしくは低下または信号の増加もしくは減少が起きる可能性がある。これは、典型的には、動的プロセスと理解されており、最大20%の測定の差につながる可能性がある。したがって、生産中に収集されたデータ点の読取り値は、特に、長期にわたって収納された試薬の場合に変動しやすく、測定結果を無効にさせる可能性がある。
【0042】
本発明によるインビトロ診断デバイスは、典型的には、ネットワーク内でさらなる構成要素に接続されている。このようなネットワークは、インターネットベースまたはイントラネットベースのネットワークでよい。さらなる構成要素へのデバイスの接続は、さらに、Bluetooth、Wi-Fi、ZigBeeなどの短距離接続によって確立可能である。データ交換を可能にするために、ネットワークへのリンクによって、インビトロ診断デバイスは、システムに組み込むことができ、システムの他の構成要素に接続することができる。したがって、「システム」という用語は、本明細書で用いられるとき、追加的な構成要素、たとえば制御ユニットを有するネットワークへの1つのインビトロ診断デバイスの単一のリンクと、制御ユニット(または場合により複数の対話式制御ユニット)を有するネットワークに接続されたグループのまたは多数のインビトロ診断デバイスとの両方を指す。構造および概念に応じて、システムは、1つまたはそれ以上の追加的な構成要素を含むことができる。たとえば、様々なタイプのデバイスを組み込むことができ、試薬製造者、ソフトウェア製作者、デバイス製造者などのデータ資源を組み込むことができる。特定の実施形態において、さらに、政府当局、たとえば、保健当局、規制当局、または診療所、病院の各診療科/検査室などを、たとえばデータベースアクセスを介して、本システムに組み込むことができる。
【0043】
したがって、好ましい一実施形態において、インビトロ診断デバイスは、多数の他のインビトロ診断デバイスに接続されており、たとえば特定の地域、特定の都市、特定の連邦州、特定の国、もしくは大陸にある、たとえば特定のタイプもしくは特定のデバイスシリーズの、たとえばインビトロ診断デバイスのすべてまたはほとんどが、ネットワーク接続可能であるか、またはそれらが世界的にネットワーク接続可能である。好ましい実施形態において、デバイスは、同じタイプのフリートデバイスとして互いに接続されている。
【0044】
ネットワークまたはシステム内にはセキュアなデータ接続が採用されることが好ましい。本発明の範囲において好ましいセキュアなデータ接続の概念の一例には、スマートリモートサービス(SRS:Smart Remote Services)がある。その場合に、SRSポータルまたはアクセスサーバへのインビトロ診断デバイスの双方向接続がセットアップされ、そうすることで、位置とは無関係に、サーバに記憶されたローカルデータへのアクセスが可能になる。たとえば、デバイスハードウェアのパフォーマンス、その動作時間、または起こり得る問題を、SRSサポートがモニタリングできる。同様に、ソフトウェアベースのデバイスメンテナンスを実行できる。記載したネットワークへのインビトロ診断デバイスのリンク付けが双方向であることによって、インビトロ診断デバイスに調整機能または補正機能を作用させる制御ループが生成される。制御ループは、好ましくは、閉じられた制御ループとして設計されており、セキュアなデータ接続の外部の影響から防護されている。
【0045】
インターネット上のセキュアなデータ接続に関して、本発明の範囲内で、サードバーティが閲覧できない仮想プライベートネットワーク(VPN)が好ましくは採用される。
【0046】
インビトロ診断デバイスは、本発明によれば、規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を検出するように構成されている。「較正/対照測定パラメータ」という用語は、本明細書で用いられるとき、アッセイの実行に関連して、インビトロ診断デバイスにおいて収集されたすべてのパラメータまたは測定値を指す。これは、たとえば基準化された対照物質/較正物質の使用中に、アッセイを実行する前に、または実行する間に収集される、たとえば、インビトロ診断を実行するために使用されるアッセイ試薬と関連するパラメータまたは測定値を含む。さらに、内部較正/対照測定パラメータは、デバイスシステム構成要素パラメータでよく、すなわち、光学関係、電圧、電流、温度、温度上昇など、特定のシステム構成要素の特性を反映することができる。別の実施形態において、偏差を判定するために内部較正/対照測定パラメータの初期測定が使用される。それらは、たとえば、デバイスを起動した後の最初の測定または稼働日もしくは稼働シフトの最初のアッセイを実行する前の測定でよい。
【0047】
別の実施形態において、較正曲線からの偏差が検出される。「較正曲線」という用語は、本明細書で用いられるとき、インビトロ診断デバイスに関する曲線または表を指し、これはパラメータを間接的に測定し、センサ出力値に応じて所望の量に関する値を示す。このような曲線は、典型的には、インビトロ診断デバイスの較正が試料によって大きく変動するとき、または経時的にもしくは使用するにつれて変動するときに使用される。その場合、較正曲線は、典型的には、たとえば測定予定の試薬または物質の濃度と共に、分析信号が変化する様子を示す。
【0048】
収集された較正/対照測定パラメータまたは生成された較正曲線は、本発明に従って、インビトロ診断デバイスにおいて確立された基準値または基準曲線と比較される。このような比較は、好ましくは、デバイス内部の構成要素、たとえば、いわゆるオフセット検出器によって実行可能であり、様々な期間、たとえば、時間、日、週、月などを予定することができる。「基準値」は、比較標準値として用いられており、たとえば、バッチ依存の目標値、デバイスに関する技術的仕様値、アッセイ依存の値などを含む。これらの値は、インビトロ診断デバイスに手動で入力されるか、またはネットワークもしくは通信接続を介してデバイスに送信される。たとえばバッチの変更またはデバイスのメンテナンスの範囲内において、基準値の変更は、典型的には、インビトロ診断デバイスに記憶される。その場合に本発明による手法は、さらに、本明細書に記載されている制御ループモデルの補正係数による基準値の変更をもたらす。
【0049】
そのために、第1の工程で、基準値からの較正/対照測定パラメータの偏差の検出後に、測定された差が制御ユニットに送信される。「制御ユニット」は、好ましくはネットワークリンクを介してインビトロ診断デバイスに接続された、電子的構成要素またはコンピュータ支援構成要素でよい。制御ユニットは、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスの規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差を評価するように構成されている。したがって、制御ユニットは、具体的には、使用されるアッセイ試薬バッチに応じた規定された基準値の偏差を評価することができる。
【0050】
その場合は、インビトロ診断デバイスによって検出される、基準値からのアッセイ試薬に関する内部較正/対照測定パラメータの差または偏差が、制御ユニットに送信され、既存のデータと比較される。比較は、たとえば、最新データまたは履歴データを用いて、たとえば、12時間、1、2、3、4、5、6日、1、2、3週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11か月、1、2、3年前になど、またはインビトロ診断デバイスの耐用期間を通して収集されたデータを用いて、実行可能である。有利には、比較は、他のインビトロ診断デバイスのデータを用いて、同様に実行することができる。その場合に、それらのデバイスの履歴データまたは最新データのいずれかを採用することができる。このような評価は、多数のインビトロ診断デバイスにおける、変化のパターンもしくは変動の傾向もしくはアッセイパフォーマンスのシフト、または動的プロセスを識別するために使用することができる。
【0051】
さらにまたは代替例として、規定された基準値からの偏差は、デバイスシステム構成要素について収集または送信される値に応じて、制御ユニットによって評価される。ここで、先に言及したような、同じデバイスまたは多数のデバイスの最新値および履歴値を評価することができる。
【0052】
さらにまたは代替例として、規定された基準値からの偏差は、デバイスタイプについて収集または送信される値に応じて、制御ユニットによって評価される。ここで、同じタイプの、場合により、同じ構築年、同じメンテナンス期間などの、すべてのまたは多数のデバイスの最新値および履歴値を評価することができる。
【0053】
デバイスシステム構成要素またはデバイスタイプに応じた偏差の評価によって、デバイス構成要素に起因するかまたはデバイスタイプによる影響を受ける、デバイスにおけるシステム変動を識別することが可能になる。このように、技術的な問題、すなわちたとえばハードウェアの問題を有する個々のデバイスまたはデバイスタイプまたはデバイスグループを識別することが可能である。問題を再現する際には、基準値の(調整された)修正を用いて応答を行うことができるか、または代替的な処置を提案することができる。その処置は、たとえば、デバイスまたはグループのデバイスのメンテナンス、デバイス構成要素の交換、新たなソフトウェアのロード、特定の試薬の使用などとすることもできる。さらに、医療目的でアッセイ結果を使用しないように、および異なるデバイスを用いて試験を繰り返さないように、デバイスのユーザに警告を与えることができる。
【0054】
本発明の別の実施形態において、アッセイおよびデバイス機能に関する内部較正/対照測定パラメータだけでなく、アッセイによる患者試料を用いて得られた特定の診断測定結果も、インビトロ診断デバイスによって制御ユニットに送信される。それらの測定結果は、好ましくは、暗号化された接続またはセキュアな接続を介したデータ保護に従って送信され、1つのインビトロ診断デバイスのまたは多数のインビトロ診断デバイスの多数のアッセイにおける、既存の変化のパターンもしくは変動の傾向もしくはアッセイパフォーマンスのシフト、または動的プロセスについて、制御ユニットによって評価される。有利には、患者試料を用いて得られた測定結果の数は、得られた較正/対照測定パラメータ値の数よりも有意に多い(100から1000倍)。このように、統計的に有意な数のインビトロ診断デバイスを評価でき、データ分析のために考慮に入れることができるときは、患者結果の、たとえば生理学的結果および病理学的結果の一般的な分布パターンが実質的に一貫していることが想定されるはずであるため、シフトの傾向または変化のパターンをより迅速かつ正確に検出すること、およびシステムパフォーマンスを向上させることが可能である。特定の実施形態において、アッセイ、すなわち「患者アッセイ」で測定された患者試料のデータは、さらなる分析のためにアクセス可能にするために、制御ユニットに関連するデータメモリまたはデータベースに保存できる。さらに、患者アッセイから得られたデータは、同様に、履歴として記憶または評価可能であり、すなわち、異なる期間からのデータを記憶、比較、評価などすることが可能であり、そうすることで、場合によっては変動パターンを検出することができる。評価によって、たとえばハードウェアコンポーネントに起因するデバイス特有の偏差、およびアッセイ試薬バッチ依存の偏差の両方を識別することが可能である。
【0055】
本発明の実施形態において、制御ユニットは、多数のインビトロ診断デバイスの検出された偏差を受信および評価するように構成されている。制御ユニットは、好ましい実施形態においてデータ分析ユニットとして構成されており、すなわち、コンピュータベースのデータ評価技術、たとえば、AI支援の評価技術、データマイニング技術などを使用する。制御ユニットは、他の好ましい実施形態において、1つまたはそれ以上のデータベースに接続されており、データベースから値およびデータを取得し、それらを使用して基準値からの較正/対照測定パラメータまたは較正曲線の送信された差を評価することができる。データベースは、たとえば、バッチ支援のデータ、たとえば各インビトロ診断デバイスについての目標値もしくは初期設定値を供給し、アッセイ関連データを保持し、制御ユニットに接続された他のデバイスの評価を含むか、またはたとえばデバイスの機械的もしくは技術的問題に関するデバイス製造者もしくは他のインビトロ診断デバイスの警告メッセージを利用可能にすることができる。データベースは、さらに、上記で説明したような患者アッセイに関するデータ、たとえば、1つ、複数、もしくは多数のインビトロ診断デバイスの、または実行された多数のアッセイの、場合により、様々なアッセイ試薬バッチを用いて実行された様々なアッセイなどの、履歴データまたは最新データを含むことができる。
【0056】
さらに、制御ユニットは、データベースにデータおよび評価結果を保存し、それらを他のもしくは今後の評価のプロセスまたは他の目的のために利用可能にすることができる。
【0057】
制御ユニットに送信される、基準値からの較正/対照測定パラメータまたは較正曲線の差の評価の後に、基準値は制御ユニットによって修正される。本発明によるシステムの制御ユニットは、それに応じて、基準値を修正し、それをインビトロ診断デバイスに送信するように構成されている。「修正」とは、この場合は、送信された差に応じた基準値の上昇または低下でよい。その後、修正された、すなわち、上昇または低下された基準値は、差を報告したインビトロ診断デバイスに戻される。このような送信は、
図1に示されているように、特定の実施形態において補正要素を介して実行することができる。インビトロ診断デバイスは、その後、すなわち送信後に、基準値の新たな修正があればそれが制御ユニットによって実行されるまで、その修正された基準値に基づいてすべてのさらなるアッセイまたは試験を実行する。
【0058】
基準値の修正は、特定の実施形態において、詳細には閾値法によって制御することができる。その場合に、それを超えて修正を実行するべき、値、メッセージ数、および値の分散を(たとえば、測定値の基準偏差および/または絶対数を確立することによって)確立することができる。さらに、インビトロ診断デバイスの特定の修正が送信されるかどうか、および/またはその修正がグループのデバイスに送信されるかもしくはすべてのデバイスに送信されるかを選択することが可能である。
【0059】
基準値の修正は、好ましくは、その基準値のための補正係数を生成することによって実行される。「補正係数」という用語は、本明細書で用いられるとき、たとえばアッセイ較正またはデバイス値について、インビトロ診断デバイスで使用される基準値に関する変更指示を指す。変更指示は、たとえば、値の上昇または値の低下を生み出すことができる。これは、絶対値標示、数式、または割合変更標示によって行うことができる。
【0060】
補正係数は、様々な部分補正係数またはグループの補正係数から構成可能であり、それらは、場合により、デバイスの関連する構成要素に、個別に送信し、別々に割り当てることができ、インビトロ診断デバイスの様々な偏差シナリオに関する。
【0061】
たとえば、基準値は、基準値からのインビトロ診断デバイスの個々の偏差に基づいて決定される補正係数によって修正することができる。その偏差は、典型的には、デバイスの技術的機能に、または代替的に、デバイス位置、アッセイ実施日の温度、空気湿度、振動、日照、オペレータ要員、時間などの環境変数に関するものでよい。対応する偏差、および場合により追加的なパラメータは、デバイス自体によって確認できるか、または代替的に、たとえばデバイスにセンサがない場合に、その位置での追加的な外部パラメータ取得によって得ることができる。
【0062】
さらに、基準値は、基準値からの1つまたは好ましくは複数のインビトロ診断デバイスのアッセイ試薬バッチ依存の偏差に基づいて決定される補正係数によって修正することができる。このような偏差は、先に言及したように、バッチの耐用期間にわたるまたは複数のインビトロ診断デバイスに採用されているバッチに対する変動パターンでよい。典型的には、その偏差は、固定期間の間に確立され、動的に変化することがある。それに対応して、補正係数は、追跡され、最新の偏差に合わせて調整される必要がある。
【0063】
さらに、基準値は、患者アッセイの先行測定データ、対照、および/または較正からの患者アッセイの測定データの偏差に基づいて決定される補正係数によって修正することができる。このような偏差は、好ましくは、先に言及したように、ある位置の、または複数、好ましくは多数の位置の多数の患者アッセイデータを、すなわち多数のインビトロ診断デバイスを用いて実行されたアッセイを評価することによって識別することができる。好ましくは、患者アッセイデータの評価は、特定の問題領域に対する偏差の割当てを容易にするために、さらなる評価結果、たとえば、アッセイ試薬偏差およびデバイス特有の偏差との比較を含む。
【0064】
さらに、基準値は、基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスタイプ依存の偏差に基づいて決定される補正係数によって修正される。デバイスタイプ依存の偏差は、典型的には、特定の構成要素またはインビトロ診断デバイスの特性によって引き起こされる変動であり、その変動は、特定のタイプ、構築年、製造場所、または生産地などのすべてのまたは多数のインビトロ診断デバイスにおいて識別可能である。偏差の挙動において識別されるパターンは、すべての対応するデバイスに対する補正係数によって補償可能である。
【0065】
さらに、基準値は、基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスシステム構成要素依存の偏差に基づいて決定される補正係数によって修正することができる。デバイスシステム構成要素は、ハードウェアチェックもしくは光学関係、電圧、電流、温度などのパラメータの技術的測定によって、または基準値からの偏差に関するデバイス自己試験の形態で、チェック可能である。このような偏差は、デバイス特有のものでよく、すなわち、特定のデバイスにまたはグループのデバイスにだけ起こる。対応する補正係数は、その個々のデバイスまたはそのグループのデバイスに送信される。個々の補正係数の送信は、特定の実施形態において、所定の閾値を上回る/下回ることに応じて行うことができる。
【0066】
概して、基準値からの本明細書に記載されているパラメータの1つの個々の偏差は、特定のデバイスまたは特異的に使用される試薬などの機能不全に関する信号とすることができる。個々の偏差が起こったが、他のインビトロ診断デバイスにおいて変動パターンとして見つけられない場合は、好ましくは、補正係数の代わりに、警告メッセージがインビトロ診断デバイスおよび/またはオペレータ責任者に送信される。
【0067】
さらに、基準値は、多数のインビトロ診断デバイスにおける測定もしくは較正/対照測定パラメータからの、測定もしくは較正/対照測定パラメータの偏差に基づいて決定される補正係数によって修正することができる。多数のインビトロ診断デバイスにおける較正/対照測定パラメータからの偏差は、多数のデバイスに接続されている制御ユニットによって評価することができる。統計的に評価可能な量のデータによる倍増作用によって、偏差の傾向はより迅速かつより正確に判定することができる。それに対応して、補正係数は、分析されるグループのすべてのデバイスに対して細かく調整することができる。このように、非常に効率的な閉じた制御ループが確立され、それは、対応する基準値の手動のまたは個々の補正を不要にし、同時に、エラーおよび値の偏差を効率的に避けるリアルタイムのモニタリングを可能にする。
【0068】
さらに、基準値は、デバイスシステム構成要素依存の偏差、アッセイ試薬バッチ依存の偏差、および/または患者アッセイの測定データからの偏差の組合せに基づいて決定される補正係数によって修正可能である。他の実施形態において、その補正係数は、先に言及したように、さらなる偏差と組み合わせることによって決定することができる。その場合に、補正係数は、個々の補正係数として、インビトロ診断デバイスに送信可能であり、影響を受ける領域すべてに測定の変動が補償されるようにデバイスソフトウェアによって実装可能であるか、または補正係数は、それぞれ偏差している構成要素に対する部分補正係数のグループとして、送信可能である。
【0069】
本発明の他の好ましい実施形態において、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスは、規則的な時間間隔で、規定された基準値からの、先に規定されるような内部較正/対照測定パラメータの偏差を判定するように構成されている。それらの時間間隔は、測定予定のパラメータ、デバイスタイプ、アッセイタイプ、試薬、試薬の有効期間、または他の因子に応じて変わることがある。たとえば、判定は、1、12時間、1、2、3、4、5、6日、1、2、3週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11か月、1年に1回など、またはインビトロ診断デバイス、アッセイ試薬、もしくはシステム構成要素の耐用期間、もしくは耐用期間の一部に1回、実行することができる。さらに、判定は、稼働シフトごとに、オペレータの交代ごとに、特定の回数のアッセイを実行した後、たとえば、10回目、20回目、30回目、40回目、50回目、100回目、500回目のアッセイの後になどに実行可能である。判定の実施は、インビトロ診断デバイス自体によって始動可能であるか、または制御ユニットによって開始することができる。
【0070】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つのインビトロ診断デバイスの内部較正/対照測定パラメータの規定された基準値を修正する方法に関し、インビトロ診断デバイスにおいて測定された内部較正/対照測定パラメータが基準値からの偏差を有する。その場合に本方法は、好ましくは本明細書に規定されているように少なくとも1つの制御ユニットに偏差を送ることと、制御ユニットにおいてその偏差を評価することと、偏差に基づいて修正された基準値を、偏差を検出したインビトロ診断デバイスに送信することとを含む。
【0071】
特定の実施形態において、患者アッセイの測定データは、本発明によるシステムの文脈に示されているように、制御ユニットにさらに送られる。
【0072】
特に好ましい実施形態において、内部較正/対照測定パラメータの初期測定からの偏差および/または規定された基準値からの内部較正/対照測定パラメータの偏差は、規定された時間間隔で送られる。たとえば、そのように送ることは、1、12時間、1、2、3、4、5、6日、1、2、3週間、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11か月、1年に1回など、またはインビトロ診断デバイス、アッセイ試薬、もしくはシステム構成要素の耐用期間、もしくは耐用期間の一部に1回、行うことができる。
【0073】
特定の工程において、本発明による方法は、本明細書に規定されているようにインビトロ診断を実行するために使用されるアッセイ試薬と関連する内部較正/対照測定パラメータまたはデバイスシステム構成要素パラメータの偏差を送信および評価することを含む。さらに、本明細書に規定されているように、使用されるアッセイ試薬バッチ、デバイスシステム構成要素、および/またはデバイスタイプに応じて規定された基準値からの偏差を送信および評価することが含まれる。好ましくは、これは、多数のインビトロ診断デバイスの内部較正/対照測定パラメータまたはその偏差を含む。
【0074】
本発明による方法の特に好ましい一実施形態において、本明細書で規定される基準値は補正係数によって修正される。その補正係数は、先に詳細に言及したように、(i)基準値からのインビトロ診断デバイスの個々の偏差、(ii)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのアッセイ試薬バッチ依存の偏差、(iii)患者アッセイの先行測定データからの患者アッセイの測定データの偏差、(iv)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスタイプ依存の偏差、(v)基準値からの複数のインビトロ診断デバイスのデバイスシステム構成要素依存の偏差、(vi)多数のインビトロ診断デバイスにおける測定もしくは較正/対照測定パラメータからの、測定もしくは較正/対照測定パラメータの偏差、ならびに/または(vii)デバイスシステム構成要素依存の偏差、アッセイ試薬バッチ依存の偏差、および/もしくは患者アッセイの測定データからの偏差の組合せ、に基づいて決定される。
【0075】
例および図は例示のために示されている。したがって、それらの例および図は限定的と解釈するべきではないことを理解されたい。当業者は、本明細書に記載されている原理のさらなる修正を明確に想定することができる。
【実施例0076】
実施例1
以下の説明は、第1の試薬バッチ(バッチ#1)を用いたaPTTアッセイに関する。この事例では、そのアッセイにバッチ特有の値を製造完了時に割り当てた。アッセイは基準化された生理学的試料に対して上側の正常値(31秒)を示す。
【0077】
このアッセイおよびバッチを使用し、実際に同じ値の再現性をもたらすことが意図された対照物質を採用する、インビトロ診断システムすべての得られた測定データから、結果の平均値が規定期間の3か月にわたって継続して増大したことが見出された。
【0078】
使用したオフセット検出器は、3か月間の期間に2.7秒の上昇を示した。
【0079】
18か月間の動作時間にわたってさらに線形に上昇し続けると、これは人為的な誤った結果が当初の31秒から2.7秒上昇して33.7秒になることを意味することになる。
【0080】
オフセット検出器は差を算定し、制御要素は結果として得られる補正係数をそこから決定した。したがって、アッセイアプリケーションは、信号値が上昇しているにもかかわらず測定値を補正し、検査室および医療従事者にそれらを供給することを示すことができた(
図3も参照)。