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特開2024-121642裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121642
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/102 20140101AFI20240830BHJP
【FI】
C09D11/102
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028849
(22)【出願日】2023-02-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100131587
【弁理士】
【氏名又は名称】飯沼 和人
(72)【発明者】
【氏名】馬場 健介
(72)【発明者】
【氏名】川田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】篭橋 福太郎
【テーマコード(参考)】
4J039
【Fターム(参考)】
4J039AD05
4J039AD08
4J039AD09
4J039AE04
4J039BA13
4J039BA35
4J039BB01
4J039BC08
4J039BC20
4J039BC61
4J039BE01
4J039BE12
4J039CA07
4J039EA16
4J039EA18
4J039EA36
4J039EA42
4J039EA44
4J039EA48
4J039FA02
4J039GA03
(57)【要約】
【課題】インキの保存安定性、接着剤濡れ性、耐ブロッキング性、耐摩擦性、ドクター切れ性、ガイドロール取られ等の印刷適性に優れ、且つ印刷物の耐レトルト適性に優れる裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を提供すること。
【解決手段】顔料、バインダー樹脂としてアミノ基及び水酸基を有するポリウレタン樹脂、有機溶剤、及び、JIS K 2207で規定された25℃における針入度が4.0~14.0であり、平均粒子径が3.0~10.0μmである炭化水素系ワックスを裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して0.05~5.0質量%含有する、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、バインダー樹脂としてアミノ基及び水酸基を有するポリウレタン樹脂、有機溶剤及び、JIS K 2207で規定された25℃における針入度が4.0~14.0であり、平均粒子径が3.0~10.0μmである炭化水素系ワックスを裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して0.05~5.0質量%含有する、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項2】
前記炭化水素系ワックスがポリエチレンワックスである請求項1に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂が、アミン価1.0~13.0mgKOH/g、水酸基価0.5~12.0mgKOH/gである請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項4】
前記ポリウレタン樹脂が、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を有し、且つ分子末端及び分子末端以外の部位に水酸基を有するポリウレタン樹脂である請求項1又は2記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項5】
水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有する請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項6】
前記有機溶剤が、エステル系有機溶剤及びアルコール系有機溶剤を含有する混合溶剤である請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項7】
更に、水を含有する請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に包装資材等用のフィルムに印刷するための裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、菓子、生活雑貨、ペットフード等には意匠性、経済性、内容物保護性、輸送性等の点から、各種プラスチックフィルムを使用した包装材料が使用されている。また、多くの包装材料には、消費者へアピールする意匠性、メッセージ性の付与を意図してグラビア印刷やフレキソ印刷が施されている。
そしてこれらの包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷される刷りっぱなし印刷、あるいは包装材料の基材フィルムの表面に印刷した印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、フィルムにラミネート加工を施すための印刷が行われる。
【0003】
フィルムにラミネート加工を施すための印刷では、ポリエステル、ナイロン、アルミニウム箔、箔等の各種フィルム上に色インキ組成物、白インキ組成物を順次印刷後、該白インキ組成物の印刷層上に、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いたエクストルージョンラミネート加工等によりヒートシールを目的としたポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等が積層されている。
裏刷り印刷で使用される裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物としては、バインダー樹脂として、ポリプロピレングリコール含有ポリウレタン樹脂、及び水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を、密着性を向上させるために必須成分とし含有する裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
近年、印刷物の美粧化及び印刷後の塗膜物性が要求されるようになってきており、印刷時の接着剤濡れ性、耐ブロッキング性、耐摩擦性、ドクター切れ、ガイドトール取られ等の印刷適性が要求され、印刷物のラミネート適性等の印刷後の塗膜物性も要求されるようになってきている。
従来の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を使用した場合、ガイドロール取られが十分でなくガイドロールに付着したインキが、印刷面に再転移して汚れが発生する、ドクター切れが十分でなくドクター筋が発生する等の問題、接着剤の濡れ性が十分でなく耐レトルト適性が低下する等全てを満足するような裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-298618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、インキの保存安定性、接着剤濡れ性、耐ブロッキング性、耐摩擦性、ドクター切れ性、ガイドトール取られ等の印刷適性に優れ、且つ印刷物の耐レトルト適性に優れる裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、下記の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物とすることにより、上記課題を解決しうることを見出し、以下の本発明とするに至った。
1.顔料、バインダー樹脂としてアミノ基及び水酸基を有するポリウレタン樹脂、有機溶剤、JIS K 2207で規定された25℃における針入度が4.0~14.0であり、平均粒子径が3.0~10.0μmである炭化水素系ワックスを裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して0.05~5.0質量%含有する、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
2.前記炭化水素系ワックスがポリエチレンワックスである1に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
3.前記ポリウレタン樹脂が、アミン価1.0~13.0mgKOH/g、水酸基価0.5~12.0mgKOH/gである1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
4.前記ポリウレタン樹脂が、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を有し、且つ分子末端及び分子末端以外の部位に水酸基を有するポリウレタン樹脂である1~3のいずれか記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
5.水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有する1~4のいずれかに記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
6.前記有機溶剤が、エステル系有機溶剤及びアルコール系有機溶剤を含有する混合溶剤である1~5のいずれかに記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
7.更に、水を含有する1~6のいずれかに記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、インキの保存安定性、接着剤濡れ性、耐ブロッキング性、耐摩擦性、ドクター切れ性、ガイドトール取られ等の印刷適性に優れ、且つ印刷物の耐レトルト適性に優れる裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を提供することができる。なお、表刷りインキ組成物は、その印刷層上にラミネートをしないので、これら効果の多くとは別の効果を必要とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、顔料、バインダー樹脂としてアミノ基及び水酸基を有するポリウレタン樹脂、有機溶剤を含む裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物であって、さらに、さらに、JIS K 2207で規定された25℃における針入度(硬度)が4.0~14.0であり、平均粒子径が3~10μmである炭化水素系ワックスを裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して0.05~5.0質量%含有する裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物である。
以下、本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物について具体的に説明する。
【0010】
<顔料>
本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に使用する顔料としては、従来からグラビアインキで使用されている、無機着色顔料、有機着色顔料、体質顔料等ができる。無機着色顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が例示される。有機着色顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が例示される。体質顔料としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等が例示される。
これら顔料の印刷インキ組成物中での含有量は、通常1~50質量%程度である。
【0011】
<ポリウレタン樹脂>
ポリウレタン樹脂として、アミノ基及び水酸基を有するポリウレタン樹脂を使用できる。
アミノ基及び水酸基を有するポリウレタン樹脂の中でも、分子の末端に第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれる1種以上を有するポリウレタン樹脂が好ましく、分子の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上を有し、且つ末端及び末端以外の部位に水酸基を含有するポリウレタン樹脂がより好ましい。
【0012】
ポリウレタン樹脂は、上記アミノ基及び水酸基のような特定の官能基を有することで、裏刷り用印刷インキ組成物が優れた保存安定性、印刷適性、接着性及びラミネート適性を有することになる。
上記ポリウレタン樹脂のアミン価は、1.0mgKOH/g以上が好ましく、1.5mgKOH/g以上がより好ましい。また13.0mgKOH/g以下が好ましく、11.0mgKOH/g以下がより好ましく、10.0mgKOH/g以下が更に好ましい。加えて、さらなる良好な接着性を示すために、水酸基価は0.5mgKOH/g以上が好ましく、1.0mgKOH/g以上がより好ましく、3.0mgKOH/g以上が更に好ましい。また12.0mgKOH/g以下が好ましく、11.0mgKOH/g以下がより好ましく、10.0mgKOH/g以下が更に好ましい。
上記アミン価が1.0mgKOH/g未満であると、本発明のフィルム用印刷インキ組成物のフィルムに対する接着性が低下する可能性があり、更に、ラミネート適性が低下する可能性がある。上記アミン価が13.0mgKOH/gを超えると、耐ブロッキング性が低下する可能性がある。
上記水酸基価が0.5mgKOH/g未満であると、再溶解性、接着性が低下する可能性がある。上記水酸基価が12.0mgKOH/gを超えると、耐ブロッキング性が低下する傾向がある。
【0013】
なお、本発明において、上記アミン価は固形分1gあたりのアミン価を意味し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法(例えば、COMTITE(AUTO TITRATOR COM-900、BURET B-900、TITSTATION K-900)、平沼産業社)によって測定した後、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
なお、本発明において、上記水酸基価は、JIS K1557-1:2007に規定する方法を応用することによって求めることができる。すなわち、アセチル化試薬(例えば、無水酢酸)を含むピリジン溶液に試料であるポリウレタン樹脂を溶解させることによって水酸基をアセチル化させた後、過剰のアセチル化試薬を水によって加水分解し、生成した酢酸の量を水酸化カリウムで滴定して求める。このとき、ポリウレタン樹脂に含まれるカルボキシル基も水酸化カリウムにより滴定されてしまうため、上記滴定結果からポリウレタン樹脂の酸価を減じることで水酸基価(mgKOH/g)が計算される。
【0014】
ポリウレタン樹脂について詳細に説明する。
ポリウレタン樹脂としては、ポリウレタンポリウレア樹脂、及び/又はポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂が好ましい。そして、このようなポリウレタンポリウレア樹脂に、ポリウレタンポリウレア樹脂ではないポリウレタン樹脂を併用しても良く、併用しなくても良い。
ポリウレタンポリウレア樹脂は、有機ジイソシアネート成分と高分子ジオール成分から得たウレタンプレポリマーを、鎖伸長及び/又は末端停止させてポリウレタンポリウレア樹脂としたものである。
そして、ケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂は、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤として、a.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を、ウレタンプレポリマーと反応させて得られたポリウレタンポリウレア樹脂、b.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を、ウレタンプレポリマーに加え撹拌混合し、更に水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂としたものである。ケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂を使用することにより得られる裏刷り用ランネート印刷インキ組成物のアミン臭が低下し、経時安定性が優れる。
ポリウレタンポリウレア樹脂は、環境面を考慮するとバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を含有していてもよい。
【0015】
<ポリウレタンポリウレア樹脂>
ポリウレタンポリウレア樹脂は、水酸基及び分子の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上を有するポリウレタンポリウレア樹脂である。これらのポリウレタンポリウレア樹脂としては、有機ジイソシアネート化合物と、高分子ジオール化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、これに下記の鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂を好適に使用できる。
(ウレタンプレポリマーの合成)
上記の各ウレタンプレポリマーは、以下の有機ジイソシアネート化合物と、高分子ジオール化合物を反応して得る。
【0016】
(有機ジイソシアネート化合物)
上記有機ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート(水添MDI)等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び 、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。これらの有機ジイソシアネート化合物は、1種又は2種以上を混合して使用できる。中でも脂環族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物及び芳香脂肪族ジイソシアネート化合物がより好ましい。
また、その他の有機ジイソシアネート化合物として、1,3-及び/又は1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4-ジイソシアナトビフェニル、3,3-ジメチル-4,4-ジイソシアナトビフェニル等の芳香族ジイソシアネート化合物、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)等の脂環族ジイソシアネート化合物、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、m-及び/又はp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物も利用できる。その他の有機ジイソシアネート化合物を併用する場合には、全有機ジイソシアネート化合物のイソシアネート基数の合計に対して、その他の有機ジイソシアネート化合物のイソシアネート基の数が50%以下となるように併用できるが、より好ましくは30%以下、更に好ましくは10%以下である。又は全有機ジイソシアネート化合物100質量部中、その他の有機ジイソシアネート化合物を50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
【0017】
(高分子ジオール化合物)
上記高分子ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上を縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等が挙げられる。これらの高分子ジオール化合物は、1種又は2種以上を混合して使用できる。更に上記高分子ジオール化合物に加えて、1,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の低分子ジオール化合物を1種又は2種以上混合して併用することもできる。また、上記高分子ジオール化合物としては、数平均分子量が1,000~8,000のものが好ましく、1,000~5,500のものがより好ましく、1,000~4,000のものが更に好ましい。また、上記高分子ジオール化合物としては、3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールを含有するものを選択できる。このとき、その他の高分子ジオール化合物として、下記のものを併用することができる。3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール以外の高分子ジオール化合物としては、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上とを縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物、更に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物等が挙げられる。これらの高分子ジオール化合物を、単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0018】
上記の中でも、アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールを縮合反応させて得られた数平均分子量が1,000~8,000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールが好ましく、更に数平均分子量1,000~4,000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールが好ましい。その他の高分子ジオール化合物を併用する場合には、全高分子ジオール化合物の水酸基数の合計に対する、その他の高分子ジオール化合物の水酸基の数が70%以下となるように併用できるが、より好ましくは55%以下、更に好ましくは40%以下である。又は全高分子ジオール化合物100質量部中、その他の高分子ジオール化合物を50質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。なお、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の有機溶剤が、後述するエステル系溶剤とアルコール系溶剤との混合溶剤系(以下場合により「混合液」という。)を用いる場合には、高分子ジオール化合物としてポリエーテルジオール化合物、好ましくはポリプロピレングリコールを使用すると、得られるポリウレタン樹脂の溶解性が高くなる傾向があり、また、階調再現性、かぶり防止性等の印刷適性が良好となる傾向があり、必要とする性能に合わせて幅広く印刷インキ組成物の設計が可能となる点で好ましい。
【0019】
(バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂)
ポリウレタン樹脂としては、環境面を考慮するとバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を含有していてもよい。バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂について以下に説明する。なお、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂の説明のうち、上記したポリウレタンポリウレア樹脂と共通する説明は適宜省略する。バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂は、バイオマス由来(植物由来)の成分を含むポリウレタン樹脂である。バイオマスポリウレタン樹脂は、他の枯渇性資源を用いる場合と比較して地球温暖化防止や環境負荷低減の点で貢献できる。そして、バイオポリエステルポリオール化合物と有機ジイソシアネート化合物との反応によりバイオマスウレタンプレポリマーを合成し、これに必要に応じて鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂であることが好ましく、イソシアネート化合物が植物由来のバイオイソシアネートであることがより好ましい。
【0020】
(イソシアネート化合物)
上記ポリウレタンポリウレア樹脂で説明した有機ジイソシアネート以外に植物油由来のジイソシアネートを使用できる。植物油由来の有機ジイソシアネート化合物としては、植物由来の二価カルボン酸を酸アミド化、還元することで末端アミノ基に変換し、更に、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。植物由来のバイオポリイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、植物由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによっても植物由来のイソシアネート化合物を得ることができる。例えば、リジンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートはリシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。
【0021】
(バイオポリエステルポリオール化合物)
バイオポリエステルポリオール化合物(バイオマスポリエステルポリオール)について説明する。バイオポリエステルポリオール化合物として、炭素数が2~4の短鎖ジオール化合物と、カルボン酸化合物とを反応させたバイオポリエステルポリオールを採用できる。バイオポリオール成分は、短鎖ジオール化合物及びカルボン酸化合物のうち、少なくともいずれか一方が植物由来であることがより好ましく、両方が植物由来であることが更に好ましい。植物由来の炭素数が2~4の短鎖ジオール化合物は特に限定されない。一例を挙げると、短鎖ジオール化合物は、以下の方法により植物原料から得られる、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等であってもよい。これらは併用されてもよい。1,3-プロパンジオールは、植物資源(たとえばトウモロコシ等)を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3-ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て、製造され得る。上記発酵法のようなバイオ法で製造された1,3-プロパンジオール成分は、EO製造法の1,3-プロパンジオール成分と比較して、安全性の面で優れており、乳酸等有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能である。1,4-ブタンジオールは、植物資源からグリコールを製造し発酵することによってコハク酸を得て、これを水添することにより製造され得る。また、エチレングリコールは、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造され得る。
【0022】
植物由来のカルボン酸化合物は特に限定されない。一例を挙げると、カルボン酸化合物は、セバシン酸、コハク酸、乳酸、グルタル酸、ダイマー酸等である。これらは併用されてもよい。これらの中でも、カルボン酸化合物は、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群から選択される少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。また、活性水素基を1分子中に3個以上有する分子量300以下の有機酸を含んでもよい。なお、このような有機酸成分は特に限定されない。
バイオポリエステルポリオール化合物は、植物由来の短鎖ジオール化合物と植物由来のカルボン酸とを、適宜縮合反応させて、100%植物由来のバイオポリエステルポリオールとして生成される。具体的には、植物由来のセバシン酸と、植物由来の1,3-プロパンジオールとを直接脱水縮合させて、ポリトリメチレンセバケートポリオールが得られる。また、植物由来のコハク酸と、植物由来の1,4-ブタンジオールとを直接脱水縮合して、ポリブチレンサクシネートポリオールが得られる。これらの各バイオポリエステルポリオール化合物を1種以上使用してもよい。これらの植物由来の成分を使用して得られたウレタンプレポリマーは、全ウレタンプレポリマー中、固形分換算で、10質量%以上含まれても良く、40質量%以上含まれても良い。
【0023】
(鎖伸長剤及び反応停止剤)
次に、上記ポリウレタンポリウレア樹脂、上記バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂で使用する鎖伸長剤及び反応停止剤について説明する。
上記鎖伸長剤としては、印刷インキ組成物用バインダーとしてのポリウレタンポリウレア樹脂で利用される既知の鎖伸長剤が利用可能であり、例えば、ポリアミン化合物の中でも、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(アミノエチルエタノールアミン)、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’-ジ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物が挙げられる。更に、ポリウレタンポリウレア樹脂がゲル化しない範囲で、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン化合物を併用することができる。ポリウレタンポリウレア樹脂の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基を導入する反応停止剤としては、ポリアミン化合物として、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(アミノエチルエタノールアミン)、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等を例示できる。この中でも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等の第1級アミノ基を有するポリアミンが好ましい。ポリウレタンポリウレア樹脂に水酸基を導入する反応停止剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類が例示できる。また、既知の反応停止剤であるモノアミン化合物、モノアルコール化合物が利用可能であり、具体的には、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン等のモノアルキルアミン類、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類、エタノール等のモノアルコール類を例示することができる。
【0024】
上記ポリウレタンポリウレア樹脂、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂の製造方法としては、上記材料を用いて、公知のポリウレタン樹脂の製造方法がそのまま使用できる。また、それぞれの成分の質量平均分子量や化学構造、また当量比が異なると、得られるポリウレタン樹脂の硬さも異なることから、これら成分を適宜組み合わせることによって、印刷適性やラミネート適性を調節することが可能である。上記ポリウレタンポリウレア樹脂、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂の質量平均分子量としては、10,000~70,000であることが好ましく、更に20,000~60,000であることがより好ましい。更に、適度な柔軟性とラミネート強度を高めるため、上記ポリウレタン樹脂として、ウレア結合を有しない質量平均分子量は1,000~6,000のポリウレタン樹脂を配合することもできる。
【0025】
(有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応)
また、上記有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物を反応させる際の、それぞれの使用比率は、イソシアネート基:水酸基の当量比(イソシアネートインデックス)が、通常、1.2:1.0~3.0:1.0、より好ましくは1.2:1.0~2.2:1.0となる範囲である。上記のイソシアネートインデックスが1.2より小さくなると、柔軟なポリウレタンポリウレア樹脂、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂になる傾向があり、印刷インキ組成物を印刷した時に耐ブロッキング性等が低い可能性があり、この場合、他の硬質の樹脂と併用することが必要となる場合がある。
本発明にて使用されるポリウレタンポリウレア樹脂、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を得るための有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応時において、触媒を使用することができる。中でも有機金属系化合物を使用することが好ましく、このような有機金属系化合物として、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、及びブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン化合物、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、トリブチル錫アセテート、トリブチル錫クロライド、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫トリクロロアセテート、及び2-エチルヘキサン酸錫等の錫化合物、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、及びナフテン酸鉛等の鉛化合物、更に、2-エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネート、安息香酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム等がある。そして、これらの中でもテトラブチルチタネート等のチタン化合物が好ましい。また3級アミン化合物を使用でき、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、及び1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7(DBU)を使用することができる。
【0026】
(ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂)
ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂は、上記の鎖伸長剤及び/又は反応停止剤のうち、ポリアミン化合物を予め過剰量のケトン化合物によりケチミン化してなるケチミン化合物を使用し、c.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を採用して、ウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーと反応させることにより、d.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を採用して、ウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーに加え撹拌混合し、更に水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行うことによりポリウレタンポリウレア樹脂、バイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を製造して得る。特に、上記の鎖伸長剤及び反応停止剤のなかから、イソホロンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン及びエチレンジアミンから選ばれる1種以上を採用することが好ましい。ケトン化合物によりケチミン化されたポリアミン化合物は、ケトン化合物の酸素原子が、ポリアミン化合物のアミノ基の窒素原子によって置換された構造を有する。また、使用するケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトンが好ましい。このケチミン化反応においてはケトン化合物以外の溶媒を使用しないことが好ましい。但し、ケトン化合物以外の溶媒として、アルコール化合物を使用できる。なかでもイソプロピルアルコールを使用できる。この、ケトン化合物以外の溶媒を使用しないことは、無溶剤条件下でケチミン化すると定義する。なお、その後の鎖伸長反応や、ポリウレタンポリウレア樹脂及びバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂が臭気を有しないという点を阻害しない範囲で、無溶剤条件下ではなく、極性有機溶媒を配合しても良い。本発明は、ケチミン化された、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤を使用して上記c又はdの方法で鎖伸長や反応停止をさせる工程を経て得たポリウレタンポリウレア樹脂及び/又はバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を含有する印刷インキ組成物であってもよく、その印刷インキ組成物及び印刷された印刷物はケチミン臭を発生させない。また、印刷面に対して、ドライラミネート、押出ラミネート等の手段によりラミネートしたときの剥離強度を高くすることができる。なお、ケチミン化されたアミン等は鎖伸長剤として使用してもよく、反応停止剤として使用してもよく、鎖伸長剤と反応停止剤の双方として使用してもよい。
【0027】
(ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂の合成)
有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応により得られたウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーに対して、ポリアミン化合物を予め過剰量のケトン化合物によりケチミン化してなるケチミン化合物を使用し、e.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を採用し、ウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーと反応させることにより、f.有機溶剤中でポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を採用し、ウレタンプレポリマー及び/又はバイオマスウレタンプレポリマーに加え撹拌混合し、更に水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行うことにより、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂及びバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物を使用して得られるポリウレタンポリウレア樹脂及びバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を得ることができる。反応の際に溶剤を使用するときには、エステル系溶剤及び/又はアルコール系溶剤が好ましく、エステル系溶剤とアルコール系溶剤の混合物がより好ましく、酢酸プロピルとイソプロピルアルコールの混合物が更に好ましく、質量比で、酢酸プロピル:イソプロピルアルコール=1:1~5:1の範囲が最も好ましい。
上記ポリウレタン樹脂、バイオマスポリウレタン樹脂としては、酸変性されたポリウレタン樹脂及び/又は酸変性されたバイオマスポリウレタン樹脂も採用できる。上記ポリウレタン樹脂及び/又はバイオマスポリウレタン樹脂と共に使用してもよく、酸変性されたポリウレタン樹脂及び/又は酸変性されたバイオマスポリウレタン樹脂のみを使用しても良い。
酸変性されたポリウレタン樹脂、酸変性されたバイオマスポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂を構成する高分子ジオール化合物として、前記高分子ジオール成分と無水ピロメリット酸などの四塩基酸無水物を反応させるか、あるいは、ジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸等を開始剤として、ラクトン類を開環重合して得られる遊離のカルボキシル基を有する高分子ジオール化合物を使用するか、ポリウレタン樹脂を構成する高分子ジオール化合物とともにジメチロールプロピオン酸やジメチロールブタン酸等のヒドロキシカルボン酸を使用することにより、従来公知の方法で得られるものを使用する事ができる。酸変性されたポリウレタン樹脂、酸変性されたバイオマスポリウレタン樹脂の酸価は70mgKOH/g以下が好ましい。
【0028】
(他のバインダー樹脂)
ポリウレタン樹脂と、任意に併用できる他のバインダー樹脂について以下に説明する。
<塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体>
裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に配合しても良い塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体としては、従来、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に使用されている塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーを必須成分とし、必要に応じて、プロピオン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等の脂肪酸ビニルモノマー、水酸基等の官能基を有するモノマーを共重合成分として、公知の方法で製造したものが使用できる。
水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、酢酸エステル部分の一部をケン化すること、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを導入することにより得られる。
酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得られた水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体の場合では、分子中の塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式1)、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式2)、及び酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位(下記式3)の比率により樹脂の皮膜物性や溶解挙動が決定される。すなわち、塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位は樹脂皮膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位は接着性や柔軟性を付与し、酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位は環境に配慮した印刷インキ組成物の有機溶剤系への良好な溶解性を付与する。
式1 -CH2-CHCl-
式2 -CH2-CH(OCOCH3)-
式3 -CH2-CH(OH)-
なお、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物で使用する、後記の有機溶剤に対する溶解性や印刷適性の点から、上記塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、分子内に各種官能基を有していても良い。
また、上記有機溶剤として環境に配慮した溶剤が使用されるときは、上記塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、50~200mgKOH/gの水酸基を有していることが好ましい。このような塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体の市販品としては、例えば、ソルバインA、AL、TA5R、TA2、TA3、TAO、TAOL等を使用することが好ましい。
【0029】
<塩化ビニル・アクリル系共重合体>
裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に配合できる塩化ビニル・アクリル系共重合体は、塩化ビニルとアクリルモノマーの共重合体を主成分とするものであり、共重合体の形態は特に限定されない。例えば、アクリルモノマーはポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフト共重合されていても良い。
アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するアクリルモノマー等を用いることができる。(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。
水酸基を有するアクリルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のグリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。
また、アクリルモノマーとして、水酸基以外の官能基を有するアクリルモノマーを用いることもできる。水酸基以外の官能基の例としてはカルボキシル基、アミド結合基、アミノ基、アルキレンオキサイド基等が挙げられる。
上記塩化ビニル・アクリル系共重合体は、質量平均分子量が10,000~70,000であることが好ましい。
また、上記有機溶剤として環境に配慮した溶剤への溶解性、基材に対する接着性の点から、上記塩化ビニル・アクリル系共重合体は、50~200mgKOH/gとなるように水酸基を有していることが好ましい。
裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体を含有する場合には、ポリウレタン樹脂と(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)とを、ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)=98/2~45/55(質量比)で含有することができ、好ましくは95/5~70/30、更に好ましくは92/8~80/20である。
なお、ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体)では95/5~75/25の範囲としても良く、ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・アクリル系共重合体)では95/5~85/15の範囲としても良い。
そして、98/2~45/55の割合で、ポリウレタン樹脂と塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体とを含有することで、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物は、フィルムに対する更に優れた印刷適性及び接着性を有することとなる。更に、ラミネート加工が行われる場合、より優れたラミネート適性を有することとなる。
上記ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)が98/2を超える場合、(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)の割合が少なくなる可能性があり、また、上記フィルムに対する接着性が不十分となる。
一方、上記ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)が45/55を下回る場合、(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)の割合が多くなり、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を用いて形成する印刷物が硬くなり、やはり上記フィルムに対する接着性が不十分となる可能性がある。
また、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物中の、上記ポリウレタン樹脂及び塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体を合わせた含有量は、5~30質量%が好適である。
また、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物には、本発明の目的とする性能を低下させない範囲で、密着性向上剤及びブロッキング防止剤から選ばれる1種以上を含有でき、好ましくは、密着性向上剤とブロッキング防止剤を併用することが好ましい。
【0030】
(密着性向上剤)
裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に配合できる密着性向上剤としては、ロジン及びその誘導体、塩素化ポリプロピレン、ダンマル樹脂等が例示でき、ロジン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種以上、より好ましくは2種以上を含有させることが望ましい。
【0031】
(ロジン及びその誘導体)
ロジンとしては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等が挙げられる。一般的にロジンは松から得られる琥珀色、無定形の樹脂であり、天然から得られるため混合物であるが、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸という構成成分ごとに単離して用いても良く、本発明ではこれらもロジンと定義する。
ロジン誘導体は、上記のロジンを変性してなる化合物であり、具体的に以下に列挙する。
(1)水素化ロジン:共役二重結合に水素を付加(水素添加)させて、耐候性を向上させたロジンである。
(2)不均化ロジン:不均化とは、二分子のロジンが反応し、共役二重結合を持った二分子のアビエチン酸が、一方は芳香族へ、もう一方は単独二重結合の分子へとなる変性である。一般に水添ロジンよりは耐候性が劣るが、未処理のものよりは耐候性が向上する。
(3)ロジン変性フェノール樹脂:メインバインダーとしてロジン変性フェノール樹脂が使われることがある。ロジン変性フェノール樹脂は公知の製造法で得ることができる。
(4)ロジンエステル:ロジンから誘導されるエステル樹脂であり、古くから粘着・接着剤の粘着付与剤(タッキファイヤー)として用いられる。
(5)ロジン変性マレイン酸樹脂:ロジンに無水マレイン酸を付加反応させたもので、必要に応じてグリセリン等の水酸基含有化合物を、無水酸基とエステル化させグラフトさせたものも含まれる。
(6)重合ロジン:天然樹脂のロジンから誘導される二量化された樹脂酸を含む誘導体である。
その他、公知のロジン、ロジン誘導体も用いることが可能であり、これらは単独だけでなく併用することができる。
更に、ロジン及びそのロジン誘導体の酸価は120mgKOH/g以上であることが好ましい。酸価が120mgKOH/g以上であると、ラミネート強度が向上する。更に好ましくは酸価が160mgKOH/g以上である。また、ロジン及びその誘導体を配合する際の合計使用量は、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して、0.1~3.0質量%が好ましい。
【0032】
(塩素化ポリプロピレン)
塩素化ポリプロピレンとしては、塩素化度が20~50のものが使用できる。塩素化度が20未満の塩素化ポリプロピレンは、有機溶剤との相溶性が低下する傾向がある。一方、塩素化度が50を超える場合、塩素化ポリプロピレンは、フィルムに対する接着性が低下する傾向がある。なお、本発明において、塩素化度は、塩素化ポリプロピレン樹脂中の塩素原子の質量%で定義される。また、塩素化ポリプロピレンは、質量平均分子量が5,000~200,000の変性された又は未変性の塩素化ポリプロピレンであることが好ましい。質量平均分子量が5,000未満の場合、塩素化ポリプロピレンは、接着性が低下する傾向がある。一方、質量平均分子量が200,000を超える場合、塩素化ポリプロピレンは、有機溶剤への溶解性が低下する傾向がある。また、塩素化ポリプロピレンを配合する際の使用量は、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して、0.01~3.0質量%が好ましい。
【0033】
(ダンマル樹脂)
ダンマル樹脂は、ダマール、ダンマーとも表記され、植物由来の天然樹脂の一種である。詳細には、マレーシア、インドネシア等東南アジアに生育するフタバガキ科又はカンラン科植物から得られる天然樹脂の一種である。使用する際には適当な有機溶剤に溶解させてワニスとする。ダンマル樹脂は塩素を含有しないため、印刷インキ組成物に塩素化ポリプロピレンを使用する場合に比べ、塩素を排除・低減することができる。また、ダンマル樹脂を配合する際の使用量は、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して、3.0質量%以下が好ましい。
【0034】
(ブロッキング防止剤)
ブロッキング防止剤としては、シリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、硝化綿等が例示でき、シリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミドの1種以上、好ましくは2種以上を含有させることが好ましく、顔料の種類によって、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、硝化綿を更に含有させることが好ましい。
【0035】
<シリカ粒子>
本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に含有しても良く、しなくても良い。シリカ粒子は、天然産、合成品、あるいは結晶性、非結晶性、あるいは疎水性、親水性のもの等が挙げられる。シリカ粒子は、平均粒子径が1.0~5.0μmのものが好ましい(なおシリカ粒子の平均粒子径は、粒度分布における積算値50%(D50)での粒径を意味し、コールターカウンター法によって求めることができる)。シリカ粒子は、表面に親水性官能基を有する親水性シリカでも良いし、親水性官能基をアルキルシラン等で変性して疎水化した疎水性シリカでも良いが、親水性のものが好ましく、親水性シリカ粒子を含む印刷インキ組成物は重ね印刷時の印刷インキ組成物の濡れ・広がりを促し、重ね印刷効果(以下「トラッピング性」と記載する場合がある)を向上させる効果も有する。シリカ粒子使用量は、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物中に0.0~3.0質量%が好ましく、更に好ましくは0.1~1.0質量%である。なお、0.0質量%は、シリカ粒子を含有しない場合を示す。
【0036】
(炭化水素系ワックス)
本発明において使用される炭化水素系ワックスとしては、平均粒子径が3.0~10.0μmの範囲のもの(なお、平均粒子径は、Honeywell社 Microtrac UPAにて測定した粒径を意味する)である。
そして炭化水素系ワックスとしてポリエチレンワックスを使用することが好ましい。
炭化水素系ワックスの平均粒子径は3.0μm以上が好ましく、4.0μm以上がより好ましい。また、10.0μm以下が好ましく、7.0μm以下がより好ましい。
炭化水素系ワックスの平均粒子径が3.0μmより小さいと、すべり性、耐ブロッキング性が低下し、平均粒子径が10.0μmより大きいと接着剤濡れ性、耐ブロッキング性が悪く、ガイドロール取られが生じる可能性がある。このような支障は、平均粒子径が12.0μm以上で顕著になる傾向がある。
また、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して炭化水素系ワックスを0.05~5.0質量%含有するが、0.1質量%以上が好ましい。また3.0質量%以下が好ましい。含有量が0.05質量%より少ないと目的とする効果が得られず、含有量が5.0質量%より多いと、接着剤濡れ性、ガイドロール取られ、耐レトルト性が低下する可能性がある。
炭化水素系ワックスの針入度(硬度)は、JIS K 2207で規定された25℃における測定値であり、4.0以上であり、5.0以上がより好ましく、6.0以上が更に好ましい。また14.0以下であり、10.0以下が好ましく、8.0以下がより好ましい。針入度が4.0より小さいと、耐摩擦性、ドクター切れ、ガイドロールが低下する可能性があり、14,0より大きいと、接着剤濡れ性、ガイドろーつ取られ、耐レトルト性が低下する可能性がある。
なお、本発明において、なお、炭化水素ワックスの平均粒子径は、レーザー回折・光散乱法によって測定される体積基準の累積50%粒子径(メジアン径(D50))である。
【0037】
(硝化綿)
本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に含有しても良く、しなくても良い。硝化綿としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている硝化綿を使用できる。硝化綿としては、天然セルロースと硝酸を反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものである。本発明に使用される硝化綿としては、窒素量10~13%、平均重合度35~90のものが好ましく用いられる。具体例としては、SS1/2、SS1/4、SS1/8、TR1/16、NCRS-2、(KOREA CNC LTD社)等を挙げることができる。硝化綿の使用量は、顔料の種類により、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物中に、0.1~2.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0038】
(セルロースアセテートプロピオネート樹脂)
本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に含有しても良く、しなくても良い。セルロースアセテートプロピオネート樹脂としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている樹脂が使用できる。
セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、セルロースを酢酸及びプロピオン酸でトリエステル化した後に加水分解して得られる。一般的にはアセチル化が0.6~2.5重量%、プロピオニル化が42~46重量%、水酸基が1.8~5.0重量%である樹脂が市販されている。セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、顔料の種類により、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物中に、0.1~3.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0039】
(セルロースアセテートブチレート樹脂)
本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に含有しても良く、しなくても良い。セルロースアセテートブチレート樹脂としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている樹脂が使用できる。
セルロースアセテートブチレート樹脂は、セルロースを酢酸及び酪酸でトリエステル化した後、加水分解して得られる。一般的にはアセチル化が2~30質量%、ブチリル化が17~53質量%、水酸基が1~5質量%の樹脂が市販されている。セルロースアセテートブチレート樹脂の使用量は、顔料の種類により、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物中に、0.1~3.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0040】
(脂肪酸アミド)
本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に含有しても良く、しなくても良い。脂肪酸アミドとしては、脂肪酸から酸基を除いた残基とアミド基を有するものであれば特に限定されない。脂肪酸アミドとしては、例えば、モノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、及びエステルアミド等が挙げられ、耐ブロッキング性が向上するため、モノアミド、置換アミド、及びビスアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。脂肪酸アミドの使用量は、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物中に、0.01~1.0質量%の範囲であることが好ましい。
・モノアミド:モノアミドは下記一般式(1)で表される。
一般式(1) R-CONH
(式中、Rは脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
モノアミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
・置換アミド:置換アミドは下記一般式(2)で表される。
一般式(2) R-CONH-R
(式中、R及びRは脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良い。)
置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
・ビスアミド:ビスアミドは下記一般式(3)あるいは一般式(4)で表される。
一般式(3) R-CONH-R-HNCO-R
一般式(4) R-NHCO-R-CONH-R
(式中、R、R、R、及びRは脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良く、R及びRは炭素数1~10のアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
・メチロールアミド:メチロールアミドは下記一般式(5)で表される。
一般式(5) R10-CONHCHOH
(式中、R10は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
メチロールアミドの具体例としては、メチロールパルミチン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールヒドロキシステアリン酸アミド、メチロールオレイン酸アミド、メチロールエルカ酸アミド等が挙げられる。
・エステルアミド:エステルアミドは、下記一般式(6)で表される。
一般式(6) R11-CONH-R12-OCO-R13
(式中、R11及びR13は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良く、R12は炭素数1~10のアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
エステルアミドの具体例としては、ステアリルアミドエチルステアレート、オレイルアミドエチルステアレート等が挙げられる。
脂肪酸アミドの融点は、50~150℃であることが好ましい。
また、脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、炭素数12~22の飽和脂肪酸及び/又は炭素数16~25の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び/又は炭素数18~22の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸として特に好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、不飽和脂肪酸として特に好ましくはオレイン酸、エルカ酸である。
【0041】
(有機溶剤)
本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物に使用する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール等のアルコール系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸tert-ブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール系溶剤及びこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらは、単独もしくは2種以上混合して使用することができる。
環境問題の面からは、エステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤及びケトン系有機溶剤の混合溶剤、又は、より環境問題への対応を進めたエステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤の混合溶剤を使用することが好ましい。
【0042】
(水)
裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物には、水を含有させなくても良いが、特に静電気による印刷不良の緩和、及び、版かぶりの防止やセル再現性に関する支障を解消させるために水を含有させても良い。その際の水の含有量は、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物中に10質量%以下、又は、0.1~5.0質量%の範囲である。
【0043】
(その他の材料)
裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物には、必要に応じて、更に顔料分散剤、帯電防止剤、可塑剤等の各種添加剤を添加することができる。
以上の構成材料を用いて裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を製造する方法としては、公知の方法が使用できる。具体的には、例えば、顔料、バインダー樹脂、有機溶剤及び必要に応じて顔料分散剤等の混合物を、高速ミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター等を用いて練肉し、更に、炭化水素系ワックス、所定の添加剤等の材料の残りを添加、混合することにより得ることができる。
また、金属のテトラアルコキシド及び/又はヒドロキシ酸を含有させても良く、含有させなくても良い。
【0044】
(裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を用いた印刷方法、及びそれにより得た積層体)
次に、本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を用いてラミネート印刷物を得る方法について説明する。
ラミネート印刷物を得る方法には、少なくとも下記印刷方法を含む。
例えば、樹脂基材として、公知のラミネート用の基材となる樹脂フィルムに、本発明の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物をグラビア印刷方式で印刷を行い、ドライヤーにより乾燥させる。
本発明における樹脂基材として、従来からラミネート印刷で使用されている公知の樹脂からなる基材フィルムを採用できる。そのような樹脂基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム、ナイロン等のポリアミドフィルム等の樹脂フィルム、アルミニウム等の金属層を有する上記樹脂フィルム、透明蒸着層を有する上記樹脂フィルムが例示できる。
【0045】
上記の方法で得られた印刷物の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物による層の側に、樹脂フィルム等を各種方法によるラミネート加工を施してシーラント層を形成し、包装袋等用のラミネート印刷物を得ることができる。このラミネート加工法としては、印刷物の表面にアンカーコート剤を塗工した後、又は塗工せずに、溶融ポリマーを積層させる押出ラミネート法、印刷物の表面に接着剤を塗工した後、フィルム状ポリマーを貼合させるドライラミネート法が利用できる。
上記押出ラミネート法は、印刷インキ組成物による層を含む印刷物の表面に、必要に応じて、チタン系、ウレタン系、イミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤を塗工した後、又は塗工せずに、既知の押出ラミネート機によって、溶融ポリマーを積層させる方法であり、更に溶融樹脂を中間層として、他の材料とサンドイッチ状に積層することもできる。
上記押出ラミネート法で使用する溶融ポリマーとしては、低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等、従来使用されていた樹脂が使用できる。その中でも溶融の際に酸化によってカルボニル基が発生し易い低密度ポリエチレンとの構成において本発明の効果が高くなる。
また、上記ドライラミネート法は、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物による層の表面にウレタン系、イソシアネート系等の接着剤を塗工した後、既知のドライラミネート機によって樹脂フィルムを貼合する方法である。特にレトルト用途で使用される包装材料を得るために、基材と貼合される樹脂フィルムの間にアルミ箔をはさんでラミネートすることもできる。このようなラミネート加工物は、製袋して内容物を詰めた後、ボイル・レトルト用途に利用することもできる。
このとき使用される上記樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の延伸及び無延伸ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、セロファン、ビニロン等を挙げることができる。更にこれら樹脂フィルムについては、予め防曇剤の塗工、練り込み、マット剤の表面塗工、練り込み等の加工をして得られるフィルムも使用することが可能である。
また、それら樹脂フィルムとして、各種印刷用プラスチックフィルムに金属蒸着、バリア性樹脂をコーティングしたバリア層を積層したフィルム等を使用することができる。
【実施例0046】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものである。また、表中の各材料の分量の数字についても「質量部」である。
【0047】
(顔料)
・PB15:4(ピグメントブルー15:4)
・酸化チタン(ルチル型酸化チタン、シリカアルミナ処理、平均粒子径0.3μm)
【0048】
<ポリウレタン樹脂ワニス1(バイオマスポリウレタン、アミン価5.66mgKOH/g、水酸基価4.37mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる数平均分子量2000のポリエステルジオール200質量部、イソホロンジイソシアネート33.30質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル396.10質量部、イソプロピルアルコール169.80質量部を加えた後、イソホロンジアミン7.09質量部、モノエタノールアミン0.31質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン1.44質量部、ジエチレントリアミン0.29質量部を加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス1(固形分30質量%)を得た。
【0049】
<ポリウレタン樹脂ワニス2(バイオマスポリウレタン、アミン価3.36mgKOH/g、水酸基価6.12mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる数平均分子量2000のポリエステルジオール200質量部、イソホロンジイソシアネート33.30質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル393.40質量部、イソプロピルアルコール168.60質量部を加えた後、イソホロンジアミン5.81質量部、モノエタノールアミン0.92質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン1.18質量部、ジエチレントリアミン0.29質量部を加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス2(固形分30質量%)を得た。
【0050】
<ポリウレタン樹脂ワニス3(バイオマスポリウレタン、アミン価2.20mgKOH/g、水酸基価7.01mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる数平均分子量2000のポリエステルジオール200質量部、イソホロンジイソシアネート33.30質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル393.80質量部、イソプロピルアルコール168.80質量部を加えた後、イソホロンジアミン5.17質量部、モノエタノールアミン1.22質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン1.05質量部、ジエチレントリアミン0.29質量部を加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス3(固形分30質量%)を得た。
【0051】
<ポリウレタン樹脂ワニス4(バイオマスポリウレタン、アミン価12.86mgKOH/g、水酸基価5.52mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる数平均分子量2000のポリエステルジオール200質量部、イソホロンジイソシアネート33.30質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル399.30質量部、イソプロピルアルコール171.10質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.41質量部、モノエタノールアミン0.31質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン1.98質量部、ジエチレントリアミン0.49質量部を加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス4(固形分30質量%)を得た。
【0052】
<ポリウレタン樹脂ワニス5(バイオマスポリウレタン、アミン価6.16mgKOH/g、水酸基価10.37mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる数平均分子量2000のポリエステルジオール200質量部、イソホロンジイソシアネート33.30質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル423.10質量部、イソプロピルアルコール181.30質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.09質量部、モノエタノールアミン0.61質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン4.94質量部、ジエチレントリアミン0.98質量部を加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス5(固形分30質量%)を得た。
【0053】
<ポリウレタン樹脂ワニス6(バイオマスポリウレタン、アミン価1.39mgKOH/g、水酸基価2.35mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる数平均分子量2000のポリエステルジオール200質量部、イソホロンジイソシアネート33.30質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル375.2質量部、イソプロピルアルコール160.80質量部を加えた後、イソホロンジアミン1.94質量部、モノエタノールアミン0.12質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン0.79質量部、ジエチレントリアミン0.20質量部を加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス6(固形分30質量%)を得た。
【0054】
<バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂ワニス7(バイオマスでないポリウレタン、アミン価5.66mgKOH/g、水酸基価4.37mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール140質量部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール60質量部、イソホロンジイソシアネート16.67質量部、水添MDI(ジシクロヘキシルメタン4,4'-ジイソシアナート)19.67を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル406.6質量部、イソプロピルアルコール174.26質量部を加えた後、イソホロンジアミン7.09質量部、モノエタノールアミン0.31質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン1.44質量部、ジエチレントリアミン0.29質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニス7(固形分30質量%)を得た。
【0055】
<バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂ワニス8(バイオマスでないポリウレタン、アミン価4.51mgKOH/g、水酸基価5.24mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール140質量部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール60質量部、イソホロンジイソシアネートの16.67質量部、水添MDIの19.67を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルの4404.80質量部、イソプロピルアルコールの173.49質量部を加えた後、イソホロンジアミン6.45質量部、モノエタノールアミン0.61質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン1.31質量部、ジエチレントリアミン0.29質量部を加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス8(固形分30質量%)を得た。
【0056】
<バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂ワニス9(バイオマスでないポリウレタン、アミン価2.20mgKOH/g、水酸基価7.01mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール140質量部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール60質量部、イソホロンジイソシアネート16.67質量部、水添MDI19.67を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル396.41質量部、イソプロピルアルコール170.00質量部を加えた後、イソホロンジアミン5.17質量部、モノエタノールアミン1.22質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン1.05質量部、ジエチレントリアミン0.29質量部を加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス9(固形分30質量%)を得た。
【0057】
<ケチミン化されたバイオマスではないポリウレタン樹脂10(バイオマスポリウレタン樹脂でないケチミン化ポリウレタン樹脂ワニス10、アミン価2.42mgKOH/g、水酸基価3.90mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量4000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール400部、イソホロンジイソシアネート33.3部及びテトラブチルチタネート0.04部を仕込み、窒素ガスを導入しながら90~100℃で6時間反応させた。酢酸プロピル810部、イソプロピルアルコール201部を加えた後、室温近くまで冷却し、モノエタノールアミン0.3部を加え15分撹拌後、更に、下記ケチミン溶液1を29.30部加えて20分間撹拌し反応させ、さらに水を3部加えて15分間撹拌し、ポリウレタン樹脂ワニス10(固形分30質量%)を得た。
【0058】
<上記ケチミン溶液1の製造方法>
イソホロンジアミン35.12質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン21.36質量部、ジエチレントリアミン3.12質量部及びアセトン174.8質量部を混合し、室温で1時間撹拌してケチミン溶液1を得た。
【0059】
<ポリウレタン樹脂ワニス11(バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂、アミン価0)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール140質量部、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール60質量部、及びイソホロンジイソシアネート44.4質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル518質量部、イソプロピルアルコール91質量部を加えた後、イソホロンジアミン15.6質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン1.1質量部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニス11(固形分30質量%)を得た。
<ポリウレタン樹脂ワニス12(バイオマスポリウレタン樹脂、アミン価0)の製造例> 撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=30/70(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる数平均分子量2000のポリエステルジオールの200質量部、及びイソホロンジイソシアネート44.4質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル518質量部、イソプロピルアルコール91質量部を加えた後、イソホロンジアミン15.6質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン1.1質量部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニス12(固形分30質量%)を得た。
【0060】
<塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体>
ソルバインTA-3、日信化学工業社製
<ワックス>
【0061】
(ワックス)
実施例及び比較例にて使用したワックスを下記表1に示す。
各ワックスは、必要に応じて平均粒子径を調製して使用した。その調製の条件の違いにより、1つの製品名のものが調製後に複数の平均粒子径を有することがある。特に下記の「110P」、「220P」、「320P」は、平均粒子径が異る複数種のもの別になるように調製して使用した。
【0062】
【表1】
【0063】
<裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の製造例>
顔料、ポリウレタン樹脂ワニス1~12、必要に応じて塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体を、レッドデビル社製のペイントコンディショナーを用いて混練し、さらに、炭化水素系ワックス、混合液(以下実施例中の混合液はいずれも、酢酸エチル/酢酸プロピル/イソプロピルアルコール=50/25/25の混合溶媒)、水を加えて、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を得た。
【0064】
性能評価を下記方法にて行った。
(印刷方法・印刷条件)
印刷時部屋の環境:温度25℃、湿度50%
塗工機 :グラビア印刷機
塗工速度 :150m/min
刷版 :ダイレクト175線 28μm ベタ版
乾燥温度 :55℃
【0065】
<フィルムについて>
PET:片面にコロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、
東洋紡社製、E-5102、厚さ12μm
OPP:コロナ放電した二軸延伸ポリプロピレンフィルム、
東洋紡社製、P-2161、厚さ25μm
NY:ナイロンフィルム
東洋紡社製、N-1102、厚さ15μm
【0066】
(インキの保存安定性)
上記で得られた裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物をガラス瓶に採取し、60℃の雰囲気温度で14日間保存した時の顔料の沈降の有無から、インキの保存安定性を評価した。
〇:沈降が見られず、インキ組成物基材の保存安定性は良好である
×:沈降が見られ、インキ組成物基材の保存安定性は不良である
【0067】
(ドクター切れ性の評価)
ドクター切れ性の評価は、上記で得られた実施例、および比較例にかかる裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物をグラビア印刷機にて、印刷スピードが150m/分のときの、印刷面の状態について、以下の3段階で評価した。
〇:版カブリ、ベタスジ、ツーツー汚れ(線状汚れ)などが発生しない
△:版カブリ、ベタスジ、ツーツー汚れ(線状汚れ)などが若干発生する
×:版カブリ、ベタスジ、ツーツー汚れ(線状汚れ)などが多く発生する
【0068】
(接着剤濡れ性)
各裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を各試験インキをPET、NYフィルムに印刷後、有機溶剤性イソシアネート系接着剤(武田薬品、タケネートA-950:エーテル系/タケラックA-4酢酸エチル溶液)、A-616:エステル系/A-65を塗布し、ドライラミネート機にてCPPフィルムを積層し、ラミネート加工物を得た。外観の濃淡の有無より判断した。
〇:全く濃淡がない
△:濃淡が若干発生する
×:濃淡が多く発生する
【0069】
(耐ブロッキング性)
各裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物を印刷後1日経過した各フィルム印刷物の印刷面と、各フィルム未処理面とを合わせ、400g/cmの荷重をかけて40℃で12時間放置した後、各フィルムを剥がした時の様子から耐ブロッキング性を評価した。
〇:フィルムを剥がす際に全く抵抗が無く、また、印刷面からインキが剥離しないもの
△:フィルムを剥がす際に抵抗はあるが、印刷面からインキが剥離しないもの
×:フィルムを剥がす際に抵抗があり、印刷面からインキが剥離するもの
【0070】
(耐摩擦性の評価)
学振型摩擦堅牢度試験機(商品名「RT200」、大栄科学精機社製)を用いて、各印刷物の印刷皮膜を晒布(商品名「染色堅ろう度試験用添付白布カナキン3号」)で200gの荷重下100回摩擦し、印刷皮膜のフィルムからの剥離の程度について、以下の3段階で評価した。
〇:印刷皮膜のフィルムからの剥離がない
△:印刷皮膜のフィルムからの剥離があるが、剥離面積は30%未満である
×:印刷皮膜のフィルムからの剥離があり、剥離面積は30%以上である
【0071】
(ガイドロール取られ評価)
滑り性については、ガイドロール取られにより評価した。
下記の方法から、印刷後、ガイドロールにインキが付着するかどうか(ガイドロール取られ)試験を行い、印刷適性を評価した。尚、一旦、ガイドロールに付着したインキが、印刷面に再転移して汚れが発生するため、「ガイドロール取られ」が発生する場合は、美粧印刷物を得るのに対して悪影響を及ぼす。
グラビア印刷機のガイドロールによる印刷物インキ塗膜の脱落の有無を目視により評価。
〇:脱落が無いもの
△:脱落がわずかにあるもの
×:脱落が有るもの
【0072】
(耐レトルト性)
印刷後1日経過したPETフィルム、NYフィルムの各印刷物に、固形分で2.0g/mとなる量のウレタン系接着剤(タケラックA-616/タケネートA-65、三井化学ポリウレタン社製)を塗布した後、ドライラミネート機で無延伸ポリプロピレンフィルム(RXC-3、厚さ60μm、東セロ社製)を貼り合わせ、40℃で3日放置してドライラミネート物を得た。このドライラミネート物を製袋し、中に水90重量%、サラダ油10重量%の混合物を詰めて溶封後、PETフィルムの場合は135℃、PETフィルム以外のフィルムの場合は120℃の加圧熱水中に30分間浸漬した時のラミネートフィルムの外観の状態から耐レトルト性を評価した。
〇:ラミ浮きや濡れなどによる外観不良が見られないもの
×:ラミ浮や濡れなどによる外観不良が見られるもの
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
【表5】
【0077】
【表5】
【0078】
本発明に沿った例である実施例によれば、インキ保存安定性、接着剤濡れ性、耐ブロッキング性、耐摩擦性、ドクター切れ性、耐レトルト性のいずれも良好であり、ガイドロール取られが発生しなかった。それに対して、炭化水素系ワックスの含有量が少ない比較例1及び8によれば、耐摩擦性に劣り、ガイドロール取られが発生し、炭化水素系ワックスの含有量が多い比較例2及び9によれば、接着剤濡れ性、耐ブロッキング性、ドクター切れ性、耐レトルト性に劣り、ガイドロール取られが発生した。
炭化水素系ワックスの平均粒子径が小さい比較例3及び10によれば、ガイドロール取られが発生し、侵入度が大きい比較例4及び11によれば、接着剤濡れ性、耐ブロッキング性、耐レトルト性に劣り、ガイドロール取られが発生し、侵入度と平均粒子径が大きい比較例5及び12によれば、接着剤濡れ性、耐ブロッキング性、ドクター切れ性、耐レトルト性に劣り、ガイドロール取られが発生した。
ワックスの針入度が小さい比較例6、7、13及び14によれば、耐摩擦性、ドクター切れ性に劣り、ガイドロール取られが発生した。
アミン価が0のポリウレタン樹脂を使用した比較例15、比較例16は、インキ保存安定性が劣るものであリ、印刷には不適であった。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、バインダー樹脂としてアミノ基及び水酸基を有するポリウレタン樹脂、有機溶剤及び、JIS K 2207で規定された25℃における針入度が4.0~14.0であり、平均粒子径が3.0~10.0μmである炭化水素系ワックスを裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して0.05~5.0質量%含有する、裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
(但し、上記ポリウレタン樹脂が水性ウレタン樹脂である場合を除く、
加えて、以下の場合も除く。
下記(A)及び/又は(B)のポリウレタンポリウレア樹脂を含有し、
前記顔料及び前記バインダー樹脂は、下記条件1~3を満足する
ことを特徴とする有機溶剤性グラビア印刷用ハイソリッドインキ組成物。
(A)下記(A-1)及び(A-2)から選ばれる1種以上の重量平均分子量20,000~50,000のポリウレタンポリウレア樹脂
(A-1)ジオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物とを有機溶剤中で、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂
(A-2)ジオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと、反応停止剤とを有機溶媒中で反応させ、次いで、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物で、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂
(B)下記(B-1)及び(B-2)から選ばれる1種以上の重量平均分子量20,000~50,000のポリウレタンポリウレア樹脂
(B-1)ジオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと有機溶剤とのウレタンプレポリマー溶液に、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物とを加え撹拌混合し、更に水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂
(B-2)ジオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと有機溶剤とのウレタンプレポリマー溶液に、反応停止剤を加え反応させ、次いで、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物とを加え撹拌混合し、更に、水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂
(条件1)
前記顔料が有機顔料である場合、有機溶剤性グラビア印刷用ハイソリッドインキ組成物中の前記有機顔料の含有量が5~20質量%である
(条件2)
前記顔料が無機顔料である場合、有機溶剤性グラビア印刷用ハイソリッドインキ組成物中の前記無機顔料の含有量が30~70質量%である
(条件3)
前記顔料が有機顔料及び無機顔料の両方を含む場合、有機溶剤性グラビア印刷用ハイソリッドインキ組成物中の前記有機顔料の含有量が5~20質量%、前記有機顔料に対する前記無機顔料の質量比{無機顔料(質量)/有機顔料(質量)}が、0<無機顔料(質量)/有機顔料(質量)<7.0である。)
【請求項2】
前記炭化水素系ワックスがポリエチレンワックスである請求項1に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂が、アミン価1.0~13.0mgKOH/g、水酸基価0.5~12.0mgKOH/gである請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項4】
前記ポリウレタン樹脂が、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を有し、且つ分子末端及び分子末端以外の部位に水酸基を有するポリウレタン樹脂である請求項1又は2記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項5】
水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は水酸基を有する塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有する請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項6】
前記有機溶剤が、エステル系有機溶剤及びアルコール系有機溶剤を含有する混合溶剤である請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項7】
更に、水を含有する請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料
バインダー樹脂としてアミノ基及び水酸基を有し、かつ水酸基価が0.5mgKOH/g以上であるポリウレタン樹脂、及び塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体と
有機溶剤
JIS K 2207で規定された25℃における針入度が4.0~14.0であり、平均粒子径が3.0~10.0μmである炭化水素系ワックスと、
を含有する裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物であって、
前記炭化水素系ワックスを、前記裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物の全固形分に対して0.05~5.0質量%含有
前記ポリウレタン樹脂と前記塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体との含有質量比(ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体))は、92/8~75/25である
裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
(但し、上記ポリウレタン樹脂が水性ウレタン樹脂である場合を除く、
加えて、以下の場合も除く。
下記(A)及び/又は(B)のポリウレタンポリウレア樹脂を含有し、
前記顔料及び前記バインダー樹脂は、下記条件1~3を満足する
ことを特徴とする有機溶剤性グラビア印刷用ハイソリッドインキ組成物。
(A)下記(A-1)及び(A-2)から選ばれる1種以上の重量平均分子量20,000~50,000のポリウレタンポリウレア樹脂
(A-1)ジオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物とを有機溶剤中で、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂
(A-2)ジオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと、反応停止剤とを有機溶媒中で反応させ、次いで、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物で、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂
(B)下記(B-1)及び(B-2)から選ばれる1種以上の重量平均分子量20,000~50,000のポリウレタンポリウレア樹脂
(B-1)ジオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと有機溶剤とのウレタンプレポリマー溶液に、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物とを加え撹拌混合し、更に水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂
(B-2)ジオール化合物とジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーと有機溶剤とのウレタンプレポリマー溶液に、反応停止剤を加え反応させ、次いで、ポリアミン化合物のアミノ基がケトン化合物によりケチミン化された化合物とを加え撹拌混合し、更に、水を加えた後、鎖伸長及び反応停止を行って得られるポリウレタンポリウレア樹脂
(条件1)前記顔料が有機顔料である場合、有機溶剤性グラビア印刷用ハイソリッドインキ組成物中の前記有機顔料の含有量が5~20質量%である
(条件2)前記顔料が無機顔料である場合、有機溶剤性グラビア印刷用ハイソリッドインキ組成物中の前記無機顔料の含有量が30~70質量%である
(条件3)前記顔料が有機顔料及び無機顔料の両方を含む場合、有機溶剤性グラビア印刷用ハイソリッドインキ組成物中の前記有機顔料の含有量が5~20質量%、前記有機顔料に対する前記無機顔料の質量比{無機顔料(質量)/有機顔料(質量)}が、0<無機顔料(質量)/有機顔料(質量)<7.0である。)
【請求項2】
前記炭化水素系ワックスがポリエチレンワックスである請求項1に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項3】
前記ポリウレタン樹脂が、アミン価1.0~13.0mgKOH/g、水酸基価0.5~12.0mgKOH/gである請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項4】
前記ポリウレタン樹脂が、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を有し、且つ分子末端及び分子末端以外の部位に水酸基を有するポリウレタン樹脂である請求項1又は2記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項5】
前記塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂及び/又は塩化ビニル・アクリル共重合体樹脂は、水酸基を有する、請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項6】
前記有機溶剤が、エステル系有機溶剤及びアルコール系有機溶剤を含有する混合溶剤である請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。
【請求項7】
更に、水を含有する請求項1又は2に記載の裏刷り用ラミネート印刷インキ組成物。