(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121652
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240830BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028868
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】碓氷 明寿
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】施設内でサービスの提供を受けるユーザに対して、当該施設内での現在地及び他のユーザとの位置関係を容易に知らしめる表示システムを提供する。
【解決手段】表示システムは、施設内におけるユーザの位置情報をユーザ端末から取得する位置情報取得部と、前記施設の地図情報を保持する地図情報記憶部と、ユーザの利用するサービス情報を取得する利用情報取得部と、利用情報取得部が取得したサービス情報から該当するユーザを決定する表示決定部と、前記表示決定部から表示が決定された前記ユーザのID情報を、前記位置情報取得部から該ユーザの位置情報を、前記地図情報記憶部から地図情報を、それぞれ取得し、該地図情報に重ねてユーザの位置情報をユーザ端末に表示させる表示制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内におけるユーザの位置情報をユーザ端末から取得する位置情報取得部と、
前記施設の地図情報を保持する地図情報記憶部と、
ユーザの利用するサービス情報を取得する利用情報取得部と、
前記利用情報取得部の前記サービス情報から当該サービスを利用するユーザを決定する表示決定部と、
前記表示決定部から表示が決定された前記ユーザのID情報、前記位置情報取得部から該ユーザの位置情報、及び前記地図情報記憶部から地図情報、をそれぞれ取得し、該地図情報に重ねて前記ユーザの前記位置情報を前記ユーザ端末に表示させる表示制御部と、
を備える表示システム。
【請求項2】
前記ユーザの位置情報は、前記施設内の複数箇所に設置されたビーコン発信器のうち、最も近いビーコン発信器の位置として特定される、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記サービス情報に係るサービスを提供する提供者が所持する端末へも、前記地図情報に重ねて前記ユーザの前記位置情報を表示させる、請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記位置情報取得部は、同一のサービス情報に係るサービスを利用するユーザの位置情報のうち、所定割合以上のユーザの位置情報と、特定のユーザの位置情報とから該特定のユーザの距離情報を算出し、
前記表示制御部は、該距離情報が所定値以上である場合に、該特定のユーザの位置情報とともに注意情報を、前記特定のユーザが所持するユーザ端末に表示させる、請求項3に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機への搭乗等、時刻が決まっているサービスに関し、空港等の施設内でのユーザの位置情報を表示するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、航空機への搭乗の際には、ユーザとしての乗客は空港のキオスク端末を利用して搭乗手続きを行う。そして、搭乗終了時刻間際には、サービス提供者としての航空会社側の職員は、搭乗手続き済みで未搭乗の乗客の有無を確認する。そのような乗客がいる場合、職員は当該乗客に対し、空港の館内放送等により搭乗口に至急来るように伝達し、それでも搭乗口に現れない場合は、当該搭乗口周辺及び保安検査場周辺へ当該乗客を直接探しに行く。
【0003】
下記特許文献1には、ユーザがもつ携帯端末の位置情報から、航空会社が効率的な運航を行うシステムが開示されている。具体的には、各ユーザの位置情報をスタッフ端末で表示する構成(段落[0062])が開示されている。また、航空会社はユーザの携帯端末の位置情報を確認することで、荷物を降ろすか、あるいは係員を迎えに行かせるかの、適当な方法を取れるとの開示もある(段落[0057])。さらに、搭乗ゲートから遠くにいるユーザについて、搭乗ゲート到着への所要時間などの情報を表示する旨のもある。
【0004】
下記特許文献2には、遊園地における混雑管理システムに関し、ユーザが持つビーコンや携帯端末の位置情報から混雑状況を管理するシステムが開示されている。具体的には、他の人間の位置情報を提示する構成について開示されている(段落[0012])。また、混雑の状況に応じて、ユーザに混雑していないエリアへの移動を促すシステムについても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-139746号公報
【特許文献2】特表2021-504820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
搭乗者のようなユーザ側としては、空港のような施設内で自分の居場所が分からなくなってしまった場合、どこへ行けばよいかを容易に知ることができないことが多い。一方、航空会社側の職員のようなサービス提供者としては、未搭乗の乗客の居所は容易に分からず、放送等での呼び出しや直接探しに行くのにも手間がかかる。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、施設内でサービスの提供を受けるユーザに対して、当該施設内での現在地及び他のユーザとの位置関係を容易に知らしめることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示システムは、施設内におけるユーザの位置情報をユーザ端末から取得する位置情報取得部と、前記施設の地図情報を保持する地図情報記憶部と、ユーザの利用するサービス情報を取得する利用情報取得部と、前記利用情報取得部の前記サービス情報から当該サービスを利用するユーザを決定する表示決定部と、前記表示決定部から表示が決定された前記ユーザのID情報、前記位置情報取得部から該ユーザの位置情報、及び前記地図情報記憶部から地図情報、をそれぞれ取得し、該地図情報に重ねて前記ユーザの前記位置情報を前記ユーザ端末に表示させる表示制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、施設内でサービスの提供を受けるユーザに対して、当該施設内での現在地及び他のユーザとの位置関係を容易に知らしめることを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る表示システムを含むネットワークシステム図である。
【
図2】
図1のネットワークシステムで使用されるビーコン発信器の機能ブロック図である。
【
図3】
図1のネットワークシステムで使用されるユーザ端末及びサービス提供者端末の機能ブロック図である。
【
図4】
図1のネットワークシステムで使用される表示システムの機能ブロック図である。
【
図5】施設内におけるビーコン発信器の設置例を示す。
【
図6】位置情報表示処理のシーケンスチャート図である。
【
図7】ユーザ端末に表示される地図情報及び位置情報の例を示す。
【
図8】注意情報表示処理のシーケンスチャート図である。
【
図9】サービス提供者端末からユーザ端末への通知に関する処理のシーケンスチャート図である。
【
図10】サービス提供者端末に表示される地図情報及び位置情報の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を説明する。なお、本実施形態では、時刻が決まっているサービスとして、施設としての空港における航空機への搭乗を例として説明している。なお、そのようなサービスとしては、新幹線等の交通機関への乗車並びに、コンサート及びスポーツイベントのような興業のように、不特定多数の乗客又は観客のようなユーザが、決まった時刻に施設へ集合して利用するサービスが挙げられる。また、施設としては、そのようなサービスが実施される場所、たとえば、駅、バスターミナル、劇場、ホール、イベント会場、スタジアム等が挙げられる。
【0012】
図1により本発明の全体構成を説明する。ユーザとしての乗客は、ユーザ端末101としてのスマートフォンに、航空会社が提供する予約アプリケーションをインストールしている。この予約アプリケーションにより、航空券の予約、変更及びマイレージの参照等が行われる。乗客は自己のユーザ端末101を持参して、搭乗のため施設としての空港にやって来る。
【0013】
ビーコン発信器102は、たとえば数メートルの近接距離の範囲内にのみ到達する微弱電波を発信する装置である。ビーコン発信器102は一定時間ごとに、各ビーコン発信器102に個別に登録されているビーコンID(たとえば、B001、B002等)の情報を発信し続ける。後述するように、ビーコン発信器102は施設としての空港内の複数箇所に設置される。このように配置されたビーコン発信器102によって、各ビーコン発信器102と位置情報とが関連づけられる。
【0014】
ユーザ端末101は、常時ビーコン発信器102からの電波を受信し、受信したビーコンIDを上位のアプリケーションに通知する機構を有している。すなわち、ユーザの位置情報は、施設内の複数箇所に設置されたビーコン発信器102のうち、最も近いビーコン発信器102のビーコンIDとして特定される。
【0015】
表示システム104は、各ユーザの位置情報を記録及び参照するための装置である。ユーザ端末101と表示システム104とはネットワーク103で接続され、相互に通信が行われる。
【0016】
サービス提供者端末105は、ネットワーク103を介してユーザ端末101及び表示システム104と接続される。サービス提供者端末105には、表示システム104から取得した情報が表示される。また、サービス提供者はこの表示された情報に基づき、ユーザ端末101に適宜情報の報知又は連絡を行うことができる。
【0017】
次に各構成要素の機能について説明する。
図2はビーコン発信器102の機能ブロック図である。各ビーコン発信器102は、通信用のアンテナ21、無線通信部20、各ビーコン発信器102に個別に割り当てられたビーコンIDを保持するビーコンID記憶域22及び各部に電力を供給するバッテリー29を備えている。
【0018】
図3はユーザ端末101の機能ブロック図である。ユーザ端末101は、バッテリー19、中央演算装置(CPU13)、メモリや不揮発性メモリからなる記憶域14、携帯電話通信部17及び携帯用アンテナ18、無線LAN又はBluetooth(登録商標)を利用した無線通信部15及び無線用アンテナ16、ユーザインターフェイスとなる液晶ディスプレイ12並びに液晶ディスプレイ12に表示されるタッチパネル12aをハードウェア構成として備える。また、ユーザ端末101は、航空会社が提供する予約アプリケーション11並びに位置情報を取得及び表示する位置情報登録・表示アプリケーション10をソフトウェア構成として備える。
【0019】
なお、サービス提供者端末105も、
図3に示すようなユーザ端末101と同様のハードウェア構成及びソフトウェア構成を備えている。
【0020】
図4は、表示システム104の機能ブロック図である。表示システム104は、たとえばPCサーバとして、通常のPC同様、通信部45、CPU44及び記憶域43をハードウェア構成として、並びにオペレーティングシステム42をソフトウェア構成として備える。また、位置情報管理アプリケーション60と、位置情報を記録する乗客位置情報データベース40と、設置したビーコン間の相対距離を設定しておくビーコン間相対距離データベース41とをソフトウェア構成としてさらに備える。
【0021】
さらに、上記ハードウェア構成が位置情報管理アプリケーション60を実行することによって、表示システム104は、施設内におけるユーザの位置情報をユーザ端末101から取得する位置情報取得部61、施設の地図情報を保持する地図情報記憶部62、ユーザの利用するサービス情報を取得する利用情報取得部63、利用情報取得部63のサービス情報から当該サービスを利用するユーザを決定する表示決定部64、並びに表示決定部64から表示が決定されたユーザのID情報、位置情報取得部61から該ユーザの位置情報、及び地図情報記憶部62から地図情報、をそれぞれ取得し、該地図情報に重ねてユーザの位置情報をユーザ端末101に表示させる表示制御部65として機能する。
【0022】
図5は、施設としての空港内におけるビーコン発信器102の設置例を示す。ビーコン発信器102は、利用者が通行する通路等の動線に沿い、無線到達範囲と同等かそれ以上の間隔を空けて配置される。また、必要により待合室及び利用者が一時的に立ち寄る場所(航空会社カウンター、売店、飲食店、トイレ等)に設置される。空港は保安上の要請により、各種ゲートにより移動可能エリアが仕切られているが、このエリアのどちらにいるか判別を可能とするようにビーコン発信器102は配置される。本図では、ビーコンIDがB001~B030までの30基のビーコン発信器102が設置されている状態を示している。
【0023】
表1は乗客位置情報データベース40のデータ構成である。「空港」は、どの空港が利用されるかを識別するデータである。「航空会社」は搭乗する予定の空港会社を識別するデータである。「ユーザID」は各航空会社が管理しユーザに一意的に割り当てている番号であり、各ユーザを識別するデータである。サービス情報としての「搭乗日」及び「便番号」はそれぞれ搭乗予定の便を識別するデータである。「ビーコンID」は、ユーザ端末101が直近に受信したビーコンIDを識別するデータであり、「位置記録時刻」そのビーコンIDを受信した時刻を示すデータである。ビーコンIDおよび位置記録時刻は、ユーザの移動に伴い時々刻々更新される。
【0024】
【0025】
表2に示すビーコン間相対距離データベース41は、複数のビーコン発信器102のうち、2つのビーコン発信器102(一方を第1ビーコンとし、もう一方を第2ビーコンとしている。)間の距離を事前に設定しておくものである。たとえば、第1ビーコンのビーコンIDがB001であって、第2ビーコンのビーコンIDがB002である場合、それらの距離は「1」と設定されている。同様にすべての2つのビーコン発信器102間の距離が設定されている。なお、物理的な距離だけでなく、たとえば2つのビーコン発信器102間にセキュリティゲートが存在するなど、実際の距離よりも多くの移動時間を要するような場合は、この「距離」のデータは現実の距離よりも大きな数値として設定することも可能である。
【0026】
【0027】
次に、
図6のシーケンスチャート図にて、同一の便におけるユーザの位置情報表示処理を説明する。この位置情報表示処理によって、たとえばあるユーザが自分の居場所を見失ったような場合に、同一の便に搭乗する他のユーザの位置を地図情報に重ねてに当該ユーザの端末に表示し、大多数のユーザの集まる場所へ誘導することで、定時運行を期することができる。
【0028】
各ビーコン発信器102は一定間隔で各自のビーコンIDを発信し続ける(S801)。ユーザ端末101は、位置情報登録・表示アプリケーション10を起動することで、搭乗便情報(空港、航空会社、ユーザID、搭乗日、便番号)を予約アプリケーション11から取得し、記憶域14に保持することで、ユーザが当日に搭乗する便の識別を行う(S802)。ユーザ端末101は次に、位置情報登録・表示アプリケーション10を引き続き作動させて、ビーコン受信を開始する(S803)。
【0029】
ユーザがあるビーコン発信器102(たとえば、B001)の近くを通ると、ユーザ端末101は当該ビーコン発信器102が発するビーコンを受信する(S804)。ユーザ端末101は位置情報登録・表示アプリケーション10を実行することで、取得済みの搭乗便情報と受信したビーコンIDを、表示システム104の位置情報取得部61に送信する(S805)。すなわち、位置情報取得部61は、施設内におけるユーザの位置情報をユーザ端末101から取得する。
【0030】
表示システム104は、受信した、搭乗便情報、ビーコンID及び位置記録時刻(すなわち、ビーコンを受信した時刻)を乗客位置情報データベース40(表1参照)に記録する(S806)。このとき既に同じユーザの搭乗便情報が記録されていれば、そのビーコンID及び位置記録時刻は更新される。
【0031】
なお、B002以降のビーコン発信器102に近接した場合も、同様な処理が行われる(S807、S808、S809)。すなわち、ユーザの位置情報は、施設としての空港内の複数箇所に設置されたビーコン発信器102のうち、最も近いビーコン発信器102の位置として特定される。
【0032】
乗客が位置情報登録・表示アプリケーション10から「位置情報表示」機能を選択する(S810)と、ユーザ端末101は、航空会社情報及びユーザIDを、表示システム104に送信する(S811)。
【0033】
表示システム104の利用情報取得部63は、受信した航空会社情報及びユーザIDから、サービス情報としての便情報を取得する。そして、表示決定部64は、利用情報取得部63が取得したサービス情報としての便情報をキーとして、乗客位置情報データベース40(表1参照)を検索すると、ここで同じ便に搭乗予定のユーザのビーコンIDが取得される(S812)。すなわち、表示決定部64は、利用情報取得部63のサービス情報から当該サービスを利用するユーザを決定する。
【0034】
そして、表示制御部65は、全てのビーコンIDの位置を、地図情報記憶部62から取得した地図情報としての空港地図にプロットした画像をユーザ端末101へ返却する(S813)。ユーザ端末101は受信した空港地図の画像を液晶ディスプレイ12に表示する(S814)。
【0035】
すなわち、表示制御部65は、表示決定部64から表示が決定されたユーザのID情報、位置情報取得部61から該ユーザの位置情報、及び地図情報記憶部62から地図情報、をそれぞれ取得し、該地図情報に重ねて該ユーザの前記位置情報を、該ユーザのユーザ端末101に表示させる。
【0036】
表示画面はたとえば、
図7のとおりである。なお、
図7は、ユーザ端末101に表示される地図情報及び位置情報の例を示す。これを見ることでユーザは、図中で大きな円のアイコンで示されている自らの位置が、小さな円のアイコンで示されている大多数のユーザとは離れていることを認識することができる。
【0037】
すなわち、本図の例では、当該ユーザは、自分以外の大多数は、搭乗ゲート近くのB001~B005のビーコン発信器102(
図5参照)の付近に集中しており、自分が遠くにいることが分かる。
【0038】
ここで、多くの場合、搭乗時間が近くなれば大多数のユーザは搭乗ゲート近くに集まっている可能性が高いため、離れているユーザには、その大多数のユーザのいる位置へ向かうための動機づけが与えられることになる。
【0039】
なお、大多数のユーザがいる場所が仮に誤った位置へ集中しているとしても、その場合は航空会社側はしかるべき位置へ誘導するよう対応せざるを得ない。よって、いずれにしても、離れているユーザは大多数のユーザのいる位置へ移動すればよいこととなる。
【0040】
次に、
図8のシーケンスチャート図にて、ユーザへの注意情報表示処理を説明する。この処理により、同一便に搭乗するユーザのうちの大多数の位置情報と、対象となるユーザの位置情報とを比較し、大きく離れているときは当該ユーザに報知することができる。
【0041】
ユーザ端末101は位置情報登録・表示アプリケーション10を実行することで、一定時間ごと、又は、ビーコンID送信処理を完了するごとに、以降の処理を実行する(S901)。まず、ユーザ端末101は、現在の自身の「相対位置情報検索」要求と、搭乗便情報(空港、航空会社、ユーザID、搭乗日、便番号)を、表示システム104に送信する(S902)。
【0042】
表示システム104は「相対位置情報検索」を受信する(S903)。そして、位置情報取得部61は、受信した搭乗便情報(空港、航空会社、ユーザID、搭乗日、便番号)の便番号をキーに、乗客位置情報データベース40(表1参照)を検索して、該当便に搭乗予定の顧客のビーコンIDの記録から、各ビーコンIDの記録数(すなわち、ユーザID数)を計算する(S904)。
【0043】
次いで、位置情報取得部61は、上記の各ビーコンIDに係るユーザID数から、全ユーザの90%以上となるビーコンID(以下、上位ビーコンID)をリストアップする(S905)。
【0044】
ここで、上位ビーコンIDを、b1、b2、・・・bxとする。そして、位置情報取得部61は、これら上位ビーコンIDと、ユーザ端末101から処理要求をしてきたユーザの現在のビーコンIDとの間の距離を、ビーコン間相対距離データベース41(表2)から取得する。さら位置情報取得部61は、この距離の加重平均を算出する。この加重平均は、各ビーコンIDについて取得された距離に、各ビーコンIDに係るユーザ数を乗じたものの合計を、各ビーコンIDに係るユーザ数の合計で除した値として与えられる。
【0045】
たとえば、ビーコン001のユーザ数が80人で、ビーコン002のユーザ数が20人であるとして、当該ユーザのビーコンIDとビーコン001との距離が20で、ビーコン002との距離が10とあるとすると、
(20×80+10×20)/(80+20)=18
が加重平均となる。このようにして、ユーザの大多数と、当該ユーザとの距離が加重平均距離(y)として算出される(S906)。すなわち、位置情報取得部61は、同一のサービス情報に係るサービスとしての同一便を利用するユーザの位置情報のうち、所定割合以上のユーザの位置情報と、特定のユーザの位置情報とから該特定のユーザの距離情報を算出する。
【0046】
そして、位置情報取得部61は、この加重平均距離(y)と、あらかじめ設定された通知閾値(z)とを比較し、yがz以上であれば、当該ユーザが大多数のユーザから離れているという「はぐれ通知」をTrue(S908)とし、yがzより小さければFalse(S909)とする。そして、表示制御部65は、当該ユーザのユーザ端末101に、はぐれ通知がTrueであるかFalseであるかを返信する(S910)。
【0047】
ユーザ端末101は、受信したはぐれ通知がTrueである場合、位置情報登録・表示アプリケーション10によって、液晶ディスプレイ12に「ご搭乗口までお急ぎください」と注意情報を表示することで、当該ユーザへの通知を行う(S911)。そして、ユーザ端末101は、航空会社情報及びユーザIDを、表示システム104に送信する(S912)。すなわち、表示制御部65は、距離情報としての加重平均距離(y)が所定値としての通知閾値(z)以上である場合に、特定のユーザの位置情報とともに注意情報を、特定のユーザが所持するユーザ端末101に表示させる。
【0048】
表示システム104の利用情報取得部63は、受信した航空会社情報及びユーザIDから、サービス情報としての便情報を取得する。そして、表示決定部64は、利用情報取得部63が取得したサービス情報としての便情報をキーとして、乗客位置情報データベース40(表1参照)を検索すると、ここで同じ便に搭乗予定のユーザのビーコンIDが取得される(S913)。すなわち、表示決定部64は、利用情報取得部63のサービス情報から当該サービスを利用するユーザを決定する。
【0049】
そして、表示制御部65は、全てのビーコンIDの位置を、地図情報記憶部62から取得した地図情報としての空港地図にプロットした画像をユーザ端末101へ返却する(S914)。ユーザ端末101は受信した空港地図の画像を、
図7に示すように、液晶ディスプレイ12に表示する(S915)。
【0050】
次に、
図9のシーケンスチャート図にて、サービス提供者端末105からユーザ端末101への通知に関する処理を説明する。この処理により、サービス提供者が、サービス提供者端末105から、上記注意情報表示処理によってはぐれ通知がTrueであるとされたユーザのユーザ端末101へその旨を通知することが可能となる。
【0051】
まず、サービス提供者としての地上勤務職員が、サービス提供者端末105にインストールされている位置情報登録・表示アプリケーション10から「位置情報表示」機能を選択し(S1001)、さらに空港情報及び便番号を入力すると(S1002)、ユーザ端末101は、当該空港情報及び便場号を、表示システム104に送信する(S1003)。
【0052】
表示システム104の利用情報取得部63は、受信した空港情報及び便番号から、当該便に搭乗予定のユーザのビーコンIDを取得する(S1004)。そして、表示制御部65は、全てのビーコンIDの位置を、地図情報記憶部62から取得した地図情報としての空港地図にプロットした画像をサービス提供者端末105へ返却する(S1005)。サービス提供者端末105は受信した空港地図の画像を、
図10に示すように、液晶ディスプレイ12に表示する(S1006)。すなわち、表示制御部65は、サービス情報に係るサービスを提供する提供者が所持する端末へも、地図情報に重ねてユーザの前記位置情報を表示させる。
【0053】
次に、サービス提供者が、液晶ディスプレイ12に表示されている乗客のアイコンのうち、他の大多数のアイコンから離れているアイコンをタップすると、サービス提供者端末105は、タップされたアイコンに係るユーザのユーザIDを表示システム104へ送信する(S1007)。
【0054】
ユーザIDを受信した表示システム104は、ユーザIDを基に、当該ユーザの通知先を、記憶域43に記憶されている図示しないユーザデータベースから検索し(S1008)、これをサービス提供者端末105へ送信する(S1009)。
【0055】
当該ユーザの通知先をサービス提供者端末105が受信すると、サービス提供者は、この通知先へ、まもなく搭乗時刻となるため急ぎ搭乗ゲートに来るように、との趣旨の通知文を含めた通知をユーザ端末101へ送信する。この通知を受信したユーザ端末101は、液晶ディスプレイ12に当該通知文を表示する。なお、このとき、通知の送信の代わりに、サービス提供者端末105から、携帯電話通信部17及び携帯用アンテナ18を用いてユーザ端末101へ直接電話することによって当該遊座へ連絡することも可能である。
【0056】
なお、必要に応じてユーザは、位置情報登録・表示アプリケーション10から「位置情報表示」機能を選択して、地図情報を液晶ディスプレイ12に表示させることもできる(S1012)。
【0057】
以上、本発明の実施形態によれば、空港等において航空機の定時運行のために、乗客の搭乗ゲート到着遅れの発生を未然に防止する効果がある。また、複数の乗客のスマートフォン上の航空会社の予約アプリ上の便番号と、ビーコン等でアプリが取得した各乗客の位置情報の2つの情報とから、乗客が迷子になった場合、同便に搭乗する他の乗客の位置を空港地図上に表示し、大多数乗客の集まる場所へ誘導し定時運行を期することができる。さらに、同じ便に搭乗予定者の位置情報を集めることにより、多数の人と異なる場所にいる等で多数決的に遅れている人を判別でき、その遅れている乗客への通知により、地上勤務従業員の手間をかけずに、遅れている乗客を自発的に搭乗口へ移動させることができるようになる。
【0058】
また本発明の方式は、既存の航空会社の予約システム、運行管理システム、表示システム等の機能は一切必要なく、スマホアプリと位置情報管理システムで構築できるメリットがある。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態のような航空機への搭乗に限らず、時刻が決まっているサービス、たとえば、新幹線等の交通機関への乗車並びに、コンサート及びスポーツイベントのような興業のように、不特定多数の乗客又は観客のようなユーザが、決まった時刻に施設へ集合して利用するサービスに適用可能である。また、本発明が適用される施設としては、上記の空港以外にも、そのようなサービスが実施される場所、たとえば、駅、バスターミナル、劇場、ホール、イベント会場、スタジアム等が挙げられる。
【符号の説明】
【0060】
10 位置情報登録・表示アプリケーション
11 予約アプリケーション 12 液晶ディスプレイ 12a タッチパネル
13 CPU 14 記憶域 15 無線通信部
16 無線用アンテナ 17 携帯電話通信部 18 携帯用アンテナ
19 バッテリー
20 無線通信部 21 アンテナ 22 ビーコンID記憶域
29 バッテリー
40 乗客位置情報データベース
41 ビーコン間相対距離データベース
42 オペレーティングシステム
43 記憶域 44 CPU 45 通信部
60 位置情報管理アプリケーション
61 位置情報取得部 62 地図情報記憶部 63 利用情報取得部
64 表示決定部 65 表示制御部
101 ユーザ端末 102 ビーコン発信器 103 ネットワーク
104 表示システム 105 サービス提供者端末