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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121657
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ロボットハンド
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20240830BHJP
   F15B 15/10 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B25J15/08 S
F15B15/10 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028873
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(71)【出願人】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 信吾
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】プリトヴィ シャラン サーグナー
【テーマコード(参考)】
3C707
3H081
【Fターム(参考)】
3C707ES03
3C707ES04
3C707ES10
3C707EV12
3C707EV13
3C707EV14
3H081AA18
3H081BB03
3H081CC29
3H081DD07
3H081HH10
(57)【要約】
【課題】本開示は、搬送対象物を湾曲する指部材が掴んだ場合に、搬送対象物がそれぞれの流体圧アクチュエータの隙間を通り抜けることを抑制するロボットハンドの技術の開示を目的とする。
【解決手段】ロボットハンド10は、軸方向の一方側に延出し、軸方向とは交差する方向に湾曲して電球90を掴む、複数の流体圧アクチュエータ20と、複数の流体圧アクチュエータ20の少なくとも一組において、それぞれの流体圧アクチュエータ20の間に架け渡され、電球90に当接して一組の流体圧アクチュエータ20と共に電球90を支持する支持部材52と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一方側に延出し、前記軸方向とは交差する方向に湾曲して搬送対象物を掴む、複数の指部材と、
前記複数の指部材の少なくとも一組において、それぞれの前記指部材の間に架け渡され、搬送対象物に当接して前記一組の指部材と共に搬送対象物を支持する支持部材と、
を有する、ロボットハンド。
【請求項2】
前記支持部材は、前記複数の指部材の先端同士の間に架け渡されている、
請求項1に記載の、ロボットハンド。
【請求項3】
前記支持部材は、帯状の弾性体で形成されている、
請求項1に記載の、ロボットハンド。
【請求項4】
前記一組の指部材は、互いに向かい合う方向に湾曲する一対の指部材である、
請求項1に記載の、ロボットハンド。
【請求項5】
前記一組の指部材は、それぞれが放射方向の外側から前記放射方向の中央に向かって湾曲する、
請求項1に記載の、ロボットハンド。
【請求項6】
前記支持部材は、前記放射方向の中央から前記放射方向の外側に向かって延びている、
請求項5に記載の、ロボットハンド。
【請求項7】
前記支持部材は、前記指部材の先端に被せられるキャップと接続されている、
請求項1に記載の、ロボットハンド。
【請求項8】
前記指部材は、流体圧アクチュエータである、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の、ロボットハンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流体の圧力によって膨張及び収縮する円筒状のチューブと、所定方向に配向された繊維コードを編み込んだ伸縮性を有する構造体であり、チューブの外周面を覆うスリーブと、チューブの軸方向における端部を封止する封止部材と、スリーブの内側において、チューブの軸方向における一端側から他端側に亘って設けられる拘束部材を備える流体圧アクチュエータを用いたシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-88999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の流体圧アクチュエータを用いたシステムでは、搬送対象物を流体圧アクチュエータが掴んだ場合に、搬送対象物がそれぞれの流体圧アクチュエータの隙間を通り抜ける可能性がある。
【0005】
本開示は、搬送対象物を湾曲する指部材が掴んだ場合に、搬送対象物がそれぞれの流体圧アクチュエータの隙間を通り抜けることを抑制するロボットハンドの技術の開示を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様のロボットハンドは、軸方向の一方側に延出し、前記軸方向とは交差する方向に湾曲して搬送対象物を掴む、複数の指部材と、前記複数の指部材の少なくとも一組において、それぞれの前記指部材に架けられ、前記一組の指部材と共に搬送対象物を支持する支持部材と、を有する。
【0007】
このロボットハンドは、複数の指部材の少なくとも一組に、それぞれの指部材に架けられ、指部材と共に搬送対象物を支持する支持部材を有している。このため、搬送対象物を指部材が掴んだ場合に、支持部材が搬送対象物を支持するため、指部材の隙間を搬送対象物が通り抜けることを抑制する。
【0008】
第二態様のロボットハンドは、第一態様に記載のロボットハンドにおいて、前記支持部材は、前記複数の指部材の先端同士の間に架け渡されている。
【0009】
このロボットハンドは、支持部材が、複数の指部材の先端同士の間に架け渡されている。これにより、支持部材が、複数の指部材の根元側の間に架け渡されている場合と比べて、指部材が先端で搬送対象物を掴む場合に、搬送対象物と支持部材とが接触しやすくなり、搬送対象物を支持部材により支持しやすくなる。
【0010】
第三態様のロボットハンドは、第一態様又は第二態様に記載のロボットハンドにおいて、前記支持部材は、帯状の弾性体で形成されている。
【0011】
このロボットハンドは、支持部材が、帯状の弾性体で形成されている。これにより、支持部材が、線状の弾性体で形成されている場合と比べて、搬送対象物と支持部材とがより広い面積で接触するため、搬送対象物を支持部材により支持しやすくなる。
【0012】
第四態様のロボットハンドは、第一態様から第三態様のいずれか一態様に記載のロボットハンドにおいて、前記一組の指部材は、互いに向かい合う方向に湾曲する一対の指部材である。
【0013】
このロボットハンドは、一組の指部材が、互いに向かい合う方向に湾曲する一対の指部材である。これにより、指部材の隙間を搬送対象物が通り抜けることを抑制しながら指部材の個数を最小限としたロボットハンドが提供される。
【0014】
第五態様のロボットハンドは、第一態様から第三態様のいずれか一態様に記載のロボットハンドにおいて、前記一組の指部材は、それぞれが放射方向の外側から前記放射方向の中央に向かって湾曲する。
【0015】
このロボットハンドは、一組の指部材のそれぞれが放射方向の中央に向かって湾曲する。これにより、指部材の隙間を搬送対象物が通り抜けることを抑制しながら周方向に並んだ指部材により搬送対象物を掴むロボットハンドが提供される。
【0016】
第六態様のロボットハンドは、第五態様に記載のロボットハンドにおいて、前記支持部材は、前記放射方向の中央から前記放射方向の外側に向かって延びている。
【0017】
このロボットハンドは、放射方向の中央から放射方向の外側に向かって延びている。このため、支持部材が放射方向の中央から放射方向の外側に向かって延びていない場合と比べて、ロボットハンドに掴まれた搬送対象物が、指部材の隙間を搬送対象物が通り抜けることが抑制されたロボットハンドが提供される。
【0018】
第七態様のロボットハンドは、第一態様から第六態様のいずれか一態様に記載のロボットハンドにおいて、前記支持部材は、前記指部材の先端に被せられるキャップと接続されている。
【0019】
このロボットハンドは、支持部材が、指部材の先端に被せられるキャップと接続されている。これにより、支持部材が直接的に指部材に取り付けられている場合と比べて、キャップを交換することにより支持部材を選択することが可能なロボットハンドが提供される。
【0020】
第八態様のロボットハンドは、第一態様から第七態様のいずれか一項に記載のロボットハンドにおいて、前記指部材は、流体圧アクチュエータである。
【0021】
このロボットハンドは、指部材が流体圧アクチュエータであるため、搬送対象物を掴む場合に搬送対象物が破損しにくいロボットハンドが提供される。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、搬送対象物を湾曲する指部材が掴んだ場合に、搬送対象物がそれぞれの流体圧アクチュエータの隙間を通り抜けることを抑制するロボットハンドの技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の第一実施形態に係るロボットハンドを示す斜視図である。
図2】本開示に係る指部材の分解図である。
図3】本開示に係る指部材の断面図である。
図4】本開示の第一実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図5】本開示の第一実施形態に係るロボットハンドを用いて、搬送対象物を保持する様子を説明する図であり、ロボットハンドを搬送対象物に近づける様子を示す側面図である。
図6】本開示の第一実施形態に係るロボットハンドを用いて、搬送対象物を保持する様子を説明する図であり、アクチュエータを湾曲させて搬送対象物に掴む様子を示す側面図である。
図7】本開示の第一実施形態に係るロボットハンドを用いて、搬送対象物を保持する様子を説明する図であり、アクチュエータと支持部材とで搬送対象物を支持する様子を示す側面図である。
図8】本開示の第二実施形態に係るロボットハンドを示す斜視図である。
図9】本開示の第二実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図10】本開示の第三実施形態に係る支持部材の斜視図である。
図11】本開示の第四実施形態に係る支持部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本開示の技術を実現する実施形態を詳細に説明する。
【0025】
なお、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。また、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0026】
また、各図に示す矢印Sは、流体圧アクチュエータにおけるチューブの軸方向を示し、矢印Xは、矢印Sと直交する方向を示す。
【0027】
[第一実施形態]
図1から図7を適宜参照しながら、本開示の第一実施形態に係るロボットハンド10を説明する。本開示に係るロボットハンド10は、一例として、図示しないロボットアームの先端に取り付けられる部品であり、搬送対象物の運搬のため、搬送対象物を掴む動作を行う。
【0028】
(構成)
図1から図4は、本実施形態に係るロボットハンド10の構成を説明する図である。本実施形態に係るロボットハンド10は、台座12と、台座12から軸方向(図1における図面上下方向)に延出する2個の流体圧アクチュエータ20と、2個の流体圧アクチュエータ20の間に架け渡された支持部材52と、支持部材52が接続されたキャップ50と、を有する。なお、以後の説明における「放射方向C」は、軸方向からみて、複数(本実施形態では2個)の流体圧アクチュエータ20、又はキャップ50の中間を中心Oとし、中心Oから外側に向かう方向である。
【0029】
(流体圧アクチュエータ20)
図1には、本開示の第一実施形態に係る流体圧アクチュエータ20が示されている。流体圧アクチュエータ20は、本開示に係る指部材の一例であり、アクチュエータ本体部22、第一封止部材30A、第二封止部材30Bを備えている。
【0030】
図2及び図3にも示されるように、アクチュエータ本体部22は、チューブ24、スリーブ26、及び拘束部材28を有している。チューブ24は、弾性変形による伸縮可能な円筒状であり、内部の流体の圧力変化によって膨張及び収縮する。チューブ24は、ブチルゴムなどの弾性材料によって構成することができる。チューブ24へ供給する流体としては、空気を用いることができ、この場合には、流体圧アクチュエータ20は空気式アクチュエータとなる。
【0031】
スリーブ26は、チューブ24の外周を覆う円筒状とされている。スリーブ26は、所定方向に配向された繊維コードを編み込んだ伸縮性を有する構造体であり、配向されたコードが矢印Sに対して所定の角度θで交差されている。スリーブ26は、このような形状を有することによって、角度θを変えるパンタグラフ変形し、チューブ24の収縮及び膨張を規制しつつこの収縮及び膨張に追従する。
【0032】
スリーブ26を構成するコードとしては、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)やポリエチレンテレフタラート(PET)の繊維コードを用いることが好ましい。但し、このような種類の繊維コードに限定されるものではなく、例えば、PBO繊維(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)などの他の高強度繊維のコードでもよい。
【0033】
拘束部材28は、チューブ24とスリーブ26との間に設けられている。拘束部材28は、長尺板状とされ、長手方向がチューブ24の矢印Sに沿った方向に配置され、チューブ24の外周の一部を覆い、チューブ24の一端から他端に渡って配置されている。
【0034】
拘束部材28は、加圧により膨張及び収縮のない材料で形成されており、端部同士が近づく方向に撓み変形可能とされている。拘束部材28としては、いわゆる、板バネ(leaf spring)を用いることができる。板バネの寸法及び材料は、流体圧アクチュエータ20のサイズや要求される把持力などに応じて決定される。
【0035】
第一封止部材30Aは、封止コネクタ32、係止リング34、及び圧着部材36を有している。
【0036】
封止コネクタ32は、一体成形された蓋部32A、及び挿入部32Bを有している。蓋部32Aは、チューブ24の外径よりも大径とされた略円柱状とされ、蓋部32Aの一端側の中央から、挿入部32Bが矢印Sに延出形成されている。挿入部32Bは、係止部48を有し、所謂タケノコ形状とされ、スリーブ26の内側のチューブ24の一端側に挿入される。係止部48は、挿入部32Bにおける矢印Sの他端側において蓋部32A及び挿入部32Bよりも縮径された円筒形状の部分である。第一封止部材30Aとしては、ステンレス鋼などの金属を好適に用い得るが、このような金属に限定されず、硬質プラスチック材料などを用いてもよい。
【0037】
また、挿入部32Bの径方向中央部に矢印Sに延出形成されると共に、蓋部32Aの側面の接続孔Hと連通されている流路Rを有している。接続孔Hには、図示しない空気供給ホースが接続され、圧縮空気が流路Rに供給される。
【0038】
係止リング34は、リング状とされ、係止部48との間にスリーブ26を挟み込むように、スリーブ26の外側に配置され、スリーブ26を封止コネクタ32に係止する。スリーブ26は、係止リング34を介して外周へ折り返される。係止リング34としては、金属、硬質プラスチックや、繊維、ゴムなどの材料を用いることができる。
【0039】
圧着部材36は、アクチュエータ本体部22の外周で挿入部32Bが挿入された部分を覆うように配置され、アクチュエータ本体部22を封止コネクタ32に圧着する。これにより、アクチュエータ本体部22は、封止コネクタ32に固定される。圧着部材36としては、アルミニウム合金、真鍮、及び鉄などの金属を用いることができる。
【0040】
第二封止部材30Bは、封止コネクタ32、係止リング34、及び圧着部材36を有している。封止コネクタ32は、接続孔H及び流路Rは形成されておらず、先端がR形状とされていることを除いては、第一封止部材30Aの封止コネクタ32と同様である。
【0041】
図3に示されるように、流体圧アクチュエータ20は、一端側の第一封止部材30Aが台座12に固定され、他端側の第二封止部材30Bが自由端となるようにして使用される。なお、台座12と第一封止部材30Aは、どのように固定されてもよいが、一例として図示しないねじが台座12に形成された貫通孔を通してめねじ33Aと螺合することにより第一封止部材30Aが固定される。
【0042】
接続孔Hから圧縮空気を流入させると、流体圧アクチュエータ20内の圧力が上昇する。内圧上昇により、チューブ24が弾性変形して膨張し、スリーブ26は角度θが大きくなるようにパンタグラフ変形し、アクチュエータ本体部22の長さが短縮する方向に力が作用する。このとき、アクチュエータ本体部22の拘束部材28が配置された外周側壁は短縮が規制されているため、アクチュエータ本体部22は、矢印X方向の一方側、すなわち拘束部材28が配置されていない側(図3における図面左側)の外周壁が短縮する。これにより、拘束部材28が撓み変形し、図3における二点鎖線で示されるように、アクチュエータ本体部22の全体が湾曲する。
【0043】
なお、本開示において、拘束部材28は、幅方向に長さを有しているため、板厚方向、すなわち第一封止部材30A及び第二封止部材30Bにおける矢印Sと交差する方向以外の方向に曲がりにくい。言い換えれば、図3に示されるように、拘束部材28は、チューブ24の軸心に向かう方向に曲がる。
【0044】
また、図1において、2個の流体圧アクチュエータ20は、互いに向かい合う方向に湾曲するように変形する。言い換えれば、2個の流体圧アクチュエータ20は、互いの間隔を狭める方向に向かって湾曲する。また、本実施形態における流体圧アクチュエータ20は、図1に示されるように、矢印Sの先端に後述するキャップ50が取り付けられる。なお、以後の説明では、流体圧アクチュエータ20の「先端側」は、図2における第二封止部材30Bがある方向を指し、「根元側」とはその反対側を指す。
【0045】
(キャップ50、支持部材52)
キャップ50は、図1及び図4に示されるように、ゴムで形成された流体圧アクチュエータ20の先端に取り付けられる袋状の部品であり、流体圧アクチュエータ20の先端に被せられることによって取り付けられる。
【0046】
本実施形態における支持部材52は、一例として図4に示されるように、2個のキャップ50同士に接続されている帯状の部材である。この支持部材52は、一例として弾性体であり、より具体的にはゴムで形成されている。
【0047】
なお、支持部材52とキャップ50とは、どのように接続されていてもよいが、一例として支持部材52は、キャップ50の内周面に接着剤を用いて接着されることによって接続される。
【0048】
また、キャップ50は、図1に示されるように、流体圧アクチュエータ20が湾曲する方向、すなわち、2個の流体圧アクチュエータ20の間に支持部材52が位置するように、流体圧アクチュエータ20に取り付けられる。言い換えれば、支持部材52は、流体圧アクチュエータ20の先端同士の間に架け渡されている。
【0049】
また、支持部材52の長さ及び幅については、後述するように搬送対象物を流体圧アクチュエータ20が掴んだ状態において、搬送対象物を支持することが可能な形状に適宜設定される。
【0050】
(搬送対象物を掴む手順)
続いて、図5から図7を適宜参照しながら、本実施形態に係るロボットハンド10を用いて、搬送対象物を掴む手順を説明する。なお、本説明では搬送対象物の一例を電球90とする。
【0051】
まず流体圧アクチュエータ20には空気圧が供給されておらず、流体圧アクチュエータ20が軸方向に延びている状態において、図5に示されるように、ロボットアームが駆動されて、ロボットハンド10における2個の流体圧アクチュエータ20の間に電球90が位置される。より具体的には、流体圧アクチュエータ20の先端は、電球90の本体側からアクセスされて赤道面(電球90の最も直径が大きい箇所)よりも口金側に位置するようにロボットハンド10が駆動される。
【0052】
次に、図6に示されるように、流体圧アクチュエータ20に空気圧が供給されることにより、流体圧アクチュエータ20が湾曲する。この場合、流体圧アクチュエータ20の先端部分が電球90の赤道面よりも口金側に位置しているため、電球90は、相対的に矢印D方向(流体圧アクチュエータ20の根本側)に向かって引き込まれる。
【0053】
そして、さらに流体圧アクチュエータ20が湾曲した場合、図7に示されるように、電球90は、流体圧アクチュエータ20に掴まれると共に、支持部材52と当接することによって支持される。この状態では、電球90は、流体圧アクチュエータ20が湾曲する力(電球90を掴む力)及び支持部材52の摩擦力により、安定して支持される。
【0054】
続いて、本実施形態に係るロボットハンド10による作用及び効果を説明する。
【0055】
(作用及び効果)
本実施形態に係るロボットハンド10は、2個の流体圧アクチュエータ20を有し、それぞれの流体圧アクチュエータ20に架けられ、流体圧アクチュエータ20と共に電球90を支持する支持部材52を有している。このため、電球90を流体圧アクチュエータ20が掴んだ場合に、支持部材52が電球90を支持するため、流体圧アクチュエータ20の隙間を電球90が通り抜けることを抑制する。
【0056】
また、本実施形態に係るロボットハンド10は、支持部材52が、複数の流体圧アクチュエータ20の先端同士の間に架け渡されている。これにより、支持部材52が、複数の流体圧アクチュエータ20の根元側の間に架け渡されている場合と比べて、流体圧アクチュエータ20が先端で電球90を掴む場合に電球90が支持部材52と接触しやすくなり、電球90を支持部材52により支持しやすい。
【0057】
また、本実施形態に係るロボットハンド10は、支持部材52が、帯状の弾性体で形成されている。これにより、支持部材52が、線状の部材で形成されている場合と比べて、電球90と支持部材52とがより広い面積で接触するため、電球90を支持部材52により支持しやすい。
【0058】
また、本実施形態に係るロボットハンド10は、一組の流体圧アクチュエータ20が、互いに向かい合う方向に湾曲する一対の流体圧アクチュエータ20である。これにより、本実施形態のロボットハンド10によれば、流体圧アクチュエータ20の隙間を電球90が通り抜けることを低減しながら、流体圧アクチュエータ20の個数を最小限となる。
【0059】
また、本実施形態に係るロボットハンド10は、支持部材52が、流体圧アクチュエータ20の先端に被せられるキャップ50と接続されている。これにより、支持部材52が直接的に流体圧アクチュエータ20に取り付けられている場合と比べて、キャップ50を交換することにより搬送対象物に応じて支持部材52の長さや幅を変更することが可能である。
【0060】
また、本実施形態に係るロボットハンド10は、指部材が流体圧アクチュエータ20であるため、流体圧アクチュエータ20が電球90を掴む場合に電球90からの反力により流体圧アクチュエータ20が変形しやすい。これにより、指部材が硬質の部材で形成されている場合と比べて、電球90が破損しにくい。
【0061】
また、本実施形態に係るロボットハンド10は、支持部材52がゴムで形成されている。これにより、支持部材52と電球90との接触による摩擦力が大きくなるため、電球90を掴み損ねにくくなる。
【0062】
[第二実施形態]
次に、図8及び図9を適宜参照しながら本開示の第二実施形態に係るロボットハンド10について説明する。本実施形態では第一実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0063】
(構成)
本実施形態のロボットハンド10は、一例として3個の流体圧アクチュエータ20を有している。これらの流体圧アクチュエータ20は、それぞれが放射方向の外側から放射方向Cの中央に向かって湾曲する。言い換えれば、これらの流体圧アクチュエータ20は、それぞれ互いに近づく方向に向かって湾曲する。なお、これらの流体圧アクチュエータ20のその他の構成は、第一実施形態に係るロボットハンド10の流体圧アクチュエータ20と同様である。
【0064】
(キャップ150、支持部材152)
本実施形態における支持部材152は、一例として図8及び図9に示されるように、中央部154から3つの腕部156が放射方向Cに向かって延びた形状を成す部材である。言い換えれば、本実施形態における支持部材152は、流体圧アクチュエータ20が湾曲する方向で交差するように形成されている。支持部材152は、腕部156が3個のキャップ150同士に接続されている。なお、支持部材152におけるその他の構成は、第一実施形態と同様である。また、支持部材152とキャップ150の接続方法は、第一実施形態と同様である。
【0065】
キャップ150は、図8に示されるように、流体圧アクチュエータ20が湾曲する方向、すなわち、3個の流体圧アクチュエータ20の間に支持部材152が位置するように、流体圧アクチュエータ20に取り付けられる。すなわち、本実施形態においても支持部材152は、流体圧アクチュエータ20の先端同士の間に架け渡されている。
【0066】
なお、支持部材152における腕部156の長さ及び幅については、後述する電球90を流体圧アクチュエータ20が掴んだ状態において、電球90を支持することが可能な形状に適宜設定される。
【0067】
その他の構成、及びロボットハンド10が電球90を掴む手順は、第一実施形態と同様である。
【0068】
(作用及び効果)
本実施形態に係るロボットハンド10は、一組の流体圧アクチュエータ20のそれぞれが放射方向Cの中央に向かって湾曲する。これにより、流体圧アクチュエータ20の隙間を電球90が通り抜けることを低減しながら周方向に並んだ流体圧アクチュエータ20により電球90を掴むロボットハンド10が提供される。
【0069】
また、本実施形態に係るロボットハンド10は、放射方向Cの中央から放射方向Cの外側に向かって延びている。このため、支持部材152が放射方向Cの中央から放射方向Cの外側に向かって延びていない場合と比べて、ロボットハンド10に掴まれた電球90が、流体圧アクチュエータ20の隙間を電球90が通り抜けることを抑制されたロボットハンド10が提供される。
【0070】
また、本実施形態に係るロボットハンド10は、支持部材152と3個の流体圧アクチュエータ20とで、電球90を支持する。このため、流体圧アクチュエータ20が3個よりも少ない場合と比べて、より電球90を安定して支持することができる。
【0071】
なお、その他の第一実施形態のロボットハンド10で得られる効果は、本実施形態におけるロボットハンド10においても同様に得ることができる。
【0072】
[第三実施形態]
次に、図10を適宜参照しながら本開示の第三実施形態に係るロボットハンド10について説明する。本実施形態では第二実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0073】
(支持部材252)
本実施形態における支持部材252は、図10に示されるように、合計で3個用意され、3個のキャップ250のそれぞれを接続するように架け渡された部材である。言い換えれば本実施形態における支持部材252は、第一実施形態と同様に、それぞれの一対のキャップ250同士を支持部材252が接続することにより一組のキャップ250が接続されている。なお、支持部材252におけるその他の構成は、第一実施形態と同様である。また、支持部材252とキャップ250の接続方法は、第一実施形態と同様である。
【0074】
なお、支持部材252の長さ及び幅については、電球90を流体圧アクチュエータ20が掴んだ状態において、電球90を支持することが可能な形状に適宜設定される。
【0075】
その他の構成、及びロボットハンド10が電球90を掴む手順は、第二実施形態と同様である。
【0076】
(作用及び効果)
本実施形態に係るロボットハンド10によれば、搬送対象物である電球90を流体圧アクチュエータ20が掴んだ状態において、支持部材252は、軸方向の外側から電球90を囲むように接触する。これにより、流体圧アクチュエータ20の隙間を電球90が通り抜けることを抑制しながら流体圧アクチュエータ20により電球90を掴むロボットハンド10が提供される。
【0077】
なお、その他の第一実施形態のロボットハンド10で得られる効果は、本実施形態におけるロボットハンド10においても同様に得ることができる。
【0078】
[第四実施形態]
次に、図11を適宜参照しながら本開示の第四実施形態に係るロボットハンド10について説明する。本実施形態では第二実施形態と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
(支持部材352)
本実施形態における支持部材352は、図11に示されるように、中央部354が径方向に拡がると共に、帯状の腕部356が3個のキャップ350のそれぞれを接続するように架け渡される膜状の部材である。なお、支持部材352におけるその他の構成は、第一実施形態と同様である。また、支持部材352とキャップ350の接続方法は、第一実施形態と同様である。
【0080】
なお、支持部材352における腕部356の長さ及び幅については、電球90を流体圧アクチュエータ20が掴んだ状態において、電球90を支持することが可能な形状に適宜設定される。
【0081】
その他の構成、及びロボットハンド10が電球90を掴む手順は、第二実施形態と同様である。
【0082】
(作用及び効果)
本実施形態に係るロボットハンド10においても、第二実施形態又は第三実施形態に係るロボットハンド10と同様の作用及び効果が得られる。
【0083】
[その他の変形例]
なお、上述の説明において、本開示の指部材の一例として、流体圧アクチュエータ20が用いられていたが、電球90を掴むことが可能とされていれば、これに限らない。例えば、流体圧アクチュエータ20に変えて、硬質の梁部材と、梁部材同士を回転駆動させるモータとにより形成されたロボットハンド10においても、本開示に係る技術を適用可能である。
【0084】
また、上述の説明において、本開示の支持部材52は、一例としてゴムで形成されていたが、電球90を支持可能とされていれば、これに限られない。例えば、ゴムに変えて、弾性を有する合成樹脂で形成されたエラストマー等で形成されていてもよい。
【0085】
また、上述の説明において、本開示の支持部材52は、一例として弾性を有する帯状とされていたが、電球90を支持可能とされていれば、これに限られない。例えば、帯状に変えて、線状又はワイヤ状に形成されていてもよい。また、弾性を有する部材に変えて、紙紐などの弾性を有していない材料で形成されていてもよい。
【0086】
また、上述の説明において、本開示の支持部材52は、一例としてキャップ50に接続されていたが、電球90を支持可能とされていれば、これに限られない。例えば、キャップ50に変えて、直接的に流体圧アクチュエータ20に接続されていてもよい。
【0087】
また、上述の説明において、本開示の支持部材52は、一例として流体圧アクチュエータ20の先端同士の間に架け渡されていたが、電球90を支持可能とされていれば、これに限られない。例えば、流体圧アクチュエータ20が電球90を掴んだ状態で、支持部材52が電球90を支持可能であれば、支持部材52は、流体圧アクチュエータ20における軸方向の他方側に接続されていてもよい。
【0088】
また、上述の説明において、流体圧アクチュエータ20は、2個又は3個とされていたが、本開示における流体圧アクチュエータ20の個数は、これに限らない。例えば、流体圧アクチュエータ20は、4以上とされていてもよい。
【0089】
また、上述の説明において、キャップ50は、流体圧アクチュエータ20と同数とされていたが、本開示におけるキャップ50の個数は、これに限らない。すなわち、複数の流体圧アクチュエータ20少なくとも一組の流体圧アクチュエータ20同士に支持部材52が架け渡されていれば、本開示における第一実施形態から第四実施形態のいずれか一実施形態に係る作用及び効果を得ることができる。
【0090】
また、上述の説明において、搬送対象物の一例として電球90を用いて説明されていたが、これに限られないことは勿論である。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0092】
10 ロボットハンド、12 台座、20 流体圧アクチュエータ(指部材の一例)、22 アクチュエータ本体部、24 チューブ、26 スリーブ、28 拘束部材、30A 第一封止部材、30B 第二封止部材、32 封止コネクタ、32A 蓋部、32B 挿入部、34 係止リング、36 圧着部材、48 係止部、50 キャップ、52 支持部材、90 電球(搬送対象物の一例)、150 キャップ、152 支持部材、154 中央部、156 腕部、250 キャップ、252 支持部材、350 キャップ、352 支持部材、354 中央部、356 腕部
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図11