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  • 特開-内臓脂肪低減剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121662
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】内臓脂肪低減剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/353 20060101AFI20240830BHJP
   A61K 31/714 20060101ALI20240830BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240830BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240830BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240830BHJP
   A23L 33/15 20160101ALI20240830BHJP
【FI】
A61K31/353
A61K31/714
A61P3/00
A61P43/00 121
A23L33/105
A23L33/15
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028880
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大里 直樹
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018MD08
4B018MD23
4B018MD59
4B018ME01
4B018ME14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086DA39
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZC21
4C086ZC75
(57)【要約】
【課題】内臓脂肪の低減に有用な内臓脂肪低減剤の提供。
【解決手段】非重合体カテキン類及びビタミンB12を有効成分とする内臓脂肪低減剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非重合体カテキン類及びビタミンB12を有効成分とする内臓脂肪低減剤。
【請求項2】
ビタミンB12と共に投与又は摂取される、非重合体カテキン類を有効成分とする内臓脂肪低減剤。
【請求項3】
非重合体カテキン類として1日あたり100~3000mgの量で投与又は摂取される請求項1又は2記載の内臓脂肪低減剤。
【請求項4】
ビタミンB12を有効成分とする、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強剤。
【請求項5】
ビタミンB12と共に摂取される、非重合体カテキン類を有効成分とする内臓脂肪低減用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内臓脂肪低減剤に関する。
【背景技術】
【0002】
内臓脂肪は胃と肝臓の間や周辺等に分布する脂肪組織であり、その過剰な蓄積は動脈硬化性病変のリスクとなることが明らかになっている。現在では、内臓脂肪の蓄積は、メタボリックシンドロームの診断の第1の基準となっている。内臓脂肪の蓄積を管理することは、健康寿命の延伸を目指す上で極めて重要である。
【0003】
非重合体カテキン類は、Camellia属の茶葉に含まれるポリフェノールの一種であり、継続摂取することにより内臓脂肪低減効果が得られることが報告されている(例えば、非特許文献1)。現在、生活習慣として手軽に摂取できることから、非重合体カテキン類を高濃度で含有する飲料が多数上市されている。
【0004】
一方、ビタミンB12は、ビタミンB群の一つであり、レバー、肉類、魚介類、牛乳等に多く含まれる。ビタミンB12が欠乏すると悪性貧血を起こすことが知られている。例えば、特許文献1には、ビタミンB12と葉酸からなる組成物が造血剤として有用であることが記載されている。
しかしながら、ビタミンB12の内臓脂肪に対する作用やビタミンB12が非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用に及ぼす影響については全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-296379号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Obesity, 2007, 15, p.1473-1483
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、内臓脂肪の低減に有用な内臓脂肪低減剤を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討したところ、ビタミンB12が単独では内臓脂肪低減作用を示さないものの、非重合体カテキン類と摂取するとその内臓脂肪低減作用を増強することを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の1)~3)に係るものである。
1)非重合体カテキン類及びビタミンB12を有効成分とする内臓脂肪低減剤。
2)ビタミンB12と共に投与又は摂取される、非重合体カテキン類を有効成分とする内臓脂肪低減剤。
3)ビタミンB12を有効成分とする、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非重合体カテキン類とビタミンB12の組み合わせにより、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用を増強し、優れた内臓脂肪低減効果を発揮することができる。従って、内臓脂肪蓄積と関わりが深い健康障害又は疾患の発症もしくは病態の進展の予防、改善又は治療が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】各試験群の内臓脂肪面積の試験開始前からの変化量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において「非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、エピカテキン及びエピガロカテキン等の非ガレート体と、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のガレート体を併せての総称である。本発明においては、上記8種の非重合体カテキン類のうち少なくとも1種を含有すればよい。
なお、本明細書において、非重合体カテキン類の含有量は上記8種の合計量に基づいて定義される。
【0013】
非重合体カテキン類の由来は特に限定されず、例えば、化学合成品でも、非重合体カテキン類を含有する植物から抽出したものでもよい。
非重合体カテキン類は、一般的には茶葉から抽出した茶抽出物、その濃縮物又はそれらの精製物(以下、これらを包括的に「茶抽出物等」とも称する)に含まれているため、これらから得られるものが好ましく使用される。ここで、「茶抽出物」とは、茶葉から水又は親水性有機溶媒を用いて抽出したものであって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。水としては、例えば、水道水、天然水、蒸留水、膜ろ過水、イオン交換水等が挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えば、エタノール等の低級アルコールを挙げることができる。
また、抽出方法としては、ニーダー抽出、撹拌抽出、ドリップ抽出、カラム抽出等の公知の方法を採用することができる。
「茶抽出物の濃縮物」とは、上記茶抽出物から溶媒の少なくとも一部を除去して非重合体カテキン類濃度を高めたものをいう。茶抽出物の濃縮物は、例えば、特開昭59-219384号公報、特開平4-20589号公報、特開平5-260907号公報、特開平5-306279号公報等に記載の方法により調製することができる。更に、「茶抽出物の精製物」は、溶剤や吸着剤を用いて茶抽出物又はその濃縮物を処理し固形分中の非重合体カテキン類の純度を高めたものをいい、例えば、特開2004-147508号公報、特開2007-282568号公報、特開2006-160656号公報、特開2008-079609号公報等に記載の方法により調製することができる。
【0014】
抽出に使用する茶葉としては、Camellia属の茶葉、例えば、C.sinensis var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.sinensis var.assamica又はそれらの雑種から得られる茶葉が挙げられる。茶葉は、摘採された生茶葉の他、これを乾燥、凍結等させたもの、又はこれらを製茶したものが包含される。 茶葉は、その加工方法により、不発酵茶葉、半発酵茶葉、発酵茶葉に分類される。不発酵茶葉としては、例えば、煎茶、深蒸し煎茶、焙じ茶、番茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶葉が挙げられる。半発酵茶葉としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶葉が挙げられる。発酵茶葉としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶葉が挙げられる。茶葉は、1種又は2種以上を使用することできる。また、茶葉の他、茎を使用してもよい。なかでも、非重合体カテキン類の含有量が高いという点から、緑茶葉が好ましい。
【0015】
本明細書において「ビタミンB12」はコバラミンをさす。コバラミンは、5,6-ジメチルベンズイミダゾールを塩基として含むコバミド補酵素の総称である。
ビタミンB12としては、例えば、アデノシルコバラミン、メチルコバラミン、ヒドロキソコバラミン、アクアコバラミン、シアノコバラミンが挙げられ、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビタミンB12は、それらを含む動植物から単離精製する方法、化学合成、発酵生産等により得ることができる。あるいは市販品を用いることができる。また、ビタミンB12を含む動植物、食物等の形態でもよい。
【0016】
後記実施例に示すように、非重合体カテキン類とビタミンB12の両方を摂取すると、内臓脂肪が有意に低減する。また、ビタミンB12の摂取量が増えるに従い、内臓脂肪は更に低減する。非重合体カテキン類が内臓脂肪低減作用を有することが知られている(例えば、非特許文献1)一方、非重合体カテキン類は非摂取でビタミンB12を摂取した場合は内臓脂肪低減作用が認められないことから、前記効果は、ビタミンB12が非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用を増強することにより得られるものであると考えられる。すなわち、非重合体カテキン類とビタミンB12の組み合わせは、内臓脂肪低減作用を有する。また、ビタミンB12は、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強作用を有する。内臓脂肪の低減により、内臓脂肪蓄積を基盤とする内臓脂肪型肥満やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を予防、改善又は治療することが可能となる。
【0017】
従って、非重合体カテキン類とビタミンB12の組み合わせは、内臓脂肪を低減する内臓脂肪低減剤となり得、また、当該内臓脂肪低減剤を製造するために使用することができる。また、非重合体カテキン類とビタミンB12の組み合わせは、内臓脂肪の低減のために使用することができる。
さらに、非重合体カテキン類は、ビタミンB12と共に投与又は摂取される内臓脂肪低減剤となり得、また、当該内臓脂肪低減剤を製造するために使用することができる。また、非重合体カテキン類は、ビタミンB12と共に投与又は摂取されることで、内臓脂肪の低減のために使用することができる。
さらにまた、ビタミンB12は、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用を増強する増強剤となり得、また、当該非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強剤を製造するために使用することができる。また、ビタミンB12は、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用を増強するために使用することができる。
本明細書において、「内臓脂肪」とは、腹腔内の内臓組織(例えば、胃、肝臓、腎臓等)及びその周辺に蓄積された脂肪である。「内臓脂肪の低減」は、内臓脂肪量を減少すること、内臓脂肪の蓄積を抑制することを意味する。
「使用」は、ヒトを含む動物への投与又は摂取であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
【0018】
本発明において、非重合体カテキン類とビタミンB12は、どちらを先に投与又は摂取しても、同時に投与又は摂取してもよい。両剤を同時に投与又は摂取しない場合、両剤の投与又は摂取間隔は、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強効果を奏するかぎり適宜選択しうる。
非重合体カテキン類とビタミンB12を組み合わせてなる剤は、これらを配合剤として一の剤型に製剤化したものでも、また単独に製剤化したものを同時に又は間隔を空けて別々に使用できるようにしたキットであってもよい。
【0019】
本発明の内臓脂肪低減剤又は非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強剤は、ヒトを含む動物に投与又は摂取した場合に内臓脂肪低減の効果を発揮するヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、食品又は飼料となり、また当該医薬品、医薬部外品、食品又は飼料に配合して使用される素材又は製剤となり得る。
【0020】
当該医薬品(以下、医薬部外品を含む)は、非重合体カテキン類、又は非重合体カテキン類とビタミンB12を、内臓脂肪低減のための有効成分として含有する。また、ビタミンB12を、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用増強のための有効成分として含有する。更に、該医薬品は、該有効成分の機能が失われない限りにおいて、必要に応じて薬学的に許容される担体、又は他の有効成分、薬理成分等を含有していてもよい。
医薬品は任意の投与形態で投与され得る。投与形態としては、例えば、錠剤(チュアブル錠等を含む)、カプセル剤、顆粒剤、散剤、トローチ剤等の経口固形製剤、内服液剤、シロップ剤等の経口液状製剤、注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等の非経口投与製剤が挙げられる。好ましい投与形態は経口投与である。形態は使用目的に応じて大きさを任意に調節することができる。
このような種々の剤形の製剤は、必要に応じて、薬学的に許容される担体、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、保存剤、増粘剤、流動性改善剤、嬌味剤、発泡剤、香料、被膜剤、希釈剤等や、他の薬効成分等と適宜組み合わせて、定法に従って調製することができる。
【0021】
当該食品は、非重合体カテキン類、又は非重合体カテキン類とビタミンB12を、内臓脂肪低減のための有効成分として含有する。また、ビタミンB12を、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用増強のための有効成分として含有する。食品には、内臓脂肪低減を訴求とし、必要に応じてその旨の表示が許可又は届出された食品(特定保健用食品、機能性表示食品)が含まれる。表示の例としては、「内臓脂肪を減らす」等がある。機能表示が許可又は届出された食品は、一般の食品と区別することができる。
食品の形態は、固形、半固形又は液状(例えば飲料)であり得る。例としては、各種食品組成物(パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、冷凍食品、アイスクリーム類、あめ類、ふりかけ類、スープ類、乳製品、シェイク、飲料、調味料等)、更には、上述した経口投与製剤と同様の形態(顆粒剤、粉剤、錠剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、トローチ剤等の固形製剤)の栄養補給用組成物が挙げられる。手軽に摂取できることから、好ましくは飲料である。飲料としては、例えば、特開2006-77026号公報に開示されている容器詰め飲料等が挙げられる。
種々の形態の食品は、非重合体カテキン類、ビタミンB12を、任意の食品材料、若しくは他の有効成分、又は食品に許容される添加物(例えば、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、酸味料、甘味料、苦味料、pH調整剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、固着剤、分散剤、流動性改善剤、湿潤剤、香科、調味料、風味調整剤)等と適宜組み合わせて、定法に従って調製することができる。
【0022】
当該飼料は、非重合体カテキン類、又は非重合体カテキン類とビタミンB12を、内臓脂肪低減のための有効成分として含有する。また、ビタミンB12を、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用増強のための有効成分として含有する。
飼料の形態としては、好ましくはペレット状、フレーク状、マッシュ状又はリキッド状であり、例えば、牛、豚、鶏、羊、馬等に用いる家畜用飼料、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、犬、猫、小鳥等に用いるペットフード等が挙げられる。
飼料は、非重合体カテキン類、ビタミンB12を、他の飼料材料、例えば、肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、粕類、糖類、野菜、ビタミン類、ミネラル類、ゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等と適宜組み合わせて、定法に従って調製することができる。
【0023】
本発明の内臓脂肪低減剤又は非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強剤において、非重合体カテキン類とビタミンB12の含有量は、それらの剤形や形態により異なり得るが、投与又は摂取のしやすさ等を考慮して、適宜設定することができる。
なかでも、飲料の形態における非重合体カテキン類の含有量は、非重合体カテキン類は摂取することによって被験者の内臓脂肪面積や体脂肪量を低減する働きがある事が広く知られており、その生理効果を効率よく享受する観点から、飲料中に、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.07質量%以上、さらに好ましくは0.10質量%以上、さらに好ましくは0.13質量%以上である。ここで、非重合体カテキン類の含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフィーで分析することが可能である。具体的には、後掲の実施例に記載の方法が挙げられる。
【0024】
本発明の内臓脂肪低減剤又は非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強剤の投与量又は摂取量は、投与又は摂取対象の種、体重、性別、年齢、状態又はその他の要因に従って変動し得る。投与の用量、経路、間隔、及び摂取の量や間隔は、当業者によって適宜決定され得るが、経口投与又は経口摂取の場合、成人(体重60kg)1人に対して1日あたり、内臓脂肪低減効果を向上させる観点から、非重合体カテキン類として、好ましくは100mg以上、より好ましくは200mg以上、更に好ましくは300mg以上、より更に好ましくは400mg以上、より更に好ましくは500mg以上であり、また、好ましくは3000mg以下、より好ましくは2000mg以下、更に好ましくは1500mg以下、より更に好ましくは1300mg以下、より更に好ましくは1200mg以下、より更に好ましくは800mg以下である。
また、経口投与又は経口摂取の場合、成人(体重60kg)1人に対して1日あたり、ビタミンB12として、好ましくは0.1μg以上、より好ましくは、2.0μg以上、より好ましくは、4.0μg以上、より好ましくは、6.0μg以上、より好ましくは、8.0μg以上である。
非重合体カテキン類とビタミンB12の投与又は摂取比率は、内臓脂肪低減の観点、非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強の観点から、その質量比[ビタミンB12/非重合体カテキン類]で、好ましくは0.0000002以上、より好ましくは、0.000003以上、より好ましくは、0.000007以上、より好ましくは、0.000014以上、より好ましくは、0.000029以上である。
本発明では斯かる量を1日に1回、2回又は3回以上に分け、経口投与又は経口摂取することが好ましい。
【0025】
本発明の内臓脂肪低減剤又は非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強剤は、任意の計画に従って投与又は摂取され得る。
投与又は摂取期間は特に限定されず、単回投与又は摂取でもよいが、反復・連続して投与又は摂取することが好ましい。反復・連続して投与又は摂取する場合は、2週間以上、更に4週間以上、更に8週間以上、更に10週間以上、連続して投与又は摂取することが好ましい。
【0026】
本発明の内臓脂肪低減剤又は非重合体カテキン類の内臓脂肪低減作用の増強剤は、摂食・摂餌時、摂食・摂餌前又は摂食・摂餌後に投与又は摂取するのが好ましい。摂食・摂餌前又は摂食・摂餌後に投与又は摂取する場合は、摂食・摂餌前又は摂食・摂餌後10分以内に投与又は摂取するのが好ましい。摂食(摂餌)の内容としては、特に限定されず、タンパク質、炭水化物(糖質を含む)、脂質を含む食事又は餌が挙げられる。
投与又は摂取対象者としては、それを必要とする若しくは希望するヒト又は非ヒト動物であれば特に限定されない。対象の好ましい例として、内臓脂肪の蓄積量が高めのヒト(例えば、内臓脂肪面積80cm以上のヒト)、脂肪の多い食事を摂りがちのヒト等が挙げられる。
【実施例0027】
試験例1
1.試験飲料
非重合体カテキン類を540mg含有するアクティブ飲料と、非重合体カテキン類を含まないこと以外はアクティブ飲料と同じ組成を有するプラセボ飲料を用いた。
飲料中の非重合体カテキン類の分析方法を以下に示す。
[非重合体カテキン類の分析]
純水で溶解希釈した試料を、高速液体クロマトグラフ(型式SCL-10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L-カラムODS、4.6mmφ×250mm 粒子径5μm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。なお、グラジエント条件は以下の通りである。
【0028】
濃度勾配条件(体積%)
時間 A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
60分 97% 3%
【0029】
2.被験者及び方法
内臓脂肪面積80cm以上(腹部CT画像から計測)の成人男女計494名を対象に試験を行った。アクティブ飲料又はプラセボ飲料を1日1回、食事の際に摂取させた。ビタミンB12は、食事から摂取した。食事からのビタミンB12摂取量に関しては、食事質問票を用いて算出した(株式会社ヒメナ・アンド・カンパニーに委託し、被験者が記入した食事記録に基づき、ビタミンB12摂取量の平均値を算出)。試験期間は12週間とした。
【0030】
最終の試験飲料摂取日に、腹部CT画像から内臓脂肪面積を計測した。本試験では、以下に示す5群に分けて内臓脂肪面積の試験開始前からの変化量を求めた。
プラセボ群:プラセボ飲料摂取且つビタミンB12摂取量6μg/d
試験群1:アクティブ飲料摂取且つビタミンB12摂取量2.5μg/d
試験群2:アクティブ飲料摂取且つビタミンB12摂取量4.8μg/d
試験群3:アクティブ飲料摂取且つビタミンB12摂取量7.6μg/d
試験群4:アクティブ飲料摂取且つビタミンB12摂取量14.2μg/d
有意差の検定は、Jonckheere-Terpstra trend testを用いて実施した。得られた数値は平均値±標準誤差で示した。
【0031】
3.結果
プラセボ群及び各試験群の内臓脂肪面積の試験開始前からの変化量を図1に示す。プラセボ群は、内臓脂肪の低減が見られなかった。これに対して、試験群1~4では、内臓脂肪が有意に低減し、また、ビタミンB12の摂取量が増えるに従い、内臓脂肪は更に低減した。従って、ビタミンB12単独の継続摂取では内臓脂肪は低減せず、非重合体カテキン類とビタミンB12の両方を継続摂取することで非重合体カテキン類の内臓脂肪低減効果が高まり、内臓脂肪が低減することが確認された。
図1