(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121666
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び液体収容装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
B41J2/175 309
B41J2/175 141
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028885
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳平
(72)【発明者】
【氏名】石川 正
(72)【発明者】
【氏名】横井 嵩憲
(72)【発明者】
【氏名】松山 徹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA29
2C056EB20
2C056EB51
2C056FA10
2C056FB02
2C056FD10
2C056KC09
(57)【要約】
【課題】収容容器内内の液体の残量を検出する。
【解決手段】導電性の液体を収容する収容容器と、収容容器に収容された棒状の第1電極と、収容容器に収容された棒状の第2電極と、第1電極及び第2電極に電気的に接続され、第1電極及び第2電極の少なくとも一方からの電気信号に応じて、収容容器に収容される液体の残量を検出する検出部と、収容容器から供給される液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備え、第1電極は、第1の長さの外周を有する第1部分と、第1の長さよりも短い第2の長さの外周を有する第2部分と、を含む、ことを特徴とする液体吐出装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の液体を収容する収容容器と、
前記収容容器に収容された棒状の第1電極と、
前記収容容器に収容された棒状の第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極に電気的に接続され、
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方からの電気信号に応じて、
前記収容容器に収容される液体の残量を検出する検出部と、
前記収容容器から供給される液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
を備え、
前記第1電極は、
第1の長さの外周を有する第1部分と、
前記第1の長さよりも短い第2の長さの外周を有する第2部分と、を含む、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第1電極は、円錐形状を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1部分は、円柱形状を有し、
前記第2部分は、円柱形状を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第2電極及び前記第1部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2電極及び前記第2部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第2電極及び前記第1部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも少なく、
前記第2電極及び前記第1部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2電極及び前記第2部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続していない場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多い、
ことを特徴とする、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第2電極は、
第3の長さの外周を有する第3部分と、
前記第3の長さよりも短い第4の長さの外周を有する第4部分と、を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第2電極は、円錐形状を有する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第3部分は、円柱形状を有し、
前記第4部分は、円柱形状を有する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第1電極及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第1電極及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第1電極及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも少なく、
前記第1電極及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第1電極及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続していない場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多い、
ことを特徴とする、請求項5乃至7のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第1部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第1部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多く、
前記第1部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第2部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2部分及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多く、
前記第2部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2部分及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第2部分及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続していない場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多い、
ことを特徴とする、請求項5乃至7のうち何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
導電性の液体を収容する収容容器と、
前記収容容器に収容された棒状の第1電極と、
前記収容容器に収容された棒状の第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極に電気的に接続され、
前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方からの電気信号に応じて、
前記収容容器に収容される液体の残量を検出する検出部と、
を備え、
前記第1電極は、
第1の長さの外周を有する第1部分と、
前記第1の長さよりも短い第2の長さの外周を有する第2部分と、を含む、
ことを特徴とする液体収容装置。
【請求項11】
前記第1電極は、円錐形状を有する、
ことを特徴とする、請求項10に記載の液体収容装置。
【請求項12】
前記第1部分は、円柱形状を有し、
前記第2部分は、円柱形状を有する、
ことを特徴とする、請求項10に記載の液体収容装置。
【請求項13】
前記第2電極及び前記第1部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2電極及び前記第2部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第2電極及び前記第1部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも少なく、
前記第2電極及び前記第1部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2電極及び前記第2部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続していない場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多い、
ことを特徴とする、請求項10乃至12のうち何れか1項に記載の液体収容装置。
【請求項14】
前記第2電極は、
第3の長さの外周を有する第3部分と、
前記第3の長さよりも短い第4の長さの外周を有する第4部分と、を含む、
ことを特徴とする、請求項10に記載の液体収容装置。
【請求項15】
前記第2電極は、円錐形状を有する、
ことを特徴とする、請求項14に記載の液体収容装置。
【請求項16】
前記第3部分は、円柱形状を有し、
前記第4部分は、円柱形状を有する、
ことを特徴とする、請求項14に記載の液体収容装置。
【請求項17】
前記第1電極及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第1電極及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第1電極及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも少なく、
前記第1電極及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第1電極及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続していない場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多い、
ことを特徴とする、請求項14乃至16のうち何れか1項に記載の液体収容装置。
【請求項18】
前記第1部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第1部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多く、
前記第1部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第2部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2部分及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多く、
前記第2部分及び前記第3部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続せず、前記第2部分及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続している場合に、前記検出部が検出する液体の残量は、
前記第2部分及び前記第4部分が、前記収容容器内の液体を介して電気的に接続していない場合に、前記検出部が検出する液体の残量よりも多い、
ことを特徴とする、請求項14乃至16のうち何れか1項に記載の液体収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及び液体収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インク等の導電性の液体を収容する収容容器における液体の残量を検出する技術が、各種提案されている。例えば、特許文献1には、液体を収容する収容容器内に設けられ、略均一な太さを有する2本の棒状の電極ピンの間の抵抗値に基づいて、収容容器内の液体の残量を検出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、収容容器内の液体の残量の変化量に比べて、2本の電極ピンの間の抵抗値の変化量が小さいため、収容容器内の液体の残量の検出が困難となる場合が存在した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の問題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、導電性の液体を収容する収容容器と、前記収容容器に収容された棒状の第1電極と、前記収容容器に収容された棒状の第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極に電気的に接続され、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方からの電気信号に応じて、前記収容容器に収容される液体の残量を検出する検出部と、前記収容容器から供給される液体を吐出する液体吐出ヘッドと、を備え、前記第1電極は、第1の長さの外周を有する第1部分と、前記第1の長さよりも短い第2の長さの外周を有する第2部分と、を含む、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る液体収容装置は、導電性の液体を収容する収容容器と、前記収容容器に収容された棒状の第1電極と、前記収容容器に収容された棒状の第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極に電気的に接続され、前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方からの電気信号に応じて、前記収容容器に収容される液体の残量を検出する検出部と、を備え、前記第1電極は、第1の長さの外周を有する第1部分と、前記第1の長さよりも短い第2の長さの外周を有する第2部分と、を含む、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンター100の一例を示す構成図である。
【
図2】インク収容装置1の構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】インク量検出回路2の構成の一例を示す回路図である。
【
図4】電極棒DA1及び電極棒DA2の構成の一例を示す説明図である。
【
図7】インク液面距離SZとインク抵抗RTとの関係の一例を示す説明図である。
【
図8】インク液面距離SZと検出信号Voutとの関係の一例を示す説明図である。
【
図9】参考例に係る電極棒DW1及び電極棒DW2の構成の一例を示す説明図である。
【
図10】インク液面距離SZとインク抵抗RTWとの関係の一例を示す説明図である。
【
図11】インク液面距離SZと検出信号Vout-Wとの関係の一例を示す説明図である。
【
図12】抵抗値変化曲線CRWの温度変化の一例を示す説明図である。
【
図13】電位変化曲線CVWの温度変化の一例を示す説明図である。
【
図14】抵抗値変化曲線CRAの温度変化の一例を示す説明図である。
【
図15】電位変化曲線CVAの温度変化の一例を示す説明図である。
【
図16】第2実施形態に係る電極棒DB1及び電極棒DB2の構成の一例を示す説明図である。
【
図17】インク液面距離SZとインク抵抗RTBとの関係の一例を示す説明図である。
【
図18】インク液面距離SZと検出信号Vout-Bとの関係の一例を示す説明図である。
【
図19】第3実施形態に係る電極棒DC1及び電極棒DC2の構成の一例を示す説明図である。
【
図20】インク液面距離SZとインク抵抗RTCとの関係の一例を示す説明図である。
【
図21】インク液面距離SZと検出信号Vout-Cとの関係の一例を示す説明図である。
【
図22】第4実施形態に係る電極棒DD1及び電極棒DD2の構成の一例を示す説明図である。
【
図23】インク液面距離SZとインク抵抗RTDとの関係の一例を示す説明図である。
【
図24】インク液面距離SZと検出信号Vout-Dとの関係の一例を示す説明図である。
【
図25】第5実施形態に係る電極棒DF1及び電極棒DF2の構成の一例を示す説明図である。
【
図26】インク抵抗RTFの一例を示す説明図である。
【
図27】インク抵抗RTFの一例を示す説明図である。
【
図28】インク液面距離SZとインク抵抗RTFとの関係の一例を示す説明図である。
【
図29】インク液面距離SZと検出信号Vout-Fとの関係の一例を示す説明図である。
【
図30】第6実施形態に係る電極棒DG1及び電極棒DG2の構成の一例を示す説明図である。
【
図31】インク液面距離SZとインク抵抗RTGとの関係の一例を示す説明図である。
【
図32】インク液面距離SZと検出信号Vout-Gとの関係の一例を示す説明図である。
【
図33】第7実施形態に係る電極棒DH1及び電極棒DH2の構成の一例を示す説明図である。
【
図34】インク液面距離SZとインク抵抗RTHとの関係の一例を示す説明図である。
【
図35】インク液面距離SZと検出信号Vout-Hとの関係の一例を示す説明図である。
【
図36】第8実施形態に係る電極棒DI1及び電極棒DI2の構成の一例を示す説明図である。
【
図37】インク液面距離SZとインク抵抗RTIとの関係の一例を示す説明図である。
【
図38】インク液面距離SZと検出信号Vout-Iとの関係の一例を示す説明図である。
【
図39】第9実施形態に係る電極棒DJ1及び電極棒DJ2の構成の一例を示す説明図である。
【
図40】インク液面距離SZとインク抵抗RTJとの関係の一例を示す説明図である。
【
図41】インク液面距離SZと検出信号Vout-Jとの関係の一例を示す説明図である。
【
図42】第10実施形態に係る電極棒DL1及び電極棒DL2の構成の一例を示す説明図である。
【
図43】インク抵抗RTLの一例を示す説明図である。
【
図44】インク抵抗RTLの一例を示す説明図である。
【
図45】インク液面距離SZとインク抵抗RTLとの関係の一例を示す説明図である。
【
図46】インク液面距離SZと検出信号Vout-Lとの関係の一例を示す説明図である。
【
図47】第11実施形態に係る電極棒DM1及び電極棒DM2の構成の一例を示す説明図である。
【
図48】インク液面距離SZとインク抵抗RTMとの関係の一例を示す説明図である。
【
図49】インク液面距離SZと検出信号Vout-Mとの関係の一例を示す説明図である。
【
図50】第12実施形態に係る電極棒DN1及び電極棒DN2の構成の一例を示す説明図である。
【
図51】インク液面距離SZとインク抵抗RTNとの関係の一例を示す説明図である。
【
図52】インク液面距離SZと検出信号Vout-Nとの関係の一例を示す説明図である。
【
図53】変形例1に係るインク量検出回路2Qの構成の一例を示す回路図である。
【
図54】インク量検出回路2Qの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。但し、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
<<1.第1実施形態>>
以下、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100について説明する。
【0010】
<<1.1.インクジェットプリンターの概要>>
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンター100の構成の一例を示す説明図である。
【0011】
インクジェットプリンター100は、インクIKを媒体PPに吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体PPは、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の印刷対象が媒体PPとして利用され得る。本実施形態では、インクIKとして導電性のインクを採用する。
なお、本実施形態において、インクジェットプリンター100は「液体吐出装置」の一例であり、インクIKは「導電性の液体」の一例である。
【0012】
図1に示すように、インクジェットプリンター100は、インク収容装置1と、制御装置8と、複数の液体吐出ヘッドHUと、搬送機構91と、移動機構92と、を備える。
【0013】
制御装置8は、例えば、CPUまたはFPGA等の処理回路と、半導体メモリ等の記憶回路とを含み、インクジェットプリンター100の各要素を制御する。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0014】
搬送機構91は、制御装置8による制御に基づいて、媒体PPを、副走査方向MP1に搬送する。
【0015】
移動機構92は、制御装置8による制御に基づいて、複数の液体吐出ヘッドHUを、副走査方向MP1に交差する主走査方向MH1と、主走査方向MH1と反対の主走査方向MH2とに往復動させる。移動機構92は、複数の液体吐出ヘッドHUを収容する収納ケース921と、収納ケース921が固定された無端ベルト922とを具備する。なお、インク収容装置1を液体吐出ヘッドHUとともに収納ケース921に収納してもよい。
【0016】
制御装置8は、液体吐出ヘッドHUに対して、液体吐出ヘッドHUを駆動するための駆動信号Comと、液体吐出ヘッドHUを制御するための制御信号SIと、を供給する。
【0017】
液体吐出ヘッドHUは、制御信号SIによる制御に基づいて駆動信号Comにより駆動され、液体吐出ヘッドHUに設けられた複数のノズルの一部または全部から、インクIKを吐出させる。すなわち、液体吐出ヘッドHUは、搬送機構91による媒体PPの搬送と、移動機構92による液体吐出ヘッドHUの往復動とに連動して、複数のノズルの一部又は全部からインクIKを吐出させて、当該吐出されたインクを媒体PPの表面に着弾させることで、媒体PPの表面に所望の画像を形成する。
【0018】
インク収容装置1は、インクIKを収容する。また、インク収容装置1は、制御装置8による制御に基づいて、インク収容装置1が収容しているインクIKを液体吐出ヘッドHUに供給する。
なお、本実施形態において、インク収容装置1は「液体収容装置」の一例である。
【0019】
本実施形態では、インク収容装置1が、M種類のインクIKを収容する場合を想定する。ここで、値Mは、1≦Mを満たす自然数である。より具体的には、本実施形態では、一例として、インク収容装置1が、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックに対応する4種類のインクIKを収容する場合を想定する。すなわち、本実施形態では、一例として、「M=4」の場合を想定する。
【0020】
本実施形態では、インクジェットプリンター100が、M種類のインクIKに対応するM個の液体吐出ヘッドHUを備える場合を想定する。具体的には、本実施形態では、一例として、インクジェットプリンター100が、4種類のインクIKに対応する、4個の液体吐出ヘッドHUを備える場合を想定する。
なお、以下では、M個の液体吐出ヘッドHUのうち、m番目の液体吐出ヘッドHUを、液体吐出ヘッドHU[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、1≦m≦Mを満たす自然数である。
【0021】
インク収容装置1は、インク収容装置1に収容される各種類のインクIKの残量を検出し、当該検出結果を示す検出信号Voutを出力するインク量検出回路2を備える。なお、インク量検出回路2については、
図3において後述する。
【0022】
<<1.2.インク収容装置>>
以下、
図2乃至
図8を参照しつつ、インク収容装置1の概要を説明する。
【0023】
図2は、インク収容装置1の構成の一例を説明するための斜視図である。
【0024】
図2に示すように、インク収容装置1は、インク収容装置1が収容しているM種類のインクIKと1対1に対応するM個のインクタンクTK[1]~TK[M]と、当該M個のインクタンクTK[1]~TK[M]を収納する収納ケース11と、を備える。具体的には、本実施形態において、インク収容装置1は、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの4種類のインクIKと1対1に対応する4個のインクタンクTK[1]~TK[4]を備える。
【0025】
インクタンクTK[m]は、当該インクタンクTK[m]に対応する種類のインクIKを収容し、液体吐出ヘッドHU[m]に対してインクIKを供給する。また、インクタンクTK[m]には、インクタンクTK[m]の内部空間にインクIKを供給するための供給口12が設けられる。また、インクタンクTK[m]には、棒状の電極である電極棒DA1と、棒状の電極である電極棒DA2とが、収容される。
なお、本実施形態において、インクタンクTK[m]は「収容容器」の一例である。
【0026】
以下では、インクタンクTK[m]から液体吐出ヘッドHU[m]にインクIKが供給されて、インクタンクTK[m]の内部に収容されたインクIKが減少する場合に、インクタンクTK[m]内においてインクIKが減少する方向をZ1方向と称する。また、本実施形態では、一例として、電極棒DA1がZ1方向に延在するように設けられ、また、電極棒DA2がZ1方向に延在するように設けられる場合を想定する。また、本実施形態では、電極棒DA1が、電極棒DA2から見て、Z1方向に直交するX1方向に配置される場合を想定する。
【0027】
以下では、Z1方向と、Z1方向とは反対のZ2方向とを、Z軸方向と総称する。また、以下では、Z軸方向に直交するX軸に沿ったX1方向と、X1方向とは反対のX2方向とを、X軸方向と総称する。また、以下では、Z軸方向及びX軸方向に直交するY軸に沿ったY1方向と、Y1方向とは反対のY2方向とを、Y軸方向と総称する。なお、本実施形態では、X軸、Y軸、及び、Z軸が互いに直交する場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。X軸、Y軸、及び、Z軸は、互いに交差していればよい。
【0028】
図3は、インク量検出回路2の構成の一例を示す回路図である。なお、本実施形態では、インク収容装置1において、M個のインクタンクTK[1]~TK[M]と1対1に対応する、M個のインク量検出回路2が設けられる場合を想定する。本実施形態において、インク量検出回路2は「検出部」の一例である。
【0029】
図3に示すように、インク量検出回路2は、入力端子TnNと、ノードNKと、入力端子TnN及びノードNKの間に設けられた抵抗RKと、ノードNKに電気的に接続された検出端子TnKと、ノードNKに電気的に接続された出力端子TnSと、グラウンド電位に設定された配線に電気的に接続された基準電位接続端子TnGと、を備える。検出端子TnKは、配線LKを介して電極棒DA1に電気的に接続される。基準電位接続端子TnGは、配線LGを介して電極棒DA2に電気的に接続される。
【0030】
本実施形態において、インクタンクTK[m]にインクIKが収容され、電極棒DA1及び電極棒DA2がインクタンクTK[m]に収容されたインクIKに接触する場合、電極棒DA1及び電極棒DA2は、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される。つまり、電極棒DA1及び電極棒DA2がインクタンクTK[m]に収容されたインクIKに接触する場合、検出端子TnK及び基準電位接続端子TnGは、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される。本実施形態では、電極棒DA1及び電極棒DA2がインクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DA1及び電極棒DA2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗を、インク抵抗RTと称する。
【0031】
本実施形態において、入力端子TnNには、一定の入力電位V0に設定された入力信号Vinが入力される。従って、電極棒DA1及び電極棒DA2がインクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、ノードNKの電位は、入力信号Vinの有する入力電位V0と、抵抗RKの抵抗値と、インク抵抗RTの抵抗値とに基づいて定められる。本実施形態において、入力信号Vinの有する入力電位V0と、抵抗RKの抵抗値とは、一定の値であるため、ノードNKの電位は、インク抵抗RTの抵抗値に基づいて定められることになる。そして、ノードNKの電位を示す検出信号Voutが、出力端子TnSより出力される。
【0032】
図4は、電極棒DA1及び電極棒DA2の構成の一例を示す構成図である。
【0033】
図4に示すように、電極棒DA1は、導電性の電極構成部分ZA11と、導電性の電極構成部分ZA12と、導電性の接続部分ZA1tと、を有する。
【0034】
電極構成部分ZA11は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNA11の外周GA11を有する。
電極構成部分ZA12は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNA12の外周GA12を有する。ここで、長さNA12は、長さNA11よりも短い。また、電極構成部分ZA12は、電極構成部分ZA11から見てZ1方向に位置し、電極構成部分ZA11に接続する。
接続部分ZA1tは、電極構成部分ZA11から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZA11に接続されるとともに、配線LKに電気的に接続される。つまり、接続部分ZA1tは、電極構成部分ZA11及び配線LKを電気的に接続する。
【0035】
なお、本明細書において、「略均一」とは、完全に均一である場合の他に、誤差を考慮すれば均一であると看做せることが可能な場合を含む概念である。具体的には、本明細書において、「略均一」とは、10%程度の誤差を考慮すれば均一であると看做せることが可能な場合を含む概念であることとする。同様に、本明細書において、「略同じ」とは、完全に同一である場合の他に、誤差を考慮すれば同一であると看做せることが可能な場合を含む概念である。具体的には、本明細書において、「略同じ」とは、10%程度の誤差を考慮すれば同一であると看做せることが可能な場合を含む概念であることとする。本明細書において、「略均一」や「略同じ」に類似する表現についても、「略均一」や「略同じ」と同様である。
【0036】
電極棒DA2は、Z1方向に延在する円柱形状の電極であり、導電性の電極構成部分ZA2と、導電性の接続部分ZA2tと、を有する。
【0037】
電極構成部分ZA2は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNA2の外周GA2を有する。
接続部分ZA2tは、電極構成部分ZA2から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZA2に接続されるとともに、配線LGに電気的に接続される。つまり、接続部分ZA2tは、電極構成部分ZA2及び配線LGを電気的に接続する。
【0038】
なお、本実施形態では、上述のとおり、電極構成部分ZA11が、電極構成部分ZA2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における電極構成部分ZA11及び電極構成部分ZA2の間の距離を、距離XA1と称する。また、本実施形態では、上述のとおり、電極構成部分ZA12が、電極構成部分ZA2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における電極構成部分ZA12及び電極構成部分ZA2の間の距離を、距離XA2と称する。本実施形態において、距離XA2は、距離XA1よりも長い。
【0039】
図5及び
図6は、電極棒DA1及び電極棒DA2の間に形成されるインク抵抗RTの一例を説明するための説明図である。
【0040】
なお、以下では、インクタンクTK[m]の底面TKBから、インクタンクTK[m]内に収容されたインクIKの液面SFまでのZ軸方向における距離を、インク液面距離SZと称する。
【0041】
図5及び
図6に示すように、本実施形態では、電極棒DA1のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極棒DA2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DA1及び電極棒DA2が設けられている場合を想定する。すなわち、本実施形態では、電極構成部分ZA12のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZA2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、略同じ距離となるように、電極棒DA1及び電極棒DA2が設けられている場合を想定する。
【0042】
また、本実施形態では、電極構成部分ZA11のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DA1が設けられている場合を想定する。ここで、距離H2とは、距離HEよりも長い距離である。
また、本実施形態では、電極構成部分ZA11のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZA2のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離H1となるように、電極棒DA1及び電極棒DA2が設けられている場合を想定する。ここで、距離H1とは、距離H2よりも長い距離である。
【0043】
図6に示すように、電極構成部分ZA11及び電極構成部分ZA2の間にインクIKが存在する場合、すなわち、インク液面距離SZが距離H2以上の場合、当該インクIKにより、電極構成部分ZA11及び電極構成部分ZA2が電気的に接続される。以下では、電極構成部分ZA11及び電極構成部分ZA2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗を、抵抗RRA1と称する。
【0044】
図5及び
図6に示すように、電極構成部分ZA12及び電極構成部分ZA2の間にインクIKが存在する場合、すなわち、インク液面距離SZが距離HE以上の場合、当該インクIKにより、電極構成部分ZA12及び電極構成部分ZA2が電気的に接続される。以下では、電極構成部分ZA12及び電極構成部分ZA2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗を、抵抗RRA2と称する。
【0045】
なお、インク液面距離SZが距離HE以上で且つ距離H2未満である場合、抵抗RRA2が、上述したインク抵抗RTとなる。
また、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、抵抗RRA1及び抵抗RRA2を並列接続したときの抵抗RRA1及び抵抗RRA2の合成抵抗が、上述したインク抵抗RTとなる。
【0046】
図7は、インク液面距離SZとインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図7では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸をインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZとインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRAの一例を示している。
【0047】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE未満である場合、電極棒DA1はインクIKに接触せず、また、電極棒DA2もインクIKに接触しない。つまり、インク液面距離SZが距離HE未満である場合、電極棒DA1及び電極棒DA2は、電気的に接続されていない状態となる。このため、
図7の抵抗値変化曲線CRAが示すように、インク液面距離SZが距離HE未満である場合、インク液面距離SZが距離HE以上の場合であって、電極棒DA1及び電極棒DA2がインクIKにより電気的に接続されている場合と比較して、インク抵抗RTは、大きい抵抗値となる。
【0048】
また、インク液面距離SZが距離HE以上で且つ距離H2未満である場合、電極棒DA1のうち電極構成部分ZA12がインクIKに接触し、また、電極棒DA2のうち電極構成部分ZA2がインクIKに接触する。つまり、インク液面距離SZが距離HE以上で且つ距離H2未満である場合、電極棒DA1及び電極棒DA2を電気的に接続するインクIKのインク抵抗RTは、抵抗RRA2となる。そして、抵抗RRA2は、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRAが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上で且つ距離H2未満である場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTは小さくなる。
【0049】
また、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、電極棒DA1のうち電極構成部分ZA11及び電極構成部分ZA12がインクIKに接触し、また、電極棒DA2のうち電極構成部分ZA2がインクIKに接触する。つまり、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、電極棒DA1及び電極棒DA2を電気的に接続するインクIKのインク抵抗RTは、抵抗RRA1及び抵抗RRA2を並列接続したときの抵抗RRA1及び抵抗RRA2の合成抵抗となる。
そして、抵抗RRA1は、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRAが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTは小さくなる。
【0050】
また、抵抗RRA1及び抵抗RRA2を並列接続したときの抵抗RRA1及び抵抗RRA2の合成抵抗の抵抗値は、抵抗RRA2の抵抗値よりも小さい。よって、抵抗値変化曲線CRAが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、インク液面距離SZが距離H2未満である場合と比較して、インク抵抗RTは小さくなる。
なお、本実施形態では、電極構成部分ZA11の有する外周GA11の長さNA11は、電極構成部分ZA12の有する外周GA12の長さNA12よりも長い。そして、本実施形態では、電極構成部分ZA11及び電極構成部分ZA2の間の距離XA1は、電極構成部分ZA12及び電極構成部分ZA2の間の距離XA2よりも短い。よって、本実施形態のように、長さNA11が長さNA12よりも長く、且つ、距離XA1が距離XA2よりも短い場合においては、例えば、長さNA11及び長さNA12が同じ長さであり、且つ、距離XA1及び距離XA2が同じ長さである場合と比較して、抵抗RRA1の抵抗値は小さくなる。従って、本実施形態において、抵抗値変化曲線CRAは、インク液面距離SZが距離H2以上であり、抵抗RRA1及び抵抗RRA2が並列接続された合成抵抗がインク抵抗RTである場合と、インク液面距離SZが距離H2未満であり、抵抗RRA2のみがインク抵抗RTである場合との、境界において、インク抵抗RTが大きく変化する変化領域Ar-RAを有することになる。
【0051】
図8は、インク液面距離SZと検出信号Voutの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図8では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を検出信号Voutの電位とした場合において、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZと検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVAの一例を示している。
【0052】
上述のとおり、検出信号Voutの電位はインク抵抗RTに基づいて定められる。具体的には、インク抵抗RTの抵抗値が大きい場合に、小さい場合と比較して、検出信号Voutの電位も高くなる。
【0053】
よって、
図8の電位変化曲線CVAが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、検出信号Voutは低い抵抗値となる。また、電位変化曲線CVAが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、インク液面距離SZが距離H2未満である場合と比較して、検出信号Voutは低い抵抗値となる。つまり、電位変化曲線CVAが示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Voutの電位は低くなる。
【0054】
なお、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRAは、インク液面距離SZの変化に対して、インク抵抗RTの抵抗値の変化率が大きくなる変化領域Ar-RAを有する。このため、
図8に示すように、電位変化曲線CVAも、インク液面距離SZの変化に対して、検出信号Voutの電位の変化率が大きくなる変化領域Ar-VAを有する。
【0055】
なお、以下では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Voutの示す電位を、閾値電位VthEと称する。また、以下では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Voutの示す電位を、閾値電位Vth2と称する。
ここで、基準温度t1とは、例えば、インクジェットプリンター100の標準的な使用環境において、インクジェットプリンター100が使用される場合の、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度である。また、基準温度t1とは、例えば、インクジェットプリンター100の標準的な使用環境において、インクジェットプリンター100が使用される場合の、インクジェットプリンター100の雰囲気温度であってもよい。また、基準温度t1とは、例えば、インクIKの標準的な使用環境の温度であってもよい。
【0056】
そして、本実施形態において、インク量検出回路2は、閾値電位VthEよりも高電位の検出信号Voutを出力することで、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離HEに対応するインク残量未満であることを検出する。
なお、距離HEに対応するインク残量とは、例えば、液体吐出ヘッドHU[m]からのインクIKの吐出が可能となるインク残量のうち、最少のインク残量である。但し、距離HEに対応するインク残量とは、例えば、液体吐出ヘッドHU[m]からのインクIKの吐出が可能となるインク残量のうち、最少のインク残量との差分が、所定量となるようなインク残量であってもよい。ここで、所定量とは、例えば、インクジェットプリンター100が1枚の媒体PPに画像を形成するのに必要なインク量よりも少ない量であって、液体吐出ヘッドHU[m]からの所定回数のインクIKの吐出が可能となるインク残量であってもよい。すなわち、距離HEに対応するインク残量とは、所謂「インクエンド」と呼ばれる状態に対応するインク残量であってもよい。
【0057】
また、インク量検出回路2は、閾値電位Vth2よりも高電位であって閾値電位VthE以下の検出信号Voutを出力することで、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離H2に対応するインク残量未満であって、距離HEに対応するインク残量以上であることを検出する。
なお、距離H2に対応するインク残量とは、例えば、液体吐出ヘッドHU[m]からの所定時間以上の継続的なインクIKの吐出が可能となるインク残量である。ここで、所定時間とは、例えば、インクジェットプリンター100が1枚の媒体PPに画像を形成するのに要する時間であってもよい。また、所定時間とは、例えば、インクジェットプリンター100が所定数の媒体PPに画像を形成するのに要する時間であってもよい。すなわち、距離HEに対応するインク残量とは、所謂「ニアエンド」と呼ばれる状態に対応するインク残量であってもよい。
【0058】
本実施形態において、制御装置8は、インク収容装置1から供給される検出信号Voutに基づいて、検出信号Voutの示すインク残量が、例えば、音声または映像等により、インクジェットプリンター100のユーザに報知されるように、図示省略した報知装置を制御する。
【0059】
<<1.3.参考例に係るインク収容装置>>
以下、
図9乃至
図13を参照しつつ、参考例に係るインク収容装置1Wの概要を説明する。
【0060】
図9は、インク収容装置1Wに設けられた電極棒DW1及び電極棒DW2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Wは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DW1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DW2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0061】
図9に示すように、電極棒DW1は、Z1方向に延在する円柱形状の電極であり、導電性の電極構成部分ZW1と、導電性の接続部分ZW1tと、を有する。
【0062】
電極構成部分ZW1は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNW1の外周GW1を有する。なお、参考例では、長さNW1が、第1実施形態に係る電極構成部分ZA12の外周GA12の有する長さNA12と、略同じ長さである場合を想定する。
接続部分ZW1tは、電極構成部分ZW1から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZW1に接続されるとともに、配線LKに電気的に接続される。つまり、接続部分ZW1tは、電極構成部分ZW1及び配線LKを電気的に接続する。
【0063】
電極棒DW2は、Z1方向に延在する円柱形状の電極であり、導電性の電極構成部分ZW2と、導電性の接続部分ZW2tと、を有する。
【0064】
電極構成部分ZW2は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNW2の外周GW2を有する。なお、参考例では、長さNW2が、第1実施形態に係る電極構成部分ZA2の外周GA2の有する長さNA2と、略同じ長さである場合を想定する。
接続部分ZW2tは、電極構成部分ZW2から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZW2に接続されるとともに、配線LGに電気的に接続される。つまり、接続部分ZW2tは、電極構成部分ZW2及び配線LGを電気的に接続する。
【0065】
参考例では、電極構成部分ZW1が、電極構成部分ZW2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における電極構成部分ZW1及び電極構成部分ZW2の間の距離を、距離XWと称する。なお、参考例では、距離XWが、第1実施形態に係る電極構成部分ZA12及び電極構成部分ZA2の間の距離XA2と、略同じ長さである場合を想定する。
【0066】
また、参考例では、電極構成部分ZW1のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでの距離と、電極構成部分ZW2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでの距離とが、距離HEとなるように、電極棒DW1及び電極棒DW2が設けられている場合を想定する。
また、参考例では、電極構成部分ZW1のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでの距離と、電極構成部分ZW2のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでの距離とが、距離H1となるように、電極棒DW1及び電極棒DW2が設けられている場合を想定する。
【0067】
図10は、インク液面距離SZと参考例に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を参考例に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと参考例に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRWの一例を示している。ここで、参考例に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DW1及び電極棒DW2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DW1及び電極棒DW2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、参考例に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTWと称する場合がある。
なお、
図10においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRWと共に、破線により抵抗値変化曲線CRAを示している。
【0068】
上述のとおり、参考例において、インク液面距離SZが距離HE未満である場合、電極棒DW1はインクIKに接触せず、また、電極棒DW2もインクIKに接触しない。このため、
図10の抵抗値変化曲線CRWが示すように、インク液面距離SZが距離HE未満である場合、電極棒DW1及び電極棒DW2がインクIKにより電気的に接続されている場合と比較して、インク抵抗RTWは、大きい抵抗値となる。
【0069】
また、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、電極棒DW1がインクIKに接触し、また、電極棒DW2がインクIKに接触する。よって、抵抗値変化曲線CRWが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTWは小さくなる。
【0070】
なお、上述のとおり、参考例では、電極構成部分ZW1が電極構成部分ZA12と略同じ長さの外周を有し、電極構成部分ZW2が電極構成部分ZA2と略同じ長さの外周を有し、また、距離XWが距離XA2と略同じ長さである場合を想定する。このため、抵抗値変化曲線CRWは、インク液面距離SZが距離H2未満の場合において、第1実施形態に係る抵抗値変化曲線CRAと略同じ形状となる。
また、上述のとおり、参考例では、電極構成部分ZW1及び電極構成部分ZW2が、略均一な太さを有する円柱形状の電極である場合を想定する。つまり、参考例では、電極構成部分ZW1が電極構成部分ZA11よりも短い長さの外周を有し、電極構成部分ZW2が電極構成部分ZA2と略同じ長さの外周を有し、また、距離XWが距離XA1よりも長い場合を想定する。このため、抵抗値変化曲線CRWは、インク液面距離SZが距離H2以上の場合において、第1実施形態に係る抵抗値変化曲線CRAの示す電位よりも高い電位を示すことになる。
また、抵抗値変化曲線CRWは、第1実施形態に係る抵抗値変化曲線CRAのような急激にインク抵抗RTが変化する変化領域Ar-RAを有さず、インク液面距離SZが長くなるに従ってインク抵抗RTWが連続的に減少する滑らかな形状を有する。
【0071】
図11は、インク液面距離SZと参考例に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図11では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を参考例に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVWの一例を示している。ここで、参考例に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Wが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、参考例に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Wと称する場合がある。
なお、
図11においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVWと共に、破線により電位変化曲線CVAを示している。
【0072】
図11の電位変化曲線CVWに示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Wの電位は低くなる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRWは、変化領域Ar-RAのような段差を有さない。よって、電位変化曲線CVWも、第1実施形態に係る電位変化曲線CVAのような急激に検出信号Voutが変化する変化領域Ar-VAを有さず、インク液面距離SZが長くなるに従って検出信号Vout-Wが連続的に減少する滑らかな形状を有する。
【0073】
図12は、参考例に係るインクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴う、抵抗値変化曲線CRWの温度変化を説明するための説明図である。
【0074】
具体的には、
図12では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合の抵抗値変化曲線CRWを、抵抗値変化曲線CRW(t1)と表し、また、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1とは異なる温度t2である場合の抵抗値変化曲線CRWを、抵抗値変化曲線CRW(t2)と表している。なお、
図12では、抵抗値変化曲線CRW(t1)が、
図10における抵抗値変化曲線CRWと同じ曲線である場合を想定する。
【0075】
図12に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が変化する場合に、抵抗値変化曲線CRWの示す抵抗値も変化する。具体的には、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が、基準温度t1から温度t2に変化する場合に、抵抗値変化曲線CRWの示すインク抵抗RTWの抵抗値も変化する。すなわち、インク液面距離SZが同じ値である場合、抵抗値変化曲線CRW(t1)の示すインク抵抗RTWの抵抗値と、抵抗値変化曲線CRW(t2)の示すインク抵抗RTWの抵抗値とは、異なる。
なお、
図12では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴い、抵抗値変化曲線CRWの示すインク抵抗RTWの抵抗値が小さい値に変化する場合を例示しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴い、抵抗値変化曲線CRWの示すインク抵抗RTWの抵抗値が大きい値に変化してもよい。
【0076】
図13は、参考例に係るインクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴う、電位変化曲線CVWの温度変化を説明するための説明図である。
【0077】
具体的には、
図13では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合の電位変化曲線CVWを、電位変化曲線CVW(t1)と表し、また、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が温度t2である場合の電位変化曲線CVWを、電位変化曲線CVW(t2)と表している。なお、
図13では、電位変化曲線CVW(t1)が、
図11における電位変化曲線CVWと同じ曲線である場合を想定する。
【0078】
図13に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が変化する場合に、電位変化曲線CVWの示す電位も変化する。具体的には、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が、基準温度t1から温度t2に変化する場合に、電位変化曲線CVWの示す検出信号Vout-Wの電位も変化する。すなわち、インク液面距離SZが同じ値である場合、電位変化曲線CVW(t1)の示す検出信号Vout-Wの電位と、電位変化曲線CVW(t2)の示す検出信号Vout-Wの電位とは、異なる。
なお、
図13では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴い、電位変化曲線CVWの示す検出信号Vout-Wの電位が小さい値に変化する場合を例示しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴い、電位変化曲線CVWの示す検出信号Vout-Wの電位が大きい値に変化してもよい。
【0079】
このように、参考例に係るインク収容装置1Wにおいては、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量に変化が無い場合であっても、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴い、インク収容装置1Wが出力する検出信号Vout-Wの電位が変化する。このため、参考例に係るインク収容装置1Wは、当該インクIKの残量を適切に検出できない場合があった。
【0080】
具体的には、
図13に示す例において、インク収容装置1Wは、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合、検出信号Vout-Wの電位が閾値電位VthEよりも高電位であることにより、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離HEに対応するインク残量未満であることを検出し、検出信号Vout-Wの電位が閾値電位Vth2よりも高電位であることにより、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離H2に対応するインク残量未満であることを検出する。換言すれば、インク収容装置1Wは、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合、検出信号Vout-Wの電位が閾値電位VthE以下であることにより、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離HEに対応するインク残量以上であることを検出し、検出信号Vout-Wの電位が閾値電位Vth2以下であることにより、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離H2に対応するインク残量以上であることを検出する。
しかし、
図13に示す例において、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が温度t2の場合、検出信号Vout-Wの電位が、閾値電位VthE以下であっても、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離HEに対応するインク残量未満となる可能性が存在し、また、検出信号Vout-Wの電位が閾値電位Vth2以下であっても、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離H2に対応するインク残量未満となる可能性が存在する。
更に、
図13に示す例において、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が温度t2の場合、検出信号Vout-Wの電位が、閾値電位Vth2以下であっても、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離HEに対応するインク残量未満となる可能性も存在する。すなわち、検出信号Vout-Wの電位が閾値電位Vth2以下であり、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離H2に対応するインク残量以上であると、インクジェットプリンター100のユーザが認識しているのにも関わらず、実際には、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離HEに対応するインク残量以下となっている可能性も存在する。
つまり、
図13に示す例において、インク収容装置1Wは、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が温度t2であれば、検出信号Vout-Wの電位に基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を把握することが困難となる。すなわち、インク収容装置1Wにおいて、検出信号Vout-Wに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を検出することが困難となる可能性が存在する。
【0081】
なお、インク収容装置1Wにおいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度を検出する温度検出装置を追加し、温度検出装置の検出結果に応じて、検出信号Vout-Wの示す電位を補正することで、補正された検出信号Vout-Wの示す電位に基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を検出する態様も考えられる。しかし、この場合、上述した第1実施形態と比較して、インク収容装置1Wの構成が複雑化することが懸念される。
【0082】
<<1.4.第1実施形態の効果>>
次に、
図14乃至
図15を参照しつつ、本実施形態の効果を説明する。
【0083】
図14は、第1実施形態に係るインクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴う、抵抗値変化曲線CRAの温度変化を説明するための説明図である。
【0084】
具体的には、
図14では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合の抵抗値変化曲線CRAを、抵抗値変化曲線CRA(t1)と表し、また、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が温度t2である場合の抵抗値変化曲線CRAを、抵抗値変化曲線CRA(t2)と表している。なお、
図14では、抵抗値変化曲線CRA(t1)が、
図7における抵抗値変化曲線CRAと同じ曲線である場合を想定する。
【0085】
図14に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が変化する場合に、抵抗値変化曲線CRAの示す抵抗値も変化する。具体的には、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が、基準温度t1から温度t2に変化する場合に、抵抗値変化曲線CRAの示すインク抵抗RTの抵抗値も変化する。すなわち、インク液面距離SZが同じ値である場合、抵抗値変化曲線CRA(t1)の示すインク抵抗RTの抵抗値と、抵抗値変化曲線CRA(t2)の示すインク抵抗RTの抵抗値とは、異なる。
なお、
図14では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴い、抵抗値変化曲線CRAの示すインク抵抗RTの抵抗値が小さい値に変化する場合を例示しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴い、抵抗値変化曲線CRAの示すインク抵抗RTの抵抗値が大きい値に変化してもよい。
【0086】
図15は、第1実施形態に係るインクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴う、電位変化曲線CVAの温度変化を説明するための説明図である。
【0087】
具体的には、
図15では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合の電位変化曲線CVAを、電位変化曲線CVA(t1)と表し、また、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が温度t2である場合の電位変化曲線CVAを、電位変化曲線CVA(t2)と表している。なお、
図15では、電位変化曲線CVA(t1)が、
図8における電位変化曲線CVAと同じ曲線である場合を想定する。
【0088】
図15に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が変化する場合に、電位変化曲線CVAの示す電位も変化する。具体的には、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が、基準温度t1から温度t2に変化する場合に、電位変化曲線CVAの示す検出信号Voutの電位も変化する。すなわち、インク液面距離SZが同じ値である場合、電位変化曲線CVA(t1)の示す検出信号Voutの電位と、電位変化曲線CVA(t2)の示す検出信号Voutの電位とは、異なる。
なお、
図15では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴い、電位変化曲線CVAの示す検出信号Voutの電位が小さい値に変化する場合を例示しているが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に伴い、電位変化曲線CVAの示す検出信号Voutの電位が大きい値に変化してもよい。
【0089】
上述のとおり、第1実施形態に係る抵抗値変化曲線CRAは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、変化領域Ar-RAを有する。つまり、抵抗値変化曲線CRAのうち、インク液面距離SZが距離H2となる部分を含む変化領域Ar-RAにおいて、抵抗値変化曲線CRAの示すインク抵抗RTの抵抗値は大きく変化する。このため、
図15に示すグラフの縦軸方向において、抵抗値変化曲線CRA(t1)の有する変化領域Ar-RAの一部と、抵抗値変化曲線CRA(t2)の有する変化領域Ar-RAの一部とは、重なる。
【0090】
上述のとおり、第1実施形態に係る電位変化曲線CVAについても、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、電位変化曲線CVAの示す検出信号Voutの電位が大きく変化する領域である、変化領域Ar-VAを有する。そして、
図16に示すグラフの縦軸方向において、電位変化曲線CVA(t1)の有する変化領域Ar-VAは、検出信号Voutが閾値電位Vth2となる部分を含む。つまり、電位変化曲線CVA(t1)の有する変化領域Ar-VAは、
図16に示すグラフにおける直線「Vout=Vth2」と交差する。
また、変化領域Ar-VAは、電位変化曲線CVAの示す検出信号Voutの電位が大きく変化する領域であるため、
図16に示すグラフの縦軸方向において、電位変化曲線CVA(t1)の有する変化領域Ar-VAの一部と、電位変化曲線CVA(t2)の有する変化領域Ar-VAの一部とは、重なる。よって、基準温度t1と温度t2との温度差が所定温度差以内であれば、電位変化曲線CVA(t2)の有する変化領域Ar-VAも、検出信号Voutが閾値電位Vth2となる部分を含む。つまり、基準温度t1と温度t2との温度差が所定温度差以内であれば、電位変化曲線CVA(t2)の有する変化領域Ar-VAは、
図16に示すグラフにおける直線「Vout=Vth2」と交差する。
ここで、所定温度差とは、例えば、インクジェットプリンター100の限界的な使用環境において、インクジェットプリンター100が使用される場合の、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度と、基準温度t1との温度差であってもよい。また、所定温度差とは、例えば、インクジェットプリンター100の限界的な使用環境において、インクジェットプリンター100が使用される場合の、インクジェットプリンター100の雰囲気温度と、基準温度t1との温度差であってもよい。また、所定温度差とは、例えば、インクIKの限界的な使用環境の温度と、基準温度t1との温度差であってもよい。
【0091】
よって、第1実施形態によれば、参考例と比較して、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合に加えて、温度t2の場合においても、検出信号Voutの電位が閾値電位VthEよりも高電位であることにより、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離HEに対応するインク残量未満であることを検出し、検出信号Voutの電位が閾値電位Vth2よりも高電位であることにより、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離H2に対応するインク残量未満であることを検出することができる可能性が高くなる。そして、第1実施形態によれば、参考例と比較して、検出信号Voutの電位が、閾値電位VthE以下であっても、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離HEに対応するインク残量未満となり、検出信号Voutの電位が閾値電位Vth2以下であっても、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量が、距離H2に対応するインク残量未満となるような、誤検出の可能性を低減することが可能となる。
すなわち、第1実施形態に係るインク収容装置1によれば、参考例に係るインク収容装置1Wと比較して、検出信号Voutに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0092】
なお、本実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化に起因して、インク抵抗RTの抵抗値に変化が生じ、その結果、電位変化曲線CVAの示す検出信号Voutの電位に変化が生じる場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。本実施形態は、電位変化曲線CVAの示す検出信号Voutの電位に変動が生じる任意の場合に対して適用することができる。
【0093】
例えば、本実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの劣化や変性に起因して、電位変化曲線CVAの示す検出信号Voutの電位に変化が生じる場合においても、参考例と比較して、検出信号Voutに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。また、本実施形態によれば、検出信号Voutにノイズが重畳することにに起因して、電位変化曲線CVAの示す検出信号Voutの電位に変化が生じる場合においても、参考例と比較して、検出信号Voutに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0094】
<<1.5.第1実施形態の結び>>
以上において説明したように、本実施形態に係るインクジェットプリンター100は、導電性のインクIKを収容するインクタンクTK[m]と、インクタンクTK[m]に収容された棒状の電極棒DA1と、インクタンクTK[m]に収容された棒状の電極棒DA2と、電極棒DA1及び電極棒DA2に電気的に接続され、電極棒DA1及び電極棒DA2の少なくとも一方からの電気信号に応じて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出するインク量検出回路2と、インクタンクTK[m]から供給されるインクIKを吐出する液体吐出ヘッドHU[m]と、を備え、電極棒DA1は、長さNA11の外周GA11を有する電極構成部分ZA11と、長さNA11よりも短い長さNA12の外周GA12を有する電極構成部分ZA12と、を含むことを特徴とする。
なお、本実施形態において、電極棒DA1は「第1電極」の一例であり、電極棒DA2は「第2電極」の一例であり、電極構成部分ZA11は「第1部分」の一例であり、電極構成部分ZA12は「第2部分」の一例であり、長さNA11は「第1の長さ」の一例であり、長さNA12は「第2の長さ」の一例である。
【0095】
このように、本実施形態では、電極棒DA1が、長さNA11の外周GA11を有する電極構成部分ZA11と、長さNA11よりも短い長さNA12の外周GA12を有する電極構成部分ZA12とを備えるため、電極棒DA1が均一な太さを有する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DA1及び電極棒DA2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせることが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、電極棒DA1が均一な太さを有する態様と比較して、インクIKの液面SFが電極構成部分ZA11に接触している場合の電気信号の信号レベルと、インクIKの液面SFが電極構成部分ZA12に接触している場合の電気信号の信号レベルとの間の相違の程度を大きくすることができる。このため、本実施形態によれば、電極棒DA1の外周を均一な長さとする態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0096】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター100において、電極構成部分ZA11は円柱形状を有し、電極構成部分ZA12は円柱形状を有する、ことを特徴とする。
【0097】
すなわち、本実施形態によれば、電極棒DA1は、長さNA11の外周GA11を有する円柱形状の電極構成部分ZA11と、長さNA12の外周GA12を有する円柱形状の電極構成部分ZA12とを含む。このため、本実施形態によれば、電極棒DA1が均一な太さを有する態様と比較して、インクIKの液面SFが電極構成部分ZA11に接触している場合の電気信号の信号レベルと、インクIKの液面SFが電極構成部分ZA12に接触している場合の電気信号の信号レベルとの間の相違の程度を大きくすることができる。
【0098】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター100において、電極棒DA2及び電極構成部分ZA11がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極棒DA2及び電極構成部分ZA12がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量は、電極棒DA2及び電極構成部分ZA11がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量よりも少なく、電極棒DA2及び電極構成部分ZA11がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極棒DA2及び電極構成部分ZA12がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続していない場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量よりも多い、ことを特徴とする。
【0099】
このため、本実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を、少なくとも3段階のレベルで検出することができる。
【0100】
<<2.第2実施形態>>
以下、
図16乃至
図18を参照しつつ、第2実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0101】
<<2.1.第2実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第2実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Bを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0102】
図16は、インク収容装置1Bに設けられた電極棒DB1及び電極棒DB2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Bは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DB1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DB2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0103】
図16に示すように、電極棒DB1は、導電性の電極構成部分ZB11と、導電性の電極構成部分ZB12と、導電性の接続部分ZB1tと、を有する。
【0104】
電極構成部分ZB11は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNB11の外周GB11を有する。
電極構成部分ZB12は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNB12の外周GB12を有する。ここで、長さNB12は、長さNB11よりも短い。なお、第2実施形態では、長さNB12が、参考例に係る長さNW1と略同じ長さである場合を想定する。また、電極構成部分ZB12は、電極構成部分ZB11から見てZ1方向に位置し、電極構成部分ZB11に接続する。
接続部分ZB1tは、電極構成部分ZB11から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZB11に接続されるとともに、配線LKに電気的に接続される。つまり、接続部分ZB1tは、電極構成部分ZB11及び配線LKを電気的に接続する。
【0105】
電極棒DB2は、導電性の電極構成部分ZB21と、導電性の電極構成部分ZB22と、導電性の接続部分ZB2tと、を有する。
【0106】
電極構成部分ZB21は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNB21の外周GB21を有する。
電極構成部分ZB22は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNB22の外周GB22を有する。ここで、長さNB22は、長さNB21よりも短い。なお、第2実施形態では、長さNB22が、参考例に係る長さNW2と略同じ長さである場合を想定する。また、電極構成部分ZB22は、電極構成部分ZB21から見てZ1方向に位置し、電極構成部分ZB21に接続する。
接続部分ZB2tは、電極構成部分ZB21から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZB21に接続されるとともに、配線LKに電気的に接続される。つまり、接続部分ZB2tは、電極構成部分ZB21及び配線LKを電気的に接続する。
【0107】
また、第2実施形態では、電極棒DB1のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極棒DB2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DB1及び電極棒DB2が設けられている場合を想定する。
また、第2実施形態では、電極構成部分ZB21のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3となるように、電極棒DB2が設けられている場合を想定する。ここで、距離H3とは、距離HEよりも長く、且つ、距離H2よりも短い距離である。
また、第2実施形態では、電極構成部分ZB11のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DB1が設けられている場合を想定する。
また、第2実施形態では、電極構成部分ZB11のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZB21のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離H1となるように、電極棒DB1及び電極棒DB2が設けられている場合を想定する。
【0108】
また、第2実施形態では、電極棒DB1が、電極棒DB2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における電極構成部分ZB11及び電極構成部分ZB21の間の距離を、距離XB11と称し、X1方向における電極構成部分ZB12及び電極構成部分ZB21の間の距離を、距離XB12と称し、X1方向における電極構成部分ZB12及び電極構成部分ZB22の間の距離を、距離XB22と称する。本実施形態において、距離XB22は距離XB12よりも長く、距離XB12は距離XB11よりも長い。なお、第2実施形態では、距離XB22が、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0109】
図17は、インク液面距離SZと第2実施形態に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第2実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと第2実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRBの一例を示している。ここで、第2実施形態に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DB1及び電極棒DB2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DB1及び電極棒DB2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、第2実施形態に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTBと称する場合がある。
なお、
図17においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRBと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0110】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、電極構成部分ZB12がインクIKに接触し、電極構成部分ZB22がインクIKに接触する。このため、
図17の抵抗値変化曲線CRBが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTBは小さい抵抗値となる。
また、インク液面距離SZが距離H3以上となる場合に、電極構成部分ZB21がインクIKに接触する。このため、抵抗値変化曲線CRBは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTBが大きく変化する変化領域Ar-RB3を有する。そして、抵抗値変化曲線CRBが示すように、インク液面距離SZが距離H3以上である場合、インク液面距離SZが距離H3未満である場合と比較して、インク抵抗RTBは小さい抵抗値となる。
また、インク液面距離SZが距離H2以上となる場合に、電極構成部分ZB11がインクIKに接触する。このため、抵抗値変化曲線CRBは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTBが大きく変化する変化領域Ar-RB2を有する。そして、抵抗値変化曲線CRBが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、インク液面距離SZが距離H2未満である場合と比較して、インク抵抗RTBは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTBは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRBが示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTBは小さくなる。
【0111】
図18は、インク液面距離SZと第2実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図18では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第2実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVBの一例を示している。ここで、第2実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Bが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第2実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Bと称する場合がある。
なお、
図18においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVBと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0112】
図18の電位変化曲線CVBに示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Bの電位は低くなる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRBは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTBが大きく変化する変化領域Ar-RB3を有する。よって、電位変化曲線CVBも、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、検出信号Vout-Bが大きく変化する変化領域Ar-VB3を有する。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRBは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTBが大きく変化する変化領域Ar-RB2を有する。よって、電位変化曲線CVBも、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、検出信号Vout-Bが大きく変化する変化領域Ar-VB2を有する。
【0113】
なお、第2実施形態では、
図18に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Bの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第2実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H3である場合において、検出信号Vout-Bの示す電位を、閾値電位Vth3としている。また、第2実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Vout-Bの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0114】
以上のように、第2実施形態において、インク収容装置1Bが出力する検出信号Vout-Bは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Bが大きく変化する領域である変化領域Ar-VB2及び変化領域Ar-VB3を有する。このため、第2実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Bに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Bの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Bに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0115】
<<2.2.第2実施形態の結び>>
以上において説明したように、第2実施形態に係るインクジェットプリンターは、導電性のインクIKを収容するインクタンクTK[m]と、インクタンクTK[m]に収容された棒状の電極棒DB1と、インクタンクTK[m]に収容された棒状の電極棒DB2と、電極棒DB1及び電極棒DB2に電気的に接続され、電極棒DB1及び電極棒DB2の少なくとも一方からの電気信号に応じて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出するインク量検出回路2と、インクタンクTK[m]から供給されるインクIKを吐出する液体吐出ヘッドHU[m]と、を備え、電極棒DB1は、長さNB11の外周GB11を有する電極構成部分ZB11と、長さNB11よりも短い長さNB12の外周GB12を有する電極構成部分ZB12と、を含み、電極棒DB2は、長さNB21の外周GB21を有する電極構成部分ZB21と、長さNB21よりも短い長さNB22の外周GB22を有する電極構成部分ZB22と、を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、電極棒DB1は「第1電極」の一例であり、電極棒DB2は「第2電極」の一例であり、電極構成部分ZB11は「第1部分」の一例であり、電極構成部分ZB12は「第2部分」の一例であり、電極構成部分ZB21は「第3部分」の一例であり、電極構成部分ZB22は「第4部分」の一例であり、長さNB11は「第1の長さ」の一例であり、長さNB12は「第2の長さ」の一例であり、長さNB21は「第3の長さ」の一例であり、長さNB22は「第4の長さ」の一例である。
【0116】
このように、本実施形態では、電極棒DB1が、長さNB11の外周GB11を有する電極構成部分ZB11と、長さNB11よりも短い長さNB12の外周GB12を有する電極構成部分ZB12とを備え、電極棒DB2が、長さNB21の外周GB21を有する電極構成部分ZB21と、長さNB21よりも短い長さNB22の外周GB22を有する電極構成部分ZB22とを備えるため、電極棒DB1及び電極棒DB2が均一な太さを有する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DB1及び電極棒DB2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせることが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、電極棒DB1及び電極棒DB2が均一な太さを有する態様と比較して、インク液面距離SZの変化量に対する、電極棒DB1及び電極棒DB2からの電気信号の信号レベルの変化量を大きくすることができる。このため、本実施形態によれば、電極棒DB1及び電極棒DB2が均一な太さを有する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0117】
また、第2実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極構成部分ZB11は円柱形状を有し、電極構成部分ZB12は円柱形状を有し、電極構成部分ZB21は円柱形状を有し、電極構成部分ZB22は円柱形状を有する、ことを特徴としてもよい。
【0118】
このため、本実施形態によれば、電極棒DB1及び電極棒DB2が均一な太さを有する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DB1及び電極棒DB2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせることが可能となる。
【0119】
また、第2実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DB1及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極棒DB1及び電極構成部分ZB22がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量は、電極棒DB1及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量よりも少なく、電極棒DB1及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極棒DB1及び電極構成部分ZB22がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続していない場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量よりも多い、ことを特徴とする。
【0120】
このため、本実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を、少なくとも3段階のレベルで検出することができる。
【0121】
また、第2実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極構成部分ZB11及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量は、電極構成部分ZB11及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極構成部分ZB12及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量よりも多く、電極構成部分ZB11及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極構成部分ZB12及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量は、電極構成部分ZB12及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極構成部分ZB12及び電極構成部分ZB22がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量よりも多く、電極構成部分ZB12及び電極構成部分ZB21がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極構成部分ZB12及び電極構成部分ZB22がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量は、電極構成部分ZB12及び電極構成部分ZB22がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続していない場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量よりも多い、ことを特徴とする。
【0122】
このため、本実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を、少なくとも4段階のレベルで検出することができる。
【0123】
<<3.第3実施形態>>
以下、
図19乃至
図21を参照しつつ、第3実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0124】
<<3.1.第3実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第3実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Cを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0125】
図19は、インク収容装置1Cに設けられた電極棒DC1及び電極棒DC2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Cは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DC1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DC2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0126】
図19に示すように、電極棒DC1は、導電性の電極構成部分ZC11と、導電性の電極構成部分ZC12と、導電性の電極構成部分ZC13と、導電性の接続部分ZC1tと、を有する。
【0127】
電極構成部分ZC11は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNC11の外周GC11を有する。
電極構成部分ZC12は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNC12の外周GC12を有する。ここで、長さNC12は、長さNC11よりも短い。また、電極構成部分ZC12は、電極構成部分ZC11から見てZ1方向に位置し、電極構成部分ZC11に接続する。
電極構成部分ZC13は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNC13の外周GC13を有する。ここで、長さNC13は、長さNC12よりも短い。なお、第3実施形態では、長さNC13が、参考例に係る長さNW1と略同じ長さである場合を想定する。また、電極構成部分ZC13は、電極構成部分ZC12から見てZ1方向に位置し、電極構成部分ZC12に接続する。
接続部分ZC1tは、電極構成部分ZC11から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZC11に接続されるとともに、配線LKに電気的に接続される。つまり、接続部分ZC1tは、電極構成部分ZC11及び配線LKを電気的に接続する。
【0128】
電極棒DC2は、Z1方向に延在する円柱形状の電極であり、導電性の電極構成部分ZC2と、導電性の接続部分ZC2tと、を有する。
【0129】
電極構成部分ZC2は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNC2の外周GC2を有する。なお、第3実施形態では、長さNC2が、参考例に係る長さNW2と、略同じ長さである場合を想定する。
接続部分ZC2tは、電極構成部分ZC2から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZC2に接続されるとともに、配線LGに電気的に接続される。つまり、接続部分ZC2tは、電極構成部分ZC2及び配線LGを電気的に接続する。
【0130】
また、第3実施形態では、電極棒DC1のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極棒DC2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DC1及び電極棒DC2が設けられている場合を想定する。
また、第3実施形態では、電極構成部分ZC12のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3となるように、電極棒DC1が設けられている場合を想定する。
また、第3実施形態では、電極構成部分ZC11のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DC1が設けられている場合を想定する。
また、第3実施形態では、電極構成部分ZC11のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZC2のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離H1となるように、電極棒DC1及び電極棒DC2が設けられている場合を想定する。
【0131】
また、第3実施形態では、電極棒DC1が、電極棒DC2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における電極構成部分ZC11及び電極構成部分ZC2の間の距離を、距離XC1と称し、X1方向における電極構成部分ZC12及び電極構成部分ZC2の間の距離を、距離XC2と称し、X1方向における電極構成部分ZC13及び電極構成部分ZC2の間の距離を、距離XC3と称する。本実施形態において、距離XC3は、距離XC2よりも長く、距離XC2は、距離XC1よりも長い。なお、第3実施形態では、距離XC3が、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0132】
図20は、インク液面距離SZと第3実施形態に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第3実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと第3実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRCの一例を示している。ここで、第3実施形態に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DC1及び電極棒DC2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DC1及び電極棒DC2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、第3実施形態に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTCと称する場合がある。
なお、
図20においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRCと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0133】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、電極構成部分ZC13がインクIKに接触し、電極構成部分ZC2がインクIKに接触する。このため、
図20の抵抗値変化曲線CRCが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTCは小さい抵抗値となる。
また、インク液面距離SZが距離H3以上となる場合に、電極構成部分ZC12がインクIKに接触する。このため、抵抗値変化曲線CRCは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTCが大きく変化する変化領域Ar-RC3を有する。そして、抵抗値変化曲線CRCが示すように、インク液面距離SZが距離H3以上である場合、インク液面距離SZが距離H3未満である場合と比較して、インク抵抗RTCは小さい抵抗値となる。
また、インク液面距離SZが距離H2以上となる場合に、電極構成部分ZC11がインクIKに接触する。このため、抵抗値変化曲線CRCは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTCが大きく変化する変化領域Ar-RC2を有する。そして、抵抗値変化曲線CRCが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、インク液面距離SZが距離H2未満である場合と比較して、インク抵抗RTCは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTCは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRCが示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTCは小さくなる。
【0134】
図21は、インク液面距離SZと第3実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図21では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第3実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVCの一例を示している。ここで、第3実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Cが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第3実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Cと称する場合がある。
なお、
図21においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVCと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0135】
図21の電位変化曲線CVCに示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Cの電位は低くなる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRCは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTCが大きく変化する変化領域Ar-RC3を有する。よって、電位変化曲線CVCも、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、検出信号Vout-Cが大きく変化する変化領域Ar-VC3を有する。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRCは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTCが大きく変化する変化領域Ar-RC2を有する。よって、電位変化曲線CVCも、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、検出信号Vout-Cが大きく変化する変化領域Ar-VC2を有する。
【0136】
なお、第3実施形態では、
図21に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Cの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第3実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H3である場合において、検出信号Vout-Cの示す電位を、閾値電位Vth3としている。また、第3実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Vout-Cの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0137】
<<3.2.第3実施形態の結び>>
以上のように、第3実施形態において、インク収容装置1Cが出力する検出信号Vout-Cは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Cが大きく変化する領域である変化領域Ar-VC2及び変化領域Ar-VC3を有する。このため、第3実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Cに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Cの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Cに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0138】
<<4.第4実施形態>>
以下、
図22乃至
図24を参照しつつ、第4実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0139】
<<4.1.第4実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第4実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Dを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0140】
図22は、インク収容装置1Dに設けられた電極棒DD1及び電極棒DD2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Dは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DD1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DD2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0141】
図22に示すように、電極棒DD1は、Z1方向に延在する円錐台形状の電極であり、導電性の電極構成部分ZD11と、導電性の電極構成部分ZD12と、導電性の電極構成部分ZD13と、導電性の接続部分ZD1tと、を有する。
【0142】
電極構成部分ZD11は、電極棒DD1のうちZ1方向を法線方向とする平面上に位置する電極棒DD1の断面部分であって、長さND11の外周GD11を有する部分である。
電極構成部分ZD12は、電極棒DD1のうちZ1方向を法線方向とする平面上に位置する電極棒DD1の断面部分であって、電極構成部分ZD11から見てZ1方向に位置し、長さND12の外周GD12を有する部分である。ここで、長さND12は、長さND11よりも短い。
電極構成部分ZD13は、電極棒DD1のZ1方向における端部であって、電極構成部分ZD12から見てZ1方向に位置し、長さND13の外周GD13を有する部分である。ここで、長さND13は、長さND12よりも短い。なお、第4実施形態では、長さND13が、参考例に係る長さNW1と略同じ長さである場合を想定する。
接続部分ZD1tは、電極構成部分ZD11から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZD11に接続されるとともに、配線LKに電気的に接続される。つまり、接続部分ZD1tは、電極構成部分ZD11及び配線LKを電気的に接続する。
【0143】
なお、第4実施形態では、電極棒DD1のZ1方向における端部である電極構成部分ZD13が、Z1方向を法線方向とする平面において面積を有する場合、すなわち、電極棒DD1のうち接続部分ZD1tを除く主要部分が円錐台形状の場合を例示して説明するが、第4実施形態はこのような態様に限定されるものではない。第4実施形態は、電極棒DD1のZ1方向における端部である電極構成部分ZD13が、Z1方向を法線方向とする平面において面積を有さない「点」である場合、すなわち、電極棒DD1の主要部分が円錐形状の場合であってもよい。
以下では、電極棒DD1の主要部分を、電極構成部分ZD1と称する。また、以下では、「円錐台形状」と「円錐形状」とを、「円錐形状」と総称する場合がある。
【0144】
電極棒DD2は、Z1方向に延在する円柱形状の電極であり、導電性の電極構成部分ZD2と、導電性の接続部分ZD2tと、を有する。
【0145】
電極構成部分ZD2は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の電極であり、長さND2の外周GD2を有する。なお、第4実施形態では、長さND2が、参考例に係る長さNW2と、略同じ長さである場合を想定する。
接続部分ZD2tは、電極構成部分ZD2から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZD2に接続されるとともに、配線LGに電気的に接続される。つまり、接続部分ZD2tは、電極構成部分ZD2及び配線LGを電気的に接続する。
【0146】
また、第4実施形態では、電極棒DD1のZ1方向の端部である電極構成部分ZD13からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極棒DD2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DD1及び電極棒DD2が設けられている場合を想定する。
また、第4実施形態では、電極構成部分ZD12からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3となるように、電極棒DD1が設けられている場合を想定する。
また、第4実施形態では、電極構成部分ZD11からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DD1が設けられている場合を想定する。
また、第4実施形態では、電極構成部分ZD1のZ2方向の端部から、インクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZD2のZ2方向の端部から、インクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離H1となるように、電極棒DD1及び電極棒DD2が設けられている場合を想定する。
【0147】
また、第4実施形態では、電極棒DD1が、電極棒DD2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における電極構成部分ZD11及び電極構成部分ZD2の間の距離を、距離XD1と称し、X1方向における電極構成部分ZD12及び電極構成部分ZD2の間の距離を、距離XD2と称し、X1方向における電極構成部分ZD13及び電極構成部分ZD2の間の距離を、距離XD3と称する。本実施形態において、距離XD3は、距離XD2よりも長く、距離XD2は、距離XD1よりも長い。なお、第4実施形態では、距離XD3が、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0148】
図23は、インク液面距離SZと第4実施形態に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第4実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと第4実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRDの一例を示している。ここで、第4実施形態に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DD1及び電極棒DD2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DD1及び電極棒DD2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、第4実施形態に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTDと称する場合がある。
なお、
図23においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRDと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0149】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、電極構成部分ZD13がインクIKに接触し、電極構成部分ZD2がインクIKに接触する。このため、
図23の抵抗値変化曲線CRDが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTDは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTDは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRDが示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTDは小さくなる。
【0150】
また、第4実施形態では、上述のとおり、長さND12は長さND13及び長さNW1よりも長く、長さND11は長さND12よりも長い。また、第4実施形態では、上述のとおり、距離XD2は距離XD3及び距離XWよりも短く、距離XD1は距離XD2よりも短い。よって、抵抗値変化曲線CRWの示すインク抵抗RTWの抵抗値と比較して、インク液面距離SZが長くなるに従って、抵抗値変化曲線CRDの示すインク抵抗RTDの抵抗値は急激に小さくなる。
【0151】
図24は、インク液面距離SZと第4実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図24では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第4実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVDの一例を示している。ここで、第4実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Dが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第4実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Dと称する場合がある。
なお、
図24においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVDと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0152】
図24の電位変化曲線CVDに示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Dの電位は低くなる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRDは、抵抗値変化曲線CRWと比較して、インク液面距離SZの増加に伴うインク抵抗RTDの減少量が大きい。よって、電位変化曲線CVDも、電位変化曲線CVWと比較して、インク液面距離SZの増加に伴う検出信号Vout-Dの減少量が大きくなる形状を有する。
【0153】
なお、第4実施形態では、
図24に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Dの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第4実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H3である場合において、検出信号Vout-Dの示す電位を、閾値電位Vth3としている。また、第4実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合におい、検出信号Vout-Dの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0154】
以上のように、第4実施形態において、インク収容装置1Dが出力する検出信号Vout-Dは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Wと比較して大きく変化する。このため、第4実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Dに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Dの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Dに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0155】
<<4.2.第4実施形態の結び>>
以上において説明したように、第4実施形態に係るインクジェットプリンターは、導電性のインクIKを収容するインクタンクTK[m]と、インクタンクTK[m]に収容された棒状の電極棒DD1と、インクタンクTK[m]に収容された棒状の電極棒DD2と、電極棒DD1及び電極棒DD2に電気的に接続され、電極棒DD1及び電極棒DD2の少なくとも一方からの電気信号に応じて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出するインク量検出回路2と、インクタンクTK[m]から供給されるインクIKを吐出する液体吐出ヘッドHU[m]と、を備え、電極棒DD1は、円錐形状を有し、長さND11の外周GD11を有する電極構成部分ZD11と、長さND11よりも短い長さND12の外周GD12を有する電極構成部分ZD12と、を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、電極棒DD1は「第1電極」の一例であり、電極棒DD2は「第2電極」の一例であり、電極構成部分ZD11は「第1部分」の一例であり、電極構成部分ZD12は「第2部分」の一例であり、長さND11は「第1の長さ」の一例であり、長さND12は「第2の長さ」の一例である。
【0156】
このように、本実施形態では、電極棒DD1が、長さND11の外周GD11を有する電極構成部分ZD11と、長さND11よりも短い長さND12の外周GD12を有する電極構成部分ZD12とを備えるため、電極棒DD1が均一な太さを有する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DD1及び電極棒DD2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせることが可能となる。このため、本実施形態によれば、電極棒DD1の外周を均一な長さとする態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0157】
なお、第4実施形態では、電極棒DD2が、均一な太さの円柱形状を有する態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。第4実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DD2についても、電極棒DD1と同様に円錐形状を有するものであってもよい。
【0158】
この場合、電極棒DD2が均一な太さを有する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DD1及び電極棒DD2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせることが可能となる。このため、本態様によれば、電極棒DD2の外周を均一な長さとする態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0159】
<<5.第5実施形態>>
以下、
図25乃至
図29を参照しつつ、第5実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0160】
<<5.1.第5実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第5実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Fを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0161】
図25は、インク収容装置1Fに設けられた電極棒DF1及び電極棒DF2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Fは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DF1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DF2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0162】
図25に示すように、電極棒DF1は、導電性の電極構成部分ZF11と、導電性の電極構成部分ZF12と、導電性の屈曲部分ZF1x1と、導電性の接続部分ZF1x11と、導電性の接続部分ZF1x12と、導電性の接続部分ZF1tと、を有する。
【0163】
電極構成部分ZF11は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNF11の外周GF11を有する。すなわち、第5実施形態では、電極構成部分ZF11が四角形の断面形状を有する場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、電極構成部分ZF11は、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。
【0164】
電極構成部分ZF12は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNF12の外周GF12を有する。すなわち、第5実施形態では、電極構成部分ZF12が四角形の断面形状を有する場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、電極構成部分ZF12は、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。
また、第5実施形態では、長さNF12と長さNF11とが略同じ長さである場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、長さNF12は長さNF11よりも短くてもよい。
【0165】
屈曲部分ZF1x1は、X1方向に延在する電極である。
接続部分ZF1x11は、電極構成部分ZF11から見てX1方向に位置するとともに、屈曲部分ZF1x1から見てX2方向に位置する電極であり、電極構成部分ZF11及び屈曲部分ZF1x1を接続する。
接続部分ZF1x12は、電極構成部分ZF12から見てX2方向に位置するとともに、屈曲部分ZF1x1から見てX1方向に位置する電極であり、電極構成部分ZF12及び屈曲部分ZF1x1を接続する。
【0166】
接続部分ZF1tは、電極構成部分ZF11から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZF11に接続されるとともに、配線LKに電気的に接続される。つまり、接続部分ZF1tは、電極構成部分ZF11及び配線LKを電気的に接続する。
なお、第5実施形態において、接続部分ZF1tは、Z1方向に延在する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNF1tの外周GF1tを有する。すなわち、第5実施形態では、接続部分ZF1tが四角形の断面形状を有する場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、接続部分ZF1tは、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。
【0167】
以下では、電極棒DF1のうち、接続部分ZF1tを除く部分、すなわち、電極構成部分ZF11、電極構成部分ZF12、屈曲部分ZF1x1、接続部分ZF1x11、及び、接続部分ZF1x12を、電極構成部分ZF1と称する。
【0168】
電極棒DF2は、Z1方向に延在する電極であり、導電性の電極構成部分ZF2と、導電性の接続部分ZF2tと、を有する。
【0169】
電極構成部分ZF2は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNF2の外周GF2を有する。すなわち、第5実施形態では、電極構成部分ZF2が四角形の断面形状を有する場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、電極構成部分ZF2は、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。
接続部分ZF2tは、電極構成部分ZF2から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZF2に接続されるとともに、配線LGに電気的に接続される。つまり、接続部分ZF2tは、電極構成部分ZF2及び配線LGを電気的に接続する。
なお、第5実施形態において、接続部分ZF2tは、Z1方向に延在する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNF2tの外周GF2tを有する。すなわち、第5実施形態では、接続部分ZF2tが四角形の断面形状を有する場合を想定する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、接続部分ZF2tは、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。
【0170】
また、第5実施形態では、電極構成部分ZF12のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZF2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DF1及び電極棒DF2が設けられている場合を想定する。
また、第5実施形態では、電極構成部分ZF11のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DF1が設けられている場合を想定する。
また、第5実施形態では、電極構成部分ZF1のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZF2のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離H1となるように、電極棒DF1及び電極棒DF2が設けられている場合を想定する。
【0171】
また、第5実施形態では、電極棒DF1が、電極棒DF2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における電極構成部分ZF11及び電極構成部分ZF2の間の距離を、距離XF1と称し、X1方向における電極構成部分ZF12及び電極構成部分ZF2の間の距離を、距離XF2と称する。第5実施形態において、距離XF2は距離XF1よりも長い。また、第5実施形態では、距離XF2が、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0172】
図26及び
図27は、電極棒DF1及び電極棒DF2の間に形成されるインク抵抗RTの一例を説明するための説明図である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、電極棒DF1及び電極棒DF2の間に形成されるインク抵抗RTを、第5実施形態に係るインク抵抗RT、または、インク抵抗RTFと称する場合がある。
【0173】
図27に示すように、電極構成部分ZF11及び電極構成部分ZF2の間にインクIKが存在する場合、すなわち、インク液面距離SZが距離H2以上の場合、当該インクIKにより、電極構成部分ZF11及び電極構成部分ZF2が電気的に接続される。以下では、電極構成部分ZF11及び電極構成部分ZF2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗を、抵抗RRF1と称する。
【0174】
図26及び
図27に示すように、電極構成部分ZF12及び電極構成部分ZF2の間にインクIKが存在する場合、すなわち、インク液面距離SZが距離HE以上の場合、当該インクIKにより、電極構成部分ZF12及び電極構成部分ZF2が電気的に接続される。以下では、電極構成部分ZF12及び電極構成部分ZF2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗を、抵抗RRF2と称する。
【0175】
なお、インク液面距離SZが距離HE以上で且つ距離H2未満である場合、抵抗RRF2が、上述したインク抵抗RTFとなる。
また、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、抵抗RRF1及び抵抗RRF2を並列接続したときの抵抗RRF1及び抵抗RRF2の合成抵抗が、上述したインク抵抗RTFとなる。
【0176】
図28は、インク液面距離SZとインク抵抗RTFとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸をインク抵抗RTFの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZとインク抵抗RTFの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRFの一例を示している。
なお、
図28においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRFと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0177】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、電極構成部分ZF12がインクIKに接触し、電極構成部分ZF2がインクIKに接触する。このため、
図28の抵抗値変化曲線CRFが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTFは小さい抵抗値となる。
また、インク液面距離SZが距離H2以上となる場合に、電極構成部分ZF11がインクIKに接触する。上述のとおり、距離XF1は距離XF2よりも短い。そして、インク抵抗RTFは、インク抵抗RTFの長さが短くなるに従い、抵抗値が小さくなる。このため、抵抗値変化曲線CRFは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTFが大きく変化する変化領域Ar-RFを有する。そして、抵抗値変化曲線CRFが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、インク液面距離SZが距離H2未満である場合と比較して、インク抵抗RTFは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTFは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRFが示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTFは小さくなる。
【0178】
図29は、インク液面距離SZと第5実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図29では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第5実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVFの一例を示している。ここで、第5実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Fが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第5実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Fと称する場合がある。
なお、
図29においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVFと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0179】
図29の電位変化曲線CVFに示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Fの電位は低くなる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRFは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTFが大きく変化する変化領域Ar-RFを有する。よって、電位変化曲線CVFも、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、検出信号Vout-Fが大きく変化する変化領域Ar-VFを有する。
【0180】
なお、第5実施形態では、
図29に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Fの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第5実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Vout-Fの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0181】
以上のように、第5実施形態において、インク収容装置1Fが出力する検出信号Vout-Fは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Fが大きく変化する領域である変化領域Ar-VFを有する。このため、第5実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Fに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Fの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Fに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0182】
<<5.2.第5実施形態の結び>>
以上において説明したように、第5実施形態に係るインクジェットプリンターは、導電性のインクIKを収容するインクタンクTK[m]と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DF1と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DF2と、電極棒DF1及び電極棒DF2に電気的に接続され、電極棒DF1及び電極棒DF2の少なくとも一方からの電気信号に応じて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出するインク量検出回路2と、インクタンクTK[m]から供給されるインクIKを吐出する液体吐出ヘッドHU[m]と、を備え、電極棒DF1は、電極棒DF2との距離が距離XF1である電極構成部分ZF11と、電極棒DF2との距離が距離XF1よりも長い距離XF2である電極構成部分ZF12と、を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、電極棒DF1は「第1電極」の一例であり、電極棒DF2は「第2電極」の一例であり、電極構成部分ZF11は「第1部分」の一例であり、電極構成部分ZF12は「第2部分」の一例であり、距離XF1は「第1の距離」の一例であり、距離XF2は「第2の距離」の一例である。
【0183】
このように、本実施形態に係る電極棒DF1は、電極棒DF2との距離が距離XF1である電極構成部分ZF11と、電極棒DF2との距離が距離XF1よりも長い距離XF2である電極構成部分ZF12とを備える。このため、本実施形態によれば、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DF1及び電極棒DF2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせることが可能となる。これにより、本実施形態によれば、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0184】
また、第5実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極構成部分ZF11は、Z1方向に延在するように設けられ、電極棒DF1は、電極構成部分ZF11及び電極構成部分ZF12の間に、Z1方向に交差するX1方向に延在する屈曲部分ZF1x1と、電極構成部分ZF11及び屈曲部分ZF1x1を接続する接続部分ZF1x11と、を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、Z1方向は「第1方向」の一例であり、X1方向は「第1交差方向」の一例であり、屈曲部分ZF1x1は「第1交差部分」の一例であり、接続部分ZF1x11は「第1接続部分」の一例である。
【0185】
このように、本実施形態によれば、電極棒DF1が、X1方向に延在する屈曲部分ZF1x1を含む。このため、本実施形態によれば、電極構成部分ZF12と電極棒DF2との間の距離を、電極構成部分ZF11と電極棒DF2との間の距離よりも遠ざけることができる。これにより、本実施形態によれば、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0186】
また、第5実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DF1は、電極構成部分ZF12及び屈曲部分ZF1x1を接続する接続部分ZF1x12を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、接続部分ZF1x12は「第2接続部分」の一例である。
【0187】
本実施形態によれば、電極構成部分ZF12と電極棒DF2との間の距離を、電極構成部分ZF11と電極棒DF2との間の距離よりも遠ざけることができるため、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0188】
また、第5実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、X1方向はZ1方向に略直交する方向である、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、「略直交」とは、90度で交差する場合の他に、誤差を考慮すれば90度で交差すると看做せることが可能な場合を含む概念である。具体的には、本実施形態において、「略直交」とは、80度以上100度以下で交差する場合であることとする。
【0189】
本実施形態によれば、例えば、X1方向とZ1方向とが略平行である態様と比較して、電極構成部分ZF12と電極棒DF2との間の距離と、電極構成部分ZF11と電極棒DF2との間の距離との差分を、大きくすることができる。このため、本実施形態によれば、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0190】
また、第5実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極構成部分ZF12は、Z1方向に延在するように設けられる、ことを特徴としてもよい。
【0191】
また、第5実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DF1は、断面形状が多角形である、ことを特徴としてもよい。
【0192】
この態様によれば、例えば、電極棒DF1の断面形状が曲面である態様と比較して、インクタンクTK[m]において電極棒DF1を容易に配置することが可能となり、電極棒DF1及び電極棒DF2の間の距離を所望の距離に設定することが容易になる。
【0193】
<<6.第6実施形態>>
以下、
図30乃至
図32を参照しつつ、第6実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0194】
<<6.1.第6実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第6実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Gを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0195】
図30は、インク収容装置1Gに設けられた電極棒DG1及び電極棒DG2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Gは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DG1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DG2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0196】
図30に示すように、電極棒DG1は、第5実施形態に係る電極棒DF1と同様の形状を有し、導電性の電極構成部分ZG11と、導電性の電極構成部分ZG12と、導電性の屈曲部分ZG1x1と、導電性の接続部分ZG1x11と、導電性の接続部分ZG1x12と、導電性の接続部分ZG1tと、を有する。
【0197】
電極構成部分ZG11は、第5実施形態に係る電極構成部分ZF11と同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNG11の外周GG11を有する。
電極構成部分ZG12は、第5実施形態に係る電極構成部分ZF12と同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNG12の外周GG12を有する。また、第6実施形態では、長さNG12と長さNG11とが略同じ長さである場合を想定するが、長さNG12は長さNG11よりも短くてもよい。
屈曲部分ZG1x1は、第5実施形態に係る屈曲部分ZF1x1と同様の形状を有し、X1方向に延在する電極である。
接続部分ZG1x11は、電極構成部分ZG11及び屈曲部分ZG1x1を接続する。
接続部分ZG1x12は、電極構成部分ZG12及び屈曲部分ZG1x1を接続する。
接続部分ZG1tは、電極構成部分ZG11から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZG11に接続されるとともに、配線LKに電気的に接続される。なお、第6実施形態において、接続部分ZG1tは、第5実施形態に係る接続部分ZF1tと同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNG1tの外周GG1tを有する。
以下では、電極棒DG1のうち、接続部分ZG1tを除く部分を、電極構成部分ZG1と称する。
【0198】
電極棒DG2は、導電性の電極構成部分ZG21と、導電性の電極構成部分ZG22と、導電性の屈曲部分ZG2x1と、導電性の接続部分ZG2x11と、導電性の接続部分ZG2x12と、導電性の接続部分ZG2tと、を有する。
【0199】
電極構成部分ZG21は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNG21の外周GG21を有する。なお、第6実施形態では、電極構成部分ZG21が四角形の断面形状を有する場合を想定するが、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。
電極構成部分ZG22は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNG22の外周GG22を有する。なお、第6実施形態では、電極構成部分ZG22が四角形の断面形状を有する場合を想定するが、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。また、第6実施形態では、長さNG22と長さNG21とが略同じ長さである場合を想定するが、長さNG22は長さNG21よりも短くてもよい。
屈曲部分ZG2x1は、X1方向に延在する電極である。
接続部分ZG2x11は、電極構成部分ZG21及び屈曲部分ZG2x1を接続する。
接続部分ZG2x12は、電極構成部分ZG22及び屈曲部分ZG2x1を接続する。
接続部分ZG2tは、電極構成部分ZG21から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZG21に接続されるとともに、配線LGに電気的に接続される。なお、第6実施形態において、接続部分ZG2tは、第5実施形態に係る接続部分ZF2tと同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNG2tの外周GG2tを有する。
以下では、電極棒DG2のうち、接続部分ZG2tを除く部分を、電極構成部分ZG2と称する。
【0200】
また、第6実施形態では、電極構成部分ZG12のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZG22のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DG1及び電極棒DG2が設けられている場合を想定する。
また、第6実施形態では、電極構成部分ZG21のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3となるように、電極棒DG2が設けられている場合を想定する。
また、第6実施形態では、電極構成部分ZG11のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DG1が設けられている場合を想定する。
また、第6実施形態では、電極構成部分ZG1のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZG2のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離H1となるように、電極棒DG1及び電極棒DG2が設けられている場合を想定する。
【0201】
また、第6実施形態では、電極棒DG1が、電極棒DG2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における電極構成部分ZG11及び電極構成部分ZG21の間の距離を、距離XG11と称し、X1方向における電極構成部分ZG12及び電極構成部分ZG21の間の距離を、距離XG12と称し、X1方向における電極構成部分ZG12及び電極構成部分ZG22の間の距離を、距離XG22と称する。第6実施形態において、距離XG22は距離XG12よりも長く、距離XG12は距離XG11よりも長い。また、第6実施形態では、距離XG22が、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0202】
図31は、インク液面距離SZと第6実施形態に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第6実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと第6実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRGの一例を示している。ここで、第6実施形態に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DG1及び電極棒DG2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DG1及び電極棒DG2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、第6実施形態に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTGと称する場合がある。
なお、
図31においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRGと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0203】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、電極構成部分ZG12がインクIKに接触し、電極構成部分ZG22がインクIKに接触する。このため、
図31の抵抗値変化曲線CRGが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTGは小さい抵抗値となる。
また、インク液面距離SZが距離H3以上となる場合に、電極構成部分ZG21がインクIKに接触する。上述のとおり、距離XG12は距離XG22よりも短い。このため、抵抗値変化曲線CRGは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTGが大きく変化する変化領域Ar-RG3を有する。そして、抵抗値変化曲線CRGが示すように、インク液面距離SZが距離H3以上である場合、インク液面距離SZが距離H3未満である場合と比較して、インク抵抗RTGは小さい抵抗値となる。
また、インク液面距離SZが距離H2以上となる場合に、電極構成部分ZG11がインクIKに接触する。上述のとおり、距離XG11は距離XG12よりも短い。このため、抵抗値変化曲線CRGは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTGが大きく変化する変化領域Ar-RG2を有する。そして、抵抗値変化曲線CRGが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、インク液面距離SZが距離H2未満である場合と比較して、インク抵抗RTGは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTGは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRGが示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTGは小さくなる。
【0204】
図32は、インク液面距離SZと第6実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図32では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第6実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVGの一例を示している。ここで、第6実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Gが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第6実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Gと称する場合がある。
なお、
図32においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVGと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0205】
図32の電位変化曲線CVGに示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Gの電位は低くなる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRGは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTGが大きく変化する変化領域Ar-RG3を有する。よって、電位変化曲線CVGも、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、検出信号Vout-Gが大きく変化する変化領域Ar-VG3を有する。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRGは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTGが大きく変化する変化領域Ar-RG2を有する。よって、電位変化曲線CVGも、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、検出信号Vout-Gが大きく変化する変化領域Ar-VG2を有する。
【0206】
なお、第6実施形態では、
図32に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Gの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第6実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H3である場合において、検出信号Vout-Gの示す電位を、閾値電位Vth3としている。また、第6実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Vout-Gの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0207】
以上のように、第6実施形態において、インク収容装置1Gが出力する検出信号Vout-Gは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Gが大きく変化する領域である変化領域Ar-VG2及び変化領域Ar-VG3を有する。このため、第6実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Gに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Gの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Gに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0208】
<<6.2.第6実施形態の結び>>
以上において説明したように、第6実施形態に係るインクジェットプリンターは、導電性のインクIKを収容するインクタンクTK[m]と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DG1と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DG2と、電極棒DG1及び電極棒DG2に電気的に接続され、電極棒DG1及び電極棒DG2の少なくとも一方からの電気信号に応じて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出するインク量検出回路2と、インクタンクTK[m]から供給されるインクIKを吐出する液体吐出ヘッドHU[m]と、を備え、電極棒DG1は、電極棒DG2との距離が距離XG11である電極構成部分ZG11と、電極棒DG2との距離が距離XG11よりも長い距離XG12である電極構成部分ZG12と、を含み、電極棒DG2は、電極棒DG1との距離が距離XG11である電極構成部分ZG21と、電極棒DG1との距離が距離XG11よりも長い距離XG22である電極構成部分ZG22と、を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、電極棒DG1は「第1電極」の一例であり、電極棒DG2は「第2電極」の一例であり、電極構成部分ZG11は「第1部分」の一例であり、電極構成部分ZG12は「第2部分」の一例であり、電極構成部分ZG21は「第3部分」の一例であり、電極構成部分ZG22は「第4部分」の一例であり、距離XG11は「第1の距離」及び「第3の距離」の一例であり、距離XG12は「第2の距離」の一例であり、距離XG22は「第4の距離」の一例である。
【0209】
このように、本実施形態に係る電極棒DG1は、電極棒DG2との距離が距離XG11である電極構成部分ZG11と、電極棒DG2との距離が距離XG11よりも長い距離XG12である電極構成部分ZG12とを備える。また、本実施形態に係る電極棒DG2は、電極棒DG1との距離が距離XG11である電極構成部分ZG21と、電極棒DG1との距離が距離XG11よりも長い距離XG22である電極構成部分ZG22とを備える。このため、本実施形態によれば、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DG1及び電極棒DG2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせることが可能となる。これにより、本実施形態によれば、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0210】
また、第6実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極構成部分ZG11は、Z1方向に延在するように設けられ、電極棒DG1は、電極構成部分ZG11及び電極構成部分ZG12の間に、Z1方向に交差するX1方向に延在する屈曲部分ZG1x1と、電極構成部分ZG11及び屈曲部分ZG1x1を接続する接続部分ZG1x11と、を含み、電極構成部分ZG21は、Z1方向に延在するように設けられ、電極棒DG2は、電極構成部分ZG21及び電極構成部分ZG22の間に、Z1方向に交差するX1方向に延在する屈曲部分ZG2x1と、電極構成部分ZG21及び屈曲部分ZG2x1を接続する接続部分ZG2x11と、を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、Z1方向は「第1方向」及び「第3方向」の一例であり、X1方向は「第1交差方向」及び「第2交差方向」の一例であり、屈曲部分ZG1x1は「第1交差部分」の一例であり、接続部分ZG1x11は「第1接続部分」の一例である。屈曲部分ZG2x1は「第2交差部分」の一例であり、接続部分ZG2x11は「第3接続部分」の一例である。
【0211】
このように、本実施形態によれば、電極棒DG2が、X1方向に延在する屈曲部分ZG2x1を含む。このため、本実施形態によれば、電極構成部分ZG22と電極棒DG1との間の距離を、電極構成部分ZG21と電極棒DG1との間の距離よりも遠ざけることができる。これにより、本実施形態によれば、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0212】
また、第6実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DG1は、電極構成部分ZG12及び屈曲部分ZG1x1を接続する接続部分ZG1x12を含み、電極棒DG2は、電極構成部分ZG22及び屈曲部分ZG2x1を接続する接続部分ZG2x12を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、接続部分ZG1x12は「第3接続部分」の一例であり、接続部分ZG2x12は「第4接続部分」の一例である。
【0213】
本実施形態によれば、電極構成部分ZG22と電極棒DG1との間の距離を、電極構成部分ZG21と電極棒DG1との間の距離よりも遠ざけることができるため、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0214】
また、第6実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DG1は、断面形状が多角形であり、電極棒DG2は、断面形状が多角形である、ことを特徴としてもよい。
【0215】
この態様によれば、例えば、電極棒DG1及び電極棒DG2の断面形状が曲面である態様と比較して、インクタンクTK[m]において電極棒DG1及び電極棒DG2を容易に配置することが可能となり、電極棒DG1及び電極棒DG2の間の距離を所望の距離に設定することが容易になる。
【0216】
<<7.第7実施形態>>
以下、
図33乃至
図35を参照しつつ、第7実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0217】
<<7.1.第7実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第7実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Hを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0218】
図33は、インク収容装置1Hに設けられた電極棒DH1及び電極棒DH2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Hは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DH1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DH2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0219】
図33に示すように、電極棒DH1は、導電性の電極構成部分ZH11と、導電性の電極構成部分ZH12と、導電性の電極構成部分ZH13と、導電性の屈曲部分ZH1x1と、導電性の屈曲部分ZH1x2と、導電性の接続部分ZH1x11と、導電性の接続部分ZH1x12と、導電性の接続部分ZH1x21と、導電性の接続部分ZH1x22と、導電性の接続部分ZH1tと、を有する。なお、以下では、電極棒DH1のうち、接続部分ZH1tを除く部分を、電極構成部分ZH1と称する場合がある。
【0220】
電極構成部分ZH11は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNH11の外周GH11を有する。なお、第7実施形態では、電極構成部分ZH11が四角形の断面形状を有する場合を想定するが、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。
電極構成部分ZH12は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNH12の外周GH12を有する。なお、第7実施形態では、電極構成部分ZH12が四角形の断面形状を有する場合を想定するが、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。また、第7実施形態では、長さNH12と長さNH11とが略同じ長さである場合を想定するが、長さNH12は長さNH11よりも短くてもよい。
電極構成部分ZH13は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNH13の外周GH13を有する。なお、第7実施形態では、電極構成部分ZH13が四角形の断面形状を有する場合を想定するが、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。また、第7実施形態では、長さNH13と長さNH12とが略同じ長さである場合を想定するが、長さNH13は長さNH12よりも短くてもよい。
【0221】
屈曲部分ZH1x1は、X1方向に延在する電極である。
屈曲部分ZH1x2は、X1方向に延在する電極である。
接続部分ZH1x11は、電極構成部分ZH11及び屈曲部分ZH1x1を接続する。
接続部分ZH1x12は、電極構成部分ZH12及び屈曲部分ZH1x1を接続する。
接続部分ZH1x21は、電極構成部分ZH12及び屈曲部分ZH1x2を接続する。
接続部分ZH1x22は、電極構成部分ZH13及び屈曲部分ZH1x2を接続する。
接続部分ZH1tは、電極構成部分ZH11から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZH11に接続されるとともに、配線LKに電気的に接続される。なお、第7実施形態において、接続部分ZH1tは、第6実施形態に係る接続部分ZG1tと同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNH1tの外周GH1tを有する。
【0222】
電極棒DH2は、第5実施形態に係る電極棒DF2と同様の形状を有し、導電性の電極構成部分ZH2と、導電性の接続部分ZH2tと、を有する。
【0223】
電極構成部分ZH2は、第5実施形態に係る電極構成部分ZF2と同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNH2の外周GH2を有する。
接続部分ZH2tは、第5実施形態に係る接続部分ZF2tと同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNH2tの外周GH2tを有する。接続部分ZH2tは、電極構成部分ZH2及び配線LGを電気的に接続する。
【0224】
また、第7実施形態では、電極構成部分ZH13のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZH2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DH1及び電極棒DH2が設けられている場合を想定する。
また、第7実施形態では、電極構成部分ZH12のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3となるように、電極棒DH1が設けられている場合を想定する。
また、第7実施形態では、電極構成部分ZH11のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DH1が設けられている場合を想定する。
また、第7実施形態では、電極構成部分ZH1のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZH2のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離H1となるように、電極棒DH1及び電極棒DH2が設けられている場合を想定する。
【0225】
また、第7実施形態では、電極棒DH1が、電極棒DH2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における電極構成部分ZH11及び電極構成部分ZH2の間の距離を、距離XH1と称し、X1方向における電極構成部分ZH12及び電極構成部分ZH2の間の距離を、距離XH2と称し、X1方向における電極構成部分ZH13及び電極構成部分ZH2の間の距離を、距離XH3と称する。第7実施形態において、距離XH3は距離XH2よりも長く、距離XH2は距離XH1よりも長い。また、第7実施形態では、距離XH3が、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0226】
図34は、インク液面距離SZと第7実施形態に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第7実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと第7実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRHの一例を示している。ここで、第7実施形態に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DH1及び電極棒DH2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DH1及び電極棒DH2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、第7実施形態に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTHと称する場合がある。
なお、
図34においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRHと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0227】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、電極構成部分ZH13がインクIKに接触し、電極構成部分ZH2がインクIKに接触する。このため、
図34の抵抗値変化曲線CRHが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTHは小さい抵抗値となる。
また、インク液面距離SZが距離H3以上となる場合に、電極構成部分ZH12がインクIKに接触する。上述のとおり、距離XH2は距離XH3よりも短い。このため、抵抗値変化曲線CRHは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTHが大きく変化する変化領域Ar-RH3を有する。そして、抵抗値変化曲線CRHが示すように、インク液面距離SZが距離H3以上である場合、インク液面距離SZが距離H3未満である場合と比較して、インク抵抗RTHは小さい抵抗値となる。
また、インク液面距離SZが距離H2以上となる場合に、電極構成部分ZH11がインクIKに接触する。上述のとおり、距離XH1は距離XH2よりも短い。このため、抵抗値変化曲線CRHは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTHが大きく変化する変化領域Ar-RH2を有する。そして、抵抗値変化曲線CRHが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、インク液面距離SZが距離H2未満である場合と比較して、インク抵抗RTHは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTHは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRHが示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTHは小さくなる。
【0228】
図35は、インク液面距離SZと第7実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図35では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第7実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVHの一例を示している。ここで、第7実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Hが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第7実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Hと称する場合がある。
なお、
図35においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVHと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0229】
図35の電位変化曲線CVHに示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Hの電位は低くなる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRHは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTHが大きく変化する変化領域Ar-RH3を有する。よって、電位変化曲線CVHも、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、検出信号Vout-Hが大きく変化する変化領域Ar-VH3を有する。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRHは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTHが大きく変化する変化領域Ar-RH2を有する。よって、電位変化曲線CVHも、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、検出信号Vout-Hが大きく変化する変化領域Ar-VH2を有する。
【0230】
なお、第7実施形態では、
図35に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Hの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第7実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H3である場合において、検出信号Vout-Hの示す電位を、閾値電位Vth3としている。また、第7実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Vout-Hの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0231】
<<7.2.第7実施形態の結び>>
以上のように、第7実施形態において、インク収容装置1Hが出力する検出信号Vout-Hは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Hが大きく変化する領域である変化領域Ar-VH2及び変化領域Ar-VH3を有する。このため、第7実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Hに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Hの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Hに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0232】
<<8.第8実施形態>>
以下、
図36乃至
図38を参照しつつ、第8実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0233】
<<8.1.第8実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第8実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Iを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0234】
図36は、インク収容装置1Iに設けられた電極棒DI1及び電極棒DI2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Iは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DI1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DI2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0235】
図36に示すように、電極棒DI1は、導電性の電極構成部分ZI11と、導電性の電極構成部分ZI12と、導電性の接続部分ZI1tと、を有する。なお、以下では、電極棒DI1のうち、接続部分ZI1tを除く部分を、電極構成部分ZI1と称する場合がある。
【0236】
電極構成部分ZI11は、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNI11の外周GI11を有する。なお、本実施形態では、電極構成部分ZI11が四角形の断面形状を有する場合を想定するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、電極構成部分ZI11は、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。
電極構成部分ZI12は、θ方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNI12の外周GI12を有する。ここで、θ方向は、Z1方向とX1方向との間の方向である。なお、本実施形態では、長さNI12と長さNI11とが略同じ長さである場合を想定するが、長さNI12は長さNI11よりも短くてもよい。また、電極構成部分ZI12は、電極構成部分ZI11から見てZ1方向に位置し、電極構成部分ZI11に接続する。
接続部分ZI1tは、電極構成部分ZI11から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZI11及び配線LKを電気的に接続する。なお、第8実施形態において、接続部分ZI1tは、第7実施形態に係る接続部分ZH1tと同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNI1tの外周GI1tを有する。
【0237】
電極棒DI2は、第5実施形態に係る電極棒DF2と同様の形状を有し、導電性の電極構成部分ZI2と、導電性の接続部分ZI2tと、を有する。
【0238】
電極構成部分ZI2は、第5実施形態に係る電極構成部分ZF2と同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNI2の外周GI2を有する。
接続部分ZI2tは、第5実施形態に係る接続部分ZF2tと同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNI2tの外周GI2tを有する。接続部分ZI2tは、電極構成部分ZI2及び配線LGを電気的に接続する。
【0239】
また、第8実施形態では、電極構成部分ZI1のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZI2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DI1及び電極棒DI2が設けられている場合を想定する。
また、第8実施形態では、電極構成部分ZI11のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DI1が設けられている場合を想定する。
また、第8実施形態では、電極構成部分ZI1のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZI2のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離H1となるように、電極棒DI1及び電極棒DI2が設けられている場合を想定する。
【0240】
また、第8実施形態では、電極棒DI1が、電極棒DI2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、電極構成部分ZI11と電極構成部分ZI2の間のX1方向における距離を、距離XI1と称し、電極構成部分ZI12のZ1方向の端部と電極構成部分ZI2の間のX1方向における距離を、距離XI2と称する。第8実施形態において、距離XI2は距離XI1よりも長い。また、第8実施形態では、距離XI2が、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0241】
図37は、インク液面距離SZと第8実施形態に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第8実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと第8実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRIの一例を示している。ここで、第8実施形態に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DI1及び電極棒DI2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DI1及び電極棒DI2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、第8実施形態に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTIと称する場合がある。
なお、
図37においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRIと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0242】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、電極構成部分ZI1がインクIKに接触し、電極構成部分ZI2がインクIKに接触する。このため、
図37の抵抗値変化曲線CRIが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTIは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTIは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRIが示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTIは小さくなる。
【0243】
また、第8実施形態では、上述のとおり、電極構成部分ZI12はθ方向に延在し、距離XI1は距離XI2よりも短い。よって、インク液面距離SZが距離HE以上であって距離H2以下である場合、抵抗値変化曲線CRWの示すインク抵抗RTWの抵抗値と比較して、インク液面距離SZが長くなるに従って、抵抗値変化曲線CRIの示すインク抵抗RTIの抵抗値は急激に小さくなる。
【0244】
図38は、インク液面距離SZと第8実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図38では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第8実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVIの一例を示している。ここで、第8実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Iが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第8実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Iと称する場合がある。
なお、
図38においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVIと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0245】
図38の電位変化曲線CVIに示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Iの電位は低くなる。また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRIは、抵抗値変化曲線CRWと比較して、インク液面距離SZの増加に伴うインク抵抗RTIの減少量が大きい。よって、電位変化曲線CVIも、電位変化曲線CVWと比較して、インク液面距離SZの増加に伴う検出信号Vout-Iの減少量が大きくなる形状を有する。
【0246】
なお、第8実施形態では、
図38に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Iの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第8実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Vout-Iの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0247】
<<8.2.第8実施形態の結び>>
以上のように、第8実施形態において、インク収容装置1Iが出力する検出信号Vout-Iは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Wと比較して大きく変化する。このため、第8実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Iに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Iの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Iに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0248】
<<9.第9実施形態>>
以下、
図39乃至
図41を参照しつつ、第9実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0249】
<<9.1.第9実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第9実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Jを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0250】
図39は、インク収容装置1Jに設けられた電極棒DJ1及び電極棒DJ2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Jは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DJ1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DJ2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0251】
図39に示すように、電極棒DJ1は、導電性の電極構成部分ZJ1と、導電性の接続部分ZJ1tと、を有する。
【0252】
電極構成部分ZJ1は、θ方向に延在し、略均一な太さを有する四角柱形状の電極であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNJ1の外周GJ1を有する。なお、本実施形態では、電極構成部分ZJ1が四角形の断面形状を有する場合を想定するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、電極構成部分ZJ1は、四角形以外の多角形の断面形状を有していてもよい。
接続部分ZJ1tは、電極構成部分ZJ1から見てZ2方向に位置し、電極構成部分ZJ1及び配線LKを電気的に接続する。第9実施形態において、接続部分ZJ1tは、第8実施形態に係る接続部分ZI1tと同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNJ1tの外周GJ1tを有する。
【0253】
電極棒DJ2は、第5実施形態に係る電極棒DF2と同様の形状を有し、導電性の電極構成部分ZJ2と、導電性の接続部分ZJ2tと、を有する。
【0254】
電極構成部分ZJ2は、第5実施形態に係る電極構成部分ZF2と同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNJ2の外周GJ2を有する。
接続部分ZJ2tは、第5実施形態に係る接続部分ZF2tと同様の形状を有し、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNJ2tの外周GJ2tを有する。接続部分ZJ2tは、電極構成部分ZJ2及び配線LGを電気的に接続する。
【0255】
また、第9実施形態では、電極構成部分ZJ1のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZJ2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DJ1及び電極棒DJ2が設けられている場合を想定する。
また、第9実施形態では、電極構成部分ZJ1のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、電極構成部分ZJ2のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離H1となるように、電極棒DJ1及び電極棒DJ2が設けられている場合を想定する。
【0256】
また、第9実施形態では、電極棒DJ1が、電極棒DJ2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、電極構成部分ZJ1のZ2方向の端部と電極構成部分ZJ2のZ2方向の端部との間のX1方向における距離を、距離XJ1と称し、電極構成部分ZJ1のZ1方向の端部と電極構成部分ZJ2のZ1方向の端部との間のX1方向における距離を、距離XJ2と称する。第9実施形態において、距離XJ2は距離XJ1よりも長い。また、第9実施形態では、距離XJ2が、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0257】
図40は、インク液面距離SZと第9実施形態に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第9実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと第9実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRJの一例を示している。ここで、第9実施形態に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DJ1及び電極棒DJ2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DJ1及び電極棒DJ2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、第9実施形態に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTJと称する場合がある。
なお、
図40においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRJと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0258】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、電極構成部分ZJ1がインクIKに接触し、電極構成部分ZJ2がインクIKに接触する。このため、
図40の抵抗値変化曲線CRJが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTJは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTJは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRJが示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTJは小さくなる。
【0259】
また、第9実施形態では、上述のとおり、電極構成部分ZJ1はθ方向に延在し、距離XJ1は距離XJ2よりも短い。よって、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、抵抗値変化曲線CRWの示すインク抵抗RTWの抵抗値と比較して、インク液面距離SZが長くなるに従って、抵抗値変化曲線CRJの示すインク抵抗RTJの抵抗値は急激に小さくなる。
【0260】
図41は、インク液面距離SZと第9実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図41では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第9実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVJの一例を示している。ここで、第9実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Jが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第9実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Jと称する場合がある。
なお、
図41においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVJと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0261】
図41の電位変化曲線CVJに示すように、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Jの電位は低くなる。また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRJは、抵抗値変化曲線CRWと比較して、インク液面距離SZの増加に伴うインク抵抗RTJの減少量が大きい。よって、電位変化曲線CVJも、電位変化曲線CVWと比較して、インク液面距離SZの増加に伴う検出信号Vout-Jの減少量が大きくなる形状を有する。
【0262】
なお、第9実施形態では、
図41に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Jの示す電位を、閾値電位VthEとしている。
【0263】
以上のように、第9実施形態において、インク収容装置1Jが出力する検出信号Vout-Jは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Wと比較して大きく変化する。このため、第9実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Jに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Jの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Jに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0264】
<<9.2.第9実施形態の結び>>
以上において説明したように、第9実施形態に係るインクジェットプリンターは、導電性のインクIKを収容するインクタンクTK[m]と、インクタンクTK[m]に収容された電極構成部分ZJ1を含む電極棒DJ1と、インクタンクTK[m]に収容された電極構成部分ZJ2を含む電極棒DJ2と、電極棒DJ1及び電極棒DJ2に電気的に接続され、電極棒DJ1及び電極棒DJ2の少なくとも一方からの電気信号に応じて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出するインク量検出回路2と、インクタンクTK[m]から供給されるインクIKを吐出する液体吐出ヘッドHU[m]と、を備え、電極構成部分ZJ1は、電極構成部分ZJ2との距離が距離XJ1である電極構成部分ZJ1のZ2方向における端部と、電極構成部分ZJ2との距離が距離XJ1よりも長い距離XJ2である電極構成部分ZJ1のZ1方向における端部と、を含み、電極構成部分ZJ1はθ方向に延在するように設けられ、電極構成部分ZJ2はZ1方向に延在するように設けられる、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、電極棒DJ1は「第1電極」の一例であり、電極棒DJ2は「第2電極」の一例であり、電極構成部分ZJ1のZ2方向における端部は「第1部分」の一例であり、電極構成部分ZJ1のZ1方向における端部は「第2部分」の一例であり、距離XJ1は「第1の距離」の一例であり、距離XJ2は「第2の距離」の一例であり、θ方向は「第1方向」の一例であり、Z1方向は「第2方向」の一例である。
【0265】
このように、本実施形態に係る電極棒DJ1が有する電極構成部分ZJ1は、Z1方向に向かうにつれて電極棒DJ2との距離が遠くなるようにθ方向に延在して設けられる。このため、本実施形態によれば、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DJ1及び電極棒DJ2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせることが可能となる。これにより、本実施形態によれば、参考例のように、棒状の電極棒DW1と棒状の電極棒DW2とが略平行に延在する態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0266】
<<10.第10実施形態>>
以下、
図42乃至
図46を参照しつつ、第10実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0267】
<<10.1.第10実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第10実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Lを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0268】
図42は、インク収容装置1Lに設けられた電極棒DL1及び電極棒DL2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Lは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DL1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DL2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0269】
図42に示すように、電極棒DL1は、導電性の導電部分ZL1Pと、絶縁性の絶縁部分ZL1Rと、導電性の接続部分ZL1tと、を有する。なお、以下では、電極棒DL1のうち、接続部分ZL1tを除く部分を、電極構成部分ZL1と称する場合がある。すなわち、本実施形態において、電極構成部分ZL1は、導電部分ZL1Pと絶縁部分ZL1Rとを含む。
【0270】
導電部分ZL1Pは、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の導電体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNL1Pの外周GL1Pを有する。なお、第10実施形態では、長さNL1Pが、参考例に係る長さNW1と略同じ長さである場合を想定する。
絶縁部分ZL1Rは、Z1方向における一部の範囲において、導電部分ZL1Pが有する外周GL1Pを覆うように設けられた円筒形状の絶縁体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNL1Pよりも長い長さNL1Rの外周GL1Rを有する。
接続部分ZL1tは、導電部分ZL1Pから見てZ2方向に位置し、導電部分ZL1P及び配線LKを電気的に接続する。
【0271】
電極棒DL2は、導電性の導電部分ZL2Pと、導電性の接続部分ZL2tと、を有する。なお、以下では、電極棒DL2のうち、接続部分ZL2tを除く部分を、電極構成部分ZL2と称する場合がある。すなわち、本実施形態において、導電部分ZL2Pが電極構成部分ZL2に相当する。
【0272】
導電部分ZL2Pは、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の導電体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNL2Pの外周GL2Pを有する。なお、第10実施形態では、長さNL2Pが、参考例に係る長さNW2と、略同じ長さである場合を想定する。
接続部分ZL2tは、導電部分ZL2Pから見てZ2方向に位置し、導電部分ZL2P及び配線LGを電気的に接続する。
【0273】
また、第10実施形態では、導電部分ZL1PのZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、導電部分ZL2PのZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DL1及び電極棒DL2が設けられている場合を想定する。
また、第10実施形態では、絶縁部分ZL1RのZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2uとなり、絶縁部分ZL1RのZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DL1が設けられている場合を想定する。ここで、距離H2uとは、距離HEよりも長く、且つ、距離H2よりも短い距離である。
【0274】
なお、第10実施形態では、電極棒DL1のうち、導電部分ZL1Pが露出した部分であって、絶縁部分ZL1RよりもZ2方向に位置する部分を、電極構成部分ZL11と称する。本実施形態において、電極構成部分ZL11は、電極棒DL1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2以上で、距離H1以下の部分である。
また、電極棒DL1のうち、導電部分ZL1Pが露出した部分であって、絶縁部分ZL1RよりもZ1方向に位置する部分を、電極構成部分ZL12と称する。本実施形態において、電極構成部分ZL12は、電極棒DL1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離HE以上で、距離H2u以下の部分である。
また、電極棒DL1のうち、電極構成部分ZL11及び電極構成部分ZL12の間に位置し、導電部分ZL1Pが絶縁部分ZL1Rに覆われた部分を、電極絶縁部分ZL1Sと称する。本実施形態において、電極絶縁部分ZL1Sは、電極棒DL1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2u以上で、距離H2以下の部分である。
【0275】
また、第10実施形態では、電極棒DL1が、電極棒DL2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における導電部分ZL1P及び導電部分ZL2Pの間の距離を、距離XLと称する。また、第10実施形態では、距離XLが、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0276】
図43及び
図44は、電極棒DL1及び電極棒DL2の間に形成されるインク抵抗RTの一例を説明するための説明図である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、電極棒DL1及び電極棒DL2の間に形成されるインク抵抗RTを、第10実施形態に係るインク抵抗RT、または、インク抵抗RTLと称する場合がある。
【0277】
図44に示すように、電極構成部分ZL11及び電極構成部分ZL2の間にインクIKが存在する場合、すなわち、インク液面距離SZが距離H2以上の場合、当該インクIKにより、電極構成部分ZL11及び電極構成部分ZL2が電気的に接続される。以下では、電極構成部分ZL11及び電極構成部分ZL2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗を、抵抗RRL1と称する。
図43及び
図44に示すように、電極構成部分ZL12及び電極構成部分ZL2の間にインクIKが存在する場合、すなわち、インク液面距離SZが距離HE以上の場合、当該インクIKにより、電極構成部分ZL12及び電極構成部分ZL2が電気的に接続される。以下では、電極構成部分ZL12及び電極構成部分ZL2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗を、抵抗RRL2と称する。
【0278】
なお、インク液面距離SZが距離HE以上で且つ距離H2未満である場合、抵抗RRL2が、上述したインク抵抗RTLとなる。
また、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、抵抗RRL1及び抵抗RRL2を並列接続したときの抵抗RRL1及び抵抗RRL2の合成抵抗が、上述したインク抵抗RTLとなる。
【0279】
図45は、インク液面距離SZとインク抵抗RTLとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸をインク抵抗RTLの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZとインク抵抗RTLの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRLの一例を示している。
なお、
図45においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRLと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0280】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、電極構成部分ZL12がインクIKに接触し、電極構成部分ZL2がインクIKに接触する。このため、
図45の抵抗値変化曲線CRLが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTLは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTLは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRLが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上で距離H2u以下の場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTLは小さくなる。
【0281】
また、上述のとおり、電極棒DL1は、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2以下の範囲に、導電部分ZL1Pを覆う絶縁部分ZL1Rを有する。よって、本実施形態では、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2未満の範囲において、電極棒DL1及び電極棒DL2の間に介在し、導電部分ZL1P及び導電部分ZL2Pを電気的に接続するインクIKの断面積の変化は限定的となる。このため、本実施形態では、抵抗値変化曲線CRLが示すように、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、インク抵抗RTLは略一定に保たれる。
そして、インク液面距離SZが距離H2以上となる場合に、電極構成部分ZL11がインクIKに接触する。電極構成部分ZL11がインクIKに接触する場合に、導電部分ZL1P及び導電部分ZL2Pを電気的に接続するインクIKの断面積は大きくなる。このため、抵抗値変化曲線CRLは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTLが急激に低下する変化領域Ar-RLを有する。また、インク液面距離SZが距離H2以上である場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTLは小さくなる。
【0282】
図46は、インク液面距離SZと第10実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図46では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第10実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVLの一例を示している。ここで、第10実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Lが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第10実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Lと称する場合がある。
なお、
図46においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVLと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0283】
図46の電位変化曲線CVLが示すように、インク液面距離SZが距離H2u以下である場合に、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Lの電位は低くなる。
また、電位変化曲線CVLが示すように、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、検出信号Vout-Lは略一定に保たれる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRLは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTLが大きく変化する変化領域Ar-RLを有する。よって、電位変化曲線CVLも、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、検出信号Vout-Lが大きく変化する変化領域Ar-VLを有する。
その後、電位変化曲線CVLが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上となる部分において、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Lの電位は低くなる。
【0284】
なお、第10実施形態では、
図46に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Lの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第10実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Vout-Lの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0285】
以上のように、第10実施形態において、インク収容装置1Lが出力する検出信号Vout-Lは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Lが大きく変化する領域である変化領域Ar-VLを有する。このため、第10実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Lに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Lの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Lに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0286】
<<10.2.第10実施形態の結び>>
以上において説明したように、第10実施形態に係るインクジェットプリンターは、導電性のインクIKを収容するインクタンクTK[m]と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DL1と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DL2と、電極棒DL1及び電極棒DL2に電気的に接続され、電極棒DL1及び電極棒DL2の少なくとも一方からの電気信号に応じて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出するインク量検出回路2と、インクタンクTK[m]から供給されるインクIKを吐出する液体吐出ヘッドHU[m]と、を備え、電極棒DL1は、導電性の部材から形成された導電部分ZL1Pが露出した電極構成部分ZL11と、導電部分ZL1Pが露出した電極構成部分ZL12と、電極構成部分ZL11及び電極構成部分ZL12の間に設けられ、絶縁性の部材から形成された絶縁部分ZL1Rにより導電部分ZL1Pが覆われた電極絶縁部分ZL1Sと、を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、電極棒DL1は「第1電極」の一例であり、電極棒DL2は「第2電極」の一例であり、電極構成部分ZL11は「第1部分」の一例であり、電極構成部分ZL12は「第2部分」の一例であり、電極絶縁部分ZL1Sは「第1絶縁部分」の一例であり、導電部分ZL1Pは「第1導電部」の一例であり、絶縁部分ZL1Rは「絶縁性部材」の一例である。
【0287】
このように、本実施形態に係るインク収容装置1Lは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DL1が、導電部分ZL1Pが露出した電極構成部分ZL11と、導電部分ZL1Pが露出した電極構成部分ZL12とに加えて、電極構成部分ZL11及び電極構成部分ZL12の間に、導電部分ZL1Pが絶縁部分ZL1Rに覆われた電極絶縁部分ZL1Sを備える。このため、本実施形態によれば、参考例のように、インクタンクTK[m]に導電性の電極棒DW1と導電性の電極棒DW2と収容される態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DL1及び電極棒DL2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせる部分を設けることが可能となる。これにより、本実施形態によれば、参考例のように、インクタンクTK[m]に導電性の電極棒DW1と導電性の電極棒DW2と収容される態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0288】
また、第10実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DL2及び電極構成部分ZL11がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極棒DL2及び電極構成部分ZL12がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量は、電極棒DL2及び電極構成部分ZL11がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続し、電極棒DL2及び電極構成部分ZL12がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量よりも少なく、電極棒DL2及び電極構成部分ZL11がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極棒DL2及び電極構成部分ZL12がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続していない場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量よりも多い、ことを特徴とする。
【0289】
このため、本実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を、少なくとも3段階のレベルで検出することができる。
【0290】
また、第10実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DL2及び電極構成部分ZL11がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続し、電極棒DL2及び電極構成部分ZL12がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量は、液体吐出ヘッドHU[m]からの所定時間以上の継続的なインクIKの吐出が可能となる、距離H2に対応するインク残量以上である、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、距離H2に対応するインク残量は「第1の液量」の一例である。
【0291】
このため、第10実施形態に係るインクジェットプリンターのユーザは、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量が、液体吐出ヘッドHU[m]からのインクIKの吐出を継続的に実行可能な、満ち足りたインクIKの量であることを把握できるので、インクタンクTK[m]に対して過剰な量のインクIKを補充することを抑制することができる。
【0292】
また、第10実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DL2及び電極構成部分ZL11がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極棒DL2及び電極構成部分ZL12がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続している場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量は、液体吐出ヘッドHU[m]からの所定時間以上の継続的なインクIKの吐出が可能となる、距離H2に対応するインク残量未満であり、液体吐出ヘッドHU[m]からのインクIKの吐出が可能となるインク残量のうち最少のインク残量である、距離HEに対応するインク残量以上である、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、距離HEに対応するインク残量は「第2の液量」の一例である。
【0293】
このため、第10実施形態に係るインクジェットプリンターのユーザは、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量が減少し、液体吐出ヘッドHU[m]からのインクIKの吐出が実行不能となる前に、インクIKの吐出が実行不能になる可能性があることを事前に把握できるので、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの枯渇を事前に抑制することができる。
【0294】
また、第10実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、電極棒DL2及び電極構成部分ZL11がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続せず、電極棒DL2及び電極構成部分ZL12がインクタンクTK[m]内のインクIKを介して電気的に接続していない場合に、インク量検出回路2が検出するインクIKの残量は、液体吐出ヘッドHU[m]からのインクIKの吐出が可能となるインク残量のうち最少のインク残量である、距離HEに対応するインク残量未満である、ことを特徴とする。
【0295】
このため、第10実施形態に係るインクジェットプリンターのユーザは、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量が減少し、液体吐出ヘッドHU[m]からのインクIKの吐出が実行不能となった場合に、インクIKの吐出が実行不能になっていることを把握できるので、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの速やかな補充が可能となる。
【0296】
また、第10実施形態に係るインクジェットプリンターにおいて、インクタンクTK[m]は、インクタンクTK[m]にインクIKを継ぎ足すための供給口12を備える、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、供給口12は「開口」の一例である。
【0297】
<<11.第11実施形態>>
以下、
図47乃至
図49を参照しつつ、第11実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0298】
<<11.1.第11実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第11実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Mを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0299】
図47は、インク収容装置1Mに設けられた電極棒DM1及び電極棒DM2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Mは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DM1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DM2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0300】
図47に示すように、電極棒DM1は、第10実施形態に係る電極棒DL1と同様の形状を有し、導電性の導電部分ZM1Pと、絶縁性の絶縁部分ZM1Rと、導電性の接続部分ZM1tと、を有する。なお、以下では、電極棒DM1のうち、接続部分ZM1tを除く部分を、電極構成部分ZM1と称する場合がある。すなわち、本実施形態において、電極構成部分ZM1は、導電部分ZM1Pと絶縁部分ZM1Rとを含む。
【0301】
導電部分ZM1Pは、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の導電体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNM1Pの外周GM1Pを有する。なお、第10実施形態では、長さNM1Pが、参考例に係る長さNW1と略同じ長さである場合を想定する。
絶縁部分ZM1Rは、Z1方向における一部の範囲において、導電部分ZM1Pが有する外周GM1Pを覆うように設けられた円筒形状の絶縁体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNM1Pよりも長い長さNM1Rの外周GM1Rを有する。
接続部分ZM1tは、導電部分ZM1Pから見てZ2方向に位置し、導電部分ZM1P及び配線LKを電気的に接続する。
【0302】
電極棒DM2は、導電性の導電部分ZM2Pと、絶縁性の絶縁部分ZM2Rと、導電性の接続部分ZM2tと、を有する。なお、以下では、電極棒DM2のうち、接続部分ZM2tを除く部分を、電極構成部分ZM2と称する場合がある。すなわち、本実施形態において、電極構成部分ZM2は、導電部分ZM2Pと絶縁部分ZM2Rとを含む。
【0303】
導電部分ZM2Pは、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の導電体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNM2Pの外周GM2Pを有する。なお、第11実施形態では、長さNM2Pが、参考例に係る長さNW2と略同じ長さである場合を想定する。
絶縁部分ZM2Rは、Z1方向における一部の範囲において、導電部分ZM2Pが有する外周GM2Pを覆うように設けられた円筒形状の絶縁体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNM2Pよりも長い長さNM2Rの外周GM2Rを有する。
接続部分ZM2tは、導電部分ZM2Pから見てZ2方向に位置し、導電部分ZM2P及び配線LGを電気的に接続する。
【0304】
また、第11実施形態では、導電部分ZM1PのZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、導電部分ZM2PのZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DM1及び電極棒DM2が設けられている場合を想定する。
また、第11実施形態では、絶縁部分ZM1RのZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2uとなり、絶縁部分ZM1RのZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となるように、電極棒DM1が設けられている場合を想定する。なお、本実施形態において、距離H2uとは、距離H3よりも長く、且つ、距離H2よりも短い距離である。
また、第11実施形態では、絶縁部分ZM2RのZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3uとなり、絶縁部分ZM2RのZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3となるように、電極棒DM2が設けられている場合を想定する。なお、本実施形態において、距離H3uとは、距離HEよりも長く、且つ、距離H3よりも短い距離である。
【0305】
なお、第11実施形態では、電極棒DM1のうち、導電部分ZM1Pが露出した部分であって、絶縁部分ZM1RよりもZ2方向に位置する部分を、電極構成部分ZM11と称する。つまり、電極構成部分ZM11は、電極棒DM1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2以上で、距離H1以下の部分である。
また、電極棒DM1のうち、導電部分ZM1Pが露出した部分であって、絶縁部分ZM1RよりもZ1方向に位置する部分を、電極構成部分ZM12と称する。本実施形態において、電極構成部分ZM12は、電極棒DM1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離HE以上で、距離H2u以下の部分である。
また、電極棒DM1のうち、電極構成部分ZM11及び電極構成部分ZM12の間に位置し、導電部分ZM1Pが絶縁部分ZM1Rに覆われた部分を、電極絶縁部分ZM1Sと称する。本実施形態において、電極絶縁部分ZM1Sは、電極棒DM1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2u以上で、距離H2以下の部分である。
【0306】
また、電極棒DM2のうち、導電部分ZM2Pが露出した部分であって、絶縁部分ZM2RよりもZ2方向に位置する部分を、電極構成部分ZM21と称する。つまり、電極構成部分ZM21は、電極棒DM2のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3以上で、距離H1以下の部分である。
また、電極棒DM2のうち、導電部分ZM2Pが露出した部分であって、絶縁部分ZM2RよりもZ1方向に位置する部分を、電極構成部分ZM22と称する。本実施形態において、電極構成部分ZM22は、電極棒DM2のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離HE以上で、距離H3u以下の部分である。
また、電極棒DM2のうち、電極構成部分ZM21及び電極構成部分ZM22の間に位置し、導電部分ZM2Pが絶縁部分ZM2Rに覆われた部分を、電極絶縁部分ZM2Sと称する。本実施形態において、電極絶縁部分ZM2Sは、電極棒DM2のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3u以上で、距離H3以下の部分である。
【0307】
また、第11実施形態では、電極棒DM1が、電極棒DM2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における導電部分ZM1P及び導電部分ZM2Pの間の距離を、距離XMと称する。また、第11実施形態では、距離XMが、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0308】
図48は、インク液面距離SZと第11実施形態に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第11実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと第11実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRMの一例を示している。ここで、第11実施形態に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DM1及び電極棒DM2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DM1及び電極棒DM2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、第11実施形態に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTMと称する場合がある。
なお、
図48においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRMと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0309】
上述のとおり、インク液面距離SZが距離HE以上となる場合に、導電部分ZM1PがインクIKに接触し、導電部分ZM2PがインクIKに接触する。このため、
図48の抵抗値変化曲線CRMが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTMは小さい抵抗値となる。
そして、インク抵抗RTMは、断面積が大きくなるに従い、抵抗値が小さくなる。よって、抵抗値変化曲線CRMが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上で距離H3u以下の場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTMは小さくなる。
【0310】
また、上述のとおり、電極棒DM2は、インク液面距離SZが距離H3u以上で距離H3以下の範囲に、導電部分ZM2Pを覆う絶縁部分ZM2Rを有する。よって、本実施形態では、インク液面距離SZが距離H3u以上で距離H3未満の範囲において、導電部分ZM1P及び導電部分ZM2Pを電気的に接続するインクIKの断面積の変化は限定的となる。このため、本実施形態では、抵抗値変化曲線CRMが示すように、インク液面距離SZが距離H3u以上で距離H3未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、インク抵抗RTMは略一定に保たれる。
そして、インク液面距離SZが距離H3以上となる場合に、電極構成部分ZM21がインクIKに接触する。このため、抵抗値変化曲線CRMは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTMが急激に低下する変化領域Ar-RM3を有する。そして、インク液面距離SZが距離H3以上で距離H2u以下の場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTMは小さくなる。
【0311】
また、上述のとおり、電極棒DM1は、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2以下の範囲に、導電部分ZM1Pを覆う絶縁部分ZM1Rを有する。よって、本実施形態では、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2未満の範囲において、導電部分ZM1P及び導電部分ZM2Pを電気的に接続するインクIKの断面積の変化は限定的となる。このため、本実施形態では、抵抗値変化曲線CRMが示すように、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、インク抵抗RTMは略一定に保たれる。
そして、インク液面距離SZが距離H2以上となる場合に、電極構成部分ZM11がインクIKに接触する。このため、抵抗値変化曲線CRMは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTMが急激に低下する変化領域Ar-RM2を有する。そして、インク液面距離SZが距離H2以上の場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTMは小さくなる。
【0312】
図49は、インク液面距離SZと第11実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図49では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第11実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVMの一例を示している。ここで、第11実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Mが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第11実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Mと称する場合がある。
なお、
図49においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVMと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0313】
図49の電位変化曲線CVMが示すように、インク液面距離SZが距離H3u以下である場合に、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Mの電位は低くなる。
また、電位変化曲線CVMが示すように、インク液面距離SZが距離H3u以上で距離H3未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、検出信号Vout-Mは略一定に保たれる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRMは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTMが大きく変化する変化領域Ar-RM3を有する。よって、電位変化曲線CVMも、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、検出信号Vout-Mが大きく変化する変化領域Ar-VM3を有する。
また、電位変化曲線CVMが示すように、インク液面距離SZが距離H3以上で距離H2u以下である場合に、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Mの電位は低くなる。
また、電位変化曲線CVMが示すように、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、検出信号Vout-Mは略一定に保たれる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRMは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTMが大きく変化する変化領域Ar-RM2を有する。よって、電位変化曲線CVMも、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、検出信号Vout-Mが大きく変化する変化領域Ar-VM2を有する。
また、電位変化曲線CVMが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合に、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Mの電位は低くなる。
【0314】
なお、第11実施形態では、
図49に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Mの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第11実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H3である場合において、検出信号Vout-Mの示す電位を、閾値電位Vth3としている。また、第11実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Vout-Mの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0315】
以上のように、第11実施形態において、インク収容装置1Mが出力する検出信号Vout-Mは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Mが大きく変化する領域である変化領域Ar-VM2及び変化領域Ar-VM3を有する。このため、第11実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Mに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Mの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Mに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0316】
<<11.2.第11実施形態の結び>>
以上において説明したように、第11実施形態に係るインクジェットプリンターは、導電性のインクIKを収容するインクタンクTK[m]と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DM1と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DM2と、電極棒DM1及び電極棒DM2に電気的に接続され、電極棒DM1及び電極棒DM2の少なくとも一方からの電気信号に応じて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出するインク量検出回路2と、インクタンクTK[m]から供給されるインクIKを吐出する液体吐出ヘッドHU[m]と、を備え、電極棒DM1は、導電性の部材から形成された導電部分ZM1Pが露出した電極構成部分ZM11と、導電部分ZM1Pが露出した電極構成部分ZM12と、電極構成部分ZM11及び電極構成部分ZM12の間に設けられ、絶縁性の部材から形成された絶縁部分ZM1Rにより導電部分ZM1Pが覆われた電極絶縁部分ZM1Sと、を含み、電極棒DM2は、導電性の部材から形成された導電部分ZM2Pが露出した電極構成部分ZM21と、導電部分ZM2Pが露出した電極構成部分ZM22と、電極構成部分ZM21及び電極構成部分ZM22の間に設けられ、絶縁性の部材から形成された絶縁部分ZM2Rにより導電部分ZM2Pが覆われた電極絶縁部分ZM2Sと、を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、電極棒DM1は「第1電極」の一例であり、電極棒DM2は「第2電極」の一例であり、電極構成部分ZM11は「第1部分」の一例であり、電極構成部分ZM12は「第2部分」の一例であり、電極絶縁部分ZM1Sは「第1絶縁部分」の一例であり、導電部分ZM1Pは「第1導電部」の一例であり、絶縁部分ZM1Rは「第1導電部を覆う絶縁性部材」の一例であり、電極構成部分ZM21は「第4部分」の一例であり、電極構成部分ZM22は「第5部分」の一例であり、電極絶縁部分ZM2Sは「第3絶縁部分」の一例であり、導電部分ZM2Pは「第2導電部」の一例であり、絶縁部分ZM2Rは「第2導電部を覆う絶縁性部材」の一例である。
【0317】
このように、本実施形態に係るインク収容装置1Mは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DM1が、電極構成部分ZM11及び電極構成部分ZM12の間に、導電部分ZM1Pが絶縁部分ZM1Rに覆われた電極絶縁部分ZM1Sを備える。また、本実施形態に係るインク収容装置1Mは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DM2が、電極構成部分ZM21及び電極構成部分ZM22の間に、導電部分ZM2Pが絶縁部分ZM2Rに覆われた電極絶縁部分ZM2Sを備える。このため、本実施形態によれば、参考例のように、インクタンクTK[m]に導電性の電極棒DW1と導電性の電極棒DW2と収容される態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DM1及び電極棒DM2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせる部分を設けることが可能となる。これにより、本実施形態によれば、参考例のように、インクタンクTK[m]に導電性の電極棒DW1と導電性の電極棒DW2と収容される態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0318】
<<12.第12実施形態>>
以下、
図50乃至
図52を参照しつつ、第12実施形態に係るインクジェットプリンターについて説明する。
【0319】
<<12.1.第12実施形態に係るインクジェットプリンター>>
第12実施形態に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Nを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。
【0320】
図50は、インク収容装置1Nに設けられた電極棒DN1及び電極棒DN2の構成の一例を説明するための構成図である。なお、インク収容装置1Nは、インクタンクTK[m]において、電極棒DA1の代わりに電極棒DN1が収容されている点と、電極棒DA2の代わりに電極棒DN2が収容されている点と、を除き、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
【0321】
図50に示すように、電極棒DN1は、導電性の導電部分ZN1Pと、絶縁性の絶縁部分ZN1R1と、絶縁性の絶縁部分ZN1R2と、導電性の接続部分ZN1tと、を有する。なお、以下では、電極棒DM1のうち、接続部分ZN1tを除く部分を、電極構成部分ZN1と称する場合がある。すなわち、本実施形態において、電極構成部分ZN1は、導電部分ZN1Pと絶縁部分ZN1R1と絶縁部分ZN1R2とを含む。
【0322】
導電部分ZN1Pは、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の導電体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNN1Pの外周GN1Pを有する。なお、第12実施形態では、長さNN1Pが、参考例に係る長さNW1と略同じ長さである場合を想定する。
絶縁部分ZN1R1は、Z1方向における一部の範囲において、導電部分ZN1Pが有する外周GN1Pを覆うように設けられた円筒形状の絶縁体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNN1Pよりも長い長さNN1Rの外周GN1R1を有する。
絶縁部分ZN1R2は、Z1方向における一部の範囲において、導電部分ZN1Pが有する外周GN1Pを覆うように設けられた円筒形状の絶縁体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNN1Rの外周GN1R2を有する。
接続部分ZN1tは、導電部分ZN1Pから見てZ2方向に位置し、導電部分ZN1P及び配線LKを電気的に接続する。
【0323】
電極棒DN2は、導電性の導電部分ZN2Pと、導電性の接続部分ZN2tと、を有する。なお、以下では、電極棒DN2のうち、接続部分ZN2tを除く部分を、電極構成部分ZN2と称する場合がある。すなわち、本実施形態において、導電部分ZN2Pが電極構成部分ZN2に相当する。
【0324】
導電部分ZN2Pは、Z1方向に延在し、略均一な太さを有する円柱形状の導電体であり、Z1方向を法線方向とする平面で切断した場合に、長さNN2Pの外周GN2Pを有する。なお、第12実施形態では、長さNN2Pが、参考例に係る長さNW2と、略同じ長さである場合を想定する。
接続部分ZN2tは、導電部分ZN2Pから見てZ2方向に位置し、導電部分ZN2P及び配線LGを電気的に接続する。
【0325】
また、第12実施形態では、導電部分ZN1PのZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離と、導電部分ZN2PのZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離とが、距離HEとなるように、電極棒DN1及び電極棒DN2が設けられている場合を想定する。
また、第12実施形態では、絶縁部分ZN1R1のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2となり、絶縁部分ZN1R1のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2uとなり、絶縁部分ZN1R2のZ2方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3となり、絶縁部分ZN1R2のZ1方向の端部からインクタンクTK[m]の底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3uとなるように、電極棒DN1が設けられている場合を想定する。
【0326】
なお、第12実施形態では、電極棒DN1のうち、導電部分ZN1Pが露出した部分であって、絶縁部分ZN1R1よりもZ2方向に位置する部分を、電極構成部分ZN11と称する。つまり、電極構成部分ZN11は、電極棒DN1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2以上で、距離H1以下の部分である。
また、電極棒DN1のうち、導電部分ZN1Pが露出した部分であって、Z1方向において、絶縁部分ZN1R1と絶縁部分ZN1R2との間に位置する部分を、電極構成部分ZN12と称する。本実施形態において、電極構成部分ZN12は、電極棒DN1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3以上で、距離H2u以下の部分である。
また、電極棒DN1のうち、導電部分ZN1Pが露出した部分であって、絶縁部分ZN1R2よりもZ1方向に位置する部分を、電極構成部分ZN13と称する。本実施形態において、電極構成部分ZN13は、電極棒DN1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離HE以上で、距離H3u以下の部分である。
また、電極棒DN1のうち、電極構成部分ZN11及び電極構成部分ZN12の間に位置し、導電部分ZN1Pが絶縁部分ZN1R1に覆われた部分を、電極絶縁部分ZN1S1と称する。本実施形態において、電極絶縁部分ZN1S1は、電極棒DN1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H2u以上で、距離H2以下の部分である。
また、電極棒DN1のうち、電極構成部分ZN12及び電極構成部分ZN13の間に位置し、導電部分ZN1Pが絶縁部分ZN1R2に覆われた部分を、電極絶縁部分ZN1S2と称する。本実施形態において、電極絶縁部分ZN1S2は、電極棒DN1のうち、底面TKBまでのZ軸方向における距離が、距離H3u以上で、距離H3以下の部分である。
【0327】
また、第12実施形態では、電極棒DN1が、電極棒DN2から見てX1方向に位置する場合を想定する。以下では、X1方向における導電部分ZN1P及び導電部分ZN2Pの間の距離を、距離XNと称する。また、第12実施形態では、距離XNが、参考例に係る距離XWと略同じ長さである場合を想定する。
【0328】
図51は、インク液面距離SZと第12実施形態に係るインク抵抗RTとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第12実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値とした場合において、インク液面距離SZと第12実施形態に係るインク抵抗RTの抵抗値との関係を示す、抵抗値変化曲線CRNの一例を示している。ここで、第12実施形態に係るインク抵抗RTとは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DN1及び電極棒DN2が、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKを介して電気的に接続される場合、電極棒DN1及び電極棒DN2を電気的に接続するインクIKの有する抵抗である。以下では、第1実施形態に係るインク抵抗RTと区別するために、第12実施形態に係るインク抵抗RTを、インク抵抗RTNと称する場合がある。
なお、
図51においては、説明の便宜上、抵抗値変化曲線CRNと共に、破線により抵抗値変化曲線CRWを示している。
【0329】
図51の抵抗値変化曲線CRNが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上である場合、インク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、インク抵抗RTNは小さい抵抗値となる。
そして、抵抗値変化曲線CRNが示すように、インク液面距離SZが距離HE以上で距離H3u以下の場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTNは小さくなる。
【0330】
また、上述のとおり、電極棒DN1は、インク液面距離SZが距離H3u以上で距離H3以下の範囲に、導電部分ZN1Pを覆う絶縁部分ZN1R2を有する。よって、本実施形態では、インク液面距離SZが距離H3u以上で距離H3未満の範囲において、導電部分ZN1P及び導電部分ZN2Pを電気的に接続するインクIKの断面積の変化は限定的となる。このため、本実施形態では、抵抗値変化曲線CRNが示すように、インク液面距離SZが距離H3u以上で距離H3未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、インク抵抗RTNは略一定に保たれる。
そして、インク液面距離SZが距離H3以上となる場合に、電極構成部分ZN12がインクIKに接触する。このため、抵抗値変化曲線CRNは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTNが急激に低下する変化領域Ar-RN3を有する。そして、インク液面距離SZが距離H3以上で距離H2u以下の場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTNは小さくなる。
【0331】
また、上述のとおり、電極棒DN1は、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2以下の範囲に、導電部分ZN1Pを覆う絶縁部分ZN1R1を有する。よって、本実施形態では、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2未満の範囲において、導電部分ZN1P及び導電部分ZN2Pを電気的に接続するインクIKの断面積の変化は限定的となる。このため、本実施形態では、抵抗値変化曲線CRNが示すように、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、インク抵抗RTNは略一定に保たれる。
そして、インク液面距離SZが距離H2以上となる場合に、電極構成部分ZN11がインクIKに接触する。このため、抵抗値変化曲線CRNは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTNが急激に低下する変化領域Ar-RN2を有する。そして、インク液面距離SZが距離H2以上の場合、インク液面距離SZが長くなるに従って、インク抵抗RTNは小さくなる。
【0332】
図52は、インク液面距離SZと第12実施形態に係る検出信号Voutとの関係の一例を説明するための説明図である。具体的には、
図52では、横軸をインク液面距離SZとし、縦軸を第12実施形態に係る検出信号Voutの電位との関係を示す、電位変化曲線CVNの一例を示している。ここで、第12実施形態に係る検出信号Voutとは、インク収容装置1Nが出力する検出信号Voutである。以下では、第1実施形態に係る検出信号Voutと区別するため、第12実施形態に係る検出信号Voutを、検出信号Vout-Nと称する場合がある。
なお、
図52においては、説明の便宜上、電位変化曲線CVNと共に、破線により電位変化曲線CVWを示している。
【0333】
図52の電位変化曲線CVNが示すように、インク液面距離SZが距離H3u以下である場合に、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Nの電位は低くなる。
また、電位変化曲線CVNが示すように、インク液面距離SZが距離H3u以上で距離H3未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、検出信号Vout-Nは略一定に保たれる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRNは、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、インク抵抗RTNが大きく変化する変化領域Ar-RN3を有する。よって、電位変化曲線CVNも、インク液面距離SZが距離H3となる部分において、検出信号Vout-Nが大きく変化する変化領域Ar-VN3を有する。
また、電位変化曲線CVNが示すように、インク液面距離SZが距離H3以上で距離H2u以下である場合に、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Nの電位は低くなる。
また、電位変化曲線CVNが示すように、インク液面距離SZが距離H2u以上で距離H2未満の場合、インク液面距離SZの長さの変動に関わらず、検出信号Vout-Nは略一定に保たれる。
また、上述のとおり、抵抗値変化曲線CRNは、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、インク抵抗RTNが大きく変化する変化領域Ar-RN2を有する。よって、電位変化曲線CVNも、インク液面距離SZが距離H2となる部分において、検出信号Vout-Nが大きく変化する変化領域Ar-VN2を有する。
また、電位変化曲線CVNが示すように、インク液面距離SZが距離H2以上である場合に、インク液面距離SZが長くなるに従って、検出信号Vout-Nの電位は低くなる。
【0334】
なお、第12実施形態では、
図52に示すように、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離HEである場合において、検出信号Vout-Nの示す電位を、閾値電位VthEとしている。また、第12実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H3である場合において、検出信号Vout-Nの示す電位を、閾値電位Vth3としている。また、第12実施形態では、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度が基準温度t1の場合であって、インクタンクTK[m]におけるインク液面距離SZが距離H2である場合において、検出信号Vout-Nの示す電位を、閾値電位Vth2としている。
【0335】
以上のように、第12実施形態において、インク収容装置1Nが出力する検出信号Vout-Nは、インク液面距離SZの変化量に対して検出信号Vout-Nが大きく変化する領域である変化領域Ar-VN2及び変化領域Ar-VN3を有する。このため、第12実施形態によれば、インクタンクTK[m]内のインクIKの温度変化や、または、検出信号Vout-Nに対するノイズ重畳等に起因して、検出信号Vout-Nの電位に変動が生じる場合であっても、参考例と比較して、検出信号Vout-Nに基づいて、インクタンクTK[m]内のインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0336】
<<12.2.第12実施形態の結び>>
以上において説明したように、第12実施形態に係るインクジェットプリンターは、導電性のインクIKを収容するインクタンクTK[m]と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DN1と、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DN2と、電極棒DN1及び電極棒DN2に電気的に接続され、電極棒DN1及び電極棒DN2の少なくとも一方からの電気信号に応じて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出するインク量検出回路2と、インクタンクTK[m]から供給されるインクIKを吐出する液体吐出ヘッドHU[m]と、を備え、電極棒DN1は、導電性の部材から形成された導電部分ZN1Pが露出した電極構成部分ZN11と、導電部分ZN1Pが露出した電極構成部分ZN12と、電極構成部分ZN11及び電極構成部分ZN12の間に設けられ、絶縁性の部材から形成された絶縁部分ZN1R1により導電部分ZN1Pが覆われた電極絶縁部分ZN1S1と、導電部分ZN1Pが露出した電極構成部分ZN13と、電極構成部分ZN12及び電極構成部分ZN13の間に設けられ、絶縁性の部材から形成された絶縁部分ZN1R2により導電部分ZN1Pが覆われた電極絶縁部分ZN1S2と、を含む、ことを特徴とする。
なお、本実施形態において、電極棒DN1は「第1電極」の一例であり、電極棒DN2は「第2電極」の一例であり、電極構成部分ZN11は「第1部分」の一例であり、電極構成部分ZN12は「第2部分」の一例であり、電極構成部分ZN13は「第3部分」の一例であり、電極絶縁部分ZN1S1は「第1絶縁部分」の一例であり、電極絶縁部分ZN1S2は「第2絶縁部分」の一例であり、導電部分ZN1Pは「第1導電部」の一例であり、絶縁部分ZN1R1は「第1部分及び第2部分の間で第1導電部を覆う絶縁性部材」の一例であり、絶縁部分ZN1R2は「第2部分及び第3部分の間で第1導電部を覆う絶縁性部材」の一例である。
【0337】
このように、本実施形態に係るインク収容装置1Nは、インクタンクTK[m]に収容された電極棒DN1が、電極構成部分ZN11及び電極構成部分ZN12の間に、導電部分ZN1Pが絶縁部分ZN1R1に覆われた電極絶縁部分ZN1S1を備え、電極構成部分ZN12及び電極構成部分ZN13の間に、導電部分ZN1Pが絶縁部分ZN1R2に覆われた電極絶縁部分ZN1S2を備える。このため、本実施形態によれば、参考例のように、インクタンクTK[m]に導電性の電極棒DW1と導電性の電極棒DW2と収容される態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKの量の変化に応じて、電極棒DN1及び電極棒DN2からの電気信号の信号レベルに大きい変化を生じさせる部分を設けることが可能となる。これにより、本実施形態によれば、参考例のように、インクタンクTK[m]に導電性の電極棒DW1と導電性の電極棒DW2と収容される態様と比較して、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を正確に検出することが可能となる。
【0338】
<<13.変形例>>
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0339】
<<13.1.変形例1>>
上述した第1実施形態乃至第12実施形態では、インク収容装置1がインク量検出回路2を備える場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インク収容装置1は、インクタンクTK[m]に設けられた2本の電極棒からの電気信号に基づいて、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出することができるインク量検出回路を具備するものであればよい。
【0340】
図53は、変形例1に係るインクジェットプリンターが具備するインク収容装置1Qの構成の一例を示す回路図である。
なお、変形例1に係るインクジェットプリンターは、インク収容装置1の代わりに、インク収容装置1Qを備える点において、第1実施形態に係るインクジェットプリンター100と相違する。また、インク収容装置1Qは、インク量検出回路2の代わりに、インク量検出回路2Qを備える点において、第1実施形態に係るインク収容装置1と同様に構成されることとする。
なお、本変形例では、
図53に示すように、インク収容装置1Qが備えるインクタンクTK[m]に、電極棒DA1及び電極棒DA2が収容されている場合を例示して説明するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インク収容装置1Qが備えるインクタンクTK[m]には、上述した各実施形態の電極棒を収容することができる。
【0341】
図53に示すように、インク量検出回路2Qは、入力端子TnNと、検出端子TnKと、基準電位接続端子TnGと、出力端子TnSと、を備える。
【0342】
入力端子TnNには、入力信号Vinが入力される。検出端子TnKは、配線LKを介して電極棒DA1に電気的に接続される。基準電位接続端子TnGは、配線LGを介して電極棒DA2に電気的に接続される。出力端子TnSは、検出信号Voutを出力する。
【0343】
また、インク量検出回路2Qは、ノードNKと、ノードNQ1と、ノードNQ2と、ノードNQ3と、抵抗RKと、抵抗RQ1と、抵抗RQ2と、容量CQ1と、容量CQ2と、スイッチSWQと、を備える。
【0344】
ノードNKは、検出端子TnKに電気的に接続される。
ノードNQ1は、入力端子TnNに電気的に接続され、入力端子TnNを介して入力信号Vinが供給される。
抵抗RKは、一端がノードNKに電気的に接続され、他端がノードNQ1に電気的に接続される。
【0345】
容量CQ1は、容量CQ1が有する2つの電極のうち、一方の電極が基準電位接続端子TnGに電気的に接続され、他方の電極がグラウンド電位に設定された配線に電気的に接続される。
【0346】
スイッチSWQは、2つの入力端子と、1つの出力端子と、1つの制御端子と、を有する。スイッチSWQの有する2つの入力端子のうち、一方の入力端子は、ノードNKに電気的に接続され、他方の入力端子は、抵抗RQ1の一端に電気的に接続される。スイッチSWQの有する出力端子は、ノードNQ2に電気的に接続される。スイッチSWQの有する制御端子には、ノードNQ1を介して入力信号Vinが供給さっる。
【0347】
本変形例において、入力信号Vinは、ハイレベルとローレベルの何れかの信号レベルに設定される信号である。
そして、本変形例において、スイッチSWQは、スイッチSWQに供給される入力信号Vinがローレベルの場合、スイッチSWQの有する出力端子と、スイッチSWQの有する2つの入力端子のうち一方の入力端子とを電気的に接続する。つまり、本変形例において、スイッチSWQは、スイッチSWQに供給される入力信号Vinがローレベルの場合、ノードNKとノードNQ2とを電気的に接続する。
また、本変形例において、スイッチSWQは、スイッチSWQに供給される入力信号Vinがハイレベルの場合、スイッチSWQの有する出力端子と、スイッチSWQの有する2つの入力端子のうち他方の入力端子とを電気的に接続する。つまり、本変形例において、スイッチSWQは、スイッチSWQに供給される入力信号Vinがハイレベルの場合、抵抗RQ1の一端とノードNQ2とを電気的に接続する。
【0348】
抵抗RQ1は、スイッチSWQの有する2つの入力端子のうち他方の入力端子に対して、一端が電気的に接続され、グラウンド電位に設定された配線に対して、他端が電気的に接続される。
抵抗RQ2は、一端がノードNQ2に電気的に接続され、他端がノードNQ3に電気的に接続される。
容量CQ2は、容量CQ2が有する2つの電極のうち、一方の電極がノードNQ3に電気的に接続され、他方の電極がグラウンド電位に設定された配線に電気的に接続される。なお、抵抗RQ2及び容量CQ2は、ローパスフィルターとして機能する。
出力端子TnSは、ノードNQ3に電気的に接続され、ノードNQ3の電位を示す検出信号Voutを出力する。
【0349】
図54は、インク量検出回路2Qを流れる各種信号を説明するためのタイミングチャートである。
【0350】
図54に示すように、本実施形態では、インク量検出回路2Qの動作期間が、複数の単位期間TQに区分される場合を想定する。そして、本実施形態では、各単位期間TQが、制御期間TP1と制御期間TP2とに区分される場合を想定する。
【0351】
入力信号Vinは、単位期間TQのうち制御期間TP1においてハイレベルに設定され、単位期間TQのうち制御期間TP2においてローレベルに設定される。
【0352】
信号VQKは、ノードNKの電位を示す信号である。以下では、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKが、距離HEに対応するインク残量未満である場合、つまり、インクタンクTK[m]内のインクIKが枯渇し、インクタンクTK[m]においてインク液面距離SZが距離HE未満である場合の信号VQKを、信号VQK-Eと称する。また、インクタンクTK[m]に収容されたインクIKが、距離H1に対応するインク残量である場合、つまり、インクタンクTK[m]内のインクIKが潤沢であり、インクタンクTK[m]においてインク液面距離SZが距離H1である場合の信号VQKを、信号VQK-1と称する。
【0353】
インクタンクTK[m]内のインクIKが枯渇している場合、電極棒DA1及び電極棒DA2は電気的に接続されていない状態となる。このため、信号VQK-Eは、入力信号Vinに連動した形状の波形を示す。具体的には、信号VQK-Eは、入力信号Vinがローレベルからハイレベルに立ち上がるタイミングよりも、時間TQK-Eだけ遅れて、ローレベルからハイレベルに立ち上がり、入力信号Vinがハイレベルからローレベルに立ち下がるタイミングよりも、時間TQK-Eだけ遅れて、ハイレベルからローレベルに立ち下がる。ここで、時間TQK-Eは、制御期間TP1の時間長よりも短く、且つ、制御期間TP2の時間長よりも短い時間であり、配線LKや電極棒DA1等に寄生する容量を充電するための時間である。
【0354】
インクタンクTK[m]内のインクIKが潤沢な場合、電極棒DA1及び電極棒DA2は電気的に接続された状態となる。このため、信号VQK-1は、入力信号Vinをなまらせた形状の波形を示す。具体的には、信号VQK-1は、入力信号Vinがローレベルからハイレベルに立ち上がるタイミングよりも、時間TQK-1だけ遅れて、ローレベルからハイレベルに立ち上がり、入力信号Vinがハイレベルからローレベルに立ち下がるタイミングよりも、時間TQK-1だけ遅れて、ハイレベルからローレベルに立ち下がる。ここで、時間TQK-1は、時間TQK-Eよりも長い時間であり、配線LKや電極棒DA1等に寄生する容量に加えて、容量CQ1を充電するための時間である。
【0355】
信号VQ2は、ノードNQ2の電位を示す信号である。以下では、インクタンクTK[m]内のインクIKが枯渇し、インクタンクTK[m]においてインク液面距離SZが距離HE未満である場合の信号VQ2を、信号VQ2-Eと称する。また、インクタンクTK[m]内のインクIKが潤沢であり、インクタンクTK[m]においてインク液面距離SZが距離H1である場合の信号VQ2を、信号VQ2-1と称する。
【0356】
上述のとおり、入力信号Vinがハイレベルとなる制御期間TP1において、スイッチSWQは、ノードNQ2と抵抗RQ1の一端とを電気的に接続する。このため、制御期間TP1において、信号VQ2は、ローレベルに設定される。
【0357】
また、入力信号Vinがローレベルとなる制御期間TP2において、スイッチSWQは、ノードNQ2とノードNKとを電気的に接続する。このため、制御期間TP2において、信号VQ2-Eは、ハイレベルからローレベルまで立ち下がるのに、時間TQK-Eを要するような形状の波形を示す。また、制御期間TP2において、信号VQ2-1は、ハイレベルからローレベルまで立ち下がるのに、時間TQK-1を要するような形状の波形を示す。
【0358】
信号VQ3は、ノードNQ3の電位を示す信号である。以下では、インクタンクTK[m]内のインクIKが枯渇し、インクタンクTK[m]においてインク液面距離SZが距離HE未満である場合の、信号VQ3を、信号VQ3-Eと称する。また、インクタンクTK[m]内のインクIKが潤沢であり、インクタンクTK[m]においてインク液面距離SZが距離H1である場合の、信号VQ3を、信号VQ3-1と称する。
【0359】
上述のとおり、抵抗RQ2及び容量CQ2は、ローパスフィルタとして機能する。よって、信号VQ3は、信号VQ2から高周波成分を取り除いた波形の信号となる。そして、上述のとおり、時間TQK-1は時間TQK-Eよりも長い。よって、信号VQ3-1は、信号VQ3-Eよりも高電位となる。つまり、本変形例において、インク量検出回路2Qは、インクタンクTK[m]内のインクIKが潤沢であり、インクタンクTK[m]においてインク液面距離SZが距離H1である場合に、インクタンクTK[m]内のインクIKが枯渇し、インクタンクTK[m]においてインク液面距離SZが距離HE未満である場合と比較して、高電位の検出信号Voutを出力する。
【0360】
<<13.2.変形例2>>
上述した第1実施形態乃至第12実施形態、及び、変形例1では、インク収容装置1において、M個のインクタンクTK[1]~TK[M]と1対1に対応するM個のインク量検出回路が設けられる場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インク収容装置1には、M個よりも少ない個数のインク量検出回路2またはインク量検出回路2Qが設けられていてもよい。
【0361】
例えば、インク収容装置1には、1個のインク量検出回路2が設けられてもよい。この場合、インク量検出回路2は、例えば、インク量検出回路2の動作期間をM個の単位動作期間に区分し、m番目の単位動作期間において、インクタンクTK[m]に収容されるインクIKの残量を検出してもよい。具体的には、インク量検出回路2は、単位動作期間毎に、インク量検出回路2が接続するインクタンクTK[m]を切り替えるように構成されてもよい。
【0362】
<<13.3.変形例3>>
上述した第1実施形態では、インク量検出回路2において、配線LKを介して検出端子TnKが電極棒DA1に電気的に接続され、また、配線LGを介して基準電位接続端子TnGが電極棒DA2に電気的に接続される場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インク量検出回路2は、配線LKを介して検出端子TnKが電極棒DA2に電気的に接続され、また、配線LGを介して基準電位接続端子TnGが電極棒DA1に電気的に接続されてもよい。つまり、インク収容装置1において、電極棒DA1及び電極棒DA2の配置位置を逆転させてもよい。
【0363】
同様に、上述した第2実施形態乃至第12実施形態、並びに、変形例1及び2においても、配線LKに接続する電極棒と、配線LGに接続する電極棒の配置関係を逆転させてもよい。
【0364】
<<13.4.変形例4>>
上述した第1実施形態では、電極棒DA1が接続部分ZA1tを有し、接続部分ZA1tにより、配線LK及び電極構成部分ZA11が電気的に接続され、電極棒DA2が接続部分ZA2tを有し、接続部分ZA2tにより、配線LG及び電極構成部分ZA2が電気的に接続される態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
例えば、電極棒DA1は、接続部分ZA1tを有さずに構成され、電極棒DA2は、接続部分ZA2tを有さずに構成されてもよい。この場合、インク収容装置1は、配線LKが電極構成部分ZA11に接続し、配線LGが電極構成部分ZA2に接続する構成を有してもよい。
【0365】
また、上述した第2実施形態乃至第12実施形態、及び、変形例1乃至3についても、同様である。例えば、第12実施形態において、インク収容装置1Nは、電極棒DN1が接続部分ZN1tを有さずに、配線LKが電極構成部分ZN1に接続し、電極棒DN2が接続部分ZN2tを有さずに、配線LGが電極構成部分ZN2に接続する構成を有してもよい。
【0366】
<<13.5.変形例5>>
上述した第1実施形態乃至第12実施形態、及び、変形例1乃至4では、液体吐出ヘッドHU[m]を搭載した収納ケース921を、主走査方向MH1に往復動させるシリアル方式のインクジェットプリンターを例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンターは、媒体PPの全幅に亘りインクIKを吐出可能な液体吐出ヘッドHU[m]を具備する、ライン方式の液体吐出装置であってもよい。
【0367】
<<13.6.変形例6>>
上述した第1実施形態乃至第12実施形態、及び、変形例1乃至5でインクジェットプリンターを例示して説明した液体吐出装置は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置及びコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体吐出装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体吐出装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体吐出装置は、配線基板の配線及び電極を形成する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0368】
1…インク収容装置、2…インク量検出回路、8…制御装置、11…収納ケース、12…供給口、100…インクジェットプリンター、DA1…電極棒、DA2…電極棒、TK[m]…インクタンク、ZA11…電極構成部分、ZA12…電極構成部分、ZA2…電極構成部分。