(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121685
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】カルボニル化抑制剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240830BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20240830BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20240830BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20240830BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240830BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/35
A61K8/42
A61K8/55
A61Q5/00
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028913
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】595082283
【氏名又は名称】株式会社アリミノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西垣 祥子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB012
4C083AB082
4C083AB352
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC491
4C083AC492
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC772
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD392
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD642
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC06
4C083CC23
4C083CC32
4C083CC33
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4C083CC36
4C083CC38
4C083DD06
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD28
4C083DD31
4C083EE22
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、シコンエキスの新たな用途として、カルボニル化抑制剤を提供することである。
【解決手段】シコンエキスを含む、カルボニル化抑制剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シコンエキスを含む、カルボニル化抑制剤。
【請求項2】
毛髪におけるカルボニル化を抑制するための、請求項1に記載のカルボニル化抑制剤。
【請求項3】
皮膚におけるカルボニル化を抑制するための、請求項1に記載のカルボニル化抑制剤。
【請求項4】
前記シコンエキスとして、シコニン誘導体を0.000001質量%~0.005質量%含む、請求項1に記載のカルボニル化抑制剤。
【請求項5】
前記シコニン誘導体が、シコニン、アセチルシコニン、およびβ,β-ジメチルアクリルシコニンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項4に記載のカルボニル化抑制剤。
【請求項6】
セラミドを0.00001質量%~0.001質量%含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカルボニル化抑制剤。
【請求項7】
水添レシチンを0.0001質量%~0.1質量%含む、請求項1または2に記載のカルボニル化抑制剤。
【請求項8】
セラミドを0.00001質量%~0.001質量%と、水添レシチンを0.0001質量%~0.1質量%とを含む、請求項1または2に記載のカルボニル化抑制剤。
【請求項9】
化粧料または毛髪化粧料である、請求項1~3のいずれか一項に記載のカルボニル化抑制剤。
【請求項10】
洗い流さない毛髪化粧料である、請求項1または2に記載のカルボニル化抑制剤。
【請求項11】
毛髪の引張強度を相対的に増加させるための、請求項1または2に記載のカルボニル化抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボニル化抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、紫外線や熱等により損傷し、毛髪表面および内部のタンパク質がカルボニル化することが知られている。また、皮膚の角層タンパク質は、加齢に伴う老化等により、カルボニル化することが知られている。
【0003】
毛髪および皮膚においてタンパク質のカルボニル化が起こると、タンパク質本来の機能を失っていくことが報告されていることから、毛髪および皮膚におけるタンパク質のカルボニル化を抑制することが望まれている。
【0004】
ところで、従来から、シコン(紫根)は、漢方薬として利用されている。シコンから抽出されたシコンエキスは、鮮やかな赤紫~紫~青紫の色調を呈することから、染料や着色料としても利用されている。
【0005】
シコンに関する近年の技術のうち、毛髪への用途としては、例えば、染毛剤が挙げられる(特許文献1)。鉄と反応して発色する物質としてシコンエキスを第1剤に含有し、第2剤を組み合わせて毛髪を染毛する技術である。皮膚への用途としては、例えば、ニキビ改善用組成物が挙げられる(特許文献2)。シコン抽出物を有効成分として含有する、月経周期におけるプロゲステロン上昇期におけるニキビを改善する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開2011/108491号公報
【特許文献2】特開2018-184431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これまでシコンエキスがカルボニル化を抑制するという報告は無く、シコンエキスが、カルボニル化を抑制するか不明であった。特に、シコンエキスが、毛髪および皮膚でのカルボニル化に影響を与えるのか不明であった。
【0008】
このようなことから、本発明は、シコンエキスがカルボニル化に与える影響、特に毛髪のカルボニル化に与える影響、毛髪の引張強度に与える影響、および皮膚における角層タンパク質のカルボニル化に与える影響を検討し、シコンエキスの新たな用途として、カルボニル化抑制剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有するカルボニル化抑制剤は上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば、以下の[1]~[11]である。
【0010】
[1]シコンエキスを含む、カルボニル化抑制剤。
【0011】
[2]毛髪におけるカルボニル化を抑制するための、[1]に記載のカルボニル化抑制剤。
【0012】
[3]皮膚におけるカルボニル化を抑制するための、[1]または[2]に記載のカルボニル化抑制剤。
【0013】
[4]前記シコンエキスとして、シコニン誘導体を0.000001質量%~0.005質量%含む、[1]~[3]のいずれかに記載のカルボニル化抑制剤。
【0014】
[5]前記シコニン誘導体が、シコニン、アセチルシコニン、およびβ,β-ジメチルアクリルシコニンからなる群より選択される少なくとも一種である、[4]に記載のカルボニル化抑制剤。
【0015】
[6]セラミドを0.00001質量%~0.001質量%含む、[1]~[5]のいずれかに記載のカルボニル化抑制剤。
【0016】
[7]水添レシチンを0.0001質量%~0.1質量%含む、[1]~[6]のいずれかに記載のカルボニル化抑制剤。
【0017】
[8]セラミドを0.00001質量%~0.001質量%と、水添レシチンを0.0001質量%~0.1質量%とを含む、[1]~[7]のいずれかに記載のカルボニル化抑制剤。
【0018】
[9]化粧料または毛髪化粧料である、[1]~[8]のいずれかに記載のカルボニル化抑制剤。
【0019】
[10]洗い流さない毛髪化粧料である、[1]~[9]のいずれかに記載のカルボニル化抑制剤。
【0020】
[11]毛髪の引張強度を相対的に増加させるための、[1]~[10]のいずれかに記載のカルボニル化抑制剤。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シコンエキスを含むカルボニル化抑制剤を提供することができる。特に、本発明によれば、毛髪および皮膚におけるカルボニル化を抑制するための、カルボニル化抑制剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明のカルボニル化抑制剤について具体的に説明する。
本発明における各成分の量は、カルボニル化抑制剤を100質量%とした場合の、各成分の質量%を表しており、純分換算した値を示す。
【0023】
<カルボニル化抑制剤>
本発明のカルボニル化抑制剤は、有効成分としてシコンエキスを含み、毛髪におけるカルボニル化を抑制することが好ましく、皮膚におけるカルボニル化を抑制することも好ましい。
【0024】
本発明のカルボニル化抑制剤は、化粧料または毛髪化粧料であることが好ましく、洗い流さない毛髪化粧料であることがより好ましい。
本発明のカルボニル化抑制剤は、毛髪の引張強度を相対的に増加させることが好ましい。
本発明において、カルボニル化抑制剤とは、タンパク質のカルボニル化を抑制するために用いる剤のことを指す。
【0025】
<シコンエキス>
本発明のカルボニル化抑制剤は、カルボニル化抑制剤を100質量%とした場合、シコンエキスを好ましくは0.00001質量%~0.05質量%、より好ましくは0.0001質量%~0.05質量%、さらに好ましくは0.001質量%~0.05質量%、最も好ましくは0.01質量%~0.05質量%含む。
【0026】
シコンエキスが前記範囲内にあると、シコンエキス特有の匂いが気にならずにカルボニル化抑制効果を発揮でき、シコンエキス特有の色に毛髪や皮膚等が染色されにくいため、好ましい。
【0027】
シコンエキスが0.00001質量%より少ないと、カルボニル化抑制効果が得られにくい場合がある。シコンエキスが0.05質量%より多いと、カルボニル化抑制効果は認められるものの、シコンエキス特有の匂いが強すぎて、使用する際に不快感を与える場合がある。また、シコンエキスが0.05質量%より多いと、毛髪や皮膚等が染まってしまう場合がある。
【0028】
本発明において、シコンエキスとは、ムラサキ科(Boraginaaceae)の植物であるムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)、セイヨウムラサキ(Lithospermum Officinale)、新疆紫草(Arnebia euchroma)等の根から抽出して得られたエキスのことを指す。
ムラサキ、セイヨウムラサキ、新疆紫草等の根は、自生または生育されたもの、漢方薬原料等として加工されて市販されているものを用いることができる。
【0029】
シコンエキスの抽出方法は特に限定されないが、例えば、根を粉砕、切断等をした後、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピル、スクワラン等を抽出溶媒として、根を浸漬してエキスを抽出し、抽出溶媒を適宜除去することで、シコンエキスを得ることができる。
【0030】
シコンエキスの市販品としては、例えば、シコニックスリキッドBG(一丸ファルコス株式会社)、シコンエキス-S-BG(株式会社ヤマダ薬研社)、シコン抽出液S(香栄興業株式会社)が挙げられる。
【0031】
〔シコニン誘導体〕
シコニン誘導体とは、シコニンおよびアルカニンに由来する成分の総称である。
シコニン誘導体としては、例えば、シコニン、アセチルシコニン、β,β-ジメチルアクリルシコニン、アルカニン(シコニンの立体異性体)、デヒドロシコニン、デオキシシコニン、イソブチルシコニン、イソバレリルシコニン、α-メチル-n-ブチルシコニン、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン、テラクリルシコニンが挙げられ、β,β-ジメチルアクリルシコニンが好ましい。
【0032】
本発明のカルボニル化抑制剤は、シコンエキスとしてシコニン誘導体を含み、前記シコニン誘導体が、シコニン、アセチルシコニン、およびβ,β-ジメチルアクリルシコニンからなる群より選択される少なくとも一種であることが、カルボニル化抑制効果が高く、毛髪の引張強度を高める観点から好ましい。シコニン誘導体が、β,β-ジメチルアクリルシコニンであることが、カルボニル化抑制効果が高く、毛髪の引張強度を高める効果に特に優れる観点から、より好ましい。
【0033】
本発明のカルボニル化抑制剤は、カルボニル化抑制剤を100質量%とした場合、シコニン誘導体を好ましくは0.000001質量%~0.005質量%、より好ましくは0.00001質量%~0.005質量%含む。本発明のカルボニル化抑制剤は、カルボニル化抑制効果および毛髪の引張強度向上効果に優れ、匂いと色移りが少ない観点から、シコニン誘導体をさらに好ましくは0.0001質量%~0.005質量%、さらに好ましくは0.001質量%~0.005質量%含む。本発明のカルボニル化抑制剤は、カルボニル化抑制効果および毛髪の引張強度向上効果に特に優れる観点から、シコニン誘導体を最も好ましくは0.003質量%~0.005質量%含む。
【0034】
本発明のカルボニル化抑制剤は、カルボニル化抑制剤を100質量%とした場合、β,β-ジメチルアクリルシコニンを好ましくは0.000001質量%~0.005質量%、より好ましくは0.00001質量%~0.005質量%含む。本発明のカルボニル化抑制剤は、カルボニル化抑制効果および毛髪の引張強度向上効果に優れ、匂いと色移りが少ない観点から、β,β-ジメチルアクリルシコニンをさらに好ましくは0.0001質量%~0.005質量%、さらに好ましくは0.001質量%~0.005質量%含む。本発明のカルボニル化抑制剤は、カルボニル化抑制効果および毛髪の引張強度向上効果に特に優れる観点から、β,β-ジメチルアクリルシコニンを最も好ましくは0.003質量%~0.005質量%含む。
シコニン誘導体は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0035】
<セラミド>
本発明のカルボニル化抑制剤は、セラミドを好ましくは0.00001質量%~0.001質量%、より好ましくは0.0001質量%~0.001質量%、さらに好ましくは0.0005質量%~0.001質量%含む。
【0036】
セラミドが前記範囲内にあると、毛髪の引張強度の増加効果がさらに高まる傾向があるため好ましい。また、皮膚の角層水分量が増加する傾向があるため好ましい。
セラミドは、合成により得られるものでも、天然物からの抽出により得られるものでもよく、セラミドとしては、例えば、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド1A、セラミド6II、ヒドロキシカプロイルフィトスフィンゴシンが挙げられる。
【0037】
セラミドの市販品としては、例えば、Phytopresome Cere236(日本精化株式会社)、NIKKOLセラリピッドPI236、PS236(日光ケミカルズ株式会社)が挙げられる。
【0038】
セラミドは、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明者は、カルボニル化抑制剤がシコンエキスと共にセラミドを含むことで、毛髪および皮膚にシコンエキスが浸透しやすく、毛髪および皮膚での定着性が高まるため、毛髪および皮膚においてカルボニル化抑制効果に優れていると考えている。
【0039】
<水添レシチン>
本発明のカルボニル化抑制剤は、毛髪におけるカルボニル化を抑制する場合には、水添レシチンを好ましくは0.0001質量%~0.1質量%、より好ましくは0.001質量%~0.1質量%、さらに好ましくは0.01質量%~0.1質量%含む。
【0040】
水添レシチンが前記範囲内にあると、毛髪の引張強度の増加効果が高まる傾向があるため好ましい。
水添レシチンが前記範囲内にあると、毛髪の引張強度が高まる理由は不明であるが、本発明者は、水添レシチンがシコンエキスの水への溶解性を高め、毛髪内部に浸透しやすい状態を作ると考えている。そして、シコンエキスが毛髪内部に浸透および吸着しやすい状態になるため、毛髪の引張強度が高まると考えている。
【0041】
本発明のカルボニル化抑制剤において、水添レシチンの量は、好ましくはシコンエキス1質量部に対して、0.1~10質量部、より好ましくは1~10質量部である。水添レシチンの量が前記範囲内であると、シコンエキスの水への溶解性を充分に高められ、シコンエキスが毛髪内部に特に浸透しやすくなり、毛髪の引張強度が高まるため好ましい。
【0042】
本発明のカルボニル化抑制剤は、セラミドと、水添レシチンとを含むことがより好ましく、セラミドを0.00001質量%~0.001質量%と、水添レシチンを0.0001質量%~0.1質量%とを含むことがさらに好ましい。
【0043】
セラミドおよび水添レシチンが前記範囲内にあると、毛髪の引張強度の増加効果がさらに高まる傾向があり、毛髪ダメージの抑制や毛髪補修の観点から好ましい。
セラミドおよび水添レシチンが前記範囲内にあると、毛髪の引張強度がさらに高まる理由は不明であるが、本発明者は、水添レシチンがセラミドとシコンエキスの溶解性を高め、セラミドが毛髪内部に浸透しやすい状態を作ると考えている。そして、毛髪内部でセラミドが定着してダメージを受けた毛髪が整い、さらにシコンエキスが毛髪内部に浸透し、吸着しやすい状態になるため、毛髪の引張強度が特に高まると考えている。
水添レシチンの市販品としては、例えば、レシノールS-10(日光ケミカルズ株式会社)が挙げられる。
【0044】
<その他成分>
本発明のカルボニル化抑制剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に、化粧料および毛髪化粧料に一般的に配合される成分を含有することができる。その他成分としては、界面活性剤、保湿剤、生薬類、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質、香料、抗菌剤、色素、油性基剤、感触向上剤、高分子・増粘・ゲル化剤、還元剤、酸化剤、抗酸化剤、ビタミン類及びその誘導体類、植物・動物・微生物エキス類、紫外線吸収剤、pH調整剤(酸・アルカリ)、溶剤および噴射剤類、収れん剤、酵素類、核酸類、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、刺激緩和剤、冷感剤、温感剤、粉体類、着色剤、染料等が挙げられる。
【0045】
〔剤型〕
本発明のカルボニル化抑制剤の剤型は、特に限定されないが、例えば、泡状、液状、霧状、ゲル状、ペースト状、クリーム状、固形状が挙げられる。
本発明のカルボニル化抑制剤の外観は、例えば、透明または不透明な外観が挙げられる。
【0046】
〔製造〕
本発明のカルボニル化抑制剤は、上述した各成分を上述の量で使用する以外は、例えば公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解、分散等することによって製造することができ、製造方法は特に限定されない。製造方法としては各成分を均一に混合するために、加熱条件下で行ってもよい。加熱条件下で製造する場合の温度としては、例えば75~85℃が挙げられる。シコンエキスは、安定性の観点から45℃以下で投入することが好ましい。
【0047】
〔用途〕
本発明のカルボニル化抑制剤は、用途は特に限定されないが、化粧料または毛髪化粧料であることが好ましい。
【0048】
(毛髪への適用:カルボニル化抑制剤)
本発明のカルボニル化抑制剤は、シャンプー、リンス、コンディショナー等の洗い流す毛髪化粧料;頭皮・毛髪用のミスト、オイル、バーム、ヘアミルク、スタイリング料等の洗い流さない毛髪化粧料;染毛料、ヘアカラー剤、パーマ剤、ブリーチ剤等であることが好ましく、毛髪の引張強度を相対的に増加させる効果に優れることから、洗い流さない毛髪化粧料であることがより好ましく、頭皮・毛髪用のミスト、オイル、バーム、ヘアミルクであることがさらに好ましい。
【0049】
本発明のカルボニル化抑制剤は、毛髪化粧料である場合、通常の毛髪化粧料に使用される成分を広く配合することができる。また、その用途や剤型についても、特に限定されない。
本発明のカルボニル化抑制剤は、毛髪化粧料である場合、剤型は、例えば、ローション状(液状)、クリーム状、ミルク状、ジェル状、ミスト状、スプレー状、フォーム状が挙げられる。
【0050】
本発明のカルボニル化抑制剤の外観は、例えば、透明または不透明な外観が挙げられる。
本発明のカルボニル化抑制剤が洗い流さない毛髪化粧料である場合、洗い流さない毛髪化粧料100質量%中、シコンエキスを好ましくは0.00001質量%~0.05質量%、より好ましくは0.0001質量%~0.05質量%、さらに好ましくは0.001質量%~0.05質量%、最も好ましくは0.01質量%~0.05質量%含む。
【0051】
本発明のカルボニル化抑制剤が洗い流さない毛髪化粧料である場合、シコンエキスとして、シコニン誘導体を0.0001質量%~0.005質量%含むことがより好ましく、セラミドを0.00001質量%~0.001質量%含むことがさらに好ましく、水添レシチンを0.0001質量%~0.1質量%含むことが最も好ましい。
【0052】
洗い流さない毛髪化粧料が当該構成であることにより、毛髪の引張強度を相対的に増加させる効果に特に優れ、シコンエキス特有の色に毛髪が染色されにくく、シコンエキス特有の匂いが気にならないため、好ましい。
【0053】
(毛髪への適用:毛髪強度改善剤)
本発明のカルボニル化抑制剤は、毛髪の引張強度を改善する効果に特に優れることから、毛髪強度改善剤として使用することもできる。
【0054】
毛髪強度改善剤とは、毛髪の引張強度を改善することを目的とする剤のことを指す。
本発明の毛髪強度改善剤は、有効成分としてシコンエキスを含み、好ましくはセラミドおよび水添レシチンから選択される少なくとも一種をさらに含む。毛髪強度改善剤が前記構成であると、毛髪の引張強度改善効果に特に優れるため好ましい。
【0055】
毛髪強度改善剤が前記構成であると、毛髪の引張強度改善効果に特に優れる理由は不明であるが、水添レシチンがセラミドとシコンエキスの溶解性を高め、セラミドが毛髪内部に浸透しやすい状態を作ると考えている。そして、毛髪内部でセラミドが定着してダメージを受けた毛髪が整い、さらにシコンエキスが毛髪内部に浸透し、吸着しやすい状態になるため、毛髪の引張強度が特に高まると考えている。
【0056】
本発明の毛髪強度改善剤は、毛髪強度改善剤を100質量%とした場合、シコンエキスを0.00001質量%~0.05質量%含み、好ましくはセラミドを0.00001質量%~0.001質量%含み、より好ましくは水添レシチンを0.0001質量%~0.1質量%含む。
【0057】
シコンエキスが前記範囲内にあると、シコンエキス特有の匂いが気にならず、毛髪強度改善効果を有し、シコンエキス特有の色に毛髪や皮膚等が染色されてしまうことがないため好ましい。また、セラミドが前記範囲内にあると、溶解性が高まり、原料コストの観点から好ましい。さらに、水添レシチンが前記範囲内にあると、シコンエキスとセラミドの溶解性を高める効果が特に向上する観点から好ましい。
【0058】
本発明の毛髪強度改善剤は、毛髪化粧料であることが好ましい。
毛髪化粧料としては、シャンプー、リンス、コンディショナー等の洗い流す毛髪化粧料;頭皮・毛髪用のミスト、オイル、バーム、ヘアミルク、スタイリング料等の洗い流さない毛髪化粧料;染毛料、ヘアカラー剤、パーマ剤、ブリーチ剤等が挙げられる。これらの中でも、毛髪の引張強度を相対的に増加させる効果に特に優れることから、洗い流さない毛髪化粧料であることが好ましく、頭皮・毛髪用のミスト、オイル、バーム、ヘアミルクであることがより好ましい。
【0059】
本発明の毛髪強度改善剤が毛髪化粧料である場合、例えば、シコンエキス、セラミド、および水添レシチンを含む毛髪化粧料とすることが挙げられる。
本発明の毛髪強度改善剤は、タオルドライ後の濡れた毛髪や、乾いた毛髪等に塗布して使用することができる。
【0060】
(皮膚への適用)
本発明のカルボニル化抑制剤は、化粧水、乳液、ミスト、洗顔料、美容液、美容オイル、パック、ファンデーション、リップクリーム、石鹸等の化粧料であることが好ましく、皮膚への浸透性が高く、カルボニル抑制効果がより高まる観点から、化粧水、乳液、ミスト、および洗顔料であることがより好ましい。
【0061】
本発明のカルボニル化抑制剤は、化粧料である場合、通常の化粧料に使用される成分を広く配合することができる。また、皮膚に適用する場合には、顔、手肌、爪、頭皮等に使用でき、その用途や剤型についても、特に限定されない。
【0062】
本発明のカルボニル化抑制剤は、化粧料である場合、剤型は、ローション状(液状)、クリーム状、ミルク状、ジェル状、ミスト状、スプレー状、フォーム状等が挙げられる。
本発明のカルボニル化抑制剤の外観は、例えば、透明または不透明な外観が挙げられる。
【0063】
本発明のカルボニル化抑制剤が化粧料である場合、化粧料100質量%中、シコンエキスを0.00001質量%~0.005質量%含み、好ましくはさらにセラミドを0.00001質量%~0.001質量%含む。化粧料が当該構成であることにより、カルボニル化抑制効果に優れ、シコンエキス特有の色に皮膚が染色されにくく、シコンエキス特有の匂いが気にならない。また、化粧料が当該構成であることにより、角層水分量が高くなり、皮膚の潤い感に優れるため好ましい。
【実施例0064】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例では、表1に記載の市販品を使用した。
【0065】
【0066】
表2~表15に示す処方で各成分を混合して、カルボニル化抑制剤を製造し、試料とした。表2~表15の処方の数値は、カルボニル化抑制剤全量を100質量%とした場合の、各成分の質量%を表しており、純分換算した値を示す。
【0067】
〔試験例1〕
試料は、表2に示した実施例1~6に記載のシコンエキス濃度に調製した。得られた試料について、後述する皮膚における角層タンパク質のカルボニル化抑制作用試験、毛髪におけるカルボニル化の抑制作用試験、およびシコンエキスによる染色性試験を行った。
試験例1の結果を表2に示す。
【0068】
<皮膚における角層タンパク質のカルボニル化の抑制作用試験>
本発明のカルボニル化抑制剤について、皮膚における角層タンパク質のカルボニル化の抑制作用を試験した。
エタノールを用いて脱脂した上腕に粘着テープ(セロテープ(登録商標):ニチバン株式会社製)を貼り、テープストリッピング法により、角層を剥離し、回収した。
角層が付着した粘着テープをスライドガラスに押し付けて張り付けた。
【0069】
続いて、このスライドガラスをキシレン(富士フイルム和光純薬社製)に一晩浸漬して、粘着テープのみをスライドガラスから剥がした。角層が付着したスライドガラスを風乾させ、角層細胞を転写したスライドガラス(角層細胞転写スライドガラス)を得た。
【0070】
角層細胞転写スライドガラスを、実施例1~6に記載の濃度のシコンエキスおよび次亜塩素酸ナトリウム(NaClO:富士フイルム和光純薬社製)20μmol/Lを含む水溶液10mLに浸漬し、37℃で17時間処理して、カルボニル化評価の角層サンプルとした。
【0071】
なお、コントロールとして、NaClOを含み、シコンエキスは含まない水溶液を用いて上記角層サンプルと同様に処理した。また、カルボニル化処理なし(ブランク)として、NaClOを含まず、シコンエキスを含まない水を用いて、上記角層サンプルと同様に処理した。
【0072】
得られた角層サンプルについて、角層タンパク質のカルボニル化のレベルを以下の方法で評価した。
(角層タンパク質のカルボニル化の評価)
0.1mol/L MES(2-morpholinoethane sulfonic acid-Na)緩衝液(pH5.5)(同仁化学社製)1mLにてサンプルを3回洗浄し、次いで、20μmol/L 蛍光ヒドラジド(fluorescein-5-thiosemicarbazide(FTSC):KOM社製)を含有する0.1mol/L MES緩衝液(pH5.5)にサンプルを浸漬し、室温・遮光条件下で1時間反応させ、角層タンパク質のカルボニル基をラベル化した。
【0073】
ラベル化反応終了後、PBS緩衝液(富士フイルム和光純薬社製)で5回洗浄し、蛍光顕微鏡(LAICA DM4B:ライカ社製)にて画像撮影した。
得られた画像を、付属の画像解析ソフトを用いて解析し、角層面積あたりの蛍光輝度をカルボニル化レベルとした。カルボニル化レベルは、値が高いほどカルボニル化されたことを意味する。
【0074】
得られたカルボニル化レベルの値から、下記式により角層タンパク質のカルボニル化抑制率(%)を算出した。カルボニル化抑制率は、値が大きいほど角層タンパク質のカルボニル化を抑制していることを意味する。
【0075】
【数1】
式(I)中の各項はそれぞれ以下を表す。
A:NaClO処理・シコンエキス添加でのカルボニル化レベル
B:NaClO処理・シコンエキス無添加(コントロール)でのカルボニル化レベル
C:NaClO非処理・シコンエキス無添加(ブランク)でのカルボニル化レベル
【0076】
<毛髪におけるカルボニル化の抑制作用試験>
ビューラックス社製同一人毛(BS-PG)(長さ15cmの毛髪10本)を用い、実施例1~6に記載の濃度のシコンエキスおよび次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)500μmol/Lを含む水溶液10mLに浸漬し、37℃で17時間処理して、カルボニル化評価の毛髪サンプルとした。
【0077】
なお、コントロールとして、NaClOを含み、シコンエキスは含まない水溶液を用いて上記毛髪サンプルと同様に処理した。また、カルボニル化処理なし(ブランク)として、NaClOを含まず、シコンエキスを含まない水を用いて、毛髪サンプルと同様に処理した。
【0078】
得られた毛髪サンプルについて、上述の「角層タンパク質のカルボニル化の評価」と同様に毛髪タンパク質のカルボニル化抑制率(%)を算出した。毛髪タンパク質のカルボニル化抑制率は、値が大きいほど毛髪タンパク質のカルボニル化を抑制していることを意味する。
【0079】
<シコンエキスによる染色性試験>
上述の「皮膚における角層タンパク質のカルボニル化の抑制作用試験」に用いた水溶液と、同じ組成の水溶液(実施例1~6に記載の濃度のシコンエキスおよび次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)500μmol/Lを含む水溶液)10mLに、角層細胞転写スライドガラスおよび白髪毛束(BM-WA:ビューラックス社製)(長さ10cm、1g)を17時間浸漬した。浸漬後の角層細胞および白髪毛束について、シコンエキスで染色したかどうかを、浸漬前後の色を比較して評価した。
【0080】
角層細胞の染色性については、10名のパネラー(熟練した成人男女)が顕微鏡で観察した画像の色の変化を目視で評価し、下記評価基準に基づき平均点を算出した。
4点:全く色の変化なし
3点:ごくわずかに色の変化あり
2点:色の変化あり
1点:かなり色の変化あり
毛髪の染色性については、浸漬前後の毛束をそれぞれカラーメーター(CR-200:MINOLTA社製)で測定し、得られたLab値の差ΔE(デルタE)を求めた。
【0081】
角層細胞の染色性と毛髪の染色性とを以下の評価基準に基づき評価した。
◎:角層細胞の染色性評価では平均点が3.5以上、かつ、毛髪の染色性評価ではΔE値が0以上1.0未満
〇:角層細胞の染色性評価では平均点が3.0以上3.5未満、かつ、毛髪の染色性評価ではΔE値が1.0以上2.0未満
△:角層細胞の染色性評価では平均点が2.0以上3.0未満、かつ、毛髪の染色性評価ではΔE値が2.0以上3.0未満
×:角層細胞の染色性評価では平均点が2.0未満、かつ、毛髪の染色性評価ではΔE値3.0以上
【0082】
【0083】
上記評価おいて、染色性が「◎」または「○」の評価であると、カルボニル化抑制剤が化粧料および毛髪化粧料である場合、シコンエキス特有の色に毛髪や皮膚等が染色されずに、好適に用いることができる。
【0084】
〔試験例2〕
試料は、表3および表4に示す実施例7~22および比較例1に記載の処方で調製した。得られた試料について、後述する毛髪引張強度の評価試験、角層水分量試験、および匂い試験を行った。試験例2の結果を表3~表4に示す。
【0085】
<毛髪引張強度の評価試験>
毛髪引張強度試験は、毛髪を一定の荷重で引張った際に、伸長に対して加えられた負荷を、毛髪の断面積で割ることで、破断強度(引張強度Kg/mm2)を算出することができる試験である。引張強度Kg/mm2の値が高い程、毛髪の強度が高いことを意味し、毛髪が健やかでハリコシがあり、物理的なダメージに強いことを意味する。
(1)調製した試料に、長さ15センチのビューラックス社製同一人毛(BS-PG)の毛束1gを5分浸漬した。その後、
(2)浸漬した毛束を流水で1分間水洗後、ドライヤーで乾燥させた。
【0086】
上記(1)および(2)の工程を交互に30回繰り返し行い、毛束を処理した。
処理後の毛束から、任意に10本の毛髪を取り、毛髪の断面積を算出した。
毛髪の断面積は、カトーテック(株)製の毛髪計測システムSK-2000を用いて、毛髪を5mm間隔で10カ所、それぞれの短径と長径を測定し断面積を算出し、その平均値とした。
【0087】
各毛髪の破断強度について、引張り試験機(KES-G1-SH:カトーテック(株)製)を用いて測定し、断面積当たりの破断強度(引張強度Kg/mm2)を算出した。
毛髪10本の測定結果から、値の大きい2本と値の小さい2本を除外し、中間の6本の値の平均値を引張強度とした。
なお、上述の試験は、M. Feughelman et al / Textile Research Journal, 41, p. 469-474 (1971)に記載されている試験と同様に行った。
【0088】
<角層水分量試験>
10名のパネラー(成人女性)の上腕に試料1gを塗布し、30分後の塗布部位の角層の水分量を測定した。角層の水分量(%)は、角層水分量測定装置コルネオメーターCM825(Courage+Khazaka社)で測定した。測定は5~7回行い、安定した3回の測定値を角層水分量(%)とした。角層水分量(%)の値が高い程、保湿力が高く、角層の状態が良いことを意味する。
【0089】
<匂い試験>
試料を顔に塗布した際に、試料の匂いが気になるかについて、官能評価にて評価した。官能評価では、10名のパネラー(熟練した成人男女)が下記基準に従って点数評価し平均点を算出した。
4点:全く匂いが気にならない
3点:あまり匂いが気にならない
2点:匂いが気になる
1点:かなり匂いが気になる
【0090】
上記で算出した平均点について、下記基準に従って評価した。
◎:平均点が3.5以上
〇:平均点が3.0以上3.5未満
△:平均点が2.0以上3.0未満
×:平均点が2.0未満
【0091】
【0092】
【0093】
〔試験例3〕
本発明のカルボニル化抑制剤が化粧料である場合について、角層タンパク質のカルボニル化の抑制作用試験を行った。
【0094】
<配合例1~3におけるカルボニル化抑制効果の評価>
表5に記載の配合例1の化粧水、表6に記載の配合例2の乳液、表7に記載の配合例3の洗顔料について、各処方に従って、試料を調製した。
【0095】
各試料99.999985質量%と次亜塩素酸ナトリウム0.000015質量%とを混合し、各試料中に次亜塩素酸ナトリウム20μmol/Lとなるよう調整した。
調整したサンプル10mLを用いて、上述の「皮膚における角層タンパク質のカルボニル化の抑制作用試験」と同様の方法で、角層タンパク質のカルボニル化レベルを求めた。
【0096】
各配合例1~3のうち、シコンエキスが未配合である配合例1-3、2-3、および3-3のカルボニル化レベルを100%(コントロール)とし、シコンエキスが配合された試料のカルボニル化レベル(%)を算出した。
【0097】
算出したカルボニル化レベル(%)は、下記基準に従ってカルボニル化抑制効果を評価した。カルボニル化レベル(%)は、値が低いほど、カルボニル化抑制効果が高いことを意味する。結果を表5~表7に示す。
(基準)
A:50%未満
B:50%以上70%未満
C:70%以上90%未満
D:90%以上100%未満
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
〔試験例4〕
本発明のカルボニル化抑制剤が毛髪化粧料である場合について、毛髪におけるタンパク質のカルボニル化の抑制作用試験および毛髪引張強度の評価試験を行った。
【0102】
<配合例4~9におけるカルボニル化抑制効果の評価>
表8に記載の配合例4のシャンプー、表9に記載の配合例5のコンディショナー、表10に記載の配合例6の頭皮・毛髪用ミスト、表11に記載の配合例7の肌・毛髪用オイル、表12に記載の配合例8のヘアミルク、表13に記載の配合例9の肌・毛髪用バームについて、各処方に従って、試料を作成した。
【0103】
各試料99.999625質量%と次亜塩素酸ナトリウム0.000375質量%とを混合し、試料中に次亜塩素酸ナトリウム500μmol/Lを含むよう調整した。
調整したサンプル10mLを用いて、上述の「毛髪におけるタンパク質のカルボニル化の抑制作用試験」と同様にカルボニル化の抑制作用を評価した。
【0104】
各配合例4~9のうち、シコンエキスが未配合である配合例4-3、5-3、6-3、7-3、8-3、および9-3のカルボニル化レベルを100%(コントロール)とし、シコンエキスが配合されたサンプルのカルボニル化レベル(%)を算出した。
【0105】
算出したカルボニル化レベル(%)は、下記基準に従ってカルボニル化抑制効果を評価した。カルボニル化レベル(%)は、値が低いほど、カルボニル化抑制効果が高いことを意味する。結果を表8~表13に示す。
(基準)
A:50%未満
B:50%以上70%未満
C:70%以上90%未満
D:90%以上100%未満
【0106】
<配合例4~9における毛髪引張強度の評価>
表8~表13に記載の配合例4~9について、各処方に従って、試料を作成した。
各試料99.999625質量%と次亜塩素酸ナトリウム0.000375質量%とを混合し、試料中に次亜塩素酸ナトリウム500μmol/Lを含むよう調整した。
調整したサンプル10mLを用いて、上述の「毛髪引張強度の評価試験」と同様に引張強度を測定した。
【0107】
各配合例4~9のうち、シコンエキスが未配合である配合例4-4、5-4、6-4、7-3、8-3、および9-4の引張強度の値を100%(コントロール)とし、シコンエキスが配合されたサンプルの引張強度改善効果(%)を算出した。
【0108】
算出した引張強度改善効果(%)を、下記基準に従って評価した。引張強度改善(%)は、値が高いほど、引張強度改善効果が高いことを意味する。結果を表8~表13に示す。
【0109】
配合例4~9のうち、毛髪にカルボニル化抑制剤が多く残ると考えられる配合例5のコンディショナーは、毛髪の引張強度改善効果に優れていた。また、洗い流さない毛髪化粧料である配合例6の頭皮・毛髪用ミスト、配合例7の肌・毛髪用オイル、配合例8のヘアミルク、および配合例9の肌・毛髪用バームは、毛髪にカルボニル化抑制剤が多く残ると考えられ、毛髪の引張強度改善効果に特に優れていた。
(基準)
A:125%以上
B:115%以上125%未満
C:105%以上115%未満
D:101%以上105%未満
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
<配合例10におけるカルボニル化抑制効果の評価>
表14に記載の配合例10の酸化染毛剤1剤および第2剤について、各処方に従って、試料を作成した。作成した試料の1剤と2剤とを1:1で混合し、長さ15センチのビューラックス社製同一人毛(BS-PG)毛束1gに混合した試料を1g塗布し、25℃で30分放置した後、水洗し乾燥させた。
【0117】
乾燥させた毛束を用いて、上述の「毛髪におけるカルボニル化の抑制作用試験」と同様にカルボニル化の抑制作用を評価した。
シコンエキスが未配合である配合例10-2のカルボニル化レベルを100%(コントロール)とし、シコンエキスが配合された試料のカルボニル化レベル(%)を算出した。
【0118】
算出したカルボニル化レベル(%)は、下記基準に従ってカルボニル化抑制効果を評価した。カルボニル化レベル(%)は、値が低いほど、カルボニル化抑制効果が高いことを意味する。結果を表14に示す。
(基準)
A:50%未満
B:50%以上70%未満
C:70%以上90%未満
D:90%以上100%未満
【0119】
【0120】
<配合例11におけるカルボニル化抑制効果の評価>
表15に記載の配合例11のパーマ剤1剤および2剤について、各処方に従って、試料を作成した。長さ15センチのビューラックス社製同一人毛(BS-PG)毛束1gを試料のパーマ剤1剤10mLに15分浸漬した後、水洗した。その後、表15に記載の2剤10mLに15分浸漬した後、水洗し乾燥させた。
【0121】
乾燥させた毛束を用いて、上述の「毛髪におけるカルボニル化の抑制作用試験」と同様にカルボニル化の抑制作用を評価した。
シコンエキスが未配合である配合例11-2のカルボニル化レベルを100%(コントロール)とし、シコンエキスが配合されたサンプルのカルボニル化レベル(%)を算出した。
【0122】
算出したカルボニル化レベル(%)は、下記基準に従ってカルボニル化抑制効果を評価した。カルボニル化レベル(%)は、値が低いほど、カルボニル化抑制効果が高いことを意味する。
(基準)
A:50%未満
B:50%以上70%未満
C:70%以上90%未満
D:90%以上100%未満
【0123】