(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121693
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240830BHJP
【FI】
B65G1/137 E
B65G1/137 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028932
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】島岡 隆行
(72)【発明者】
【氏名】金谷 晴一
(72)【発明者】
【氏名】榊原 恒治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英夫
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA03
3F522AA09
3F522BB01
3F522CC01
3F522DD03
3F522DD23
3F522EE02
3F522EE17
3F522EE18
3F522EE19
3F522GG23
3F522HH02
3F522HH05
3F522HH30
3F522JJ10
3F522LL51
3F522LL62
(57)【要約】
【課題】リーダライタがRFIDタグから情報を取得しやすい管理システムを実現する。
【解決手段】本開示の一態様の管理システム(100)は、物品(40)に取り付けられたRFIDタグであって、物品(40)に取り付けられる面とは反対側の面のみにおいて電波を送受信するRFIDタグ(10)と、RFIDタグ(10)が送信した物品(40)の情報を含む反射波を受信するリーダライタ(20)と、上記情報をリーダライタ(20)から取得し、物品(40)についての情報を管理する情報処理装置(30)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に取り付けられたRFID(Radio Frequency Identification)タグであって、前記物品に取り付けられる面とは反対側の面のみにおいて電波を送受信するRFIDタグと、
前記RFIDタグが受信可能な波長を有する搬送波を送信するとともに、当該搬送波の受信に応じて前記RFIDタグが送信した前記物品の情報を含む反射波を受信するリーダライタと、
前記リーダライタが受信した前記反射波に含まれる前記情報を前記リーダライタから取得し、前記物品についての情報を管理する情報処理装置と、を備える、管理システム。
【請求項2】
前記RFIDタグは、金属体を含む物品に取り付けられる、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記RFIDタグは、液体を含む物品に取り付けられる、請求項1に記載の管理システム。
【請求項4】
前記RFIDタグは、焼却不適物を含む物品に取り付けられており、
前記情報処理装置は、前記RFIDタグから送信された前記反射波を受信した旨の情報を前記リーダライタから取得した場合に、前記焼却不適物を含む物品が、前記リーダライタが前記搬送波を送信した範囲に存在することを報知する、請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項5】
前記RFIDタグは、リチウムイオン電池、または、リチウムイオン電池を含む物品に取り付けられている、請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
前記リーダライタは、ユーザによって携帯可能であり、廃棄物を収集または搬入する作業者によって操作されて前記廃棄物に対して前記搬送波を送信する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項7】
前記リーダライタは、廃棄物を収集する廃棄物収集車に取り付けられており、前記廃棄物収集車に投入される前記廃棄物に対して前記搬送波を送信する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項8】
前記リーダライタは、廃棄物処理施設において廃棄物が搬入される搬入エリアに取り付けられており、前記廃棄物が投入される投入ピットに投入される前の廃棄物に対して前記搬送波を送信する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項9】
前記リーダライタは、ユーザによって携帯可能であり、作業者によって操作されて廃棄物処理施設における廃棄物が投入される投入ピットに投入される前の廃棄物に対して前記搬送波を送信する、請求項4に記載の管理システム。
【請求項10】
前記物品についての情報は、前記物品の、特徴、使用方法、廃棄方法およびリサイクル方法のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグを用いた物品の情報を管理する管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグを用いた物品の情報を管理するシステムが従来として知られている。例えば、特許文献1には、廃棄物に装着されたRFIDタグから廃棄物に関する読取可能情報を読取可能な読取装置と、読取装置により読み取られた読取可能情報に基づいて廃棄物の廃棄工程に関する廃棄工程情報を管理する廃棄工程管理部を含む管理装置とを備える破棄物管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、廃棄物に取り付けられる面と当該取付面とは反対側の面との両方の面において電波の送受信が行われるRFIDタグを用いている。そのため、廃棄物に金属体または液体が含まれている場合に、RFIDタグから送信される電波の強度が弱くなってしまい、読取装置(リーダライタ)がRFIDタグから情報を取得できない虞があるという問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、リーダライタがRFIDタグから情報を取得しやすい管理システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る管理システムは、物品に取り付けられたRFID(Radio Frequency Identification)タグであって、前記物品に取り付けられる面とは反対側の面のみにおいて電波を送受信するRFIDタグと、前記RFIDタグが受信可能な波長を有する搬送波を送信するとともに、当該搬送波の受信に応じて前記RFIDタグが送信した前記物品の情報を含む反射波を受信するリーダライタと、前記リーダライタが受信した前記反射波に含まれる前記情報を前記リーダライタから取得し、前記物品についての情報を管理する情報処理装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、リーダライタがRFIDタグから情報を取得しやすい管理システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る管理システムの要部構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る、RFIDタグが物品に取り付けられた様子を示す図である。
【
図3】上記管理システムが適用される一例を示す図である。
【
図4】上記管理システムが適用される他の一例を示す図である。
【
図5】上記管理システムが適用される更なる他の一例を示す図である。
【
図6】上記管理システムが適用される更なる他の一例を示す図である。
【
図7】実施例における実験1の実験結果を示すレーダーチャートである。
【
図8】実施例における実験2のタグAについての実験結果を示すレーダーチャートである。
【
図9】実施例における実験2のタグBについての実験結果を示すレーダーチャートである。
【
図10】実施例における実験3の実験結果を示すレーダーチャートである。
【
図11】実施例における実験4の実験結果を示すレーダーチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態における管理システム100の要部構成を示すブロック図である。
図1に示すように、管理システム100は、RFID(Radio Frequency Identification)タグ10と、リーダライタ20と、情報処理装置30と、を備える。
【0010】
RFIDタグ10は、リーダライタ20から送信された搬送波(電波)を受信し、反射波(電波)を送信するタグであり、物品に取り付けられる。
図2は、本実施形態におけるRFIDタグ10が物品40に取り付けられた様子を示す図である。
図1および
図2に示すように、RFIDタグ10は、基板11と、導体板12と、アンテナ13と、ICチップ14とを備えている。RFIDタグ10は、基板11と導体板12とが積層することにより構成されている。
【0011】
基板11は、例えば、銅でパターンが形成されたプリント基板であってよい。基板11には、アンテナ13およびICチップ14が設けられている。RFIDタグ10では、リーダライタ20から送信された搬送波をアンテナ13が受信することによりICチップ14が起動する。そして、ICチップ14に予め書き込まれている物品40の情報を含む反射波をアンテナ13から外部に向けて送信する。
【0012】
導体板12は、基板11と電気的に絶縁されている。これにより、アンテナ13がリーダライタ20からの搬送波を受信した場合に導体板12が共振しないため、RFIDタグ10は、基板11から導体板12に向かう方向には反射波を送信せず、導体板12から基板11に向かう方向のみに反射波を送信する。
図2に示すように、RFIDタグ10は、導体板12側の面が物品40に当接するように物品40に取り付けられる。これにより、RFIDタグ10は、物品40に取り付けられる面(以降では、取付面とも称する)とは反対側の面のみにおいて電波の送受信を行う。本明細書において、上記の構成を有するRFIDタグ10は、単方向指向性を有するタグとも称する。
【0013】
ここで、導体板12を備えていない従来のRFIDタグにおける課題について説明する。従来のRFIDタグでは、物品40に取り付けられる面(取付面)と当該取付面とは反対側の面との両方の面において電波の送受信が行われる。そのため、RFIDタグが取り付けられる物体が金属体を含む場合、取付面から送信された反射波が金属体によって反射される。その結果、金属体によって反射された反射波と取付面とは反対側の面から送信された反射波とが干渉して打ち消し合い、RFIDタグから送信される反射波の強度が弱くなってしまう。これに対して、本実施形態におけるRFIDタグ10は、取付面とは反対側の面のみから反射波を送信するため、物品40が金属体を含む場合においても、RFIDタグ10から送信される反射波の強度が弱くなることがなく、高強度の反射波を送信することができる。これにより、リーダライタ20がRFIDタグ10から情報を取得しやすくなる。
【0014】
また、従来のRFIDタグでは、物品40に取り付けられる面(取付面)と当該取付面とは反対側の面との両方の面においてリーダライタから送信された搬送波を受信する。そのため、RFIDタグが取り付けられる物体が液体を含む場合、リーダライタから送信された搬送波が液体により吸収されてしまい、RFIDタグが受信する搬送波の強度が弱くなり、その結果、RFIDタグから送信される反射波の強度が弱くなってしまう。これに対して、本実施形態におけるRFIDタグ10は、取付面とは反対側の面のみにおいて搬送波を受信するため、物品40が液体を含む場合においてもRFIDタグ10がリーダライタ20から送信された搬送波を正常に受信することができ、高強度の反射波を送信することができる。これにより、リーダライタ20がRFIDタグ10から情報を取得しやすくなる。
【0015】
リーダライタ20は、第1通信部21、制御部22および第2通信部23を備えている。制御部22は、リーダライタ20の各部を統括的に制御する。
【0016】
リーダライタ20は、第1通信部21を介してRFIDタグ10と無線通信を行う。具体的には、リーダライタ20は、第1通信部21を介してRFIDタグ10(より詳細には、アンテナ13)が受信可能な波長を有する搬送波を送信し、当該搬送波の受信に応じてRFIDタグ10が送信した反射波を、第1通信部21を介して受信する。
【0017】
リーダライタ20は、第2通信部23を介して情報処理装置30と通信を行う。具体的には、リーダライタ20は、第2通信部23を介して、RFIDタグ10から受信した反射波に含まれていた物品40の情報を情報処理装置30に送信する。また、リーダライタ20は、第2通信部23を介して情報処理装置30からRFIDタグ10にデータ(情報)を書き込むよう指示を受けると、第1通信部21を介してRFIDタグ10に当該情報を含む搬送波をRFIDタグ10に送信する。これにより、RFIDタグ10のICチップ14に、アンテナ13を介してリーダライタ20から受信した搬送波に含まれる情報が書き込まれる。
【0018】
情報処理装置30は、リーダライタ20から受信した物品40の情報を取得し、物品40についての情報を管理する。情報処理装置30は、第3通信部31と、制御部32と、各種の情報を表示するための表示部33と、情報処理装置30が使用する各種データを記憶する記憶部34と、情報処理装置30に対する入力操作を受け付ける操作部35とを備えている。
【0019】
情報処理装置30は、第3通信部31を介してリーダライタ20と通信を行う。情報処理装置30とリーダライタ20との通信は、無線通信により行われてもよいし、有線通信によって行われてもよい。
【0020】
制御部32は、第3通信部31を介して、リーダライタ20から受信した物品40の情報を管理する。例えば、制御部32は、リーダライタ20から受信した物品40の情報を表示部33に表示させてもよい。
【0021】
本実施形態では、管理システム100を、廃棄物に混入したリチウムイオン電池を検知するために用いる形態について説明する。
【0022】
まず、リチウムイオン電池の廃棄における問題点について説明する。リチウムイオン電池は、破砕されると発熱し、発火する可能性がある。そのため、リチウムイオン電池が例えば家庭から排出された廃棄物に混入していた場合、リサイクル施設などの廃棄物処理施設においてリチウムイオン電池が破砕されて発火し、廃棄物処理施設内において火災を引き起こす可能性がある。そのため、廃棄物処理施設において処理される前にリチウムイオン電池を廃棄物から取り除く技術が望まれている。
【0023】
本実施形態における管理システム100では、物品40としての、リチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品にRFIDタグ10が取り付けられている。リチウムイオン電池を含む物品としては、例えば、モバイルバッテリ、加熱式たばこ、コードレス掃除機、スマートフォン、電気かみそりなどを挙げることができる。RFIDタグ10は、上述したように、導体板12側の面が物品40に当接するように物品40に取り付けられる。
【0024】
図3は、管理システム100が適用される一例を示す図である。
図3に示すように、管理システム100では、リーダライタ20は、ユーザによって携帯可能であり、廃棄物を収集する廃棄物収取車に搭乗し廃棄物を収集する作業者50によって操作されてもよい。
図3に示す例では、作業者50がリーダライタ20を操作して、例えば家庭から排出された廃棄物(例えば、廃棄物が入ったごみ袋41)に対して搬送波を送信する。換言すれば、リーダライタ20は、作業者50の操作により、ごみ袋41に対して搬送波を送信する。ごみ袋41にRFIDタグ10が取り付けられた物品40が混入している場合、RFIDタグ10が搬送波を受信し、ICチップ14に予め書き込まれている物品40の情報を含む反射波をアンテナ13から送信する。RFIDタグ10から送信された反射波は、リーダライタ20により受信される。リーダライタ20は、反射波を受信すると、反射波を受信した旨の情報を情報処理装置30に送信する。情報処理装置30は、当該情報を受信すると、物品40、すなわち、リチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品を検知した旨の表示を表示部33にて行う。換言すれば、情報処理装置30は、リチウムイオン電池またはリチウムイオン電池がリーダライタ20が搬送波を送信したごみ袋41に存在することを報知する。これにより、作業者50は、リーダライタ20により搬送波を送信したごみ袋41にリチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品が混入していることを認識することができ、当該ごみ袋41を廃棄物収集車に投入するごみ袋群から取り除くことができる。
【0025】
上述したように、本実施形態におけるRFIDタグ10は、物品40に取り付けられる面(以降では、取付面とも称する)とは反対側の面のみにおいて電波の送受信を行うように構成されている。このため、金属体を含むリチウムイオン電池に取り付けられたRFIDタグ10から高強度の反射波を送信することができる。これにより、リチウムイオン電池が、金属体を含む廃棄物(例えば、缶など)、液体を含む廃棄物(例えば、飲料が残存するPETボトル、生ごみなど)、木材などの他の廃棄物とともにごみ袋41に混入している場合においても、リーダライタ20がRFIDタグ10から送信された反射波を受信することができる。
【0026】
なお、上記の説明では、情報処理装置30の表示部33によって、リチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品を検知した旨の報知を作業者50に対して行っていたが、これに限られるものではない。例えば、情報処理装置30が音声を出力する音声出力部を備え、情報処理装置30は、RFIDタグ10から反射波を受信した旨の情報をリーダライタ20から受信すると、上記音声出力部から音声を出力することによりリチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品を検知した旨の報知を作業者50に対して行ってもよい。
【0027】
また、本開示の一態様の管理システム100では、リーダライタ20が表示部または音声出力部を備え、RFIDタグ10から反射波を受信した場合に、リーダライタ20が備える表示部または音声出力部を用いてリチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品を検知した旨の報知を作業者50に対して行ってもよい。この場合、リーダライタ20は、物品40についての情報を管理する情報処理装置としての機能も備えるものとして理解することができる。
【0028】
図4は、管理システム100が適用される他の一例を示す図である。
図4に示すように、管理システム100では、リーダライタ20は、廃棄物を収集する廃棄物収集車60に取り付けられていてもよい。この場合、リーダライタ20は、廃棄物収集車60に投入される廃棄物(例えば、廃棄物が入ったごみ袋41)に対して搬送波を送信できる位置(例えば、投入ゲートの上部)に取り付けられる。リーダライタ20は、
図4に示すように、複数個取り付けられてもよい。
図4に示す例では、リーダライタ20が廃棄物収集車60に投入されるごみ袋41に対して搬送波を送信する。ごみ袋41にRFIDタグ10が取り付けられた物品40が混入している場合、RFIDタグ10が搬送波を受信し、反射波をアンテナ13から送信する。RFIDタグ10から送信された反射波は、リーダライタ20により受信される。リーダライタ20は、反射波を受信すると、反射波を受信した旨の情報を情報処理装置30に送信する。情報処理装置30は、当該情報を受信すると、物品40、すなわち、リチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品を検知した旨の表示を表示部33にて行う。これにより、作業者50は、リーダライタ20により搬送波を送信したごみ袋41にリチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品が混入していることを認識することができ、廃棄物収集車60の投入ゲートの作動を停止させて当該ごみ袋41を廃棄物収集車に投入するごみ袋群から取り除くことができる。リーダライタ20は、RFIDタグ10から送信された反射波を受信したときに、物品40の製造メーカ名、製造年月日、物品40の使用段階における充電回数または放電時間など情報を反射波からさらに取得し、当該情報を情報処理装置30に送信してもよい。
【0029】
本開示の一態様の管理システム100では、情報処理装置30の記憶部34に、予め廃棄物収集車の情報、収集地域、収集日時、収集者(作業者)情報が記憶されていてもよい。当該情報は、操作部35を介して受け取ったユーザからの入力に基づいて、記憶部34に記憶させてもよい。本実施形態における管理システム100では、外部装置(例えば、クラウド)が備える記憶部に上記情報を記録させておいてもよい。
【0030】
本開示の一態様の管理システム100では、情報処理装置30が廃棄物収集車60の投入ゲートの作動を制御できるようになっており、情報処理装置30が反射波を受信した旨の情報をリーダライタ20から受信すると、情報処理装置30が廃棄物収集車60の投入ゲートを停止させる信号を廃棄物収集車60に出力してもよい。これにより、情報処理装置30が反射波を受信した旨の情報をリーダライタ20から受信すると、すぐに廃棄物収集車60の投入ゲートを停止させることができる。
【0031】
図5は、管理システム100が適用される更なる他の一例を示す図である。
図5に示すように、管理システム100では、リーダライタ20が廃棄物処理施設70において廃棄物が投入される投入ピット71に廃棄物を投入するエリアに取り付けられていてもよい。この場合、リーダライタ20は、投入ピット71に投入される前の廃棄物(例えば、廃棄物が入ったごみ袋41)に対して搬送波を送信できる位置(例えば、投入ピット71の入り口の上部)に取り付けられてもよい。
図5に示す例では、リーダライタ20が投入ピット71に投入される前のごみ袋41に対して搬送波を送信する。ごみ袋41にRFIDタグ10が取り付けられた物品40が混入している場合、RFIDタグ10が搬送波を受信し、反射波をアンテナ13から送信する。RFIDタグ10から送信された反射波は、リーダライタ20により受信される。リーダライタ20は、反射波を受信すると、反射波を受信した旨の情報を情報処理装置30に送信する。情報処理装置30は、当該情報を受信すると、物品40、すなわち、リチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品を検知した旨の表示を表示部33にて行う。これにより、廃棄物処理施設70の作業者は、リーダライタ20により搬送波を送信したごみ袋41にリチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品が混入していることを認識することができ、当該ごみ袋41を投入ピット71に投入するごみ袋群から取り除くことができる。本例では、廃棄物処理施設70において廃棄物が搬入される搬入エリアとして、投入ピット71に廃棄物を投入するエリアにリーダライタ20が取り付けられる例を説明したが、リーダライタ20が取り付けられる位置はこれに限られない。リーダライタ20が取り付けられる位置は、廃棄物処理施設70において廃棄物が搬入されるエリアであれば特に限定されず、例えば、廃棄物を搬入する車両の重量を計量する計量棟の付近、廃棄物を搬入する車両の重量を計量器の付近、またはプラットホームなどの付近であってもよい。
【0032】
図6は、管理システム100が適用される更なる他の一例を示す図である。
図6に示すように、管理システム100では、リーダライタ20は、ユーザによって携帯可能であり、廃棄物処理施設70において作業を行う作業者72によって操作されてもよい。
図6に示す例では、作業者72がリーダライタ20を操作して、投入ピット71に投入される前の廃棄物(例えば、廃棄物が入ったごみ袋41)に対して搬送波を送信する。換言すれば、リーダライタ20は、作業者72の操作により、投入ピット71に投入される前のごみ袋41に対して搬送波を送信する。ごみ袋41にRFIDタグ10が取り付けられた物品40が混入している場合、RFIDタグ10が搬送波を受信し、反射波をアンテナ13から送信する。RFIDタグ10から送信された反射波は、リーダライタ20により受信される。リーダライタ20は、反射波を受信すると、反射波を受信した旨の情報を情報処理装置30に送信する。情報処理装置30は、当該情報を受信すると、物品40、すなわち、リチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品を検知した旨の表示を表示部33にて行う。これにより、廃棄物処理施設70の作業者は、リーダライタ20により搬送波を送信したごみ袋41にリチウムイオン電池またはリチウムイオン電池を含む物品が混入していることを認識することができ、当該ごみ袋41を投入ピット71に投入するごみ袋群から取り除くことができる。本例では、リーダライタ20が、廃棄物処理施設70において作業を行う作業者72によって操作されて、投入ピット71に投入される廃棄物に対して搬送波を送信する例について説明したが、リーダライタ20を操作する作業者はこれに限られない。リーダライタ20を操作する作業者は、廃棄物を廃棄物処理施設70に搬入する搬入業者であってもよいし、廃棄物を廃棄物処理施設70に個人で搬入する場合には当該個人であってもよい。
【0033】
以上のように、本実施形態における管理システム100では、RFIDタグ10がリチウムイオン電池、または、リチウムイオン電池を含む物品に取り付けられている。そして、情報処理装置30は、RFIDタグ10から送信された反射波を受信した旨の情報をリーダライタ20から取得した場合に、リチウムイオン電池、または、リチウムイオン電池を含む物品が、リーダライタ20が搬送波を送信した範囲に存在することを検知する。これにより、RFIDタグ10から送信される高強度の反射波を用いて、リチウムイオン電池、または、リチウムイオン電池を含む物品が廃棄物に混入していることを検知することができるので、従来のRFIDタグを用いる場合と比べて、リチウムイオン電池、または、リチウムイオン電池を含む物品が廃棄物に混入していることを高精度に検知することができる。
【0034】
本実施形態における管理システム100は、物品40としてリチウムイオン電池、または、リチウムイオン電池を含む物品の検知を行うものであったが、本開示の管理システム100はこれに限られない。本実施形態における管理システム100は、検知する対象が焼却不適物を含む物品であってもよい。焼却不適物とは、本実施形態において説明したような発火の恐れがある物品であってもよいし、物品を焼却するときに焼却状態または排ガス成分に悪影響を及ぼす物品であってもよいし、リサイクル対象物であってもよい。
【0035】
なお、特許文献1に記載の技術では、廃棄物の入った容器(例えば、箱、袋など)にRFIDタグを取り付け、当該容器に収容されている廃棄物についての情報をRFIDタグに入出力することにより、廃棄物の管理を行うものである。そのため、特許文献1に記載の技術は、本実施形態における管理システム100のように、混入されるべきではない物品(例えば、リチウムイオン電池)が容器に混入していることを検知できるものではないことを付言する。
【0036】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態では、管理システム100の他の適用例について説明する。
【0037】
本実施形態では、RFIDタグ10のICチップ14に物品40についての情報として、例えば、物品40の特徴、使用方法、廃棄方法およびリサイクル方法のうち少なくとも1つが書き込まれている。物品40は、金属体を含むものであってもよいし、液体を含むものであってもよい。
【0038】
ICチップ14に物品40の特徴が書き込まれている場合、物品40を販売する店などにおいて、ユーザがリーダライタ20を用いて物品40に取り付けられているRFIDタグ10を読み込むことにより、ICチップ14に書き込まれていた物品40の特徴がリーダライタ20から情報処理装置30に送信される。情報処理装置30の制御部32は、リーダライタ20から送信された物品の特徴を表示部33に表示する。これにより、ユーザは、表示部33に表示された物品40の特徴を確認することができる。
【0039】
ICチップ14に物品40の使用方法、廃棄方法およびリサイクル方法のうち少なくとも1つが書き込まれている場合、物品40のユーザがリーダライタ20を用いて物品40に取り付けられているRFIDタグ10を読み込むことにより、ICチップ14に書き込まれていた物品40の使用方法、廃棄方法およびリサイクル方法のうち少なくとも1つがリーダライタ20から情報処理装置30に送信される。情報処理装置30の制御部32は、リーダライタ20から送信された物品の使用方法、廃棄方法およびリサイクル方法のうち少なくとも1つを表示部33に表示する。これにより、ユーザは、表示部33に表示された物品40の使用方法、廃棄方法およびリサイクル方法のうち少なくとも1つを確認することができる。ICチップ14に物品40の使用方法が書き込まれている場合、物品40は、例えば、医薬品であってもよい。
【0040】
以上のように、本実施形態における管理システム100は、RFIDタグ10のICチップ14に物品40についての情報が予め書き込まれており、リーダライタ20を用いてRFIDタグ10から読み取った情報を、情報処理装置30を介してユーザに表示する。RFIDタグ10は、物品40に取り付けられる面(取付面)とは反対側の面のみにおいて電波の送受信を行うため、物品40が金属体を含むものまたは液体を含むものであってもリーダライタ20がRFIDタグ10から情報を取得しやすくなる。
【0041】
(まとめ)
本開示の態様1に係る管理システムは、物品に取り付けられたRFID(Radio Frequency Identification)タグであって、前記物品に取り付けられる面とは反対側の面のみにおいて電波を送受信するRFIDタグと、前記RFIDタグが受信可能な波長を有する搬送波を送信するとともに、当該搬送波の受信に応じて前記RFIDタグが送信した前記物品の情報を含む反射波を受信するリーダライタと、前記リーダライタが受信した前記反射波に含まれる前記情報を前記リーダライタから取得し、前記物品についての情報を管理する情報処理装置と、を備える。
【0042】
本開示の態様2に係る管理システムは、上記態様1において、前記FRIDタグは、金属体を含む物品に取り付けられてもよい。
【0043】
本開示の態様3に係る管理システムは、上記態様1または2において、前記FRIDタグは、金属体を含む物品に取り付けられてもよい。
【0044】
本開示の態様4に係る管理システムは、上記態様1または2において、焼却不適物を含む物品に取り付けられており、前記情報処理装置は、前記RFIDタグから送信された前記反射波を受信した旨の情報を前記リーダライタから取得した場合に、前記焼却不適物を含む物品が、前記リーダライタが前記搬送波を送信した範囲に存在することを報知する構成であってもよい。
【0045】
本開示の態様5に係る管理システムは、上記態様4において、前記RFIDタグは、リチウムイオン電池、または、リチウムイオン電池を含む物品に取り付けられている構成であってもよい。
【0046】
本開示の態様6に係る管理システムは、上記態様4または5において、前記リーダライタは、ユーザによって携帯可能であり、廃棄物を収集する作業者によって操作されて前記廃棄物に対して前記搬送波を送信する構成であってもよい。
【0047】
本開示の態様7に係る管理システムは、上記態様4または5において、前記リーダライタは、廃棄物を収集する廃棄物収集車に取り付けられており、前記廃棄物収集車に投入される前記廃棄物に対して前記搬送波を送信する構成であってもよい。
【0048】
本開示の態様8に係る管理システムは、上記態様4または5において、前記リーダライタは、廃棄物処理施設において廃棄物が投入される投入ピットに廃棄物を投入するエリアに取り付けられており、前記投入ピットに投入される前の廃棄物に対して前記搬送波を送信する構成であってもよい。
【0049】
本開示の態様9に係る管理システムは、上記態様4または5において、前記リーダライタは、ユーザによって携帯可能であり、廃棄物処理施設の作業者によって操作されて前記廃棄物処理施設における廃棄物が投入される投入ピットに投入される前の廃棄物に対して前記搬送波を送信する構成であってもよい。
【0050】
本開示の態様10に係る管理システムは、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記物品についての情報は、前記物品の、特徴、使用方法、廃棄方法およびリサイクル方法のうち少なくとも1つを含む構成であってもよい。
【0051】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0052】
本発明の一実施例について以下に説明する。本実施例では、本開示の管理システム100において用いられるRFIDタグ10の実施例として、縦60mm×横140mm×板厚1.6mmの大きさの基板の一方の面に銅で作製された縦約40mm×横約50mm×板厚0.018mmの銅板が張り付けられ、基板の他方の面に縦60mm×横140mm×板厚0.018mmの銅板が張り付けられた構成を有する単方向指向性を有するRFIDタグを用いた。以降では、RFIDタグ10の実施例としてのRFIDタグをタグAと称する。また、RFIDタグ10の比較例として、洋服の値札などに使用されている一般的なタグであって、両方向から反射波を送信するRFIDタグを用いた。以降では、RFIDタグ10の比較例としてのRFIDタグをタグBと称する。
【0053】
タグAおよびタグBを用いて、以下の実験1~4を行った。各実験は、壁および天井に電波吸収体が張り付けられた電波暗室で行った。各実験では、リーダライタとして、DENSO社製のUHF帯タグ高出力ハンディスキャナSP1(デンソーSP1-QuBi)を使用した。
【0054】
(実験1)
実験1では、タグAとリーダライタとの通信に与える影響がほとんどない発泡スチロールに、タグAの導体板側の面を発泡スチロールに取り付けた。次に、タグAとリーダライタとの距離、および、リーダライタに対するタグAの角度を変化させながら、タグAから送信された電波(反射波)のリーダライタの受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定した。タグAとリーダライタとの距離は、1m、2.5m、または5mとした。リーダライタに対するタグAの角度は、鉛直方向を軸としてタグAを回転させることにより変化させた。
図7は、実験1の実験結果を示すレーダーチャートである。
図7に示す角度は、リーダライタに対するタグAの角度であり、「0°」は、タグAとリーダライタとが向かい合っている状態を示している。
図7に示すレーダーチャートでは、受信強度が大きいほど円の外側にプロットされる。
図7に示すレーダーチャートに示されるプロットは、5回の測定の平均値である。
図7に示すように、タグAとリーダライタとの距離が近いほど、受信強度が多くなるとともに、リーダライタが電波を受信できる角度範囲(以降では、受信可能範囲と称する)が広くなった。
【0055】
(実験2)
実験2では、タグAまたはタグBのそれぞれについて、タグのみの場合、および、タグをモバイルバッテリに張り付けた場合における受信強度の測定実験を行った。実験2では、タグとリーダライタとの距離を5mとした。
図8は、タグAについて、タグAのみの場合、および、タグAをモバイルバッテリに張り付けた場合における受信強度の測定実験の実験結果を示すレーダーチャートである。
図9は、タグBについて、タグBのみの場合、および、タグBをモバイルバッテリに張り付けた場合における受信強度の測定実験の実験結果を示すレーダーチャートである。
図8に示すように、タグAでは、タグAのみの場合と、タグAをモバイルバッテリに張り付けた場合とにおいて、受信強度および受信可能範囲に大きな違いがなかった。一方、タグBでは、
図9に示すように、タグBでは、モバイルバッテリに張り付けた場合に、タグBから送信された電波をリーダライタで受信することができなかった。これらの結果から、単方向指向性を有するRFIDタグを用いることにより、金属体を有するモバイルバッテリに張り付けた場合においてもRFIDタグから高強度の電波を送信することができることが示された。
【0056】
(実験3)
実験3では、RFIDタグが他の廃棄物に混入している状態を模擬した実験を行った。具体的には、タグAとリーダライタとの間に、空ペットボトル、水入りペットボトル、角材、または、缶が入った、45Lのごみ袋を配置した状態で、リーダライタに対するタグAの角度を変化させながら、タグAから送信された電波の受信強度を測定した。実験3では、タグAとリーダライタとの距離を5mとした。ごみ袋は、タグAから0.5m離れた位置に配置した。
図10は、実験3の実験結果を示すレーダーチャートである。
図10に示すように、タグAとリーダライタとの間に空ペットボトルまたは角材が入ったごみ袋を配置した場合には、障害物(ごみ袋)がない場合と比べて、ほぼ同等の受信強度および受信可能範囲であった。タグAとリーダライタとの間に水入りペットボトルが入ったごみ袋を配置した場合には、障害物(ごみ袋)がない場合と比べて、受信強度および受信可能範囲が小さくなった。タグAとリーダライタとの間に缶が入ったごみ袋を配置した場合には、タグAから送信された電波をリーダライタで受信することができなかった。
【0057】
(実験4)
実験4では、タグAとリーダライタとの間に缶が入った45Lのごみ袋を配置した状態で、タグAとリーダライタとの距離、および、リーダライタに対するタグAの角度を変化させながら、タグAから送信された電波の受信強度を測定した。タグAとリーダライタとの距離は、1m、2.5m、または5mとした。
図11は、実験4の実験結果を示すレーダーチャートである。
図11に示すように、タグAとリーダライタとの距離が5mの場合にはタグAから送信された電波をリーダライタで受信することができなかった。これに対し、タグAとリーダライタとの距離が1mまたは2.5mの場合にはタグAから送信された電波をリーダライタで受信することができた。
【0058】
実験3および実験4の結果から、タグAを用いること、すなわち、単方向指向性を有するRFIDタグを用いることにより、液体を含む物体、または、金属体を含む物体が混入している場合には受信強度が小さくなるものの、他の物体に混入している場合においても、単方向指向性を有するRFIDタグから送信される電波をリーダライタにより受信できることが示された。