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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121703
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】液体噴出器及び液体噴出容器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20240830BHJP
   B05B 11/10 20230101ALI20240830BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20240830BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B05B11/00 101E
B05B11/00 101G
B05B11/10 101G
B05B11/10 101E
B65D47/34 110
B65D83/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028948
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC03
3E014PD13
3E014PE01
3E014PE30
3E014PF10
3E084AA04
3E084AA06
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084DB08
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB11
3E084JA20
3E084KA20
3E084LC01
3E084LD21
(57)【要約】
【課題】液体の流速にかかわらず、粒状物を含有する液体の噴出を繰り返して行うことができる、液体噴出器及び液体噴出容器を提供することにある。
【解決手段】液体噴出容器100Aは、器液体噴出器1Aと容器本体50とを備える。容器本体50の収容空間S0に配置可能なシリンダ12と、シリンダ12の内側を摺動可能なピストン13と、ピストン13を摺動可能に保持するとともにシリンダ12の液体導入口A1の側に液体流入筒15aが設けられたピストンガイド15と、ピストンガイド15をシリンダ12の内部に押し込み可能な噴出ヘッド17と、液体流入筒15aに取り付けられたメッシュ部材21と、メッシュ部材21との間に間隔を置いてシリンダ12の内部に取り付けられたスペーサ23と、を備える。スペーサ23は、ピストンガイド15を下死点まで押し込んだときにメッシュ部材21との間に介在する粒状物をメッシュ部材21とともに押し潰し可能な押し潰し面23fを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の内側に形成された液体の収容空間に配置可能なシリンダと、前記シリンダの内側を摺動可能なピストンと、前記ピストンを摺動可能に保持するとともに前記シリンダの液体導入口の側に液体流入筒が設けられたピストンガイドと、前記ピストンガイドを前記シリンダの内部に押し込み可能な噴出ヘッドと、前記ピストンガイドに設けられた前記液体流入筒に取り付けられたメッシュ部材と、前記メッシュ部材との間に間隔を置いて前記シリンダの内部に取り付けられたスペーサと、を備えており、
前記スペーサは、前記ピストンガイドを下死点まで押し込んだときに前記メッシュ部材との間に介在する粒状物を前記メッシュ部材とともに押し潰し可能な押し潰し面を備えている、液体噴出器。
【請求項2】
前記押し潰し面は、平面である、請求項1に記載された液体噴出器。
【請求項3】
前記メッシュ部材は、リング部材に取り付けられており、当該リング部材を介して前記ピストンガイドの液体流入筒に取り付けられている、請求項1に記載された液体噴出器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載された液体噴出器と、前記容器本体とを備える、液体噴出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴出器及び液体噴出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体噴出器には、シリンダ(液体吸込み筒部分)の下部に設けたメッシュ(ネット)のメッシュサイズを規定することによって、粒状物を含有する液体の噴出を繰り返して行うことができる、容器体装着用噴出ポンプが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-260676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の液体噴出器は、液体の流速が遅い場合、前記粒状物がメッシュ部材を通過できないことがある。
【0005】
本発明の目的は、液体の流速にかかわらず、粒状物を含有する液体の噴出を繰り返して行うことができる、液体噴出器及び液体噴出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る液体噴出器は、容器本体の内側に形成された、液体の収容空間に配置可能なシリンダと、前記シリンダの内側を摺動可能なピストンと、前記ピストンを摺動可能に保持するとともに前記シリンダの液体導入口の側に液体流入筒が設けられたピストンガイドと、前記ピストンガイドを前記シリンダの内部に押し込み可能な噴出ヘッドと、前記ピストンガイドに設けられた前記液体流入筒に取り付けられたメッシュ部材と、前記メッシュ部材との間に間隔を置いて前記シリンダの内部に取り付けられたスペーサと、を備えており、前記スペーサは、前記ピストンガイドを下死点まで押し込んだときに前記メッシュ部材との間に介在する粒状物を前記メッシュ部材とともに押し潰し可能な押し潰し面を備えている。
【0007】
(2)上記(1)の液体噴出器において、前記押し潰し面は、平面であることが好ましい。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)の液体噴出器において、前記メッシュ部材は、リング部材に取り付けられており、当該リング部材を介して前記ピストンガイドの液体流入筒に取り付けられていることが好ましい。
【0009】
(4)本発明に係る液体噴出容器は、上記(1)~(3)のいずれか1つの液体噴出器と、前記容器本体とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液体の流速にかかわらず、粒状物を含有する液体の噴出を繰り返して行うことができる、液体噴出器及び液体噴出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る液体噴出容器が初期状態にあるときの、当該液体噴出容器の要部を、当該液体噴出容器の側面から、一部断面で概略的に示す部分断面図であり、当該液体噴出容器は、本発明の第1の実施形態に係る液体噴出器を備えている。
図2図1の液体噴出容器を、液体噴出器の噴出ヘッドが下死点まで押し込まれた状態で概略的に示す部分断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る液体噴出容器が初期状態にあるときの、当該液体噴出容器の要部を、当該液体噴出容器の側面から、一部断面で概略的に示す部分断面図であり、当該液体噴出容器は、本発明の第2の実施形態に係る液体噴出器を備えている。
図4図3の液体噴出容器を、液体噴出器の噴出ヘッドが下死点まで押し込まれた状態で概略的に示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態に係る、液体噴出器及び液体噴出容器について説明をする。
【0013】
図1中、符号100Aは、本発明の第1の実施形態に係る液体噴出容器である。液体噴出容器100Aは、本発明の第1の実施形態に係る液体噴出器1Aと、容器本体50とを備えている。
【0014】
液体噴出器1Aは、容器本体50の内側に形成された内容液(液体)の収容空間S0に配置可能なシリンダ12と、シリンダ12の内側を摺動可能なピストン13と、ピストン13を摺動可能に保持するとともにシリンダ12の液体導入口A1の側に液体流入筒15aが設けられたピストンガイド15と、ピストンガイド15をシリンダ12の内部に押し込み可能な噴出ヘッド17と、ピストンガイド15に設けられた液体流入筒15aに取り付けられたメッシュ部材21と、メッシュ部材21との間に間隔を置いてシリンダ12の内部に取り付けられたスペーサ23と、を備えている。スペーサ23は、ピストンガイド15を下死点まで押し込んだときにメッシュ部材21との間に介在する粒状物をメッシュ部材21とともに押し潰し可能な押し潰し面23fを備えている。
【0015】
液体噴出器1Aは、容器本体50の口部51に装着可能な装着キャップ18を備えている。
【0016】
本実施形態において、容器本体50は、いわゆるボトル容器である。容器本体50は、口部51と、当該口部51に連なる肩部52と、当該肩部52に連なる胴部53とを備えている。さらに、本実施形態において、胴部53の下端は、底部(図示省略)によって閉じられている。容器本体50の内側には、内容液を収容可能な収容空間S0が形成されている。図1に示すように、収容空間S0は、口部51の内側に形成された口部開口A50を通して外界に開放されている。収容空間S50には、内容液を充填させることができる。容器本体50は、例えば、合成樹脂を用いたブロー成形によって形成することができる。ただし、容器本体50の製造方法は、ブロー成形に限定されるものではなく、様々な方法によって製造することができる。
【0017】
以下の説明において、軸線Oは、液体噴出容器100Aの中心線である。本実施形態において、軸線Oは、液体噴出器1Aの中心線および容器本体50の中心線と同軸である。
【0018】
また、以下の説明において、「上下方向」とは、軸線Оに沿って延びている方向をいう。液体噴出容器100Aにおいて、「上」とは、液体噴出器1Aの側を意味することを含む。また、液体噴出容器100Aにおいて、「下」とは、容器本体50の側を意味することを含む。
【0019】
さらに、以下の説明において、軸線Oに延在する方向を軸線方向ともいい、軸線Oの周りを周方向に延在する方向を周方向ともいう。また、以下の説明において、軸線Oに対して直交する方向を径方向ともいう。さらに、軸線Oに向かう側を「径方向内側」ともいい、軸線Оから遠ざかる側を「径方向外側」ともいう。
【0020】
シリンダ12は、装着キャップ18によって容器本体50の口部51に固定されている。本実施形態において、装着キャップ18は、シリンダ12の上端開口を閉じるポンプカバーとして機能する。本実施形態において、装着キャップ18は、口部51に螺着させることによって装着されている。ただし、装着キャップ18は、例えば、アンダーカット嵌合など、螺着以外の方法で装着させることができる。
【0021】
図1を参照すれば、シリンダ12は、装着キャップ18に嵌合させることによって固定されている。これによって、シリンダ12は、装着キャップ18を介して、容器本体50の口部51の上端に取り付けられている。本実施形態において、液体噴出器1Aは、シリンダ12と容器本体50の口部51との間に配置された環状シール部材19を備えている。これによって、液体噴出器1Aは、容器本体50に対して密封状態で取り付けられている。
【0022】
シリンダ12は、液体噴出器1Aを容器本体50に装着させた状態で、容器本体50の口部開口A50を通して収容空間S0に配置されている。液体噴出器1Aは、シリンダ12の下端部に接続されたパイプ11を備えている。パイプ11は、容器本体50の収容空間S0に通じる内部流路R1を備えている。内部流路R1は、シリンダ12の下端部の内側に形成された液体導入口A1に通じている。これによって、容器本体50からの内容液を、液体導入口A1を通してシリンダ12の内部に導入させることができる。
【0023】
さらに、液体噴出器1Aは、液体導入口A1を開閉可能な液体導入弁14を備えている。液体導入弁14は、シリンダ12の内圧の増加によって液体導入口A1を閉鎖(封止)する。また、液体導入弁14は、シリンダ12の内圧の減少によって液体導入口A1を開放することができる。本実施形態において、液体導入弁14は、シリンダ12の内部に配置されたボール弁である。
【0024】
スペーサ23は、シリンダ12の内部の、液体導入弁14よりも上側の位置に配置されている。本実施形態において、スペーサ23は、押し潰し面23fを備える、スペーサ23の本体23a(以下、「スペーサ本体23a」ともいう。)と、スペーサ本体23aの外周面から径方向外側に突出させた外側部23b(以下、「スペーサ外側部23b」ともいう。)と、スペーサ外側部23bから径方向外側に突出させた座部23c(以下、「スペーサ座部23c」ともいう。)と、を備えている。本実施形態において、スペーサ外側部23bは、スペーサ本体23aとの間に段部(肩部)を形成するように、上下方向に延在している。また、本実施形態において、スペーサ座部23cは、スペーサ外側部23bの下端部(スペーサ23の下端部)から突出している。本実施形態において、スペーサ座部23cは、シリンダ12の内周面に設けられた複数のフィン部(薄板部)12aに載せ置かれている。これによって、本実施形態において、スペーサ23は、シリンダ12の内部において、液体導入弁14よりも上側の位置に位置決めされている。
【0025】
さらに、本実施形態において、スペーサ23には、液体導入弁14とピストンガイド15との間での内容液の流通を可能にするための流通路R2が形成されている。本実施形態において、流通路R2は、スペーサ外側部23b及びスペーサ座部23cを上下方向に延在するように形成されている。これによって、シリンダ12の内部にスペーサ23を配置した状態のままでも、液体導入弁14とピストンガイド15との間での内容液の流通が可能となる。本実施形態において、スペーサ外側部23bは、スペーサ本体23aの外周面に設けられた、上下方向に延在する、複数の縦リブによって構成されている。本実施形態において、複数の縦リブは、周方向に間隔を置いて配置されている。本実施形態において、流通路R2の一部は、複数の縦リブの間に形成された溝によって構成されている。加えて、本実施形態において、スペーサ座部23cは、複数の縦リブの下端に連なる、環状フランジによって構成されている。環状フランジは、周方向に延在している。本実施形態において、流通路R2の残部は、環状フランジを上下方向に貫通する、複数の貫通孔によって構成されている。本実施形態において、複数の貫通孔は、それぞれ、縦リブの間に形成された、対応する溝に連なっている。
【0026】
本実施形態において、スペーサ本体23aは、円柱形状を有している。本実施形態において、押し潰し面23fは、スペーサ本体23aの上端面によって形成されている。本実施形態において、スペーサ本体23aの上端面は、図1に示すように、平らな平面である。即ち、本実施形態において、押し潰し面23fは、平らな平面である。本実施形態において、押し潰し面23fは、円形の平面である。
【0027】
さらに、本実施形態において、液体噴出器1Aは、ピストンガイド15の押し込みに抗する付勢力(弾性力)を発生させるスプリング24を備えている。
【0028】
本実施形態において、スプリング24の一方側端は、スペーサ23によって保持されている。具体的には、スプリング24の一方側端は、スペーサ座部23cによって支持されている。また、本実施形態において、スプリング24の他方側端は、ピストンガイド15に設けられた液体流入筒15aを支持している。
【0029】
ピストンガイド15は、液体流入筒15aとともにシャフト部15bを備えている。シャフト部15bには、噴出ヘッド17の噴出口A4に通じる内部流路R4が形成されている。本実施形態において、内部流路R4は、シャフト部15bの内部を上下方向に延在している。本実施形態において、内部流路R4の上端は開口し、当該内部流路R4の下端は閉じられている。加えて、シャフト部15bには、内部流路R4を外界に通じさせる供給口A3が形成されている。これによって、内部流路R4は、供給口A3を通して外界に通じさせることができる。
【0030】
さらに、本実施形態において、ピストンガイド15のシャフト部15bには、供給口A3の下側に環状膨出部15cが設けられている。環状膨出部15cは、軸線Оの周りを周方向に環状に延在している。
【0031】
また、本実施形態において、ピストンガイド15は、液体流入筒15aとシャフト部15bとを連結する連結片15dを備えている。本実施形態において、連結片15dは、環状膨出部15cの下端と液体流入筒15aの内周面とに接続されている。本実施形態において、ピストンガイド15は、複数の連結片15dを備えている。複数の連結片15dは、軸線Оの周りを周方向に間隔を置いて配置されている。これによって、複数の連結片15dの間には、液体流入筒15aの内側を外界に通じさせる複数の流通口A2が形成されている。
【0032】
ピストンガイド15の液体流入筒15aの内側には、メッシュ部材21が取り付けられている。ここで、「メッシュ部材」とは、特定の大きさの粒状物を選別することができる、網目状の部材をいう。
【0033】
本実施形態において、メッシュ部材21は、リング部材22に取り付けられている。本実施形態において、メッシュ部材21は、リング部材22を介して、ピストンガイド15の液体流入筒15aの内側に取り付けられている。
【0034】
本実施形態において、リング部材22は、円筒部材である。本実施形態において、リング部材22の内部に形成された貫通孔は、内容液を上下方向に流通可能とする内部流路R3である。本実施形態において、メッシュ部材21は、リング部材22の2つの軸方向端のうちの一方に取り付けられている。メッシュ部材21は、リング部材22の軸方向端に対して平らな平面となるように取り付けられている。リング部材22に取り付けられたメッシュ部材21としては、例えば、メッシュ部材21とリング部材22とを備えたメッシュリング20が挙げられる。
【0035】
本実施形態において、メッシュリング20は、ピストンガイド15の液体流入筒15aの内周面に嵌合させることによって、液体流入筒15aの内側に取り付けられている。本実施形態において、メッシュリング20の上側は、図1に示すように、連結片15dの下端によって位置決めされている。具体的には、連結片15dの下端にリング部材22の2つの軸方向端のうちの一方(図1では、リング部材22の上端)を接触させている。加えて、本実施形態において、メッシュリング20の下側は、図1に示すように、液体流入筒15aの内周面から径方向内側に突出する突起15eによって位置決めされている。具体的には、突起15eにリング部材22の2つの軸方向端のうちの他方(図1では、リング部材22の下端)を接触させている。これによって、本実施形態において、メッシュリング20は、上下方向において、ピストンガイド15の液体流入筒15aの内部における、連結片15dと突起15eとの間に位置決めされている。本実施形態において、メッシュリング20は、メッシュ部材21が上側に位置するように配置されている。
【0036】
ピストン13は、シリンダ12の内周面を摺動可能な、下端外周部13a及び上端外周部13bを備えている。これによって、ピストン13は、シリンダ2の内周面を上下方向に摺動させることができる。また、ピストン13には、ピストンガイド15が貫通する貫通孔が形成されている。さらに、ピストン13は、前記貫通孔の下端部を形作る下端内筒部13cと、前記貫通孔の上端部を形作る上端内筒部13dと、を備えている。本実施形態において、下端内筒部13c及び上端内筒部13dはともに、ピストンガイド15のシャフト部15bを上下方向に摺動させることができる。これによって、ピストン13は、ピストンガイド15のシャフト部15bの外周面を上下方向に摺動させることができる。即ち、ピストン13は、ピストンガイド15及び後述するステム16と一体的に移動させることができるとともに、ピストンガイド15とステム16との間をスライドさせることができる。
【0037】
本実施形態において、ピストン13の下端内筒部13cは、図1に示すように、液体噴出器1Aが初期状態であるときには、ピストンガイド15の環状膨出部15cに接触している。図1に示すように、供給口A3は、液体噴出器1Aが初期状態であるときには、ピストン3の下端内筒部13c及び上端内筒部13dによって封止されている。
【0038】
さらに、液体噴出器1Aは、ピストンガイド15をシリンダ12の内部に押し込み可能なステム16を備えている。ステム16は、ピストンガイド15のシャフト部15bに接続されている。これによって、ピストンガイド15は、ステム16と一体的に移動させることができる。ステム16の内側には、噴出ヘッド17の噴出口A4に通じる内部流路R5が形成されている。内部流路R5は、ステム16を上下方向に貫通している。内部流路R5は、ピストンガイド15に形成された内部流路R4に連通している。
【0039】
噴出ヘッド17は、噴出口A4を備えるとともにステム16に接続されている。本実施形態において、噴出ヘッド17は、ステム16に接続されるヘッド本体17aと、噴出口A4が形成されたノズルチップ17bとを備えている。噴出ヘッド17には、噴出口A4に通じる内部流路R6が形成されている。本実施形態において、内部流路R6は、ヘッド本体17aに形成されている。内部流路R6は、ステム16に形成された内部流路R5に連通している。
【0040】
ピストンガイド15は、スプリング24の付勢力に抗した、噴出ヘッド17の押し込み(押下げ)によって、図2に示すように、ピストン13とともにシリンダ12の内部(下側)に押し込むことができる。
【0041】
図2に示すように、ピストンガイド15を下死点まで押し込んだときに、メッシュ部材21は、スペーサ23の押し潰し面23fと近接する位置まで移動する。これによって、スペーサ23の押し潰し面23fは、当該押し潰し面23fとメッシュ部材21との間に介在する粒状物をメッシュ部材21とともに押し潰すことができる。
【0042】
ここで、ピストンガイド15を下死点まで押し込んだときに、メッシュ部材21とスペーサ23の押し潰し面23fとが近接するときの間隔(上下方向隙間)Cは、メッシュ部材21と押し潰し面23fとの間に介在する粒状物がメッシュ部材21の網目を通せる大きさにまで押し潰すことができるような間隔(上下方向隙間)であればよい。ただし、本発明によれば、ピストンガイド15を下死点まで押し込んだときに、メッシュ部材21とスペーサ23の押し潰し面23fとは接触させることもできる。
【0043】
図2に示すように、本実施形態において、スペーサ本体23aは、リング部材22の内側(内部流路R3)に挿入させることができる。この場合、メッシュ部材21と押し潰し面23fとの間の粒状物は、リング部材22が障壁となって外部に逃げ難くなるため、当該粒状物を効率的に押し潰すことができる。特に、スペーサ23の外径とメッシュリング20の内径との間の隙間(径方向隙間)は、粒状物の大きさ(例えば、粒状物の(平均)直径よりも小さいことが好ましい。この場合、スペーサ23の外径とメッシュリング20の内径との間の隙間を通した粒状物の逆流を防止することができる。
【0044】
本実施形態において、ピストン13は、供給口A3を開閉する液体供給弁として機能する。図2に示すように、噴出ヘッド17を押し込んだときに、ピストンガイド15の供給口A3は、ピストン13がピストンガイド15に対して上側にスライドすることによって開放させることができる。
【0045】
また、ピストンガイド15は、噴出ヘッド17の押し込みを解除すれば、スプリング24の付勢力(復元力)によって、図1に示すように、初期状態の位置に復帰させることができる。このとき、ピストン13は、ピストンガイド15のシャフト部15bに対して下側にスライドすることによって、供給口A3を再び閉じることができる。
【0046】
ここで、液体噴出容器100Aの使用方法の一例について説明をする。
【0047】
液体噴出容器100Аは、液体噴出器1Аを用いることによって、従来の液体噴出容器と同様、図1の初期状態から噴出ヘッド17を押し込むことができる。これによって、ピストン13は、スプリング24の付勢力(弾性力)に抗してピストンガイド15とともにスペーサ23に向かって下側に押し込まれる。ピストン13は、ピストンガイド15とともに、シリンダ12の内部の、液体導入弁14とピストン13及びピストンガイド15との間に形成されたポンプ室を圧縮する。具体的には、前記ポンプ室の内部に充填された流体は、メッシュリング20のリング部材22の内側に形成された内部流路R3からスペーサ23の押し潰し面23fによってメッシュ部材21の網目を通して、ピストンガイド15の連結片15の間に形成された流通口A2に圧送される。
【0048】
さらに、ピストン13は、ピストンガイド15がスプリング24の付勢力に抗して押し込まれることによって前記ポンプ室の圧力が所定の圧力を超えると、ピストンガイド15に対して上側にスライドする。このとき、ピストンガイド15のシャフト部15bに形成された供給口A3は、図2に示すように、流通口A2の側に開放され、当該流通口A2と連通する。これによって、メッシュリング20のリング部材22の内側に形成された内部流路R3からスペーサ23の押し潰し面23fによってメッシュ部材21の網目を通して、ピストンガイド15の連結片15の間に形成された流通口A2に圧送された流体は、ピストンガイド15のシャフト部15bに形成された供給口A3から、ピストンガイド15に形成された内部流路R4、ステム16に形成された内部流路R5及び噴出ヘッド17に形成された内部流路R6を経て、噴出口A4を通して外界に噴出される。
【0049】
このように、液体噴出容器100Аは、液体噴出器1Аを用いることによって、従来の液体噴出容器と同様、図1の初期状態から図2に示すように噴出ヘッド17を押し込むことによって、当該噴出ヘッド17の噴出口A4を通して、容器本体50の内容液を噴出させることができる。
【0050】
これに対し、図2の押し込みから当該押し込みを解除すると、ピストン13は、スプリング24の付勢力(弾性力)によってピストンガイド15とともに上側に押し戻される。このとき、ピストン13は、ピストンガイド15に対して下側にスライドするため、ピストンガイド15のシャフト部15bに形成された供給口A3は、図1に示すように、再び閉じられる。
【0051】
さらに、ピストンガイド15がスプリング24の付勢力によって押し上げられると、液体導入弁14が前記ポンプ室に生じる負圧によって引き上げられることによって、シリンダ12の液体導入口A1を開放する。これによって、容器本体50の内容液は、シリンダ12の液体導入口A1からシリンダ12の内部(前記ポンプ室)に導入される。液体導入弁14は、容器本体50の内容液がシリンダ12の内部(前記ポンプ室)に導入されたのち、当該液体導入弁14の自重によってシリンダ12の液体導入口A1を再び閉じる。
【0052】
このように、液体噴出容器100Аは、液体噴出器1Аを用いることによって、従来の液体噴出容器と同様、図2の押し込みから当該押し込みの解除によって図1の初期状態に復帰させることができる。
【0053】
上述のとおり、液体噴出器1Aによれば、噴出ヘッド17の押し込み及び当該押し込みの解除を繰り返すことによって、従来の液体噴出器と同様、容器本体50の収容空間S0に収容された内容液を噴出口A4から噴出させることができる。
【0054】
加えて、液体噴出器1Аは、噴出ヘッド17の押し込みによって、図2に示すように、メッシュ部材21をスペーサ23の押し潰し面23fに近接させる。この場合、メッシュ部材21と押し潰し面23fとの間に介在する内容液は、メッシュ部材21と押し潰し面23fとの間で高い圧力を受けつつメッシュ部材21の網目を通るように圧送される。これによって、内容液に含有する粒状物は、メッシュ部材21の網目を通して押し潰された粒状物として、当該メッシュ部材21の網目を通過する。したがって、液体噴出器1Аによれば、従来の液体噴出器と同様の操作を行うだけで、粒状物を含有した内容液を、繰り返し、噴出口A4から噴出させることができる。
【0055】
特に、液体噴出器1Aによれば、メッシュ部材21をスペーサ23の押し潰し面23fに近接させることによって、メッシュ部材21と押し潰し面23fとの間に介在する、例えば、塊のような粒状物を細かな粒状物に押し潰したのち、メッシュ部材21の網目を通して取り出すことができる。したがって、液体噴出器1Aによれば、例えば、噴出ヘッド17の押し込みをゆっくりとした速さで行うことによってメッシュ部材21を通過する内容液の流速が遅くなる場合でも、内容液に含有する粒状物を押し潰したのち、粒状物を含有する内容液として、繰り返し、噴出口A4から噴出させることができる。
【0056】
したがって、液体噴出器1A、ひいては液体噴出容器100Aによれば、内容液の流速にかかわらず、粒状物を含有する内容液の噴出を繰り返して行うことができる。
【0057】
また、液体噴出器1Aにおいて、押し潰し面23fは、平面である。この場合、メッシュ部材21と押し潰し面23fとの間に介在する内容液をメッシュ部材21に対して均等な向き(上向き)に圧送することによって、粒状物の押し潰しをより効果的に行うことができる。したがって、液体噴出器1A、ひいては液体噴出容器100Aのように、押し潰し面23fを平面とした場合、内容液の流速にかかわらず、粒状物を含有する内容液の噴出を、より長く繰り返して行うことができる。
【0058】
また、液体噴出器1Aにおいて、メッシュ部材21は、リング部材22に取り付けられており、当該リング部材22を介してピストンガイド15の液体流入筒15aに取り付けられている。この場合、ピストンガイド15の液体流入筒15aに対するメッシュ部材21の取付作業が容易になる。したがって、この場合、液体噴出器1A、ひいては、液体噴出容器100Aの生産性が向上する。
【0059】
図3には、本発明の第2の実施形態に係る液体噴出容器100Bが初期状態にあるときの、当該液体噴出容器100Bの要部が概略的に示されている。液体噴出容器100Bは、本発明の第2の実施形態に係る液体噴出器1Bを備えている。
【0060】
液体噴出器1Bにおいて、液体導入弁14は、弾性弁によって構成されている。本実施形態において、液体導入弁14は、シリンダ12の液体導入口A1を開閉する弁体14aと、シリンダ12の内側に固定される固定筒14bと、弁体14aと固定筒14bとを連結する弾性片14cとを備えている。この場合、弁体14aは、弾性片14cの付勢力(弾性力)によって液体導入口A1を閉鎖(封止)する。また、弁体14aは、シリンダ12の内圧の減少によって弾性片14cの付勢力に抗して液体導入口A1を開放することができる。
【0061】
また、液体噴出器1Bにおいて、シリンダ12もまた、装着キャップ18に固定されている。ただし、本実施形態において、シリンダ12は、当該シリンダ12の上端開口は、ポンプカバー25によって閉じられている。
【0062】
また、液体噴出器1Bにおいて、ステム16は、下端側大径部16aと、当該下端側大径部16aよりも径の小さな上端側小径部16bとを備えている。
【0063】
ステム16の上端側小径部16bの内側には、ピストンガイド15のシャフト部15bの上端部が固定されている。これによって、ピストンガイド15は、ステム16と一体的に移動させることができる。
【0064】
その一方で、ステム16の下端側大径部16aの内側には、ピストン13の上端内筒部13dが収容されている。ピストン13の上端内筒部13dは、ステム16の下端側大径部16aの内周面を摺動可能に、当該ステム16の上端側大径部16aの内側に配置されている。ピストン13は、ピストンガイド15とステム16との間に、上下方向をスライド可能に配置されている。これによって、ピストン13は、ピストンガイド15及びステム16と一体的に移動させることができるとともに、ピストンガイド15とステム16との間をスライドさせることができる。
【0065】
なお、液体噴出器1Bにおいて、ピストンガイド15の液体流入筒15aの外周面には、当該液体流入筒15aがシリンダ12の内周面を摺動するときの、液体流入筒15aとシリンダ12との間に生じ得る摺動抵抗を軽減するための、複数の縦リブ15fが設けられている。複数の縦リブ15fは、上下方向に延在しているとともに周方向に間隔を置いて配置されている。
【0066】
また、液体噴出器1Bにおいて、スペーサ座部23cは、液体導入弁14の固定筒14bによって支持されている。また、スペーサ座部23cは、液体導入弁14の弁体14aを上側から覆うドーム形状を有し、流通路R2は、軸線Оの周りを周方向に間隔を置いて複数形成された開口部によって構成されている。
【0067】
また、液体噴出器1Bにおいて、噴出ヘッド17は、カバー17cを備えている。本実施形態において、カバー17cは、ヘッド本体17aに取り付けられている。さらに、液体噴出器1Bは、装着キャップ18に取り外し可能に装着されるオーバーキャップ26を備えている。
【0068】
液体噴出容器100Bもまた、オーバーキャップ26を取り外した液体噴出器1Bを用いることによって、従来の液体噴出容器と同様、図3の初期状態から図4に示すように噴出ヘッド17を押し込み、そして、図4の押し込みから当該押し込みの解除によって図3の初期状態に復帰させることができる。液体噴出器1Bもまた、噴出ヘッド17の押し込み及び当該押し込みの解除を繰り返すことによって、従来の液体噴出器と同様、容器本体50の収容空間S0に収容された内容液を噴出口A4から噴出させることができる。
【0069】
加えて、液体噴出器1Bもまた、噴出ヘッド17の押し込みによって、図4に示すように、メッシュ部材21をスペーサ23の押し潰し面23fに近接させる。この場合、メッシュ部材21と押し潰し面23fとの間に介在する内容液は、メッシュ部材21と押し潰し面23fとの間で高い圧力を受けつつメッシュ部材21の網目を通るように圧送される。これによって、内容液に含有する粒状物は、メッシュ部材21の網目を通して押し潰された粒状物として、当該メッシュ部材21の網目を通過する。したがって、液体噴出器1Bによれば、液体噴出器1Bと同様、従来の液体噴出器と同様の操作を行うだけで、粒状物を含有した内容液を、繰り返し、噴出口A4から噴出させることができる。
【0070】
液体噴出器1Bもまた、メッシュ部材21をスペーサ23の押し潰し面23fに近接させることによって、メッシュ部材21と押し潰し面23fとの間に介在する、例えば、塊のような粒状物を細かな粒状物に押し潰したのち、メッシュ部材21の網目を通して取り出すことができる。したがって、液体噴出器1Bによれば、液体噴出器1Aと同様に、例えば、噴出ヘッド17の押し込みをゆっくりとした速さで行うことによってメッシュ部材21を通過する内容液の流速が遅くなる場合でも、内容液に含有する粒状物を押し潰したのち、状物を含有する内容液として、繰り返し、噴出口A4から噴出させることができる。
【0071】
したがって、液体噴出器1B、ひいては液体噴出容器100Bによれば、内容液の流速にかかわらず、粒状物を含有する内容液の噴出を繰り返して行うことができる。
【0072】
液体噴出器1B、ひいては液体噴出容器100Bのその他の部分については、液体噴出器1A及び液体噴出容器100Aと実質的に同一の部分は、同一の符号を用いることによって、その説明を省略する。
【0073】
以上、本発明の例示的な実施形態に係る、液体噴出器及び液体噴出容器について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。例えば、メッシュリング20は、ピストンガイド15の液体流入筒15aの外側に取り付けることができる。具体例としては、ピストンガイド15の液体流入筒15aの下端外周面にメッシュリング20のリング部材22の内周面を取り付ける。即ち、リング部材22は、例えば、液体流入筒15aの下端外周面に嵌合させることによって、当該液体流入筒15aの外側に取り付けることができる。ただし、この場合、リング部材22は、当該リング部材22の下端にメッシュ部材21が配置されるように、液体流入筒15aの下端外周面に取り付けられる。また、メッシュ部材21は、ピストンガイド15の液体流入筒15aに直接取り付けることができる。具体例としては、メッシュ部材21は、ピストンガイド15の液体流入筒15aの下端に取り付けられる。さらに、各実施形態に採用された構成(例えば、特定の部材、特定の部分)は、個別に採用し、互いに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0074】
1A:液体噴出器(第1の実施形態), 1B:液体噴出器(第2の実施形態), 11:パイプ, 12:シリンダ, 12a:シリンダのフィン部, 13:ピストン, 14:液体導入弁, 14a:液体導入弁の弁体, 14b:液体導入弁の固定筒, 14c:液体導入弁の弾性片, 15;ピストンガイド, 15a:ピストンガイドの液体流入筒, 15b:ピストンガイドのシャフト部, 15c:ピストンガイドの環状膨出部, 15d:ピストンガイドの連結片, 15e:液体流入筒の内周面から径方向内側に突出する突起, 15f:ピストンガイドの液体流入筒に設けられた縦リブ, 16:ステム, 17:噴出ヘッド, 17a:ヘッド本体, 17b:ノズルチップ, 18:装着キャップ, 19:環状シール部材, 20:メッシュリング, 21:メッシュ部材, 22:リング部材, 23:スペーサ, 23a:スペーサ本体(スペーサの本体), 23b:スペーサ外側部(スペーサの外側部), 23c:スペーサ座部(スペーサの座部), 23f:スペーサに設けられた押し潰し面, 24:スプリング, 25:ポンプカバー, 26:オーバーキャップ, 50:容器本体, 51:容器本体の口部, 52:容器本体の肩部, 53:容器本体の胴部, 100A:液体噴出容器(第1の実施形態), 100B:液体噴出容器(第2の実施形態), A1:液体導入口, A2:流通口, A3:供給口, A4:噴出口, R1:パイプの内部流路, R2:スペーサに形成された流通路, R3:リング部材によって形成された内部流路, R4:ピストンガイドに形成された内部流路, R5:ステムに形成された内部流路, R6:噴出ヘッドに形成された内部流路
図1
図2
図3
図4