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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121705
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】窓ガラス防護パネル
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/00 20060101AFI20240830BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20240830BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20240830BHJP
   E06B 3/32 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
E06B9/00 Z
E06B5/00 B
E06B7/28 Z
E06B3/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028954
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】316018627
【氏名又は名称】一般社団法人住環境創造研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】勝又 哲
(72)【発明者】
【氏名】村上 誠
【テーマコード(参考)】
2E014
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014CA01
2E014CB01
2E014CD00
2E239AB03
(57)【要約】
【課題】構造が簡単でかつ取り付けが容易でありながら、窓ガラスの効果的な防護と断熱性の向上を図ることができる窓ガラス防護パネルを提供する。
【解決手段】窓ガラス防護パネル2は、引き違い窓4の外窓6の外面にあてがわれる第1パネル14と、第1パネル14にヒンジ16を介して折り畳み可能に連結され、内窓8の外面にあてがわれる第2パネル18と、外窓6のガイドレールの内面に当接する凸部54b-1とを備えている。引き違い窓4の屋内側から、第1パネル14を屋外方向へ突出させて外窓6に沿わせた後、第1パネル14を繋ぎ留め部材32で外窓6の内面に止め、凸部54b-1で位置決めした状態で第2パネル18を回動して内窓8に沿わせ、外窓6と内窓8を閉めた後、縛り付け部材38で縛り付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外窓と内窓を具備する引き違い窓の屋外側に取り付けられる窓ガラス防護パネルであって、
前記外窓の外面にあてがわれる第1パネルと、
前記第1パネルにヒンジを介して折り畳み可能に連結され、前記内窓の外面にあてがわれる第2パネルと、を備え、
前記ヒンジは、前記外窓の前記ヒンジ側の端部を覆うとともに前記第2パネルの前記第1パネルに対する所定以上の屋外方向への回動を規制する形状を有し、且つ、前記外窓のガイドレールの内面に当接して屋外方向の位置決めをする凸部を備え、
前記引き違い窓の屋内側からの作業のみで設置可能であることを特徴とする窓ガラス防護パネル。
【請求項2】
一端が前記ヒンジ側に固定され、前記第1パネルを前記外窓の外面にあてがった状態で該第1パネルを前記外窓に繋ぎ止める着脱自在な繋ぎ留め部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の窓ガラス防護パネル。
【請求項3】
前記引き違い窓を閉めた状態で前記第1パネル及び前記第2パネルを前記引き違い窓に縛り付ける縛り付け部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の窓ガラス防護パネル。
【請求項4】
前記ヒンジが、前記引き違い窓の厚み方向に幅を有するベースプレートと、該ベースプレートの前記厚み方向両端からそれぞれ逆方向へ平行に延びる一対のパネル支持プレートと、からなる水平断面Z字状に形成され、前記第1パネルが前記一対のパネル支持プレートの一方に固定され、前記第2パネルが前記一対のパネル支持プレートの他方に回動自在に設けられ、前記凸部が前記他方のパネル支持プレートに一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の窓ガラス防護パネル。
【請求項5】
前記ヒンジが、L字状のアングル材を貼り合わせて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の窓ガラス防護パネル。
【請求項6】
前記第1パネル及び前記第2パネルが、樹脂中空ボード材の縁を枠部材で覆った構成を有していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の窓ガラス防護パネル。
【請求項7】
前記第1パネル及び第2パネルの前記縁の内面側に前記引き違い窓との間の隙間を塞ぐ柔軟性を有するスペーサが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の窓ガラス防護パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラス防護パネルに関し、詳しくは引き違い窓に使用される窓ガラス防護パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
台風や竜巻、突風などの強風で飛ばされた物が住宅や施設の窓ガラスに当たって破損すると、建物に物的な損害が生じるとともに、室内外にガラス片が飛散したり、落下して人体に危険を及ぼしたりすることが懸念されている。このような懸念は、アルミサッシが主流となって雨戸が無い家が増えている近年、益々高まっている。
【0003】
この問題に対しては、従来から飛散防止フィルムや樹脂パネルを貼付固定するなどの対策が講じられている。例えば、窓ガラスの外面を段ボールで覆い、その上にフィルムを貼り、養生テープで固定する対策も知られている。しかしながら、飛散防止フィルムは文字通り飛散防止のみの効果しかなく、窓ガラスの破損自体は避けられない。一方、樹脂パネルでは窓ガラスの破損を防止できるが、貼り付ける作業が面倒であり、例えば、瓦屋根の家の上層階や、鉄筋コンクリートの建物でベランダの無い上層階の場合には、屋外での貼り付け作業となるため、梯子を使った高所作業となるなど極めて困難で危険を伴う。また、テープを剥がすなどの撤去作業も面倒であった。
【0004】
特許文献1には、建物の軒天と外壁との交差部と、ベランダの腰壁の上端角部との間に伸縮可能な2本の支柱を所定間隔に設置し、支柱間に防護ネットを張るネット配設構造が提案されている。防護ネットは斜めに配置されて窓ガラスから離れており、飛散物は防護ネットで受け止められるため窓ガラスが破損する可能性は低い。
【0005】
特許文献1に記載の構成では、建物の寸法に合わせて2本の支柱の伸縮操作をするだけで設置(固定)ができるため、設置及び撤去作業が容易であるが、上記の樹脂パネルについての問題点である上層階での取り付けの課題は依然として残る。
【0006】
また、近年、省エネに関する対策が進んでいるが、省エネには室内の断熱性を高めて冷暖房の効率を上げる必要がある。その点、住宅などでは、窓ガラスを介して冷気や熱気の移動がかなりの割合を占めるため、室内の冷暖房効率を上げるためには、窓ガラスの断熱性を高めることが求められる。
【0007】
窓ガラスの断熱性を高める対策としては、従来、窓ガラスをペアガラスなどの複数枚のガラスを有する構造にすることなどが行われているが、ペアガラスは高価であるためあまり普及しておらず、より低廉かつ簡易な対策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-17694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、構造が簡単でかつ取り付けが容易でありながら、窓ガラスの効果的な防護と断熱性の向上を図ることができる窓ガラス防護パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の窓ガラス防護パネル(2)は、外窓(6)と内窓(8)を具備する引き違い窓(4)の外窓(6)の外面にあてがわれる第1パネル(14)と、第1パネル(14)にヒンジ(16)を介して折り畳み可能に連結され、内窓(8)の外面にあてがわれる第2パネル(18)と、を備え、ヒンジ(16)は、外窓(6)のヒンジ(16)側の端部を覆うとともに第2パネル(18)の第1パネル(14)に対する所定以上の屋外方向への回動を規制する形状を有し、且つ、外窓(6)のガイドレール(10)の内面(10a)に当接して屋外方向の位置決めをする凸部(54b-1)を備え、引き違い窓(4)の屋内側からの作業のみで設置可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る窓ガラス防護パネルによれば、上記構成を備えることで、引き違い窓の屋内側からの設置作業のみで引き違い窓の屋外側に取り付けることができるので、瓦屋根の家の上層階や、鉄筋コンクリートの建物でベランダの無い上層階の場合でも、梯子などを使うことなく安全且つ容易に設置することができる。
【0012】
また、上記の窓ガラス防護パネル(2)では、一端がヒンジ(16)側に固定され、第1パネル(14)を外窓(6)の外面にあてがった状態で該第1パネル(14)を外窓(6)に繋ぎ止める着脱自在な繋ぎ留め部材(32)を備えていてもよい。これによれば、設置が完了するまでの窓ガラス防護パネルを安定に保持することができ、設置作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0013】
また、上記の窓ガラス防護パネル(2)では、引き違い窓(4)を閉めた状態で、第1パネル(14)及び第2パネル(18)を引き違い窓(4)に縛り付ける縛り付け部材(38)を有していることを特徴とする。これによれば、設置後の窓ガラス防護パネルを安定に維持することができる。
【0014】
また、上記の窓ガラス防護パネル(2)では、ヒンジ(16)が、引き違い窓(4)の厚み方向に幅を有するベースプレート(56)と、該ベースプレート(56)の引き違い窓(4)の厚み方向両端からそれぞれ逆方向へ平行に延びる一対のパネル支持プレート(52b、54b)と、からなる水平断面Z字状に形成され、第1パネル(14)が一対のパネル支持プレート(52b、54b)の一方(52b)に固定され、第2パネル(18)が一対のパネル支持プレート(52b、54b)の他方(54b)に回動自在に設けられ、凸部(54b-1)が他方のパネル支持プレート(54b)に一体に形成されていることを特徴とする。これによれば、第1パネルと第2パネルを支持するヒンジを簡単な構成とすることがきるとともに、凸部を容易に形成することができる。
【0015】
また、上記の窓ガラス防護パネル(2)では、ヒンジ(16)が、L字状のアングル材(52、54)を貼り合わせて形成されていることを特徴とする。これによれば、貼り合わせて接着するだけでヒンジを形成でき、ヒンジの形成が極めて容易となる。
【0016】
また、上記の窓ガラス防護パネル(2)では、第1パネル(14)及び第2パネル(18)が、樹脂中空ボード材(20、26)の縁を枠部材(22、28)で覆った構成を有していることを特徴とする。これによれば、樹脂中空ボード材を補強でき、樹脂中空ボード材の窓ガラス防護機能を一層高めることができる。
【0017】
また、上記の窓ガラス防護パネル(2)では、第1パネル(14)及び第2パネル(18)の縁の内面側に引き違い窓(4)との間の隙間を塞ぐ柔軟性を有するスペーサ(24、30)が設けられていることを特徴とする。これによれば、窓ガラス防護パネルによる二重窓構成とも相まって高い断熱効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる窓ガラス防護パネルによれば、構造が簡単でかつ取り付けが容易でありながら、窓ガラスの効果的な防護と断熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る窓ガラス防護パネルの斜視図である。
図2図1で示した窓ガラス防護パネルが設置される引き違い窓の一部省略の斜視図である。
図3図1で示した窓ガラス防護パネルの一部省略の分解斜視図である。
図4図1で示した窓ガラス防護パネルの設置方法を示す平面視の模式図で、(a)は引き違い窓を閉めた状態を示す図、(b)は窓ガラス防護パネルの第1パネルを隙間から屋外へ向けて突き出した状態を示す図、(c)は第1パネルを外窓に沿わせ繋ぎ留め部材で止めた状態を示す図、(d)は外窓と内窓を移動させて第2パネルを内窓に沿わせ、締め付けベルトを屋内へ引き込んだ状態を示す図である。
図5図4(d)に示す状態から外窓と内窓を完全に閉めて締め付けベルトで窓ガラス防護パネルを引き違い窓に締め付けた設置完了状態を示す斜視図である。
図6】第2実施形態の窓ガラス防護パネルと引き違い窓の平面視の模式図である。
図7】第3実施形態の窓ガラス防護パネルの平面視の模式図である。
図8】第4実施形態の窓ガラス防護パネルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係る窓ガラス防護パネル2を示し、図2は、窓ガラス防護パネル2が設置される引き違い窓4の一例を示している。図2に示すように、引き違い窓4は、屋外側に位置する外窓6と、屋内側に位置する内窓8と、を備えている。図2において、符号10は外窓6のガイドレールであり、符号12は内窓8のガイドレールであり、符号13aは、引き違い窓4を閉じた状態で施錠するための施錠部13(図5参照)が備える係合片である。
【0022】
図1に示すように、窓ガラス防護パネル2は、引き違い窓4の外窓6の外面にあてがわれる第1パネル14と、第1パネル14にヒンジ16を介して折り畳み可能に連結され、内窓8の外面にあてがわれる第2パネル18と、を備えている。ヒンジ16は、外窓6のヒンジ16側の端部を覆うとともに第2パネル18の第1パネル14に対する所定以上の屋外方向への回動を規制する形状を有し、且つ、外窓6のガイドレール10の内面10a(図2参照)に当接して屋外方向の位置決めをする凸部54b-1を備え、引き違い窓4の屋内側からの作業のみで引き違い窓4の屋外側への設置が可能である。なお、第2パネル18の幅W2は、外窓6と内窓8との重なり部分を覆う必要がないので、第1パネル14の幅W1よりも短くなっている。
【0023】
第1パネル14及び第2パネル18は、樹脂中空ボード材の縁を枠部材で覆った構成を有している。すなわち、第1パネル14は、樹脂中空ボード材としてのポリカーボネート製の矩形の中空ボード20と、該中空ボード20のヒンジ16側を除く3辺の縁を覆うプラッスチック製の枠部材22と、中空ボード20の4辺の縁の内面側に固着して設けられ、引き違い窓4の外窓6との間の隙間を塞ぐ柔軟性を有するスペーサとしてのスポンジ24と、を備えている。第2パネル18も同様に、樹脂中空ボード材としてのポリカーボネート製の矩形の中空ボード26と、該中空ボード26のヒンジ16側を除く3辺の縁を覆うプラッスチック製の枠部材28と、中空ボード26の4辺の縁の内面側に固着して設けられ、引き違い窓4の内窓8との間の隙間を塞ぐ柔軟性を有するスペーサとしてのスポンジ30と、を備えている。枠部材22、28は直角に折り曲げた形状を有し、スポンジ24、30は細長いブロック状片を組み合わせて構成されている。
【0024】
窓ガラス防護パネル2は、さらに、第1パネル14を外窓6の外面にあてがった状態で該第1パネル14を外窓6に繋ぎ止める繋ぎ留め部材32を備えている。繋ぎ留め部材32は、不図示の両面テープで外窓6のガラス内面6a(図2参照)に着脱自在に設けられる着脱プレート34と、一端36aがヒンジ16側に固定されているとともに、他端36bが着脱プレート34に固定された一対のナイロン製のテープ36、36とから構成されている。なお、テープ36、36はナイロン製に限らず他の材質であってもよい。着脱プレート34は窓ガラス防護パネル2を引き違い窓4に設置しない不使用時は、垂れ下がって邪魔にならないように、第1パネル14の内面、すなわち中空ボード20の内面20aに着脱自在に固定されている。テープ36の一端36aが固定されるヒンジ16側は、ヒンジ16自体でもよく、外窓6のヒンジ16側の端部でもよい。また、一対のナイロン製のテープ36、36に代えて上下方向に幅のある一つのテープとしてもよい。また、テープ36の他端36b側の着脱構成は、着脱プレート34に代えて吸盤吸着式としてもよい。
【0025】
窓ガラス防護パネル2は、さらにまた、引き違い窓4を閉めた状態で第1パネル14及び第2パネル18を引き違い窓4に縛り付ける縛り付け部材38を備えている。縛り付け部材38は、第1パネル14の中空ボード20の内面20aに固定片40を介して固定されたリング状の留め金具42と、第2パネル18の中空ボード26の内面26aに固定片44を介して固定されたリング状の留め金具46と、一端にバックル48を有して留め金具42、46間に通されたナイロン製の締め付けベルト50と、を備えている。締め付けベルト50は紐状でもよい。
【0026】
図3を参照して、第1パネル14と第2パネル18及びヒンジ16の構成を詳細に説明する。なお、図3及び後述する各図では、分かりやすくするためにヒンジ16のサイズを誇張して表示している。
【0027】
ヒンジ16は、プラスチックなど硬質の合成樹脂製のL字状のアングル材52、54を貼り合わせて水平断面Z字状ないし階段状に形成されている。第1パネル14に対応するアングル材52は、引き違い窓4の厚み方向(矢印X方向)に幅を有するベースプレート52aと、該ベースプレート52aの矢印X方向における外側端から引き違い窓4と平行に延びる支持プレート52bと、を有し、支持プレート52bに第1パネル14の中空ボード20が固定(固着)されている。第2パネル18に対応するアングル材54は、引き違い窓4の厚み方向(矢印X方向)に幅を有するベースプレート54aと、該ベースプレート54aの矢印X方向における内側端から支持プレート52bとは逆方向に引き違い窓4に平行に延びる支持プレート54bと、を有し、支持プレート54bに第2パネル18の中空ボード26が回動自在に設けられている。
【0028】
第2パネル18の中空ボード26は、その角部26bが回動軸心RCとなるように接着テープ27で支持プレート54bに貼り付けられている。このため、第2パネル18は屋外方向(矢印R1方向)への回動が支持プレート54bによって規制され、内窓8と平行となる以上の屋外方向への回動はできないようになっている。すなわち、ヒンジ16は、第2パネル18の第1パネル14に対する所定以上の屋外方向への回動を規制する形状を有している。第2パネル18の支持プレート54bの下端はベースプレート54aよりも下方に延びており、この部分が外窓6のガイドレール10の内面10aに当接して窓ガラス防護パネル2の屋外方向の位置決めをする凸部54b-1となっている。窓ガラス防護パネル2は不使用時には第2パネル18が第2パネル18と重なる方向(矢印R2方向)に回動されてコンパクトに折り畳まれる。
【0029】
上述の通り、ヒンジ16は、引き違い窓4の厚み方向に幅を有するベースプレート56(ベースプレート52aとベースプレート54aの貼り合わせ構成)と、該ベースプレート56の矢印X方向における両端からそれぞれ逆方向へ平行に延びる一対のパネル支持プレート52b、54bと、からなる水平断面Z字状に形成され、第1パネル14が一対のパネル支持プレート52b、54bの一方であるパネル支持プレート52bに固定され、第2パネル18が一対のパネル支持プレート52b、54bの他方であるパネル支持プレート54bに回動自在に設けられ、凸部54b-1が他方のパネル支持プレート54bに一体に形成されている。本実施形態ではヒンジ16を2つのアングル材52、54の貼り合わせ構成としたが、それ以外にも、例えば単板を折り曲げて一体に形成したものなどであってもよい。
【0030】
ポリカーボネート製の中空ボード20、26は、上下方向に延びる角柱状の空洞が複数直列に区画形成された構造を有しており、軽量であるとともに耐衝撃性、断熱性に優れた機能を備えている。中空ボード20、26の可視性は、区画部分が縦筋として視認される半透明であり、引き違い窓4の外側に配置しても良好な採光性を得ることができる。勿論、有色の中空ボード20、26を採用すれば、遮光性とすることもできる。なお、中空ボード20、26の厚さは、一例として6mm又は10mmの厚さが好適であるが、それに限らず、他の厚さであってもよい。中空ボード20、26の厚さは、窓ガラス防護パネル2の外形寸法や求められる強度や断熱性に応じて適宜に選択することが可能である。
【0031】
次に、平面視の模式図である図4を参照して本実施形態に係る窓ガラス防護パネル2の設置方法(取り付け方法)を説明する。なお、図4では、窓ガラス防護パネル2を簡略化したものを示しており、図4(b),(c)では縛り付け部材38の図示を省略し、図4(d)では繋ぎ留め部材32の図示を省略している。
【0032】
図4(a)は引き違い窓4を閉めた状態を示しており、施錠構成等は省略している。また、図5は、図4(d)に示す状態から外窓6と内窓8を完全に閉めて締め付けベルト50で窓ガラス防護パネル2を引き違い窓4に締め付けた設置完了状態を示す斜視図である。
【0033】
窓ガラス防護パネル2を引き違い窓4に設置するには、まず、図4(a)に示す状態から外窓6と内窓8を互いに逆向きに移動させることで、図4(b)に示すように、外窓6の移動方向先端側と窓枠4aとの間に隙間がある状態で、屋内側にいる設置者が窓ガラス防護パネル2の第1パネル14を上記隙間から屋外方向に突き出す。この段階で繋ぎ留め部材32の着脱プレート34を第1パネル14の中空ボード20から外しておく。その後、図4(c)に示すように、ヒンジ16の凸部54b-1を外窓6のガイドレール10の内面10aに引っ掛けて屋外方向における窓ガラス防護パネル2の位置決めをした状態で、第1パネル14を外窓6の外面に沿わせる。
【0034】
この状態で、繋ぎ留め部材32の着脱プレート34を外窓6のガラス内面6aに固定する。これにより、第1パネル14の屋外方向への倒れが防止される。なお、繋ぎ留め部材32は必ずしも設けていなくてもよいが、繋ぎ留め部材32を設けることにより設置作業時の窓ガラス防護パネル2を安定させることができる。
【0035】
この際、図5に示すように、繋ぎ留め部材32の着脱プレート34を施錠部13の係合片13aと外窓6のガラス内面6aとの隙間に差し込んだ状態で繋ぎ留め部材32を固定することで、繋ぎ留め部材32が外窓6から容易に外れてしまうことを防止できる。なお、繋ぎ留め部材32は、上下のテープ36同士を繋ぐ着脱プレート34を必ずしも備えていなくてもよく、図示は省略するが、上下それぞれのテープ36とそれらの先端に設けた両面テープや吸盤などの着脱手段(貼付手段)のみであってもよい。その場合は、繋ぎ留め部材32を係合片13aの上下それぞれのガラス内面6aに貼り付け固定するのみとなる。
【0036】
次に、図4(d)に示すように、外窓6と内窓8を図4(a)に示す閉じ位置に向けて移動させる。この際、窓ガラス防護パネル2から手を離しても、凸部54b-1と繋ぎ留め部材32との相互的な係止機能により窓ガラス防護パネル2は屋外方向へ倒れず、内窓8の移動に伴って第2パネル18は自動的に回動して内窓8と窓枠4aとの隙間から屋外側へ引き出され、最終的に屋外側で内窓8の外面を覆った状態で内窓8と平行になる。このため、引き違い窓4の幅が作業者の両手を広げた幅よりも広い場合でも一人で容易に設置することができる。繋ぎ留め部材32の位置は、第1パネル14の上下方向における中央部が望ましい。
【0037】
窓枠4aとの間に隙間がある状態で外窓6と内窓8の移動を止め、当該隙間から締め付けベルト50の両端部を屋内に引き込む。その後、外窓6と内窓8を完全に閉め、図5に示すように、締め付けベルト50の一端部をバックル48に通して締め付ける。これにより引き違い窓4に対する窓ガラス防護パネル2の設置が完了する。テープ36や締め付けベルト50は、外窓6と内窓8を完全に閉めることができる厚みを有している。
【0038】
本実施形態に係る窓ガラス防護パネル2は、全ての構成要素がプラスチックやポリカーボネイトなど比較的軽量な合成樹脂材で形成されているので、非常に軽く、片手でも容易に取り扱える重量となっている。このため、引き違い窓4の屋内側からの設置において、片手で持って位置調整が容易にでき、少ない労力で簡単に設置することができる。勿論、第2パネル18の回動を金属製のヒンジ構成とするなどプラスチックと金属の複合構成としてもよく、その場合でも取り扱い性に大差はない。
【0039】
上記のように、本実施形態に係る窓ガラス防護パネル2は屋内(室内)側からの作業のみで設置できるので、瓦屋根の家の上層階や、鉄筋コンクリートの建物でベランダの無い上層階の場合でも、梯子などを使うことなく安全且つ容易に設置することができる。撤去する場合にも締め付けベルト50を解いて取り外すだけであるので、作業が極めて簡単で迅速にできる。勿論、窓ガラス防護パネル2を窓の外側から設置してもよい。また、窓ガラス防護パネル2は不使用時には折り畳んでコンパクトにできるので、保管スペースも少なくて済む。
【0040】
窓ガラス防護パネル2を設置すると、耐衝撃性に優れたポリカーボネート製の中空ボード20、26により強風による飛来物から窓ガラスを防護することができ、窓ガラスの割れを防止することができる。また、窓の高さを越えて雪が積もる豪雪地域では、屋内方向へ作用する雪圧で窓ガラスが割れる危険性があるが、本実施形態に係る窓ガラス防護パネル2はその対策にも使用することができ、窓ガラスの割れを防止することができる。さらに、二重窓構造となるため、スポンジ24、30による隙間を塞ぐ機能とも相まって、高い断熱性が得られ、冷暖房効果の向上と燃費の節約に寄与する。
【0041】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項、及び図示する以外の事項については、第1実施形態と同じである。この点は、下記の他の実施形態についても同様である。
【0042】
図6は、第2実施形態の窓ガラス防護パネル2-2と引き違い窓4の平面視の模式図である。第2実施形態の窓ガラス防護パネル2-2は、縛り付け部材38-2の両端部を繋ぎ留め部材32-2の先端部に連結する構造となっている。すなわち、縛り付け部材38-2の締め付けベルト50-2の両端部と二本の繋ぎ留め部材32-2それぞれの先端部とに設けた係止具48-2同士を係止することで縛り付け部材38-2を固定するようにしている。この構成によれば、窓ガラス防護パネル2-2の部品点数を少なく抑えてより簡易な構造とすることができると共に、窓ガラス防護パネル2-2の設置の容易化を図ることができる。
【0043】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態の窓ガラス防護パネル2-3の平面視の模式図である。なお、同図では、繋ぎ留め部材32や縛り付け部材38は図示を省略している。第3実施形態の窓ガラス防護パネル2-3は、第1パネル14-3と第2パネル18-3をそれぞれ二つ折り構造とすることで、全体を四つ折り構造として収納時や運搬時のコンパクト性を向上させたものである。すなわち、窓ガラス防護パネル2-3の第1パネル14-3は、幅方向の中央部で分割パネル14-3aと分割パネル14-3bが回動可能に連結されており、第2パネル18-3は、幅方向の中央部で分割パネル18-3aと分割パネル18-3bが回動可能に連結されている。これにより、窓ガラス防護パネル2-3を折り畳む際は、図7に示すように、第1パネルの折り畳み〔1〕と、第2パネルの折り畳み〔2〕と、窓ガラス防護パネル2-3自体の折り畳み〔3〕とによって、窓ガラス防護パネル2-3の全体が四つ折りにすることができる。これにより、保管時や運搬時の窓ガラス防護パネル2-3の更なるコンパクト化が可能となる。
【0044】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図8は、第4実施形態の窓ガラス防護パネル2-4の斜視図である。第4実施形態の窓ガラス防護パネル2-4は、第2パネル18-4の高さ寸法H2を第1パネル14-4の高さ寸法H1よりも若干小さな寸法(H1>H2)としている。第2パネル18-4の高さ寸法H2を小さくすることで、窓ガラス防護パネル2-4の設置作業において、第2パネル18-4が内窓8の移動に伴って内窓8と窓枠4aとの隙間から屋外側へ引き出される際に、上下の窓枠4aに第2パネル18-4が引っ掛かることなくスムーズに屋外側へ引き出されるようになる。したがって、窓ガラス防護パネル2-4の設置作業の更なる容易化を図ることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、中空ボード20、26はポリカーボネート製に限定されず、他の樹脂であってもよい。また、中実の樹脂ボードを採用してもよい。スペーサとしてはスポンジ24、30に限らず、ウレタンフォーム等を採用してもよい。また、締め付けベルト50としては、バックル48に代えて、スナップフィット方式でワンタッチ結合できる係止具などを用いてもよい。また、上記実施形態では凸部54b-1をヒンジ16の下側に設けたが、上側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0046】
2 窓ガラス防護パネル
4 引き違い窓
6 外窓
8 内窓
10、12 ガイドレール
14 第1パネル
16 ヒンジ
18 第2パネル
20、26 中空ボード(樹脂中空ボード材)
24、30 スポンジ(スペーサ)
32 繋ぎ留め部材
36 テープ
36a 一端
36b 他端
38 縛り付け部材
52、54 アングル材
52b、54b パネル支持プレート
54b-1 凸部
56 ベースプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8