(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121708
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】全輪駆動車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
B60K 17/35 20060101AFI20240830BHJP
B60K 23/08 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B60K17/35 B
B60K23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028957
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 光史
(72)【発明者】
【氏名】百々 浩平
(72)【発明者】
【氏名】山本 真史
(72)【発明者】
【氏名】牛嶋 克也
(72)【発明者】
【氏名】祝 伸広
(72)【発明者】
【氏名】金 兌奐
(72)【発明者】
【氏名】萩野 道久
(72)【発明者】
【氏名】上田 悠人
(72)【発明者】
【氏名】荒井 康志
(72)【発明者】
【氏名】安食 隆志
(72)【発明者】
【氏名】溝江 凌
【テーマコード(参考)】
3D036
3D043
【Fターム(参考)】
3D036GA22
3D036GA46
3D036GB04
3D036GB05
3D036GB06
3D036GB13
3D036GC01
3D036GD09
3D036GG64
3D036GG78
3D036GH16
3D036GJ17
3D043AA05
3D043AB17
3D043EA02
3D043EA05
3D043EA23
3D043EA25
3D043EA32
3D043EB03
3D043EB07
3D043EB12
3D043ED00
3D043EE02
3D043EE03
3D043EF09
3D043EF18
(57)【要約】
【課題】過大な引込みトルクによる切替ショックを抑制しつつ、切替禁止領域を可及的に縮小させて、運転者に与える違和感を抑制する全輪駆動車両の制御装置を提供する。
【解決手段】動力伝達装置18の潤滑油の温度Toilが第1低温範囲のうちの高温側の第2低温範囲内となると、潤滑油量制御部156の少潤滑油量制御により、動力伝達装置18の潤滑油量が、低油温時切替禁止制御部154によりトランスファ22の高速段から低速段への切り替えが禁止されているときの値よりも減少させられ、切替許可部158により、トランスファ22の高速段から低速段への切り替えが許可される。動力伝達装置18の潤滑油量が少なくされると、動力伝達装置18内のクラッチによる引き摺りによる引込みトルクが小さくされ、過大な引込みトルクによる切替ショックが抑制されつつ、切替禁止領域を可及的に縮小させ、運転者に与える違和感が抑制される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源と、前記動力源からの動力を前輪及び後輪に選択的に分配し且つ高速段及び低速段を選択的に切り替える動力分配装置を有する動力伝達装置と、を備えた全輪駆動車両の、制御装置であって、
前記動力伝達装置の潤滑油の温度が所定の第1低温範囲内であり且つイグニッションオン操作からの経過時間が所定の時間範囲内である切替禁止領域において前記高速段から低速段への切り替えを禁止する低油温時切替禁止制御部と、
前記動力伝達装置の潤滑油量を、前記低油温時切替禁止制御部により前記高速段から低速段への切り替えが禁止されているときの値よりも減少させる潤滑油量制御部と、
前記動力伝達装置の潤滑油の温度が前記第1低温範囲のうちの高温側の第2低温範囲内となると、前記潤滑油量制御部により前記動力伝達装置の潤滑油量を減少させ、前記高速段から低速段への切り替えを許可する切替許可部と、を含む
ことを特徴とする全輪駆動車両の制御装置。
【請求項2】
前記切替禁止領域は、前記動力伝達装置の潤滑油の温度が低くなるほど、前記イグニッションオン操作からの経過時間が長くなる領域である
ことを特徴とする請求項1の全輪駆動車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源からの動力を前輪及び後輪に分配する全輪駆動車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
動力源と、前記動力源からの動力を前輪及び後輪に選択的に分配し且つ高速段及び低速段を選択的に切り替える動力分配装置を有する動力伝達装置と、を備えた全輪駆動車両の、制御装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1に記載された全輪駆動車両の制御装置によれば、停車状態であることを第1条件とし、駆動力源と入力軸との間の動力伝達が遮断されたニュートラル状態であることを第2条件とし、ローギヤ走行モードの選択操作によってローギヤ走行モードが選択されたことを第3条件として、ハイギヤ4輪走行モードでの運転時に、第1条件及び第2条件が満たされたとき、ハイギヤ2輪走行モードへ切り替え、第1条件及び第2条件が満たされた状態で第3条件が満たされたら、ハイギヤ2輪走行モードからローギヤ走行モードへ切り替えられる。これにより、第1条件乃至第3条件の全てが満たされた後のローギヤ走行モードへの切り替え所要時間が短縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、動力伝達装置の潤滑油の低温下且つイグニッションオン操作直後の潤滑油流量が多いときには、動力伝達装置内のクラッチの引き摺りによる過大な引込みトルクが発生する。このような状況下において、動力分配装置(トランスファ)のハイギヤ段からローギヤ段への切り替えを行なった場合には、過大な引込みトルクにより動力分配装置内の噛合クラッチにギヤ鳴りが発生するなどの切り替えショックが発生する。
【0006】
これに対して、動力伝達装置の潤滑油の低温下且つイグニッショションオン操作直後には、動力分配装置のハイギヤ段からローギヤ段への切り替えを禁止することが、考えられる。この場合、ハイギヤ段からローギヤ段への切替禁止領域は、動力伝達装置の潤滑油の温度とイグニッションオン操作からの経過時間とに応じて設定されることになる。
【0007】
しかしながら、このように、動力分配装置のハイギヤ段からローギヤ段への切り替えが禁止されることになると、切替禁止領域が広くなり過ぎて、運転者に違和感を与える場合があった。
【0008】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、過大な引込みトルクによる切替ショックを抑制しつつ、切替禁止領域を可及的に縮小させて、運転者に与える違和感を抑制することができる全輪駆動車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明の要旨とするところは、(a)動力源と、前記動力源からの動力を前輪及び後輪に選択的に分配し且つ高速段及び低速段を選択的に切り替える動力分配装置を有する動力伝達装置と、を備えた全輪駆動車両の、制御装置であって、(b)前記動力伝達装置の潤滑油の温度が所定の第1低温範囲内であり且つイグニッションオン操作からの経過時間が所定の時間範囲内である切替禁止領域において前記高速段から低速段への切り替えを禁止する低油温時切替禁止制御部と、(c)前記動力伝達装置の潤滑油量を、前記低油温時切替禁止制御部により前記高速段から低速段への切り替えが禁止されているときの値よりも減少させる潤滑油量制御部と、(d)前記動力伝達装置の潤滑油の温度が前記第1低温範囲のうちの高温側の第2低温範囲内となると、前記潤滑油量制御部により前記動力伝達装置の潤滑油量を減少させ、前記高速段から低速段への切り替えを許可する切替許可部と、を含むことにある。
【発明の効果】
【0010】
前記動力伝達装置の潤滑油の温度が前記第1低温範囲のうちの高温側の第2低温範囲内となると、前記潤滑油量制御部により、前記動力伝達装置の潤滑油量が、前記低油温時切替禁止制御部により前記高速段から低速段への切り替えが禁止されているときの値よりも減少させられ、前記切替許可部により、前記高速段から低速段への切り替えが許可される。前記動力伝達装置の潤滑油量が少なくされると、動力伝達装置内のクラッチの引き摺りによる引込みトルクが小さくされるので、過大な引込みトルクによる切替ショックが抑制されつつ、前記切替許可部により、前記高速段から低速段への切り替えが許可されることで、切替禁止領域を可及的に縮小させて、運転者に与える違和感が抑制される。
【0011】
好適には、前記低油温切替禁止領域は、前記動力伝達装置の潤滑油の温度が低くなるほど、前記イグニッションオン操作からの経過時間が長くなる領域である。これにより、潤滑油が低温となるほど、潤滑油の粘性が高くなり、前記引込みトルクが大きくなってそれが減少するまでの時間が長くなるので、前記切替禁止領域の前記イグニッションオン操作からの経過時間が長くなることで、切替ショックが適切に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明が適用される車両の駆動系統を説明する図であると共に、車両における各種制御の為の制御機能の要部を説明する図である。
【
図2】
図1の車両が備える動力伝達装置の骨子図であって、(a)はHV用伝動装置及び自動変速機の骨子図、(b)はトランスファの骨子図である。
【
図3】
図1の油圧制御回路に設けられた潤滑油量制御機構を説明する図である。
【
図4】
図1の切替禁止制御部により動力分配装置の高速段から低速段への切り替えを禁止する低油温切替禁止領域を説明する図である。
【
図5】
図1の切替許可部による作動を説明するタイムチャートである。
【
図6】
図1の切替許可部による作動を説明するタイムチャートである。
【
図7】
図1の電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態において、トランスファは、ハイロー噛合クラッチ機構を備えており、そのハイロー噛合クラッチ機構は同期噛合機構を備えていないが、同期噛合機構を備えるものとしてもよい。
【0014】
走行モード切替制御部は、ハイロー選択装置による選択に応じて、例えばH4モード、L4モード、H2モード、及びL2モードの4種類の走行モードを成立させるように構成されるが、H4モード、L4モード、及びH2モードの3種類の走行モードに切り替えるだけでも良い。
【実施例0015】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された全輪駆動車両(以下、車両という)10の駆動系統を説明する骨子図で、車両10における各種制御の為の制御機能の要部を併せて示した図である。車両10は、前置エンジン後輪駆動方式(FR)を基本とするハイブリッド方式の前後輪駆動車両(全輪駆動車両或いは4輪駆動車両)である。車両10は、動力源としてのエンジン12と、左右一対の前輪14と、左右一対の後輪16と、動力伝達装置18と、を備えている。動力伝達装置18は、エンジン12に連結されたHV用伝動装置20、自動変速機45、及びHV用伝動装置20に連結されたトランスファ22を有している。エンジン12及びHV用伝動装置20からトランスファ22へ伝達された駆動力は、フロントプロペラシャフト24及びリヤプロペラシャフト26に分配され、フロントプロペラシャフト24からは、ディファレンシャル28を介して左右の前輪14に伝達される一方、リヤプロペラシャフト26からは、ディファレンシャル30を介して左右の後輪16に伝達される。エンジン12は、ガソリンエンジン等の内燃機関であり、走行用の動力源として用いられる。エンジン12のトルクであるエンジントルクTeは、電子制御装置150から出力されるエンジン制御信号Se によって制御される。
【0016】
図2(a)は、HV用伝動装置20及び自動変速機45の具体例を説明する骨子図である。動力源としての電動機MG、モータ連結軸42、トルクコンバータ44、自動変速機45、及びトランスファ22は、非回転部材であるケース40内において共通の第1軸線CL1上に配設されている。
図2では第1軸線CL1の下半分が省略されている。
【0017】
エンジン12とモータ連結軸42との間には、エンジン断接クラッチK0が設けられている。モータ連結軸42には、エンジン12と共に走行用の動力源として用いられる電動機MGが、モータ断接クラッチK2を介して連結されている。エンジン断接クラッチK0及びモータ断接クラッチK2は、油圧制御回路48(
図1参照)から供給される係合油圧が、それぞれ電子制御装置150から出力されるK0切替信号Sk0、K2切替信号Sk2によって制御されることにより、個別に係合解放状態が切り替えられる。電動機MGは、電動機及び発電機としての機能を有するモータジェネレータで、図示しないインバータを介して蓄電装置に連結されており、電動機MGのトルクであるMGトルクTmgは、電子制御装置150から出力されるMG制御信号Smgによって制御される。
【0018】
トルクコンバータ44は、モータ連結軸42と連結されたポンプ翼車44a、及び変速機入力軸46と連結されたタービン翼車44bを備えている。トルクコンバータ44は、ポンプ翼車44aとタービン翼車44bとを連結するロックアップクラッチLUを備えている。ロックアップクラッチLUは、油圧式の摩擦係合装置であり、油圧制御回路48から供給される係合油圧が、電子制御装置150から出力されるLU制御信号Sluによって制御されることにより、係合解放状態が切り替えられる。
【0019】
自動変速機45は、例えば3組の遊星歯車装置PG1、PG2、PG3と、複数の油圧式の摩擦係合装置、すなわちクラッチC1~C4及びブレーキB1~B2と、を備えている、8速の自動変速機である。上記油圧式の摩擦係合装置は、油圧制御回路48から供給される係合油圧が、電子制御装置150から出力されるCB制御信号Scbによって制御されることにより、係合解放状態が切り替えられる。自動変速機45は、複数の係合装置CBの係合解放状態に応じて変速比γが異なる複数のギヤ段を択一的に形成することができる有段変速機である。
【0020】
図1の油圧制御回路48には、エンジン12によって直接的に或いはトルクコンバータ44のポンプ翼車44aを介して間接的に回転駆動される図示しない機械式油圧ポンプから吐出される油圧が元圧として供給されている。油圧制御回路48は、電磁切替弁や電磁調圧弁等を備えており、エンジン断接クラッチK0の係合油圧、ロックアップクラッチLUの係合油圧、自動変速機45の摩擦係合装置の係合油圧が、出力される。
【0021】
図3は、油圧制御回路48に設けられた潤滑油量制御機構の一例を示している。
図3において、潤滑油量調整弁49は、シリンダボア49aと、シリンダボア49a内に摺動可能に嵌め入れられ、たとえば調圧弁のリリーフポートに接続された潤滑油入力ポート49bと潤滑油出力ポート49cとの間を開閉するスプール弁子49dと、シリンダボア49a内の一端側に形成されて電子制御装置150により制御されるリニヤソレノイド弁SLTから出力されるSLT圧を受け入れてスプール弁子49dを開弁側へ付勢する油室49eと、シリンダボア49a内の他端側に収容されてスプール弁子49dを開弁側へ付勢するリターンスプリング49fと、を備えている。潤滑油量調整弁49は、SLT圧が大きくなるほど、スプール弁子49dを
図3の右側に示す位置へ向かって移動させることにより潤滑油出力ポート49cの開口を大きくし、動力伝達装置18内の潤滑油路50への潤滑油量を増加させる。潤滑油は、自動変速機45の入力軸52側から供給される。
【0022】
図2(b)は、トランスファ22の具体例を説明する骨子図である。トランスファ22は、ケース40の車両後方側に収容されている。トランスファ22は、ケース40内において、入力軸52、副変速機54、第1出力軸56、第2出力軸58、センターディファレンシャル60、及びデフロック噛合クラッチ機構62などを備えている。
【0023】
入力軸52は、自動変速機45の出力軸47に連結されており、エンジン12から自動変速機45を介して入力された動力によって回転駆動させられる。第1出力軸56は、リヤプロペラシャフト26に連結されている。第2出力軸58は、フロントプロペラシャフト24に連結されている。副変速機54は、シングルピニオン型の遊星歯車装置66と、ローギヤ段L又はハイギヤ段Hを選択的に成立させるハイロー噛合クラッチ機構68と、を備えている。
【0024】
ハイロー噛合クラッチ機構68には、サンギヤS1との噛合に関与する同期噛合機構が設けられていない。キャリアCA1には、ハイロー噛合クラッチ機構68のうちの、ローギヤ段Lの成立に関与するクラッチギヤ72が連結されている。
【0025】
ハイロー噛合クラッチ機構68は、ハイギヤ段Hを成立させる為のサンギヤS1に連結されたサンギヤ連結歯70と、ローギヤ段Lを成立させる為の噛合クラッチ74を有している。噛合クラッチ74は、センターディファレンシャル60に備えられたデフケース76に対して第1出力軸56の軸心まわりの相対回転不能且つ第1出力軸56の軸心方向の相対移動可能に設けられた円筒状のスリーブ78を備えている。また、噛合クラッチ74は、スリーブ78の外周部に設けられた外周歯80と噛み合うクラッチギヤ72を備えている。
【0026】
副変速機54は、ハイロー噛合クラッチ機構68においてスリーブ78が第1出力軸56の軸心方向に摺動することでスリーブ78の内周歯とサンギヤ連結歯70とが噛み合うことにより、ハイギヤ段Hが成立させられる。又、副変速機54は、ハイロー噛合クラッチ機構68においてスリーブ78が第1出力軸56の軸心方向に摺動することでスリーブ78の外周歯80とクラッチギヤ72とが噛み合うことにより、ローギヤ段Lが成立させられる。副変速機54は、トランスファ22に設けられた、エンジン12の回転を変速してエンジン12からの動力を前輪14及び後輪16に伝達する有段変速機である。
【0027】
センターディファレンシャル60は、第1出力軸56及び第2出力軸58に対して、それらの間の回転差動を許容しつつ動力を分配する中央差動装置である。センターディファレンシャル60は、デフケース76、リングギヤR2、サンギヤS2、及びキャリアCA2などを備えている。デフケース76は、第1出力軸56の軸心まわりの回転可能に第1出力軸56に支持されている。リングギヤ82は、第1出力軸56に連結されている。
【0028】
トランスファ22は、ドライブスプロケット82、ドリブンスプロケット84、及びチェーン86を備えている。ドライブスプロケット82は、第1出力軸56に対して回転可能に支持されており、サンギヤS2に連結されている。ドリブンスプロケット84は、第2出力軸58に対して回転不能に連結されている。チェーン86は、ドライブスプロケット82及びドリブンスプロケット84に巻き掛けられている。ドライブスプロケット82の回転は、チェーン86を介してドリブンスプロケット84に伝達される。
【0029】
デフロック噛合クラッチ機構62は、トランスファ22を、選択的に、第1出力軸56と第2出力軸58との間の回転差動が制限されたデフロック状態と、回転差動が制限されないフリー状態と、2輪駆動状態とする。つまり、デフロック噛合クラッチ機構62は、トランスファ22の状態を前輪14と後輪16との間の回転差動が制限された差動制限状態とする差動制限機構である。
【0030】
デフロック噛合クラッチ機構62は、スリーブ88、及びクラッチギヤ90などを備えている。スリーブ88は、デフケース76に対して第1出力軸56の軸心まわりの相対回転不能且つ第1出力軸56の軸心方向の相対移動可能に設けられている。クラッチギヤ90は、スリーブ88の内周歯に噛み合う外周歯を有しており、ドライブスプロケット82とデフケース76との間に配置され、ドライブスプロケット82に連結されている。デフロック噛合クラッチ機構62は、スリーブ88がデフケース76と噛み合いつつクラッチギヤ90と噛み合うことにより、トランスファ22をセンターディファレンシャル60の差動が制限されたデフロック状態とする。
【0031】
トランスファ22は、シフトアクチュエータ92を備えている。ハイロー噛合クラッチ機構68及びデフロック噛合クラッチ機構62は、各々、後述する電子制御装置150によってシフトアクチュエータ92が駆動させられることで係合させられる。ハイロー噛合クラッチ機構68は、シフトアクチュエータ92の第1出力部材94が第1出力軸56の軸心方向へ作動させられることによってスリーブ78がその軸心方向へ作動させられ、ローギヤ段L又はハイギヤ段Hを選択的に成立させる。デフロック噛合クラッチ機構62は、シフトアクチュエータ92の第2出力部材96が第1出力軸56の軸心方向へ作動させられることによってスリーブ88がその軸心方向へ作動させられ、係合と解放とが切り替えられる。トランスファ22は、デフロック噛合クラッチ機構62の係合によって、デフロック状態とされ、デフロックがオンの4輪走行(例えばL4Lモード)とされる。トランスファ22は、デフロック噛合クラッチ機構62の解放によって、センターディファレンシャル60の差動が制限されないフリー状態とされ、デフロックがオフ状態の4輪走行(例えばH4又はL4モード)とされる。トランスファ22は、デフロック噛合クラッチ機構62をスリーブ88がクラッチギヤ90のみと噛み合う位置とすることにより、2輪走行状態(H2又はL2モード)とする。
【0032】
図1に戻り、車両10は、エンジン12の制御などに関連する車両10の制御装置を含むコントローラとしての電子制御装置150を備えている。電子制御装置150には、例えば、エンジン回転速度センサ112、MG回転速度センサ114、AT入力回転速度センサ116、AT出力回転速度センサ118、アクセル開度センサ120、スロットル弁開度センサ122、ブレーキ力センサ124、車輪速センサ126、ハイロー状態検出センサ128、デフ状態検出センサ130、油温センサ132などから、エンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne 、電動機MGの回転速度であるMG回転速度Nmg、AT入力回転速度Ni 、AT出力回転速度No 、アクセルペダルの踏込み操作量に対応するアクセル開度θacc 、エンジン12の電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ブレーキペダルの踏込み操作力に対応するブレーキ力Fbr、前輪14及び後輪16の各車輪速Nwfl 、Nwfr 、Nwrl 、Nwrr 、副変速機54がハイギヤ段H かローギヤ段L かを表すハイロー状態Phl、センターディファレンシャル60がフリー状態かデフロック状態かを表すデフ状態Pdiff、動力伝達装置18の潤滑油温度Toilなどを表す信号がそれぞれ供給される。
【0033】
電子制御装置150には、レンジ選択装置140、副変速機54をハイギヤ段H にするかローギヤ段L にするかを選択操作するハイロー選択装置142、センターディファレンシャル60をフリー状態にするかデフロック状態にするかを選択するデフ状態選択装置144から、それぞれ選択レンジ信号Srang、ハイロー選択信号Shl、デフ状態選択信号Sdiff、が供給される。これ等のレンジ選択装置140、ハイロー選択装置142、デフ状態選択装置144は、何れも運転席の近傍に配置されて運転者によって操作される。レンジ選択装置140は、例えばシフトレバーなどで、前進走行が可能なDレンジ、後進走行が可能なRレンジ、駐車用のPレンジなどを選択できる。ハイロー選択装置142は、例えばローギヤ段Lを選択する場合に操作されるローギヤ選択スイッチなどで、操作されない場合はハイギヤ段Hの選択になる。デフ状態選択装置144は、例えばデフロック状態を選択する場合に操作されるデフロック選択スイッチなどで、操作されない場合はフリー状態の選択になる。これ等のハイロー選択装置142、デフ状態選択装置144は、例えば走破性を高める場合に、副変速機54をローギヤ段L にしたり、センターディファレンシャル60をデフロック状態にするために操作される。
【0034】
電子制御装置150は、アクセル開度θacc 及び車速V等に基づいて要求駆動トルク等を算出し、その要求駆動トルク等が得られるようにエンジントルクTe 及びMGトルクTmgを制御するとともに、予め定められた変速マップに従って自動変速機45の変速制御等を実行する他、トランスファ22の作動状態が異なる複数種類の走行モードを切り替える走行モード切替制御部152、低油温時切替禁止制御部154、潤滑油量制御部156、切替許可部158を、機能的に備えている。
【0035】
走行モード切替制御部152は、ハイロー選択装置142による選択及びデフ状態選択装置144による選択に応じて、ハイロー噛合クラッチ機構68及びデフロック噛合クラッチ機構62の作動状態を変更することにより、トランスファ22を、走行モードのいずれかに択一的に切り替える。具体的には、トランスファ22がハイギヤ段Hで4輪走行のH4モード、トランスファ22がハイギヤH で2輪走行のH2モード、トランスファ22がローギヤL で4輪走行のL4モード、トランスファ22がローギヤ段L で2輪走行のL2モードのいずれかに切り替える。
【0036】
低油温時切替禁止制御部154は、動力伝達装置18の潤滑油温度Toilが所定の第1低温範囲たとえば5℃~-40℃の範囲内であり且つパワーオンスイッチ操作であるイグニッションオン操作(低温時では直ちにエンジン12が起動される)からの経過時間teが所定の時間範囲内である低油温切替禁止領域A(
図4に示す領域A)内において、ハイロー選択装置142の操作に拘わらずトランスファ22のハイギヤ段H(以下、「高速段」という)からローギヤ段L(以下、「低速段」という)への切り替えを禁止する。
図4の低油温切替禁止領域Aは、潤滑油の温度Toilを示す縦軸と、イグニッションオン操作からの経過時間teを示す横軸との二次元座標において、動力伝達装置18の潤滑油温度Toilが低くなるほど、イグニッションオン操作からの経過時間teが大きくなるように設定されている。
【0037】
エンジン12の始動時には潤滑油流量が多く、潤滑油温度Toilが低温となるほどその潤滑油の粘性が高いので、自動変速機45に供給される潤滑油は、機械式油圧ポンプに近い自動変速機45の入力側に位置するクラッチC4、C3、C1へ順に到達することで、クラッチC4、C3、C1の引き摺りトルクが順に大きくなる。イグニッションオン操作(エンジン12の始動)直後にハイロー噛合クラッチ機構88による高速段から低速段への切り替え操作が行なわれると、クラッチC4、C3、C1の引き摺りによる過大な引込みトルクによってハイロー噛合クラッチ機構68にギヤ鳴りが発生するなどの切替ショックがが発生するため、上記のようにイグニッションオン操作からの経過時間teが所定の時間範囲内では、ハイロー噛合クラッチ機構68による高速段から低速段への切り替えが禁止されている。上記低温切替禁止領域Aでは、過大な引込みトルクによる切替ショックの発生は抑制されるものの、低温切替禁止領域Aが広くなり過ぎて、運転者に違和感を与える場合がある。このため、本実施例では、過大な引込みトルクによる切替ショックの抑制と運転者に与える違和感の抑制とを両立させるために、潤滑油量制御部156及び切替許可部158が設けられている。
【0038】
潤滑油量制御部156は、予め設定された少潤滑油量条件が成立すると、たとえば動力伝達装置18の潤滑油の温度Toilが、低油温切替禁止領域Aでの第1低温範囲たとえば5℃~-40℃のうちの高温側の第2低温範囲たとえば5℃~-8℃内であることが成立すると、リニヤソレノイド弁SLTから出力されるSLT圧を減少させて動力伝達装置18の潤滑油量を減少させる。すなわち、低油温時切替禁止制御部154により高速段から低速段への切り替えが禁止されているときの値よりも減少させる。
【0039】
切替許可部158は、動力伝達装置18の潤滑油の温度Toilが第1低温範囲のうちの高温側の第2低温範囲内となると、すなわち
図4の切替許可領域B内となると、潤滑油量制御部156により動力伝達装置18の潤滑油量を減少させた上で、ハイロー選択装置142の操作によるトランスファ22の高速段から低速段へ切り替えを許可する。この第2低温範囲内では、自動変速機45の潤滑油が減少させられるので、潤滑油が多量であることによる、クラッチC4、C3、C1の引き摺りによる過大な引込みトルクの発生は抑制される。切替許可領域Bは、
図4に示すように、二次元座標において、動力伝達装置18の潤滑油温度Toilが低くなるほど、イグニッションオン操作からの経過時間teが大きくなるように設定されている。切替許可部158は、たとえば、ハイロー選択装置142の操作によるトランスファ22の高速段から低速段への切り替えに先立つPポジションからNポジションまでのシフト操作過程でノイズのない場合には、低油温時切替禁止制御部154によるハイロー選択装置142の操作によるトランスファ22の高速段から低速段へ切り替えを禁止する低油温切替禁止領域Aの一部、すなわち切替許可領域Bと重なった部分を、実質的に潤滑油の温度Toil方向に減縮している。
【0040】
上記潤滑油量制御部156により動力伝達装置18の潤滑油量が減少させられている状態で、切替許可部158により、ハイロー選択装置142の操作によるトランスファ22の高速段から低速段への切り替えを許可する制御を、少潤滑油量制御という。
【0041】
図5は、動力伝達装置18の潤滑油温度Toilが5℃~-8℃であっても、外乱(PポジションからNポジションへのシフト操作中の通過するRポジションにおける停滞)があったときには、
図4の低油温切替禁止領域Aを用いてからハイロー選択装置142の操作に拘わらずトランスファ22の高速段から低速段への切り替えを禁止する、電子制御装置150の制御作動を示すタイムチャートである。
図5において、シフト操作位置がPポジションであるとき、イグニッションスイッチのオン操作が行なわれると(t1時点)、低温であるので、直ちにエンジン12の始動が開始される(t2時点)。この時点t2から、エンジン12の始動のためのライン圧UP要求が出され、ライン圧PLが上昇させられるとともに、そのときの潤滑油温度Toilに対応する低油温切替禁止領域Aのイグニッションオンからの経過時間の満了を計時するタイマカウンタの計数が開始される。t3時点に至ると、ライン圧PLの上昇が終了させられるとともに、潤滑油量制御部156による少潤滑油量制御が開始される。ハイロー選択装置142によるトランスファ22の高速段から低速段へ切り替え操作に先立って自動変速機45をニュートラル状態とするために、PポジションからNポジションへシフト操作される過程で、t4時点からt5時点までのRポジションの停滞時間Trが所定値を超えると、潤滑油量制御部156による少潤滑油量制御が停止され(t5時点)、タイマカウンタにより、そのときの潤滑油温度Toilに対応する低油温切替禁止領域Aのイグニッションオンからの経過時間の満了するまで(t6時点)、ハイロー選択装置142の操作によるトランスファ22の高速段から低速段への切り替えが禁止される。
【0042】
図6は、自動変速機45の潤滑油温度Toilが5℃~-8℃であっても、外乱(Nポジションに、ガレージシフト操作などによって一時的にDポジションへの操作)があったときには、
図4の低油温切替禁止領域Aを用いてからハイロー選択装置142の操作に拘わらずトランスファ22の高速段から低速段への切り替えを禁止する、電子制御装置150の制御作動を示すタイムチャートである。
図6において、シフト操作位置がPポジションであるとき、イグニッションスイッチのオン操作が行なわれると(t1時点)、低温であるので、直ちにエンジン12の始動が開始される(t2時点)。この時点t2から、エンジン12の始動のためのライン圧UP要求が出され、ライン圧PLが上昇させられるとともに、そのときの潤滑油温度Toilに対応する低油温切替禁止領域Aのイグニッションオンからの経過時間の満了を計時するタイマカウンタの計数が開始される。t3時点に至ると、PポジションからNポジションへシフト操作されるとともに、潤滑油量制御部156による少潤滑油量制御が開始された後、t4時点においてライン圧PLの上昇が終了させられる。このようなNポジション状態で、ガレージシフト操作などによって一時的にDポジションへの操作が行なわれると(t5時点)、潤滑油量制御部156による少潤滑油量制御が停止され、タイマカウンタにより、そのときの潤滑油温度Toilに対応する低油温切替禁止領域Aのイグニッションオンからの経過時間の満了するまで(t6時点)、ハイロー選択装置142の操作によるトランスファ22の高速段から低速段への切り替えが禁止される。
【0043】
図7は、電子制御装置150の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
図7のステップS1( 以下、ステップを省略する)では、たとえばパワーオンスイッチが操作されることによってイグニッションがオン状態とされる。S2では、動力伝達装置18の潤滑油温度Toilが、予め設定された低油温切替禁止領域A或いは切替許可領域Bの上限値たとえば5℃以下であるか否かが判断される。このS2の判断が否定された場合は、S3において、ハイロー選択装置142の操作によるトランスファ22の高速段から低速段へ切り替えが制限されない通常の制御が実施される。しかし、S3の判断が肯定された場合は、低油温時切替禁止制御部154に対応するS4において、動力伝達装置18の潤滑油温度Toil及びパワーオンスイッチ操作であるイグニッションオン操作からの経過時間teが低油温切替禁止領域A内である場合は、ハイロー選択装置142の操作によるトランスファ22の高速段から低速段へ切り替えを禁止する低油温切替禁止制御(リジェクト制御)が実行される。
【0044】
次いで、S5では、予め設定された少潤滑油量制御条件が成立すると、たとえば動力伝達装置18の潤滑油の温度Toilが、5℃~-8℃内であり且つパワーオンスイッチ操作であるイグニッションオン操作からの経過時間teがそのときの動力伝達装置18の潤滑油温度Toilで定まる切替許可領域B内の時間であることが成立するか否かが判断される。このS5の判断が否定される場合は、動力伝達装置18の潤滑油の温度Toilが-8℃よりも低い状態であるので、S6において低油温切替禁止制御が継続され、S7において外乱の有無が判断される。S7の判断が外乱無しであると、S8において低油温切替禁止制御が継続され、S9において、パワーオンスイッチ操作であるイグニッションオン操作からの経過時間teが、そのときの動力伝達装置18の潤滑油温度Toilで定まる低油温切替禁止領域A内の時間を経過したことがタイマカウンタにより計時されると、低油温切替禁止制御が終了させられる。
【0045】
S7の判断が外乱ありであると、S10において、外乱の種類或いは大きさに基づいて低油温切替禁止制御を解除するか否かが判断される。S10の判断が否定される場合は、S8以下において低油温切替禁止制御が継続されるが、S10の判断が肯定される場合は、S11において低油温切替禁止制御が解除される。
【0046】
S5において、予め設定された少潤滑油量制御条件が成立すると判断されると、潤滑油量制御部156及び切替許可部158に対応するS12において、少潤滑油量制御が実行される。すなわち、潤滑油量制御部156により自動変速機45の潤滑油量が減少させられている状態で、切替許可部158により、ハイロー選択装置142の操作によるトランスファ22の高速段から低速段への切替えを許可する制御が、実行される。
【0047】
次いで、S13では外乱の有無が判断される。S13の判断が外乱無しであると、S14において少潤滑油量制御が継続され、S15において、パワーオンスイッチ操作であるイグニッションオン操作からの経過時間teが、そのときの動力伝達装置18の潤滑油温度Toilで定まる切替許可領域B内の時間を経過したことがタイマカウンタにより計時されると、少潤滑油量制御が終了させられる。
【0048】
S13の判断が外乱ありであると、S16において少潤滑油量制御が解除され、且つS17において低油温切替禁止制御が再開される。さらに、S18において、外乱の有無が判断される。S18の判断が外乱無しであると、S19において少潤滑油量制御が再開され、S15において、パワーオンスイッチ操作であるイグニッションオン操作からの経過時間teが、切替許可領域Bで決まる値を超えると少潤滑油量制御が終了させられる。
【0049】
S18の判断が外乱ありであると、S20において低油温切替禁止制御の解除が外乱の種類或いは大きさに基づいて判断される。S20の判断が否定される場合は、S21において低油温切替禁止制御が継続され、S22においてイグニッションオン操作からの経過時間teが低油温切替禁止領域Aを外れると低油温切替禁止制御が終了させられる。S20の判断が肯定される場合は、S23において低油温切替禁止制御が解除される。
【0050】
上述のように、本実施例の電子制御装置150によれば、動力伝達装置18の潤滑油の温度Toilが第1低温範囲(たとえば5~-40℃)のうちの高温側の第2低温範囲(たとえば5~-15℃)内となると、潤滑油量制御部156の少潤滑油量制御により、動力伝達装置18の潤滑油量が、低油温時切替禁止制御部154によりトランスファ22の高速段から低速段への切り替えが禁止されているときの値よりも減少させられ、切替許可部158により、トランスファ22の高速段から低速段への切り替えが許可される。動力伝達装置18の潤滑油量が少なくされると、動力伝達装置18内のクラッチC4、C3、C1の引き摺りによる引込みトルクが小さくされるので、過大な引込みトルクによる切替ショックが抑制されつつ、切替許可部158により、トランスファ22の高速段から低速段への切り替えが許可されることで、切替禁止領域を可及的に縮小させて、運転者に与える違和感が抑制される。
【0051】
本実施例の電子制御装置150によれば、低油温切替禁止領域Aは、動力伝達装置18の潤滑油の温度Toilが低くなるほど、イグニッションオン操作からの経過時間teが長くなる領域である。これにより、潤滑油が低温となるほど、潤滑油の粘性が高くなり、前記引込みトルクが大きくなってそれが減少するまでの時間が長くなるので、低油温切替禁止領域Aのイグニッションオン操作からの経過時間が長くなることで、切替ショックが適切に抑制される。
【0052】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0053】
たとえば、前述の実施例における低油温切替禁止領域A或いは切替許可領域Bにおける温度範囲は、動力伝達装置18の形式や潤滑油の種類に応じて適宜変更される。
【0054】
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更が加えられ得る。