(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121725
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】定電力回路
(51)【国際特許分類】
H05B 45/14 20200101AFI20240830BHJP
H05B 45/34 20200101ALI20240830BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20240830BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240830BHJP
H05B 47/14 20200101ALI20240830BHJP
【FI】
H05B45/14
H05B45/34
H05B45/345
H05B47/105
H05B47/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028979
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】390025737
【氏名又は名称】株式会社新陽社
(71)【出願人】
【識別番号】516131843
【氏名又は名称】ANP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 直哉
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 直史
(72)【発明者】
【氏名】羽田 正二
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA09
3K273BA02
3K273BA21
3K273BA24
3K273CA02
3K273CA12
3K273DA08
3K273EA07
3K273EA25
3K273EA35
3K273FA03
3K273FA06
3K273FA07
3K273FA08
3K273FA14
3K273GA03
3K273GA06
3K273GA07
3K273GA18
3K273GA22
(57)【要約】
【課題】幅広い電源電圧の範囲に対応可能であると共に、照明装置全体として明るさを一定に保つことができる照明装置用の定電力回路を提供する。
【解決手段】照明装置用の定電力回路であって、電源に、電流路21乃至電流路24の一端が接続され、電流路21では、Tr41が設けられ、電流路22では、FET51が設けられ、電流路22は、複数分岐し、分岐した電流路22の各他端は、FET52~54の各ゲートに接続され、電流路23では、LED61~63、LED64~66が設けられ、LED64~66に対応して、FET52~54が並列に設けられ、電流路24では、ZD71が設けられ、電流路23に、電流路26が接続され、電流路26では、Tr43が設けられ、電流路24に、電流路29が接続され、電流路23に、電流路27が接続されている構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定電力回路であって、
電源に、第1電流路、第3電流路及び第4電流路の一端が接続され、
前記第1電流路では、第1バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第3電流路では、電位が高い順に、第1LED、第2LEDが設けられ、
前記第2LEDに対応して、前記第2FETが並列に設けられ、
前記第2FETのゲートは、前記第1バイポーラトランジスタより電位が高い位置で、前記第1電流路に接続され、
前記第4電流路では、第1定電圧ダイオードが設けられ、
前記第3電流路の前記第2LEDより電位が低い位置に、第6電流路の一端が接続され、前記第6電流路では、第3バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第4電流路の前記第1定電圧ダイオードより電位が低い位置に、第9電流路の一端が接続され、
前記第3バイポーラトランジスタのベースは、前記第9電流路に接続され、
前記第3電流路の前記第6電流路の接続点より電位が低い位置で、第7電流路の一端が接続され、
前記第7電流路の他端は、前記第1バイポーラトランジスタのベースに接続されていることを特徴とする、定電力回路。
【請求項2】
定電力回路であって、
電源に、第1電流路乃至第4電流路の一端が接続され、
前記第1電流路では、第1バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第2電流路では、第1FETが設けられ、
前記第1FETのゲートは、前記第1バイポーラトランジスタより電位が高い位置で、前記第1電流路に接続され、
前記第2電流路は、前記第1FETより電位が低い位置で、複数分岐し、分岐した前記第2電流路の各他端は、第2FETのゲートに接続され、
前記第3電流路では、電位が高い順に、第1LED、第2LEDが設けられ、
前記第2LEDに対応して、前記第2FETが並列に設けられ、
前記第4電流路では、第1定電圧ダイオードが設けられ、
前記第3電流路の前記第2LEDより電位が低い位置に、第6電流路の一端が接続され、前記第6電流路では、第3バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第4電流路の前記第1定電圧ダイオードより電位が低い位置に、第9電流路の一端が接続され、
前記第3バイポーラトランジスタのベースは、前記第9電流路に接続され、
前記第3電流路の前記第6電流路の接続点より電位が低い位置で、第7電流路の一端が接続され、
前記第7電流路の他端は、前記第1バイポーラトランジスタのベースに接続されていることを特徴とする、定電力回路。
【請求項3】
前記第9電流路では、第2定電圧ダイオードが設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の定電力回路。
【請求項4】
前記第6電流路は、第17電流路及び第18電流路の2つに分岐し、
前記第17電流路では、第2バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第18電流路では、前記第3バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第2バイポーラトランジスタのベースは、前記第3バイポーラトランジスタのコレクタに接続されていることを特徴とする、請求項3に記載の定電力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電源に直流電圧を用いる、直流を配電するシステムに特化した照明装置において、幅広い電源電圧に対応可能な、定電力回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のLED(発光ダイオード)技術の進化に伴い、LED照明装置は、様々なものが使用されている。そのため、LED照明装置には、小型化、高効率化、低価格化等が要求されている。
【0003】
その中で、直流電圧を電源とするLED照明装置の電源供給元は、一つとは限らず、近年の省エネ意識の高まりにより、再生可能エネルギーである太陽光発電電力や、各種バッテリー電力等、多岐にわたる。
【0004】
これらの電源から出力される直流電圧の違いに対しては、電源変換ユニットを用いることで対応していた。しかし、電源変換ユニットを用いる構成は、変換によるロスが発生し、効率が低下する問題があった。
【0005】
また、電源変換ユニットの多くは、特定の周波数でスイッチングして、出力を一定に保つ構成である。この様な電源変換ユニットは、スイッチング動作により、電磁ノイズが発生するという大きなデメリットがあった。
【0006】
一方、電源変換ユニットを使用しない構成では、一定の範囲の直流電圧に対しては、LEDに流れる電流を一定に保つことは可能であるが、その範囲外の直流電圧の僅かな変動に対して、LEDに流れる電流が大きく変化してしまう。そのため、LED照明から出力される光の質が低下したり、LEDの寿命が短縮、或は焼損してしまう。
【0007】
また、所定の値以下に、直流電圧が低下すると、LEDを点灯させるために必要な順(方向)電圧が足りなくなり、LEDが消灯してしまう。そのため、広範囲の電源電圧に対応させることができないという問題があった。
【0008】
従って、電源変換ユニットを用いることなく、幅広い電源電圧に対応可能なLED照明装置用の制御回路が望まれている。特許文献1では、電源電圧の増減に合わせてLEDの点灯と消灯を制御することによって幅広い電源電圧に対応しながら、LEDに流れる電流を一定に保つ構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これらの特許文献1に係る照明装置用の制御回路では、LEDに流れる電流を一定に保つことはできるが、LED照明装置全体として、明るさを一定に保つことができなかった。
【0011】
そこで、この発明は、上述の課題を解決するものとして、幅広い電源電圧の範囲に対応可能であると共に、照明装置全体として明るさを一定に保つことができる定電力回路を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、
定電力回路であって、
電源に、第1電流路、第3電流路及び第4電流路の一端が接続され、
前記第1電流路では、第1バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第3電流路では、電位が高い順に、第1LED、第2LEDが設けられ、
前記第2LEDに対応して、前記第2FETが並列に設けられ、
前記第2FETのゲートは、前記第1バイポーラトランジスタより電位が高い位置で、前記第1電流路に接続され、
前記第4電流路では、第1定電圧ダイオードが設けられ、
前記第3電流路の前記第2LEDより電位が低い位置に、第6電流路の一端が接続され、前記第6電流路では、第3バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第4電流路の前記第1定電圧ダイオードより電位が低い位置に、第9電流路の一端が接続され、
前記第3バイポーラトランジスタのベースは、前記第9電流路に接続され、
前記第3電流路の前記第6電流路の接続点より電位が低い位置で、第7電流路の一端が接続され、
前記第7電流路の他端は、前記第1バイポーラトランジスタのベースに接続されている、定電力回路とした。
【0013】
また、請求項2の発明は、
定電力回路であって、
電源に、第1電流路乃至第4電流路の一端が接続され、
前記第1電流路では、第1バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第2電流路では、第1FETが設けられ、
前記第1FETのゲートは、前記第1バイポーラトランジスタより電位が高い位置で、前記第1電流路に接続され、
前記第2電流路は、前記第1FETより電位が低い位置で、複数分岐し、分岐した前記第2電流路の各他端は、第2FETのゲートに接続され、
前記第3電流路では、電位が高い順に、第1LED、第2LEDが設けられ、
前記第2LEDに対応して、前記第2FETが並列に設けられ、
前記第4電流路では、第1定電圧ダイオードが設けられ、
前記第3電流路の前記第2LEDより電位が低い位置に、第6電流路の一端が接続され、前記第6電流路では、第3バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第4電流路の前記第1定電圧ダイオードより電位が低い位置に、第9電流路の一端が接続され、
前記第3バイポーラトランジスタのベースは、前記第9電流路に接続され、
前記第3電流路の前記第6電流路の接続点より電位が低い位置で、第7電流路の一端が接続され、
前記第7電流路の他端は、前記第1バイポーラトランジスタのベースに接続されている、定電力回路とした。
【0014】
また、請求項3の発明は、
前記第9電流路では、第2定電圧ダイオードが設けられている、請求項1又は2に記載の定電力回路とした。
【0015】
また、請求項4の発明は、
前記第6電流路は、第17電流路及び第18電流路の2つに分岐し、
前記第17電流路では、第2バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第18電流路では、前記第3バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第2バイポーラトランジスタのベースは、前記第3バイポーラトランジスタのコレクタに接続されている、請求項3に記載の定電力回路とした。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、配電電圧が高くなると、第2LEDの点灯数は増加し、定電力回路の消費電流は減少する。一方、配電電圧が低くなると、第2LEDの点灯数は減少し、定電力回路の消費電流は増加する。即ち、本発明の実施の形態例1の定電力回路では、第1LED及び第2LEDに対し定電流制御を行い、また、定電力回路は、定電力で制御される。その結果、定電力回路は、明るさが一定の照明を提供することができる。特に、電源が、例えば、太陽電池、蓄電池、商用電源、及びそれらの要素の組み合わせといった直流電力を配電する直流配電システムの場合、配電する要素の切り替わりによって、配電電圧が変動する。そのため、配電電圧が変動しても、照明の明るさを一定に保つが必要となる。そのような場合、定電力回路は、便宜である。
【0017】
また特に、請求項4の発明では、第6電流路が、第17電流路及び第18電流路の2つに分岐し、第17電流路では、第2バイポーラトランジスタが設けられ、第18電流路では、前記第3バイポーラトランジスタが設けられている。即ち、第2バイポーラトランジスタが設けられていることによって、hfe(エミッタ接地の電流増幅率)を高め、第3バイポーラトランジスタを高感度にしている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態例1に係る定電力回路の構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態例1に係る定電力回路の動作を説明する説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態例1に係る定電力回路の動作を説明する説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態例1に係る定電力回路の動作を説明する説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態例1に係る定電力回路の動作を説明する説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態例1に係る定電力回路の動作を説明する説明図である。
【
図7】本発明の実施の形態例1に係る定電力回路の動作を説明する説明図である。
【
図8】本発明の別の実施の形態例に係る定電力回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態例1)
まず、本発明の実施の形態例1の照明装置用の定電力回路Aの構成を、
図1に基づいて説明する。
【0020】
<照明装置用の定電力回路Aの構成>
図1に示すように、電源の正極11に、電流路21~電流路24の一端がそれぞれ接続されている。電源は、直流電力を配電する、例えば、太陽電池、蓄電池、商用電源、及びそれらの組み合わせである。
【0021】
電流路21(第1電流路の一例)では、電位が高い順に、抵抗R31、抵抗R32が設けられている。また、抵抗R32により電位が低い位置に、半導体制御素子Tr41が設けられている。詳しくは、半導体制御素子Tr41(第1バイポーラトランジスタの一例)は、NPN型のバイポーラトランジスタであって、電流路21上の電位が高い方にコレクタ(
図1では「C」と表示)が接続され、電位が低い方にエミッタ(
図1では「E」と表示)が接続されている。
【0022】
電流路22(第2電流路の一例)では、半導体制御素子FET51が接続されている。半導体制御素子FET51(第1FETの一例)は、電界効果トランジスタであって、電流路22上の電位が高い方にドレイン(
図1では「D」と表示)が接続され、電位が低い方にソース(
図1では「S」と表示)が接続されている。そして、電流路22は、半導体制御素子FET51より電位が低い位置で、電流路221(第11電流路の一例)、222(第12電流路の一例)及び223(第13電流路の一例)の3つに分岐している。
【0023】
上記のように、本発明の実施の形態例1では、電流路221~223を通じて半導体制御素子FET52~54のゲートが接続されている。そのため、これらの半導体制御素子FET52~54は、並列に接続された複数の抵抗となる。その場合にこれらの複数の抵抗を1つの抵抗とみなした合成抵抗は小さくなり、配電電圧が低い場合、電流量が少なくなる。半導体制御素子FET52~54を動作させるために、十分な電流を流せなくなる。そこで、半導体制御素子FET51を設けることによって、十分な電流を流せるようにした。
【0024】
電流路221には、半導体素子D81が、電流路222には、半導体素子D82が、電流路223には、半導体素子D83が設けられている。詳しくは、半導体素子D81~83は、整流ダイオードであって、半導体制御素子FET51のソース側にアノード(
図1では、「A」と表示)が接続されている。これら半導体素子D81~83は、半導体制御素子FET52~54からの電流の逆流を防ぐ役割を果たす。また、電流路221の一端は、FET52(第2FETの一例)のゲート(
図1では「G」と表示)に接続されている。電流路222の一端は、FET53(第2FETの一例)のゲート(
図1では「G」と表示)に接続されている。電流路223の一端は、FET54(第2FETの一例)のゲート(
図1では「G」と表示)に接続されている。
【0025】
電流路221上の半導体素子D81と半導体制御素子FET52の間の位置に、電流路91(第19電流路の一例)の一端が接続されている。電流路91の他端は、半導体制御素子FET52のソースに接続されている。電流路91では、抵抗R96が設けられている。また、電流路222上の半導体素子D82と半導体制御素子FET53の間の位置に、電流路92(第20電流路の一例)の一端が接続されている。電流路92の他端は、半導体制御素子FET53のソースに接続されている。電流路92では、抵抗R97が設けられている。更に、電流路223上の半導体素子D83と半導体制御素子FET54の間の位置に、電流路93(第21電流路の一例)の一端が接続されている。電流路93の他端は、半導体制御素子FET54のソースに接続されている。電流路93では、抵抗R98が設けられている。なお、抵抗R96~98は半導体制御素子FET52~54のゲートに帯電等で高電圧がかからない様にするためのクランプ用抵抗である。また、半導体制御素子FET52~54のゲート・ソース間の電荷の消費を促す。電荷を消費させておけば、半導体制御素子FET52~54が誤って「ON」し、ドレイン・ソース間が導通してしまうことを防止できる。
【0026】
電流路21上の抵抗R31と抵抗R32の間の位置に、電流路20(第10電流路の一例)の一端が接続されている。また、電流路20の他端は、電流路22の半導体制御素子FET51のゲート(
図1では「G」と表示)に接続されている。
【0027】
電流路20上の一端と他端の間の位置に、電流路94(第22電流路の一例)の一端が接続されている。電流路94の他端は、半導体制御素子FET51と電流路221~223の分岐点の間の位置で、電流路22に接続されている。電流路94には、半導体定電圧素子ZD74が設けられている。詳しくは、半導体定電圧素子ZD74(第4の定電圧ダイオードの一例)は、定電圧(ツェナー)ダイオードであって、電流路20の方にカソード(
図1では「K」と表示)が接続され、電流路22の方にアソード(
図1では「A」と表示)が接続されている。半導体定電圧素子ZD74は、半導体制御素子FET51のゲート・ソース間を保護する役割を果たす。即ち、ソースに所定の値以上の電圧が印加されないようにする。また、ゲートの電圧は下がり過ぎると、半導体制御素子FET51の故障の原因になるため、下がり過ぎないようにする。
【0028】
電流路23(第3電流路の一例)では、LED(発光ダイオード)から成る半導体発光素子LED61~66が同一極性方向に直列に接続されて設けられている。また、半導体発光素子LED64~66は夫々、半導体制御素子FET52~54が夫々対応するように、並列に設けられている。詳しくは、半導体発光素子LED64の一端に電流路231(第14電流路の一例)の一端が接続され、半導体発光素子LED64の他端に電流路231の他端が接続されている。また、半導体発光素子LED65の一端に電流路232(第15電流路の一例)の一端が接続され、半導体発光素子LED65の他端に電流路232の他端が接続されている。更に、半導体発光素子LED66の一端に電流路233(第16電流路の一例)の一端が接続され、半導体発光素子LED66の他端に電流路233の他端が接続されている。そして、電流路231上に半導体制御素子FET52が設けられ、電流路232上に半導体制御素子FET53が設けられ、電流路233上に半導体制御素子FET54が設けられている。また、半導体制御素子FET52~54は、電位が高い方にドレイン(
図1では「D」と表示)が接続され、電位が低い方にソース(
図1では「S」と表示)が接続されている。また、電流路23では、半導体発光素子LED66より電位が低い位置に抵抗R33が設けられている。抵抗R33は、電流路23に流れる電流値を測定するため等、シャント抵抗の役割を果たす。また、半導体発光素子LED61~63(第1LEDの一例)は、電源から配電を受けると、常時点灯する。一方、半導体発光素子LED64~66(第2LEDの一例)は、配電電圧の高低によって、点灯、あるいは消灯する(後述)。
【0029】
電流路23上の半導体発光素子LED66と抵抗R33の間の位置に、電流路26(第6電流路の一例)の一端が接続されている。詳しくは、電流路23上の、電流路233の他端の接続点と抵抗R33の間の位置に、電流路26の一端が接続されている。電流路26には、抵抗R36が設けられている。電流路26は、抵抗R36が設けられている位置より電位が低い位置で、電流路261と262の2つに分岐している。
【0030】
電流路261(第17電流路の一例)には、半導体制御素子Tr42が設けられている。詳しくは、半導体制御素子Tr42(第2バイポーラトランジスタの一例)は、NPN型のバイポーラトランジスタであって、電流路261上の電位が高い方にコレクタ(
図1では「C」と表示)が接続され、電位が低い方にエミッタ(
図1では「E」と表示)が接続されている。また、電流路261の一端は、電流路25に接続されている。エミッタ接地の半導体制御素子Tr42は、hfe(電流増幅率)が高められ、後述する半導体制御素子Tr43を高感度にする。
【0031】
電流路262(第18電流路の一例)には、電位が高い順に、半導体制御素子Tr43、抵抗R37が設けられている。詳しくは、半導体制御素子Tr43(第3バイポーラトランジスタの一例)は、PNP型のバイポーラトランジスタであって、電流路262上の電位が高い方にエミッタ(
図1では「E」と表示)が接続され、電位が低い方にコレクタ(
図1では「C」と表示)が接続されている。また、電流路262の一端は、電流路25に接続されている。そして、半導体制御素子Tr42のベース(
図1では「B」と表示)は、半導体制御素子Tr43のコレクタに接続されている。
【0032】
電流路23上の電流路26の接続点と抵抗R33の間の位置に、電流路27(第7電流路の一例)の一端が接続されている。電流路27には、電流路23に近い順に、半導体定電圧素子ZD73、抵抗R39が設けられている。詳しくは、半導体定電圧素子ZD73(第3定電圧ダイオードの一例)は、定電圧(ツェナー)ダイオードであって、電流路23に近い方にカソード(
図1では「K」と表示)が接続され、遠い方にアソード(
図1では「A」と表示)が接続されている。半導体定電圧素子ZD73は、半導体制御素子Tr41の温度特性に影響されないようにする役割を果たす。また、抵抗R39は、半導体制御素子Tr41のベースに流れる電流を所定の値以下に制限する役割を果たす。
【0033】
電流路27上の半導体定電圧素子ZD73と抵抗39の間の位置に、電流路28(第8電流路の一例)の一端が接続されている。電流路28には、抵抗R30が設けられている。
【0034】
電流路24(第4電流路の一例)では、電位が高い順に、半導体定電圧素子ZD71、抵抗R34及び抵抗R35が設けられている。詳しくは、半導体定電圧素子ZD71(第1定電圧ダイオードの一例)は、所定の電圧降下を生じさせ、任意の定電圧を出力する定電圧(ツェナー)ダイオードであって、電流路24上の電位が高い方にカソード(
図1では「K」と表示)が接続され、電位が低い方にアノード(
図1では「A」と表示)が接続されている。
【0035】
電流路24上の抵抗R34と抵抗R35の間の位置に、電流路29(第9電流路の一例)の一端が接続されている。電流路29には、電位が高い順に、半導体定電圧素子ZD72、抵抗R38が設けられている。詳しくは、半導体定電圧素子ZD72(第2定電圧ダイオードの一例)は、定電圧(ツェナー)ダイオードであって、電流路29上の電位が高い方にカソード(
図1では「K」と表示)が接続され、電位が低い方にアノード(
図1では「A」と表示)が接続されている。更に、半導体制御素子Tr43のベース(
図1では「B」と表示)は、半導体定電圧素子ZD72と抵抗R38の間の位置で、電流路29と接続されている。
【0036】
電流路21、23、24、261、262、28及び29の他端は、電流路25(第5電流路の一例)に接続されている。電流路25は、一端が電源の負極12に接続されている。
【0037】
<印加される電圧が低い場合の定電力回路Aの動作の流れ>
次に、定電力回路Aの動作について、印加される電圧が低い場合について説明する。
【0038】
[半導体発光素子LED61~66に対する定電流制御]
印加される電圧が低い場合、電流路23上の半導体発光素子LED61~66に流れる電流は少ない。そのため、電流路23上の抵抗R33の両端電圧は、所定の値(例えば、0.6V)に達しない。同様に、電流路27を通じて、電流路23と接続されている半導体制御素子Tr41のベース電圧も、Tr41のコレクタ・エミッタ間が導通する所定の値(例えば、0.6V)に達することなく、
図2に示すように、半導体制御素子Tr41は「ON」しない。その結果、半導体制御素子FET51のゲートは、ソースより電位が高くなり、半導体制御素子FET51のドレイン・ソース間は導通し、半導体制御素子FET51のソース電位は上昇する。
【0039】
半導体制御素子FET51が「ON」している場合、電流路22に電流が流れ、分岐している電流路221の一端に接続されている半導体制御素子FET52のゲート、分岐している電流路222の一端に接続されている半導体制御素子FET53のゲート及び分岐している電流路223の一端に接続されている半導体制御素子FET54のゲートに電圧が順次印加される。各ゲートに電圧が印加されている場合、ゲートの電位は、対応するソースの電位より高くなるため、半導体制御素子FET52~54は、ドレイン・ソース間が導通し、「ON」する。そのため、半導体制御素子FET52~54に並列して設けられている半導体発光素子LED64~66は消灯した状態となる。これらより所定の値まで電流が回復することになる。
【0040】
[定電力制御]
また、電流路23に流れる電流量は、概ね、抵抗R33に流れる電流量と電流路26上の抵抗R36に流れる電流量の合算である。印加される電圧が低い場合、
図3に示すように、電流路23の電位は、電流路262上の半導体制御素子Tr43のエミッタの電位に比べて高く、その電位差が大きいため、電流路26上の抵抗R36に電流が流れる(例えば、10mA)。一方、電流路23上の抵抗R33に流れる電流量は、一定である(例えば、10mA)。なお、この場合、点灯している半導体発光素子LED61~63に電流が多く供給されるため、半導体発光素子LEDが強く光り、定電力回路A全体の明るさは変わらない。
【0041】
<印加される電圧が高い場合の定電力回路Aの動作の流れ>
次に、定電力回路Aの動作について、印加される電圧が高い場合について説明する。
【0042】
[半導体発光素子LED61~66に対する定電流制御]
印加される電圧が高い場合、電流路23上の半導体発光素子LED61~66に流れる電流は増加する。そのため、電流路23上の抵抗R33の両端電圧は、所定の値(例えば、0.6V)に達する。同様に、電流路27を通じて、電流路23と接続されている半導体制御素子Tr41のベース電圧も、Tr41のコレクタ・エミッタ間が導通する所定の値(例えば、0.6V)に達し、
図4に示すように、半導体制御素子Tr41は「ON」し始める。その結果、半導体制御素子FET51のゲートの電位は下がり始め、半導体制御素子FET51のソース電位も下がり始める。
【0043】
半導体制御素子FET51のソース電位が下がり始めた場合、電流路22に流れる電流量は少なくなり、分岐している電流路221の一端に接続されている半導体制御素子FET52のゲートに印加される電圧も下がる。ゲートに印加される電圧が低い場合、ドレイン・ソース間が導通しづらくなり、半導体制御素子FET52は、「OFF」になり始める。そのため、半導体制御素子FET52に並列して設けられている半導体発光素子LED64は点灯し始める。
【0044】
[定電力制御]
また、印加される電圧が高い場合、電流路23の電位と、電流路262上の半導体制御素子Tr43のエミッタの電位の差は、小さくなる。以下、詳しく説明する。
【0045】
電流路24上の半導体定電圧素子ZD71は、所定の電圧降下を生じさせ、任意の定電圧を出力する定電圧(ツェナー)ダイオードである。そのため、半導体定電圧素子ZD71が生じさせる電圧降下の所定の値が、例えば、200Vの場合、電流路23に印加される電圧が200Vの際には、半導体定電圧素子ZD71から出力される電圧は、「200V-200V=0V」になる。一方、電流路23に印加される電圧が増加し、300Vの際には、半導体定電圧素子ZD71から出力される電圧は、「300V-200V=100V」になる。電流路24に印加される電圧が高い場合、電流路24に接続されている電流路29を通じて、半導体制御素子Tr43のベースの電位も高くなる。ベースの電位が高くなると、追従して半導体制御素子Tr43のエミッタの電位も高くなる(エミッタフォロア)。なお通常、トランジスタのエミッタは、ベースよりも電位が、例えば0.6V程度高い。このように、電流路262の半導体制御素子Tr43のエミッタの電位が高いと、電流路23の電位との差は、小さくなる。
【0046】
そのため、
図5に示すように、電流路26上の抵抗R36に電流が流れにくくなる(例えば、5mA)。一方、電流路23上の抵抗R33に流れる電流量は、一定である(例えば、10mA)。
【0047】
[半導体発光素子LED61~66に対する定電流制御]
印加される電圧が更に高くなった場合、電流路23上の半導体発光素子LED61~66に流れる電流は更に増加する。そのため、電流路23上の抵抗R33の両端電圧は、所定の値(例えば、0.6V)を超える。同様に、電流路27を通じて、電流路23と接続されている半導体制御素子Tr41のベース電圧も、Tr41のコレクタ・エミッタ間が導通する所定の値(例えば、0.6V)を超え、
図6に示すように、半導体制御素子Tr41は「ON」になる。その結果、半導体制御素子FET51のゲートの電位は下がり始め、半導体制御素子FET51のソース電位も下がり始める。
【0048】
半導体制御素子FET51のソース電位が下がり始めた場合、分岐している電流路222の一端に接続されている半導体制御素子FET53のゲートに印加される電圧も下がる。ゲートに印加される電圧が低い場合、ドレイン・ソース間が導通しづらくなり、半導体制御素子FET53は、「OFF」になり始める。そのため、半導体制御素子FET53に並列して設けられている半導体発光素子LED65は点灯し始める。
【0049】
そして、印加される電圧が更に更に高くなった場合、
図7に示すように、半導体制御素子FET51は「OFF」になる。すると、分岐している電流路223の一端に接続されている半導体制御素子FET54のゲートに印加される電圧も下がる。ゲートに印加される電圧が低い場合、ドレイン・ソース間が導通しづらくなり、半導体制御素子FET54は、「OFF」になり始める。そのため、半導体制御素子FET54に並列して設けられている半導体発光素子LED66は点灯し始める。
【0050】
このように、本発明の実施の形態例1の照明装置用の定電力回路Aでは、配電電圧が高くなると、半導体発光素子LEDの点灯数は増加し、定電力回路Aの消費電流は減少する。一方、配電電圧が低くなると、半導体発光素子LEDの点灯数は減少し、定電力回路Aの消費電流は増加する。即ち、本発明の実施の形態例1の照明装置用の定電力回路Aでは、半導体発光素子LED61~66に対し定電流制御を行い、また、照明装置用の定電力回路Aは、定電力で制御される。その結果、照明装置用の定電力回路Aは、明るさが一定の照明を提供することができる。特に、電源が、例えば、太陽電池、蓄電池、商用電源、及びそれらの要素の組み合わせといった直流電力を配電する直流配電システムの場合、配電する要素の切り替わりによって、配電電圧が変動する。そのため、配電電圧が変動しても、照明の明るさを一定に保つが必要となる。そのような場合、照明装置用の定電力回路Aは、便宜である。
【0051】
<変形例>
上述した本実施の形態例1では、配電される電圧が低い場合に、半導体制御素子FET52~54に十分な電流を流すべく、半導体制御素子FET51を設ける定電力回路Aの構成を示したが、この構成に限定されるわけではない。例えば、
図8に示すように、電流路22を設けず、電流路221~223の各他端は、半導体制御素子Tr41より電位が高い位置で、電流路21に夫々接続されている定電力回路Bの構成としても良い。なお、定電力回路Bの他の構成は、定電力回路Aと同様であるため、説明を省略する。
【0052】
本発明の実施の形態例1の照明装置用の定電力回路Bにおいても、定電力回路Aと同様に、半導体発光素子LED61~66に対し定電流制御を行い、また、定電力で制御される。その結果、照明装置用の定電力回路Bは、明るさが一定の照明を提供することができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施の形態例について述べたが、本発明に係る照明装置用の定電力回路は上述した実施の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
A:照明装置用の定電力回路、B:照明装置用の定電力回路、
11:正極、12:負極、
20~29:電流路、221~223:電流路、231~233:電流路、261及び262:電流路、
30~39:抵抗、
41~43:Tr(=バイポーラトランジスタ)、
51~54:FET(=電界効果トランジスタ)、
61~66:LED(=発光ダイオード)、
71~74:ZD(=定電圧ダイオード)、
81~83:D(=整流ダイオード)、
91~94:電流路、
96~98:抵抗