(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121726
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ用シャフト及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A63B 53/10 20150101AFI20240830BHJP
A63B 53/12 20150101ALI20240830BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240830BHJP
【FI】
A63B53/10 A
A63B53/12 Z
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028981
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】523070654
【氏名又は名称】阿部 幸忠
(74)【代理人】
【識別番号】100178951
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 和家
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幸忠
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002CS05
2C002MM02
2C002MM04
2C002PP03
(57)【要約】
【課題】硬さや重さ等、プレーヤーの要望に対して、より効率的に対応できる工夫がなされたゴルフクラブ用シャフト及びその製造方法を提供する。
【解決手段】グリップGが装着される基端21から、ヘッドHが設けられる先端22に向かうにつれて縮径するテーパー状の本体パイプ2と、先端に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプであって、先端42が本体パイプ2の基端21から挿入され、本体パイプ2の延在方向における途中部分に配置されたテーパー状の付加パイプ4と、先端に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプであって、先端32が本体パイプ2の基端21から挿入され、付加パイプ4よりも本体パイプ2の基端21側において本体パイプ2と接着固定されたインナーパイプ3と、を有するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップが装着される基端から、ヘッドが設けられる先端に向かうにつれて縮径するテーパー状の本体パイプと、
先端に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプであって、該先端が前記本体パイプの前記基端から挿入され、該本体パイプの延在方向における途中部分に配置された付加パイプと、
先端に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプであって、該先端が前記本体パイプの前記基端から挿入され、前記付加パイプよりも該本体パイプの基端側において該本体パイプと接着固定されたインナーパイプと、を有するものであることを特徴とするゴルフクラブ用シャフト。
【請求項2】
請求項1記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法であって、
前記本体パイプを用意する本体パイプ用意工程と、
先端側に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプであって、前記本体パイプ内に挿入可能なパイプ材料を用意するパイプ材料用意工程と、
前記パイプ材料の先端部分を切除し、前記インナーパイプと、切除した部分からなる前記付加パイプを作成するインナーパイプ・付加パイプ作成工程と、
前記付加パイプと前記インナーパイプを前記本体パイプに挿入し、接着固定する接着固定工程と、を有することを特徴とするゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
【請求項3】
前記パイプ材料用意工程は、長さ、重量及び素材のうち少なくとも一つが異なる複数のパイプ材料から1つを選択して前記パイプ材料を用意する工程であることを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
【請求項4】
請求項1記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法であって、
前記本体パイプを用意する本体パイプ用意工程と、
前記インナーパイプを用意するインナーパイプ用意工程と、
前記付加パイプを用意する付加パイプ用意工程と、
前記付加パイプと前記インナーパイプを前記本体パイプに挿入し、接着固定する接着固定工程と、を有することを特徴とするゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
【請求項5】
前記インナーパイプ用意工程は、長さ、重量及び素材のうち少なくとも一つが異なる複数のインナーパイプから1つを選択して用意する工程であることを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
【請求項6】
前記付加パイプ用意工程は、長さ、重さ及び素材のうち少なくとも一つが異なる複数の付加パイプから1つを選択して用意する工程であることを特徴とする請求項4記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブ用シャフトとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブ用シャフトは、スイングのしやすさや弾道などに影響するため、プレーヤーの多様なニーズに応じて、金属製や繊維強化プラスチック製などといった素材の違いにはじまり、硬さや重さ等が異なる様々なものが用意されている。例えば、硬さ(FLEX)については、一般的に、最も柔らかいL(レディース)から、A(アベレージ)、R(レギュラー)、SR(SとRの中間)、S(スティッフ)、最も硬いX(エクストラ)まで、6段階程度に設定されている。そして、プレーヤーは、その中から自分のスイングスピードや力量等によって好みの硬さのものを選択する。
【0003】
しかしながら、硬さ一つとっても微妙な感覚の違いによって、一般的な6段階程度の設定から選択することが難しい場合がある。例えば、Lよりも硬いがAよりは柔らかいもの、Xよりも僅かに柔らかいもの、といった要望が出る場合も少なくない。そうかといって、設定の数を増やすことには限界があり、また、開発や生産性といった面でコストアップをもたらす虞もある。
【0004】
そこで、硬さ等を変更することができるゴルフクラブ用シャフトが提案されている(例えば特許文献1等参照)。特許文献1記載のゴルフクラブ用シャフトは、シャフトの内周面に管状体を接着固定するという構成であり、管状体の材質、長さ、寸法を任意に変化させることにより、硬さや重さ等を変更することができる。これにより、硬さや重さ等、プレーヤーの要望に対して、より細やかに対応しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載のゴルフクラブ用シャフトにおいても、プレーヤーの好みにぴったりと合うように管状体を適切な長さに切除することは難しい場合ある。例えば、管状体が短くなりすぎてしまい、別途の管状体を用いて再度調整し直す、といった工程が必要になる場合もある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、硬さや重さ等、プレーヤーの要望に対して、より効率的に対応できる工夫がなされたゴルフクラブ用シャフト及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決する本発明におけるゴルフクラブ用シャフトは、グリップが装着される基端から、ヘッドが設けられる先端に向かうにつれて縮径するテーパー状の本体パイプと、
先端に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプであって、該先端が前記本体パイプの前記基端から挿入され、該本体パイプの延在方向における途中部分に配置された付加パイプと、
先端に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプであって、該先端が前記本体パイプの前記基端から挿入され、前記付加パイプよりも該本体パイプの基端側において該本体パイプと接着固定されたインナーパイプと、を有するものであることを特徴とする。
【0009】
本発明のゴルフクラブ用シャフトは、特に、前記インナーパイプを少しずつ切除して硬さや重さ等を調整していく際に、該インナーパイプが短くなりすぎてしまった場合に大きな効果を奏するものである。例えば、前記インナーパイプを、プレーヤーの好みにぴったりと合う長さに切除できた場合には、該インナーパイプを前記本体パイプに挿入して接着固定してゴルフクラブ用シャフトとして用いればよい。一方、本発明のゴルフクラブ用シャフトでは、前記インナーパイプが短くなりすぎてしまった場合に、切除した部分を前記付加パイプとして、前記本体パイプに挿入し、次いで該インナーパイプを該本体パイプに挿入して接着固定すればよい。ここで、前記インナーパイプの先端を前記付加パイプの基端に連結させて接着固定してもよい。
【0010】
また、上記目的を解決する本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第1の製造方法は、
前記本体パイプを用意する本体パイプ用意工程と、
先端側に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプであって、前記本体パイプ内に挿入可能なパイプ材料を用意するパイプ材料用意工程と、
前記パイプ材料の先端部分を切除し、前記インナーパイプと、切除した部分からなる前記付加パイプを作成するインナーパイプ・付加パイプ作成工程と、
前記付加パイプと前記インナーパイプを前記本体パイプに挿入し、接着固定する接着固定工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第1の製造方法によれば、前記インナーパイプ・付加パイプ作成工程において、前記インナーパイプを短く切除しすぎてしまった場合であっても、切除した部分を前記付加パイプとして利用することにより、該インナーパイプを用いることができる。これにより、短く切除しすぎてしまった前記インナーパイプは廃棄しなければならない、といった不具合を回避することができる。
【0012】
本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第1の製造方法において、
前記パイプ材料用意工程は、長さ、重量及び素材のうち少なくとも一つが異なる複数のパイプ材料から1つを選択して前記パイプ材料を用意する工程であってもよい。
【0013】
上記目的を解決する本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第2の製造方法は、
前記本体パイプを用意する本体パイプ用意工程と、
前記インナーパイプを用意するインナーパイプ用意工程と、
前記付加パイプを用意する付加パイプ用意工程と、
前記付加パイプと前記インナーパイプを前記本体パイプに挿入し、接着固定する接着固定工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第2の製造方法において、
前記インナーパイプ用意工程は、長さ、重量及び素材のうち少なくとも一つが異なる複数のインナーパイプから1つを選択して用意する工程であってもよいし、前記付加パイプ用意工程は、長さ、重さ及び素材のうち少なくとも一つが異なる複数の付加パイプから1つを選択して用意する工程であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、硬さや重さ等、プレーヤーの要望に対して、より効率的に対応できる工夫がなされたゴルフクラブ用シャフト及びその製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明のゴルフクラブ用シャフト1の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第1の製造方法のフローチャートである。
【
図3】本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第2の製造方法のフローチャートである。
【
図4】本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第1の製造方法の工程を説明するための図である。
【
図5】本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第2の製造方法の工程を説明するための図である。
【
図6】本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第2の製造方法における変形例の工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0018】
図1は、本発明のゴルフクラブ用シャフト1の一実施形態を示す断面図である。なお、各図においては、構成をわかりやすく示すため、径方向の寸法(厚み寸法)を、長手方向の寸法に比べて拡大して示している。
【0019】
図1に示すように、本発明のゴルフクラブ用シャフト1は、本体パイプ2と、この本体パイプ2に挿入され、本体パイプ2の延在方向(図では上下方向)における途中部分に配置された付加パイプ4と、同様に本体パイプ2に挿入され、付加パイプ4に連結した状態で本体パイプ2に接着固定されたインナーパイプ3を備えている。
【0020】
本体パイプ2は、破線で示すグリップGが装着される基端21から、破線で示すヘッドHが設けられる先端22に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプである。インナーパイプ3及び付加パイプ4は、先端32,42(
図1では下端)に向かうにつれて縮径するテーパー状のパイプである。
【0021】
基端部分であるA部を一点鎖線の四角で囲んで拡大して示すように、インナーパイプ3は、本体パイプ2と同じテーパー角度に形成されている。また、本体パイプ2に挿入されたインナーパイプ3の基端31と、本体パイプ2の基端21とが一致するように、本体パイプ2の内周面24とインナーパイプ3の外周面33の寸法が設定されている。なお、インナーパイプ3の外周面33と、本体パイプ2の内周面24とは、接着固定されている。
【0022】
また、インナーパイプ3と付加パイプ4とが連結した部分であるB部を二点鎖線の四角で囲んで拡大して示すように、インナーパイプ3と付加パイプ4とは、同じテーパー角度を備え、互いの外周面33,43が直線状に連続するテーパー状に形成されている。これにより、インナーパイプ3の先端32と付加パイプ4の基端41が連結した状態で、インナーパイプ3の外周面33と付加パイプ4の外周面43が、本体パイプ2の内周面24に接触している。ここで、インナーパイプ3の先端32と付加パイプ4の基端41とは、接着固定されていてもよいし、接着されずに接合した状態で連結していてもよい。また、付加パイプ4の外周面43は、本体パイプ2の内周面24に接着固定されていてもよいし、接着固定されていなくてもよい。
【0023】
本体パイプ2、インナーパイプ3及び付加パイプ4の素材は、特に限定されるものではなく、金属や繊維強化プラスチック等、公知のゴルフクラブ用シャフトに用いられる素材を採用することができる。繊維強化プラスチックの強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、酸化繊維、グラファイト繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン(ポリアミド)、ポリプロピレン、Eガラス、Sガラス、カーボングラファイト、およびPBO(ポリフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維等を例示でき、これらの繊維を組み合わせてもよい。
【0024】
また、繊維強化プラスチックを素材とした製造方法も特に限定されるものではなく、公知のフィラメントワインディング法等を用いることができる。具体的には、例えば炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させて得たシート状のプリプレグをマンドレルに巻き付け、このプリプレグを加熱硬化させた後、マンドレルを取り外すことにより製造することができる。
【0025】
本体パイプ2、インナーパイプ3及び付加パイプ4を同じ素材で構成してもよいが、本実施形態では、本体パイプ2を、Sガラスを強化繊維としたガラス繊維強化プラスチックで構成し、インナーパイプ3及び付加パイプ4を、炭素繊維強化プラスチックで構成した態様を採用している。Sガラスは、高強度、低弾性率の無アルカリガラスの一種である。この態様を採用すれば、Sガラスを強化繊維としたガラス繊維強化プラスチック製の本体パイプ2によって、ねばりが付与され、炭素繊維強化プラスチック製のインナーパイプ3及び付加パイプ4によって、こしが付与されるとともに軽量化を図ることができる。なお、本体パイプ2を炭素繊維強化プラスチックで構成し、インナーパイプ3及び付加パイプ4を、Sガラスを強化繊維としたガラス繊維強化プラスチックで構成する態様とすることも可能である。
【0026】
図2は、本発明におけるゴルフクラブ用シャフト1の第1の製造方法10のフローチャートであり、
図3は、本発明におけるゴルフクラブ用シャフト1の第2の製造方法20のフローチャートである。
【0027】
初めに、
図2及び
図4を用いて、本発明におけるゴルフクラブ用シャフトの第1の製造方法10について説明する。
図4は、本発明におけるゴルフクラブ用シャフト1の第1の製造方法10の工程を説明するための図である。
【0028】
図2に示すように、まず、本体パイプ用意工程を実施する(ステップS11)。本体パイプ用意工程(S11)では、フィラメントワインディング法等を用いて製造した、例えばSガラスを強化繊維としたガラス繊維強化プラスチック製の本体パイプ2を用意する(
図4(a)参照)。
【0029】
次いで、パイプ材料用意工程を実施する(ステップS12)。パイプ材料とは、
図1に示す、インナーパイプ3から付加パイプ4を切除する前のパイプ材であり、1本のパイプ材料を用意してもよいし、
図4(b)に示すように、例えば長さの異なる3本のパイプ材料5A,5B,5Cから1本を選択してもよい。なお、パイプ材料5は、例えば、フィラメントワインディング法によって製造した、例えば炭素繊維強化プラスチック製のものを用いる。また、パイプ材料用意工程(S12)では、重さの異なる複数のパイプ材料5から選択してもよいし、素材の異なる複数のパイプ材料5から選択してもよい。また、長さ、重量及び素材のうち2つ以上を異ならせた複数のパイプ材料5から選択することもできる。
【0030】
複数のパイプ材料5から選択する態様としては、例えば店舗等において、3本のパイプ材料5A,5B,5Cのうちの1本を本体パイプ2に挿入し、グリップGやヘッドH(
図1参照)を仮に取り付けた状態で、プレーヤーが素振り等を行い、硬さや重さ等が最もフィットする1本を選択すればよい。なお、用意したパイプ材料5を調整する必要がない場合には、このパイプ材料5を本体パイプ2に挿入し接着固定すればよい。
【0031】
パイプ材料用意工程(S12)で用意したパイプ材料5を調整する必要がある場合には、
図2に示す、インナーパイプ・付加バイプ作成工程を実施する(ステップS13)。
【0032】
この工程では、選択したパイプ材料5(図では5A)の先端52を少しずつ切除しながら、前記と同様にして本体パイプ2に挿入して素振り等を行い、プレーヤーの好みの硬さ等になるように調整していく。プレーヤーの好みにぴったりと合うように切除できた場合には、そのパイプ材料5を本体パイプ2に挿入し接着固定すればよい。
【0033】
一方、切除しすぎてしまった場合には、
図4(c)に示すように、切除した部分によって付加パイプ4が作成され、この付加パイプ4が切除されたパイプによってインナーパイプ3が作成される。なお、付加パイプ4の先端42を切除してさらに細かい調整を行ってもよい。
【0034】
最後に、
図2に示す接着固定工程を実施する(ステップS14)。この工程では、
図4(d)に示すように、付加パイプ4の先端42を本体パイプ2の基端21から挿入し、次いで、インナーパイプ3の先端32を本体パイプ2の基端21から挿入し、接着固定すればよい。接着固定は公知の接着方法を採用することができる。例えば、外周面33に加熱反応型のフィルム状接着剤を巻き付けた状態でインナーパイプ3を本体パイプ2に挿入し、加熱することで本体パイプ2とインナーパイプ3とを接着固定することができる。なお、付加パイプ4も本体パイプ2に接着固定してもよいし、付加パイプ4の基端41と、インナーパイプ3の先端32を接着固定してもよい。また、接着固定工程(S14)は、インナーパイプ・付加バイプ作成工程(S13)を行った、例えば店舗等で実施してもよいし、別途、工場等に持ち込んで実施してもよい。
【0035】
以上の工程を実施することで、
図4(e)に示すように、本体パイプ2の基端21から挿入され、本体パイプ2の延在方向における途中部分に配置されたテーパー状の付加パイプ4と、本体パイプ2の基端21から挿入され、付加パイプ4よりも基端21側において本体パイプ2と接着固定されたインナーパイプ3と、を有するゴルフクラブ用シャフト1を得ることができる。
【0036】
本発明におけるゴルフクラブ用シャフト1の第1の製造方法10によれば、パイプ材料5を短く切除しすぎてしまった場合であっても、切除した部分を付加パイプ4として利用することにより、短く切除しすぎてしまったパイプ材料5をインナーパイプ3として用いることができる。これにより、材料の廃棄といった不具合を回避しつつ、ゴルフクラブ用シャフト1のきめ細やかな調整が可能となる。
【0037】
次いで、
図3及び
図5を用いて、本発明におけるゴルフクラブ用シャフト1の第2の製造方法20について説明する。
図5は、本発明におけるゴルフクラブ用シャフト1の第2の製造方法20の工程を説明するための図である。
【0038】
図3に示すように、まず、本体パイプ用意工程を実施する(ステップS21)。本実施形態の本体パイプ用意工程(S21)では、
図5(a)に示すように、金属製や炭素繊維強化プラスチック製、ガラス繊維強化プラスチック製等、素材が異なる例えば3本の本体パイプ2A,2B,2Cを準備し、その中からプレーヤーの好み等によって1本を選択して用意する。
【0039】
次に、インナーパイプ用意工程と付加パイプ用意工程を実施する(ステップS22,ステップS23)。これらの工程では、
図5(b)に示すように、例えば長さの異なる3本のインナーパイプ3A,3B,3Cと、それぞれのインナーパイプ3に連結可能な、長さの異なる2本の付加パイプ(4A1,4A2等)を準備し、その中からそれぞれ1本ずつ選択する。ここで選択する態様も、例えば店舗等において、プレーヤーが素振り等を行い、最適なインナーパイプ3と付加パイプ4を選択すればよい。
図5(c)では、インナーパイプ3としてインナーパイプ3Aを選択し、付加パイプ4として付加パイプ4A1を選択した例を示している。なお、インナーパイプ用意工程(S22)と付加パイプ用意工程(S23)では、重さや素材が異なる、複数のインナーパイプ3や複数の付加パイプ4から選択する態様としてもよい。
【0040】
最後に、第1の製造方法10と同様に、接着工程を実施する(ステップS24)。
【0041】
次に、第2の製造方法20の変形例について説明する。
図6は、本発明におけるゴルフクラブ用シャフト1の第2の製造方法20における変形例の工程を説明するための図である。
【0042】
本変形例では、まず、
図3に示す本体パイプ用意工程(S21)によって、
図6(a)に示すように本体パイプ2を用意する。次いで、
図3に示す、インナーパイプ用意工程(S22)と付加パイプ用意工程(S23)では、
図6(b)に示すように、1本のインナーパイプ3と、これに連続する、複数(例えば4本)の付加パイプ4a,4b,4c,4dを準備する。ここで、1本のインナーパイプ3と、4本の付加パイプ4a,4b,4c,4dの製造方法としては、
図4(b)に示すパイプ材料5を準備し、先端52から切除していけばよい。
【0043】
そして、店舗等において、プレーヤーが素振り等を行い、最適な付加パイプ4を選択する。
図6(c)では、3本の付加パイプ4a,4b,4cを選択した例を示している。
【0044】
最後に、
図3に示す接着工程(S24)において、
図6(d)に示すように、先端側の付加パイプ4cから順に本体パイプ2に挿入した後、インナーパイプ3を本体パイプ2に挿入し接着固定する。
【0045】
これにより、
図6(e)に示すように、3本の付加パイプ4a,4b,4cとインナーパイプ3が連結した状態で本体パイプ2に挿入されたゴルフクラブ用シャフト1を得ることができる。なお、インナーパイプ3と付加パイプ4aとの間に所定の間隔をあける態様としてもよいし、付加パイプ4aと付加パイプ4bとの間や、付加パイプ4bと付加パイプ4cとの間にも所定の間隔をあける態様としてもよい。また、例えば、付加パイプ4a,4bを省略し、インナーパイプ3と付加パイプ4cとを間隔をあけて配置してもよいし、付加パイプ4bを省略し、付加パイプ4aと付加パイプ4cとを間隔をあけて配置してもよい。
【0046】
本発明におけるゴルフクラブ用シャフト1の第2の製造方法20によれば、切除するといった作業を不要にしつつ、ゴルフクラブ用シャフト1の硬さ等のきめ細やかな調整が可能となる。
【0047】
本発明のゴルフクラブ用シャフト1及びゴルフクラブ用シャフトの製造方法10,20は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、前述した実施形態では、インナーパイプ3の先端32が付加パイプ4の基端41に連結された態様を主として説明したが、インナーパイプ3の先端32と、付加パイプ4の基端41との間に所定の間隔をあけて、インナーパイプ3と付加パイプ4をそれぞれ本体パイプ2に接着固定してもよい。また、本発明のゴルフクラブ用シャフト1及びゴルフクラブ用シャフトの製造方法10,20において、使用済みのゴルフクラブのシャフトを本体パイプ2として用いてもよいことはもちろんである。なお、以上説明した各実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ゴルフクラブ用シャフト
2 本体パイプ
3 インナーパイプ
4 付加パイプ
10 ゴルフクラブ用シャフトの第1の製造方法
20 ゴルフクラブ用シャフトの第2の製造方法
G グリップ
H ヘッド