(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121727
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】経口組成物、経口組成物の呈味改善方法。
(51)【国際特許分類】
A23L 33/15 20160101AFI20240830BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240830BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240830BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20240830BHJP
A61K 36/18 20060101ALI20240830BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240830BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240830BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240830BHJP
A61K 36/63 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A23L33/15
A23L33/105
A61P17/00
A61K31/375
A61K36/18
A61P43/00 121
A61K47/20
A61K47/02
A61K36/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028982
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】高井 良充
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE05
4B018MD05
4B018MD19
4B018MD25
4B018MD48
4B018ME06
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4C076BB01
4C076CC18
4C076DD29T
4C076DD55T
4C076FF52
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA18
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA09
4C086ZA89
4C088AB64
4C088AC05
4C088BA08
4C088MA52
4C088NA09
4C088ZA89
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、アスコルビン酸と植物抽出物とを含有し、その酸味と苦味が同時に抑制された経口組成物を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、成分(A)アスコルビン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩、(B)植物抽出物、(C)システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素を含有し、前記成分(A)の含有量が50質量%以上であり、前記成分(C)システイン又はシスチンの含有量が0.04質量%以上、又は二酸化ケイ素の含有量が0.06質量%以上であることを特徴とする、経口組成物を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)、(B)、(C)を含有し、
成分(A)の含有量が50質量%以上であり、
成分(C)システイン若しくはシスチンの含有量が0.04質量%以上、又は二酸化ケイ素の含有量が0.06質量%以上であることを特徴とする、経口組成物。
(A)アスコルビン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩
(B)植物抽出物
(C)システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素
【請求項2】
前記成分(B)の含有量が0.5質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
前記成分(C)として、システイン又はシスチンと、二酸化ケイ素と、をいずれも含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の経口組成物。
【請求項4】
美白剤であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の経口組成物。
【請求項5】
以下の成分(A)、(B)を含有する経口組成物の呈味を改善する方法であって、
成分(C)システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素を含有させることを特徴とする、呈味改善方法。
(A)アスコルビン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩
(B)植物抽出物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口組成物及び経口組成物の呈味改善方法に関する。より詳しくは、医薬品、健康食品等の分野で用いる、苦味や酸味等の呈味が改善された経口組成物及び経口組成物の呈味改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経口摂取される食品、医薬品、医薬部外品に含まれる成分の中には、不快な味を呈する成分がある。元来、酸味、苦味、塩味、甘み等は重要な味覚であるが、これらの味が強すぎると、時に消費者の嗜好性を減退させることがある。
例えば、アスコルビン酸は、抗酸化作用、肌の美白作用、コラーゲン産生促進等の効果が期待され、医薬品、医薬部外品、又は化粧品分野において広く用いられている成分である。しかし、このアスコルビン酸は強い酸味を有するため、食品や医薬品として経口製剤とした場合には、その酸味から消費者の嗜好性に影響を与え、市場価値を低下させたり、医薬として服用がしにくくなったりする場合がある。
【0003】
食品や医薬における、このような強い酸味を抑制する方法について、例えば、特許文献1には、酢酸を0.1~10質量%含有する飲食物において、酢酸とヘキサナールの含有質量比が100対0.00001~100対0.001とした酢酸含有飲食物が開示されている。また、特許文献2には、シクロテン、プロピオン酸、(±)-シトロネラール、2-メチルピラジン、酪酸、アントラニル酸メチル、ノートカトン、β-カリオフィレンオキシド及び2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン等の化合物を含有し、有機酸又はその塩を含有する食品又は医薬品の酸味、酸臭を抑制する抑制剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-124696号公報
【特許文献2】特開2022-170686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、強い酸味を呈するアスコルビン酸を、高用量含有させた食品や医薬品において、その強すぎる酸味を抑制する方法は確立されていない。更に、アスコルビン酸のように酸味の強い成分に加えて、植物抽出物のような強い苦味を呈する成分を追加した製剤とした場合には、複雑でより不快な呈味となり、それら味覚が相互に影響しあうことで、その酸味を抑制することも、また苦味を抑制することも非常に困難となる場合があった。そのため、こうした強い酸味を呈する成分と強い苦味を呈する成分とを含有する剤において、酸味と苦味を同時に抑制できる簡便な方法が望まれている。
そこで、本発明の課題は、アスコルビン酸と植物抽出物とを含有し、その酸味と苦味が同時に抑制された経口組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、アスコルビン酸と植物抽出物を含有する組成物にシステイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素を配合することによって、アスコルビン酸が強く呈する酸味と植物抽出物が強く呈する苦味を同時に抑制することができるという知見に至り、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[5]を提供する。
[1]以下の成分(A)、(B)、(C)を含有し、
成分(A)の含有量が50質量%以上であり、
成分(C)システイン若しくはシスチンの含有量が0.04質量%以上、又は二酸化ケイ素の含有量が0.06質量%以上であることを特徴とする、経口組成物。
(A)アスコルビン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩
(B)植物抽出物
(C)システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素
この経口組成物によれば、強い酸味を有するアスコルビン酸を高用量含有すると同時に苦味成分である植物抽出物を含有する場合であっても、酸味と苦味による不快な呈味を抑制した経口組成物とすることができる。
[2]前記成分(B)の含有量が0.5質量%以上であることを特徴とする、[1]に記載の経口組成物。
この特徴によれば、植物抽出物の含有量の下限値を規定することにより、植物抽出物の適切な効果を担保しながら、アスコルビン酸の強い酸味と同時に、植物抽出物の呈する苦味を抑制した経口組成物とすることができる。
[3]前記成分(C)として、システイン又はシスチンと、二酸化ケイ素と、をいずれも含有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の経口組成物。
この特徴によれば、システイン又はシスチンと、二酸化ケイ素とを共に含有することにより、システイン又はシスチンと、二酸化ケイ素とが共に有する酸味及び苦味を抑制する効果を相乗的に奏する経口組成物とすることができる。
[4]美白剤であることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の経口組成物。
この特徴によれば、美白作用を期待された用途に使用される経口組成物とすることができる。
[5]以下の成分(A)、(B)を含有する経口組成物の呈味を改善する方法であって、
成分(C)システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素を含有させることを特徴とする、呈味改善方法。
(A)アスコルビン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩
(B)植物抽出物
この経口組成物の呈味改善方法によれば、強い酸味を有するアスコルビン酸と強い苦味成分である植物抽出物を含有する経口組成物において、システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素を含有させることにより、その酸味と苦味とによる不快な呈味を改善することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アスコルビン酸と植物抽出物とを含有し、その酸味と苦味が同時に抑制された経口組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の経口組成物、経口組成物の呈味改善方法について説明する。
なお、実施形態に記載する経口組成物、経口組成物の呈味改善方法については、本発明を説明するために例示したに過ぎず、これに制限されるものではない。
【0010】
[経口組成物]
本発明の経口組成物は、以下の成分(A)、(B)、(C)を含有し、成分(A)の含有量が50質量%以上であり、成分(C)システイン若しくはシスチンの含有量が0.04質量%以上、又は二酸化ケイ素の含有量が0.06質量%以上であることを特徴とする、経口組成物である。
(A)アスコルビン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩
(B)植物抽出物
(C)システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素
まず、本発明の経口組成物を構成する各成分について、詳細に説明する。なお、各成分の含有量について、特に断りがない場合は経口組成物における含有量を示す。
【0011】
<(A)アスコルビン酸>
本発明の経口組成物は、酸味を呈する主な成分として、経口組成物に対して50質量%以上のアスコルビン酸を含有する。高用量のアスコルビン酸を含有することで経口組成物の経口摂取時には強い酸味を感じることになる。
アスコルビン酸は、ビタミンCとも称され、その抗酸化能に加え、チロシナーゼの働きを阻害することでシミ・ソバカスの原因となる過剰なメラニン生成を正常化するとともに、酸化型濃色メラニンから還元型淡色メラニンとする還元作用にも関与することが明らかとなっている。また、美白成分として、臨床的にも既成のシミ・ソバカス等の色素沈着への改善効果が報告されている他、皮膚や腱、軟骨等を構成するコラーゲン合成における補酵素としての働きが着目されている。
【0012】
本発明のアスコルビン酸としては、医薬品、食品、動物用薬品、飼料等の用途に許容されるものであれば特に制限されるものではなく、また、アスコルビン酸の誘導体、これらの塩(以下、単に「アスコルビン酸」ということがある)も用いることができる。例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体として、アスコルビン酸モノリン酸エステル、アスコルビン酸ジリン酸エステル、アスコルビン酸トリリン酸エステル等のアスコルビン酸リン酸エステル、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル等のアスコルビン酸脂肪酸エステル、アスコルビン酸2-グルコシド等のアスコルビン酸配糖体、アスコルビン酸硫酸エステル及びこれらの塩が挙げられる。アスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体を含有することで、酸味を軽減することができると同時に安定性を付与でき、製剤としての利用容易性を高めることができる。
【0013】
なかでも、アスコルビン酸、構成脂肪酸が炭素数12~20のアスコルビン酸脂肪酸エステル、アスコルビン酸2-グルコシド又はこれらの塩が好ましく、パルミチン酸アスコルビル(アスコルビン酸パルミチン酸エステル)、ステアリン酸アスコルビル(アスコルビン酸ステアリン酸エステル)、アスコルビン酸2-グルコシド又はこれらの塩がより好ましく利用できる。本発明に利用可能な塩としては、前記アスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体と各種塩基との塩であれば特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩)等が挙げることができる。これら塩のうち、特にナトリウム塩がより好ましく利用できる。ナトリウム塩がより強く呈する塩味が本発明の経口組成物の複雑な呈味に更に影響を与え、本発明の成分(C)による呈味改善効果がより発揮できるからである。なかでも、アスコルビン酸又はアスコルビン酸ナトリウムが本発明に更に好ましく利用可能である。また、これらのアスコルビン酸は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。なお、本発明のアスコルビン酸としては、d体、l体、dl体のいずれも用いることができるが、入手のしやすさ等の観点からl体が好ましい。
【0014】
本発明の組成物中のアスコルビン酸の含有量は、50質量%以上である。下限値として、より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。一方、上限値としては特に制限されるものではなく、例えば、98質量%以下である。より好ましくは95質量%以下である。アスコルビン酸の含有量を前記範囲とすることで、アスコルビン酸の生理作用を十分に発揮することができると共に、高用量のアスコルビン酸を含有させることで、製剤としての摂取量を減らすことができ、効率的な投与効果を奏することができる。
【0015】
また、アスコルビン酸における、アスコルビン酸ナトリウム等のアスコルビン酸塩の含有量としては特に制限されないが、例えば、アスコルビン酸の含有量全体に対して、20質量%以上80質量%以下である。下限値としてはより好ましくは30質量%以上である。上限値としてはより好ましくは60質量%以下である。アスコルビン酸塩の含有量を前記範囲とすることで、酸味を軽減できると共に、高い水溶性を付与でき、また、その安定性から、製剤としての利用容易性を高めることができる。同時に、分子量に大きな影響を与えないため、アスコルビン酸の全体の含有量として十分な高用量を確保することができる。一定量のアスコルビン酸塩を含有することで塩味が付与され、更に複雑な呈味となり得るが、本発明の成分(C)の効果により複雑で不快な呈味を改善でき、より嗜好性の高い経口組成物を提供することができる。
なお、アスコルビン酸における、アスコルビン酸誘導体(これらの塩も含む)の含有量としては特に制限されないが、例えば、アスコルビン酸の含有量全体に対して、4質量%以上30質量%以下である。下限値としてはより好ましくは8質量%以上である。上限値としてはより好ましくは20質量%以下である。アスコルビン酸誘導体の含有量を前記範囲とすることで、酸味を軽減できると共に、その安定性から、製剤としての利用容易性を高めることができる。同時に、アスコルビン酸の全体の含有量として十分な高用量を確保することができる。
【0016】
<(B)植物抽出物>
本発明の経口組成物は、主な苦味成分として植物抽出物を含有する。本発明の植物抽出物としては、経口摂取により苦味を呈するものであり、医薬品、食品、動物用薬品、飼料等の用途に許容されるものであれば、特に限定されるものではない。本発明の成分(A)アスコルビン酸と相乗作用が期待できるため、美白作用、抗酸化作用、コラーゲン産生等の美肌作用を有するものが好ましく使用できる。このような植物抽出物として、例えば、アーティチョークエキス、アスパラガス茎エキス、アンズ種子エキス、イタドリエキス、オウゴンエキス、オウゴン根エキス、オウバクエキス、オトギリソウエキス、オリーブエキス、オリーブ葉エキス、カッコンエキス、カモミラET、カンゾウフラボノイド、キイチゴエキス、キウイエキス、キョウニンエキス、ゲンチアナエキス、コーヒーエキス、コーヒー種子エキス、ゴレンシ葉エキス(スターフルーツ葉エキス)、サンザシエキス、シャクヤクエキス、ジャスミンエキス、シャクヤク根エキス、ショウブ根エキス、ショウブ根茎エキス、スギナエキス、セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス、セイヨウトチノキ種子エキス、ダイズエキス、ダイズ種子エキス、タイムエキス(タチジャコウソウエキス)、トウキエキス、トウキ根エキス、トウキンセンカエキス、トウキンセンカ花エキス、トウネズミモチエキス、ハイビスカス花エキス、ビルベリーエキス、ビワ葉エキス、ブドウ種子エキス、ボタンエキス、ボタンピエキス、メマツヨイグサエキス、メリッサエキス、ユキノシタエキス、ラベンダーエキス、ワイルドタイムエキス等が挙げられる。
【0017】
なかでも、ポリフェノールを含有する植物抽出物が本発明により好ましく使用できる。このようなポリフェノールとしては特に限定されないが、例えば、オレウロペイン、ヒドロキシチロソール等が挙げられる。本発明のビタミンC等との相乗作用、呈味改善効果をより奏する観点から、モクセイ科の植物抽出物が更に好ましく利用できる。このようなモクセイ科の植物の抽出物としては、オリーブ抽出物、オリーブ葉抽出物、ジャスミン抽出物、トウネズミモチ抽出物が特に好ましく、なかでも、オリーブ葉抽出物が最も好ましく利用可能である。なお、これらの植物抽出物は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0018】
これら植物抽出物の製法については、特に限定されるものではなく、医薬品、食品、動物用薬品、飼料等の分野において使用される常法により得ることができる。例えば、植物の全体、又は種子、茎、葉、根、花等を公知の方法により、粉砕、圧搾、乾燥、抽出、濃縮、精製処理等の工程を経て目的の植物抽出物を得ることができる。抽出工程において使用する抽出溶媒としては、特に限定されず、植物の種類、部位、態様に応じて、水、有機溶媒、又はこれらの混液を任意の配合により用いることができる。同様に、抽出方法、抽出時間も特に限定されず、植物の種類、部位、態様に応じて適宜設計した方法により抽出することができる。更に投与目的や剤形に応じて、濃縮、精製処理によって、所望の植物抽出物を得ることができる。また、適宜、抽出物中の有効成分を高濃度化するための、濃縮、乾燥又はクロマトグラフィーその他の製造上の工程を適宜用いることができる。なお、本発明のオリーブ葉抽出物として、商業的に入手可能な市販品を使用してもよい。
【0019】
(オリーブ抽出物)
本発明の植物抽出物の一例としてオリーブ抽出物を利用することができる。本発明のオリーブ抽出物としては、医薬品、食品、動物用薬品、飼料等の用途に許容されるものであれば、特に限定されるものではない。抽出する部位としては特に限定されず、全草、茎、葉、根、花、花弁、種子等のいずれの部位も利用可能であるが、有効成分が豊富であることから葉の抽出物をより好ましく利用できる。このオリーブ葉抽出物は、オリーブ(学名:Olea europaea L.)の葉から分離される抽出物である。葉の全部又は一部から抽出溶媒を用いて分離してもよいし、圧搾により分離することもできる。オリーブには、ヒドロキシチロソール、オレウロペイン及びこれらの配糖体等のオリーブポリフェノール化合物が含まれる。使用する抽出溶媒としては、例えば、水、アルコール、アセトン等の有機溶媒から選ばれる1種の溶媒又は2種以上の溶媒の混液を使用できる。中でも水、水とアルコールとの混液、及びアルコールが好ましい。アルコールとしては、エタノール、メタノールが好ましい。抽出時間及び温度は、オリーブ葉抽出物を得るための抽出部位、溶媒の種類等によって適宜定めることができる。オリーブ葉抽出物は、オリーブ葉から抽出された粗抽出物であってもよいし、粗抽出物に濃縮、乾燥、粉砕等の加工を施したものであってもよい。更に、分配法による処理、精製処理(例えば、イオン交換樹脂、カラム等を利用して吸着処理後、溶媒による溶出、その後必要により更に濃縮処理)により不純物を除去したものも使用することができる。更に、抽出物中のヒドロキシチロソールやオレウロペインの含有量を高濃度とするために、濃縮、乾燥又はクロマトグラフィーその他の製造上の工程を適宜用いることができる。なお、本発明のオリーブ葉抽出物として、商業的に入手可能な市販品を使用してもよい。
【0020】
植物抽出物の含有量としては、特に制限されるものではなく、例えば、0.5質量%以上20質量%以下である。下限値としては、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは5.0質量%以上である。一方、上限値としては、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
植物抽出物の含有量を前記範囲とすることで、アスコルビン酸との効能における相乗作用を十分発揮できると共に、アスコルビン酸を高用量配合することができ、本発明の呈味改善効果を確実に発揮することができる。
【0021】
<(C)システイン又はシスチン>
システイン及びシスチンは、アミノ酸の1種であり、シスチンは2つのシステイン分子がジスルフィド結合によって繋がった構造を有している。システイン及びシスチンは抗酸化作用やチロシナーゼ活性阻害作用を有し、メラニンの生成を抑制して美白効果、皮膚の老化を予防又は防止する効果が報告されている。また、シスチンは毛髪のタンパクであるケラチンの主要なアミノ酸であり、育毛に必要なアミノ酸であることが知られている。本発明のシステイン又はシスチンとしては、医薬品、食品、動物用薬品、飼料等の用途に許容されるものであれば、特に限定されるものではない。本発明のシステイン又はシスチンの製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、蛋白質加水分解法、化学合成法、酵素法の何れかの方法が挙げられる。また、システイン又はシスチンは動植物の組織の構成成分であり、動植物等から抽出又は精製して製造することも可能である。なお、システイン又はシスチンとして、商業的に入手可能な市販品を使用することもできる。
【0022】
システイン又はシスチンの含有量としては、0.04質量%以上である。下限値としては、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、最も好ましくは1質量%以上である。一方、上限値としては、特に制限されないが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
システイン又はシスチンの含有量を前記範囲とすることで、本発明の呈味改善効果を十分に発揮できるとともに、システイン又はシスチンそれ自体の呈味が影響を与えることを回避することができる。
【0023】
また、成分(A)アスコルビン酸に対するシステイン又はシスチンの含有量の比((C)/(A))については特に制限されないが、例えば、0.0004以上0.1以下である。下限値としては、好ましくは0.0005以上、より好ましくは0.001以上、更に好ましくは0.005以上、最も好ましくは0.01以上である。一方、上限値としては、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.025以下である。
成分(A)アスコルビン酸に対するシステイン又はシスチンの含有量の比を前記範囲とすることで、本発明の呈味改善効果を十分に発揮できるとともに、システイン又はシスチンそれ自体の呈味が影響を与えることを回避することができる。
更に、成分(B)植物抽出物に対するシステイン又はシスチンの含有量の比((C)/(B))については特に制限されないが、例えば、0.007以上1以下である。下限値としては、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.018以上、更に好ましくは0.04以上、最も好ましくは0.1以上である。一方、上限値としては、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.25以下である。
成分(B)植物抽出物に対するシステイン又はシスチンの含有量の比を前記範囲とすることで、本発明の呈味改善効果を十分に発揮できるとともに、システイン又はシスチンそれ自体の呈味が影響を与えることを回避することができる。
【0024】
<(C)二酸化ケイ素>
二酸化ケイ素は、「シリカ」、「無水ケイ酸」、「酸化ケイ素」とも称され、無数の細孔を有する微粒子である。本発明に使用できる二酸化ケイ素としては、医薬品、食品、動物用薬品、飼料等の用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ケイ酸ソーダを硫酸で直接分解する湿式法により作製される微粒二酸化ケイ素、四塩化ケイ素の酸水素焔中で高温加水分解する気相法により作製される微粒二酸化ケイ素等が挙げられる。酸化ケイ素、シリカゲル、フュームドシリカを微粉末化したものであってもよい。また、二酸化ケイ素として、商業的に入手可能な市販品を使用することもできる。なかでも、微粒二酸化ケイ素として流通する市販品が好ましく使用可能である。なお、これらの二酸化ケイ素は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0025】
二酸化ケイ素の平均粒子径は、特に制限されるものではなく、例えば、50μm以下である。上限値としては、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下である。
二酸化ケイ素の平均粒子径を前記範囲とすることで、本発明の経口組成物に対する呈味改善効果を更に発揮することができる。
【0026】
二酸化ケイ素の含有量は、0.06質量%以上である。下限値としては、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。一方、上限値としては、特に制限されないが、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
二酸化ケイ素の含有量を前記範囲とすることで、本発明の呈味改善効果を十分に発揮できるとともに、粉っぽくならず、服用しやすい製剤とすることができる。
【0027】
また、成分(A)アスコルビン酸に対する二酸化ケイ素の含有量の比((C)/(A))については特に制限されないが、例えば、0.0006以上0.05以下である。下限値としては、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上である。一方、上限値としては、好ましくは0.01以下、より好ましくは0.005以下である。
成分(A)アスコルビン酸に対する二酸化ケイ素の含有量の比を前記範囲とすることで、本発明の呈味改善効果を十分に発揮できるとともに、粉っぽくならず、服用しやすい製剤とすることができる。 更に、成分(B)植物抽出物に対する二酸化ケイ素の含有量の比((C)/(B))については特に制限されないが、例えば、0.015以上0.5以下である。下限値としては、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.04以上である。一方、上限値としては、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下である。
成分(B)植物抽出物に対する二酸化ケイ素の含有量の比を前記範囲とすることで、本発明の呈味改善効果を十分に発揮できるとともに、粉っぽくならず、服用しやすい製剤とすることができる。
【0028】
また、システイン又はシスチンの含有量に対する二酸化ケイ素の含有量の質量比は、特に制限されるものではなく、例えば、0.012以上125以下である。下限値としては、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.4以上、最も好ましくは0.51以上である。一方、上限値としては、より好ましくは5以下、更に好ましくは0.99以下である。
システイン又はシスチンの含有量に対する二酸化ケイ素の含有量の質量比を前記範囲とすることで、呈味への影響を最小限にできると共に、低い含有量で酸味や苦味等の呈味を改善する効果を適切に発揮できるため、アスコルビン酸の含有量をより高用量とすることができる。
【0029】
(その他の成分)
本発明における経口組成物は、アスコルビン酸、植物抽出物、システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素以外に、必要に応じて有効成分、添加剤を含有してもよい。添加剤の具体例としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、保存剤、着色剤香料、甘味料等が挙げられる。
【0030】
有効成分としては、効能、効果を発揮するものであり、医薬品、食品、動物用薬品、飼料等の用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、医薬品、医薬部外品、OTC医薬品、漢方薬、生薬、化粧品、化粧料、健康食品、サプリメント、動物用薬品、飼料等に用いられる医薬成分、機能性成分等が挙げられる。
医薬成分、機能性成分の具体例としては、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチン、ナイアシン、ナイアシンアミド、パントテン酸、鉄、銅、亜鉛、マンガン、セレン、クロム、モリブデン、ポリグルタミン酸、藤茶ポリフェノール、脂質調整剤、抗糖尿病剤、降圧剤、血管拡張剤、βアドレナリン受容体遮断薬、強心イオンチャンネル剤、不整脈治療剤、抗凝血剤、中枢神経機能改善剤、交感神経刺激剤、副交感神経刺激剤、抗ムスカリン様作動剤、ドーパミン作動剤、精神安定剤、抗鬱剤、抗不安剤、催眠剤、動物由来物質、植物由来物質、ラピジン、ノビレチン、スルフォラファン、アンペロプシン、クルクミン類、レスベラトロール類、ゲラニオール、オサジン、イソリキリチゲニン、ヒドロキシチロソール、25-ヒドロキシコレカルシフェロール、S-アデノシルメチオニン、アントシアニン、プロテオグリカン、N-アセチルグルコサミン、コラーゲン、ビルベリーエキス、ニンジン末、モルトエキス、ハス胚芽エキス末、ゴカヒ、カンゾウ、シャクヤク、ケイヒ、ウイキョウ、シュクシャ、ビフィズス菌、乳酸菌、酵母、ポリデキストロース等の食物繊維等が挙げられる。なかでも、本発明の必須成分の効果として期待される、美白、美肌効果と相乗作用を奏する有効成分を使用することが好ましい。また、これらの医薬成分、機能性成分は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0031】
<経口組成物の形態>
本発明の経口組成物の形態は、医薬品、食品、動物用薬品、飼料等の用途に許容されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、粉末として散剤、細粒剤とする他、裸錠、糖衣錠、バッカル錠、コーティング錠、チュアブル錠等の錠剤、丸剤、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、顆粒剤等の固形剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等の液剤、トローチ剤等が挙げられる。なかでも、粉末状であることが好ましい。これらの製剤は製剤上の公知の手段により調製することができる。更に、これら製剤を目的に応じて、加工食品、健康食品(栄養補助食品、栄養機能食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品等)、サプリメント、病者向け食品(病院食、病人食、介護食等)、菓子、油脂類、乳製品、レトルト食品、レンジ食品、冷凍食品、調味料、健康補助食品、飲料、栄養ドリンク等に利用することができる。なかでも、美白用として経口投与する目的に使用することが好ましい。
【0032】
[経口組成物の調製方法]
本発明の経口組成物の調製方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法で調製することができる。例えば、成分(A)、(B)、(C)を撹拌混合する工程の他、必要に応じて、加温、乾燥、粉砕、篩い分け等の工程を設けてもよく、これら工程の順序や条件も特に限定されない。
【0033】
以上の特徴により、本発明における経口組成物は、成分(C)である、システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素の作用により、アスコルビン酸と植物抽出物とを含有することによる酸味及び苦味を抑制するという効果を発揮することができる。
【0034】
[経口組成物の呈味改善方法]
本発明の経口組成物の呈味低減方法は、成分(A)アスコルビン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩及び成分(B)植物抽出物を含有する経口組成物に、成分(C)システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素を添加する方法である。
なお、経口組成物の呈味改善方法を構成するアスコルビン酸、植物抽出物、システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素については、前記本発明の経口組成物と同様であってもよい。
【0035】
成分(C)システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素の添加量は、特に制限されるものではなく、例えば、前記経口組成物におけるシステイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素の説明を充足するものであればよい。
【0036】
以上の特徴により、本発明における経口組成物の呈味改善方法は、成分(C)システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素の作用により、アスコルビン酸と植物抽出物とを含有する経口組成物の酸味及び苦味等の不快な呈味を改善するという効果を発揮することができる。
【実施例0037】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに制限されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
【0038】
[試験例 アスコルビン酸及び植物抽出物を含有する経口組成物における呈味改善効果]
アスコルビン酸及び植物抽出物を含有する経口組成物における呈味改善効果について試験を行った。より詳細には、アスコルビン酸及びオリーブ葉エキスを含有する経口組成物に、L-シスチン又は二酸化ケイ素を添加した場合のアスコルビン酸が呈する酸味及びオリーブ葉エキスが呈する苦味に対する抑制効果について評価した。
【0039】
<試験試料の作製>
各試料は、以下の手順に従い作製した。
【0040】
(比較例1)
原料となる成分(A)として、アスコルビン酸429mg、アスコルビン酸ナトリウム511.3mg、成分(B)として、オリーブ葉エキス50mgを秤量し、混合機(透視式混合器S-3、筒井理化学器機械株式会社)で混合して比較例1の経口組成物を得た。なお、本試験例に用いた原料の詳細について以下の表1に示した。
【0041】
【0042】
(比較例2、実施例2~5)
成分(C)として、L-シスチンをそれぞれ0.3mg、0.5mg、1mg、2.25mg、5.05mg、10.1mg秤量し、更に加えて混合した以外は比較例1と同様にして、比較例2、実施例2~5の経口組成物を得た。
【0043】
(比較例3、実施例6、7)
成分(C)として、二酸化ケイ素(平均粒子径2.9μm)をそれぞれ0.5mg、1mg、2.25mg秤量し、更に加えて混合した以外は比較例1と同様にして、比較例3、実施例6、7の経口組成物を得た。
【0044】
(比較例4)
成分(C)として、L-オルニチン塩酸塩を10.1mg秤量し、更に加えて混合した以外は、比較例1と同様にして、比較例4の経口組成物を得た。
【0045】
(実施例8、9)
成分(C)として、L-シスチンの量を10.1mg及び二酸化ケイ素の量をそれぞれ2.25mg、4.5mg秤量し、更に加えて混合した以外は、比較例1と同様にして、実施例8、9の経口組成物を得た。なお、前記比較例1~4、実施例1~9におけるそれぞれの成分組成を、経口組成物全体に対する質量%として表2に示した。
【0046】
<官能試験>
以下の方法に従い、比較例1を基準として、比較例2~4、実施例1~9の経口組成物における酸味及び苦味に関しての官能評価を、9名のパネラーにより下記の採点基準によって4段階で採点し、その平均点から下記の評価基準に従い、それぞれの抑制効果について評価を行った。結果を表2に示す(数値は小数点第2位を四捨五入した)。アスコルビン酸による酸味は、酸味、刺激、後味等を総合的に評価し、成分(C)を含有しない比較例1の酸味の評価を3として、それぞれ相対的な評価として実施した。同様に、オリーブ葉エキスによる苦味は、苦味、渋味、後味等を総合的に評価し、成分(C)を含有しない比較例1の苦味の評価を3として、それぞれ相対的な評価として実施した。
【0047】
(採点基準)
3:酸味(苦味)が最も強い。酸味(苦味)が抑制されていない。
2:酸味(苦味)がやや強い。酸味(苦味)がやや抑制されている。
1:酸味(苦味)を感じるが弱い。酸味(苦味)が抑制されている
0:酸味(苦味)をほとんど感じない。酸味(苦味)が大きく抑制されている。
【0048】
(評価基準)
2.5以上3.0以下:効果なし
1.5以上2.5未満:効果小
0.5以上1.5未満:効果中
0以上0.5未満:効果大
【0049】
(総合評価)
次に、前記苦味と酸味の相対評価に基づいて、比較例2~4、実施例1~9の経口組成物における酸味及び苦味の抑制効果について総合的に評価を行った。総合評価は、酸味及び苦味の評価の低い方を総合評価とした。即ち、酸味及び苦味の双方を抑制して初めて評価に結び付くこととした。酸味及び苦味のそれぞれの評価と総合評価について表2に示した。
【0050】
【0051】
(結果)
シスチン又は二酸化ケイ素の含有量が本発明の規定に満たない比較例2、3においては、呈味改善の総合評価が最低基準を満たさなかった。また、その他のアミノ酸であるL-オルニチン塩酸塩においても同様に呈味改善の総合評価が最低基準を満たさなかった。シスチン又は二酸化ケイ素の含有量が本発明の規定を満たす実施例1~7においては、十分な呈味改善効果を発揮することが明らかとなった。また、シスチン及び二酸化ケイ素をいずれも含有する実施例8、9においては、それらの酸味及び苦味に対する抑制効果が相乗作用を示し、呈味改善の総合評価において最大の効果を示すことが明らかとなった。よって、比較例1~4、実施例1~9の官能試験の結果から、アスコルビン酸とオリーブ葉抽出物を含有する経口組成物の酸味及び苦味のいずれも抑制するためには、シスチンを0.04質量%以上又は二酸化ケイ素を0.06質量%以上含有する必要があることが明らかとなった。
【0052】
<処方例>
また、(A)成分として更にL-アスコルビン酸パルミチン酸エステルを158.70mg加えて、前記実施例と同様に経口組成物を作製し、同様に官能評価を実施した結果、アスコルビン酸及びオリーブ葉抽出物の酸味及び苦味がシスチン又は二酸化ケイ素を含有させることにより抑制される効果が同様に確認できた。
【0053】
以上のように、高用量のアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体又はそれらの塩と植物抽出物を含有する経口組成物において、システイン若しくはシスチン又は二酸化ケイ素を含有させることで、その酸味及び苦味を抑制できることが確認された。
本発明は、高用量のアスコルビン酸と植物抽出物を含有しながら、その酸味及び苦味が抑制された経口組成物を簡便に調製できるので、アスコルビン酸、植物抽出物が有する有利な効果を利用した医薬品、医薬部外品、飲む化粧料、飲む化粧品、健康食品(栄養補助食品、栄養機能食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品等)、サプリメント、飼料等を提供することができる。