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特開2024-121730探索支援方法、探索支援装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121730
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】探索支援方法、探索支援装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16C 20/40 20190101AFI20240830BHJP
   G06F 16/9032 20190101ALI20240830BHJP
【FI】
G16C20/40
G06F16/9032
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028986
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】520058088
【氏名又は名称】株式会社データグリッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 優
(72)【発明者】
【氏名】庵原 明洋
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA06
5B175HB03
5B175KA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多数の化合物の中から、より効率的に目的の化合物を探索するための探索支援方法、探索支援装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】予め定められた化合物を探索するための探索支援方法であって、探索支援装置が、化合物の探索に用いられる複数の化合物の化合物データを取得する段階と、前記複数の化合物の特性を示す特性値を取得する段階と、前記複数の化合物に基づいて選択された選択化合物を表示する段階と、前記選択化合物の特性の特性値を変化させて、任意の特性値を選択するためのスケール表示手段を表示する段階と、前記スケール表示手段を用いて選択された前記特性値に応じた候補化合物を取得する段階と、取得した前記候補化合物を表示する段階と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた化合物を探索するための探索支援方法であって、
コンピュータが、化合物の探索に用いられる複数の化合物の化合物データを取得する段階と、
コンピュータが、前記複数の化合物の特性を示す特性値を取得する段階と、
コンピュータが、前記複数の化合物に基づいて選択された選択化合物を表示する段階と、
コンピュータが、前記選択化合物の特性の特性値を変化させて、任意の特性値を選択するためのスケール表示手段を表示する段階と、
コンピュータが、前記スケール表示手段を用いて選択された前記特性値に応じた候補化合物を取得する段階と、
コンピュータが、取得した前記候補化合物を表示する段階と、
を備える探索支援方法。
【請求項2】
前記候補化合物と構造または特性が類似する類似化合物を表示する段階を備える
請求項1に記載の探索支援方法。
【請求項3】
前記候補化合物を表示する段階は、
前記候補化合物の構造式を示す構造表示画面を表示する段階と、
前記構造表示画面において、前記候補化合物の部分構造と、前記候補化合物の予め定められた特性に対する前記部分構造の寄与度との関係を表示する段階と、
を有する請求項1に記載の探索支援方法。
【請求項4】
前記部分構造と特性の寄与度との関係を表示する段階は、前記候補化合物の構造式上で、前記候補化合物の予め定められた特性に対する前記寄与度をヒートマップで表示する段階を有する
請求項3に記載の探索支援方法。
【請求項5】
前記候補化合物の予め定められた特性が寄与する寄与構造を特定する段階と、
前記寄与構造が共通する他の特性が存在する場合に、前記他の特性をアラート表示する段階と、
を備える請求項4に記載の探索支援方法。
【請求項6】
前記スケール表示手段を表示する段階は、前記スケール表示手段が前記特性値を表示するスケールを予め定められた範囲毎に分割表示する段階を有する
請求項1に記載の探索支援方法。
【請求項7】
前記スケール表示手段を表示する段階は、前記選択化合物の複数の特性のそれぞれの特性値を選択するための複数のスケール表示手段を表示する段階を有する
請求項1に記載の探索支援方法。
【請求項8】
前記スケール表示手段を表示する段階は、前記複数のスケール表示手段のそれぞれに前記特性値の予測信頼性を表示する段階を有する
請求項7に記載の探索支援方法。
【請求項9】
前記候補化合物を表示する段階は、前記候補化合物の合成可能性のスコアを表示する段階を有する
請求項1に記載の探索支援方法。
【請求項10】
前記スケール表示手段は、前記選択化合物の特性値を選択するためのスケールバーである
請求項1に記載の探索支援方法。
【請求項11】
コンピュータに請求項1から9のいずれか一項に記載の探索支援方法を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
予め定められた化合物を探索するための探索支援装置であって、
化合物の探索に用いられる複数の化合物の化合物データを取得する化合物取得部と、
前記複数の化合物の特性を示す特性値を取得する特性値取得部と、
前記複数の化合物および前記特性値に応じた候補化合物を取得する候補取得部と、
前記候補化合物を任意の表示部に表示させるための出力部と、
を備え、
前記出力部は、
前記複数の化合物に基づいて選択された選択化合物を前記表示部に表示させ、
前記選択化合物の特性の特性値を変化させて、任意の特性値を選択するためのスケール表示手段を前記表示部に表示させ、
前記スケール表示手段を用いて選択された前記特性値に応じた前記候補化合物を前記表示部に表示させる
探索支援装置。
【請求項13】
前記出力部が出力した前記候補化合物を表示するための表示部を備える
請求項12に記載の探索支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探索支援方法、探索支援装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「治療目的の疾患の創薬標的タンパク質を予測すること」が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2022-099245号公報
【0003】
多数の化合物の中から、より効率的に目的の化合物を探索するための探索支援方法を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様においては、予め定められた化合物を探索するための探索支援方法であって、コンピュータが、化合物の探索に用いられる複数の化合物の化合物データを取得する段階と、コンピュータが、前記複数の化合物の特性を示す特性値を取得する段階と、コンピュータが、前記複数の化合物に基づいて選択された選択化合物を表示する段階と、コンピュータが、前記選択化合物の特性の特性値を変化させて、任意の特性値を選択するためのスケール表示手段を表示する段階と、コンピュータが、前記スケール表示手段を用いて選択された前記特性値に応じた候補化合物を取得する段階と、コンピュータが、取得した前記候補化合物を表示する段階と、を備える探索支援方法を提供する。
【0005】
上記探索支援方法において、前記候補化合物と構造または特性が類似する類似化合物を表示する段階を備えてよい。
【0006】
上記いずれかの探索支援方法において、前記候補化合物を表示する段階は、前記候補化合物の構造式を示す構造表示画面を表示する段階と、前記構造表示画面において、前記候補化合物の部分構造と、前記候補化合物の予め定められた特性に対する前記部分構造の寄与度との関係を表示する段階と、を有してよい。
【0007】
上記いずれかの探索支援方法において、前記部分構造と特性の寄与度との関係を表示する段階は、前記候補化合物の構造式上で、前記候補化合物の予め定められた特性に対する前記寄与度をヒートマップで表示する段階を有してよい。
【0008】
上記いずれかの探索支援方法は、前記候補化合物の予め定められた特性が寄与する寄与構造を特定する段階と、前記寄与構造が共通する他の特性が存在する場合に、前記他の特性をアラート表示する段階と、を備えてよい。
【0009】
上記いずれかの探索支援方法において、前記スケール表示手段を表示する段階は、前記スケール表示手段が前記特性値を表示するスケールを予め定められた範囲毎に分割表示する段階を有してよい。
【0010】
上記いずれかの探索支援方法において、前記スケール表示手段を表示する段階は、前記選択化合物の複数の特性のそれぞれの特性値を選択するための複数のスケール表示手段を表示する段階を有してよい。
【0011】
上記いずれかの探索支援方法において、前記スケール表示手段を表示する段階は、前記複数のスケール表示手段のそれぞれに前記特性値の予測信頼性を表示する段階を有してよい。
【0012】
上記いずれかの探索支援方法において、前記候補化合物を表示する段階は、前記候補化合物の合成可能性のスコアを表示する段階を有してよい。
【0013】
上記いずれかの探索支援方法において、前記スケール表示手段は、前記選択化合物の特性値を選択するためのスケールバーであってよい。
【0014】
本発明の第2の態様においては、コンピュータに上記いずれかの探索支援方法を実行させるためのプログラムを提供する。
【0015】
本発明の第3の態様においては、予め定められた化合物を探索するための探索支援装置であって、化合物の探索に用いられる複数の化合物の化合物データを取得する化合物取得部と、前記複数の化合物の特性を示す特性値を取得する特性値取得部と、前記複数の化合物および前記特性値に応じた候補化合物を取得する候補取得部と、前記候補化合物を任意の表示部に表示させるための出力部と、を備える探索支援装置を提供する。前記出力部は、前記複数の化合物に基づいて選択された選択化合物を前記表示部に表示させ、前記選択化合物の特性の特性値を変化させて、任意の特性値を選択するためのスケール表示手段を前記表示部に表示させ、前記スケール表示手段を用いて選択された前記特性値に応じた前記候補化合物を前記表示部に表示させてよい。
【0016】
上記探索支援装置は、前記出力部が出力した前記候補化合物を表示するための表示部を備えてよい。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】探索支援装置100の構成の概要を示すブロック図である。
図2】探索支援方法を実現するためのフローチャートの一例である。
図3】化合物を探索するための表示画面150の一例を示す。
図4】表示欄153による候補化合物Ccの表示方法の一例を示す。
図5】表示欄153による類似化合物Csiの表示方法の一例を示す。
図6】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、探索支援装置100の構成の概要を示すブロック図である。探索支援装置100は、化合物取得部10と、特性値取得部20と、候補取得部30と、出力部40とを備える。探索支援装置100は、表示部50および記憶部60を備えてもよい。探索支援装置100は、多数の化合物の中から、予め定められた化合物を探索するために用いられる。
【0021】
化合物取得部10は、化合物の探索に用いられる複数の化合物の化合物データDcを取得する。化合物データDcは、複数の化合物の構造式を有してよい。化合物データDcは、記憶部60に保存されてよい。
【0022】
特性値取得部20は、複数の化合物の特性を示す特性値Vpを取得する。特性値取得部20は、化合物ごとに複数の特性値Vpを取得してよい。特性値Vpの種類は、探索支援装置100のユーザによって決定されてもよい。特性値Vpは、記憶部60に保存されてよい。
【0023】
記憶部60は、化合物データDcと、化合物データDcの各化合物の特性値Vpとを記憶する。記憶部60は、化合物データDcと各化合物の特性値Vpとを紐づけて記憶してよい。記憶部60は、探索支援装置100の外部に設けられてもよい。記憶部60は、記憶した化合物データDcおよび特性値Vpを表示部50に出力してユーザに提供してもよい。
【0024】
候補取得部30は、複数の化合物および特性値Vpに応じた候補化合物Ccを取得する。候補取得部30は、化合物データDcおよび特性値Vpを記憶部60から取得してよい。候補取得部30は、化合物選択部32と、特性値変更部34と、候補決定部36とを有する。
【0025】
化合物選択部32は、化合物データDcおよび特性値Vpに基づいて、候補化合物Ccを決定するための元となる選択化合物Csを選択する。化合物選択部32は、ユーザが探索したい化合物の条件に応じて選択化合物Csを選択してもよい。
【0026】
選択化合物Csは、化合物データDcに含まれる複数の化合物のいずれかから選択されてよい。選択化合物Csは、化合物データDcに含まれる複数の化合物を参照して決定された別の化合物であってもよい。選択化合物Csは、ユーザが選択してもよいし、化合物選択部32が選択してもよい。選択化合物Csは、ユーザが探索したい化合物の特性値Vpを入力データとして化合物選択部32によって選択されてよい。
【0027】
特性値変更部34は、化合物選択部32が選択した選択化合物Csの特性値Vpを、ユーザが探索したい化合物の目標特性値Vgに変更する。目標特性値Vgは、後述するスケール表示手段52を用いて、ユーザによって決定されてよい。特性値変更部34は、複数の特性のうちいずれか1つの特性について、目標特性値Vgを選択してもよいし、複数の特性について目標特性値Vgを選択してもよい。特性値変更部34は、スケール表示手段52で複数の化合物の特性値Vpを変化させることにより、記憶部60に記憶された化合物データDcの潜在空間上の化合物の構造を連続的に制御することができる。
【0028】
候補決定部36は、選択化合物Csおよび目標特性値Vgに基づいて候補化合物Ccを決定する。候補決定部36は、選択化合物Csを元データとして、目標特性値Vgを満たすような新たな化合物を候補化合物Ccとして決定してよい。候補決定部36は、決定した候補化合物Ccを出力部40に送信してよい。
【0029】
出力部40は、ユーザによる選択化合物Csの選択、目標特性値Vgの設定および候補化合物Ccの決定を支援するための画面を表示部50に表示させる。出力部40は、複数の化合物に基づいて選択された選択化合物Csを表示部50に表示させてよい。出力部40は、選択化合物Csの特性の特性値Vpを変化させて、任意の特性値Vpを選択するためのスケール表示手段52を表示部50に表示させてよい。出力部40は、スケール表示手段52によって選択された特性値Vpに応じた候補化合物Ccを表示部50に表示させてよい。
【0030】
表示部50は、ユーザによる選択化合物Csの選択、目標特性値Vgの設定および候補化合物Ccの決定を支援するための画面を表示する。表示部50の具体的な表示画面は、後述する。表示部50は、探索支援装置100の外部に設けられた任意のディスプレイであってよく、ユーザの携帯端末等であってもよい。
【0031】
図2は、探索支援方法を実現するためのフローチャートの一例である。ステップS100において、複数の化合物の化合物データDcを取得する。化合物データDcは、ユーザが入力してもよいし、探索支援装置100がユーザの要望に応じて生成してもよい。化合物データDcは、ユーザ以外のサービス提供者が用意してもよい。化合物データDcは、化合物の構造式および/または任意の特性値Vpを入力データとして機械学習等によって生成されてもよい。
【0032】
ステップS102において、複数の化合物の特性値Vpを取得する。特性値Vpは、ユーザが入力してもよい。特性値Vpは、ユーザ以外のサービス提供者が用意してもよい。特性値Vpは、化合物データDcに基づいて予測された値であってもよい。化合物データDcおよび特性値Vpは、任意のタイミングで記憶部60に記憶され、適宜、記憶部60から読み出されてよい。
【0033】
ステップS104において、選択化合物Csを選択して表示する。表示部50は、選択化合物Csの構造式を表示してよく、選択化合物Csの特性値Vpを表示してよい。ステップS106において、選択化合物Csの特性値Vpを変更する。即ち、選択化合物Csの目標特性値Vgを決定してよい。
【0034】
ステップS108において、候補化合物Ccを決定して表示する。複数の候補化合物Ccを表示してもよいし、類似の化合物を合わせて表示してもよい。探索支援装置100は、選択化合物Csの特性値Vpの変更に応じてリアルタイムで候補化合物Ccを表示してよい。
【0035】
ステップS110において、候補化合物Ccの探索を継続するか否かを判断する。探索を継続する場合、ステップS104に戻り選択化合物Csを新たに選択してよい。ユーザは、候補化合物Ccの結果を考慮して、選択化合物Csを新たに選択することができる。ユーザは、候補化合物Ccを実際に合成して、その合成結果に基づいて選択化合物Csを選択してもよい。ユーザは、ステップS108において、複数の候補化合物Ccが提示された場合に、複数の候補化合物Ccのいずれかを新たな選択化合物Csに選択してもよい。このように、探索を繰り返して制約条件を追加していくことにより、自由度を削減して探索効率をさらに向上させてもよい。
【0036】
図3は、化合物を探索するための表示画面150の一例を示す。表示画面150は、一例において、選択化合物Csと、複数の特性値Vpと、複数の候補化合物Ccとを表示する。
【0037】
表示欄151は、選択化合物Csを表示する。本例の表示欄151は、選択化合物Csの構造式を表示しているが、選択化合物Csの化学式など他の情報を表示してもよい。選択化合物Csは、化合物データDcの複数の化合物から選択されてよい。選択化合物Csは、化合物の名称を記載したリストから選択されてもよいし、所望の特性値Vpを選択することで選択されてもよい。
【0038】
表示欄152は、特性値Vpと、特性値Vpを選択するためのスケール表示手段52とを表示する。スケール表示手段52は、特性値Vpを変更できるものであれば特に限定されない。表示欄152は、スケール表示手段52で選択した特性値Vpの大きさをリアルタイムで表示してよい。
【0039】
スケール表示手段52は、特性値Vpを連続的に変化させてもよいし、特性値Vpを離散的に変化させてもよい。本例のスケール表示手段52は、選択化合物Csの特性値Vpを選択するためのスケールバーである。スケール表示手段52は、タコメータのような他の表示手段であってよい。スケール表示手段52は、マウスまたはタッチパッド等によって、目標特性値Vgをユーザが自在に調整するための機能を有してよい。
【0040】
スケール表示手段52が表示する特性値Vpの最大値と最小値(即ち、スケールバーの数値範囲)は、自動で設定されてもよいし、ユーザが手動で設定してもよい。探索支援装置100は、特性値Vpの合成可能性に基づいて特性値Vpの最大値と最小値を決定してよい。探索支援装置100は、特性値Vpの合成可能性が予め定められたスコアよりも大きくなる範囲で特性値Vpの最大値と最小値を決定してよい。
【0041】
表示欄152は、選択化合物Csの複数の特性のそれぞれの特性値Vpを選択するための複数のスケール表示手段52を表示する。複数のスケール表示手段52を用いることにより、複数の特性値Vpのそれぞれに目標特性値Vgを設定することができる。本例の表示欄152は、特性1~特性4の4つの特性の特性値Vpを表示している。本例の表示欄152は、目標特性値Vgを設定するための可変の特性値Vpのみを表示して、固定の特性値Vpを表示していない。表示欄152は、固定の特性値Vpを可変の特性値Vpと並べて表示してもよい。
【0042】
予測信頼性は、各特性の特性値Vpの信頼性を示す。本例の表示欄152は、複数のスケール表示手段52のそれぞれに特性値Vpの予測信頼性を表示している。予測信頼性を表示することにより、スケール表示手段52で特性値Vpを変更する際に選択する特性値Vpの優先順位を決定しやすくなる。ユーザは、予測信頼性の高い特性値Vpを優先的に変更して候補化合物Ccを決定してよい。
【0043】
表示欄153は、候補化合物Ccを表示する。本例の表示欄153は、複数の候補化合物Ccを表示している。表示欄153は、ユーザが設定した目標特性値Vgに近い化合物から順に、複数の候補化合物Ccを表示してよい。即ち、候補化合物Cc1は、候補化合物Cc2よりも目標特性値Vgに近い特性値Vpを有することが予測された化合物であってよい。
【0044】
表示欄153は、候補化合物Ccの合成可能性のスコアを表示してよい。合成可能性のスコアは、現実に候補化合物Ccを合成できる可能性の大小を示す。ユーザは、複数の候補化合物Ccの中から合成可能性を考慮して次に合成する化合物を決定することができる。表示欄153は、合成可能性の大小を考慮して候補化合物Ccを表示する順序を入れ替えてもよい。
【0045】
本例の表示欄152は、スケール表示手段52が特性値Vpを表示するスケールを予め定められた範囲毎に分割表示する。本例の表示欄152は、スケール表示手段52を6つの領域に分けて表示しているが、スケール表示手段52の分割表示の方法はこれに限定されない。探索支援装置100は、ユーザの選択した目標特性値Vgを自動的に修正してよい。探索支援装置100は、ユーザの選択した目標特性値Vgの合成可能性が予め定められた閾値よりも低い場合に、より合成可能性の高い近くの特性値Vpに目標特性値Vgを修正してよい。
【0046】
探索支援装置100は、スケール表示手段52の分割した表示範囲毎に予め合成可能性を算出しておき、分割した表示範囲毎に合成可能性を表示しておいてもよい。探索支援装置100は、特定の特性値Vpの範囲をお勧めするリコメンド機能を備えてもよい。探索支援装置100は、ユーザが合成可能性の低い目標特性値Vgを選択したことに応じてアラートで警告してもよい。探索支援装置100は、スケールバーを調整するためのステップ幅を化合物の合成可能性に応じて調整してもよい。
【0047】
本例の探索支援装置100では、スケール表示手段52を用いて目標特性値Vgを設定して、化合物の探索を支援することにより、ユーザが特性値Vpを最適化するように構造を変換させつつ、特性値Vpの変化に応じた化合物の構造の変化に関する知見を得ることができる。本例の探索支援装置100のユーザは、スケール表示手段52で化合物の特性値Vpを連続的に変化させたときの構造式の変化に関する知見を得ることで、構造と特性の関係を把握して、分子設計の指針を迅速に立てることができる。
【0048】
図4は、表示欄153による候補化合物Ccの表示方法の一例を示す。本例の表示欄153は、候補化合物Ccの寄与度を表示している。
【0049】
表示欄153は、候補化合物Ccの構造式を示す構造表示画面を表示している。表示欄153は、候補化合物Ccの部分構造と、候補化合物Ccの予め定められた特性に対する部分構造の寄与度との関係を表示する。これにより、表示欄153は、いずれの部分構造が、いずれの特性に寄与しているかをユーザに可視化することができる。本例の表示欄153は、候補化合物Ccの構造式上で、候補化合物Ccの予め定められた特性に対する寄与度をヒートマップで表示している。
【0050】
探索支援装置100は、候補化合物Ccの予め定められた特性が寄与する寄与構造を特定してよい。本例の探索支援装置100は、寄与度に応じて寄与構造201と部分構造202をそれぞれ構造式上で特定している。
【0051】
寄与構造201は、候補化合物Ccにおいて、寄与度が比較的高い部分構造を示している。部分構造202は、寄与構造201よりも寄与度が低い部分構造を示している。寄与構造201および部分構造202は、ヒートマップによってカラー表示されてよい。寄与構造201および部分構造202の表示方法は、これに限定されない。
【0052】
表示欄153は、寄与度のヒートマップを複数並べて表示してよい。表示欄153は、特性A~Dのすべてのヒートマップを特性毎に並べて表示してよいし、関連性の高い特性のヒートマップを並べて表示してよい。本例の表示欄153は、寄与構造201が共通する特性のヒートマップを並べて表示している。即ち、候補化合物Ccにおいては、特性Aと特性Bとで寄与構造201が類似または共通している。表示欄153は、備考欄155に類似する寄与構造を表示してよい。
【0053】
表示欄154は、寄与度の表示方法を定義するためのゲージである。表示欄154は、寄与度の大きさをグラデーションで表示している。表示欄153は、表示欄154で表示された濃淡で構造式上に寄与度を表示している。探索支援装置100は、表示欄154において寄与度が選択されると、選択された寄与度を示す部分構造を強調表示させてもよい。
【0054】
本例の探索支援装置100は、候補化合物Ccの任意の部分構造が選択されると、選択された部分構造と関連する情報を表示してよい。例えば、探索支援装置100は、候補化合物Ccの部分構造が選択されると、選択された部分構造と寄与度が共通する候補化合物Ccの特性を表示する。これにより、探索支援装置100のユーザは、化合物の部分構造を変更した際に影響する他の特性を知ることができる。
【0055】
図5は、表示欄153による類似化合物Csiの表示方法の一例を示す。本例の表示欄153は、候補化合物Ccに加えて、類似化合物Csiを表示している。
【0056】
類似化合物Csiは、候補化合物Ccと構造または特性が類似する化合物である。類似化合物Csiは、記憶部60に記憶された化合物データDcの化合物であってもよい。類似化合物Csiは、設定した目標特性値Vgと特性値Vpの大きさが類似する化合物であってよい。探索支援装置100は、候補化合物Ccに応じて類似化合物Csiを生成してもよい。
【0057】
本例の探索支援装置100は、寄与構造が共通する他の特性が存在する場合に、他の特性をアラート表示する。本例の探索支援装置100は、候補化合物Ccの寄与構造201が、類似化合物Csiの寄与構造201と類似していることから、類似化合物Csiを特定している。本例の探索支援装置100は、備考欄155に「特性A」の寄与構造201が類似することを表示している。探索支援装置100は、類似化合物Csiを並べて表示することでユーザに提示してよい。探索支援装置100は、寄与構造201を点滅させて強調表示することなどにより、他の化合物と類似する寄与構造201をユーザに知らせてもよい。
【0058】
図6は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作又は当該装置の1又は複数のセクションとして機能させることができ、又は当該操作又は当該1又は複数のセクションを実行させることができ、及び/又はコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0059】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、及びディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、及びICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230及びキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0060】
CPU2212は、ROM2230及びRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0061】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラム又はデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0062】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0063】
プログラムが、DVD-ROM2201又はICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、又はROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0064】
例えば、通信がコンピュータ2200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0065】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0066】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0067】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上又はコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0069】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0070】
10・・・化合物取得部、20・・・特性値取得部、30・・・候補取得部、32・・・化合物選択部、34・・・特性値変更部、36・・・候補決定部、40・・・出力部、50・・・表示部、52・・・スケール表示手段、60・・・記憶部、100・・・探索支援装置、150・・・表示画面、151・・・表示欄、152・・・表示欄、153・・・表示欄、154・・・表示欄、155・・・備考欄、201・・・寄与構造、202・・・部分構造、2200・・・コンピュータ、2201・・・DVD-ROM、2210・・・ホストコントローラ、2212・・・CPU、2214・・・RAM、2216・・・グラフィックコントローラ、2218・・・ディスプレイデバイス、2220・・・入/出力コントローラ、2222・・・通信インタフェース、2224・・・ハードディスクドライブ、2226・・・DVD-ROMドライブ、2230・・・ROM、2240・・・入/出力チップ、2242・・・キーボード
図1
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図6