(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121739
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】機械式駐車装置の充電料金徴収システム、及びその方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20240830BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240830BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G06Q50/10
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028999
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】井上 禎久
(72)【発明者】
【氏名】千葉 宣
【テーマコード(参考)】
5G503
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA10
5G503CB16
5G503FA01
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD05
5G503GD06
5H181AA01
5H181BB05
5H181CC27
5H181KK02
5H181KK06
5L049CC13
5L050CC13
(57)【要約】
【課題】充電区画内で任意に移動される充電車両ごとの電気料金を売電業者等から利用者に直接請求して徴収することができる機械式駐車装置の充電料金徴収システムを提供することを目的とする。
【解決手段】機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、充電車両を充電する充電区画12と、充電区画12に格納される充電車両に電気を供給する電源34と、充電区画12に移動可能に配置される充電トレー16と、充電トレー16の移動を制御する制御装置30と、を含んで構成される機械式駐車装置10と、充電区画12において充電される充電車両の充電情報が通知される売電業者40と、が通信回線42を介して接続され、売電業者40が、充電情報に基づいて充電区画に移動可能に配置される充電トレー16に載置される充電車両ごとの電気料金を算出して、充電車両の所有者から電気料金を直接徴収する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電車両を充電する充電区画と、前記充電区画に格納される充電車両に電気を供給する電源と、前記充電区画に移動可能に配置される充電トレーと、前記充電トレーの移動を制御する制御装置と、を含んで構成される機械式駐車装置と、
前記充電区画において充電される充電車両の充電情報が通知される売電業者と、
が通信回線を介して接続され、
前記売電業者が、前記充電情報に基づいて前記充電区画に移動可能に配置される前記充電トレーに載置される前記充電車両ごとの電気料金を算出して、前記機械式駐車装置の利用者から前記電気料金を直接徴収する、
機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項2】
前記充電区画に個別に充電量を計測する複数の計量器を備え、前記計量器が計量した充電量を含む充電情報が前記売電業者に通知される、請求項1に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項3】
前記充電区画に配置される前記充電トレーに載置される充電車両の前記充電区画の位置を含む充電情報が前記制御装置から前記売電業者に通知される、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項4】
前記充電情報は、利用者情報、トレー情報、充電位置情報、充電開始時刻、充電量、充電終了時刻、の少なくともひとつ又はこれらの選択的組合せである、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項5】
前記充電情報は、利用者情報、トレー情報、充電位置情報、充電開始時刻、充電量、充電終了時刻、の少なくともひとつ又はこれらの選択的組合せである、請求項3に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項6】
前記利用者情報は、利用者ごとに個別に付与される識別データである、請求項4に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項7】
前記利用者情報は、利用者ごとに個別に付与される識別データである、請求項5に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項8】
前記トレー情報は、トレー番号を含むとともに、前記充電トレーの充電位置情報を含む、請求項4に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項9】
前記トレー情報は、トレー番号を含むとともに、前記充電トレーの充電位置情報を含む、請求項5に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項10】
前記売電業者は、通知される前記充電情報に含まれる少なくとも利用者情報を予め取得しており、前記充電情報と紐付けられて前記電気料金を特定する、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項11】
前記売電業者は、通知される前記充電情報に含まれる少なくとも利用者情報を予め取得しており、前記充電情報と紐付けられて前記電気料金を特定する、請求項3に記載の機械式駐車装置の充電料金徴収システム。
【請求項12】
充電車両を充電する充電区画と、前記充電区画に格納される充電車両に電気を供給する電源と、前記充電区画に移動可能に配置される充電トレーと、前記充電トレーの移動を制御する制御装置と、を含んで構成される機械式駐車装置と、
前記充電区画において充電される充電車両の充電情報が通知される売電業者と、
が通信回線を介して接続され、
前記機械式駐車装置側から通知される充電情報に基づいて、前記売電業者が、前記充電区画に移動可能に配置される前記充電トレーに載置される前記充電車両ごとの電気料金を算出して、前記機械式駐車装置の利用者から前記電気料金を直接徴収する、
機械式駐車装置の充電料金徴収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置の充電料金徴収システム、及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駐車中の電気自動車に充電する機能を有する立体駐車場の電気自動車充電管理方法であって、各電気自動車の充電情報(11)を集中管理する集中管理装置(12)と、前記充電情報を携帯電話又は専用リモコンに無線通信する通信装置(14)とを備え、携帯電話又は専用リモコンからのID番号を確認して該当する充電情報を無線通信する、ことを特徴とする立体駐車場の電気自動車充電管理方法が記載されている。
【0003】
特許文献2には、電気自動車への充電用電源と充電用端子および所定センサとを具備し、前記充電用端子と電気自動車に設けられた充電用端子とを当接させて、前記所定センサの情報に従って前記電気自動車に充電することを特徴とする駐車場が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-359203号公報
【特許文献2】特開平06-121407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、管理会社等において、管理者が不在であっても、集中管理装置と利用者が所持する携帯電話又は専用リモコンとの無線通信によって、電気自動車の充電情報を携帯電話又は専用リモコンで受信して、充電情報を取得する発明である(段落[0016]等を参照)。また、これに付随して、駐車場の管理会社に設置された集中管理装置の管理モニターにより充電状態の管理と確認を行って、該管理会社が電気使用量を積算して料金の徴収ができるものであるが、駐車場の管理会社が利用者に対して電気料金の徴収を行うため、各駐車場の管理会社ごとに当該電気料金の徴収システムを構築しなければならず、管理会社ごとに電気料金の徴収事務が発生し、システム導入費及び人件費の増大に多大の経費がかかる。さらに、利用者は、携帯電話又は専用リモコンから利用者のID番号を管理システムに送信するため、利用者が駐車場において電気自動車の充電を行う際に、当該ID番号の送信操作をその都度行わなければならず、この煩わしい手間を省くことができない(段落[0024]、[0025]等を参照)。
【0006】
また、特許文献2に記載された発明は、ID読取手段で読み出された車両個別認識(ID)手段を用いてIDチェックを行うか、又は、画像認識装置で撮影された車両のナンバープレートの番号を認識するかで、充電する車両を認識し、IDコードに基づいて充電料金の請求等の課金処理も可能となるものである(段落[0014]、[0015]を参照)が、当該課金及び請求処理がどのように行われるのか定かでない。例えば、駐車場の利用の都度、料金を支払うのか、その他の方法で料金を支払うのかの具体的方法が記載されていない。また、ID認識機能により駐車場で登録された車両にのみ充電するようにしているので(段落[0021]を参照)、不特定多数の車両を対象にすることができない。
【0007】
本発明は、充電区画内で任意に移動される充電車両ごとの電気料金を売電業者等から利用者に直接請求して徴収することができる機械式駐車装置の充電料金徴収システム及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、充電車両を充電する充電区画と、前記充電区画に格納される充電車両に電気を供給する電源と、前記充電区画に移動可能に配置される充電トレーと、前記充電トレーの移動を制御する制御装置と、を含んで構成される機械式駐車装置と、前記充電区画において充電される充電車両の充電情報が通知される売電業者と、が通信回線を介して接続され、前記売電業者が、前記充電情報に基づいて前記充電区画に移動可能に配置される前記充電トレーに載置される前記充電車両ごとの電気料金を算出して、前記機械式駐車装置の利用者から前記電気料金を直接徴収する。
【0009】
第2態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第1態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記充電区画に個別に充電量を計測する複数の計量器を備え、前記計量器が計量した充電量を含む充電情報が前記売電業者に通知される。
【0010】
第3態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記充電区画に配置される前記充電トレーに載置される充電車両の前記充電区画の位置を含む充電情報が前記制御装置から前記売電業者に通知される。
【0011】
第4態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記充電情報は、利用者情報、トレー情報、充電位置情報、充電開始時刻、充電量、充電終了時刻、の少なくともひとつ又はこれらの選択的組合せである。
【0012】
第5態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第3態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記充電情報は、利用者情報、トレー情報、充電位置情報、充電開始時刻、充電量、充電終了時刻、の少なくともひとつ又はこれらの選択的組合せである。
【0013】
第6態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第4態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記利用者情報は、利用者ごとに個別に付与される識別データである。
【0014】
第7態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第5態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記利用者情報は、利用者ごとに個別に付与される識別データである。
【0015】
第8態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第4態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記トレー情報は、トレー番号を含むとともに、前記充電トレーの充電位置情報を含む。
【0016】
第9態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第5態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記トレー情報は、トレー番号を含むとともに、前記充電トレーの充電位置情報を含む。
【0017】
第10態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記売電業者は、通知される前記充電情に含まれる少なくとも利用者情報を予め取得しており、前記充電情報と紐付けられて前記電気料金を特定する。
【0018】
第11態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムは、第3態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムにおいて、前記売電業者は、通知される前記充電情に含まれる少なくとも利用者情報を予め取得しており、前記充電情報と紐付けられて前記電気料金を特定する。
【0019】
第12態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収方法は、充電車両を充電する充電区画と、前記充電区画に格納される充電車両に電気を供給する電源と、前記充電区画に移動可能に配置される充電トレーと、前記充電トレーの移動を制御する制御装置と、を含んで構成される機械式駐車装置と、前記充電区画において充電される充電車両の充電情報が通知される売電業者と、が通信回線を介して接続され、前記機械式駐車装置側から通知される充電情報に基づいて、前記売電業者が、前記充電区画に移動可能に配置される前記充電トレーに載置される前記充電車両ごとの電気料金を算出して、前記機械式駐車装置の利用者から前記電気料金を直接徴収する。
【発明の効果】
【0020】
第1態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムによれば、固定された充電区画を有する充電装置を有して充電料金を徴収するものに比べて、機械式駐車装置内で移動される充電トレーに載置される充電車両ごとの充電量に基づいて、機械式駐車装置の管理者を介さずに、利用者の充電料金を売電業者が利用者に直接徴収することができる。
【0021】
第2態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムによれば、充電量を計測する単一の計量器を備えるものに比べて、充電トレーが機械式駐車装置内で移動されても、充電される充電車両ごとの充電量を売電業者に通知することができる。
【0022】
第3態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムによれば、機械式駐車装置内の固定位置で充電されるものに比べて、機械式駐車装置の運転によって充電トレーが充電区画を移動しても、充電車両の充電情報を売電業者に通知することができる。
【0023】
第4態様又は第5態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムによれば、充電装置が固定されているものに比べて、移動される充電トレー上の充電車両の充電情報を的確に売電業者に通知することができる。
【0024】
第6態様又は第7態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムによれば、充電位置の情報から充電料金を請求するものに比べて、充電車両の利用者の個別情報を特定して売電業者に通知することができる。
【0025】
第8態様又は第9態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムによれば、充電位置の情報から充電料金を請求するものに比べて、移動される充電トレー上の充電車両の充電情報をトレー番号から特定して売電業者に通知することができ、利用者の個人情報の漏洩を防止することができる。
【0026】
第10態様又は第11態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システムによれば、機械式駐車装置に係る管理者が電気料金を把握するものに比べて、売電業者が利用者を特定して、利用者に対して的確に電気料金の直接徴収を行うことができる。
【0027】
第12態様に係る機械式駐車装置の充電料金徴収方法によれば、固定された充電区画を有する充電装置を有して充電料金を徴収するものに比べて、機械式駐車装置内で移動される充電トレーに載置される充電車両ごとの充電量に基づいて、機械式駐車装置の管理者を介さずに、利用者の充電料金を売電業者が利用者に直接徴収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態における機械式駐車装置の充電料金徴収システムの全体構成の一例を示す平面図である。
【
図2】
図1における機械式駐車装置の充電料金徴収システムの具体的構成の一例を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における機械式駐車装置の充電料金徴収システムの具体的構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態における機械式駐車装置の充電料金徴収システムの動作及び電気料金徴収形態の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態における充電トレー及び非充電トレーを移動させる装置駆動部の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態に係る機械式駐車装置の充電料金徴収システム及びその方法の一例について図面を参照しながら説明する。
【0030】
[実施形態]
<充電料金徴収システムの全体構成>
機械式駐車装置10の充電料金徴収システム1(以下、単に「充電料金徴収システム1」と言い換えることがある)の全体構成の概要を
図1に示す。
【0031】
図1に示すように、充電料金徴収システム1は、機械式駐車装置10と売電業者40とが通信回線42を介して接続されている。具体的には、充電料金徴収システム1は、充電車両を充電する充電区画12と、充電区画12に格納される充電車両に電気を供給する電源34と、充電区画12に移動可能に配置される充電トレー16と、充電トレー16の移動を制御する制御装置30と、を含んで構成される機械式駐車装置10と、充電区画12において充電される充電車両の充電情報が通知される売電業者40と、が通信回線42を介して接続され、売電業者40が、充電情報に基づいて充電区画12に移動可能に配置される充電トレー16に載置される充電車両ごとの電気料金を算出して、充電車両の所有者から電気料金を直接徴収する構成となっている。
【0032】
[機械式駐車装置の概要]
図1に示すように、機械式駐車装置10は、一例として、複数の充電区画12と複数の非充電区画14と、を含んで構成されている。本実施形態では、非充電区画14を有しているが、当該区画を充電区画12と同様に充電車両の充電を可能とする区画に変更して全体として充電区画12を構成してもよい。また、
図1では平面視、横方向に並ぶ充電トレー16の列及び非充電トレー18の列が縦方向に2列とされて1面のトレー配置を示しているが、当該トレー配置は上下方向に複数段としてもよく、また、横方向に並ぶトレー列が縦方向に2列とされているが、1列又は3列以上としてもよく、1列の場合には上下方向に複数段のトレー列を有するものとなるが、3列以上の場合においても上下方向に複数段としてもよい。このように、機械式駐車装置10は、いずれの形式の機械式駐車装置でもよく、いずれかの位置に少なくとも1つの空きスペースを有して、平面的又は垂直方向に循環移動可能とされている。
【0033】
図1に示す機械式駐車装置10は、具体的には、平面視、複数の充電トレー16、非充電トレー18が縦横に並んで配置され、少なくとも1区画が、トレーが配置されない空きスペース18Aとされている。縦横に並んで配置される充電トレー16、非充電トレー18は、後述するトレー駆動装置60を一例とする駆動装置によって縦横に移動可能とされ、空きスペース18Aに向けて移動された充電トレー16又は非充電18が位置していた区画が空きスペース18Aとなり、当該空きスペース18Aはトレー16、18の循環によって位置が変更される。
【0034】
非充電区画のトレー列に隣接して昇降装置20が配置され、
図1では図示を省略しているが、上方又は下方に、充電車両又は充電を要さない車両が入出庫され、利用者が充電車両又は充電を要さない車両に対して乗降する乗降室が形成されている。操作盤32は利用者によって操作される機器であり、乗降室を形成する壁等に乗降室の外部に向けて設置されている。一方で、乗降室を有しないで、
図1に示す1面のトレー列のレベルに充電車両又は充電を要しない車両が直接乗り込む形式の機械式駐車装置10では、昇降装置20は配置されない場合がある。このように、機械式駐車装置10の形式は問わない。
【0035】
また、機械式駐車装置10は、充電トレー16、非充電トレー18の循環等の運転を制御する制御装置30が設置されている。制御装置30は、電源34と電力配線34Aを介して接続され、また、操作盤32と電源供給及び信号線32Aで接続されている。電源34は、機械式駐車装置の運転に要する電力の他、後述する充電区画12において充電車両を充電する電力供給の役割も果たす。電源34は、
図1及び
図2では模式的にひとつで表現したが、機械式駐車装置の運転に要する電力を供給する電源と、充電車両を充電する電力を供給する電源とは個別にふたつ設けられていている。また、電源34はひとつで、制御装置30の中で、機械式駐車装置の運転に要する電力を供給する配線と、充電車両を充電する電力を供給する配線とを2系統に分けてもよい。
【0036】
ここで、トレー駆動装置60について
図5を参照して説明する。
図5に示すトレー駆動装置60は、一例として、充電トレー16、非充電トレー18の下面に接触して縦横に移動させるトレー駆動車輪68を有する形式の駆動装置を説明する。
【0037】
トレー駆動装置60は、縦送りフレーム62と横送りフレーム64とで平面視矩形状又は井桁状に形成され、縦送りフレーム62と横送りフレーム64との交差する部分に隣接して、トレー16、18に設けられて縦送りフレーム62上を走行可能な図示しない縦送り車輪を横方向に円滑に移動させる埋込ローラ62Aと、トレー16、18に設けられて横送りフレーム62上を走行可能な図示しない横送り車輪を縦方向に円滑に移動させる埋込ローラ64Aと、を有する。
【0038】
一対の縦送りフレーム及び一対の横送りフレーム64の間の空間にはトレー駆動機構66を備える。トレー駆動機構66は、基台66Aの上に一対のトレー駆動車輪68が縦横切換腕70に接続される一対の連接部材70Bによって縦横に変位可能とされ、切換腕70は縦横切換原動機70Aによって水平面内で回転する。2つのトレー駆動車輪68にはそれぞれ車輪駆動原動機68Aがトレー駆動車輪68とともに水平面内で旋回する構成となっている。このトレー駆動装置60は、制御装置30に予め組み込まれた制御プログラムによって、機械式駐車装置10の運転を行うものである。
【0039】
[機械式駐車装置から売電業者への充電情報の通知システム]
次に、機械式駐車装置10から売電業者40への充電情報の通知システムについて
図1及び
図2を用いて説明する。
図1はその概要を示すが、充電区画12には充電トレー16が配置され、充電トレー16に載置される充電車両の充電を行う図示しないコンセントが設けられ、コンセントと充電車両とが充電コードにより接続される。縦送りフレーム62又は横送りフレーム64には図示しない給電装置が設けられ、各区画に設けられるそれぞれの給電装置は電力分配線36を介して制御装置30を経由して電源に接続されている。
【0040】
図2に示すように、電力分配線36は、充電トレー16のそれぞれに対応する形で分配され、その1つのユニットは、第一電力線44Aが電源切換スイッチ52と計量器50を経由して1つの充電トレー16に対応する給電装置に接続されている。同様に、第二電力線44B、第三電力線44C、第四電力線44Dと分配されてそれぞれに対応する給電装置に接続されている。
【0041】
通信線44は、それぞれの計量器50から第一通信線50A、第二通信線50B、第三通信線50C、第四通信線50Dを介して、それぞれのユニットに対応する充電情報を通信回線42を経由して売電業者40に送信する。それぞれのユニットにはユニット番号が付与されており、例えば、
図2では図面の左側から順に、A、B、C、Dと付与されている。また、充電トレー16には、同様に左から順に、1、2、3、4と付与されている。
【0042】
一方、機械式駐車装置10の側では、充電車両を入庫させる際に、利用者が操作盤32において入庫の操作を行っており、利用者の識別コードと入庫する充電車両が載置される充電トレーの番号が紐付けられて充電区画12に格納される。
【0043】
[制御装置と売電業者の役割]
ここで、制御装置30と売電業者40の役割について、
図3を用いて説明する。
【0044】
〔制御装置〕
制御装置30は、利用者判定部30Aと、装置駆動部30Bと、制御処理部30Cと、売電業者との通信処理部30Dと、給電選択制御部30Eと、装置運転方法処理部30Fと、利用者情報と計量器関連情報管理部30Gと、充電トレー位置情報管理部30Hと、を含んで構成され、これらは、操作盤32と接続されている。
【0045】
利用者判定部30Aは、利用者に予め貸与される個別の識別コードが格納された電子媒体が操作盤32にて読み込まれることにより、又は、操作盤32で暗証番号が入力されることにより、利用者が充電車両を入庫させる機械式駐車装置の利用者であることを判定し、利用者の識別コード又は暗証番号を一時的に記憶する機能を有する。
【0046】
装置駆動部30Bは、機械式駐車装置10における各駆動部を特定する機能を有する。
【0047】
制御処理部30Cは、機械式駐車装置10の運転に係る制御を行う機能を有する。
【0048】
売電業者との通信処理部30Dは、売電業者40に対する充電情報を通信するための通信手段を有し、機械式駐車装置10の側における充電情報を売電業者40に通信を行う制御機能を有する。
【0049】
給電選択制御部30Eは、充電区画12内の上述した複数のユニットのいずれのユニットに給電を行うかの制御を行う機能を有し、
図2で説明した電源切換スイッチ52の制御を行う機能を有する。なお、電源切換スイッチ52の制御、すなわち、電源切換スイッチ52のON-OFFは、売電業者40の側からの通信によって行うこともできる。この場合の制御は、
図3に示す電力量計測処理部40A又は駐車装置との通信処理部40Cが行う。
【0050】
装置運転方法処理部30Fは、充電車両に充電を行いつつ、機械式駐車装置10の入出庫作業において移動される充電トレー16を充電区画12に戻す動作を含めた高効率の運転を選択して充電トレー16の循環を選択する機能を有する。
【0051】
利用者情報と計量器関連情報管理部30Gは、利用者の個別の識別コード又は暗証番号と、利用者の充電車両が載置された充電トレー16に対応するユニットの計量器50の位置と、その対応する計量器50が計量した電力量を管理する機能を有する。なお、当該電力量の管理は売電業者40の側でも行うことができ、この場合の管理は、
図3に示す電力量計測処理部40Aが行う。
【0052】
充電トレー位置情報管理部30Hは、充電中の充電トレー16が位置するユニットの位置、及び、機械式駐車装置10の入出庫作業において移動される充電トレー16がいずれの位置に移動されたかの情報を管理する機能を有する。
【0053】
操作盤32は、上記の制御装置30内の各部と情報を共有して、利用者の入庫又は出庫の際の利用者の個別の識別コードに基づく機械式駐車装置10の運転を指示する機能を有する。
【0054】
〔売電業者〕
売電業者40は、電力量計測処理部40Aと、電気料金計算処理部40Bと、駐車装置との通信処理部40Cと、を含んで構成されている。
【0055】
電力量計測処理部40Aは、機械式駐車装置10の側の計量器50によって計量された電力量を充電情報として受信し、移動されたユニット位置における各電力量を積算する処理部を有する。なお、計量器50は、売電業者40が設置するもので、機械式駐車装置10の充電区画12における各区画に対応する数だけ設けられる。
【0056】
電気料金計算処理部40Bは、電力量計測処理部40Aで計測積算した電力量に基づいて、利用者ごとの電気料金を計算する処理部を有する。この電気料金計算処理部40Bには、利用者情報が予め格納されており、計算された電気料金を該当する利用者に通知し、当該利用者から電気料金を直接徴収する機能を兼ね備えている。ここでは、利用者の氏名、住所等の個人情報の他に、充電料金を直接徴収するために、利用者の振替口座情報又はクレジットカード情報なども登録されている。銀行やコンビニエンスストア等での支払いを希望する利用者には支払通知書等を送付してもよい。
【0057】
駐車装置との通信処理部40Cは、通信回線42を介して機械式駐車装置10の側から送信されてくる充電情報を受信する機能を有し、受信した充電情報を電力量計測処理部40Aに送信する役割を担う。
【0058】
[機械式駐車装置の運転と売電業者との関係]
次に、機械式駐車装置10の運転と売電業者の利用者からの電気料金の直接徴収との関係について、その一例を充電トレー16の入庫を例に
図4を参照しながら説明する。
【0059】
利用者は、機械式駐車装置10の操作盤32で利用者に個別に貸与された電子媒体を読み込ませて個別の識別コード、例えば暗証番号を読み取らせる。その際、利用者は、入庫させる車両が充電を要する車両であることを選択する(ステップS01)。
【0060】
ここで識別コードの一例である暗証番号が機械式駐車装置10の制御装置30に予め格納されている利用者情報である暗証番号と一致するか否かを判定する(ステップS02)。判定した結果が一致した場合はステップS03に進み、不一致の場合はステップS01に戻る。
【0061】
暗証番号が一致した場合、空きの充電トレー16の検索を行い(ステップS03)、乗降室に空きの充電トレー16を搬送し(ステップS04)、出入口扉であるオートドアを開く(ステップS05)。
【0062】
利用者は、充電車両(EV)に乗り込み、乗降室内に充電車両を入庫させる(ステップS06)。
【0063】
利用者は、充電車両から降車して、充電トレー16に設けられるコンセントに充電車両の充電プラグを接続してから乗降室を退出し、乗降室内の安全を確認して操作盤にてオートドアを閉める(ステップS07)。
【0064】
機械式駐車装置10は、制御装置30の装置駆動部30B及び制御処理部30Cの制御により、充電車両が載置された充電トレー16を充電区画12である充電エリアに搬送する(ステップS08)。
【0065】
充電区画12に搬送された充電トレー16は、いずれかのユニットに停止され、給電装置が充電トレー16に接触し、停止されたユニットに対応する電源切換スイッチ52が給電選択制御部30EによってON状態とされて、充電車両の充電が開始される(ステップS09)。
【0066】
充電トレー16が停止されたユニットに対応する計量器50は、充電電力の測定を開始する(ステップS10)。
【0067】
充電が開始されると、制御装置30の利用者情報と計量器関連情報管理部30Gが、利用者情報である暗証番号と、計量器の番号(例えば「A」)と、を、通信回線を介して売電業者40に送信する。このとき充電開始時刻を売電業者に通知してもよい(ステップS11)。この場合、計量器の番号に代えてトレー番号を通知してもよく、また、暗証番号を通知してもよい。これは、制御装置30がトレーの位置を把握しているからである。
【0068】
充電車両の充電が完了(ステップS12)すると、充電トレー16が停止されたユニットに対応する電源切換スイッチ52が給電選択制御部30EによってOFF状態にされて計量器50の充電電力の測定が終了する(ステップS13)。
【0069】
充電が終了されると、制御装置30の利用者情報と計量器関連情報管理部30Gが、利用者情報である暗証番号と、計量器の番号(例えば「A」)と、を、通信回線を介して売電業者40に再度送信する。このとき充電終了時刻を売電業者に通知してもよい(ステップS14)。この場合、計量器の番号に代えてトレー番号を通知してもよく、また、暗証番号を通知してもよい。これは、制御装置30がトレーの位置を把握しているからである。
【0070】
充電終了の充電情報を売電業者40が受信すると、売電業者40は、電気料金計算処理部40Bによって、充電に要した電力量から電気料金を計算する(ステップS15)。
【0071】
計算された電気料金は、売電業者40から利用者に通知されるとともに、売電業者40が利用者から直接徴収する(ステップS16)。
【0072】
以上が、充電トレー16の入庫及び充電開始から充電終了及び電気料金の利用者への直接徴収の概要であるが、充電中の充電トレー16は、機械式駐車装置10の他の車両の入出庫作業のために充電区画内のユニットを移動されながら充電される。このため、充電トレー16が移動される前に、制御装置30の給電選択制御部30Eは、当該ユニットに対応する電源切換スイッチ52をOFFにし、移動先のユニットに充電トレー16が停止すると、当該移動先のユニットに対応する電源切換スイッチ52をON状態にする。この移動の都度、充電情報のうちの計量器の番号(例えば移動先「C」)を、制御装置30の利用者と計量器関連情報管理部30Gが把握して、売電業者との通信処理部30Dを介して通信回線により売電業者40に都度通知する。売電業者40の側では、変更される前の計量器の番号に対応する電力と変更された後の計量器の番号に対応する電力とを積算して、利用者ごとの総電力を把握して電気料金を計算する。これにより、機械式駐車装置10の入出庫作業による充電トレー16の充電位置が変更されても売電業者40は正確な電力量を把握することができ、かつ、当該電力量に基づく正確な電気料金を利用者から直接徴収することができる。
【0073】
このように、本願発明は、充電車両を充電する充電区画12と、充電区画12に格納される充電車両に電気を供給する電源34と、充電区画12に移動可能に配置される充電トレー16と、充電トレー16の移動を制御する制御装置30と、を含んで構成される機械式駐車装置10と、充電区画12において充電される充電車両の充電情報が通知される売電業者40と、が通信回線42を介して接続され、売電業者40が、充電情報に基づいて充電区画12に移動可能に配置される充電トレー16に載置される充電車両ごとの電気料金を算出して、充電車両の利用者から電気料金を直接徴収する。
【0074】
これにより、固定された充電区画を有する充電装置を有して充電料金を徴収するものに比べて、機械式駐車装置内で移動される充電トレー16に載置される充電車両ごとの充電量に基づいて、機械式駐車装置の管理者を介さずに、利用者の充電料金を売電業者が利用者に直接徴収することができる。
【0075】
また、充電区画12に個別に充電量を計測する複数の計量器50を備え、計量器50が計量した充電量を含む充電情報が売電業者40に通知される。
【0076】
これにより、充電量を計測する単一の計量器を備えるものに比べて、充電トレー16が機械式駐車装置10内で移動されても、充電される充電車両ごとの充電量を売電業者40に通知することができる。
【0077】
また、充電区画12に配置される充電トレー16に載置される充電車両の充電区画12の位置を含む充電情報が制御装置30から売電業者40に通知される。
【0078】
これにより、機械式駐車装置10内の固定位置で充電されるものに比べて、機械式駐車装置10の運転によって充電トレー16が充電区画12内を移動しても、充電車両の充電情報を売電業者40に通知することができる。
【0079】
また、充電情報は、利用者情報、トレー情報、充電位置情報、充電開始時刻、充電量、充電終了時刻、の少なくともひとつ又はこれらの選択的組合せである。
【0080】
これにより、充電装置が固定されているものに比べて、移動される充電トレー16上の充電車両の充電情報を的確に売電業者40に通知することができる。
【0081】
また、利用者情報は、利用者ごとに個別に付与される識別データである。
【0082】
これにより、充電位置の情報から充電料金を請求するものに比べて、充電車両の利用者の個別情報を特定して売電業者40に通知することができる。
【0083】
また、トレー情報は、トレー番号を含むとともに、トレーの充電位置情報を含む。
【0084】
これにより、充電位置の情報から充電料金を請求するものに比べて、移動される充電トレー16上の充電車両の充電情報をトレー番号から特定して売電業者40に通知することができ、利用者の個人情報の漏洩を防止することができる。
【0085】
また、売電業者40は、通知される充電情報に含まれる少なくとも利用者情報を予め取得しており、充電情報と紐付けられて電気料金を特定する。
【0086】
これにより、機械式駐車装置10に係る管理者が電気料金を把握するものに比べて、売電業者40が利用者を特定して、利用者に対して的確に電気料金の直接徴収を行うことができる。
【0087】
また、充電車両を充電する充電区画12と、充電区画12に格納される充電車両に電気を供給する電源34と、充電区画12に移動可能に配置される充電トレー16と、充電トレー16の移動を制御する制御装置30と、を含んで構成される機械式駐車装置10と、充電区画12において充電される充電車両の充電情報が通知される売電業者40と、が通信回線42を介して接続され、機械式駐車装置10側から通知される充電情報に基づいて、売電業者40が、充電区画12に移動可能に配置される充電トレー16に載置される充電車両ごとの電気料金を算出して、充電車両の利用者から電気料金を直接徴収する。
【0088】
これにより、固定された充電区画12を有する充電装置を有して充電料金を徴収するものに比べて、機械式駐車装置10内で移動される充電トレー16に載置される充電車両ごとの充電量に基づいて、機械式駐車装置10の管理者を介さずに、利用者の充電料金を売電業者40が利用者に直接徴収することができる。
【0089】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、本実施形態は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更をして実施でき、また、本発明の権利範囲がこれら実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0090】
1 充電料金徴収システム
10 機械式駐車装置
12 充電区画
14 非充電区画
16 充電トレー
18 非充電トレー
18A 空きスペース
20 昇降装置
30 制御装置
30A 利用者判定部
30B 装置駆動部
30C 制御処理部
30D 売電業者との通信処理部
30E 給電選択制御部
30F 装置運転方法処理部
30G 利用者情報と計量器関連情報管理部
30H 充電トレー位置情報管理部
32 操作盤
32A 電源供給及び信号線
34 電源
34A 電力配線
36 電力分配線
38 信号線
40 売電業者
40A 電力量計測処理部
40B 電気料金計算処理部
40C 駐車装置との通信処理部
42 通信回線(ネットワーク回線)
44 通信線
44A 第一電力線
44B 第二電力線
44C 第三電力線
44D 第四電力線
50 計量器(電力計)
50A 第一通信線
50B 第二通信線
50C 第三通信線
50D 第四通信線
52 電源切換スイッチ
60 トレー駆動装置
62 縦送りフレーム
62A 埋込ローラ
64 横送りフレーム
64A 埋込ローラ
66 トレー駆動機構
66A 基台
68 トレー駆動車輪
68A 車輪駆動原動機
70 縦横切換腕
70A 縦横切換原動機
70B 連接部材