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特開2024-12174細胞の培養方法、治療用組成物の製造方法及び治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012174
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】細胞の培養方法、治療用組成物の製造方法及び治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/074 20100101AFI20240118BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALI20240118BHJP
   C12N 5/0789 20100101ALI20240118BHJP
   C12N 1/02 20060101ALI20240118BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20240118BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240118BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20240118BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C12N5/074
C12N5/0775
C12N5/0789
C12N1/02
A61K35/12
A61K47/42
A61L27/38
A61L27/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115274
(22)【出願日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2022114366
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 純
(72)【発明者】
【氏名】小田桐 広和
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳人
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C081
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BA30
4B065BC46
4B065BD44
4B065BD45
4B065CA44
4C076CC50
4C076EE43
4C081CD12
4C081CD34
4C087AA01
4C087AA03
4C087BB64
4C087NA20
(57)【要約】
【課題】簡易に、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造することができる、細胞の培養方法、並びに治療用組成物の製造方法、及び前記細胞を含む治療用組成物の提供。
【解決手段】III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養する培養工程を含む細胞の培養方法、III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養する培養工程を含む治療用組成物の製造方法、又はIII型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと、細胞と、を含み、前記細胞は、前記コラーゲンゲルと接触している治療用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養する培養工程を含むことを特徴とする細胞の培養方法。
【請求項2】
前記コラーゲンゲルにおける、前記III型コラーゲンの濃度は0.01mg/mL以上10mg/mL以下である、請求項1に記載の細胞の培養方法。
【請求項3】
前記コラーゲンゲルが更にI型コラーゲンを含む場合、
前記コラーゲンゲルにおける、前記I型コラーゲンの濃度は3mg/mL以下である、請求項1又は2に記載の細胞の培養方法。
【請求項4】
前記細胞は、造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、又はこれらから分化した細胞である、請求項1に記載の細胞の培養方法。
【請求項5】
前記培養工程後に、前記細胞を回収する回収工程を含む、請求項1に記載の細胞の培養方法。
【請求項6】
前記回収工程において、前記コラーゲンゲルを、コラゲナーゼ及びサーモリシンで処理する、請求項5に記載の細胞の培養方法。
【請求項7】
前記コラゲナーゼの添加量は、質量比で、前記サーモリシンの添加量の3倍以上である、請求項6に記載の細胞の培養方法。
【請求項8】
前記サーモリシンの添加量は、0.3mg/mL以下である、請求項6又は7に記載の細胞の培養方法。
【請求項9】
III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養する培養工程を含むことを特徴とする治療用組成物の製造方法。
【請求項10】
III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと、細胞と、を含み、
前記細胞は、前記コラーゲンゲルと接触していることを特徴とする治療用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞の培養方法、治療用組成物の製造方法及び治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な種類の細胞移植治療が有効であることが明らかになってきている。例えば、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの疾患では、造血幹細胞や骨髄支持細胞などの細胞移植治療が有効である。しかしながら、これらの細胞移植治療において、ドナーが不足していることやHLAが不一致の場合のリスクが大きいことなどから、ソースとなる細胞、及び前記細胞を含む治療用組成物の供給体制は十分ではなく、細胞の安定供給のための細胞増殖方法も確立されていない。
また、多くの生物学的製剤は細胞を用いて製造されるが、これらの細胞についても、十分に細胞増殖方法が確立されているとはいえない。
【0003】
I型コラーゲンで被覆された多孔質のポリビニルフォルマール(PVF)樹脂に、骨髄細胞を注入して培養した担体をマウスに移植することで、マウス体内で造血幹細胞が担体内へ侵入し、前記細胞の増殖と血球細胞への分化が認められることが報告されている(特許文献1参照)。しかし、この方法では、担体の作製が必要であり、更に、造血幹細胞を増殖させるためには、前記担体をマウスに移植する必要があることから、簡易な方法とは言い難く、また、増殖した細胞をヒトへ移植することはできず、ヒトの造血幹細胞や血球細胞の増殖には不適である。
【0004】
I型コラーゲンゲル上に線維芽細胞の懸濁液を加え、25時間培養し、コラゲナーゼ処理により細胞を回収する方法が報告されている(特許文献2参照)。しかし、25時間以上の培養や、その細胞増殖効果については報告されていない。
コラーゲンスポンジを用いて、多能性幹細胞から中胚葉細胞を製造する方法が報告されている(特許文献3参照)。しかし、コラーゲンスポンジを用いる方法は、簡易な方法とは言い難く、また、細胞の大量増殖には不適である。
幹細胞とコラーゲン溶液を混合する工程、前記混合物を遠心分離して幹細胞とコラーゲンを集積させる工程、及び幹細胞とコラーゲンの集積物を培養する工程を含む方法が報告されている(特許文献4参照)。しかし、この方法は、幹細胞とコラーゲンを集積させる工程を含むものであり、簡易な方法とは言い難い。
【0005】
したがって、簡易に、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造することができる、細胞の培養方法、並びに治療用組成物の製造方法、及び前記細胞を含む治療用組成物は未だ提供されておらず、その提供が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3421741号
【特許文献2】特許第6448216号
【特許文献3】国際公開第2015/199127号
【特許文献4】特許第6945242号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、簡易に、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造することができる、細胞の培養方法、並びに治療用組成物の製造方法、及び前記細胞を含む治療用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
<1> III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養する培養工程を含むことを特徴とする細胞の培養方法である。
<2> III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養する培養工程を含むことを特徴とする治療用組成物の製造方法である。
<3> III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと、細胞と、を含み、
前記細胞は、前記コラーゲンゲルと接触していることを特徴とする治療用組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、簡易に、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造することができる、細胞の培養方法、並びに治療用組成物の製造方法、及び前記細胞を含む治療用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1及び比較例1における細胞数の計測結果を示した図である。右の白色のバーは実施例1(Type III collagen gel)を示す。左の黒色のバーは比較例1(2D)を示す。
図2図2は、実施例1、実施例2、及び比較例2における細胞数の計測結果を示した図である。右の白色のバーは実施例1(Type III collagen gel)を示す。中央の灰色のバーは実施例2(Type I+III collagen gel)を示す。左の黒色のバーは比較例2(Type I collagen gel)を示す。
図3A図3Aは、実施例3-1における細胞数の計測結果を示した図である。
図3B図3Bは、実施例3-2(Type III collagen gel 0.5mg/mL又は2mg/mL)及び比較例3(2D)における細胞数の計測結果を示した図である。実施例3-2及び比較例3は、N=4で実施した。***p<0.001である。
図4図4は、実施例4(Type III collagen gel)及び比較例4(2D)における細胞数の計測結果を示した図である。
図5図5は、比較例5における細胞数の計測結果を示した図である。
図6A図6Aは、実施例5(Type III collagen)及び比較例6(2D)におけるヒト脂肪由来間葉系幹細胞株HAdpc-28の細胞数の計測結果を示した図である。
図6B図6Bは、実施例5(Type III collagen)及び比較例6(2D)におけるヒト骨髄由来間葉系幹細胞UE6E7T-3の細胞数の計測結果を示した図である。
図7図7は、比較例7における細胞数の計測結果を示した図である。
図8図8は、試験例1における細胞の生存率を示した図である。
図9A図9Aは、実施例6における細胞数の計測結果を示した図である。
図9B図9Bは、実施例6における細胞の生存率を示した図である。
図10図10は、試験例2におけるコラーゲンゲルの走査型電子顕微鏡写真である。左側は比較例2(ウシType I collagen gel)のコラーゲン線維の観察像を示す。中央は実施例2(ブタType I+III collagen gel)のコラーゲン線維の観察像を示す。右側は実施例1(ウシType III collagen gel)のコラーゲン線維の観察像を示す。
図11図11は、実施例7における細胞の位相差顕微鏡写真である。左上は比較例2(Type I collagen gel)のコラーゲン線維と共に培養した細胞の観察像を示す。左下は実施例1(Type III collagen gel)のコラーゲン線維と共に培養した細胞の観察像を示す。右上は実施例2(ブタType I+III collagen gel)のコラーゲン線維と共に培養した細胞の観察像を示す。右下は比較例1(2D)のコラーゲン線維と共に培養した細胞の観察像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(細胞の培養方法)
本発明の細胞の培養方法は、培養工程を含み、更にその他の工程を含むことができる。
【0012】
<培養工程>
前記培養工程は、III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養する工程である。
【0013】
<<III型コラーゲンを含むコラーゲンゲル>>
前記III型コラーゲンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、動物由来III型コラーゲン、又は魚類由来III型コラーゲンが好ましく、動物由来III型コラーゲンがより好ましい。
前記III型コラーゲンは、組換えIII型コラーゲンであることが好ましい。
前記III型コラーゲンは、医療グレードコラーゲンであってもよい。
【0014】
前記動物由来III型コラーゲンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヒト由来III型コラーゲン、ウシ由来III型コラーゲン、又はブタ由来III型コラーゲンが好ましく、ヒト由来III型コラーゲン、又はウシ由来III型コラーゲンがより好ましい。
【0015】
前記III型コラーゲンの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、動物又は魚類の真皮等から、酸により抽出する方法、酵素で可溶化する方法などが挙げられる。これらの中でも、動物又は魚類の真皮等から酵素で可溶化する方法が好ましい。
前記酵素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ペプシンが好ましい。
【0016】
前記III型コラーゲンは、市販品を用いることができる。
前記市販品としては、ウシIII型コラーゲン(株式会社ニッピ, PSC-3-100-20)、ブタ真皮由来I+III型コラーゲン(株式会社ニッピ, PSC-S-200-100PW)などが挙げられる。
前記III型コラーゲンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記コラーゲンゲルにおける、III型コラーゲンの濃度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01mg/mL以上が好ましく、0.05mg/mL以上がより好ましく、0.1mg/mL以上が更に好ましく、0.2mg/mL以上がより更に好ましく、0.25mg/mL以上が特に好ましく、0.3mg/mL以上が最も好ましい。
前記コラーゲンゲルにおける、III型コラーゲンの濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、10mg/mL以下が好ましく、5mg/mL以下がより好ましく、2.5mg/mL以下が更に好ましく、1.5mg/mL以下がより更に好ましく、1mg/mL以下が特に好ましく、0.75mg/mL以下が最も好ましい。
前記III型コラーゲンの濃度の下限値と上限値とは、適宜組み合わせることができるが、0.01mg/mL以上10mg/mL以下が好ましく、0.05mg/mL以上5mg/mL以下がより好ましく、0.1mg/mL以上2.5mg/mL以下が更に好ましく、0.2mg/mL以上1.5mg/mL以下がより更に好ましく、0.25mg/mL以上1mg/mL以下が特に好ましく、0.3mg/mL以上0.75mg/mL以下が最も好ましい。
【0018】
前記コラーゲンゲルは、更にI型コラーゲンを含んでいてもよい。
前記コラーゲンゲルが前記I型コラーゲンを含む場合、前記コラーゲンゲルにおける、I型コラーゲンの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、3mg/mL以下が好ましく、1mg/mL以下がより好ましく、0.5mg/mL以下が更に好ましく、0.1mg/mL以下がより更に好ましく、0.05mg/mL以下が特に好ましく、I型コラーゲンを含まないことが最も好ましい。
【0019】
前記コラーゲンゲルの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、III型コラーゲンを含むコラーゲン溶液をゲル化、すなわち、線維(「繊維」ともいう)化する方法などが挙げられる。
前記コラーゲン溶液における溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、前記培養に使用する培地などが挙げられる。
前記III型コラーゲンを含むコラーゲン溶液をゲル化する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、III型コラーゲンを含む氷冷コラーゲン溶液を、中性にして加温してゲル化(線維化)する方法が挙げられる。中性にしてゲル化(線維化)することで、多孔質化させることができる。
【0020】
前記コラーゲン溶液をゲル化する際の、該コラーゲン溶液のpHとしては、中性であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、pH6~9が好ましく、pH7~8がより好ましく、pH7~7.5が更に好ましい。
【0021】
前記加温の温度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましく、35℃以上がより更に好ましい。
前記加温の温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましい。
前記加温の温度の下限値と上限値とは、適宜組み合わせることができるが、20℃以上50℃以下が好ましく、25℃以上45℃以下がより好ましく、30℃以上40℃以下が更に好ましく、35℃以上40℃以下がより更に好ましい。
【0022】
前記加温の時間の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましく、6時間以上が更に好ましく、12時間以上がより更に好ましい。
前記加温の時間の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、18時間以下が更に好ましい。
前記加温の時間の下限値と上限値とは、適宜組み合わせることができるが、1時間以上48時間以下が好ましく、3時間以上24時間以下がより好ましく、6時間以上24時間以下が更に好ましく、12時間以上18時間以下がより更に好ましい。
【0023】
前記培養工程における前記コラーゲンゲルの使用量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、24ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、0.25mL以上が好ましく、0.5mL以上がより好ましく、0.75mL以上が更に好ましい。また、96ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、50μL以上が好ましく、75μL以上がより好ましく、100μL以上が更に好ましく、110μL以上が特に好ましい。
前記培養工程における前記コラーゲンゲルの使用量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、24ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、2mL以下が好ましく、1.5mL以下がより好ましく、1.25mL以下が更に好ましく、1mL以下が特に好ましい。また、96ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、200μL以下が好ましく、175μL以下がより好ましく、150μL以下が更に好ましい。
前記培養工程における前記コラーゲンゲルの使用量の下限値と上限値とは、適宜組み合わせることができるが、24ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、0.25mL以上2mL以下が好ましく、0.5mL以上1.5mL以下がより好ましく、0.75mL以上1.25mL以下が更に好ましく、0.75mL以上1mL以下が特に好ましい。また、96ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、50μL以上200μL以下が好ましく、75μL以上175μL以下がより好ましく、100μL以上150μL以下が更に好ましく、110μL以上150μL以下が特に好ましい。
【0024】
従来の培養法である、コラーゲンコート培養(コラーゲン分子コート上での培養)では、コラーゲンを含む溶液をプレート又はプレート内のウェルに加えて、氷冷下又は4℃程度でコーティングすることでコラーゲンコートプレートを得る。この方法では、コラーゲンはゲル化(線維化)することなく、コラーゲン分子(3本のペプチド鎖で構成されるコラーゲンらせん)の状態でプレートにコートされる。
一方、本発明の細胞の培養方法の培養工程において、コラーゲンゲル中での培養(包埋培養)やコラーゲンゲル上での培養を行う場合は、中性にしたコラーゲンを含む溶液をプレート又はプレート内のウェルに加えて、加温することでコラーゲンゲルプレートを得る。この方法では、コラーゲン分子同士が自己会合することで、コラーゲンはゲル化(線維化)する。
コラーゲンが、コラーゲン分子の状態であるか、ゲル化(線維化)の状態であるかは、ゲル化(線維化)の状態では、コラーゲン分子の状態と比較して白濁するため、目視により判別することができる。また、液面の揺れ具合でもゲル化を判別することができる。
【0025】
<<細胞>>
前記細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、真核細胞が好ましい。
前記真核細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、動物細胞、又は植物細胞が好ましく、動物細胞がより好ましい。
【0026】
前記動物細胞としては、特に制限はなく、培養後の使用目的などに応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、サル、マーモセット等の霊長類由来の細胞;マウス、ラット、ハムスター等の齧歯類由来の細胞;ニワトリ等の鳥類由来の細胞;ウサギ等のウサギ目由来の細胞;ブタ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ウマ等の有蹄目由来の細胞;イヌ、ネコ等のネコ目由来の細胞などが挙げられる。
これらの中でも、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等の血液癌、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群などの治療に応用できる点から、ヒト由来の細胞が好ましい。
【0027】
前記動物細胞が由来とする組織としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、骨髄、臍帯血、末梢血、肝臓などが挙げられる。
【0028】
前記細胞は、前記組織から単離した初代培養細胞であってもよく、継代培養した細胞であってもよく、細胞株由来の細胞であってもよい。また前記初代培養細胞又は前記継代培養した細胞を凍結保存した後に融解した細胞であってもよい。
【0029】
前記細胞の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、幹細胞、又は幹細胞から分化した細胞などが挙げられる。
前記幹細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多能性幹細胞、体性幹細胞などが挙げられる。
前記多能性幹細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性腫瘍細胞(EC細胞)、胚性生殖幹細胞(EG細胞)、人工多能性幹細胞、誘導万能細胞(iPS細胞)などが挙げられる。
前記体性幹細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、上皮幹細胞、脂肪幹細胞などが挙げられる。
これらの中でも、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、又はこれらから分化した細胞が好ましく、造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、造血前駆細胞(リンパ系幹細胞)、骨髄系幹細胞、血球細胞、骨髄間質細胞、巨核球、又は血管内皮幹細胞がより好ましく、造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、血球細胞、又は骨髄間質細胞が更に好ましく、造血幹細胞、血球細胞、又は骨髄間質細胞が特に好ましい。
【0030】
前記血球細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球、マクロファージ等の白血球、赤血球、血小板、肥満細胞、樹状細胞などが挙げられる。
前記骨髄間質細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪由来の骨髄間質細胞、骨髄由来の骨髄間質細胞などが挙げられる。
前記細胞は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記組織から造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、又はこれらから分化した細胞を単離する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、又はこれらから分化した細胞に特異的な細胞表面マーカーの発現を指標として前記組織から単離する方法などが挙げられる。
【0032】
前記造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、又はこれらから分化した細胞に特異的な細胞表面マーカーの発現を指標として前記組織から単離する方法としては、特に制限はなく、公知の手法の中から適宜選択することができ、例えば、細胞表面マーカーに対する抗体を用い、セルソーター、磁気ビーズ等によって、前記細胞表面マーカーの特性を有する細胞を単離する方法などが挙げられる。
【0033】
前記造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、又はこれらから分化した細胞に特異的な細胞表面マーカーは、これらが由来する動物種によって適宜選択することができる。
【0034】
ヒト由来の造血幹細胞は、通常、CD34陽性(+)、CD90陽性(+)、かつCD45RA陰性(-)である。また、これらの細胞表面マーカーに加え、CD38陰性(-)、CD49f陽性(+)などの細胞表面マーカーを併用してもよい。
ヒト由来の造血前駆細胞は、通常、CD34陽性(+)、CD38陰性(-)、CD45RA陰性(-)、かつCD90陰性(-)である。
マウス由来の造血幹細胞は、通常、CD34陰性(-)、CD150陽性(+)、CD48陰性(-)、Flt3陰性(-)、Lin陰性(-)、Sca1陽性(+)、かつcKit陽性(+)(Lin(-)、Sca1(+)、cKit(+)は、「LSK」ともいう)である。
マウス由来の造血前駆細胞は、通常、CD34陽性(+)、CD48陰性(-)、Flt3陽性(+)、Sca-1陽性(+)、かつcKit陽性(+)である。
【0035】
ヒト由来の間葉系幹細胞は、通常、Stro-1陽性(+)、CD105陽性(+)、CD73陽性(+)、CD90陽性(+)、CD34陰性(-)、CD45陰性(-)、CD11b陰性(-)、CD14陰性(-)、かつHLA-DR陰性(-)である。
マウス由来の間葉系幹細胞は、通常、Sca-1陽性(+)、CD105陽性(+)、CD106陽性(+)、CD73陽性(+)、CD44陽性(+)、CD29陽性(+)、CD45陰性(-)、かつCD11b陰性(-)である。
【0036】
マウス由来の血管内皮幹細胞は、通常、CD157陽性(+)かつCD200陽性(+)である。
【0037】
前記細胞株としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ヒト急性骨髄性白血病由来細胞株MOLM-13(JCRB1810)、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞株HAdpc-28-E6E7-TERT(JCRB1572)、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞UE6E7T-3(JCRB1136)などが挙げられる。これらは国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手できる。
これらの細胞株の継代回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、5回(p5)から40回(p40)が好ましく、8回(p8)から35回(p35)がより好ましい。
【0038】
前記培養工程における前記細胞の細胞数(培養前の細胞数)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、24ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、1×10個以上が好ましく、2×10個以上がより好ましく、3×10個以上が更に好ましく、4×10個以上が特に好ましい。また、96ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、3×10個以上が好ましく、4×10個以上がより好ましく、5×10個以上が更に好ましく、6×10個以上が特に好ましい。
前記培養工程における前記細胞の細胞数(培養前の細胞数)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、24ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、1×10個以下が好ましく、9×10個以下がより好ましく、8×10個以下が更に好ましく、7×10個以下がより更に好ましく、6×10個以下が特に好ましい。また、96ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、1.5×10個以下が好ましく、1×10個以下がより好ましく、9×10個以下が更に好ましく、8×10個以下が特に好ましい。
前記培養工程における前記細胞の細胞数(培養前の細胞数)の下限値と上限値とは、適宜組み合わせることができるが、24ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、1×10個以上1×10個以下が好ましく、2×10個以上9×10個以下がより好ましく、3×10個以上8×10個以下が更に好ましく、4×10個以上7×10個以下がより更に好ましく、4×10個以上6×10個以下が特に好ましい。また、96ウェルプレートを用いる場合は、1ウェルあたり、3×10個以上1.5×10個以下が好ましく、4×10個以上1×10個以下がより好ましく、5×10個以上9×10個以下が更に好ましく、6×10個以上8×10個が特に好ましい。
【0039】
<<培養>>
前記培養の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、3日間以上が好ましく、5日間以上がより好ましく、7日間以上が更に好ましい。
【0040】
前記培養において、前記III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと前記細胞とを接触させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルを用いた三次元培養などが挙げられる。
前記III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルを用いた三次元培養としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記コラーゲンゲル中で細胞を培養する方法、すなわち、前記コラーゲンゲルに細胞を包埋させて培養する方法(包埋培養法)、前記コラーゲンゲル上で細胞を培養する方法、すなわち、前記コラーゲンゲル上に細胞を添加して培養する方法などが挙げられる。これらの中でも、前記III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルを用いた三次元培養としては、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、前記コラーゲンゲル中で細胞を培養する方法が好ましい。
【0041】
前記コラーゲンゲル中で細胞を培養する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細胞を含むコラーゲン溶液(コラーゲンを含むコラーゲン溶液と細胞を含む細胞懸濁液との混合溶液)を、加温してゲル化(線維化)する方法で製造されたコラーゲンゲルを用いて培養する方法などが挙げられる。これらの中でも、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、細胞を含まないコラーゲンゲル上に、細胞を含むコラーゲンゲルを積層して製造されたコラーゲンゲルを用いて培養する方法が好ましい。細胞を含まないコラーゲンゲル上に、細胞を含むコラーゲンゲルを積層することにより、細胞を含むコラーゲン溶液を積層した直後においても、細胞を、プレート上ではなく、コラーゲン線維上に落下させることができる。
前記細胞を含むコラーゲン溶液における溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、前記培養に使用する培地などが挙げられる。
【0042】
前記細胞を含まないコラーゲンゲル上に、細胞を含むコラーゲンゲルを積層する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細胞を含まないコラーゲン溶液を、中性にして加温してゲル化し、その後、得られたコラーゲンゲル(以下、「ゲルベッド」と称することがある)上に、細胞を含む中性コラーゲン溶液を加え、加温してゲル化する方法などが挙げられる。
前記コラーゲンゲル(ゲルベッド)の製造方法は、前述の<<III型コラーゲンを含むコラーゲンゲル>>の項目に記載のとおりである。
【0043】
前記コラーゲンゲル中で細胞を培養する方法においては、前記細胞を含むコラーゲン溶液を加え、加温してゲル化した後に、前記コラーゲンゲル上に静かに培地を添加することができる。
【0044】
前記細胞を含むコラーゲン溶液を加えた後の加温の温度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましく、35℃以上がより更に好ましい。
前記細胞を含むコラーゲン溶液を加えた後の加温の温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましい。
前記細胞を含むコラーゲン溶液を加えた後の加温の温度の下限値と上限値とは、適宜組み合わせることができるが、20℃以上50℃以下が好ましく、25℃以上45℃以下がより好ましく、30℃以上40℃以下が更に好ましく、35℃以上40℃以下がより更に好ましい。
【0045】
前記細胞を含むコラーゲン溶液を加えた後の加温の時間(前記培地を添加するまでの時間)の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30分間以上が好ましく、45分間以上がより好ましい。
前記細胞を含むコラーゲン溶液を加えた後の加温の時間(前記培地を添加するまでの時間)の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2時間以下が好ましく、1.5時間以下がより好ましく、1時間以下が更に好ましい。
前記細胞を含むコラーゲン溶液を加えた後の加温の時間の下限値と上限値とは、適宜組み合わせることができるが、30分間以上1.5時間以下が好ましく、45分間以上1時間以下がより好ましい。
【0046】
前記細胞を含まないコラーゲンゲル(ゲルベッド)と前記細胞を含むコラーゲンゲルとの合計量に対する、前記細胞を含まないコラーゲンゲル(ゲルベッド)の量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、体積比で、0.1倍以上が好ましく、0.15倍以上がより好ましく、0.18倍以上が更に好ましい。
前記細胞を含まないコラーゲンゲル(ゲルベッド)と前記細胞を含むコラーゲンゲルとの合計量に対する、前記細胞を含まないコラーゲンゲル(ゲルベッド)の量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、体積比で、0.3倍以下が好ましく、0.29倍以下がより好ましく、0.28倍以下が更に好ましく、0.27倍以下が特に好ましい。
前記細胞を含まないコラーゲンゲル(ゲルベッド)と前記細胞を含むコラーゲンゲルとの合計量に対する、前記細胞を含まないコラーゲンゲル(ゲルベッド)の量の下限値と上限値とは、適宜組み合わせることができるが、体積比で、0.1倍以上0.3倍以下が好ましく、0.15倍以上0.29倍以下がより好ましく、0.18倍以上0.28倍以下が更に好ましく、0.18倍以上0.27倍以下が特に好ましい。
【0047】
前記コラーゲンゲル上で細胞を培養する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細胞を含まない中性コラーゲン溶液を、加温してゲル化(線維化)する方法で製造されたコラーゲンゲルを用いて培養する方法などが挙げられる。
細胞を含まない中性コラーゲン溶液を、加温してゲル化(線維化)する方法で製造されたコラーゲンゲルを用いて培養する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記コラーゲンゲルに、細胞懸濁液を加えて培養する方法などが挙げられる。
前記コラーゲンゲルの製造方法は、前述の<<III型コラーゲンを含むコラーゲンゲル>>の項目に記載のとおりである。
【0048】
前記培養の培養条件(温度、二酸化炭素(CO)濃度、酸素濃度など)としては、特に制限はなく、公知の条件の中から適宜選択することができる。
前記培養の温度としては、通常、30℃~40℃であり、約37℃が好ましい。
前記培養する際のCO濃度としては、通常、1体積%~10体積%であり、2体積%~5体積%が好ましい。
前記培養条件は、市販のインキュベーター等の細胞培養装置によって調節することができる。
【0049】
前記培養に用いられる培地(培養液)としては、特に制限はなく、公知の培地の中から適宜選択することができる。
前記細胞が、幹細胞である場合は、その未分化性を維持する目的で、幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)、Flt-3リガンド(FL)、インターロイキン(IL)-3、IL-6、IL-11等のサイトカインや、ウシ血清アルブミン(BSA)等の血清アルブミンなどを含む培地で培養することができる。
【0050】
前記培養工程における細胞の培養期間が長期間に渡る場合、培地を適宜新しいものと交換又は循環させてもよく、後述の継代培養工程を経てもよい。
【0051】
前記培養工程で培養された細胞が、特定の細胞であることの確認は、前記細胞に特異的な細胞表面マーカーの発現を確認することにより行うことができる。
前記細胞表面マーカーの発現を確認する方法としては、前述のセルソーター、磁気ビーズ等による方法の他、免疫染色法、酵素活性測定法、リアルタイムRT-PCR法などを使用することもできる。
【0052】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、回収工程、継代培養工程などが挙げられる。
【0053】
<<回収工程>>
前記回収工程は、前記培養工程後に、前記細胞を回収する工程である。
前記回収方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、前記コラーゲンゲルを、酵素で処理する方法が好ましい。
前記酵素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、コラゲナーゼ及びサーモリシンからなる群より選択される少なくともいずれかが好ましく、コラゲナーゼ及びサーモリシンを併用することがより好ましい。
【0054】
前記コラゲナーゼ及び前記サーモリシンを併用する場合、前記コラゲナーゼの添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、前記サーモリシンの添加量に対して、質量比で、3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5倍以上が更に好ましく、6倍以上がより更に好ましく、7倍以上が特に好ましく、8倍以上が最も好ましい。
【0055】
前記コラゲナーゼの終濃度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、前記培養工程後の培養液に対して、0.1mg/mL以上が好ましく、0.25mg/mL以上がより好ましく、0.5mg/mL以上が更に好ましく、0.75mg/mL以上が特に好ましい。
前記コラゲナーゼの終濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、前記培養工程後の培養液に対して、3mg/mL以下が好ましく、2mg/mL以下がより好ましく、1.5mg/mL以下が更に好ましく、1.25mg/mL以下が特に好ましい。
前記コラゲナーゼの終濃度の下限値と上限値との組み合わせは、適宜選択することができるが、0.1mg/mL以上3mg/mL以下が好ましく、0.25mg/mL以上2mg/mL以下がより好ましく、0.5mg/mL以上1.5mg/mL以下が更に好ましく、0.75mg/mL以上1.25mg/mL以下が特に好ましい。
【0056】
前記サーモリシンの終濃度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、前記培養工程後の培養液に対して、0.01mg/mL以上が好ましく、0.03mg/mL以上がより好ましく、0.05mg/mL以上が更に好ましい。
前記サーモリシンの終濃度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造する点から、前記培養工程後の培養液に対して、0.5mg/mL以下が好ましく、0.25mg/mL以下がより好ましく、0.2mg/mL以下が更に好ましく、0.15mg/mL以下がより更に好ましく、0.1mg/mL以下が特に好ましい。
前記サーモリシンの終濃度の下限値と上限値との組み合わせは、適宜選択することができるが、0.01mg/mL以上0.5mg/mL以下が好ましく、0.03mg/mL以上0.25mg/mL以下がより好ましく、0.03mg/mL以上0.2mg/mL以下が更に好ましく、0.05mg/mL以上0.15mg/mL以下がより更に好ましく、0.05mg/mL以上0.1mg/mL以下が特に好ましい。
【0057】
<<継代培養工程>>
前記継代培養工程は、前記培養工程で培養した細胞を、更に継代培養する工程である。
【0058】
前記継代培養を行う方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記回収工程、及び前記培養工程、必要に応じて更に前記回収工程を繰り返すことにより行われることが好ましい。前記継代培養工程は、1回のみ行ってもよく、複数回行ってもよい。
【0059】
<用途>
前記細胞の培養方法は、簡易に、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造することができるため、細胞移植治療、又は生物学的製剤の製造等に用いる細胞の培養方法として好適に用いることができる。
【0060】
(治療用組成物の製造方法)
本発明の治療用組成物の製造方法は、培養工程を含み、更にその他の工程を含むことができる。
前記培養工程、及び前記その他の工程は、前述の(細胞の培養方法)の<培養工程>及び<その他の工程>の項目に記載のとおりである。
前記治療用組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する本発明の治療用組成物が好ましい。
【0061】
(治療用組成物)
本発明の治療用組成物は、III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと、細胞と、を含み、前記細胞は、前記コラーゲンゲルと接触している。前記治療用組成物は、更に必要に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。
【0062】
<III型コラーゲンを含むコラーゲンゲル及び細胞>
前記III型コラーゲンを含むコラーゲンゲル、及び前記細胞は、前述の(細胞の培養方法)の<培養工程>の項目に記載のとおりである。
【0063】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわず、特に制限はなく、医薬品業界において使用可能な製剤添加物の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、界面活性化剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤などが挙げられる。
【0064】
<用途>
前記治療用組成物の用途としては、特に制限はなく、前記細胞の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、前記細胞の細胞移植による治療が有効な疾患に対する治療用組成物などが挙げられる。具体例としては、再生不良性貧血に対する治療用組成物、骨髄異形成症候群に対する治療用組成物などが挙げられる。したがって、本発明の治療用組成物は、再生不良性貧血治療用組成物、骨髄異形成症候群治療用組成物などとしても好適に利用でき、これらの組成物も本発明の範囲内である。
【実施例0065】
以下に実施例、比較例、及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び試験例に何ら限定されるものではない。
【0066】
(実施例1:III型コラーゲンゲル中での培養(包埋培養))
3mg/mLのウシIII型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, PSC-3-100-20)を、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した3×PBS(-)(3倍濃度のD-PBS(-))で氷冷混合することにより中和して2mg/mL、pH7.3に調製した。24ウェルプレート(深江化成, 197-24CPS)内のウェルに中和したコラーゲン溶液0.2mLを加え、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で一晩インキュベート(37℃、5%CO)してゲル化させコラーゲンゲルベッドを作製した。
【0067】
翌日、新たに前記3×PBS(-)で中和したコラーゲン溶液(2mg/mL、pH7.3)0.8mLで5×10個の細胞(ヒト急性骨髄性白血病由来細胞株MOLM-13(JCRB1810)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を懸濁し、その混合液0.8mLを前記コラーゲンゲルベッド上に加えて、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で2時間インキュベート(37℃、5%CO)してゲル化させた。コラーゲンのゲル化を目視で確認後(白濁、液面の揺れ具合)、ゲルを壊さないように培地(10体積%ウシ胎児血清(Thermo Fisher Scientific, 10270-106)を含むRPMI1640培地(Thermo Fisher Scientific, 11875-085))1mLを添加して、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で包埋培養(37℃、5%CO)した。
【0068】
培養開始から3日目、6日目、7日目、10日目、及び14日目に細胞を、下記のとおりに回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計測した。別途、培養開始前(0日目)の細胞も同様にして、生細胞を計測した。なお、培養3日目、6日目、7日目、及び10日目に各ウェルから上清0.5mLを除去し、新たに培地0.5mLを加えて培地交換を実施した。0日目、3日目、6日目、7日目、10日目、及び14日目の結果を図1(右のバー:Type III collagen gel)に示し、0日目、3日目、6日目、及び7日目の結果を図2(右のバー:Type III collagen gel)に示した。
【0069】
<コラーゲンゲル中での培養(包埋培養)からの細胞の回収と計数>
コラーゲンゲル包埋培養完了後に上清を除去し、終濃度1mg/mLのコラゲナーゼ(株式会社ニッピ, 892 431)と終濃度0.06mg/mLサーモリシン(株式会社ニッピ, 892 441)を添加し、30分間インキュベート(37℃、5%CO)して、ゲルを溶解させた。その後、ピペッティングして1.5mLチューブに細胞含有液を移して、遠心機(エッペンドルフ株式会社, 5702R)で遠心分離(500×g, 5分間, 4℃)して細胞を回収し、0.1mLの培地に再懸濁後、0.4体積%トリパンブルー試薬(Thermo Fisher Scientific, 15250-061)で細胞を染色して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計測した。
【0070】
(比較例1:2次元培養)
5×10個の細胞(ヒト急性骨髄性白血病由来細胞株MOLM-13(JCRB1810)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した1mLの1×PBS(-)(D-PBS(-))に懸濁し、24ウェルプレート(深江化成, 197-24CPS)内のウェルに1mL/ウェル加えて、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で2時間インキュベート(37℃、5%CO)した。その後、培地(10体積%ウシ胎児血清(Thermo Fisher Scientific, 10270-106)を含むRPMI1640培地(Thermo Fisher Scientific, 11875-085))1mLを添加して、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で培養(37℃、5%CO)した。
【0071】
培養開始から3日目、6日目、7日目、10日目、及び14日目に細胞を、実施例1と同様に回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計数した。なお、培養3日目、6日目、7日目、及び10日目に各ウェルから上清0.5mLを除去し、新たに培地0.5mLを加えて培地交換を実施した。結果を図1(左のバー:2D)に示した。
【0072】
図1の結果より、III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養することにより、簡易に、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造することができることが分かった。III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて培養する場合は、2次元培養の場合と比較して、効率的に大量の細胞を製造することができることが分かった。また、2次元培養の場合は、培養10日目辺りで細胞増殖が頭打ち(細胞数のピーク)となることが分かった。
【0073】
(実施例2:I型+III型コラーゲンゲル中での培養(包埋培養))
ウシIII型コラーゲンに代えて、I型コラーゲン及びIII型コラーゲンを含むブタ真皮由来コラーゲン(株式会社ニッピ, PSC-S-200-100PW)を使用した以外は、実施例1と同様に培養を行った。
培養開始から3日目、6日目、及び7日目に細胞を、実施例1と同様に回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計数した。なお、培養3日目、及び6日目に各ウェルから上清0.5mLを除去し、新たに培地0.5mLを加えて培地交換を実施した。結果を図2(中央のバー:Type I+III collagen gel)に示した。
【0074】
(比較例2:I型コラーゲンゲル中での培養(包埋培養))
ウシIII型コラーゲンに代えて、ウシI型コラーゲン(株式会社ニッピ, ASC-1-100-20)を使用した以外は、実施例1と同様に培養を行った。
培養開始から3日目、6日目、及び7日目に細胞を、実施例1と同様に回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計数した。なお、培養3日目、及び6日目に各ウェルから上清0.5mLを除去し、新たに培地0.5mLを加えて培地交換を実施した。結果を図2(左のバー:Type I collagen gel)に示した。
【0075】
図2の結果より、I型コラーゲンのみを含むコラーゲンゲルと比較して、III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養することにより、効率的に大量の細胞を製造することができることが分かった。
【0076】
(実施例3-1:III型コラーゲンゲル中での培養(包埋培養) 濃度検討1)
3mg/mLのウシIII型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, PSC-3-100-20)を5mM酢酸で希釈した後、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した3×PBS(-)(3倍濃度のD-PBS(-))で氷冷混合することにより中和してpH7.3とし、終濃度が0.25mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、又は2mg/mLとなるようにそれぞれ調製した。96ウェルプレート(深江化成, 197-96CIPS)内のウェルに中和したコラーゲン溶液0.04mLを加え、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で一晩インキュベート(37℃、5%CO)してゲル化させコラーゲンゲルベッドを作製した。
【0077】
翌日、新たに前記3×PBS(-)で調製した各濃度のコラーゲン溶液で7×10個の細胞(ヒト急性骨髄性白血病由来細胞株MOLM-13(JCRB1810)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を懸濁し、その混合液0.11mL/ウェルを前記コラーゲンゲルベッド上に加えて、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で2時間インキュベート(37℃、5%CO)してゲル化させた。コラーゲンのゲル化を目視で確認後(白濁、液面の揺れ具合)、ゲルを壊さないように培地(3体積%ウシ胎児血清(Thermo Fisher Scientific, 10270-106)を含むRPMI1640培地(Thermo Fisher Scientific, 11875-085))0.15mLを添加して、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で培養(37℃、5%CO)した。
【0078】
培養開始から7日目に細胞を、実施例1と同様に回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計数した。なお、培養3日目、及び6日目に各ウェルから上清0.1mLを除去し、新たに培地0.1mLを加えて培地交換を実施した。結果を図3Aに示した。
【0079】
図3Aの結果より、III型コラーゲン溶液中に、終濃度2mg/mLのIII型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養した場合と比較して、III型コラーゲン溶液中に、終濃度1mg/mL、0.5mg/mL、又は0.25mg/mLのIII型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養することにより、効率的に大量の細胞を製造することができることが分かった。III型コラーゲン溶液中に、終濃度0.5mg/mLのIII型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養した場合は、III型コラーゲン溶液中に、終濃度2mg/mLのIII型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養した場合と比較して、3.7倍の細胞数の細胞を得ることができた。
【0080】
(実施例3-2:III型コラーゲンゲル中での培養(包埋培養) 濃度検討2)
III型コラーゲン溶液(pH7.3)の終濃度を0.5mg/mL、又は2mg/mLとし、3体積%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地を、10体積%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地とし、解析ウェル数(n)を4とした以外は、実施例3-1と同様に培養及び細胞数の計数を行った。結果を図3B(Type III collagen gel)に示した。
【0081】
(比較例3:2次元培養)
7×10個の細胞(ヒト急性骨髄性白血病由来細胞株MOLM-13(JCRB1810)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した0.15mLの1×PBS(-)(D-PBS(-))に懸濁し、0.15mL/ウェルで96ウェルプレート(深江化成, 197-96CIPS)内のウェルに加えて、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で2時間インキュベート(37℃、5%CO)した。その後、培地(10体積%ウシ胎児血清(Thermo Fisher Scientific, 10270-106)を含むRPMI1640培地(Thermo Fisher Scientific, 11875-085))0.15mLを添加して、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で培養(37℃、5%CO)した。
【0082】
培養開始から7日目に細胞を、実施例1と同様に回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計数した。なお、培養3日目、及び6日目に各ウェルから上清0.1mLを除去し、新たに培地0.1mLを加えて培地交換を実施した。解析ウェル数(n)を4とした。結果を図3B(2D)に示した。
図3Bの結果より、III型コラーゲン溶液の終濃度を0.5mg/mL、又は2mg/mLとした場合は、いずれの場合も2次元培養した場合と比較して、0.1%水準で有意性が認められ、有意に増殖性が向上することが分かった。
【0083】
(実施例4:III型コラーゲンゲル上での培養)
3mg/mLのウシIII型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, PSC-3-100-20)を5mM 酢酸で希釈した後、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した3×PBS(-)(3倍濃度のD-PBS(-))で氷冷混合することにより中和してpH7.3とし、終濃度が0.25mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mLとなるようにそれぞれ調製した。96ウェルプレート(深江化成株式会社, 197-96CIPS)内のウェルに中和したコラーゲン溶液0.04mLを加え、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で2時間インキュベート(37℃、5%CO)してゲルを作製した。
【0084】
前記ゲルの上から、7×10個の細胞(ヒト急性骨髄性白血病由来細胞株MOLM-13(JCRB1810)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を含む0.26mLの細胞懸濁液を加えて恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で培養(37℃、5%CO)した。
【0085】
培養開始から3日目、及び7日目に細胞を、下記のとおり回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計数した。なお、培養4日目に各ウェルから上清0.1mLを除去し、新たに培地0.1mLを加えて培地交換を実施した。結果を図4(Type III collagen gel)に示した。
【0086】
<コラーゲンゲル上での培養からの細胞の回収と計数>
コラーゲンゲル上での培養完了後に上清を除去し、終濃度1mg/mLのコラゲナーゼ(株式会社ニッピ, 892 431)を添加し、30分間インキュベート(37℃、5%CO)して、ゲルを溶解させた。その後、ピペッティングして1.5mLチューブに細胞含有液を移して、遠心機(エッペンドルフ株式会社, 5702R)で遠心分離(500×g, 5分間, 4℃)して細胞を回収し、0.1mLの培地に再懸濁後、0.4体積%トリパンブルー試薬(Thermo Fisher Scientific, 15250-061)で細胞を染色して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計測した。
【0087】
(比較例4:2次元培養)
7×10個の細胞(ヒト急性骨髄性白血病由来細胞株MOLM-13(JCRB1810)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を含む0.3mLの細胞懸濁液を、96ウェルプレート(深江化成株式会社, 197-96CIPS)内のウェルに全量加えて恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で培養(37℃、5%CO)した。
【0088】
培養開始から3日目、及び7日目に細胞を、実施例4と同様に回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計数した。なお、培養4日目に各ウェルから上清0.1mLを除去し、新たに培地0.1mLを加えて培地交換を実施した。結果を図4(2D)に示した。
【0089】
図4の結果より、III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養することにより、簡易に、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造することができることが分かった。
【0090】
(比較例5:コラーゲン分子コート上での培養)
3mg/mLのウシIII型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, PSC-3-100-20)、3mg/mLのブタ真皮由来I+III型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, PSC-S-200-100PW)、又は3mg/mLのウシI型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, ASC-1-100-20)を5mM 酢酸で10μg/mL又は100μg/mLの濃度に希釈して、24ウェルプレート(深江化成, 197-24CPS)内のウェルに0.5mLずつ加え、4℃冷蔵庫で一晩コーティングした。コーティング完了後、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した1×PBS(-)(D-PBS(-))で3回洗浄しコラーゲン分子コートプレートを製造した。
【0091】
未処理24ウェルプレート、又は前記コラーゲン分子コートプレート1ウェルあたり5×10個の細胞(ヒト急性骨髄性白血病由来細胞株MOLM-13(JCRB1810)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を播種し、培養3日目、及び5日目の細胞を回収して0.4体積%トリパンブルー試薬(Thermo Fisher Scientific, 15250-061)で染色後に自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計測した。結果を図5に示した。
【0092】
図5の結果より、(線維化した)コラーゲンゲルではなく、コラーゲン分子をコートした場合は、コラーゲンの型やコーティング濃度に依らず、未処理24ウェルプレート(NT)と比較して、増殖促進効果はみられないことが分かった。
【0093】
(実施例5:III型コラーゲンゲル中での培養(包埋培養))
3mg/mLのウシIII型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, PSC-3-100-20)を5mM酢酸で希釈した後、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した3×PBS(-)(3倍濃度のD-PBS(-))で氷冷混合することにより中和してpH7.3とし、終濃度が0.5mg/mL、又は2mg/mLとなるようにそれぞれ調製した。96ウェルプレート(深江化成, 197-96CIPS)内のウェルに中和したコラーゲン溶液0.04mLを加え、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で一晩インキュベート(37℃、5%CO)してゲル化させコラーゲンゲルベッドを作製した。
【0094】
翌日、新たに前記3×PBS(-)で調製した各濃度のコラーゲン溶液で7×10個の細胞(ヒト脂肪由来間葉系幹細胞株HAdpc-28-E6E7-TERT(JCRB1572)、又はヒト骨髄由来間葉系幹細胞UE6E7T-3(JCRB1136)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を懸濁し、その混合液0.11mLを前記コラーゲンゲルベッド上に加えて、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で2時間インキュベート(37℃、5%CO)してゲル化させた。コラーゲンのゲル化を目視で確認後(白濁、液面の揺れ具合)、ゲルを壊さないように培地(Cellartis培地(タカラバイオ株式会社, Y50201))0.15mLを添加して、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で培養(37℃、5%CO)した。
【0095】
培養開始から3日目、又は7日目に細胞を、実施例1と同様に回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計数した。なお、培養4日目に各ウェルから上清0.1mLを除去し、新たに培地0.1mLを加えて培地交換を実施した。結果を図6A(ヒト脂肪由来間葉系幹細胞株HAdpc-28-E6E7-TERT:Type III collagen)及び図6B(ヒト骨髄由来間葉系幹細胞UE6E7T-3:Type III collagen)に示した。
【0096】
(比較例6:2次元培養)
7×10個の細胞(ヒト脂肪由来間葉系幹細胞株HAdpc-28-E6E7-TERT(JCRB1572)、又はヒト骨髄由来間葉系幹細胞UE6E7T-3(JCRB1136)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した0.15mLの1×PBS(-)(D-PBS(-))に懸濁し、96ウェルプレート(深江化成, 197-96CIPS)内のウェルに全量加えて、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で2時間インキュベート(37℃、5%CO)した。その後、培地(Cellartis培地(タカラバイオ株式会社, Y50201))0.15mLを添加して、恒温槽(PHC株式会社, MCO-170AICUVD-PJ)内で培養(37℃、5%CO)した。
【0097】
培養開始から3日目、又は7日目に細胞を、実施例1と同様に回収して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計数した。なお、培養4日目に各ウェルから上清0.1mLを除去し、新たに培地0.1mLを加えて培地交換を実施した。結果を図6A(ヒト脂肪由来間葉系幹細胞株HAdpc-28-E6E7-TERT:2D)及び図6B(ヒト骨髄由来間葉系幹細胞UE6E7T-3:2D)に示した。
【0098】
図6A及び図6Bの結果より、III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養することにより、簡易に、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造することができることが分かった。III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて培養する場合は、2次元培養の場合と比較して、効率的に大量の細胞を製造することができることが分かった。また、2mg/mLと比較して、0.5mg/mLのIII型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養することにより、効率的に大量の細胞を製造することができることが分かった。
【0099】
(比較例7:コラーゲン分子コート上培養)
3mg/mLのウシIII型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, PSC-3-100-20)、3mg/mLのブタ真皮由来I+III型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, PSC-S-200-100PW)、又は3mg/mLのウシI型コラーゲン溶液(株式会社ニッピ, ASC-1-100-20)を5mM 酢酸で10μg/mL又は100μg/mLの濃度に希釈して、24ウェルプレート(深江化成, 197-24CPS)内のウェルに0.5mLずつ加え、4℃冷蔵庫で一晩コーティングした。コーティング完了後、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した1×PBS(-)(D-PBS(-))で3回洗浄しコラーゲン分子コートプレートを製造した。
【0100】
未処理24ウェルプレート、又は前記コラーゲン分子コートプレート1ウェルあたり5×10個の細胞(ヒト脂肪由来間葉系幹細胞株HAdpc-28-E6E7-TERT(JCRB1572)、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクから入手)を播種し、培養2日目、及び5日目の細胞を回収して0.4体積%トリパンブルー試薬(Thermo Fisher Scientific, 15250-061)で染色後に自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で生細胞を計測した。結果を図7に示した。
【0101】
図7の結果より、(線維化した)コラーゲンゲルではなく、コラーゲン分子をコートした場合は、コラーゲンの型やコーティング濃度に依らず、未処理24ウェルプレート(NT)と比較して、増殖促進効果はみられないことが分かった。
【0102】
(試験例1:酵素の検討)
96ウェルプレート(深江化成, 197-96CIPS)内のウェルに2×10個の細胞(ヒト急性骨髄性白血病由来細胞株MOLM-13(JCRB1810)を播種し、0mg/mL、0.06mg/mL、0.12mg/mL、0.24mg/mL、若しくは0.47mg/mLのサーモリシン(株式会社ニッピ, 892 441)又は0、0.25mg/mL、0.50mg/mL、1.00mg/mL、若しくは2.00mg/mLのコラゲナーゼ(株式会社ニッピ, 892 431)を各濃度となるように添加し、30分間インキュベート(37℃,5%CO)した。その後、細胞を回収し0.4体積%トリパンブルー試薬で染色して自動セルカウンターCountess II FL(Thermo Fisher Scientific, AMQAF1000)で計数し生存率を求めた。結果を図8に示した。
【0103】
図8の結果より、コラゲナーゼは細胞の生存率に影響を与えないが、サーモリシンは濃度に依存して細胞の生存率に影響を与えることが分かった。
【0104】
(実施例6:酵素の検討)
III型コラーゲン溶液の終濃度を0.5mg/mLとし、コラーゲンゲル包埋培養からの細胞の回収において、1mg/mLのコラゲナーゼ、0.12mg/mLのサーモリシン、0.06mg/mLのサーモリシン、1mg/mLのコラゲナーゼ及び0.12mg/mLのサーモリシン、又は1mg/mLのコラゲナーゼ及び0.06mg/mLのサーモリシンを使用した以外は、実施例3-1と同様に培養し、生細胞を計測した。結果を図9Aに示した。細胞の生存率を図9Bに示した。
【0105】
図9A及び図9Bの結果より、サーモリシン単独では、濃度に依存して細胞の生存率に大きな影響を与え、回収細胞数にはわずかな影響しか与えないが、コラゲナーゼと併用することで、予想に反し、細胞の生存率への影響は消失し、回収細胞数が相乗的に増加することが分かった。
【0106】
(試験例2:コラーゲンゲルの走査型電子顕微鏡観察)
実施例1、実施例2、及び比較例2に記載の方法で、2mg/mLの各コラーゲンゲルを1.5mLチューブ内に作製し、4体積%パラホルムアルデヒドで固定化処理(60分間、室温、振とう)後、10×D-PBS(-)(富士フイルム和光純薬, 048-29805)を滅菌水で希釈して調製した1×PBS(-)(D-PBS(-))で洗浄して、エタノール系列(50%、60%、70%、80%、90%、及び95%)で脱水処理(各10分間、振とう)を行った。得られたコラーゲンゲルを1mLのt-ブタノール(東京化成工業株式会社, 75-65-0)に浸した後、8℃冷蔵庫内で凝固させた。1.5mLチューブの蓋を外し、パラフィルムでシールした後、ピンセットで孔を開けた。保冷剤(冷却パック)にて凝固を保った状態で、エッペンドルフチューブを真空定温乾燥器(東京理化器械株式会社, VOS-201SD)に入れ、真空ポンプ(日東工器社製、LV-660)を用いてt-ブタノールを昇華により3時間乾燥させた。イオンスパッター装置(日本電子株式会社, JEC-3000FC)を用いたスパッタリング処理(30mA, 60秒)により、コラーゲンサンプル表面に白金パラジウムをコーティングした。その後、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社, JSM6510)で10kV、30,000倍でコラーゲン線維を観察した。結果を図10に示した。なお、図10のスケールバーは0.5μmであった。
【0107】
図10の結果より、I型コラーゲンと比較すると、III型コラーゲンの割合が多いほど、細かい線維が形成されることが分かった。
【0108】
(実施例7:位相差顕微鏡観察)
培養日数を14日間とした以外は、実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2と同様に培養を行った。培養14日目に、位相差顕微鏡(株式会社ニコン,ECLIPSE Ts2-FL)を用いて細胞を観察した。結果を図11に示した。なお、図11のスケールバーは100μmであった。
【0109】
図11の結果より、2次元培養した場合は、プレート底面でコンフルエントになっていることが分かった。また、I型コラーゲンを用いた場合は、細胞凝集塊の割合が少なく、III型コラーゲンを用いた場合は、大小様々な大きさの凝集塊が大量に形成され、I型コラーゲン及びIII型コラーゲンを用いた場合は、ゲル内に小さな凝集塊が3次元的に散見されることが分かった。
図10に示したとおり、III型コラーゲンの割合が多いほど、細かい線維が形成されることから、細胞増殖効率は、線維により形成される孔部の大きさに依存することが示唆された。
【0110】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養する培養工程を含むことを特徴とする細胞の培養方法である。
<2> 前記コラーゲンゲルにおける、前記III型コラーゲンの濃度は0.01mg/mL以上10mg/mL以下である、前記<1>に記載の細胞の培養方法である。
<3> 前記コラーゲンゲルが更にI型コラーゲンを含む場合、
前記コラーゲンゲルにおける、前記I型コラーゲンの濃度は3mg/mL以下である、前記<1>又は<2>に記載の細胞の培養方法である。
<4> 前記細胞は、造血幹細胞、間葉系幹細胞、血管内皮幹細胞、又はこれらから分化した細胞である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の細胞の培養方法である。
<5> 前記培養工程後に、前記細胞を回収する回収工程を含む、前記<1>から<4>のいずれかに記載の細胞の培養方法である。
<6> 前記回収工程において、前記コラーゲンゲルを、コラゲナーゼ及びサーモリシンで処理する、前記<5>に記載の細胞の培養方法である。
<7> 前記コラゲナーゼの添加量は、質量比で、前記サーモリシンの添加量の3倍以上である、前記<6>に記載の細胞の培養方法である。
<8> 前記サーモリシンの添加量は、0.3mg/mL以下である、前記<6>又は<7>に記載の細胞の培養方法である。
<9> III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと細胞を接触させて、前記細胞を培養する培養工程を含むことを特徴とする治療用組成物の製造方法である。
<10> III型コラーゲンを含むコラーゲンゲルと、細胞と、を含み、
前記細胞は、前記コラーゲンゲルと接触していることを特徴とする治療用組成物である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の細胞の培養方法は、簡易に、安定的かつ効率的に大量の細胞を製造することができるため、細胞移植治療、又は生物学的製剤の製造等に用いる細胞の培養方法として好適に利用することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11