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▶ 岡崎 重樹の特許一覧

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  • 特開-加速抑制機能付アクセルペダル装置 図1
  • 特開-加速抑制機能付アクセルペダル装置 図2
  • 特開-加速抑制機能付アクセルペダル装置 図3
  • 特開-加速抑制機能付アクセルペダル装置 図4
  • 特開-加速抑制機能付アクセルペダル装置 図5
  • 特開-加速抑制機能付アクセルペダル装置 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121747
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】加速抑制機能付アクセルペダル装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 28/10 20060101AFI20240830BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B60K28/10 Z
B60K26/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023042383
(22)【出願日】2023-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】520071847
【氏名又は名称】岡崎 重樹
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 重樹
【テーマコード(参考)】
3D037
【Fターム(参考)】
3D037EA01
3D037EB16
3D037EC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アクセルペダルをブレーキペダルと間違えて強力に踏込んだ場合でも、運転者個々人に対応して、車の加速を抑制させる装置を提供する。
【解決手段】運転者のアクセルペダル踏込み力と運転者の体重値との関係から踏込み力が体重値の80%以上になると、出力線を強制的に断線させ信号を遮断する。ECUに異常と判断させアイドリング状態になると車の加速は抑制される。出力線を断線させる為に電気回路開閉器を使用し、アクセルペダル踏込み力が、体重値の80%以上になると抗力に抗い開閉器を作動させる。開閉器はON→OFFになり回路を断線させ信号を遮断する。ECUは異常と判断してアイドリング状態にし、車の加速を抑制するものである。抗力値(ばね等の抗力材)を変えることにより運転者の個々人に対応する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車の走行速度を制御する、アクセルペダル内蔵のアクセルポジションセンサーより出力される電気信号に対し、この電気信号の伝達を通電又は遮断する開閉器を備え、この開閉器は運転者の体重値の80%以上の圧力が加わった時に電気回路の開/閉作動を行い、電気信号を通電又は遮断することを特徴とした加速抑制機能付アクセルペダル装置。
【請求項2】
運転者に対する抗力値を運転者個々人に対して設定するのではなく、体重値に範囲を持たせてタイプ分けし、タイプ毎に開閉器を作動させる抗力値を設定又は抗力用材(ばね等)を交換出来る事を特徴とした加速抑制機能付アクセルペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者がパニックになり誤ってアクセルペダルをブレーキペダルと間違って踏込んだ場合に、車が暴走せず自動的に加速を抑制する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
初心者や高齢者が車両を運転する場合、アクセルペダルを踏込んだときに予想外の発進スピードになると、その恐怖心から全身が硬直してしまうことがある。また、走行中にブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏込む誤操作をしてしまうと、運転者の気持ちに反して逆に速度が速くなり、ブレーキをかけるべくアクセルペダルをさらに踏込んでしまうことがある。
【0003】
かかる状況ではアクセルペダルに置いたままの足も突っ張っており、アクセルペダルを無意識にフルスロットル操作(電動車ではモーター全出力に相当)することになり、障害物に衝突するまで停止せず、人身事故を起こすことが懸念される。これに対し、アクセルペダルの誤踏込みによる障害物に対する衝突を回避し、人身事故を確実に防止できるようにした装置が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6)。
【0004】
例えば、ブレーキペダルのアームをアクセルペダルのアームと伝達部材によって連携させ、アクセルペダルのアームの踏込み角度が通常の踏込み範囲の最大角度を超えた角度に踏込まれたときに、ブレーキペダルのアームをアクセルペダルのアームとともに踏込み方向に搖動させてブレーキをかけ、次いでアクセルペダルのアームの踏込み角度がさらに大きくなると、アクセルペダルのアームとスロットルバルブとの接続を解除してアクセルを戻し、車両の暴走を抑制するようにした装置がしられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3217039号公報
【特許文献2】特許第4598207号公報
【特許文献3】特許第5355800号公報
【特許文献4】公開特許公報平5-256170
【特許文献5】公開特許公報2013-56653
【特許文献6】公開実用新案公報昭61-31928
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1記載の装置ではアクセルペダルが一定位置以上に大きく踏込まれたときにブレーキペダルのアームが連携されてブレーキが作動され次いでアクセルワイヤーが戻されるようになっているので、運転者が加速を行おうとしてアクセルペダルを強く踏んだときにブレーキがかかって運転者がパニックを起こすおそれがある。
【0007】
なお、特許文献2記載の装置では足を傾けてペダルを踏込む必要があるので、運転中に不自然な姿勢を強いられ、絶えずアクセルペダルを操作していることに気をつけていないと、運転者が意図的な加速を行うためにペダルを強く踏んだ場合にブレーキがかかることになり、場合によっては急ブレーキとなって運転者がパニックを起こすおそれがある。
【0008】
また、特許文献3記載の装置ではアクセルからブレーキへの境界がなく、自然と深く踏込み過ぎるとブレーキとなる。このため、運転者が意図的な加速を行うためにペダルを強く踏込むとブレーキがかかることになり、場合によっては急ブレーキとなって運転者がパニックを起こすおそれがある。
【0009】
また、特許文献4および特許文献5記載の内容では、通常のアクセル領域を分割し前半をアクセル域とし、後半をブレーキ域とする。運転者が正常のときの踏込み力ではアクセル域のみにてアクセルペダルを操作する。しかし、運転者がパニックになり異常な力で踏込むとブレーキ域に達してブレーキがかかる内容であり、ただたんに「更に強く踏込むと」との説明で、アクセル域とブレーキ域の境界を感覚に頼る装置であり、正常運転中でも急ブレーキがかかり運転者がパニックを起こす恐れがある。
【0010】
特許文献6記載の装置では、アクセル域とブレーキ域との境界を運転者の踏込み力の変化をグラフに示し、数値的に特定している。踏込み力が特定数値を超えると圧力センサーが働きスロットルを絞り加速を抑制する構造である。しかし、運転者は人それぞれであり踏込み力も人それぞれである。また、本件の実験方法は不明であるが、運転者がパニック時の踏込み力の境界を約10kg(Aライン)としているが、当社実験では体重が40kgの高齢女性でも正常時最大踏込み力は40kgに達し、体重が100kg前後の運転者は正常時でも軽々と10kgを越えて踏込め(前車追越時等は15kg程度)、突然に急ブレーキとなり運転者がパニックを起こすおそれがある。運転者は人それぞれであり、単一に境界値を設けることは思わぬ急ブレーキのおそれがあり危険である。
【0011】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑み、通常の加速操作を行うことができる一方、運転者が突然にアクセルペダルをさらに大きく強く踏込んだときには、運転者個別に対応して運転者の「正常運転中の踏込み」か「異常時踏込み」かを判断して、異常状態と判断した場合にはアクセルポジションセンサーからの出力を遮断し、自動的にアイドリング状態にして車の加速を抑制することができるようにした。運転者万人に共通して対応できる加速抑制機能付アクセルペダル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【背景理論】
【0012】
車の速度を制御するアクセルポジションセンサーからの出力は、図1記載の通りメイン(APS1)とサブ(APS2)の2系列であることは公知の事実である。互いの出力値をECUは監視しており異常があると図3の通りスロットルを戻しアイドリング状態にすることも公知の事実である。つまり、加速が抑制されることになる。そこで、意図的に2系列の出力線を断線させて異常状態を作りだせば車の加速は抑制されることになる。
ここで問題となるのが、運転者が異常時のパニック状態である時に、運転者に如何にして断線作業をさせるかである。
人は人それぞれであり、パニック時の身体的特徴もバラバラに表れる。しかしながら、運転者がパニックの異常状態になると脚を前に強烈に突出すことは公知の事実として知られている。この突出す力も人によりバラバラではあるが、特許第7148902号図2で示されている通り、運転者の体重値とパニック時の踏込み力には相関関係があり、踏込み力が体重値の80%以上の場合は運転者がパニック時の異常状態でアクセルペダルを踏込んでいると判断できる。本出願記載の図2の通りである。
このことを、前項0011記載の出力を遮断させる手段として、人それぞれに対応して利用出来ないかと考え実現させたのが、今回の発明である。
【0013】
図6記載の、アクセルペダル踏込み力Fに対してばね等により抗力Kを設ける。抗力Kは運転者の体重値Wの80%で開閉器の開閉スイッチの作動可能ストロークに達するものにする。つまり、運転者がパニックになりアクセルペダル踏込み力Fが運転者の体重値Wの80%以上で踏込まれれば、抗力Kに抗って開閉器のスイッチを作動させ出力線を強制的に断線させ出力信号を遮断させる。つまり、運転者がパニックになりW×0.8=K、F≧Kの場合になると、車は強制的にアイドリング状態となり、加速が抑制されることになる。加速が抑制されると、運転者は思わぬ加速からくる異常精神状態から開放されて平常心を取り戻すことができ、改めて自らブレーキペダルを操作し車を安全に停止させる事ができる。
【0014】
近年デジタル技術は飛躍的に進歩・発達してきており、必要とされる半導体も増えてきており不足状態が続いている。自動車産業を取り巻く環境に於いても半導体不足は深刻な問題となっている。
しかし、本発明は全てアナログ技術で完結しており、半導体は必要としない。
このことは、今後の生産体制に於いても高い優位性が担保されていることになる。
【実施方法】
【0015】
本発明の一実施例を説明する。図4の、アクセルペダル頭部の6本線は、図1のアクセルポジションセンサーで示された入出力線である。上から2番目の赤色線が出力線APS1で、下から2番目の黒色線がAPS2である。この2本線の途中をカットしてそれぞれの端部を図6の通りに開閉器に接続する。開閉器の作動部をアクセルペダル当該凸底部に当たるよう取り付ける。
【0016】
発明者本人の体重値Wは60kgなので、抗力Kを60×0.8=48kgで5mm縮むばね材を製作して開閉器と連動して作動させるように示したのが図6である。
しかし本発明は全ての運転者に対応できる必要があるので、運転者の体重値の全てに対応した抗力ばねを用意する必要がでてくる。この事に物理的に対応することは困難である。そこで、図5に示す通り運転者の体重値を区分してタイプ分けを行い、それぞれのタイプ別に抗力ばねを準備。この様にすると、準備する抗力ばねは5種類で済む。運転者の体重値タイプに応じて抗力ばねを交換して対応。交換作業は容易に行える構造である。 実際の適応例として、高齢者の平均的な体重値は統計データより60~70kg、従って抗力値は48kgばねでほぼ対応できる。
【0018】
発明者による実車(トヨタ製アクア)による実装走行実験では、加速継続時で速度が時速60kmを越えている状態でも、アクセルペダルを強力に踏込み込む(48kg以上)と加速が抑制され減速する事を確認でき、目的効果は実証できた。、従来の技術的な縛りである時速30kmの壁を越えることができた。前方の障害物の有無も影響しないことを確認。停止後の再起動による再走行もスムースに行える事も確認。1ヶ月に渡り延べ100回の実証実験を繰り返したが異常は認められなかった。、
【0019】
以上は吊下げ式ペダル方式で述べてきたが、オルガン式方式にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
図1】アクセルポジションセンサーの回路図と出力特性図
図2】運転者体重値と踏込み力との相関関係図
図3】アクセルポジションセンサーとスロットルポジションセンサー図
図4】アクセルペダルの入出力線図(写真)
図5】踏込み力のタイプ別区分図
図6】回線接続の配線図
図1
図2
図3
図4
図5
図6