(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121778
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】シート駆動装置
(51)【国際特許分類】
A47C 7/14 20060101AFI20240830BHJP
A47C 7/46 20060101ALI20240830BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
A47C7/14 B
A47C7/46
B60N2/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212731
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2023028189
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 隆
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】孫 古月
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084BA01
3B084HA09
3B084HA11
3B087AA01
3B087BD06
3B087BD16
(57)【要約】
【課題】シートのサイドサポートによるユーザのホールド性を高めることができるシート駆動装置を提供する。
【解決手段】シート駆動装置40は、シート10に固定されるベース100と、ベース100に対して回転可能に支持され、展開方向R1に回転することによりサイドサポート22をユーザの着座領域に向けて変位させるパドル200と、ベース100とパドル200との間に配置され、給気に伴う膨張によりパドル200を展開方向R1に回転させる空気袋300と、を備える。パドル200は、サイドサポート22を内側から押圧する押圧部240と、ベース100に対して回転可能に支持され、押圧部240に向かって延びるアーム220と、を有する。アーム220は、展開方向R1の逆方向である格納方向R2に向かって湾曲している。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部と前記中央部の幅方向における外方に位置するサイドサポートとを有するシートに内蔵され、前記サイドサポートを駆動するシート駆動装置であって、
前記シートに固定されるベースと、
前記ベースに対して回転可能に支持され、展開方向に回転することにより前記サイドサポートをユーザの着座領域に向けて変位させるパドルと、
前記ベースと前記パドルとの間に配置され、給気に伴う膨張により前記パドルを前記展開方向に回転させる空気袋と、を備え、
前記パドルは、前記サイドサポートを内側から押圧する押圧部と、前記ベースに対して回転可能に支持され、前記押圧部に向かって延びるアームと、を有し、
前記パドルの回転軸線は、前記シートの前記中央部に位置し、
前記アームは、前記展開方向の逆方向である格納方向に向かって湾曲している
シート駆動装置。
【請求項2】
前記アームは、前記アームの長手方向における両端部よりも前記アームの長手方向における中間部が前記格納方向に位置するように湾曲している
請求項1に記載のシート駆動装置。
【請求項3】
前記空気袋は、給気に伴い膨張する一方で排気に伴い収縮する袋体と、前記袋体から前記パドルの回転軸線に向かって延びる延設部と、を有し、
前記延設部は、前記ベースに係止している
請求項1又は請求項2に記載のシート駆動装置。
【請求項4】
前記延設部は、前記ベースに対して前記パドルの回転軸線と交差する方向に移動可能に前記ベースに係止している
請求項3に記載のシート駆動装置。
【請求項5】
前記袋体を第1袋体としたとき、
前記空気袋は、前記第1袋体と前記パドルとの間に配置され、前記第1袋体とともに膨張及び収縮する第2袋体を有する
請求項4に記載のシート駆動装置。
【請求項6】
前記パドルにおいて、前記アームと前記押圧部とは別体に構成されている
請求項1又は請求項2に記載のシート駆動装置。
【請求項7】
前記ベースは、前記パドルの回転軸線の延びる方向において、前記アームを挟む2つのガイド壁を有する
請求項1又は請求項2に記載のシート駆動装置。
【請求項8】
前記パドルが前記格納方向に最も回転する状況下において、前記アームの湾曲する部分は、前記ベースを前記格納方向に貫通している
請求項1又は請求項2に記載のシート駆動装置。
【請求項9】
前記アームは、前記パドルの回転軸線の延びる方向に間隔をあけて配置される2本の前記アームであり、
前記延設部は、2本の前記アームの回転領域の間で前記ベースに係止している
請求項3に記載のシート駆動装置。
【請求項10】
前記パドルが前記格納方向に最も回転する状況下において、前記アームの湾曲する部分は、前記ベースを前記格納方向に貫通し、
前記延設部は、当該延設部の先端が前記ベースを前記格納方向に貫通する状態で前記ベースに係止するものであり、
前記パドルが前記格納方向に最も回転する状況下において、前記パドルの回転軸線の延びる方向から見たとき、前記延設部の先端は、2本の前記アームのうち前記ベースを前記格納方向に貫通する部分に隠れている
請求項9に記載のシート駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの脚部及び臀部を支持するシートクッションと、ユーザの上体を支持するシートバックと、を備える車両用シートが記載されている。シートクッションのサイドサポート及びシートバックのサイドサポートは、給気により膨張する空気袋を内蔵している。
【0003】
ユーザが車両用シートに着座した状態において、シートクッションのサイドサポートに内蔵される空気袋が膨張すると、当該サイドサポートがユーザの脚部及び臀部に向かって起き上がる。同様に、シートバックのサイドサポートに内蔵される空気袋が膨張すると、当該サイドサポートがユーザの上体に向かって起き上がる。こうして、車両用シートは、サイドサポートをユーザに当てることにより、ユーザのホールド性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような車両用シートは、サイドサポートによるユーザのホールド性を高める点において、改善の余地が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するシート駆動装置は、中央部と前記中央部の幅方向における外方に位置するサイドサポートとを有するシートに内蔵され、前記サイドサポートを駆動するシート駆動装置であって、前記シートに固定されるベースと、前記ベースに対して回転可能に支持され、展開方向に回転することにより前記サイドサポートをユーザの着座領域に向けて変位させるパドルと、前記ベースと前記パドルとの間に配置され、給気に伴う膨張により前記パドルを前記展開方向に回転させる空気袋と、を備え、前記パドルは、前記サイドサポートを内側から押圧する押圧部と、前記ベースに対して回転可能に支持され、前記押圧部に向かって延びるアームと、を有し、前記パドルの回転軸線は、前記シートの前記中央部に位置し、前記アームは、前記展開方向の逆方向である格納方向に向かって湾曲している。
【発明の効果】
【0007】
シート駆動装置は、シートのサイドサポートによるユーザのホールド性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、シート駆動装置を備えるシートの斜視図である。
【
図3】
図3は、シート駆動装置のベースの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、シート駆動装置のパドルの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、シート駆動装置の空気袋の平面図である。
【
図6】
図6は、シート駆動装置の空気袋の6-6線矢視断面図である。
【
図7】
図7は、シート駆動装置の作用を説明する断面図である。
【
図8】
図8は、シート駆動装置の作用を説明する断面図である。
【
図9】
図9は、第1変更例の空気袋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、シート駆動装置を備えるシートについて図面を参照しつつ説明する。一部の図面では、説明理解の容易のために断面を示すハッチングを省略している。
<本実施形態の構成>
図1に示すように、シート10は、シートクッション20と、シートバック30と、4つのシート駆動装置40と、給排気システム50と、を備える。シート10は、例えば、車両の運転席、助手席及び後部座席などに相当する。
【0010】
<シートクッション20及びシートバック30>
図1に示すように、シートクッション20は、座部21と、2つのサイドサポート22と、を有する。シートクッション20は、ユーザの臀部及び大腿部を支持する。座部21はシートクッション20の幅方向における中央部に位置している。2つのサイドサポート22はシートクッション20の幅方向における両端部に位置している。この点で、座部21は「中央部」に相当している。また、サイドサポート22は「中央部」の幅方向における外方に位置している。
【0011】
シートバック30は、背もたれ31と、2つのサイドサポート32と、を有する。シートバック30は、ユーザの背中を支持する。背もたれ31は、シートバック30の幅方向における中央部に位置している。2つのサイドサポート32は、シートバック30の幅方向における両端部に位置している。この点で、背もたれ31は「中央部」に相当している。また、サイドサポート32は「中央部」の幅方向における外方に位置している。
【0012】
図示を省略するが、シートクッション20は、骨格を構成するシートフレームと、シートフレームに支持されるクッションスプリングと、クッションスプリングに取り付けられるクッションパッドと、クッションパッドを覆う表皮と、を含んで構成されている。シートバック30についても同様である。
【0013】
<シート駆動装置40>
図1に示すように、2つのシート駆動装置40はシートクッション20に内蔵されている。詳しくは、2つのシート駆動装置40は、シートクッション20の2つのサイドサポート22に対応する位置にそれぞれ配置されている。同様に、2つのシート駆動装置40はシートバック30に内蔵されている。詳しくは、2つのシート駆動装置40は、シートバック30の2つのサイドサポート32に対応する位置にそれぞれ配置されている。シートクッション20用のシート駆動装置40とシートバック30用のシート駆動装置40との基本的な構造は共通である。
【0014】
図2に示すように、シート駆動装置40は、ベース100と、パドル200と、空気袋300と、連結軸400と、を備える。以降の説明では、第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3に従ってシート駆動装置40を説明する。第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3は、互いに直交する方向である。
【0015】
<ベース100>
図3に示すように、ベース100は、メインベース110と、サブベース160と、を備える。
【0016】
メインベース110は、底壁120と、軸受部130と、2つの内側ガイド壁140及び2つの外側ガイド壁150と、を有する。メインベース110は、例えば、樹脂材料によって成形される。
【0017】
底壁120は、第3方向D3を板厚方向とする平板状をなしている。底壁120は、シート駆動装置40をシート10に内蔵させるときに、シート10のシートフレームに固定される部位である。この点で、底壁120の形状は、シートフレームに応じた形状であればよい。
【0018】
底壁120は、係止部121を有する。また、底壁120は、底壁120を板厚方向に貫通する貫通孔121aを有する。第3方向D3における平面視において、係止部121と貫通孔121aとは底壁120の中央に位置している。係止部121は、貫通孔121aに面する側面から第2方向D2に延びる第1軸部122と、第1方向D1に延びる第2軸部123と、を有する。第2軸部123は、第1軸部122の先端部から第1方向D1における両方向に延びている。このため、係止部121は、平面視において、T字状をなしている。係止部121は、空気袋300を底壁120に係止するための部位である。このため、係止部121は、空気袋300を係止することができるのであれば、他の形状であってもよい。
【0019】
底壁120は、2つのスリット124と、第1凹部125と、を有する。2つのスリット124は、第1方向D1に間隔をあけて位置している。2つのスリット124は、底壁120の第2方向D2における第1端から第2端に向けて延びている。スリット124の幅は、スリット124の長手方向に対して一定となっている。第1凹部125は、底壁120の第2方向D2における第2端側の端面から凹む溝である。第1凹部125は、第1方向D1にわたって設けられている。第1凹部125の第1方向D1と直交する断面形状は台形状をなしている。第1凹部125の第3方向D3における幅は、第1凹部125の深さ方向、すなわち、第1凹部125の底面に向かうにつれて広くなっている。
【0020】
軸受部130は円柱状をなしている。軸受部130は、第2方向D2における底壁120の第1端であって、第1方向D1における2つのスリット124の間に位置している。軸受部130の軸方向は第1方向D1と一致している。軸受部130は第1方向D1に貫通する軸孔131を有する。
【0021】
内側ガイド壁140及び外側ガイド壁150は、第1方向D1を板厚方向とする板状をなしている。内側ガイド壁140及び外側ガイド壁150の第3方向D3における幅は、底壁120の第3方向D3における板厚よりも長くなっている。2つの内側ガイド壁140は、第1方向D1における2つのスリット124の内側にそれぞれ位置し、2つの外側ガイド壁150は、第1方向D1における2つのスリット124の外側にそれぞれ位置している。つまり、2つの内側ガイド壁140及び2つの外側ガイド壁150はスリット124に沿って延びている。また、2つの内側ガイド壁140は、軸受部130と一体となっている。2つの外側ガイド壁150は、第1方向D1に貫通する軸孔151を有する。2つの外側ガイド壁150の軸孔151の軸線は、軸受部130の軸孔131の軸線と一致している。2つの内側ガイド壁140及び2つの外側ガイド壁150は「ガイド壁」に相当している。
【0022】
サブベース160は、例えば、樹脂材料によって成形される。サブベース160は、第3方向D3を板厚方向とする板状をなしている。サブベース160は、メインベース110の底壁120に応じた形状となっている。サブベース160は、底壁120と同様に、シート駆動装置40をシート10に内蔵させるときに、シート10のシートフレームに固定される部位である。この点で、サブベース160の形状は、シートフレームに応じた形状であればよい。
【0023】
サブベース160は、第1凸部161を有する。第1凸部161は、サブベース160の第2方向D2における第1端側の端面から突出している。第1凸部161の第1方向D1と直交する断面形状は台形状をなしている。第1凸部161の第3方向D3における幅は、第1凸部161の突出方向に向かうにつれて広くなっている。
図3に一点鎖線矢印で示すように、サブベース160の第1凸部161をメインベース110の第1凹部125に第1方向D1から差し込むことにより、サブベース160はメインベース110と一体化している。
【0024】
<パドル200>
図4に示すように、パドル200は、アームユニット210と、押圧部240と、を備える。
【0025】
アームユニット210は、2つのアーム220と、連結部230と、を有する。アームユニット210は、例えば、樹脂材料によって成形される。
アーム220は、湾曲した棒状をなしている。第1方向D1における側面視において、アーム220はL字状をなしている。本実施形態において、湾曲するアーム220は、長手方向が緩やかに変化しているが、他の実施形態において、湾曲するアーム220は、長手方向が急激に変化していてもよい。つまり、アーム220の中間部は、アーム220の基端部及び先端部を結ぶ線分に対してずれて位置している。アーム220の第1方向D1における幅は、スリット124の第1方向D1における幅よりも僅かに小さくなっている。アーム220は、軸孔221と、第2凹部222と、を有する。軸孔221は、アーム220の基端部を第1方向D1に貫通している。第2凹部222は、アーム220の先端部に設けられている。第2凹部222は、第1方向D1と直交する方向に直線状に延びている。第2方向D2から見たとき、第2凹部222は、第1方向D1に延びる横溝223と、横溝223の中央から横溝223と直交する方向に延びる縦溝224と、を含む。つまり、第2凹部222の断面形状はT字状をなしている。連結部230は、第1方向D1に延びる棒状をなしている。連結部230は、2つのアーム220の先端部同士を連結している。
【0026】
押圧部240は、押圧パネル250と、2つの第2凸部260と、を有する。押圧部240は、例えば、樹脂材料によって成形される。
押圧パネル250は、矩形板状をなしている。つまり、押圧パネル250は、平面状をなす押圧面251を有する。押圧パネル250は、サイドサポート22,32の内側からサイドサポート22,32を押圧する部位である。このため、押圧パネル250の大きさは、サイドサポート22,32に応じた大きさであるとよい。また、押圧面251は湾曲面であってもよい。
【0027】
2つの第2凸部260は、第1方向D1に間隔をあけて位置している。第2凸部260は、第2方向D2にわたって設けられている。第2凸部260は、押圧パネル250の下面から突出している。詳しくは、第2凸部260は、押圧パネル250の下面から押圧パネル250の板厚方向に延びる縦壁261と、縦壁261の先端から第1方向D1における両方向に延びる横壁262と、を含む。つまり、第1凸部161の断面形状は、第2凹部222の断面形状と対応するT字状をなしている。第1方向D1において、2つの第2凸部260の形成間隔は、アームユニット210における2つの第2凹部222の形成間隔と等しくなっている。第2方向D2において、第2凸部260の長さは、第2凹部222の長さと同程度となっている。
図4に一点鎖線矢印で示すように、押圧部240の2つの第2凸部260をアームユニット210の2つの第2凹部222に差し込むことにより、押圧部240はアームユニット210と一体化している。つまり、押圧部240は、2つのアーム220の先端部に固定される。こうした点で、2つのアーム220は、第1方向D1に間隔をあけた状態で押圧部240に向かって延びているといえる。
【0028】
図2に示すように、パドル200は、ベース100に回転可能に支持されている。詳しくは、ベース100の第1方向D1における一方側において、内側ガイド壁140及び外側ガイド壁150の間にパドル200のアーム220が配置されている。また、ベース100の第1方向D1における他方側において、内側ガイド壁140及び外側ガイド壁150の間にパドル200のアーム220が配置されている。さらに、ベース100の軸受部130の軸孔131、ベース100の2つの外側ガイド壁150の軸孔151及びパドル200の2つのアーム220の軸孔221に対して、第1方向D1を軸方向とする連結軸400が挿入されている。こうして、2つのアーム220の基端部は、ベース100に回転可能に支持される。その結果、パドル200は、ベース100に対して、連結軸400の軸線回りに回転可能となる。
【0029】
以降では、パドル200のベース100から離れるときの回転方向を展開方向R1といい、パドル200のベース100に近付くときの回転方向を格納方向R2という。展開方向R1は格納方向R2の逆方向である。パドル200がベース100に支持された状態では、第1方向D1における側面視において、2つのアーム220は、中間部が基端部及び先端部に対して格納方向R2に向かって湾曲している。言い換えれば、パドル200の回転中心に近い部分は、パドル200の回転中心から遠い部分よりも格納方向R2に向かって凹んでいる。
【0030】
また、ベース100がシート10に固定される状況下では、パドル200の回転軸線は、押圧部240よりもシート10の幅方向における中心の近くに位置する。その結果、パドル200の回転軸線は、座部21又は背もたれ31に位置している。つまり、パドル200の回転軸線は、座部21の内部又は背もたれ31の内部を通っている。
【0031】
<空気袋300>
図5及び
図6に示すように、空気袋300は、第1袋体310及び第2袋体320と、延設部330と、を有する。
【0032】
第1袋体310は、平面視において多角形状をなす2枚の第1フィルム311の外縁同士を溶着することによって袋状に構成されている。2枚の第1フィルム311の外縁同士は溶着されることにより第1溶着部312を構成している。同様に、第2袋体320は、平面視において多角形状をなす2枚の第2フィルム321の外縁同士を溶着することによって袋状に構成されている。2枚の第2フィルム321の外縁同士は溶着されることにより第2溶着部322を構成している。そして、第1袋体310及び第2袋体320は、給気に伴い膨張し、排気に伴い収縮する。
【0033】
第1袋体310及び第2袋体320は積層されている。言い換えれば、2枚の第1フィルム311及び2枚の第2フィルム321は積層されている。2枚の第1フィルム311及び2枚の第2フィルム321のうち、中間に位置する第1フィルム311の中央部及び第2フィルム321の中央部は溶着されることにより接合部301を構成している。接合部301は、第1袋体310の内部及び第2袋体320の内部を連通させる連通路302を含む。このため、給気により第1袋体310が膨張する場合には第2袋体320も膨張し、排気により第1袋体310が収縮する場合には第2袋体320も収縮する。図示を省略するが、第1袋体310には、後述するチューブ53,54を接続するためのコネクタが設けられている。
【0034】
延設部330は、第1袋体310から延びている。延設部330は、適度な弾性を有する膜状をなしている。延設部330は、厚さ方向における平面視において、矩形状をなしている。延設部330は、厚さ方向に貫通する係止孔331を有する。係止孔331は、厚さ方向における平面視において、延設部330よりも一回り小さな矩形状をなしている。係止孔331の短手方向における長さは、係止部121の第1軸部122の第1方向D1における長さよりも長く、係止部121の第2軸部123の第1方向D1における長さよりも短くなっている。係止孔331の長手方向における長さは、係止部121の第1軸部122の第3方向D3における長さよりも長くなっている。
【0035】
本実施形態において、延設部330は、第1袋体310を構成する2枚の第1フィルム311を溶着することによって構成される第1溶着部312の一部である。このため、2枚の第1フィルム311の溶着時に、第1袋体310と延設部330とが同時に形成される。他の実施形態において、延設部330は、第1袋体310とは別に構成することも可能である。この場合、延設部330は、2枚の第1フィルム311のどの部位から延びていてもよい。
【0036】
図2に示すように、空気袋300は、ベース100とパドル200の押圧部240との間に配置されている。このとき、空気袋300の延設部330は、パドル200の回転軸線に向かって延びるとともに、2つのアーム220の回転領域の間でベース100に係止している。詳しくは、空気袋300の延設部330の先端がベース100の貫通孔121aを介してベース100を貫通するとともに、ベース100の係止部121が空気袋300の延設部330の係止孔331に挿入されている。なお、アーム220の回転領域とは、パドル200が回転するときにアーム220が通過する領域を意味する。
【0037】
第1方向D1において、係止孔331の長さは、係止部121の第2軸部123の長さ未満である。このため、空気袋300の延設部330は、ベース100の係止部121から脱落しにくくなっている。また、係止孔331の長手方向における長さは、係止部121の第1軸部122の第3方向D3における長さよりも長い。このため、空気袋300の延設部330は、係止部121に対して第1方向D1と交差する方向に移動可能となっている。
【0038】
<給排気システム50>
図1に示すように、給排気システム50は、ポンプ51と、バルブ装置52と、複数のチューブ53,54と、を備える。
【0039】
ポンプ51は、電気モータを駆動源とする電動ポンプであればよい。ポンプ51は、車載のバッテリから供給される電力に基づき電気モータを駆動する。ポンプ51は、供給チューブを介して、バルブ装置52に接続されている。そして、ポンプ51は、バルブ装置52に向けて空気を送出する。
【0040】
バルブ装置52は、複数のソレノイドバルブを含んで構成されている。バルブ装置52は、第1チューブ53を介して、シートクッション20のサイドサポート22の内側に配置される2つの空気袋300に接続されている。同様に、バルブ装置52は、第2チューブ54を介して、シートバック30のサイドサポート32の内側に配置される2つの空気袋300に接続されている。そして、バルブ装置52は、シートクッション20のサイドサポート22の内側に配置される2つの空気袋300に対する給気態様と、シートバック30のサイドサポート32の内側に配置される2つの空気袋300に対する給気態様と、を個別に切り替える。
【0041】
<本実施形態の作用>
シート駆動装置40がシートクッション20のサイドサポート22を駆動するときの作用について説明する。シート駆動装置40がシートバック30のサイドサポート32を駆動するときの作用は、シート駆動装置40がシートクッション20のサイドサポート22を駆動するときの作用と同等であるため省略する。
【0042】
図7は、空気袋300が最も収縮しているときのシート駆動装置40を示している。
図7に示す場合には、空気袋300がパドル200を展開方向R1に押していないため、パドル200が最も格納方向R2に回転している。よって、サイドサポート22が起き上がっていない。言い換えれば、サイドサポート22は、ユーザの着座領域に向かって変位していない。
【0043】
パドル200が最も格納方向R2に回転している状況下において、第1方向D1から見たとき、パドル200のアーム220の湾曲する部分はベース100を格納方向R2に貫通している。詳しくは、アーム220の湾曲する部分は、ベース100のスリット124を介して、ベース100を格納方向R2に貫通している。このとき、アーム220の少なくとも一部がベース100を格納方向R2に貫通していればよい。
【0044】
また、空気袋300の延設部330の先端はベース100を格納方向R2に貫通している。詳しくは、空気袋300の延設部330の先端は、ベース100の貫通孔121aを介して、ベース100を格納方向R2に貫通している。ただし、空気袋300の延設部330の先端は、パドル200のアーム220と比較すると、ベース100に対して僅かしか突出していない。このため、シート駆動装置40を第1方向D1から見ると、空気袋300の延設部330の先端は、パドル200のアーム220に隠れる。
【0045】
図8に示すように、ユーザによってシート駆動装置40が駆動されると、ベース100と押圧部240との間で空気袋300が膨張し始める。すると、空気袋300がパドル200を押すことにより、パドル200が展開方向R1に回転する。続いて、パドル200の押圧部240がサイドサポート22を内側から押すことにより、サイドサポート22が起き上がる。言い換えれば、サイドサポート22は、ユーザの着座領域に向かって変位する。こうして、ユーザの身体は、サイドサポート22によってホールドされる。
【0046】
<本実施形態の効果>
(1)パドル200のアーム220が湾曲していない比較例を考える。この比較例は、パドル200を展開方向R1に回転させるときに、シートクッション20の座部21とサイドサポート22との双方を押すため、サイドサポート22だけを大きく変位させることができない。このため、比較例は、シートクッション20の座部21がユーザの身体を上方に押したり、サイドサポート22の起き上がり量が不十分となったりするおそれがある。
【0047】
これに対し、本実施形態のシート駆動装置40において、パドル200のアーム220は格納方向R2に湾曲している。このため、シート駆動装置40は、パドル200を展開方向R1に回転させるときに、シートクッション20の座部21を押さないように、サイドサポート22だけを選択的に押すことができる。その結果、シート駆動装置40は、サイドサポート22の駆動時に、シートクッション20の座部21がユーザの身体を押すことを抑制できる。また、シート駆動装置40は、サイドサポート22の起き上がり量を多くできる点で、ユーザのホールド性を高めることができる。シートバック30のサイドサポート32を駆動するシート駆動装置40についても同様である。
【0048】
(2)アーム220は、アーム220の長手方向における中間部が両端部よりも格納方向R2に位置するように湾曲している。このため、パドル200が展開方向R1に回転するときに、アーム220が座部21及び背もたれ31を押しにくくなりやすい。このため、シート駆動装置40は、パドル200を展開方向R1に回転させるときに、サイドサポート22,32だけをより選択的に変位させることができる。
【0049】
(3)シート駆動装置40において、空気袋300は延設部330を介してベース100に係止している。このため、シート駆動装置40は、空気袋300が膨張したり収縮したりする場合に、空気袋300がベース100から取り外れることを抑制できる。また、第1袋体310がベース100に直に係止する比較例は、空気袋300のベース100に対する係止構造に起因して、空気袋300の膨張及び収縮が妨げられるおそれがある。この点、本実施形態のシート駆動装置40において、空気袋300は、パドル200の回転軸線に向かって延びる延設部330を介してベース100に係止している。よって、シート駆動装置40は、空気袋300のベース100に対する係止構造に起因して、空気袋300の膨張及び収縮が妨げられるおそれを低減できる。
【0050】
(4)空気袋300の延設部330の係止孔331の大きさとベース100の係止部121の大きさとの関係により、空気袋300は、ベース100に対して移動することができる。このため、シート駆動装置40は、空気袋300のベース100に対する係止構造に起因して、空気袋300の膨張及び収縮が妨げられることをより抑制できる。
【0051】
(5)シート駆動装置40の空気袋300は、積層される第1袋体310及び第2袋体320を備える。このため、シート駆動装置40は、第1袋体310及び第2袋体320の膨張により、サイドサポート22,32をより大きく変位させることができる。また、延設部330は、ベース100に近い第1袋体310から延びている。このため、シート駆動装置40は、延設部330がベース100から遠い第2袋体320から延びている場合と比較して、延設部330の長さを短くできる。
【0052】
(6)シート10のサイドサポート22,32の形状が異なる場合には、当該サイドサポート22,32に適したパドル200の形状も異なる。この点、シート駆動装置40のパドル200は、押圧部240とアームユニット210とが別体に構成されている。このため、シート駆動装置40は、形状の異なる複数の押圧部240の中から最適な押圧部240を選択したり、形状の異なる複数のアームユニット210の中から最適なアームユニット210を選択したりできる。
【0053】
(7)パドル200のアーム220は、ベース100の内側ガイド壁140及び外側ガイド壁150に挟まれている。このため、シート駆動装置40は、パドル200が回転する場合に、アーム220が回転方向とは異なる方向に動くことを抑制できる。
【0054】
(8)パドル200が格納方向R2に最も回転する状況下において、アーム220の湾曲する部分は、ベース100を格納方向R2に貫通している。よって、パドル200が展開方向R1に回転する場合であっても、アーム220が押圧部240よりも格納方向R2に配置されやすくなる。このため、シート駆動装置40は、パドル200を展開方向R1に回転させるときに、押圧部240でサイドサポート22,32を大きく変位させることができる一方で、アーム220が座部21及び背もたれ31を大きく変位させることを抑制できる。
【0055】
(9)シート駆動装置40は、2本のアーム220を有する。このため、シート駆動装置40は、パドル200の回転を安定させることができる。また、空気袋300の延設部330は、2本のアーム220の回転領域の間でベース100に係止している。このため、シート駆動装置40は、空気袋300の延設部330がパドル200の回転の妨げになることを抑制できる。
【0056】
(10)空気袋300の延設部330はベース100を格納方向R2に貫通する状態でベース100に係止しているため、空気袋300が膨張及び収縮を繰り返す場合であっても、空気袋300がベース100から外れにくくなりやすい。また、パドル200が格納方向R2に最も回転する状況下において、延設部330の先端は、2本のアーム220のうちベース100を格納方向R2に貫通する部分に隠れている。このため、2本のアーム220との干渉を避けるためにシート10の内部の構成部品を配置すると、当該構成部品が延設部330の先端に接触しにくくなる。その結果、シート駆動装置40は、シート10の内部の構成部品との接触により、延設部330がベース100から外れることを抑制できる。
【0057】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0058】
・
図9に示すように、第1変更例に係る空気袋300Aは、第1袋体310及び第2袋体320と、延設部330Aと、を備える。延設部330Aは、第1袋体310及び第2袋体320の間に位置している。延設部330Aは、接合部301を構成する第1フィルム311及び第2フィルム321の少なくとも一方に接合されている。延設部330Aは、第1袋体310及び第2袋体320からはみ出すように、第1袋体310及び第2袋体320の積層方向と直交する方向に延びている。空気袋300Aの積層方向における平面視において、延設部330Aは、矩形状をなしている。延設部330Aの先端部は、係止孔331を有する。延設部330Aの材質が樹脂材料である場合、接合部301を形成するために第1フィルム311及び第2フィルム321を溶着する際に、延設部330Aを接合部301に溶着することが可能となる。第1変更例に係る空気袋300Aは、上記実施形態の空気袋300と同様に、延設部330Aを介して、ベース100に係止することが可能である。
【0059】
・
図10に示すように、第2変更例に係る空気袋300Bは、第1袋体310及び第2袋体320と、第1延設部340B及び第2延設部350Bと、を備える。
第1延設部340Bは、2枚の第1フィルム311のうち、第2フィルム321に溶着されない第1フィルム311の中央部に接合されている。第1延設部340Bは、ベース100に係止できるのであれば、形状は任意である。例えば、ベース100が上記実施形態の係止部121に相当する構成を有する場合、第1延設部340Bは上記実施形態の係止孔331に相当する構成を有することが好ましい。また、第1延設部340Bの材質を樹脂材料とする場合、第1延設部340Bは、溶着により第1フィルム311に接合できる。
【0060】
同様に、第2延設部350Bは、2枚の第2フィルム321のうち、第1フィルム311に溶着されない第2フィルム321の中央部に接合されている。第2延設部350Bは、パドル200の押圧部240に係止できるのであれば、形状は任意である。例えば、パドル200の押圧部240が上記実施形態の係止部121に相当する構成を有する場合、第2延設部350Bは上記実施形態の係止孔331に相当する構成を有することが好ましい。また、第2延設部350Bの材質を樹脂材料とする場合、第2延設部350Bは、溶着により第2フィルム321に接合できる。
【0061】
第2変更例に係る空気袋300Bは、第1延設部340B及び第2延設部350Bにより、ベース100とパドル200に係止することが可能である。なお、第1延設部340B及び第2延設部350Bの材質は、空気袋300Bの取付時などに、弾性変形可能な弾性を有する材料であってもよいし、弾性変形不能な硬質な材料であってもよい。
【0062】
・
図11に示すように、第3変更例に係る空気袋300Cは、第1袋体310と、第2袋体320と、延設部330と、を備える。第1フィルム311及び第2フィルム321の接合部301Cは、第1フィルム311及び第2フィルム321の中央部からずれて位置している。第3変更例に係る空気袋300Cに給気される場合、
図11に二点鎖線で示すように、第1袋体310及び第2袋体320の積層方向が傾くように膨張する。この場合、シート駆動装置40を第1方向D1から見たときに、接合部301Cが空気袋300Cの中心よりもパドル200の回転中心の近くに位置するように、空気袋300Cを配置するとよい。これによれば、空気袋300Cは、膨張時に効率良くパドル200を展開方向R1に押すことができる。
【0063】
・内側ガイド壁140及び外側ガイド壁150は、メインベース110から省略できる。この場合、ベース100は、2本のアーム220をより強固に支持することが好ましい。
【0064】
・ベース100において、メインベース110及びサブベース160は分離できないように一体に構成することもできる。パドル200におけるアームユニット210と押圧部240との関係についても同様である。パドル200を一体に構成する場合、パドル200におけるサイドサポート22を内側から押す部分が「押圧部」に相当し、ベース100に回転可能に支持されるとともに「押圧部」に向かって延びる部分が「アーム」に相当する。
【0065】
・第1方向D1から見たとき、2つのアーム220は、少なくとも一部が格納方向R2に向かって湾曲していればよい。例えば、アーム220の長手方向における中間部よりも基端部に近い部分が最も格納方向に向かって湾曲していてもよいし、アーム220の長手方向における中間部よりも先端部に近い部分が最も格納方向に向かって湾曲していてもよい。
【0066】
・パドル200が格納方向R2に最も回転する状況下において、アーム220の湾曲する部分は、ベース100を格納方向R2に貫通していなくてもよい。同様に、空気袋300の延設部330は、ベース100を格納方向R2に貫通しない態様でベース100に係止していてもよい。
【0067】
・パドル200のアーム220は、1つであってもよいし、3以上であってもよい。
・ベース100において、メインベース110及びサブベース160の連結態様は適宜に変更できる。例えば、メインベース110及びサブベース160は、ボルトなどの締結部材で一体化されていてもよいし、スナップフィットで一体化されていてもよい。パドル200におけるアームユニット210と押圧部240との関係についても同様である。
【0068】
・空気袋300のベース100に対する固定方法は適宜に変更可能である。例えば、シート駆動装置40は、空気袋300の延設部330をベース100に締結するねじなどの締結部材を有してもよい。また、シート駆動装置40は、空気袋300をベース100に止める結束バンドを有してもよい。また、シート駆動装置40は、空気袋300とベース100との接合に面ファスナーを用いてもよい。また、シート駆動装置40において、空気袋300の延設部330はベース100に接着されていてもよい。さらに、空気袋300をベース100に接着する場合には、第1袋体310をベース100に接着してもよい。この場合、延設部330は空気袋300から省略できる。
【0069】
・シート駆動装置40は、車両用のシート10に限らず高いホールド性を要求されるシート10に適用してもよい。
・空気袋300は、1つの袋体を有してもよいし、3以上の袋体を有してもよい。空気袋300が複数の袋体を有する場合、複数の袋体は、ベース100に対して積層されていてもよいし、ベース100に対して第1方向D1及び第2方向D2に並ぶように配置されていてもよい。
【0070】
<本実施形態のまとめ>
シート駆動装置は、中央部と前記中央部の幅方向における外方に位置するサイドサポートとを有するシートに内蔵され、前記サイドサポートを駆動するシート駆動装置であって、前記シートに固定されるベースと、前記ベースに対して回転可能に支持され、展開方向に回転することにより前記サイドサポートをユーザの着座領域に向けて変位させるパドルと、前記ベースと前記パドルとの間に配置され、給気に伴う膨張により前記パドルを前記展開方向に回転させる空気袋と、を備え、前記パドルは、前記サイドサポートを内側から押圧する押圧部と、前記ベースに対して回転可能に支持され、前記押圧部に向かって延びるアームと、を有し、前記パドルの回転軸線は、前記シートの前記中央部に位置し、前記アームは、前記展開方向の逆方向である格納方向に向かって湾曲している。
【0071】
パドルのアームが格納方向に向かって湾曲していない比較例は、パドルを展開方向に回転させるときに、サイドサポートだけを大きく変位させることができない。これに対し、上記構成のシート駆動装置において、パドルのアームは格納方向に向かって湾曲している。このため、シート駆動装置は、パドルを展開方向に回転させるときに、サイドサポートだけを大きく変位させることができる。よって、シート駆動装置は、サイドサポートによるユーザのホールド性を高めることができる。
【0072】
前記アームは、前記アームの長手方向における両端部よりも前記アームの長手方向における中間部が前記格納方向に位置するように湾曲していることが好ましい。
パドルが展開方向に回転するときに、アームがシートを押しにくくなりやすい。このため、シート駆動装置は、パドルを展開方向に回転させるときに、サイドサポートだけをより選択的に変位させることができる。
【0073】
前記空気袋は、給気に伴い膨張する一方で排気に伴い収縮する袋体と、前記袋体から前記パドルの回転軸線に向かって延びる延設部と、を有し、前記延設部は、前記ベースに係止している。
【0074】
袋体がベースに直に係止する比較例の場合には、空気袋のベースに対する係止構造に起因して、空気袋の膨張及び収縮が妨げられるおそれがある。この点、上記構成のシート駆動装置において、空気袋は延設部を介してベースに係止している。よって、シート駆動装置は、空気袋のベースに対する係止構造に起因して、空気袋の膨張及び収縮が妨げられることを抑制できる。
【0075】
前記延設部は、前記ベースに対して前記パドルの回転軸線と交差する方向に移動可能に前記ベースに係止している。
シート駆動装置は、空気袋が膨張及び収縮する際に、空気袋がベースに対して移動することを許容できる。このため、シート駆動装置は、空気袋のベースに対する係止構造に起因して、空気袋の膨張及び収縮が妨げられることをより抑制できる。
【0076】
前記袋体を第1袋体としたとき、前記空気袋は、前記第1袋体と前記パドルとの間に配置され、前記第1袋体とともに膨張及び収縮する第2袋体を有する。
シート駆動装置は、ベースとパドルとの間に積層される2つの袋体を備える。このため、シート駆動装置は、2つの袋体の膨張により、サイドサポートをより大きく変位させることができる。また、延設部は、ベースに近い第1袋体から延びている。このため、シート駆動装置は、延設部の長さを短くできる。
【0077】
前記パドルにおいて、前記アームと前記押圧部とは別体に構成されている。
シートのサイドサポートの形状が異なる場合には、当該サイドサポートに適したパドルの形状も異なる。この点、シート駆動装置のパドルは、押圧部とアームとが別体に構成されている。このため、シート駆動装置は、形状の異なる複数の押圧部の中から最適な押圧部を選択したり、形状の異なる複数のアームの中から最適なアームを選択したりできる。
【0078】
前記ベースは、前記パドルの回転軸線の延びる方向において、前記アームを挟む2つのガイド壁を有する。
シート駆動装置は、パドルが回転する場合に、アームが回転方向とは異なる方向に動くことを抑制できる。
【0079】
前記パドルが前記格納方向に最も回転する状況下において、前記アームの湾曲する部分は、前記ベースを前記格納方向に貫通している。
パドルが展開方向に回転する場合であっても、アームが押圧部よりも格納方向に配置されやすくなる。このため、シート駆動装置は、パドルを展開方向に回転させるときに、押圧部でサイドサポートを大きく変位させることができる一方で、アームがシートを大きく変位させることを抑制できる。
【0080】
前記アームは、前記パドルの回転軸線の延びる方向に間隔をあけて配置される2本の前記アームであり、前記延設部は、2本の前記アームの回転領域の間で前記ベースに係止している。
【0081】
シート駆動装置は、2本のアームを有する。このため、シート駆動装置は、パドルの回転を安定させることができる。また、空気袋の延設部は、2本のアームの回転領域の間でベースに係止している。このため、シート駆動装置は、空気袋の延設部がパドルの回転の妨げになることを抑制できる。
【0082】
前記パドルが前記格納方向に最も回転する状況下において、前記アームの湾曲する部分は、前記ベースを前記格納方向に貫通し、前記延設部は、当該延設部の先端が前記ベースを前記格納方向に貫通する状態で前記ベースに係止するものであり、前記パドルが前記格納方向に最も回転する状況下において、前記パドルの回転軸線の延びる方向から見たとき、前記延設部の先端は、2本の前記アームのうち前記ベースを前記格納方向に貫通する部分に隠れている。
【0083】
空気袋の延設部はベースを格納方向に貫通する状態でベースに係止しているため、空気袋が膨張及び収縮を繰り返す場合であっても、空気袋がベースから外れにくくなりやすい。また、パドルが格納方向に最も回転する状況下において、延設部の先端は、2本のアームのうちベースを格納方向に貫通する部分に隠れている。このため、2本のアームとの干渉を避けるためにシート内部の構成部品を配置すると、当該構成部品が延設部の先端に接触しにくくなる。その結果、シート駆動装置は、シート内部の構成部品との接触により、延設部がベースから外れることを抑制できる。
【符号の説明】
【0084】
10…シート、20…シートクッション、21…座部、22…サイドサポート、30…シートバック、31…背もたれ、32…サイドサポート、40…シート駆動装置、100…ベース、140…内側ガイド壁(ガイド壁)、150…外側ガイド壁(ガイド壁)、200…パドル、210…アームユニット、220…アーム、240…押圧部、300,300A~300C…空気袋、310…第1袋体、320…第2袋体、330,330A…延設部、340B…第1延設部、350B…第2延設部、400…連結軸、R1…展開方向、R2…格納方向