(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121782
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】加工方法、加工装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B26D 5/34 20060101AFI20240830BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20240830BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B26D5/34 A
B26D5/00 F
B41J29/38 206
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001985
(22)【出願日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】P 2023028949
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】福岡 順子
【テーマコード(参考)】
2C061
3C024
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AS02
2C061BB10
2C061BB11
2C061CK01
2C061FF01
2C061FF05
2C061HK03
2C061HK07
2C061HK11
3C024AA07
3C024FF02
3C024FF04
(57)【要約】
【課題】加工装置を用いて、ワークの裏側面に対する加工を適切に行う。
【解決手段】加工装置であるカッティング装置16を用いて加工を行う加工方法であって、 加工位置を示す加工データに対して補正を行うデータ補正段階を備え、ワーク50の表側面には、位置基準マークが描かれており、カッティング装置16は、加工具及びワーク保持部を備え、データ補正段階において、加工データを準備するデータ準備処理と、ワーク50の表面側に対して、ワーク50のいずれかの隅の位置と位置基準マークの位置との位置関係を取得する位置関係取得処理と、ワーク50の裏側面に対してワーク50の隅の位置を検出する裏側面隅位置検出処理と、位置関係取得処理で取得した位置関係と、裏側面隅位置検出処理で検出した隅の位置とに基づき、加工データを補正した補正データを生成する補正データ生成処理とを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工具を備える加工装置を用いてワークに対して加工を行う加工方法であって、
前記ワークに対して前記加工具を用いて加工を行う加工位置を示すデータである加工データに対して補正を行うデータ補正段階と、
前記ワークに対する加工を前記加工装置に行わせる加工段階と
を備え、
前記ワークの一方の面である表側面には、位置の基準となる位置基準マークが描かれており、
前記加工装置は、ベクタ動作によって前記ワークに対して相対的に前記加工具を移動させることで前記ワークに対する加工を行う装置であり、
前記加工具と、
前記加工具と対向する位置に前記ワークを保持するワーク保持部と
を備え、
前記データ補正段階において、
前記加工データを準備する処理であり、前記位置基準マークに対応付けられる位置を基準にして前記加工位置を示す前記加工データを準備するデータ準備処理と、
前記ワークにおける前記表側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態の前記ワークに対して、前記ワークのいずれかの隅の位置と、前記ワークの前記表側面に描かれている前記位置基準マークの位置との位置関係を取得する位置関係取得処理と、
前記ワークにおける前記表側面と反対の側の面である裏側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態の前記ワークに対して前記隅の位置を検出する裏側面隅位置検出処理と、
前記位置関係取得処理で取得した前記位置関係と、前記裏側面隅位置検出処理で検出した前記隅の位置とに基づき、前記加工データを補正したデータである補正データを生成する補正データ生成処理と
を行い、
前記加工段階において、前記ワークの前記裏側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態で、前記補正データに基づき、前記加工装置に前記ワークに対する加工を行わせることを特徴とする加工方法。
【請求項2】
前記加工具は、カッターであり、
前記加工装置は、前記カッターを用いて前記ワークに対する加工を行うカッティング装置であることを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
【請求項3】
前記ワークには、前記位置基準マークに対する相対位置が既知の位置に、画像が更に描かれており、
前記データ準備処理において、前記ワークの前記表側面に描かれている前記画像の位置に合わせた加工を前記ワークの前記表側面の側から行う場合の前記加工位置を示す前記加工データを準備し、
前記補正データ生成処理において、前記加工データに対して補正を行うことで、前記ワークの前記表側面に描かれている前記画像の位置に合わせた加工を前記ワークの前記裏側面の側から行う場合の前記加工位置を示す前記補正データを生成することを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
【請求項4】
前記ワークは、主表面が矩形状の部材であり、
前記位置関係取得処理において、前記ワークにおけるいずれか一つの前記隅のみについて、前記位置基準マークの位置に対する前記位置関係を取得し、
前記裏側面隅位置検出処理において、前記位置関係取得処理で前記位置関係を取得した前記隅に対応する一つの前記隅について、前記隅の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
【請求項5】
前記データ補正段階において、
前記ワークのいずれかの辺の向きを検出する辺検出処理を更に行い、
前記補正データ生成処理において、前記辺検出処理で検出した前記辺の向きに更に基づき、前記加工データに対する補正を行うことを特徴とする請求項4に記載の加工方法。
【請求項6】
前記位置関係取得処理において、前記位置基準マークの位置に基づき、前記加工データに基づく加工の基準の位置となる原点位置を設定し、
前記補正データ生成処理において、
前記位置関係取得処理で取得した前記位置関係と、前記裏側面隅位置検出処理で検出した前記隅の位置とに基づき、前記ワークの前記裏側面において前記原点位置に対応する位置を前記裏側面における基準の位置である裏側面基準位置に設定する裏側面基準位置設定処理と、
前記ワークの表裏の反転に対応させて前記加工データが示す前記加工位置を反転させる反転処理と、
前記反転処理において反転した前記加工位置について、前記裏側面基準位置に合わせた位置の調整を行う位置調整処理と
を行うことを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
【請求項7】
前記加工装置は、前記ワークにおいて前記加工具と対向する面の画像を撮影するカメラを更に備え、
前記位置関係取得処理において、前記ワークの前記表側面における少なくとも一部を前記カメラで撮影した画像に基づき、前記位置関係を取得し、
前記裏側面隅位置検出処理において、前記ワークの前記裏側面における少なくとも一部を前記カメラで撮影した画像に基づき、前記隅の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
【請求項8】
前記データ補正段階において、
前記ワークの反転の仕方を指定する反転指定情報を取得する反転指定情報取得処理を更に行い、
前記反転指定情報は、前記ワークの前記表側面を前記加工具と対向させる向きから、前記ワークの前記裏側面を前記加工具と対向させる向きへ前記ワークを反転させる場合の反転の仕方について、上下反転又は左右反転のいずれかを指定する情報であり、
前記補正データ生成処理において、前記反転指定情報取得処理で取得した前記反転指定情報に更に基づき、前記加工データに対する補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
【請求項9】
前記データ補正段階において、
コンピュータに対するユーザの操作によって前記位置基準マークとして用いるマークの位置を指定する処理であり、前記コンピュータの画面に前記位置基準マークとして用いるマークが表示された状態で、前記位置基準マークの位置を指定する操作を前記ユーザから受け付けるマーク位置指定処理を更に行い、
前記位置関係取得処理において、
前記ワークにおいて前記位置基準マークが描かれている位置を指定する操作を前記ユーザから受け付けることで、前記位置基準マークの位置を取得することを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
【請求項10】
ベクタ動作によってワークに対して相対的に加工具を移動させることで前記ワークに対する加工を行う加工装置であって、
前記加工具と、
前記加工具と対向する位置に前記ワークを保持するワーク保持部と
を備え、
前記ワークの一方の面である表側面には、位置の基準となる位置基準マークが描かれており、
前記ワークに対して前記加工具を用いて加工を行う加工位置を示すデータであり、前記位置基準マークに対応付けられる位置を基準にして前記加工位置を示す加工データに基づき、前記ワークに対する加工を行い、
前記ワークにおける前記表側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態の前記ワークに対して、前記ワークのいずれかの隅の位置と、前記ワークの前記表側面に描かれている前記位置基準マークの位置との位置関係を取得する位置関係取得処理と、
前記ワークにおける前記表側面と反対の側の面である裏側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態の前記ワークに対して前記隅の位置を検出する裏側面隅位置検出処理と、
前記位置関係取得処理で取得した前記位置関係と、前記裏側面隅位置検出処理で検出した前記隅の位置とに基づき、前記加工データを補正したデータである補正データを生成する補正データ生成処理と
を行うことで、
前記ワークの前記裏側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態で、前記補正データに基づき、前記ワークに対する加工を行うことを特徴とする加工装置。
【請求項11】
ベクタ動作によってワークに対して相対的に加工具を移動させることで前記ワークに対する加工を行う加工装置の動作を制御するプログラムであって、
前記加工装置は、前記ワークに対して前記加工具を用いて加工を行う加工位置を示すデータであり、位置の基準となる位置基準マークに対応付けられる位置を基準にして前記加工位置を示す加工データに基づいて前記ワークに対する加工を行う装置であり、
前記加工具と、
前記加工具と対向する位置に前記ワークを保持するワーク保持部と
を備え、
前記加工具の一方の面である表側面には、前記位置基準マークが描かれており、
前記加工装置に、
前記ワークにおける前記表側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態の前記ワークに対して、前記ワークのいずれかの隅の位置と、前記ワークの前記表側面に描かれている前記位置基準マークの位置との位置関係を取得する位置関係取得処理と、
前記ワークにおける前記表側面と反対の側の面である裏側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態の前記ワークに対して前記隅の位置を検出する裏側面隅位置検出処理と、
前記位置関係取得処理で取得した前記位置関係と、前記裏側面隅位置検出処理で検出した前記隅の位置とに基づき、前記加工データを補正したデータである補正データを生成する補正データ生成処理と
を行わせることで、
前記ワークの前記裏側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態で、前記補正データに基づき、前記ワークに対する加工を前記加工装置に行わせることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工方法、加工装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カッターを用いてワークに対する加工を行うカッティング装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。このようなカッティング装置では、例えば、加工位置を示すカットデータに基づいてベクタ動作でカッターを移動させることで、ワークに対する加工を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カッティング装置を用いてワークに対する加工を行う場合、ワークに描かれたトンボ等のマークを位置の基準に用いる場合がある。例えば、画像が印刷されたワークに対し、カッティング装置で加工を行う場合、画像の位置を示すトンボを画像と共にワークに印刷しておき、画像の位置に合わせた加工を行うことが考えられる。また、ワークに対する加工の目的等によっては、ワークにおいてトンボが描かれている面(表側面)の反対側の面である裏側面に対し、カッターを用いた加工を行うことが望まれる場合がある。例えば、画像及びトンボを印刷したワークに対してカッティング装置で加工(後加工)を行う場合、ワークにおいて画像等が印刷されている印刷面に対してカッターでの加工を行うと、ワークの材質やカット条件等によって、加工箇所が目立ち、印刷面(カッティング面)の美観が低下する場合がある。また、例えば折り目として用いる溝を形成する加工(V字カット)を行う場合等にも、ワークの裏側面に対して加工を行うことが必要になる場合がある。しかし、ワークの裏側面に対して加工を行う場合、ワークの裏側面の側からはトンボ等が見えないことで、例えば、表側面の画像等に対する位置合わせが難しくなる。
【0005】
この点に関し、例えば、ワークの表側面から切り込みを入れて、所定の形の識別可能な部材を貫通させる方法等を用いれば、裏側面からも識別可能な状態で、トンボの代わりにこの部材を利用することもできる。また、例えば、ワークの表側面におけるトンボ等の位置を所定の形で刳り貫くことで、ワークを裏返しした状態で貫通孔からその下のテーブル等を視認できるようにして、裏側面の側からトンボ等の位置を把握すること等も考えられる。しかし、これらのような方法を用いる場合、ワークに対して追加の加工の作業が必要になり、位置合わせのために要する手間が大きく増大することが考えられる。また、この場合、例えば、追加の加工を行う作業者の違いで加工の精度に大きな差が生じることや、追加の加工に用いる加工具の状態(カッターの刃の状態等)の経時変化等によって加工の精度が低下すること等も考えられる。また、上記の問題については、例えば、カッター以外の加工具で加工を行う加工装置を用いる場合にも、同様に生じると考えることができる。そのため、従来、ワークの裏側面に対する加工をより適切に行うことが望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる加工方法、加工装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明者は、トンボ等のマークが表側面に描かれているワークの裏側面に対してカッティング装置等の加工装置で加工を行う方法に関し、鋭意研究を行った。そして、ワークの表側面側に対してトンボ等の位置を読み取った結果を利用して、裏側面に対する加工を行うことを考えた。また、より具体的に、このような方法として、例えば、ワークの表側面に対し、ワークのいずれかの隅(角部)の位置と、トンボ等との位置関係を取得し、裏側面への加工時にこの位置関係を利用することを考えた。この場合、例えば、この位置関係を取得した後、ワークの表裏を反転させた状態で、ワークの隅の位置を再度検出し、この検出結果と上記の位置関係とに基づき、裏側面に対して加工を行う位置を決定する。このように構成すれば、例えば、ワークの表側面に描かれたトンボ等を利用して、ワークの裏側面に対する加工をより適切に行うことができる。また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、加工具を備える加工装置を用いてワークに対して加工を行う加工方法であって、前記ワークに対して前記加工具を用いて加工を行う加工位置を示すデータである加工データに対して補正を行うデータ補正段階と、前記ワークに対する加工を前記加工装置に行わせる加工段階とを備え、前記ワークの一方の面である表側面には、位置の基準となる位置基準マークが描かれており、前記加工装置は、ベクタ動作によって前記ワークに対して相対的に前記加工具を移動させることで前記ワークに対する加工を行う装置であり、前記加工具と、前記加工具と対向する位置に前記ワークを保持するワーク保持部とを備え、前記データ補正段階において、前記加工データを準備する処理であり、前記位置基準マークに対応付けられる位置を基準にして前記加工位置を示す前記加工データを準備するデータ準備処理と、前記ワークにおける前記表側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態の前記ワークに対して、前記ワークのいずれかの隅の位置と、前記ワークの前記表側面に描かれている前記位置基準マークの位置との位置関係を取得する位置関係取得処理と、前記ワークにおける前記表側面と反対の側の面である裏側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態の前記ワークに対して前記隅の位置を検出する裏側面隅位置検出処理と、前記位置関係取得処理で取得した前記位置関係と、前記裏側面隅位置検出処理で検出した前記隅の位置とに基づき、前記加工データを補正したデータである補正データを生成する補正データ生成処理とを行い、前記加工段階において、前記ワークの前記裏側面を前記加工具と対向させて前記ワークを前記ワーク保持部に載置した状態で、前記補正データに基づき、前記加工装置に前記ワークに対する加工を行わせることを特徴とする。
【0008】
このように構成した場合、例えば、少なくともワークのいずれかの隅について、ワークの表側面に描かれた位置基準マークとの位置関係を適切に取得できる。また、この場合、ワークの裏側面に対しても隅の位置を検出することで、例えば、この位置関係と、裏側面に対して検出した隅の位置とに基づき、加工データを適切に補正できる。また、加工データを補正した補正データに基づくことで、例えば、ワークの裏側面に対する加工を適切に行うことができる。
【0009】
この構成において、加工具としては、例えば、ペンユニット、タンジェンシャル加工具、ルーター加工具等の公知の様々な加工用のツールを用いることが考えられる。また、加工装置において、加工具として各種のカッターを用いる場合、加工装置について、例えば、カッターを備えるカッティング装置等と考えることができる。また、カッティング装置について、例えば、カッターを用いてワークに対する加工を行う加工装置と考えることもできる。
【0010】
また、この構成において、位置基準マークとしては、例えば、公知のトンボと同一又は同様のマークを用いることができる。補正データ生成処理において行う加工データの補正については、例えば、ワークの表裏を反転させることに合わせた調整等と考えることができる。より具体的に、加工データの補正としては、例えば、ワークの反転に合わせたデータの反転や、必要に応じたオフセット処理等を行うことが考えられる。また、この構成において、ワークとしては、例えば、表側面に画像が更に描かれたワークを用いることが考えられる。この場合、ワークには、例えば、位置基準マークに対する相対位置が既知の位置に、画像が更に描かれる。また、この場合、データ準備処理では、例えば、ワークの表側面に描かれている画像の位置に合わせた加工をワークの表側面の側から行う場合の加工位置を示す加工データを準備する。そして、補正データ生成処理では、例えば、加工データに対して補正を行うことで、ワークの表側面に描かれている画像の位置に合わせた加工をワークの裏側面の側から行う場合の加工位置を示す補正データを生成する。このように構成すれば、例えば、表側面に画像が描かれているワークの裏側面に対し、適切に加工を行うことができる。ここでは、位置基準マークが描かれている面を「表側面」とし、加工を行う面を「裏側面」とする。例えば、加工が終わった後に実際には表側として用いられる面で合っても、実際の表面が複雑な模様が施されている場合又は実際の表面が濃色である場合など、表面上の位置基準マークが認識しづらくなる場合には、実際の裏面に位置基準マークを描くことで加工上の「表側面」にすることも考えられる。
【0011】
また、この構成において、ワークとしては、例えば、主表面が矩形状の部材等を用いることが考えられる。そして、位置関係取得処理では、例えば、ワークにおけるいずれか一つの隅のみについて、位置基準マークの位置に対する位置関係を取得することが考えられる。また、この場合、裏側面隅位置検出処理では、例えば、位置関係取得処理で位置関係を取得した隅に対応する一つの隅について、隅の位置を検出する。このように構成すれば、例えば、複数の隅について位置関係を取得する場合等と比べて、必要な工数を大幅に低減できる。また、これにより、例えば、ワークに対する加工をより短時間で行うことができる。加工に求められる精度等によっては、例えば、ワークの複数の隅について、位置基準マークの位置に対する位置関係を取得してもよい。このように構成すれば、例えば、ワークに対する加工をより高い精度で行うことができる。
【0012】
また、データ補正段階においては、例えば、ワークのいずれかの辺の向きを検出する辺検出処理を更に行ってもよい。この場合、補正データ生成処理では、例えば、辺検出処理で検出した辺の向きに更に基づき、加工データに対する補正を行う。このように構成すれば、例えば、加工データに対する補正をより高い精度で行うことができる。また、これにより、例えば、ワークに対する加工をより高い精度で行うことができる。更に、この場合、辺検出処理を更に行うことで、例えば、ワークの一つの隅のみに対して上記の位置関係を取得する場合にも、加工データに対する補正をより適切に行うことができる。
【0013】
また、この構成において、位置関係取得処理では、例えば、位置基準マークの位置に基づき、加工データに基づく加工の基準の位置となる原点位置を設定する。また、この場合、補正データ生成処理では、例えば、位置関係取得処理で取得した位置関係と、裏側面隅位置検出処理で検出した隅の位置とに基づき、ワークの裏側面において原点位置に対応する位置を裏側面における基準の位置である基準位置に設定する裏側面基準位置設定処理と、ワークの表裏の反転に対応させて加工データが示す加工位置を反転させる反転処理と、反転処理において反転した加工位置について、裏側面基準位置に合わせた位置の調整を行う位置調整処理とを行う。このように構成すれば、例えば、ワークの裏側面の加工に用いる補正データを適切に生成できる。
【0014】
また、この構成において、加工装置は、例えば、ワークにおいて加工具と対向する面の画像を撮影するカメラを更に備える。この場合、位置関係取得処理では、例えば、ワークの表側面における少なくとも一部をカメラで撮影した画像に基づき、位置関係を取得する。また、裏側面隅位置検出処理では、例えば、ワークの裏側面における少なくとも一部をカメラで撮影した画像に基づき、隅の位置を検出する。このように構成すれば、例えば、位置関係取得処理及び裏側面隅位置検出処理の動作を適切に実行できる。また、この構成において、データ補正段階では、例えば、ワークの反転の仕方を指定する反転指定情報を取得する反転指定情報取得処理を更に行ってもよい。この場合、反転指定情報は、例えば、ワークの表側面を加工具と対向させる向きから、ワークの裏側面を加工具と対向させる向きへワークを反転させる場合の反転の仕方について、上下反転又は左右反転のいずれかを指定する情報である。また、この場合、補正データ生成処理では、例えば、反転指定情報取得処理で取得した反転指定情報に更に基づき、加工データに対する補正を行う。このように構成すれば、例えば、ワークの反転の仕方に合わせて、加工データの補正を適切に行うことができる。
【0015】
また、この構成において、位置基準マークとしては、例えば、位置の基準用のマークとして既知のマークを好適に用いることができる。位置の基準用のマークとして既知であることについては、例えば、加工装置において位置の基準用のマークとして予め設定されているマーク等と考えることができる。このようなマークとしては、例えば、予め用意されたトンボのマーク等を好適に用いることができる。また、位置基準マークとして、例えば、加工を実行する作業者等のユーザによって指定される任意のマークを用いることも考えられる。この場合、例えば、位置基準マークとして用いるマークの位置をユーザに指定させる処理や、ワークにおいて位置基準マークが描かれている位置の指定をユーザに行わせる処理等を行うことで、位置基準マークとして、任意のマークを用いることができる。より具体的に、この場合、例えば、補正段階において、コンピュータに対するユーザの操作によって位置基準マークとして用いるマークの位置を指定するマーク位置指定処理を更に行う。また、マーク位置指定処理では、例えば、コンピュータの画面に位置基準マークとして用いるマークが表示された状態で、位置基準マークの位置を指定する操作をユーザから受け付ける。この場合、位置関係取得処理では、例えば、ワークにおいて位置基準マークが描かれている位置を指定する操作をユーザから受け付けることで、位置基準マークの位置を取得する。このように構成すれば、例えば、様々なマークを位置基準マークとして適切に使用できる。また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する加工装置やプログラム等を用いることも考えられる。これらの場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、加工装置を用いて、ワークの裏側面に対する加工を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る加工方法を実行する加工システム10について説明をする図である。
図1(a)は、加工システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、加工システム10におけるカッティング装置16の構成の一例を示す。
【
図2】ワーク50に印刷するトンボ及び画像の例について説明をする図である。
図2(a)は、ワーク50の印刷するトンボ202の様々な例を示す。
図2(b)は、ワーク50の印刷するトンボ202及び画像204の一例を示す。
図2(c)は、ワーク50の印刷するトンボ202及び画像204の他の例を示す。
【
図3】カッティング装置16において実行する加工の条件を設定する画面の一例を示す図である。
図3(a)は、制御装置12の画面に表示する表示画面400の例を示す。
図3(b)は、表示画面400における設定用領域404への表示内容の一例を示す。
【
図4】ワーク50の反転の仕方とカット原点302等との関係の一例を示す図である。
図4(a)は、ワーク50に対して設定されるカット原点302の一例を示す。
図4(b)は、ワーク50を上下反転させる例を示す。
図4(c)は、ワーク50を左右反転させる例を示す。
【
図5】カットデータに対して行う反転処理及びオフセット処理について説明をする図である。
図5(a)は、補正前のカットデータについて説明をする図である。
図5(b)は、カットデータに対して行う反転処理の例を示す。
図5(c)は、カットデータに対して行うオフセット処理の例を示す。
【
図6】カッティング装置16の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】カッティング装置16に対して制御装置12が行う制御の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】位置基準マークとして用いるマークの変形例に関し、ワーク50に描かれる画像及びマークについて説明をする図である。
図8(a)は、ワーク50に描かれる画像204の一例を示す。
図8(b)は、画像描画用のソフトウェアで追加するマークの一例を示す。
【
図9】マーク312の少なくとも一部を位置基準マークとして用いる例を示す図である。
【
図10】ユーザによって指定される位置基準マークを使用する動作について説明をするフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る加工方法を実行する加工システム10について説明をする図である。
図1(a)は、加工システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、加工システム10におけるカッティング装置16の構成の一例を示す。加工システム10において実行する加工方法は、カッティング装置16等の加工装置を用いてワーク50に対して加工を行う方法の一例である。
【0019】
本例において、加工システム10は、加工の対象物であるワーク50に対してカッター等の加工具を用いた加工を行うシステムであり、制御装置12、印刷装置14、及びカッティング装置16を備える。この場合、ワーク50としては、例えば、加工装置として公知のカッティング装置において加工可能なワークと同一又は同様の部材を用いる。より具体的に、ワーク50としては、例えば、一定の厚さの板状又はシート状の部材を用いることが考えられる。また、ワーク50としては、例えば、主表面が矩形状(長方形)の部材を好適に用いることができる。この場合、ワーク50について、例えば、隅(角部)が直角(90度)になる形状の部材等と考えることができる。また、以下に説明をする点を除き、加工システム10及びその各構成は、公知の加工システム及びその各構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。また、図中に示すように、本例において、加工システム10の各構成は、ネットワーク20を介して、互いに接続されている。この場合、ネットワーク20は、例えばLAN又はインターネット等である。また、これにより、加工システム10の各構成は、ネットワーク20を介して、互いに通信する。
【0020】
制御装置12は、加工システム10における他の構成を制御する装置であり、ネットワーク20を介してデータやコマンド等の送受信を行うことで、印刷装置14及びカッティング装置16の動作を制御する。制御装置12としては、例えば、所定のプログラムを実行するコンピュータ(PC等)を好適に用いることができる。より具体的に、本例において、制御装置12は、印刷装置14の動作を制御するプログラムに従って、印刷装置14の動作を制御する。また、制御装置12は、カッティング装置16の動作を制御するプログラムに従って、カッティング装置16の動作を制御する。この場合、制御装置12は、例えば、印刷装置14において印刷すべき画像を示す印刷データを印刷装置14へ供給することで、印刷装置14の動作を制御する。また、制御装置12は、例えば、カットデータをカッティング装置16へ供給することで、カッティング装置16の動作を制御する。この場合、カットデータについては、例えば、ワーク50に対してカッターを用いて加工を行う加工位置を示すデータ等と考えることができる。また、本例において、カットデータは、加工データの一例である。加工データについては、例えば、ワーク50に対して加工具を用いて加工を行う加工位置を示すデータ等と考えることができる。また、本例において、制御装置12は、カッティング装置16に対する制御に関し、カッティング装置16におけるカメラに対する制御を行うプログラムであるカメラアプリを更に実行する。カッティング装置16に対して制御装置12が行う制御については、後に更に詳しく説明をする。
【0021】
印刷装置14は、加工システム10において印刷を行う装置である。印刷装置14としては、例えば公知のインクジェットプリンタ等を好適に用いることができる。また、本例において、印刷装置14は、カッティング装置16で加工を行う前のワーク50に対して、印刷を行う。この場合、ワーク50について、印刷装置14での印刷対象の媒体等と考えることもできる。また、印刷装置14は、例えば、制御装置12から供給される印刷データに基づき、ワーク50の一方の面である表側面に対して、少なくとも、トンボを印刷する。この場合、トンボは、位置の基準となる位置基準マークの一例である。また、本例において、ワーク50の表側面に描かれるトンボは、カッティング装置16での加工時における位置の基準となる。また、本例において、印刷装置14は、ワーク50の表側面に、画像を更に印刷する。この場合、ワーク50の表側面に描かれる画像について、例えば、トンボに対する相対位置が既知の位置に描かれると考えることができる。また、この場合、トンボ202について、例えば、ワーク50における画像の位置を示すと考えることもできる。ワーク50に印刷するトンボ及び画像についても、後に更に詳しく説明をする。
【0022】
カッティング装置16は、加工システム10においてワーク50に対する加工を実行する加工装置である。本例において、カッティング装置16は、制御装置12から供給されるカットデータに基づいてワーク50に対する加工を行うフラットベッド型のカッティングプロッターであり、ヘッド部102、テーブル104、ヘッド駆動部106、操作部108、及び制御部110を有する。ヘッド部102は、加工システム10で用いる加工具等を保持する構成である。本例において、ヘッド部102は、カッター122及びカメラ124を有する。この場合、ヘッド部102は、例えば、図示を省略したキャリッジにより、これらの構成を保持する。カッター122は、加工具の一例であり、公知のカッティング装置におけるカッターと同一又は同様にして、ヘッド部102に保持される。また、本例において、カッター122は、交換可能な加工具の一つとして、ヘッド部102に取り付けられる。この場合、ヘッド部102にカッター122を取り付け可能なことについて、例えば、カッティング装置16がカッター122を備えることに対応すると考えることができる。また、この場合、ヘッド部102におけるカッター122は、他の加工具に交換可能であってよい。また、ヘッド部102は、複数の加工具を保持してもよい。この場合、ヘッド部102は、例えば、カッター122と共に、カッター122以外の加工具を更に保持してもよい。カッター122以外の加工具としては、例えば、ペンやドリル(ドリルビット)等を用いることが考えられる。カメラ124は、ワーク50の画像を取得する画像取得手段であり、カッター122と共にワーク50と対向する位置に配設されることで、ワーク50においてカッター122と対向する面の画像を撮影する。また、カメラ124は、例えばワーク50の一部分を撮影するカメラであり、カッティング装置16に対する作業者(ユーザ)の操作等に応じて移動することで、その位置におけるワーク50の一部分を示す画像を取得する。また、より具体的に、この場合、例えば、カメラ124を用いて、ワーク50におけるトンボの読み取り等を行うことが考えられる。また、本例においては、更に、カメラ124を用いて、ワーク50の隅(コーナー、角部)の位置の検出を行う。カメラ124を用いて行うこれらの動作についても、後に更に詳しく説明をする。
【0023】
テーブル104は、ヘッド部102と対向させてワーク50を保持する台状部材である。この場合、ワーク50をヘッド部102と対向させることについては、例えば、ワーク50をヘッド部102における加工具(カッター122等)に対向させること等と考えることができる。また、本例において、テーブル104は、ワーク保持部の一例である。テーブル104については、例えば、フラットベッド型のカッティング装置16においてワーク50を載置する台等と考えることもできる。ヘッド駆動部106は、ワーク50に対して相対的にヘッド部102を移動させる駆動部である。本例において、ヘッド駆動部106は、図中に示すX方向及びY方向へヘッド部102を移動させることで、ワーク50に対して相対的にヘッド部102を移動させる。また、この場合、ヘッド駆動部106は、例えば公知のカッティング装置と同一又は同様に、ベクタ動作(ベクタ走査)により、任意の曲線や任意の方向の直線等の線経路に沿って、ヘッド部102を移動させる。この場合、任意の曲線等に沿ってヘッド部102を移動させることについては、例えば、カッティング装置16の構成に応じた精度で、任意の曲線等に沿ってヘッド部102を移動させること等と考えることができる。また、これにより、本例において、カッティング装置16は、ベクタ動作での加工をワーク50に対して行う。ベクタ動作での加工については、例えば、ワーク50に対して相対的に線経路に沿って加工具を移動させつつワーク50に対する加工を行うこと等と考えることができる。カッティング装置16は、上記のベクタ動作による加工以外に、例えば、ラスタ動作による加工を行ってもよい。
【0024】
また、より具体的に、カッティング装置16において、ヘッド部102は、例えば、図示を省略したYバー部材により、図中のY方向へ移動可能に保持される。また、Yバー部材としては、例えば、図中のX方向へ移動可能な構成を用いる。そして、この場合、ヘッド駆動部106は、Yバー部材に沿ってヘッド部102を移動させることで、Y方向へヘッド部102を移動させる。また、Yバー部材自体をX方向へ移動させることで、Yバー部材と共にヘッド部102をX方向へ移動させる。そして、これらの組み合わせにより、ヘッド駆動部106は、例えば、任意の曲線に沿って、ヘッド部102を移動させる。また、本例において、ヘッド駆動部106は、ヘッド部102を移動させることで、ヘッド部102におけるカッター122を移動させる。また、ヘッド駆動部106は、必要に応じて、ヘッド部102又はカッター122について、X方向及びY方向と直交する方向(Z方向)においても、移動させる。これにより、ヘッド駆動部106は、ワーク50への加工時において、カッター122をワーク50に接触させる。そして、ワーク50への加工を行わずにヘッド部102を移動させる場合等に、ヘッド駆動部106は、ワーク50からカッター122を引き離す。更に、本例において、ヘッド駆動部106は、例えば、ワーク50への加工時にヘッド部102を移動させる向き等に合わせて、カッター122を適宜回転させる。また、これにより、ヘッド駆動部106は、カッター122の刃の向きについて、カッター122の移動の向きに合わせて変化させる。また、これらの動作により、本例において、カッティング装置16は、ワーク50に対して相対的にカッター122を移動させて、ワーク50に対する加工を行う。
【0025】
操作部108は、カッティング装置16に対する作業者の操作を受け付けるための構成であり、例えば、カッティング装置16に所定の動作を行わせる指示や、動作条件の設定等について、作業者の操作を受け付ける。より具体的に、本例において、操作部108は、例えば、トンボの読み取りや、ワーク50の隅の位置を検出する場合等に、必要な操作を作業者から受け付ける。制御部110は、例えばカッティング装置16のCPUを含む構成であり、カッティング装置16の動作を制御するプログラムであるファームウェアに従って、カッティング装置16の各部の動作を制御する。また、本例において、制御部110は、制御装置12から供給されるカットデータに更に基づき、カッティング装置16の各部の動作を制御する。また、この場合において、制御部110は、例えば、必要に応じて、カットデータを補正し、補正後のカットデータである補正データに基づき、カッティング装置16の各部の動作を制御する。カットデータを補正する動作の例についても、後に更に詳しく説明をする。
【0026】
以上の構成により、本例によれば、例えば、ワーク50に対する加工を適切に行うことができる。加工システム10の構成の変形例において、加工システム10は、上記以外の構成を更に備えてもよい。また、加工システム10は、例えば、複数の印刷装置14や、複数のカッティング装置16を備えてもよい。また、制御装置12について、例えば、複数のコンピュータで構成すること等も考えられる。この場合、制御装置12として、例えば、印刷装置14の動作を制御するコンピュータと、カッティング装置16の動作を制御するコンピュータとを用いることが考えられる。また、一台のカッティング装置16の動作を制御するコンピュータとして、複数のコンピュータを用いること等も考えられる。この場合、例えば、カットデータに関する処理を行うコンピュータとは別に、カメラアプリを実行するコンピュータを用いること等も考えられる。
【0027】
続いて、ワーク50に印刷するトンボ及び画像の例や、ワーク50に対して行う加工について、更に詳しく説明をする。
図2は、ワーク50に印刷するトンボ及び画像の例について説明をする図である。
図2(a)は、ワーク50の印刷するトンボ202の様々な例を示す。
図2(b)は、ワーク50の印刷するトンボ202及び画像204の一例を示す。
図2(c)は、ワーク50の印刷するトンボ202及び画像204の他の例を示す。
【0028】
上記においても説明をしたように、本例の加工システム10(
図1参照)において、印刷装置14は、その後にカッティング装置16(
図1参照)で加工を行うワーク50に対し、トンボ202及び画像204を印刷する。また、トンボ202としては、公知のトンボと同一又は同様のマークを好適に用いることができる。より具体的に、トンボ202としては、例えば、
図2(a)に示す様々な種類のトンボ202から選択されるいずれかのトンボ202を用いることが考えられる。
図2(a)において、左側のトンボ202は、四角トンボである。中央のトンボ202は、カギトンボである。また、右側のトンボ202は、丸トンボである。図示の便宜上、
図2(a)では、それぞれのトンボ202について、その中心の位置を白点で示している。トンボ202の中心については、例えば、トンボの基準(座標原点)となる位置等と考えることができる。実際のトンボ202においては、図中で白点で示す位置についても、例えば、トンボ202における他の部分と同じように着色する。また、四角トンボにおいて、中心の位置は、四角形の対角線の交点となる位置である。カギトンボにおいて、中心の位置は、カギを構成する二つの太線(両辺)の中心線が交わる位置である。また、丸トンボにおいて、中心の位置は、円の中心の位置である。
【0029】
また、四角トンボやカギトンボを用いる場合、ワーク50におけるトンボ202の位置について、例えば
図2(b)に示すように、長方形の4個の頂点に対応する4箇所の位置に設定することが考えられる。また、この場合、4個のトンボ202の位置を頂点の位置とする矩形(長方形)の領域について、図中に破線で示すバウンディングボックス212になると考えることができる。バウンディングボックス212については、例えば、ワーク50において加工の対象とする範囲等と考えることができる。また、バウンディングボックス212については、例えば、実際にワーク50に描かれる図形ではなく、所定の範囲を示すために適宜設定される構成等と考えることができる。そして、図中に示すように、本例において、画像204は、複数のトンボ202によって指定されるバウンディングボックス212の中に描かれる。この場合、上記においても説明をしたように、画像204は、トンボ202に対する相対位置が既知の位置に描かれる。
【0030】
また、
図2(a)に示すトンボ202のうち、丸トンボは、フリートンボの一例である。フリートンボについては、例えば、ワーク50における任意の位置の描くトンボ等と考えることができる。より具体的に、丸トンボ等のフリートンボについては、例えば
図2(c)に示すように、ワーク50における様々な位置に描くことが考えられる。また、この場合、バウンディングボックス212は、例えば、ワーク50に描かれる全てのトンボ202及び画像204を含む領域になる。より具体的に、ワーク50にトンボ202のみを描き、画像204を描かない場合、例えば
図2(c)の左側に示すように、バウンディングボックス212は、全てのトンボ202を含む最小の領域になる。また、ワーク50にトンボ202及び画像204を描く場合、例えば
図2(c)の右側に示すように、バウンディングボックス212は、全てのトンボ202及び画像204を含む最小の領域になる。
【0031】
ここで、印刷装置14においてワーク50に対して画像204を印刷する場合、通常、ワーク50と画像204との位置関係において、一定の許容範囲内での位置ズレが生じることになる。そのため、カッティング装置16においてワーク50に対する加工を適切に行うためには、通常、ワーク50において画像204が印刷されている位置を検出することが必要になる。しかし、この場合、画像204の位置を直接検出しようとすると、検出のための手順が複雑になることや、十分な精度で検出することが難しくなること等が考えられる。これに対し、本例においては、ワーク50におけるトンボ202の位置を検出することで、トンボ202に対して既知の位置にある画像204の位置についても、高い精度で適切に検出できる。また、これにより、例えば、カッティング装置16において、ワーク50に対する加工を高い精度で適切に行うことが可能になる。
【0032】
また、本例において、カッティング装置16は、必要に応じて、ワーク50の裏側面の側からも、ワーク50に対する加工を行う。この場合、ワーク50の裏側面については、例えば、ワーク50における表側面と反対の側の面と考えることができる。また、本例の場合、裏側面について、例えば、ワーク50においてトンボ202及び画像204が描かれていない側の面と考えることができる。また、ワーク50に裏側面について、例えば、トンボ202が描かれていない側の面等と考えることもできる。そして、この場合、カッティング装置16において、ワーク50に描かれているトンボ202等が見えない状態で、ワーク50に対する加工を行うことが必要になる。また、この場合、例えば、トンボ202の位置を考慮せずにワーク50への加工を行うと、通常、必要な精度での加工を行うことが難しくなる。これに対し、本例においては、ワーク50の表側面に対してトンボ202の位置の検出を行った後に、ワーク50の表裏を反転して、ワーク50の裏側面側からの加工を行う。また、この場合において、トンボ202の位置に加えてワーク50の隅の位置を更に検出し、トンボ202の位置とワーク50の隅の位置との位置関係を取得しておく。そして、この位置関係を利用することで、トンボ202の位置に基づき、ワーク50の裏側面側からの加工を行う。そこで、以下、このようにしてワーク50の裏側面側からの加工を行う動作の例について、更に詳しく説明をする。
【0033】
図3は、カッティング装置16において実行する加工の条件を設定する画面の一例を示す。
図3(a)は、加工条件の一例であるカット条件を設定する場合について、制御装置12(
図1参照)の画面(モニタ等)に表示する表示画面400の例を示す。
図3(b)は、表示画面400における設定用領域404への表示内容の一例を示す。本例のカッティング装置16においてワークの加工を行う場合、制御装置12は、例えば
図3(a)に示すように、複数の設定用領域402、404を有する表示画面400を表示する。この場合、設定用領域402は、裏側面側の加工に関する事項以外の設定項目を示す領域である。制御装置12は、設定用領域402において、例えば、公知のカッティング装置での加工時に設定する設定項目と同一又は同様の事項を表示する。より具体的に、制御装置12は、設定用領域402において、例えば、ワークの表側面に対するトンボの読み取り方に関する設定項目等を表示する。また、これにより、制御装置12は、設定用領域402における設定項目について、作業者に確認させ、必要に応じて、設定の変更を作業者から受け付ける。
【0034】
また、設定用領域404は、裏側面の加工に関する設定項目を示す領域である。制御装置12は、設定用領域404において、例えば
図3(b)に示すように、裏面カットモードの設定や、エッジの検出の仕方に関する設定項目を表示する。また、この場合、制御装置12は、更に、例えば図中に示すように、設定用領域404での設定項目に関し、裏面カットモードやエッジの検出の仕方に関する設定を行うか否かについて、チェックボックスによって、作業者に選択させる。エッジについては、例えば、ワークの隅や辺に対応する箇所等と考えることができる。エッジの検出の仕方の設定項目については、例えば、ワークの隅の検出の仕方を含む設定項目等と考えることができる。また、より具体的に、制御装置12は、設定用領域404における裏面カットモードの設定項目において、ワークの反転方向の設定(指定)を作業者から受け付ける。また、これにより、制御装置12は、ワークの反転の仕方を指定する反転指定情報を取得する。ワークの反転については、例えば、ワークの表側面に対してトンボの読み取りを行った後、ワークの裏側面への加工を行う前に行うワークの反転等と考えることができる。また、ワークの反転について、例えば、ワークの表側面をカッティング装置16におけるカッターと対向させる向きから、ワークの裏側面をカッターと対向させる向きへワークを反転させること等と考えることもできる。また、本例において、制御装置12は、反転指定情報として、ワークの反転の仕方について、作業者の選択に応じて、上下反転又は左右反転のいずれかを指定する情報を取得する。
【0035】
また、制御装置12は、設定用領域404において、エッジの検出の仕方に関する設定項目として、ワークにおいて検出の対象とする隅である検出コーナーの選択と、検出コーナーに対する検出方法とに関する設定項目を表示する。より具体的に、制御装置12は、検出コーナーの選択に関し、例えば、ワークにおける全ての隅(コーナー)について、例えば右上、右下、左上、及び左下等と区別して選択的に表示することで、いずれかの隅を作業者に選択させる。また、本例において、制御装置12は、いずれか一つの位置の隅のみを作業者に選択させる。そして、制御装置12は、検出コーナーに対する検出方法として、隅以外に辺についての検出を行うか否かや、検出を行う場合に対象とする辺の指定について、更に作業者に選択させる。この場合、制御装置12は、例えば、検出コーナーに対する検出方法に関し、隅に加えてXY両方向の辺の検出を行う方法(コーナー+X方向+Y方向)、隅に加えてX方向のみの辺の検出を行う方法(コーナー+X方向)、隅に加えてY方向のみの辺の検出を行う方法(コーナー+Y方向)、及び隅のみの検出を行う方法(コーナーのみ)の中から、いずれか一つを作業者に選択させる。この場合、X方向の辺の検出については、例えば、カッティング装置16におけるX方向と平行になるべきワークの辺の向きを検出すること等と考えることができる。Y方向の辺の検出については、例えば、カッティング装置16におけるY方向と平行になるべきワークの辺の向きを検出すること等と考えることができる。
【0036】
ここで、本例において、ワークの隅や辺の検出については、カッティング装置16におけるカメラ124(
図1参照)を用いて行う。そして、この場合、例えばコーナーのみの検出を行ったとしても、ワークの隅の位置を撮影した画像に基づき、X方向及びY方向に対するワークの傾き等について、検出できる。そのため、コーナーのみの検出を行う場合には、この画像に基づき、ワークの傾きの検出を行うことが考えられる。また、X方向やY方向の辺の検出を行う場合、ワークの辺の位置に移動させたカメラ124で撮影した画像に基づき、ワークの傾きをより高い精度で検出できる。しかし、この場合、例えばコーナーのみの検出を行う場合と比べて、エッジの検出に関して実行する工数が増えることになる。これに対し、本例によれば、例えば、求められる加工の精度や、ワークのサイズ等に応じて、検出コーナーに対する検出方法を適切に選択できる。
【0037】
また、上記においても説明をしたように、本例において、カッティング装置16の制御部110(
図1参照)は、必要に応じてカットデータを補正し、補正後のカットデータである補正データに基づき、カッティング装置16の各部の動作を制御する。そして、この場合、制御部110は、例えば、設定用領域404において設定される裏面カットモードやエッジの検出の仕方に基づき、カットデータに対する補正を行う。また、この場合、カッティング装置16は、例えば、
図4及び
図5を用いて以下において説明をするように、ワークの反転の仕方等に合わせて、カットデータを補正する。
【0038】
図4及び
図5は、本例において行うカットデータの補正について更に詳しく説明をする図であり、カッティング装置16においてワーク50の裏側面の側から加工を行う場合に行うカットデータの補正の例を簡略化して示す。
図4は、ワーク50の反転の仕方とカット原点302等との関係の一例を示す。
図4(a)は、ワーク50に対して設定されるカット原点302の一例を示す。
図4(b)は、ワーク50を上下反転させる例を示す。
図4(c)は、ワーク50を左右反転させる例を示す。
図4(a)~(c)においては、カギトンボを用いる場合の例を左側に示し、丸トンボ(フリートンボ)を用いる場合の例を右側に示している。図示は省略しているが、四角トンボを用いる場合には、カギトンボを用いる場合と同様になると考えることができる。
【0039】
本例において、カット原点302については、例えば、カッティング装置16での加工の実行時に用いる基準の位置等と考えることができる。カット原点302については、例えば、カットデータに基づく加工の基準の位置となる原点位置等と考えることもできる。また、本例においては、例えば、トンボ202の位置に基づき、カット原点302を設定する。また、より具体的に、この場合、例えば、トンボ202の位置等に基づいて四角形状のバウンディングボックスを設定して、バウンディングボックスの一つの頂点の位置を、カット原点302に設定する。また、
図4(a)においては、カッティング装置16の制御部110において補正を行う前のカットデータ(元データ)に関して、トンボ及び画像とカット原点302との位置関係の例を示している。そして、カギトンボや四角トンボを用いる場合、例えば、トンボの位置がバウンディングボックスの頂点の位置になることで、カット原点302の位置は、いずれかの一つのトンボの中心の位置になる。例えば、
図4(a)の左側の図の場合、右下のトンボの中心の位置が、カット原点302になっている。また、丸トンボ等のフリートンボを用いる場合、トンボの位置と異なる位置がカット原点302になる場合もある。例えば、
図4(a)の右側の図の場合、バウンディングボックスの左下の頂点に対応する位置であり、トンボがない位置が、カット原点302になっている。この場合、このカット原点302について、例えば、フリートンボに対する原点位置等と考えることができる。
【0040】
また、上記においても説明をしたように、本例において、ワーク50の裏側面側からの加工を行う場合、ワーク50の表側面に対してトンボの読み取りや、ワーク50の隅の位置の検出等を行った後に、上下反転又は左右反転の向きで、ワーク50の表裏を反転させる。そして、この場合、カッティング装置16の制御部110は、例えば、ワーク50の反転後の状態に対し、新たなカット原点302を算出する。また、
図4(b)においては、表側面においてワーク50の右下になる隅の位置を検出し、ワーク50を上下反転する場合の例を示している。この場合、反転前の状態において、カッティング装置16の制御部110は、例えば、トンボの読み取り結果等に基づき、カット原点302を設定する。より具体的に、この場合、制御部110は、例えば、ワーク50に描かれているトンボ及び画像の位置に基づき、バウンディングボックスとなる範囲を決定する。そして、バウンディングボックスにおける所定の頂点の位置をカット原点302に設定する。
【0041】
また、この場合、位置の検出対象となる隅の位置であるエッジ検出箇所304は、ワーク50の上下反転に伴い、図中に示すように移動する。そして、カット原点302も、ワーク50の上下反転に伴い、図中に示すように移動する。また、本例において、制御部110は、反転による移動後のカット原点302の位置を算出し、その位置について、ワーク50の裏側面に対する新たなカット原点302に設定する。より具体的に、例えば、
図4(b)の左側に示した場合、ワーク50を反転させる前の状態に対し、制御部110は、ワーク50の表側面の右下の位置に検出するエッジ検出箇所304と、右下のトンボの位置に設定したカット原点302との間の距離を算出する。また、本例において、制御部110は、複数のトンボの位置に基づき、バウンディングボックスのサイズ(トンボサイズ)を更に算出する。そして、この距離、トンボサイズ、及び反転後のエッジ検出箇所304に基づき、反転後のワーク50に対するカット原点302を算出する。この場合、反転後のエッジ検出箇所304については、例えば、ワーク50を反転させた後にその状態でワーク50の裏側面の右上に検出されるエッジ検出箇所304等と考えることができる。また、
図4(b)の右側に示した場合、ワーク50を反転させる前の状態に対し、制御部110は、ワーク50の表側面の右下の位置に検出するエッジ検出箇所304と、フリートンボに対する原点位置に設定されるカット原点302との間の距離を算出する。また、この場合も、制御部110は、複数のトンボの位置等に基づき、トンボサイズを更に算出する。そして、制御部110は、この距離、トンボサイズ、及び反転後のエッジ検出箇所304に基づき、反転後のワーク50に対するカット原点302を算出する。
【0042】
尚、上記のように、本例において、制御部110は、トンボサイズに基づいて、カット原点302の算出を行う。この場合、制御部110は、例えば、トンボサイズに基づき、ワーク50の伸縮等によって生じるズレに対する補正を行う。このようなズレについては、例えば、画像及びトンボの位置に関し、ワーク50への印刷時に用いた印刷データにおける位置と、ワーク50での実際の位置とに関し、ワーク50の伸縮等によって生じるズレ等と考えることができる。ワーク50での実際の位置については、例えば、カッティング装置16におけるカメラ124で撮影した画像によって認識されるトンボと画像との位置関係等と考えることができる。また、このようなトンボサイズに基づく補正については、例えば、トンボサイズに基づいてワーク50の表面側に対して行う補正等と考えることができる。トンボサイズに基づく補正については、例えば、公知のカッティング装置において行う補正と同一又は同様に行うことができる。
【0043】
また、本例において、カッティング装置16の制御部110は、更に、ワーク50の反転に合わせて、カットデータを反転させる。より具体的に、本例において、制御部110は、例えば、ワーク50を反転させる前の状態に合わせたカットデータを制御装置12から受け取る。この場合、このカットデータについて、例えば、ワーク50の表側面に描かれている画像の位置に合わせた加工をワーク50の表側面の側から行う場合の加工位置を示すデータ等と考えることができる。また、この場合、このカットデータについて、例えば、
図4(a)に示すカット原点302を基準として加工位置を示すデータ等と考えることができる。これに対し、本例において、制御部110は、ワーク50の反転に対応するようにカットデータに対して補正を行うことで、ワーク50の表側面に描かれている画像の位置に合わせた加工をワーク50の裏側面の側から行う場合の加工位置を示す補正データを生成する。この場合、補正データについては、例えば、ワーク50の表裏を反転させることに合わせた調整等を行ったカットデータ等と考えることができる。また、この場合、カットデータの補正としては、例えば、ワーク50の反転に合わせたデータの反転処理や、必要に応じたオフセット処理等を行うことが考えられる。カットデータに対して行う反転処理やオフセット処理については、後に更に詳しく説明をする。
【0044】
また、上記においても説明をしたように、ワーク50の反転の仕方については、上下反転以外に、例えば
図4(c)に示すように、左右反転を行うことも考えられる。この場合も、カッティング装置16の制御部110は、例えば、反転の仕方の違いに応じた変更を適宜行いつつ、
図4(b)に関連して上記において説明をした場合と同様にして、カット原点302の設定や、カットデータの補正を行う。また、
図4(c)においては、表側面においてワーク50の右下になる隅の位置を検出し、ワーク50を左右反転する場合の例を示している。この場合も、反転前の状態において、カッティング装置16の制御部110は、例えば、
図4(b)に示す場合と同様に、カット原点302を設定する。また、この場合、カット原点302及びエッジ検出箇所304は、ワーク50の左右反転に伴い、図中に示すように移動する。この場合、反転後のエッジ検出箇所304について、例えば、ワーク50を反転させた後にその状態でワーク50の裏側面の左下に検出されるエッジ検出箇所304等と考えることができる。また、制御部110は、ワーク50の反転後に、反転によって移動したカット原点302の位置に合わせて、新たなカット原点302を設定する。より具体的に、例えば、
図4(c)の左側に示した場合、ワーク50を反転させる前の状態に対し、制御部110は、
図4(b)の左側の場合と同様にして、エッジ検出箇所304と、カット原点302との間の距離を算出する。また、この場合も、制御部110は、トンボサイズを更に算出する。そして、この距離、トンボサイズ、及び反転後のエッジ検出箇所304に基づき、反転後のワーク50に対するカット原点302を算出する。また、
図4(c)の右側に示した場合、ワーク50を反転させる前の状態に対し、制御部110は、
図4(b)の右側の場合と同様にして、エッジ検出箇所304と、カット原点302との間の距離を算出する。また、この場合も、制御部110は、トンボサイズを更に算出する。そして、この距離、トンボサイズ、及び反転後のエッジ検出箇所304に基づき、反転後のワーク50に対するカット原点302を算出する。そして、これらの場合も、制御部110は、ワーク50の反転に合わせてカットデータを補正することで、補正データを生成する。
【0045】
続いて、カットデータを補正する動作に関し、カットデータに対して行う反転処理及びオフセット処理について、更に詳しく説明をする。
図5は、カットデータに対して行う反転処理及びオフセット処理について説明をする図である。
図5(a)は、補正前のカットデータについて説明をする図である。
図5(b)は、カットデータに対して行う反転処理の例を示す。
図5(c)は、カットデータに対して行うオフセット処理の例を示す。図示の便宜上、
図5(b)、(c)では、カットデータが示す内容について、
図5(a)におけるトンボ202及び画像204に対応する構成を図示している。この場合、実際のカットデータについては、例えば、これらの図形の位置に応じて設定される位置を加工位置として指定するデータになると考えることができる。また、
図5(b)においては、反転処理を行う前に対応する図形を点線で示し、反転後の図形を実線で示している。
図5(c)においては、オフセット処理を行う前に対応する図形を点線で示し、オフセット処理後の図形を実線で示している。また、
図5(b)、(c)では、ワーク50に対して上下反転を行う場合について、反転処理及びオフセット処理の例を示している。
【0046】
上記においても説明をしたように、本例において、カッティング装置16の制御部110は、ワーク50の表側面の側から加工を行う場合の加工位置を示すカットデータを制御装置12から受け取る。このようなカットデータについては、例えば、ワーク50の表側面に描かれている画像204に合わせた加工位置を示すデータ等と考えることができる。また、この場合、制御装置12は、ワーク50の表側面に設定されるカット原点を基準にしてカットコマンドを指定するカットデータを生成して、カッティング装置16へ供給する。カットコマンドについては、例えば、カッティング装置16において実行する加工を指定するコマンド等と考えることができる。また、この場合、カットデータについて、例えば、ワーク50の表側面にトンボ202が描かれている場合に用いるカットデータ(トンボ付きカットデータ)等と考えることもできる。
【0047】
このようなカットデータに対し、本例において、カッティング装置16の制御部110は、ワーク50の反転の仕方に合わせてカットデータを補正して、補正データを生成する。そして、この場合、制御部110は、例えば
図5(b)に示すようにカットデータを反転させ、その後に、
図5(c)に示すように、オフセット処理を行う。より具体的に、本例において、ワーク50に対して上下反転を行う場合、制御部110は、カットデータの反転処理として、バウンディングボックスのいずれかの頂点を基準にして、カットデータの上下を反転させる。この場合、例えば、ワーク50の表側面でカット原点302となるバウンディングボックスの頂点を基準にして、カットデータの上下を反転させることが考えられる。そして、この場合、反転後のカットデータの位置について、例えば図中に示すように、バウンディングボックスの高さ分のズレが生じることになる。そのため、この場合、制御部110は、更に、例えば
図5(c)に示すようにカットデータを移動させるオフセット処理を行う。このようなオフセット処理については、例えば、バウンディングボックス分のプラスオフセットの処理等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、ワーク50の反転に合わせて、カットデータを適切に補正できる。また、上記のように、
図5(b)、(c)は、ワーク50に対して上下反転を行う場合について、反転処理及びオフセット処理の例を示している。ワーク50に対して左右反転を行う場合には、上記の動作について、反転の仕方の違いに応じて、適宜変更すること考えられる。このように構成すれば、例えば、ワークに対して左右反転を行う場合にも、ワーク50の反転に合わせて、カットデータを適切に補正できる。
【0048】
尚、上記においても説明をしたように、本例において、制御部110は、バウンディングボックスのサイズであるトンボサイズに基づき、裏側面におけるカット原点302を算出する。そして、この場合、反転処理を行う前のカットデータに対しても、トンボサイズに基づく補正を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、ワーク50の表面側におけるトンボ及び画像の実際の位置に合わせて、カットデータの補正を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、その後の反転処理やオフセット処理をより適切に行うことができる。反転処理を行う前にカットデータに対して行う補正については、例えば、公知のカッティング装置においてワーク50の表面側からワーク50に対する加工を行う場合と同一又は同様に行うことができる。
【0049】
続いて、本例の加工システム10においてカッティング装置16及び制御装置12が実行する動作の例について、更に詳しく説明をする。
図6は、カッティング装置16の動作の一例を示すフローチャートであり、ワーク50の裏側面の側からワーク50に対して加工を行う場合について、カッティング装置16が実行する動作の例を示す。本例において、カッティング装置16は、例えば
図3を用いて説明をした表示画面によって作業者から受け取る指示と、制御装置12から供給されるカットデータとに基づき、ワーク50の裏側面からの加工をワーク50に対して行う。以下においては、説明の便宜上、カッティング装置16の制御部110で実行する処理について、単に、カッティング装置16が行う処理として、説明をする。また、
図6においては、図示及び説明の便宜上、カッティング装置16を操作する作業者が行う動作も含めて、フローチャートを示している。以下において説明をするカッティング装置16の動作に関連して制御装置12において実行する動作については、後に更に詳しく説明をする。
【0050】
図6のフローチャートの動作においては、先ず、作業者又は産業用ロボット等の載置手段によって、ワーク50の表面側を上向きにした状態で、カッティング装置16のテーブル104にワーク50を載置する(S102)。この場合、ワーク50の表面側を上向きにした状態については、例えば、カッティング装置16の加工具であるカッター122とワーク50の表側面とを対向させた状態等と考えることができる。そして、この状態において、カッティング装置16は、制御装置12から、カットデータを取得する(S104)。本例において、ステップS104の動作は、データ準備処理の動作の一例である。データ準備処理については、例えば、カットデータ等の加工データを準備する処理等と考えることができる。また、本例のステップS104において、カッティング装置16は、トンボ付きカットデータを取得する。この場合、トンボ付きカットデータについては、例えば、ワーク50に描かれているトンボの位置を基準にして加工位置を示すカットデータ等と考えることができる。トンボの位置を基準にして加工位置を示すことは、例えば、トンボの位置に対応付けられる他の位置(例えば、カット原点等の原点位置)を基準にして加工位置を示すことであってもよい。また、カッティング装置16の動作の変形例においては、ステップS104の動作について、ステップS102より先に行ってもよい。
【0051】
また、カットデータを取得した後、カッティング装置16は、ワーク50の表側面に対し、エッジの検出を行う(S106)。この場合、カッティング装置16は、例えば作業者の操作に応じて、ワーク50における所定の一つの隅の位置へカメラ124を移動させ、その隅を含む範囲の画像をカメラ124で撮影する。そして、この画像に基づき、エッジ検出箇所304となるワーク50の隅の位置を検出する。この場合、カメラ124で撮影する画像について、例えば、ワーク50の表側面における少なくとも一部をカメラで撮影した画像等と考えることができる。また、本例において、カッティング装置16は、作業者によって指定されるエッジの検出の仕方に基づき、必要に応じて、X方向の辺やY方向の辺に対する検出を行う。また、本例において、カッティング装置16は、例えば、カメラ124で取得する画像に基づく処理を制御装置12に行わせることで、ワーク50の隅の位置や辺の向きを検出する。より具体的に、この場合、カッティング装置16は、例えば、制御装置12で実行するカメラアプリに画像の解析を行わせ、その結果を取得することで、隅の位置や辺の向きに関するエッジの検出を行う。また、この場合、カメラアプリに対し、画像に写るワーク50の隅に関し、角度、及び、エッジ原点と撮影画像中心との差異を検知させることが考えられる。
【0052】
また、ステップS106でエッジの検出を行った後、カッティング装置16は、ワーク50の表面側に描かれているトンボの検出を行う(S108)。この場合、カッティング装置16は、例えば作業者の操作に応じて、いずれか一つのトンボの位置へカメラ124を移動させ、そのトンボを含む範囲の画像をカメラ124で撮影する。そして、この画像に基づき、そのトンボの位置を検出する。また、カッティング装置16は、ワーク50における複数のトンボに対してこの動作を繰り返すことで、全てのトンボの位置を検出する。より具体的に、トンボとしてカギトンボや四角トンボを用いる場合、ステップS108において、カッティング装置16は、4個のトンボに対し、このようにして、トンボの位置を検出する。また、丸トンボ等のフリートンボを用いる場合も、ステップS108において、カッティング装置16は、使用する全てのトンボに対し、このようにして、トンボの位置を検出する。また、本例において、カッティング装置16は、例えば、カメラ124で取得する画像に基づく処理を制御装置12に行わせることで、トンボの位置を検出する。より具体的に、この場合、カッティング装置16は、例えば、制御装置12で実行するカメラアプリに画像の解析を行わせ、その結果を取得することで、トンボの位置を検出する。また、この場合、カメラアプリに対し、画像に写るトンボに関し、トンボの位置及び角度を検知させることが考えられる。
【0053】
また、本例において、ステップS106及びS108の動作は、位置関係取得処理の動作の一例である。位置関係取得処理については、例えば、ワーク50における表側面をカッティング装置16の加工具(カッター122等)と対向させてワーク50をテーブル104に載置した状態のワーク50に対して、ワーク50のいずれかの隅の位置と、ワーク50の表側面に描かれているトンボの位置との位置関係を取得する処理等と考えることができる。本例のステップS108において、カッティング装置16は、ステップS106で検知したワーク50の隅の位置と、ステップS108で検知したトンボの位置との位置関係を取得する。また、本例において、カッティング装置16は、例えば
図4においてエッジ検出箇所304として説明をしたように、ワーク50におけるいずれか一つの隅のみについて、トンボの位置に対する位置関係を取得する。このように構成すれば、例えば、複数の隅について位置関係を取得する場合等と比べて、必要な工数を大幅に低減できる。また、これにより、ワーク50に対する加工をより短時間で適切に行うことができる。また、加工に求められる精度等によっては、ワーク50の複数の隅について、トンボの位置に対する位置関係を取得してもよい。このように構成すれば、例えば、ワーク50に対する加工をより高い精度で行うことができる。また、
図4等を用いて上記においても説明をしたように、本例において、カッティング装置16は、検出したトンボの位置等に基づき、カット原点302を設定する。そして、いずれか一つの隅の位置をエッジ検出箇所304として、エッジ検出箇所304とカット原点302との間の距離を算出する。この場合、これらの一連の動作について、ワーク50の隅とトンボの位置との位置関係を取得する動作の一例と考えることができる。また、その後にカット原点302や上記の距離等に基づいて行う処理について、この位置関係に基づいて行う処理等と考えることができる。また、上記においても説明をしたように、ステップS106におけるエッジ検出の処理において、カッティング装置16は、エッジの検出の仕方の設定に応じて、ワーク50のいずれかの辺の向きを検出する。この場合、ステップS106で辺の向きを検出する動作について、辺検出処理の動作の一例と考えることができる。
【0054】
また、ワーク50の表側面に対するエッジ及びトンボの検出を行った後には、作業者又は載置手段等によって、ワーク50の表裏を反転させる(S110)。これにより、カッティング装置16のテーブル104に、ワーク50の裏面側を上向きにした状態で、ワーク50を載置する。また、本例のステップS110では、例えば
図3を用いて説明をした表示画面において取得する反転指定情報に合わせて、上下反転又は左右反転のいずれかの向きで、ワーク50を反転させる。そして、ワーク50の反転後、カッティング装置16は、ワーク50の裏面側に対し、エッジ検出を行う(S112)。本例において、ステップS112の動作は、裏側面隅位置検出処理の動作の一例である。裏側面隅位置検出処理については、例えば、ワーク50の裏側面をカッティング装置16の加工具(カッター122等)と対向させてワーク50をテーブル104に載置した状態のワーク50に対して隅の位置を検出する処理等と考えることができる。また、本例のステップS112において、カッティング装置16は、ステップS106でエッジ検出箇所304としたのと同じ位置の隅に対し、ステップS106と同一又は同様の動作により、エッジの検出を行う。また、これにより、カッティング装置16は、ステップS108においてトンボに対する位置関係を取得した隅に対応する一つの隅について、少なくとも、隅の位置を検出する。更に、カッティング装置16は、作業者によって指定されるエッジの検出の仕方に基づき、必要に応じて、X方向の辺やY方向の辺に対する検出を行う。また、この場合も、カッティング装置16は、例えば、カメラ124で取得する画像に基づく処理を制御装置12に行わせることで、ワーク50の隅の位置や辺の向きを検出する。より具体的に、この場合、カッティング装置16は、例えば、ステップS106での動作と同一又は同様にして、制御装置12で実行するカメラアプリに画像の解析を行わせ、その結果を取得することで、エッジの検出を行う。このように構成すれば、例えば、ワーク50の裏側面における少なくとも一部をカメラ124で撮影した画像に基づき、ワーク50の隅の位置を適切に検出できる。
【0055】
また、上記の動作によって必要な情報の取得や算出を行った後、カッティング装置16は、その結果に基づき、カットデータを補正する(S114)。本例において、ステップS114の動作は、補正データ生成処理の動作の一例である。補正データ生成処理については、例えば、カットデータ等の加工データを補正したデータである補正データを生成する処理等と考えることができる。また、この場合、加工データを補正することについて、例えば、加工対象の状態に合わせて加工データの調整等を行うこと等と考えることができる。また、上記においても説明をしたように、本例において、カッティング装置16は、ワーク50の反転に対応するようにカットデータに対して補正を行うことで、ワーク50の表側面に描かれている画像の位置に合わせた加工をワーク50の裏側面の側から行う場合の加工位置を示す補正データを生成する。この場合、カッティング装置16は、ステップS108において取得した位置関係と、ステップS112で検出した隅の位置とに基づき、カットデータを補正する。また、この場合において、カッティング装置16は、反転指定情報で指定される反転の仕方に合わせ、カットデータを補正する。更に、カッティング装置16は、ステップS108において取得した位置関係に関し、例えば
図4を用いて上記において説明をしたように、カット原点302等を適宜算出して、カットデータを補正する。また、ステップS106やステップS112で行うエッジの検出でワーク50の辺の向きを検出した場合、カッティング装置16は、検出した辺の向きに更に基づき、カットデータに対する補正を行う。このように構成すれば、例えば、ステップS110で行うワーク50の反転の仕方に合わせて、カットデータの補正を適切に行うことができる。また、この場合、必要に応じてワーク50の辺の向きに基づく補正を行うことで、例えば、ワーク50の一つの隅のみに対して上記の位置関係を取得する場合にも、カットデータに対する補正をより適切に行うことができる。また、これより、例えばサイズの大きなワーク50を用いる場合等にも、ワーク50に対する加工をより高い精度で適切に行うことができる。
【0056】
ここで、本例のステップS114において、カッティング装置16は、例えば
図4を用いて上記において説明をしたように、反転後のワーク50に対する新たなカット原点302の算出、データの反転処理、及びオフセット処理等を行う。この場合、反転後のワーク50に対する新たなカット原点302は、裏側面における基準の位置である裏側面基準位置の一例である。反転後のワーク50に対する新たなカット原点302を算出する動作については、例えば、裏側面基準位置設定処理の動作の一例と考えることができる。裏側面基準位置設定処理については、例えば、位置関係取得処理で取得した位置関係と、裏側面隅位置検出処理で検出した隅の位置とに基づき、ワーク50の裏側面において原点位置に対応する位置を裏側面基準位置に設定する処理等と考えることができる。また、データの反転処理については、例えば、ワーク50の表裏の反転に対応させて加工データが示す加工位置を反転させる処理等と考えることができる。オフセット処理については、例えば、位置調整処理の一例と考えることができる。位置調整処理については、例えば、反転処理において反転した加工位置について、裏側面基準位置に合わせた位置の調整を行う処理等と考えることができる。このような処理を行うことで、例えば、ワーク50の裏側面の加工に用いる補正データを適切に生成できる。
【0057】
また、
図6のフローチャートに示す動作において、ステップS102~S114の動作については、データ補正段階の中で行う動作の一例と考えることができる。この場合、データ補正段階については、例えば、加工データに対する補正を行う段階等と考えることができる。そして、ステップS114までの動作で補正データが生成された後、カッティング装置16は、補正データに基づき、ワーク50に対する加工を行う(S116)。本例において、ステップS116の動作は、加工段階の動作の一例である。加工段階については、例えば、ワーク50に対する加工をカッティング装置16等の加工装置に行わせる段階等と考えることができる。また、本例のステップS116において、カッティング装置16は、ワーク50の裏側面をカッター122と対向させてワーク50をテーブル104に載置した状態で、補正データに基づき、カッター122を用いて、カットの加工を実行する。本例によれば、ワーク50の裏側面の側から、ワーク50に対する加工を適切に行うことができる。
【0058】
また、上記においても説明をしたように、本例において、カッティング装置16は、例えば
図3を用いて説明をした表示画面によって作業者から受け取る指示と、制御装置12から供給されるカットデータとに基づき、ワーク50の裏側面からの加工をワーク50に対して行う。そして、この場合、カッティング装置16は、上記の動作の少なくとも一部について、制御装置12の制御に応じて実行する。そこで、以下、カッティング装置16に対して制御装置12が行う制御等について、更に詳しく説明をする。
【0059】
図7は、カッティング装置16に対して制御装置12が行う制御の動作の一例を示すフローチャートであり、
図6に示すカッティング装置16の動作に対応する制御装置12の動作の例を示す。この動作において、制御装置12は、先ず、例えば作業者の操作等に応じて、任意の位置に、カットデータを配置し(S202)、カットデータに対し、トンボの認識を行う(S204)。本例において、ステップS202で配置するカットデータは、トンボ付きのカットデータである。上記においても説明をしたように、トンボ付きカットデータについては、例えば、ワーク50に描かれているトンボの位置を基準にして加工位置を示すカットデータ等と考えることができる。また、制御装置12において実行するステップS204の動作等との関係で考えた場合、本例において用いるトンボ付きのカットデータについて、例えば、トンボを含むカットデータ等と考えることもできる。トンボを含むカットデータについては、例えば、ワーク50に描かれているトンボに対応する位置が設定されているカットデータ等と考えることができる。また、このようなカットデータを用いることで、ステップS204において、制御装置12は、カットデータに含まれるトンボを認識する。カットデータに含まれるトンボを認識することについては、例えば、カットデータにおいてトンボに対応する位置を認識すること等と考えることもできる。また、本例において、制御装置12は、トンボを認識することで、トンボ付きのカットデータを出力する動作モードであるトンボ出力モードの動作に移行する。この場合、後に制御装置12が出力するカットデータについて、例えば、カットデータにおいてトンボに対応する位置と、ワーク50に描かれているトンボの位置とが対応するデータになると考えることができる。また、この場合、ステップS202でトンボ付きのカットデータを配置することについて、例えば、ワーク50においてカット原点302となる位置を決定することに対応すると考えることもできる。また、この場合、例えば、ステップS202でカットデータを配置することで、エッジ検出箇所304となるワーク50の隅とトンボとの位置関係が決まると考えることもできる。
【0060】
また、ステップS204の動作に続いて、制御装置12は、例えば
図3を用いて説明をした表示画面によって作業者から受け取る指示に基づき、ワーク50の裏側面に対する加工の条件である裏面カット条件を設定する(S206)。より具体的に、ステップS206において、制御装置12は、例えば、裏面カットモードやエッジの検出の仕方に関する設定を行うことを示すチェックボックスへチェックを付ける動作を作業者から受け付け、これらの設定を実行する。また、裏面カットモードの設定に関し、制御装置12は、反転指定情報に基づき、
図6のステップS110でのワーク50の反転の仕方について、上下反転又は左右反転のいずれを行うかを設定する。この場合、ステップS208で裏面カットモードの設定を行う動作について、例えば、反転指定情報を取得する反転指定情報取得処理の動作の一例と考えることができる。エッジの検出の仕方に関し、制御装置12は、コーナー+X方向+Y方向、コーナー+X方向、コーナー+Y方向、及びコーナーのみのうちのいずれかを設定する。そして、これらの動作を行った後、制御装置12は、カット-データを出力し、カッティング装置16へカットデータを供給する(S208)。
【0061】
また、本例において、カッティング装置16へカットデータを供給した後、制御装置12は、更に、カッティング装置16において実行するエッジの検出やトンボの検出等の制御を更に行う。この場合、制御装置12は、例えば、ワーク50の表側面に対するエッジの検出の制御(S210)、トンボの検出の制御(S212)、及びワーク50の裏側面に対するエッジの検出の制御(S214)を行うことで、
図6におけるステップS106、S108、及びS112の動作をカッティング装置16に行わせる。また、ステップS106、S108、及びS112の動作に関連して上記においても説明をしたように、これらの制御において、制御装置12は、カッティング装置16のカメラ124で撮影された画像に対し、カメラアプリによって画像の解析を行い、その結果をカッティング装置16へ供給する。本例によれば、例えば、
図6に示す動作をカッティング装置16に適切に実行させることができる。
【0062】
ここで、
図7におけるステップS202~S214の動作に関し、制御装置12は、複数のソフトウェア(プログラム)に従って実行してもよい。より具体的に、S202~S208の動作について、制御装置12は、例えば、カットデータの管理及び供給用のソフトウェアに従って実行する。また、S210~S214の動作について、制御装置12は、例えば、カメラアプリに従って実行する。この場合、S210~S214の動作について、制御装置12は、例えば、カッティング装置16からの依頼に応じて実行すると考えることもできる。また、上記においても説明をしたように、制御装置12については、例えば、複数のコンピュータで構成してもよい。この場合、例えば、S202~S208の動作を第1のコンピュータで実行し、S210~S214の動作を他の第2のコンピュータで実行してもよい。
【0063】
また、上記において説明をしたように、本例においては、
図6のステップS104でカッティング装置16が実行する動作について、データ準備処理の動作の一例と考えることができる。これに対し、制御装置12の動作の着目した場合、
図7におけるステップS202~S208の動作について、例えば、データ準備処理の動作の一例と考えることもできる。また、同様に、
図7におけるステップS210~S212の動作について、位置関係取得処理の動作の一例と考えることもできる。
図7におけるステップS214の動作について、裏側面隅位置検出処理の動作の一例と考えることもできる。また、制御装置12の動作の変形例においては、
図6のステップS114で行うカットデータの補正と同一又は同様の動作について、制御装置12で実行すること等も考えられる。この場合、カッティング装置16は、制御装置12から受け取る補正データに基づき、ワーク50に対する加工を行う。
【0064】
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明等を行う。上記においては、カッティング装置16がワーク50に対して行う加工に関し、主に、ワーク50の裏側面の側から行う加工について、説明をした。これに対し、カッティング装置16では、ワーク50の表側面に対し、加工を行ってもよい。この場合、カッティング装置16において、カッター122等の加工具とワーク50の表側面とを対向させた状態で、例えば、トンボの検出(読み取り)を行う。また、この場合、ワーク50の表側面への加工位置を示すカットデータに対し、例えばトンボサイズに基づく補正等を必要に応じて行い、補正後のカットデータに基づき、ワーク50の表側面への加工を行う。表側面への加工時に行うカットデータの補正の動作や、加工の動作については、例えば、公知のカッティング装置で行う補正や加工の動作と同一又は同様に行うことができる。また、この場合、カッティング装置16において、更に、ワーク50の裏側面への加工を行うことが考えられる。この場合、カッター122等の加工具とワーク50の表側面とを対向させた状態において、
図6におけるステップS106及びS108と同一又は同様の動作を行うことが考えられる。また、この場合、ワーク50を反転させた後、例えば
図6におけるステップS112~S116の動作と同一又は同様にして、裏側面でのエッジの検出し、その結果に基づき、カットデータを補正する。そして、補正後のカットデータ(補正データ)に基づき、ワーク50の裏側面への加工を実行する。このように構成した場合も、ワーク50の裏側面に対する加工を適切に行うことができる。
【0065】
また、この場合、表側面への加工としては、その後に行う裏側面でのエッジ等の検出に問題が生じない範囲での加工を行うことが考えられる。より具体的に、この場合、ワーク50の表側面に対し、例えば、エッジ検出箇所304となる隅が切り離されない加工を行うことが考えられる。このような加工としては、例えば、厚み方向におけるワーク50の一部(例えば、台紙等)を残してカッターでの加工を行うことや、つなぎ目を残してカットを行うハーフカットの加工を行うことが考えられる。また、エッジ検出箇所304となる隅が切り離されない箇所に対し、ワーク50の厚さの全体に対してカットを行う全カットの加工を行ってもよい。また、表面側への加工について、カッター以外の加工具での加工を行うこと等も考えられる。
【0066】
また、上記においても説明をしたように、本例において、ワーク50に印刷されるトンボは、位置基準マークの一例である。そして、トンボとしては、例えば、四角トンボ、カギトンボ、又は丸トンボのような、公知のトンボ用のマークを好適に用いることができる。また、この場合、これらのトンボについて、例えば、位置の基準用のマークとして既知のマーク等と考えることができる。位置の基準用のマークとして既知であることについては、例えば、ワーク50に対する加工を行うカッティング装置16において位置の基準用のマークとして予め設定されているマーク等と考えることができる。また、これらのトンボについては、例えば、カッティング装置16又は加工システム10において予め用意されたトンボのマーク等と考えることができる。これに対し、位置基準マークとして用いるマークの変形例においては、位置基準マークとして、例えば、カッティング装置16を用いた加工を実行する作業者等のユーザによって指定される任意のマークを用いることも考えられる。この場合、例えば、制御装置12等のコンピュータにおいて、位置基準マークとして用いるマークの位置をユーザに指定させる処理を行う。そして、カッティング装置16において、更に、ワーク50において位置基準マークが描かれている位置の指定をユーザに行わせる処理等を行う。このように構成すれば、例えば、位置基準マークとして、任意のマークを適切に用いることができる。また、より具体的に、この場合、例えば、
図8~10に示す例のように、位置基準マークとして任意のマークを用いることが考えられる。
【0067】
図8~10は、位置基準マークとして用いるマークの変形例について説明をする図である。
図8は、本変形例においてワーク50に描かれる画像及びマークについて説明をする図である。
図8(a)は、ワーク50に描かれる画像204の一例を示す。この場合、画像204については、例えば、ワーク50において成果物となる画像等と考えることができる。ワーク50において成果物となる画像については、例えば、カッティング装置16での加工の対象となる画像等と考えることができる。また、図示の便宜上、
図8(a)では、カッティング装置16において加工を行う位置について、破線206で示している。破線206については、例えば、カットデータが示す加工位置に対応すると考えることができる。また、本変形例の動作については、例えば
図1~7を用いて説明した動作の一部に代えて行う動作等と考えることができる。この場合、
図8~10を用いて以下において説明をする動作について、例えば、データ補正段階の動作の中で行う処理の変形例に対応する動作等と考えることができる。
【0068】
上記においても説明をしたように、加工システム10において、制御装置12は、印刷装置14に対して印刷データを供給し、カッティング装置16に対してカットデータを供給することで、印刷装置14及びカッティング装置16の動作を制御する。そして、この場合、制御装置12又は他のコンピュータにおいて、印刷データ及びカットデータの元になるデータを扱うことが考えられる。また、以下においては、説明の便宜上、制御装置12又は他のコンピュータで実行する動作について、単に、制御装置12の動作として、説明をする。そして、この場合、制御装置12において、例えば、イラストレーター(登録商標)のような画像描画用のソフトウェアを用いて、印刷装置14によってワーク50へ描く画像と、カッティング装置16による加工位置とを、統合的に取り扱うことが考えられる。また、この場合、例えば、画像描画用のソフトウェアにおけるレイヤー機能により、画像用のレイヤーと、加工位置用のレイヤーとを分けて、画像及び加工位置を示すデータに対する確認や編集等を行うことが考えられる。そして、このような場合、例えば、画像描画用のソフトウェアの機能により、例えば、
図8(b)に示すように、位置の基準となるマークを追加することが考えられる。
【0069】
図8(b)は、画像描画用のソフトウェアで追加するマークの一例を示す。より具体的に、
図8(b)に示す例の場合、
図8(a)に示す画像204及び破線206に対し、複数種類のマーク312、314が追加されている。これらのマーク312、314は、画像描画用のソフトウェアにおいてデザインが描かれる範囲を示すトリムマークである。トリムマークについては、例えば、画像描画用のソフトウェアの機能によって印刷物の裁断位置を示すためのマーク等と考えることができる。この場合、印刷物の裁断位置については、例えば、カッティング装置16において実際に加工を行う位置等ではなく、画像描画用のソフトウェアにおける描画範囲等の設定に応じて自動的に決定される位置等と考えることができる。また、これらのマーク312、314のうち、マーク312は、描画範囲の四隅に配置される。マーク312については、例えば、画像204が描かれる範囲の四隅の位置に画像描画用のソフトウェアの機能によって追加されるマーク等と考えることもできる。また、マーク314は、描画範囲の辺に沿った位置において、2個のマーク312の間に配置される。
【0070】
これらのマーク312、314としては、例えば、イラストレーター(登録商標)で使用される公知のトリムマーク等を好適に使用できる。この場合、例えば、画像描画用のソフトウェアの機能を用いて、ユーザによるメニュー選択の動作により、マーク312、314を追加することが考えられる。マーク312、314については、例えば、ユーザによる描画の動作によって追加すること等も考えられる。また、画像描画用のソフトウェアにおいて、マーク312、314は、例えば、画像用のレイヤー及び加工位置用のレイヤーとは別のレイヤーに描かれる。この場合、マーク312、314について、例えば、画像204とは別の目的で管理されるオブジェクト等と考えることもできる。また、本変形例において、制御装置12は、画像204と共にマーク312、314を示す印刷データを印刷装置14へ供給する。また、これにより、制御装置12は、印刷装置14に、画像204と共に、マーク312、314をワーク50に印刷させる。そして、この場合、複数種類のマーク312、314のうちの少なくともいずれかについて、例えば
図9に示すように、位置基準マークとして用いることが考えられる。
【0071】
図9は、画像204が描かれる範囲の四隅の位置に描かれるマーク312の少なくとも一部を位置基準マークとして用いる例を示す。この場合、例えば、制御装置12において、画像描画用のソフトウェアによって、位置基準マークとして用いるマーク312の位置の指定をユーザから受け付ける。そして、カッティング装置16において、例えば、画像204及びマーク312、314が印刷されたワーク50に対し、位置基準マークとして用いるマーク312の位置の指定をユーザから受け付ける。また、これにより、カッティング装置16において、例えば、ユーザによって指定されたマーク312の位置に基づき、バウンディングボックス212となる範囲を決定する。そして、この場合、マーク312について、例えば、ユーザによって任意に指定される位置基準マーク等と考えることができる。また、この場合、バウンディングボックス212となる範囲については、例えば、ユーザが指定するマーク312の位置に対し、予め設定されたオフセット距離等を考慮して、決定してもよい。より具体的に、この場合、例えば
図10に示す動作により、制御装置12及びカッティング装置16において、位置基準マークとして用いるマーク312の位置の指定をユーザから受け付ける。
【0072】
図10は、ユーザによって指定される位置基準マークを使用する動作について説明をするフローチャートであり、任意のマークを位置基準マークとして使用する場合の動作に関し、加工システム10の各部において実行する動作の一例を示す。以下においては、位置基準マークとして使用するマークについて、トンボ用マークという。また、上記のように、本変形例においては、例えば、
図8及び
図9を用いて説明をしたマーク312、314のうち、描画範囲の四隅に配置されるマーク312の少なくとも一部について、トンボ用マークとして用いる。そして、この場合も、印刷装置14は、制御装置12から受け取る印刷データに基づき、ワーク50に対し、画像204を印刷する(S302)。また、本変形例において、印刷装置14は、印刷データに基づき、画像204の他に、
図8及び
図9を用いて説明をしたマーク312、314を更に印刷する。
【0073】
また、本変形例において、カッティング装置16は、ユーザによって指定される任意のマークをトンボ用マークとして使用できる。そして、この場合、制御装置12において、ユーザの操作に基づき、いずれのマークをトンボ用マークとして用いるかの選択をユーザから受け付ける(S304)。この場合、トンボ用マークとして用いるマークの指定については、例えば、
図8(b)に示すような画像及びマークが表示されている画面に対して、マークの所定の位置をユーザが指定することで行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、トンボ用マークとして用いるマークの指定をユーザから適切に受け付けることができる。また、この場合、ユーザが操作するコンピュータで実行する処理について、例えば、所定の形状のマーク等を選択する処理ではなく、マークの位置の指定を受け付ける処理等と考えることもできる。マークの位置の指定をユーザから受け付ける動作については、例えば、マーク位置指定処理の動作等と考えることができる。マーク位置指定処理については、例えば、コンピュータに対するユーザの操作によってトンボ用マークの位置を指定する処理等と考えることができる。より具体的に、本変形例のステップ304において、制御装置12は、画面にトンボ用マークが表示された状態で、トンボ用マークの位置を指定する操作をユーザから受け付ける。このような動作については、例えば、マークの位置を指定することでトンボ用マークを決定する処理の動作等と考えることもできる。また、この場合、トンボ用マークを決定することで、例えば、トンボとして用いるマークをソフトウェアに対して教える(ティーチングする)ことになる。そのため、このような動作について、例えば、トンボに関するティーチングを行うティーチングトンボの動作等と考えることもできる。
【0074】
また、更に具体的に、本変形例のステップS304において、制御装置12は、例えば、イラストレーター(登録商標)等の画像描画用のソフトウェアにおいて所定のプラグインソフトウェアを実行することで、上記の動作を行う。この場合、制御装置12を操作するユーザは、例えば、画面において画像204の周囲にマーク312、314が配置されている状態で、制御装置12にプラグインソフトウェアを実行させることで、トンボのティーチングのための機能を呼び出す。また、この場合、ユーザは、例えば、画像描画用のソフトウェアの機能により、マーク312、314用のレイヤー以外は非表示にして、位置基準マークの位置を指定する操作を行う。そして、ユーザは、例えば、ユーザの操作に応じて移動するアイコンであるティーチングアイコンにより、トンボ用マークの位置を指定する。例えば、マーク312のようなトリムマークをトンボ用マークとして用いる場合、ユーザは、マーク312の所定の位置にティーチングアイコンの位置に合わせることで、トンボ用マークの位置の指定を行う。また、これにより、制御装置12は、例えば、トンボ用マークの位置の指定をユーザから受け付ける。このように構成すれば、例えば、制御装置12において、ユーザの操作により、トンボ用マークを適切に決定し、トンボ用マークの位置を適切に取得できる。
【0075】
ここで、マーク312のようなトリムマークを用いる場合、例えば、マーク312において実際に描かれている線を延長した線の交点がマークにおける基準位置になる場合がある。そして、この場合、マークを構成する線が存在しない位置が基準位置になることで、ユーザの操作によって基準位置に対してティーチングアイコンを合わせることが難しくなることが考えられる。そのため、マーク312等のマークにおいてティーチングアイコンを合わせる位置は、マークの基準位置とは異なる位置であってもよい。この場合も、例えば、マークの基準位置に対する相対位置が既知の位置にティーチングアイコンを合わせることで、マークの位置を適切に取得できる。より具体的に、この場合、例えば、マーク312において複数の線が交わっている箇所(複数の線の交点)に対し、ティーチングアイコンを合わせることが考えられる。また、この場合、例えば、この交点と、マークの基準位置との位置関係に応じたオフセット距離を予め設定しておくことで、ユーザの操作に基づき、トンボ用マークの位置を適切に取得できる。
【0076】
また、本変形例において、いずれのマークをトンボ用マークとして用いるかの選択をユーザから受け付けた後、制御装置12は、トンボに関するその他の条件等の関連条件の設定をユーザから受け付ける(S306)。この場合、制御装置12は、例えば、ステップS304と同じプラグインソフトウェアを実行することで、ステップS306の動作を行う。また、この場合、ユーザは、例えば、画像描画用のソフトウェアの機能により、マーク312、314用のレイヤーを非表示に切り替え、カッティング装置16での加工位置を示す加工位置用のレイヤーを表示させた状態で、制御装置12に対し、関連条件の設定を行う。ステップS306において、制御装置12は、例えば、
図3を用いて上記において説明をした事項と同一又は同様の事項に関する設定をユーザから受け付ける。また、本変形例において、制御装置12は、例えば、トンボの検出箇所を示す設定や、検出すべきトンボの数に応じて検出の動作を繰り返す回数(連続回数)に関する設定を更にユーザから受け付ける。このように構成すれば、例えば、その後の動作において、ワーク50に描かれているトンボ用マークをより適切に検出できる。また、本変形例のステップS306において、制御装置12は、例えば、画像描画用のソフトウェアにおいてカットデータを出力する条件の設定を更にユーザから受け付ける。
【0077】
また、ステップS306の動作が行われた後、ワーク50の表側面をカッティング装置16におけるカッターと対向させてカッティング装置16にワーク50が設置された状態で、カッティング装置16は、ユーザの操作に応じて、ワーク50に印刷されているトンボ用マークを検出する(S308)。この場合、カッティング装置16は、例えば、制御装置12にカメラアプリを実行させることで、制御装置12と連携して、トンボ用マークを検出する。より具体的に、カッティング装置16は、例えば、カメラアプリの制御に応じて、ワーク50においてトンボ用マークが印刷されている領域をカメラ124に撮影させる。そして、カッティング装置16は、例えば、カメラ124によって撮影された画像が画面に表示された状態で、トンボ用マークの位置をユーザに指定させる。この場合、ユーザは、例えば、トンボ用マークが表示されている画面中でマウスカーソルを移動させ、ステップS304でユーザが指定した位置に対応する位置を選択する。このように構成すれば、例えば、ワーク50においてトンボ用マークが描かれている位置を指定する操作をユーザから適切に受け付けることができる。また、これにより、例えば、カッティング装置16及び制御装置12において、トンボ用マークの位置を適切に取得できる。
【0078】
ここで、上記においても説明をしたように、本変形例の動作については、例えば
図1~7を用いて説明した動作の一部に代えて行う動作等と考えることができる。この場合、ステップS302の動作については、例えば、
図1~7を用いて説明した動作で画像を印刷する動作に対応すると考えることができる。ステップS304の動作については、例えば、
図1~7を用いて説明した動作に対して追加する動作等を考えることができる。また、ステップS304の動作について、例えば、
図7におけるステップS204の動作に関連して追加する動作等と考えることもできる。ステップS306の動作については、例えば、
図1~7を用いて説明した動作において加工の条件を設定する動作の少なくとも一部に対応すると考えることができる。また、ステップS306の動作について、例えば、
図7におけるステップS206の動作に関連する動作等と考えることもできる。ステップS308の動作については、例えば、
図6におけるステップS108に対応する動作の少なくとも一部として行うことが考えられる。また、本変形例においても、例えば、
図1~7を用いて説明した動作と同一又は同様にして、ワーク50の隅の位置の検出(エッジの検出)等を更に行う。また、その後に、例えば、ワーク50を反転させ、裏面側でのエッジの検出、カットデータの補正等を行って、ワーク50に対する加工をカッティング装置16に実行させる。この場合、
図6のステップS108に対応する動作において、カッティング装置16は、例えば、
図6のステップS106に対応する動作で検知したワーク50の隅の位置と、ステップS308で検知したトンボ用マークの位置との位置関係を取得する。また、この場合、カッティング装置16は、例えば、ステップS304でユーザが指定した位置に基づき、例えば、トンボ用マークに対する画像の位置を判断する。このように構成すれば、本変形例においても、例えば、ワーク50に対し、裏側面からの加工を適切に行うことができる。また、この場合において、例えば、様々なマークをトンボ用マークとして適切に使用できる。
【0079】
また、本変形例においては、例えば、複数のマーク312をトンボ用マークとして用いることが考えられる。この場合、上記のように、ステップS306において、トンボの検出箇所を示す設定や、検出すべきトンボの数に応じて検出の動作を繰り返す連続回数に関する設定を行う。また、ステップS304及びS308において、例えば、使用するトンボ用マークの数に応じて、トンボ用マークの位置を指定する動作を繰り返す。また、本変形例において行う動作のうち、ステップS302~S306については、実行する順番を変更してもよい。このように構成した場合も、例えば、様々なマークをトンボ用マークとして適切に使用できる。また、本変形例において、トンボ用マークとして用いるマーク312については、例えば、画像204に対する相対位置が既知のマーク等と考えることができる。そして、トンボ用マークとして用いるマークの更なる変形例では、マーク312以外のマークをトンボ用マークとして用いてもよい。この場合、例えば、描画範囲の辺に沿った位置に印刷されるマーク314をトンボ用マークとして用いることが考えられる。また、マーク312に加えて、マーク314を更にトンボ用マークとして用いることも考えられる。更には、マーク312及びマーク314とは異なるマークを画像204と共に印刷して、そのマークをトンボ用マークとして用いてもよい。これらの場合も、例えば、トンボ用マークとして用いるマークの指定をユーザから受け付けることで、様々なマークをトンボ用マークとして適切に使用できる。また、この場合、例えば、トンボ用マークとして用いるマークの位置等に応じて、予め設定した条件に基づき、バウンディングボックス212を設定することが考えられる。また、バウンディングボックス212については、必ずしもトンボの位置に応じて決定するのではなく、画像描画用のソフトウェア等においてユーザの指示に基づいて決定してもよい。このように構成すれば、例えば、様々な位置に描かれるマークをトンボ用マークとしてより容易かつ適切に使用できる。また、トンボ用マークとして、例えば、画像204とは別に描かれるマークに限らず、画像204の中に含まれるパターン等を用いること等も考えられる。このように構成した場合も、例えば、画像204の中でトンボ用マークとして用いる箇所の指定をユーザから受け付けることで、その箇所にあるパターン等をトンボ用マークとして適切に利用できる。また、この場合、画像204において複数の線が交わる箇所等のような、ユーザによって位置の識別が行いやすい箇所をトンボ用マークとして用いることが好ましい。
【0080】
また、上記においては、ワーク50への加工に用いる加工具に関し、主に、カッターを用いる場合について、説明をした。しかし、上記においても説明をしたように、カッティング装置16においては、カッター以外の加工具を用いてもよい。この場合、上記において説明をしたワーク50の裏側面等に対する加工について、カッター以外の加工具で行ってもよい。より具体的に、カッティング装置16で用いる加工具としては、例えば、公知の様々な加工用のツールを用いることが考えられる。また、このようなツールとしては、例えば、ペンユニット、タンジェンシャルユニット、ルーターユニット等を用いることが考えられる。タンジェンシャルユニットとしては、例えば、押切り、レシプロ(振動カット)、Vカット用の刃、罫引きローラーを含む構成を用いることが考えられる。ルーターユニットとしては、例えば、エンドミルを含む構成を用いることが考えられる。また、様々な加工具を用いることを考えた場合、加工システム10において、カッティング装置16以外の加工装置を用いることも考えられる。また、上記においては、加工システム10で用いる加工装置に関し、主に、フラットベッドのカッティング装置16について、説明をした。しかし、加工システム10の構成の変形例においては、フラットベッド型以外の構成の加工装置を用いてもよい。
【0081】
また、上記においては、カッティング装置16で加工するワーク50に関し、主に、ワーク50の一方の面に画像及びトンボが描かれる例について、説明をした。この場合、画像について、例えば、ワーク50において成果物となる画像等と考えることができる。また、ワーク50において画像及びトンボが描かれる面について、表面側になると考えることができる。そして、ワーク50の裏側面について、例えば、画像及びトンボのいずれも描かれていない面等と考えることができる。これに対し、ワーク50の構成の変形例においては、例えば、ワーク50において画像が描かれる面の反対の側の面にトンボを描くこと等も考えられる。より具体的に、例えば、一方の面の色と他方の面の色とが異なるワーク50を用い、かつ、一方の面が濃い色で、他方の面が淡い色である場合等に、濃い色の面に画像を描く場合、画像と同じ面にトンボを描くと、トンボの検出が行い難くなる場合がある。そのため、このような場合、淡い色の面の側にトンボを描くことで、トンボの認識を行いやすくすることが考えられる。そして、この場合、上記において説明をした本例の動作との関連で考えると、トンボが印刷される側の面(淡い色の面)について、表側面に対応すると考えることができる。また、この場合、カッティング装置16は、例えば、表面側に描かれているトンボの検出結果等に基づき、裏側面に画像が描かれているワーク50に対し、裏側面の側から、加工を行う。
【0082】
また、カッティング装置16においては、例えば、サイズが大きいワーク50に対し、加工を行うことが考えられる。より、具体的に、カッティング装置16においては、例えば、2540mm x 1300mm~2540mm x 5080mm程度の加工範囲に入るサイズのワーク50に対し、加工を行うことが考えられる。そして、この場合、例えば、トンボの検出速度を向上させるための特徴を有するトンボを用いることも考えられる。より具体的に、例えば、丸トンボを用いる場合、任意の一つのトンボを最初に検出すべき第1トンボとして、そのトンボに対し、2番目に検出すべきトンボの方向を示す特定の形状を追加すること等が考えられる。また、この形状としては、例えば、四角形状の切り抜きの形状等を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、サイズの大きなワーク50を用いる場合等にも、トンボの検出をより効率的に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、例えば加工方法に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0084】
10・・・加工システム、102・・・ヘッド部、104・・・テーブル、106・・・ヘッド駆動部、108・・・操作部、110・・・制御部、12・・・制御装置、122・・・カッター、124・・・カメラ、14・・・印刷装置、16・・・カッティング装置、20・・・ネットワーク、202・・・トンボ、204・・・画像、206・・・破線、212・・・バウンディングボックス、302・・・カット原点、304・・・エッジ検出箇所、312・・・マーク、314・・・マーク、400・・・表示画面、402・・・設定用領域、404・・・設定用領域、406・・・出力ボタン、408・・・キャンセルボタン、50・・・ワーク