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特開2024-121803文書化方法、アセンブリ、医療デバイス、および文書化システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121803
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】文書化方法、アセンブリ、医療デバイス、および文書化システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240830BHJP
   A61B 90/00 20160101ALI20240830BHJP
【FI】
G16H40/00
A61B90/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024023690
(22)【出願日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】63/448,377
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516236908
【氏名又は名称】オリンパス・ヴィンター・ウント・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ユンバウアー
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン パーブスト
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ムークナー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリク ティママン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】再使用可能な医療デバイスのサービスおよび保守に使用するために、再使用可能な医療デバイスの再処理を確実かつ効率的に文書化すること。
【解決手段】文書化方法は、再処理中の医療デバイスの温度が第1の所定の閾値を超えたことを検出すると、文書化ユニットが、RTCによって提供される現在のタイムスタンプを受信して保存し、その後、文書化ユニットが低電力モードに設定される第1のステップ(S210)と、再処理中の医療デバイスの温度が第2の所定の閾値を下回ったことを検出すると、文書化ユニットをアクティブモードに設定し、文書化ユニットが、RTCによって提供される現在のタイムスタンプを受信して保存する第2のステップ(S240)とを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスの温度を表す温度データを提供するように構成された少なくとも1つの温度センサと、タイムスタンプを提供するように構成されたリアルタイムクロックと、前記少なくとも1つの温度センサの温度データおよび前記リアルタイムクロックのタイムスタンプを処理するように構成された文書化ユニットとを備える再使用可能な前記医療デバイスの再処理を文書化するための文書化方法であって、
前記再処理中の前記医療デバイスの前記温度が第1の所定の閾値を超えたことを検出すると、前記文書化ユニットが、前記リアルタイムクロックによって提供される現在のタイムスタンプを受信して保存し、その後、前記文書化ユニットが低電力モードに設定される第1のステップと、
前記再処理中の前記医療デバイスの前記温度が第2の所定の閾値を下回ったことを検出すると、前記文書化ユニットをアクティブモードに設定し、前記文書化ユニットが、前記リアルタイムクロックによって提供される現在のタイムスタンプを受信して保存する第2のステップと
を含む、文書化方法。
【請求項2】
前記リアルタイムクロックは、少なくとも1つのタイムスタンプをバッファリングするように構成され、
前記第2のステップでは、前記文書化ユニットが前記リアルタイムクロックによってバッファリングされた前記少なくとも1つのタイムスタンプを保存する、請求項1に記載の文書化方法。
【請求項3】
前記第1のステップと前記第2のステップとの間に、前記温度が前記第1の所定の閾値よりも高い第3の所定の閾値を超えたことを検出すると、前記リアルタイムクロックが現在のタイムスタンプを提供およびバッファリングする第3のステップをさらに含む、請求項2に記載の文書化方法。
【請求項4】
前記第1のステップと前記第2のステップとの間に、前記温度が前記第2の所定の閾値よりも高い温度に設定された第4の所定の閾値を下回ったことを検出すると、前記リアルタイムクロックが現在のタイムスタンプを提供およびバッファリングする第4のステップをさらに含む、請求項2に記載の文書化方法。
【請求項5】
前記第4のステップにおいて、前記第1のステップから経過した時間が所定の待機時間間隔を超えたという追加の条件を満たすことを必要とする、請求項4に記載の文書化方法。
【請求項6】
前記第1のステップにおいて、前記温度が前記第1の所定の閾値を超えたことを検出することが、第1の温度センサによって実施され、前記第2のステップにおいて、前記温度が前記第2の所定の閾値を下回ったことを検出することが、前記第1の温度センサまたは第2の温度センサによって実施される、請求項1に記載の文書化方法。
【請求項7】
保存された前記タイムスタンプおよび対応する前記閾値を前記文書化ユニットから読み出す第5のステップをさらに含む、請求項1に記載の文書化方法。
【請求項8】
保存された前記タイムスタンプおよび対応する前記閾値を分析するとともに、前記医療デバイスに適用された前記再処理を識別する第6のステップをさらに含む、請求項1に記載の文書化方法。
【請求項9】
医療デバイスの温度を表す温度データを提供するように構成された少なくとも1つの温度センサと、タイムスタンプを提供するように構成されたリアルタイムクロックと、前記少なくとも1つの温度センサの温度データおよび前記リアルタイムクロックのタイムスタンプを含む文書化データを処理するように構成された文書化ユニットとを備える再使用可能な前記医療デバイスの再処理を文書化するためのアセンブリであって、
前記少なくとも1つの温度センサは、前記温度が所定の閾値を超えたかまたは下回った場合に前記文書化ユニットにトリガコマンドを送信するように構成され、
前記文書化ユニットは、前記文書化データを保存するためのメモリと、前記少なくとも1つの温度センサから前記トリガコマンドを受信するように構成されたコマンドインターフェースとを備え、
前記文書化ユニットが、アクティブモードまたは低電力モードで実行するように構成される、アセンブリ。
【請求項10】
前記文書化ユニットが、マイクロコントローラまたはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または構成可能な混合信号集積回路(CMIC)を備える、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記リアルタイムクロックが、前記少なくとも1つの温度センサのうちの少なくとも1つから前記トリガコマンドを受信し、現在のタイムスタンプ信号をバッファリングするように構成される、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記文書化ユニットが前記リアルタイムクロックを含むか、または前記リアルタイムクロックが前記文書化ユニットとは別個のデバイスである、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項13】
第1の温度センサが、前記温度が第1の所定の閾値を超えた場合に前記文書化ユニットに前記トリガコマンドを送信するように構成され、前記第1の温度センサまたは第2の温度センサが、前記温度が第2の所定の閾値を下回った場合に前記文書化ユニットに前記トリガコマンドを送信するように構成される、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの温度センサの各々が、温度スイッチ、機械的温度センサ、電気的温度センサ、および集積回路温度センサのうちの1つである、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記文書化ユニットが、前記文書化データを外部データ処理デバイスに送信するための通信インターフェースを備える、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記外部データ処理デバイスが、インターネットに接続されたネットワークデバイスである、請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記文書化ユニットが、保存されたタイムスタンプおよび対応する前記閾値を分析し、前記医療デバイスに適用された前記再処理を識別するように構成される、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項18】
請求項1に記載の文書化方法を実行するように構成される、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項19】
請求項9に記載のアセンブリを備える、再使用可能な医療デバイス。
【請求項20】
請求項19に記載の再使用可能な医療デバイスと、前記再使用可能な医療デバイスを再処理するための再処理デバイスと、外部データ処理デバイスとを備える、再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するための文書化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するための文書化方法に関する。さらに、本発明は、再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するためのアセンブリに関する。さらに、本発明は、再使用可能な医療デバイス、ならびに再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するための文書化システムに関する。
【0002】
内視鏡または手術器具または手用器具などの再使用可能な医療デバイスは、各使用後に確実に洗浄および消毒されなければならない。この手順は、再使用可能な医療デバイスが別の患者のために準備されるため、「再処理」として知られている。典型的には、このような再処理は、プロセス化学物質を使用するかまたは熱的手段を使用する再処理デバイス、例えば洗浄消毒器で実施される。例えば、オートクレーブは、100℃を超える温度で加圧された飽和蒸気に曝露することによって機器を滅菌し、供給するために使用される。
【0003】
再使用可能な医療デバイスが経験する再処理サイクルを文書化することは、保守およびサービスに役立つ可能性がある。保守を担当するユーザ、製造業者および研究室は、医療デバイスが受けた再処理の数および種類から、例えば、デバイスが供された熱応力の大きさを推測することができる。これは、例えば定期的に交換する必要がある摩耗部品を交換するために、医療デバイスの定期的な保守を呼ぶ時期を決定するのに関連し得る。
【0004】
洗浄消毒器での再処理に適した再使用可能な医療デバイスでは、デバイスがそのような洗浄システムに何回プラグインされたかをカウントするカウンタを備え得ることが知られている。一部のタイプの再処理は、1回のプラグインのみを必要とするが、他のタイプの再処理は、プラグインおよびプラグ解除の反復サイクルを必要とする。これは、1回の再処理に対して複数のカウントを引き起こす可能性がある。
【0005】
さらに、洗浄消毒器などの再処理デバイスは、実施された再処理プロセスを追跡するように構成されてもよい。それには、再処理のタイプと再処理された医療デバイスとが互いに確実に割り当てられることを保証するためのかなりの管理努力を伴う。さらに、情報自体は、再処理デバイスでのみ利用可能であり、再使用可能な医療デバイスでは利用可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に再使用可能な医療デバイスのサービスおよび保守に使用するために、再使用可能な医療デバイスの再処理を確実かつ効率的に文書化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、医療デバイスの温度を表す温度データを提供するように構成された少なくとも1つの温度センサと、タイムスタンプを提供するように構成されたリアルタイムクロック(以下、RTCと記載)と、少なくとも1つの温度センサの温度データおよびRTCのタイムスタンプを処理するように構成された文書化ユニットとを備える再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するための文書化方法であって、再処理中の医療デバイスの温度が第1の所定の閾値を超えたことを検出すると、文書化ユニットが、RTCによって提供される現在のタイムスタンプを受信して保存し、その後、文書化ユニットが低電力モードに設定される第1のステップと、再処理中の医療デバイスの温度が第2の所定の閾値を下回ったことを検出すると、文書化ユニットをアクティブモードに設定し、文書化ユニットが、RTCによって提供される現在のタイムスタンプを受信して保存する第2のステップとを含む、文書化方法によって解決される。
【0008】
再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するための文書化方法は、以下の考慮事項に基づく。例えば保守前または保守中に医療デバイスの状態を判定するために、医療デバイスが曝露された再処理の持続時間および温度に関する情報を有することが役立つ。本開示の文書化方法によれば、これは、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを備えることができる、またはそれらによって実装することができる文書化ユニットを有する医療デバイスによって達成され、再処理のプロセスのどの時点で特定の温度閾値を交差したかを文書化し、それによって医療デバイス自体に再処理の持続時間を評価する簡単な手段を提供する。これは、マイクロプロセッサまたはFPGAの消費電力がより高い温度で著しく増加するため、以前は考慮されていなかった。したがって、本発明の概念は、所定の温度閾値を超える限り、ごく少数の必須構成要素を除いて、文書化ユニットを備える集積回路のほとんどの電源を切ることである。その間、低電力相の終了をトリガするRTCおよび温度センサは機能し続ける。高温でのこの低電力相の間に、単一のデータ時点および温度が測定およびバッファリング、すなわち一時的に保存され得る。再処理の終了を示す温度が検出されたとき、文書化ユニットは、データを保存、処理および通信する準備ができているアクティブモードに電源が戻される。
【0009】
再使用可能な医療デバイスは、内視鏡、ビデオ内視鏡、手術器具および手用器具のうちの1つであってもよい。例えば、このようなデバイスの再処理は、洗浄消毒器を使用して実施することができる。
【0010】
文書化ユニットは、集積回路、特にマイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはRenesas ElectronicsによるGreenPAK(商標)デバイスなどの構成可能な混合信号集積回路(CMIC)であってもよく、またはそれを備えてもよい。再使用可能な医療デバイスは、少なくとも1つの温度センサを備え、実施形態では、少なくとも2つの温度センサ、特に2つ、3つ、4つまたはそれ以上の温度センサを備える。各温度センサは、この温度センサに固有の所定の閾値にリンクされてもよく、それぞれの温度センサは、温度がその閾値を超えたかまたは下回ったことを検出するとトリガコマンドをトリガする。
【0011】
このようなトリガコマンドは、例えば、文書化ユニットを低電力モードまたはアクティブモードに設定する、文書化ユニットに送信されるコマンドであってもよい。好ましくは、低電力モードは超ディープスリープモードであり、電力を節約するために文書化ユニットのすべての必須ではない機能ユニットが停止される。低電力モードでは、文書化ユニットは、可能な限り低い消費電力を優先として実行することができる。低電力モードは、文書化ユニットによって使用される低い静止電流によって特徴付けられ得る。特に、任意の周辺機器が停止され、および/またはいくつかの汎用非同期送受信機(UART)が停止される。別の実施形態では、文書化ユニットは、低電力モードで、特に半導体スイッチを使用してオフにされてもよい。アクティブモードでは、文書化ユニットは、機能の最良の可用性を優先として実行することができる。
【0012】
文書化ユニットがRTCを備える実施形態では、RTCは、文書化ユニットの必須機能ユニットであり、文書化ユニットが低電力モードに設定されていても、機能し続けなければならない。
【0013】
さらなる実施形態では、RTCは、少なくとも1つのタイムスタンプをバッファリングするように構成され、第2のステップでは、文書化ユニットがRTCによってバッファリングされた少なくとも1つのタイムスタンプを保存する。少なくとも1つのタイムスタンプをバッファリングするために、RTCはバッファユニットを備えることができる。本発明の範囲内で、タイムスタンプをバッファリングすることは、タイムスタンプが文書化ユニットによって受信および保存される前に一時的にタイムスタンプを保存することに対応する。好ましくは、タイムスタンプをバッファリングすることは、可能な限り低いエネルギー消費で行われる。バッファリングは、文書化ユニットが低電力モードに設定されている間に少なくとも1つのタイムスタンプを記憶することを可能にし、再処理の文書化の精度を向上させることができる。
【0014】
再処理の効率的な文書化のために、閾値を、第1のステップおよび第2のステップで受信された対応するタイムスタンプ、ならびに文書化ユニットが低電力モードにある間にバッファリングされたタイムスタンプに関連付けることが望ましい場合がある。実施形態では、文書化ユニットは、タイムスタンプを第1の所定の閾値、第2の所定の閾値、および任意のさらなる所定の閾値と関連付けるように構成される。
【0015】
本文書化方法のために再使用可能な医療デバイスを準備するとき、所定の閾値は、少なくとも1つの温度センサおよび文書化ユニットの両方に実装されてもよい。これは、再処理の近似温度曲線が既知である実施形態において好ましい。次いで、文書化ユニットは、タイムスタンプを時系列にソートし、期待される順序での再処理の既知の近似温度曲線に基づいて、対応する所定の閾値と一致させることができる。
【0016】
さらなる実施形態では、第1のステップと第2のステップとの間に、温度が第1の所定の閾値よりも高い第3の所定の閾値を超えたことを検出すると、RTCによって提供される現在のタイムスタンプをバッファリングする第3のステップをさらに含む。所定の温度に対応する少なくとも1つの追加のタイムスタンプを取得することにより、再処理のより正確な文書化が可能になる。
【0017】
別の実施形態では、第1のステップと第2のステップとの間に、温度が第1の所定の閾値よりも高い少なくとも1つの第3の所定の閾値を超えたことを検出すると、RTCが現在のタイムスタンプを提供およびバッファリングする少なくとも1つの第3のステップをさらに含む。これにより、タイムスタンプを提供し、再処理温度曲線の上昇側でバッファリングして、電源が戻された後に文書化ユニットによって記録することができる。
【0018】
複数の第3の所定の閾値のうちの少なくとも1つを超えたときに各々が現在のタイムスタンプをバッファリングする複数の第3のステップは、再処理のより正確な文書化を可能にし、再処理温度曲線の上昇側を、再処理プロセスにおける異なるプログラムまたはステップに対応し得る複数の温度値でマッピングすることを可能にする。この実施形態では、2つ以上の第3の所定の閾値が存在し得る。例えば、第1のステップが60℃の温度を超えたときに実施される場合、1つ目の第3のステップは、80℃の1つ目の第3の閾値を超えたときに現在のタイムスタンプをバッファリングすることができ、2つ目の第3のステップは、110℃の2つ目の第3の閾値を超えたときに現在のタイムスタンプをバッファリングすることができる。複数の第3の閾値はまた、その一部がより低い温度閾値のみを超え、他がより高い温度閾値も超え得る異なる再処理プログラム間で区別するために使用することができる。
【0019】
閾値を対応するタイムスタンプと関連付けるために、RTCのバッファユニットは、スロットごとに1つのタイムスタンプをバッファリングするための少なくとも1つのバッファスロットを備えることができ、本文書化方法のために再使用可能な医療デバイスを準備するとき、所定の閾値は、少なくとも1つの温度センサに実装することができ、第1のステップおよび第2のステップの閾値を除く各所定の閾値は、1つ以上のバッファスロットに割り当てられる。所与の閾値の温度を超えたかまたは下回ったことを検出すると、RTCは、対応する閾値に割り当てられた特定のバッファスロットに現在のタイムスタンプを提供し、バッファリングする。この実施形態では、本文書化方法のために再使用可能な医療デバイスを準備するとき、文書化ユニットに、バッファスロットおよびそれらの対応する閾値の情報が供給される。例えば、文書化ユニットに、少なくとも1つの温度センサの閾値の情報が、どの閾値がどのバッファスロットに割り当てられているかの情報と共に供給される。したがって、文書化ユニットは、所定の閾値をバッファユニットの対応するバッファスロットと関連付けるように構成され得る。第2のステップにおいてタイムスタンプを保存するとき、タイムスタンプは、バッファスロットに対応する、対応する所定の閾値に関連付けられてもよい。
【0020】
別の実施形態では、バッファは、RTCにタイムスタンプを提供するように促した閾値または温度センサのインジケータを伴う、その後に提供されるタイムスタンプで満たされる後続のスロットを備えるように構成されてもよい。次いで、バッファの読み出しは、閾値または温度センサのインジケータと共にバッファリングされたタイムスタンプを提供する。
【0021】
さらなる実施形態では、第1のステップと第2のステップとの間に、温度が第2の所定の閾値よりも高い温度に設定された第4の所定の閾値を下回ったことを検出すると、RTCによって提供される現在のタイムスタンプをバッファリングする第4のステップをさらに含む。再処理の追加の時間データおよび温度データを取得することにより、より正確な文書化が可能になる。
【0022】
別の実施形態では、第1のステップと第2のステップとの間に、温度が第2の所定の閾値よりも高い温度に設定された少なくとも1つの第4の所定の閾値を下回ったことを検出すると、RTCが現在のタイムスタンプを提供およびバッファリングする少なくとも1つの第4のステップをさらに含む。これにより、タイムスタンプを提供し、再処理温度曲線の下降側でバッファリングして、電源が戻された後に文書化ユニットによって記録することができる。これはまた、再処理のより正確できめ細かい文書化を可能にする。この実施形態では、2つ以上の第4の所定の閾値が存在し得る。例えば、医療デバイスの温度が40℃を下回ったときに第2のステップが実施される場合、1つ目の第4のステップは、100℃の1つ目の第4の閾値を下回ったときに現在のタイムスタンプをバッファリングすることができ、2つ目の第4のステップは、70℃の2つ目の第4の閾値を下回ったときに現在のタイムスタンプをバッファリングすることができる。
【0023】
再処理プログラムの温度曲線に応じて、第3のステップと第4のステップとは任意の順序で実施することができ、すなわち、第3のステップは第4のステップの前に実施されてもよく、第4のステップは第3のステップの前に実施されてもよい。有利には、少なくとも1つの第3の閾値は、少なくとも1つの第4の閾値と同じであり得る。これにより、温度がこの温度閾値を超えた持続時間の文書化が可能になる。
【0024】
複数の第4の所定の閾値のうちの少なくとも1つを超えたときに各々が現在のタイムスタンプをバッファリングする複数の第4のステップは、再処理のより正確な文書化を可能にし、再処理温度曲線の下降側を、再処理プロセスにおける異なるプログラムまたはステップに対応し得る複数の温度値でマッピングすることを可能にする。この実施形態では、2つ以上の第4の所定の閾値が存在し得る。例えば、温度が40℃を下回ったときに第2のステップが実施される場合、1つ目の第4のステップは、100℃の1つ目の第4の閾値を下回ったときに現在のタイムスタンプをバッファリングすることができ、2つ目の第4のステップは、60℃の2つ目の第4の閾値を下回ったときに現在のタイムスタンプをバッファリングすることができる。複数の第4の閾値はまた、再処理プログラムの最高温度に応じて、その一部がより低い温度閾値のみを下回り、他もより高い温度閾値を下回り得る異なる再処理プログラム間で区別するために使用することができる。
【0025】
さらなる実施形態では、RTCが現在のタイムスタンプを提供およびバッファリングする第4のステップにおいて、第1のステップから経過した時間が所定の待機時間間隔を超えたという追加の条件を満たすことを必要とする。これにより、温度の変動の可能性が排除されるため、再処理のより正確な文書化が可能になる。これはさらに、追加の時間条件により、必要なバッファリングされたタイムスタンプの数を最小限に抑えることが可能になるので、電力を節約することができる。
【0026】
他の実施形態では、RTCが現在のタイムスタンプを提供およびバッファリングする第4のステップにおいて、所定の第3のステップまたは別の所定の第4のステップから経過した時間が所定の待機時間間隔を超えたという追加の条件を満たすことを必要とする。これによりまた、再処理のより制御された文書化が可能になる。
【0027】
さらなる実施形態では、第1のステップにおいて、温度が第1の所定の閾値を超えたことを検出することは、第1の温度センサによって実施され、第2のステップにおいて、温度が第2の所定の閾値を下回ったことを検出することは、第1の温度センサまたは第2の温度センサによって実施される。これは、低い消費電力および温度センサの簡単な構造という利点を保持する。
【0028】
各追加の第3のステップまたは第4のステップは、別個の温度センサによって実施されてもよい。したがって、医療デバイスは、第1~第4のステップが本文書化方法に含まれるのと同じ数の温度センサを含むことができる。他の実施形態では、同じ温度センサによって複数のステップが実施され、例えば、温度センサは、同じ所定の温度の閾値に対して第3のステップおよび第4のステップを実施するように構成される。別の実施形態では、温度センサは、追加の第3のステップまたは追加の第4のステップを複数回実施するように、すなわち、1回を超えて所定の閾値を超えるかまたは下回る場合、現在のタイムスタンプを複数回バッファリングするように構成される。
【0029】
さらなる実施形態では、本文書化方法は、保存されたタイムスタンプおよび対応する閾値を文書化ユニットから読み出す第5のステップをさらに含む。読み出しにより、再処理の文書化のより効率的な分析、ならびに異なるデバイスの再処理間の比較、および文書の効果的なアーカイブが可能になる。第5のステップは、例えば定期的に、特に医療デバイスのユーザによって、例えば毎日、毎週または毎月、保守、サービスもしくは修理中または定期的な使用中に実施されてもよい。実施形態では、第4のステップは、有線接続を使用して実施されるか、または無線接続を使用して実施される。
【0030】
別の実施形態では、第4のステップは、保存されたタイムスタンプを文書化ユニットから読み出すことを含むことができる。この実施形態では、対応する温度閾値は別々に文書化され、例えば、温度閾値は、医療デバイスの製造によって事前定義されたデフォルト温度閾値であり得る。
【0031】
さらなる実施形態では、本文書化方法は、保存されたタイムスタンプおよび対応する閾値を分析するとともに、医療デバイスに適用された再処理を識別する第6のステップをさらに含む。デバイスの再処理の分析により、医療デバイスの現在の状態のより良い理解が可能になり、例えば、必要な保守または推奨される摩耗部品の交換を示すことが可能になる。単純な形態の分析では、第6のステップは、例えば、医療デバイスが受けた再処理の回数を判定することを可能にする。
【0032】
一実施形態では、第6のステップは、医療デバイスに適用された再処理のプロセスを、プロセス化学を用いた処理による再処理またはオートクレーブによる再処理として識別することを含む。
【0033】
第5のステップおよび第6のステップは後続のステップであってもよく、第6のステップは第5のステップに続いてもよく、または第5のステップは第6のステップに続いてもよい。第6のステップ、すなわち分析ステップは、文書化ユニットによって実施されてもよく、または外部データ処理デバイスによって実施されてもよい。第6のステップは、保守もしくはサービス中に実施されてもよく、または医療デバイスの定期的な使用中に実施されてもよい。
【0034】
一実施形態では、第6のステップは、第2のステップのタイムスタンプおよび第1のステップのタイムスタンプを減算することによって再処理持続時間の時間間隔を計算することを含む。このようにして、再処理持続時間差Δtが得られる。有利には、第6のステップは、文書化ユニットによって保存されたタイムスタンプ間の2つ以上の差を計算することを含む。これは、第3のステップまたは第4のステップでバッファリングされ、第2のステップで保存されたすべてのタイムスタンプを含む。
【0035】
一実施形態では、本文書化方法は、特にその間に追加の第3のステップおよび/または第4のステップを含む、第1のステップおよび第2のステップの複数のサイクルを実施するステップと、続いて1つの第5のステップおよび/または1つの第6のステップを実施するステップとを含む。
【0036】
第6のステップは、医療デバイスに適用された再処理の識別を支援するためのコンピュータベースの決定支援システム(CDSS)によって実施または支援され得る。CDSSは、人工知能(AI)モデルによって入力パラメータを処理し、予測出力を生成するように構成することができる。
【0037】
本目的はまた、医療デバイスの温度を表す温度データを提供するように構成された少なくとも1つの温度センサと、タイムスタンプを提供するように構成されたRTCと、少なくとも1つの温度センサの温度データおよびRTCのタイムスタンプを含む文書化データを処理するように構成された文書化ユニットとを備える再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するためのアセンブリであって、少なくとも1つの温度センサは、温度が所定の閾値を超えたかまたは下回った場合に文書化ユニットにトリガコマンドを送信するように構成され、文書化ユニットは、文書化データを保存するためのメモリと、温度センサからトリガコマンドを受信するように構成されたコマンドインターフェースとを備えるとともに、アクティブモードまたは低電力モードで実行するように構成される、アセンブリによって解決される。このようなアセンブリにより、医療デバイスにおいて上述の方法を実施することが可能になる。
【0038】
アセンブリは、埋め込みシステムであってもよい。アセンブリは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの温度センサを備えることができる。これは、アセンブリが追加の第3のステップまたは第4のステップを実施するように構成されている場合に特に有用である。
【0039】
文書化ユニットは、集積回路であってもよい。好ましくは、文書化ユニットの低電力モードは、上述のように超ディープスリープモードである。温度センサから文書化ユニットに送信されるトリガコマンドは、例えば、文書化ユニットをアクティブモードに設定するか、文書化ユニットを低電力モードに設定するか、または現在のタイムスタンプを保存するためのコマンドである。
【0040】
コマンドインターフェースは、コマンドを受信および/または送信するように構成された、コンピュータハードウェアデバイス、特に集積回路の一部であってもよい。一実施形態では、コマンドインターフェースは、汎用非同期送受信機(UART)などのシリアル通信を可能にするインターフェースであってもよい。
【0041】
さらなる実施形態では、文書化ユニットは、マイクロコントローラまたはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または構成可能な混合信号集積回路(CMIC)を備える。好ましくは、文書化ユニットは、集積回路である。マイクロコントローラを使用することにより、文書化ユニットの無線通信能力などのより多くの機能が可能になり、文書化ユニットの恒久的な管理が可能になる。フィールドプログラマブルゲートアレイは、低い消費電力および簡単な実装という利点を保持する。一実施形態では、CMICは、Renesas ElectronicsによるGreenPAK(商標)デバイスである。
【0042】
一実施形態では、アセンブリおよび/または文書化ユニットは、モノのインターネットデバイスである。
【0043】
さらなる実施形態では、RTCは、温度センサのうちの少なくとも1つからトリガコマンドを受信し、現在のタイムスタンプ信号をバッファリングするように構成される。そのような実施形態では、温度センサのうちの少なくとも1つは、現在のタイムスタンプ信号をバッファリングするように、RTCにトリガコマンドを送信するように構成される。RTCは、複数のタイムスタンプをバッファリングするように構成され得る。
【0044】
さらなる実施形態では、文書化ユニットはRTCを含むか、またはRTCは文書化ユニットとは別個のデバイスである。本発明の範囲において、別個のデバイスとは、RTCが文書化ユニットの一体型の構成要素ではないことを意味する。これにより、特に文書化ユニットが低電力モードに設定されている場合、より低い消費電力が可能になる。RTCを備える文書化ユニットは、アセンブリの費用効率が高く簡単な設計という利点を保持する。文書化ユニットがRTCを備える場合、RTCは、上述の文書化方法の第1のステップと第2のステップとの間に必須であるため、低電力モードで機能し続けなければならない。
【0045】
さらなる実施形態では、第1の温度センサは、温度が第1の所定の閾値を超えた場合に文書化ユニットにトリガコマンドを送信するように構成され、第1の温度センサまたは第2の温度センサは、温度が第2の所定の閾値を下回った場合に文書化ユニットにトリガコマンドを送信するように構成される。文書化ユニットを低電力モードおよびアクティブモードに設定するための温度閾値を検出するために2つの別個の温度センサを使用することにより、アセンブリの信頼できる使用、したがって本方法の信頼できる性能、ならびに文書化ユニットの集積回路の費用効率の高い設計が可能になる。
【0046】
実施形態では、アセンブリは、温度が第3の所定の閾値を超えた場合、現在のタイムスタンプ信号をバッファリングするためにRTCにトリガコマンドを送信するように構成された第3の温度センサを備え、および/または、第4の温度センサは、温度が第4の所定の閾値を下回った場合、現在のタイムスタンプ信号をバッファリングするためにRTCにトリガコマンドを送信するように構成される。
【0047】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの温度センサの各々は、温度スイッチ、機械的温度センサ、電気的温度センサ、および集積回路温度センサのうちの1つである。温度スイッチは単純な設計という利点を有し、機械的温度センサおよび電気的温度センサは低い消費電力という利点を有し、および集積回路温度センサは、例えば複数の閾値の使用に関する高い柔軟性という利点を有する。一実施形態では、各温度センサに、閾値を超える温度および/または閾値を下回る温度を検出したときに文書化ユニットをトリガするための、またはRTCをトリガするための閾値が割り当てられる。各温度センサは、閾値を超える温度または閾値を下回る温度の両方を検出するように、ならびに、閾値を超え、かつ閾値を下回る温度を検出するように構成されてもよい。
【0048】
さらなる実施形態では、文書化ユニットは、文書化データを外部データ処理デバイスに送信するための通信インターフェースを備える。第5のステップに関して、上述したように、これにより、医療デバイスの再処理のより信頼できる効率的な文書化が可能になる。外部データ処理デバイスは、再処理デバイス、特に洗浄消毒器またはオートクレーブであってもよい。別の実施形態では、外部データ処理デバイスは、医療デバイス管理システムとして機能するコンピュータまたはサーバである。他の実施形態では、例えば、文書化ユニットがFPGAを備える場合、外部データ処理デバイスは、それ自体がコンピュータに接続されている医療デバイス文書化ユニットを読み出すための特定のハンドヘルド電子デバイスであってもよい。後者の実施形態は、サービスまたは保守中に文書化データを送信するのに特に適している。
【0049】
一実施形態では、通信インターフェースは、有線通信用に構成されるか、または無線通信用に構成される。例えば、通信インターフェースは、USBインターフェース、UARTインターフェースまたは無線ローカルエリアネットワークコントローラであってもよい。
【0050】
さらなる実施形態では、外部データ処理デバイスは、インターネットに接続されたネットワークデバイスである。このようにして、医療デバイスの再処理の継続的な文書化および管理が可能である。特に、インターネットに接続されたネットワークデバイスは、サーバベースの処理システムである。アセンブリは、モノのインターネットデバイスであってもよい。
【0051】
この実施形態では、文書化ユニットがマイクロコントローラを備えることが特に好ましい場合がある。これは、外部コンピュータシステムと通信するために文書化ユニットの能力を向上させ、保守または修理の設定外でも簡単な通信を可能にする。
【0052】
さらなる実施形態では、文書化ユニットは、保存されたタイムスタンプおよび対応する閾値を分析し、医療デバイスに適用された再処理を識別するように構成される。このような分析により、医療デバイスの状態および実施された再処理のより良い理解が可能になる。
【0053】
一実施形態では、文書化ユニットは、医療デバイスに適用された再処理を、プロセス化学を用いた処理による再処理またはオートクレーブによる再処理として識別するように構成される。
【0054】
別の実施形態では、外部データ処理デバイスは、保存されたタイムスタンプおよび対応する閾値を分析し、医療デバイスに適用された再処理を識別するように構成される。
【0055】
外部データ処理デバイスは、医療デバイスに適用された再処理の識別を支援するためのコンピュータベースの決定支援システム(CDSS)を備えることができる。一実施形態では、CDSSは、人工知能(AI)モデルによって入力パラメータを処理し、予測出力を生成するように構成される。予測出力は、医療デバイスに適用された再処理のタイプを含むことができる。
【0056】
さらなる実施形態では、アセンブリは、上述の文書化方法を実行するように構成される。
【0057】
本目的はまた、上述のアセンブリを備える再使用可能な医療デバイスによって解決される。
【0058】
本目的は、上述の再使用可能な医療デバイスと、再使用可能な医療デバイスを再処理するための再処理デバイスと、外部データ処理デバイスとを備える、再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するための文書化システムによってさらに解決される。このような文書化システムを使用することによって、医療デバイスの再処理および再処理の文書化の全プロセスを効率的かつ確実に実施することができる。
【0059】
上述の文書化方法ならびにアセンブリ、再使用可能な医療デバイス、および文書化システムは、本発明のいくつかの態様を構成する。アセンブリ、医療デバイス、文書化システム、およびその構成要素は、上述の文書化方法をそのすべての実施形態に組み込むように設定される。本文書化方法は、本発明の範囲内で、再使用可能な医療デバイスまたは文書化システムのアセンブリの上述の構成要素を使用して組み込むことができる。
【0060】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲および含まれる図面と共に本発明による実施形態の説明から明らかになるであろう。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組み合わせを満たすことができる。
【0061】
本発明は、本発明の一般的な意図を制限することなく、例示的な実施形態に基づいて以下に説明され、本文でより詳細に説明されていない本発明によるすべての詳細の開示に関して図面を明示的に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】再使用可能な医療デバイスの再処理の第1の実施形態中の温度T対時間tの概略図である。
図2】再使用可能な医療デバイスの再処理の第1の実施形態を文書化するための文書化方法の一実施形態の概略図である。
図3】再使用可能な医療デバイスの実験的再処理中の温度Tおよび電流J対時間tの図である。
図4】再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するための文書化方法の他の実施形態のブロック図である。
図5】再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するためのアセンブリの第1の実施形態の概略図である。
図6】再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するための文書化システムの第1の実施形態の概略図である。
図7】コンピュータベースの決定支援システムによって実施されるステップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、再使用可能な医療デバイス91の再処理の第1の実施形態の過程における温度Tの概略図を示す。この実施形態では、再処理は、内視鏡のオートクレーブにおける熱的な再処理である。横軸には、時間tが分単位でプロットされている。再処理の開始から約20分後、内視鏡の温度TはT=140℃のレベルまで上昇を開始し、140℃の温度で、医療デバイスは25分間留まる。その後、温度は10℃の元の温度まで連続的に低下し、この温度には再処理の開始後100分後に到達する。
【0064】
再処理のこの実施形態では、文書化のために、医療デバイス91の温度の閾値は、60℃を超える(閾値1、T1)、55℃を下回る(閾値2、T2)、90℃を超える(閾値3、T3)、および85℃を下回る(閾値4、T4)として事前定義される。ここで、T1およびT2、ならびにT3およびT4は、それぞれ5ケルビンの温度差で設定され、それによって、システムの温度依存応答にヒステリシスが導入される。他の実施形態では、T1およびT2ならびに/またはT3およびT4は、それぞれ異なる温度または同じ温度で事前定義されてもよい。
【0065】
図2は、再使用可能な医療デバイス91の再処理の第1の実施形態を文書化するための文書化方法の一実施形態の概略図を示す。図2は、本発明の一実施形態による文書化方法を使用して、図1に示すような再処理がどのように文書化されるかを説明する。第1の温度センサ30が医療デバイス91の温度を監視し、温度が第1の閾値T1、この場合60℃を超えたことを検出すると、第1の温度センサ30は文書化ユニット50をトリガする。この実施形態では、文書化ユニット50は、マイクロコントローラ51である。文書化ユニット50は、第1の温度センサ30からトリガコマンドを受信し、ステップ(a)(S210)に従って、リアルタイムクロック(以下、RTCと記載)40からタイムスタンプを受信し保存する(58)。その後、文書化ユニット50は、低電力モードに設定される(54)。ステップ(a)(S210)は、本発明に係る第1のステップに相当する。
【0066】
再処理のさらなる過程では、90℃の温度を超え、その結果、第2の温度センサ32が第3の閾値T3を超えたことを検出し、したがって、RTC40をトリガしてタイムスタンプをバッファリングする(42)。これは、ステップ(b1)(S220)の一実施形態である。ステップ(b1)(S220)は、本発明に係る第3のステップに相当する。
【0067】
再処理は、温度が最大まで上昇することを含み、継続する。第4の閾値T4を下回ると、第2の温度センサ32はRTC40を再度トリガして別のタイムスタンプをバッファリングする(42)。これは、ステップ(b2)(S230)の一実施形態である。ステップ(b2)(S230)は、本発明に係る第4のステップに相当する。例えば、第4のステップにおいて、第1のステップから経過した時間が所定の待機時間間隔を超えたという追加の条件を満たすことを必要とする。
【0068】
次のステップ(b)(S240)は、医療デバイス91の温度が第2の閾値T2を下回ったことを第1の温度センサ30が検出した場合に実施される。第1の温度センサ30は、文書化ユニット50をトリガして、文書化ユニット50をアクティブモードに設定し(56)、続いて、RTC40からタイムスタンプを受信し保存する(58)。さらに、文書化ユニット50は、RTC40によってバッファリングされた任意のタイムスタンプ、すなわち、閾値T3およびT4についてステップ(b1)およびステップ(b2)の両方でバッファリングされたタイムスタンプを保存する。ステップ(b)(S240)は、本発明に係る第2のステップに相当する。
【0069】
図2に示す実施形態では、閾値T3、T4は、同じ温度センサ、すなわち第2の温度センサ32によって検出される。別の実施形態では、閾値T3およびT4の両方は、別個の温度センサによって検出されてもよい。第1の温度センサ30によって検出される閾値についても同様である。
【0070】
図3は、再使用可能な医療デバイス91の実験的再処理中の時間tに対する温度Tおよび電流Jの図を示す。再処理は、図1に示すように温度曲線に従い、図3に示すデータについては、再処理サイクルが2回実施される。
【0071】
グラフは、ステップ(a)(S210)およびステップ(b)(S230)について、すなわちT1を超え、T2を下回るとき、文書化ユニット50を含むアセンブリ80によって使用される電流Jが15μAを超える高いスパイクを示すことを示している。これらの瞬間に、文書化ユニット50がそれぞれ低電力モードまたはアクティブモードに設定されるので、消費電力が増加する。
【0072】
それ以外に、図3は、医療デバイス91内の温度が高いにもかかわらず、電流Jが15μA未満の低電流に保たれるという、医療デバイス91の再処理を文書化する本文書化方法の効果を示す。ステップ(b1)における電流Jの急激な増加およびステップ(b2)における電流Jの急激な減少は、温度閾値T3およびT4を検出する第2の温度センサ32におけるオープンドレイン出力の使用に起因する。他のタイプの温度センサ、例えばプッシュプル出力温度センサを本発明と共に使用することができる。プッシュプル出力により、さらに小さい消費電力が可能になる。
【0073】
ステップ(b)(S240)において文書化ユニット50をアクティブモードに設定した後、この実施形態では、本文書化方法は、ステップ(d)(S260)を含み、その結果、保存されたタイムスタンプおよび対応する閾値が分析される。文書化ユニット50は、図1に示すように、ステップ(b2)(S230)およびステップ(a)(S210)のタイムスタンプ間の時間差としてΔtを含めて、タイムスタンプ間の時間差を計算する。
【0074】
図4は、再使用可能な医療デバイスの再処理を文書化するための文書化方法の4つの他の実施形態の4つのブロック図を示す。このような文書化方法の最も単純な実施形態は、ステップ(a)(S210)およびステップ(b)(S240)を含む。別の実施形態は、ステップ(a)(S210)とステップ(b)(S240)との間に追加のステップ(b2)(S230)を含む。
【0075】
図4aは、後続のステップ(a)(S210.1)、ステップ(b1)(S220.1)、2つのステップ(b2)(S230.1、S230.2)およびステップ(b)(S240.1)を含む例示的な文書化方法を示す。2つのステップ(b2)(S230.1、S230.2)は、異なる所定の閾値を有するので、再処理に関するより多くの情報が文書化される。
【0076】
図4bは、2つのステップ(b1)(S220.2、S220.3)ならびに2つのステップ(b2)(S230.3、S230.4)を含む文書化方法を記載する。温度閾値は、図4aに既に示されているステップとは異なる。ステップ(b)(S240)において文書化ユニット50をアクティブモードに設定した後、ステップ(d)(S260)およびステップ(c)(S250)が実施される。ステップ(c)(S250)は、本発明に係る第5のステップに相当する。この第5のステップは、保存されたタイムスタンプおよび対応する閾値を文書化ユニット50から読み出すステップである。また、ステップ(d)(S260)は、本発明に係る第6のステップに相当する。この第6のステップは、保存されたタイムスタンプおよび対応する閾値を分析するとともに、医療デバイス91に適用された再処理を識別するステップである。
【0077】
図4cは、後続のステップ(b1)およびステップ(b2)を混合することによって前の例とは区別される。ステップ(b1)(S220.4)およびステップ(b2)(S230.5)の後、別のステップ(b1)(S220.5)およびステップ(b2)(S230.6)が実施される。これは、特定のタイプの再処理中に温度が複数回上昇および低下する場合に有用であり得る。図4cに記載の文書化方法の最後に、ステップ(c)(S250)およびステップ(d)(S260)が実施される。
【0078】
図4dは、ステップ(b1)(S220)を伴わない文書化方法の一実施形態を示す。
【0079】
図5は、再使用可能な医療デバイス91の再処理を文書化するためのアセンブリ80の第1の実施形態の概略図を示す。アセンブリ80は、第1の温度センサ30と、第2の温度センサ32と、第3の温度センサ34と、RTC40と、文書化ユニット50とを備え、文書化ユニット50はマイクロコントローラ51であり、メモリ82と、コマンドインターフェース84と、通信インターフェース85とを備える。通信インターフェース85は、無線ローカルエリアネットワークインターフェースであってもよい。RTC40は、文書化ユニット50に含まれてもよく、あるいは、文書化ユニット50とは別個のデバイスとして構成してもよい。第1~第3の温度センサ30,32,34の各々は、温度スイッチ、機械的温度センサ、電気的温度センサ、および集積回路温度センサのうちの1つである。
【0080】
図6は、再使用可能な医療デバイス91の再処理を文書化するための文書化システム90の第1の実施形態の概略図を示し、文書化システム90は、アセンブリ80を備える再使用可能な医療デバイス91と、再処理デバイス92と、外部データ処理デバイス93とを備える。この実施形態では、再使用可能な医療デバイス91はビデオ内視鏡であり、再処理デバイス92は洗浄消毒器であってもよく、外部データ処理デバイス93はビデオ内視鏡の制御ユニットである。
【0081】
図7は、入力パラメータ121に関して医療デバイス91に適用された再処理を識別するように構成されたコンピュータベースの決定支援システム(CDSS)100によって実施されるステップの概略図を示す。様々な実施形態では、CDSS100は、再処理された医療デバイス91に固有の、所定の再処理データ105、および文書化ユニット50などの追加の入力データソース107からの追加の入力データ106に基づく入力パラメータを人工知能(AI)モデル120への入力特徴として提供する入力インターフェース110と、入力パラメータがAIモデルに適用されて医療デバイス91に適用された再処理などの予測出力131を生成する推論演算を実施するプロセッサと、特に信頼スコア132を含む予測出力131をユーザ、例えば医療スタッフもしくはサービス技術者に、または文書化ユニット50もしくは外部データ処理デバイス93に通信する出力インターフェース130とを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、入力インターフェース110は、入力特徴の少なくともいくつかを生成するCDSS100と1つ以上のデータソース102、107との間の直接データリンクであってもよい。例えば、入力インターフェース110は、再処理識別手順中にタイムスタンプおよび/または閾値をCDSS100に直接送信することができる。追加的または代替的に、入力インターフェース110は、ユーザとCDSS100との間の対話を容易にする古典的なユーザインターフェースであってもよい。例えば、入力インターフェース110は、ユーザが医療デバイスの温度のタイムスタンプおよび/または閾値を手動で入力することができるユーザインターフェースを容易にすることができる。追加的または代替的に、入力インターフェース110は、CDSS100に、持続時間および温度プロファイルなどの異なるタイプの再処理に関する一般的なデータである、所定の再処理データを提供する再処理タイプデータベース102へのアクセスを提供することができ、再処理タイプデータベース102から1つ以上の入力特徴を抽出することができる。これらの場合のいずれにおいても、入力インターフェース110は、医療デバイス91に適用された再処理を識別するためにCDSS100が使用される時点で、またはそれより前に、特定の医療デバイス91に関連する以下の入力特徴のうちの1つ以上を収集するように構成される。入力特徴(111、112、113、...、118)は、タイムスタンプ、閾値、さらに保存された温度データ、医療デバイス91のタイプなどのパラメータであってもよい。他の実施形態では、CDSS100の入力インターフェース110は、他の入力パラメータをさらに含む。
【0083】
上記の入力特徴のうちの1つ以上に基づいて、プロセッサは、AIモデル120を使用して推論演算を実施して予測出力131を生成する。例えば、入力インターフェース110は、対応する閾値を含む、ステップ(a)、ステップ(b)、ステップ(b1)、および2つのステップ(b2)で保存またはバッファリングされたタイムスタンプの入力パラメータ121をAIモデル120の入力層121に配信することができ、AIモデル120を介してこれらの入力特徴を出力層127に伝搬する。AIモデル120は、データの分析で見つかったパターンに基づいて推論を行うことによって、明示的にプログラムされることなくタスクを実施する能力をコンピュータシステムに提供することができる。AIモデル120は、既存のデータから学習し、新しいデータに関する予測を行うことができるアルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)の研究および構築を探索する。このようなアルゴリズムは、出力または評価として表されるデータ駆動の予測または決定を行うために、例示的な訓練データからAIモデルを構築することによって動作する。
【0084】
機械学習(以下、MLと記載)には、教師ありMLと教師なしMLの2つの一般的なモードがある。教師ありMLは、事前知識(例えば、入力を出力または結果に相関させる例)を使用して、入力と出力との間の関係を学習する。教師ありMLの目標は、いくつかの訓練データが与えられて、訓練入力と訓練出力との間の関係を最もよく近似する関数を学習することであり、その結果、MLモデルは、所与の入力が与えられたときに同じ関係を実装して対応する出力を生成することができる。教師なしMLは、分類もラベル付けもされていない情報を使用し、アルゴリズムが案内なしにその情報に作用することを可能にするMLアルゴリズムの訓練である。教師なしMLは、データ内の構造を自動的に識別することができるため、探索的分析に有用である。
【0085】
教師ありMLの一般的なタスクは、分類問題および回帰問題である。分類問題は、カテゴリー分類問題とも呼ばれ、項目をいくつかのカテゴリー値(例えば、この物体はリンゴかオレンジか?)のうちの1つに分類することを目的とする。回帰アルゴリズムは、(例えば、何らかの入力の値にスコアを提供することによって)いくつかの項目を定量化することを目的とする。一般的に使用される教師ありMLアルゴリズムのいくつかの例は、ロジスティック回帰(LR)、ナイーブベイズ、ランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(NN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、行列因子分解、およびサポートベクターマシン(SVM)である。
【0086】
教師なしMLのためのいくつかの一般的なタスクは、クラスタリング、表現学習、および密度推定を含む。一般的に使用される教師なしMLアルゴリズムのいくつかの例は、K平均クラスタリング、主成分分析、およびオートエンコーダである。
【0087】
別のタイプのMLは、データを交換することなく、ローカルデータを保持する複数の分散型デバイス間でアルゴリズムを訓練する連合学習(協調学習としても知られる)である。この手法は、すべてのローカルデータセットが1つのサーバにアップロードされる従来の集中型機械学習技術、ならびにローカルデータサンプルが同一に分散されることをしばしば仮定するより古典的な分散型手法とは対照的である。連合学習は、複数の当事者がデータを共有することなく共通の堅牢な機械学習モデルを構築することを可能にし、したがって、データプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権、および異種データへのアクセスなどの重要な問題に対処することを可能にする。
【0088】
いくつかの例では、AIモデル120は、プロセッサによる推論演算の実施前に連続的または定期的に訓練されてもよい。次いで、推論演算中に、再処理に固有の入力特徴をAIモデル120に提供することができ、入力層121から、1つ以上の隠れ層124を介して、最終的に、予測出力131に対応する出力層127に伝搬することができる。例えば、特定のモデルタイプの様々な医療デバイスが、所与のタイプの再処理に関する所与のセットの閾値について同様のプロファイルのタイムスタンプを示している場合、この情報は、この特定のモデルタイプの医療デバイスに適用された再処理の識別のために含まれる。
【0089】
推論演算中および/または推論演算後に、予測出力131は、ユーザインターフェースを介してユーザに通信されてもよく、および/または文書化ユニット50または外部データ処理デバイス93に自動的に送信されてもよい。例えば、医療デバイス91の再処理が特定のタイプの再処理であるとCDSS100が判定した場合、この情報は、文書化ユニット50または外部データ処理デバイス93に格納され、その結果、再処理のこの手順は確実に文書化される。
【0090】
図面において、同じまたは類似のタイプの要素または対応する部分には、項目を再度説明する必要がないように同じ参照番号が付されている。
【0091】
図面単独から得られる特徴を含むすべての指定された特徴、および他の特徴と組み合わせて開示される個々の特徴は、単独で、および組み合わせて本発明にとって重要であると考えられる。本発明による実施形態は、個々の特徴またはいくつかの特徴の組み合わせによって実現することができる。「特に(in particular)」または「特に(especially)」という表現と組み合わされる特徴は、好ましい実施形態として扱われるべきである。
【符号の説明】
【0092】
30,32,34 温度センサ
40 リアルタイムクロック(RTC)
42 タイムスタンプのバッファリング
50 文書化ユニット
51 マイクロコントローラ
54 低電力モードへの設定
56 アクティブモードへの設定
58 タイムスタンプの受信および保存
80 アセンブリ
82 メモリ
84 コマンドインターフェース
85 通信インターフェース
90 文書化システム
91 再使用可能な医療デバイス
92 再処理デバイス
93 外部データ処理デバイス
100 コンピュータベースの決定支援システム(CDSS)
102 再処理タイプデータベース
105 デバイス管理データ
106 追加の入力データ
107 追加の入力データソース
110 入力インターフェース
111 第1の入力特徴
112 第2の入力特徴
113 第3の入力特徴
118 第nの入力特徴
120 AIモデル
121 入力層
124 隠れ層
127 出力層
130 出力インターフェース
131 予測出力
132 信頼スコア
S210 ステップ(a)
S220 ステップ(b1)
S230 ステップ(b2)
S240 ステップ(b)
S250 ステップ(c)
S260 ステップ(d)
T1 第1の閾値
T2 第2の閾値
T3 第3の閾値
T4 第4の閾値
t 時間
T 温度
J 電流
Δt 時間差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7