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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121815
(43)【公開日】2024-09-06
(54)【発明の名称】車両用シート空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20240830BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20240830BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20240830BHJP
【FI】
B60H1/00 102V
B60H1/00 102F
B60N2/56
A47C7/74 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026237
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2023028409
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023028410
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023028479
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】牧田 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】井上 健彦
(72)【発明者】
【氏名】前田 好彦
(72)【発明者】
【氏名】長倉 夕季
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3L211
【Fターム(参考)】
3B084JG02
3B084JG05
3B084JG06
3B087DE09
3L211AA01
3L211BA01
3L211DA03
3L211DA14
3L211DA53
(57)【要約】
【課題】シートに着座する乗員に対してより快適な空調環境を提供し得る車両用シート空調装置を提供する。
【解決手段】本開示における車両用シート空調装置3は、送風機34と、送風機34から導かれた空気を第1吐出口33aまで導く吐出通風路33と、送風機34を制御する制御部60と、を備える。制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の温度に関する情報の検出結果を含む環境パラメータから決定される温冷感パラメータに基づいて、車両用空調装置2bで生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つを制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配置され、シートバック及び座部を有するシートに用いられる車両用シート空調装置であって、
前記シートに内蔵され、前記車両に搭載される車両用空調装置が生成する空気を導く送風機と、
前記送風機から導かれた空気を、前記シートに着座する人側に位置する面である前記シートバックの表面に設けられる第1吐出口まで導く吐出通風路と、
前記送風機を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1吐出口から吐出される空気の温度に関する情報の検出結果を含む環境パラメータから決定される温冷感パラメータに基づいて、前記車両用空調装置で生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つを制御する
車両用シート空調装置。
【請求項2】
前記環境パラメータは、外気温度、車室内温度、日射量、及び、日射角度のうち少なくとも1つの検出結果を更に含む
請求項1に記載の車両用シート空調装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記温冷感パラメータが示す、前記シートに着座する人が涼しいと感じる度合いが高いほど、前記車両用空調装置で生成される空気の風量を小さくする
請求項1に記載の車両用シート空調装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記温冷感パラメータが示す、前記シートに着座する人が涼しいと感じる度合いが高いほど、前記車両用空調装置で生成される空気の温度を上昇させる
請求項1に記載の車両用シート空調装置。
【請求項5】
前記シートに着座する人側に位置する面である前記座部の表面に設けられる第1吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第1吸気通風路を更に備え、
前記制御部は、前記第1吸気口から吸気される空気の温度と前記車両の車室内の温度とに基づいて、前記車両用空調装置で生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つを制御する
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1吸気口から吸気される空気の温度が前記車両の車室内の温度以上である場合、前記車両用空調装置で生成される空気の風量を低下させる制御及び前記車両用空調装置で生成される空気の温度を上昇させる制御の少なくとも1つを実行する
請求項5に記載の車両用シート空調装置。
【請求項7】
前記第1吸気口と異なる吸気口であり、前記シートにおける前記シートの表面以外の箇所に設けられる第2吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第2吸気通風路と、
前記第1吸気通風路及び前記第2吸気通風路の少なくとも1つを選択する調整部と、を更に備え、
前記調整部は、前記吐出通風路に空気を導くために、前記第2吸気通風路を前記吐出通風路に接続する冷房モードと、前記第1吸気通風路及び前記第2吸気通風路を前記吐出通風路に接続するミックスモードとを有し、
前記制御部は、前記冷房モード又は前記ミックスモードのいずれかのモードを選択することで、前記調整部のモードを切り替える
請求項5に記載の車両用シート空調装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記冷房モードを選択して第1時間が経過すると前記ミックスモードを選択し、前記ミックスモードを選択して前記第1時間よりも短い第2時間が経過すると前記冷房モードを選択するように、前記調整部のモードを切り替え、
前記制御部は、前記第2時間の間において検出された前記第1吸気口から吸気される空気の温度を取得する
請求項7に記載の車両用シート空調装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記車両用空調装置で生成される空気の温度が切替え温度未満である場合、前記温冷感パラメータに基づいて、前記車両用空調装置で生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つを制御し、
前記車両用空調装置で生成される空気の温度が前記切替え温度以上である場合、前記温冷感パラメータに基づいた前記車両用空調装置で生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つの制御を実行しない
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項10】
前記シートに着座する人側に位置する面である前記座部の表面に設けられる第1吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第1吸気通風路と、
前記第1吸気口と異なる吸気口であり、前記シートにおける前記シートの表面以外の箇所に設けられる第2吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第2吸気通風路と、
前記第1吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気及び前記第2吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の合計流量に対する、前記第2吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の流量の比率を調整する調整部と、を更に備え、
前記制御部は、前記車両用空調装置で生成される空気の温度に基づいて前記調整部を制御することで、前記比率を調整し、
前記制御部は、前記車両用空調装置で生成される空気の温度が第1温度以上である場合、前記第1吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の流量が前記第2吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の流量よりも大きくなるように前記比率を調整する
請求項9に記載の車両用シート空調装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記車両用空調装置で生成される空気の温度が前記第1温度以上である場合、前記比率が0%となるように前記比率を調整する
請求項10に記載の車両用シート空調装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記車両用空調装置で生成される空気の温度が前記第1温度未満である場合、前記車両用空調装置で生成される空気の温度の低下に応じて前記比率が増加するように、前記比率を調整する
請求項11に記載の車両用シート空調装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記車両用空調装置で生成される空気の温度が前記第1温度よりも低い第2温度未満である場合、前記比率が100%となるように前記比率を調整する
請求項12に記載の車両用シート空調装置。
【請求項14】
前記シートに着座する人側に位置する面である前記座部の表面に設けられる第1吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第1吸気通風路と、
前記第1吸気口と異なる吸気口であり、前記シートにおける前記シートの表面以外の箇所に設けられる第2吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第2吸気通風路と、
前記第1吸気口及び前記第2吸気口と異なる吸気口であり、前記シートに着座する人側に位置する面である前記シートバックの表面に設けられる第3吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第3吸気通風路と、
前記第1吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気、前記第2吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気、及び前記第3吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の合計流量に対する、前記第2吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の流量の比率を調整する調整部と、を更に備え、
前記制御部は、前記車両用空調装置で生成される空気の温度に基づいて前記調整部を制御することで、前記比率を調整し、
前記制御部は、前記車両用空調装置で生成される空気の温度が第1温度以上である場合、前記第1吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の流量と前記第3吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の流量との合計が前記第2吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の流量よりも大きくなるように前記比率を調整する
請求項9に記載の車両用シート空調装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記車両用空調装置で生成される空気の温度が前記第1温度以上である場合、前記第1吸気通風路及び前記第3吸気通風路から前記吐出通風路に空気が導かれるように前記比率を調整する
請求項14に記載の車両用シート空調装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記車両用空調装置で生成される空気の温度が前記第1温度未満且つ前記第1温度よりも低い第2温度以上である場合、前記第1吸気通風路、前記第2吸気通風路及び前記第3吸気通風路から前記吐出通風路に空気が導かれ、前記車両用空調装置で生成される空気の温度の低下に応じて前記比率が増加するように、前記比率を調整する
請求項14に記載の車両用シート空調装置。
【請求項17】
前記シートに着座する人側に位置する面である前記座部の表面に設けられる第1吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第1吸気通風路と、
前記第1吸気口と異なる吸気口であり、前記シートにおける前記シートの表面以外の箇所に設けられる第2吸気口から前記送風機によって吸い込まれた空気が通る第2吸気通風路と、
前記第1吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気及び前記第2吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の合計流量に対する、前記第2吸気通風路から前記吐出通風路に導かれる空気の流量の比率を調整する調整部と、を更に備え、
前記制御部は、前記温冷感パラメータが示す、前記シートに着座する人が涼しいと感じる度合いが所定値よりも低い場合、経過時間又は前記第1吐出口から吐出される空気の温度に基づいて定められる所定のタイミングで前記比率を調整する
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両用シート空調装置。
【請求項18】
前記制御部は、前記温冷感パラメータが示す、前記シートに着座する人が涼しいと感じる度合いが所定値よりも低い場合、経過時間又は前記第1吐出口から吐出される空気の温度に基づいて定められる所定のタイミングで前記比率を調整する
請求項14に記載の車両用シート空調装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記車両用空調装置で生成される空気の温度が前記第1温度よりも低い第2温度以上である場合、少なくとも前記第1吸気通風路及び前記第3吸気通風路から前記吐出通風路に空気が導かれるように前記比率を調整し、
前記温冷感パラメータが示す、前記シートに着座する人が涼しいと感じる度合いが所定値よりも低い場合、前記第1吸気通風路及び前記第2吸気通風路から前記吐出通風路に空気が導かれるように前記比率を調整する
請求項18に記載の車両用シート空調装置。
【請求項20】
前記制御部は、
前記車両用空調装置で生成される空気の温度が前記第1温度以上である場合、前記第1吸気通風路及び前記第3吸気通風路から前記吐出通風路に空気が導かれるように前記比率を調整し、
前記車両用空調装置で生成される空気の温度が前記第1温度未満且つ前記第2温度以上である場合、前記第1吸気通風路、前記第2吸気通風路及び前記第3吸気通風路から前記吐出通風路に空気が導かれるように前記比率を調整する
請求項19に記載の車両用シート空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用シート空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、シートに着座している人に対して快適な空調環境を提供することが求められている。例えば、特許文献1には、車両に搭載されて調和空気を生成する空調装置本体と、一端が空調装置本体に接続され、空調装置本体から送られた調和空気が内側を流れる第1ダクトと、座席の内部に一端側が設けられ、他端側で空気が吸い込まれることによって一端が座席の乗員側から内側へ空気を吸い込む第2ダクトと、一端側が座席の内部に設けられる第3ダクトと、第1ダクト及び第2ダクトから吸い込まれた調和空気及び空気を第3ダクトへ送給する送風装置と、第3ダクトの他端側から一端側へ流れた調和空気及び空気を座席の外側へ吹出し可能な吹出部とを備える車両用空調装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-131144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、シートに着座する乗員に対して快適な空調環境を提供できない場合がある。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、シートに着座する乗員に対してより快適な空調環境を提供し得る車両用シート空調装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における車両用シート空調装置は、車両に配置され、シートバック及び座部を有するシートに用いられる。車両用シート空調装置は、送風機と、第1通風路と、第2通風路と、第3通風路と、調整部と、制御部とを備える。送風機は、シートに内蔵される。第1通風路は、シートに着座する人側に位置する面であるシートの表面に設けられる第1吸気口から送風機によって吸い込まれた空気が通る。第2通風路は、第1吸気口と異なる吸気口であり、シートにおけるシートの表面以外の箇所に設けられる第2吸気口から送風機によって吸い込まれた空気が通る。第3通風路は、第1通風路及び第2通風路の少なくとも一方から導かれた空気を、シートに着座する人側に位置する面であるシートバックの表面に設けられる第1吐出口まで導く。調整部は、第1通風路から第3通風路に導かれる空気及び第2通風路から第3通風路に導かれる空気の合計流量に対する、第2通風路から第3通風路に導かれる空気の流量の比率を調整する。制御部は、送風機及び調整部を制御する。制御部は、第1吐出口から吐出される空気の温度を調整する温度調整部で温度調整された空気の温度に基づいて調整部を制御することで、当該比率を調整する。制御部は、温度調整部で温度調整された空気の温度が第1温度以上である場合、第1通風路から第3通風路に導かれる空気の流量が第2通風路から第3通風路に導かれる空気の流量よりも大きくなるように当該比率を調整する。
【発明の効果】
【0007】
本開示における車両用シート空調装置は、シートに着座する乗員に対してより快適な空調環境を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における車両用シート空調装置が配置された車両の車両用空調システムを示す側面図。
図2】実施の形態1における車両用シート空調装置が備えられたシートの外観を示す斜視図。
図3図2のI-I線における車両用シート空調装置が備えられたシートの断面図。
図4】実施の形態1における車両用シート空調システムを示すブロック図。
図5】実施の形態1における車両用シート空調装置のセンターコンソール内の温度と流量比率との相関関係を説明するための図。
図6】実施の形態1における車両用シート空調装置のセンターコンソール内の温度と第1吐出口から吐出される空気の流量との相関関係を説明するための図。
図7】実施の形態1における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
図8図7のステップS103を実行したときのシートにおける空気の流路を示す模式側面図。
図9図7のステップS106又はS108を実行したときのシートにおける空気の流路を示す模式側面図。
図10】実施の形態1の変形例1における車両用シート空調装置が備えられたシートの断面図。
図11】実施の形態1の変形例1における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
図12】実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置の第1吐出口の拡大断面図。
図13】実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
図14】実施の形態2における車両用シート空調装置を示すブロック図。
図15】実施の形態2における車両用シート空調装置の処理の第1の例を示すフローチャート。
図16】実施の形態2における車両用シート空調装置の温冷感パラメータの概略を説明するための図。
図17】実施の形態2における車両用シート空調装置の温冷感パラメータの決定方法を説明するための図。
図18】実施の形態2における車両用シート空調装置の処理の第2の例を示すフローチャート。
図19】実施の形態2における車両用シート空調装置の処理の第3の例を示すフローチャート。
図20】実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置を示すブロック図。
図21】実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
図22】実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置の第1通風路内の温度の検知方法を説明するための図。
図23】実施の形態3における車両用シート空調装置の流量比率の制御を示すタイムチャート。
図24】実施の形態3の変形例における車両用シート空調装置の吐出流量の制御の第1の例を示すタイムチャート。
図25】実施の形態3の変形例における車両用シート空調装置の流量比率の制御の第2の例を示すタイムチャート。
図26】実施の形態3の変形例における車両用シート空調装置の吐出流量の制御の第2の例を示すタイムチャート。
図27】実施の形態4における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
図28】実施の形態4における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
図29】実施の形態4における車両用シート空調装置の処理を示すフローチャート。
図30】実施の形態4の変形例における車両用シート空調装置が備えられたシートの断面図。
図31】その他の変形例における車両用シート空調装置が備えられたシートの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
以下の説明において、シートの前後方向をX軸方向と称し、シートの上下方向をZ軸方向と称す。さらに、シートの左右方向、すなわちX軸方向及びZ軸方向のそれぞれに垂直な方向をY軸方向と称す。また、X軸方向における、シートの前側をプラス方向側と称し、シートの後側をマイナス方向側と称す。また、Y軸方向における、シートの左側(図2を見て右手前側)をプラス方向側と称し、その反対側をマイナス方向側と称す。また、右側とは、シートに乗員が着座したとき、車両の進行方向に対して乗員の右側であり、Y軸マイナス方向側である。また、左側とは、シートに乗員が着座したとき、車両の進行方向に対して乗員の左側であり、Y軸プラス方向側である。また、Z軸方向における、シートの上側をプラス方向側と称し、シートの下側をマイナス方向側と称す。図1及び図3以降においても、同様に適用する。
【0012】
(実施の形態1)
<構成>
図1は、実施の形態1における車両用シート空調装置3が配置された車両の車両用空調システムを示す側面図である。
【0013】
図1に示すように、車両用シート空調装置3が配置される車両には、シート1と、車両用空調装置2bとが設けられている。
【0014】
シート1は、乗員が着座するための座席であり、例えば運転席や助手席等を含む。車両用空調装置2bは、車室内を空調するための空調装置である。具体的には、車両用空調装置2bは、車両の車体に搭載され、車両のインストルメントパネルで覆われている。車両用空調装置2bの内部には、車両用空調装置2b内に吸気した空気を冷却するための蒸発器が収容されている。なお、車両用空調装置2bは特許請求の範囲の「温度調整部」の一例である。
【0015】
次に、実施の形態1における車両用シート空調装置3について説明する。
【0016】
図2は、実施の形態1における車両用シート空調装置3が備えられたシート1の外観を示す斜視図である。図2では、実線の矢印が第1通風路31(図3等を用いて後述する)に導かれる空気に対応し、破線の矢印が第2通風路32に導かれる空気に対応し、一点鎖線の矢印が第3通風路33に導かれる空気に対応している。図3は、図2のI-I線における車両用シート空調装置3が備えられたシート1の断面図である。図4は、実施の形態1における車両用シート空調装置3を示すブロック図である。図5は、実施の形態1における車両用シート空調装置3のセンターコンソール内の温度と流量比率との相関関係を説明するための図である。図6は、実施の形態1における車両用シート空調装置3のセンターコンソール内の温度と第1吐出口33aから吐出される空気の流量との相関関係を説明するための図である。
【0017】
図2及び図3に示すように、例えば車両等に装備されているシート1は、乗員の身体に空気を吐出することで、シート1に隣接するシートに着座する乗員を冷やしたり暖めたりする。具体的には、シート1は、シート1に着座する乗員の頭部、首及び肩峰等にシート1に用いられた第1吐出口33aから空気を吐出することで、乗員の身体を冷やしたり暖めたりすることが可能である。なお、第1吐出口33aから吐出される空気は、乗員の背部及び腰部等に向かっていてもよい。また、臀部及び大腿部に対応する箇所に形成された第1吸気口31aから空気を吸い込むことで気流を発生させ、臀部及び大腿部とシート1との間の蒸れを抑制することも可能である。このようなシート1は、乗員が着座するための座部11と、シートバック13と、ヘッドレスト15と、車両用シート空調装置3と、電源部70とを備える。
【0018】
[座部11]
図2及び図3に示すように、座部11は、シート1に着座する乗員の臀部及び大腿部等を支えるシートクッションである。座部11は、クッション材に相当する第1シートパッド11aと、その第1シートパッド11aを覆う第1シートカバー11bとを有する。
【0019】
第1シートパッド11aは、例えばウレタンフォーム等からなり、座部本体を構成する。第1シートパッド11aは、厚みのある略矩形の板状であり、X-Y平面と略平行な姿勢で配置される。第1シートパッド11aは、着座する乗員の臀部及び大腿部等を支える。
【0020】
第1シートパッド11aには、第1シートカバー11bのZ軸プラス方向側の面である座面11cの第1通気口12aから吸気した空気を導くための第1通風路31が設けられている。
【0021】
なお、図3では、第1通気口12aと第1通風路31とが一対一で対応している例を示したが、この構成に限定されるものではない。すなわち、1つの第1通風路31に対して第1通気口12aが複数形成された構成であってもよい。この場合、例えば、1つの第1通風路31に対して複数の第1通気口12aと連通するように、第1シートパッド11aと第1シートカバー11bとの間にスポンジ状のクッション部材が配置されていてもよい。
【0022】
第1吸気口31aは、シート1に乗員が着座する側のシート1の部分である座面11cに形成されている。つまり第1吸気口31aは、車室内に向けて開口している。
【0023】
本実施の形態では、第1吸気口31aは、複数形成されている。具体的には、第1吸気口31aは、シート1に乗員が着座する側の面である座面11cの中央部11c1及び外縁部11c2に形成されている。本実施の形態では、外縁部11c2は、中央部11c1に対して第1シートパッド11aのY軸プラス方向側の外縁部11c2、及び、中央部11c1に対して第1シートパッド11aのY軸マイナス方向側の外縁部11c2である。中央部11c1の第1吸気口31aは、X軸方向に沿って複数形成され、外縁部11c2の第1吸気口31aは、中央部11c1の第1吸気口31aに対してY軸プラス方向及びY軸マイナス方向側にそれぞれ配置され、X軸方向に沿って複数形成されている。つまり、第1シートパッド11aのZ軸プラス方向側の面には、X軸方向に沿って複数形成された第1吸気口31aが、Y軸方向に並ぶように複数列形成されている。
【0024】
また、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間には、第2吸気口32aから吸気した空気を導くための第2通風路32が設けられている。より具体的には、第2通風路32は、第1シートパッド11aの内部から、第1シートパッド11aの座面11cとは反対側の面の外側に連通するように設けられている。第2吸気口32aは、シート1に乗員が着座する側の面である座面11c以外の箇所に形成されている。本実施の形態では、第2吸気口32aは、第1シートパッド11aの座面11cとは反対側の面の外側に形成され、車両に搭載される車両用空調装置2bと接続される。
【0025】
また、第1シートパッド11aには、第1通風路31及び第2通風路32の他に、第3通風路33の一部、送風機34及び調整部35等が設けられている。送風機34の駆動によって、第1シートパッド11a内の第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方に空気が流入する。第1シートパッド11aに形成された第1通風路31は、第1シートパッド11aに形成された単なる貫通穴であってもよく、通気ダクトで構成されていてもよい。また、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に形成された第2通風路32は、例えば通気ダクトで構成されている。なお、第2通風路32は、第1シートパッド11aに形成されていてもよい。この場合、第2通風路32は、第1シートパッド11aに形成された単なる貫通穴であってもよく、通気ダクトで構成されていてもよい。
【0026】
第1シートカバー11bは、第1シートパッド11aを覆うカバーである。第1シートカバー11bは、例えば第1通気口12aが形成されるように鑽孔された革カバー、あるいは、繊維カバー等である。
【0027】
第1シートカバー11bには、空気を吸気するための第1通気口12aが形成されている。第1通気口12aは、座部11に乗員が着座する側の面である座面11cのうち、車両用シート空調装置3の第1吸気口31aと対応する位置に形成されている。本実施の形態では、第1通気口12aは、第1シートカバー11bに対してX軸方向に沿って複数形成され、且つ、Y軸方向に並ぶ複数の列が形成されている。図2では、実線の矢印の終点が第1通気口12aに対応している。
【0028】
第1通気口12aから吸い込まれた空気は、車両用シート空調装置3の第1吸気口31aに導かれ、第1吸気口31aから吸気されて第1通風路31に導かれる。このため、第1通気口12aは、車両用シート空調装置3の駆動による第1吸気口31aからの吸引力によって、座面11c上に対流する空気を吸引する吸気口ともなる。なお、第1通気口12aは、第1通風路31の一部であってもよい。この場合、第1通気口12aは第1吸気口31aの一例となる。
【0029】
なお、本実施の形態では第1シートカバー11bは第2吸気口32aを覆っていないが、第1シートカバー11bは第2吸気口32aを覆っていてもよい。この場合、第1吸気口31aに対応する第1通気口12aと同様に、第2吸気口32aに対応する通気口が第1シートカバー11bに形成されていてもよい。当該通気口から吸気された空気は、第2通風路32に導かれてもよい。
【0030】
[シートバック13]
シートバック13は、シート1に着座する乗員の肩峰、背部及び腰部等を支える背もたれ部である。シートバック13は、Z軸方向に沿って長尺であり、座部11に対して立ち上がるように配置される。シートバック13は、クッション材に相当する第2シートパッド13aと、その第2シートパッド13aを覆う第2シートカバー13bとを有する。
【0031】
第2シートパッド13aは、例えばウレタンフォーム等からなり、Y軸方向を中心に回動可能な姿勢で配置される。第2シートパッド13aは、着座する乗員の肩峰、背部及び腰部等を支える。
【0032】
第2シートパッド13aには、第1吸気口31a及び第2吸気口32aから吸気された空気を吐出するための第3通風路33の一部等が設けられている。第2シートパッド13aでは、送風機34の駆動によって第1シートパッド11a内の第1通風路31に流入した空気、及び、第2通風路32に流入した空気の少なくとも一方が、第3通風路33に導かれて第1吐出口33aから吐出される。第1吐出口33aは、シートバック13の第2シートパッド13aに形成されている。第2シートパッド13aに形成された第3通風路33は、第2シートパッド13aに形成された単なる貫通穴であってもよく、通気ダクトで構成されていてもよい。
【0033】
第2シートカバー13bは、第2シートパッド13aを覆うカバーである。第2シートカバー13bは、例えば第2通気口12bが形成されるように鑽孔された革カバー、あるいは、繊維カバー等である。
【0034】
第2シートカバー13bには、吸気された空気を吐出するための第2通気口12bが形成されている。第2通気口12bは、座部11に着座した乗員と対向する面(X軸プラス方向側の面)であり、第3通風路33の第1吐出口33aと対応する位置に設けられている。第1吐出口33aは、第1吸気口31a及び第2吸気口32aよりも鉛直上方、つまりZ軸プラス方向側に配置されている。本実施の形態では、第2通気口12bは、第2シートカバー13bに対して複数形成されている。複数の第2通気口12bは、例えば、シート1に着座する乗員の右肩から左肩にわたって点在している。例えば、複数の第2通気口12bは、乗員の頭部、首、肩峰、背部及び腰部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する第2シートカバー13bの部分に形成されている。
【0035】
複数の第2通気口12bは、第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方を経由して、第3通風路33に導かれて第1吐出口33aから吐出された空気が通過する。つまり、車両用シート空調装置3の駆動によって第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方を経由して、第3通風路33に導かれた空気が第1吐出口33aから吐出されると、当該空気が第2通気口12bに導かれる。このため、第2通気口12bは、シート1の外部に空気を吐出する吐出口ともなる。なお、第2通気口12bは、第3通風路33の一部であってもよい。この場合、第2通気口12bは第1吐出口33aの一例となる。
【0036】
[ヘッドレスト15]
ヘッドレスト15は、シート1に着座する乗員の頭部を支える頭あて部である。ヘッドレスト15は、シートバック13のZ軸プラス方向側の端部に固定されている。
【0037】
[車両用シート空調装置3]
車両用シート空調装置3は、車両のシート1に用いられ、シート1に着座する乗員に向けて、乗員の後ろから空気を吐出することができる空調装置である。車両用シート空調装置3は、シート1の周囲に対流する空気、及び、車両に搭載される車両用空調装置2bで生成される空気の少なくとも一方を吸気し、吸気した空気を乗員に吐出することで、送風を実行する。例えば、車両用シート空調装置3がシート1の周囲に対流する空気を吸気して当該空気を乗員に吐出する場合、車両用シート空調装置3が乗員に吐出する空気は、シート1の周囲の温度が常温よりも高ければ温風となり、常温よりも低ければ冷風となる。また、車両用シート空調装置3が車両用空調装置2bから空気を吸気して当該空気を乗員に吐出する場合、車両用シート空調装置3が乗員に吐出する空気は、車両用空調装置2bから送られる空気の温度が常温よりも高ければ温風となり、常温よりも低ければ冷風となる。
【0038】
図3及び図4に示すように、車両用シート空調装置3は、第1通風路31と、第2通風路32と、送風機34と、調整部35と、第3通風路33と、第1温度センサ51と、制御部60と、操作部65と、を備える。
【0039】
送風機34は、シート1の第1シートカバー11bに形成された第1吸気口31a、及び、第2吸気口32aの少なくとも一方から空気を吸気し、吸気した空気を第2シートパッド13aに形成された第2通気口12bから吐出することができる。具体的には、送風機34は、制御部60と電気的に接続され、制御部60に駆動制御されることで、第1吸気口31a及び第2吸気口32aの少なくとも一方から空気を吸気し、第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方と、調整部35と、第3通風路33とを経由して第1吐出口33aから吐出する。
【0040】
また、送風機34は、シート1に内蔵されている。具体的には、送風機34は、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に配置されている。なお、送風機34は、第1シートパッド11aの内部に配置されていてもよい。送風機34が駆動すると、第1シートカバー11bの第1吸気口31a及び第2吸気口32aから空気が吸気される。
【0041】
また、送風機34は、調整部35の下流側に配置されている。具体的には、第1吸気口31aから第1吐出口33aまで流れる空気の流路、及び、第2吸気口32aから第1吐出口33aまで流れる空気の流路において、送風機34は、調整部35よりも下流側に配置されている。本実施の形態では、送風機34は、第3通風路33上に配置されている。なお、第1吸気口31a及び第2吸気口32aの少なくとも一方から調整部35に空気が流れ、且つ、調整部35から第1吐出口33aに空気が流れればよいため、送風機34の配置位置は特に限定されない。
【0042】
第1通風路31は、シート1に内蔵されている。具体的には、第1通風路31は、座部11の座面11cから送風機34に至るように、座部11の内部に配置されている。
【0043】
また、第1通風路31は、送風機34によって、シート1の座部11に設けられた第1吸気口31aから吸気された空気を調整部35まで導く。第1通風路31は、例えば通気ダクトで構成されている。
【0044】
第1通風路31の一端は第1吸気口31aを形成し、他端は調整部35に接続されている。つまり、第1通風路31は第1吸気口31aから調整部35に至っている。
【0045】
また、第1吸気口31aは、座部11の座面11cから空気を吸気することが可能であり、第1シートカバー11bの第1通気口12aと対応している。Z軸方向に沿って見た場合に、第1吸気口31aは、第1通気口12aと重なっている。本実施の形態では、第1吸気口31aは、第1通気口12aを介して空気を吸い込むが、直接的に空気を吸い込む構成であってもよい。
【0046】
第2通風路32は、シート1のZ軸マイナス方向側に配置されている。具体的には、第2通風路32は、座部11の座面11c以外の箇所から送風機34に至るように、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に配置されている。
【0047】
第2通風路32は、第1通風路31と異なる通風路である。第2通風路32は、送風機34によって、第2吸気口32aから吸気された空気を調整部35まで導く。第2通風路32は、例えば通気ダクトで構成されている。
【0048】
第2通風路32の一端は第2吸気口32aを形成し、他端は調整部35に接続されている。つまり、第2通風路32は第2吸気口32aから調整部35に至っている。
【0049】
また、第2吸気口32aは、第1吸気口31aと異なる吸気口である。第2吸気口32aは、座部11の座面11c以外の箇所に形成されている。本実施の形態では、第2吸気口32aは、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に形成され、車両に搭載される車両用空調装置2bと接続される。
【0050】
調整部35は、シート1の座部11に内蔵されている。具体的には、調整部35は、送風機34よりも上流側である第1吸気口31a及び第2吸気口32a側に設けられている。
【0051】
また、調整部35は、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量(第1流量ともいう)と、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量(第2流量ともいう)との比率(以下、単に流量比率ともいう)を調整する。例えば、調整部35は、第1通風路31から第3通風路33に空気が導かれるように、及び/又は、第2通風路32から第3通風路33に空気が導かれるように、第3通風路33への空気の流路が第1通風路31と第2通風路32とで切替え可能な切替え部(通風路切替え部)となっている。調整部35は、例えば、ダンパ等で構成される。
【0052】
調整部35によって、第1通風路31だけから導かれた空気、第2通風路32だけから導かれた空気、及び、第1通風路31と第2通風路32との両方から導かれた空気のいずれかが、選択的に第3通風路33に導かれる。また、調整部35によって、第1流量と第2流量とが調整されて、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気と、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気とが混合された空気が第3通風路33に導かれる。
【0053】
第3通風路33は、第1通風路31及び第2通風路32と異なる通風路である。第3通風路33は、送風機34によって第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方から導かれた空気を、調整部35からシート1に設けられる第1吐出口33aまで導く。具体的には、第3通風路33は、第1吸気口31aから吸気されて第1通風路31に導かれた空気だけを第1吐出口33aに導いたり、第2吸気口32aから吸気されて第2通風路32に導かれた空気だけを第1吐出口33aに導いたりする。また、第3通風路33は、第1吸気口31a及び第2吸気口32aから同時に吸気されて第1通風路31及び第2通風路32に同時に導かれた空気を混合して第1吐出口33aに導いたりする。
【0054】
第3通風路33は、例えば通気ダクトで構成されている。第3通風路33の一端は第1吐出口33aを形成し、他端は調整部35に接続されている。
【0055】
なお、第3通風路33は、送風機34を介して調整部35に接続されていてもよい。第1吐出口33aは、第2シートカバー13bの第2通気口12bと対応している。Y軸方向に沿ってみた場合に、第1吐出口33aは、第2通気口12bと重なっている。本実施の形態では、第1吐出口33aは、第2通気口12bを介して空気を吐出するが、直接的に空気を吐出する構成であってもよい。
【0056】
第3通風路33は、シート1に内蔵されている。具体的には、第3通風路33の一部は、座部11のZ軸マイナス方向側の空間に配置され、第3通風路33の残りの一部は、シートバック13の内部に配置されている。
【0057】
第3通風路33は、調整部35から第1吐出口33aに至っている。本実施の形態では、第3通風路33は、第1シートパッド11a内の調整部35から第2シートパッド13aまで伸びている。また、本実施の形態では、第3通風路33は、第2シートカバー13bにおけるヘッドレスト15近傍まで伸びている。なお、第3通風路33の一端である第1吐出口33aは、シート1に隣接するシートに着座する乗員の頭部、首、肩峰、背部及び腰部のうちの少なくとも1以上の箇所と対応する位置に配置されていればよい。
【0058】
このような第1通風路31、第2通風路32及び第3通風路33の構成により、第1吸気口31a、第2吸気口32a及び第1吐出口33aは、以下の関係がある。第1吸気口31a及び第2吸気口32aは、第1吐出口33aよりも鉛直下方に配置されている。また、第2吸気口32aは、第1吸気口31aよりも鉛直下方に配置されている。これにより、乗員の臀部及び大腿部に対応する箇所、及び、車両に搭載される車両用空調装置2bから吸気した空気を、乗員の頭部、首、肩峰、背部及び腰部等に対応する箇所から吐出することで、シート1に着座した乗員を包み込む気流を生み出す。
【0059】
また、車両用シート空調装置3では、第1吸気口31a、第2吸気口32a及び第1吐出口33aはシート1に設けられ、且つ、第1通風路31、第2通風路32、第3通風路33、送風機34及び調整部35はシート1に内蔵されている。つまり、シート1に着座した乗員を包み込む気流を生み出す構成要素の全てがシート1に設けられているため、車両用シート空調装置3の構成を簡素化することができる。
【0060】
[第1温度センサ51]
第1温度センサ51は、車両用空調装置2bで温度調整された空気の温度を検知するサーミスタ等の温度センサである。例えば、第1温度センサ51は、車両用空調装置2bで生成される空気が流れるセンターコンソール内の通風路に設けられる。第1温度センサ51は、センターコンソール内の温度を示す情報を検知した結果として制御部60に出力する。なお、第1温度センサ51は、車両用空調装置2bに予め備えられている温度センサであってもよく、車両用空調装置2bの吹出し口の温度を検知してもよい。また、第1温度センサ51は、車両用シート空調装置3に予め備えられている温度センサであってもよく、第2通風路32内の温度を検知してもよい。センターコンソール内の温度、車両用空調装置2bの吹出し口の温度、及び、第2通風路32内の温度は、いずれも車両用空調装置2bで生成される空気の温度を示すため、第1温度センサ51は、センターコンソール内の温度、車両用空調装置2bの吹出し口の温度、又は、第2通風路32内の温度から、車両用空調装置2bで温度調整された空気の温度を推定することができる。なお、車両用シート空調装置3に後述するペルチェモジュール39が備えられる場合、第1温度センサ51は、ペルチェモジュール39により冷却された空気の温度を検知してもよい。
【0061】
[制御部60]
制御部60は、送風機34及び調整部35を制御する。制御部60は、送風機34及び調整部35に流す電流のオン/オフを切り替えたり電流値を変更することで送風機34の出力を制御したりするマイクロコンピュータである。
【0062】
制御部60は、センターコンソール内の温度に基づいて調整部35を制御することで、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量と、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量との比率を調整する。つまり、制御部60は、センターコンソール内の温度に基づいて、第1流量と第2流量との流量比率を調整する。これにより、制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を調整する。
【0063】
ここで、流量比率は、第1流量及び第2流量の合計流量に対する第2流量の比率(第2流量/合計流量)を意味する。例えば、流量比率が0%とは、第1通風路31と第3通風路33とが接続されている状態であり、第1通風路31だけから導かれた空気を第3通風路33に導くことで第1吐出口33aから空気を吐出する状態である。また、例えば、流量比率が100%とは、第2通風路32と第3通風路33とが接続されている状態であり、第2通風路32だけから導かれた空気を第3通風路33に導くことで第1吐出口33aから空気を吐出する状態である。また、例えば、流量比率が50%とは、第1通風路31及び第2通風路32と第3通風路33とが接続されている状態であり、第1通風路31及び第2通風路32から同時に導かれた同程度の流量の空気を第3通風路33に導いて混合することで第1吐出口33aから空気を吐出する状態である。
【0064】
制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度以上である場合、調整部35を制御することで、流量比率を所定比率以下に調整する。そして、制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度未満である場合、調整部35を制御することで、センターコンソール内の温度の低下に応じて流量比率が増加するように、流量比率を調整する。なお、流量比率は線形に増加してもよいし、階段状のように非線形に増加してもよい。
【0065】
例えば、図5に示すように、制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度以上である場合、調整部35を制御することで、流量比率を所定比率に調整する。また、制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度未満で、第2温度以上である場合、調整部35を制御することで、流量比率を第1比率に調整する。第2温度は第1温度よりも低い温度であり、第1比率は0%よりも高い比率である。また、制御部60は、センターコンソール内の温度が第2温度未満である場合、調整部35を制御することで、流量比率を第2比率に調整する。第2比率は第1比率よりも高い比率である。例えば、第1温度は40℃、第2温度は35℃、所定比率は0%、第1比率は33%、第2比率は67%である。
【0066】
なお、第1温度、第2温度、第1比率、及び、第2比率は、任意に設定されてよい。例えば、制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度以上である場合、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量が第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量よりも大きくなるように、流量比率を調整してもよい。また、例えば、第2比率は、100%であってもよい。これらの情報は、例えば、図示しない記憶部に予め記憶される。
【0067】
また、制御部60は、センターコンソール内の温度に基づいて、送風機34を制御することで、送風機34の回転数を調整する。つまり、例えば、制御部60は、センターコンソール内の温度に基づいて、第1吐出口33aから吐出させる空気の流量(第3流量ともいう)を調整する。具体的には、制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度未満である場合、送風機34を制御することで、センターコンソール内の温度の低下に応じて第3流量が増加するように、第3流量を調整する。
【0068】
例えば、図6に示すように、制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度以上である場合、送風機34を制御することで、第3流量を第1吐出流量に調整する。また、制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度未満で、第2温度以上である場合、送風機34を制御することで、第3流量を第2吐出流量に調整する。また、制御部60は、センターコンソール内の温度が第2温度未満である場合、送風機34を制御することで、第3流量を第3吐出流量に調整する。例えば、第1吐出流量は25m/h、第2吐出流量は33m/h、第3吐出流量は41m/hである。
【0069】
なお、第1吐出流量、第2吐出流量、及び、第3吐出流量は、任意に設定されてよい。これらの情報は、例えば、記憶部に予め記憶される。また、例えば、制御部60は、第1流量が一定の流量となるように、送風機34を制御してもよい。つまり、制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度未満である場合に、センターコンソール内の温度が第1温度以上である場合よりも流量比率を高くすることに対応して、第3流量を高くすることにより、第1流量を一定の流量にすることができる。ここで、流量が一定とは、基準となる一定の流量に誤差のばらつきを含めた範囲をいう。
【0070】
[操作部65]
操作部65は、車両に搭載された入力インターフェイスであり、乗員の操作入力を受け付けることで、例えば車両用シート空調装置3の温度、風量及び流量比率等の設定指示を制御部60に出力する。なお、操作部65は、車両用のコントロールパネル、タブレット端末、スマートフォン等である。また、操作部65は、上記の第1温度及び第2温度の設定支持を制御部60に出力するようにしてもよい。
【0071】
なお、車両用シート空調装置3には、乗員の皮膚温度を検知する温度センサが設けられていてもよい。このような温度センサは、例えば、赤外線等で乗員の皮膚温度を検知する非接触温度計やサーモグラフィ等である。この温度センサは、検知した温度を示す情報を制御部60に出力してもよく、制御部60は、操作部65に対する乗員の操作入力の代わりに当該温度を示す情報に基づいて車両用シート空調装置3を制御してもよい。
【0072】
[電源部70]
電源部70は、制御部60等を介して、送風機34及び調整部35に電力を供給する電源回路である。ここでは、電源部70は車両に搭載されるバッテリから供給される直流電源である。電源部70は、制御部60によって制御されることで、送風機34及び調整部35に供給する電流を調節する。
【0073】
<処理>
図7は、実施の形態1における車両用シート空調装置3の処理を示すフローチャートである。図8は、図7のステップS103を実行したときのシート1における空気の流路を示す模式側面図である。図9は、図7のステップS106又はS108を実行したときのシート1における空気の流路を示す模式側面図である。
【0074】
図7のフローチャートでは、車両用シート空調装置3の機能がオンになった場合に開始する構成とすればよい。車両用シート空調装置3の機能のオン又はオフは、操作部65で受け付ける入力操作に応じて切り替えられる構成とすればよい。
【0075】
まず、ステップS101において、制御部60は、第1温度センサ51からセンターコンソール内の温度を示す情報を取得する。制御部60は、取得したセンターコンソール内の温度を示す情報に基づいて、調整部35及び送風機34を制御する。
【0076】
具体的には、ステップS102において、制御部60は、センターコンソール内の温度が第1温度以上であるか否かを判定する。
【0077】
制御部60によりセンターコンソール内の温度が第1温度以上であると判定された場合(S102でYES)、処理はステップS103へ進む。ステップS103において、制御部60は、調整部35を制御することで、流量比率を0%に調整する。
【0078】
次に、ステップS104において、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量が第1吐出流量となるように送風機34の出力(例えば、回転数)を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS101に戻り処理を繰り返す。
【0079】
例えば、外気温度が高い場合や日射量が多い場合等において、乗員が車両に乗車した直後では、車室内の温度が高くなりがちであり、車両用空調装置2bで生成される空気も高温になりがちである。この場合、車両用空調装置2bで生成される空気が乗員の体温よりも高温になる。この場合、図8に示すように、シート1の座面11c側の第1吸気口31aから空気を吸気し、吸気した当該空気を第1吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している乗員に吹き付けることができる。その結果、第1吸気口31aから空気を吸気することができるため、座面11cと接している乗員の臀部及び大腿部の発汗による蒸れを抑制することができる。また、乗員の臀部及び大腿部の付近に気流を発生させて、汗による気化熱で乗員に冷感を与えることができる。図8では、第1通風路31に導かれる空気を実線で示し、第3通風路33に導かれる空気を破線で示す。
【0080】
制御部60により第2通風路32内の温度が第1温度未満であると判定された場合(S102でNO)、処理はステップS105へ進む。ステップS105において、制御部60は、第2通風路32内の温度が第2温度以上であるか否かを判定する。
【0081】
制御部60により第2通風路32内の温度が第2温度以上であると判定された場合(S105でYES)、処理はステップS106へ進む。ステップS106において、制御部60は、調整部35を制御することで、流量比率を第1比率に調整する。
【0082】
次に、ステップS107において、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量が第2吐出流量となるように送風機34の出力を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS101に戻り処理を繰り返す。
【0083】
例えば、外気温度が高い場合や日射量が多い場合等において、車両用空調装置2bで生成される空気が冷え始めているものの、未だセンターコンソール内の温度が第2温度以上の場合がある。この場合、図9に示すように、車両用空調装置2bによって冷やされている空気を第2吸気口32aから吸気し、且つ、シート1の座面11c側の第1吸気口31aからも空気を吸気して、第1吸気口31a及び第2吸気口32aから同時に吸気された空気を第3通風路33で混合する。混合した空気を第1吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している乗員に吹き付けることができる。その結果、第1吸気口31aから空気を吸気することができるため、座面11cと接している乗員の臀部及び大腿部の発汗による蒸れを抑制することができる。また、乗員の臀部及び大腿部の付近に気流を発生させて、汗による気化熱で乗員に冷感を与えることができる。さらに、車両用空調装置2bによって冷やされている空気を乗員に吹き付けることができるため、乗員の表面温度を下げることができる。つまり、流量比率を高くすることに対応して第1吐出口33aから吐出される空気の流量を高くすることにより、流量比率を高くすることによる第1吸気口31aから吸気される空気の流量の低下量を小さくすることができ、上述した気化熱による効果を維持しつつ、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を低下させることができる。図9では、第1通風路31及び第2通風路32に導かれる空気を実線で示し、第3通風路33に導かれる空気を破線で示す。
【0084】
制御部60によりセンターコンソール内の温度が第2温度未満であると判定された場合(S105でNO)、処理はステップS108へ進む。ステップS108において、制御部60は、調整部35を制御することで、流量比率を第2比率に調整する。
【0085】
次に、ステップS109において、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量が第3吐出流量となるように送風機34の出力を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS101に戻り処理を繰り返す。
【0086】
例えば、外気温度が高い場合や日射量が多い場合等において、車両用空調装置2bで生成される空気が冷え、センターコンソール内の温度が第2温度未満の場合がある。この場合、図9に示すように、車両用空調装置2bによって冷やされている空気を第2吸気口32aから吸気し、且つ、シート1の座面11c側の第1吸気口31aからも空気を吸気して、第1吸気口31a及び第2吸気口32aから同時に吸気された空気を第3通風路33で混合する。混合した空気を第1吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している乗員に吹き付けることができる。その結果、第1吸気口31aから空気を吸気することができるため、座面11cと接している乗員の臀部及び大腿部の発汗による蒸れを抑制することができる。また、乗員の臀部及び大腿部の付近に気流を発生させて、汗による気化熱で乗員に冷感を与えることができる。さらに、合計流量に対する第2流量の流量比率がより高くなっており、車両用空調装置2bによって冷やされている空気をより多く乗員に吹き付けることができるため、乗員の表面温度をより効果的に下げることができる。
【0087】
なお、この処理では、ステップS102,S105において、判定処理の順番は適宜入れ替えてもよい。例えば、制御部60は、ステップS102において第2通風路32内の温度が第2温度以上であるか否かを判定し、ステップS105において第2通風路32内の温度が第1温度以上であるか否かを判定してもよい。
【0088】
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置3の作用効果について説明する。
【0089】
上述したように、本実施の形態の車両用シート空調装置3は、車両に配置され、シートバック13及び座部11を有するシート1に用いられる。車両用シート空調装置3は、シート1に内蔵される送風機34と、シート1に着座する乗員側に位置する面であるシート1の表面に設けられる第1吸気口31aから送風機34によって吸い込まれた空気が通る第1通風路31と、第1吸気口31aと異なる吸気口であり、シート1におけるシート1の表面以外の箇所に設けられる第2吸気口32aから送風機34によって吸い込まれた空気が通る第2通風路32と、第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方から導かれた空気を、シート1に着座する乗員側に位置する面であるシートバック13の表面に設けられる第1吐出口33aまで導く第3通風路33と、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気及び第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の合計流量に対する、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量の比率(流量比率)を調整する調整部35と、送風機34及び調整部35を制御する制御部60と、を備える。制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度、例えばセンターコンソール内の温度に基づいて調整部35を制御することで、流量比率を調整する。制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度以上である場合、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量が第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量よりも大きくなるように流量比率を調整する。
【0090】
例えば、外気温度が高い場合や日射量が多い場合等において、乗員が車両に乗車した直後では、車両用空調装置2bで生成される空気が乗員の体温よりも高温になり、乗員が不快に感じるおそれがある。本実施の形態の車両用シート空調装置3によれば、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度以上である場合、第1吸気口31aから空気を吸気されて第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量を大きくすることができ、第1吸気口31aが設けられるシート1の表面と接している乗員の部位の発汗による蒸れを抑制し得る。また、乗員の当該部位の付近に気流を発生させて、汗による気化熱で乗員に冷感を与え得る。つまり、乗員が車両に乗車した直後等、乗員が車両用空調装置2bで生成される空気による冷感を得にくい期間においても、第1吸気口31aが設けられるシート1の表面と接している乗員の部位において乗員は冷感を得ることができる。このため、乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0091】
より具体的には、本実施の形態の車両用シート空調装置3では、制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度以上である場合、流量比率が0%となるように流量比率を調整する。これによれば、第1吸気口31aから吸気され第1通風路31を通る空気だけを第3通風路33に導くことができ、第1吸気口31aからより多くの空気を吸気することができる。このため、乗員の上記部位の発汗による蒸れを更に抑制し得、また、汗による気化熱で乗員に更に冷感を与え得る。
【0092】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3では、制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度未満である場合、車両用空調装置2bで生成された空気の温度の低下に応じて流量比率が増加するように、流量比率を調整する。これによれば、第1吐出口33aから空気を吐出することで、シート1に着座している乗員に吹き付けることができる。また、車両用空調装置2bで生成された空気の温度の低下に応じて、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の比率を高くすることができ、乗員の表面温度をより効率的に下げ得る。
【0093】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3では、制御部60は、第2通風路32内の温度が第1温度よりも高い第2温度未満である場合、流量比率が100%となるように流量比率を調整する。これによれば、第2通風路32を通る空気だけを第3通風路33に導くことができ、第2温度未満に冷やされている空気を乗員により多く吐出することができる。このため、乗員の表面温度を更に効率的に下げ得る。
【0094】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3では、制御部60は、第2通風路32内の温度が第1温度未満である場合、第2通風路32内の温度の低下に応じて第1吐出口33aから吐出される空気の流量が増加するように、送風機34を制御する。これによれば、流量比率の上昇により、第1吸気口31aから吸気される空気の流量が減少することを抑制し得る。このため、乗員の上記部位の発汗による蒸れを抑制し得、また、汗による気化熱で乗員に冷感を与え得る。
【0095】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3では、制御部60は、第1吸気口31aから吸気される空気の流量が一定となるように、送風機34を制御する。これによれば、流量比率が上昇しても、第1吸気口31aから吸気される空気の流量が一定となるため、乗員の上記部位の発汗による蒸れを更に抑制し得、また、汗による気化熱で乗員に更に冷感を与え得る。
【0096】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3では、第1吸気口31aは、座部11の座面11cに設けられる。これによれば、座面11cと接している乗員の臀部及び大腿部の発汗による蒸れを抑制し得、また、汗による気化熱で乗員に冷感を与え得る。
【0097】
(実施の形態1の変形例1)
本変形例では、シート1に、第2吐出口36aが設けられている点で、実施の形態1の車両用シート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は実施の形態1と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0098】
図10は、実施の形態1の変形例1における車両用シート空調装置3Aが備えられたシート1の断面図である。
【0099】
図10に示すように、本変形例に係る車両用シート空調装置3Aが備えられたシート1には、第2吐出口36a及び第4通風路36が形成されている。本変形例では、第2吐出口36aは、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に形成されている。なお、第2吐出口36aは、車両のドアに対向するシート1の側面に形成されていてもよいし、車両の外側に接続されていてもよい。また、第4通風路36は、送風機34によって第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方から導かれた空気を、第2吐出口36aまで導くように、第1シートパッド11aのZ軸マイナス方向側の空間に配置されている。
【0100】
また、第1シートパッド11aには、通風路選択切替え部37が設けられている。送風機34は、第1シートパッド11aに形成された第1吸気口31a及び第2吸気口32aの少なくとも一方から空気を吸気し、吸気した空気を第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方と、調整部35と、通風路選択切替え部37と、第3通風路33又は第4通風路36のいずれかと、を経由して第1吐出口33a又は第2吐出口36aから吐出する。
【0101】
第2吐出口36aには、送風機34によって第4通風路36を介して空気が導かれる。第2吐出口36aは、第4通風路36を介して通風路選択切替え部37と接続されている。第4通風路36は、例えば通気ダクトで構成されている。
【0102】
通風路選択切替え部37は、送風機34よりも下流側である第1吐出口33a及び第2吐出口36a側に設けられ、第3通風路33又は第4通風路36を選択して切り替え、送風機34により導かれた空気を当該選択した通風路に導く。通風路選択切替え部37は、ダンパ等で構成され、空気の流路、つまり通風路を切り替えることができる。通風路選択切替え部37は、送風機34により導かれた空気を、第3通風路33のみ又は第4通風路36のみのいずれかに選択的に導くことが可能である。
【0103】
具体的には、通風路選択切替え部37は、第1モードと、第2モードとを有する。第1モードは、送風機34と第3通風路33とを接続するモードである。第1モードでは、通風路選択切替え部37は、送風機34から導かれた空気を第3通風路33だけに導くことで第1吐出口33aから空気を吐出する。第2モードでは、通風路選択切替え部37は、送風機34から導かれた空気を第4通風路36だけに導くことで第2吐出口36aから空気を吐出する。通風路選択切替え部37は、制御部60と電気的に接続され、制御部60に駆動制御されることで、第1モード及び第2モードのいずれかのモードを選択する。
【0104】
図11は、実施の形態1の変形例1における車両用シート空調装置3Aの処理を示すフローチャートである。図11に示されるステップS201からS202までの処理は、実施の形態1における車両用シート空調装置におけるステップS101からS102までの処理と同様である。
【0105】
制御部60によりセンターコンソール内の温度が第1温度以上であると判定された場合(S202でYES)、処理はステップS203へ進む。ステップS203において、制御部60は、通風路選択切替え部37に第2モードを実行させる。
【0106】
次に、ステップS204において、制御部60は、調整部35を制御することで、流量比率を0%に調整する。
【0107】
次にステップS205において、制御部60は、送風機34を制御することで、第2吐出口36aから吐出される空気の流量(第4流量ともいう)が第1吐出流量となるように送風機34の出力を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS201に戻り処理を繰り返す。
【0108】
例えば、外気温が高い場合や日射量が多い場合等において、乗員が車両に乗車した直後では、車室内の温度が高くなりがちであり、第1モードを実行すると、第1吐出口33aから乗員の体温よりも高い温度の空気が吐出されるおそれがあるため、乗員に空気を吹き付けないようにすべきであると考えられる。そこで、制御部60は、第2モードを実行するように、通風路選択切替え部37を制御する。第2モードの場合は、送風機34から導かれた空気は第2吐出口36aから吐出されるため、乗員に空気が吹き付けられない。その結果、乗員に温かい空気が吹き付けられないため、乗員が不快感を覚えにくくすることができる。
【0109】
制御部60によりセンターコンソール内の温度が第1温度未満であると判定された場合(S202でNO)、処理はステップS206へ進む。ステップS206において、制御部60は、通風路選択切替え部37に第1モードを実行させる。
【0110】
図11に示されるステップS207からS211までの処理は、実施の形態1における車両用シート空調装置におけるステップS105からS109までの処理と同様である。
【0111】
上述したように、本変形例の車両用シート空調装置3Aは、第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方から導かれた空気を、第1吐出口33aと異なる吐出口であり、シート1におけるシート1の表面以外の箇所に設けられる第2吐出口36aまで導く第4通風路36を更に備える。制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度、例えばセンターコンソール内の温度が第1温度以上である場合、第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方から導かれた空気を、第2吐出口36aから吐出するように制御する。これによれば、高い温度の空気が乗員に吹き付けられることを抑制することができ、乗員が不快感を覚えることを抑制し得る。
【0112】
(実施の形態1の変形例2)
本変形例では、第1吐出口33aに駆動可能な風向変更部材が設けられている点で、実施の形態1の車両用シート空調装置等と相違する。本変形例における他の構成は実施の形態1等と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0113】
図12は、実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置3Bの第1吐出口33aの拡大断面図である。
【0114】
図12に示すように、第2通気口12bは、第3通風路33に連通する空間を有するケース12dと、そのケース12dに設けられた開口部12eとを有している。このため、第2通気口12bは、第3通風路33を流れる空気を、その開口部12eから、シート1に着座する乗員に吐出することが可能である。
【0115】
第2通気口12bの内側には、風向変更部材120としての複数の縦板フィン121、リンク機構122、及び、制御部60と電気的に接続された駆動部122a等が設けられている。複数の縦板フィン121は、第2通気口12bから吐出される空気の向きを変えるための部材である。複数の縦板フィン121は、リンク機構122によって接続されている。リンク機構122は、複数の縦板フィン121の向きを同時に変えることが可能なように構成されている。駆動部122aは、リンク機構122に接続されており、駆動部122aの駆動により複数の縦板フィン121の向きを変えられるように構成されている。
【0116】
図13は、実施の形態1の変形例2における車両用シート空調装置3Bの処理を示すフローチャートである。図13に示されるステップS301からS302までの処理は、実施の形態1における車両用シート空調装置におけるステップS101からS102までの処理と同様である。
【0117】
制御部60によりセンターコンソール内の温度が第1温度以上であると判定された場合(S302でYES)、処理はステップS303へ進む。ステップS303において、制御部60は、第2通気口12bの縦板フィン121を制御して、第1吐出口33aから吐出される空気が乗員に向かわないように吐出方向を調整する。ここでは、制御部60は、第2通気口12bの縦板フィン121を制御して、外向き、すなわち、第2シートパッド13aの中央部13a1から離れる方向に、吐出方向を調整する。要するに、制御部60は、第1吐出口33aから吐出されて乗員に吹き付けられる空気を低減するように吐出方向を調整すればよい。
【0118】
次に、ステップS304において、制御部60は、調整部35を制御することで、流量比率を0%に調整する。
【0119】
次にステップS305において、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量が第1吐出流量となるように送風機34の出力を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS301に戻り処理を繰り返す。
【0120】
例えば、外気温が高い場合や日射量が多い場合等において、乗員が車両に乗車した直後では、車室内の温度が高くなりがちであり、第1モードを実行すると、第1吐出口33aから乗員の体温よりも高い温度の空気が吐出されるおそれがあるため、乗員に空気を吹き付けないようにすべきであると考えられる。そこで、制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の吐出方向を外向きにするように、第2通気口12bの縦板フィン121を制御する。吐出方向が外向きの場合は、乗員に空気が吹き付けられにくくなる。その結果、乗員に温かい空気が吹き付けられにくいため、乗員が不快感を覚えにくくすることができる。
【0121】
制御部60によりセンターコンソール内の温度が第1温度未満であると判定された場合(S302でNO)、処理はステップS306へ進む。ステップS306において、制御部60は、第2通気口12bの縦板フィン121を制御して、第1吐出口33aから吐出される空気が乗員に向かうように吐出方向を調整する。
【0122】
図12に示されるステップS307からS311までの処理は、実施の形態1における車両用シート空調装置におけるステップS105からS109までの処理と同様である。
【0123】
なお、第2通気口12bの内側には、複数の縦板フィン121に代えて、複数の横板フィンが設けられていてもよい。この場合、制御部60は、横板フィンの向きを上下方向に制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の吐出方向を調整してもよい。また、第2通気口12bの内側には、複数の縦板フィン121及び複数の横板フィンが設けられていてもよい。
【0124】
上述したように、本変形例の車両用シート空調装置3Bでは、第1吐出口33aには風向変更部材120が設けられている。制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度、例えばセンターコンソール内の温度が第1温度以上である場合、第1吐出口33aから吐出される空気がシート1に着座する乗員に向かわないように、風向変更部材120を制御する。
【0125】
これによれば、高い温度の空気が乗員に吹き付けられることを抑制することができ、乗員が不快感を覚えることを抑制し得る。
【0126】
(実施の形態2)
本実施の形態では、シート1に用いられる車両用シート空調装置3Cが乗員の温冷感の度合いを示す温冷感パラメータに応じて空調を制御する点で、実施の形態1の車両用シート空調装置と相違する。本実施の形態における車両用シート空調装置3Cの構成は実施の形態1における車両用シート空調装置3と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0127】
図14は、実施の形態2における車両用シート空調装置3Cを示すブロック図である。
【0128】
本実施の形態において、図14に示すように、制御部60が環境センサ50に対して電気的に接続されている。また、制御部60が車両用空調装置2bに対して指示を出力することで、車両用空調装置2bで生成される空気の温度及び風量の少なくとも一方を調整させる。車両用空調装置2bは、車両用シート空調装置3Cの構成要件に含まれていてもよく含まれていなくてもよい。また、制御部60の指示に対して当該指示の内容を実行するか否かを車両用空調装置2bが決定する構成であってもよいし、制御部60が車両用空調装置2bに当該指示の内容の実行を強制する構成であってもよい。
【0129】
環境センサ50は、環境パラメータを取得し、取得した環境パラメータを制御部60に出力する。環境センサ50としては、第1温度センサ51、第2温度センサ52、インストルメントパネルの上部等に設置された日射センサ、インストルメントパネルの乗員側等に設置された車室内温度センサ、及び、外気に触れる箇所等に設置された外気温度センサのうち少なくとも1つが備えられている。日射センサは日射量及び日射角度を示す情報を検知し、車室内温度センサは車室内温度を示す情報を検知し、外気温度センサは外気温度を示す情報を検知する。
【0130】
第2温度センサ52は、第3通風路33内の温度を検知するサーミスタ等の温度センサである。例えば、第2温度センサ52は、第3通風路33内又は第1吐出口33aに設けられ、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を検知する。第2温度センサ52は、第3通風路33内の温度を示す情報を検知した結果として制御部60に出力する。
【0131】
なお、本実施の形態において、実施の形態1の第1温度センサ51及び調整部35は、車両用シート空調装置3Cに備えられていなくてもよく、本実施の形態では、必須の構成要件ではない。
【0132】
<処理例1>
図15は、実施の形態2における車両用シート空調装置3Cの処理の第1の例を示すフローチャートである。
【0133】
まず、ステップS401において、制御部60は、環境センサ50から環境パラメータを取得する。環境パラメータには、第2温度センサ52により検知された第3通風路33内の温度を示す情報が含まれる。また、環境パラメータには、日射量、日射角度、車室内温度、及び、外気温度のうち1つ又は複数が含まれていてもよい。以下では、環境パラメータに、第3通風路33内の温度を示す情報及び車室内温度を示す情報が含まれる場合について説明する。
【0134】
次に、ステップS402において、制御部60は、取得した環境パラメータに基づいて、温冷感パラメータZを決定する。
【0135】
図16は、実施の形態2における車両用シート空調装置3Cの温冷感パラメータの概略を説明するための図である。温冷感パラメータとは、乗員が感じる暑さの度合いを、図16の1列目に示すように4段階で数値化して表現したものである。温冷感パラメータZ=3のとき乗員は非常に暑いと感じ、Z=2のとき乗員は暑いと感じ、Z=1のとき乗員はやや暑いと感じ、Z=0のとき乗員は暑くも寒くもないと感じると評価することができる。つまり、温冷感パラメータZが高いほど乗員は暑いと感じ、温冷感パラメータZが低いほど乗員は涼しいと感じる。
【0136】
図17は、実施の形態2における車両用シート空調装置3Cの温冷感パラメータの決定方法を説明するための図である。本実施の形態では、環境パラメータに含まれる、第3通風路33内の温度及び車室内温度に基づいて、制御部60は、温冷感パラメータZを決定する。具体的には、制御部60は、第3通風路33内の温度が30℃以上であり、車室内温度が30℃以上である場合、及び、第3通風路33内の温度が30℃未満で25℃以上であり、車室内温度が40℃以上である場合、温冷感パラメータZ=3と決定する。また、制御部60は、第3通風路33内の温度が30℃以上であり、車室内温度が30℃未満である場合、第3通風路33内の温度が30℃未満で25℃以上であり、車室内温度が40℃未満で30℃以上である場合、及び、第3通風路33内の温度が25℃未満であり、車室内温度が40℃以上である場合、温冷感パラメータZ=2と決定する。また、制御部60は、第3通風路33内の温度が30℃未満で25℃以上であり、車室内温度が30℃未満である場合、及び、第3通風路33内の温度が25℃未満であり、車室内温度が40℃未満で30℃以上である場合、温冷感パラメータZ=1と決定する。また、制御部60は、第3通風路33内の温度が25℃未満であり、車室内温度が30℃未満である場合、温冷感パラメータZ=0と決定する。
【0137】
制御部60は、決定した温冷感パラメータZに基づいて、車両用空調装置2bで生成される空気の風量(第5流量ともいう)を制御する。例えば、制御部60は、車両用空調装置2bの送風機を制御することで、車両用空調装置2bで生成される空気の風量を調整する。
【0138】
具体的には、ステップS403において、制御部60は、温冷感パラメータZ=3であるか否かを判定する。
【0139】
制御部60により温冷感パラメータZ=3であると判定された場合(S403でYES)、処理はステップS404へ進む。ステップS404において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bで生成される空気の風量が第1生成流量となるように車両用空調装置2bの出力(例えば、送風機の回転数)を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS401に戻り処理を繰り返す。
【0140】
制御部60により温冷感パラメータZ=3でないと判定された場合(S403でNO)、処理はステップS405へ進む。ステップS405において、制御部60は、温冷感パラメータZ=2であるか否かを判定する。
【0141】
制御部60により温冷感パラメータZ=2であると判定された場合(S405でYES)、処理はステップS406へ進む。ステップS406において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bで生成される空気の風量が第2生成流量となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。第2生成流量は、第1生成流量よりも小さい流量である。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS401に戻り処理を繰り返す。
【0142】
制御部60により温冷感パラメータZ=2でないと判定された場合(S405でNO)、処理はステップS407へ進む。ステップS407において、制御部60は、温冷感パラメータZ=1であるか否かを判定する。
【0143】
制御部60により温冷感パラメータZ=1であると判定された場合(S407でYES)、処理はステップS408へ進む。ステップS408において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bで生成される空気の風量が第3生成流量となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。第3生成流量は、第2生成流量よりも小さい流量である。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS401に戻り処理を繰り返す。
【0144】
制御部60により温冷感パラメータZ=1でないと判定された場合(S407でNO)、処理はステップS409へ進む。ステップS409において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bで生成される空気の風量が第4生成流量となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。第4生成流量は、第3生成流量よりも小さい流量である。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS401に戻り処理を繰り返す。
【0145】
例えば、第1生成流量は600m/h、第2生成流量は540m/h、第3生成流量は480m/h、第4生成流量は360m/hである。なお、第1生成流量、第2生成流量、第3生成流量、及び、第4生成流量は、任意に設定されてよい。これらの情報は、例えば、記憶部に予め記憶される。
【0146】
<処理例2>
本処理例では、温冷感パラメータに応じて車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度を調整する点で、処理例1と相違する。
【0147】
図18は、実施の形態2における車両用シート空調装置3Cの処理の第2の例を示すフローチャートである。
【0148】
まず、ステップS501において、制御部60は、環境センサ50から環境パラメータを取得する。環境パラメータには、第2温度センサ52により検知された第3通風路33内の温度を示す情報が含まれる。また、環境パラメータには、日射量、日射角度、車室内温度、及び、外気温度のうち1つ又は複数が含まれていてもよい。以下では、環境パラメータに、第3通風路33内の温度を示す情報及び車室内温度を示す情報が含まれる場合について説明する。
【0149】
次に、ステップS502において、制御部60は、取得した環境パラメータに基づいて、温冷感パラメータZを決定する。制御部60は、決定した温冷感パラメータZに基づいて、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度を制御する。例えば、制御部60は、車両用空調装置2bの電動コンプレッサを制御することで、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度を調整する。なお、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度を、単に、車両用空調装置2bで生成される空気の温度ともいい、生成温度ともいう。
【0150】
具体的には、ステップS503において、制御部60は、温冷感パラメータZ=3であるか否かを判定する。
【0151】
制御部60により温冷感パラメータZ=3であると判定された場合(S503でYES)、処理はステップS504へ進む。ステップS504において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度が第3温度となるように車両用空調装置2bの出力(例えば、電動コンプレッサの回転数)を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS501に戻り処理を繰り返す。
【0152】
制御部60により温冷感パラメータZ=3でないと判定された場合(S503でNO)、処理はステップS505へ進む。ステップS505において、制御部60は、温冷感パラメータZ=2であるか否かを判定する。
【0153】
制御部60により温冷感パラメータZ=2であると判定された場合(S505でYES)、処理はステップS506へ進む。ステップS506において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度が第4温度となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。第4温度は、第3温度よりも高い温度である。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS501に戻り処理を繰り返す。
【0154】
制御部60により温冷感パラメータZ=2でないと判定された場合(S505でNO)、処理はステップS507へ進む。ステップS507において、制御部60は、温冷感パラメータZ=1であるか否かを判定する。
【0155】
制御部60により温冷感パラメータZ=1であると判定された場合(S507でYES)、処理はステップS508へ進む。ステップS508において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度が第5温度となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。第5温度は、第4温度よりも高い温度である。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS501に戻り処理を繰り返す。
【0156】
制御部60により温冷感パラメータZ=1でないと判定された場合(S507でNO)、処理はステップS509へ進む。ステップS509において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度が第6温度となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。第6温度は、第5温度よりも高い温度である。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS501に戻り処理を繰り返す。
【0157】
例えば、第3温度は6℃、第4温度は8℃、第5温度は10℃、第6温度は12℃である。なお、第3温度、第4温度、第5温度、及び、第6温度は、任意に設定されてよい。これらの情報は、例えば、記憶部に予め記憶される。
【0158】
<処理例3>
本処理例では、温冷感パラメータに応じて車両用空調装置2bで生成される空気の風量及び車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度を調整する点で、処理例1等と相違する。
【0159】
図19は、実施の形態2における車両用シート空調装置3Cの処理の第3の例を示すフローチャートである。まず、ステップS601において、制御部60は、環境センサ50から環境パラメータを取得する。環境パラメータには、第2温度センサ52により検知された第3通風路33内の温度を示す情報が含まれる。また、環境パラメータには、日射量、日射角度、車室内温度、及び、外気温度のうち1つ又は複数が含まれていてもよい。以下では、環境パラメータに、第3通風路33内の温度を示す情報及び車室内温度を示す情報が含まれる場合について説明する。
【0160】
次に、ステップS602において、制御部60は、取得した環境パラメータに基づいて、温冷感パラメータZを決定する。制御部60は、決定した温冷感パラメータZに基づいて、車両用空調装置2bで生成される空気の風量及び車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度を制御する。具体的には、ステップS603において、制御部60は、温冷感パラメータZ=3であるか否かを判定する。
【0161】
制御部60により温冷感パラメータZ=3であると判定された場合(S603でYES)、処理はステップS604へ進む。ステップS604において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bで生成される空気の風量が第1生成流量となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。
【0162】
次に、ステップS605において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度が第3温度となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS601に戻り処理を繰り返す。
【0163】
制御部60により温冷感パラメータZ=3でないと判定された場合(S603でNO)、処理はステップS606へ進む。ステップS606において、制御部60は、温冷感パラメータZ=2であるか否かを判定する。
【0164】
制御部60により温冷感パラメータZ=2であると判定された場合(S606でYES)、処理はステップS607へ進む。ステップS607において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bで生成される空気の風量が第2生成流量となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。
【0165】
次に、ステップS608において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度が第4温度となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS601に戻り処理を繰り返す。
【0166】
制御部60により温冷感パラメータZ=2でないと判定された場合(S606でNO)、処理はステップS609へ進む。ステップS609において、制御部60は、温冷感パラメータZ=1であるか否かを判定する。
【0167】
制御部60により温冷感パラメータZ=1であると判定された場合(S609でYES)、処理はステップS610へ進む。ステップS610において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bで生成される空気の風量が第3生成流量となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。
【0168】
次に、ステップS611において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度が第5温度となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS601に戻り処理を繰り返す。
【0169】
制御部60により温冷感パラメータZ=1でないと判定された場合(S609でNO)、処理はステップS612へ進む。ステップS612において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bで生成される空気の風量が第4生成流量となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。
【0170】
次に、ステップS613において、制御部60は、車両用空調装置2bを制御することで、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度が第6温度となるように車両用空調装置2bの出力を調整する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS601に戻り処理を繰り返す。
【0171】
なお、上記の処理例では、第3通風路33内の温度及び車室内温度に基づいて温冷感パラメータZが決定される例を示したが、制御部60は、この組合せとは異なる環境パラメータの組合せに基づいて温冷感パラメータZを決定してもよい。また、制御部60は、3つ以上の環境パラメータに基づいて温冷感パラメータZを決定してもよい。例えば、制御部60は、第3通風路33内の温度が25℃未満であり、車室内温度が30℃未満である場合に、車外温度が高温である場合や日射量が高い場合には温冷感パラメータZを0よりも高い値に決定してもよい。また、第3通風路33は、特許請求の範囲の「吐出通風路」に相当し得る。
【0172】
また、制御部60は、車両用空調装置2bが内気循環モードであるか外気導入モードであるかに応じて空調制御処理を異ならせてもよい。具体的には、制御部60は、環境パラメータに第3通風路33内の温度を示す情報が含まれない場合に対する、第5流量の低下量を、内気循環モードである場合よりも外気導入モードである場合の方が大きくなるように制御してもよい。例えば、車両用空調装置2bが内気循環モードである場合、環境パラメータに第3通風路33内の温度を示す情報が含まれない場合に対して、第5流量を20%小さくする。一方、車両用空調装置2bが外気導入モードである場合、環境パラメータに第3通風路33内の温度を示す情報が含まれない場合に対して、第5流量を40%小さくする。このように、車両用空調装置2bが外気導入モードである場合には、環境パラメータに第3通風路33内の温度を示す情報が含まれない場合に対して第5流量をより大きく低下させることができるため、より効率化を図りやすい。
【0173】
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置の作用効果について説明する。
【0174】
上述したように、本実施の形態の車両用シート空調装置3Cは、車両に配置され、シートバック13及び座部11を有するシート1に用いられる。車両用シート空調装置3Cは、シート1に内蔵され、車両に搭載される車両用空調装置2bが生成する空気を導く送風機34と、送風機34から導かれた空気を、シート1に着座する乗員側に位置する面であるシートバック13の表面に設けられる第1吐出口33aまで導く第3通風路33と、送風機34を制御する制御部60と、を備える。制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の温度に関する情報の検出結果を含む環境パラメータから決定される温冷感パラメータZに基づいて、車両用空調装置2bで生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つを制御する。
【0175】
例えば、シートバック13の表面に設けられる第1吐出口33aから吐出される空気の温度を含まない環境パラメータに基づいて車両用空調装置2bの出力を制御する場合、車両用シート空調装置により冷却された乗員の周囲の環境を十分に考慮できず、過冷房や空調効率の悪化につながるおそれがある。本実施の形態の車両用シート空調装置3Cによれば、シートバック13の表面に設けられる第1吐出口33aから吐出される空気の温度、つまり乗員の体に近い位置の温度に基づいて、車両用空調装置2bの出力を制御することができる。このため、乗員の温冷感に応じた空調制御が可能となり、乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。また、乗員の温冷感に応じた空調制御をより即時的に実行することで、より効率的な空調制御を実現し得る。例えば、本実施の形態の車両用シート空調装置3Cによれば、環境パラメータに第3通風路33内の温度を示す情報が含まれない場合に対して、第1生成流量、第2生成流量、第3生成流量、及び、第4生成流量をより小さくし得る。また、第3温度、第4温度、第5温度、及び、第6温度をより高くし得る。このように、本実施の形態の車両用シート空調装置3Cは、環境パラメータに第3通風路33内の温度を示す情報が含まれない場合と比較して、より効率的な空調制御を実現し得る。
【0176】
より具体的には、本実施の形態の車両用シート空調装置3Cでは、環境パラメータは、外気温度、車室内温度、日射量、及び、日射角度のうち少なくとも1つの検出結果を更に含む。
【0177】
これによれば、第1吐出口33aから吐出される空気の温度に加えて、外気温度、車室内温度、日射量、及び、日射角度のうち少なくとも1つに基づいて、車両用空調装置2bの出力を制御することができる。このため、更に乗員の温冷感に応じた空調制御が可能となる。
【0178】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3Cでは、制御部60は、温冷感パラメータZが示す、シート1に着座する乗員が涼しいと感じる度合いが高いほど、車両用空調装置2bで生成される空気の風量を小さくする。これによれば、制御部60は、温冷感パラメータZがより低い値である場合、つまり乗員がより涼しいと感じる場合に、車両用空調装置2bで生成される空気の風量をより小さくする。このため、更に乗員の温冷感に応じた空調制御が可能となる。
【0179】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3Cでは、制御部60は、温冷感パラメータZが示す、シート1に着座する乗員が涼しいと感じる度合いが高いほど、車両用空調装置2bで生成される空気の温度、具体的には車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度を上昇させる。これによれば、制御部60は、温冷感パラメータZがより低い値である場合、つまり乗員がより涼しいと感じる場合に、車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度をより高くする。このため、乗員の冷え過ぎを抑制できるので、更に乗員の温冷感に応じた空調制御が可能となる。
【0180】
(実施の形態2の変形例)
本変形例では、シート1に用いられる車両用シート空調装置3Dが第1通風路31内の温度に応じて図15図18図19及び図20に示される処理を実行するか否かを切り替える点で、実施の形態2の車両用シート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は実施の形態2と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0181】
図20は、実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置3Dを示すブロック図である。
【0182】
図20に示すように、車両用シート空調装置3Dでは、制御部60が第3温度センサ53に対して電気的に接続されている。第3温度センサ53は、第1通風路31内の温度を検知するサーミスタ等の温度センサである。例えば、第3温度センサ53は、第1通風路31又は第1吸気口31aに設けられ、第1吸気口31aから吸気される空気の温度を検知する。第3温度センサ53は、第1通風路31内の温度を示す情報を検知した結果として制御部60に出力する。
【0183】
<処理>
図21は、実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置3Dの処理を示すフローチャートである。図22は、実施の形態2の変形例における車両用シート空調装置3Dの第1通風路31内の温度の検知方法を説明するための図である。
【0184】
まず、ステップS801において、制御部60は、環境センサ50から環境パラメータを取得する。環境パラメータには、車室内温度センサにより検知された車室内温度を示す情報、及び、第3温度センサ53により検知された第1通風路31内の温度(吸気温度ともいう)を示す情報が含まれる。
【0185】
ここで、第3温度センサ53による第1通風路31内の温度の検知方法について、図22を用いて説明する。図22では、横軸を時間軸とし、時刻t0~t4は所定の間隔で設定される時刻である。そして、時刻t0と時刻t1との間及び時刻t2と時刻t3との間の期間を第1期間T1(第1時間ともいう)とし、時刻t1と時刻t2との間及び時刻t3と時刻t4との間の期間を第2期間T2(第2時間ともいう)とする。第1期間T1及び第2期間T2は、交互に連続して設定される期間である。例えば、第1期間T1は20秒であり、第2期間T2は10秒である。
【0186】
図22に示すように、制御部60は、第1期間T1において、調整部35を制御することで、流量比率を100%に調整する。その後、制御部60は、第2期間T2において、調整部35を制御することで、流量比率を80%に調整する。制御部60は、その後も第1期間T1及び第2期間T2の制御を繰り返す。なお、これらの流量比率は任意に設定されてよく、これらの情報は、例えば、記憶部に予め記憶される。
【0187】
ここで、流量比率が100%である場合、第1吸気口31aから空気が吸気されず第1通風路31内を空気が流れないため、第3温度センサ53は第1吸気口31aから吸気される空気の温度を検知することができない。そこで、制御部60は、流量比率が100%よりも低い第2期間T2を設定する。つまり、調整部35は、第2通風路32を第3通風路33に接続する冷房モードと、第1通風路31及び第2通風路32を第3通風路33に接続するミックスモードとを有し、制御部60により制御されることで、冷房モード及びミックスモードのいずれかのモードを選択する。そして、制御部60が、第1期間T1において冷房モードを選択し、第2期間T2においてミックスモードを選択することにより、第3温度センサ53は、第2期間T2において第1通風路31内の温度、すなわち、第1吸気口31aから吸気される空気の温度を検知することができる。
【0188】
次に、ステップS802において、制御部60は、吸気温度が車室内温度よりも高いか否かを判定する。
【0189】
制御部60により吸気温度が車室内温度よりも高いと判定された場合(S802でYES)、処理はステップS803へ進む。ステップS803では、制御部60は、図15図18図19及び図20に示される処理のいずれかを実行する。そして、制御部60は、処理を終了し、ステップS801へ戻り処理を繰り返す。
【0190】
上述したように、本変形例の車両用シート空調装置3Dは、シート1に着座する乗員側に位置する面である座部11の座面11cに設けられる第1吸気口31aから送風機34によって吸い込まれた空気が通る第1通風路31を更に備える。制御部60は、第1吸気口31aから吸気される空気の温度と車両の車室内の温度とに基づいて、車両用空調装置2bで生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つを制御する。
【0191】
これによれば、制御部60は、座部11の座面11cに設けられる第1吸気口31aから吸気される空気の温度と車両の車室内の温度とに基づいて、車室内環境を推定し、車両用空調装置2bの出力を制御することができる。このため、更に乗員の温冷感に応じた空調制御が可能となる。
【0192】
より具体的には、本変形例の車両用シート空調装置3Dでは、制御部60は、第1吸気口31aから吸気される空気の温度が車両の車室内の温度以上である場合、車両用空調装置2bで生成される空気の風量を低下させる制御、又は、車両用空調装置2bで生成される空気の温度、具体的には車両用空調装置2bの蒸発器で冷却される空気の温度を上昇させる制御の少なくとも1つを実行する。
【0193】
第1吸気口31aから吸気される空気は乗員の臀部及び大腿部等によって温められるにもかかわらず、当該空気の温度が車両の車室内の温度よりも低い場合、車両用空調装置2bで生成される空気が冷えておらず、車室内も冷えていないと考えられる。したがって、本変形例の車両用シート空調装置3Dによれば、制御部60は、第1吸気口31aから吸気される空気の温度が車両の車室内の温度以上である場合に、車両用空調装置2bで生成される空気が冷えており、車室内も冷えているため、車両用空調装置2bの出力を低下させることができる。このため、更に乗員の温冷感に応じた空調制御が可能となる。
【0194】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Dは、第1吸気口31aと異なる吸気口であり、シート1におけるシート1の表面以外の箇所に設けられる第2吸気口32aから送風機34によって吸い込まれた空気が通る第2通風路32と、第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも1つを選択する調整部35と、を更に備える。調整部35は、第3通風路33に空気を導くために、第2通風路32を第3通風路33に接続する冷房モードと、第1通風路31及び第2通風路32を第3通風路33に接続するミックスモードとを有する。制御部60は、冷房モード又はミックスモードのいずれかのモードを選択することで、調整部35のモードを切り替える。
【0195】
これによれば、制御部60は、第2吸気口32aから吸気した空気だけを第1吐出口33aから吐出させたり、第1吸気口31a及び第2吸気口32aの両方から同時に吸気した空気を第1吐出口33aから吐出させたりすることができる。つまり、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を異ならせることができる。このため、更に乗員の温冷感に応じた空調制御が可能となる。
【0196】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Dでは、制御部60は、冷房モードを選択して第1時間が経過するとミックスモードを選択し、ミックスモードを選択して第1時間よりも短い第2時間が経過すると冷房モードを選択するように、調整部35のモードを切り替える。制御部60は、第2時間の間において検出された第1吸気口31aから吸気される空気の温度を取得する。
【0197】
これによれば、第1吸気口31aから空気が吸気される第2時間の間において、第3温度センサ53は、第1吸気口31aから吸気される空気の温度を検知することができ、制御部60は、第3温度センサ53により検知された温度を取得することができる。このため、更に乗員の温冷感に応じた空調制御が可能となる。
【0198】
なお、第1通風路31及び第2通風路32は、それぞれ特許請求の範囲の「第1吸気通風路」及び「第2吸気通風路」に相当し得る。
【0199】
(実施の形態3)
本実施の形態では、シート1に用いられる車両用シート空調装置3Eが温度の異なる空気を交互に切り替えながら吐出する点で、実施の形態1の車両用シート空調装置等と相違する。本実施の形態における車両用シート空調装置3Eの構成は実施の形態1における車両用シート空調装置3Cと同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0200】
なお、本実施の形態において、実施の形態2の第2温度センサ52が車両用シート空調装置3Eに備えられていてもよい。
【0201】
図23は、実施の形態3における車両用シート空調装置3Eの流量比率の制御を示すタイムチャートである。
【0202】
制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気及び第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の合計流量に対する、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量の比率である流量比率を、降温用比率又は昇温用比率のいずれかに調整する。降温用比率は、例えば、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量よりも、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量が大きい流量比率である。昇温用比率は、降温用比率よりも低い比率であり、例えば、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量よりも、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量が大きい流量比率である。例えば、降温用比率は70%、昇温用比率は30%である。ここで、降温用比率では、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量が大きいため、車両用空調装置2bで生成される冷えた空気の割合が大きくなり、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を低下させることができる。また、昇温用比率では、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量が大きいため、第1吸気口31aから吸気される、乗員の臀部及び大腿部等によって温められる空気の割合が大きくなり、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を上昇させることができる。制御部60は、上記のように流量比率を調整することで、第1吸気口31aから吸気される空気の流量及び第1吐出口33aから吐出される空気の温度を調整することができる。つまり、制御部60は、流量比率を降温用比率に調整して車両用空調装置2bによって冷やされている空気の比率を高くする降温モードと、流量比率を昇温用比率に調整して第1吸気口31aから吸気される空気の比率を高くする昇温モードとのいずれかのモードを選択することができる。
【0203】
なお、実際の制御では、制御部60は、調整部35のダンパの開度を制御してもよい。例えば、降温用比率及び昇温用比率にそれぞれ対応するダンパの開度が記憶部に予め記憶されており、制御部60は、記憶部からこれらの情報を読み出して、調整部35を制御してもよい。また、降温用比率及び昇温用比率は任意に設定されてよい。
【0204】
制御部60は、降温モードと昇温モードとを周期的に切り替える制御を実行する。この制御について、図23を用いて説明する。図23では、横軸を時間軸とし、時刻t5~t9は所定の間隔で設定される時刻である。所定の間隔とは、例えば2分である。そして、時刻t5と時刻t6との間及び時刻t7と時刻t8との間の期間を第3期間T3とし、時刻t6と時刻t7との間及び時刻t8と時刻t9との間の期間を第4期間T4とする。つまり、第3期間T3及び第4期間T4は、それぞれ所定の間隔に対応する期間であり、交互に連続して設定される期間である。なお、第3期間T3、第4期間T4は、特許請求の範囲の「第1所定時間」、「第2所定時間」にそれぞれ相当し得る。
【0205】
図23に示すように、制御部60は、第3期間T3において、調整部35を制御することで、流量比率を降温用比率に調整する。その後、制御部60は、第4期間T4において、調整部35を制御することで、流量比率を昇温用比率に調整する。制御部60は、その後も第3期間T3及び第4期間T4の制御を繰り返す。
【0206】
なお、制御部60は、所定の時間間隔で降温モードと昇温モードとを切り替える制御を実行することに代えて、第2温度センサ52により検知された第3通風路33内の温度に応じて降温モードと昇温モードとを切り替える制御を実行してもよい。例えば、制御部60は、降温モードを実行し、第3通風路33内の温度が第7温度以下であるか否かを判定する。第3通風路33内の温度が第7温度以下であると判定された場合、制御部60は、昇温モードに切り替え、第3通風路33内の温度が第8温度以上であるか否かを判定する。第8温度は、第7温度よりも高い温度である。第3通風路33内の温度が第8温度以上であると判定された場合、制御部60は、降温モードに切り替える。なお、第7温度、第8温度は、特許請求の範囲の「第1所定温度」、「第2所定温度」にそれぞれ対応し得る。
【0207】
また、上記の第3期間T3、第4期間T4、第7温度、及び、第8温度は、例えば、乗員の皮膚温度が上昇しないように設定されてもよい。例えば、第8温度を32℃とすることで、乗員の皮膚温度の上昇を抑制し得る。
【0208】
また、制御部60は、流量比率を、時間の経過に応じて徐々に高く又は低くするように調整してもよい。例えば、制御部60は、第3期間T3において、流量比率を降温用比率まで徐々に高くして、その後流量比率を維持するように流量比率を調整してもよい。また、制御部60は、第4期間T4において、流量比率を昇温用比率まで徐々に低くして、その後流量比率を維持するように流量比率を調整してもよい。
【0209】
<作用効果>
次に、本実施の形態における車両用シート空調装置の作用効果について説明する。
【0210】
上述したように、本実施の形態の車両用シート空調装置3Eは、車両に配置され、シートバック13及び座部11を有するシート1に用いられる。車両用シート空調装置3Eは、シート1に内蔵される送風機34と、シート1に着座する乗員側に位置する面であるシート1の表面に設けられる第1吸気口31aから送風機34によって吸い込まれた空気が通る第1通風路31と、第1吸気口31aと異なる吸気口であり、シート1におけるシート1の表面以外の箇所に設けられる第2吸気口32aから送風機34によって吸い込まれた空気が通る第2通風路32と、第1通風路31及び第2通風路32の少なくとも一方から導かれた空気を、シート1に着座する乗員側に位置する面であるシートバック13の表面に設けられる第1吐出口33aまで導く第3通風路33と、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気及び第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の合計流量に対する、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量の比率(流量比率)を調整する調整部35と、送風機34及び調整部35を制御する制御部60と、を備える。制御部60は、経過時間又は第1吐出口33aから吐出される空気の温度に基づいて定められる所定のタイミングで流量比率を調整する。
【0211】
これによれば、制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を所定のタイミングで変化させることができる。このため、一定の温度の空気が吹き付けられることによる乗員の温度慣れを抑制し、乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0212】
より具体的には、本実施の形態の車両用シート空調装置3Eでは、制御部60は、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量よりも第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量が大きい降温用比率に流量比率を調整する制御を実行して第1所定時間が経過すると、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量よりも第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量が大きい昇温用比率に流量比率を調整する制御を実行し、流量比率を昇温用比率に調整する制御を実行して第2所定時間が経過すると、流量比率を降温用比率に調整する制御を実行する。
【0213】
これによれば、流量比率を所定時間ごとに変化させることができる。このため、乗員の温度慣れを抑制することができる。
【0214】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3Eでは、制御部60は、流量比率を降温用比率に調整する制御を実行してから第1吐出口33aから吐出される空気の温度が第1所定温度になると、流量比率が降温用比率よりも低い昇温用比率に流量比率を調整する制御を実行し、流量比率を昇温用比率に調整する制御を実行してから第1吐出口33aから吐出される空気の温度が第1所定温度よりも高い第2所定温度になると、流量比率を降温用比率に調整する制御を実行する。
【0215】
これによれば、第1吐出口33aから吐出される空気の温度に応じて流量比率を変化させることができる。このため、乗員の温度慣れを抑制することができる。
【0216】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3Eでは、制御部60は、流量比率を降温用比率に調整する場合、第2通風路32を第3通風路33に接続し、流量比率を昇温用比率に調整する場合、第1通風路31及び第2通風路32を第3通風路33に接続する。
【0217】
これによれば、流量比率を降温用比率に調整する場合に、第2通風路32だけから導かれた空気を第3通風路33に導くことで第1吐出口33aから空気を吐出することができ、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を低下させやすい。このため、乗員の温度慣れを更に抑制することができる。
【0218】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3Eでは、制御部60は、流量比率を降温用比率に調整する場合、第1通風路31及び第2通風路32を第3通風路33に接続し、流量比率を昇温用比率に調整する場合、第1通風路31を第3通風路33に接続する。
【0219】
これによれば、流量比率を昇温用比率に調整する場合に、第1通風路31だけから導かれた空気を第3通風路33に導くことで第1吐出口33aから空気を吐出することができ、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を上昇させやすい。このため、乗員の温度慣れを更に抑制することができる。
【0220】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3Eでは、制御部60は、流量比率を降温用比率に調整する場合、第1通風路31を第3通風路33に接続し、流量比率を昇温用比率に調整する場合、第1通風路31を第3通風路33に接続する。
【0221】
これによれば、流量比率を降温用比率に調整する場合に、第2通風路32だけから導かれた空気を第3通風路33に導くことで第1吐出口33aから空気を吐出することができ、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を低下させやすい。また、流量比率を昇温用比率に調整する場合に、第1通風路31だけから導かれた空気を第3通風路33に導くことで第1吐出口33aから空気を吐出することができ、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を上昇させやすい。このため、乗員の温度慣れを更に抑制することができる。
【0222】
また、本実施の形態の車両用シート空調装置3Eでは、第1吸気口31aは、座部11の座面11cに設けられる。
【0223】
流量比率を高くした場合、第1吐出口33aから吐出される空気のうち第2通風路32から導かれる空気の比率が高くなるため、シートバック13に設けられる第1吐出口33aから吐出される空気の温度が低下する。また、座部11に設けられる第1吸気口31aから吸気される空気の流量は減少するため、乗員は座面11cと接している部位の冷感を感じにくくなる。一方、流量比率を低くした場合、第1吐出口33aから吐出される空気のうち第1通風路31から導かれる空気の比率が高くなるため、第1吐出口33aから吐出される空気の温度が上昇する。また、第1吸気口31aから吸気される空気の流量は増加するため、乗員は座面11cと接している部位の冷感を感じやすくなる。
【0224】
つまり、本実施の形態の車両用シート空調装置3Eによれば、シートバック13における冷却能力が相対的に高いとき、座部11における冷却能力は相対的に低くなり、シートバック13における冷却能力が相対的に低いとき、座部11における冷却能力は相対的に高くなるといえる。このため、乗員の温度慣れを抑制することができる。さらに、乗員の上半身又は下半身に冷感を与えられるため、例えば乗員の上半身及び下半身を同時に冷やす制御と同時に温める制御とを繰り返す構成等と比較して、乗員に対して更に快適な空調環境を提供することができる。
【0225】
さらに、上述したように、第1吸気口31aから吸気される空気、つまり乗員の体温により温められた空気を利用して第1吐出口33aから吐出される空気の温度を上昇させるため、本実施の形態の車両用シート空調装置3Eでは、車両における構造をより簡易にすることができる。
【0226】
(実施の形態3の変形例)
本変形例では、制御部60が流量比率の切替えに応じて第1吐出口33aから吐出される空気の流量を調整するように、送風機34を制御する点で、実施の形態3の車両用シート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は実施の形態3と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能についての説明を省略する。
【0227】
制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を第4吐出流量又は第5吐出流量のいずれかに調整する。第5吐出流量は、第4吐出流量よりも大きい流量である。例えば、第4吐出流量は20m/h、第5吐出流量は、40m/hである。制御部60は、上記のように第1吐出口33aから吐出される空気の流量を調整することで、第1吸気口31aから吸気される空気の流量を調整することができる。なお、第4吐出流量及び第5吐出流量は任意に設定されてもよく、これらの情報は、例えば、記憶部に予め記憶される。なお、第4吐出流量、第5吐出流量は、特許請求の範囲の「第1流量」、「第2流量」にそれぞれ対応し得る。
【0228】
<制御例1>
図24は、実施の形態3の変形例における車両用シート空調装置3Fの吐出流量の制御の第1の例を示すタイムチャートである。
【0229】
図23に示すように、制御部60は、第3期間T3において、調整部35を制御することで、流量比率を降温用比率に調整する。その後、制御部60は、第4期間T4において、調整部35を制御することで、流量比率を昇温用比率に調整する。制御部60は、その後も第3期間T3及び第4期間T4の制御を繰り返す。
【0230】
さらに、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を調整する。具体的には、図24に示すように、制御部60は、第3期間T3において、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を第4吐出流量に調整する。その後、制御部60は、第4期間T4において、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を第5吐出流量に調整する。制御部60は、その後も第3期間T3及び第4期間T4の制御を繰り返す。
【0231】
車両用空調装置2b等により車室内が冷やされている場合、第1吸気口31aから吸気される空気の温度も低くなっているため、流量比率を昇温用比率に調整しても、第1吐出口33aから吐出される空気の温度は上がりにくい。そこで、本制御例によれば、流量比率を昇温用比率に調整する場合、制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を増加させるように、送風機34を制御するため、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を上げやすい。このため、乗員の温度慣れを更に抑制することができる。
【0232】
<制御例2>
図25は、実施の形態3の変形例における車両用シート空調装置3Fの流量比率の制御の第2の例を示すタイムチャートである。図26は、実施の形態3の変形例における車両用シート空調装置3Fの吐出流量の制御の第2の例を示すタイムチャートである。
【0233】
図25及び図26では、第4期間T4が第3期間T3よりも長く設定される。例えば、第3期間T3は1分であり、第4期間T4は3分である。
【0234】
図25に示すように、制御部60は、第3期間T3において、調整部35を制御することで、流量比率を降温用比率に調整する。その後、制御部60は、第4期間T4において、調整部35を制御することで、流量比率を昇温用比率に調整する。制御部60は、その後も第3期間T3及び第4期間T4の制御を繰り返す。
【0235】
さらに、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を調整する。具体的には、図26に示すように、制御部60は、第3期間T3において、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を第5吐出流量に調整する。その後、制御部60は、第4期間T4において、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を第4吐出流量に調整する。制御部60は、その後も第3期間T3及び第4期間T4の制御を繰り返す。
【0236】
流量比率を降温用比率に調整する場合、車両用空調装置2bにより冷やされた空気がより多く第3通風路33に導かれて第1吐出口33aから吐出されるため、第1吐出口33aから吐出される空気の温度は下がりやすい。加えて、本処理例によれば、流量比率を降温用比率に調整する場合、制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を増加させるように、送風機34を制御するため、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を更に下げやすい。このため、乗員は第1吐出口33aから吐出される空気の温度が急激に低下したと感じ、乗員を眠気から覚醒させ得る。
【0237】
上述したように、本変形例の車両用シート空調装置3Fでは、制御部60は、所定のタイミングで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を調整するように、送風機34を制御する。
【0238】
これによれば、第1吐出口33aから吐出される空気の温度に加えて、当該空気の流量も、所定のタイミングで変化させることができる。このため、乗員の温度慣れを更に抑制することができる。
【0239】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Fでは、制御部60は、流量比率を降温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を減少させ、流量比率を昇温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を増加させるように、送風機34を制御する。
【0240】
車両用空調装置2b等により車室内が冷やされている場合、第1吸気口31aから吸気される空気の温度も低くなっているため、流量比率を昇温用比率に調整しても、第1吐出口33aから吐出される空気の温度は上がりにくい。そこで、本変形例の車両用シート空調装置3Fによれば、流量比率を昇温用比率に調整する場合、制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を増加させるように、送風機34を制御するため、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を上げやすい。このため、乗員の温度慣れを更に抑制することができる。
【0241】
なお、制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を所定の温度範囲内において変化させる場合、流量比率を降温用比率に調整してから当該温度範囲内における下限温度(例えば、第7温度)に到達するまでの時間と、流量比率を昇温用比率に調整してから当該温度範囲内における上限温度(例えば、第8温度)に到達するまでの時間が同じになるように、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を調整してもよい。このとき、制御部60は、流量比率を昇温用比率に調整する制御を実行してから流量比率を降温用比率に調整する制御を実行するまでの期間を、流量比率を降温用比率に調整する制御を実行してから流量比率を昇温用比率に調整する制御を実行するまでの期間と等しくしてもよい。これによれば、乗員の違和感を低減でき、乗員に対してより快適な空調環境を提供することができる。ここで、期間が同じ又は等しいとは、誤差のばらつきにより期間の長さが異なることも含む。
【0242】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Fでは、制御部60は、流量比率を降温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を第1風量に減少させて第1風量を維持するよう送風機34を制御し、流量比率を昇温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を第1風量よりも大きい第2風量に増加させて第2風量を維持するよう送風機34を制御する。
【0243】
これによれば、流量比率を昇温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量をより早く第2風量に増加させて第2風量を維持することができるため、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を上げやすい。このため、乗員の温度慣れを更に抑制することができる。
【0244】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Fでは、制御部60は、流量比率を降温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を増加させ、流量比率を昇温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を減少させるように、送風機34を制御する。
【0245】
流量比率を降温用比率に調整する場合、車両用空調装置2bにより冷やされた空気がより多く第3通風路33に導かれて第1吐出口33aから吐出されるため、第1吐出口33aから吐出される空気の温度は下がりやすい。加えて、本変形例の車両用シート空調装置3Fによれば、流量比率を降温用比率に調整する場合、制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を増加させるように、送風機34を制御するため、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を更に下げやすい。このため、乗員は第1吐出口33aから吐出される空気の温度が急激に低下したと感じ、乗員を眠気から覚醒させ得る。
【0246】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Fでは、制御部60は、流量比率を昇温用比率に調整する制御を実行してから流量比率を降温用比率に調整する制御を実行するまでの期間を、流量比率を降温用比率に調整する制御を実行してから流量比率を昇温用比率に調整する制御を実行するまでの期間よりも長くする。
【0247】
これによれば、流量比率を昇温用比率に調整して第1吐出口33aから吐出される空気の温度を上昇させる期間を、流量比率を降温用比率に調整して第1吐出口33aから吐出される空気の温度を低下させる期間よりも長くすることができる。このため、乗員は第1吐出口33aから吐出される空気の温度が急激に低下したと感じ、乗員を眠気から覚醒させ得る。
【0248】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Fでは、制御部60は、流量比率を昇温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を第1風量に減少させて第1風量を維持するよう送風機34を制御し、流量比率を降温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量を第1風量よりも大きい第2風量に増加させて第2風量を維持するよう送風機34を制御する。
【0249】
これによれば、流量比率を降温用比率に調整する場合、第1吐出口33aから吐出される空気の流量をより早く第2風量に増加させて第2風量を維持することができるため、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を下げやすい。このため、乗員の温度慣れを更に抑制することができるとともに、乗員を眠気から覚醒させ得る。
【0250】
(実施の形態4)
本実施の形態では、車両用シート空調装置3Gが、実施の形態1~3のそれぞれに記載された制御を実行する。本実施の形態における車両用シート空調装置3Gの構成は実施の形態1における車両用シート空調装置3等と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0251】
図27図29は、実施の形態4における車両用シート空調装置3Gの処理を示すフローチャートである。
【0252】
図27に示されるステップS1101からS1107までの処理は、実施の形態1における車両用シート空調装置におけるステップS101からS107までの処理と同様である。
【0253】
制御部60によりセンターコンソール内の温度が第2温度未満であると判定された場合(S1105でNO)、処理はステップS1108へ進む。ステップS1108において、制御部60は、センターコンソール内の温度が切替え温度以上であるか否かを判定する。切替え温度は第2温度よりも低い温度であり、例えば30℃である。
【0254】
制御部60によりセンターコンソール内の温度が切替え温度以上であると判定された場合(S1108でYES)、処理はステップS1109へ進む。ステップS1109からS1110までの処理は、実施の形態1における車両用シート空調装置におけるステップS108からS109までの処理と同様である。
【0255】
制御部60によりセンターコンソール内の温度が切替え温度未満であると判定された場合(S1108でNO)、処理はステップS1111へ進む。ステップS1111において、制御部60は、調整部35を制御することで、流量比率を100%に調整する。
【0256】
次に、ステップS1112において、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量が第4吐出流量となるように送風機34の出力を調整する。そして、処理はステップS1401へ進む。
【0257】
ステップS1401からS1409までの処理は、実施の形態2における車両用シート空調装置におけるステップS401からS409までの処理と同様である。ステップS1409の後、処理はステップS1901へ進む。
【0258】
ステップS1901において、制御部60は、調整部35を制御することで、流量比率を降温用比率に調整する。
【0259】
次に、ステップS1902において、制御部60は、ステップS1901で流量比率を降温用比率に調整してから第3期間T3が経過したか否かを判定する。
【0260】
制御部60により第3期間T3が経過したと判定された場合(S1902でYES)、処理はステップS1903へ進む。ステップS1903において、制御部60は、調整部35を制御することで、流量比率を昇温用比率に調整する。
【0261】
制御部60により第3期間T3が経過していないと判定された場合(S1902でNO)、制御部60は、ステップS1902の処理を繰り返す。
【0262】
ステップS1903の後、ステップS1904において、制御部60は、ステップS1903で流量比率を昇温用比率に調整してから第4期間T4が経過したか否かを判定する。制御部60により第4期間T4が経過したと判定された場合(S1904でYES)、制御部60は、処理をステップS1901へ戻し、処理を繰り返す。
【0263】
制御部60により第4期間T4が経過していないと判定された場合(S1904でNO)、制御部60は、ステップS1904の処理を繰り返す。
【0264】
なお、上述した処理において、判定処理の順番は適宜入れ替えてもよい。
【0265】
また、実施の形態1の変形例1及び変形例2のように、高い温度の空気が乗員に吹き付けられることを抑制するための処理を実行してもよい。
【0266】
また、実施の形態2の処理例2及び処理例3のように、車両用空調装置2bで生成される空気の風量に代えて、又は、これに加えて、車両用空調装置2bで生成される空気の温度を調整してもよい。
【0267】
また、実施の形態2の処理例4のように、車両用空調装置2bが内気循環モードであるか外気導入モードであるかによって異なる処理を実行してもよい。
【0268】
また、実施の形態2の変形例のように、第1通風路31内の温度に応じた処理を実行してもよい。
【0269】
また、実施の形態3の変形例のように、流量比率の切替えに応じて第1吐出口33aから吐出される空気の流量を調整してもよい。
【0270】
(実施の形態4の変形例)
本変形例では、第3吸気口41aがシートバック13に設けられる点で、実施の形態4の車両用シート空調装置と相違する。本変形例における他の構成は、実施の形態4と同様であり、同一の構成及び機能については同一の符号を付して構成及び機能に関する詳細な説明を省略する。
【0271】
図30は、実施の形態4の変形例における車両用シート空調装置が備えられたシートの断面図である。図30に示すように、本変形例に係る車両用シート空調装置3Hが備えられたシート1には、第3吸気口41a及び第5通風路41が形成されている。本変形例では、第3吸気口41aは、シートバック13の第2シートパッド13aに形成されている。また、第2シートカバー13bには、座部11に着座した乗員と対向する面(X軸プラス方向側の面)であり、第5通風路41の第3吸気口41aと対応する位置に、第3通気口12cが形成されている。本変形例では、第3吸気口41aが車室の床面に対して配置される高さは、車室の床面に対して、第1吐出口33aが配置される高さよりも下側に配置されている。本変形例では、第3通気口12cは、第2シートカバー13bに対して複数形成されている。複数の第3通気口12cは、例えば、乗員の背部及び腰部と対応する第2シートカバー13bの部分に形成され、且つ、Y軸方向に並ぶ複数の列が形成されている。
【0272】
本変形例では、車両用シート空調装置3Hの第5通風路41は、送風機34によって、シートバック13の第2シートカバー13bに設けられる第3吸気口41aから吸気された空気を調整部35に導く。
【0273】
本変形例では、調整部35は、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量及び第5通風路41から第3通風路33に導かれる空気の流量(第6流量ともいう)と、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量(第2流量ともいう)との比率(以下、単に流量比率ともいう)を調整する。例えば、第1通風路31から第3通風路33に空気が導かれるように、第5通風路41から第3通風路33に空気が導かれるように、及び/又は、第2通風路32から第3通風路33に空気が導かれるように、第3通風路33への空気の流路が第1通風路31と第2通風路32と第5通風路41とで切替え可能な切替え部(通風路切替え部)となっている。調整部35は、例えば、ダンパ等で構成される。
【0274】
ここで、本変形例における流量比率は、第6流量及び第2流量の合計流量に対する第2流量の比率(第2流量/合計流量)を意味する。例えば、流量比率が0%とは、第1通風路31及び/又は第5通風路41と第3通風路33とが接続されている状態であり、第1通風路31及び/又は第5通風路41から導かれた空気を第3通風路33に導くことで第1吐出口33aから空気を吐出する状態である。また、例えば、流量比率が100%とは、第2通風路32と第3通風路33とが接続されている状態であり、第2通風路32だけから導かれた空気を第3通風路33に導くことで第1吐出口33aから空気を吐出する状態である。また、例えば、流量比率が50%とは、第1通風路31及び/又は第5通風路41と、第2通風路32と、第3通風路33とが接続されている状態であり、第1通風路31及び/又は第5通風路41と、第2通風路32とから同時に導かれた同程度の流量の空気を第3通風路33に導いて混合することで第1吐出口33aから空気を吐出する状態である。言い換えれば、流量比率が50%とは、第1通風路31及び/又は第5通風路41から導かれる空気の流量(の合計)と、第2通風路32から導かれる空気の流量とが、同程度である状態である。
【0275】
本変形例の車両用シート空調装置3Hでは、図27図29に示される処理において、制御部60は、少なくとも第1通風路31から導かれた空気を第3通風路33に導くように調整部35を制御する場合、第1通風路31だけから導かれた空気を第3通風路33に導くか、第1通風路31と第5通風路41との両方から導かれた空気を第3通風路33に導くかを、調整部35を制御することによって切り替える。
【0276】
例えば、図27に示されるステップS1103の処理において、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31と第5通風路41とから導かれた空気が第3通風路33に導かれるように流量比率を調整する。つまり、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31及び第5通風路41から導かれる空気の流量の合計と、第2通風路32から導かれる空気の流量との流量比率を、0%に調整する。そして、ステップS1104において、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量が第1吐出流量となるように送風機34の出力(例えば、回転数)を調整する。
【0277】
また、図27に示されるステップS1106の処理において、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31と第2通風路32と第5通風路41とから導かれた空気が第3通風路33に導かれるように流量比率を調整する。つまり、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31及び第5通風路41から導かれる空気の流量の合計と、第2通風路32から導かれる空気の流量との流量比率を、第1比率に調整する。そして、ステップS1107において、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量が第2吐出流量となるように送風機34の出力(例えば、回転数)を調整する。
【0278】
また、図27に示されるステップS1109の処理において、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31と第2通風路32と第5通風路41とから導かれた空気が第3通風路33に導かれるように流量比率を調整する。つまり、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31及び第5通風路41から導かれる空気の流量の合計と、第2通風路32から導かれる空気の流量との流量比率を、第2比率に調整する。そして、ステップS1110において、制御部60は、送風機34を制御することで、第1吐出口33aから吐出される空気の流量が第3吐出流量となるように送風機34の出力(例えば、回転数)を調整する。
【0279】
例えば、外気温度が高い場合や日射量が多い場合等においては、車室内の温度が高くなりがちであり、車両用空調装置2bで生成される空気も高温になりがちである。この場合、シート1の座面11c側の第1吸気口31a及びシート1のシートバック13の第3吸気口41aから空気を吸気し、吸気した当該空気を第1吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している乗員に吹き付けることができる。その結果、第1吸気口31a及び第3吸気口41aから空気を吸気することができるため、シート1に着座している乗員の臀部、大腿部、腰部及び背部の発汗による蒸れを抑制することができる。また、乗員の臀部、大腿部、腰部及び背部の付近に気流を発生させて、汗による気化熱で乗員に冷感を与えることができる。つまり、乗員の臀部及び大腿部だけでなく、より広範囲において発汗による蒸れを抑制することができ、また、汗による気化熱で冷感を与えることができる。
【0280】
また、図29に示されるステップS1901の処理において、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31と第2通風路32とから導かれた空気が第3通風路33に導かれるように流量比率を調整する。つまり、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31から導かれる空気の流量と第2通風路32から導かれる空気の流量との流量比率を、降温用比率に調整する。
【0281】
また、図29に示されるステップS1903の処理において、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31と第2通風路32とから導かれた空気が第3通風路33に導かれるように流量比率を調整する。つまり、制御部60は、調整部35を制御することで、第1通風路31から導かれる空気の流量と第2通風路32から導かれる空気の流量との流量比率を、昇温用比率に調整する。
【0282】
例えば、外気温度が高い場合や日射量が多い場合等において、図27図29に示される処理を実行する場合、図29に示される処理を実行する時点では、車両用空調装置2bで生成される空気は冷え、センターコンソール内の温度も十分に低下していることが想定される。この場合、車両用空調装置2bによって冷やされている空気を第2吸気口32aから吸気し、且つ、シート1の座面11c側の第1吸気口31aからも空気を吸気して、第1吸気口31a及び第2吸気口32aから同時に吸気された空気を第1吐出口33aから吐出することで、シート1に着座している乗員に吹き付けることができる。その結果、第1吸気口31aから空気を吸気することができるため、座面11cと接している乗員の臀部及び大腿部の発汗による蒸れを抑制することができる。また、乗員の臀部及び大腿部の付近に気流を発生させて、汗による気化熱で乗員に冷感を与えることができる。つまり、シート1のシートバック13の第3吸気口41aからは空気を吸気しないため、乗員の腰部及び背部の冷えすぎによりかえって乗員が不快感を覚えることを抑制し得る。
【0283】
なお、第5通風路41は、特許請求の範囲の「第3吸気通風路」に相当し得る。
【0284】
上述したように、本変形例の車両用シート空調装置3Hは、シート1に着座する乗員側に位置する面である座部11の表面に設けられる第1吸気口31aから送風機34によって吸い込まれた空気が通る第1通風路31と、第1吸気口31aと異なる吸気口であり、シート1におけるシート1の表面以外の箇所に設けられる第2吸気口32aから送風機34によって吸い込まれた空気が通る第2通風路32と、第1吸気口31a及び第2吸気口32aと異なる吸気口であり、シート1に着座する乗員側に位置する面であるシートバック13の表面に設けられる第3吸気口41aから送風機34によって吸い込まれた空気が通る第5通風路41と、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気、及び第5通風路41から第3通風路33に導かれる空気の合計流量に対する、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量の比率を調整する調整部35と、を更に備える。制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度に基づいて調整部35を制御することで、当該比率を調整する。制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度以上である場合、第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量と第5通風路41から第3通風路33に導かれる空気の流量との合計が第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の流量よりも大きくなるように当該比率を調整する。
【0285】
例えば、外気温度が高い場合や日射量が多い場合等において、乗員が車両に乗車した直後では、車両用空調装置2bで生成される空気が乗員の体温よりも高温になり、乗員が不快に感じるおそれがある。本実施の形態の車両用シート空調装置3によれば、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度以上である場合、第1吸気口31aから吸気されて第1通風路31から第3通風路33に導かれる空気の流量と、第3吸気口41aから吸気されて第5通風路41から第3通風路33に導かれる空気の流量との合計を大きくすることができ、第1吸気口31a及び第3吸気口41aが設けられるシート1の表面と接している乗員の部位の発汗による蒸れを抑制し得る。また、乗員の当該部位の付近に気流を発生させて、汗による気化熱で乗員に冷感を与え得る。つまり、乗員が車両に乗車した直後等、乗員が車両用空調装置2bで生成される空気による冷感を得にくい期間においても、第1吸気口31a及び第3吸気口41aが設けられるシート1の表面と接している乗員の部位において乗員は冷感を得ることができる。つまり、第1吸気口31aに対応する乗員の部位だけでなく、第3吸気口41aに対応する乗員の部位も含めたより広範囲において、発汗による蒸れを抑制することができ、また、汗による気化熱で冷感を与えることができる。このため、乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0286】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Hでは、制御部60は、車両用空調装置2b生成された空気の温度が第1温度以上である場合、第1通風路31及び第5通風路41から第3通風路33に空気が導かれるように当該比率を調整する。
【0287】
これによれば、第1吸気口31aから吸気され第1通風路31を通る空気及び第3吸気口41aから吸気され第5通風路41を通る空気だけを第3通風路33に導くことができ、第1吸気口31a及び第3吸気口41aからより多くの空気を吸気することができる。このため、乗員の上記部位の発汗による蒸れを更に抑制し得、また、汗による気化熱で乗員に冷感を与え得る。
【0288】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Hでは、制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度未満且つ第1温度よりも低い第2温度以上である場合、第1通風路31、第2通風路32及び第5通風路41から第3通風路33に空気が導かれ、車両用空調装置2bで生成された空気の温度の低下に応じて当該比率が増加するように、当該比率を調整する。
【0289】
これによれば、車両用空調装置2bで生成された空気の温度の低下に応じて、第2通風路32から第3通風路33に導かれる空気の比率を高くすることができ、乗員の表面温度をより効率的に下げ得る。
【0290】
また本変形例の車両用シート空調装置3Hでは、制御部60は、温冷感パラメータが示す、シート1に着座する乗員が涼しいと感じる度合いが所定値よりも低い場合、経過時間又は第1吐出口33aから吐出される空気の温度に基づいて定められる所定のタイミングで当該比率を調整する。
【0291】
これによれば、制御部60は、第1吐出口33aから吐出される空気の温度を所定のタイミングで変化させることができる。このため、一定の温度の空気が吹き付けられることによる乗員の温度慣れを抑制し、乗員に対して快適な空調環境を提供することができる。
【0292】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Hでは、制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第2温度以上である場合、少なくとも第1通風路31及び第5通風路41から第3通風路33に空気が導かれるように当該比率を調整し、温冷感パラメータが示す、シート1に着座する乗員が涼しいと感じる度合いが所定値よりも低い場合、第1通風路31及び第2通風路32から第3通風路33に空気が導かれるように当該比率を調整する。
【0293】
これによれば、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第2温度以上である場合、少なくとも第1吸気口31aから吸気され第1通風路31を通る空気及び第3吸気口41aから吸気され第5通風路41を通る空気を第3通風路33に導くことができ、第1吸気口31a及び第3吸気口41aから空気を吸気することができる。このため、第1吸気口31aに対応する乗員の部位だけでなく、第3吸気口41aに対応する乗員の部位も含めたより広範囲において、発汗による蒸れを抑制することができ、また、汗による気化熱で冷感を与えることができる。また、温冷感パラメータが示す、シート1に着座する乗員が涼しいと感じる度合いが所定値よりも低い場合、第1吸気口31aから吸気され第1通風路31を通る空気及び第2吸気口32aから吸気され第2通風路32を通る空気を第3通風路33に導くことができる。このため、第3吸気口41aからは空気を吸気しないため、第3吸気口41aに対応する乗員の部位の冷えすぎによりかえって乗員が不快感を覚えることを抑制し得る。
【0294】
また、本変形例の車両用シート空調装置3Hでは、制御部60は、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度以上である場合、第1通風路31及び第5通風路41から第3通風路33に空気が導かれるように当該比率を調整し、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度未満且つ第2温度以上である場合、第1通風路31、第2通風路32及び第5通風路41から第3通風路33に空気が導かれるように当該比率を調整する。
【0295】
これによれば、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度以上である場合、第1吸気口31aから吸気され第1通風路31を通る空気及び第3吸気口41aから吸気され第5通風路41を通る空気だけを第3通風路33に導くことができ、第1吸気口31a及び第3吸気口41aからより多くの空気を吸気することができる。このため、乗員の上記部位の発汗による蒸れを更に抑制し得、また、汗による気化熱で乗員に冷感を与え得る。また、車両用空調装置2bで生成された空気の温度が第1温度未満且つ第2温度以上である場合、つまり車両用空調装置2bで生成された空気が冷え始めている場合、車両用空調装置2bで生成され第2通風路32を通る空気を第3通風路33に導くことができ、乗員の表面温度をより効率的に下げ得る。
【0296】
(その他変形例等)
以上、本開示において、実施の形態1~4に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態1~4に限定されるものではない。
【0297】
例えば、上記各実施の形態1~4に係る車両用シート空調装置において、第1吸気口31aは、シートバック13に形成されていてもよい。この場合、第1吸気口31aは、シートバック13の中央部に対して第2シートパッド13aのY軸プラス方向側及びY軸マイナス方向側の外縁部等、乗員の背部等に覆われない位置に配置すると、実施の形態1に示す効果を奏しやすい。
【0298】
また、上記各実施の形態1~4に係る車両用シート空調装置において、第2吸気口32aは、車両用空調装置2bと接続されていなくてもよく、第1吸気口31aと同様に車室内に向けて開口している構成であってもよいし、シート1には第2吸気口32aが形成されていなくてもよい。そして、車両用シート空調装置は、通風路を流れる空気を冷却又は加温するペルチェモジュールを備えていてもよく、ペルチェモジュールによって冷却された空気を第1吐出口33aから吐出してもよい。
【0299】
具体的には、図31に示すように、送風機34によって導かれた空気は、第3通風路33及び排風路38の両方に流れる。例えば、制御部60は、ペルチェモジュール39の利用熱面39aを冷却面として機能させるようペルチェモジュール39に電圧を印加する。第3通風路33へ流れた空気は、ペルチェモジュール39の利用熱面39aにより冷却され、冷却された空気は、第1吐出口33aから吐出される。一方、排風路38へ流れた空気は、ペルチェモジュール39の排熱面39bにより加温され、加温された空気は、排風口38aから車外等へ排出される。なお、図31では、送風機34よりも上流側の構成については省略している。また、図31では、第3通風路33にペルチェモジュール39を設ける構成を示したが、この構成に限定されず、例えば第2通風路32にペルチェモジュール39を設ける構成であってもよい。ペルチェモジュール39は特許請求の範囲の「温度調整部」の一例である。
【0300】
また、上記各実施の形態1~4に係る車両用シート空調装置に含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0301】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0302】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0303】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態1~4は例示された数字に制限されない。
【0304】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックとして実現したり、1つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0305】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0306】
その他、実施の形態1~4に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1~4における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0307】
(付記)
上記実施の形態から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0308】
第1の態様の車両用シート空調装置(3,3A,3B,3G,3H)は、車両に配置され、シートバック(13)及び座部(11)を有するシート(1)に用いられる。車両用シート空調装置(3,3A,3B,3G,3H)は、送風機(34)と、第1通風路(31)と、第2通風路(32)と、第3通風路(33)と、調整部(35)と、制御部(60)と、を備える。送風機(34)は、シート(1)に内蔵される。第1通風路(31)は、シート(1)に着座する人側に位置する面であるシート(1)の表面に設けられる第1吸気口(31a)から送風機(34)によって吸い込まれた空気が通る。第2通風路(32)は、第1吸気口(31a)と異なる吸気口であり、シート(1)におけるシート(1)の表面以外の箇所に設けられる第2吸気口(32a)から送風機(34)によって吸い込まれた空気が通る。第3通風路(33)は、第1通風路(31)及び第2通風路(32)の少なくとも一方から導かれた空気を、シート(1)に着座する人側に位置する面であるシートバック(13)の表面に設けられる第1吐出口(33a)まで導く。調整部(35)は、第1通風路(31)から第3通風路(33)に導かれる空気及び第2通風路(32)から第3通風路(33)に導かれる空気の合計流量に対する、第2通風路(32)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量の比率を調整する。制御部(60)は、送風機(34)及び調整部(35)を制御する。制御部(60)は、温度調整部で温度調整された空気の温度に基づいて調整部(35)を制御することで、当該比率を調整する。制御部(60)は、温度調整部で温度調整された空気の温度が第1温度以上である場合、第1通風路(31)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量が第2通風路(32)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量よりも大きくなるように当該比率を調整する。
【0309】
第2の態様の車両用シート空調装置(3,3A,3B,3G,3H)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様では、制御部(60)は、温度調整部で温度調整された空気の温度が第1温度以上である場合、比率が0%となるように比率を調整する。
【0310】
第3の態様の車両用シート空調装置(3,3A,3B,3G,3H)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様では、制御部(60)は、温度調整部で温度調整された空気の温度が第1温度未満である場合、温度調整部で温度調整された空気の温度の低下に応じて比率が増加するように、比率を調整する。
【0311】
第4の態様の車両用シート空調装置(3,3A,3B,3G,3H)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様では、制御部(60)は、温度調整部で温度調整された空気の温度が第1温度よりも低い第2温度未満である場合、比率が100%となるように比率を調整する。
【0312】
第5の態様の車両用シート空調装置(3,3A,3B,3G,3H)は、第2~第4の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第5の態様では、制御部(60)は、温度調整部で温度調整された空気の温度が第1温度未満である場合、温度調整部で温度調整された空気の温度の低下に応じて第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量が増加するように、送風機(34)を制御する。
【0313】
第6の態様の車両用シート空調装置(3,3A,3B,3G,3H)は、第5の態様との組合せにより実現され得る。第6の態様では、制御部(60)は、第1吸気口(31a)から吸気される空気の流量が一定となるように、送風機(34)を制御する。
【0314】
第7の態様の車両用シート空調装置(3,3A,3B,3G,3H)は、第1~第6の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第7の態様では、第1吸気口(31a)は、座部(11)の表面(11c)に設けられる。
【0315】
第8の態様の車両用シート空調装置(3A,3G,3H)は、第1~第7の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第8の態様では、車両用シート空調装置(3A,3G,3H)は、第1通風路(31)及び第2通風路(32)の少なくとも一方から導かれた空気を、第1吐出口(33a)と異なる吐出口であり、シート(1)におけるシート(1)の表面以外の箇所に設けられる第2吐出口(36a)まで導く第4通風路(36)を更に備える。制御部(60)は、温度調整部で温度調整された空気の温度が第1温度以上である場合、第1通風路(31)及び第2通風路(32)の少なくとも一方から導かれた空気を、第2吐出口(36a)から吐出するように制御する。
【0316】
第9の態様の車両用シート空調装置(3B,3G,3H)は、第1~第8の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第9の態様では、第1吐出口(33a)には風向変更部材(120)が設けられる。制御部(60)は、温度調整部で温度調整された空気の温度が第1温度以上である場合、第1吐出口(33a)から吐出される空気がシート(1)に着座する人に向かわないように、風向変更部材(120)を制御する。
【0317】
第10の態様の車両用シート空調装置(3C,3D,3G,3H)は、車両に配置され、シートバック(13)及び座部(11)を有するシート(1)に用いられる。車両用シート空調装置(3C,3D,3G,3H)は、送風機(34)と、吐出通風路(33)と、制御部(60)と、を備える。送風機(34)は、シート(1)に内蔵され、車両に搭載される車両用空調装置(2b)が生成する空気を導く。吐出通風路(33)は、送風機(34)から導かれた空気を、シート(1)に着座する人側に位置する面であるシートバック(13)の表面に設けられる第1吐出口(33a)まで導く。制御部(60)は、送風機(34)を制御する。制御部(60)は、第1吐出口(33a)から吐出される空気の温度に関する情報の検出結果を含む環境パラメータから決定される温冷感パラメータに基づいて、車両用空調装置(2b)で生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つを制御する。
【0318】
第11の態様の車両用シート空調装置(3C,3D,3G,3H)は、第10の態様との組合せにより実現され得る。第11の態様では、環境パラメータは、外気温度、車室内温度、日射量、及び、日射角度のうち少なくとも1つの検出結果を更に含む。
【0319】
第12の態様の車両用シート空調装置(3C,3D,3G,3H)は、第10又は第11の態様との組合せにより実現され得る。第12の態様では、制御部(60)は、温冷感パラメータが示す、シート(1)に着座する人が涼しいと感じる度合いが高いほど、車両用空調装置(2b)で生成される空気の風量を小さくする。
【0320】
第13の態様の車両用シート空調装置(3C,3D,3G,3H)は、第10~第12の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第13の態様では、制御部(60)は、温冷感パラメータが示す、シート(1)に着座する人が涼しいと感じる度合いが高いほど、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度を上昇させる。
【0321】
第14の態様の車両用シート空調装置(3D,3G,3H)は、第10~第13の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第14の態様では、車両用シート空調装置(3D,3G,3H)は、シート(1)に着座する人側に位置する面である座部(11)の表面(11c)に設けられる第1吸気口(31a)から送風機(34)によって吸い込まれた空気が通る第1吸気通風路(31)を更に備える。制御部(60)は、第1吸気口(31a)から吸気される空気の温度と車両の車室内の温度とに基づいて、車両用空調装置(2b)で生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つを制御する。
【0322】
第15の態様の車両用シート空調装置(3D,3G,3H)は、第14の態様との組合せにより実現され得る。第15の態様では、制御部(60)は、第1吸気口(31a)から吸気される空気の温度が車両の車室内の温度以上である場合、車両用空調装置(2b)で生成される空気の風量を低下させる制御及び車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度を上昇させる制御の少なくとも1つを実行する。
【0323】
第16の態様の車両用シート空調装置(3D,3G,3H)は、第14又は第15の態様との組合せにより実現され得る。第16の態様では、車両用シート空調装置(3D,3G,3H)は、第2吸気通風路(32)と、調整部(35)と、を備える。第2吸気通風路(32)は、第1吸気口(31a)と異なる吸気口であり、シート(1)におけるシート(1)の表面以外の箇所に設けられる第2吸気口(32a)から送風機(34)によって吸い込まれた空気が通る。調整部(35)は、第1吸気通風路(31)及び第2吸気通風路(32)の少なくとも1つを選択する。調整部(35)は、吐出通風路(33)に空気を導くために、第2吸気通風路(32)を吐出通風路(33)に接続する冷房モードと、第1吸気通風路(31)及び第2吸気通風路(32)を吐出通風路(33)に接続するミックスモードとを有する。制御部(60)は、冷房モード又はミックスモードのいずれかのモードを選択することで、調整部(35)のモードを切り替える。
【0324】
第17の態様の車両用シート空調装置(3D,3G,3H)は、第16の態様との組合せにより実現され得る。第17の態様では、制御部(60)は、冷房モードを選択して第1時間が経過するとミックスモードを選択し、ミックスモードを選択して第1時間よりも短い第2時間が経過すると冷房モードを選択するように、調整部(35)のモードを切り替える。制御部(60)は、第2時間の間において検出された第1吸気口(31a)から吸気される空気の温度を取得する。
【0325】
第18の態様の車両用シート空調装置(3E,3F,3G,3H)は、車両に配置され、シートバック(13)及び座部(11)を有するシート(1)に用いられる。車両用シート空調装置(3E,3F,3G,3H)は、送風機(34)と、第1通風路(31)と、第2通風路(32)と、第3通風路(33)と、調整部(35)と、制御部(60)と、を備える。送風機(34)は、シート(1)に内蔵される。第1通風路(31)は、シート(1)に着座する人側に位置する面であるシート(1)の表面に設けられる第1吸気口(31a)から送風機(34)によって吸い込まれた空気が通る。第2通風路(32)は、第1吸気口(31a)と異なる吸気口であり、シート(1)におけるシート(1)の表面以外の箇所に設けられる第2吸気口(32a)から送風機(34)によって吸い込まれた空気が通る。第3通風路(33)は、第1通風路(31)及び第2通風路(32)の少なくとも一方から導かれた空気を、シート(1)に着座する人側に位置する面であるシートバック(13)の表面に設けられる第1吐出口(33a)まで導く。調整部(35)は、第1通風路(31)から第3通風路(33)に導かれる空気及び第2通風路(32)から第3通風路(33)に導かれる空気の合計流量に対する、第2通風路(32)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量の比率を調整する。制御部(60)は、送風機(34)及び調整部(35)を制御する。制御部(60)は、経過時間又は第1吐出口(33a)から吐出される空気の温度に基づいて定められる所定のタイミングで当該比率を調整する。
【0326】
第19の態様の車両用シート空調装置(3E,3F,3G,3H)は、第18の態様との組合せにより実現され得る。第19の態様では、制御部(60)は、第1通風路(31)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量よりも第2通風路(32)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量が大きい降温用比率に比率を調整する制御を実行して第1所定時間が経過すると、第2通風路(32)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量よりも第1通風路(31)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量が大きい昇温用比率に比率を調整する制御を実行し、比率を昇温用比率に調整する制御を実行して第2所定時間が経過すると、比率を降温用比率に調整する制御を実行する。
【0327】
第20の態様の車両用シート空調装置(3E,3F,3G,3H)は、第18の態様との組合せにより実現され得る。第20の態様では、制御部(60)は、第1通風路(31)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量よりも第2通風路(32)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量が大きい降温用比率に比率を調整する制御を実行してから第1吐出口(33a)から吐出される空気の温度が第1所定温度になると、第2通風路(32)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量よりも第1通風路(31)から第3通風路(33)に導かれる空気の流量が大きい昇温用比率に比率を調整する制御を実行し、比率を昇温用比率に調整する制御を実行してから第1吐出口(33a)から吐出される空気の温度が第1所定温度よりも高い第2所定温度になると、比率を降温用比率に調整する制御を実行する。
【0328】
第21の態様の車両用シート空調装置(3E,3F,3G,3H)は、第19又は第20の態様との組合せにより実現され得る。第21の態様では、制御部(60)は、比率を降温用比率に調整する場合、第2通風路(32)を第3通風路(33)に接続し、比率を昇温用比率に調整する場合、第1通風路(31)及び第2通風路(32)を第3通風路(33)に接続する。
【0329】
第22の態様の車両用シート空調装置(3E,3F,3G,3H)は、第19又は第20の態様との組合せにより実現され得る。第22の態様では、制御部(60)は、比率を降温用比率に調整する場合、第1通風路(31)及び第2通風路(32)を第3通風路(33)に接続し、比率を昇温用比率に調整する場合、第1通風路(31)を第3通風路(33)に接続する。
【0330】
第23の態様の車両用シート空調装置(3E,3F,3G,3H)は、第19又は第20の態様との組合せにより実現され得る。第23の態様では、制御部(60)は、比率を降温用比率に調整する場合、第2通風路(32)を第3通風路(33)に接続し、比率を昇温用比率に調整する場合、第1通風路(31)を第3通風路(33)に接続する。
【0331】
第24の態様の車両用シート空調装置(3F,3G,3H)は、第18~第23の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第24の態様では、制御部(60)は、所定のタイミングで、第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量を調整するように、送風機(34)を制御する。
【0332】
第25の態様の車両用シート空調装置(3F,3G,3H)は、第24の態様との組合せにより実現され得る。第25の態様では、制御部(60)は、比率を降温用比率に調整する場合、第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量を減少させ、比率を昇温用比率に調整する場合、第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量を増加させるように、送風機(34)を制御する。
【0333】
第26の態様の車両用シート空調装置(3F,3G,3H)は、第25の態様との組合せにより実現され得る。第26の態様では、制御部(60)は、比率を昇温用比率に調整する制御を実行してから比率を降温用比率に調整する制御を実行するまでの期間を、比率を降温用比率に調整する制御を実行してから比率を昇温用比率に調整する制御を事項するまでの期間と等しくする。
【0334】
第27の態様の車両用シート空調装置(3F,3G,3H)は、第25又は第26の態様との組合せにより実現され得る。第27の態様では、制御部(60)は、比率を降温用比率に調整する場合、第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量を第1風量に減少させて第1風量を維持するよう送風機(34)を制御し、比率を昇温用比率に調整する場合、第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量を第1風量よりも大きい第2風量に増加させて第2風量を維持するよう送風機(34)を制御する。
【0335】
第28の態様の車両用シート空調装置(3F,3G,3H)は、第24の態様との組合せにより実現され得る。第28の態様では、制御部(60)は、比率を降温用比率に調整する場合、第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量を増加させ、比率を昇温用比率に調整する場合、第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量を減少させるように、送風機(34)を制御する。
【0336】
第29の態様の車両用シート空調装置(3F,3G,3H)は、第28の態様との組合せにより実現され得る。第29の態様では、制御部(60)は、比率を昇温用比率に調整する制御を実行してから比率を降温用比率に調整する制御を実行するまでの期間を、比率を降温用比率に調整する制御を実行してから比率を昇温用比率に調整する制御を実行するまでの期間よりも長くする。
【0337】
第30の態様の車両用シート空調装置(3F,3G,3H)は、第28又は第29の態様との組合せにより実現され得る。第30の態様では、制御部(60)は、比率を昇温用比率に調整する場合、第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量を第1風量に減少させて第1風量を維持するよう送風機(34)を制御し、比率を降温用比率に調整する場合、第1吐出口(33a)から吐出される空気の流量を第1風量よりも大きい第2風量に増加させて第2風量を維持するよう送風機(34)を制御する。
【0338】
第31の態様の車両用シート空調装置(3E,3F,3G,3H)は、第18~第30の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第31の態様では、第1吸気口(31a)は、座部(11)の表面(11c)に設けられる。
【0339】
第32の態様の車両用シート空調装置(3H)は、第10~第17の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第32の態様では、制御部(60)は、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度が切替え温度未満である場合、温冷感パラメータに基づいて、車両用空調装置(2b)で生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つを制御する。制御部(60)は、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度が切替え温度以上である場合、温冷感パラメータに基づいた車両用空調装置(2b)で生成される空気の風量及び温度の少なくとも1つの制御を実行しない。
【0340】
第33の態様の車両用シート空調装置(3H)は、第32の態様との組合せにより実現され得る。第33の態様では、第1吸気通風路(31)と、第2吸気通風路(32)と、第3吸気通風路(41)と、調整部(35)と、を更に備える。第1吸気通風路(31)は、シート(1)に着座する人側に位置する面である座部(11)の表面(11c)に設けられる第1吸気口(31a)から送風機(34)によって吸い込まれた空気が通る。第2吸気通風路(32)は、第1吸気口(31a)と異なる吸気口であり、シート(1)におけるシート(1)の表面以外の箇所に設けられる第2吸気口(32a)から送風機(34)によって吸い込まれた空気が通る。第3吸気通風路(41)は、第1吸気口(31a)及び第2吸気口(32a)と異なる吸気口であり、シート(1)に着座する人側に位置する面であるシートバック(13)の表面に設けられる第3吸気口(41a)から送風機(34)によって吸い込まれた空気が通る。調整部(35)は、第1吸気通風路(31)から吐出通風路(33)に導かれる空気、第2吸気通風路(32)から吐出通風路(33)に導かれる空気、及び第3吸気通風路(41)から吐出通風路(33)に導かれる空気の合計流量に対する、第2吸気通風路(32)から吐出通風路(33)に導かれる空気の流量の比率を調整する。制御部(60)は、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度に基づいて調整部(35)を制御することで、当該比率を調整する。制御部(60)は、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度が第1温度以上である場合、第1吸気通風路(31)から吐出通風路(33)に導かれる空気の流量と第3吸気通風路(41)から吐出通風路(33)に導かれる空気の流量との合計が第2吸気通風路(32)から吐出通風路(33)に導かれる空気の流量よりも大きくなるように当該比率を調整する。
【0341】
第34の態様の車両用シート空調装置(3H)は、第33の態様との組合せにより実現され得る。第34の態様では、制御部(60)は、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度が第1温度以上である場合、第1吸気通風路(31)及び第3吸気通風路(41)から吐出通風路(33)に空気が導かれるように当該比率を調整する。
【0342】
第35の態様の車両用シート空調装置(3H)は、第33又は第34の態様との組合せにより実現され得る。第35の態様では、制御部(60)は、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度が第1温度未満且つ第1温度よりも低い第2温度以上である場合、第1吸気通風路(31)、第2吸気通風路(32)及び第3吸気通風路(41)から吐出通風路(33)に空気が導かれ、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度の低下に応じて当該比率が増加するように、当該比率を調整する。
【0343】
第36の態様の車両用シート空調装置(3H)は、第33~第35の態様のいずれか1つとの組合せにより実現され得る。第36の態様では、制御部(60)は、温冷感パラメータが示す、シート(1)に着座する人が涼しいと感じる度合いが所定値よりも低い場合、経過時間又は第1吐出口(33a)から吐出される空気の温度に基づいて定められる所定のタイミングで当該比率を調整する。
【0344】
第37の態様の車両用シート空調装置(3H)は、第36の態様との組合せにより実現され得る。第37の態様では、制御部(60)は、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度が第1温度よりも低い第2温度以上である場合、少なくとも第1吸気通風路(31)及び第3吸気通風路(41)から吐出通風路(33)に空気が導かれるように当該比率を調整する。制御部(60)は、温冷感パラメータが示す、シート(1)に着座する人が涼しいと感じる度合いが所定値よりも低い場合、第1吸気通風路(31)及び第2吸気通風路(32)から吐出通風路(33)に空気が導かれるように当該比率を調整する。
【0345】
第38の態様の車両用シート空調装置(3H)は、第37の態様との組合せにより実現され得る。第38の態様では、制御部(60)は、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度が第1温度以上である場合、第1吸気通風路(31)及び第3吸気通風路(41)から吐出通風路(33)に空気が導かれるように当該比率を調整する。制御部(60)は、車両用空調装置(2b)で生成される空気の温度が第1温度未満且つ第2温度以上である場合、第1吸気通風路(31)、第2吸気通風路(32)及び第3吸気通風路(41)から吐出通風路(33)に空気が導かれるように当該比率を調整する。
【0346】
なお、第1~第9の態様の車両用シート空調装置(3G,3H)は、第10~第38の態様のいずれか1つとの組合せにより実現されてもよい。また、第10~第17、第32~第38の態様の車両用シート空調装置(3G,3H)は、第1~第9、第18~第31の態様のいずれか1つとの組合せにより実現されてもよい。また、第18~第31の態様の車両用シート空調装置(3G,3H)は、第1~第17、第32~第38の態様のいずれか1つとの組合せにより実現されてもよい。
【符号の説明】
【0347】
1 シート
2b 車両用空調装置
3,3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H 車両用シート空調装置
11 座部
11a 第1シートパッド
11b 第1シートカバー
11c 座面
12a 第1通気口
12b 第2通気口
12c 第3通気口
12d ケース
12e 開口部
120 風向変更部材
121 縦板フィン
122 リンク機構
122a 駆動部
13 シートバック
13a 第2シートパッド
13b 第2シートカバー
15 ヘッドレスト
31 第1通風路
31a 第1吸気口
32 第2通風路
32a 第2吸気口
33 第3通風路
33a 第1吐出口
34 送風機
35 調整部
36 第4通風路
36a 第2吐出口
37 通風路選択切替え部
38 排風路
38a 排風口
39 ペルチェモジュール
39a 利用熱面
39b 排熱面
41 第5通風路
41a 第3吸気口
50 環境センサ
51 第1温度センサ
52 第2温度センサ
53 第3温度センサ
60 制御部
65 操作部
70 電源部
図1
図2
図3
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