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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121841
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】空調コントローラ
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/49 20180101AFI20240902BHJP
   F24F 11/48 20180101ALI20240902BHJP
   F24F 11/54 20180101ALI20240902BHJP
   F24F 11/56 20180101ALI20240902BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240902BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20240902BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240902BHJP
   F24F 140/40 20180101ALN20240902BHJP
【FI】
F24F11/49
F24F11/48
F24F11/54
F24F11/56
F24F11/74
F24F3/044
F24F110:10
F24F140:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029030
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】松浦 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】小原 大治
(72)【発明者】
【氏名】森寺 峻義
【テーマコード(参考)】
3L053
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BB10
3L260AA01
3L260AB07
3L260BA80
3L260CB01
3L260CB61
3L260DA15
3L260EA19
3L260FB44
3L260FC06
3L260GA12
(57)【要約】
【課題】全館空調システムの施工の効率を向上する技術を提供する。
【解決手段】全館空調システムは空調コントローラと複数の被制御機器とを含む。空調コントローラは、空気調和のために施工された複数の被制御機器を制御する。空調コントローラの制御部412は、施工確認受付部432、施工確認制御部434を含む。施工確認受付部432は、複数の被制御機器の施工確認指示を受けつける。施工確認制御部434は、施工確認受付部432が施工確認指示を受けつけた場合に、施工された複数の被制御機器の施工確認を実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和のために施工された複数の被制御機器を制御する空調コントローラであって、
前記複数の前記被制御機器の施工確認指示を受けつける施工確認受付部と、
前記施工確認受付部が前記施工確認指示を受けつけた場合に、前記施工された前記複数の前記被制御機器の施工確認を実行する施工確認制御部と、
を備える、空調コントローラ。
【請求項2】
前記施工確認制御部は、
前記複数の前記被制御機器のそれぞれへ運転指令を送信する運転指令部と、
前記複数の前記被制御機器のそれぞれから前記運転指令に対する運転結果を受信する結果受信部と、
前記結果受信部が受信した前記運転結果を表示するか、前記結果受信部が受信した前記運転結果を前記施工確認指示の出力元になる端末に送信する出力部とを備える請求項1に記載の空調コントローラ。
【請求項3】
前記複数の前記被制御機器は、
空調室の空気の温度を調節する空調装置と、
前記空調室の空気を複数の空間のそれぞれに搬送する搬送ユニットと、
前記複数の前記空間のそれぞれに対応づけられ、かつ前記複数の前記空間のそれぞれの温度を測定する複数の温度センサとを含み、
前記施工確認制御部は、
前記複数の前記空間のなかの1つの前記空間のみに前記空調室の空気が搬送されるように前記複数の前記被制御機器を運転させる運転指令部と、
前記運転指令部が前記複数の前記被制御機器を運転させた際の前記複数の温度センサのそれぞれの温度推移を取得する結果受信部と、
前記結果受信部が受信した前記温度推移を表示するか、前記結果受信部が受信した前記温度推移を前記施工確認指示の出力元になる端末に送信する出力部とを備える請求項1に記載の空調コントローラ。
【請求項4】
前記搬送ユニットは、
前記空調室の空気を搬送する搬送ファンと、
前記複数の前記空間のそれぞれに対応づけられ、かつ前記搬送ファンにより搬送された空気が各空間に吹き出される量を変える複数のダンパとを含む請求項3に記載の空調コントローラ。
【請求項5】
前記搬送ユニットは、
前記複数の前記空間のそれぞれに対応づけられ、かつ前記空調室の空気を各空間に搬送する複数の搬送ファンを含む請求項3に記載の空調コントローラ。
【請求項6】
前記空調コントローラは、
前記被制御機器と前記空間との対応づけが示された設定ファイルを受信する設定ファイル受信部をさらに備え、
前記施工確認制御部は、前記設定ファイル受信部が受信した前記設定ファイルをもとに、前記被制御機器と前記複数の前記空間のうちいずれかを対応づけて前記被制御機器を制御する請求項3に記載の空調コントローラ。
【請求項7】
同じタイプの間取りを有する第1住宅と第2住宅とが集合住宅に含まれており、
前記第1住宅と前記第2住宅のそれぞれには、前記複数の前記被制御機器と本空調コントローラが別々に施工されており、
前記空調コントローラは、
前記被制御機器と前記空間との対応づけが示された設定ファイルを受信する設定ファイル受信部をさらに備え、
前記施工確認制御部は、前記設定ファイル受信部が受信した前記設定ファイルをもとに、前記被制御機器と前記複数の前記空間のうちいずれかを対応づけて前記被制御機器を制御し、
前記第1住宅と前記2住宅のそれぞれに対する前記設定ファイルは共通である請求項3に記載の空調コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調技術に関し、特に複数の居室の空調を制御する全館空調システムの空調コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
全館空調システムは、複数個の居室を備えた高断熱かつ高気密家屋において、独立して設けられた少なくとも1つの空調室の空調を制御し、その空調室と搬送ダクトで連結する各居室に空調室内の空気を分配給する(例えば、特許文献1参照)。この全館空調システムでは、空調コントローラでの制御により空調室内の空気が各居室へ個別的に分配給される。また、空調コントローラは、居室と温度センサとダンパとの組合せを設定する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第21/060066号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
全館空調システムを住宅に設置する場合、全館空調システムに含まれる空調装置、搬送ファン、ダクト、ダンパ、温度センサ等の機器の設置工事を実行した後、機器に対する施工設定、機器動作確認、空気搬送路確認が実行される。これまで、施工設定、機器動作確認、空気搬送路確認は施工者の手作業によりなされる。全館空調システムの施工の効率化が求められる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、全館空調システムの施工の効率を向上する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の空調コントローラは、空気調和のために施工された複数の被制御機器を制御する空調コントローラであって、複数の被制御機器の施工確認指示を受けつける施工確認受付部と、施工確認受付部が施工確認指示を受けつけた場合に、施工された複数の被制御機器の施工確認を実行する施工確認制御部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、全館空調システムの施工の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例に係る住宅の構成を示す図である。
図2図1の住宅の構成を示す断面図である。
図3図1の全館空調ユニットの構成を示す図である。
図4図1の空調コントローラの構成を示す図である。
図5図5(a)-(c)は、全館空調システムの施工の流れを示す図である。
図6図5(c)の設定ファイルのデータ構造を示す図である。
図7図4の制御部の構成を示す図である。
図8図5(c)の結果レポートのデータ構造を示す図である。
図9図4の空調コントローラによる温度推移の取得手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、住宅等の施設に設けられ、施設に対する全館空調を実行する全館空調システムに関する。一例として、施設は、複数の住宅が集合した集合住宅、例えばマンションであるとし、全館空調システムは、1つの住宅に対する全館空調を実行する。前述のごとく、全館空調システムを住宅に設置する場合、全館空調システムに含まれる空調装置、搬送ファン、ダクト、ダンパ、温度センサ等の機器の設置工事を実行した後、機器に対する施工設定、機器動作確認、空気搬送路確認が実行される。また、これらの作業は、施工者の手作業によりなされる。一方、全館空調システムの施工の効率化が求められる。本実施例は、施工の効率を向上するために、施工設定、機器動作確認、空気搬送路確認を自動化する。
【0011】
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、並びに、ステップ(工程)およびステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。以下では、(1)全館空調システムの基本構成、(2)全館空調システムの施工の順に説明する。
【0012】
(1)全館空調システムの基本構成
図1は、住宅500の構成を示す。住宅500は、マンション等の集合住宅における一世帯の住居である。ここでは、一例として、図1の上側を北側とし、下側を南側とし、左側を西側とし、右側を東側とする。住宅500には、居室10と総称される第1居室10aから第5居室10e、玄関12、廊下14、空調室18、トイレ20、浴室22が含まれる。第1居室10a、第4居室10d、第5居室10eは洋室であり、第2居室10bはリビングであり、第3居室10cはキッチンである。また、玄関12と廊下14の少なくとも1つは共有空間16と呼ばれてもよい。
【0013】
住宅500に設置される全館空調システムは、外気導入口100、外気導入ダクト102、熱交換器装置104、排気ダクト106、排気口108、給気ダクト110、搬送ファン120と総称される第1搬送ファン120a、第2搬送ファン120b、搬送ダクト122と総称される第1搬送ダクト122a、第2搬送ダクト122b、分岐チャンバー124と総称される第1分岐チャンバー124a、第2分岐チャンバー124b、分岐搬送ダクト126と総称される第1分岐搬送ダクト126aから第8分岐搬送ダクト126h、吹出口128と総称される第1吹出口128aから第8吹出口128h、ダンパ130と総称される第1ダンパ130aから第8ダンパ130h、排気空間口150、排気空間ダクト152を含む。外気導入ダクト102、排気ダクト106、給気ダクト110、搬送ダクト122、分岐搬送ダクト126、排気空間ダクト152は、空気を運ぶ管、つまり風路である。また、全館空調システムは、全館空調ユニット300、空調コントローラ400、温度センサ402と総称される第1温度センサ402aから第6温度センサ402fを含む。
【0014】
外気導入口100は、住宅500の南側の壁面に設置される。外気導入口100から住宅500の内部に向かって延びる外気導入ダクト102は、熱交換器装置104に接続される。熱交換器装置104は、例えば、浴室22の天井裏に配置される。熱交換器装置104には、排気ダクト106も接続され、排気ダクト106は住宅500の南側の壁面に向かって延び、南側の壁面に設置された排気口108に接続される。熱交換器装置104には、給気ダクト110も接続される。
【0015】
熱交換器装置104は、熱交換形換気扇とも呼ばれる。熱交換器装置104は、外気導入口100から外気導入ダクト102を通って外気200を取り込む。外気導入口100から吸い込まれた外気200が給気に相当する。また、熱交換器装置104は、換気口114から換気RA(Return Air:還気)202を取り込む。換気RA202は、住宅500の内部から流入された空気である。熱交換器装置104は、これらの間で熱交換を行う。熱交換器装置104は、熱交換の結果、排気ダクト106を通って排気口108から排気204を排出する。また、熱交換器装置104は、熱交換された給気208を給気ダクト110経由で全館空調ユニット300に供給する。
【0016】
全館空調ユニット300は、空調室18に設置される。全館空調ユニット300には、給気ダクト110から給気208が流入されるとともに、住宅500の内部から循環RA206が流入される。循環RA206は、換気RA202と同様に、住宅500の内部から流入された空気である。全館空調ユニット300は、給気と循環RA206とを混合した空気に対して空調を実行する。例えば、全館空調ユニット300では温度、湿度等が制御される。全館空調ユニット300における第1搬送ファン120aには第1搬送ダクト122aが接続され、第2搬送ファン120bには第2搬送ダクト122bが接続される。
【0017】
第1搬送ダクト122aは、第1分岐チャンバー124aまで延びて、第1分岐チャンバー124aにおいて第1分岐搬送ダクト126aから第4分岐搬送ダクト126dに分岐される。第1分岐搬送ダクト126aは、第1居室10aに設置された第1吹出口128aに接続される。第2分岐搬送ダクト126bは、第2居室10bに設置された第2吹出口128bに接続され、第3分岐搬送ダクト126cは、第2居室10bに設置された第3吹出口128cに接続される。第4分岐搬送ダクト126dは、第3居室10cに設置された第4吹出口128dに接続される。
【0018】
第1分岐搬送ダクト126aには第1ダンパ130aが設けられ、第1ダンパ130aは第1分岐搬送ダクト126aの開閉の程度を変化させる。第2分岐搬送ダクト126bには第2ダンパ130bが設けられ、第2ダンパ130bは第2分岐搬送ダクト126bの開閉の程度を変化させる。第3分岐搬送ダクト126cには第3ダンパ130cが設けられ、第3ダンパ130cは第3分岐搬送ダクト126cの開閉の程度を変化させる。第4分岐搬送ダクト126dには第4ダンパ130dが設けられ、第4ダンパ130dは第4分岐搬送ダクト126dの開閉の程度を変化させる。
【0019】
第2搬送ダクト122bは、第2分岐チャンバー124bまで延びて、第2分岐チャンバー124bにおいて第5分岐搬送ダクト126eから第8分岐搬送ダクト126hに分岐される。第5分岐搬送ダクト126eは、第4居室10dに設置された第5吹出口128eに接続される。第6分岐搬送ダクト126fは、第5居室10eに設置された第6吹出口128fに接続され、第7分岐搬送ダクト126gは、第5居室10eに設置された第7吹出口128gに接続される。第8分岐搬送ダクト126hは、廊下14に設置された第8吹出口128hに接続される。
【0020】
第5分岐搬送ダクト126eには第5ダンパ130eが設けられ、第5ダンパ130eは第5分岐搬送ダクト126eの開閉の程度を変化させる。第6分岐搬送ダクト126fには第6ダンパ130fが設けられ、第6ダンパ130fは第6分岐搬送ダクト126fの開閉の程度を変化させる。第7分岐搬送ダクト126gには第7ダンパ130gが設けられ、第7ダンパ130gは第7分岐搬送ダクト126gの開閉の程度を変化させる。第8分岐搬送ダクト126hには第8ダンパ130hが設けられ、第8ダンパ130hは第8分岐搬送ダクト126hの開閉の程度を変化させる。
【0021】
第1搬送ファン120aは、空調された空気を第1搬送ダクト122a、第1分岐チャンバー124a、第1分岐搬送ダクト126aから第4分岐搬送ダクト126d、第1吹出口128aから第4吹出口128d経由で第1居室10aから第3居室10cに搬送する。第2搬送ファン120bは、空調された空気を第2搬送ダクト122b、第2分岐チャンバー124b、第5分岐搬送ダクト126eから第8分岐搬送ダクト126h、第5吹出口128eから第8吹出口128h経由で第4居室10d、第5居室10e、廊下14に搬送する。
【0022】
その際、第1ダンパ130aにより第1分岐搬送ダクト126aの開閉の程度が変えられることによって、第1分岐搬送ダクト126aにおいて搬送させる空気の風量が変化し、第1吹出口128aから吹き出される空気の風量も変化する。他の分岐搬送ダクト126、吹出口128、ダンパ130についても同様である。
【0023】
図2は、住宅500の構成を示す断面図である。ここでは、住宅500における空気の流れを明瞭に説明するために、図1とは方向が一致していない。住宅500の壁面には、外気導入口100と排気口108が設置される。外気導入口100と排気口108に接続される外気導入ダクト102、排気ダクト106、熱交換器装置104、給気ダクト110は天井裏40に配置される。空調室18の天井には給気口140が設置され、給気口140には給気ダクト110が接続される。給気口140は、給気ダクト110を介して熱交換器装置104からの給気208を空調室18に吹き出す。
【0024】
空調室18には全館空調ユニット300が設置される。全館空調ユニット300に接続された第1搬送ダクト122aは、空調室18から天井裏40まで延びる。天井裏40において、第1搬送ダクト122a、第1分岐チャンバー124a、第3分岐搬送ダクト126cが順に接続される。第3分岐搬送ダクト126cは第3吹出口128cに接続される。第3吹出口128cは、複数の居室10のうちの第2居室10bの側壁50の面に設置される。第3吹出口128cは、第2居室10bに隣接する廊下14の天井裏40に配置された分岐搬送ダクト126、搬送ダクト122を介して全館空調ユニット300に接続される。第3吹出口128cは、全館空調ユニット300から送風された空気を第2居室10bに吐出する。特に、第3吹出口128cは、第2居室10bの天井34の近傍にて、床面36に対して水平方向に空気を吐出する。天井34の近傍とは、床面36よりも天井34に近いという意味であってもよい。また、水平方向は、完全な水平方向に限定されず、完全な水平方向から空気が拡散される範囲での広がりの方向を含んでもよい。
【0025】
前述のごとく、第3分岐搬送ダクト126cには第3ダンパ130cが設けられ、第3ダンパ130cが第3分岐搬送ダクト126cの開閉の程度を変えることによって、第3吹出口128cから吐出される空気の風量が変化する。他の搬送ダクト122、分岐チャンバー124、分岐搬送ダクト126、吹出口128、ダンパ130についても同様に配置される。
【0026】
第2居室10bにおいて、第3吹出口128cと同一の側壁50の面には、扉30が設けられる。また、扉30の下方には通気口52が設けられ、通気口52を介して第2居室10bと廊下14が接続される。第3吹出口128cから空気が吹き出されることによって、第2居室10bにもともと存在した空気は、通気口52を通過して廊下14にも循環する。循環する空気の一部は循環RA206として空調室18に流入される。空調室18内では、循環RA206と給気208とが混合された空気が全館空調ユニット300に取り込まれる。また、循環する空気の別の一部は換気RA202として換気口114から熱交換器装置104に取り込まれる。他の吹出口128から吹き出される空気についても同様である。
【0027】
図3は、全館空調ユニット300の構成を示し、特に全館空調ユニット300の側面方向からの断面図である。全館空調ユニット300は、空調装置302、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ304、送風装置306を含む。全館空調ユニット300の上段から順に空調装置302、HEPAフィルタ304、送風装置306が配置される。送風装置306は、第1搬送ファン120a、第2搬送ファン120bを含む。
【0028】
空調装置302は、エアコンディショナであり、全館空調ユニット300内部の空調を制御する。空調装置302は、全館空調ユニット300内部の空気の温度が設定された温度(以下、「目標温度」という)となるように、空調室18に流入した空気、つまり循環RA206と給気208とが混合された空気を加熱または冷却する。循環RA206は、共有空間16を介して吸気した空気である。目標温度は、空調コントローラ400により設定される。
【0029】
HEPAフィルタ304は、エアフィルタであり、空調装置302において空調がなされた空気中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄された空気を出力する。送風装置306は、空調装置302で空調され、かつHEPAフィルタ304において清浄された空気を搬送ダクト122、分岐チャンバー124、分岐搬送ダクト126経由で吹出口128に搬送する。送風装置306は、空調装置302とは独立して制御可能であり、例えば空調コントローラ400により設定される。図1に戻る。
【0030】
温度センサ402は、各空間に設置される。例えば、第1温度センサ402aは第1居室10aに設置され、第2温度センサ402bは第2居室10bに設置され、第3温度センサ402cは第3居室10cに設置される。また、第4温度センサ402dは第4居室10dに設置され、第5温度センサ402eは第5居室10eに設置され、第6温度センサ402fは共有空間16に設置される。第1温度センサ402aは第1居室10aの温度を検知する。他の温度センサ402も同様である。温度センサ402は、通信機能を有し、検知した温度を空調コントローラ400に送信する。
【0031】
空調コントローラ400は、全館空調システム全体を制御するコントローラである。空調コントローラ400は、空調装置302、送風装置306、温度センサ402と、無線通信または有線通信により通信可能に接続される。空調コントローラ400は、温度センサ402から温度を受信する。
【0032】
また、空調コントローラ400は、全館空調システムを構築するために必要な情報の入力を受けつけるためのインターフェースを備える。例えば、空調コントローラ400は、全館空調システムにおいて設定すべき温度(以下、「目標温度」という)を受けつける。空調コントローラ400は、各温度センサ402から受信した温度と、目標温度とをもとに、全館空調ユニット300に対する温度・湿度制御を実行する。空調コントローラ400は、温度・湿度制御の結果を空調装置302と送風装置306に送信する。
【0033】
空調コントローラ400におけるインターフェース機能は、空調コントローラ400とは別の通信装置であって、かつ空調コントローラ400と通信可能な通信装置に備えられてもよい。通信装置は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末(以下、「端末」という)である。
【0034】
トイレ20の天井には排気空間口150が設置されており、排気空間口150には排気空間ダクト152が接続され、排気空間ダクト152は熱交換器装置104に接続される。このような接続により、トイレ20の空気は、排気空間口150、排気ダクト106を通って排気口108から建物外に排出される。
【0035】
ここで、空調室18の空気を搬送する「搬送ファン120」と、複数の居室10または共有空間16(以下、「空間」と総称する)のそれぞれに対応づけられ、かつ搬送ファン120により搬送された空気が各空間に吹き出される量を変える複数の「ダンパ130」は、「搬送ユニット」とまとめられてもよい。また、空調室18の空気の温度を調節する「空調装置302」と、空調室18の空気を複数の空間のそれぞれにダクトを介して搬送する「搬送ユニット」と、複数の空間のそれぞれに対応づけられ、かつ複数の空間のそれぞれの温度を測定する複数の「温度センサ402」は、「被制御機器」としてまとめられてもよい。
【0036】
図4は、空調コントローラ400の構成を示す。空調コントローラ400は、操作部410、制御部412、記憶部414、表示部416、無線通信部420、有線通信部422を含む。無線通信部420は、無線LAN(Local Area Network)等に対応した無線通信を実行し、空調装置302、端末600と通信可能である。有線通信部422は、有線通信を実行し、搬送ファン120、ダンパ130、空調コントローラ400と通信可能である。無線通信部420と有線通信部422の通信対象は図4に限定されない。例えば、無線通信部420は温度センサ402と通信してもよい。無線通信部420と有線通信部422は制御部412に接続される。制御部412は、無線通信部420を介して空調装置302、端末600と通信可能であり、有線通信部422を介して搬送ファン120、ダンパ130、温度センサ402と通信可能である。また、温度センサ402がダンパ130と通信可能とされ、ダンパ130が無線通信部420または有線通信部422と通信可能とされてもよい。この場合、空調コントローラ400(制御部412)はダンパ130を介して温度センサ402と通信可能となる。
【0037】
操作部410は、前述のインターフェースであり、ユーザ等からの操作、例えば目標温度の設定操作を受けつける。操作部410は、受けつけた操作に応じた信号を制御部412に出力する。ユーザ等からの操作を端末600が受けつけた場合、端末600は、受けつけた操作に応じた信号を無線通信部420に送信し、無線通信部420は当該信号を制御部412に出力してもよい。
【0038】
制御部412は、有線通信部422を介して温度センサ402から受けつけた居室10または共有空間16の温度と、目標温度とをもとに、全館空調ユニット300の空調装置302と送風装置306、ダンパ130とに対する温度・湿度制御を実行する。つまり、制御部412は、居室10または共有空間16の温度をフィードバックしながら、空気調和のために施工された複数の被制御機器を制御する。制御部412における温度・湿度制御には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。その際、制御部412は、記憶部414に記憶されたテーブルを使用してもよい。表示部416は、制御部412において生成された画面、メッセージを表示する。
【0039】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0040】
(2)全館空調システムの施工
ここでは、全館空調システムの施工を説明する。図5(a)-(c)は、全館空調システムの施工の流れを示す。図5(a)は、これまでの施工の流れを示す。まず、「電源工事、配線/配管工事」工程がなされる。「電源工事、配線/配管工事」工程では、全館空調ユニット300等の設置、搬送ダクト122等の配管、電源/通信線の配線など、物理的な施工工事が工事作業者(施工者)により実施される。
【0041】
次に、「施工設定」工程がなされる。「施工設定」工程では、居住地域設定、機器構成設定、機器登録、居室10(共有空間16)と搬送ファン120とダンパ130と温度センサ402との紐づけ、部屋名称設定がなされる。施工者は、空調コントローラ400を操作して「施工設定」工程を実行する。これに続いて、「機器動作確認」工程がなされる。「機器動作確認」工程では、各機器の試運転を実行し、正常な機器接続と、異常検出がないかが確認される。施工者は、空調コントローラ400を操作して「機器動作確認」工程を実行する。
【0042】
さらに、「空気搬送路確認」工程がなされる。「空気搬送路確認」工程は、「施工設定」工程における居室10(共有空間16)と搬送ファン120とダンパ130と温度センサ402との紐づけが正しいかを確認するための工程である。まず、施工者は、居室10(共有空間16)に紐づけられた1つのダンパ130のみを開放し、残りのダンパ130を閉塞してから、搬送ファン120を回転させ、ダンパ130と紐づけられた居室10(共有空間16)の給気口140から風が吹き出されていることを確認する。これにより、居室10(共有空間16)とダンパ130との紐づけの妥当性が確認される。
【0043】
次に、施工者は、居室10(共有空間16)に存在する温度センサ402にドライヤー等で温風を当て、居室10(共有空間16)に紐づけられた温度センサ402に温度変化が起こったか否かを確認する。これにより、居室10(共有空間16)と温度センサ402との紐づけの妥当性が確認される。以上により、居室10(共有空間16)とダンパ130と温度センサ402との紐づけの妥当性が確認される。このように、全館空調システムの施工は人によりなされる。
【0044】
図5(b)は、本実施例における施工の流れを示し、図5(c)は、図5(b)の各工程における空調コントローラ400等の機器の動作を示す。図5(b)と図5(a)とを比較すると、図5(b)には、「事前準備」工程が追加される。また、図5(a)の「施工設定」工程、「機器動作確認」工程、「空気搬送路確認」工程は人によりなされるが、図5(b)の「施工設定」工程、「機器動作確認」工程、「空気搬送路確認」工程は自動でなされる。
【0045】
まず、「事前準備」工程がなされる。「事前準備」工程は、「施工設定」工程のための準備を実行するための工程である。施工者は、端末600またはPC等を使用して、被制御機器と居室10(共有空間16)との対応づけが示された設定ファイルを生成する。図6は、設定ファイルのデータ構造を示す。第1居室10aには、第1搬送ファン120a、第1ダンパ130a、第1温度センサ402aが対応づけられ、第2居室10bには、第1搬送ファン120a、第2ダンパ130b、第3ダンパ130c、第2温度センサ402bが対応づけられる。他の居室10または共有空間16についても同様に示される。図5に戻る。端末600は設定ファイルを取得する。次に、「電源工事、配線/配管工事」工程がなされる。これはこれまでと同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0046】
続いて「施工設定」工程がなされる。図4のごとく端末600と空調コントローラ400は無線通信を実行し、設定ファイルが端末600から空調コントローラ400にインポートされる。図7は、制御部412の構成を示す。制御部412は、設定ファイル受信部430、施工確認受付部432、施工確認制御部434を含む。また、施工確認制御部434は、運転指令部440、結果受信部442、出力部444を含む。設定ファイル受信部430は、無線通信部420を介して端末600からの設定ファイルを受信する。設定ファイル受信部430は設定ファイルを記憶部414に記憶させる。
【0047】
続いて「機器動作確認」工程がなされる。施工者は、端末600または操作部410を操作して複数の被制御機器の施工確認指示を入力する。施工確認制御部434は、端末600から、または無線通信部420を介して端末600から複数の被制御機器の施工確認指示を受けつける。
【0048】
施工確認制御部434は、施工確認受付部432が施工確認指示を受けつけた場合に、施工された複数の被制御機器の施工確認を実行する。そのため、施工確認制御部434は、記憶部414に予め記憶された施工確認プログラムを読み込んで実行するとともに、記憶部414に記憶された設定ファイルを取得する。「機器動作確認」工程は、施工確認プログラムの実行によりなされる。施工確認制御部434の運転指令部440は、設定ファイルに示された複数の被制御機器の情報を取得する。ここでは、空調装置302、各搬送ファン120、各ダンパ130、各温度センサ402の情報が取得される。
【0049】
運転指令部440は、図4の空調装置302に対して運転指令を送信する。運転指令を受信した空調装置302は、運転結果を空調コントローラ400に送信する。結果受信部442は、空調装置302から運転指令に対する運転結果を受信する。この運転結果には、エラーの有無、空調装置302において取得された屋外(外気)温度、空調装置302において取得された屋内温度、空調装置302のIP(Internet Protocol)アドレス、空調装置302のMAC(Media Access Control)アドレス等が含まれる。結果受信部442は、空調装置302からの運転結果を受信した場合に、空調装置302の存在確認と通信確認が成功したと結論づける。
【0050】
運転指令部440は、搬送ファン120に対して運転指令を送信する。運転指令を受信した搬送ファン120は、運転結果を空調コントローラ400に送信する。結果受信部442は、搬送ファン120から運転指令に対する運転結果を受信する。この運転結果には、エラーの有無、ファン回転数が含まれる。結果受信部442は、搬送ファン120からの運転結果を受信した場合に、当該搬送ファン120の存在確認と通信確認が成功したと結論づける。このような処理は、第1搬送ファン120a、第2搬送ファン120bのそれぞれに対してなされる。
【0051】
運転指令部440は、ダンパ130に対して運転指令を送信する。運転指令を受信したダンパ130は、運転結果を空調コントローラ400に送信する。結果受信部442は、ダンパ130から運転指令に対する運転結果を受信する。この運転結果には、エラーの有無が含まれる。結果受信部442は、ダンパ130からの運転結果を受信した場合に、当該ダンパ130の存在確認と通信確認が成功したと結論づける。このような処理は、第1ダンパ130aから第8ダンパ130hのそれぞれに対してなされる。
【0052】
運転指令部440は、温度センサ402に対して運転指令を送信する。運転指令を受信した温度センサ402は、運転結果を空調コントローラ400に送信する。結果受信部442は、温度センサ402から運転指令に対する運転結果を受信する。この運転結果には、温度計測値が含まれる。結果受信部442は、温度センサ402からの運転結果を受信した場合に、当該温度センサ402の存在確認と通信確認が成功したと結論づける。このような処理は、第1温度センサ402aから第6温度センサ402fのそれぞれに対してなされる。
【0053】
つまり、運転指令部440は、無線通信部420または有線通信部422を介して複数の被制御機器のそれぞれへ運転指令を送信する。結果受信部442は、無線通信部420または有線通信部422を介して複数の被制御機器のそれぞれから運転指令に対する運転結果を受信する。結果受信部442は、複数の被制御機器のそれぞれから受信した運転結果を記憶部414に記憶させる。
【0054】
「機器動作確認」工程に続いて「空気搬送路確認」工程がなされる。「空気搬送路確認」工程も、施工確認プログラムの実行によりなされる。運転指令部440は、設定ファイルを確認し、複数の居室10(共有空間16)のなかの1つの居室10(共有空間16)のみに空調室18の空気(空調装置302により加熱または冷却された空気)が搬送されるように無線通信部420または有線通信部422経由で複数の被制御機器を運転させる。例えば、運転指令部440は、第1居室10aにだけ空気を搬送させるために、第1搬送ファン120aを動作させながら、第1ダンパ130aを開放し、残りのダンパ130を閉塞させる。また、各温度センサ402は、そのような状況における温度を定期的に取得し、温度推移を空調コントローラ400に送信する。
【0055】
空調コントローラ400の結果受信部442は、運転指令部440が複数の被制御機器を運転させた際の複数の温度センサ402のそれぞれの温度推移を有線通信部422経由で取得する。第1居室10aと第1搬送ファン120aと第1ダンパ130aと第1温度センサ402aの紐づけが正しければ、第1温度センサ402aにおける温度推移だけが変化し、他の温度センサ402における温度推移は変化しない。結果受信部442は、複数の結果受信部442のそれぞれから受信した温度推移を記憶部414に記憶させる。運転指令部440と有線通信部422は、設定ファイルを確認し、第1居室10a以外の居室10(共有空間16)に対しても同様の処理を実行する。つまり、運転指令部440は、設定ファイル受信部430が受信した設定ファイルをもとに、被制御機器と複数の空間のうちいずれかを対応づけて被制御機器を制御する。
【0056】
施工確認制御部434は、記憶部414に記憶された運転結果と温度推移を結果レポートにまとめる。図8は、結果レポートのデータ構造を示す。結果レポートの上段には、運転結果が示され、結果レポートの下段には、温度推移が示される。出力部444は、施工確認制御部434において生成された結果レポート、つまり運転結果と温度推移を、無線通信部420を介して施工確認指示の出力元になる端末600に送信する。また、出力部444は、施工確認制御部434において生成された結果レポート、つまり運転結果と温度推移を、表示部416に表示してもよい。端末600または表示部416に表示された結果レポートを施工者が確認することによって、施工者は、「機器動作確認」工程の結果と「空気搬送路確認」工程の結果とを把握する。
【0057】
以上の構成による全館空調システムの動作を説明する。図9は、空調コントローラ400による温度推移の取得手順を示すフローチャートである。運転指令部440は、変数iを「1」に設定する(S10)。運転指令部440は、第i居室10に処理対象を設定する(S12)。また、共有空間16は第6居室10fとする。運転指令部440は、第i居室10に対応したダンパ130を開け(S14)、残りのダンパ130を閉じる。結果受信部442は、各温度センサ402から温度推移を取得する(S16)。iが「N」でなければ(S18のN)、運転指令部440はiに1を加算して(S20)、ステップ12に戻る。Nは例えば「6」である。iが「N」であれば(S18のY)、処理は終了される。
【0058】
これまで、複数の住宅500が集合した集合住宅、例えばマンションにおいて1つの住宅500に対する全館空調を実行する全館空調システムを説明した。このような全館空調システムは、複数の住宅500のそれぞれに設置されてもよい。つまり、複数の住宅500、例えば第1住宅500と第2住宅500のそれぞれには、複数の被制御機器と空調コントローラ400が別々に施工されてもよい。前述のごとく、本実施例では、施工設定、機器動作確認、空気搬送路確認が自動的に実行されるので、施工者は、第1住宅500において施工設定、機器動作確認を実行させると、第1住宅500に滞在する必要がなくなる。そのため、施工者は、第2住宅500に移動して施工設定、機器動作確認を実行させる。このような動作を第3住宅500、第4住宅500・・・と続けていけば、複数の住宅500において施工設定、機器動作確認、空気搬送路確認が並列に実行される。これにより、全館空調システムの施工の効率が向上する。
【0059】
また、複数の集合住宅に含まれる第1住宅500と第2住宅500が同じタイプの間取りを有することがある。同じタイプの間取りとは、同一の間取り、左右対称の間取りを含む。その際、第1住宅500と第2住宅500のそれぞれに対する設定ファイルは共通(同一)にされる。これにより、「事前準備」工程において生成すべき設定ファイルの数が減少するので、全館空調システムの施工の効率がさらに向上する。
【0060】
本実施例によれば、複数の被制御機器の施工確認指示を受けつけた場合に、施工された複数の被制御機器の施工確認を自動的に実行するので、全館空調システムの施工の効率を向上できる。また、複数の被制御機器のそれぞれへ運転指令を送信すると、複数の被制御機器のそれぞれから運転指令に対する運転結果を受信し、運転結果を出力するので、複数の被制御機器に対する機器動作確認を施工者にさせることができる。また、施工者は、自動的に機器動作確認可能であるので、全館空調システムの施工の効率を向上できる。
【0061】
また、複数の空間のなかの1つの空間のみに空調室18の空気が搬送されるように複数の被制御機器を運転させ、その際の複数の温度センサ402のそれぞれの温度推移を取得すると、温度推移を出力するので、空気搬送路確認を施工者にさせることができる。また、施工者は、自動的に空気搬送路確認可能であるので、全館空調システムの施工の効率を向上できる。また、搬送ユニットは、搬送ファン120とダンパ130とを含むので、風量を調節できる。
【0062】
また、被制御機器と空間との対応づけが示された設定ファイルを受信し、設定ファイルをもとに、被制御機器と複数の空間のうちいずれかを対応づけて被制御機器を制御するので、全館空調システムの施工の効率を向上できる。また、同じタイプの間取りを有する第1住宅500と第2住宅500のそれぞれに対する設定ファイルが共通であるので、全館空調システムの施工の効率を向上できる。
【0063】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の空調コントローラ(400)は、空気調和のために施工された複数の被制御機器を制御する空調コントローラ(400)であって、複数の被制御機器の施工確認指示を受けつける施工確認受付部(432)と、施工確認受付部(432)が施工確認指示を受けつけた場合に、施工された複数の被制御機器の施工確認を実行する施工確認制御部(434)と、を備える。
【0064】
施工確認制御部(434)は、複数の被制御機器のそれぞれへ運転指令を送信する運転指令部(440)と、複数の被制御機器のそれぞれから運転指令に対する運転結果を受信する結果受信部(442)と、結果受信部(442)が受信した運転結果を表示するか、結果受信部(442)が受信した運転結果を施工確認指示の出力元になる端末に送信する出力部(444)とを備えてもよい。
【0065】
複数の被制御機器は、空調室(18)の空気の温度を調節する空調装置(302)と、空調室(18)の空気を複数の空間のそれぞれに搬送する搬送ユニットと、複数の空間のそれぞれに対応づけられ、かつ複数の空間のそれぞれの温度を測定する複数の温度センサ(402)とを含んでもよい。施工確認制御部(434)は、複数の空間のなかの1つの空間のみに空調室(18)の空気が搬送されるように複数の被制御機器を運転させる運転指令部(440)と、運転指令部(440)が複数の被制御機器を運転させた際の複数の温度センサ(402)のそれぞれの温度推移を取得する結果受信部(442)と、結果受信部(442)が受信した温度推移を表示するか、結果受信部(442)が受信した温度推移を施工確認指示の出力元になる端末に送信する出力部(444)とを備えてもよい。
【0066】
搬送ユニットは、空調室(18)の空気を搬送する搬送ファン(120)と、複数の空間のそれぞれに対応づけられ、かつ搬送ファン(120)により搬送された空気が各空間に吹き出される量を変える複数のダンパ(130)とを含んでもよい。
【0067】
搬送ユニットは、複数の空間のそれぞれに対応づけられ、かつ空調室(18)の空気を各空間に搬送する複数の搬送ファン(120)を含んでもよい。
【0068】
空調コントローラ(400)は、被制御機器と空間との対応づけが示された設定ファイルを受信する設定ファイル受信部(430)をさらに備えてもよい。施工確認制御部(434)は、設定ファイル受信部(430)が受信した設定ファイルをもとに、被制御機器と複数の空間のうちいずれかを対応づけて被制御機器を制御してもよい。
【0069】
同じタイプの間取りを有する第1住宅と第2住宅とが集合住宅に含まれており、第1住宅と第2住宅のそれぞれには、複数の被制御機器と本空調コントローラ(400)が別々に施工されており、空調コントローラ(400)は、被制御機器と空間との対応づけが示された設定ファイルを受信する設定ファイル受信部(430)をさらに備えてもよい。施工確認制御部(434)は、設定ファイル受信部(430)が受信した設定ファイルをもとに、被制御機器と複数の空間のうちいずれかを対応づけて被制御機器を制御し、第1住宅と2住宅のそれぞれに対する設定ファイルは共通であってもよい。
【0070】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0071】
本実施例において搬送ユニットとして搬送ファン120、複数のダンパ130が含まれ、複数のダンパ130のそれぞれの開度を調節することによって、各空間に吹き出す空気の風量を調節している。しかしながらこれに限らず例えば、搬送ユニットに複数のダンパ130が含まれず、複数の搬送ファン120が含まれてもよい。その際、複数の搬送ファン120のそれぞれの風量を調節することによって、各空間に吹き出す空気の風量が調節される。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【0072】
本実施例における全館空調ユニットは、集合住宅における各住宅500に設置される。しかしながらこれに限らず例えば、全館空調ユニットは、一戸建て住宅に設置されてもよい。本変形例によれば、本実施例の適用範囲を拡大できる。
【符号の説明】
【0073】
10 居室、 12 玄関、 14 廊下、 16 共有空間、 18 空調室、 20 トイレ、 22 浴室、 30 扉、 32 ガラリ、 34 天井、 36 床面、 40 天井裏、 50 側壁、 52 通気口、 100 外気導入口、 102 外気導入ダクト、 104 熱交換器装置、 106 排気ダクト、 108 排気口、 110 給気ダクト、 114 換気口、 120 搬送ファン、 122 搬送ダクト、 124 分岐チャンバー、 126 分岐搬送ダクト、 128 吹出口、 130 ダンパ、 140 給気口、 150 排気空間口、 152 排気空間ダクト、 200 外気、 202 換気RA、 204 排気、 206 循環RA、 208 給気、 300 全館空調ユニット、 302 空調装置、 304 HEPAフィルタ、 306 送風装置、 400 空調コントローラ、 402 温度センサ、 410 操作部、 412 制御部、 414 記憶部、 416 表示部、 420 無線通信部、 422 有線通信部、 430 設定ファイル受信部、 432 施工確認受付部、 434 施工確認制御部、 440 運転指令部、 442 結果受信部、 444 出力部、 500 住宅、 600 端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9