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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121843
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】原稿給送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20240902BHJP
   B65H 3/56 20060101ALI20240902BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
B65H3/56 330S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029032
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 麻子
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA03
3F343FB01
3F343FC03
3F343FC11
3F343FC17
3F343GA02
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343JA01
3F343KA06
3F343KA13
3F343KB04
3F343LC05
3F343LC11
3F343LC22
3F343LD10
3F343LD24
3F343LD29
3F343MB04
3F343MB13
3F343MB14
3F343MC03
3F343MC08
(57)【要約】
【課題】原稿に、傷がつくことを防ぎ、搬送ジャムや斜行を防止する技術を提供するものである。
【解決手段】原稿Sを給送ローラ11に押し付ける押圧状態及び原稿から離間する退避状態で保持可能であり、押圧状態と退避状態の間で移動が可能なピックアーム17と、原稿Sの搬送経路への進入を規制する規制状態及び原稿Sの搬送経路への進入を許容する許容状態で保持可能であり、規制状態と許容状態の間で移動が可能な原稿ストッパ18と、を備え、原稿Sを搬送経路に給送する給送動作の開始の際に、原稿ストッパ18は、ピックアーム17が押圧状態に切り替わった後に許容状態への切り替えを完了し、給送ローラ11は、給送ローラ11と許容状態に向けて動き出した原稿ストッパ18との軸方向から見た隙間ができる所定時間経過後に回転し始めることを特徴とする。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を搬送経路へ給送する給送ローラと、
前記給送ローラの対向に配置され、前記給送ローラに押圧し、給送される前記原稿を1枚ずつに分離する分離ローラと、
前記原稿を前記給送ローラに押し付ける押圧状態及び前記原稿から離間する退避状態で保持可能であり、前記押圧状態と前記退避状態の間で移動が可能なピックアームと、
前記原稿の前記搬送経路への進入を規制する規制状態及び前記原稿の前記搬送経路への進入を許容する許容状態で保持可能であり、前記規制状態と前記許容状態の間で移動が可能な原稿ストッパと、を備え、
前記原稿を前記搬送経路に給送する給送動作の開始の際に、前記原稿ストッパは、前記ピックアームが前記押圧状態に切り替わった後に前記許容状態への切り替えを完了し、前記給送ローラは、前記給送ローラと前記許容状態に向けて動き出した前記原稿ストッパとの軸方向から見た隙間ができる所定時間経過後に回転し始めることを特徴とする原稿給送装置。
【請求項2】
前記原稿ストッパは、前記規制状態の際に前記原稿の先端と接触し、
前記ピックアームが前記押圧状態に切り替わると同時もしくは切り替わった後に前記原稿ストッパと前記原稿の先端との接触が解除されることを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。
【請求項3】
前記給送ローラに駆動を伝える駆動部を有し、
前記給送ローラが前記原稿を前記搬送経路へ搬送する方向に回転している際に前記駆動部は正転に駆動しており、
前記原稿ストッパは、前記駆動部が正転に駆動することで前記規制状態から前記許容状態へ切り替わり、かつ、前記ピックアームは前記退避状態から前記押圧状態へ切り替わることを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。
【請求項4】
前記駆動部から前記給送ローラへ駆動を伝える給送ローラの駆動連結部には、前記給送動作の開始の際に前記給送ローラが回転し始めるタイミングを遅らせる遅延機構が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の原稿給送装置。
【請求項5】
前記遅延機構は、前記給送ローラの駆動連結部に設けられた軸とギアの間に設けられ、
前記軸には平行ピンが前記軸と一体に回転するように設けられ、
前記ギアには、前記駆動部が正転に駆動している際に前記平行ピンが当接する当接面と、前記駆動部が正転とは反対の逆転に駆動している際に前記平行ピンが当接する対向面とが設けてあり、前記平行ピンが前記当接面と前記対向面の双方に同時に当接することがないことを特徴とする請求項4に記載の原稿給送装置。
【請求項6】
前記分離ローラは、前記駆動部が正転に駆動することで前記原稿を1枚ずつに分離する方向に回転し、前記駆動部から前記分離ローラへ駆動を伝える分離ローラの駆動連結部に前記給送動作の開始の際に前記分離ローラが回転し始めるタイミングを遅れさせる分離遅延機構が設けられることを特徴とする請求項3に記載の原稿給送装置。
【請求項7】
前記分離遅延機構は、前記遅延機構と兼用であることを特徴とする請求項6に記載の原稿給送装置。
【請求項8】
前記給送動作の開始の際に、前記給送ローラと前記分離ローラは同時に回転し始めることを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。
【請求項9】
前記原稿ストッパは、前記規制状態から前記許容状態に切り替わる際に、前記搬送経路から離れる方向に退避することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の原稿給送装置。
【請求項10】
給送機構を構成する全ての可動式の部品を一つの駆動源で駆動していることを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。
【請求項11】
前記隙間は、前記原稿の1枚分の大きさであることを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を給送する原稿給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、スキャナ、プリンタ等において、ピックコロによって回転する給送ローラに原稿を押し付け給送するものが知られている。そのような原稿給送装置の中には原稿をセットする時に搬送経路を塞ぎ、原稿の搬送経路への進入を規制し、原稿給送時に搬送経路を開放し、原稿の搬送経路への進入を許容する原稿ストッパを有するものがある。
【0003】
また、特許文献1に開示されている原稿給送装置は、給送ローラの回転が開始した後に原稿ストッパの退避を開始させ、さらに一定時間後に給送ローラの回転を止める制御をしている。給送ローラを止めた時に、原稿を原稿ストッパに押し付ける力が弱まるため、原稿ストッパが搬送経路を解放しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-190708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、給送時に原稿ストッパにより搬送経路を塞いだ状態で給送ローラを回転させると、給送ローラが原稿を原稿ストッパに押しつけ、原稿ストッパが搬送経路を開放する際の動きを妨げることがある。
【0006】
また、特許文献1にある原稿給送装置では、原稿ストッパに原稿を押し付けるため、押し付けられた原稿に、原稿ストッパの跡がつくことがあった。また原稿ストッパが退避する時に、原稿ストッパに押し付けられた原稿の先端がめくれてしまうことがあった。そして、これらの跡やめくれなどの傷が搬送ジャムや斜行の原因になることがあるという課題があった。
【0007】
本発明は、原稿に、傷がつくことを防ぎ、搬送ジャムや斜行を防止する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記を鑑み、本発明に係る原稿給送装置は、
原稿を搬送経路へ給送する給送ローラと、
前記給送ローラの対向に配置され、前記給送ローラに押圧し、給送される前記原稿を1枚ずつに分離する分離ローラと、
前記原稿を前記給送ローラに押し付ける押圧状態及び前記原稿から離間する退避状態で保持可能であり、前記押圧状態と前記退避状態の間で移動が可能なピックアームと、
前記原稿の前記搬送経路への進入を規制する規制状態及び前記原稿の前記搬送経路への進入を許容する許容状態で保持可能であり、前記規制状態と前記許容状態の間で移動が可能な原稿ストッパと、を備え、
前記原稿を前記搬送経路に給送する給送動作の開始の際に、前記原稿ストッパは、前記ピックアームが前記押圧状態に切り替わった後に前記許容状態への切り替えを完了し、前記給送ローラは、前記給送ローラと前記許容状態に向けて動き出した前記原稿ストッパとの軸方向から見た隙間ができる所定時間経過後に回転し始めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述した本発明によれば、原稿に傷がつくことを防ぎ、搬送ジャムや斜行を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る原稿給送装置の概略図。
図2図1の原稿給送装置の制御ユニットのブロック図。
図3】本発明のピックアームの可動域を示す側面図。
図4】本発明の原稿ストッパの可動域を示す側面図。
図5】本発明の駆動部から駆動を受ける部品の連結状態を示した斜視図。
図6】本発明の第1搬送部を展開した斜視図。
図7】本発明の第1搬送部の状態を示す側面図(初期状態)。
図8】本発明の第1搬送部の状態を示す側面図。
図9】本発明の第1搬送部の状態を示す側面図。
図10】本発明の第1搬送部の状態を示す側面図。
図11】本発明のウェイトタイムギアと給送軸の連結部の様子を示した側面図。
図12】本発明のウェイトタイムギアと給送軸の連結部の様子を示した側面図(給送動作)。
図13】本発明の第1搬送部の給送動作のタイミングを示したグラフ。
図14】本実施形態とは異なる第1搬送部の給送動作のタイミングを示したグラフ。
図15】本実施形態とは異なる第1搬送部の状態を示す側面図(タイミングT3)。
図16】本実施形態とは異なる第1搬送部の給送動作のタイミングを示したグラフ。
図17】本実施形態とは異なる第1搬送部の状態を示す側面図(タイミングT4)。
図18】本実施形態とは異なる第1搬送部の給送動作のタイミングを示したグラフ。
図19】本実施形態とは異なる原稿ストッパの構成を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
図1は本発明の一実施形態に係る原稿給送装置Aの概略図である。
【0012】
<原稿給送装置の構成>
原稿給送装置Aは、積載トレイ1に積載された1つ又は複数の原稿Sを1つずつ原稿給送装置A内に搬送経路RTにて搬送してその画像を読み取り、排出トレイ2に排出する。読み取る原稿Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等の原稿であり、厚手の原稿であっても、薄手の原稿であってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。原稿Sには、パスポートなどの冊子も含まれる。冊子を対象とする場合、ホルダ200を用いることができる。透明なホルダ200に見開き状態の冊子を収容して積載トレイ1に載置することで、冊子がホルダ200と共に搬送され、その画像を読み取ることができる。
【0013】
<給送>
搬送経路RTに沿って原稿Sを給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、給送ローラ11と、給送ローラ11の対向に配置される分離ローラ12と、を備え、積載トレイ1上の原稿Sを搬送方向D0に一つずつ順次、給送する。給送ローラ11には、モータである駆動部4から駆動ローラ21、および伝達部5を介して駆動力が伝達される。この駆動の伝達については後述する。駆動が伝達された給送ローラ11は、原稿Sを搬送方向D0に給送する方向D1に回転駆動される。
【0014】
<分離構造>
給送ローラ11に対向配置される分離ローラ12は、原稿Sを1つずつ分離するためのローラであり、給送ローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に給送ローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部4から駆動力が伝達され、原稿Sを搬送方向D0と反対方向に給送する方向D2に回転駆動される。
【0015】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力の伝達が規制されるため、給送ローラ11と当接している際は給送ローラ11に連れ回りする方向D2’に回転する。この分離ローラ12の分離力により、複数の原稿Sが給送ローラ11と分離ローラ12との圧接部に給送されてきた際には、1つを残して2つ以上の原稿Sが搬送方向D0に給送されないようにせき止められる。
【0016】
<搬送構造>
第1搬送部10の搬送方向D0にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた原稿Sを搬送方向D0へ搬送する。駆動ローラ21には駆動部4から駆動力が伝達され、図中の矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、ばね等の不図示の付勢部材によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0017】
このような第2搬送部20よりも搬送方向D0にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた原稿Sを排出トレイ2へ搬送する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。
駆動ローラ31には駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れ回る。この従動ローラ32は、ばね等の不図視の付勢部材によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0018】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の原稿給送装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は原稿Sを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行原稿Sに後続原稿Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による原稿Sの搬送速度を、第1搬送部10による原稿Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0019】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による原稿Sの搬送速度と、第1搬送部10による原稿Sの搬送速度とを同一条件としてもよい。その場合は駆動部を2つ設け別々に制御してもよく、もしくは伝達部5に電動クラッチを設け、第1搬送部10へ駆動を伝達するタイミングを制御しても良い。後続原稿Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことで、先行原稿S1と後続原稿S2の間に最低限の間隔を形成することが可能である。
【0020】
<ブロック図の説明>
図2を参照して制御部80について説明する。図2は原稿給送装置Aの制御部80のブロック図である。
【0021】
制御部80はCPU81、記憶部82、操作入力部83、通信部84及びインターフェース部85を備える。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、原稿給送装置A全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作入力部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0022】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0023】
インターフェース部85はアクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ86には、駆動部4等が含まれる。センサ87には、不図示の重送検出センサ、原稿検出センサ、および画像読取ユニット70等が含まれる。
【0024】
<PCからの開始指示受信による駆動>
原稿給送装置Aの基本的な動作について説明する。制御部80は、例えば原稿給送装置Aが接続された外部PCから原稿給送の開始指示を受信すると、駆動部4が駆動を開始し、伴い、第1、第2、第3搬送部10、20、30が駆動を開始する。積載トレイ1に積載された原稿Sはその最も下に位置する原稿Sから1つずつ給送される。
【0025】
また、表示パネルの様な操作入力部83に設けられたスタートキーによって原稿給送を開始し、その後、原稿給送の開始を外部PCに通知するようにしてもよい。
【0026】
<センサの出力に応じた読取開始>
制御部80は、媒体検出センサの検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた原稿Sの、画像読取ユニット70による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次、外部PCへ送信する。画像が読み取られた原稿Sは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてその原稿Sの画像読取処理が終了する。
【0027】
<要所構成説明> 以下に本実施形態の原稿給送装置Aにおいて、原稿Sの分離と給送、および原稿Sの給送の抑制を行う第1搬送部10の構成について説明する。
【0028】
<ピックアームの可動域、退避状態と押圧状態> 図3は原稿Sに給送ローラ11の搬送力を伝えるピックアーム17の可動域を示す側面図である。
【0029】
給送動作を開始する前の初期状態では、ピックアーム17は破線で示す退避状態P1にある。ピックコロ172と原稿Sが離間しており、原稿Sをセットする際に原稿Sがピックコロ172に引っ掛からないようにしている。
【0030】
給送動作を開始すると、ピックアーム17は、実線で示す押圧状態P2に切り替わる。ピックコロ172を方向D6に押圧し、複数の原稿S(原稿束)を給送ローラ11に押圧する。これにより、一番下の原稿Sに給送ローラ11の搬送力を伝えている。ピックアーム17は破線で示す退避状態P1と、実線で示す押圧状態P2で保持可能であり、この2つの状態の間で回動する。
【0031】
<原稿ストッパの可動域、退避状態と押圧状態> 図4は原稿の給送を抑制する原稿ストッパ18の可動域を示す側面図である。
【0032】
給送動作を開始する前の初期状態では、原稿ストッパ18は破線で示す規制状態P3にある。搬送経路RTを塞ぎ、原稿Sの侵入を抑制している。この状態において、原稿束は先端を原稿ストッパ18に倣わせ、整えられた状態でセットされる。
【0033】
給送動作を開始すると、原稿ストッパ18は、実線で示す許容状態P4に切り替わる。搬送経路RTを解放し、原稿Sが搬送経路RTへ進入するのを許容している。原稿ストッパ18は規制状態P3と許容状態P4で保持可能であり、この2つの状態の間で回動する。
【0034】
<ピックアーム、原稿ストッパ、給送ローラ、分離ローラの動く順序> 本実施形態では、ピックアーム17と原稿ストッパ18の回動(移動)するタイミング、および給送ローラ11と分離ローラ12の回転を開始するタイミングを適切に設定している。これにより、原稿Sに負荷をかけることなく、原稿Sを給送ローラ11と分離ローラ12のニップに送ることができる。
【0035】
<駆動連結>
以下に、第1搬送部10の可動部品(ピックアーム17、原稿ストッパ18、給送ローラ11、分離ローラ12)を、それぞれ適切なタイミングで動かせるようにする構成について説明する。
【0036】
図5は駆動部4から駆動を受ける部品の連結状態を示した斜視図、図6は第1搬送部10を展開した斜視図である。
【0037】
本実施形態の原稿給送装置Aでは、第1搬送部10を構成する全ての可動式の部品(給送ローラ11、分離ローラ12、ピックアーム17、原稿ストッパ18)を一つの駆動源(駆動部4)で駆動している。
【0038】
図5に示す様に、駆動部4の駆動力は、ベルト41およびプーリ42により駆動ローラ21へ伝わる。駆動ローラ21に伝わった駆動力は、伝達部5に伝わり、伝達部5のウェイトタイムギア51を回転させる。更に、ウェイトタイムギア51が給送軸53と給送ローラギア54を回転させ、給送ローラ11が回転する。
【0039】
また、ウェイトタイムギア51と一体に形成された分離連結ギア52により、駆動が分離伝達部6を介し分離ローラ12に伝わり、分離ローラ12が回転する。
【0040】
更に、プーリ42と一体に形成されたギア43により、駆動が伝達部3に伝わり、図6に示すカム19が回動する。このカム19が回動することでピックアーム17と原稿ストッパ18が昇降する。
【0041】
<ピックアームと原稿ストッパの駆動>
図6に示すように、ピックアーム17はピックコロ172とアーム171からなり、ピックコロ172はピックアーム17に左右方向(原稿幅方向)に対称に2個ないし複数個回転可能に支持される。また、ピックアーム17は、軸部A2を回転軸として回動可能に筐体内に支持され、ばね(付勢部材)17aによって原稿Sを押圧する方向であるD6方向に押圧される。本実施形態では、ピックコロ172は、従動コロとするが、原稿Sの動きに従動もしくは摺動するものであればよい。
【0042】
原稿ストッパ18は、軸部A3を回転軸として回動可能に筐体に支持され、ばね(付勢部材)18aにより搬送経路RTを解放する方向である方向D3に付勢されている。
【0043】
<カム>
ピックアーム17と原稿ストッパ18を昇降させるカム19は、伝達部3を介し駆動部4から駆動を受け回動する。また、ばね19aにより方向D7の力を受けている。カム19と一体に回動するカム軸194はワンウェイクラッチ3aを介し、伝達部3と連結している。
【0044】
原稿Sの給送動作が開始され、駆動部4が正転した時、ワンウェイクラッチ3aとカム軸194は空転し、カム19はばね19aに押されカム軸194と一体に方向D7に回動する。カム19は、突き当て193が筐体に突き当たるまで回動し、回動を止める。その後カム19は原稿Sの給送が終了するまで同じ位置で止まっている。
【0045】
一方、原稿Sを全て搬送し終わった後に駆動部4を指定パルス数逆転させると、カム軸194とワンウェイクラッチ3aがロックし、カム19はばね19aに逆らい方向D7と反対方向に回動する。これにより、原稿給送装置Aを、給送動作を開始する前の初期状態に戻すことができる。
【0046】
ここで、カム19によりピックアーム17と原稿ストッパ18を別々のタイミングで昇降する構成について説明する。
【0047】
図7は、給送動作を開始する前の原稿給送装置Aの初期状態の第1搬送部10の状態を示している。
【0048】
カム19の第1カム191がピックアーム17の第1カム当接面173と当接しており、ピックアーム17を不図示のばね17aに逆らい方向D6’に押し上げ、退避状態P1にしている。同時に、カム19の第2カム192が原稿ストッパ18の第2カム当接面181に当接しており、原稿ストッパ18を不図示のばね18aに逆らう方向D3’に押し下げ、規制状態P3にしている。
【0049】
図8は、給送動作が開始し、図7よりも駆動部4が回転し、カム19が方向D7に回転した状態を示している。
【0050】
第1カム191と第1カム当接面173の当接が解除され、ピックアーム17は不図示のばね17aに押されD6方向に回動(移動)し、押圧状態P2になっている。一方、原稿ストッパ18は初期状態から変わらず第2カム192により方向D3’に押し下げられおり規制状態P3のままである。
【0051】
図9は、図8よりも駆動部4が回転し、カム19が更に方向D7に回転した状態を示している。
【0052】
第2カム192と第2カム当接面181の当接が解除され、原稿ストッパ18は不図示のばね18aに押され方向D3に回動(移動)し、許容状態P4になり、搬送経路RTを解放している。この状態において原稿ストッパ18は不図示の突き当て部に接触した状態で保持されている。
【0053】
図10は、図9よりも更に駆動部4が回転し、カム19は図6の突き当て193が筐体に突き当たっているため、回動を停止している状態を示している。
【0054】
ピックアーム17は押圧状態P2のまま、給送ローラ11が方向D1に回転し、分離ローラ12が方向D2に回転(逆転)し、これによって原稿Sが分離され給送されている。
【0055】
このような構成により、本実施形態の原稿給送装置Aでは、給送動作の開始において、一つの部品(カム19)により、ピックアーム17と原稿ストッパ18を別々のタイミングで動かすことができる。
【0056】
<給送ローラの駆動、動き出しを遅らせる構成(ウェイトタイムギア)> 図11は、ウェイトタイムギア51と給送軸53の連結部の様子を示した側面図であり、全ての原稿Sを搬送し終わった状態から、原稿給送装置Aを初期状態に戻すまでの様子を時系列順に示している。
【0057】
給送ローラ11に駆動を伝えるウェイトタイムギア51と給送軸53の間には、給送時に給送ローラ11の回転の開始を遅延させる遅延機構を設けている。
【0058】
図11のaは、最後の原稿Sを排出し終えた直後の状態であり、駆動部4は正転しており、駆動部4の駆動を受けたウェイトタイムギア51は方向D4に回転している。給送軸53に結合された平行ピン531は、ウェイトタイムギア51の当接面511に押されてウェイトタイムギア51と一体に方向D4に回転し、駆動を給送ローラ11へ伝えている。この状態において、当接面511の対向側に設けられた対向面512は平行ピン531から離間している。
【0059】
図11のbは、原稿Sを搬送し終わり駆動部4が正転を止めた時の様子を表している。平行ピン531と当接面511が当接した状態で回転を停止している。
【0060】
図11のcは、駆動部4が逆転を開始し、ウェイトタイムギア51が逆転している状態を示している。ウェイトタイムギア51は方向D4’に逆転しており、当接面511と平行ピン531の当接が解除されている。一方、対向面512と平行ピン531の間にも隙間があり、平行ピン531及び給送軸53は回転しない。
【0061】
図11のdのように、対向面512が平行ピン531に接触すると、平行ピン531が対向面512に押され、ウェイトタイムギア51と一体に方向D4’に逆転する。
【0062】
図11のeは、原稿給送装置Aが給送動作を開始する前の初期状態に戻り、駆動部4が逆転を終了した時の様子を表している。平行ピン531と対向面512が当接した状態で回転を停止している。
【0063】
図12は、ウェイトタイムギア51と給送軸53の連結部の様子を示した側面図であり、初期状態から給送動作を開始し給送ローラ11が回転し始めるまでの様子を時系列順に示している。
【0064】
図12のaは、給送動作を開始する前の初期状態を表している。給送動作を開始すると駆動部4は正転を始め、これによりウェイトタイムギア51が方向D4に正転し始める。
【0065】
図12のbは、ウェイトタイムギア51が方向D4に回転を開始した直後の状態を示している。ウェイトタイムギア51は方向D4に正転しており、対向面512と平行ピン531の当接は解除されている。一方、当接面511と平行ピン531の間にも隙間があり、平行ピン531及び給送軸53は回転していない。そのため給送ローラ11には駆動部4の駆動が伝わらず、給送ローラ11は回転を開始しない。
【0066】
図12のcのように、当接面511が平行ピン531に接触すると、平行ピン531が当接面511に押され、ウェイトタイムギア51と一体に方向D4に回転する。これにより給送ローラ11に駆動が伝わり、給送ローラ11が回転を開始する。
【0067】
このような構成により本実施形態の原稿給送装置Aでは、駆動部(モータ)を一つしか設けずに、簡単な構成で、給送ローラ11を駆動部4に対し遅れて正転させることができる。
【0068】
なお、本実施形態によれば、図11のaに示す角度θ(当接面511と対向面512の間の角)を変更することで、給送ローラ11が回転を開始するタイミングを変更することが可能である。例えば、角度θを小さくすれば給送動作を開始した後に給送ローラ11が回転を始めるタイミングを早めることができる。
【0069】
また、本実施形態では図11のe、図12のaに示す初期状態において、対向面512と平行ピン531が接触する構成としているが、接触しない構成としても良い。このような場合、駆動部4を逆転させるステップ数を変更することで正転時に給送ローラ11が回転し始めるタイミングを調整できる。
【0070】
<分離ローラの駆動、動き出しを遅らせる機構>
図6に示す様に、分離ローラ12は分離伝達部6から駆動を受けて回転する。分離伝達部6と軸部A1の間には、給送時に分離ローラ12の回転の開始を遅延させる不図示の分離遅延機構を設けている。分離遅延機構は、例えば、軸とギアの間に回転方向の隙間を持たせた構成とする。前述したウェイトタイムギア51と同様に回転方向の隙間の大きさを変えることで、給送動作を開始した後に、分離ローラ12が方向D2に回転(逆転)し始めるタイミングを調整することができる。
【0071】
<分離ローラと給送ローラの回転開始のタイミング>
前述のように、本実施形態では、給送ローラ11の駆動連結部に遅延機構を設けており、給紙動作において駆動部4が回転を始めてから、給送ローラ11が方向D1に回転し始めるまでの間は給送ローラ11と駆動部4は連結されていない。そのためこの間に、分離ローラ12が方向D2に回転を開始した場合、分離ローラ12が給送ローラ11を連れまわし、方向D1’に逆転させてしまう。すると、原稿束の一番下の原稿Sが搬送方向D0と反対の方向に搬送(逆走)され、原稿束が逆捌き状態になってしまう。逆捌き状態で給送を開始すると、重送や、搬送される原稿Sの順序が入れ替わる順狂いが発生する可能性がある。
【0072】
また、前述のように、本実施形態では、分離ローラ12の駆動連結部に分離遅延機構を設けている。そのため、もし給送ローラ11が分離ローラ12に先立ち方向D1に回転を開始した場合、給送ローラ11が分離ローラ12を連れまわし、方向D2’に回転させてしまう。すると、原稿束が分離されずに給送ローラ11と分離ローラ12のニップに搬送され、重送が発生する可能性がある。
【0073】
そのため、遅延機構と分離遅延機構を兼用し、本実施形態では給送ローラ11と分離ローラ12をほぼ同時に回転を開始するよう設定し、原稿Sの重送、順狂いを防いでいる。
【0074】
なお、分離ローラ12の分離遅延機構を設けず、給送ローラ11が方向D1’に回転しているときに、給送ローラ11の搬送力を原稿Sに伝えにくくしてもよい。具体的には、ピックアーム17が原稿Sに押圧するタイミングを遅らせればよい。
【0075】
<ピックアーム、原稿ストッパ、給送ローラ、分離ローラの動く順序(グラフ)>
図13は、本実施形態の原稿給送装置Aの第1搬送部の給送動作のタイミングを模式的に示したグラフであり、横軸は時間を表している。
【0076】
本実施形態では、ピックアーム17と原稿ストッパ18の回動(移動)するタイミング、および給送ローラ11と分離ローラ12が回転を開始するタイミングを適切に設定している。これにより、原稿Sに負荷をかけることなく、原稿Sを給送ローラ11と分離ローラ12のニップに送ることができる。
【0077】
タイミングT0は、給送動作が始まる前の初期状態を示しており、タイミングT1は、ユーザーにより給送動作が指示されたタイミングを示す。また、タイミングT2は、原稿ストッパ18が規制状態P3から許容状態P4に向けて動き出したタイミングを示しており、タイミングT3とタイミングT4は、原稿ストッパ18が規制状態P3から許容状態P4に向けて移動している最中を示す。タイミングT5は、原稿ストッパ18が許容状態P4に切り替わったタイミングを示し、タイミングT6は、給送ローラ11および分離ローラ12が回転し、原稿Sが搬送されているタイミングを示す。
【0078】
ピックアーム17、原稿ストッパ18のグラフは縦軸方向の座標によって、それぞれが、どの状態にあるのかを表している。例えば、タイミングT1において、ピックアーム17は退避状態P1、原稿ストッパ18は規制状態P3にあることを示している。
【0079】
また、給送ローラ11と分離ローラ12のグラフは縦軸方向の座標によってローラが停止しているか、回転しているかを表している。例えば、タイミングT1において給送ローラ11と分離ローラ12は停止している。
【0080】
本実施形態の原稿給送装置Aでは、図13に示す様に、ピックアーム17が押圧状態P2になった後に、原稿ストッパ18が許容状態P4に切り替わる。押圧状態P2では押圧により原稿S同士の摩擦が増しているため、原稿束の先端を押さえる原稿ストッパ18が退避しても、原稿Sが滑り落ちない。原稿束の先端が逆捌き(給送順と逆の順に並ぶ)にならないので、重送や給送時の順狂いを防止できる。
【0081】
また、本実施形態の原稿給送装置Aでは、第1搬送部10を構成する全ての可動式の部品(給送ローラ11、分離ローラ12、ピックアーム17、原稿ストッパ18)は、一つの駆動源(駆動部4)で駆動しているため、原稿ストッパ18が搬送経路RTを解放する許容状態P4に切り替わった後に、給送ローラ11が回転し始める。そのため、原稿ストッパ18に原稿Sを押し付けることがなく、原稿Sに傷がつかないので、傷による斜行や搬送ジャムを防止できる。
【0082】
<別の順序の実施形態> なお、ここまで図13のグラフで示す順序に動く原稿給送装置Aについて説明したが、本発明の適応範囲において様々な順序が考えられる。
【0083】
例えば、図14に示す様に、タイミングT3のタイミングに給送ローラ11と分離ローラ12が回転を開始する構成としても良い。タイミングT3のタイミングは図15に示す様に、給送ローラ11と原稿ストッパ18の先端の間に1枚の原稿Sが通る隙間ができたタイミングである。
【0084】
給送ローラ11の搬送力は原稿束の一番下の原稿Sに伝わるため、タイミングT3のタイミングで給送ローラを回転し始めれば、原稿Sの先端に傷をつけずに搬送できる。ここで、原稿Sの1枚の厚みは一般的なコピー紙の厚みである0.08~0.12mmとする。本実施形態の原稿給送装置Aでは、前述のとおり、パスポートなどの分厚い原稿の搬送に対応している。
【0085】
しかし、厚み0.15mmを超えるような厚い原稿は傷がつきづらく、原稿ストッパ18に押し付けられても、搬送ジャムや斜行の原因となる傷がつかない。そのため、一般的なコピー紙が通る隙間が空いたタイミングT3で給送ローラ11が回転を始めれば良い。このような構成をとることで、図13の構成に比べ原稿Sが給送されるタイミングを早めることができる。また、厚さが0.08mm以下の薄手の原稿にも対応することができる。
【0086】
ただし、給送速度が速い場合には、原稿ストッパ18と原稿Sの摩擦が大きくなり、原稿ストッパ18の許容状態P4への移動が阻害される場合がある。そのような場合には、図13のように原稿ストッパ18と原稿束の接触が解除されてから給送ローラ11の回転を開始することが望ましい。
【0087】
また、図16に示す様に、タイミングT4のタイミングでピックアーム17を押圧状態P2にする構成としても良い。タイミングT4のタイミングは、図17に示す様に、原稿ストッパ18の先端が原稿束の上端を抜けるタイミングである。
【0088】
原稿束の内、上端側に積まれた原稿Sの方が原稿S同士の摩擦が小さいため、搬送方向D0に滑り落ちやすい。タイミングT4のタイミングにおいてピックアーム17が押圧状態P2になっていれば、上端側の原稿Sの滑り落ちを防止できる。このような構成であれば、タイミングT1からタイミングT2までの時間を省略でき、時間を省略することで原稿Sが給送されるタイミングを早めることができる。
【0089】
ただし、積載できる原稿Sが多い装置の場合は、原稿束の厚みや枚数のバラツキにより、原稿ストッパ18の先端が原稿束の上端を抜けるタイミングT4が大きく変わってしまう。そのため、ピックアーム17が押圧するタイミングをタイミングT4に合わせることが難しい。
【0090】
また、多くの枚数の原稿Sをセットしたときに、上端の原稿Sを原稿ストッパ18で支えていても、原稿束の中ほどの原稿Sが自重により搬送方向D0方向に滑り落ち逆捌き状態になってしまう可能性がある。そのため、積載トレイ1に積載できる枚数が多い装置では、例えば、図13に示すように、給送ローラ11と原稿ストッパ18の先端の間に1枚の原稿Sが通る隙間ができるタイミングT3よりも前にピックアーム17を押圧状態P2にすることが望ましい。
【0091】
また、別の構成として図18に示す様にタイミングT3のタイミングで、給送ローラ11と分離ローラ12の回転を開始し、その後、タイミングT4のタイミングでピックアーム17を押圧状態P2にする構成としても良い。
【0092】
このように、ピックアーム17、原稿ストッパ18、給送ローラ11、分離ローラ12が動くタイミングを合わせることにより、図14~17に比べさらに原稿Sが給送されるタイミングを早めることができる。そのためユーザーが原稿Sの給送を待つ時間を短縮できる。
【0093】
ただし、給送速度が速く原稿ストッパ18の許容状態P4への退避が阻害される場合、もしくは積載できる原稿Sが多く原稿束の上端を押さえ、逆捌き状態を防止するのが難しい場合は、図13に示す順序で動くように設定することが望ましい。
【0094】
<発明の効果のまとめ>
本実施形態によれば、ピックアーム17により原稿束を押圧した状態で原稿ストッパ18が退避するため、原稿束が自重により滑り落ち原稿束の先端が逆捌き状態になるのを避けられる。
【0095】
また、原稿ストッパ18が退避し原稿Sを搬送できる隙間ができてから給送ローラ11が正転を始めるため、原稿Sを原稿ストッパ18に押し付けない。そのため、原稿Sにめくれや原稿ストッパ18の跡などの傷がつかず、傷による斜行や搬送ジャムを防止できる。
【0096】
これらを駆動部(モータ)が一つしかない原稿給送装置において、簡単で安価な構成で実現できる。
【0097】
更に、給送ローラ11と分離ローラを同時に回転させ始めることで、逆捌きによる重送や給送時の順狂いを防止できる。
【0098】
<その他、発明の派生など>
本実施形態においては、個々の要素をその主機能に基づく表現で命名したが、実施形態で述べられた機能は副機能であってもよく、その表現に厳密に限定されるものではない。また、その表現は同様の表現に置換え可能とする。
【0099】
同様の趣旨で、「部(unit、potion)」という表現は、「部品(component)」、「部材(member)」、「構造体(structure)」、「組立体(Assembly)」等に置換されてもよいし、或いは省略されてもよい。
【0100】
本発明は、上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【0101】
例えば、上記の実施形態においては、1つの駆動部を持つ原稿給送装置Aとして説明したが、複数の駆動部を用いて制御しても良い。本実施形態では、駆動部4の駆動を、駆動ローラ21を介して伝達部5へ伝達しているが、別の駆動により直接、伝達部5を駆動し、給送ローラ11と分離ローラ12を回転させても良い。
【0102】
また、原稿ストッパ18とピックアーム17を昇降させるカム19を駆動部4により回転させているが、別の駆動を設けて昇降のタイミングを制御してもよい。更に、1つのカムにより原稿ストッパ18とピックアーム17を昇降させる構成でなく、それぞれに対しカムを設け、それぞれのカムを駆動する駆動部を設けてもよく、またクラッチなどによりカムの駆動するタイミングを制御してもよい。
【0103】
本実施形態では、ウェイトタイムギア51を用いて給送ローラ11の回転を開始するタイミングを制御しているが、駆動伝達経路中に、駆動の伝達を遮断するクラッチを設けてタイミングを調整する構成としてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、給送ローラ11に駆動を伝えるウェイトタイムギア51と給送軸53の間に回転方向の隙間を設け、給送ローラ11の回転開始のタイミングを遅らせているが、駆動を伝達するギア間のバックラッシの大きさを管理することで、タイミングを調整しても良い。
【0105】
同様に、分離ローラ12についてもギア間のバックラッシを管理することで、分離ローラ12の回転開始のタイミングを調整しても良い。もしくは分離ローラ12のトルクリミッタ12aに回転方向の遊びを設け、回転開始のタイミングを調整しても良い。
【0106】
また、本実施形態において、給送ローラ11と分離ローラ12のそれぞれの駆動伝達経路中に遅延機構を設けているが、別の場所に遅延機構を設けても良い。例えば、図5に示す駆動ローラギア55など、給送ローラ11と分離ローラ12の駆動伝達経路が分岐する前に遅延機構を設けてもよい。
【0107】
更に、本実施形態の原稿ストッパ18は、規制状態P3から、搬送経路RTから離れる方向(分離ローラ12側)に退避する構成としたが、図19に示す様に原稿ストッパ18の先端が規制状態P3から搬送方向D0下流側に揺動する構成としてもよい。
【0108】
図19のaは、原稿ストッパ18が規制状態P3であることを示し、図19のbは、ピックアーム17が押圧状態P2となり、原稿束を給送ローラ11に押圧している状態を示し、図19のcは、ピックアーム17が押圧状態P2のまま原稿ストッパ18が許容状態P4に切り替わり、給送ローラ11が方向D1に分離ローラ12がD2に回転して原稿Sが給送されている状態を示している。
【符号の説明】
【0109】
1 積載トレイ
2 排出トレイ
3 伝達部
3a ワンウェイクラッチ
4 駆動部
41 ベルト
42 プーリ
43 ギア
5 伝達部
51 ウェイトタイムギア
511 当接面
512 対向面
52 分離連結ギア
53 給送軸
531 平行ピン
54 給送ローラギア
55 駆動ローラギア
6 分離伝達部
10 第1搬送部
11 給送ローラ
12 分離ローラ
12a トルクリミッタ
12b ばね(分離押圧)
121 分離ホルダ
122 軸受部
17 ピックアーム
17a ばね(原稿ストッパ押圧)
171 アーム
172 ピックコロ
173 第1カム当接面
18 原稿ストッパ
18A ばね(原稿ストッパ押圧)
181 第2カム当接面
19 カム
19a ばね(カム押圧)
191 第1カム
192 第2カム
193 突き当て
194 カム軸
20 第2搬送部
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
30 第3搬送部
31 駆動ローラ
32 従動ローラ
70 画像読取ユニット
80 制御部
81 CPU
82 記憶部
83 操作入力部
85 インターフェース部
86 アクチュエータ
87 センサ
200 ホルダ(キャリアシート)
A 原稿給送装置
S 原稿

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19